JPWO2020040054A1 - 転写フィルム、積層体、及びパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
入力装置(以下、タッチパネルともいう。)には、抵抗膜型、静電容量型などがある。静電容量型の入力装置の場合には、単に一枚の基板に透光性導電膜を形成すればよいという利点がある。
基板上に金属配線が配設された配線基板は、基板に形成された金属膜の上にフォトレジスト法によりパターン状のレジスト膜を形成し、レジスト膜をマスクとして金属膜をエッチング等することで作製することができる。そして、両面プリント配線基板の場合には、パターン状のレジスト膜をマスクとしてエッチングする作業を基板の両側に対して行うことになる。
しかも、特開2011−154080号公報に記載の技術では、パターン露光時の光が不透明層で反射しやすいため、反射光がパターン精度を損ない、パターンの精細さを損ないやすい傾向がある。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、転写後のパターン露光時の、透明基材の一方の側からの照射光に起因した他方の側のパターン形成性への影響が抑えられ、簡易に精細なパターンを形成することができる転写フィルム又は積層体を提供することにある。
本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、転写後のパターン露光時の、透明基材の一方の側からの照射光に起因した他方の側のパターン形成性への影響を抑えつつ、簡易に精細なパターンを形成することができるパターン形成方法を提供することにある。
<1> 仮支持体と、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む第1感光層と、少なくともバインダーポリマーを含み、かつ、光学濃度が0.5以上である遮光層と、をこの順に有する転写フィルムである。
<2> 遮光層が、更に、紫外線吸収材料を含む<1>に記載の転写フィルムである。
<3> 紫外線吸収材料が、カーボンブラックを含む<2>に記載の転写フィルムである。
<4> 遮光層が、更に、重合性化合物を含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の転写フィルムである。
<5> 光重合開始剤の含有量が、遮光層の全固形分量に対して、1質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の転写フィルムである。
<6> 第1感光層と遮光層との間に、中間層を有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の転写フィルムである。
<7> 中間層が、水又は炭素数1〜4の低級アルコールに対して可溶性を有するバインダーポリマーを含む<6>に記載の転写フィルムである。
<8> 中間層が、更に、重合性化合物及び光重合開始剤を含む<6>又は<7>に記載の転写フィルムである。
<9> 透明基材と、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の転写フィルムと、を有する積層体である。
<10> 透明基材の、転写フィルムが積層された側と反対側に、第2感光層を有する<9>に記載の積層体である。
<11> 第2感光層が、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する<10>に記載の積層体である。
<13> 透明基材は、両方の面に金属電極及び金属配線の少なくとも一方を有する<12>に記載のパターン形成方法である。
<14> タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方の形成に用いられる<12>又は<13>に記載のパターン形成方法である。
本発明の他の一実施形態によれば、転写後のパターン露光時の、透明基材の一方の側からの照射光に起因した他方の側のパターン形成性への影響を抑えつつ、簡易に精細なパターンを形成することができるパターン形成方法が提供される。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、分子量分布がある場合の分子量は、特に断りが無い限り、重量平均分子量(Mw)を表す。
本開示の転写フィルムは、仮支持体と、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む第1感光層と、少なくともバインダーポリマーを含み、かつ、光学濃度が0.5以上である遮光層と、をこの順に有し、必要に応じて、更に、中間層等の他の層を有してもよい。
そして近年では、透明基材の両側に感光性の樹脂組成物を設けてそれぞれ露光し、例えば透明基材の両側に互いに異なるパターンを形成する技術が知られている。透明基材の両側からそれぞれ光照射した場合、透明基材の一方の側から照射された光は、透明基材を透過して他方の側にまで到達する傾向がある。そのため、光照射が行われる一方の側では良好なパターンが形成されても、他方の側では、一方の側から透過した光の影響を受けて潜像が乱れ、現像後に形成されるパターンの形状を著しく損なう場合がある。
しかも、特開2011−154080号公報に記載の発明のように、層間に配された不透明層が金属層である場合、金属層は多少なりとも光の反射を伴うため、パターン露光時の光が不透明層で反射して不要な露光効果が生じ、結果、パターンの精細さを損なう一因となる。
また、不透明層は、光照射後の現像処理によってフォトレジストと同時に現像除去できないので、例えば透明基材の両方の側に形成されたフォトレジスト膜の現像時点では不透明層がそのまま残る。そのため、現像と同時にエッチング可能な状態を形成することができない。
この点は、例えば図3に示すように、透明基材21の一方の側に転写フィルム41を貼り合わせ、かつ、他方の側に第2感光層27を有する別の転写フィルム43を貼り合わせることで、仮支持体19/第1感光層17/遮光層13/透明基材21/第2感光層27/仮支持体19aの積層構造を有する積層体101とした場合により顕著に現れる。つまり、一方の側(例えば、積層体の仮支持体19側)から照射された照射光は、遮光層13で遮断されて他方の側(例えば、図3の積層体の仮支持体19a側)への透過が抑制され、かつ、他方の側から照射された照射光も同様に遮光層13で遮断されて一方の側(例えば、図3の積層体の仮支持体19側)への透過が抑制される。そして、このような層構成では、第1感光層及び遮光層は、一方の側からの照射光により第1感光層が感光していない領域で第1感光層17だけでなく遮光層13も良好に現像除去され、現像と同時にエッチング可能な状態が得られる。また、透明基材21上への遮光層13の残存及び第2感光層の残存も生じにくいので、透明基材21上には、残渣が少なく、精度の高いパターンが形成される。
上記のように、本開示の転写フィルムでは、層間に配された遮光層は、照射光を吸収しやすく、照射された光の反射を生じにくいので、反射光に起因した不要な露光効果が抑制され、パターンの精細さがより高められる。また、本開示における遮光層は、第1感光層の現像の際に除去可能な層であるので、パターンを顕在化する現像の過程で除去され、エッチング可能な状態を形成できる。したがって、現像後そのまま両側のエッチング処理が可能となる。
第1感光層は、仮支持体の上に配置された感光性を有するネガ型の層であり、少なくともバインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む。第1感光層は、必要に応じて、更に界面活性剤、溶剤、及び添加剤等の他の成分を含んでもよい。
第1感光層は、バインダーポリマーの少なくとも一種を含有する。
バインダーポリマーは、アルカリ性溶媒との接触により溶解しうる樹脂(いわゆるアルカリ可溶性樹脂)であることが好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、特に制限はないが、現像性の観点から、60mg/KOH以上であることが好ましい。具体的に、バインダーポリマーは、酸価60mgKOH/g以上のバインダーポリマーであることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることがより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であることが特に好ましい。
例えば、特開2011−95716号公報の段落0025に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるバインダーポリマー、特開2010−237589号公報の段落0033〜0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等が、本実施形態における特定重合体として好ましく用いることができる。
