JP2023007384A - 積層体、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法 - Google Patents

積層体、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023007384A
JP2023007384A JP2022053698A JP2022053698A JP2023007384A JP 2023007384 A JP2023007384 A JP 2023007384A JP 2022053698 A JP2022053698 A JP 2022053698A JP 2022053698 A JP2022053698 A JP 2022053698A JP 2023007384 A JP2023007384 A JP 2023007384A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photosensitive layer
layer
meth
wavelength
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022053698A
Other languages
English (en)
Inventor
進二 藤本
Shinji Fujimoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to CN202210609332.4A priority Critical patent/CN115542669A/zh
Publication of JP2023007384A publication Critical patent/JP2023007384A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

【課題】露光かぶりが抑制される積層体を提供する。また、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供する。【解決手段】第1組成物層と、第1透明導電層と、透明基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、上記第1組成物層が、少なくとも第1感光性層を含み、上記第2組成物層が、少なくとも第2感光性層を含み、上記積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が0.5%以上である、積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法に関する。
基板の両面に電極が配置された回路配線の製造方法として、例えば、特許文献1では、「両面電極構造を形成するためのパターン形成方法であって、
2つの対向する表面を有し、且つ、対向する前記表面に第1感光性層及び第2感光性層が形成されている基板を準備する工程と、
前記第1感光性層の上に第1金属ナノワイヤ層を形成し、前記第2感光性層の上に第2金属ナノワイヤ層を形成する工程であって、前記第1金属ナノワイヤ層及び第2金属ナノワイヤ層は、複数の金属ナノワイヤから形成されている工程と、
両面リソグラフィープロセスを実施する工程と、を有し、
前記両面リソグラフィープロセスを実施する工程が、
露光プロセスを実行して、第1感光性層における除去領域及び非除去領域、並びに、第2感光性層における除去領域及び非除去領域を定義する工程と、
定義された除去領域内の、前記第1感光性層及び前記第2感光性層並びに前記第1金属ナノワイヤ層及び前記第2金属ナノワイヤ層中における金属ナノワイヤを現像液によって除去して、それにより、前記第1金属ナノワイヤ層及び前記第2金属ナノワイヤ層をパターン化して、前記基板の反対側の表面に第1電極及び第2電極をそれぞれ形成する工程と、を有する工程と、を有する、両面電極構造を形成するためのパターン形成方法。」を開示している。
ところで、感光性層を含む転写フィルムが、近年、多分野で益々利用されている。
転写フィルムは製品のコストダウンに寄与できるため、エッチングレジスト用のフィルム及び配線保護膜用のフィルム等として使用することが提案されている。
一方で、転写フィルムに求められる機能も益々高度化しており、複数の機能層を積層した構成とすることも検討されている。
米国公開2019/0371830号公報
今般、本発明者は、転写フィルムを使用して、両面リソグラフィープロセスによって、透明基材の両面にパターン化された透明導電層を形成する方法について検討したところ、例えば、透明基材の対向する2つの表面に、透明基材側から順に透明導電層及び感光性層を各々有する積層体に対して両面露光を行う場合、一方の感光性層の露光の際に、この露光光によって他方の感光性層も露光してしまう現象(以下「露光かぶり(fogging)」ともいう。)が発生する場合があることを明らかとした。露光かぶりが発生すると、感光性層が所望の形状に形成できない虞がある。
そこで、本発明は、露光かぶりが抑制される積層体を提供することを課題とする。
また、本発明は、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕 第1組成物層と、第1透明導電層と、透明基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、
上記第1組成物層が、少なくとも第1感光性層を含み、
上記第2組成物層が、少なくとも第2感光性層を含み、
上記積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が0.5%以上である、積層体。
〔2〕 上記第1感光性層の最大感度波長における光学濃度が、0.5以下である、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕 上記第2感光性層の最大感度波長における光学濃度が、0.5以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の積層体。
〔4〕 上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子よりなる群から選択される1種以上を含む層である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の積層体。
〔5〕 上記第1感光性層の最大感度波長及び上記第2感光性層の最大感度波長の少なくとも一方が、250~395nmの範囲である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の積層体。
〔6〕 上記第1感光性層の最大感度波長及び上記第2感光性層の最大感度波長の少なくとも一方が、395nm超500nm以下の範囲である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の積層体。
〔7〕 上記透明基材のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が、0.5%以上である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の積層体。
〔8〕 上記第1組成物層が、上記第1透明導電層側から順に、上記第1感光性層と、第1散乱層とを含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層体。
〔9〕 上記第1散乱層が、粒子を含む、〔8〕に記載の積層体。
〔10〕 上記第1感光性層が、粒子を含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層体。
〔11〕 上記第1組成物層の表面の算術平均粗さが、0.01~1μmである、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層体。
〔12〕 上記第1組成物層が、上記第1透明導電層側から順に、第1散乱層と、上記第1感光性層、を含む、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の積層体。
〔13〕 上記第1散乱層が、粒子を含む、〔12〕に記載の積層体。
〔14〕 上記第2組成物層が、下記(X1)~(X4)のいずれか1つ以上を満たす、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の積層体。
(X1)上記第2組成物層が、上記第2透明導電層側から順に、上記第2感光性層と、第2散乱層とを含む。
(X2)上記第2感光性層が粒子を含む。
(X3)上記第2組成物層の表面の算術平均粗さが、0.01~1μmである。
(X4)上記第2組成物層が、上記第2透明導電層側から順に、第2散乱層と、上記第2感光性層とを含む。
〔15〕 仮支持体と、組成物層とを有する転写フィルムであって、
上記組成物層が、感光性層を含み、
要件1及び要件2のいずれかを満たす、転写フィルム。
要件1:上記転写フィルムの上記仮支持体側とは反対面がガラス基板と接するように上記転写フィルムと上記ガラス基板とを貼り合わせた後、上記仮支持体を剥離して得られる積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が、0.5%以上である。
要件2:上記転写フィルムの上記仮支持体側とは反対面がガラス基板と接するように上記転写フィルムと上記ガラス基板とを貼り合わせて得られる積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が0.5%以上である。
〔16〕 上記組成物層が、更に、散乱層を含む、〔15〕に記載の転写フィルム。
〔17〕 上記散乱層が、粒子を含む、〔16〕に記載の転写フィルム。
〔18〕 〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の積層体中の上記第1感光性層及び上記第2感光性層に対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
上記第1感光性層を露光する、第1感光性層露光工程と、
上記第2感光性層を露光する、第2感光性層露光工程と、
露光された上記第1感光性層を現像して第1樹脂パターンを形成する、第1現像工程と、
露光された上記第2感光性層を現像して第2樹脂パターンを形成する、第2現像工程と、を含み、
上記第1感光性層露光工程における露光波長の主波長λと、上記第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λとが異なる、パターン形成方法。
〔19〕 上記第1感光性層露光工程及び上記第2感光性層露光工程が、同時又は逐次に行われる、〔18〕に記載のパターン形成方法。
〔20〕 上記第1現像工程及び上記第2現像工程が、同時又は逐次に行われる、〔18〕又は〔19〕に記載のパターン形成方法。
〔21〕 上記第1樹脂パターンをマスクとして用いて、上記第1透明導電層をエッチングする工程、及び、上記第2樹脂パターンをマスクとして用いて、上記第2透明導電層をエッチングする工程の少なくとも一方を含む、〔18〕~〔20〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔22〕 上記第1感光性層露光工程における露光波長が、波長405nmを含まず、
上記第2感光性層露光工程における露光波長が、波長365nmを含まない、〔18〕~〔21〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔23〕 上記第1感光性層露光工程における露光波長が、波長365nmを含まず、
上記第2感光性層露光工程における露光波長が、波長405nmを含まない、〔18〕~〔21〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔24〕 〔18〕~〔23〕のいずれかに記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
本発明によれば、露光かぶりが抑制される積層体を提供できる。
また、本発明によれば、転写フィルム、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法も提供できる。
本発明の積層体の実施形態の一例及びその作用機序を示した模式断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本明細書において、特段の断りのない限り、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、若しくは、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー株式会社製の商品名)、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)、検出器として示差屈折計、及び標準物質としてポリスチレンを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定した標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある化合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)である。
本明細書において、特段の断りがない限り、ポリマーの構成単位の比は質量比である。
本明細書において、特段の断りがない限り、金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析装置を用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターを用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、色相は、色差計(CR-221、ミノルタ株式会社製)を用いて測定した値である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロキシ基」は、アクリロキシ基及びメタアクリロキシ基の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念である。
なお、本明細書において、「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
本明細書において「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。したがって、例えば、水溶性樹脂とは、上述の溶解度条件を満たす樹脂を意図する。
本明細書において、組成物の「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層を形成する成分を意味し、組成物が溶剤(有機溶剤、水等)を含む場合、溶剤を除いたすべての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
本明細書において、感光性層(第1感光性層及び第2感光性層)について「最大感度波長」という場合、「最大感度波長」とは、光の波長毎に感光性層が反応する最低露光量を分光感度として求め、最低露光量が最も小さくなる波長を指す。
なお、「最大感度波長」は、例えば、以下の方法によって決定できる。感光性層(第1感光性層及び第2感光性層)に対し、特定波長の光を、ストーファー4105ステップウエッジタブレットを通して照射した際に、感光性層中の感光材料が反応を起こす最低露光量をEminとする。照射する波長を変えることで、分光感度曲線を取得できる。Eminは波長ごとに異なるため、最小値をとる波長が「最大感度波長」となる。
ネガ型感光性層においては、露光部が残存する最低露光量をEminとすることができる。一方、ポジ型感光性層においては、露光部が除去される最低露光量をEminとすることができる。
なお、光源光が高圧水銀灯のように離散的な(g線、h線、i線のように)光量分布を持つ場合、又は、フィルター等を用いて照射光の波長制御を行う場合、感光材料に実際に当たる光の中で最も感度が高い波長を「最大感度波長」とする。例えば、ある感光材料の分光感度曲線で最小値が290nmにあり、2番目が365nm(i線)にあったとする。高圧水銀灯では290nmの光は実質的にほとんど出ていないため、この感光材料を高圧水銀灯で露光する場合は365nmが最大感度波長となる。
本明細書において、「露光波長」とは、感光性層(第1感光性層及び第2感光性層)を露光する際に照射される光の波長であって、感光性層に到達する光の波長を意味する。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して感光性層を露光する場合、上記フィルターを通過する前の光の波長は露光波長に該当しない。ここで、「波長選択性」とは、特定の波長範囲の光を透過する性質を意味する。本明細書において、光の波長及び光の強度は、公知の分光器(例えば、RPS900-R、International Light Technologies社製)を用いて測定する。
本明細書において、「主波長」とは、感光性層(第1感光性層及び第2感光性層)に到達する光の波長(すなわち露光波長)のうち強度が最も大きい光の波長を指す。例えば、感光性層に到達する光が、波長365nmと波長405nmとを有し、波長365nmの強度が波長405nmの強度よりも大きい露光光である場合、上記露光光の主波長は365nmとなる。本明細書において、「露光光」とは、感光性層を露光するために使用される光を意味する。
本発明において「透明」とは、露光波長のうち主波長における透過率が30%以上であることを意味する。上記透過率としては、50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのが更に好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。上記透過率の上限としては、特に制限されず、例えば、100%以下である。
透過率は、公知の透過率測定器(例えば、日本分光社製V-700series)を用いて測定する。
本明細書において、測定対象物の表面の算術平均粗さ(Ra)は、特に断りのない限り、以下の方法により測定される。
3次元光学プロファイラー(New View7300、Zygo社)を用いて、以下の条件にて測定対象物の表面プロファイルを得る。測定及び解析ソフトウェアとしては、MetroPro ver8.3.2のMicroscope Applicationを用いる。次に、上記ソフトウェアを用いてSurface Map画面を表示し、Surface Map画面中でヒストグラムデータを得る。得られたヒストグラムデータから、測定対象物の表面の算術平均粗さRaを得る。
本明細書において、感光性層の光学濃度(OD値)の定義及び測定方法は、特に断りのない限り、吸収度合を対数で表示した値であって、下式で定義される値である。
OD(λ)=Log10[T(λ)/I(λ)]
λは感光性層の最大感度波長を表し、T(λ)は波長λにおける透過光量を表し、I(λ)は波長λにおける入射光量を表す。
なお、感光性層の光学濃度は、感光性層の最大感度波長の光を入射し、その透過率を日立ハイテクノロジー社製分光器UV4100(商品名)により測定した値である。
[積層体]
本発明の積層体は、第1組成物層と、第1透明導電層と、透明基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、
上記第1組成物層が、少なくとも第1感光性層を含み、
上記第2組成物層が、少なくとも第2感光性層を含み、
上記積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が0.5%以上である。
上記構成の本発明の積層体によれば、積層体に対して両面露光を実施する場合であっても、一方の感光性層の露光の際に、この露光光によって他方の感光性層も露光してしまう現象(露光かぶり)が抑制できる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者は以下のように推測している。
透明基材上の対向する2つの表面に透明基材側から順に透明導電層及び感光性層が各々配置された積層体に対して透明導電層のパターニングを実施する場合、一方の感光性層の露光光が積層体内を透過し、その結果として他方の感光性層が露光されてしまう場合がある。これに対して本発明の積層体は、ヘイズ値を所定値以上としているため、一方の感光性層の露光光が積層体内において散乱されながら透過することから、露光光が他方の感光性層に到達するときには、その単位当たりの光強度を大きく低下させている。この結果として、他方の感光性層の露光かぶりが抑制できる。
本発明の積層体の構成と作用機序について、図面を参照してより具体的に説明する。ここでは、本発明の積層体における第1組成物層及び第2組成物層が後述する(X1)の形態を備えている積層体を一例として挙げる。
図1は、本発明の積層体の一実施形態を示す図である。図1に示す積層体10は、第1組成物層1Aと、第1透明導電層2Aと、透明基材3と、第2透明導電層2Bと、第2組成物層1Bとをこの順に有する。第1組成物層1Aは、第1透明導電層2A側から順に、第1感光性層11Aと散乱層12Aとを含む。また、第2組成物層1Bは、第2透明導電層2B側から順に、第2感光性層11Bと第2散乱層12Bとを含む。積層体10のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値は、0.5%以上である。
積層体10の第1感光性層11Aを露光する場合、図1中の白抜きの矢印方向からマスク開口部へ入射した光は、第1散乱層12Aにて散乱される(図1の点線:散乱光)。つまり、露光光のうち直進光(第2組成物層の方向へ進む光)が散乱され得る。この作用機序により、露光光が第2感光性層1Bに到達するときには、その単位当たりの光強度が大きく低下している。一方、積層体10の第2感光性層11Bを露光する場合、図1中の黒矢印方向からマスク開口部へ入射した光は、第2散乱層12Bにて散乱される(図1の点線:散乱光)。つまり、露光光のうち直進光(第1組成物層の方向へ進む光)が散乱され得る。この作用機序により、露光光が第1感光性層11Bに到達するときには、その単位当たりの光強度が大きく低下している。なお、後述するように、積層体に対して両面露光を実施する場合において、第1感光性層及び第2感光性層に対する露光処理は、同時に実施されてもよいし、逐次に実施されてもよい。
以下において、積層体の露光かぶりがより優れること、及び/又は、パターン形成の際の解像性がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」という場合もある。
〔積層体の構成〕
<第1組成物層及び第2組成物層の構成>
第1組成物層及び第2組成物層の各組成物層の構成としては特に制限されない。以下、各組成物層の構成の一例を挙げる。第1組成物層及び第2組成物層の構成は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第1組成物層及び第2組成物層が同一である場合としては、例えば、第1組成物層及び第2組成物層がいずれも下記(1)で示される層構成である場合が該当する。また、第1組成物層及び第2組成物層が異なっている場合とは、例えば、第1組成物層が下記(1)で示される層構成であり、第2組成物層が下記(4)で示される層構成である場合等が該当する。
(1)(透明導電層側)感光性層/散乱層
(2)(透明導電層側)感光性層/散乱層/熱可塑性樹脂層
(3)(透明導電層側)感光性層/中間層/熱可塑性樹脂層
(4)(透明導電層側)感光性層
(5)(透明導電層側)散乱層/感光性層
<他の層>
積層体は、第1組成物層、第1透明導電層、透明基材、第2透明導電層、及び、第2組成物層以外のその他の層を含んでいてもよい。その他の層としては、例えば、仮支持体等が挙げられる。
積層体の第1組成物層及び第2組成物層は、転写フィルムを使用して作製されるのが好ましい。積層体が転写フィルムから作製される場合、転写フィルム自体が第1透明導電層及び第2透明導電層上に各々貼合され、透明導電層上に仮支持体がそのまま残ることがある。本発明の積層体は、この仮支持体を有していてもよいし、有していなくてもよい。言い換えると、本発明の積層体は、第1組成物層の第1透明導電層側とは反対面、及び、第2組成物層の第2透明導電層側とは反対面に、各々仮支持体を有していてもよいし、有していなくてもよい。
〔積層体のヘイズ値〕
本発明の積層体において、JIS-K-7136に規定されるヘイズ値は、0.5%以上である。積層体のヘイズ値としては、本発明の効果がより優れる点で、1.0%以上が好ましく、2.0%以上がより好ましく、8.0%以上が更に好ましく、10%以上が特に好ましい。上限値としては特に制限されないが、解像性がより優れる点で、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましく、20%以下がより更に好ましく、10%以下が特に好ましい。
〔積層体のヘイズ値を所定値以上にする方法〕
積層体のヘイズを所定値以上にする方法としては特に制限されず、例えば、第1組成物層及び第2組成物層を、各々、下記(X1)~(X4)のいずれか1つ以上を満たす形態とする方法、及び、透明基材を下記(X5)の形態とする方法等が挙げられる。なお、積層体のヘイズを所定値以上にする方法としては、第1組成物層及び第2組成物層を、各々、下記(X1)~(X4)のいずれか1つ以上を満たす形態とし、且つ、透明基材を下記(X5)の形態とする方法であってもよい。
以下に示す(X1)~(X4)の各形態において、「組成物層」という場合、第1組成物層又は第2組成物層のいずれか一方を意図する。また、「感光性層」という場合、第1感光性層又は第2感光性層のいずれか一方を意図する。また、「透明導電層」という場合、第1透明導電層又は第2透明導電層のいずれか一方を意図する。
(X1)組成物層が、透明導電層側から順に、感光性層と散乱層とを含む。
(X2)感光性層が粒子を含む。
(X3)組成物層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.01~1μmである。
(X4)組成物層が、透明導電層側から順に、散乱層と、感光性層とを含む。
(X5)透明基材のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が、0.5%以上である。
以下において、上述した(X1)~(X5)の各形態について、各々説明する。
<形態(X1)>
組成物層が(X1)の形態を満たす場合、組成物層は、透明導電層側から順に、感光性層と散乱層とを含む。例えば、第1組成物層が上述の(X1)の形態を満たす場合、第1組成物層は、第1透明導電層側から順に、第1感光性層と第1散乱層とを含む。また、例えば、第2組成物層が上述の(X1)の形態を満たす場合、第2組成物層は、第2透明導電層側から順に、第2感光性層と第2散乱層とを含む。
以下において、形態(X1)を満たす組成物層について説明する。
(X1)の形態を満たす組成物層は、透明導電層側から順に、感光性層と散乱層とを含む。なお、組成物層は、感光性層と散乱層以外のその他の層を含んでいてもよい。
(感光性層)
感光性層は、ポジ型感光性層及びネガ型感光性層のいずれであってもよい。
感光性層としては、後段部の〔第1組成物層〕及び〔第2組成物層〕にて説明する感光性層が適用できる。
(散乱層)
(X1)の形態を満たす組成物層において、散乱層の形態としては、光を散乱させる機能を有していれば特に制限されない。また、散乱層としては、酸素遮断能を有していることも好ましい。散乱層が酸素遮断能を有することで、露光時の感度が向上し、露光機の時間負荷が低減して生産性が向上するため好ましい。また、感光性層がネガ型感光性層の場合、露光の際の重合反応において酸素阻害が生じにくい利点もある。
散乱層としては、なかでも、光を散乱させる機能を有しつつ、低い酸素透過性を示し、且つ、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散する層であるのが好ましい。
このような散乱層の一実施形態としては、例えば、散乱材とバインダーとを含む層、又は、バインダーを含む層であって層表面に凹凸が付与された層であるのが好ましく、散乱材と水溶性樹脂とを含む層、又は、水溶性樹脂を含む層であって層表面に凹凸形状が付与された層であるのがより好ましい。
なお、散乱材とバインダーとを含む層は、表面に凹凸形状が付与されていてもよい。
散乱層のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値としては、0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.2%以上が更に好ましく、0.5%以上が特に好ましく、5.0%以上が最も好ましい。上限値としては特に制限されず、例えば、100%以下であり、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましい。
散乱層の厚さは、特に制限されない。散乱層の平均厚さとしては、搬送性及び製膜性の点で、0.05~10μmであるのが好ましく、0.5~2μmであるのがより好ましい。散乱層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、透明基材の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
≪散乱材とバインダーとを含む層≫
散乱材及びバインダーの種類は特に制限されないが、屈折率に差がある組み合わせであるのが好ましく、具体的には、散乱剤の屈折率がバインダーの屈折率よりも大きくなる、散乱剤とバインダーとの組み合わせ、及び、散乱剤の屈折率がバインダーの屈折率よりも小さくなる、散乱剤とバインダーとの組み合わせが挙げられる。屈折率の差としては、特に制限されないが、例えば、0.2以上であるのが好ましい。
散乱材としては、粒子であることが好ましい。
粒子の平均粒径としては特に制限されず、例えば、0.01~100μmが好ましく、0.05~10μmがより好ましく、0.1~1μmが更に好ましい。
粒子としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、及び、オレフィン樹脂等の樹脂を材料とする樹脂粒子、並びに、金属又は金属酸化物を材料とする金属含有粒子が挙げられる。金属含有粒子としては、シリカ(SiO)及び酸化チタン(TiO)等が挙げられる。また、有機膜や無機膜の内部に空隙を有する中空粒子が挙げられる。
粒子は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
粒子の含有量は特に制限されないが、散乱層の全質量に対して、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
バインダーとしては特に制限されず、樹脂が挙げられ、なかでも、水溶性樹脂であるのが好ましい。
水溶性樹脂として使用可能な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体)、アクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレンオキサイド系樹脂)、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等の樹脂が挙げられる。
また、水溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体等も使用できる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
バインダーの重量平均分子量の下限値としては、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、その上限値としては、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
バインダーの分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
バインダーとしては、本発明の効果がより優れる点で、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される1種以上を含むのが好ましく、ポリビニルアルコールを含むのがより好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンをいずれも含むのが更に好ましい。ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの配合比(質量比)としては、5/95~95/5が好ましく、20/80~80/20がより好ましく、25/75~70/25が更に好ましく、40/60~80/20が特に好ましい。
また、バインダーとしては、本発明の効果がより優れる点で、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される1種以上と、水溶性セルロース誘導体及びポリエーテル類からなる群より選択される1種以上とを併用するのも好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される1種以上と、水溶性セルロース誘導体とを併用するのがより好ましい。
バインダーとして、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される1種以上と、水溶性セルロース誘導体とを併用する場合、本発明の効果がより優れる点、仮支持体の剥離性がより向上する点、及び/又は、酸素遮断能がより優れる点で、水溶性セルロース誘導体の含有量としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び水溶性セルロース誘導体の合計含有量に対して、10質量%未満であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。なお、下限値としては特に制限されないが、例えば、0.1質量%以上であるのが好ましい。
水溶性セルロース誘導体としては特に制限されないが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等が挙げられる。
ポリエーテル類としては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。
バインダーは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
バインダーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点、仮支持体の剥離性がより向上する点、及び/又は、酸素遮断能がより優れる点で、散乱層の全質量に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、90質量%以下であり、80質量%以下が好ましい。
また、本態様の散乱層は、上記バインダー以外の他の成分を有していてもよい。上記他の成分としては、多価アルコール類、多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物、フェノール誘導体、及び、アミド化合物等が挙げられる。
≪バインダーを含む層であって層表面に凹凸形状が付与された層≫
バインダーを含む層であって層表面に凹凸形状が付与された層は、上述した散乱材を含まないのが好ましい。
バインダーを含む層であって層表面に凹凸が付与された層の凹凸面の算術平均粗さ(Ra)としては、0.001~1μmであるのが好ましい。
バインダーを含む層であって層表面に凹凸が付与された層のバインダーの具体例及び好適態様としては、上述した散乱材とバインダーとを含む層におけるバインダーと同様である。
バインダーは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
バインダーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点、仮支持体の剥離性がより向上する点、及び/又は、酸素遮断能がより優れる点で、散乱層の全質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、100質量%以下であり、99質量%以下が好ましい。
また、本態様の散乱層は、上記バインダー以外の他の成分を有していてもよい。上記他の成分としては、多価アルコール類、多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物、フェノール誘導体、及び、アミド化合物等が挙げられる。
バインダーを含む層であって層表面に凹凸が付与された層の形成方法としては、凹凸形状を転写可能な転写材(例えば、凹凸形状転写ローラー等)を使用する方法が挙げられる。また、例えば、表面に凹凸形状を有する仮支持体上にバインダーを含む層及び感光性層を形成して得られる転写フィルムを使用して積層体を作製する方法も挙げられる。このような方法により作製された積層体のバインダーを含む層は、バインダーを含む層の仮支持体側の表面に仮支持体の凹凸形状が転写され得て、散乱層として機能する。なお、仮支持体の表面凹凸は、塗布法によって仮支持体上にバインダーを含む層及び感光性層を形成した場合に転写され易い。一方で、バインダーを含む層及び感光性層に仮支持体を貼合する場合であっても、感光性層の硬さ(弾性率)と仮支持体表面の硬さ(弾性率)の関係において感光性層の硬さ(弾性率)が小さいときには、仮支持体の表面凹凸がバインダーを含む層及び感光性層に転写される場合もある。
バインダーを含む層の凹凸面の算術平均粗さ(Ra)としては、0.001~1μmであるのが好ましく、0.005~0.5μmであるのがより好ましく、0.01~0.1μmであるのが更に好ましい。
<形態(X2)>
感光性層が(X2)の形態を満たす場合、感光性層は、粒子を含む。例えば、第1感光性層が上述の(X2)の形態を満たす場合、第1感光性層は、粒子を含む。また、例えば、第2感光性層が上述の(X2)の形態を満たす場合、第2感光性層は、粒子を含む。
以下において、形態(X2)を満たす感光性層について説明する。
感光性層が含む粒子としては、形態(X1)において散乱材として説明した粒子と同様のものが挙げられ、また好適態様も同じである。
感光性層としては、上記粒子を含む点以外は、感光性層としては、後段部の〔第1組成物層〕及び〔第2組成物層〕にて説明する感光性層が適用できる。
粒子は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
粒子の含有量は特に制限されないが、感光性層の全質量に対して、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
<形態(X3)>
組成物層が(X3)の形態を満たす場合、組成物層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.01~1μmである。
例えば、第1組成物層が上述の(X3)の形態を満たす場合、第1組成物層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.01~1μmである。また、例えば、第2組成物層が上述の(X3)の形態を満たす場合、第2組成物層の表面の算術平均粗さ(Ra)が、0.01~1μmである。
以下において、形態(X2)を満たす組成物層について説明する。
層表面に凹凸が付与された組成物層の形成方法としては、凹凸形状を転写可能な転写材(例えば、凹凸形状転写ローラー等)を使用する方法が挙げられる。また、例えば、表面に凹凸形状を有する仮支持体上に組成物層を形成して得られる転写フィルムを使用して積層体を作製する方法も挙げられる。このような方法により作製された積層体の組成物層は、組成物層の仮支持体側の表面に仮支持体の凹凸形状が転写され得る。なお、仮支持体の表面凹凸は、塗布法によって仮支持体上に組成物層を形成した場合に転写され易い。一方で、組成物層に仮支持体を貼合する場合であっても、感光性層の硬さ(弾性率)と仮支持体表面の硬さ(弾性率)の関係において、感光性層の硬さ(弾性率)が小さいときには、仮支持体の表面凹凸が組成物層に転写される場合もある。
組成物層の凹凸面の算術平均粗さ(Ra)としては、0.01~0.5μmがより好ましく、0.01~0.1μmが更に好ましい。
例えば、組成物層が感光性層の単層からなる構成の場合、感光性層の透明導電層側とは反対面の算術平均粗さ(Ra)としては、0.01~0.5μmがより好ましく、0.01~0.1μmが更に好ましい。
例えば、組成物層が透明導電層側から順に感光性層と散乱層とを有する場合、散乱層の感光性層側とは反対面の算術平均粗さ(Ra)としては、0.01~0.5μmがより好ましく、0.01~0.1μmが更に好ましい。
<形態(X4)>
組成物層が(X4)の形態を満たす場合、組成物層は、透明導電層側から順に、散乱層と感光性層とを含む。例えば、第1組成物層が上述の(X4)の形態を満たす場合、第1組成物層は、第1透明導電層側から順に、第1散乱層と第1感光性層とを含む。また、例えば、第2組成物層が上述の(X4)の形態を満たす場合、第2組成物層は、第2透明導電層側から順に、第2散乱層と第2感光性層とを含む。
(X4)の形態を満たす組成物層は、感光性層と散乱層以外のその他の層を含んでいてもよい。
(X4)の形態の組成物層としては、透明導電層側から順に散乱層と感光性層とが配置される点以外は、形態(X1)において説明した組成物層と同様であり、また好適態様も同じでる。
<形態(X5))>
(X5)の形態の透明基材のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値としては、0.5%以上であれば特に制限されない。上記ヘイズ値としては、0.5~100%が好ましく、1~50%がより好ましく、5~30%が更に好ましい。
(X5)の形態の透明基材としては、フィラーやボイド等の導入によりヘイズ値が所定数値範囲となるように調整された透明基材を使用できる。透明基材の材質等に関しては、後述する〔透明基材〕にて説明する透明基材と同様のものが使用できる。
フィラーとしては、例えばシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、及び、オレフィン樹脂等の樹脂を材料とする樹脂粒子、並びに、金属又は金属酸化物を材料とする金属含有粒子が挙げられる。金属含有粒子としては、シリカ(SiO)及び酸化チタン(TiO)等が挙げられる。また、有機膜や無機膜の内部に空隙を有する中空粒子が挙げられる。
〔積層体の構成層〕
以下、積層体を構成し得る各層について説明する。
〔第1組成物層〕
次に、第1組成物層を構成し得る各層について説明する。
<第1感光性層>
第1感光性層としては、転写フィルムをエッチングレジスト用とする場合には下記第1態様の第1感光性層(第1感光性層A)とするのが好ましく、転写フィルムを配線保護膜用とする場合には下記第2態様の第1感光性層(第1感光性層B)とするのが好ましい。
転写フィルムの第1感光性層としては、なかでも、第1感光性層Aが好ましい。
(第1態様の第1感光性層(第1感光性層A))
以下、第1感光性層Aについて説明する。
第1感光性層Aは、樹脂、重合性化合物、及び重合開始剤を含むのが好ましい。
また、上記樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含むことも好ましい。
第1感光性層A中の上記各成分の含有量の好適な一例としては、例えば、第1感光性層Aの全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%、及び重合開始剤を0.01~15.0質量%含む態様が挙げられる。
以下、第1感光性層Aが含み得る各成分について説明する。
-樹脂-
第1感光性層Aは、樹脂を含んでいてもよい。
樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
樹脂としては、後述する熱可塑性樹脂層に含まれるアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。
露光時の焦点位置にずれが生じたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制する点で、樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含むのが好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基及び置換基を有していてもよいアラルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、30.0質量%以上が更に好ましい。上限は、樹脂の全質量に対して、80.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましく、55.0質量%以下が更に好ましい。第1感光性層Aが複数の樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であるのが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有する単量体、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー及びスチレントリマー等)が挙げられ、アラルキル基を有する単量体又はスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がスチレンである場合、スチレンに由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0~80.0質量%が好ましく、20.0~60.0質量%がより好ましく、30.0~55.0質量%が更に好ましい。第1感光性層Aが複数の樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であるのが好ましい。
アラルキル基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基(ただし、ベンジル基を除く)及び置換基を有していてもよいベンジル基が挙げられ、置換基を有していてもよいベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、例えば、フェニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等のベンジル基を有する(メタ)アクリレート;ビニルベンジルクロライド及びビニルベンジルアルコール等のベンジル基を有するビニルモノマーが挙げられ、ベンジル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~85.0質量%がより好ましく、30.0~85.0質量%が更に好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第1単量体を少なくとも1種及び/又は後述する第2単量体を少なくとも1種と、を重合することにより得られるのが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含まない樹脂は、後述する第1単量体の少なくとも1種を重合することにより得られるのが好ましく、第1単量体の少なくとも1種と後述する第2単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることがより好ましい。
第1単量体は、分子中にカルボキシ基を有する単量体である。
第1単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物及びマレイン酸半エステルが挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
第1単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、5.0~50.0質量%が好ましく、10.0~40.0質量%がより好ましく、10.0~30.0質量%が更に好ましい。
上記含有量が5.0質量%以上である場合、優れる現像性及びエッジフューズ性の制御等を実現できる。上記含有量が50.0質量%以下である場合、レジストパターンの高解像性、スソ形状の制御及びレジストパターンの高耐薬品性を実現できる。
第2単量体は、非酸性(酸性基を有さない)であり、かつ、分子中に重合性基を有する単量体である。
重合性基は、後述する重合性化合物が有する重合性基と同義であり、好適態様も同じである。
第2単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
第2単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、1.0~80.0質量%が好ましく、1.0~60.0質量%がより好ましく、10.0~50.0質量%が更に好ましい。
樹脂は、側鎖に、直鎖構造、分岐構造及び脂環構造のいずれかを有していてもよい。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体又は側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体を使用することによって、樹脂の側鎖に分岐構造又は脂環構造を導入することができる。脂環構造を有する基は、単環及び多環のいずれであってもよい。
「側鎖」とは、主鎖から枝分かれした原子団を意味する。「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を意味する。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸tert-アミル、(メタ)アクリル酸sec-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル及び(メタ)アクリル酸tert-オクチルが挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル又はメタクリル酸tert-ブチルが好ましく、メタクリル酸イソプロピル又はメタクリル酸tert-ブチルがより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体としては、例えば、単環の脂肪族炭化水素基を有する単量体及び多環の脂肪族炭化水素基を有する単量体が挙げられる。また、炭素数5~20の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
樹脂は、本発明の効果がより優れる点で、重合性基を有するのが好ましく、重合性基を有する構成単位を含むことがより好ましく、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を含むことが更に好ましい。
上記重合性基としては、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
また、上記重合性基は、重合性化合物の重合性基と重合反応し得る重合性基も好ましい。
重合性基を有する構成単位を含む樹脂は、第1単量体に由来する構成単位を含む樹脂と、第3の単量体とを反応することにより得られるのが好ましい。
第3の単量体は、分子中に2つ以上の重合性基を有する単量体であり、分子中に2つの重合性基を有する単量体であるのが好ましい。
上記重合性基としては、例えば、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられる。なかでも、第3の単量体は、2種の重合性基を有するのが好ましく、エチレン性不飽和基とカチオン性重合性基とを有することがより好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基とエポキシ基とを有することが更に好ましい。
第3の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
樹脂が重合性基を有する構成単位を含む場合、重合性基を有する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、5.0~70.0質量%が好ましく、10.0~50.0質量%がより好ましく、15.0~40.0質量%が更に好ましく、20.0~40.0質量%が特に好ましい。
重合性基を樹脂に導入する方法としては、例えば、樹脂が有する、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、第2級アミノ基、アセトアセチル基及びスルホ基等の基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物及びカルボン酸無水物を反応させる方法が挙げられる。
重合性基を樹脂に導入する方法の好適態様としては、例えば、第1単量体を重合反応により合成した後、得られた樹脂の第1単量体に由来する構成単位のカルボキシ基の一部に第3の単量体(好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート)を高分子反応させて、樹脂に重合性基(好ましくは、(メタ)アクリロキシ基)を導入する方法が挙げられる。上記高分子反応の反応温度は、80~110℃が好ましい。上記高分子反応は、触媒を用いるのが好ましく、アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウムブロミド)を用いることがより好ましい。
上記重合反応の反応温度は、70~100℃が好ましく、80~90℃がより好ましい。上記重合反応は、重合開始剤を用いるのが好ましく、重合開始剤としてアゾ系開始剤を用いることがより好ましく、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬社製)又はV-65(富士フイルム和光純薬社製)が更に好ましい。
樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位とメチルメタクリレートに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位又はベンジルメタクリレートに由来する構成単位とを含む樹脂及びメタクリル酸に由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とを含む樹脂が好ましく、更に重合性基を有する構成単位を含む樹脂がより好ましい。
上記において、各構成単位の含有量を、上述したそれぞれの好適態様にすることも好ましい。
樹脂のTgは、60~135℃が好ましく、70~115℃がより好ましく、75~105℃が更に好ましく、80~100℃が特に好ましい。
樹脂の酸価は、220mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g未満がより好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。
「酸価(mgKOH/g)」とは、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(mg)を意味する。酸価は、例えば、JIS K0070:1992に準拠して求めることができる。
樹脂の酸価は、樹脂が有する構成単位の種類及び/又は酸基を含む構成単位の含有量によって調整できる。
樹脂の重量平均分子量としては、5,000~500,000が好ましく、10,000~100,000がより好ましい。
重量平均分子量が500,000以下である場合、解像性及び現像性を向上できる。また。重量平均分子量が5,000以上である場合、現像凝集物の性状、並びに、転写フィルムのエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御できる。「エッジフューズ性」とは、転写フィルムをロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、第1感光性層Aのはみ出し易さの程度を意味する。「カットチップ性」とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度を意味する。このチップが転写フィルムの上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して不良品の原因となる。
樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0~6.0が好ましく、1.0~4.0がより好ましく、1.0~3.0が更に好ましい。
第1感光性層Aは、上記樹脂以外に、その他樹脂を含んでいてもよい。
その他樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
樹脂の含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~80.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。樹脂の含有量が、第1感光性層Aの全質量に対して、90.0質量%以下である場合、現像時間を制御できる。また、樹脂の含有量が、第1感光性層Aの全質量に対して、10.0質量%以上である場合、耐エッジフューズ性を向上できる。
樹脂の合成方法としては、例えば、上述した単量体を、アセトン、メチルエチルケトン及びイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル及びアゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱撹拌する方法が挙げられる。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成してもよい。また、反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整してもよい。
樹脂の合成方法としては、上記以外に、例えば、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。
-重合性化合物-
第1感光性層Aは、重合性化合物を含んでいるのが好ましい。
重合性化合物とは、重合性基を1つ以上有し、後述する重合開始剤の作用で重合する化合物を意図する。また、重合性化合物は、上記樹脂とは異なる化合物である。
重合性化合物が有する重合性基としては、重合反応に関与する基であればよく、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
重合性化合物としては、第1感光性層Aの感光性がより優れる点で、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)が好ましく、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「多官能エチレン性不飽和化合物」ともいう。)がより好ましい。
また、解像性及び剥離性がより優れる点で、エチレン性不飽和化合物が分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、2~3が更に好ましい。
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有していてもよい。
上記アルキレン基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、本発明の効果がより優れる点から、エチレンオキシ基がより好ましい。重合性化合物に付加するアルキレンオキシ基の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
第1感光性層Aの感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点から、重合性化合物は、分子中に2又は3つのエチレン性不飽和基を有する2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物を含むのが好ましい。
2官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性に優れる点で、20.0質量%以上が好ましく、40.0質量%超がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましい。つまり、第1感光性層Aに含まれる全ての重合性化合物が2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
3官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましく、50.0質量%以下が更に好ましい。つまり、第1感光性層Aに含まれる全ての重合性化合物が3官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
また、エチレン性不飽和化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
-重合性化合物B1-
第1感光性層Aは、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物B1を含むことも好ましい。
重合性化合物B1は、上記重合性化合物のうち、分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
重合性化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等の芳香族炭化水素環;チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環及びピリジン環等の芳香族複素環;これらの縮合環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。上記芳香環は、置換基を有してもよい。
重合性化合物B1は、1つ又は2つ以上の芳香環を有していてもよい。
重合性化合物B1は、現像液による第1感光性層Aの膨潤を抑制することにより、解像性が向上する点から、ビスフェノール構造を有するのが好ましい。
ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造及びビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられ、ビスフェノールA構造が好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。
ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもいてもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基(好ましくは、エチレンオキシ基)の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、特開2016-224162号公報の段落[0072]~[0080]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン等のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BPEシリーズ、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、日立化成社製)、並びに、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業社製)が挙げられる。
重合性化合物B1としては、式(B1)で表される化合物も好ましい。
Figure 2023007384000002
式(B1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Aはエチレン基を表す。Bはプロピレン基を表す。n1及びn3は、それぞれ独立に、1~39の整数を表す。n1+n3は、2~40の整数を表す。n2及びn4は、それぞれ独立に、0~29の整数を表す。n2+n4は、0~30の整数を表す。
-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。ブロックである場合、-(A-O)-及び-(B-O)-のいずれがビスフェニル基側であってもよい。
n1+n2+n3+n4としては、2~20が好ましく、2~16がより好ましく、4~12が更に好ましい。また、n2+n4は、0~10が好ましく、0~4がより好ましく、0~2が更に好ましく、0が特に好ましい。
重合性化合物B1の含有量は、解像性がより優れる点から、第1感光性層Aの全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、25.0質量%以上が更に好ましい。上限は、転写性及びエッジフュージョン(転写部材の端部から感光性組成物が滲み出す現象)の点から、70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましい。
重合性化合物B1の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、解像性がより優れる点から、40.0質量%以上が好ましく、50.0質量%以上がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性の点から、100.0質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、95.0質量%以下が更に好ましい。
-その他重合性化合物-
第1感光性層Aは、上記以外に、その他重合性化合物を含んでいるのも好ましい。
その他重合性化合物としては、例えば、公知の重合性化合物が挙げられる。
具体的には、分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業社製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製)、UA-32P(新中村化学工業社製)及びUA-1100H(新中村化学工業社製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念である。また、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、例えば、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20及び新中村化学工業社製A-9300-1CL等)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E及びA-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製A-GLY-9E等)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックスM-520(東亞合成社製)及びアロニックスM-510(東亞合成社製)が挙げられる。
重合性化合物は、酸基(例えば、カルボキシ基等)を有する重合性化合物であってもよい。上記酸基は、酸無水物基を形成していてもよい。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)(例えば、TO-2349、M-520及びM-510等、東亞合成社製)が挙げられる。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が挙げられる。
重合性化合物の分子量は、200~3000が好ましく、280~2200がより好ましく、300~2200が更に好ましい。
重合性化合物の25℃における粘度は、1~10000mPa・sが好ましく、5~3000mPa・sがより好ましく、10~1500mPa・sが更に好ましい。
重合性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合性化合物の含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、5.0~70.0質量%が好ましく、15.0~70.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。
-重合開始剤-
第1感光性層Aは、重合開始剤を含んでいるのが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、重合反応の形式に応じて公知の重合開始剤が挙げられる。具体的には、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤のいずれであってもよい。
第1感光性層Aは、光重合開始剤を含むのが好ましい。
光重合開始剤は、紫外線、可視光線及びX線等の活性光線を受けて、重合性化合物の重合を開始する化合物である。
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、感光性、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点で、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。
2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落[0031]~[0042]及び特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載される光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(みどり化学社製)、TAZ-111(みどり化学社製)、1-[4-(フェニルチオ)]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE-02、BASF社製)、IRGACURE OXE-03(BASF社製)、IRGACURE OXE-04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(Omnirad 907、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(Omnirad 127、IGM Resins B.V.社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(Omnirad 369、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(Omnirad 1173、IGM Resins B.V.社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad 651、IGM Resins B.V.社製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(Lunar 6、DKSHジャパン社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(B-CIM、Hampford社製)、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(BCTB、東京化成工業社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、並びに、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。また、イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0114]~[0133]に記載のイオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。
ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、例えば、特開2011-221494号公報の段落[0083]~[0088]に記載の化合物が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落[0084]~[0088]に記載された化合物が挙げられる。
重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合開始剤(好ましくは光重合開始剤)の含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、第1感光性層Aの全質量に対して、20.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下が更に好ましい。
-重合禁止剤-
第1感光性層Aは、重合禁止剤(好ましくはラジカル重合禁止剤)を含んでいるのも好ましい。
重合禁止剤とは、重合反応を遅延又は禁止させる機能を有する化合物を意味する。
第1感光性層Aが重合禁止剤を含む場合、本発明の効果がより向上し得る。
重合禁止剤としては、例えば、公知の重合禁止剤を使用できる。重合禁止剤の具体例としては、例えば、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、及び、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のフェノチアジン系化合物;ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、及び、ペンタエリスリトールテトラキス3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系化合物;フェノキサジン等のフェノキサジン系化合物;4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、及び、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物又はその塩;メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、及び、4-ベンゾキノン等のキノン化合物;4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、及び、t-ブチルカテコール等のフェノール化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、及び、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の金属塩化合物が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、重合禁止剤としては、フェノチアジン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、及び、フェノキサジン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
重合禁止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
第1感光性層Aが重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.02~2.0質量%が更に好ましく、0.01~1.0質量%が特に好ましく、0.01~0.5質量%が最も好ましい。重合禁止剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対しては、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.01~1.0質量%が更に好ましい。
-増感剤-
第1感光性層Aは、増感剤を含んでいるのが好ましい。
増感剤としては、例えば、公知の増感剤、染料、及び顔料が挙げられる。
増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物(好ましくは、ジアルキルアミノベンゾフェノン系化合物)、チオキサントン系化合物、シアニン系化合物、クマリン系化合物、メロシアニン系化合物、ピラゾリン系化合物、アントラセン系化合物、キサントン系化合物、オキサゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、トリアゾール系化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン系化合物、トリアジン系化合物、チオフェン系化合物、ナフタルイミド系化合物、トリアリールアミン系化合物、及びアミノアクリジン系化合物が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、なかでも、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、シアニン系化合物、クマリン系化合物、及び、メロシアニン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
染料系の増感剤としては、発色系染料も使用できる。発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。発色系染料としては、例えば、ロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。
増感剤の具体例としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、クマリン6、クマリン7、クマリン102、3-アセチル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、DOCヨージド、インドモノカルボシアニンナトリウム、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、及びダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
第1感光性層Aは、1種単独の増感剤を含んでいてもよく、2種以上の増感剤を含んでいてもよい。
増感剤の含有量は、光源に対する感度の向上及び重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の点から、第1感光性層Aの全質量に対して、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~1.5質量%がより好ましい。
-色素N-
第1感光性層Aは、露光部及び非露光部の視認性、並びに、現像後のパターン視認性及び解像性の点から、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、かつ、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素(以下、「色素N」ともいう。)を含んでいてもよい。
色素Nを含む場合、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば、中間層等)との密着性が向上して解像性により優れる。
色素が「酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより発色する態様及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。
具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物及び露光により発色状態から変化して消色する化合物のいずれであってもよい。上記である場合、露光により酸、塩基又はラジカルが第1感光性層A内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素であってもよく、酸、塩基又はラジカルにより第1感光性層A内の状態(例えば、pH等)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。
なかでも、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点から、色素Nは、酸又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
第1感光性層Aは、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点から、色素Nとしてラジカルにより極大吸収波長が変化する色素及び光ラジカル重合開始剤の両者を含むのが好ましい。また、露光部及び非露光部の視認性の点から、色素Nは、酸、塩基又はラジカルにより発色する色素であるのが好ましい。
色素Nの発色機構としては、例えば、第1感光性層Aに光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素又は塩基反応性色素(例えば、ロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
露光部及び非露光部の視認性の点で、色素Nの発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長としては、550nm以上が好ましく、550~700nmがより好ましく、550~650nmが更に好ましい。
また、色素Nは、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を1つ又は2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm以上であればよい。
色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、400~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することによって測定できる。
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素及びアントラキノン系色素が挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の点から、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)及びロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。
なかでも、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
ロイコ化合物は、露光部及び非露光部の視認性の点で、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有するのが好ましい。これにより、ロイコ化合物が有するラクトン環、スルチン環又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか又はロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有し、ラジカル又は酸により、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
色素Nとしては、例えば、染料及びロイコ化合物が挙げられる。
染料としては、例えば、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業社製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業社製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業社製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業社製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン及び1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
ロイコ化合物としては、例えば、p,p’,p’’-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-ザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド及び3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性及び解像性が優れる点から、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより発色する色素がより好ましい。
色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン又はビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
色素Nは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
色素Nの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、現像後のパターン視認性及び解像性が優れる点から、第1感光性層Aの全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.1~8.0質量%が更に好ましい。
色素Nの含有量は、第1感光性層Aの全質量中に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素N(0.001g)を溶かした溶液及び色素N(0.01g)を溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤(Irgacure OXE01、BASFジャパン社製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素Nを発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、島津製作所社製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素Nに代えて第1感光性層A(3g)をメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた第1感光性層Aを含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて第1感光性層Aに含まれる色素Nの含有量を算出する。
-その他添加剤-
第1感光性層Aは、上記成分以外に、必要に応じてその他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール類、カルボキシベンゾトリアゾール類、界面活性剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物(例えば、トリアゾールやイミダゾール等)、ピリジン類(例えば、イソニコチンアミド等)及びプリン塩基(例えば、アデニン等)が挙げられる。
また、その他添加剤としては、例えば、金属酸化物粒子、連鎖移動剤、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、増粘剤、架橋剤、有機又は無機の沈殿防止剤及び特開2014-085643号公報の段落[0165]~[0184]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
その他添加剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
-ベンゾトリアゾール類-
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール及びビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾールが挙げられる。
-カルボキシベンゾトリアゾール類-
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール及びN-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールが挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、具体的に、CBT-1(城北化学工業社製)が挙げられる。
ベンゾトリアゾール類及びカルボキシベンゾトリアゾール類の合計含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、0.01~3質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。上記含有量が0.01質量%以上である場合、第1感光性層Aの保存安定性がより優れる。一方、上記含有量が3質量%以下である場合、感度の維持及び染料の脱色を抑制がより優れる。
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0017]及び特開2009-237362号公報の段落[0060]~[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94及びDS-21(以上、DIC社製);フロラード FC430、FC431及びFC171(以上、住友スリーエム社製);サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393及びKH-40(以上、AGC社製);PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520及びPF7002(以上、OMNOVA社製);フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681及び683(以上、NEOS社製)が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含む官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含む官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好ましい。
このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC社製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)及び日経産業新聞(2016年2月23日))が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との共重合体を用いることも好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、例えば、側鎖にエチレン性不飽和基を有する含フッ素重合体も挙げられ、メガファック RS-101、RS-102、RS-718K及びRS-72-K(以上、DIC社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の点で、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、それらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート及びグリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、並びに、ソルビタン脂肪酸エステル;プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2及び25R2(以上、BASF社製);テトロニック 304、701、704、901、904及び150R1(以上、BASF社製);ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール社製);NCW-101、NCW-1001及びNCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬社製);パイオニン D-6112、D-6112-W及びD-6315(以上、竹本油脂社製);オルフィンE1010、サーフィノール104、400及び440(以上、日信化学工業社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、並びに、側鎖及び/又は末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA及びトーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング社製);X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001及びKF-6002(以上、信越シリコーン社製);F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460及びTSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製);BYK307、BYK323及びBYK330(以上、ビックケミー社製)が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.8質量%が更に好ましい。
可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落[0097]~[0103]及び段落[0111]~[0118]に記載された化合物が挙げられる。
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、例えば、1-フェニル-3-ピラゾリドン(別名:フェニドン)、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、及び、1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドン等の3-ピラゾリドン類;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、及び、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類;パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、及び、パラフェニレンジアミンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、酸化防止剤としては、3-ピラゾリドン類が好ましく、1-フェニル-3-ピラゾリドンがより好ましい。
-不純物-
第1感光性層Aは、不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、金属不純物又はそのイオン、ハロゲン化物イオン、残存有機溶剤、残存モノマー及び水が挙げられる。
-金属不純物及びハロゲン化物イオン-
金属不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ及びこれらのイオン、並びに、ハロゲン化物イオンが挙げられる。
なかでも、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びハロゲン化物イオンは、混入し易い点から、下記の含有量にするのが好ましい。
金属不純物は、転写フィルムに含まれ得る上記粒子(例えば、金属酸化物粒子)とは異なる化合物である。
金属不純物の含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。下限は、第1感光性層Aの全質量に対して、1質量ppb以上が好ましく、0.1質量ppm以上がより好ましい。
不純物の含有量を調整する方法としては、例えば、第1感光性層Aの原料として不純物の含有量が少ないものを選択する方法、並びに、第1感光性層Aの形成時に不純物の混入を防ぐ方法及び洗浄して除去する方法が挙げられる。
不純物の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法、原子吸光分光法及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法により定量できる。
-残存有機溶剤-
残存有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びヘキサンが挙げられる。
残存有機溶剤の含有量は、第1感光性層Aの全質量に対して、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。下限は、第1感光性層Aの全質量に対して、10質量ppb以上が好ましく、100質量ppb以上がより好ましい。
残存有機溶剤の含有量を調整する方法としては、後述する転写フィルムの製造方法における乾燥処理条件を調整する方法が挙げられる。また、残存有機溶剤の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー分析等の公知の方法により定量できる。
-残存単量体-
第1感光性層Aは、上記樹脂の各構成単位の残存単量体を含む場合がある。
残存単量体の含有量は、パターニング性及び信頼性の点で、樹脂の全質量に対して、5000質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、500質量ppm以下が更に好ましい。下限は、樹脂の全質量に対して、1質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の各構成単位の残存単量体は、パターニング性及び信頼性の点で、第1感光性層Aの全質量に対して、3000質量ppm以下が好ましく、600質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が更に好ましい。下限は、第1感光性層Aの全質量に対して、0.1質量ppm以上が好ましく、1質量ppm以上がより好ましい。
高分子反応でアルカリ可溶性樹脂を合成する際の単量体の残存量も、上記範囲とするのが好ましい。例えば、カルボン酸側鎖にアクリル酸グリシジルを反応させてアルカリ可溶性樹脂を合成する場合、アクリル酸グリシジルの含有量を上記範囲にするのが好ましい。
残存単量体の含有量を調整する方法としては、例えば、上記不純物の含有量を調整する方法が挙げられる。
残存単量体の含有量は、液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー等の公知の方法で測定できる。
第1感光性層Aにおける水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる点から、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(第2態様の第1感光性層(第1感光性層B))
以下、第1感光性層Bに含まれ得る成分について詳述する。
-バインダーポリマー-
第1感光性層Bは、バインダーポリマーを含んでいてもよい。
バインダーポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、及び、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物との反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーの好適態様の一つとして、アルカリ現像性及びフィルム形成性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位を有する樹脂を意味する。(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位のみで構成されていてもよく、(メタ)アクリル化合物以外の重合性単量体に由来する構成単位を有していてもよい。すなわち、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量の上限は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、100質量%以下である。
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及び、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミドが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有していても良い。具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、及び、(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数が1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位以外の構成単位を有していてもよい。
上記構成単位を形成する重合性単量体としては、(メタ)アクリル化合物と共重合可能な(メタ)アクリル化合物以外の化合物であれば特に制限されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、及び、α-メチルスチレン等のα位又は芳香族環に置換基を有してもよいスチレン化合物、アクリロニトリル及びビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールエステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、及び、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、並びに、クロトン酸が挙げられる。
これらの重合性単量体は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、アルカリ現像性をより良好にする点から、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及び、ホスホン酸基が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル樹脂は、カルボキシ基を有する構成単位を有することがより好ましく、上記の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有することが更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における酸基を有する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸に由来する構成単位)の含有量は、現像性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂の全質量に対して、10質量%以上が好ましい。また、上限値は特に制限されないが、アルカリ耐性に優れる点で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50~90質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましく、65~90質量%が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有する樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位のみで構成されている樹脂がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸メチルに由来する構成単位、及び、アクリル酸エチルに由来する構成単位を有するアクリル樹脂も好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を有することが好ましく、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有することが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂におけるメタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されず、100質量%以下であってもよく、80質量%以下が好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種と、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種とを有することも好ましい。
メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量に対して、質量比で60/40~80/20が好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、転写後の第1感光性層Bの現像性に優れる点で、末端にエステル基を有することが好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂の末端部は、合成に用いた重合開始剤に由来する部位により構成される。末端にエステル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、エステル基を有するラジカルを発生する重合開始剤を用いることにより合成できる。
また、バインダーポリマーの別の好適態様としては、アルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーは、例えば、現像性の点から、酸価60mgKOH/g以上のバインダーポリマーであることが好ましい。
また、バインダーポリマーは、例えば、加熱により架橋成分と熱架橋し、強固な膜を形成しやすいという点から、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有樹脂)であることがより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂)であることが更に好ましい。
バインダーポリマーがカルボキシ基を有する樹脂であると、例えば、ブロックイソシアネート化合物等の熱架橋性化合物を添加して熱架橋することで、3次元架橋密度を高めることができる。また、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基が無水化され、疎水化すると、湿熱耐性が改善し得る。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて、特に制限はなく、公知の(メタ)アクリル樹脂から適宜選択できる。
例えば、特開2011-095716号公報の段落[0025]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2010-237589号公報の段落[0033]~[0052]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等を好ましく使用できる。
バインダーポリマーの他の好適態様としてはスチレン-アクリル共重合体が挙げられる。
なお、本明細書において、スチレン-アクリル共重合体とは、スチレン化合物に由来する構成単位と、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位とを有する樹脂を指し、上記スチレン化合物に由来する構成単位、及び、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の合計含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%以下の場合が多い。
