JP7035659B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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また、ドット孔はサイドウォール部の表面から略垂直に凹んだ形状を有するので、タイヤの使用に伴ってドット孔にクラックが発生し、サイドゴムの深さ方向に、さらに、サイドウォール部の表面に沿ってクラックが進展することは、サイドゴムの耐久性、ひいては空気入りタイヤの耐久性の点から好ましくない。
一対の円環状のビードコアと、
前記一対のビードコアの周りに巻きまわして前記一対のビードコア間に設けられた、トロイダル状の少なくとも1枚のカーカスプライと、
前記カーカスプライをタイヤ外側から覆うように前記空気入りタイヤのサイドウォール部に設けられたサイドゴム部材と、
前記カーカスプライの前記ビードコアの周りに巻き回した折り返し部分に沿って、タイヤ径方向の内側からタイヤ径方向の外側に延びる層であって、補強コードで補強された補強層と、を備える。
前記サイドゴム部材の表面に、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成した二次元コードが設けられ、
前記二次元コードが設けられるタイヤ径方向の二次元コード範囲は、前記補強層のタイヤ径方向の内側の端に対してタイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側にあり、前記補強層のタイヤ径方向の外側の端に対してタイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側にある。
前記二次元コード範囲は、前記ビードフィラーゴム部材のタイヤ径方向外側のビードフィラー端に対して、タイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側にある、ことが好ましい。
本明細書において、タイヤ幅方向は、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向である。タイヤ幅方向外側は、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面を表すタイヤ赤道線CL(図1参照)から離れる側である。また、タイヤ幅方向内側は、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道線CLに近づく側である。タイヤ周方向は、空気入りタイヤの回転軸を回転の中心として回転する方向である。タイヤ径方向は、空気入りタイヤの回転軸に直交する方向である。タイヤ径方向外側は、前記回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ径方向内側は、前記回転軸に近づく側をいう。
図1は、一実施形態の空気入りタイヤ10(以降、単にタイヤ10という)の構成の一例を示す図である。図1は、タイヤ赤道線CLに対してタイヤ幅方向の一方の側のプロファイル断面を示す。
カーカスプライ12は、一層のカーカス層で構成してもよいし、二層以上のカーカス層で構成してもよい。図1に示す例では、カーカスプライ12は、カーカス層12aとカーカス層12bで構成されている。カーカス層12aは、カーカス層12bに対してタイヤ内側(空気が充填されるタイヤ空洞領域の側)に、カーカス層12bは、カーカス層12aに対して、タイヤ外側(タイヤ空洞領域と反対の側)に設けられている。カーカス層12bのビードコア16の周りに巻きまわして折り返された折り返し部分の端12beは、ビードフィラーゴム部材22のタイヤ幅方向外側で、タイヤ径方向のビードフィラーゴム部材22の配置範囲内にある。カーカス層12aの折り返し部分の端12aeは、タイヤ径方向のタイヤ最大幅位置近くまで延びている。すなわち、端12aeは、端12beに対してタイヤ径方向外側に位置する。
この他に、ベルト材14bとトレッドゴム部材18との間には、ベルト14のタイヤ径方向外側からベルト14を覆う、有機繊維をゴムで被覆した2層のベルトカバー30を備える。ベルトカバー30は、必要に応じて設ければよく、必須ではない。ベルトカバー30の層数も2枚に限定されず、1枚あるいは3枚であってもよい。
図2(a),(b)は、一実施形態の二次元コード40の例を説明する図である。
二次元コード40は、図1に示すように、サイドウォール部10Sのサイドゴム部材20の表面に刻印されている。一実施形態によれば、二次元コード40は、タイヤ幅方向の両側にあるサイドウォール部10Sの双方の、サイドゴム部材20の表面に形成される。別の一実施形態によれば、いずれか一方のサイドウォール部10Sのサイドゴム部材20の表面に形成される。
二次元コード40は、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成したものである。二次元コード40は、レーザ光をサイドウォール部10Sの表面で集束させてエネルギを集中しサイドゴム部材20を局所的に加熱焼却して表面に微小なドット孔40a(図2(b)参照)を複数刻印することにより形成されたパターンである。ドット孔40aは、例えば円錐形状の孔であり、トレッド表面における直径は、例えば0.1~1.0mmであり、深さは、例えば0.3~1.0mmである。
二次元コード40は、図2(a)に示すように、二次元コード40の濃淡要素を区分けする単位セルのうち濃領域の単位セル領域に1つのドット孔40a(凹部)が設けられて構成されている。すなわち、二次元コード40は、格子状に分割した同一サイズの矩形形状の複数の単位セル領域に対応して、1つのドット孔40aが濃淡要素の濃い1つの単位セル領域を形成するように、ドット孔40aが配置された構成を有する。図2(a)中、単位セル領域の濃領域は、黒く塗りつぶされた領域で示されている。