ここで、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含む樹脂を指す。
(メタ)アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計割合は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。
特定重合体は、反応性基を有していてもよい。
反応性基を特定重合体に導入する手段としては、水酸基、カルボキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アセトアセチル基、スルホン酸などに、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート、イソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、カルボン酸無水物などを反応させる方法が挙げられる。
これらの中でも、反応性基としては、ラジカル重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和基であることがより好ましく、(メタ)アクリロキシ基であることが特に好ましい。
芳香環を有する構成単位を形成するモノマーとしては、スチレン、tert−ブトキシスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、芳香環を有する構成単位としては、スチレン由来の構成単位であることが好ましい。
脂肪族環式骨格を有する構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記脂肪族環式骨格を有する構成単位が有する脂肪族環としては、ジシクロペンタン環、シクロヘキサン環、イソボロン環、トリシクロデカン環等が好ましく挙げられる。中でも、トリシクロデカン環が特に好ましく挙げられる。
バインダーポリマーがエチレン性不飽和基を有する構成単位を含有する場合、エチレン性不飽和基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましく、20質量%〜40質量%であることが更に好ましい。
バインダーポリマーは、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、藤倉化成株式会社のアクリベース(登録商標)FFS−6058、FF187、大成ファインケミカル株式会社のアクリット(登録商標)8KB−001等の8KBシリーズが挙げられる。
重量平均分子量の測定は、後述する遮光層に用いられるバインダーポリマーの重量平均分子量の測定と同様の方法及び条件にて、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により行うことができる。
バインダーポリマーの第1感光層中における含有量は、感光性及び硬化膜の強度の観点から、第1感光層の全質量に対して、10質量%〜90質量%が好ましく、15質量%以上80質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下が更に好ましい。
第1感光層は、重合性化合物の少なくとも一種を含有する。
重合性化合物は、第1感光層の感光性(即ち、光硬化性)及び硬化膜の強度に寄与する成分である。本開示における重合性化合物は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)である。中でも、重合性化合物は、光照射により活性種としてラジカルを放出するラジカル重合性化合物が好ましい。
ここで、2官能以上のエチレン性不飽和化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、より具体的には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(A−NOD−N、新中村化学工業(株)製)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N、新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物、等が挙げられる。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、8UX−015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA−32P(新中村化学工業(株)製)、UA−1100H(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
酸基としては、例えば、リン酸基、スルホン酸基、及び、カルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、酸基を有する3〜4官能のエチレン性不飽和化合物(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=80〜120mgKOH/g))、酸基を有する5〜6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=25〜70mgKOH/g))、等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)TO−2349ME(東亞合成(株)製)、アロニックスM−520(東亞合成(株)製)、又は、アロニックスM−510(東亞合成(株)製)を好ましく用いることができる。
また、第1感光層に用いられるエチレン性不飽和化合物のうち、分子量300以下のエチレン性不飽和化合物の含有量の割合は、第1感光層に含有されるすべてのエチレン性不飽和化合物に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
第1感光層におけるエチレン性不飽和化合物の含有量は、第1感光層の全質量に対し、1質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が更に好ましく、20質量%〜50質量%が特に好ましい。
また、この場合、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、第1感光層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物に対し、10質量%〜90質量%が好ましく、15質量%〜80質量%がより好ましく、20質量%〜70質量%が更に好ましい。
また、この場合、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物との総含有量に対し、40質量%以上100質量%未満であることが好ましく、40質量%〜90質量%であることがより好ましく、50質量%〜80質量%であることが更に好ましく、50質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
更に、第1感光層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合、第1感光層に含有されるエチレン性不飽和化合物において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が主成分であることが好ましい。
具体的には、第1感光層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、第1感光層に含有されるエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、40質量%〜100質量%が好ましく、50質量%〜100質量%がより好ましく、60質量%〜100質量%が特に好ましい。
第1感光層は、光重合開始剤の少なくとも一種を含有する。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α−アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α−ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、N−フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N−フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
第1感光層における光重合開始剤の含有量は、特に制限はないが、第1感光層の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、光重合開始剤の含有量は、第1感光層の全質量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
