JP2022051261A - 積層体の製造方法、反射防止部材、ledディスプレイのフロント部材、転写フィルム - Google Patents

積層体の製造方法、反射防止部材、ledディスプレイのフロント部材、転写フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】表面反射率が低く、かつ、明度が低い積層体の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、反射防止部材、LEDディスプレイのフロント部材、及び、転写フィルムを提供する。【解決手段】着色層、及び、厚さが5.0μm以上である感光性層を備える積層体を準備する積層体準備工程と、マスクを用いて上記感光性層に光を照射する露光工程と、上記感光性層を現像する現像工程と、を有し、上記マスクが、ピッチが12.0μm以下である周期構造を形成するように配置された開口部を含む周期パターン10を有する、積層体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体の製造方法、反射防止部材、LEDディスプレイのフロント部材、及び、転写フィルムに関する。
LEDディスプレイにあっては、画像表示部の表面反射率を低減させることが、コントラストの向上、画像表示品質の向上といった観点から極めて重要である。
例えば、LEDディスプレイの光の反射を防止する反射防止部材としては、黒色の反射防止部材が知られている。
従来の黒色パターン付き基板の形成方法としては、特許文献1に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、光重合性化合物と、特定のアシルオキシムエステル系の光重合開始剤と、着色剤と、を含有する感光性組成物を用いて、液晶ディスプレイを構成するブラックマトリックスパターンを形成する方法が記載されている。
特開2007-072035号公報
本発明者は、特許文献1に具体的に開示されている部材の反射特性について検討したところ、正規反射率及び拡散反射率を含む表面反射率、並びに、明度について更なる改善の余地があることを知見した。
本発明の課題は、表面反射率が低く、かつ、明度が低い積層体の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、反射防止部材、LEDディスプレイのフロント部材、及び、転写フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕
着色層、及び、厚さが5.0μm以上である感光性層を備える積層体を準備する積層体準備工程と、マスクを用いて上記感光性層に光を照射する露光工程と、上記感光性層を現像する現像工程と、を有し、上記マスクが、ピッチが12.0μm以下である周期構造を形成するように配置された開口部を含む周期パターンを有する、積層体の製造方法。
〔2〕
上記露光工程において照射する光の照射量が、後述する測定方法で得られる露光量Aに対して10.0倍以下である、〔1〕に記載の積層体の製造方法。
〔3〕
上記マスクが、上記周期パターンの開口部よりも面積が広い開口部を少なくとも1つ有する第2のマスクパターンを更に有し、上記現像工程により、上記周期パターンに対応するパターン構造A1、及び、上記第2のマスクパターンに対応するパターン構造A2が、上記感光性層に形成される、〔1〕又は〔2〕に記載の積層体の製造方法。
〔4〕
上記現像工程により、上記パターン構造A2の少なくとも一部において上記感光性層が貫通する、〔3〕に記載の積層体の製造方法。
〔5〕
上記現像工程により、上記第2のマスクパターンに対応するパターン構造B2が、上記着色層に形成される、〔4〕に記載の積層体の製造方法。
〔6〕
上記現像工程により、上記パターン構造B2の少なくとも一部において上記着色層が貫通する、〔5〕に記載の積層体の製造方法。
〔7〕
上記ピッチが、0.10~12.0μmである、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔8〕
上記露光工程において、上記マスクと上記感光性層との距離が200μm以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔9〕
上記露光工程において、365nmの波長を含む光を照射する、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔10〕
上記感光性層の波長550nmにおける光学濃度が0.5以下であり、上記感光性層の厚さが5.0~30.0μmである、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔11〕
上記感光性層がポジ型感光性層である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔12〕
上記感光性層が、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体、及び、光酸発生剤を含有する、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔13〕
上記着色層の400~700nmの波長領域における光学濃度が1.0~6.0であり、上記着色層の厚さが2.0~100μmである、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔14〕
上記着色層が、アルカリ可溶性層、又は、ポジ型感光性層である、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔15〕
上記着色層が、カーボンブラック及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1つを含む、〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔16〕
上記積層体が、反射防止部材である、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔17〕
上記積層体が、LEDディスプレイのフロント部材である、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の積層体の製造方法。
〔18〕
〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の製造方法で製造された積層体を有する、反射防止部材。
〔19〕
〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の製造方法で製造された積層体を有する、LEDディスプレイのフロント部材。
〔20〕
仮支持体、厚さが5.0μm以上である感光性層、及び、着色層をこの順に備える、転写フィルム。
〔21〕
上記感光性層の波長550nmにおける光学濃度が0.5以下であり、上記感光性層の厚さが5.0~30.0μmである、〔20〕に記載の転写フィルム。
〔22〕
上記着色層の400~700nmの波長領域における光学濃度が1.0~6.0であり、上記着色層の厚さが2.0~100μmである、〔20〕又は〔21〕に記載の転写フィルム。
本発明によれば、表面反射率が低く、かつ、明度が低い積層体の製造方法を提供できる。また、本発明によれば、反射防止部材、LEDディスプレイのフロント部材、及び、転写フィルムを提供できる。
露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の一例を示す概略図である。 露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の他の例を示す概略図である。 露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の他の例を示す概略図である。 露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の他の例を示す概略図である。 露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の他の例を示す概略図である。 露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の他の例を示す概略図である。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念である。
本明細書において、樹脂中の構成単位の割合は、特に断りが無い限り、モル割合を表す。
本明細書において、分子量分布がある場合の分子量は、特に断りが無い限り、重量平均分子量(Mw)を表す。
また、本明細書における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、カラムとしてTSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、及び、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)、並びに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により示差屈折計で検出した値を、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程のみを含むものではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、その工程は本用語に含まれる。
[積層体の製造方法]
本発明に係る積層体の製造方法(以下、「本製造方法」ともいう。)は、着色層、及び、厚さが5.0μm以上である感光性層を備える積層体を準備する積層体準備工程と、後述する特定の周期パターンを備えるマスクを用いて感光性層を露光する露光工程と、感光性層を現像する現像工程と、を有する。
以下、本製造方法が有する各工程について、詳細に説明する。
なお、本明細書において、積層体準備工程により作製され、露光工程が施される前の積層体を「未露光積層体」とも記載し、露光工程及び現像工程を含む本製造方法により製造された積層体を「製造後の積層体」とも記載する。
〔積層体準備工程〕
本製造方法は、着色層及び感光性層を備える積層体(未露光積層体)を準備する積層体準備工程を有する。
積層体準備工程としては、特に制限されず、例えば、仮支持体及び感光性層を少なくとも有する転写フィルムを使用する方法が挙げられる。
より具体的には、仮支持体及び感光性層を有する転写フィルムと、着色層を有する支持体とを、感光性層及び着色層が互いに接するように貼り合わせる工程、並びに、仮支持体、感光性層及び着色層をこの順番に有する転写フィルムと、支持体とを、支持体及び着色層が互いに接するように貼り合わせる工程が挙げられる。これらの工程により、仮支持体/感光性層/着色層/支持体からなる層構成を有する積層体が得られる。
<転写フィルム>
積層体準備工程に使用される転写フィルムは、仮支持体と、仮支持体上に配置された感光性層とを少なくとも有する。転写フィルムは、仮支持体と、仮支持体上に配置された感光性層と、感光性層上に配置された着色層と、を有していてもよい。
以下、転写フィルムを構成する各部材について説明する。
(仮支持体)
転写フィルムは、仮支持体を有する。仮支持体は、転写フィルムにおいて感光性層を支持する部材であり、未露光積層体を作製した後、少なくとも現像工程より前までに剥離処理により除去される。
仮支持体は、フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。
仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮又は伸びを生じないフィルムを用いることが好ましい。
上記フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(例えば、2軸延伸PETフィルム)、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
なかでも、仮支持体としては、PETフィルムが好ましい。
また、仮支持体として使用するフィルムは、シワ等の変形、及び、傷が無いことが好ましい。
仮支持体は、仮支持体を介してパターン露光できるという点から、透明性が高いことが好ましく、365nmの透過率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体のヘイズは小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のヘイズ値が、2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物、及び、欠陥の数は少ない方が好ましい。仮支持体中における直径1μm以上の微粒子、異物、及び、欠陥の数は、50個/10mm以下が好ましく、10個/10mm以下がより好ましく、3個/10mm以下が更に好ましく、0個/10mmが特に好ましい。
仮支持体の厚さは、特に制限されないが、5~200μmが好ましく、取扱い易さ及び汎用性の観点から、10~150μmがより好ましく、10~50μmが更に好ましい。
仮支持体の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
仮支持体としては、例えば、膜厚16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、膜厚12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び、膜厚9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
仮支持体の好ましい形態としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0017]~[0018]、特開2016-027363号公報の段落[0019]~[0026]、国際公開第2012/081680号の段落[0041]~[0057]、及び、国際公開第2018/179370号の段落[0029]~[0040]に記載された仮支持体が挙げられ、これらの公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
ハンドリング性を付与する点で、仮支持体の表面に、微小な粒子を含む層(滑剤層)を設けてもよい。滑剤層は仮支持体の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。滑剤層に含まれる粒子の直径は、0.05~0.8μmが好ましい。
また、滑剤層の膜厚は、0.05~1.0μmが好ましい。
(感光性層)
転写フィルムは、仮支持体上に配置された感光性層を有する。
転写フィルムが有する感光性層は、感光性の樹脂を含有し、未露光積層体が備える感光性層の厚さが5.0μm以上になる層であれば、特に制限されない。
感光性層は、ポジ型の感光性樹脂を含有するポジ型の感光性層であってもよく、ネガ型の感光性樹脂を含有するネガ型の感光性層であってもよい。感光性層としては、現像液を用いる除去処理がより容易である点で、ポジ型の感光性層が好ましい。
転写フィルムが有する感光性層の厚さは、5.0~100μmが好ましく、5.0~30.0μmがより好ましい。感光性層の厚さの測定方法については、後述する。
感光性層の形成方法としては、特に制限されないが、例えば、感光性樹脂組成物を仮支持体上に塗布及び乾燥し、感光性層を形成する方法が挙げられる。これにより、仮支持体と、仮支持体上に形成された感光性層とを有する転写フィルムが製造できる。
感光性樹脂組成物を仮支持体に塗布する方法としては、例えば、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、スリットアンドスピン、及び、インクジェット法等の公知の方法が挙げられる。更に、特開2009-145395号公報に記載されているような、いわゆるプリウェット法を適用してもよい。
感光性樹脂組成物の塗布膜を乾燥する方法としては、例えば、加熱及び/又は減圧により、塗布膜から溶剤を除去して仮支持体上に感光性層を形成する方法が挙げられる。加熱条件は、感光性樹脂組成物の組成及び感光性層の厚さに応じて適宜変更されるが、例えば、70~130℃で30~300秒間程度である。
感光性層に含まれる各成分としては、好ましい態様も含めて、後述する感光性樹脂組成物に含まれる溶剤以外の各成分として記載する化合物が挙げられる。また、感光性層の組成(各成分の含有量)についても同様であり、感光性樹脂組成物の全固形分に対する各成分の含有量が参照できる。
(着色層)
転写フィルムは、感光性層上に配置された着色層を有していてもよい。
転写フィルムが着色層を有する場合、着色層は、着色剤を含有する層であれば特に制限されない。
着色層は、着色剤に加えて、感光性樹脂を含有することが好ましい。
着色層は、ポジ型の感光性樹脂を含むポジ型感光性層であってもよく、ネガ型の感光性樹脂を含むネガ型感光性層であってもよい。また、着色層は、アルカリ可溶性樹脂を含むアルカリ可溶性層であってもよい。
着色層は、ポジ型感光性層又はアルカリ可溶性層であることが好ましく、ポジ型感光性層であることがより好ましい。
着色層の形成方法としては、特に制限されず、例えば、着色剤及び感光性樹脂を含有する着色層形成用樹脂組成物を、仮支持体上に形成された感光性層の表面に塗布及び乾燥し、着色層を形成する方法が挙げられる。これにより、仮支持体と、仮支持体上に形成された感光性層と、感光性層上に形成された着色層と、を有する転写フィルムが製造できる。
感光性層上に着色層形成用樹脂組成物を塗布する方法、及び、得られた塗布膜を乾燥する方法は、特に制限されず、上記の仮支持体上に感光性層を形成する方法に従って行うことができる。