図2(a)に示す二次元コード40はQRコード(登録商標)であるので、ドットパターン領域42は、QRコード(登録商標)のデータセルを表示したデータセル領域42aと、切り出しシンボルを表示した切り出しシンボル領域42bとを含む。
図3に示すように、二次元コード40を、端32e2に対してタイヤ径方向の内側あるいは外側に設けられており、さらに、端32e1に対してタイヤ径方向の内側あるいは外側に設けられており、二次元コード40が設けられる範囲(二次元コード範囲)に、端32e1及び端32e2が位置しない。このように二次元コード40を配置するのは、タイヤ10の長期使用に伴って二次元コード40の表面凹凸が変化し、二次元コード40の読み取りが低下することを抑制するためである。端32e1,32e2は、それぞれの端32e1,32e2を境としてタイヤ径方向の外側領域と内側領域の間で、サイドゴム部材20の変形が異なる屈曲点となって、端32e1,32e2には、サイドゴム部材20の表面において大きな歪が発生しやすい。例えば、タイヤ10の負荷荷重を受けて転動するとき、サイドゴム部材20は、ビードフィラーゴム部材22と共に、タイヤ10の撓み変形によりタイヤ幅方向外側に広がる曲げ変形をし、特に、補強層32の端32e2は、曲げ変形が大きい位置にあり、この曲げ変形における屈曲点になり、端32e2に大きな歪が生じ易い。このため、端32e2のサイドゴム部材20の表面部分でも大きな歪が生じやすい。この表面部分に、二次元コード40が設けられていると、タイヤ10の転動に伴って大きな歪を断続的に受けて、二次元コード40のドット孔40aにはクラックが発生しやすい。このため、タイヤ10の長期使用に伴って、二次元コード40の表面凹凸が変化し、その結果二次元コード40の読み取り性が低下し易い。図1に示すように、端32e1がビードコア16近傍にある場合、端32e1周辺の変形自体は小さいので屈曲点になり難いが、端32e1がビードコア16からタイヤ径方向外側に離れている場合、上記屈曲点になり易い。
このため、二次元コード範囲は、端32e1,32e2に対してタイヤ径方向の内側あるいは外側にある。
また、一実施形態によれば、二次元コード40が設けられるタイヤ径方向の二次元コード範囲は、補強層32が設けられるタイヤ径方向の補強層範囲外にあることも好ましい。
また、図3に示す例で、近傍端32e2に対して、折り返し端12ae,12beと、二次元コード範囲が、タイヤ径方向の異なる側にある。この場合、外側の端32e2とカーカス層12aの折り返し端12aeとの間のタイヤ径方向に沿った距離L3aは、補強層32の近傍端(外側の端)32e2と、近傍端32e2に最も近い二次元コード40の外縁との間の、タイヤ径方向に沿った距離L1以上であることが好ましい。また、補強層32の外側の端32e2とカーカス層12bの折り返し端12beとの間のタイヤ径方向に沿った距離L3bは、近傍端32e2と近傍端32e2に最も近い二次元コード40の外縁との間の、タイヤ径方向に沿った距離L1以上であることが好ましい。このように、二次元コード40と近傍端32e1との間の距離L1に対して距離L3a,L3bを同等か、それ以上にすることで、折り返し端12ae,12beが、近傍端32eと同様に屈曲点となって変形しても、折り返し端12ae,12be近傍のトレッドゴム部材20の表面に生じる歪が、近傍端32近傍のトレッドゴム部材20の表面に生じる歪と重なることを防止できる。このため、二次元コード40のドット孔40aに生じるクラックを抑制することができ、タイヤ10の長期使用に伴って二次元コード40の読み取り性の低下を抑えることができる。距離L3a及び距離L3bは、乗用車用タイヤの場合、10mm以上であることが好ましい。
また、ベルトカバー層30は、3層設けられている。
これ以外の構成は、図1,3に示すタイヤ10の構成と同じであるので、これらの構成の説明は省略する。
このような構成であっても、二次元コード範囲は、補強層34のタイヤ径方向の内側の端34e1及びタイヤ径方向の外側の端34e2のそれぞれに対してタイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側にある。このため、上述したように、二次元コード40のドット孔40aにはクラックが入り難くなり、タイヤ10の長期使用に伴う二次元コード40の読み取り性の低下を抑えることができる。なお、図4に示す例では、近傍端は外側の端34e2であるので、外側の端34e2は、近傍端34e2ともいう。
補強層34の補強コードは、スチールコードであることが好ましい。
上述の実施形態の効果を確認するために、二次元コード40(具体的には、QRコード(登録商標))のタイヤ径方向の配置位置が異なるタイヤ10(タイヤサイズ:195/65R15 91H)を種々作製し、タイヤ10の長期使用時の二次元コード40の読み取り性の試験を行った。タイヤ10のタイヤ構成は、図1に示す構成とした。
二次元コード40のドット孔40aの内径は、0.5mmとし、深さを0.7mmとした。QRコード(登録商標)の大きさは15mm×15mmとした。
タイヤ10の長期使用については、長期使用を模擬した所定の条件で、室内ドラム上でタイヤ10を転動させた(リムサイズ 15×6J、内圧 120kPa、負荷荷重 615kg重)。具体的には、タイヤ10に対して、オゾン濃度100pphmの条件でオゾン照射をしつつ、時速81km/時の速度で10000km走行させた。走行後、照明光の当て方を種々変化させて携帯端末で二次元コード40の読み取りの可否を調べた。
実施例1~6の、補強層32の内側の端32e1と二次元コード40の外縁との間のタイヤ径方向の距離L3bの距離L1に対する比L3b/L1(%)は、100%超とした。