また、スチレン化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、5~80質量%が更に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20~95質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、芳香環構造を有することが好ましく、芳香環構造を有する構成単位を有することがより好ましい。
芳香環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、及びスチレントリマー等)が挙げられる。なかでも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。
アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び置換又は非置換のベンジル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、及びビニルベンジルアルコール等が挙げられる。なかでも、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、バインダーポリマーは、下記式(S)で表される構成単位(スチレンに由来する構成単位)を有することがより好ましい。
Figure 2023007384000003
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~70質量%より好ましく、20~60質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましく、20~50モル%が特に好ましい。
なお、本明細書において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、上記「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本明細書において、上記「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有することが好ましい。つまり、バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有することが好ましい。脂肪族炭化水素環構造としては単環でも多環でも良い。なかでも、バインダーポリマーは、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有することがより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位における脂肪族炭化水素環構造を構成する環としては、トリシクロデカン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ノルボルナン環、及び、イソホロン環が挙げられる。
なかでも、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環が好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環)がより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、バインダーポリマーは、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましく、上記式(S)で表される構成単位、及び、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましい。
Figure 2023007384000004
式(Cy)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、RCyは脂肪族炭化水素環構造を有する一価の基を表す。
式(Cy)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
式(Cy)におけるRCyは、炭素数5~20の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることが好ましく、炭素数6~16の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることがより好ましく、炭素数8~14の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることが更に好ましい。
また、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、シクロペンタン環構造、シクロヘキサン環構造、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造、ノルボルナン環構造、又は、イソホロン環構造であることが好ましく、シクロヘキサン環構造、又は、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることがより好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることが更に好ましい。
更に、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造であることが好ましく、2~4環の脂肪族炭化水素環が縮環した環であることがより好ましい。
更に、式(Cy)におけるRCyは、式(Cy)における-C(=O)O-の酸素原子と脂肪族炭化水素環構造とが直接結合する基、すなわち、脂肪族炭化水素環基であることが好ましく、シクロヘキシル基、又は、ジシクロペンタニル基であることがより好ましく、ジシクロペンタニル基であることが更に好ましい。
バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、20~70質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(Cy)で表される構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、40~75質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位及び上記式(Cy)で表される構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、及び、リン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
上記酸基を有する構成単位としては、下記に示す、(メタ)アクリル酸由来の構成単位が好ましく、メタクリル酸由来の構成単位がより好ましい。
Figure 2023007384000005
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが酸基を有する構成単位を有する場合、酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、反応性基を有することが好ましく、反応性基を有する構成単位を有することがより好ましい。
反応性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。また、バインダーポリマーがエチレン性不飽和基を有している場合、バインダーポリマーは、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を有することが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
エチレン性不飽和基としては、アリル基又は(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
反応性基を有する構成単位の一例としては、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2023007384000006
バインダーポリマーは、反応性基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが反応性基を有する構成単位を有する場合、反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~40質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アセトアセチル基、及び、スルホ基等の官能基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、及び、カルボン酸無水物等の化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段の好ましい例としては、カルボキシ基を有するポリマーを重合反応により合成した後、高分子反応により、得られたポリマーのカルボキシ基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロキシ基をポリマーに導入する手段が挙げられる。この手段により、側鎖に(メタ)アクリロキシ基を有するバインダーポリマーを得ることができる。
上記重合反応は、70~100℃の温度条件で行うことが好ましく、80~90℃の温度条件で行うことがより好ましい。上記重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、例えば、富士フイルム和光純薬(株)製のV-601(商品名)又はV-65(商品名)がより好ましい。上記高分子反応は、80~110℃の温度条件で行うことが好ましい。上記高分子反応においては、アンモニウム塩等の触媒を用いることが好ましい。
バインダーポリマーとしては、以下に示すポリマーX1~X4が好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率(a~d)及び重量平均分子量Mw等は目的に応じて適宜変更できるが、本発明の効果がより優れる点で、なかでも、以下の構成であるのが好ましい。
(ポリマーX1) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX2) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX3) a:30~65質量%、b:1.0~20質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX4) a:1.0~20質量%、b:20~60質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
Figure 2023007384000007
Figure 2023007384000008
Figure 2023007384000009
Figure 2023007384000010
また、バインダーポリマーは、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を有する重合体(以下、「重合体X」ともいう。)を含んでいてもよい。
カルボン酸無水物構造は、鎖状カルボン酸無水物構造、及び、環状カルボン酸無水物構造のいずれであってもよいが、環状カルボン酸無水物構造であることが好ましい。
環状カルボン酸無水物構造の環としては、5~7員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましく、5員環が更に好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を2つ除いた2価の基を主鎖中に含む構成単位、又は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を1つ除いた1価の基が主鎖に対して直接又は2価の連結基を介して結合している構成単位であることが好ましい。
Figure 2023007384000011
式P-1中、RA1aは、置換基を表し、n1a個のRA1aは、同一でも異なっていてもよく、Z1aは、-C(=O)-O-C(=O)-を含む環を形成する2価の基を表し、n1aは、0以上の整数を表す。
A1aで表される置換基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。
1aとしては、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のアルキレン基が更に好ましい。
1aは、0以上の整数を表す。Z1aが炭素数2~4のアルキレン基を表す場合、n1aは、0~4の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
1aが2以上の整数を表す場合、複数存在するRA1aは、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在するRA1aは、互いに結合して環を形成してもよいが、互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位としては、不飽和カルボン酸無水物に由来する構成単位が好ましく、不飽和環式カルボン酸無水物に由来する構成単位がより好ましく、不飽和脂肪族環式カルボン酸無水物に由来する構成単位が更に好ましく、無水マレイン酸又は無水イタコン酸に由来する構成単位が特に好ましく、無水マレイン酸に由来する構成単位が最も好ましい。
以下、カルボン酸無水物構造を有する構成単位の具体例を挙げるが、カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、これらの具体例に限定されるものではない。下記の構成単位中、Rxは、水素原子、メチル基、CHOH基、又は、CF基を表し、Meは、メチル基を表す。
Figure 2023007384000012
Figure 2023007384000013
重合体Xにおけるカルボン酸無水物構造を有する構成単位は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位の総含有量は、重合体Xの全構成単位に対して、0~60モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、10~35モル%が更に好ましい。
第1感光性層Bは、重合体Xを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
第1感光性層Bが重合体Xを含む場合、重合体Xの含有量は、第1感光性層Bの全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.2~20質量%がより好ましく、0.5~20質量%が更に好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、10,000~50,000が更に好ましく、20,000~30,000が特に好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、10~200mgKOH/gが好ましく、60mg~200mgKOH/gがより好ましく、60~150mgKOH/gが更に好ましく、70~125mgKOH/gが特に好ましい。
なお、バインダーポリマーの酸価は、JIS K0070:1992に記載の方法に従
って、測定される値である。
バインダーポリマーの分散度は、現像性の観点から、1.0~6.0が好ましく、1.0~5.0がより好ましく、1.0~4.0が更に好ましく、1.0~3.0が特に好ましい。
第1感光性層Bは、バインダーポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
バインダーポリマーの含有量は、第1感光性層Bの全質量に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~70質量%が更に好ましい。
-重合性化合物-
第1感光性層Bは、重合性化合物を含んでいてもよい。
重合性化合物は、重合性基を有する化合物である。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、及び、カチオン重合性基が挙げられ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物(以下、単に「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含むことが好ましい。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロキシ基が好ましい。
なお、本明細書におけるエチレン性不飽和化合物は、上記バインダーポリマー以外の化合物であり、分子量5,000未満であることが好ましい。
重合性化合物の好適態様の一つとして、下記式(M)で表される化合物(単に、「化合物M」ともいう。)が挙げられる。
-R-Q 式(M)
式(M)中、Q及びQはそれぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、Rは鎖状構造を有する二価の連結基を表す。
式(M)におけるQ及びQは、合成容易性の点から、Q及びQは同じ基であることが好ましい。
また、式(M)におけるQ及びQは、反応性の点から、アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
式(M)におけるRとしては、アルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基(-L-O-L-)、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基(-(L-O)-L-)が好ましく、炭素数2~20の炭化水素基、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基がより好ましく、炭素数4~20のアルキレン基が更に好ましく、炭素数6~18の直鎖アルキレン基が特に好ましい。
上記炭化水素基は、少なくとも一部に鎖状構造を有していればよく、上記鎖状構造以外の部分としては、特に制限はなく、例えば、分岐鎖状、環状、又は、炭素数1~5の直鎖状アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、及び、それらの組み合わせのいずれであってもよく、アルキレン基、又は、2以上のアルキレン基と1以上のアリーレン基とを組み合わせた基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、直鎖アルキレン基が更に好ましい。
なお、上記Lは、それぞれ独立に、アルキレン基を表し、エチレン基、プロピレン基、又は、ブチレン基が好ましく、エチレン基又は1,2-プロピレン基がより好ましい。pは2以上の整数を表し、2~10の整数であることが好ましい。
また、化合物MにおけるQとQとの間を連結する最短の連結鎖の原子数は、3~50個が好ましく、4~40個がより好ましく、6~20個が更に好ましく、8~12個が特に好ましい。
本明細書において、「QとQの間を連結する最短の連結鎖の原子数」とは、Qに連結するRにおける原子からQに連結するRにおける原子までを連結する最短の原子数である。
化合物Mの具体例としては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、及び、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。上記エステルモノマーは混合物としても使用できる。
上記化合物のなかでも、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが更に好ましい。
また、重合性化合物の好適態様の一つとして、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
本明細書において、「2官能以上のエチレン性不飽和化合物」とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、公知の化合物の中から適宜選択できる。
上記化合物M以外の2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、及び、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物の市販品としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステル A-DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(商品名:NKエステル DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-NOD-N、新中村化学工業(株)製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-HD-N、新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、及び、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及び、ヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社のEBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステル A-GLY-9E等)も挙げられる。
重合性化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられ、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートも挙げられる。官能基数の下限としては、6官能以上がより好ましく、8官能以上が更に好ましい。なお、官能基数の上限としては、20官能以下が好ましい。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA-32P(新中村化学工業(株)製)、U-15HA(新中村化学工業(株)製)、UA-1100H(新中村化学工業(株)製)、共栄社化学(株)製のAH-600(商品名)、並びに、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、及びUX-5000(いずれも日本化薬(株)製)等が挙げられる。
重合性化合物の好適態様の一つとして、酸基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
酸基としては、リン酸基、スルホ基、及び、カルボキシ基が挙げられる。
これらのなかでも、酸基としては、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、酸基を有する3~4官能のエチレン性不飽和化合物〔ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:80~120mgKOH/g)〕、酸基を有する5~6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの〔酸価:25~70mgKOH/g)〕等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物が、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種であると、現像性及び膜強度がより高まる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-520(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-510(東亞合成(株)製)が挙げられる。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が好ましく、この公報に記載の内容は、本明細書に組み込まれる。
重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、及び、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート等のフタル酸系化合物、並びに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも挙げられる。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、及び、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、エチレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が2~14であり、かつ、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
なかでも、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物のカプロラクトン変性化合物(例えば、日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、エチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(例えば、日本化薬(株)製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社製 EBECRYL(登録商標)135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製A-GLY-9E等)等も挙げられる。
重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)としては、転写後の第1感光性層Bの現像性に優れる点で、なかでも、エステル結合を含むものも好ましい。
エステル結合を含むエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエステル結合を含むものであれば特に制限されないが、本発明の効果が優れる点で、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
信頼性付与の点からは、エチレン性不飽和化合物としては、炭素数6~20の脂肪族基を有するエチレン性不飽和化合物と、上記のテトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物と、を含むことが好ましい。
炭素数6以上の脂肪族構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合性化合物の好適態様の一つとしては、脂肪族炭化水素環構造を有する重合性化合物(好ましくは、2官能エチレン性不飽和化合物)が挙げられる。
上記重合性化合物としては、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造(好ましくは、トリシクロデカン構造及びトリシクロデセン構造からなる群から選択される構造)を有する重合性化合物が好ましく、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物がより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが更に好ましい。
上記脂肪族炭化水素環構造としては、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、トリシクロデカン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、又は、イソホロン構造が好ましい。
重合性化合物の分子量は、200~3,000が好ましく、250~2,600がより好ましく、280~2,200が更に好ましく、300~2,200が特に好ましい。
第1感光性層Bに含まれる重合性化合物のうち、分子量300以下の重合性化合物の含有量の割合は、第1感光性層Bに含まれる全ての重合性化合物の含有量に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むのが好ましく、3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むのがより好ましく、3官能又は4官能のエチレン性不飽和化合物を含むのが更に好ましい。
また、第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物と、脂肪族炭化水素環を有する構成単位を有するバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
また、第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物とを含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレートと、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物とを含むことがより好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレートと、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸変性体とを含むことが更に好ましい。
また、第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物と、後述する熱架橋性化合物とを含むことが好ましく、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物と、後述するブロックイソシアネート化合物とを含むことがより好ましい。
また、第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、2官能のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、2官能の(メタ)アクリレート化合物)と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物)と、を含むこと好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量の質量比は10:90~90:10が好ましく、30:70~70:30がより好ましい。
全てのエチレン性不飽和化合物の合計量に対する、2官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
第1感光性層Bにおける2官能のエチレン性不飽和化合物は、10~60質量%が好ましく、15~40質量%がより好ましい。
また、第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、防錆性の点から、化合物M、及び、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
また、第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、基板密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、化合物M、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、3官能以上のエチレン性不飽和化合物、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが更に好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、3官能以上のエチレン性不飽和化合物、酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及び、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
また、第1感光性層Bの好適態様の一つとして、第1感光性層Bは、基板密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、1,9-ノナンジオールジアクリレート、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、カルボン酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが更に好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、カルボン酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及び、ウレタンアクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
第1感光性層Bは、エチレン性不飽和化合物として、単官能エチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
上記エチレン性不飽和化合物における2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、第1感光性層Bに含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
第1感光性層Bにおける重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)の含有量は、第1感光性層Bの全質量に対して、1~70質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、5~60質量%が更に好ましく、5~50質量%が特に好ましい。
-重合開始剤-
第1感光性層Bは、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、及び、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N-フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落[0031]~[0042]、及び、特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光重合開始剤の市販品としては、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-02、BASF社製〕、IRGACURE(登録商標)OXE03(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Omnirad(登録商標)379EG、IGM Resins B.V社製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)907、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)127、IGM Resins B.V社製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Omnirad(登録商標)369、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)1173、IGM Resins B.V社製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Omnirad(登録商標)184、IGM Resins B.V社製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)651、IGM Resins B.V社製〕等、オキシムエステル系の〔商品名:Lunar(登録商標) 6、DKSHジャパン(株)製〕、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.製)等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用することもできる。
