JP7321388B2 - 情報付与方法、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及びタッチパネルの製造方法 - Google Patents

情報付与方法、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及びタッチパネルの製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、情報付与方法、樹脂パターンの製造方法、回路配線の製造方法及びタッチパネルの製造方法に関する。
感光性を有する物質は、例えば、物品の識別のために使用されている。例えば、下記特許文献1には、第1の波長の化学線に対して感受性のある組成物を含む画像形成要素であって、光ルミネセンスタグが上記要素内に配置されており、上記タグが、上記第1の波長とは異なる第2の波長の放射線に応答することを特徴とする画像形成要素が開示されている。また、下記特許文献1には、a)第1の波長の化学線に対して感受性のある組成物の層を含む画像形成要素を提供するステップであって、光ルミネセンスタグが、上記要素内に配置され、上記タグが、上記第1の波長とは異なる第2の波長の放射線に対して応答を示すものであるステップと、b)上記画像形成要素を上記化学線で露光するステップと、c)ステップb)の要素を処理して記録要素を形成するステップとを含むことを特徴とする記録要素の作製方法が開示されている。
特開2006-215545号公報
フォトリソグラフィといった用途に使用される感光性樹脂層は、露光及び現像を経て、樹脂パターンを形成できる。樹脂パターンは、例えば、永久膜又はエッチング処理における保護膜として使用される。例えば、回路配線の製造方法では、導電層の上に樹脂パターンを形成した後、樹脂パターンによって覆われていない導電層をエッチング処理によって除去することで、所望の回路配線を形成できる。ところで、回路配線の製造方法といったパターン形成技術では、製造ロット番号及び製造日といった情報を示すパターン(以下、「識別用パターン」という。)を、目的のパターンとは別に形成することがある。識別用パターンは、明確に可視化された状態で形成される。一方、情報漏洩防止といった目的のため、秘匿情報として、通常は視認できず、特定の処理によって可視化されるパターンを形成する方法が要請されている。上記特許文献1に開示された技術では、特定の波長の放射線に対して応答を示す光ルミネセンスタグが使用されているものの、上記のような技術は、所望の秘匿情報を感光性樹脂層に付与するという用途に適していない。
本開示の一実施形態は、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む情報付与方法を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む樹脂パターンの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む回路配線の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含むタッチパネルの製造方法を提供することを目的とする。
<1> 主波長λaの光を用いる露光によって樹脂パターンの潜像を形成する感光性樹脂層に対して、識別可能な情報を付与する情報付与方法であって、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、上記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、上記感光性樹脂層のうち上記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、上記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、を含み、上記主波長λa及び上記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、上記主波長λa及び上記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、上記主波長λb及び上記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、情報付与方法。
<2> 上記蛍光を観察することが、上記主波長λcを遮断するフィルタを介して上記蛍光を観察することを含む、<1>に記載の情報付与方法。
<3> 上記主波長λa及び上記主波長λbが、λb>λaの関係を満たす、<1>又は<2>に記載の情報付与方法。
<4> 上記主波長λaが400nm未満であり、上記主波長λbが400nm以上500nm未満であり、上記主波長λcが500nm以上700nm未満である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の情報付与方法。
<5> 上記蛍光材料前駆体が、トリアリールメタン構造を有する化合物である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の情報付与方法。
<6> 上記蛍光材料前駆体が、ロイコ色素である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の情報付与方法。
<7> 上記感光性樹脂層が、重合体と、重合性化合物と、重合開始剤と、を含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の情報付与方法。
<8> 基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備することと、上記感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成することと、上記感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、上記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、上記感光性樹脂層のうち上記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、上記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、上記感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成することと、を含み、上記主波長λa及び上記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、上記主波長λa及び上記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、上記主波長λb及び上記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、樹脂パターンの製造方法。
<9> 基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備することと、上記感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成することと、上記感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、上記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、上記感光性樹脂層のうち上記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、上記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、上記感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成することと、上記樹脂パターンが配置されていない領域にある上記導電層をエッチング処理し、回路配線を形成することと、を含み、上記主波長λa及び上記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、上記主波長λa及び上記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、上記主波長λb及び上記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、回路配線の製造方法。
<10> 基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備することと、上記感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成することと、上記感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、上記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、上記感光性樹脂層のうち上記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、上記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、上記感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成することと、上記樹脂パターンが配置されていない領域にある上記導電層をエッチング処理し、タッチパネル用の配線を形成することと、を含み、上記主波長λa及び上記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、上記主波長λa及び上記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、上記主波長λb及び上記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、タッチパネルの製造方法。
本開示の一実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む、情報付与方法が提供される。
本開示の他の一実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む樹脂パターンの製造方法が提供される。
本開示の他の一実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む回路配線の製造方法が提供される。
本開示の他の一実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含むタッチパネルの製造方法が提供される。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されない。以下の実施形態は、本開示の目的の範囲内において適宜変更されてもよい。
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、組成物中に、ある成分に該当する複数の物質が存在する場合、組成物中の上記成分の量は、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の上記物質の合計量を意味する。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、序数詞(例えば、「第1」、及び「第2」)は、複数の構成要素を区別するために使用する用語であり、構成要素の数、及び構成要素の優劣を制限するものではない。
本開示において、置換及び無置換を記していない基(原子団)は、置換基を有する基及び置換基を有しない基を包含する。例えば「アルキル基」との表記は、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)及び置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)を包含する。
本開示において、化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で表される場合がある。
本開示において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本開示において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
本開示において、「露光」とは、特に断らない限り、光を用いる露光のみならず、電子線及びイオンビームといった粒子線を用いる描画を含む。露光に用いられる光としては、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線及び極紫外線(EUV(Extreme ultraviolet lithography)光)並びにX線等の活性光線(活性エネルギー線)が挙げられる。
本開示において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL(東ソー株式会社)、TSKgel G4000HxL(東ソー株式会社)及びTSKgel G2000HxL(東ソー株式会社)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC:Gel Permeation Chromatography)分析装置を用いて、テトラヒドロフラン(THF)中の化合物を示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、「固形分」とは、溶剤以外の成分を意味する。溶剤に該当しない液状成分は、「固形分」に包含される。
<情報付与方法>
本開示の一実施形態に係る情報付与方法は、主波長λaの光を用いる露光によって樹脂パターンの潜像を形成する感光性樹脂層に対して、識別可能な情報を付与する情報付与方法である。そして、上記した情報付与方法は、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させること(以下、「転化工程A」という場合がある。)と、感光性樹脂層のうち主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、蛍光材料から放出される蛍光を観察すること(以下、「観察工程A」という場合がある。)と、を含む。さらに、上記した情報付与方法において、主波長λa及び主波長λbは、λa≠λbの関係を満たし、主波長λa及び主波長λcは、λc>λaの関係を満たし、主波長λb及び主波長λcは、λc>λbの関係を満たす。
転化工程Aにおいて、感光性樹脂層に含まれる蛍光材料前駆体は、主波長λbの光によって露光されることで蛍光材料に転化する。蛍光材料を含む領域は、主波長λcの光によって露光されない限り、完全に又はほとんど視認できない。主波長λbの光の照射領域を目的の情報に応じて調整することで、感光性樹脂層に不可視情報を付与できる。不可視情報としては、文字、図形及び記号が挙げられる。ただし、不可視情報は、上記した具体例に制限されるものではない。例えば、製造日を示す数字の形状に応じて主波長λbの光の照射領域を調整することで、感光性樹脂層に不可視情報として製造日を形成できる。次に、観察工程Aにおいて、蛍光材料は、主波長λcの光によって励起され、蛍光を発する。蛍光材料の発光を利用することで、必要な時にだけ不可視情報を可視化できる。さらに、主波長λbが主波長λaと同一でなく、かつ、主波長λcが主波長λa及び主波長λbよりも大きいことで、主波長λbの光及び主波長λcの光の照射過程において感光性樹脂層で意図しない反応(例えば、樹脂パターンの潜像の形成)が起こることを抑制しつつ、不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を実施できる。よって、上記した実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む情報付与方法を提供が提供される。
<<主波長>>
以下、主波長について説明する。本開示において、「主波長」とは、対象物に照射される光の分光分布におけるピーク波長を意味する。「ピーク波長」とは、光の分光分布において最も高い強度を有する波長を意味する。ただし、分光分布が複数のピーク波長を含む場合、目的の反応を起こすために必要な1つのピーク波長を主波長とみなす。例えば、365nmの光に対する感度を有し、365nmの光によって光重合反応を起こす成分を含む感光性樹脂層に対して、ピーク波長として、365nm(i線)、405nm(h線)及び436nm(g線)を含む光を照射した場合、365nmを主波長とみなす。例えば、高圧水銀灯と感光性樹脂層との間に配置された405nm付近の光のみを透過する光学フィルタを介して感光性樹脂層に光を照射した場合、主波長は405nmである。例えば、レーザー及び発光ダイオードといった光源を用いて感光性樹脂層に405nmの光のみを照射した場合、主波長は405nmである。主波長は、分光分布を測定可能な公知の測定装置を用いて測定される。
主波長λaは、感光性樹脂層に樹脂パターンの潜像を形成するための波長である。樹脂パターンの潜像は、露光部及び非露光部によって画定される。主波長λaの光を用いる露光によって樹脂パターンの潜像が形成された感光性樹脂層では、露光部の現像液に対する溶解性と非露光部の現像液に対する溶解性との間に差が生じる。例えば、ネガ型感光性樹脂層において、露光部の現像液に対する溶解性は、非露光部の現像液に対する溶解性よりも低くなる。樹脂パターンの潜像が形成されたネガ型感光性樹脂層を現像することで、非露光部は除去され、露光部は樹脂パターンを形成する。一方、ポジ型感光性樹脂層において、露光部の現像液に対する溶解性は、非露光部の現像液に対する溶解性よりも高くなる。樹脂パターンの潜像が形成されたポジ感光性樹脂層を現像することで、露光部は除去され、非露光部は樹脂パターンを形成する。つまり、ネガ型感光性樹脂層の露光部の形状は、現像を経て形成される樹脂パターンの形状に対応し、ポジ型感光性樹脂層の非露光部の形状は、現像を経て形成される樹脂パターンの形状に対応する。
主波長λbは、蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させるための波長である。蛍光材料前駆体から蛍光材料への転化の過程は、例えば、蛍光材料前駆体の化学構造の変化(例えば、化学結合の開裂)を伴う。
主波長λcは、蛍光の放出のために蛍光材料を励起するための波長である。
本開示の一実施形態に係る情報付与方法において、主波長λa、主波長λb及び主波長λcは、以下の関係(1)~(3)を満たす。
(1)主波長λa及び主波長λbは、λa≠λbの関係を満たす。
(2)主波長λa及び主波長λcは、λc>λaの関係を満たす。
(3)主波長λb及び主波長λcは、λc>λbの関係を満たす。
本開示の一実施形態に係る情報付与方法では、主波長λa及び主波長λbがλa≠λbの関係を満たすことで、主波長λbの光の照射過程において感光性樹脂層で意図しない反応(例えば、樹脂パターンの潜像の形成)が起こることを抑制し、感光性樹脂層に所望の不可視情報を付与できる。
ある実施形態において、主波長λa及び主波長λbは、λb>λaの関係を満たすことが好ましい。感光性樹脂層に樹脂パターンの潜像を形成する場合、通常、潜像の形成に寄与する反応を開始するために必要なエネルギーを有する光として、短い波長の光が使用される傾向にある。主波長λa及び主波長λbがλb>λaの関係を満たすことで、例えば、主波長λbの光のエネルギーは、主波長λaの光のエネルギーよりも低くなる。このため、主波長λbの光を照射する過程において、感光性樹脂層で意図しない反応(例えば、樹脂パターンの潜像の形成)が起こることを更に抑制できる。
ある実施形態において、主波長λaと主波長λbとの差の絶対値は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることが更に好ましく、35nm以上であることが特に好ましい。主波長λaと主波長λbとの差の絶対値が大きくなることで、主波長λbの光を照射する過程において、感光性樹脂層で意図しない反応(例えば、樹脂パターンの潜像の形成)が起こることを更に抑制できる。主波長λaと主波長λbとの差の絶対値の上限は、例えば、主波長λa、主波長λb及び主波長λcが既述の関係(1)~(3)を満たす範囲で決定される。主波長λaと主波長λbとの差の絶対値の上限は、100nm、80nm、50nm、45nm又は40nmであってもよい。主波長λaと主波長λbとの差の絶対値は、10nm~100nmであることが好ましく、20nm~50nmであることがより好ましく、30nm~45nmであることが更に好ましい。さらに、主波長λa及び主波長λbがλb>λaの関係を満たし、かつ、主波長λaと主波長λbとの差の絶対値が上記した範囲を満たすことが好ましい。
本開示の一実施形態に係る情報付与方法では、主波長λa及び主波長λcがλc>λaの関係を満たし、かつ、主波長λb及び主波長λcがλc>λbの関係を満たす、言い換えると、主波長λcが主波長λa及び主波長λbよりも大きいことで、主波長λcの光の照射過程において感光性樹脂層で意図しない反応(例えば、樹脂パターンの潜像の形成)が起こることを抑制できる。