着色層に含まれる成分としては、好ましい態様も含めて、後述する着色層形成用樹脂組成物に含まれる溶剤以外の各成分として記載する化合物が挙げられる。また、着色層に含まれる各成分の含有量についても同様であり、着色層形成用樹脂組成物の全固形分に対する各成分の含有量が参照できる。
(保護層)
転写フィルムは、感光性層、又は、着色層を有する場合は着色層を保護するための保護層を有していてもよい。
転写フィルムが保護層を有する場合、保護層は、下記のラミネート処理を行う前に、転写フィルムから剥離される。
保護層は樹脂フィルムであることが好ましく、耐熱性及び耐溶剤性を有する樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム及びポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、並びに、ポリスチレンフィルムが挙げられる。また、保護層として上述の仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。
中でも、保護層としては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムがより好ましく、ポリエチレンフィルムが更に好ましい。
保護層の厚さは、特に制限されないが、機械的強度に優れる点で、1μm以上が好ましく、比較的安価となる点で、100μm以下が好ましい。保護層の厚さは、5~50μmがより好ましく、5~40μmが更に好ましく、15~30μmが特に好ましい。
また、保護層においては、保護層中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が、5個/m以下であることが好ましい。
なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸及びキャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、及び、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
保護層に含まれる直径3μm以上の粒子の数は、30個/mm以下が好ましく、10個/mm以下がより好ましく、5個/mm以下が更に好ましい。
これにより、保護層に含まれる粒子に起因する凹凸が感光性層又は着色層に転写されることにより生じる欠陥を抑制することができる。
巻き取り性を付与する点から、保護層の感光性層又は着色層と接する面とは反対側の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
保護層は、転写時の欠陥抑制の点から、感光性層又は着色層と接する面の表面粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
<ラミネート処理>
積層体準備工程としては、上記の転写フィルムを用いてラミネート処理することにより、未露光積層体を作製することが好ましい。
中でも、仮支持体及び感光性層を有する転写フィルムと、着色層を有する支持体とを、感光性層及び着色層が互いに接するようにラミネート処理すること、又は、仮支持体、感光性層及び着色層をこの順番で有する転写フィルムと、支持体とを、支持体及び着色層が互いに接するようにラミネートすることにより、未露光積層体を作製することがより好ましい。
転写フィルムと支持体又は着色層付き支持体とを貼り合わせるラミネート処理は、真空ラミネーター、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを用いて行うことができる。
ラミネート条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
ラミネート温度としては、特に制限されないが、80~150℃が好ましく、90~150℃がより好ましく、100~150℃が特に好ましい。ゴムローラーを備えたラミネーターを用いる場合、ラミネート温度は、ゴムローラー温度を指す。
ラミネート時の基板温度には特に制限されない。ラミネート時の基板温度としては、10~150℃が挙げられ、20~150℃が好ましく、30~150℃がより好ましい。基板として樹脂基板を用いる場合には、ラミネート時の基板温度としては、10~80℃が好ましく、20~60℃がより好ましく、30~50℃が特に好ましい。
また、ラミネート時の線圧としては、特に制限されないが、0.5~20N/cmが好ましく、1~10N/cmがより好ましく、1~5N/cmが特に好ましい。
また、ラミネート時の搬送速度(ラミネート速度)としては、0.5~5m/分が好ましく、1.5~3m/分がより好ましい。
(支持体)
積層体準備工程により作製される未露光積層体は、支持体を備えることが好ましい。上記ラミネート処理により、転写フィルムを支持体を含む対象物に貼り合わせることによって、支持体を備える未露光積層体が作製される。
支持体としては、特に制限されず、公知の基材を用いることができ、例えば、上記仮支持体として記載したフィルム(より好ましくは樹脂フィルム)、ガラス基板、セラミックス基板、金属基板、半導体基板、及び、LED素子を備えた基板が挙げられる。
また、支持体には、必要に応じて、配線、絶縁層、光透過抑制層、光不透過層、及び、保護層等、LEDディスプレイ等の表示装置において公知の構造を有していてもよい。また、支持体の厚さは特に制限されず、所望に応じて適宜設定できる。
-着色層付き支持体-
ラミネート処理において、仮支持体及び感光性層を有し、着色層を有さない転写フィルムを用いる場合、上記の支持体と、支持体上に配置された着色層とを有する着色層付き支持体を用いて、仮支持体、感光性層、着色層及び支持体をこの順に備える未露光積層体を作製できる。
着色層付き支持体を作製する方法は、特に制限されず、例えば、上記の着色剤及び感光性樹脂を含有する着色層形成用樹脂組成物を、支持体上に塗布及び乾燥し、着色層を形成する方法が挙げられる。
支持体上に着色層形成用樹脂組成物を塗布及び乾燥して着色層を形成する方法は、特に制限されず、上記の仮支持体上に感光性層を形成する方法に従って行うことができる。
着色層付き支持体を構成する着色層の含有成分及び組成については、その好適な態様も含めて、上記の転写フィルムが有してもよい着色層として既に説明した通りである。
積層体準備工程は、上記の転写フィルムを用いる方法以外の方法であってもよい。
そのような方法としては、例えば、支持体上に着色層形成用樹脂組成物を塗布及び乾燥して着色層を形成した後、形成された着色層上に感光性樹脂組成物を塗布及び乾燥して感光性層を形成する方法が挙げられる。
<未露光積層体>
積層体準備工程により作製された、露光工程に供する未露光積層体は、着色層及び感光性層を有する積層体であれば特に制限されないが、上記の転写フィルムを用いたラミネート処理により作製された、仮支持体/感光性層/着色層/支持体からなる層構成を有する積層体が好ましい。
未露光積層体は、厚さが5.0μm以上である感光性層を備える。未露光積層体が備える感光性層の厚さは、5.0~100μmが好ましく、5.0~30.0μmがより好ましい。
感光性層の厚さは、以下の方法で測定される。
まず、未露光積層体の感光性層側の表面に、スパッタリング法を30秒間行うことによりプラチナコーティング層を形成する。次いで、プラチナコーティング層を有する積層体を厚さ方向に沿って切断して得られる断面を、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)(例えば日本電子株式会社製JSM-7200型FE-SEM)を用いて観察する。観察画像において感光性層の厚さを10箇所以上測定し、得られる測定値の平均値を算出することにより、感光性層の厚さが求められる。なお、積層体(未露光積層体及び製造後の積層体)が備える各層の厚さも、上記の方法で測定できる。
未露光積層体が備える感光性層の波長550nmにおける光学濃度は、0.5以下が好ましく、0.1以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0.001以上である場合が多い。
感光性層の光学濃度は、UVスペクトロフォトメーター(例えば、株式会社島津製作所製、型番「UV-1800」)を使用して感光性層の波長550nmにおける透過率を測定し、光学濃度に換算することにより、求められる。
未露光積層体が備える感光性層の厚さ及び光学濃度以外の特徴については、その好ましい態様も含めて、上記転写フィルムが有する感光性層について既に説明した通りである。
未露光積層体は、着色層を備える。
着色層の厚さは、特に制限されないが、2.0~100μmが好ましく、5.0~30.0μmがより好ましい。
また、未露光積層体が備える着色層の400~700nmの波長領域における光学濃度は、1.0~6.0が好ましく、1.8~3.0がより好ましい。着色層の光学濃度は、上記感光性層の光学濃度を求める方法として記載された方法に従って、求められる。
上記の着色層の光学濃度は、ISO Visual(視感)基準に基づいて400~700nmの波長領域で測定される透過光学濃度である。着色層の光学濃度の測定装置としては、例えば、X-Rite 361T(V)(サカタインクスエンジニアリング株式会社製)が挙げられる。
未露光積層体が備える着色層の厚さ及び光学濃度以外の特徴については、その好ましい態様も含めて、上記転写フィルムが有してもよい着色層と同じであってよい。
未露光積層体は、感光性層を保護する保護膜を備えることが好ましく、保護膜として仮支持体を備えることがより好ましい。未露光積層体が仮支持体を備える場合の仮支持体は、その好ましい態様も含めて、上記転写フィルムが有する仮支持体と同じであってよい。
また、未露光積層体は、着色層側の表面に支持体を備えることが好ましい。未露光積層体が支持体を備える場合の支持体は、その好ましい態様も含めて、上記ラミネート処理において転写フィルムを貼り合わせる対象物として説明した支持体と同じであってよい。
〔露光工程〕
露光工程は、マスクを用いて未露光積層体が有する感光性層に光を照射して、露光する工程である。露光工程により、感光性層は、パターン状、すなわち、露光部と非露光部とが存在するように露光される(以下、本明細書において「パターン露光」ともいう。)。
感光性層がポジ型感光性樹脂を含むポジ型感光性層である場合、感光性層をパターン露光することにより、露光部において光酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸の作用により、露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が高まる。これにより、後の現像工程において露光部が除去(溶解)され、現像工程後、露光部に対応する位置に開口部が形成される。
特にポジ型の感光性樹脂組成物が化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物である場合は、感光性層の露光部に含まれる酸分解性基が加水分解されて、カルボキシル基及びフェノール性水酸基等の酸基が生成する。これにより、後の現像工程における露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性がより一層高まる。
露光工程において照射する露光光の波長は特に制限されず、例えば、g線(436nm)、i線(365nm)、及び、h線(405nm)等の300~450nmの波長を有する光が挙げられる。なかでも、365nmの波長を有する光を照射することが好ましい。
露光工程において使用する光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、及び、メタルハライドランプが挙げられる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター及びバンドパスフィルター等の分光フィルターを通して照射光の波長を調整してもよい。
露光方式には、マスクと露光対象物を接触させて露光するコンタクト露光方式、並びに、マスクと露光対象物を接触させずに露光する非接触露光方式であるプロキシミティ露光及びプロジェクション露光が挙げられる。上記の露光方式のうち、プロキシミティ露光方式は、マスクと露光対象物(未露光積層体)の間に隙間を設けて露光する非接触の露光方式である。
露光方式としては、マスク及び未露光積層体の損傷及び汚染、並びに、マスクに付着した異物による露光への影響を低く抑制できる点で、マスクと未露光積層体が接触しない非接触の露光方式が好ましい。また、露光面積が広く、生産効率が高い点で、コンタクト露光方式、又は、プロキシミティ露光方式が好ましい。
露光工程において、マスクと感光性層のマスク側の表面とマスクとの距離は、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。下限値は特に制限されず、マスクと感光性層とが接触していてもよいが、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。
露光工程において、上記のギャップが形成される場合としては、プロキシミティ露光方式で露光する場合、及び、コンタクト露光方式であって、未露光積層体が感光性層の着色層側の面とは反対側の表面に支持体を有する場合が挙げられる。
また、露光工程において、プロキシミティ露光方式で露光する場合、マスクと未露光積層体の表面との距離(以下、単に「ギャップ」ともいう。)は、10~200μmが好ましく、20~50μmがより好ましい。
未露光積層体が、上記の転写フィルムを用いたラミネート処理により得られた、仮支持体/感光性層/着色層/支持体からなる層構成を有する場合、この未露光積層体から仮支持体を剥離した後、露光工程を行ってもよいし、感光性層を保護する目的で仮支持体を介して感光性層を露光した後、積層体から仮支持体を剥離してもよい。
感光性層とマスクとの接触による汚染の防止、及び、マスクに付着した異物による露光への影響を避けるため、露光工程においてコンタクト方式で露光する場合、保護膜を介して感光性層を露光することが好ましい。保護膜が仮支持体である場合、コンタクト方式での露光工程の後、現像工程よりも前に、感光性層の着色層側の面とは反対側の表面に設けた仮支持体を感光性層から剥離する工程を行うことが好ましい。
<周期パターン>
露光工程において使用するマスクは、ピッチが12.0μm以下である周期構造を形成するように配置された開口部を含む周期パターンを有する。
本発明者は、鋭意検討した結果、着色層及び感光性層を備える積層体に対して、マスクを用いて露光する露光工程及び現像工程を有する積層体の製造方法において、感光性層の厚さを5.0μm以上とし、なお且つ、ピッチが12.0μm以下である周期パターンを有するマスクを使用することにより、表面反射率が低く、かつ、明度が低い積層体が得られることを知見している。
本発明の製造方法により、上記の効果が得られる詳細なメカニズム等は明らかではないが、本発明の製造方法では、5.0μm以上の厚さを有する感光性層を、ピッチが12.0μm以下と狭い周期パターンを通して露光することにより、感光性層の内部において、回折格子を通過した複数の1次回折光が干渉して周期的な光強度分布が生じるタルボット(Talbot)効果に類似した現象が生じた結果、現像後の感光性層に微細なパターン構造が形成され、積層体の表面反射率及び明度の両者が低く抑制されたものと、本発明者は推測している。
以下、図面を参照しながら、本製造方法で使用されるマスクが有する周期パターンについて詳細に説明する。
図1は、本製造方法の露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の一例を示す概略図である。
図1に示す周期パターン10では、複数の開口部12が所定の間隔をおいて周期的に配列することにより、ピッチpの周期構造が形成されている。周期パターン10は、正方形の開口部12が互い違いに配置されたいわゆるチェックパターンであり、開口部12が面内の直交する2つの方向に沿って周期的に配列された2次元の周期構造を有する。
本明細書において「周期構造」とは、面内の少なくとも1つの方向に沿って形成された、凹凸形状からなる繰返し構造を意味する。また、本明細書において「ピッチ」とは、周期パターンが有する周期構造の周期を意味する。
図1に示す周期パターン10が有する周期構造のピッチpは、12.0μm以下である。
例えば、図1に示すように、複数の開口部が面内の異なる2方向に沿って周期的に配列されてなる2次元の周期構造の場合、周期パターンのピッチは、開口部が周期的に配列している方向(以下、「配列方向」ともいう)に沿った直線上の、開口部の大きさと開口部間(遮光部)の距離との合計を意味する。例えば、開口部が円形である場合、ピッチは、開口部の直径と隣接する開口部間の間隔との和である。なお、配列方向によってピッチが異なる場合、マスクは、少なくとも1つの配列方向において周期構造のピッチが12.0μm以下であるとの条件を満たす。
また、周期パターンが、細い帯状の開口部が面内の1方向に沿って配列されてなるラインアンドスペースパターンである場合、周期パターンのピッチは、開口部の幅と隣接する開口部間の間隔との和である。
周期パターンのピッチは、出来上がりの感光性層が反射率の低い形状(表面平坦部が少ない形状)となる点で、0.10~12.0μmが好ましく、0.8~10.0μmがより好ましく、0.8~5.0μmが更に好ましく、0.8~2.4μmが特に好ましい。
マスクが有する周期パターンの構造は、開口部と開口部以外の領域(遮光部)からなる凹凸形状が、12μm以下のピッチで周期的に配列されてなる構造であれば特に制限されず、開口部の形状及び配置等の構成は、任意に選択できる。周期パターンが有する開口部は、すべて同一の形状を有してもよく、形状が異なる2種以上の開口部であってもよい。
図2~図6に、本製造方法の露光工程において使用されるマスクが有する周期パターンの構成の他の例を示す。なお、これらの周期パターンの詳細な構造については、後述する実施例において説明する。
周期パターンは、上記の通り、マスクの面内に異なる2つの配列方向が存在する2次元の周期構造であってもよく、マスクの面内に1つの配列方向のみが存在する1次元の周期構造(ラインアンドスペースパターン)であってもよいが、反射率が低い点で、2次元の周期構造を有することが好ましい。