2種以上を併用する場合は、オキシム系光重合開始剤と、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びα-ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種と、を使用することが好ましい。
第1感光性層Bが光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、第1感光性層Bの全質量に対して、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上であるのがより好ましく、1.0質量%以上であるのが更に好ましい。また、その上限値としては、感光性組成物層全質量に対して、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるがより好ましい。
-複素環化合物-
第1感光性層Bは、複素環化合物を含んでいてもよい。
複素環化合物が有する複素環は、単環及び多環のいずれの複素環でもよい。
複素環化合物が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子が挙げられる。複素環化合物は、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有することが好ましく、窒素原子を有することがより好ましい。
複素環化合物としては、例えば、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、及び、ピリミジン化合物が挙げられる。
上記のなかでも、複素環化合物としては、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましい。
複素環化合物の好ましい具体例を以下に示す。トリアゾール化合物及びベンゾトリアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000014
Figure 2023007384000015
テトラゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000016
Figure 2023007384000017
チアジアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000018
トリアジン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000019
ローダニン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000020
チアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000021
ベンゾチアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000022
ベンゾイミダゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000023
Figure 2023007384000024
ベンゾオキサゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2023007384000025
複素環化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
第1感光性層Bが複素環化合物を含む場合、複素環化合物の含有量は、第1感光性層Bの全質量に対して、0.01~20.0質量%が好ましく、0.10~10.0質量%がより好ましく、0.30~8.0質量%が更に好ましく、0.50~5.0質量%が特に好ましい。
-脂肪族チオール化合物-
第1感光性層Bは、脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
第1感光性層Bが脂肪族チオール化合物を含むことで、脂肪族チオール化合物がエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物との間でエン-チオール反応することで、形成される膜の硬化収縮が抑えられ、応力が緩和される。
脂肪族チオール化合物としては、単官能の脂肪族チオール化合物、又は、多官能の脂肪族チオール化合物(すなわち、2官能以上の脂肪族チオール化合物)が好ましい。
上記のなかでも、脂肪族チオール化合物としては、形成されるパターンの密着性(特に、露光後における密着性)の点から、多官能の脂肪族チオール化合物が好ましい。
本明細書において、「多官能の脂肪族チオール化合物」とは、チオール基(「メルカプト基」ともいう。)を分子内に2個以上有する脂肪族化合物を意味する。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、分子量が100以上の低分子化合物が好ましい。具体的には、多官能の脂肪族チオール化合物の分子量は、100~1,500がより好ましく、150~1,000が更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物の官能基数としては、例えば、形成されるパターンの密着性の点から、2~10官能が好ましく、2~8官能がより好ましく、2~6官能が更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオプロピオネート、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,6-ヘキサメチレンジチオール、2,2’-(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso-2,3-ジメルカプトコハク酸、及び、ジ(メルカプトエチル)エーテルが挙げられる。
上記のなかでも、多官能の脂肪族チオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、及び、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
単官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、1-オクタンチオール、1-ドデカンチオール、β-メルカプトプロピオン酸、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、及び、ステアリル-3-メルカプトプロピオネートが挙げられる。
第1感光性層Bは、1種単独の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよく、2種以上の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
第1感光性層Bが脂肪族チオール化合物を含む場合、脂肪族チオール化合物の含有量は、第1感光性層Bの全質量に対して、5質量%以上が好ましく、5~50質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましく、8~20質量%が特に好ましい。
-熱架橋性化合物-
第1感光性層Bは、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、エチレン性不飽和化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、バインダーポリマー及びエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物の少なくとも一方が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、保護膜としての機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及び、シクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。
これらのなかでも、解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいという点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及び、スチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工(株)製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
第1感光性層Bが熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性組成物層全質量に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
-水素供与性化合物-
第1感光性層Bは、水素供与性化合物を含んでいてもよい。
水素供与性化合物は、光重合開始剤の活性光線に対する感度を一層向上させる、及び、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
水素供与性化合物としては、例えば、アミン類、及び、アミノ酸化合物が挙げられる。
アミン類としては、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44-020189号公報、特開昭51-082102号公報、特開昭52-134692号公報、特開昭59-138205号公報、特開昭60-084305号公報、特開昭62-018537号公報、特開昭64-033104号公報、及び、Research Disclosure 33825号等に記載の化合物が挙げられる。より具体的には、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン(別名:ロイコクリスタルバイオレット)、トリエタノールアミン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ホルミルジメチルアニリン、及び、p-メチルチオジメチルアニリンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミン類としては、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-フェニルグリシンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミノ酸化合物としては、N-フェニルグリシンが好ましい。
また、水素供与性化合物としては、例えば、特公昭48-042965号公報に記載の有機金属化合物(トリブチル錫アセテート等)、特公昭55-034414号公報に記載の水素供与体、及び、特開平6-308727号公報に記載のイオウ化合物(トリチアン等)も挙げられる。
水素供与性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
第1感光性層Bが水素供与性化合物を含む場合、水素供与性化合物の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスとによる硬化速度の向上の点から、第1感光性層Bの全質量に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.01~8.0質量%がより好ましく、0.03~5.0質量%が更に好ましい。
-その他添加剤-
第1感光性層Bは、上記以外のその他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、既述の第1感光性層Aが有するその他添加剤と同じであり、好適態様も同じである。
-不純物-
第1感光性層Bは、不純物を含む場合がある。
不純物としては、既述の第1感光性層Aが有する不純物と同じであり、好適態様も同じである。
-その他の成分-
第1感光性層Bは、既述の成分以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、及び、粒子(例えば、金属酸化物粒子)が挙げられる。また、他の成分としては、特開2000-310706号公報の段落[0058]~[0071]に記載のその他の添加剤も挙げられる。
-粒子-
粒子としては、金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、及び、Te等の半金属も含まれる。
粒子の平均一次粒子径は、例えば、硬化膜の透明性の点から、1~200nmが好ましく、3~80nmがより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
-着色剤-
第1感光性層Bは、微量の着色剤(顔料、染料等)を含んでいてもよいが、例えば、透明性の点からは、着色剤を実質的に含まないことが好ましい。
第1感光性層Bが着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、第1感光性層Bの全質量に対して、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、例えば、1-フェニル-3-ピラゾリドン(別名:フェニドン)、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、及び、1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドン等の3-ピラゾリドン類;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、及び、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類;パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、及び、パラフェニレンジアミンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、酸化防止剤としては、3-ピラゾリドン類が好ましく、1-フェニル-3-ピラゾリドンがより好ましい。
(形態(X2)の第1感光性層)
例えば、第1感光性層が、上述した形態(X2)の第1感光性層である場合、第1感光性層は、更に粒子を含んでいてもよい。第1感光性層が含む粒子及びその含有量としては、上段部の<形態(X2)>にて説明した粒子及びその含有量と同じである。
第1感光性層の平均厚みとしては、0.1~300μmの場合が多く、0.2~100μmが好ましく、0.5~50μmがより好ましく、1~20μmが更に好ましい。これにより、第1感光性層の現像性が向上し、解像性も向上できる。
第1感光性層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、第1感光性層の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
第1感光性層の最大感度波長における光学濃度(OD値)としては、形成される第1樹脂パターンの解像性がより優れる点で、2.0以下であるのが好ましく、1.0以下であるのがより好ましく、0.5以下であるのが更に好ましい。なお、下限値としては、0.1以上であるのが好ましい。
第1感光性層は、任意で紫外線吸収剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
第1感光性層の最大感度波長における光学濃度が低減して第1樹脂パターンの解像性が向上する観点から、紫外線吸収剤は、第1感光性層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
第1感光性層の最大感度波長としては、250~395nmの範囲であるか、又は、395nm超500nm以下の範囲であるのが好ましい。
第1感光性層と第2感光性層との関係において、本発明の効果がより優れる点で、第1感光性層の最大感度波長及び第2感光性層の最大感度波長の少なくとも一方が、250~395nmの範囲であるとなるか、又は、第1感光性層の最大感度波長及び第2感光性層の最大感度波長の少なくとも一方が、395nm超500nm以下の範囲とするのが好ましい。なかでも、第1感光性層の最大感度波長が、250~395nmの範囲であり、第2感光性層の最大感度波長の少なくとも一方が、395nm超500nm以下の範囲とするのが好ましい。
<他の層>
第1組成物層は、第1感光性層以外の他の層を含んでいてもよい。他の層としては、散乱層、熱可塑性樹脂層、及び中間層が挙げられる。
(散乱層)
散乱層については、上述の<形態(X1)>及び<形態(X5)>にて説明したとおりである。
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層は、樹脂を含む。樹脂の一部又は全部は、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含むのが好ましい。
熱可塑性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂であるのが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位からなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を有する樹脂を意味する。アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して50質量%以上であるのが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、30~100質量%であるのが好ましく、50~100質量%であるのがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する重合体であるのが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、現像性の観点から、酸価40mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であるのが好ましく、酸価40mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるのがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価は、300mgKOH/g以下であるのが好ましく、250mgKOH/g以下であるのがより好ましく、200mgKOH/g以下であるのが更に好ましく、160mgKOH/g以下であるのが特に好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落0025に記載のポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~段落0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、及び特開2016-224162号公報の段落0053~段落0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が挙げられる。カルボキシ基含有アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する構成単位の共重合比は、アクリル樹脂の全質量に対して、5~50質量%であるのが好ましく、10~40質量%であるのがより好ましく、12~30質量%であるのが更に好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、反応性基を有していてもよい。反応性基としては、例えば、付加重合可能な基が挙げられる。反応性基としては、例えば、エチレン性不飽和基重縮合性基(例えば、ヒドロキシ基及びカルボキシ基)、及び重付加反応性基(例えば、エポキシ基及び(ブロック)イソシアネート基)が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上であるのが好ましく、1~10万であるのがより好ましく、2~5万であるのが更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10~99質量%であるのが好ましく、20~90質量%であるのがより好ましく、40~80質量%であるのが更に好ましく、50~75質量%であるのが特に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(以下、「色素B」という場合がある。)を含むのが好ましい。色素Bは、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素であるのが好ましく、酸により最大吸収波長が変化する色素であるのがより好ましい。熱可塑性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Bとしての酸により最大吸収波長が変化する色素、及び光により酸を発生する化合物の両者を含むのが好ましい。
色素Bは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
色素Bの含有量は、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上であるのが好ましく、0.2~6質量%であるのがより好ましく、0.2~5質量%であるのが更に好ましく、0.25~3.0質量%であるのが特に好ましい。
色素Bの含有量は、熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。メチルエチルケトン100mLに色素0.001g溶かした溶液及びメチルエチルケトン100mLに色素0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASFジャパン株式会社)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。次に、色素に代えて熱可塑性樹脂層0.1gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素の量を算出する。
熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物(以下、「化合物C」という場合がある。)を含んでもよい。化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物が好ましい。化合物Cとしては、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤、及び光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)を使用できる。
熱可塑性樹脂層は、解像性の観点から、光酸発生剤を含んでもよい。光酸発生剤としては、例えば、光カチオン重合開始剤が挙げられる。
光酸発生剤としては、感度及び解像性の観点から、オニウム塩化合物、及びオキシムスルホネート化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、感度、解像性、及び密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。また、光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
Figure 2023007384000026
熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含んでもよい。光ラジカル重合開始剤としては、上述したネガ型感光性層が含んでもよい光重合開始剤のうち光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
熱可塑性樹層は、光塩基発生剤を含んでもよい。光塩基発生剤としては、例えば、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン、及び2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
化合物Cは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
化合物Cの含有量は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1~10質量%であるのが好ましく、0.5~5質量%であるのがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、可塑剤を含むのが好ましい。可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂よりも分子量(オリゴマー又はポリマーであり分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が小さいのが好ましい。可塑剤の分子量(重量平均分子量)は、200~2,000であるのが好ましい。可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール化合物がより好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
また、可塑剤は、解像性及び保存安定性の観点から、(メタ)アクリレート化合物を含むのが好ましい。相溶性、解像性、及び隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、且つ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、上述したネガ型感光性層に含まれる重合性化合物として記載した(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含む場合、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないのが好ましい。また、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。更に、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
可塑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、1~70質量%であるのが好ましく、10~60質量%であるのがより好ましく、20~50質量%であるのが更に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、増感剤を含んでもよい。増感剤としては、特に制限されず、上述したネガ型感光性層が含んでもよい増感剤が挙げられる。
増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、並びに、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01~5質量%であるのが好ましく、0.05~1質量%であるのがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、必要に応じて界面活性剤等の公知の添加剤を含んでもよい。また、熱可塑性樹脂層については、特開2014-085643号公報の段落0189段落~0193に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
熱可塑性樹脂層の厚さは、隣接する層との密着性の観点から、1μm以上であるのが好ましく、2μm以上であるのがより好ましい。熱可塑性樹脂層の厚さは、現像性及び解像性の観点から、20μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのがより好ましく、8μm以下であるのが更に好ましい。
<中間層>
以下、中間層について説明する。
中間層として、例えば、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂層が使用される。また、中間層として、例えば、特開平5-072724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断層も使用される。中間層が酸素遮断層であると、露光時の感度が向上し、露光機の時間負荷が低減し、生産性が向上する。中間層として用いられる酸素遮断層は、公知の層から適宜選択すればよい。低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液(例えば、22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する酸素遮断層が好ましい。
中間層は、感光性層と熱可塑性樹脂層との間に配置されるのが好ましい。
中間層の一種である水溶性樹脂層は、樹脂を含む。樹脂の一部又は全部は、水溶性樹脂である。水溶性樹脂として使用可能な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂及びポリアミド系樹脂が挙げられる。また、水溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体も挙げられる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体として、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
水溶性樹脂の重量平均分子量としては、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、水溶性樹脂の重量平均分子量としては、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)としては、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
水溶性樹脂層の層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層中の樹脂は、水溶性樹脂層の一方の面側に配置される層に含まれる樹脂及び他方の面側に配置される層に含まれる樹脂とは異なる樹脂であるのが好ましい。
水溶性樹脂は、酸素遮断性及び層間混合抑制能をより向上させる点で、ポリビニルアルコールを含むことが好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの両者を含むことがより好ましい。
水溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
酸素遮断性及び層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂の含有量は、水溶性樹脂層の全質量に対して、50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましく、80質量%以上であるのが更に好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。水溶性樹脂の含有量の上限は、制限されない。水溶性樹脂の含有量は、水溶性樹脂層の全質量に対して、99.9質量%以下であるのが好ましく、99.8質量%以下であるのがより好ましい。
中間層は、必要に応じて界面活性剤といった公知の添加剤を含んでいてもよい。
中間層の厚さは、0.1~5μmであるのが好ましく、0.5~3μmであるのがより好ましい。
〔第2組成物層〕
次に、第2組成物層を構成し得る各層について説明する。
<第2感光性層>
第2感光性層の具体例及び好適態様は、第1感光性層と同様である。
(形態(X2)の第2感光性層)
例えば、第2感光性層が、上述した形態(X2)の第2感光性層である場合、第2感光性層は、更に粒子を含んでいてもよい。第2感光性層が含む粒子及びその含有量としては、上段部の<形態(X2)>にて説明した粒子及びその含有量と同じである。
第2感光性層の平均厚みとしては、0.1~300μmの場合が多く、0.2~100μmが好ましく、0.5~50μmがより好ましく、1~20μmが更に好ましい。これにより、第2感光性層の現像性が向上し、解像性も向上できる。
第2感光性層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、第1感光性層の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
第2感光性層の最大感度波長における光学濃度(OD値)としては、形成される第1樹脂パターンの解像性がより優れる点で、2.0以下であるのが好ましく、1.0以下であるのがより好ましく、0.5以下であるのが更に好ましい。なお、下限値としては、0.1以上であるのが好ましい。
第2感光性層は、任意で紫外線吸収剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
第2感光性層の最大感度波長における光学濃度が低減して第2樹脂パターンの解像性が向上する観点から、紫外線吸収剤は、第2感光性層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましい。
第2感光性層の最大感度波長としては、250~395nmの範囲であるか、又は、395nm超500nm以下の範囲であるのが好ましい。
<他の層>
第2組成物層は、第2感光性層以外の他の層を含んでいてもよい。他の層としては、散乱層、熱可塑性樹脂層、及び中間層が挙げられる。
散乱層、熱可塑性樹脂層、及び中間層の具体例及び好適態様は、第1感光性層が有し得る散乱層、熱可塑性樹脂層、及び中間層と同様である。
〔透明基材〕
積層体は、透明基材を有する。
透明基材の材料としては、例えば、樹脂材料及び無機材料が挙げられる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー、及びポリカーボネート等が挙げられる。
無機材料としては、例えば、ガラス及び石英等が挙げられる。
透明基材は、樹脂フィルムであるのが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、又はシクロオレフィンポリマーフィルムであることが好ましい。
透明基材の厚さは、特に制限されない。透明基材の平均厚さとしては、搬送性、電気特性、及び製膜性の点で、10~100μmであるのが好ましく、10~60μmであるのがより好ましい。透明基材の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、透明基材の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
透明基材は、所定のヘイズを有していてもよい。透明基材がヘイズを有する場合とは、上述の<形態(X5))>にて説明した形態が挙げられる。
〔第1透明導電層及び第2透明導電層〕
積層体は、透明基材の2つの対向する表面に、第1透明導電層及び第2透明導電層を有する。
第1透明導電層及び第2透明導電層の体積抵抗率としては、1×10Ωcm未満であるのが好ましく、1×10Ωcm未満であるのがより好ましい。下限は特に制限されない。体積抵抗率は、公知の抵抗率計(例えば、抵抗測定器EC-80P、ナプソン株式会社製)を用いて測定する。