ある実施形態において、主波長λaと主波長λcとの差の絶対値は、100nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがより好ましく、150nm以上であることが更に好ましい。主波長λaと主波長λcとの差の絶対値が大きくなることで、主波長λcの光を照射する過程において、感光性樹脂層で意図しない反応(例えば、樹脂パターンの潜像の形成)が起こることを更に抑制できる。主波長λaと主波長λcとの差の絶対値の上限は、例えば、主波長λa、主波長λb及び主波長λcが既述の関係(1)~(3)を満たす範囲で決定される。主波長λaと主波長λcとの差の絶対値の上限は、300nm、250nm又は200nmであってもよい。主波長λaと主波長λcとの差の絶対値は、10nm~300nmであることが好ましく、120nm~300nmであることがより好ましく、150nm~250nmであることが更に好ましい。
ある実施形態において、主波長λbと主波長λcとの差の絶対値は、20nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが更に好ましい。主波長λbと主波長λcとの差の絶対値が大きくなることで、主波長λcの光を照射する過程において、感光性樹脂層で意図しない反応(例えば、蛍光材料前駆体から蛍光材料への転化)が起こることを抑制できる。主波長λbと主波長λcとの差の絶対値の上限は、例えば、主波長λa、主波長λb及び主波長λcが既述の関係(1)~(3)を満たす範囲で決定される。主波長λbと主波長λcとの差の絶対値の上限は、250nm、200nm又は150nmであってもよい。主波長λbと主波長λcとの差の絶対値は、20nm~250nmであることが好ましく、60nm~200nmであることがより好ましく、100nm~150nmであることが更に好ましい。
主波長λaは、410nm未満であることが好ましく、400nm未満であることが好ましい。主波長λaの上限は、390nm、380nm又は370nmであってもよい。主波長λaの下限は、制限されない。主波長λaの下限は、190nm、230nm、300nm又は350nmであってもよい。主波長λaは、300nm以上400nm未満であることが好ましく、350nm以上400nm未満であることがより好ましい。
主波長λbは、390nm以上であることが好ましく、400nm以上であることが好ましい。主波長λbの下限は、405nmであってもよい。主波長λbは、500nm未満であることが好ましい。主波長λbの上限は、480nm、450nm又は410nmであってもよい。主波長λbは、400nm以上500nm未満であることが好ましい。
主波長λcは、500nm以上であることが好ましい。主波長λcの下限は、510nm又は520nmであってもよい。主波長λcは、700nm未満であることが好ましい。主波長λcの上限は、600nm又は550nmであってもよい。主波長λcは、500nm以上700nm未満であることが好ましい。
ある実施形態において、主波長λaは410nm未満であり、主波長λbは410nm以上500nm未満であり、主波長λcは500nm以上700nm未満であることが好ましい。また、ある実施形態において、主波長λaは400nm未満であり、主波長λbは400nm以上500nm未満であり、主波長λcは500nm以上700nm未満であることが好ましい。
主波長の調整方法は、制限されない。主波長は、波長を調整するための公知の方法によって調整されてもよい。主波長は、光源によって調整されてもよい。光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが挙げられる。主波長は、光学フィルタによって調整されてもよい。光学フィルタは、特定の波長の光を透過する部材である。光学フィルタとしては、例えば、光学フィルタ(朝日分光社製、HMZ0405)が挙げられる。
<<転化工程A>>
転化工程Aでは、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させる。蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることで、感光性樹脂層に不可視情報を付与できる。
感光性樹脂層の態様は、下記「感光性樹脂層」の項に記載されている。よって、本項における感光性樹脂層の説明は、省略される。
主波長λbの態様は、上記「主波長」の項に記載されている。主波長λbは、上記「主波長」の項に記載された事項に従って決定される。
本開示の趣旨を逸脱しない限り、転化工程Aにおいて感光性樹脂層に照射される光の分光分布は、主波長λbに加えて、主波長λb以外の波長λb1を含んでもよい。転化工程Aにおいて感光性樹脂層に照射される光が波長λb1を含む場合、波長λb1は、λa≠λb1及びλb1<λcの関係を満たす範囲で決定されることが好ましい。さらに、波長λb1は、λa<λb1の関係を満たす範囲で決定されることが好ましい。転化工程Aにおいて感光性樹脂層に照射される光の波長範囲は、400nm以上500nm未満であることが好ましい。
光源としては、例えば、上記「主波長」の項で説明した光源が挙げられる。
主波長λbの光を照射する際の露光量は、10mJ/cm~1000mJ/cmであることが好ましく、50mJ/cm~800mJ/cmであることがより好ましく、100mJ/cm~500mJ/cmであることが特に好ましい。
光の照射領域は、例えば、目的の情報に応じて調整される。光の照射領域の調整方法としては、例えば、所定の光透過部を有するフォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、光源と感光性樹脂層との間に配置されたフォトマスクを介して光を照射することで、光の照射領域を調整できる。また、高い指向性を有する光を照射可能な光源(例えば、レーザー)を用いることで、光の照射領域を調整できる。
<<観察工程A>>
観察工程Aでは、感光性樹脂層のうち主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光(以下、「参照光」という場合がある。)を照射し、蛍光材料から放出される蛍光を観察する。
主波長λcの態様は、上記「主波長」の項に記載されている。主波長λcは、上記「主波長」の項に記載された事項に従って決定される。
本開示の趣旨を逸脱しない限り、観察工程Aにおいて感光性樹脂層に照射される光の分光分布は、主波長λcに加えて、主波長λc以外の波長λc1を含んでもよい。観察工程Aにおいて感光性樹脂層に照射される光が波長λc1を含む場合、波長λc1は、λa<λc1及びλb<λc1の関係を満たす範囲で決定されることが好ましい。観察工程Aにおいて感光性樹脂層に照射される光の波長範囲は、500nm以上700nm未満であることが好ましい。
光源としては、例えば、上記「主波長」の項で説明した光源が挙げられる。
主波長λcの光の照度は、1,000lx以上であることが好ましい。主波長λcの光の照度の上限は、制限されない。主波長λcの光の照度の上限は、観察の障害にならない範囲で決定されてもよい。
本開示の趣旨を逸脱しない限り、光の照射領域は、感光性樹脂層のうち主波長λbの光によって露光された領域以外の領域を含んでもよい。
観察工程Aにおいて、観察者は、蛍光材料から放出される蛍光を肉眼で観察してもよい。観察工程Aにおいて、観察者は、カメラ、顕微鏡及びルーペといった光学機器を用いて蛍光材料から放出される蛍光を観察してもよい。ただし、蛍光材料から放出される蛍光を観察する主体は、人間に限られない。必要に応じて、蛍光材料から放出される蛍光は、コンピュータ及び撮像機器といった装置によって観察されてもよい。
ある実施形態において、観察工程Aは、主波長λcを遮断するフィルタを介して蛍光を観察することを含むことが好ましい。例えば、参照光が550nmの波長を含む可視光である場合、参照光が眼に到達すると、人間の視感度特性のために蛍光が見えにくくなる可能性がある。主波長λcを遮断するフィルタを介して蛍光を観察することで、蛍光の視認性を向上できる。主波長λcを遮断するフィルタは、公知の光学フィルタであってもよい。光学フィルタの市販品としては、例えば、ロングパスフィルタ(富士フイルム社製、SC62)が挙げられる。
<<感光性樹脂層>>
以下、感光性樹脂層について説明する。
[蛍光材料前駆体]
感光性樹脂層は、蛍光材料前駆体を含む。蛍光材料前駆体は、主波長λbの光によって露光されることで蛍光材料に転化する。蛍光材料前駆体が上記のような性質を有する物質である限り、蛍光材料前駆体の種類は制限されない。蛍光材料前駆体は、上記のような性質を有する公知の蛍光材料前駆体であってもよい。
蛍光材料前駆体は、トリアリールメタン構造を有する化合物であることが好ましい。トリアリールメタン構造を有する化合物としては、例えば、トリアリールメタン構造を有する色素が挙げられる。トリアリールメタン構造としては、例えば、トリフェニルメタン構造が挙げられる。
蛍光材料前駆体は、ロイコ色素であることが好ましく、トリアリールメタン構造を有するロイコ色素であることがより好ましく、トリフェニルメタン構造を有するロイコ色素であることが更に好ましい。ロイコ色素としては、例えば、下記「色素」の項で説明するロイコ化合物が挙げられる。ロイコ色素は、ロイコクリスタルバイオレットであることが好ましい。
感光性樹脂層は、2種以上の蛍光材料前駆体を含んでもよい。
視認性の観点から、感光性樹脂層における蛍光材料前駆体の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが特に好ましい。感光後の樹脂層物性の観点から、感光性樹脂層における蛍光材料前駆体の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。視認性と感光後の樹脂層物性との両立の観点から、感光性樹脂層における蛍光材料前駆体の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.05質量%~5質量%であることがより好ましく、0.05質量%~3質量%であることが特に好ましい。
[種類]
感光性樹脂層の種類は、制限されない。感光性樹脂層は、露光(具体的には、主波長λaの光を用いる露光)により露光部の現像液に対する溶解性が低下し、そして、非露光部が現像により除去されるネガ型感光性樹脂層であることが好ましい。ただし、感光性樹脂層は、ネガ型感光性樹脂層に制限されるものではない。感光性樹脂層は、露光(具体的には、主波長λaの光を用いる露光)により露光部の現像液に対する溶解性が向上し、そして、露光部が現像により除去されるポジ型感光性樹脂層であってもよい。感光性樹脂層は、配線形成用の樹脂パターンの潜像を形成する感光性樹脂層であることが好ましい。
[重合体A]
感光性樹脂層は、重合体を含むことが好ましい。以下、感光性樹脂層の成分として使用される重合体を「重合体A」という場合がある。さらに、感光性樹脂層は、重合体Aと、重合性化合物と、重合開始剤と、を含むことが好ましく、10質量%~90質量%の重合体Aと、5質量%~70質量%の重合性化合物と、0.01質量%~20質量%の重合開始剤と、を含むことがより好ましい。以下、重合体Aについて説明する。重合性化合物及び重合開始剤については後述する。
重合体Aは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
現像液による感光性樹脂層の膨潤を抑制することで解像性が向上するという観点から、重合体Aの酸価は、220mgKOH/g以下であることが好ましく、200mgKOH/g未満であることがより好ましく、190mgKOH/g未満であることが更に好ましい。現像性がより優れる観点から、重合体Aの酸価は、60mgKOH/g以上であることが好ましく、120mgKOH/g以上であることがより好ましく、150mgKOH/g以上であることが更に好ましく、170mgKOH/g以上であることが特に好ましい。「酸価」とは、1gの試料を中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(単位:mg)である。酸価は、例えば、化合物における酸基の平均含有量から算出される。重合体Aの酸価は、例えば、重合体Aを構成する構成単位の種類及び酸基を含む構成単位の含有量により調整される。
重合体Aの重量平均分子量は、5,000~500,000であることが好ましい。重量平均分子量を500,000以下に調整することで、解像性及び現像性を向上できる。重合体Aの重量平均分子量は、100,000以下であることがより好ましく、60,000以下であることが更に好ましい。一方で、重量平均分子量が5,000以上であることで、現像凝集物の性状及び未露光膜の性状(例えば、エッジフューズ性及びカットチップ性)を制御できる。重合体Aの重量平均分子量は、10,000以上であることがより好ましく、20,000以上であることが更に好ましく、30,000以上であることが特に好ましい。エッジフューズ性とは、ロール状に巻回されてなる感光性樹脂層のロールの端面からの、感光性樹脂層のはみ出し易さの程度をいう。カットチップ性とは、未露光膜をカッターで切断した際のチップの飛び易さの程度をいう。例えば、チップが感光性樹脂層の上面に付着すると、後の露光工程でチップがマスクに転写し、不良品の原因となる。重合体Aの分散度は、1.0~6.0であることが好ましく、1.0~5.0であることがより好ましく、1.0~4.0であることが更に好ましく、1.0~3.0であることが特に好ましい。
露光時に焦点位置がずれた際の線幅太り及び解像度の悪化を抑制する観点から、重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含むことが好ましい。芳香族炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基、及び置換又は非置換のアラルキル基が挙げられる。重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位の含有率は、重合体Aの全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位の含有率は、重合体Aの全質量に対して、95質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。なお、感光性樹脂層が複数種類の重合体Aを含む場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位の含有率の平均値が上記範囲内になることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有する単量体、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー及びスチレントリマー)が挙げられる。アラルキル基を有する単量体又はスチレンが好ましい。重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がスチレンである場合、スチレンに基づく構成単位の含有率は、重合体Aの全質量に対して、20質量%~70質量%であることが好ましく、25質量%~65質量%であることがより好ましく、30質量%~60質量%であることが更に好ましく、30質量%~55質量%であることが特に好ましい。
アラルキル基としては、例えば、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び置換又は非置換のベンジル基が挙げられる。アラルキル基は、置換又は非置換のベンジル基であることが好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、例えば、フェニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート(例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びクロロベンジル(メタ)アクリレート)及びベンジル基を有するビニルモノマー(例えば、ビニルベンジルクロライド及びビニルベンジルアルコール)が挙げられる。ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。重合体Aにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレートに基づく構成単位の含有率は、重合体Aの全質量に対して、50質量%~95質量%であることが好ましく、60質量%~90質量%であることがより好ましく、70質量%~90質量%であることが更に好ましく、75質量%~90質量%であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体と、少なくとも1種の第一の単量体及び/又は少なくとも1種の第二の単量体とを重合することにより得られる重合体であることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含まない重合体Aは、少なくとも1種の第一の単量体を重合することにより得られる重合体であることが好ましく、少なくとも1種の第一の単量体と少なくとも1種の第二の単量体とを共重合することにより得られる重合体であることがより好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物及びマレイン酸半エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸が好ましい。重合体Aにおける第一の単量体に基づく構成単位の含有率は、重合体Aの全質量に対して、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、15質量%~30質量%であることが更に好ましい。第一の単量体に基づく構成単位の含有率を5質量%以上に調整することは、良好な現像性の発現及びエッジフューズ性の制御といった観点から好ましい。第一の単量体に基づく構成単位の含有率を50質量%以下に調整することは、レジストパターンの高解像性及びスソ形状の観点から、更にはレジストパターンの耐薬品性の観点から好ましい。
第二の単量体は、非酸性であり、かつ、分子中に少なくとも1つの重合性不飽和基を有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、(メタ)アクリレート類が挙げられる。(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。第二の単量体としては、例えば、ビニルアルコールのエステル類も挙げられる。ビニルアルコールのエステル類としては、例えば、酢酸ビニルが挙げられる。第二の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリルも挙げられる。メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。重合体Aにおける第二の単量体に基づく構成単位の含有率は、重合体Aの全質量に対して、5質量%~60質量%であることが好ましく、15質量%~50質量%であることがより好ましく、17質量%~45質量%であることが更に好ましい。
アラルキル基を有する単量体に基づく構成単位及び/又はスチレンを単量体に基づく構成単位を含む重合体Aは、露光時の焦点位置がずれた際の線幅太り及び解像度の悪化を抑制する観点から好ましい。例えば、メタクリル酸に基づく構成単位とベンジルメタクリレートに基づく構成単位とスチレンに基づく構成単位とを含む共重合体が好ましい。例えば、メタクリル酸に基づく構成単位とメチルメタクリレートに基づく構成単位とベンジルメタクリレートに基づく構成単位とスチレンに基づく構成単位とを含む共重合体が好ましい。
重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を25質量%~55質量%、第一の単量体に基づく構成単位を20質量%~35質量%及び第二の単量体に基づく構成単位を15質量%~45質量%含む重合体であることが好ましい。また、重合体Aは、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を70質量%~90質量%及び第一の単量体に基づく構成単位を10質量%~25質量%含む重合体であることも好ましい。
重合体Aは、側鎖に直鎖構造、分岐構造、及び脂環構造のいずれかを有してもよい。側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体及び/又は側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体を使用することによって、重合体Aの側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を導入することができる。脂環構造を有する基は、単環又は多環であってもよい
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-アミル、(メタ)アクリル酸tert-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル及び(メタ)アクリル酸tert-オクチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル又はメタクリル酸tert-ブチルが好ましく、メタクリル酸iso-プロピル又はメタクリル酸tert-ブチルがより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体としては、例えば、単環の脂肪族炭化水素基を有する単量体及び多環の脂肪族炭化水素基を有する単量体が挙げられる。また、側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体としては、例えば、炭素原子数が5~20の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートも挙げられる。側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