周期パターンが2次元の周期構造を有する場合の開口部の形状は、特に制限されず、例えば、多角形、円形、楕円形、十字状、帯状及びそれらの組合せが挙げられ、多角形又は円形が好ましい。
開口部のサイズは特に制限されないが、6.0μm以下が好ましく、2.4μm以下がより好ましい。下限値は特に制限されないが、製造適性の観点から、0.4μm以上が好ましい。また、開口部のサイズとピッチとの比率(開口部のサイズ:ピッチ)は、0.4:6.0~6.0:0.4が好ましく、1.2:4.8~4.8:1.2がより好ましい。なお本明細書において、開口部のサイズとは、配列方向に沿った直線と開口部とが重複する区間の長さを意味する。
周期パターンがラインアンドスペースパターンである場合、開口部の幅(スペース)は、2.0~6.0μmが好ましい。また、開口部間の間隔(ライン)と開口部の幅(スペース)との比率(ライン:スペース)は、0.4:6.0~6.0:0.4が好ましい。
また、周期パターンの全面積に対する開口部の合計面積の比率(開口率)は、20~80%が好ましく、40~60%がより好ましい。
マスクは、上記の周期パターンとは異なる第2のマスクパターンを有していてもよい。マスクが上記の周期パターンと第2のマスクパターンとを有することにより、1回の処理により、感光性層に形状及びピッチ等が異なるパターン構造を形成できる。
第2のマスクパターンの構造は、特に制限されないが、上記の周期パターンの開口部よりも開口面積が広い開口部を有することが好ましい。
第2のマスクパターンが有する開口部の形状としては、例えば、多角形、円形、楕円形、十字状、帯状及びそれらの組合せが挙げられ、マイクロLEDチップ(例えば1辺20μmの四角形)を配置しやすいという観点から、四角形が好ましい。
第2のマスクパターンが有する開口部の大きさ(最大径)は、20~1000μmが好ましく、50~200μmがより好ましい。
マスクには、第2のマスクパターンとして、複数の開口部が形成されていてもよく、これら複数の開口部によって周期構造が形成されていてもよい。
また、マスクが第2のマスクパターンを有する場合、上記の周期パターンが形成された領域と、第2のマスクパターンが形成された領域とが離間していることが好ましく、50μm以上離間していることがより好ましい。
本製造方法において使用されるマスクの作製方法は特に制限されず、所望のパターン構造を形成できる公知の製造方法から適宜選択できる。マスクの具体例としては、石英ガラスやソーダガラス等のガラス基板上に、クロム膜(遮光膜)が形成されたフォトマスクが挙げられる。ガラス基板上にクロム層を形成し、更にレジスト層を設けた後、レジスト層を露光、現像して、該レジスト層を用いてクロム膜をエッチング除去することにより、所望の周期パターンを含むパターン構造を有するマスクが作製できる。
露光工程において上記のマスクを使用して露光する際の露光光の照射量(露光量)は、特に制限されず、後述する現像工程によって感光性層に所望のパターン構造が形成されるように、感光性層の組成及び厚さ、マスクの周期パターン、及び、露光光の波長等の条件に応じて、適宜選択される。
上記の観点から、露光工程における露光量は、下記の測定方法で得られる露光量Aに対して10.0倍以下であることが好ましく、8倍以下であることがより好ましく、5.0倍以下であることが更に好ましい。下限は特に制限されないが、1.2倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましい。
露光量Aの測定方法:ポリエチレンテレフタレートからなる支持体Aと、支持体A上に設けられ、積層体準備工程で準備する未露光積層体が有する感光性層と同じ組成を有し、厚さが20μmである感光性層Aとを有する積層体A1を準備する。上記積層体A1に対して、50μm四方の孤立した開口部を有するマスクAを介して、超高圧水銀灯を用いて波長365nmの露光光でコンタクト露光する。次いで、上記積層体Aを、液温が25℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液中に60秒間浸漬することにより現像し、更に液温が25℃の純水中に20秒間浸漬した後、上記積層体Aにエアを噴射することにより、現像された積層体A2を得る。上記の積層体A2の作製を、露光処理における露光量を変えて複数回行い、作製された積層体A2において、感光性層Aが貫通し、支持体Aの一部が露出するために必要な波長365nmの露光光の露光量の最小値を求め、これを露光量A(単位:mJ/cm)とする。
露光量を上記露光量Aに対する所定の比率の範囲内とすることにより、続く現像工程により現像された後の感光性層のうち、上記周期パターンを介して露光された領域において、所定の厚さの感光性層が残り、積層体の表面反射率を低く抑えることができるためである。
また、露光工程における露光量は、5~2,000mJ/cmが好ましく、10~1,000mJ/cmがより好ましい。
〔現像工程〕
現像工程は、露光工程によりパターン露光された上記感光性層を現像する工程である。
現像工程に用いる現像液は特に制限されず、特開平5-072724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を用いることができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液及び有機溶剤系現像液が挙げられ、アルカリ性水溶液が好ましい。
アルカリ性水溶液は、アルカリ性化合物を含む水溶液である。アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、コリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。
アルカリ性水溶液の25℃におけるpHとしては、8~13が好ましく、9~12がより好ましく、10~12が更に好ましい。
アルカリ性水溶液中におけるアルカリ性化合物の含有量は、アルカリ性水溶液全量に対し、0.1~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。
アルカリ水溶液は、水に対して混和性を有する有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε-カプロラクトン、γ-ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε-カプロラクタム、及び、N-メチルピロリドンを挙げることができる。
アルカリ水溶液における有機溶剤の含有量は、アルカリ水溶液の全質量に対して0.1~30質量%が好ましい。
現像液は、公知の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤の濃度は0.01~10質量%が好ましい。
現像の方式としては、例えば、ディップ現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、並びに、パドル現像等の方式が挙げられる。
ディップ現像では、パターン露光後の感光性層を備える積層体を現像液に浸漬することにより、除去対象部が除去される。シャワー現像では、パターン露光後の感光性層に現像液をシャワー状に噴射することにより、除去対象部が除去される。
現像液の液温度は、20~40℃が好ましい。ディップ現像における浸漬時間は、10~120秒間が好ましい。
現像工程の後、洗浄工程を行うことが好ましい。
洗浄工程は、浸漬及び/又は噴射等の処理を行って現像後の感光性層に洗浄液を接触させ、必要に応じてブラシで擦ることにより、現像残渣を除去する工程である。
洗浄液としては、例えば、水、及び、有機溶剤が挙げられる。
現像工程の後、上記現像工程が施された感光性層を有する積層体を、加熱処理(以下、「ポストベーク」ともいう)する工程を行ってもよい。
積層体が仮支持体及び/又は支持体として樹脂フィルムを備える場合には、ポストベークの温度は、100~160℃が好ましく、130~160℃がより好ましい。
現像工程の後、上記現像工程が施された感光性層を有する積層体を、露光(以下、「ポスト露光」ともいう。)する工程を行ってもよい。
現像工程の後、ポスト露光及びポストベークの両者を行う場合、ポスト露光、及び、ポストベークの順序で実施することが好ましい。
露光工程及び現像工程については、例えば、特開2006-023696号公報の段落0035~0051の記載を参照でき、この記載は本明細書に組み込まれる。
積層体の製造方法は、上述した工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、フォトリソグラフィ工程において実施され得る公知の工程が特に制限なく適用できる。
〔製造後の積層体〕
<パターン構造A1>
上記の露光工程及び現像工程を含む本製造方法により製造された積層体は、着色層及び感光性層を備えており、感光性層には、マスクが有する周期パターンに対応するパターン構造A1が形成されている。
本明細書において、感光性層又は着色層に形成されたパターン構造がマスクが有するマスクパターンに「対応する」とは、そのパターン構造が、上記露光工程における露光光の照射方向に沿って積層体及びマスクを観察したとき、マスクパターンが形成されている領域と重複する領域に形成された構造であることを意味する。
パターン構造A1は、既に説明した通り、所定のピッチを有する周期パターンを通して露光する露光工程及び現像工程を有する本製造方法によって形成された微細な凹凸形状を有しており、製造後の積層体の表面反射率及び明度を低く抑制する機能を有する。
パターン構造A1は、上記感光性層の表面の一部のみに形成されていてもよいし、表面全面に形成されていてもよい。
パターン構造A1としては、例えば、面内の少なくとも1つの方向に沿って突起又は開口が周期的に配列している周期構造が挙げられる。そのような周期構造が有する突起又は開口の形状は、特に制限されず、例えば、角柱形状、円柱形状、角錐形状、円錐形状、角錐台形状、円錐台形状、及び、不定形状が挙げられる。
感光性層の表面に形成されたパターン構造A1は、同じ形状を有する突起又は開口のみを有していてもよく、異なる形状の突起及び開口からなる群より選択される2つ以上を有していてもよい。
パターン構造A1の高さは、正規反射率の抑制の観点から、0.5~50μmが好ましく、1.0~20μmがより好ましい。また、パターン構造A1の周期構造のアスペクト比が2.0以上あることが、低反射の観点から好ましい。ここで、パターン構造A1の周期構造のアスペクト比とは、パターン構造A1の周期構造が有する開口又は突起の幅に対するパターン構造A1の高さの比率(高さ/開口又は突起の幅)を意味する。
パターン構造A1の高さとは、パターン構造A1により形成される凹凸形状の厚さ方向における高低差の最大値であり、パターン構造A1が形成された領域における、感光性層の厚さの最大値と最小値との差分として求められる。
パターン構造A1のピッチは、正規反射率の抑制の観点から、0.4~12.0μmが好ましく、0.8~10.0μmがより好ましい。
また、パターン構造A1のピッチは、マスクの周期パターンのピッチに対して25~75%であることが好ましく、40~60%であることがより好ましい。
パターン構造A1のピッチとは、パターン構造A1が有する周期構造の周期である。パターン構造A1のピッチは、パターン構造A1において周期的に配列されている突起又は開口を選択し、その突起又は開口の中央部の間の距離(厚さ方向の成分は含まない)として求められる。
表面反射率の抑制の観点から、パターン構造A1が形成された領域内において、感光性層を貫通していないこと(感光性層の厚さが0である領域が存在しないこと)が好ましい。中でも、パターン構造A1が形成された領域における感光性層の厚さの最小値が、露光前の感光性層の厚さに対して5%以上であることがより好ましく、25%以上であることが更に好ましい。上限は特に制限されないが、露光前の感光性層の厚さに対して70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
感光性層のパターン構造A1の厚さ、高さ及びピッチは、上記の未露光積層体の感光性層の厚さの測定方法に準じて、プラチナコーティング層を有する製造後の積層体の表面及び厚さ方向に垂直な断面を観察し、得られた観察画像から、パターン構造A1が形成された領域の感光性層の厚さ及びピッチを10箇所以上測定し、測定値の平均値を算出することにより、パターン構造A1の厚さ、高さ及びピッチが求められる。
<パターン構造A2>
製造後の積層体が備える感光性層は、マスクの第2マスクパターンに対応するパターン構造A2を有していてもよい。
本製造方法において、周期パターンとは異なる第2マスクパターンを有するマスクを使用した場合、製造後の積層体が備える感光性層には、第2マスクパターンに対応するパターン構造A2が形成される。
パターン構造A2としては、第2マスクパターンが有する開口部と個数が同じであり、形状も似ている開口を有することが好ましい。
また、第2マスクパターンが周期構造を有する場合、パターン構造A2のピッチが、第2マスクパターンのピッチと近似していることが好ましい。より具体的には、パターン構造A2のピッチが、第2マスクパターンのピッチに対して95~105%であることが好ましく、98~102%であることがより好ましい。
また、現像工程によりパターン構造A2が形成された結果、パターン構造A2の少なくとも一部において、感光性層が貫通する態様が好ましい。現像工程において、パターン構造A2に感光性層を貫通する開口が形成されることにより、下層に配置された着色層を現像液を用いて除去することが可能になる。
パターン構造A2が有する開口部の形状は、第2のマスクパターンが有する開口部の形状に近い形状であって、例えば、多角形、円形、楕円形、十字状、帯状及びそれらの組合せが挙げられ、マイクロLEDチップを配置しやすいという観点から四角形が好ましい。
パターン構造A2が有する開口の大きさ(最大径)は、20~200μmが好ましく、50~100μmがより好ましい。また、パターン構造A2が有する開口の大きさは、第2マスクパターンが有する開口部の大きさに対して95~105%であることが好ましく、98~102%であることがより好ましい。
<着色層>
製造後の積層体が備える着色層としては、特に制限されないが、表面反射率及び明度が低く抑制される点で、マスクが有する周期パターンに対応するパターン構造を有さないことが好ましい。即ち、現像工程により、パターン構造A1が形成された領域内において、感光性層が貫通されていないことが好ましい。
製造後の積層体が備える着色層は、目的に応じて、マスクが有する第2マスクパターンに対応するパターン構造B2を有していてもよい。
本製造方法においては、第2マスクパターンを有するマスクを使用することにより感光性層に形成されたパターン構造A2の少なくとも一部において、感光性層が貫通している場合、現像工程により、着色層に上記パターン構造B2が形成される。
パターン構造B2は、第2マスクパターンが有する開口部と個数が同じ開口を有することが好ましい。また、製造後の積層体の厚さ方向から見たときのパターン構造B2が有する開口の形状が、第2マスクパターンが有する開口部の形状と似ていることが好ましい。
また、第2マスクパターンが周期構造を有する場合、パターン構造B2のピッチが、第2マスクパターンのピッチと近似していることが好ましい。より具体的には、パターン構造B2のピッチが、第2マスクパターンのピッチに対して95~105%であることが好ましく、98~102%であることがより好ましい。
また、現像工程によりパターン構造B2が形成された結果、パターン構造B2の少なくとも一部において、着色層が貫通する態様が好ましい。現像工程において、パターン構造B2に着色層を貫通する開口が形成されることにより、マイクロLED等の発光素子を、下層に配置された着色層を現像液を用いて除去することが可能になる。
パターン構造B2が有する開口部の形状は、第2のマスクパターンが有する開口部の形状に近い形状であれば特に制限されず、例えば、多角形、円形、楕円形、十字状、帯状及びそれらの組合せが挙げられ、四角形が好ましい。
パターン構造B2が有する開口の大きさについては、開口の感光性層から最も離れた位置(下底)の大きさ(最大径)が、10~200μmであることが好ましく、20~100μmであることがより好ましい。また、パターン構造B2が有する開口の下底の大きさは、第2マスクパターンが有する開口部の大きさに対して90~110%であることが好ましく、95~105%であることがより好ましい。
<支持体>
製造後の積層体は、支持体を備えることが好ましい。製造後の積層体が備える支持体については、上記の未露光積層体が備える支持体として、既に説明した通りである。
製造後の積層体は、感光性層、着色層及び支持体以外の他の層及び構造を有してもよい。
他の層及び構造としては、LEDディスプレイ等の表示装置及び転写部材において使用される公知の層及び構造が挙げられる。
積層体は、感光性層上に、周期構造を保護するための保護層を有していてもよい。保護層の材質としては、特に制限されず、公知の樹脂及びその硬化物が使用できる。
積層体は、保護層と感光性層との間に、接着層を有していてもよい。接着層の材質としては、公知の接着剤及び粘着剤が使用できる。
<物性等>
(表面反射率)
反射防止性、及び、表示装置に使用した場合における表示内容の視認性の観点から、製造後の積層体の感光性層側の正規反射率を含む全反射率(SCI:Specular Component Include)、及び、正規反射率を除いた拡散反射率(SCE:Specular Component Exclude)はいずれも、4.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。
SCI及びSCEの下限値は、特に制限されず、0.0%であってよい。