第1透明導電層及び第2透明導電層は、導電性がより優れる点で、金属を含むのが好ましい。金属としては、例えば、銅、銀、スズ、パラジウム、金、ニッケル、クロム、白金、鉄、ガリウム、及びインジウムが挙げられる。金属は、単体の金属であってもよく、合金であってもよい。合金としては、例えば、銅合金及び銀合金が挙げられる。
第1透明導電層及び第2透明導電層は、1種単独の金属を含んでいてもよく、2種以上の金属を含んでいてもよい。
第1透明導電層及び第2透明導電層は、なかでも、導電性がより優れる点で、銅、銀、スズ、及びインジウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含むのが好ましい。
第1透明導電層及び第2透明導電層の具体的な一例としては、例えば、金属酸化物を含む層、金属ナノ粒子を含む層、及び金属ナノワイヤを含む層等が挙げられる。
第1透明導電層及び第2透明導電層の好適な実施形態として、第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一方が金属酸化物を含む層である実施形態が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、及びIGZO(登録商標;インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、及び酸素(O)を含む酸化物半導体の一種)が挙げられ、透明性がより優れる点で、ITOが好ましい。
また、第1透明導電層及び第2透明導電層の他の好適な実施形態として、第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む層である実施形態が挙げられる。
金属ナノ粒子としては、例えば、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、金ナノ粒子、及び白金ナノ粒子等の金属ナノ粒子が挙げられる。金属ナノワイヤとしては、例えば、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ、及び白金ナノワイヤ等が挙げられ、透明性がより優れる点で、銀ナノ粒子、又は銀ナノワイヤが好ましい。
第1透明導電層及び第2透明導電層としては、なかでも、第1透明導電層及び第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群より選択される少なくとも1種を含む層であるのが特に好ましい。
金属ナノワイヤは、平均長軸長が、5~20nmであることが好ましく、平均短軸長が、50~100nmであることが好ましい。金属ナノワイヤのアスペクト比としては、100~150が好ましい。平均長軸長及び平均短軸長は、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM-2000FX)を用い、拡大観察された金属ナノワイヤのうち、ランダムに300個の金属ナノワイヤを選択し、選択した金属ナノワイヤの長軸長さと短軸長さ(直径)を測定し、それぞれの算術平均値を金属ナノワイヤの平均長軸長及び平均短軸長(平均直径)として求めることができる。
第1透明導電層及び第2透明導電層の厚さは、特に制限されない。第1透明導電層及び第2透明導電層の平均厚さは、導電性及び製膜性がより優れる点で、0.001~1,000μmであるのが好ましく、0.005~15μmであるのがより好ましく、0.01~10μmであるのが更に好ましい。第1透明導電層及び第2透明導電層の平均厚さは、上記透明基材の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
第1透明導電層及び第2透明導電層は、透明基材の全体に配置されていてもよいし、又は透明基材の一部に配置されていてもよい。
また、積層体は、例えば、第1透明導電層及び第2透明導電層の保護、電気特性制御、第1透明導電層及び第1感光性層との間の密着性制御、並びに第2透明導電層及び第2感光性層との間の密着性制御を目的として、第1透明導電層と第1感光性層の間、及び/又は、第2透明導電層と第2感光性層の間に、更に他の層を有していてもよい。
上記他の層としては特に制限されない。他の層としては、有機物で構成された層、無機物で構成された層、有機物のマトリクス中に無機物が分散した層、及び無機物のマトリックス中に有機物が分散した層等のいずれであってもよい。
(第1透明導電層及び第2透明導電層の形成方法)
第1透明導電層及び第2透明導電層の形成方法としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。第1透明導電層及び第2透明導電層の形成方法としては、例えば、塗布、真空蒸着、スパッタリング、及びめっき等が挙げられる。
なお、積層体が、第1透明導電層と第1感光性層の間、及び/又は、第2透明導電層と第2感光性層の間に更に他の層を有する場合、他の層の形成方法としては、例えば、塗布、真空蒸着、スパッタリング、及びラミネート等の公知の方法が挙げられる。
〔仮支持体〕
積層体は、第1組成物層の第1透明導電層側とは反対面、及び、第2組成物層の第2透明導電層側とは反対面の少なくとも一方に仮支持体を有していてもよい。
仮支持体としては、例えば、ガラス基板、樹脂フィルム、及び紙が挙げられる。仮支持体は、強度、及び可撓性の観点から、樹脂フィルムであるのが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。仮支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであるのが好ましく、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであるのがより好ましい。
仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮、又は伸びを生じないフィルムを用いることができる。このようなフィルムとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。これらの中でも、仮支持体としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形及び傷等がないのが好ましい。
仮支持体は、仮支持体を介してパターン露光できるという観点から、透明性が高いのが好ましい。仮支持体は、露光波長のうち主波長における透過率が、60%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の観点から、仮支持体のヘイズは小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のJIS-K-7136に規定されるヘイズは、2%以下であるのが好ましく、0.5%以下であるのがより好ましく、0.3%以下であるのが更に好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の観点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物、及び欠陥の数は少ない方が好ましい。直径1μm以上の微粒子、異物、及び欠陥の数は、50個/10mm以下であるのが好ましく、10個/10mm以下であるのがより好ましく、3個/10mm以下であるのが更に好ましく、0個/10mmであるのが特に好ましい。
仮支持体の厚さは、特に制限されないが、5~200μmであるのが好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の観点から、10~150μmであるのがより好ましく、10~50μmであるのが更に好ましい。
仮支持体の好ましい態様としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落0017~段落0018、特開2016-027363号公報の段落0019~段落0026、国際公開第2012/081680号の段落0041~段落0057、及び国際公開第2018/179370号の段落0029~段落0040に記載があり、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
〔積層体の製造方法〕
積層体の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を利用できる。第1組成物層及び第2組成物層を形成する方法としては、例えば、塗布法、及び、転写フィルムを用いる方法が挙げられる。
第1組成物層及び第2組成物層を形成する方法は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、塗布法又は転写フィルムを用いる方法によって、第1組成物層及び第2組成物層を形成する方法を形成してもよい。
本発明の積層体の製造方法は、第1感光性層及び第2感光性層をいずれも転写フィルムを使用して形成するのが好ましい。
転写フィルムを用いる方法としては、例えば、第1透明導電層と第2透明導電層が形成された透明基材(以下「透明導電層付き基材」ともいう。)と、転写フィルムとを貼り合わせる方法が挙げられる。
透明導電層付き基材と転写フィルムとの貼り合わせは、ロール等を用いて、加圧及び加熱しながら行われるのが好ましい。圧力は、例えば、線圧1,000~10,000N/mの範囲で決定すればよい。温度は、例えば、40~130℃の範囲で決定すればよい。
透明導電層付き基材と転写フィルムとの貼り合わせにおいては、例えば、ラミネーター、真空ラミネーター、及びより生産性を高めることができるオートカットラミネーターを使用できる。また、透明導電層付き基材と転写フィルムとの貼り合わせは、透明導電層付き基材の材料に応じて、ロールツーロールで行うこともできる。
透明導電層付き基材への第1組成物層の転写、及び、透明導電層付き基材への第2組成物層の転写は、同時に行われても逐次に行われてもよい。
積層体の作製の際に使用する転写フィルムは、公知の方法により作製できる。例えば、転写フィルムが仮支持体と感光性層とを有する場合、仮支持体に感光性層形成用組成物を塗布することによって、感光性層を形成することができる。仮支持体に塗布された感光性層形成用組成物は、必要に応じて、公知の方法により乾燥してもよい。
また、転写フィルムは、組成物層の仮支持体側とは反対面に保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムとしては、後述する本発明の転写フィルムが有し得る保護フィルムと同様のものが挙げられる。
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、
本発明の積層体中の上記第1感光性層及び上記第2感光性層に対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
上記第1感光性層を露光する、第1感光性層露光工程と、
上記第2感光性層を露光する、第2感光性層露光工程と、
露光された上記第1感光性層を現像して第1樹脂パターンを形成する、第1現像工程と、
露光された上記第2感光性層を現像して第2樹脂パターンを形成する、第2現像工程と、を含む。
本発明のパターン形成方法としては、なかでも、上記第1感光性層露光工程における露光波長の主波長λと、上記第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λとが異なる(言い換えれば、λ≠λの関係を満たす)のが好ましい。
以下、本発明のパターン形成方法の各工程について具体的に説明する。
なお、本発明のパターン形成方法において、本発明の積層体及びその好適態様としては、既述のとおりである。
〔第1感光性層露光工程〕
第1感光性層露光工程により露光された第1感光性層は、露光部と未露光部との間で、現像液に対する溶解性が変化する。例えば、第1感光性層がポジ型感光性層である場合、第1感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が増大する。一方で、例えば、第1感光性層がネガ型感光性層である場合、第1感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が低下する。
第1感光性層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第1感光性層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第1感光性層をパターン状に露光できる。第1感光性層をパターン露光することで、第1感光性層において露光部及び未露光部を形成できる。
第1感光性層露光工程においては、第1感光性層とフォトマスクとを接触させて露光するのが好ましい。第1感光性層とフォトマスクとを接触させて露光する方式(「コンタクト露光」という。)により、解像性を向上できる。
また、第1感光性層露光工程においては、上記のコンタクト露光以外に、プロキシミティ露光方式、レンズ系若しくはミラー系のプロジェクション露光方式、又は露光レーザー等を用いたダイレクト露光方式を適宜選択して用いてもよい。レンズ系のプロジェクション露光方式の場合、必要な解像力及び焦点深度に応じて、適当なレンズの開口数(NA)を有する露光機を使用できる。ダイレクト露光方式の場合は、直接感光性層に描画を行ってもよいし、レンズを介して感光性層に縮小投影露光をしてもよい。また、露光は大気下で行うだけでなく、減圧又は真空下で行ってもよく、また、光源と感光性層の間に水等の液体を介在させて露光してもよい。
第1感光性層上に仮支持体が配置されている場合、仮支持体を介して第1感光性層を露光してもよく、第1感光性層から仮支持体を除去した後で第1感光性層を露光してもよい。コンタクト露光によって第1感光性層を露光する場合、フォトマスクの汚染及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、仮支持体を介して第1感光性層を露光するのが好ましい。仮支持体を介して第1感光性層を露光した場合、仮支持体を除去した後、後述する第1現像工程を行うのが好ましい。
仮支持体を介して第1感光性層を露光する場合に用いられる仮支持体は、露光の際に照射される光を透過可能なフィルムであるのが好ましい。
露光の光源としては、現像液に対する第1感光性層の溶解性を変化し得る波長域(例えば、365nm、405nm、又は436nm、好ましくは、365nm又は405nm)の光を照射できる光源であれば制限されない。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
第1感光性層露光工程における露光波長の主波長λは、第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λと同じであってもよいし、異なっていてもよいが、異なっているのが好ましい。
第1感光性層露光工程における露光波長の主波長λは、例えば、10~450nmの波長域において決定すればよい。主波長λは、例えば、300~400nm又は375~450nmの範囲内であるのが好ましく、300~380nm又は390~450nmの範囲内であるのがより好ましい。
第1感光性層露光工程における露光波長は、波長365nmを含まないのが好ましい。
本明細書において「波長365nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値(すなわち主波長の強度をいう。以下同じ。)を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1感光性層露光工程における露光波長が波長365nmを含まない場合、第1感光性層露光工程における露光波長は、370~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのが好ましく、390~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのがより好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限は特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1感光性層露光工程における露光波長は、波長405nmを含まないこともまた好ましい。
本明細書において「波長405nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1感光性層露光工程における露光波長が波長405nmを含まない場合、第1感光性層露光工程における露光波長は、300~400nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であるのが好ましく、300~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であるのがより好ましく、350~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であるのが特に好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1感光性層露光工程における露光波長の一実施形態として、波長365nmの強度が波長405nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(1-1)」という。)、又は波長405nmの強度が波長365nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(1-2)」という。)であるのが好ましい。条件(1-1)において波長365nmの強度を100%とした場合、波長405nmの強度は、80%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがより好ましく、20%以下であるのが更に好ましく、10%以下であるのが特に好ましく、5%以下であるのが最も好ましい。条件(1-1)における波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。条件(1-1)において波長365nmの強度を100%とした場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。一方、条件(1-2)において波長405nmの強度を100%とした場合、波長365nmの強度は、80%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがより好ましく、20%以下であるのが更に好ましく、10%以下であるのが特に好ましく、5%以下であるのが最も好ましい。条件(1-2)における波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。条件(1-2)において波長405nmの強度を100%とした場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1感光性層露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルターを用いる方法、及び、特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第1感光性層を露光することで、第1感光性層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
第1感光性層露光工程においては、フォトマスクを用いずに第1感光性層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第1感光性層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ということもある。)、例えば、直接描画装置を用いて第1感光性層を露光できる。
直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことが可能である。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長350~410nmの光を照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー等)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)等が挙げられる。マスクレス露光における露光波長の主波長λは、第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λと同じであっても、異なっていてもよいが、異なっているのが好ましい。
露光波長の好ましい範囲は、既述のとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
〔第2感光性層露光工程〕
第2感光性層露光工程により露光された第2感光性層は、露光部と未露光部との間で、現像液に対する溶解性が変化する。例えば、第2感光性層がポジ型感光性層である場合、第2感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が増大する。一方で、例えば、第2感光性層がネガ型感光性層である場合、第2感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が低下する。
第2感光性層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第2感光性層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第2感光性層をパターン状に露光できる。第2感光性層をパターン露光することで、第2感光性層において露光部及び未露光部を形成できる。
第2感光性層露光工程においては、積層体とフォトマスクとを接触させて露光するのが好ましい。積層体とフォトマスクとを接触させて露光する方式(「コンタクト露光」とも称される。)により、解像性を向上できる。
第2感光性層上に仮支持体が配置されている場合、仮支持体を介して第2感光性層を露光してもよく、第2感光性層から仮支持体を除去した後で第2感光性層を露光してもよい。コンタクト露光によって第2感光性層を露光する場合、フォトマスクの汚染及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、仮支持体を介して第2感光性層を露光するのが好ましい。仮支持体を介して第2感光性層を露光した場合、仮支持体を除去した後、後述する第2現像工程を行うのが好ましい。
仮支持体を介して第2感光性層を露光する場合に用いられる仮支持体は、露光の際に照射される光を透過可能なフィルムであるのが好ましい。
露光の光源としては、現像液に対する第2感光性層の溶解性を変化し得る波長域(例えば、365nm、405nm、又は436nm、好ましくは、365nm又は405nm)の光を照射できる光源であれば制限されない。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λは、既述のとおり、第1感光性層露光工程における露光波長の主波長λと同じであってもよいし、異なっていてもよいが、異なっているのが好ましい。第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λは、例えば、10~410nmの波長域において決定すればよい。主波長λは、例えば、300~400nm又は370~450nmの範囲内であるのが好ましく、300~380nm又は390~450nmの範囲内であるのがより好ましい。例えば、第1感光性層露光工程における主波長λが300~400nm(好ましくは300~380nm)の範囲内である場合、第2感光性層露光工程における主波長λは370~450nm(好ましくは390~450nm)の範囲内であるのが好ましい。例えば、第1感光性層露光工程における主波長λが370~450nm(好ましくは390~450nm)の範囲内である場合、第2感光性層露光工程における主波長λは300~400nm(好ましくは300~380nm)の範囲内であるのが好ましい。
第1感光性層露光工程における露光波長が波長365nmを含まない場合、第2感光性層露光工程における露光波長は、波長405nmを含まないのが好ましい。第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程において上記のような露光波長を採用することで、各感光性層をより選択的に露光できる。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第2感光性層露光工程における露光波長が波長405nmを含まない場合、第2感光性層露光工程における露光波長は、300~400nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であるのが好ましく、300~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であるのがより好ましく、350~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度が30%以下であるのが特に好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長405nmの強度の下限としては、特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1感光性層露光工程における露光波長が波長405nmを含まない場合、第2感光性層露光工程における露光波長は、波長365nmを含まないのが好ましい。第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程において上記のような露光波長を採用することで、感光性層をより選択的に露光できる。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
第2感光性層露光工程における露光波長が波長365nmを含まない場合、第2感光性層露光工程における露光波長は、370~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのが好ましく、390~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのがより好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
第1感光性層露光工程における露光波長が「波長365nmの強度が波長405nmの強度よりも大きい露光波長」である場合、第2感光性層露光工程における露光波長は、波長405nmの強度が波長365nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(2-1)」という。)であるのが好ましい。条件(2-1)の好ましい態様は、上記「第1感光性層露光工程」の項で説明した条件(1-2)の好ましい態様と同様である。一方、第1感光性層露光工程における露光波長が「波長405nmの強度が波長365nmの強度よりも大きい露光波長」である場合、第2感光性層露光工程における露光波長は、波長365nmの強度が波長405nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(2-2)」という。)であるのが好ましい。条件(2-2)の好ましい態様は、上記「第1感光性層露光工程」の項で説明した条件(1-1)の好ましい態様と同様である。
第2感光性層露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルターを用いる方法、及び特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第2感光性層を露光することで、第2感光性層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度、及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
なかでも、上記主波長λ及び上記主波長λは、以下の態様であるのが好ましい。
上記主波長λは、露光かぶり抑制の観点から、250nm以上395nm以下の範囲であるのが好ましく、335nm以上395nm以下の範囲であるのがより好ましい。
上記主波長λは、露光かぶり抑制の観点から、395nmを超え500nm以下の範囲であるのが好ましく、396nm以上456nm以下の範囲であるのがより好ましい。
また、露光かぶり抑制の観点から、上記主波長λは、250nm以上395nm以下の範囲であり、かつ上記主波長λは、395nmを超え500nm以下の範囲であるのが更に好ましく、上記主波長λは、335nm以上395nm以下の範囲であり、かつ上記主波長λは、396nm以上456nm以下の範囲であるのが特に好ましい。
本発明のパターン形成方法において、第1感光性層露光工程における露光量、及び第2感光性層露光工程における露光量は、同じであっても異なっていてもよい。
第2感光性層露光工程においては、フォトマスクを用いずに第2感光性層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第1感光性層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」という場合がある。)、例えば、直接描画装置を用いて第1感光性層を露光することができる。直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことができる。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長350~410nmの光を照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)が挙げられる。マスクレス露光における露光波長の主波長λは、第1感光性層露光工程における露光波長の主波長λと異なっていれば制限されない。露光波長の好ましい範囲は、上記したとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
本発明のパターン形成方法において、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程の実施順序としては、第1感光性層露光工程→第2感光性層露光工程の順に実施されてもよいし、第2感光性層露光工程→第1感光性層露光工程の順に実施されてもよい。生産性がより向上する点で、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程は、同時に行われるのが好ましい。
本明細書において、「第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程が、同時に行われる」とは、第1感光性層の露光と第2感光性層の露光が完全に同時に行われる場合に制限されず、第1感光性層を露光する期間と第2感光性層を露光する期間とが重複する場合を含む。
また、「第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程が、逐次に行われる」とは、第1感光性層を露光する期間と第2感光性層を露光する期間とが重複しない範囲で、第1感光性層及び第2感光性層をそれぞれ露光することを意味する。
〔第1現像工程〕
本発明のパターン形成方法は、露光された第1感光性層を現像して第1樹脂パターンを形成する工程(第1現像工程)を含む。第1現像工程において、例えば、露光された第1感光性層のうち現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第1樹脂パターンを形成できる。
現像方法としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、現像液を用いて、第1感光性層を現像できる。
現像液としては、特に制限されず、公知の現像液を利用できる。現像液としては、例えば、特開平5-072724号公報に記載された現像液が挙げられる。好ましい現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載された現像液が挙げられる。
現像液は、pKaが7~13の化合物を含むアルカリ水溶液系の現像液であるのが好ましい。上記アルカリ水溶液系の現像液において、pKaが7~13の化合物の濃度は、0.05~5mol/Lであるのが好ましい。
現像液は、上記以外の成分として、例えば、水と混和性を有する有機溶剤、及び界面活性剤を含んでいてもよい。
現像液の温度は、20~40℃であるのが好ましい。
現像方式としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。現像方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー、及びスピン現像、並びにディップ現像が挙げられる。
第1現像工程は、第1樹脂パターンを加熱処理(「ポストベーク」ともいう。)する工程を含んでいてもよい。
加熱処理は、8.1~121.6kPaの環境下で行うのが好ましく、8.1~114.6kPaの環境下で行うのがより好ましく、8.1~101.3kPaの環境下で行うのが更に好ましい。
加熱処理の温度は、20~250℃であるのが好ましく、30~170℃であるのがより好ましく、50~150℃であるのが更に好ましい。
加熱処理の時間は、1~30分であるのが好ましく、2~10分であるのがより好ましく、2~4分であるのが更に好ましい。
加熱処理は、空気環境下で行ってもよく、窒素置換環境下で行ってもよい。
〔第2現像工程〕
本発明のパターン形成方法は、露光された第2感光性層を現像して第2樹脂パターンを形成する工程(第2現像工程)を含む。第2現像工程において、例えば、露光された第2感光性層のうち現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第2樹脂パターンを形成できる。
第2現像工程の具体的な実施形態としては既述の第1現像工程と同じであり、また好適態様も同じである。
本発明のパターン形成方法において、第1現像工程及び第2現像工程は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。第1現像工程及び第2現像工程の実施順序としては、第1現像工程→第2現像工程の順に実施されてもよいし、第2現像工程→第1現像工程の順に実施されてもよい。生産性がより向上する点で、第1現像工程及び第2現像工程は、同時に行われるのが好ましい。
本明細書において、「第1現像工程及び第2現像工程が、同時に行われる」とは、第1感光性層の現像と第2感光性層の現像が完全に同時に行われる場合に制限されず、第1感光性層を現像する期間と第2感光性層を現像する期間とが重複する場合を含む。
また、「第1現像工程及び第2現像工程が、逐次に行われる」とは、第1感光性層を現像する期間と第2感光性層を現像する期間とが重複しない範囲で、第1感光性層及び第2感光性層をそれぞれ露光することを意味する。
パターン形成方法の好適な一実施形態としては、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程が同時に行われ、且つ、第1現像工程及び第2現像工程が同時に行われる実施形態が挙げられる。上記実施形態によれば、露光後から現像開始までの時間及び環境を同一にできるため、製品品質を安定にすることが容易となるほか、工程長を短くでき、プロセスコストを削減できる。
また、パターン形成方法の好適な他の実施形態としては、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程が逐次に行われ、又は、第1現像工程及び第2現像工程が逐次に行われるのが好ましい。例えば、第1感光性層及び第2感光性層に関して露光後の反応進行速度が大幅に異なる場合、又は、異なる露光光源を感光性層から離して配置する必要がある場合、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程は逐次に行われるのが好ましい。また、例えば、第1感光性層の現像に使用される現像液と第2感光性層の現像に使用される現像液とが異なる場合には、第1現像工程及び第2現像工程は逐次に行われるのが好ましい。