感光性樹脂層は、1種又は2種以上の重合体Aを含んでもよい。2種以上の重合体Aを使用する場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aを2種類使用すること、又は芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aと芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含まない重合体Aとを使用することが好ましい。後者の場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含む重合体Aの使用割合は、重合体Aの全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
重合体Aの合成は、上述した少なくとも1種の単量体を溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びイソプロパノール)で希釈した溶液に、ラジカル重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル及びアゾイソブチロニトリル)を適量添加し、加熱撹拌することにより行われることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合又は乳化重合を用いてもよい。
重合体Aのガラス転移温度(Tg)は、30℃~135℃であることが好ましい。135℃以下のTgを有する重合体Aを使用することによって、露光時の焦点位置がずれた際の線幅太り及び解像度の悪化を抑制できる。重合体AのTgは、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが更に好ましく、110℃以下であることが特に好ましい。また、30℃以上のTgを有する重合体Aを使用することは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。重合体AのTgは、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、60℃以上であることが特に好ましく、70℃以上であることが最も好ましい。
感光性樹脂層は、他の樹脂を重合体Aとして含んでもよい。他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
感光性樹脂層は、後述する熱可塑性樹脂層の説明で述べるアルカリ可溶性樹脂を重合体Aとして含んでもよい。
重合体Aの含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%~90質量%であることが好ましく、20質量%~80質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが更に好ましく、40質量%~60質量%であることが特に好ましい。重合体Aの含有率を90質量%以下にすることは、現像時間を制御する観点から好ましい。重合体Aの含有率を10質量%以上にすることは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。
[重合性化合物]
感光性樹脂層は、重合性化合物を含むことが好ましい。特に、感光性樹脂層としてネガ型感光性樹脂層を利用する場合、感光性樹脂層は、重合性化合物を含むことが好ましい。「重合性化合物」とは、後述する重合開始剤の作用を受けて重合する化合物であって、上述した重合体Aとは異なる化合物を意味する。
重合性化合物は、重合性基を有する。重合性基の種類は、重合反応に関与する基であれば制限されない。重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が挙げられる。エチレン性不飽和基を有する基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基が挙げられる。重合性基としては、カチオン性重合性基を有する基も挙げられる。カチオン性重合性基を有する基としては、例えば、エポキシ基及びオキセタン基が挙げられる。重合性基は、エチレン性不飽和基を有する基であることが好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基であることがより好ましい。
感光性樹脂層の感光性がより優れる点で、重合性化合物は、一分子中に1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(すなわち、エチレン性不飽和化合物)であることが好ましく、一分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(すなわち、官能エチレン性不飽和化合物)であることがより好ましい。また、解像性及び剥離性により優れる点で、一分子中のエチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和基の数は、6つ以下であることが好ましく、3つ以下であることがより好ましく、2つ以下であることが更に好ましい。
感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点で、重合性化合物は、一分子中に2つ又は3つのエチレン性不飽和基を有する化合物(すなわち、2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物)を含むことが好ましく、一分子中に2つのエチレン性不飽和基を有する化合物(すなわち、2官能エチレン性不飽和化合物)を含むことがより好ましい。2官能エチレン性不飽和化合物の含有率は、重合性化合物の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、40質量%超であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましい。2官能エチレン性不飽和化合物の含有率は、重合性化合物の全質量に対して、100質量%であってもよい。すなわち、重合性化合物が全て2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
好ましいエチレン性不飽和化合物としては、例えば、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
感光性樹脂層は、少なくとも1つの芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(以下、「重合性化合物B1」場合がある。)を含むことも好ましい。重合性化合物B1は、上述した重合性化合物Bのうち、一分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
解像性がより優れる観点から、重合性化合物の全質量に対する重合性化合物B1の含有量の質量比は、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、55%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが特に好ましい。剥離性の観点から、重合性化合物の全質量に対する重合性化合物B1の含有量の質量比は、例えば100%以下であり、99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、90%以下であることが更に好ましく、85%以下であることが特に好ましい。
重合性化合物B1における芳香環としては、例えば、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環)、芳香族複素環(例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環及びピリジン環)及びそれらの縮合環が挙げられる。芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。なお、芳香環は、置換基を有してもよい。
現像液による感光性樹脂層の膨潤を抑制することで解像性が向上する観点から、重合性化合物B1は、ビスフェノール構造を有することが好ましい。ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(すなわち、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(すなわち、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造及びビスフェノールB(すなわち、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられる。ビスフェノールA構造が好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、上記ビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)と、を有する化合物が挙げられる。ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基の付加数は、1分子あたり4個~16個であることが好ましく、6個~14個であることがより好ましい。ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1については、特開2016-224162号公報の段落0072~段落0080に記載されており、この公報に記載の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
重合性化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-500、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-1300、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-200、新中村化学工業社製)及びエトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業社製)が挙げられる。
重合性化合物B1としては、下記一般式(B1)で表される化合物も好ましい。
一般式(B1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、AはCを表し、BはCを表し、n1及びn3は各々独立に1~39の整数を表し、n1+n3は2~40の整数であり、n2及びn4は各々独立に0~29の整数を表し、n2+n4は0~30の整数である。-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列がブロックである場合、-(A-O)-と-(B-O)-とのいずれがビスフェニル基側でもよい。n1+n2+n3+n4は、2~20であることが好ましく、2~16であることがより好ましく、4~12であることが更に好ましい。また、n2+n4は、0~10であることが好ましく、0~4であることがより好ましく、0~2であることが更に好ましく、0であることが特に好ましい。
感光性樹脂層は、1種又は2種以上の重合性化合物B1を含んでもよい。
解像性がより優れる観点から、重合性化合物B1の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。転写性(感光性転写材料によって感光性樹脂層が転写される際の特性をいう。)及びエッジフュージョン(感光性樹脂層の端部から感光性樹脂層の成分が滲み出す現象をいう。)の観点から、重合性化合物B1の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
感光性樹脂層は、重合性化合物B1以外の重合性化合物を含んでもよい。重合性化合物B1以外の重合性化合物としては、例えば、一分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(すなわち、単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有しない2官能エチレン性不飽和化合物及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環を有しない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業社製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製)、UA-32P(新中村化学工業社製)及びUA-1100H(新中村化学工業社製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念である。「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
ある実施形態において、感光性樹脂層は、重合性化合物B1及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、重合性化合物B1及び2種以上の3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。重合性化合物B1の合計質量と3官能以上のエチレン性不飽和化合物の合計質量との質量比は、1:1~5:1であることが好ましく、1.2:1~4:1であることがより好ましく、1.5:1~3:1であることが更に好ましい。ある実施形態において、感光性樹脂層は、重合性化合物B1及び2種以上の3官能のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、例えば、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(例えば、日本化薬社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20及び新中村化学工業社製A-9300-1CL)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(例えば、日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E及びA-9300並びにダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標)135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(例えば、新中村化学工業社製A-GLY-9E)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックスM-520(東亞合成社製)及びアロニックスM-510(東亞合成社製)が挙げられる。
重合性化合物は、酸基(例えば、カルボキシ基)を有する重合性化合物であってもよい。酸基は、酸無水物基を形成していてもよい。酸基を有する重合性化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックス(登録商標)M-520(東亞合成社製)及びアロニックス(登録商標)M-510(東亞合成社製)が挙げられる。酸基を有する重合性化合物として、例えば、特開2004-239942号公報の段落0025~段落0030に記載の酸基を有する重合性化合物も挙げられる。
重合性化合物(重合性化合物B1を含む。)の分子量(重合性化合物が分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、200~3,000であることが好ましく、280~2,200であることがより好ましく、300~2,200であることが更に好ましい。
感光性樹脂層は、1種又は2種以上の重合性化合物を含んでもよい。
重合性化合物の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対し、10質量%~70質量%であることが好ましく、15質量%~70質量%であることがより好ましく、20質量%~70質量%であることが更に好ましい。
[重合開始剤]
感光性樹脂層は、重合開始剤を含むことが好ましい。特に、感光性樹脂層としてネガ型感光性樹脂層を利用する場合、感光性樹脂層は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤の種類は、例えば、重合反応の形式に応じて選択される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。また、重合開始剤は、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤であってもよい。
感光性樹脂層は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、紫外線、可視光線、X線等の活性光線を受けて、重合性化合物の重合を開始する化合物である。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられる。光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
感光性、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、感光性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤として、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0031~段落0042、特開2015-14783号公報の段落0064~段落0081に記載された重合開始剤も挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE、CAS No.10287-53-3)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(商品名:みどり化学社製)、ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、TAZ-111(商品名:みどり化学社製)、IrgacureOXE01、OXE02、OXE03、OXE04(BASF社製)、Omnirad651及び369(商品名:IGM Resins B.V.社製)及び2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール(東京化成工業社製)も挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社製)、IRGACURE OXE-03(BASF社製)、IRGACURE OXE-04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 907、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 127、IGM Resins B.V.製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(商品名:Omnirad 369、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 1173、IGM Resins B.V.製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Omnirad 184、IGM Resins B.V.製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad 651、IGM Resins B.V.製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad 819、IGM Resins B.V.製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B-CIM、Hampford社製)、及び2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(商品名:BCTB、東京化成工業社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。光カチオン重合開始剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光カチオン重合開始剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく使用できる。
光カチオン重合開始剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が特に好ましい。pKaは、例えば、-10.0以上であることが好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、オニウム塩化合物(例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類)及び第4級アンモニウム塩類が挙げられる。イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落0114~段落0133に記載のイオン性光カチオン重合開始剤も挙げられる。非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、特開2011-221494号公報の段落0083~段落0088に記載の化合物が挙げられる。また、オキシムスルホネート化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0084~段落0088に記載された化合物が挙げられる。