第1感光層は、界面活性剤の少なくとも一種を含有することができる。
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0017及び特開2009−237362号公報の段落0060〜0071に記載の界面活性剤、公知のフッ素系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、メガファック(登録商標)F−551A(DIC(株)製)が挙げられる。
第1感光層は、上記した成分に加え、必要に応じて、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
感光性層は、硬化後の硬度の観点から、ブロックイソシアネート化合物を更に含有することができる。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(マスク)した構造を有する化合物」のことをいう。
本明細書中におけるブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200)によりDSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合に、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」のことをいう。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物の中でも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、現像残渣を少なくしやすい観点から好ましい。
ラジカル重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、例えば、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基等のエチレン性不飽和基、グリシジル基等のエポキシ基を有する基などが挙げられる。中でも、重合性基としては、得られる硬化膜における表面の面状、現像速度及び反応性の観点から、エチレン性不飽和基であることが好ましく、(メタ)アクリロキシ基であることがより好ましい。
ブロックイソシアネート化合物の含有量は、第1感光層の全質量に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜30質量%であることがより好ましい。
第1感光層は、重合禁止剤を少なくとも1種含有してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤(重合禁止剤ともいう)を用いることができる。
中でも、フェノチアジン、フェノキサジン又は4−メトキシフェノールを好適に用いることができる。
第1感光層は、水素供与性化合物を更に含有することができる。
水素供与性化合物は、光重合開始剤の活性光線に対する感度を一層向上させる、又は酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
水素供与性化合物の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
第1感光層は、上述した成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載の熱重合防止剤、特開2000−310706号公報の段落0058〜0071に記載のその他の添加剤、等が挙げられる。
金属酸化物粒子を構成する金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれる。硬化膜の透明性の観点から、粒子(例えば金属酸化物粒子)の平均一次粒子径は、1nm〜200nmが好ましく、3nm〜80nmがより好ましい。平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
粒子の含有量は、第1感光層の全質量に対して、0質量%〜35質量%が好ましく、0質量%〜10質量%がより好ましく、0質量%〜5質量%が更に好ましく、0質量%〜1質量%が更に好ましく、0質量%(即ち、第1感光層に粒子が含まれないこと)が特に好ましい。
具体的には、第1感光層における着色剤の含有量は、第1感光層の全質量に対し、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
第1感光層は、不純物の含有量が少ないことが好ましい。
不純物の具体例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、及びこれらのイオン、並びに、遊離ハロゲン、ハロゲン化物イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)などが挙げられる。
不純物の第1感光層中における含有量は、質量基準で、1000ppm以下が好ましく、200ppm以下がより好ましく、40ppm以下がさらに好ましい。下限は特に定めるものではないが、現実的に減らせる限界及び測定限界の観点から、質量基準で、10ppb以上とすることができ、100ppb以上とすることができる。
不純物を上記範囲に減らす方法としては、樹脂及び添加剤の原料に不純物を含まないものを選択すること、及び層の形成時に不純物の混入を防ぐこと等が挙げられる。このような方法により、不純物量を上記範囲内とすることができる。
不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法等の公知の方法で定量することができる。
不純物は、上記の金属の不純物と同様の方法で含有量を抑制することができる。また、公知の測定法により定量することができる。
第1感光層の厚みは、製造適性の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。
本開示において、「屈折率」は、波長550nmにおける屈折率を指す。
本開示における「屈折率」は、特に断りが無い限り、温度23℃において波長550nmの可視光で、エリプソメトリーによって測定した値を意味する。
第1感光層の形成方法には、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
第1感光層の形成方法の一例としては、仮支持体上に、溶剤を含有する第1感光層形成用の組成物(第1感光層用組成物)を塗布等の方法で付与し、必要に応じて乾燥させることによって形成する方法が挙げられる。
第1感光層用組成物は、少なくとも、バインダーポリマー、重合性化合物、光重合開始剤及び溶剤(特に有機溶剤)、並びに必要に応じて界面活性剤、及び添加剤等の他の成分を混合することにより調製することができる。
乾燥の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等の公知の方法を、単独で又は複数組み合わせて適用することができる。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1−メトキシ−2−プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、n−プロパノール、2−プロパノールなどを挙げることができる。
また、溶剤は、二種類以上の有機溶剤を混合した混合溶剤として用いてもよい。
混合溶剤としては、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤、又はジエチレングリコールエチルメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤が好ましい。
粘度は、例えば、VISCOMETER TV−22(東機産業(株)製)を用いて測定される値である。
第1感光層用組成物が溶剤を含有する場合、第1感光層用組成物の表面張力(25℃)は、塗布性の観点から、5mN/m〜100mN/mが好ましく、10mN/m〜80mN/mがより好ましく、15mN/m〜40mN/mが特に好ましい。
表面張力は、例えば、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて測定される値である。
また、溶剤として、必要に応じて沸点が180℃〜250℃である有機溶剤(高沸点溶剤)を使用することもできる。
遮光層は、第1感光層の仮支持体を有する側とは反対側に配置された光遮断性を有する層であり、少なくともバインダーポリマーを含み、かつ、光学濃度を0.5以上として形成されたものである。遮光層は、バインダーポリマーのほか、紫外線吸収材料を含むことが好ましく、必要に応じて、硬化成分を含んでいてもよく、界面活性剤、溶剤、及び添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