〔エッチング工程〕
パターン形成方法は、現像工程後に、エッチング工程を有しているのも好ましい。
エッチング工程は、第1樹脂パターンをマスクとして用いて第1透明導電層をエッチングする工程及び第2樹脂パターンをマスクとして用いて第2透明導電層をエッチングする工程の少なくとも一方を実施する工程である。
エッチング工程を経ることで、透明基材上に、第1透明導電層のパターン及び/又は第2透明導電層のパターンを形成できる。
エッチングとしては、例えば、ドライエッチング及びウェットエッチングが挙げられる。エッチングは、真空プロセスが不要であり、そしてプロセスが簡便であることから、ウェットエッチングであるのが好ましい。エッチングとしては、特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054に記載された方法も挙げられる。
ウェットエッチングにおいて用いられるエッチング液としては、例えば、酸性タイプのエッチング液及びアルカリ性タイプのエッチング液が挙げられる。
酸性タイプのエッチング液としては、例えば、酸性成分(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、及びリン酸)を含む水溶液、及び、酸性成分と塩(例えば、塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、硝酸鉄、及び過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
酸性タイプのエッチング液は、酸性成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、酸性タイプのエッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、例えば、アルカリ成分〔例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及び有機アミンの塩(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド〕を含む水溶液、及びアルカリ成分と塩(例えば、過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
アルカリ性タイプのエッチング液は、アルカリ成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、アルカリ性タイプのエッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
エッチング液は、エッチングレートの制御の観点から、防錆剤を含んでいてもよい。防錆剤としては、例えば、含窒素含有化合物(例えば、トリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、及びテトラゾール系化合物等)が挙げられる。
エッチング液の温度は、45℃以下であるのが好ましい。
本発明のパターン形成方法において、マスクとして用いられる第1樹脂パターン及びマスクとして用いられる第2樹脂パターンは、エッチング耐性がより優れる点で、60℃以下のエッチング液に対する耐性が優れているのが好ましい。
エッチング工程において、第1透明導電層及び第2透明導電層のエッチング処理は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。生産性がより向上する点で、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程は、同時に行われるのが好ましい。
〔洗浄工程及び乾燥工程〕
本発明のパターン形成方法は、工程ラインの汚染を防ぐ観点から、上記エッチング工程後に、必要に応じて、洗浄工程及び乾燥工程を含んでいてもよい。
洗浄工程の具体的な一例としては、常温(例えば、25℃)で純水を使用して、積層体を洗浄する方法が挙げられる。洗浄時間は、例えば、10~300秒の範囲で適宜設定できる。
乾燥工程の具体的な一例としては、エアブローを使用して積層体を乾燥する方法が挙げられる。エアブロー圧は、0.1~5kg/cmであるのが好ましい。
〔全面露光工程〕
本発明のパターン形成方法は、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を全面露光する工程(以下「全面露光工程」ともいう。)を含んでいてもよい。全面露光工程は、後述する除去工程の前に実施されるのが好ましい。本発明のパターン形成方法が全面露光工程を含むことで、現像後に残存したパターンの反応度を更に向上できる、及び/又は、後述する除去工程における樹脂パターンの除去性を向上できる効果を有する。
例えば、ポジ型感光性層により形成された樹脂パターンは、全面露光工程によって、後述する除去工程における除去性が更に向上する。一方で、ネガ型感光性層により形成された樹脂パターンは、全面露光工程によって、硬化が更に進みプロセスに対する樹脂パターンの耐性が向上する。
なお、「全面露光」とは、透明基材上の第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンが配置された領域を露光することを意図する。透明基材上の第1樹脂パターンが配置されていない領域、及び、透明基材上の第2樹脂パターンが配置されていない領域は、露光されてもよいし、露光されなくてもよい。簡便性がより優れる点で、透明基材上の全面が露光されるのが好ましい。
露光の光源としては、特に制限されず、公知の光源を利用できる。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
露光波長は、除去性の観点から、波長365nm、波長405nm、又は波長436nmを含むのが好ましく、波長365nm又は波長405nmを含むのがより好ましい。
露光量は、除去性の観点から、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~800mJ/cmであるのがより好ましく、100~500mJ/cmであるのが更に好ましい。
露光量は、除去性の観点から、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程の少なくとも一方の工程における露光量以上であるのが好ましく、第1感光性層露光工程及び第2感光性層露光工程の少なくとも一方の工程における露光量よりも大きいことがより好ましい。
露光照度は、5~25,000mW/cmであるのが好ましく、20~20,000mW/cmであるのがより好ましく、30~15,000mW/cmであるのが更に好ましい。照度を大きくすることで全面露光に要する時間が短縮される。
〔加熱工程〕
本発明のパターン形成方法は、全面露光工程の間、全面露光工程の実施前、及び、後述する除去工程の実施前の少なくとも一方において、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を加熱する工程(以下「加熱工程」ともいう。)を含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法が加熱工程を含むことで、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの除去を容易に行うことができる。例えば、ポジ型感光性層により形成された樹脂パターンにおいては、光酸発生剤の反応速度、及び、発生酸とポジ型感光性組成物との反応速度を向上できるため、除去性能を向上できる。
加熱装置としては、特に制限されず、公知の加熱装置を利用できる。加熱装置としては、例えば、赤外線ヒーター、ホットブロワー、及びコンベクションオーブンが挙げられる。
加熱温度は、除去性の観点から、30~100℃であるのが好ましく、30~80℃であるのがより好ましく、30~60℃であるのが特に好ましい。
加熱時間は、除去性の観点から、1~600秒であるのが好ましく、1~120秒であるのがより好ましく、5~60秒であるのが特に好ましい。ここで、「加熱時間」とは、透明基材表面が設定温度に到達した時から起算した時間を意味し、昇温中の時間は含まない。
加熱雰囲気は、空気(相対湿度:10~90%RH)であるのが好ましい。加熱雰囲気は、不活性ガス(例えば、窒素及びアルゴン)であってもよい。
圧力は、常圧であるのが好ましい。
透明基材上に多量の水が付着しているような場合、上記加熱工程の前及び加熱工程中の少なくとも一方において、加熱効率を高める観点から、エアナイフ等で余分な水を吹き飛ばす工程を組み合わせてもよい。
〔除去工程〕
本発明のパターン形成方法は、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を除去する工程(以下「除去工程」といもいう。)を含んでいてもよい。なお、以下において、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンを「樹脂パターン」と総称する場合もある。
樹脂パターンを除去する方法としては、例えば、除去液等の薬品を使用する方法が挙げられ、具体的な一例として、積層体を除去液に浸漬する方法が挙げられる。
除去液としては、樹脂パターンを溶解又は分散可能なものが好ましい。
除去液の温度は、30~80℃であるのが好ましく、50~80℃であるのがより好ましい。
除去液への浸漬時間は、1~30分間であるのが好ましい。
除去液は、除去性がより向上する点で、水を含むのが好ましい。
除去液中の水の含有量が、30質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのが更に好ましい。
除去液としては、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を含むのが好ましい。
無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、例えば、第1級~第3級のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
除去液としては、なかでも、除去性がより向上する点で、有機アルカリ成分を含むのがより好ましい。除去液中の有機アルカリ成分の含有量としては、除去性がより優れる点で、除去液の全質量に対して、0.01~20質量%であるのが好ましく、0.1~10質量%であるのがより好ましい。
除去液は、除去性の観点から、界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤としては、特に制限されず、公知の界面活性剤を利用できる。
界面活性剤の含有量は、除去性の観点から、除去液の全質量に対して、0.1~10質量%であるのが好ましい。
除去液は、水溶性有機溶剤を含むのも好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、低級アルコール、グリコールエーテル、及びN-メチルピロリドンが挙げられる。
除去工程において除去液と樹脂パターンとを接触させる方法としては、例えば、スプレー法、シャワー法、及びパドル法が挙げられる。
除去液としては、特開平11-021483号公報、特開2002-129067号公報、特開平07-028254号公報、特開2001-188363号公報、特開平04-048633号公報、及び特許第5318773号公報に記載された剥離液を適用することもできる。
第1樹脂パターンの除去及び第2樹脂パターンの除去は、同時に行われても逐次に行われてもよい。第1樹脂パターンの除去、及び第2樹脂パターンの除去は、生産性の観点から、同時に行われるのが好ましい。
〔ロールツーロール方式〕
本発明のパターン形成方法は、ロールツーロール方式により実施されるのが好ましい。
ロールツーロール方式としては、特に制限されず、公知のロールツーロール方式を利用できる。例えば、本発明のパターン形成方法において、少なくとも1つの工程の前後に、少なくとも積層体を巻き出す工程及び少なくとも積層体を巻き取る工程をそれぞれ設けることで、積層体を搬送しながら加工できる。
〔他の工程〕
本発明のパターン形成方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。上記以外の工程としては、例えば、以下の工程が挙げられる。
(可視光線反射率を低下させる工程)
本発明のパターン形成方法は、第1透明導電層及び第2透明導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。例えば、第1透明導電層及び第2透明導電層が銅を含む場合、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、第1透明導電層及び第2透明導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048、及び段落0058に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
[回路基板の製造方法]
本発明の回路基板の製造方法は、本発明のパターン形成方法を含む。
なお、本発明のパターン形成方法は、既述のとおりである。
回路基板としては、例えば、プリント配線板及びタッチパネルセンサーが挙げられる。
本発明の回路基板の製造方法は、本発明のパターン形成方法を実施した後、第1樹脂パターンが配置されていない領域における第1透明導電層をエッチング処理する工程、及び/又は、第2樹脂パターンが配置されていない領域における第2透明導電層をエッチング処理する工程を含むのが好ましい。
エッチング処理としては、公知の方法(例えば、エッチング液によるエッチング処理)を適用できる。
[転写フィルム]
本発明の転写フィルムは、
仮支持体と、組成物層とを有する転写フィルムであって、
上記組成物層が、感光性層を含み、
要件1及び要件2のいずれかを満たす。
要件1:転写フィルムの仮支持体側とは反対面がガラス基板と接するように転写フィルムとガラス基板とを貼り合わせた後、上記仮支持体を剥離して得られる積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が、0.5%以上である。
要件2:転写フィルムの仮支持体側とは反対面がガラス基板と接するように転写フィルムとガラス基板とを貼り合わせて得られる積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が0.5%以上である。
上記構成の本発明の転写フィルムによれば、透明基材とその対向する2つの表面に透明導電層とを有する透明導電層付き基材の感光性転写材料として使用され且つ両面露光処理に供された場合であっても、一方の感光性層の露光の際に、この露光光によって他方の感光性層も露光してしまう現象(露光かぶり)が抑制できる。
要件1を満たす転写フィルムは、仮支持体を剥離して露光工程を実施する場合に好適である。つまり、要件1を満たす転写フィルムは、仮支持体を剥離して露光処理を実施する際に用いられる転写フィルムであるのが好ましい。
また、要件2を満たす転写フィルムは、仮支持体を剥離せずに露光工程を実施する場合に好適である。つまり、要件2を満たす転写フィルムは、仮支持体を剥離せずに露光処理を実施する際に用いられる転写フィルムであるのが好ましい。
(要件1の測定手順)
≪ガラス基板及び貼合条件≫
要件1の測定において、ガラス基板としては、可視領域(特に、長波紫外領域)に実質的に吸収の無いガラスであるのが好ましく、無アルカリガラス又は石英ガラスを使用するのがより好ましい。なお、転写フィルムが保護フィルムを有する場合、転写フィルムから保護フィルムを剥離した後、転写フィルムの保護フィルムを剥離することで露出する面とガラス基板とを貼合するのが好ましい。
ガラス基板と転写フィルムとの貼合条件は、ロール温度100℃、線圧0.8MPa、線速度0.5m/分のラミネート条件とするのが好ましい。
また、ガラス基板としては、例えば、厚み0.7mmのガラス板(Eagle XG 100mm□ コーニング社製)とするのが好ましい。
上記要件1にて示す積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値としては、本発明の効果がより優れる点で、0.5%以上であるのが好ましく、1.0%以上であるのがより好ましく、3.0%以上であるのが更に好ましく、10.0%以上であってもよい。なお、上限値としては、特に制限されず、例えば、50%以下であるのが好ましく、35%以下であるのがより好ましい。
(要件2の測定手順)
≪ガラス基板及び貼合条件≫
要件2の測定において、可視領域(特に、長波紫外領域)に実質的に吸収の無いガラスであるのが好ましく、無アルカリガラス又は石英ガラスを使用するのがより好ましい。なお、転写フィルムが保護フィルムを有する場合、転写フィルムから保護フィルムを剥離した後、転写フィルムの保護フィルムを剥離することで露出する面とガラス基板とを貼合するのが好ましい。
ガラス基板と転写フィルムとの貼合条件は、ロール温度100℃、線圧0.8MPa、線速度0.5m/分のラミネート条件とするのが好ましい。
また、ガラス基板としては、例えば、厚み0.7mmのガラス板(Eagle XG 100mm□ コーニング社製)とするのが好ましい。
上記要件2にて示す積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値としては、本発明の効果がより優れる点で、0.5%以上であることが好ましく、1.0%以上であることがより好ましく、3.0%以上であることが更に好ましく、10.0%以上であってもよい。なお、上限値としては、特に制限されず、例えば、50%以下であるのが好ましく、40%以下であることがより好ましい。
本発明の転写フィルムの組成物層の具体例としては、本発明の積層体が有する層として既述した第1組成物層及び第2組成物層が挙げられ、好適態様も同じである。
また、本発明の転写フィルムの仮支持体の具体例としては、上述した積層体にて示した仮支持体が挙げられ、好適態様も同じである。
また、本発明の転写フィルムは、転写フィルムの仮支持体側とは反対面に保護フィルムを有していてもよい。
保護フィルムとしては、例えば、樹脂フィルム及び紙が挙げられる。保護フィルムは、強度及び可撓性の観点から、樹脂フィルムであるのが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。樹脂フィルムは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、又はポリエチレンテレフタレートフィルムであるのが好ましい。
保護フィルムの厚さは、制限されない。保護フィルムの平均厚さは、例えば、1~2mmの範囲で決定すればよい。保護フィルムの平均厚さは、上記透明基材の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
本発明の転写フィルムの具体的な構成としては、例えば、以下の構成が挙げられる。
(1)保護フィルム/感光性層/散乱層/仮支持体
(2)保護フィルム/感光性層/散乱層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
(3)保護フィルム/感光性層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
(4)保護フィルム/感光性層/仮支持体
(5)保護フィルム/散乱層/感光性層/仮支持体
〔転写フィルムの製造方法〕
本発明の転写フィルムの製造方法(以下「転写フィルムの製造方法」ともいう。)は特に制限されず、公知の方法を使用できる。
以下において、仮支持体と、仮支持体上に配置され、仮支持体側から順に散乱層及び感光性層を有する組成物層と、保護フィルムとからなる転写フィルムの製造方法を一例に挙げて転写フィルムの製造方法を説明する。
上述の構成の転写フィルムの製造方法の場合、仮支持体の表面に散乱層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して散乱層を形成する工程と、散乱層の表面に感光性層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性層を形成する工程と、を含む方法が挙げられる。
上述の製造方法により製造された積層体の散乱層上に、保護フィルムを圧着させることにより転写フィルムが製造される。また、得られた転写フィルムを製造後に巻き取って、ロール形態の転写フィルムとして保管してもよい。ロール形態の転写フィルムは、後述するロールツーロール方式での基板との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
また、上述の転写フィルムの製造方法としては、保護フィルム上に、感光性層及び散乱層を形成した後、散乱層上に仮支持体を圧着する製造方法であってもよい。
<散乱層の形成方法>
仮支持体上に散乱層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、仮支持体上に散乱層形成用組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより形成できる。
散乱層形成用組成物としては、上述した散乱層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、散乱層形成用組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した散乱層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、散乱層を形成する成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。
水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~2,500質量部が好ましく、50~1,900質量部がより好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
散乱層形成用組成物の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
<感光性層形成用組成物及び感光性層の形成方法>
散乱層上に感光性層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、散乱層上に感光性層形成用組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより感光性層を形成できる。
感光性層形成用組成物としては、上述した感光性層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、感光性層形成用組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した感光性層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。具体的には、例えば、アルキレングリコールエーテル溶剤、アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤、アルコール溶剤(メタノール及びエタノール等)、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン等)、非プロトン性極性溶剤(N,N-ジメチルホルムアミド等)、環状エーテル溶剤(テトラヒドロフラン等)、エステル溶剤(酢酸nプロピル等)、アミド溶剤、ラクトン溶剤、並びにこれらの2種以上を含む混合溶剤が挙げられる。
溶剤としては、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ケトン溶剤及び環状エーテル溶剤からなる群より選択される少なくとも1種とを含む混合溶剤がより好ましく、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種、ケトン溶剤、並びに、環状エーテル溶剤の3種を少なくとも含む混合溶剤が更に好ましい。
アルキレングリコールエーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びジプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
溶剤としては、国際公開第2018/179640号の段落[0092]~[0094]に記載された溶剤、及び特開2018-177889公報の段落[0014]に記載された溶剤を用いてもよく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対し、50~1,900質量部が好ましく、100~1200質量部が更に好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
感光性層形成用組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、及び、ダイコート法(すなわち、スリットコート法)が挙げられる。
感光性層形成用組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。
更に、保護フィルムを感光性層に貼り合わせることにより転写フィルムを製造できる。
保護フィルムを散乱層に貼り合わせる方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
保護フィルムを散乱層に貼り合わせる装置としては、真空ラミネーター、及び、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターが挙げられる。
ラミネーターはゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
また、転写フィルムが熱可塑性樹脂層及び中間層を含む場合、層を形成する方法としては、上述の感光性層と同様の公知の塗布方法が挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<用語>
本実施例において、次の略号は、それぞれ、以下の化合物を表す。
「MAA」:メタクリル酸(東京化成工業株式会社製)
「MMA」:メタクリル酸メチル(東京化成工業株式会社製)
「PGMEA」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工株式会社製)
「St」:スチレン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
「V-601」:2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル(富士フイルム和光純薬株式会社製)
「PGMEA」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
「MEK」:メチルエチルケトン
「MeOH」:メタノール
[転写フィルムの作製]
〔転写フィルム1Aの作製〕
<仮支持体の作製>
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを作製した。仮支持体の感光性層を配置する側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.001μmであった。
<散乱層の形成>
上記仮支持体上に、スリット状ノズルを用いて、乾燥後の層厚が1.1μmとなるように下記散乱層形成用組成物を塗布した。散乱層形成用組成物の塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、散乱層を形成した。
(散乱層形成用組成物M-1)
以下の成分を混合して散乱層形成用組成物を調製した。
・クラレポバール4-88LA(クラレ社製、ポリビニルアルコール) 30質量部
・PVP-K30(日本触媒社製、ポリピロリドン) 15質量部
・HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、製品名「メトローズ 60SH-03」、信越化学工業社製) 5質量部
・F444:メガファックF444(フッ素系界面活性剤、DIC社製)
0.05質量部
・水 475質量部
・メタノール 475質量部
<感光性層の作製>
形成された散乱層の上に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであり、且つ、乾燥後の層厚が3.0μmとなるように、下記感光性層形成用組成物(S1-1)を塗布し、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥して感光性層を形成した。次いで、感光性層の上に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ:12μm)を貼り合わせて転写フィルム1Aを作製した。
(感光性層形成用組成物S1-1)
・重合体B-1(30質量%溶液) 22.77質量部
・B-CIM 0.8質量部
・増感剤C 0.07質量部
・連鎖移動剤A(濃度1質量%のMEK溶液) 1.8質量部
・NKエステルBPE-500 4.9質量部
・NKエステルA-HD-N 0.5質量部
・1-フェニル-3-ピラゾリドン(濃度1%のMEK溶液) 0.11質量部
・フェノチアジン(濃度5%のMEK溶液) 0.7質量部
・PGMEA 26.1質量部
・MEK 38.4質量部
・MeOH 2.0質量部
・UV吸収剤A 1.0質量部
・LCV(濃度3質量%のMEK溶液) 1.7質量部
・メガファックF552 0.05質量部
上記各成分の詳細を以下に示す。
(重合体B-1)
≪重合体B-1の合成≫
3つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、昭和電工株式会社、116.5質量部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。St(52.0質量部)、MMA(19.0質量部)、MAA(29.0質量部)、V-601(4.0質量部)、及びPGMEA(116.5質量部)を含む溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃±2℃にて2時間撹拌することで、重合体B-1(固形分濃度:30質量%、分子量:70,000、ガラス転移温度:131℃、酸価:189mgKOH/g)を得た。
(光ラジカル発生剤)
「B-CIM」:2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(Hampford Research社製)
(増感剤)
「増感剤C」:4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製)
(連鎖移動剤)
「連鎖移動剤A」:N-フェニルカルバモイルメチル-N-カルボキシメチルアニリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
(重合性化合物)
「NKエステルBPE-500」:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製)
「NKエステルA-HD-N」:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製)
(重合禁止剤)
「1-フェニル-3-ピラゾリドン」:富士フイルム和光純薬株式会社製
「フェノチアジン」:富士フイルム和光純薬株式会社製
(溶剤)
「PGMEA」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工株式会社製)
「MEK」:メチルエチルケトン(三協化学株式会社製)
「MeOH」:メタノール(三井化学製)
(色材)
「LCV」:ロイコクリスタルバイオレット(色素、山田化学工業株式会社製)
(UV吸収剤)
「UV吸収剤A」:ジエチルアミノ-フェニルスルホニル系紫外線吸収剤(大東化学株式会社製)
(界面活性剤)
「メガファックF552」:製品名(DIC株式会社製)
〔転写フィルム6Aの作製〕
<感光性層の形成>
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)保護フィルムにスリット状ノズルを用いて、乾燥後の層厚が3μmとなるように上述の感光性層形成用組成物S1-1を塗布し、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥して感光性層を形成した。
<散乱層の形成>
形成された感光性層上に、スリット状ノズルを用いて、乾燥後の層厚が1.1μmとなるように下記散乱層形成用組成物M-3を塗布した。次いで、散乱層形成用組成物の塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、散乱層を形成した。
(散乱層形成用組成物M-3)
以下の成分を混合して散乱層形成用組成物を調製した。
・クラレポバール4-88LA(クラレ社製、ポリビニルアルコール)
26.4質量部
・PVP-K30(日本触媒社製、ポリピロリドン) 13.2質量部
・HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、製品名「メトローズ 60SH-03」、信越化学工業社製) 0.4質量部
・ST-OYL(日産化学社製 シリカ分散液) 50.0質量部
・F444:メガファックF444(フッ素系界面活性剤、DIC社製)
0.05質量部
・水 455質量部
・メタノール 455質量部
<仮支持体の形成>
そして、散乱層の上に、仮支持体としてパナプロテクトHPF25M(パナック株式会社製)を貼り合わせて転写フィルム6Aを作製した。
パナプロテクトHPF25Mはパナック株式会社製の保護フイルムであり、仮支持体の感光性層を配置する側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、Raは0.024μmであった。
〔転写フィルム2A~5A及び9A~10Aの作製〕
仮支持体及び組成物層の構成を表1に基づいて変更した以外は、転写フィルム1Aと同様の方法により、転写フィルム2A~5A及び9A~10Aを作製した。
以下、転写フィルム2A~5A及び9A~10Aの作製に使用した各種材料を示す。
<仮支持体>
以下、転写フィルム2A~5A及び9A~10Aの作製に使用した仮支持体の種類を示す。なお、表中に示される算術平均粗さ(Ra(μm))は、仮支持体の感光性層側の表面における算術平均粗さを表す。
「CU-PET1」:
(CU-PET1の作製方法)
厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ポリエチレンの厚みが10μmになるようにポリエチレンを溶融押し出しラミネートした。ラミネートでは、表面粗さRaが0.04μmのマット化ロールをポリエチレン層に押し付けた。以上の手順によって、仮支持体としてマット化ポリエチレン付きPETフィルムを作製した。仮支持体の感光性層を配置する側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.018μmであった。
「CU-PET2」:
(CU-PET2の作製方法)
CU-PET1と同様に、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ポリエチレンの厚みが10μmになるようにポリエチレンを溶融押し出しラミネートした。ラミネートでは、表面粗さRaが0.08μmのマット化ロールをポリエチレン層に押し付けた。以上の手順によって、仮支持体としてマット化ポリエチレン付きPETフィルムを作製した。仮支持体の感光性層を配置する側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.04μmであった。
「CU-PET3」:
(CU-PET3の作製方法)
CU-PET1と同様に、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ポリエチレンの厚みが10μmになるようにポリエチレンを溶融押し出しラミネートした。ラミネートでは、表面粗さRaが0.31μmのマット化ロールをポリエチレン層に押し付けた。以上の手順によって、仮支持体としてマット化ポリエチレン付きPETフィルムを作製した。仮支持体の感光性層を配置する側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.19μmであった。
「CU-PET4」:
(CU-PET4の作製方法)
CU-PET1と同様に、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、ポリエチレンの厚みが10μmになるようにポリエチレンを溶融押し出しラミネートした。ラミネートでは、表面粗さRaが1.08μmのマット化ロールをポリエチレン層に押し付けた。以上の手順によって、仮支持体としてマット化ポリエチレン付きPETフィルムを作製した。仮支持体の感光性層を配置する側の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.85μmであった。
<散乱層形成用組成物>
(散乱層形成用組成物M-2)
以下の成分を混合して散乱層形成用組成物を調製した。
・クラレポバール4-88LA(クラレ社製、ポリビニルアルコール) 33質量部
・PVP-K30(日本触媒社製、ポリピロリドン) 17.5質量部
・HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、製品名「メトローズ 60SH-03」、信越化学工業社製) 0.5質量部
・F444:メガファックF444(フッ素系界面活性剤、DIC社製)
0.05質量部
・水 475質量部
・メタノール 475質量部
<感光性層形成用組成物>
(感光性層形成用組成物S1-2)
・重合体B-1(30質量%溶液) 22.77質量部
・B-CIM 0.8質量部
・増感剤C 0.07質量部
・連鎖移動剤A(濃度1質量%のMEK溶液) 1.8質量部
・NKエステルBPE-500 4.9質量部
・NKエステルA-HD-N 0.5質量部
・1-フェニル-3-ピラゾリドン(濃度1質量%のMEK溶液) 0.11質量部
・フェノチアジン(濃度5%のMEK溶液) 0.7質量部
・PGMEA 26.1質量部
・MEK 38.4質量部
・MeOH 2.0質量部
・UV吸収剤A 1.0質量部
・LCV(濃度3%のMEK溶液) 1.7質量部
・カーボンブラック分散液FDK-017(固形分濃度38質量%) 1.8質量部
・メガファックF552 0.05質量部
なお、組成物の調製に使用される各成分の詳細については、既述のとおりである。
(重合体B-1(30質量%溶液))
既述の感光性層形成用組成物S1-1にて使用される重合体B-1(30質量%溶液)と同じである。
(カーボンブラック)
「カーボンブラック分散液FDK-017」:(東京インキ社製)
〔転写フィルム7A~8Aの作製〕
仮支持体及び組成物層の構成を表1に基づいて変更した以外は、転写フィルム6Aと同様の方法により、転写フィルム7A~8Aを作製した。
以下、転写フィルム7A~8Aの作製に使用した各種材料を示す。
<散乱層形成用組成物>
(散乱層形成用組成物M-4)
以下の成分を混合して散乱層形成用組成物を調製した。
・クラレポバール4-88LA(クラレ社製、ポリビニルアルコール)19.8質量部
・PVP-K30(日本触媒社製、ポリピロリドン) 9.9質量部
・HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、製品名「メトローズ 60SH-03」、信越化学工業社製) 0.3質量部
・ST-OYL(日産化学社製 シリカ分散液) 100.0質量部
・F444:メガファックF444(フッ素系界面活性剤、DIC社製)
0.05質量部
・水 435質量部
・メタノール 435質量部
(散乱層形成用組成物M-5)
・クラレポバール4-88LA(クラレ社製、ポリビニルアルコール)19.8質量部
・PVP-K30(日本触媒社製、ポリピロリドン) 9.9質量部
・HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、製品名「メトローズ 60SH-03」、信越化学工業社製) 0.3質量部
・シーホスターKE-W50(日本触媒社製 シリカ分散液) 100.0質量部
・F444:メガファックF444(フッ素系界面活性剤、DIC社製)
0.05質量部
・水 435質量部
・メタノール 435質量部
〔転写フィルム1A~10Aの各種物性〕
<散乱層のヘイズ>
散乱層のヘイズは、以下の方法により測定した。
厚み0.7mmのガラス板(Eagle XG 100mm□ コーニング社製)に散乱層形成用組成物を乾燥後の膜厚が1.1μmになるようにスピンコーターで塗布し、100℃60秒乾燥し、得られた測定試料のヘイズをJIS-K-7136に準拠したヘイズメーター(日本電色社製 ヘイズメーターNDH-4000)を用いて測定した。
<感光性層の最大感度波長におけるOD値>
感光性層の最大感度波長におけるOD値は、吸収度合を対数で表示した値であって、下式で定義される値である。
OD(λ)=Log10[T(λ)/I(λ)]
λは感光性層の最大感度波長を表し、T(λ)は波長λにおける透過光量を表し、I(λ)は波長λにおける入射光量を表す。感光性層の光学濃度は、感光性層の最大感度波長の光を入射し、その透過率を日立ハイテクノロジー社製分光器UV4100(商品名)により測定した。
<転写フィルムのヘイズ1>
保護フィルムを剥離した各転写フィルムの被転写層を下記ガラス基板に転写した後、仮支持体を剥離して測定試料(積層体)を作製した。得られた測定試料のヘイズをJIS-K-7136に準拠したヘイズメーター(日本電色社製 ヘイズメーターNDH-4000)を用いて測定した。
(ガラス基板)
厚み0.7mmのガラス板(Eagle XG 100mm□ コーニング社製)
(転写条件)
ロール温度100℃、線圧0.8MPa、線速度0.5m/分
<転写フィルムのヘイズ2>
保護フィルムを剥離した各転写フィルムの被転写層をガラス基板に転写した後、仮支持体を剥離せずに測定試料(積層体)を作製した。得られた測定試料のヘイズをJIS-K-7136に準拠したヘイズメーター(日本電色社製 ヘイズメーターNDH-4000)を用いて測定した。
なお、上記測定において、使用したガラス基板及び転写条件は、<転写フィルムのヘイズ1>と同様とした。
表1及び表2中、「水溶性バインダー」欄の括弧内の質量比は、水溶性バインダーの全体に対する質量比を表す。
また、表1及び表2中の「粒子の種類/含有量」欄の数値は、散乱層の全質量に対する粒子の含有量(質量%)を表す。
Figure 2023007384000027
〔転写フィルム1B~5B及び9Bの作製〕
仮支持体及び感光性層の構成を表2に変更した以外は、転写フィルム1Aと同様の方法により、転写フィルム1B~5B及び9Bを作製した。また、転写フィルム1Aと同様の方法により、転写フィルムの各種物性について測定した。
〔転写フィルム6B~8Bの作製〕
仮支持体及び感光性層の構成を表2に変更した以外は、転写フィルム6Aと同様の方法により、転写フィルム6B~8Bを作製した。また、転写フィルム6Aと同様の方法により、転写フィルムの各種物性について測定した。
以下、転写フィルム1B~9Bの作製に使用した各種材料を示す。
<仮支持体>
表2中に示される転写フィルム1B~9Bの仮支持体(「PET16μm」「CU-PET1」「CU-PET2」「CU-PET3」「CU-PET4」「パナプロテクトHPF25M」)は、転写フィルム1A~10Aの作製に使用された仮支持体として上段部で示した仮支持体に各々対応している。
<散乱層形成用組成物>
表2中に示される転写フィルム1B~9Bの散乱層形成用組成物(M-1~M-5)は、転写フィルム1A~10Aの作製に使用された散乱層形成用組成物として上段部で示した散乱層形成用組成物(M-1~M-5)に各々対応している。
<感光性層形成用組成物>
表2中に示される転写フィルム9Bの作製に使用される感光性層形成用組成物(S1-2)は、転写フィルム1A~10Aの作製に使用された仮支持体として上段部で示した感光性層形成用組成物(S1-2)に対応している。
表2中に示される転写フィルム1B~8Bの作製に使用される感光性層形成用組成物(S2-1)は、以下の通りである。
(組成物S2-1)
・重合体B-1(30質量%溶液) 24.7質量部
・B-CIM 0.25質量部
・増感剤B 0.15質量部
・連鎖移動剤A(濃度1質量%のMEK溶液) 1.8質量部
・NKエステルBPE-500 4.9質量部
・NKエステルA-HD-N 0.5質量部
・1-フェニル-3-ピラゾリドン(濃度1質量%のMEK溶液) 0.11質量部
・フェノチアジン(濃度5質量%のMEK溶液) 0.35質量部
・PGMEA 26.1質量部
・MEK 37.5質量部
・MeOH 2.0質量部
・LCV(濃度3質量%のMEK溶液) 1.7質量部
・メガファックF552 0.05質量部
なお、組成物の調製に使用される各成分の詳細については、既述のとおりである。
(重合体B-1(30質量%溶液))
既述の感光性層形成用組成物S1-1にて使用される重合体B-1(30質量%溶液)と同じである。
(増感剤)
「増感剤B」:クマリン7(東京化成工業株式会社製)
Figure 2023007384000028
[積層体の作製並びにパターン形成及び評価(実施例1~8、比較例1~2)]
〔積層体の作製〕
<透明導電層付き基材1の作製>
(銀ナノワイヤ分散液の作製)
容器内に、常温(25℃)でエチレングリコール60質量部とポリビニルピロリドン(PVP)2.5質量部とを入れ、500rpm(rotation per minute)で撹拌しながら10分かけて135℃まで昇温した。その後も135℃に維持した状態で撹拌を継続した。また、135℃に到達した時点から10分経過後、予め別の容器にてエチレングリコール0.6質量部に塩化ナトリウム0.006質量部(0.1mmol部)を溶解させて得た塩化ナトリウム溶液を添加した。塩化ナトリウム溶液を添加した時点から3分経過後に、予め別の容器にてエチレングリコール7.65質量部に硝酸銀0.85質量部(5.0mmol部)を溶解させた硝酸銀溶液を添加した。硝酸銀溶液を添加した後、撹拌速度を100rpmに変更し、135℃で3.0時間保持して加熱を終了し、そのまま室温(25℃)になるまで自然冷却した。
容器内の溶液温度が室温(25℃)になった後、反応後のスラリーを遠心管に分取し、蒸留水を添加して洗浄し、3,000rpmで5分間、遠心分離を行った。遠心分離後の上澄みを除去した後、残った沈殿物にメタノールを添加してスラリーとし、2500rpmで5分間、遠心分離を施した。遠心分離後の上澄みを除去した後、残った沈殿物に再びメタノールを添加してスラリーとし、1500rpmで10分間の遠心分離を施した。遠心分離後の上澄みを除去した後、残った沈殿物を水に加えて500rpmで10分撹拌して銀ナノワイヤ分散液を得た。
得られた銀ナノワイヤの平均長軸長及び平均短軸長を以下の方法で測定したところ、平均長軸長が10μmであり、平均短軸長(平均直径)が70nmであり、平均アスペクト比が140であった。
-金属ナノワイヤの平均長軸長及び平均短軸長の測定-
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM-2000FX)を用い、拡大観察された金属ナノワイヤのうち、ランダムに300個の金属ナノワイヤを選択し、選択した金属ナノワイヤの長軸長さと短軸長さ(直径)を測定し、それぞれの算術平均値を金属ナノワイヤの平均長軸長及び平均短軸長(平均直径)とした。
(透明導電層付き基材1の作製)
得られた銀ナノワイヤ分散液をポリエチレンテレフタレート基材(透明基材。膜厚40μm、透過率(露光波長のうち主波長における透過率)89%)の一方の面に塗布し、80℃で2分間乾燥させて、上記基材上に銀ナノワイヤを含有する厚み200nmの透明導電層を形成した。
他方の面にも同様に銀ナノワイヤを含有する厚み200nmの透明導電層を形成し、両面に銀ナノワイヤを含有する層(被エッチング層)を有する透明導電層付き基材1を作製した。
(積層体の作製、積層体のヘイズの測定)
表3の記載に従って、表1に示す転写フィルム1A~10Aの中から第1転写フィルムを選択し、表2に示す転写フィルム1B~9Bの中から第2転写フィルムを選択した。更に、選択した転写フィルムを50cm角に裁断した後、転写フィルムから保護フィルムを剥がした。なお、以下において、第1転写フィルム中の仮支持体、組成物層、及び、透明導電層を各々、第1仮支持体、第1組成物層、及び、第1透明導電層ともいう。また、第2転写フィルム中の仮支持体、組成物層、及び、透明導電層を各々、第2仮支持体、第2組成物層、及び、第2透明導電層ともいう。
次いで、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で、転写フィルムを、保護フィルムとの剥離面が透明導電層付き基材1中の透明導電層と接するように、透明導電層付き基材1の両面に貼り合せた。具体的には、透明導電層付き基材1の一方の面に第1転写フィルムの第1組成物層を貼り合わせ、透明基材の上記面に対向する他方の面に第2転写フィルムの第2組成物層を貼り合わせた。このようにして、第1仮支持体/第1組成物層/第1透明導電層/透明基材/第2透明導電層/第2組成物層/第2仮支持体からなる積層体を作製した。
次いで、表3に従って、得られた積層体から第1仮支持体及び第2仮支持体を剥離した後、又は、得られた積層体から第1仮支持体及び第2仮支持体を剥離せずに、後述するパターン形成に使用した。
また、パターン形成に使用する前に積層体のヘイズ測定を実施した。すなわち、表3に従って、仮支持体を剥離して露光を実施する積層体サンプルについては、仮支持体を剥離した後の積層体に対してJIS-K-7136に基づいてヘイズを測定し、仮支持体を剥離せずに露光を実施する積層体サンプルについては、仮支持体を剥離していない積層体に対してJIS-K-7136に基づいてヘイズを測定した。
ヘイズ測定は、具体的には、JIS-K-7136に準拠したヘイズメーター(日本電色社製 ヘイズメーターNDH-4000)を用いて測定した。
〔パターン形成〕
線幅3~40μmのラインアンドスペースパターンを有するガラスマスク(Duty比 1:1)を積層体の両面にそれぞれ密着させた。平面視した場合にガラスマスクのラインパターンが互いに直交するように、積層体の両面にそれぞれガラスマスクを配置した。次に、第1組成物中の感光性層(以下「第1感光性層」ともいう。)及び第2組成物中の感光性層(以下「第2感光性層」ともいう。)を同時に露光した。
第1感光性層及び第2感光性層を同時に露光する際、透明基材を基準にして第1感光性層が配置された側から第1感光性層を露光し、そして、透明基材を基準にして第2感光性層が配置された側から第2感光性層を露光した。
第1感光性層の最大感度波長は、波長365nmであり、第2感光性層の最大感度波長は、405nmであった。また、各層の露光条件は、以下のようにして決定した。
第1感光性層:第1感光性層に対し、上記ガラスマスクを介して405nmを含まない露光条件で露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
第2感光性層:第2感光性層に対し、上記ガラスマスクを介して365nmを含まない露光条件で露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
なお、上記の「365nmを含まない露光条件」及び「405nmを含まない露光条件」の記載の意味はそれぞれ次のとおりである。
「365nmを含まない露光条件」:超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用い、短波長カットフィルター(型番:LUO400、カットオフ波長:400nm、朝日分光株式会社製)を介して露光した。主波長は、405nmである。
主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は0.5%以下である。
「405nmを含まない露光条件」:超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用い、水銀露光用バンドパスフィルター(型番:HB0365、中心波長:365nm、朝日分光株式会社製)を介して露光した。主波長は、365nmである。主波長の強度を100%とする場合、波長405nmの強度は0.5%以下である。
また、365nmを含まない露光条件の場合、露光量は照度計(UIT-250、ウシオ電機株式会社製)に405nm用受光器(UVD-C405、ウシオ電機株式会社製)を取り付け、上記のLUO400カットフィルターを介して測定を行った。405nmを含まない露光条件の場合、露光量は照度計に365nm用受光器(UVD-C365、ウシオ電機株式会社製)を取り付け、上記のバンドパスフィルター(HB0365)を介して測定を行った。
露光後1時間放置した後、現像によって樹脂パターンを形成した。現像は、28℃の1.0%炭酸カリウム水溶液(現像液)を用い、シャワー現像で30秒行った。現像は、第1感光性層及び第2感光性層に対して同時に行った。
上記手順により第1樹脂パターン及び第2樹脂パターン(以下「樹脂パターン」と総称する)を有する透明基材(以下「樹脂パターン付き透明基材」ともいう。)を作製した。
〔各種評価〕
実施例1~8並びに比較例1及び2で作製した樹脂パターン付き透明基材を用いて、解像性及び露光かぶりをそれぞれ評価した。
<露光かぶり>
樹脂パターン付き基板の表面のうち非露光部(非露光部の反対側の基板表面が露光部である部分に限る。以下、本段落において同じ。)を観察し、以下の基準に従って露光かぶりを評価した。露光かぶりが発生すると、上記非露光部において感光性層に由来する残渣が観察される。
(基準)
第1感光性層、第2感光性層ともに20μmのラインアンドスペースパターンを有する露光領域を、倍率50倍の光学顕微鏡で観察し、20μm周期で発生する露光かぶりによるレジスト線幅の太り量(腹部の線幅-節部の線幅)を計測することで露光かぶりを評価した。なお、第1感光性層と、第2感光性層で発生する線幅の太り量が異なる場合は、より大きい太り量を示す方の値を太り量として採用した。
「5」:レジスト線幅の太りが観察されない。
「4」:レジスト線幅の太り量が、1.0μm以下である。
「3」:レジスト線幅の太り量が、1.0μm超、2.0μm以下である。
「2」:レジスト線幅の太り量が、2.0μm超、5.0μm以下である。
「1」:レジスト線幅の太り量が、5.0μm超である。
<解像性>
第1感光性層、第2感光性層がそれぞれ独立に露光される領域の樹脂パターンのうち、最も高解像度であったパターンの線幅を到達解像度とした。到達解像度に基づき、以下の基準に従って解像性を評価した。なお、パターンの側壁部に大きな荒れが生じている場合、又は、裾引きが顕著に生じ隣接するラインパターンとつながっているような場合は、解像できていないとした。なお、第1感光性層と、第2感光性層で到達解像度が異なる場合は、より大きな値を示す方の値を解像度として採用した。
(基準)
「5」:6μm以下
「4」:6μm超、8μm以下
「3」:8μm超、10μm以下
「2」:10μm超、20μm以下
「1」:20μm超、又は解像できていない
Figure 2023007384000029
実施例の積層体によれば、両面露光において露光かぶりが抑制されることが明らかである。また、第1感光性層及び第2感光性層の最大感度波長での光学濃度が低いことから、形成される第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの解像性にも優れることが明らかである。
実施例1~8の対比から、積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が、2.0%以上の場合(好ましくは、8.0%以上の場合)、露光かぶりがより抑制されることが確認された。
なお、実施例1の散乱層は、バインダーの組成比の調整により、PVP、PVA、及びHPMCが層分離し、この結果として表面凹凸形状が形成されていると推測される。また、実施例2~5の散乱層は、散乱層形成面の算術平均粗さが高い仮支持体を使用したことで、この仮支持体の表面形状が転写され、この結果として表面凹凸形状が形成されていると推測される。なお、実施例2~5の散乱層の算術平均粗さの値は、仮支持体の散乱層形成面の算術平均粗さの値と概ね一致する。
また、実施例6~8の散乱層は、主として、散乱粒子を含むことに起因して散乱機能を発現すると推測される。
また、実施例4、5、8では露光かぶりに対しては優れた評価結果が得られたが、一方で、解像性の低下がみられた。この理由として、散乱層での散乱が強すぎて感光性層に対する露光光の単位面積当たりの強度が低下したためと考えられる。
一方で、比較例1及び2の積層体は、所望の効果が得られなかった。なお、比較例1及び2の積層体の場合、仮支持体を剥離してもヘイズはほとんど変化しなかった。
[積層体の作製並びにパターン形成及び評価(実施例9、比較例3)]
〔透明導電層付き基材2の作製〕
ポリエチレンテレフタレート基材(透明基材。膜厚40μm、透過率(露光波長のうち主波長における透過率)89%)の両面に厚み120nmのITO(酸化インジウムスズ)からなる透明導電層をスパッタ法により形成し、両面にITO層(被エッチング層)を有する透明導電層付き基材2を作製した。
〔積層体の作製並びにパターン形成及び評価(実施例9)〕
透明導電層付き基材1を透明導電層付き基材2に変更した以外は実施例3と同様にして積層体を作製し、上段部にて示した方法により、積層体のヘイズ、解像性、及び露光かぶりをそれぞれ評価した。
〔積層体の作製並びにパターン形成及び評価(比較例3)〕
透明導電層付き基材1を透明導電層付き基材2に変更した以外は比較例2と同様にして、積層体を作製し、上段部にて示した方法により、積層体のヘイズ、解像性、及び露光かぶりをそれぞれ評価した。
Figure 2023007384000030
[導電パターンの作製及び評価(実施例1A~8A)]
実施例1~8で作製した樹脂パターン付き透明基材について硝酸鉄水溶液(30℃、40.0質量%)をシャワーで吹き付けることで、樹脂パターンが存在しない部分の導電層に含まれる金属ナノワイヤをエッチングして除去した。更に、40℃の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(2.38質量%)をシャワーで吹き付けることで残存する樹脂パターンを除去し、透明基材上に導電パターンを形成した。次いで、得られた導電パターン付き透明基材に対し、赤外線オーブンで140℃30分間加熱処理を行った。このようにして、実施例1A~8Aの導電パターン(配線パターン)付き透明基材(配線基板)を作製した。光学顕微鏡で導電パターンを観察したところ、樹脂パターンが解像していた部分について、剥がれ及び欠け等が無い、きれいな導電パターンができていた。
[導電パターンの作製及び評価(実施例9A)]
実施例9で作製した樹脂パターン付き透明基材を使用し、且つ、エッチングをITOエッチャント(塩酸、塩化カリウム水溶液。液温30℃)に変更して実施したこと以外は実施例1A~8Aと同様の作製手順により、実施例9Aの導電パターン(配線パターン)付き透明基材(配線基板)を作製した。光学顕微鏡で導電パターンを観察したところ、樹脂パターンが解像していた部分について、剥がれ及び欠け等が無い、きれいな導電パターンができていた。
10 積層体
1A 第1組成物層
2A 第1透明導電層
3 透明基材
2B 第2透明導電層
1B 第2組成物層
11A 第1感光性層
12A 散乱層
11B 第2感光性層
12B 第2散乱層
矢印 露光光の入射方向(露光面)

Claims (24)

  1. 第1組成物層と、第1透明導電層と、透明基材と、第2透明導電層と、第2組成物層とをこの順に有する積層体であって、
    前記第1組成物層が、少なくとも第1感光性層を含み、
    前記第2組成物層が、少なくとも第2感光性層を含み、
    前記積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が0.5%以上である、積層体。
  2. 前記第1感光性層の最大感度波長における光学濃度が、0.5以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第2感光性層の最大感度波長における光学濃度が、0.5以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層の少なくとも一方が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子よりなる群から選択される1種以上を含む層である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記第1感光性層の最大感度波長及び前記第2感光性層の最大感度波長の少なくとも一方が、250~395nmの範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記第1感光性層の最大感度波長及び前記第2感光性層の最大感度波長の少なくとも一方が、395nm超500nm以下の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記透明基材のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が、0.5%以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記第1組成物層が、前記第1透明導電層側から順に、前記第1感光性層と、第1散乱層とを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記第1散乱層が、粒子を含む、請求項8に記載の積層体。
  10. 前記第1感光性層が、粒子を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記第1組成物層の表面の算術平均粗さが、0.01~1μmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記第1組成物層が、前記第1透明導電層側から順に、第1散乱層と、前記第1感光性層、を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記第1散乱層が、粒子を含む、請求項12に記載の積層体。
  14. 前記第2組成物層が、下記(X1)~(X4)のいずれか1つ以上を満たす、請求項1~13のいずれか1項に記載の積層体。
    (X1)前記第2組成物層が、前記第2透明導電層側から順に、前記第2感光性層と、第2散乱層とを含む。
    (X2)前記第2感光性層が粒子を含む。
    (X3)前記第2組成物層の表面の算術平均粗さが、0.01~1μmである。
    (X4)前記第2組成物層が、前記第2透明導電層側から順に、第2散乱層と、前記第2感光性層とを含む。
  15. 仮支持体と、組成物層とを有する転写フィルムであって、
    前記組成物層が、感光性層を含み、
    要件1及び要件2のいずれかを満たす、転写フィルム。
    要件1:前記転写フィルムの前記仮支持体側とは反対面がガラス基板と接するように前記転写フィルムと前記ガラス基板とを貼り合わせた後、前記仮支持体を剥離して得られる積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が、0.5%以上である。
    要件2:前記転写フィルムの前記仮支持体側とは反対面がガラス基板と接するように前記転写フィルムと前記ガラス基板とを貼り合わせて得られる積層体のJIS-K-7136に規定されるヘイズ値が0.5%以上である。
  16. 前記組成物層が、更に、散乱層を含む、請求項15に記載の転写フィルム。
  17. 前記散乱層が、粒子を含む、請求項16に記載の転写フィルム。
  18. 請求項1~14のいずれか1項に記載の積層体中の前記第1感光性層及び前記第2感光性層に対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
    前記第1感光性層を露光する、第1感光性層露光工程と、
    前記第2感光性層を露光する、第2感光性層露光工程と、
    露光された前記第1感光性層を現像して第1樹脂パターンを形成する、第1現像工程と、
    露光された前記第2感光性層を現像して第2樹脂パターンを形成する、第2現像工程と、を含み、
    前記第1感光性層露光工程における露光波長の主波長λと、前記第2感光性層露光工程における露光波長の主波長λとが異なる、パターン形成方法。
  19. 前記第1感光性層露光工程及び前記第2感光性層露光工程が、同時又は逐次に行われる、請求項18に記載のパターン形成方法。
  20. 前記第1現像工程及び前記第2現像工程が、同時又は逐次に行われる、請求項18又は19に記載のパターン形成方法。
  21. 前記第1樹脂パターンをマスクとして用いて、前記第1透明導電層をエッチングする工程、及び、前記第2樹脂パターンをマスクとして用いて、前記第2透明導電層をエッチングする工程の少なくとも一方を含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  22. 前記第1感光性層露光工程における露光波長が、波長405nmを含まず、
    前記第2感光性層露光工程における露光波長が、波長365nmを含まない、請求項18~21のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  23. 前記第1感光性層露光工程における露光波長が、波長365nmを含まず、
    前記第2感光性層露光工程における露光波長が、波長405nmを含まない、請求項18~21のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  24. 請求項18~23のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
JP2022053698A 2021-06-30 2022-03-29 積層体、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法 Pending JP2023007384A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN202210609332.4A CN115542669A (zh) 2021-06-30 2022-05-31 层叠体、转印膜、图案形成方法、电路板的制造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021109104 2021-06-30
JP2021109104 2021-06-30

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023007384A true JP2023007384A (ja) 2023-01-18

Family

ID=85106867

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022053698A Pending JP2023007384A (ja) 2021-06-30 2022-03-29 積層体、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023007384A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2022045203A1 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法、回路配線の製造方法
JP7479487B2 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、エッチング方法、及び、電子デバイスの製造方法
JP7342246B2 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及びタッチパネルの製造方法
WO2021220981A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及びタッチパネルの製造方法、並びに、ポリエチレンテレフタレートフィルム
WO2022045002A1 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法、回路配線の製造方法、及び電子デバイスの製造方法
WO2021199542A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、及び回路配線の製造方法
WO2021176811A1 (ja) 感光性転写材料、及び回路配線の製造方法
JP2023007384A (ja) 積層体、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法
JP7332780B2 (ja) 感光性フィルム、及び感光性フィルムの製造方法
WO2022163301A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法
JP7479482B2 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法
WO2023100553A1 (ja) 転写フィルム、導体パターンを有する積層体及び導体パターンを有する積層体の製造方法、転写フィルムの製造方法
WO2021176812A1 (ja) 感光性転写材料、及び回路配線の製造方法
JP7416910B2 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法、及び感光性転写材料用仮支持体
JP7321388B2 (ja) 情報付与方法、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及びタッチパネルの製造方法
WO2022138246A1 (ja) 転写材料及び積層体の製造方法
WO2022075090A1 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法、回路配線の製造方法
WO2021220980A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及びタッチパネルの製造方法
WO2022059418A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法
WO2021157525A1 (ja) 樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法、及び、感光性転写部材
WO2022138493A1 (ja) 積層体の製造方法、回路配線の製造方法、転写フィルム
WO2022138578A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、積層体の製造方法、回路配線の製造方法、及び、電子デバイスの製造方法
WO2022138468A1 (ja) 転写材料及び積層体の製造方法
WO2022138577A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、積層体の製造方法、回路配線の製造方法、及び、電子デバイスの製造方法
WO2022054374A1 (ja) 感光性転写材料、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及び電子機器の製造方法