感光性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
感光性樹脂層は、1種又は2種以上の重合開始剤を含んでもよい。
重合開始剤の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。重合開始剤の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
[色素]
露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性並びに解像性の観点から、感光性樹脂層は、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、かつ、酸、塩基、又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素(以下、「色素N」という場合がある。)を含むことが好ましい。詳細なメカニズムは不明であるが、色素Nによれば、隣接する層(例えば水溶性樹脂層)との密着性が向上し、解像性により優れる。
「酸、塩基、又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより発色する態様及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。具体的に、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物であってもよいし、露光により発色状態から変化して消色する化合物であってもよい。露光により酸、塩基、又はラジカルが感光性樹脂層内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素でもよく、酸、塩基、又はラジカルにより感光性樹脂層内の状態(例えばpH)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基、又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。
露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Nは、酸又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素であることがより好ましい。感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、ネガ型感光性樹脂層は、色素Nとしてラジカルにより極大吸収波長が変化する色素及び光ラジカル重合開始剤の両者を含むことが好ましい。また、露光部及び非露光部の視認性の観点から、色素Nは、酸、塩基、又はラジカルにより発色する色素であることが好ましい。
色素Nの発色機構の例としては、感光性樹脂層に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸、又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素、又は塩基反応性色素(例えばロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
露光部及び非露光部の視認性の観点から、色素Nの発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長は、550nm以上であることが好ましく、550nm~700nmであることがより好ましく、550nm~650nmであることが更に好ましい。また、色素Nは、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合は、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm以上であればよい。
色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100((株)島津製作所製)を用いて、400nm~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することにより、得られる。
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素及びアントラキノン系色素が挙げられる。露光部及び非露光部の視認性の観点から、色素Nとしては、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)及びロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
露光部及び非露光部の視認性の観点から、ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有することが好ましい。ロイコ化合物におけるラクトン環、スルチン環又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか、又はロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有し、ラジカル又は酸によって、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
色素Nとしては、例えば、以下の染料及びロイコ化合物が挙げられる。色素Nに包含される染料の具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業社製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業社製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業社製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業社製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン及び1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
色素Nに包含されるロイコ化合物の具体例としては、p,p’,p”-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド及び3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性並びに解像性の観点から、色素Nは、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより発色する色素であることがより好ましい。色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン又はビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
感光性樹脂層は、1種又は2種以上の色素Nを含んでもよい。
露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性並びに解像性の観点から、色素Nの含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、0.1質量%~5質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~1質量%であることが特に好ましい。
色素Nの含有率は、感光性樹脂層に含まれる全ての色素Nを発色状態にした場合の色素の含有率を意味する。以下、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有率の定量方法を説明する。メチルエチルケトン100mLに色素0.001gを溶かした溶液及びメチルエチルケトン100mLに色素0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASFジャパン株式会社)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。次に、色素に代えて感光性樹脂層3gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて感光性樹脂層に含まれる色素の含有量を算出する。
[熱架橋性化合物]
感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、得られる硬化膜の強度及び得られる未硬化膜の粘着性の観点から、感光性樹脂層は、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本開示において、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、重合性化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、例えば、メチロール化合物及びブロックイソシアネート化合物が挙げられる。得られる硬化膜の強度及び得られる未硬化膜の粘着性の観点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、重合体A及び/又重合性化合物が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、ネガ型感光性樹脂層を硬化した膜を保護膜として使用する場合の機能が強化される傾向がある。なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、100℃~160℃であることが好ましく、130℃~150℃であることがより好ましい。ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。ただし、示差走査熱量計は、上記した示差走査熱量計に制限されない。
解離温度が100℃~160℃であるブロック剤としては、例えば、活性メチレン化合物(例えば、マロン酸ジエステル(例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル及びマロン酸ジ2-エチルヘキシル))、オキシム化合物(例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。保存安定性の観点から、解離温度が100℃~160℃であるブロック剤としては、例えば、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の観点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいという観点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。重合性基は、公知の重合性基であってもよい。重合性基は、ラジカル重合性基であることが好ましい。重合性基としては、エチレン性不飽和基(例えば、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基及びスチリル基)及びエポキシ基を有する基(例えば、グリシジル基)が挙げられる。重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工社製)及びブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E及びデュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ社製)が挙げられる。
また、ブロックイソシアネート化合物として、下記の構造の化合物を用いることもできる。
感光性樹脂層は、1種又は2種以上の熱架橋性化合物を含んでもよい。
熱架橋性化合物の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。
[添加剤]
感光性樹脂層は、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、ラジカル重合禁止剤、増感剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物(例えば、トリアゾール)、ベンゾトリアゾール類、カルボキシベンゾトリアゾール類、ピリジン類(例えば、イソニコチンアミド)、プリン塩基(例えば、アデニン)及び界面活性剤が挙げられる。各添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
感光性樹脂層は、ラジカル重合禁止剤を含んでもよい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤が挙げられる。フェノチアジン、フェノキサジン又は4-メトキシフェノールが好ましい。ラジカル重合禁止剤としては、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩及びジフェニルニトロソアミンも挙げられる。感光性樹脂層の感度を損なわないために、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩をラジカル重合禁止剤として使用することが好ましい。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール及びビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾールが挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール及びN-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールが挙げられる。カルボキシベンゾトリアゾール類として、例えば、CBT-1(城北化学工業株式会社、商品名)といった市販品を使用できる。
ベンゾトリアゾール類及びカルボキシベンゾトリアゾール類の合計含有量は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~3質量%であることが好ましく、0.05質量%~1質量%であることがより好ましい。含有量が0.01質量%以上の場合、感光性樹脂層の保存安定性がより優れる。一方、含有量が3質量%以下である場合、感度の維持及び染料の脱色を抑制がより優れる。
感光性樹脂層は、増感剤を含んでもよい。増感剤としては、例えば、公知の増感剤、染料及び顔料が挙げられる。増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
感光性樹脂層は、1種又は2種以上の増感剤を含んでもよい。
光源に対する感度の向上及び重合速度と連鎖移動とのバランスによる硬化速度の向上の観点から、増感剤の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.05質量%~1質量%であることがより好ましい。
感光性樹脂層は、可塑剤及びヘテロ環状化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0097~段落0103及び段落0111~段落0118に記載された化合物が挙げられる。
感光性樹脂層は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0017及び特開2009-237362号公報の段落0060~段落0071に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック(例えば、F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K及びDS-21、DIC社製)、フロラード(例えば、FC430、FC431及びFC171、住友スリーエム社製)、サーフロン(例えば、S-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393及びKH-40、AGC社製)、PolyFox(例えば、PF636、PF656、PF6320、PF6520及びPF7002、OMNOVA社製)及びフタージェント(710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC及び681、ネオス社)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC社製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日)、例えばメガファックDS-21)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
フッ素系界面活性剤として、ブロックポリマーも使用できる。
フッ素系界面活性剤として、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
フッ素系界面活性剤として、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。例えば、メガファック(例えば、RS-101、RS-102、RS-718K及びRS-72-K、DIC社製)が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート及びグリセロールエトキシレート)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(例えば、L10、L31、L61、L62、10R5、17R2及び25R2、BASF社製)、テトロニック(例えば、304、701、704、901、904及び150R1、BASF社製)、ソルスパース 20000(日本ルーブリゾール社製)、NCW-101(富士フイルム和光純薬社製)、NCW-1001(富士フイルム和光純薬社製)、NCW-1002(富士フイルム和光純薬社製)、パイオニン(例えば、D-6112、D-6112-W及びD-6315、竹本油脂社製)、オルフィンE1010(日信化学工業社製)及びサーフィノール(例えば、104、400及び440、日信化学工業社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、例えば、炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物が使用されてもよい。ただし、環境適性向上の観点から、フッ素系界面活性剤として、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)又はペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)の代替材料が使用されることが好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー及び側鎖又は末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA及びトーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001及びKF-6002(以上、信越化学工業社製)が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460及びTSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、BYK307、BYK323及びBYK330(以上、ビックケミー社製)が挙げられる。
感光性樹脂層は、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、有機の沈殿防止剤及び無機の沈殿防止剤といった公知の添加剤を更に含んでもよい。
感光性樹脂層に含まれる添加剤については特開2014-085643号公報の段落0165~段落0184に記載されており、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
[不純物]
感光性樹脂層は、所定量の不純物を含んでいてもよい。不純物の具体例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン及びこれらのイオンが挙げられる。ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンは不純物として混入し易いため、下記の含有率にすることが好ましい。
感光性樹脂層における不純物の含有率は、質量基準で、80ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、2ppm以下であることが更に好ましい。不純物の含有率は、質量基準で、1ppb以上又は0.1ppm以上であってもよい。不純物の含有率を上記範囲にする方法としては、原料として不純物の含有量が少ないものを選択すること、感光性樹脂層の作製時に不純物の混入を防ぐこと、及び洗浄して除去することが挙げられる。このような方法により、不純物量を上記範囲内とすることができる。不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法及びイオンクロマトグラフィー法といった公知の方法で定量できる。