硬化成分としては、重合性化合物及び光重合開始剤等が含まれる。
光学濃度が0.5以上であることで、広い波長領域に亘る光を吸収しやすく、遮光層の一方の側から他方の側に透過する光の透過量を小さく抑えることができる。これにより、透明基材の一方の側に配された感光層への他方の側からの光の影響を低減できる。
上記の観点から、光学濃度は高いほど好ましく、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上がさらに好ましく、3.0以上が更に好ましい。
光学濃度の上限を定めるものではないが、遮光層の処方設計の容易さ等の観点から、光学濃度は例えば6.0以下又は5.0以下とすることができる。
遮光層は、バインダーポリマーの少なくとも一種を含有する。
バインダーポリマーは、アルカリ性溶媒との接触により溶解しうる樹脂(いわゆるアルカリ可溶性樹脂)であることが好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、60mgKOH/g以上250mgKOH/g以下が好ましく、70mgKOH/g以上180mgKOH/g以下が好ましい。
カルボキシ基を有するバインダーポリマーを含有することで、形成されるパターン端部の直線性がより良好となり、所謂エッジラフネスが良化する傾向がある。
なお、エッジラフネスとは、パターン端部をレーザー顕微鏡(例えば、VK−9500、キーエンス(株)、対物レンズ50倍)を用いて観察し、視野内のパターン端部のうち、最も膨らんだ箇所(山頂部)と最もくびれた箇所(谷底部)との差を絶対値として、異なる5箇所について絶対値を求め、5箇所の平均値を算出し、算出した値を意味する。
中でも、現像性の観点から、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸のランダム共重合体が好ましい。
バインダーポリマーの重量平均分子量が4000以上であると、第1感光層の現像時における除去性が良好となる。更には、形成されるパターンのタック性が抑制されるため、転写フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥離する際の保護フィルムの剥離性が向上する。一方、バインダーポリマーの重量平均分子量が25000以下であると、熱垂れ性が向上し、かつ、現像残渣の発生が抑制される。
<条件>
・GPC:HLC(登録商標)−8020GPC(東ソー(株)製)
・カラム:TSKgel(登録商標)、Super MultiporeHZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・試料濃度:0.45質量%
・流速:0.35ml/min
・サンプル注入量:10μl
・測定温度:40℃
・検出器:示差屈折計(RI)
遮光層は、更に、紫外線吸収材料の少なくとも一種を含むことが好ましい。
ここでの紫外線とは、波長250nm〜400nmの範囲の光を指す。
紫外線吸収材料としては、紫外線に吸収性を有する材料であれば制限はなく、例えば、顔料(特に黒色顔料)、250nm〜400nmの間に吸収極大を有する紫外線吸収剤と称される材料等が挙げられる。
黒色顔料は、遮光層における遮光性を発現しうる限り特に制限はない。
黒色顔料としては、公知の黒色顔料、例えば、有機顔料、及び無機顔料から選ばれる黒色顔料を好適に用いることができる。無機顔料は金属顔料、金属酸化物顔料などの金属化合物を含む顔料を包含する。
形成される遮光層の光学濃度が良好であるという観点から、黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、チタンブラックなどの酸化チタン顔料、黒鉛などが挙げられる。
カーボンブラックは、市販品としても入手可能であり、例えば、東京インキ社製の黒顔料分散物 FDK−911〔商品名:FDK−911〕などが挙げられる。
カーボンブラックは、遮光層におけるカーボンブラックの均一分散性がより良好となるという点で、表面が樹脂で被覆されたカーボンブラック(以下、樹脂被覆カーボンブラックともいう。)であることが好ましい。なお、樹脂によるカーボンブラックの被覆は、カーボンブラックの表面の少なくとも一部が被覆されていればよく、表面全体が被覆されていてもよい。
樹脂被覆カーボンブラックは、例えば、特許第5320652号公報の段落0036〜0042に記載の方法で作製することができる。また、市販品としても入手可能であり、例えば、山陽色素社製のSF Black GB4051などが挙げられる。
「粒径」とは粒子の電子顕微鏡写真画像を同面積の円とした時の直径を指し、また「数平均粒径」とは、任意の100個の粒子について粒径を求め、この粒径の平均値をいう。
なお、遮光層に含有される黒色顔料の数平均粒径は、黒色顔料を含む遮光層を透過型電子顕微鏡(JEOL)により、300,000倍で撮影した写真を用いて、視野角に含まれる任意の100個の粒子について、粒子径を測定し、測定した値の平均値として算出することができる。
黒色以外の顔料としては、例えば、特開2008−224982号公報段落0030〜0044に記載の顔料であって黒色以外の色相を呈する顔料、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Blue 79のクロロ基(Cl)を水酸基(OH)に変更した顔料などが挙げられる。
紫外線吸収材料の含有量が10質量%以上であると、膜厚を薄く保ったまま遮光層の光学濃度を高めることができる。紫外線吸収材料の含有量が70質量%以下であると、遮光層をパターニングする際の硬化感度が良好となる。
遮光層は、更に硬化成分として、重合性化合物の少なくとも一種を含むことが好ましい。遮光層が、重合性化合物を含有すると、現像時における溶解性に優れたものとなる。重合性化合物は、分子中に少なくとも1個の重合性基を有する化合物であり、単量体又は重合体のいずれも挙げられるが、現像時の溶解性の点で単量体(即ち、重合性モノマー)がより好ましい。重合性基の種類には、特に制限はない。
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物などのウレタン系モノマーも好ましく用いることができる
層の曲げ性の観点から、ウレタン(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
市販品としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP、新中村化学工業(株)、2官能、分子量304)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業(株)、2官能、分子量332)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(A−NOD−N、新中村化学工業(株)、2官能、分子量268)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N、新中村化学工業(株)、2官能、分子量226)、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(A−BPEF、新中村化学工業(株)、2官能、分子量546)、ウレタンアクリレート(UA−160TM、新中村化学工業(株)、2官能、分子量1600)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(V#230、大阪有機化学工業(株)、2官能、分子量226)、1,3−アダマンチルジアクリレート(ADDA、三菱ガス化学(株)、2官能、分子量276)、トリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業(株)、3官能、分子量296)、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド(EO)変性(n≒1)トリアクリレート(M−350、東亞合成(株)、3官能)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(A−TMMT、新中村化学工業(株)、4官能、分子量352)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A−DPH、新中村化学工業(株)、6官能、分子量578)、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(UA−306H、共栄社化学(株)、6官能)、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー(UA306T、共栄社化学(株)、6官能)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)、6官能、分子量579)、ウレタンアクリレート(UA−32P、新中村化学工業(株)、9官能)、ウレタンアクリレート(8UX−015A、大成ファインケミカル(株)、15官能)などが好ましく挙げられる。