製造後の積層体の感光性層側のSCI及びSCEの測定方法としては、分光測色計(例えば、コニカミノルタ(株)製「CM-700D」)を使用して、感光性層側の表面から測定する方法が挙げられる。SCI及びSCEの測定においては、表面反射率の代表値として波長550nmにおける測定値を、SCI及びSCEの値とする。
(明度)
反射防止性、及び、表示装置に使用した場合における表示内容の視認性の観点から、製造後の積層体の感光性層側の明度Lは、20以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下が更に好ましい。明度Lの下限値は特に制限されず、0であってよい。
明度Lは、国際照明委員会(CIE)により定められたL色空間における明度Lである。
製造後の積層体の感光性層側の明度Lを求める方法としては、分光測色計(例えば、コニカミノルタ(株)製「CM-700D」)が備えるCIE標準光源D65を使用して、感光性層側の表面からのSCI又はSCEを測定し、得られた測定値から算出する方法が挙げられる。明度Lの測定では、360~740nmの波長範囲において10nm刻みでSCI及びSCEの測定を行う。SCI及びSCEから算出される明度Lがいずれも、上記の範囲を満たすことが好ましい。
〔感光性樹脂組成物〕
以下、感光性層を形成するための感光性樹脂組成物について説明する。
感光性樹脂組成物としては、ポジ型の感光性樹脂を含むポジ型感光性樹脂組成物、及び、ネガ型の感光性樹脂を含むネガ型感光性樹脂組成物が挙げられ、ポジ型感光性樹脂組成物が好ましい。
<ポジ型感光性樹脂組成物>
ポジ型感光性樹脂組成物としては、公知のポジ型感光性樹脂組成物から適宜選択でき、特に制限されない。
ポジ型感光性樹脂組成物としては、例えば、重合体成分、光酸発生剤、及び、溶剤を含有する組成物が挙げられる。重合体成分は、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を有する重合体を含むことが好ましい。
ポジ型感光性樹脂組成物としては、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を有する重合体、及び、光酸発生剤とを含有する化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物が好ましい。
光酸発生剤は、活性光線に感応して生成される酸が、重合体成分中の保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
(重合体成分)
重合体成分は、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を有する重合体を含有することが好ましく、下記(1)及び(2)の少なくとも一方を満たす重合体を含むことが好ましい。
(1)酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(構成単位(a1))、及び、架橋性基を有する構成単位(構成単位(a2))を有する重合体
(2)構成単位(a1)を有する重合体、及び、構成単位(a2)を有する重合体
硬化後における透明性(ヘイズ)及び未露光部の残膜率の観点からは、上記(1)が好ましく、分子設計の自由度の観点からは、上記(2)が好ましい。
重合体成分としては、付加重合型の樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位を含む重合体がより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
なお、「(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位」を「アクリル系構成単位」ともいう。また、「(メタ)アクリル酸」は、「メタクリル酸及び/又はアクリル酸」を意味するものとする。
重合体成分は、(a1)酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を少なくとも有する重合体を含有することが好ましい。重合体成分が構成単位(a1)を有する重合体を含有することにより、極めて高感度な感光性樹脂組成物とすることができる。
「酸基が酸分解性基で保護された基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシル基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性基としては、酸により比較的分解しやすい基(例えば、後述する式(a1-10)等で表される基、テトラヒドロピラニル基、又は、テトラヒドロフラニル基等のアセタール系官能基)、並びに、酸により比較的分解しにくい基(例えば、tert-ブチル基等の第三級アルキル基、tert-ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
-酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(構成単位(a1))-
構成単位(a1)は、カルボキシル基が酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位、又は、フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位であることが好ましい。
以下、酸分解性基で保護された保護カルボキシル基を有する構成単位(構成単位(a1-1))と、酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位(構成単位(a1-2))について、それぞれ説明する。
構成単位(a1-1)におけるカルボキシル基を有する構成単位としては、特に制限されず、例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(構成単位(a1-1-1))、及び、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位(構成単位(a1-1-2))が挙げられる。
構成単位(a1-1-1)の不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、けい皮酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸などが挙げられる。また、不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物であってもよい。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
また、不飽和カルボン酸は、多価カルボン酸のモノ(2-(メタ)アクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイロキシエチル)などが挙げられる。更に、不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。また、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸-2-カルボキシエチルエステル、メタクリル酸-2-カルボキシエチルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4-カルボキシスチレン等も用いることができる。
中でも、現像性の観点から、構成単位(a1-1-1)を形成するためには、アクリル酸、メタクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、又は、不飽和多価カルボン酸の無水物等を用いることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸を用いることがより好ましい。
構成単位(a1-1-1)は、1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。
構成単位(a1-1-2)は、エチレン性不飽和基を有する構成単位中に存在する水酸基と酸無水物とを反応させて得られたモノマーに由来する単位であることが好ましい。
酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、又は、無水コハク酸が好ましい。
酸無水物の水酸基に対する反応率は、現像性の観点から、好ましくは10~100モル%、より好ましくは30~100モル%である。
構成単位(a1-1)に用いることができる酸分解性基としては上述の酸分解性基を用いることができる。
これらの酸分解性基の中でもカルボキシル基がアセタールの形で保護された保護カルボキシル基であることが、感光性樹脂組成物の基本物性、特に感度やパターン形状、コンタクトホールの形成性、感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。更に酸分解性基の中でもカルボキシル基が下記式(a1-10)で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシル基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、カルボキシル基が下記式(a1-10)で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシル基である場合、保護カルボキシル基の全体としては、-(C=O)-O-CR101102(OR103)の構造となっている。
Figure 2022051261000002
式(a1-10)中、R101及びR102はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、ただし、R101とR102とが共に水素原子の場合を除く。R103は、アルキル基又はアリール基を表す。R101又はR102と、R103とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
式(a1-10)で表されるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、特開2011-221494号公報の段落0037~0040に記載の合成方法などで合成することができる。
構成単位(a1-1)の好ましい態様は、下記式で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2022051261000003
式中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR及びRのいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、Rは、アルキル基又はアリール基を表し、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
Figure 2022051261000004
式中、R121は水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、Lはカルボニル基又はフェニレン基を表し、R122~R128はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
Figure 2022051261000005
式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
構成単位(a1-2)は、フェノール性水酸基を有する構成単位が、以下で説明する酸分解性基によって保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位である。
フェノール性水酸基を有する構成単位としては、ヒドロキシスチレン系構成単位、及び、ノボラック系の樹脂における構成単位が挙げられるが、ヒドロキシスチレン又はα-メチルヒドロキシスチレンに由来する構成単位が、感度の観点から好ましい。また、フェノール性水酸基を有する構成単位として、下記式(a1-20)で表される構成単位も、感度の観点から好ましい。
Figure 2022051261000006
式(a1-20)中、R220は水素原子又はメチル基を表し、R221は単結合又は2価の連結基を表し、R222はハロゲン原子又は炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を表し、aは1~5の整数を表し、bは0~4の整数を表し、a+bは5以下である。なお、R222が2以上存在する場合、これらのR222は相互に異なっていてもよいし同じでもよい。
221は単結合又は2価の連結基を表す。
構成単位(a1-2)に用いることができる酸分解性基としては、構成単位(a1-1)に用いることができる酸分解性基と同様に、公知のものを使用でき、特に限定されない。
また、フェノール性水酸基がアセタールの形で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2011-215590号公報の段落0042に記載のものなどが挙げられる。
これらの中で、4-ヒドロキシフェニルメタクリレートの1-アルコキシアルキル保護体、4-ヒドロキシフェニルメタクリレートのテトラヒドロピラニル保護体が透明性の観点から好ましい。
フェノール性水酸基のアセタール保護基の具体例としては、1-アルコキシアルキル基が挙げられ、例えば、1-エトキシエチル基、1-メトキシエチル基、1-n-ブトキシエチル基、1-イソブトキシエチル基、1-(2-クロロエトキシ)エチル基、1-(2-エチルヘキシルオキシ)エチル基、1-n-プロポキシエチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-(2-シクロヘキシルエトキシ)エチル基、1-ベンジルオキシエチル基などを挙げることができ、これらは1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
構成単位(a1-2)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、フェノール性水酸基を有する化合物を酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させることにより合成することができる。上記の合成はフェノール性水酸基を有するモノマーをその他のモノマーと予め共重合させておき、その後に酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させてもよい。
構成単位(a1-2)の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Rは水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2022051261000007
構成単位(a1)を有する重合体が、実質的に、構成単位(a2)を有しない場合、構成単位(a1)は、重合体中、20~100モル%が好ましく、30~90モル%がより好ましい。
構成単位(a1)を有する重合体が、下記構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a1)は、重合体中、感度の観点から3~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましい。
なお、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、当該「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本発明において当該「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
-架橋性基を有する構成単位(構成単位(a2))-
重合体成分は、架橋性基を有する構成単位(構成単位(a2))を更に有することが好ましい。また、重合体成分が構成単位(a2)を有していない場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、構成単位(a2)を有する重合体を含有することが好ましい。
架橋性基は、加熱処理で硬化反応を起こす基であれば特に限定はされない。構成単位(a2)としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、-NH-CH-O-R(Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。)で表される基及びエチレン性不飽和基よりなる群から選ばれた少なくとも1つを含む構成単位が挙げられ、エポキシ基、オキセタニル基、及び、-NH-CH-O-R(Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。)で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。中でも、ポジ型感光性樹脂組成物は、重合体成分が、エポキシ基及びオキセタニル基のうち少なくとも1つを含む構成単位を含むことがより好ましい。より詳細には、以下のものが挙げられる。
重合体成分は、上記構成単位(a2)として、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位(構成単位(a2-1))を有する重合体を含有することが好ましい。3員環の環状エーテル基はエポキシ基とも呼ばれ、4員環の環状エーテル基はオキセタニル基とも呼ばれる。
構成単位(a2-1)は、1つの構成単位中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有する。構成単位(a2-1)は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1~3つ有することが好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有することがより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有することが更に好ましい。