感光性樹脂層における、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサン等の化合物の含有率は、少ないことが好ましい。これら化合物の感光性樹脂層の全質量に対する含有率としては、質量基準で、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましく、4ppm以下が更に好ましい。上記した化合物の含有率は、質量基準で、感光性樹脂層の全質量に対して、10ppb以上又は100ppb以上であってもよい。これらの化合物の含有率は、上記した金属の不純物の含有率の調整方法と同様の方法で抑制できる。また、化合物の含有率は、公知の測定法により定量できる。
信頼性を向上させる観点から、感光性樹脂層における水の含有率は、0.01質量%~1.0質量%であることが好ましく、0.05質量%~0.5質量%であることがより好ましい。
[顔料]
感光性樹脂層は、顔料を含む着色樹脂層であってもよい。近年の電子機器が有する液晶表示窓には、液晶表示窓を保護するために、透明なガラス基板等の裏面周縁部に黒色の枠状遮光層が形成されたカバーガラスが取り付けられている場合がある。このような遮光層を形成するために着色樹脂層が使用し得る。顔料としては、所望とする色相に合わせて適宜選択すればよく、黒色顔料、白色顔料、黒色及び白色以外の有彩色の顔料の中から選択できる。黒色系のパターンを形成する場合には、顔料として黒色顔料が好適に選択される。
黒色顔料としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の黒色顔料(例えば、有機顔料又は無機顔料)を適宜選択することができる。光学濃度の観点から、好ましい黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、チタンカーバイド、酸化鉄、酸化チタン及び黒鉛等が挙げられ、特にカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、表面抵抗の観点から、表面の少なくとも一部が樹脂で被覆されたカーボンブラックが好ましい。
黒色顔料の数平均粒径は、分散安定性の観点から、0.001μm~0.1μmであることが好ましく、0.01μm~0.08μmであることがより好ましい。「粒径」とは、電子顕微鏡で撮影した顔料粒子の写真像から顔料粒子の面積を求め、顔料粒子の面積と同面積の円を考えた場合の円の直径を指す。数平均粒径は、任意の100個の粒子について上記の粒径を求め、求められた100個の粒径を平均して得られる平均値である。
白色顔料として、特開2005-007765号公報の段落0015及び0114に記載の白色顔料を使用できる。具体的には、白色顔料に包含される無機顔料として、酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム又は硫酸バリウムが好ましく、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。無機顔料として、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが好ましく、ルチル型の酸化チタンがより好ましい。
酸化チタンの表面は、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、ジルコニア処理又は有機物処理が施されていてもよく、二つ以上の処理が施されてもよい。これにより、酸化チタンの触媒活性が抑制され、耐熱性及び褪光性が改善される。加熱後の感光性樹脂層の厚みを薄くする観点から、酸化チタンの表面への表面処理として、アルミナ処理及びジルコニア処理の少なくとも一方が好ましく、アルミナ処理及びジルコニア処理の両方がより好ましい。
感光性樹脂層が着色樹脂層である場合、転写性の観点から、感光性樹脂層は、黒色顔料及び白色顔料以外の有彩色の顔料を更に含んでいることも好ましい。有彩色の顔料を含む場合、有彩色の顔料の粒径としては、分散性がより優れる点で、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。有彩色の顔料としては、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(Color Index(以下C.I.)42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)及びカーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64及びC.I.ピグメント・バイオレット23が挙げられる。C.I.ピグメント・レッド177が好ましい。
感光性樹脂層が顔料を含む場合、顔料の含有率は、感光性樹脂層の全質量に対して、3質量%超40質量%以下であることが好ましく、3質量%超35質量%以下であることがより好ましく、5質量%超35質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以上35質量%以下であることが特に好ましい。
感光性樹脂層が黒色顔料以外の顔料(白色顔料及び有彩色の顔料)を含む場合、黒色顔料以外の顔料の含有率は、黒色顔料の全質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましく、3質量%~15質量%であることが更に好ましい。
感光性樹脂層が黒色顔料を含み、かつ、感光性樹脂層が感光性樹脂組成物で形成される場合、黒色顔料(好ましくはカーボンブラック)は、顔料分散液の形態で感光性樹脂組成物に導入されることが好ましい。分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とをあらかじめ混合して得られる混合物を、有機溶剤(又はビヒクル)に加えて分散機で分散させることによって調製されるものでもよい。顔料分散剤は、顔料及び溶剤に応じて選択すればよく、例えば市販の分散剤を使用することができる。なお、ビヒクルとは、顔料分散液とした場合に顔料を分散させている媒質の部分を指し、液状であり、黒色顔料を分散状態で保持するバインダー成分と、バインダー成分を溶解及び希釈する溶剤成分(有機溶剤)と、を含む。
分散機としては、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー及びサンドミルが挙げられる。機械的摩砕により摩擦力を利用して混合物を微粉砕してもよい。分散機及び微粉砕については、「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、438頁、310頁)の記載を参照することができる。
[厚さ]
感光性樹脂層の厚さは、一般的には0.1μm~300μmであり、0.2μm~100μmであることが好ましく、0.5μm~50μmであることがより好ましく、0.5μm~15μmであることが更に好ましく、0.5μm~10μmであることが特に好ましく、0.5μm~8μmであることが最も好ましい。これにより、感光性樹脂層の現像性が向上し、解像性が向上する。また、感光性樹脂層の厚さは、0.5μm~5μmであることが好ましく、0.5μm~4μmであることがより好ましく、0.5μm~3μmであることが更に好ましい。感光性樹脂層の厚さは、断面観察により測定される5箇所の厚さの平均値として算出される。
[透過率]
密着性により優れる観点から、感光性樹脂層の波長365nmの光の透過率は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。上記光の透過率は、99.9%以下であることが好ましい。
[感光性樹脂層の形成方法]
感光性樹脂層の形成方法は、制限されない。感光性樹脂層は、例えば、感光性樹脂組成物の塗布及び必要に応じて乾燥によって形成される。感光性樹脂組成物は、上述した感光性樹脂層を形成する各種成分と溶剤とを含むことが好ましい。なお、感光性樹脂組成物の全固形分に対する各成分の含有率の好適範囲は、上述した感光性樹脂層の全質量に対する各成分の含有率の好適範囲と同じである。
溶剤としては、例えば、アルキレングリコールエーテル溶剤、アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤、アルコール溶剤(例えば、メタノール及びエタノール)、ケトン溶剤(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、芳香族炭化水素溶剤(例えば、トルエン)、非プロトン性極性溶剤(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)、環状エーテル溶剤(例えば、テトラヒドロフラン)、エステル溶剤(例えば、酢酸n-プロピル)、アミド溶剤、ラクトン溶剤及びこれらの2種以上を含む混合溶剤が挙げられる。
溶剤は、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ケトン溶剤及び環状エーテル溶剤からなる群より選択される少なくとも1種とを含む混合溶剤がより好ましく、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ケトン溶剤と、環状エーテル溶剤とを含む混合溶剤が更に好ましい。
アルキレングリコールエーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル及びジプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート及びジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
溶剤として、国際公開第2018/179640号の段落0092~段落0094に記載された溶剤及び特開2018-177889号公報の段落0014に記載された溶剤を用いてもよく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
感光性樹脂組成物は、1種又は2種以上の溶剤を含んでもよい。
溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~1,200質量部であることがより好ましく、100質量部~900質量部が更に好ましい。
感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法及びダイコート法(すなわち、スリットコート法)が挙げられる。
感光性樹脂組成物の塗膜の乾燥方法として、加熱乾燥又は減圧乾燥が好ましい。乾燥温度は、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。乾燥温度は、130℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。温度を連続的に変化させて乾燥させることもできる。乾燥時間は、20秒以上であることが好ましく、40秒以上であることがより好ましく、60秒以上であることが更に好ましい。乾燥時間は、600秒以下であることが好ましく、300秒以下であることがより好ましい。
[積層体]
ある実施形態において、感光性樹脂層は、積層体の一部であってもよい。すなわち、ある実施形態に係る情報付与方法では、積層体に含まれる感光性樹脂層に特定の光(例えば、主波長λbの光及び主波長λcの光)を照射してもよい。
積層体における感光性樹脂層以外の層としては、例えば、基材、導電層、熱可塑性樹脂層、中間層及び屈折率調整層が挙げられる。
積層体の層構成の具体例を以下に示す。ただし、積層体の層構成は、以下の具体例に制限されるものではない。
(1)基材/感光性樹脂層
(2)基材/感光性樹脂層/熱可塑性樹脂層
(3)基材/感光性樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層
(4)基材/導電層/感光性樹脂層
(5)基材/導電層/感光性樹脂層/熱可塑性樹脂層
(6)基材/導電層/感光性樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層
(基材)
積層体は、基材を含んでもよい。積層体は、基材と、感光性樹脂層と、をこの順で含むことが好ましい。
基材の種類は、制限されない。基材としては、例えば、樹脂基板、ガラス基板及び半導体基板が挙げられる。樹脂基板は、シクロオレフィンポリマー及びポリイミドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。樹脂基板の厚さは、5μm~200μmであることが好ましく、10μm~100μmであることがより好ましい。樹脂基板の厚さは、断面観察により測定される5箇所の厚さの平均値として算出される。
基材の好ましい態様は、例えば、国際公開第2018/155193号の段落0140に記載されている。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(導電層)
積層体は、導電層を含んでもよい。積層体は、導電層と、感光性樹脂層と、をこの順で含むことが好ましく、基材と、導電層と、感光性樹脂層と、をこの順で含むことがより好ましい。すなわち、導電層は、基材と感光性樹脂層との間に配置されていることが好ましい。
積層体は、2層以上の導電層を含んでもよい。積層体が2層以上の導電層を含む場合、基材の両面にそれぞれ導電層が配置されてもよい。積層体が2層以上の導電層を含む場合、基材の片面に2層以上の導電層が積み重ねられてもよい。積層体が2層以上の導電層を含む場合、少なくとも2層の導電層の材質は、互いに異なることが好ましい。
導電層の成分としては、例えば、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛及びマンガンが挙げられる。また、導電層の成分としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)及びIZO(酸化インジウム亜鉛)も挙げられる。また、導電層の成分としては、例えば、金属ナノ粒子及び金属ナノワイヤーも挙げられる。
導電性及び細線形成性の点から、導電層は、金属層、導電性金属酸化物層、グラフェン層、カーボンナノチューブ層及び導電ポリマー層からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
導電層の好ましい態様は、例えば、国際公開第2018/155193号の段落0141に記載されている。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(熱可塑性樹脂層)
積層体は、熱可塑性樹脂層を含んでもよい。積層体は、基材と、感光性樹脂層と、熱可塑性樹脂層と、をこの順で含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、樹脂を含む。樹脂の少なくとも一部又は全部は、熱可塑性樹脂できる。熱可塑性樹脂層における樹脂は、熱可塑性樹脂であることも好ましい。
熱可塑性樹脂は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
現像性及び熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂としては、アクリル樹脂が好ましい。「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を有する樹脂を意味する。アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、30質量%~100質量%であることが好ましく、50質量%~100質量%であることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する重合体であることが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
現像性の観点から、アルカリ可溶性樹脂は、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であることがより好ましい。酸価は、300mgKOH/g以下であることが好ましく、250mgKOH/g以下であることがより好ましく、200mgKOH/g以下であることが更に好ましく、150mgKOH/g以下であることが特に好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落0025に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~段落0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂及び特開2016-224162号公報の段落0053~段落0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が挙げられる。上記カルボキシ基含有アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する構成単位の共重合比は、アクリル樹脂の全質量に対して、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、12質量%~30質量%であることが更に好ましい。
現像性及び熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂であることが特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、反応性基を有していてもよい。反応性基は、付加重合可能な基であればよい。反応性基としては、エチレン性不飽和基、重縮合性基(例えば、ヒドロキシ基及びカルボキシ基)及び重付加反応性基(例えば、エポキシ基及び(ブロック)イソシアネート基)が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上であることが好ましく、1万~10万であることがより好ましく、2万~5万であることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、1種又は2種以上のアルカリ可溶性樹脂を含んでもよい。
現像性及び熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂の含有率は、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10質量%~99質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、40質量%~80質量%であることが更に好ましく、50質量%~75質量%であることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400nm~780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素(以下、「色素B」という場合がある。)を含むことが好ましい。色素Bの好ましい態様は、後述する点以外は、上述した色素Nの好ましい態様と同じである。
露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Bは、酸又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、酸により極大吸収波長が変化する色素であることがより好ましい。露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、熱可塑性樹脂層は、色素Bとしての酸により極大吸収波長が変化する色素、及び後述する光により酸を発生する化合物の両者を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、1種又は2種以上の色素Bを含んでもよい。
露光部及び非露光部の視認性の観点から、色素Bの含有率は、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上であることが好ましく、0.2質量%~6質量%であることがより好ましく、0.2質量%~5質量%であることが更に好ましく、0.25質量%~3.0質量%であることが特に好ましい。色素Bの含有率は、熱可塑性樹脂層に含まれる全て色素Bの発色状態にした場合の色素の含有率を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。メチルエチルケトン100mLに色素0.001gを溶かした溶液及びメチルエチルケトン100mLに色素0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASFジャパン株式会社)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。次に、色素に代えて熱可塑性樹脂層0.1gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素の量を算出する。
熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物(以下、「化合物C」という場合がある。)を含んでもよい。
化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基又はラジカルを発生する化合物が好ましい。化合物Cとして、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤及び光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)を使用できる。