また、実施例1,3,4の比較より、距離L1を距離L0の5%以上とすることにより、すなわち、外側の端32e2と、外側の端32e2に最も近い二次元コード40の外縁との間の、タイヤ径方向に沿った距離を、二次元コード40のタイヤ径方向に沿った長さの5%以上とすることにより、タイヤ10の長期使用に伴う二次元コード40の読み取り性の低下が抑制され、読み取り性が比較例に比べて向上することがわかる。
実施例4~6の比較より、距離L3aを距離L1以上にすることにより、すなわち、端32e2と折り返し端12aeとの間のタイヤ径方向に沿った距離を、端32e2と、端32e2に最も近い二次元コード40の外縁との間の、タイヤ径方向に沿った距離以上にすることにより、タイヤ10の長期使用に伴う二次元コード40の読み取り性の低下が抑制され、読み取り性が比較例に比べて向上することがわかる。
10T トレッド部
10S サイドウォール部
10B ビード部
11 カーカスコード
12 カーカスプライ
13 コーティングゴム
12a,12b カーカス層
12ae,12be,12e 折り返し部分の端
14 ベルト
14a,14b ベルト材
16 ビードコア
18 トレッドゴム部材
20 サイドゴム部材
22 ビードフィラーゴム部材
24 リムクッションゴム部材
26 インナーライナゴム部材
30 ベルトカバー
32,34 補強層
32e1,32e2,34e1,34e2 端
40 二次元コード
42 ドットパターン領域
42a データセル領域
42b 切り出しシンボル領域
44 空白領域
Claims (11)
- 空気入りタイヤであって、
一対の円環状のビードコアと、
前記一対のビードコアの周りに巻きまわして前記一対のビードコア間に設けられた、トロイダル状の少なくとも1枚のカーカスプライと、
前記カーカスプライをタイヤ外側から覆うように前記空気入りタイヤのサイドウォール部に設けられたサイドゴム部材と、
前記カーカスプライの前記ビードコアの周りに巻き回した折り返し部分に沿って、タイヤ径方向の内側からタイヤ径方向の外側に延びる層であって、補強コードで補強された補強層と、を備え、
前記サイドゴム部材の表面に、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成した二次元コードが設けられ、
前記二次元コードが設けられるタイヤ径方向の二次元コード範囲は、前記補強層のタイヤ径方向の内側の端に対してタイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側にあり、前記補強層のタイヤ径方向の外側の端に対してタイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側にある、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記内側の端及び前記外側の端のうち、前記二次元コードの外縁に最も近い前記補強層の近傍端と、前記近傍端に最も近い前記二次元コードの外縁との間の、タイヤ径方向に沿った距離は、前記二次元コードのタイヤ径方向に沿った長さの5%以上である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記二次元コード範囲は、前記補強層が設けられるタイヤ径方向の補強層範囲内にある、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記二次元コード範囲は、前記補強層が設けられるタイヤ径方向の補強層範囲外にある、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記補強層は、前記折り返し部分のタイヤ幅方向内側に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記補強層は、前記折り返し部分のタイヤ幅方向外側に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記補強層の前記外側の端と前記カーカスプライの前記折り返し部分の折り返し端との間のタイヤ径方向に沿った距離は、前記補強層の前記内側の端及び前記外側の端のうち、前記二次元コードの外縁に最も近い前記補強層の近傍端と、前記近傍端に最も近い前記二次元コードの外縁との間の、タイヤ径方向に沿った距離以上である、請求項1~6のいずれか1項に空気入りタイヤ。
- 前記カーカスプライを前記ビードコアに巻きまわす前の前記カーカスプライの部分と、巻きまわした後の前記カーカスプライの部分に挟まれるように設けられたビードフィラーゴム部材を備え、
前記二次元コード範囲は、前記ビードフィラーゴム部材のタイヤ径方向外側のビードフィラー端に対して、タイヤ径方向外側あるいはタイヤ径方向内側にある、請求項1~7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記補強層の前記補強コードは、スチールコードである、請求項1~8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードコアのタイヤ径方向の最も内側の位置からタイヤ最大外径位置までのタイヤ径方向に沿った断面高さをSHとしたとき、前記ビードコアのタイヤ径方向の最も内側の位置から前記二次元コードのタイヤ径方向における中心位置までのタイヤ径方向に沿った距離Hは、前記断面高さSHの70%以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記二次元コードは、前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向の両側の前記サイドウォール部それぞれに設けられている、請求項1~10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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