重合性化合物の分子量が500以下であると、低温での熱処理における熱だれが起きやすい。特に、分子量500以下の2官能の重合性モノマーが好ましい。
中でも、重合性化合物を2種以上組み合わせて用いることが、現像時の除去性の点で好ましい。また、現像(好ましくは炭酸現像)する際の残渣の抑制及び膜強度の観点から、2官能の重合性化合物と2官能以外の重合性化合物とを併用することが好ましい。
(2官能の重合性化合物/重合性化合物全質量)が50質量%以上であると、弱アルカリ現像液(例えば、炭酸ナトリウム水溶液)による現像残渣の抑制及び膜強度の点で有利である。
遮光層において、前述のバインダーポリマーの含有量(B)に対する前述の重合性化合物の含有量(M)の質量比(M/B比)は、0.50以下であることが好ましい。M/B比が0.50以下であると形成されるパターンの直線性がより良好となる。
遮光層は、更に硬化成分として、光重合開始剤の少なくとも一種を含むことができる。
現像後のパターン形状の良化に効果がある。
その一方、光重合開始剤を含有しすぎると、例えば他方の側から照射された光が一方の側に達した際にも遮光層の重合反応が進行し、しかもその重合反応は透明基材近傍で進行するため、現像後の遮光層の残渣(現像時の遮光層の除去残り(所謂かぶり)が発生し易くなる場合がある。
したがって、光重合開始剤の遮光層中における含有量は、光照射領域における遮光層の残渣の悪化を抑える観点から、遮光層の全固形分量に対して、1質量%以下であることが好ましい。上記の理由から、光重合開始剤の含有量は、0.5質量%未満がより好ましく、0質量%(含有しないこと)が更に好ましい。
光重合開始剤は、上市されている市販品を使用してもよい。
市販品としては、例えば、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:IRGACURE OXE−01、BASF社)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE−02、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:IRGACURE 379EG、BASF社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 907、BASF社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:IRGACURE 369、BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 1173、BASF社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:IRGACURE 184、BASF社製)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:IRGACURE 651、BASF社製)、オキシムエステル系光重合開始剤の商品名:Lunar 6(DKSHジャパン(株)社製)、2,4−ジエチルチオキサントン(商品名:カヤキュアDETX−S、日本化薬(株)社製)、フルオレンオキシム系光重合開始剤であるDFI−091、DFI−020(ともにダイトーケミックス社製)などが好ましく挙げられる。
遮光層は、界面活性剤の少なくとも一種を含有することができる。
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009−237362号公報の段落0060〜0071に記載の界面活性剤が挙げられる。中でも、遮光層塗布形成時における膜性改良の観点からは、フッ素系界面活性剤(例えば、DIC(株)製のメガファック(登録商標)F−784−F、F−780F、F−555A等)を用いることが好ましい。
遮光層は、上記した成分に加え、必要に応じて、重合禁止剤、染料、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
遮光層は、重合禁止剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
遮光層が、重合禁止剤を含むと、現像残渣の発生がより抑制される。重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載の熱重合防止剤(重合禁止剤ともいう。)を用いることができる。中でも、重合禁止剤としては、フェノチアジン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等を好適に用いることができる。
遮光層は、反射防止能を発現するという観点から染料を含有していてもよい。
遮光層に含有され得る染料には、特に制限はなく、公知の染料、例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知の染料、又は、市販品として入手可能な染料を適宜選択して使用することができる。
染料の具体例としては、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
添加剤としては、特開2000−310706号公報の段落0058〜0071に記載のその他の添加剤が挙げられる。
遮光層は、不純物の含有量が少ないことが好ましい。
遮光層における不純物の詳細及び好ましい態様等の詳細については、既述の第1感光層における場合と同様であるので、ここでは記載を省略する。
遮光層の形成方法には、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
遮光層の形成方法の一例としては、例えば、既述の第1感光層の表面、又は第1感光層上に中間層を有する場合は中間層の表面に、溶剤を含有する遮光層用組成物を塗布等の方法で付与し、必要に応じて乾燥させることによって形成する方法が挙げられる。
遮光層用組成物は、少なくともバインダーポリマー及び溶剤(特に有機溶剤)、並びに必要に応じて硬化成分、界面活性剤及び添加剤等の他の成分を混合することにより調製することができる。
分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる混合物を、後述する有機溶剤又はビヒクルに添加して分散させることによって調製することができる。ビヒクルとは、顔料を分散させる媒質部分をいい、液状であって、かつ、黒色顔料と結合して層を形成するバインダー成分とバインダー成分を溶解して希釈する有機溶剤等の媒体とを含む。
黒色顔料を分散させる際に用いられる分散機としては、特に制限はなく、例えば、「顔料の事典」(第一版、朝倉邦造著、朝倉書店、2000年、438頁)に記載の、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。さらに、同310頁に記載の機械的摩砕によって、分散質である黒色顔料を摩擦力を利用して微粉砕してもよい。
なお、顔料分散剤は、顔料及び有機溶剤の種類に応じて選択すればよく、例えば市販の分散剤を使用することができる。
遮光層用組成物に用いられる溶剤としては、通常用いられる有機溶剤を特に制限なく用いることができ、例えば、エステル、エーテル、ケトン、芳香族炭化水素等が挙げられる。
また、溶剤として、米国特許公開2005/282073号明細書の段落0054、0055に記載のSolventと同様に、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PEGMEA)、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル等を用いることができる。
中でも、溶剤としては、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(エチルカルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン等が好適である。
溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、溶剤として、必要に応じて、沸点が180℃〜250℃である有機溶剤(高沸点溶剤)を使用することができる。
第1感光層と遮光層との間には、更に、中間層を有する態様が好ましい。
中間層が第1感光層と遮光層との間に配置されていることにより、塗布後の保存時における、第1感光層中の光重合開始剤の遮光層への移動を抑えることができる。第1感光層から遮光層に光重合開始剤が移動して混合し、遮光層中の光重合開始剤の含有割合が増えると、透明基材の遮光層を有しない側からの光が透明基材を透過して遮光層に入射した際に遮光層での重合反応が進行しやすくなり、またその重合反応は透明基材近傍で進行するため、現像後の遮光層の残渣(現像時の遮光層の除去残り(所謂かぶり)が発生し易くなる。