エポキシ基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α-エチルアクリル酸グリシジル、α-n-プロピルアクリル酸グリシジル、α-n-ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸-3,4-エポキシブチル、メタクリル酸-3,4-エポキシブチル、アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、α-エチルアクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、及び、特許第4168443号公報の段落0031~0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物(この内容は本明細書に組み込まれる)が挙げられる。
オキセタニル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特開2001-330953号公報の段落0011~0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
構成単位(a2-1)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、メタクリル酸エステル構造を含有するモノマー、アクリル酸エステル構造を含有するモノマーであることが好ましい。
構成単位(a2-1)の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2022051261000008
構成単位(a2)として、エチレン性不飽和基を有する構成単位(a2-2)(構成単位(a2-2))が挙げられる。構成単位(a2-2)としては、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位が好ましく、末端にエチレン性不飽和基を有し、炭素数3~16の側鎖を有する構成単位がより好ましい。
構成単位(a2-2)については、特開2011-215580号公報の段落0072~0090の記載及び特開2008-256974の段落番号0013~0031の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
構成単位(a2)としては、-NH-CH-O-R(Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。)で表される基を有する構成単位(a2-3)も挙げられる。構成単位(a2-3)を有することで、緩やかな加熱処理で硬化反応を起こすことができ、諸特性に優れた硬化膜を得ることができる。
構成単位(a2-3)としては、下記式(a2-30)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2022051261000009
式中、R31は水素原子又はメチル基を表し、R32は炭素数1~20のアルキル基を表す。
構成単位(a2)を有する重合体が、実質的に、構成単位(a1)を有しない場合、構成単位(a2)は、重合体中、5~90モル%が好ましく、20~80モル%がより好ましい。
構成単位(a2)を有する重合体が、構成単位(a1)を有する場合、構成単位(a2)の含有量は、重合体中、薬品耐性の観点から3~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましい。
本発明では、更に、いずれの態様にかかわらず、重合体の全構成単位中、構成単位(a2)を3~70モル%含有することが好ましく、10~60モル%含有することがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、ポジ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜の透明性及び薬品耐性が良好となる。
-その他の構成単位(a3)-
重合体は、構成単位(a1)及び/又は(a2)に加えて、これら以外の他の構成単位(a3)を有していてもよい。これらの構成単位は、重合体成分(1)及び/又は(2)が含んでいてもよい。
また、重合体成分(1)又は(2)とは別に、実質的に構成単位(a1)及び構成単位(a2)を含まずに他の構成単位(a3)を有する重合体成分を有していてもよい。この場合、上記重合体成分の配合量は、全重合体成分中、60質量%以下であることが好ましい。
その他の構成単位(a3)となるモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物類、マレイミド化合物類、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、その他の不飽和化合物を挙げることができる。また、後述する通り、酸基を有する構成単位を有していてもよい。その他の構成単位(a3)となるモノマーは、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
その他の構成単位(a3)としては、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、4-ヒドロキシ安息香酸(3-メタクリロイルオキシプロピル)エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどによる構成単位が挙げられる。この他、特開2004-264623号公報の段落0021~0024に記載の化合物が挙げられる。
重合体成分に含まれる重合体は、その他の構成単位(a3)として、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。重合体が酸基を有することにより、アルカリ性の現像液に溶けやすくなる。酸基とは、pKaが10.5より小さいプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を有する構成単位として、重合体に組み込まれる。
酸基としては、カルボン酸基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基等が例示され、カルボン酸基及び/又はフェノール性水酸基が好ましい。
酸基を有する構成単位は、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位であることがより好ましい。例えば、特開2012-88459号公報の段落0021~0023及び段落0029~0044に記載の化合物を用いることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。中でも、p-ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸に由来する構成単位が好ましい。
酸基を有する構成単位の導入方法としては、(a1-1)構成単位及び/又は(a1-2)構成単位と同じ重合体に導入することもできるし、(a1-1)構成単位及び(a1-2)構成単位とは異なる重合体の構成単位として導入することもできる。
このような重合体としては、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂が好ましい。例えば、特開昭59-44615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-25957号、特開昭59-53836号、特開昭59-71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられ、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
より具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、特開平7-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
その他にも、特開平7-207211号公報、特開平8-259876号公報、特開平10-300922号公報、特開平11-140144号公報、特開平11-174224号公報、特開2000-56118号公報、特開2003-233179号公報、特開2009-52020号公報等に記載の公知の高分子化合物を使用することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
これらの重合体は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
酸基を有する構成単位は、全重合体成分に対し、1~80モル%が好ましく、1~50モル%がより好ましい。
重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、好ましくは1,000~200,000、より好ましくは2,000~50,000の範囲である。上記の数値の範囲内であると、諸特性が良好である。数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとの比(分散度、Mw/Mn)は1.0~5.0が好ましく、1.5~3.5がより好ましい。
重合体の製造方法は、特に制限されず、例えば、構成単位(a1)及び構成単位(a3)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合する方法が挙げられる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
ポジ型感光性樹脂組成物中における重合体成分の含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物の全固形分に対して、10~99.9質量%であることが好ましく、25~98質量%であることがより好ましく、35~95質量%であることが更に好ましい。なお、ポジ型感光性樹脂組成物の固形分量とは、溶剤などの揮発性成分を除いた量を表す。
(光酸発生剤)
ポジ型感光性樹脂組成物は、光酸発生剤を含有することが好ましい。光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造に制限されるものではない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が最も好ましい。
光酸発生剤の例として、トリクロロメチル-s-トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物が挙げられる。これらの中でも、絶縁性及び感度の観点から、オキシムスルホネート化合物が好ましい。光酸発生剤としては、特開2011-221494号公報の段落0083~0088に記載の化合物が挙げられ、この記載は本明細世に組み込まれる。
これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物が好まし
く例示できる。
Figure 2022051261000010
式(B1)中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、波線部分は他の基との結合箇所を表す。式(B1)中、いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよい。
オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、特開2011-221494号公報の段落0092~0171に記載の化合物が好ましく例示されるが、これらに制限されない。
ポジ型感光性樹脂組成物において、光酸発生剤の含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分の全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
また、光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
(溶剤)
ポジ型感光性樹脂組成物は、溶剤を含有する。ポジ型感光性樹脂組成物は、重合体成分、光酸発生剤等の成分を溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
ポジ型感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。また、ポジ型感光性樹脂組成物に使用される溶剤の具体例としては特開2011-221494号公報の段落0174~0178に記載の溶剤、特開2012-194290公報の段落0167~0168に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、これらの溶剤に更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸
ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
これら溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
ポジ型感光性樹脂組成物における溶剤の含有量は、ポジ型感光性樹脂組成物中の全成分100質量部当たり、50~95質量部であることが好ましく、60~90質量部であることが更に好ましい。
(架橋剤)
ポジ型感光性樹脂組成物には、必要に応じ、架橋剤を添加してもよい。架橋剤を添加することにより、ポジ型感光性樹脂組成物により得られる硬化膜をより強固な膜とすることができる。
架橋剤としては、熱によって架橋反応が起こるものであれば制限はない(ただし、重合体成分を除く。)。例えば、以下に述べる分子内に2個以上のエポキシ基若しくはオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有架橋剤、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、又は、ブロックイソシアネート化合物等を添加することができる。
ポジ型感光性樹脂組成物中における架橋剤の添加量は、ポジ型感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01~50質量%が好ましく、0.1~30質量%がより好ましい。この範囲で添加することにより、機械的強度及び耐溶剤性に優れた硬化膜が得られる。架橋剤は複数を併用することもでき、その場合は架橋剤を全て合算して含有量を計算する。
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂及びフルオレン型エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT-121、OXT-221、OX-SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
また、その他の架橋剤としては特開2012-8223号公報の段落0107~0108に記載のアルコキシメチル基含有架橋剤、及び、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物なども好ましく用いることができる。アルコキシメチル基含有架橋剤としては、アルコキシメチル化グリコールウリルが好ましい。
架橋剤として使用されるブロックイソシアネート化合物は、ブロックイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限はないが、硬化性の観点から、1分子内に2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物であることが好ましい。
なお、ブロックイソシアネート基とは、熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であり、例えば、ブロック剤とイソシアネート基とを反応させイソシアネート基を保護した基が好ましく例示できる。また、上記ブロックイソシアネート基は、90℃~250℃の熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であることが好ましい。
また、ブロックイソシアネート化合物としては、その骨格は特に限定されるものではなく、1分子中にイソシアネート基を2個有するものであればどのようなものでもよく、脂肪族、脂環族又は芳香族のポリイソシアネートであってよいが、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-トリメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9-ノナメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、o-キシレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン-1,3-ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジメチレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、p-フェニ
レンジイソシアネート、3,3’-メチレンジトリレン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3-キシリレンジイソシアネート、水素化1,4-キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物及びこれらの化合物から派生するプレポリマー型の骨格の化合物を好適に用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が特に好ましい。