解像性の観点から、熱可塑性樹脂層は、光酸発生剤を含んでもよい。光酸発生剤としては、上述した感光性樹脂層が含んでもよい光カチオン重合開始剤が挙げられ、後述する点以外は好ましい態様も同じである。
光酸発生剤は、感度及び解像性の観点から、オニウム塩化合物及びオキシムスルホネート化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、感度解像性、及び密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。また、光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含んでもよい。光ラジカル重合開始剤としては、上述した感光性樹脂層が含んでもよい光ラジカル重合開始剤が挙げられ、好ましい態様も同じである。
熱可塑性樹脂組成物は、光塩基発生剤を含んでもよい。光塩基発生剤としては、例えば、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン及び2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
熱可塑性樹脂層は、1種又は2種以上の化合物Cを含んでもよい。
露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、化合物Cの含有率は、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
解像性、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性及び現像性の観点から、熱可塑性樹脂層は、可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤の分子量(可塑剤が分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、アルカリ可溶性樹脂の分子量よりも小さいことが好ましい。可塑剤の分子量は、200~2,000であることが好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば制限されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール化合物がより好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
解像性及び保存安定性の観点から、可塑剤は、(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。相溶性、解像性及び熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、かつ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、上述した感光性樹脂層に含まれる重合性化合物として記載した(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。積層体において、熱可塑性樹脂層とネガ型感光性樹脂層とが直接接触して積層される場合、熱可塑性樹脂層及びネガ型感光性樹脂層がいずれも同じ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。同じ(メタ)アクリレート化合物を熱可塑性樹脂層及びネガ型感光性樹脂層がそれぞれ含むことで、層間の成分拡散が抑制され、保存安定性が向上する。
熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含む場合、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないことが好ましい。
熱可塑性樹脂層の解像性、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性及び現像性の観点から、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物は、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
熱可塑性樹脂層は、1種又は2種以上の可塑剤を含んでもよい。
熱可塑性樹脂層の解像性、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性及び現像性の観点から、可塑剤の含有率は、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、1質量%~70質量%であることが好ましく、10質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~50質量%であることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂層は、増感剤を含んでもよい。増感剤としては、上述した感光性樹脂層が含んでもよい増感剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂層は、1種又は2種以上の増感剤を含んでもよい。
光源に対する感度の向上並びに露光部及び非露光部の視認性の観点から、増感剤の含有率は、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.05質量%~1質量%であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、必要に応じて界面活性剤等の公知の添加剤を含んでもよい。界面活性剤としては、例えば、上記「感光性樹脂層」の項で説明した界面活性剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂層については、特開2014-085643号公報の段落0189~段落0193に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、熱可塑性樹脂層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。現像性及び解像性の観点から、熱可塑性樹脂層の厚さは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることが更に好ましい。熱可塑性樹脂層の厚さは、断面観察により測定される5箇所の厚さの平均値として算出される。
熱可塑性樹脂層は、例えば、熱可塑性樹脂層形成用組成物の塗布及び必要に応じて乾燥によって形成される。
熱可塑性樹脂層形成用組成物は、上述した熱可塑性樹脂層を形成する各種成分と溶剤とを含むことが好ましい。なお、熱可塑性樹脂層形成用組成物の全固形分に対する各成分の含有率の好適範囲は、上述した熱可塑性樹脂層の全質量に対する各成分の含有率の好適範囲と同じである。
溶剤としては、例えば、上記「感光性樹脂層」の項で説明した溶剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂層形成用組成物は、1種又は2種以上の溶剤を含んでもよい。
溶剤の含有量は、熱可塑性樹脂層形成用組成物の全固形分100質量部に対して、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~900質量部であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層の塗布方法としては、例えば、公知の塗布方法(例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布及びインクジェット塗布)が挙げられる。
(中間層)
積層体は、感光性樹脂層と熱可塑性樹脂層との間に、中間層を含んでもよい。感光性樹脂層と熱可塑性樹脂層との間に配置された中間層は、感光性樹脂層の成分と熱可塑性樹脂層との混合を抑制できる。
中間層は、既述の蛍光材料前駆体を含んでもよい。
中間層としては、例えば、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂層が挙げられる。また、中間層としては、特開平5-072724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断層も挙げられる。中間層が酸素遮断層であると、露光時の感度が向上し、露光機の時間負荷が低減し、生産性が向上する。中間層として用いられる酸素遮断層は、上記公報等に記載された公知の層から適宜選択すればよい。低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する酸素遮断層が好ましい。
水溶性樹脂層は、樹脂を含む。樹脂の一部又は全部は、水溶性樹脂である。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂及びポリアミド樹脂が挙げられる。また、水溶性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体も挙げられる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体として、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
水溶性樹脂の重量平均分子量は、5,000以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることが更に好ましい。水溶性樹脂の重量平均分子量は、200,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、50,000以下であることが更に好ましい。水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10であることが好ましく、1~5であることがより好ましい。
水溶性樹脂層(中間層)の層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)中の樹脂は、水溶性樹脂層(中間層)の一方の面側に配置される層に含まれる樹脂及び他方の面側に配置される層に含まれる樹脂とは異なる樹脂であることが好ましい。例えば、感光性樹脂層に重合体Aが含まれ、熱可塑性樹脂層に熱可塑性樹脂(アルカリ可溶性樹脂)が含まれる場合、水溶性樹脂層(中間層)の樹脂は、重合体A及び熱可塑性樹脂(アルカリ可溶性樹脂)とは異なる樹脂であることが好ましい。
酸素遮断性及び層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールを含むことが好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの両者を含むことがより好ましい。
水溶性樹脂層は、1種又は2種以上の水溶性樹脂を含んでもよい。
酸素遮断性及び層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂の含有率は、水溶性樹脂層(中間層)の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。水溶性樹脂の含有率は、水溶性樹脂層(中間層)の全質量に対して、例えば、99.9質量%以下であることが好ましく、99.8質量%以下であることがより好ましい。
中間層は、必要に応じて界面活性剤等の公知の添加剤を含んでもよい。界面活性剤としては、例えば、上記「感光性樹脂層」の項で説明した界面活性剤が挙げられる。
中間層の厚さは、0.1μm~5μmであることが好ましく、0.5μm~3μmであることがより好ましい。中間層の厚さが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、層間混合抑制能が優れる。また、現像における中間層の除去時間の増大も抑制できる。中間層の厚さは、断面観察により測定される5箇所の厚さの平均値として算出される。
中間層は、例えば、中間層形成用組成物の塗布及び必要に応じて乾燥によって形成される。
中間層形成用組成物は、上述した中間層を形成する各種成分と溶剤とを含むことが好ましい。なお、中間層形成用組成物の全固形分に対する各成分の含有率の好適範囲は、上述した中間層の全質量に対する各成分の含有率の好適範囲と同じである。
溶剤としては、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
中間層形成用組成物は、1種又は2種以上の溶剤を含んでもよい。
溶剤の含有量は、中間層形成用組成物の全固形分100質量部に対して、50質量部~2,500質量部が好ましく、50質量部~1,900質量部であることがより好ましく、100質量部~900質量部であることが更に好ましい。
中間層形成用組成物の塗布方法としては、例えば、公知の塗布方法(例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布及びインクジェット塗布)が挙げられる。
(屈折率調整層)
積層体は、屈折率調整層を含んでもよい。屈折率調整層は、公知の屈折率調整層であってもよい。屈折率調整層に含まれる材料としては、例えば、重合体、重合性化合物、金属塩及び粒子が挙げられる。
屈折率調整層の屈折率を制御する方法として、例えば、所定の屈折率の重合体を単独で用いる方法、重合体と粒子とを用いる方法及び金属塩と樹脂との複合体を用いる方法が挙げられる。
重合体及び重合性化合物としては、例えば、上記「感光性樹脂層」の項で説明した重合体A及び重合性化合物が挙げられる。
粒子としては、例えば、金属酸化物粒子及び金属粒子が挙げられる。金属酸化物粒子における金属は、B、Si、Ge、As、Sb及びTeといった半金属を包含する。
硬化膜の透明性の点から、粒子の平均一次粒子径は、1nm~200nmであることが好ましく、3nm~80nmであることがより好ましい。粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
金属酸化物粒子は、酸化ジルコニウム粒子(ZrO粒子)、Nb粒子、酸化チタン粒子(TiO粒子)、二酸化珪素粒子(SiO粒子)及びこれらの複合粒子からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。屈折率を調整しやすいという点から、金属酸化物粒子は、酸化ジルコニウム粒子及び酸化チタン粒子からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
金属酸化物粒子の市販品としては、例えば、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック社製、製品名:ZRPGM15WT%-F04)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック社製、製品名:ZRPGM15WT%-F74)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック社製、製品名:ZRPGM15WT%-F75)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック社製、製品名:ZRPGM15WT%-F76)、酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30M、日産化学工業社製)及び酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30K、日産化学工業社製)が挙げられる。
屈折率調整層は、1種又は2種以上の粒子を含んでもよい。
屈折率調整層における粒子の含有率は、屈折率調整層の全質量に対し、1質量%~95質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、40質量%~85質量%であることが更に好ましい。金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合、酸化チタン粒子の含有率は、屈折率調整層の全質量に対して、1質量%~95質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、40質量%~85質量%であることが更に好ましい。
屈折率調整層の屈折率は、感光性樹脂層の屈折率よりも高いことが好ましい。屈折率調整層の屈折率は、1.50以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましく、1.60以上であることが更に好ましく、1.65以上であることが特に好ましい。屈折率調整層の屈折率は、2.10以下であることが好ましく、1.85以下であることがより好ましく、1.78以下であることが更に好ましく、1.74以下であることが特に好ましい。
屈折率調整層の厚さは、50nm~500nmであることが好ましく、55nm~110nmであることがより好ましく、60nm~100nmであることが更に好ましい。屈折率調整層の厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
屈折率調整層は、例えば、屈折率調整層形成用組成物の塗布及び必要に応じて乾燥によって形成される。
屈折率調整層形成用組成物は、上述した屈折率調整層を形成する各種成分と溶剤とを含むことが好ましい。なお、屈折率調整層形成用組成物の全固形分に対する各成分の含有率の好適範囲は、上述した屈折率調整層の全質量に対する各成分の含有率の好適範囲と同じである。
溶剤としては、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
屈折率調整層形成用組成物は、1種又は2種以上の溶剤を含んでもよい。
溶剤の含有量は、屈折率調整層形成用組成物の全固形分100質量部に対して、50質量部~2,500質量部が好ましく、50質量部~1,900質量部であることがより好ましく、100質量部~900質量部であることが更に好ましい。
屈折率調整層形成用組成物の塗布方法としては、例えば、公知の塗布方法(例えば、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布及びインクジェット塗布)が挙げられる。
(積層体の製造方法)
積層体の製造方法は、制限されない。積層体は、既述の各層の形成方法を用いる形成されてもよい。また、積層体は、感光性樹脂層を含む感光性転写材料を用いて形成されてもよい。つまり、感光性樹脂層は、感光性転写材料に由来する感光性樹脂層であってもよい。例えば、積層体は、感光性転写材料に含まれる層の少なくとも一部を任意の部材(例えば、基材)の上に転写することによって形成される。例えば、基材と、感光性樹脂層と、仮支持体と、を含む積層体は、仮支持体及び感光性樹脂層を含む感光性転写材料と基材との貼り合わせによって形成される。
感光性転写材料を用いて形成される積層体の層構成は、既述の積層体の層構成と同じであってもよい。感光性転写材料を用いて形成される積層体は、仮支持体を含んでもよい。仮支持体は、感光性転写材料に由来する部材である。仮支持体を含む積層体の層構成の具体例を以下に示す。ただし、仮支持体を含む積層体の層構成は、以下の具体例に制限されるものではない。積層体における仮支持体は、必要に応じて除去されてもよい。
(1)基材/感光性樹脂層/仮支持体
(2)基材/感光性樹脂層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
(3)基材/感光性樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
(4)基材/導電層/感光性樹脂層/仮支持体
(5)基材/導電層/感光性樹脂層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
(6)基材/導電層/感光性樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
感光性転写材料と任意の部材(例えば、基材)との貼り合わせは、加圧及び加熱の条件下で実施されることが好ましい。感光性転写材料と任意の部材との貼り合わせには、例えば、真空ラミネーター及びオートカットラミネーターといった公知のラミネーターが使用される。加熱温度は、例えば、70℃~130℃であることが好ましい。感光性転写材料が後述する保護フィルムを含む場合、感光性転写材料から保護フィルムを除去した後、感光性転写材料と任意の部材とを貼り合わせる。
以下、感光性転写材料について説明する。本開示の一実施形態に係る感光性転写材料は、仮支持体と、感光性樹脂層と、を含む。本開示の一実施形態に係る感光性転写材料は、他の層を含んでもよい。他の層としては、例えば、熱可塑性樹脂層、中間層、屈折率調整層及び保護フィルムが挙げられる。
感光性転写材料の層構成の具体例を以下に示す。ただし、感光性転写材料の層構成は、以下の具体例に制限されるものではない。
(1)仮支持体/感光性樹脂層/保護フィルム
(2)仮支持体/感光性樹脂層/屈折率調整層/保護フィルム
(3)仮支持体/中間層/感光性樹脂層/保護フィルム
(4)仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層/保護フィルム
-仮支持体-
感光性転写材料における仮支持体は、感光性樹脂層といった層を支持する部材であり、最終的には剥離処理により除去される。仮支持体は、単層構造又は複層構造を有してもよい。