中間層は、水又は炭素数1〜4の低級アルコールに対して可溶性を有するバインダーポリマーを主成分として含むことが好ましい。このようなバインダーポリマーを含有すると、現像時に除去しやすく、良好なパターンを形成しやすい。
ここで、水としては、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。
また、炭素数1〜4の低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びブタノールが挙げられる。
中間層は、更に、重合性化合物の少なくとも一種を含むことが好ましい。
重合性化合物を含有することは、現像(好ましくは炭酸現像)する際の残渣の抑制の点で好ましい。
重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中間層に含まれる重合性化合物の含有量は、中間層の全固形分量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
中間層は、更に、光重合開始剤の少なくとも一種を含んでもよい。
中間層に用いることができる光重合開始剤としては、例えば、第1感光層又は遮光層に用いることができる光重合開始剤と同様のものを適宜選択して用いることができる。
中間層が光重合開始剤を含有すると、現像後のパターン形状の良化に効果がある。
中間層に含まれる光重合開始剤の含有量は、中間層の全固形分量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
中間層は、界面活性剤の少なくとも一種を含有することができる。
界面活性剤としては、中間層を塗布形成する際の膜性改良の観点から、フッ素含有界面活性剤(例えば、DIC(株)製のメガファック(登録商標)F−784F、F−780F、F−444等)などを挙げることができる。
中間層に含まれる界面活性剤の含有量は、中間層の全固形分量に対して、0.001質量%〜1質量%が好ましく、0.001質量%〜0.5質量%がより好ましく、0.001質量%〜0.1質量%がさらに好ましい。
中間層は、必要に応じて、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。添加剤については、遮光層に添加できる添加剤と同様である。
中間層の形成方法には、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
中間層の形成方法としては、例えば既述の第1感光層の表面に溶剤を含有する中間層用組成物を塗布等の方法で付与し、必要に応じて乾燥させることによって形成する方法が挙げられる。
中間層用組成物は、少なくともバインダーポリマー及び水性溶媒、並びに必要に応じて硬化成分、界面活性剤及び添加剤等の他の成分を混合して調製することができる。中間層用組成物の調製には、第1感光層及び遮光層とは異なる溶剤を用いることが好ましく、水性溶媒が好適に用いられる。水性溶媒としては、水、水と水に可能性の有機溶剤との混合溶媒等が挙げられる。中間層用組成物は、水系組成物であることが好ましい。
本開示の転写フィルムには、仮支持体の上に積層された遮光層の表面に保護フィルムを有することができる。保護フィルムが付設されることで、保管の際の異物等の不純物による汚染及び露出面の損傷から保護することができる。
保護フィルムの例としては、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、シリコン紙、又はポリテトラフルオロエチレンフィルムなどが挙げられる。
また、特開2006−259138号公報の段落0083〜0087及び0093に記載の保護フィルムを適宜使用することができる。
仮支持体は、転写フィルムからの剥離の点で、樹脂製の基材が好ましく、成形後に可撓性を呈する材料を用いた基材がより好ましい。基材としては、フィルム又はシートのいずれでもよい。
また、仮支持体は、透明性を有するものでもよいし、着色(例えば、染料化ケイ素、アルミナゾル、クロム塩、ジルコニウム塩等を含有して着色)されたものでもよい。
本開示の転写フィルムは、仮支持体上に第1感光層と遮光層とを少なくとも有し、第1感光層と遮光層との間に中間層を有してもよい。
転写フィルム10は、図1に示すように、仮支持体19の上に、仮支持体側から順に第1感光層17、中間層15、遮光層13、及び保護フィルム11が積層された積層構造を有している。中間層15が第1感光層17と遮光層13との間に設けられることにより、第1感光層17から遮光層13への光重合開始剤の移動が抑えられる。これにより、積層体を作製して例えば透明基材の両側より光照射された際の遮光層中での重合反応が抑えられ、現像残渣の発生が抑制される。また、保護フィルム11は、後述のように積層体を作製する際に剥離除去される。
なお、転写フィルムは、図1に示す積層構造に限られるものではなく、図2の積層体に示されるように、中間層を有しない積層構造でもよい。
本開示の転写フィルムを用いて透明基材に第1感光層、遮光層等を転写し、パターンを形成する方法については後述する。
保管の際、雰囲気を大気とすることも可能であり、窒素とすることも可能である。
保管温度は、公知の温度とすることができ、例えば、室温(20℃〜25℃)、冷蔵温度(0℃〜5℃)、冷凍温度(−50℃〜−10℃)を挙げることができる。保管温度は、転写フィルムの予期せぬ劣化を防ぐという観点から、冷凍温度又は冷蔵温度が好ましい。具体的には、保管温度は、5℃、−10℃、−20℃、−30℃を挙げることができる。
また、保管期間に特に制限はなく、例えば、転写フィルムを製造後、5℃で20日間保管した後に使用する態様、−20℃で50日間保管した後に使用する態様などを挙げることができる。
本開示の積層体は、透明基材と、透明基材の上に積層された既述の本開示の転写フィルムと、を有し、必要に応じて、更に他の層を有するものでもよい。
透明基材は、透明性を有する基材のことであり、光学的に歪みがなく、透明度が高い材料であることが好ましい。なお、本開示における透明とは、全可視光線の透過率が85%以上であることを意図し、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
中でも、軽量であり、破損しにくい点で、樹脂基材が好ましい。樹脂基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の樹脂からなる透明基材が挙げられる。
透明基材が2層以上の積層構造である場合、屈折率は、透明基材全層での屈折率を意味する。
透明基材の厚みは、透明基材が2層以上の積層構造を有する場合、全層での合計厚みを意味する。
本開示においては、透明基材が、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方を有する基材であることが好ましい。
また、タッチパネル用配線として、例えば、タッチパネルの枠部に配置される引き回し配線(取り出し配線)が挙げられ、金属材料が好適である。引き回し配線の材質としては、銅、モリブデン、アルミニウム又はチタンが好ましく、銅が特に好ましい。
本開示の積層体は、透明基材の一方の側に既述の第1感光層を有し、かつ、透明基材の他方の側(即ち、透明基材の本開示の転写フィルムが積層された側と反対側)に、更に、第2感光層を有することが好ましい。
本開示の積層体が第2感光層を有する場合、透明基材の両方の側にそれぞれレジストパターン(好ましくは、互いにパターンの異なるレジストパターン)を付設することができ、透明基材の両側に精細な配線パターン(好ましくは、互いにパターンの異なる配線パターン)を形成することができる。
この場合、透明基材の一方の側に第1感光層を設け、他方の側に第2感光層が設けられ、同一の光源を用いて同時に光照射することが可能である。第1感光層と第2感光層とは、異なる光源を用いて照射してもよく、照射する光の波長も異なっていてもよい。
第2感光層におけるバインダーポリマー、重合性化合物、光重合開始剤、界面活性剤、溶剤、添加剤等の他の成分の詳細及び好ましい態様については、第1感光層における場合と同様である。
第2感光層は、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含有することが好ましい。
第2感光層の厚みは、製造適性の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。
第2感光層の形成方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
第2感光層は、例えば、透明基材の上に、第2感光層形成用の塗布液(第2感光層用塗布液)を塗布する方法、又は透明基材の上に、既述の本開示の転写フィルムとは異なる転写材料を貼り合わせる方法により形成することができる。