(界面活性剤)
ポジ型感光性樹脂組成物には、必要に応じ、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系(非イオン系)、又は、両性のいずれも使用でき、ノニオン界面活性剤が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤が挙げられる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH-8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズが挙げられる。
また、界面活性剤としては、下記式I-1で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体が挙げられる。
Figure 2022051261000011
式(I-1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合部位を表す。sは1以上6以下の整数が好ましく、1以上4以下の整数がより好ましい。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500~5,000が好ましい。
その他、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~段落0071に記載の界面活性剤も用いることができる。
また、界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料となる界面活性剤を使用することも好ましい。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、全固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001~10質量%であることがより好ましく、0.01~3質量%であることが更に好ましい。
(重合禁止剤)
ポジ型感光性樹脂組成物は、重合禁止剤を少なくとも1種含有してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤が挙げられる。中でも、フェノチアジン、フェノキサジン又は4-メトキシフェノールが好ましい。
ポジ型感光性樹脂組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、全固形分に対して、0.01~3質量%が好ましい。
(その他の成分)
ポジ型感光性樹脂組成物は、上記成分に加えて、必要に応じて、増感剤、アルコキシシラン化合物、塩基性化合物、及び、酸化防止剤を含有してもよい。
また、ポジ型感光性樹脂組成物は、機械的性質、屈折率及び光透過性等の光学的性質を調節することを目的として、金属酸化物粒子等の粒子を含有してもよい。ポジ型感光性樹脂組成物が粒子を含有する場合、分散剤を含有することが好ましい。
ポジ型感光性樹脂組成物は、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、酸増殖剤、現像促進剤、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を含有してもよい。また、これらの化合物としては、例えば特開2012-088459号公報の段落0201~0224の記載も参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、その他の添加剤としては特開2012-008223号公報の段落0120~0121に記載の熱ラジカル発生剤及び国際公開第2011/136074号に記載の窒素含有化合物及び熱酸発生剤も用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<ネガ型感光性樹脂組成物>
ネガ型感光性樹脂組成物としては、公知のネガ型感光性樹脂組成物から適宜選択でき、特に制限されない。
ネガ型感光性樹脂組成物としては、例えば、重合体成分、重合性単量体、光重合開始剤、及び、溶剤を含有する組成物が挙げられる。
以下、ネガ型感光性樹脂組成物に含有される成分について説明する。
(重合性単量体)
重合性単量体は、この種の組成物に適用されるものを適宜選択できるが、中でもエチレン性不飽和化合物が好ましい。エチレン性不飽和化合物は、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物である。
エチレン性不飽和化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
エチレン性不飽和化合物としては、特開2006-23696号公報の段落0011に記載の成分、特開2006-64921号公報の段落0031~0047に記載の成分が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン付加重合性化合物も好適であり、特開昭51-37193号公報、特公平2-32293号公報、特公平
2-16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-49860号公報、特公昭56-17654号公報、特公昭62-39417号公報、特公昭62-39418号公報に記載のエチレンオキサイド骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
その他の例としては、特開昭48-64183号公報、特公昭49-43191号公報、特公昭52-30490号公報の各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300~308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらのエチレン性不飽和化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
重合性単量体は多官能であることが好ましく、より好ましくは3官能以上、更に好ましくは4官能以上である。上限は特にないが、10官能以下が実際的である。更に、異なる官能数及び/又は異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン化合物、ビニルエーテル化合物)を有する化合物を併用することで、力学特性を調節することも有効である。
また、現像性の調整の観点から、カルボキシ基を含有する重合性化合物も好ましい。
更に、基板との密着性、ラジカル重合開始剤との相溶性等の観点から、エチレンオキサイド(EO)変性体、ウレタン結合を含有することも好ましい。
以上の観点より、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートEO変性体、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートEO変性体が好ましい。
市販品としては、KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)、NKエステル A-TMMT、NKエステル A-TMPT、NKエステル A-TMM-3、NKオリゴUA-32P、NKオリゴUA-7200、A-BPEF(以上、新中村化学工業(株)製)、アロニックス M-305、アロニックス M-306、アロニックス M-309、アロニックス M-450、アロニックス M-402、TO-1382(以上、東亞合成(株)製)、V#802(大阪有機化学工業(株)製)、オグソールEA-0200、オグソールEA-F5003、オグソールEA-F5503、オグソールEA-F5510(以上、大阪ガスケミカル(株)製)が好ましい。
重合性単量体としては、下記式(O-1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022051261000012
式中、Lは2価以上の連結基を表す。連結基としては、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、エーテル基(-O-)、チオエーテル基(-S-)、又はこれらの組合せが挙げられる。連結基の炭素数は特に限定されないが、2~24であることが好ましく、2~12であることがより好ましい。中でも、上記炭素数の分岐アルキレン基であることが好ましい。
Aは重合性官能基を表す。重合性官能基としては、ビニル基又はビニル基含有基であることが好ましい。ビニル基含有基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルフェニル基などが挙げられる。
Raは置換基を表す。置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1~21)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~12)、アリール基(好ましくは炭素数6~24)などが挙げられる。
naは1~10の整数を表し、好ましくは3~8の整数である。nbは0~9の整数を表し、好ましくは2~7の整数である。na+nbは2~10であり、好ましくは2~8である。na、nbが2以上であるとき、そこで規定される複数の構造部位は互いに異なっていてもよい。
重合性単量体の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の全固形分中、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。
後述するアルカリ可溶性樹脂との関係においては、重合性単量体のアルカリ可溶性樹脂に対する質量比率[重合性単量体/アルカリ可溶性樹脂比]が0.2~2.0であることが好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、露光光により感光し、上記重合性単量体(エチレン性不飽和化合物)の重合を開始又は促進する化合物が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル化合物、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、α-アミノケトン化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。これらの中でも、感度の点から、オキシムエステル化合物、α-アミノケトン化合物、又は、ヘキサアリールビイミダゾール化合物が好ましく、オキシムエステル化合物、又は、α-アミノケトン化合物がより好ましい。
これらの化合物の具体例としては、例えば特開2011-186398号公報の段落0
061~0073の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
光重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、露光波長に吸収を持たない開始剤を用いる場合には、増感剤を使用する必要がある。
本発明の感光性樹脂組成物における光重合開始剤の総量は、感光性樹脂組成物中の全固形分100質量部に対して、0.5~30質量部であることが好ましく、2~20質量部であることがより好ましい。
ネガ型感光性樹脂組成物には、光重合開始剤の他に、増感剤を加えることもできる。増感剤としては、例えば、特開2011-186398号公報の段落0075に記載されている化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
増感剤は、光重合開始剤に対し、50~200質量%の割合で添加することが好ましい。
(アルカリ可溶性樹脂)
ネガ型感光性樹脂組成物に用いるアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、(q-1)酸基を有する構成単位を含む重合体、及び、(q-1)酸基を有する構成単位と、(q-2)架橋性基を有する構成単位とを含む重合体が挙げられる。
(q-1)酸基を有する構成単位は、カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位であることが好ましい。また、(q-2)架橋性基を有する構成単位は、エポキシ基、オキセタニル基、-NH-CH-O-R(Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基)で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1つを含む構成単位を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、上記構成単位(q-1)及び上記構成単位(q-2)と共に、上記構成単位(q-1)及び上記構成単位(q-2)以外の構成単位(q-3)を更に有していてもよい。
アルカリ可溶性樹脂に含まれる(q-1)酸基を有する構成単位としては、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分で述べた(a3)その他の構成単位中の酸基を有する構成単位と同じものを採用でき、好ましい範囲も配合量を除き同様である。
アルカリ可溶性樹脂に含まれる(q-2)架橋性基を有する構成単位としては、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分で述べた(a2)架橋性基を有する構成単位と同じものを採用でき、好ましい範囲も配合量を除き同様である。
アルカリ可溶性樹脂に含まれる構成単位(q-3)としては、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分で述べた(a3)その他の構成単位中の酸基を有する構成単位以外の構成単位、及び、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分で述べた構成単位(a1-1)を採用でき、好ましい範囲も配合量を除き同様である。
アルカリ可溶性樹脂の全構成単位中、構成単位(q-1)は、1~100モル%含有されていることが好ましく、1~80モル%含有されていることがより好ましく、10~50モル%含有されていることが更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の全構成単位中、構成単位(q-2)が3~70モル%含有されていることが好ましく、10~60モル%含有されていることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の全構成単位中、構成単位(q-3)が1~80モル%含有されていることが好ましく、1~50モル%含有されていることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の合成は、上述した第1の態様の(成分A)重合体の製造方法と同様に行うことができる。
(溶剤)
ネガ型感光性樹脂組成物は、溶剤を含有する。ネガ型感光性樹脂組成物は、各成分を溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
溶剤としては、公知の溶剤、例えば、上述したポジ型感光性樹脂組成物が含む溶剤を用いることができ、好ましい範囲も同様である。
ネガ型感光性樹脂組成物における溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の全質量に対して、50~95質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましい。
(その他の成分)
ネガ型感光性樹脂組成物は、上記の成分に加えて、必要に応じて、粒子、分散剤、増感剤、架橋剤、アルコキシシラン化合物、塩基性化合物、及び、界面活性剤からなる群より選択される成分を含有してもよい。
<物性>
感光性樹脂組成物の粘度(25℃)は、塗布性の観点から、1~50mPa・sが好ましく、2~40mPa・sがより好ましく、3~30mPa・sが更に好ましい。
粘度は、例えば、VISCOMETER TV-22(東機産業(株)製)を用いて測定する。
感光性樹脂組成物の表面張力(25℃)は、塗布性の観点から、5~100mN/mが好ましく、10~80mN/mがより好ましく、15~40mN/mが更に好ましい。
表面張力は、例えば、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて測定する。
<感光性樹脂組成物の調製方法>
上記の感光性樹脂組成物は、各成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解することにより、調製できる。例えば、上述した成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、これらを所定の割合で混合して樹脂組成物を調製することもできる。以上のように調製した組成物溶液は、例えば孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
〔着色層形成用樹脂組成物〕
着色層を形成するために使用する着色層形成用樹脂組成物としては、特に制限されず、本用途に用いられる公知の組成物が使用できる。
着色層形成用樹脂組成物としては、着色剤と、ポジ型感光性樹脂又はネガ型感光性樹脂とを少なくとも含む組成物が挙げられ、より具体的には、上述した感光性層を形成するためのポジ型又はネガ型感光性樹脂組成物に、着色剤を更に添加してなる組成物が挙げられる。
<着色剤>
着色層に含まれる着色剤は、特に制限されないが、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nano-Tube)又はカーボンブラック(CB:Carbon Black)が好ましく、カーボンナノチューブがより好ましい。
カーボンナノチューブとしては、特に制限されず、公知のものが使用できる。