仮支持体は、フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。仮支持体は、可撓性を有し、かつ、加圧下又は加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮又は伸びを生じないフィルムであることが好ましい。フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。仮支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形及び傷がないことが好ましい。
仮支持体を介して露光できるという点から、仮支持体は、高い透明性を有することが好ましい。365nmの光に対する仮支持体の透過率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
仮支持体を介する露光時のパターン形成性及び仮支持体の透明性の点から、仮支持体は、低いヘイズを有することが好ましい。仮支持体のヘイズは、2%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが更に好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性及び仮支持体の透明性の点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物及び欠陥の数は少ないことが好ましい。仮支持体における直径1μm以上の微粒子、異物及び欠陥の数は、50個/10mm以下であることが好ましく、10個/10mm以下であることがより好ましく、3個/10mm以下であることが更に好ましく、0個/10mmであることが特に好ましい。
仮支持体の厚さは、5μm~200μmであることが好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の点から、10μm~150μmであることがより好ましく、10μm~50μmであることが更に好ましい。仮支持体の厚さは、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
好ましい仮支持体としては、例えば、厚さが16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さが12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム及び厚さが9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
ハンドリング性を付与する点で、仮支持体の表面に微小な粒子を含む層(以下、「滑剤層という。)を設けてもよい。滑剤層は、仮支持体の片面又は両面に設けられてもよい。滑剤層に含まれる粒子の直径は、0.05μm~0.8μmであることが好ましい。また、滑剤層の厚さは、0.05μm~1.0μmであることが好ましい。
仮支持体の好ましい態様は、例えば、特開2014-085643号公報の段落0017~段落0018、特開2016-027363号公報の段落0019~段落0026、国際公開第2012/081680号の段落0041~段落0057及び国際公開第2018/179370号の段落0029~段落0040に記載されており、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
-熱可塑性樹脂層-
感光性転写材料は、熱可塑性樹脂層を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂層は、仮支持体と感光性樹脂層との間に配置されることが好ましい。熱可塑性樹脂層の態様は、上記「熱可塑性樹脂層」の項に記載されている。
-中間層-
感光性転写材料は、感光性樹脂層と熱可塑性樹脂層との間に、中間層を含むことが好ましい。中間層の態様は、上記「中間層」の項に記載されている。
-屈折率調整層-
感光性転写材料は、屈折率調整層を含むことが好ましい。屈折率調整層の態様は、上記「屈折率調整層」の項に記載されている。
-保護フィルム-
感光性転写材料は、保護フィルムを含んでもよい。保護フィルムは、仮支持体の上に感光性樹脂層を介して配置されていることが好ましい。すなわち、感光性転写材料は、仮支持体と、感光性樹脂層と、保護フィルムと、をこの順で含むことが好ましい。保護フィルムは、最外層として配置されていることが好ましい。
保護フィルムとして、例えば、耐熱性及び耐溶剤性を有する樹脂フィルムを用いることができる。保護フィルムとしては、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム)、ポリカーボネートフィルム及びポリスチレンフィルムが挙げられる。また、保護フィルムとして、上述の仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。保護フィルムは、ポリオレフィンフィルムであることが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムであることがより好ましく、ポリエチレンフィルムであることが更に好ましい。
保護フィルムの厚さは、1μm~100μmであることが好ましく、5μm~50μmであることがより好ましく、5μm~40μmであることが更に好ましく、15μm~30μmであることが特に好ましい。保護フィルムの厚さは、機械的強度に優れる点で、1μm以上であることが好ましく、比較的安価となる点で、100μm以下であることが好ましい。保護フィルムの厚さは、断面観察により測定される5箇所の厚さの平均値として算出される。
保護フィルムに含まれる直径が80μm以上のフィッシュアイの数は、5個/m以下であることが好ましい。「フィッシュアイ」とは、材料の熱溶融、混練、押出、2軸延伸及びキャスティング法といった方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物及び酸化劣化物がフィルム中に取り込まれたものである。
保護フィルムに含まれる直径が3μm以上の粒子の数は、30個/mm以下であることが好ましく、10個/mm以下であることがより好ましく、5個/mm以下であることが更に好ましい。保護フィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性樹脂層に転写されることにより生じる欠陥を抑制することができる。
巻き取り性を付与する点から、保護フィルムの保護対象層(例えば、感光性樹脂層)と接する面とは反対側の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましく、0.03μm以上であることが更に好ましい。上記算術平均粗さRaは、0.50μm未満であることが好ましく、0.40μm以下であることがより好ましく、0.30μm以下であることが更に好ましい。
転写時の欠陥抑制の点から、保護フィルムの保護対象層(例えば、感光性樹脂層)と接する面の算術表面粗さRaは、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましく、0.03μm以上であることが更に好ましい。上記算術平均粗さRaは、0.50μm未満であることが好ましく、0.40μm以下であることがより好ましく、0.30μm以下であることが更に好ましい。
-感光性転写材料の製造方法-
感光性転写材料の製造方法としては、例えば、既述の各層の形成方法を用いる方法が挙げられる。例えば、仮支持体の上に、感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥することで、仮支持体の上に感光性樹脂層を形成できる。
(積層体の変形例)
ある実施形態において、積層体は、感光性樹脂層を含む感光性転写材料であってもよい。すなわち、ある実施形態に係る情報付与方法では、感光性転写材料に含まれる感光性樹脂層に対して、特定の光(例えば、主波長λbの光及び主波長λcの光)を照射してもよい。また、ある実施形態において、積層体は、下記「樹脂パターンの製造方法」で説明する積層体であってもよい。
<樹脂パターンの製造方法>
本開示の一実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備すること(以下、「準備工程B」という場合がある。)と、感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成すること(以下、「潜像形成工程B」という場合がある。)と、感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させること(以下、「転化工程B」という場合がある。)と、感光性樹脂層のうち主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、蛍光材料から放出される蛍光を観察すること(以下、「観察工程B」という場合がある。)と、感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成すること(以下、「現像工程B」という場合がある。)と、を含む。さらに、上記した樹脂パターンの製造方法において、主波長λa及び主波長λbは、λa≠λbの関係を満たし、主波長λa及び主波長λcは、λc>λaの関係を満たし、主波長λb及び主波長λcは、λc>λbの関係を満たす。上記「情報付与方法」の項で説明したように、転化工程Bによって感光性樹脂層に不可視情報を付与でき、観察工程Bによって不可視情報を可視化できる。よって、上記した実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む樹脂パターンの製造方法を提供が提供される。
潜像形成工程Bは、転化工程Bと同時に実施されてもよい。潜像形成工程Bは、転化工程Bと観察工程Bとの間に実施されてもよい。潜像形成工程Bは、転化工程B及び観察工程Bの前又は後に実施されてもよい。ある実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、準備工程B、潜像形成工程B、転化工程B、観察工程B及び現像工程Bをこの順で含むことが好ましい。また、ある実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、準備工程B、転化工程B、観察工程B、潜像形成工程B及び現像工程Bをこの順で含むことが好ましい。
<<主波長>>
各主波長の態様は、上記「情報付与方法」の項に記載されている。各主波長の好ましい態様は、上記「情報付与方法」の項に記載された各主波長の好ましい態様と同じである。
<<準備工程B>>>
準備工程Bでは、基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備する。
[基材]
積層体は、基材を含む。基材の態様は、上記「情報付与工程」の項に記載されている。基材の好ましい態様は、上記「情報付与工程」の項で説明した基材の好ましい態様と同じである。
[導電層]
積層体は、導電層を含む。導電層は、基材と感光性樹脂層との間に配置されている。積層体は、2層以上の導電層を含んでもよい。積層体が2層以上の導電層を含む場合、基材の両面にそれぞれ導電層が配置されてもよい。積層体が2層以上の導電層を含む場合、基材の片面に2層以上の導電層が積み重ねられてもよい。積層体が2層以上の導電層を含む場合、少なくとも2層の導電層の材質は、互いに異なることが好ましい。導電層の好ましい態様は、上記「情報付与工程」の項で説明した導電層の好ましい態様と同じである。
積層体は、透明電極及び引き回し配線の少なくとも一方を含むことが好ましい。透明電極は、タッチパネル用電極として好適に機能できる。透明電極は、例えば、金属酸化膜、金属メッシュ又は金属細線によって形成されていることが好ましい。金属酸化膜としては、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)及びIZO(酸化インジウム亜鉛)が挙げられる。金属細線としては、例えば、銀の細線及び銅の細線が挙げられる。銀メッシュ及び銀ナノワイヤーといった銀導電性材料が好ましい。引き回し配線は、金属を含むことが好ましい。引き回し配線における金属としては、例えば、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、マンガン及びこれらの金属元素の2種以上からなる合金が挙げられる。引き回し配線における金属は、銅、モリブデン、アルミニウム又はチタンであることが好ましく、銅であることがより好ましい。
[感光性樹脂層]
積層体は、感光性樹脂層を含む。感光性樹脂層の態様は、上記「情報付与方法」の項に記載されている。感光性樹脂層の好ましい態様は、上記「情報付与方法」の項で説明した感光性樹脂層の好ましい態様と同じである。
[他の層]
積層体は、他の層を含んでもよい。他の層としては、例えば、上記「情報付与方法」の項で説明した仮支持体、熱可塑性樹脂層、中間層及び屈折率調整層が挙げられる。
積層体の層構成の具体例を以下に示す。ただし、積層体の層構成は、以下の具体例に制限されるものではない。
(1)基材/導電層/感光性樹脂層
(2)基材/導電層/感光性樹脂層/仮支持体
(3)基材/導電層/感光性樹脂層/熱可塑性樹脂層
(4)基材/導電層/感光性樹脂層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
(5)基材/導電層/感光性樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層
(6)基材/導電層/感光性樹脂層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体
[積層体の製造方法]
積層体の製造方法は、制限されない。積層体の製造方法としては、例えば、既述の各層の形成方法を用いる方法が挙げられる。積層体の製造方法としては、例えば、既述の感光性転写材料を用いる方法も挙げられる。例えば、基材の上に配置された導電層と、感光性樹脂層を含む感光性転写材料との貼り合わせによって、基材と、導電層と、感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体が得られる。
<<潜像形成工程B>>
潜像形成工程Bでは、感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成する。ネガ型感光性樹脂層の露光部は、後述する現像工程Bにおいて樹脂パターンを形成する。一方、ポジ型感光性樹脂層の非露光部は、後述する現像工程Bにおいて樹脂パターンを形成する。
主波長λaの態様は、上記「情報付与方法」の項に記載されている。主波長λaは、上記「情報付与方法」の項に記載された事項に従って決定される。
本開示の趣旨を逸脱しない限り、潜像形成工程Bにおいて感光性樹脂層に照射される光は、主波長λaに加えて、主波長λa以外の波長λa1を含んでもよい。潜像形成工程Bにおいて感光性樹脂層に照射される光が波長λa1を含む場合、波長λa1は、λa1≠λb及びλa1<λcの関係を満たす範囲で決定されることが好ましい。さらに、波長λa1は、λa1<λbの関係を満たす範囲で決定されることが好ましい。潜像形成工程Bにおいて感光性樹脂層に照射される光の波長範囲は、410nm未満であることが好ましい。また、潜像形成工程Bにおいて感光性樹脂層に照射される光の波長範囲は、400nm未満であることも好ましい。
光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが挙げられる。
露光量は、5mJ/cm~200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm~200mJ/cmであることがより好ましい。
光の照射領域は、例えば、目的の樹脂パターンに応じて調整される。光の照射領域の調整方法としては、例えば、所定の光透過部を有するフォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、光源と感光性樹脂層との間に配置されたフォトマスクを介して光を照射することで、光の照射領域を調整できる。また、高い指向性を有する光を照射可能な光源(例えば、レーザー)を用いることで、光の照射領域を調整できる。
積層体が仮支持体を含む場合、仮支持体を介して感光性樹脂層に光を照射してもよい。積層体から仮支持体を除去した後、感光性樹脂層に光を照射してもよい。仮支持体の除去方法として、例えば、特開2010-072589号公報の段落0161~段落0162に記載されたカバーフィルム剥離機構と同じ機構を使用できる。
露光に使用する光源、露光量及び露光方法の好ましい態様は、例えば、国際公開第2018/155193号の段落0146~段落0147に記載されている。上記公報の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
<<転化工程B>>
転化工程Bでは、感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させる。転化工程Bの態様は、上記「情報付与方法」の項で説明した転化工程Aの態様と同じである。転化工程Bの好ましい態様は、上記「情報付与方法」の項で説明した転化工程Aの好ましい態様と同じである。なお、積層体が仮支持体を含む場合、仮支持体を介して感光性樹脂層に光を照射してもよい。積層体から仮支持体を除去した後、感光性樹脂層に光を照射してもよい。
<<観察工程B>>
観察工程Bでは、感光性樹脂層のうち主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、蛍光材料から放出される蛍光を観察する。観察工程Bの態様は、上記「情報付与方法」の項で説明した観察工程Aの態様と同じである。観察工程Bの好ましい態様は、上記「情報付与方法」の項で説明した観察工程Aの好ましい態様と同じである。なお、積層体が仮支持体を含む場合、仮支持体を介して感光性樹脂層に光を照射してもよい。積層体から仮支持体を除去した後、感光性樹脂層に光を照射してもよい。
<<現像工程B>>
現像工程Bでは、感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成する。感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、潜像形成工程Bにおける非露光部が除去され、潜像形成工程Bにおける露光部が樹脂パターンを形成する。感光性樹脂層がポジ型感光性樹脂層である場合、潜像形成工程Bにおける露光部が除去され、潜像形成工程Bにおける非露光部が樹脂パターンを形成する。
感光性樹脂層の現像は、例えば、現像液を用いて行われる。現像液は、アルカリ性水溶液であることが好ましい。アルカリ性水溶液に含まれ得るアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド及びコリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。好ましい現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載された現像液が挙げられる。
現像の方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、スピン現像及びディップ現像が挙げられる。好ましい現像方式としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0195に記載された現像方式が挙げられる。
<<他の工程>>
感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、本開示の一実施形態に係る樹脂パターンの製造方法は、現像工程Bによって得られた樹脂パターンを露光すること(以下、「ポスト露光工程」という。)及び現像工程Bによって得られた樹脂パターンを加熱すること(以下、「ポストベーク工程」という。)の少なくとも一方を含んでもよい。本開示の一実施形態に係る樹脂パターンの製造方法がポスト露光工程及びポストベーク工程の両方を含む場合、ポスト露光工程の後、ポストベーク工程を実施することが好ましい。
ポスト露光工程における露光量は、100mJ/cm~5,000mJ/cmであることが好ましく、200mJ/cm~3,000mJ/cmであることがより好ましい。ポストベーク工程における加熱温度は、80℃~250℃であることが好ましく、90℃~160℃であることがより好ましい。ポストベーク工程における加熱時間は、1分~180分であることが好ましく、10分~60分であることがより好ましい。
<<樹脂パターンの用途>>
樹脂パターンは、例えば、永久膜又はエッチング処理における保護膜として使用される。永久膜は、例えば、導電層の保護膜として使用される。樹脂パターンは、エッチング処理における保護膜として使用されることが好ましい。例えば、回路配線の製造方法では、導電層の上に樹脂パターンを形成した後、樹脂パターンによって覆われていない導電層をエッチング処理によって除去することで、所望の回路配線を形成できる。
<回路配線の製造方法>