後者では、転写材料として、例えば、仮支持体と仮支持体上に第2感光層用塗布液を塗布し乾燥することで形成された第2感光層とを有する転写フィルムを用いることができ、仮支持体と第2感光層との間に更に他の層(例えば既述の中間層)を有する転写フィルムを用いてもよい。
なお、第2感光層用塗布液を塗布、乾燥する方法は、既述の第1感光層における場合と同様であり、公知の方法を適用することができ、例えば、既述の第1感光層の塗布及び乾燥に用いられる方法と同様の方法が挙げられる。
本開示のパターン形成方法は、透明基材の一方の側に、既述の本開示の転写フィルムを貼り合わせる工程(以下、貼り合わせ工程)と、透明基材の他方の側に、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む第2感光層を形成する工程(以下、第2感光層形成工程)と、透明基材の両方の側に対して、光をそれぞれ異なるパターンにて照射する工程(以下、光照射工程)と、照射が行われた後の透明基材の両方の側を現像処理することで、透明基材の両方の側にそれぞれ異なるパターンを形成する工程(以下、パターン化工程)と、を有している。
また、本開示のパターン形成方法は、必要に応じて、更に、他の工程を有するものであってもよい。
貼り合わせ工程では、透明基材の一方の側に、既述の本開示の転写フィルムを貼り合わせる。
本工程では、本開示の転写フィルムを透明基材の一方の側(例えば、電極等が配置された側)に例えばラミネートする等の方法で貼り合わせることができる。
ラミネートは、真空ラミネーター、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを用いて行うことができる。
ラミネート温度としては、80℃〜150℃が好ましく、90℃〜150℃がより好ましく、100℃〜150℃が特に好ましい。ラミネート温度は、ロールを備えたラミネーターのロールの表面温度(以下、ロール温度)を指す。
ラミネート時の透明基材の温度には、特に制限はない。ラミネート時の透明基材の温度としては、10℃〜150℃が好ましく、20℃〜150℃がより好ましく、30℃〜150℃が更に好ましい。
また、ラミネート時の線圧としては、0.5MPa〜10MPaが好ましく、0.5MPa〜5MPaがより好ましく、0.5MPa〜1MPaが特に好ましい。
また、ラミネート時の搬送速度(ラミネート速度)としては、0.5m/分〜5m/分が好ましく、1.5m/分〜3m/分がより好ましい。
これにより、転写フィルムの遮光層が透明基材と密着され、仮支持体/第1感光層/中間層/遮光層/電極等/透明基材の積層構造を有する積層体が形成される。
この積層構造のうち、電極等は透明基材の一部であり、例えばタッチパネル用基板として用いられる。
その後、必要に応じ、上記積層体から仮支持体を剥離する。
第2感光層形成工程では、透明基材の他方の側、即ち第1感光層及び遮光層を有しない側に、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む第2感光層を形成する。
第2感光層の形成は、既述のように、例えば、透明基材の上に、第2感光層形成用の塗布液(第2感光層用塗布液)を塗布する方法、又は透明基材の上に、既述の本開示の転写フィルムとは異なる転写材料を貼り合わせる方法のいずれの方法により形成してもよい。
転写材料を貼り合わせる方法については、既述の貼り合わせ工程と同様に行うことができる。
光照射工程では、透明基材の両方の側に対して、光をそれぞれ異なるパターンにて照射する。つまり、本工程では、露光部と非露光部とが存在する態様のパターン露光を行う。
本工程において、透明基材に対して第1感光層が配置されている側から照射された光によって、第1感光層のうちパターン露光された露光部が硬化され、最終的に硬化膜となる。また、第2感光層においても、透明基材に対して第2感光層が配置されている側から照射された光によって、第2感光層のうちパターン露光された露光部が硬化され、最終的に硬化膜となる。
一方、第1感光層及び第2感光層のうち、パターン露光における非露光部は硬化せず、次のパターン化工程で、現像液によって除去(溶解)される。非露光部は、現像工程後、硬化膜の開口部を形成し得る。
パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、及び、メタルハライドランプが挙げられる。露光量は、好ましくは5mJ/cm2〜200mJ/cm2であり、より好ましくは10mJ/cm2〜200mJ/cm2である。
また、本工程では、パターン露光後であってパターン化工程前(即ち、現像前)に、第1感光層及び第2感光層に対して熱処理(いわゆるPEB(Post Exposure Bake))を施してもよい。
パターン化工程は、上記の光照射工程で光照射が行われた後の透明基材の両方の側を現像処理することで、透明基材の両方の側にそれぞれ異なるパターンを形成する。
現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は未露光の感光性樹脂層を溶解しうる現像液が好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物(例えば、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなど)を0.05mol/L〜5mol/Lの濃度で含む現像液が好ましい。より具体的には、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。
現像液には、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
シャワー現像による場合は、露光後の第1感光層及び第2感光層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することで、パターン状の硬化物を形成することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は、20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
まず図4(a)に示すように、本開示の転写フィルム41を透明基材21の一方の側に貼り合わせ(貼り合わせ工程)、更に透明基材21の他方の側に、本開示の転写フィルム41とは異なる他の転写フィルム43を貼り合わせ(第2感光層形成工程)、例えば図3に示す積層構造を有する積層体を準備する。
そして、図4(b)のように、透明基材21からみて、積層体の転写フィルム41を有する側に第1のフォトマスク31を配置し、積層体の転写フィルム43を有する側に第1のフォトマスク31とはパターンが異なる第2のフォトマスク33を配置し、それぞれのフォトマスクを介して積層体の両側から光照射する(光照射工程)。このとき、第1感光層17と第2感光層27とにはそれぞれ異なるパターン露光が行われる。
続いて、第1のフォトマスク31及び第2のフォトマスク33を取り外し、更に積層体の両側に配置されている仮支持体19、19aをそれぞれ剥離する。その後、積層体の両側に露出した第1感光層17及び第2感光層27に対して現像処理を施す(パターン化工程)。これにより、第1感光層17のうち、第1のフォトマスク31によってパターン露光されなかった領域は、現像除去される。また、遮光層19のうち、上記パターン露光されなかった領域の下に位置する領域も除去される。これにより、図4(c)に示すように、パターン露光された第1感光層17a及びその下層である遮光層13aによってパターンが形成される。また同様に、第2感光層27のうち、第2のフォトマスク33によってパターン露光されなかった部分は、現像除去される。これにより、パターン露光された第2感光層27aによってパターンが形成される。
このようにして、積層体の両側に光照射することにより、一方の側に照射された光が他方の側に侵入して他方の側の感光層へ与える影響が効果的に抑えられているので、透明基材の両側に互いにパターン形状の異なるパターンを、それぞれ精細に形成することができる。
また、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<転写フィルムAの作製>
仮支持体(ルミラー(登録商標)16QS62(厚み16μm)、東レ株式会社;ポリエチレンテレフタレートフィルム)上に、下記組成の第1感光層形成用組成物B−1をスリット状ノズルを用いて塗布し、100℃の熱風で2分間乾燥させて、乾燥厚み6μmの第1感光層を形成した。
なお、表1中、「重合体」は本開示におけるバインダーポリマーのことであり、「ラジカル重合性化合物」は本開示における重合性化合物のことである。