カーボンナノチューブは、グラフェン(6員環ネットワーク)シートを筒型に巻いた形状しており、その直径は1~100nmが好ましく、その長さは1nm~1μmが好ましい。
カーボンナノチューブは、グラフェン構造である6員環構造だけでなく、5員環構造又は7員環構造を一部に有していてもよく、カーボンナノチューブの一部が閉塞したカーボンナノホーンであってもよい。
カーボンナノチューブは、単層のカーボンナノチューブであっても、多層のカーボンナノチューブであってもよいが、表面反射率の抑制の観点から、単層のカーボンナノチューブが好ましい。
また、カーボンナノチューブは、半導体型カーボンナノチューブであっても、金属型カーボンナノチューブであってもよいが、分散液における分散安定性、及び、着色層における分散性の観点から、半導体型カーボンナノチューブが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に制限されず、公知のものが使用できる。カーボンブラックの市販品としては、C.I.ピグメントブラック 1等の有機顔料、及び、C.I.ピグメントブラック 7等の無機顔料が挙げられる。
着色層形成用樹脂組成物は、着色剤を1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
上記着色層における着色剤の含有量は、表面反射率の抑制の観点から、着色層の全質量に対して0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
着色層形成用樹脂組成物が、上述したポジ型又はネガ型感光性樹脂組成物に着色剤を更に添加してなる組成物である場合の着色剤以外の成分については、その好ましい態様も含めて、上述したポジ型感光性樹脂組成物又はネガ型感光性樹脂組成物と同じであってよい。
<アルカリ可溶性樹脂組成物>
着色層形成用樹脂組成物は、上記着色剤、アルカリ可溶性樹脂、及び、溶剤を含有するアルカリ可溶性樹脂組成物であってもよい。
(アルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、(a3-1)酸基を有する構成単位と、(a3-2)架橋性基を有する構成単位を含む重合体が挙げられる。(a3-1)酸基を有する構成単位は、カルボキシル基及び/又はフェノール性水酸基を有する構成単位であることが好ましい。(a3-2)架橋性基を有する構成単位は、エポキシ基、オキセタニル基、-NH-CH-O-R(Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基)で表される基、エチレン性不飽和基よりなる群から選ばれた少なくとも1つを含む構成単位を含有することが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、上記構成単位(a3-1)及び上記構成単位(a3-2)以外の構成単位(a3-3)を更に有していてもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂組成物の全固形分の60質量%以上を占めることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂に含まれる(a3-1)酸基を有する構成単位としては、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分で述べた(a1-3)その他の構成単位中の酸基を有する構成単位と同じものを採用でき、好ましい範囲も配合量を除き同様である。
アルカリ可溶性樹脂に含まれる(a3-2)架橋性基を有する構成単位としては、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分で述べた架橋性基を有する構成単位(a2)と同じものを採用でき、好ましい範囲も配合量を除き同様である。
アルカリ可溶性樹脂に含まれる構成単位(a3-3)としては、ポジ型感光性樹脂組成物の重合体成分で述べた(a1-3)その他の構成単位の中で上記(a2-1)酸基を有する構成単位以外のものを採用でき、好ましい範囲も配合量を除き同様である。
アルカリ可溶性樹脂の全構成単位中、構成単位(a3-1)が3~70モル%含有されていることが好ましく、10~60モル%含有されていることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の全構成単位中、構成単位(a3-2)が3~70モル%含有されていることが好ましく、10~60モル%含有されていることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の全構成単位中、構成単位(a3-3)が1~80モル%含有されていることが好ましく、1~50モル%含有されていることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の合成は、例えば特開2012-88459号公報の段落0067~0073に記載されている方法が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
(溶剤)
アルカリ可溶性樹脂成物は、溶剤を含有する。アルカリ可溶性樹脂組成物に使用される溶剤としては、上述したポジ型感光性樹脂組成物の溶剤が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
アルカリ可溶性樹脂組成物における溶剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂組成物中の全質量に対して、50~95質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂組成物は、上記成分に加え、粒子、分散剤、アルコキシシラン化合物、塩基性化合物、界面活性剤、接着助剤、耐熱性向上剤、及び感熱性酸発生剤から選択される任意成分を含有できる。これらの任意成分は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。上記任意成分は、上述したポジ型感光性樹脂組成物の態様と同様であり、好ましい範囲も同様である。
着色層形成用樹脂組成物としては、着色剤及びポジ型感光性樹脂を含む組成物、又は、着色剤及びアルカリ可溶性樹脂を含む組成物が好ましく、ポジ型感光性樹脂組成物がより好ましい。
着色層形成用樹脂組成物の粘度及び表面張力等の物性、並びに、調整方法は、上述した感光性樹脂組成物に記載した内容と同じであってよい。
〔積層体の用途〕
製造後の積層体の用途としては、例えば、反射防止部材が挙げられる。
製造後の積層体は、LED(発光ダイオード、light emitting diode)ディスプレイの反射防止部材として用いることができ、特にマイクロLED(μ-LED)ディスプレイの反射防止部材として好適に用いることができる。マイクロLEDディスプレイにおけるLEDの大きさ(最大径)は、100μm未満であることが好ましい。
製造後の積層体は、LEDディスプレイ以外の表示装置の反射防止部材としても使用できる。
積層体をLEDディスプレイの反射防止部材として用いる場合、LEDディスプレイにおける積層体の位置は、LEDからの発光の視認を妨害しない位置であれば特に制限されないが、積層体は、LEDディスプレイの表示側に設けられるフロント部材であることが好ましい。
LEDディスプレイのフロント部材としては、例えば特開2014-209198号公報の段落0032~0042に記載のLEDディスプレイに用いられるフロント部材が挙げられ、これらの記載内容は本明細書に組み込まれる。
また、LEDディスプレイの反射防止部材は、LEDディスプレイの光の迷光除去用部材としても使用できる。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
[実施例1]
〔転写フィルムの作製〕
<感光性層塗布液1の調製>
感光性層形成用の塗布液として、下記の各成分を混合して、固形分濃度が30質量%である感光性層塗布液1を調製した。
・メタクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル(MA-THF)、メタクリル酸メチル(MMA)及びアクリル酸エチル(EA)の共重合体(MA-THF:MMA:EA=45:28:27(質量比)、Tg=53℃、Mw=40000)を50質量%含有するメチルエチルケトン希釈液:193.9質量部
・下記式(A-1)で表される光酸発生剤:2.0質量部
・下記式(A-2)で表される添加剤:0.17質量部
・下記式(A-3)で表される添加剤:0.75質量部
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製「メガファック F-552」)を30質量%含有するメチルエチルケトン希釈液:0.45質量部
・溶剤:メチルエチルケトン:136質量部
Figure 2022051261000013
<感光性層の形成>
厚さ20μmのPETフィルムからなる仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて感光性層塗布液1を塗布し、形成された塗布膜を乾燥させた。このようにして仮支持体の上に乾燥膜厚が20.0μmである感光性層を設けてなる転写フィルムを作製した。
作製された転写フィルムの透過率を、上記のUVスペクトロフォトメーターを使用して測定し、予め測定した仮支持体の透過率を差し引くことにより、感光性層の透過率を算出した。その結果、感光性層の波長550nmにおける透過率は99.7%であった。また、感光性層の波長550nmにおける光学濃度は、0.0013であった。
〔着色層付き支持体の作製〕
<着色分散物K1の調製>
カーボンナノチューブ(CNT、単層、平均繊維径20nm)2.0質量部、スチレン・アクリル系ポリマー(ジョンソンポリマー社製、ジョンクリル683)6.0質量部、及び、酢酸ブチル92.0質量部をガラス瓶に仕込み、直径0.5mmφのジルコニアビーズをメディアとして、ペイントコンディショナーを用いて1時間分散を行い、着色分散物K1を得た。
<着色層塗布液1の調製>
着色分散物K1を含む下記の各成分を混合して、着色層形成用の塗布液として、着色層塗布液1を調製した。
・着色分散物K1:20質量部
・酢酸プロピル:3.22質量部
・上記のMA-THF、MMA及びEAの共重合体を50質量%含有するメチルエチルケトン希釈液:27.7質量部
・上記式(A-1)で表される光酸発生剤:0.554質量部
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製「メガファック(登録商標)F-551」):0.09質量部
<着色層の形成>
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体の上に、スリット状ノズルを用いて着色層塗布液1を塗布し、形成された塗布膜を乾燥させた。このようにして支持体の上に乾燥膜厚が10.0μmである着色層を設けてなる着色層付き支持体を作製した。
作製された着色層付き支持体の透過率を、X-Rite 361T(V)(サカタインクスエンジニアリング株式会社製)を使用して測定し、予め測定した支持体の透過率を差し引くことにより、着色層のISO Visual(視感)基準に基づく400~700nmの波長領域における透過率を算出した。その結果、着色層の400~700nmの波長領域における透過率は1.0%であり、同じく400~700nmの波長領域における光学濃度は2.0であった。
〔未露光積層体の作製(積層体の準備工程)〕
作製された着色層付き支持体及び転写フィルムを、ラミネーターLamicII型((株)日立インダストリイズ製)を用いて、線圧100N/cm、上ロール100℃、下ロール100℃の加圧加熱条件下で搬送速度4m/分にて貼り合わせ、仮支持体/感光性層/着色層/支持体の層構成を有する未露光積層体のサンプルを作製した。
〔露光工程〕
露光用マスクとして、図1に示すように、1辺0.4μm(400nm)の正方形の開口部が0.8μm(800nm)のピッチで面内の縦方向及び横方向に並んでなる、チェック状の周期パターン(開口率:50%)と、1辺50μmの正方形の開口部が、100μmのピッチで2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスク1を準備した。
超高圧水銀灯を有する露光機(ウシオ電機株式会社製、アライメント露光機MAP-1200)を用いて、マスクを介して仮支持体側から上記で作製された未露光積層体を露光した。露光光はi線(波長365nm)であり、露光量は300mJ/cmであり、マスク1と仮支持体とのギャップは0μm(コンタクト露光)であった。
露光後、積層体から仮支持体を引き剥がした。
〔現像工程〕
次に、感光性層が露出した積層体を、現像液としての炭酸ナトリウム1質量%水溶液(液温:25℃)中に、60秒間浸漬した(ディップ現像)。
現像後の積層体を純水中に20秒間浸漬した後、純水でシャワー洗浄し、エアを吹きかけて、パターン像を形成した。
製造後の積層体を観察した結果、周期パターンを通して露光された部分では、着色層は全て残り、その上の感光性層に円錐状の突起を有する周期構造(パターン構造A1)が形成された。また、第2マスクパターンを通して露光された部分では、第2マスクパターンの開口部に対応する開口(パターン構造A2及びB2)が、感光性層及び着色層のそれぞれに形成された。
表1に、感光性層に形成されたパターン構造A1及び着色層に形成されたパターン構造B2を示す。
[実施例2~5]
露光用マスクとして、図1に示すような、正方形の開口部が面内の縦方向及び横方向に並んでなるチェック状の周期パターン(開口率:50%)と、1辺50μmの正方形の開口部が2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスク2~5をそれぞれ使用したこと以外は、実施例1に記載の方法に従って、積層体を製造した。
後述する表1に、実施例2~5でそれぞれ使用したマスク2~5において、周期パターンを構成する正方形の開口部の1辺の長さ(単位:μm)、及び、周期パターンのピッチ(単位;μm)をそれぞれ示す。
[実施例6~9]
後述する表1に示す厚さ(乾燥膜厚)を有する感光性層を形成して未露光積層体を作製したこと以外は、実施例3の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例10~14]
後述する表1に示す厚さ(乾燥膜厚)を有する着色層を形成して未露光積層体を作製したこと以外は、実施例3の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例15]
<着色分散物K2の調製>
下記のカーボンブラック、分散剤、ポリマー及び溶剤を下記の組成で混合し、3本ロール及びビーズミルを用いて分散処理を行い、着色分散物K2を得た。
・特許第5320652号公報の段落[0036]~[0042]の記載に従って作製した樹脂被覆カーボンブラック:13.1質量%
・分散剤(下記構造式で表される分散剤1):0.65質量%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合体物、重量平均分子量3.7万):6.72質量%
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):79.53質量%
Figure 2022051261000014
着色分散物K1(20質量部)に代えて、上記方法で調製された着色分散物K2を使用したこと以外は、上記<着色層塗布液1の調製>の方法に従って、着色層塗布液2を調製した。
得られた着色層塗布液2を、着色層塗布液1に代えて使用したこと以外は、実施例3の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例16~18]
露光工程において、表1に示す露光量で露光したこと以外は、実施例3の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例19]
<着色層塗布液3の調製>
着色分散物K1を含む下記の各成分を混合して、着色層形成用の塗布液として、ネガ型感光性樹脂を含む着色層塗布液3を調製した。
・着色分散物K1:20質量部
・酢酸ノルマルプロピル:17.38質量部
・KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製):5.63質量部
・ベンゾメタクリレートとメタクリレートの共重合体(ベンゾメタクリレート:メタクリレートのモル比率=70:30、重量平均分子量Mw=5000、酸価=112mgKOH/g):8.18質量部
・IRGACURE(登録商標)OXE 02(BASF社製):0.55質量部
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製「メガファック F-551」):0.09質量部
着色層塗布液1に代えて上記で調製された着色層塗布液3を使用したこと以外は、実施例1の上記<着色層の形成>に記載の方法に従って、着色層付き支持体を作製した。
形成された着色層の透過率及び光学濃度を、実施例1の上記<着色層の形成>に記載の方法に従って求めた。その結果、着色層の400~700nmの波長領域における透過率は1.0%であり、400~700nmの波長領域における光学濃度は2.0であった。
得られた着色層付き支持体を用いて、実施例3に記載の方法に従って積層体を製造した。
[実施例20]
露光工程において、超高圧水銀灯を有するプロキシミティ型露光機(ウシオ電機株式会社製、アライメント露光機MAP-1200)を用いて、マスク3と仮支持体との間に50μmのギャップを形成するプロキシミティ露光を行い、未露光積層体を露光したこと以外は、実施例3に記載の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例21]