次に、仮支持体(ルミラー(登録商標)16QS62(厚み16μm)、東レ株式会社)上に、上記と同じ第1感光層形成用組成物B−1をスリット状ノズルを用いて塗布し、100℃の熱風で2分間乾燥させて、乾燥厚み6μmの第2感光層を形成した。形成された第2感光層の上に、更に、保護フィルム(トレファン(登録商標)12KW37(厚み12μm)、東レ株式会社)を貼り合わせ、仮支持体/第2感光層/保護フィルムの積層構造を有する転写フィルムBを作製した。
−積層体の作製−
まず初めに、以下のようにして積層体を作製した。
上記のようにして作製した転写フィルムA(=仮支持体/第1感光層/中間層/遮光層/保護フィルム;本開示の転写フィルム)を、5cm×5cm四方のサイズに裁断してフィルム片とし、フィルム片の保護フィルムを剥がした。そして、保護フィルムの剥離により露出した遮光層の表面がシクロオレフィン樹脂フィルム基材(厚み:50μm;以下、「COP基板」ともいう。)と接するように、フィルム片を上記COP基板の一方の面に重ね、以下の条件でラミネートした(貼り合わせ工程)。
<ラミネート条件>
・ロール温度:110℃
・線圧:0.6MPa
・線速度(ラミネート速度):2.0m/分
以上のようにして、仮支持体/第1感光層/中間層/遮光層/COP基板/第2感光層/仮支持体の積層構造を有する積層体を作製した。
次に、作製した積層体に対して、積層体の仮支持体を剥離しない状態のまま、互いに異なるパターンを有するマスクパターンを介して、超高圧水銀灯により積層体の両方の側からそれぞれ露光量120mJ/cm2にて光照射した(光照射工程)。光照射後、1時間放置した。その後、積層体の両方の側に設けられている仮支持体をそれぞれ剥離し、COP基材の両方の側に現像処理を施した(パターン化工程)。
このようにして、COP基材の一方の側にある第1感光層、中間層及び遮光層と、他方の側にある第2感光層と、を現像し、COP基材の両側に互いに異なるパターンをそれぞれ形成した。
なお、現像は、現像液として、温度29℃、pH11.2の0.7質量%炭酸カリウム水溶液を用い、45秒間のシャワー現像により行った。
次に、現像前後における積層体に対し、以下の評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表3に示す。
透明基材から積層体の積層方向を見た場合に、積層体の、第1感光層側から光照射されなかった未照射領域(1000μm×1000μm四方)について、第1感光層側から光学顕微鏡にて倍率5倍で観察し、顕微鏡写真から残渣の面積を求め、第1感光層及び遮光層の透明基材上における残渣(かぶり)の面積率を算出した。そして、算出値をもとに以下の評価基準にしたがって評価した。
残渣が認められる場合、第2感光層側からの照射光によって第1感光層又は遮光層が硬化したこと(即ち、露光かぶりが生じたこと)を示す。
ここで、第1感光層の残渣は、遮光層の表面に残存する第1感光層の残渣を確認し、観察領域である未照射領域中に占める面積率を求めた。遮光層の遮光効果が低い場合、第1感光層は第2感光層側からの照射光により感光し、残渣が生じやすくなる。
また、遮光層の残渣は、透明基材の表面に残存する遮光層の残渣を確認し、観察領域である未照射領域中に占める面積率を求めた。遮光層の遮光効果が確保されても、遮光層自体が感光性を有する場合、遮光層自体が感光し、残渣が生じやすくなる。
<評価基準>
A:残渣が認められない。
B:残渣を確認でき、残渣の面積率が未照射領域の面積に対して5%以下である。
C:残渣を確認でき、残渣の面積率が未照射領域の面積に対して5%超10%以下である。
D:残渣を確認でき、残渣の面積率が未照射領域の面積に対して10%超30%以下である。
E:残渣を確認でき、残渣の面積率が未照射領域の面積に対して30%を超えている。
仮支持体(ルミラー16QS62;厚み16μm)上に遮光層形成用組成物A−1をスリット状ノズルを用いて塗布し、温度100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させて厚み3μmの遮光層を形成した後、遮光層の上に更に保護フィルム(トレファン12KW37)を貼り合わせ、仮支持体/遮光層/保護フィルムの積層構造の転写フィルムを作製した。
この転写フィルムを5cm×5cm使用のサイズにカットして測定用フィルム片とし、測定用フィルム片から保護フィルムを剥がした。そして、保護フィルムの剥離により露出した遮光層の表面がガラス基材と接すように、測定用フィルム片をガラスに重ね、上記と同様の条件でガラス基材(Eagle XG(厚み0.7mm)、コーニング社製)にラミネートして、仮支持体/遮光層/ガラス基材の積層構造を有する積層体を得た。
この積層体の遮光層の光学濃度を、透過濃度計(BMT−1、サカタインクスエンジニアリング社製)を用いて測定した。
更に、積層体の作製に使用した仮支持体及びガラス基材の光学濃度を上記と同様の方法で測定した。
そして、積層体の光学濃度から仮支持体及びガラス基材の光学濃度を減算し、遮光層の光学濃度とした。測定結果を下記表3に示す。
実施例1において、遮光層形成用組成物A−1を、表3に示す遮光層形成用組成物A−2〜A−4又はAA−1に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、転写フィルムを作製し、同様の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表3に示す。
これに対し、光学濃度が低い遮光層を付設した比較例1では、遮光効果が足りず、透明基材の両側にそれぞれ光照射を行った場合に一方の側の照射光が他方の側へ透過してしまい、一方の側が他方の側の照射光の影響を受ける結果を招き、透明基材の両側において残渣が著しく発生した。
実施例1において、中間層形成用組成物C−1を、表4に示す中間層形成用組成物C〜2又はC〜3に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、転写フィルムを作製し、同様の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は、下記表5に示す。
Claims (14)
- 仮支持体と、
バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む第1感光層と、
少なくともバインダーポリマーを含み、かつ、光学濃度が0.5以上である遮光層と、
をこの順に有する転写フィルム。 - 前記遮光層が、更に、紫外線吸収材料を含む請求項1に記載の転写フィルム。
- 前記紫外線吸収材料が、カーボンブラックを含む請求項2に記載の転写フィルム。
- 前記遮光層が、更に、重合性化合物を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転写フィルム。
- 光重合開始剤の含有量が、前記遮光層の全固形分量に対して、1質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写フィルム。
- 前記第1感光層と前記遮光層との間に、中間層を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の転写フィルム。
- 前記中間層が、水又は炭素数1〜4の低級アルコールに対して可溶性を有するバインダーポリマーを含む請求項6に記載の転写フィルム。
- 前記中間層が、更に、重合性化合物及び光重合開始剤を含む請求項6又は請求項7に記載の転写フィルム。
- 透明基材と、
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の転写フィルムと、
を有する積層体。 - 前記透明基材の、前記転写フィルムが積層された側と反対側に、第2感光層を有する請求項9に記載の積層体。
- 前記第2感光層が、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含有する請求項10に記載の積層体。
- 透明基材の一方の側に、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の転写フィルムを貼り合わせる工程と、
前記透明基材の他方の側に、バインダーポリマー、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む第2感光層を形成する工程と、
前記透明基材の両方の側に対して、光をそれぞれ異なるパターンにて照射する工程と、
前記照射が行われた後の前記透明基材の両方の側を現像処理することで、前記透明基材の両方の側にそれぞれ異なるパターンを形成する工程と、
を有するパターン形成方法。 - 前記透明基材は、両方の面に金属電極及び金属配線の少なくとも一方を有する請求項12に記載のパターン形成方法。
- タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方の形成に用いられる請求項12又は請求項13に記載のパターン形成方法。
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