1辺4.8μmの正方形の開口部が9.6μmのピッチで面内の縦方向に並んでなる繰り返しパターンと、4.8μmの辺と14.4μmの辺を有する長方形の開口部が19.2μmのピッチで面内の縦方向に並んでなる繰り返しパターンとが互い違いに並んで形成された周期パターン(開口率:62.5%)と、1辺50μmの正方形の開口部が2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスク6を準備した。
図2に、マスク6が有する周期パターンの形状を示す。マスク6には、周期パターンとして、2種の繰返しパターンにより十字状の開口部を有するホールパターンが形成されている。
露光工程において、マスク3に代えて上記のマスク6を使用したこと以外は、実施例3に記載の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例22]
幅4.8μmの帯状の開口部が面内の縦方向及び横方向に形成され、1辺が4.8μmの正方形からなる遮光部が9.6μmのピッチで面内の縦方向及び横方向に並んでなる周期パターン(開口率:75.0%)と、1辺50μmの正方形の開口部が2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスク7を準備した。
図3に、マスク7が有する周期パターンの形状を示す。マスク7には、周期パターンとして、孤立した島状の突起が配列してなるドットパターンが形成されている。
露光工程において、マスク3に代えて上記のマスク7を使用したこと以外は、実施例3に記載の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例23]
直径6.0μmの円形の開口部が10.0μmのピッチで面内の縦方向及び横方向に並んでなる周期パターン(開口率:28%)と、1辺50μmの正方形の開口部が2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスク8を準備した。
図4に、マスク8が有する周期パターンの形状を示す。マスク8には、周期パターンとして、円形の開口部が配列してなるホールパターンが形成されている。
露光工程において、マスク3に代えて上記のマスク8を使用したこと以外は、実施例3に記載の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例24]
六角形の開口部が、10.0μmのピッチで面内の縦方向及び横方向に並んでなる周期パターン(開口率:23%)と、1辺50μmの正方形の開口部が2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスク9を準備した。上記の開口部の配列方向の幅は、6.0μmであった。
図5に、マスク9が有する周期パターンの形状を示す。マスク9には、周期パターンとして、六角形の開口部が配列してなるホールパターンが形成されている。
露光工程において、マスク3に代えて上記のマスク9を使用したこと以外は、実施例3に記載の方法に従って、積層体を製造した。
[実施例25]
幅2.0μmの帯状の開口部が面内の縦方向及び横方向に形成され、1辺が10.0μmの正方形からなる遮光部が12.0μmのピッチで面内の縦方向及び横方向に並んでなる周期パターン(開口率:31%)と、1辺50μmの正方形の開口部が2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスク10を準備した。
図6に、マスク10が有する周期パターンの形状を示す。マスク10には、周期パターンとして、孤立した島状の突起が配列してなるドットパターンが形成されている。
露光工程において、マスク3に代えて上記のマスク10を使用したこと以外は、実施例3に記載の方法に従って、積層体を製造した。
[比較例1]
厚さ(乾燥膜厚)が4.0μmの感光性層が形成されるように、感光性層塗布液1の塗布量を調整したこと以外は、実施例1の<感光性層の形成>に記載の方法で転写フィルムを作製した。作製された転写フィルムが有する感光性層の波長550nmにおける透過率は99.9%であり、感光性層の波長550nmにおける光学濃度は、0.0004であった。
次いで、上記で得られた転写フィルムを用いて、実施例3に記載の方法に従って、未露光積層体の作製、露光工程、及び、現像工程を実施し、積層体を製造した。
その結果、現像工程によって、感光性層がすべて除去され(感光性層の厚さが0であり)、パターン構造A1は形成されなかった。
[比較例2]
露光用マスクとして、図1に示すような、正方形の開口部が面内の縦方向及び横方向に並んでなるチェック状の周期パターン(開口率:50%)であって、開口部の正方形の1辺が15.0μmである周期パターンと、1辺50μmの正方形の開口部が2つ並んでなる第2マスクパターンとを有するマスクC2を使用したこと以外は、実施例1に記載の方法に従って、積層体を製造した。
[評価]
〔表面反射率の評価〕
分光測色計(コニカミノルタ(株)製「CM-700D」)を使用し、積層体のパターン構造A1が形成された領域の感光性層側からの表面反射率を測定した。表面反射率としては、正規反射率を含む全反射率(SCI:Specular Component Include)、及び、正規反射率を除いた拡散反射率(SCE:Specular Component Exclude)の両者を評価した。測定は360nm~740nmの範囲で、10nm刻みで測定を行った。反射率の代表値として550nmの値を採用し、SCI及びSCEのそれぞれについて、以下の評価基準により評価した。評価結果を、後述する表1に示す。
なお、感光性層のパターン構造A1が形成されなかった比較例1の積層体に対しては、表面反射率、及び、後述する明度の評価を行わなかった。
(SCI評価基準)
A:SCIが1.0%以下である
B:SCIが1.0%を超え2.0%以下である
C:SCIが2.0%を超え4.0%未満である
D:SCIが4.0%以上である
(SCE評価基準)
A:SCEが1.0%以下である
B:SCEが1.0%を超え2.0%以下である
C:SCEが2.0%を超え4.0%未満である
D:SCEが4.0%以上である
〔明度L値の評価〕
上記の表面反射率を測定する際、同時に、分光測色計(コニカミノルタ(株)製「CM-700D」)が備えるCIE標準光源D65を使用して、積層体のパターン構造A1が形成された領域の感光性層側からの明度L値(D65)を測定した。得られた測定値から、下記の評価基準に基づいて、積層体の明度L値を評価した。なお、明度L値としては、表面反射率と同様に、SCI及びSCEの両者を評価した。評価結果を、後述する表1に示す。
(明度L値評価基準)
A:L値が5以下である
B:L値が5を超え10未満である
C:L値が10以上である
〔パターン構造の測定〕
実施例1~25について、製造後の積層体を観察した結果、周期パターンを通して露光された部分では、着色層は全て残り、感光性層の表面に凹凸形状からなるパターンが形成された。
また、実施例1~18及び20~25について、第2マスクパターンを通して露光された部分では、第2マスクパターンの開口部に対応する開口(パターン構造A2及びB2)が、感光性層及び着色層のそれぞれに形成された。
これらのうち、実施例1~13、15~18及び20~25では、着色層のパターン構造B2を構成する開口が着色層を貫通していた。これらの貫通した開口の下底(着色層と支持体との境界面)の形状はいずれも、露光方向から見て四角形であった。一方、実施例14では、パターン構造B2を構成する開口は、着色層を貫通していなかった。また、ネガ型感光性樹脂を含む着色層塗布液3を用いて着色層を形成した実施例19では、現像工程において着色層が除去されなかった。
各実施例及び各比較例において製造された積層体の感光性層側の表面に、スパッタリング法を30秒間行うことによりプラチナコーティング層を形成した。次いで、プラチナコーティング層を有する積層体を厚さ方向に沿って切断して形成された断面、及び、感光性層側の表面を、SEM(日本電子株式会社製「JSM-7200型FE-SEM」)を用いて観察した。得られた観察画像から、感光性層に形成されたパターン構造A1の周期構造、及び、パターン構造A1の厚さの最小値、並びに、着色層に形成されたパターン構造B2の形状を測定した。
表1に、各実施例及び各比較例における、未露光積層体の各層の構成、マスクの周期パターン及び第2マスクパターンの構造、露光工程の条件、製造後の積層体における感光性層のパターン構造A1の形状及び着色層のパターン構造B2の形状、並びに、各評価結果を示す。
表1中、「感光性層」の「厚さ(μm)」欄は、上記の方法に従って測定した未露光積層体の感光性層の厚さを示す。
「感光性層」の「透過率」欄、及び、「光学濃度」欄は、感光性層の波長550nmにおける透過率(単位:%)及び光学濃度の値をそれぞれ示す。
表1中、「着色層」の「着色剤種類」欄は、各実施例及び各比較例において使用した着色剤の種類を示す。また、実施例19の「CNT(ネガ)」との表記は、ネガ型感光性樹脂を含む着色層塗布液を使用したことを示す。
「着色層」の「厚さ(μm)」欄は、上記の方法に従って測定した未露光積層体の感光性層の厚さを示す。
「着色層」の「透過率」欄、及び、「光学濃度」欄は、感光性層の波長550nmにおける透過率(単位:%)及び光学濃度の値をそれぞれ示す。
表1中、「露光工程」の「露光方式」欄、及び、「露光量」欄は、露光工程において実施した露光方式及び露光光の照射量(単位:mJ/cm)をそれぞれを示す。
また、「露光工程」の「露光量A」欄は、上記「露光量Aの測定方法」に従って、各実施例及び各比較例の感光性層について求められた露光量Aの値(単位:mJ/cm)を示す。
「露光工程」の「倍率」欄は、上記で求められた露光量Aの値に対する、各実施例及び各比較例の露光工程における露光量の値の比率((露光工程での露光量)/(露光量A))の値を示す。
表1中、「感光性層のパターン構造A1」の「周期構造」欄に、各実施例及び比較例2で製造された積層体の感光性層に形成されたパターン構造A1の周期構造の特徴を示す。
「周期構造」の「突起/開口」欄における「突起」との表記は、複数の突起が配列してなる周期構造であることを意味し、「開口」との表記は、複数の開口が配列してなる周期構造であることを意味する。また、「周期構造」の「形状」欄は、「突起/開口」欄に記載した突起又は開口の形状を示す。
例えば、実施例25の積層体の感光性層には、感光性層の表面側の形状が略三角形であり、着色層側に向かうに従ってテーパー状に先細る三角錐の形状を有する開口であって、表面の略三角形の形状が互い違いになるように並んで配置している開口が形成されている。これらの開口によってパターン構造A1が構成されている。
「周期構造」の「高さ(μm)」、及び、「ピッチ(μm)」欄は、周期構造を構成する凹凸形状の厚さ方向における高低差の最大値(単位:μm)、及び、ピッチ(単位:μm)をそれぞれ示す。
「感光性層のパターン構造A1」の「膜厚最小値(μm)」欄は、パターン構造A1が形成された領域における、感光性層の厚さの最小値(単位:μm)を示す。
表1中、「着色層のパターン構造B2」欄に、各実施例及び比較例2で製造された積層体の着色層に形成されたパターン構造B2の形状の特徴を示す。
「開口(下底)」の「形状」欄は、パターン構造B2に形成された開口の厚さ方向から観察した形状を示し、「サイズ(μm)」欄は、四角形の開口の感光性層から最も離れた位置(下底)における1辺の長さ(単位:μm)を示す。
「着色層のパターン構造B2」の「ピッチ(μm)」欄は、パターン構造B2のピッチ、即ち、第2マスクパターンに形成された開口部のサイズと2つの開口部間の距離との合計(単位:μm)を示す。
Figure 2022051261000015
Figure 2022051261000016
表1に記載の結果から、実施例1~25の積層体は、比較例1及び2の積層体に比較して、拡散反射率(SCE)及び正規反射率を含む全反射率(SCI)がいずれも低く、かつ、明度L値も低く抑えられており、本発明の効果に優れることが確認された。
10 周期パターン
12 開口部
p ピッチ

Claims (22)

  1. 着色層、及び、厚さが5.0μm以上である感光性層を備える積層体を準備する積層体準備工程と、
    マスクを用いて前記感光性層に光を照射する露光工程と、
    前記感光性層を現像する現像工程と、を有し、
    前記マスクが、ピッチが12.0μm以下である周期構造を形成するように配置された開口部を含む周期パターンを有する、
    積層体の製造方法。
  2. 前記露光工程において照射する光の照射量が、下記の測定方法で得られる露光量Aに対して10.0倍以下である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
    露光量Aの測定方法:ポリエチレンテレフタレートからなる支持体Aと、支持体A上に設けられ、前記積層体準備工程で準備する積層体が有する感光性層と同じ組成を有し、厚さが20μmである感光性層Aとを有する積層体A1を準備する。前記積層体A1に対して、50μm四方の孤立した開口部を有するマスクAを介して、超高圧水銀灯を用いて波長365nmの露光光でコンタクト露光する。次いで、前記積層体Aを、液温が25℃の炭酸ナトリウム1質量%水溶液中に60秒間浸漬することにより現像し、更に液温が25℃の純水中に20秒間浸漬した後、前記積層体Aにエアを噴射することにより、現像された積層体A2を作製する。この積層体A2の作製を、前記露光における露光量を変えて複数回行い、作製された積層体A2において、感光性層Aが貫通し、支持体Aの一部が露出するために必要な波長365nmの露光光の露光量の最小値を求め、これを露光量A(単位:mJ/cm)とする。
  3. 前記マスクが、前記周期パターンの開口部よりも面積が広い開口部を少なくとも1つ有する第2のマスクパターンを更に有し、
    前記現像工程により、前記周期パターンに対応するパターン構造A1、及び、前記第2のマスクパターンに対応するパターン構造A2が、前記感光性層に形成される、
    請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記現像工程により、前記パターン構造A2の少なくとも一部において前記感光性層が貫通する、請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記現像工程により、前記第2のマスクパターンに対応するパターン構造B2が、前記着色層に形成される、請求項4に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記現像工程により、前記パターン構造B2の少なくとも一部において前記着色層が貫通する、請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記ピッチが、0.10~12.0μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記露光工程において、前記マスクと前記感光性層との距離が200μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記露光工程において、365nmの波長を含む光を照射する、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  10. 前記感光性層の波長550nmにおける光学濃度が0.5以下であり、
    前記感光性層の厚さが5.0~30.0μmである、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  11. 前記感光性層がポジ型感光性層である、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  12. 前記感光性層が、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体、及び、光酸発生剤を含有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  13. 前記着色層の400~700nmの波長領域における光学濃度が1.0~6.0であり、
    前記着色層の厚さが2.0~100μmである、
    請求項1~12のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  14. 前記着色層が、アルカリ可溶性層、又は、ポジ型感光性層である、請求項1~13のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  15. 前記着色層が、カーボンブラック及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  16. 前記積層体が、反射防止部材である、請求項1~15のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  17. 前記積層体が、LEDディスプレイのフロント部材である、請求項1~15のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
  18. 請求項1~15のいずれか1項に記載の製造方法で製造された積層体を有する、反射防止部材。
  19. 請求項1~15のいずれか1項に記載の製造方法で製造された積層体を有する、LEDディスプレイのフロント部材。
  20. 仮支持体、厚さが5.0μm以上である感光性層、及び、着色層をこの順に備える、転写フィルム。
  21. 前記感光性層の波長550nmにおける光学濃度が0.5以下であり、
    前記感光性層の厚さが5.0~30.0μmである、
    請求項20に記載の転写フィルム。
  22. 前記着色層の400~700nmの波長領域における光学濃度が1.0~6.0であり、
    前記着色層の厚さが2.0~100μmである、
    請求項20又は21に記載の転写フィルム。
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