本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法は、基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備すること(以下、「準備工程C」という場合がある。)と、感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成すること(以下、「潜像形成工程C」という場合がある。)と、感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させること(以下、「転化工程C」という場合がある。)と、感光性樹脂層のうち主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、蛍光材料から放出される蛍光を観察すること(以下、「観察工程C」という場合がある。)と、感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成すること(以下、「現像工程C」という場合がある。)と、樹脂パターンが配置されていない領域にある導電層をエッチング処理し、回路配線を形成すること(以下、「エッチング処理工程C」という場合がある。)と、を含む。さらに、上記した回路配線の製造方法において、主波長λa及び主波長λbは、λa≠λbの関係を満たし、主波長λa及び主波長λcは、λc>λaの関係を満たし、主波長λb及び主波長λcは、λc>λbの関係を満たす。上記「情報付与方法」の項で説明したように、転化工程Cによって感光性樹脂層に不可視情報を付与でき、観察工程Cによって不可視情報を可視化できる。よって、上記した実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含む回路配線の製造方法を提供が提供される。
潜像形成工程Cは、転化工程Cと同時に実施されてもよい。潜像形成工程Cは、転化工程Cと観察工程Cとの間に実施されてもよい。潜像形成工程Cは、転化工程C及び観察工程Cの前又は後に実施されてもよい。ある実施形態に係るタッチパネルの製造方法は、準備工程C、潜像形成工程C、転化工程C、観察工程C、現像工程C及びエッチング処理工程Cをこの順で含むことが好ましい。また、ある実施形態に係る回路配線の製造方法は、準備工程C、転化工程C、観察工程C、潜像形成工程C、現像工程C及びエッチング処理工程Cをこの順で含むことが好ましい。
<<準備工程C>>
準備工程Cの態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した準備工程Bの態様と同じである。準備工程Cの好ましい態様は、上記「情報付与方法」の項で説明した準備工程Bの好ましい態様と同じである。
<<潜像形成工程C>>
潜像形成工程Cの態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した潜像形成工程Bの態様と同じである。潜像形成工程Cの好ましい態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した潜像形成工程Bの好ましい態様と同じである。
<<転化工程C>>
転化工程Cの態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した転化工程Bの態様と同じである。転化工程Cの好ましい態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した転化工程Bの好ましい態様と同じである。
<<観察工程C>>
観察工程Cの態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した観察工程Bの態様と同じである。観察工程Cの好ましい態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した観察工程Bの好ましい態様と同じである。
<<現像工程C>>
現像工程Cの態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した現像工程Bの態様と同じである。現像工程Cの好ましい態様は、上記「樹脂パターンの製造方法」の項で説明した現像工程Bの好ましい態様と同じである。
<<エッチング工程>>
エッチング工程では、樹脂パターンが配置されていない領域にある導電層をエッチング処理し、回路配線を形成する。「樹脂パターンが配置されていない領域にある導電層」は、具体的に、樹脂パターンによって覆われていない導電層を指す。エッチング工程では、樹脂パターンによって覆われていない導電層がエッチング処理によって除去され、エッチング処理後に残存する導電層によって回路配線が形成される。
エッチング処理の方法としては、例えば、特開2017-120435号公報の段落0209~段落0210に記載の方法及び特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054に記載の方法が挙げられる。エッチング処理の方法としては、例えば、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法も挙げられる。エッチング処理の方法としては、例えば、プラズマエッチングといったドライエッチングによる方法も挙げられる。
ウェットエッチングに用いられるエッチング液の種類は、例えば、エッチング処理の対象に合わせて選択される。エッチング液としては、例えば、酸性又はアルカリ性のエッチング液が挙げられる。
酸性のエッチング液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸及びリン酸からなる群より選択される酸性成分単独の水溶液が挙げられる。酸性のエッチング液としては、例えば、上記した酸性成分と、塩化第2鉄、フッ化アンモニウム及び過マンガン酸カリウムからなる群より選択される塩との混合水溶液も挙げられる。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分であってもよい。
アルカリ性のエッチング液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン及び有機アミンの塩(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)からなる群より選択されるアルカリ成分単独の水溶液が挙げられる。アルカリ性のエッチング液としては、例えば、上記したアルカリ成分と塩(例えば、過マンガン酸カリウム)との混合水溶液も挙げられる。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分であってもよい。
<<除去工程>>
本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法は、残存する樹脂パターンを除去すること(以下、「除去工程」という。)を含むことが好ましい。除去工程は、エッチング工程の後に実施されることが好ましい。
除去方法としては、例えば、薬品処理が挙げられる。除去工程では、除去液を用いて残存する樹脂パターンを除去することが好ましい。除去液を用いる方法としては、例えば、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは50℃~80℃の温度を有する撹拌中の除去液に、残存する樹脂パターンを有する基材を1分間~30分間浸漬する方法が挙げられる
除去液としては、例えば、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又はこれらの混合溶液に溶解させた除去液が挙げられる。無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
また、除去工程では、除去液を使用し、スプレー法、シャワー法及びパドル法等の公知の方法により残存する樹脂パターンを除去してもよい。
<<他の工程>>
本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法は、他の工程を含んでもよい。他の工程としては、例えば、国際公開第2019/022089号の段落0172に記載の可視光線反射率を低下させる工程及び国際公開第2019/022089号の段落0172に記載の絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程が挙げられる。
本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法は、導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理を行う工程を含んでいてもよい。可視光線反射率を低下させる処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。導電層が銅を含む場合、銅を酸化処理して酸化銅とし、導電層を黒化することにより、導電層の可視光線反射率を低下させることができる。可視光線反射率を低下させる処理は、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載されている。これらの公報に記載の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法は、回路配線の表面に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜の表面に新たな導電層を形成する工程と、を含むことも好ましい。上記の工程により、第一の電極パターンと絶縁した第二の電極パターンを形成することができる。絶縁膜を形成する工程としては、例えば、公知の永久膜を形成する方法が挙げられる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程では、例えば、導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電層を形成してもよい。
本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法では、基材の両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有する基板を用い、基材の両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。上記の工程により、基材の一方の表面に第一の導電パターン、基材のもう一方の表面に第二の導電パターンを形成したタッチパネル用回路配線を形成できる。上記のような構成のタッチパネル用回路配線を、ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
<<回路配線の用途>>
本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法により製造される回路配線は、種々の装置に適用することができる。回路配線を備えた装置としては、例えば、入力装置が挙げられ、タッチパネルが好ましく、静電容量型タッチパネルがより好ましい。また、上記入力装置は、有機EL表示装置及び液晶表示装置といった表示装置に適用できる。
<タッチパネルの製造方法>
本開示の一実施形態に係るタッチパネルの製造方法は、基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備すること(以下、「準備工程D」という場合がある。)と、感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成すること(以下、「潜像形成工程D」という場合がある。)と、感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させること(以下、「転化工程D」という場合がある。)と、感光性樹脂層のうち主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、蛍光材料から放出される蛍光を観察すること(以下、「観察工程D」という場合がある。)と、感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成すること(以下、「現像工程D」という場合がある。)と、樹脂パターンが配置されていない領域にある導電層をエッチング処理し、タッチパネル用の配線を形成すること(以下、「エッチング処理工程D」という場合がある。)と、を含む。さらに、上記したタッチパネルの製造方法において、主波長λa及び主波長λbは、λa≠λbの関係を満たし、主波長λa及び主波長λcは、λc>λaの関係を満たし、主波長λb及び主波長λcは、λc>λbの関係を満たす。上記「情報付与方法」の項で説明したように、転化工程Dによって感光性樹脂層に不可視情報を付与でき、観察工程Dによって不可視情報を可視化できる。よって、上記した実施形態によれば、感光性樹脂層に対する不可視情報の付与及び不可視情報の可視化を含むタッチパネルの製造方法を提供が提供される。
潜像形成工程Dは、転化工程Dと同時に実施されてもよい。潜像形成工程Dは、転化工程Dと観察工程Dとの間に実施されてもよい。潜像形成工程Dは、転化工程D及び観察工程Dの前又は後に実施されてもよい。ある実施形態に係るタッチパネルの製造方法は、準備工程D、潜像形成工程D、転化工程D、観察工程D、現像工程D及びエッチング処理工程Dをこの順で含むことが好ましい。また、ある実施形態に係るタッチパネルの製造方法は、準備工程D、転化工程D、観察工程D、潜像形成工程D、現像工程D及びエッチング処理工程Dをこの順で含むことが好ましい。
エッチング処理工程Dにおいてタッチパネル用の配線が形成されることを除き、本開示の一実施形態に係る回路配線の製造方法の態様は、上記「回路配線の製造方法」で説明した回路配線の製造方法の態様と同じである。上記「回路配線の製造方法」に記載された事項は、本開示の一実施形態に係るタッチパネルの製造方法に対して援用される。
タッチパネル用配線の製造に用いられるフォトマスクのパターンとしては、例えば、特開2019-204070号公報に記載されたパターンA及びパターンBが挙げられる。公知のタッチパネルの製造方法は、配線以外のタッチパネルの構成要素を形成するために参照されてもよい。
タッチパネルの検出方法としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式及び光学方式が挙げられる。上記の中でも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、インセル型(例えば、特表2012-517051号公報の図5、図6、図7及び図8に記載された構成)、オンセル型(例えば、特開2013-168125号公報の図19に記載された構成並びに特開2012-89102号公報の図1及び図5に記載された構成)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch-on-Lens)型(例えば、特開2013-54727号公報の図2に記載された構成)、各種アウトセル型(例えば、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1及びG1F)及び他の構成(例えば、特開2013-164871号公報の図6に記載の構成)が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本開示を詳細に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に制限されるものではない。以下に示す実施例の内容(例えば、材料、使用量、割合、処理内容及び処理手順)は、本開示の目的の範囲内において適宜変更されてもよい。
<略号>
以下に示す用語は、それぞれ、次の意味を有する。
A-1:スチレン、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルの共重合体(モノマー比=48質量%:29質量%:23質量%、Mw:60,000、重合体A)
A-2:ベンジルメタクリレート、メタクリル酸及びアクリル酸の共重合体を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(モノマー比=70質量%:15質量%:15質量%、固形分濃度:30.0質量%、Mw:30,000、酸価:153mgKOH/g)
A-3:クラレポバールPVA-205(クラレ社製)
A-4:ポリビニルピロリドンK-30(日本触媒社製)
B-1:BPE-500(新中村化学工業社製、重合性化合物)
B-2:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15モルのエチレンオキサイドと平均2モルのプロピレンオキサイドとを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(重合性化合物)
B-3:M-270(東亞合成社製、重合性化合物)
B-4:A-TMPT(新中村化学工業社製、重合性化合物))
B-5:SR-454(アルケマ社製、重合性化合物)
B-6:A-9300-CL1(新中村化学工業社製、重合性化合物)
B-7:NKエステルA-DCP(新中村化学工業社製、重合性化合物)
B-8:8UX-015A(大成ファインケミカル社製、重合性化合物)
B-9:アロニックスTO-2349(東亞合成社製、重合性化合物)
B-10:ARUFON UC-3510(東亞合成社製、重合性化合物)
C-1:B-CIM(黒金化成社製、重合開始剤)
C-2:SB-PI 701(三洋貿易社製、重合開始剤)
D-1:TDP-G(川口化学工業社製)
D-2:Irganox245(BASF社製)
D-3:N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(富士フイルム和光純薬社製)
E-1:ロイコクリスタルバイオレット(東京化成工業社製、蛍光材料前駆体)
E-2:N-フェニルグリシン(東京化成工業社製)
E-3:ブリリアントグリーン(東京化成工業社製)
E-4:CBT-1(城北化学工業社製)
E-5:1-(2-ジ-n-ブチルアミノメチル)-5-カルボキシルベンゾトリアゾールと1-(2-ジ-n-ブチルアミノメチル)-6-カルボキシルベンゾトリアゾールとの混合物(質量比=1:1)
E-6:フェニドン(東京化成工業社製)
E-7:F-552(DIC社製)
E-8:F-444(DIC社製)
F-1:メチルエチルケトン(三協化学社製)
F-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工社製)
F-3:イオン交換水
F-4:メタノール(三菱ガス化学社製)
<熱可塑性樹脂組成物の調製>
(熱可塑性樹脂組成物1)
以下の成分を混合して熱可塑性樹脂組成物1を調製した。
・A-2:42.85質量部
・B-7:4.63質量部
・B-8:2.31質量部
・B-9:0.77質量部
・E-7:0.03質量部
・F-1:39.50質量部
・F-2:9.51質量部
・下記に示す構造の化合物(光酸発生剤、特開2013-47765号公報の段落0227に記載の方法に従って合成した化合物):0.32質量部
・下記に示す構造の化合物(酸により発色する色素):0.08質量部
(熱可塑性樹脂組成物2)
以下の成分を混合して熱可塑性樹脂組成物2を調製した。
・A-2:38.42質量部
・B-10:8.89質量部
・C-1:3.00質量部
・C-2:0.15質量部
・E-1:0.50質量部
・E-7:0.03質量部
・F-1:39.50質量部
・F-2:9.51質量部
<中間層形成用組成物の調製>
以下の成分を混合して中間層形成用組成物を調製した。
・A-3:3.22質量部
・A-4:1.49質量部
・E-8:0.0015質量部
・F-3:38.12質量部
・F-4:57.17質量部
<感光性樹脂組成物の調製>
表1の記載に従って、感光性樹脂組成物を調製した。表1における各成分の添加量の単位は、質量部である。
<実施例1>
(感光性転写材料1の作製)
仮支持体として、厚さが30μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。仮支持体の表面に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであって乾燥後の厚さが4.0μmとなるように熱可塑性樹脂組成物1を塗布した。熱可塑性樹脂組成物1を80℃で40秒間かけて乾燥し、熱可塑性樹脂層を形成した。熱可塑性樹脂層の表面に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであって乾燥後の厚さが1.2μmとなるように中間層形成用組成物を塗布した。中間層形成用組成物を80℃で40秒間かけて乾燥し、中間層を形成した。中間層の表面に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであって乾燥後の厚さが3.0μmとなるように感光性樹脂組成物1を塗布した。感光性樹脂組成物1を80℃で40秒間かけて乾燥し、感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の表面に、保護フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラー16QS62)を圧着し、感光性転写材料1を作製した。感光性転写材料1は、主波長λaとして365nmの光を用いる露光によってパターニング可能なフォトレジスト材料である。
(ラミネート)
基材として100μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムと、導電層として200nmの厚さの銅層と、を含む基板を用意した。導電層の形成では、スパッタリング法を使用した。感光性転写材料1から保護フィルムを剥離した後、シートラミネーターを用いて、以下に示す条件に従って基板と感光性転写材料1とを貼り合わせた。得られた積層体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、銅層と、感光性樹脂層と、中間層と、熱可塑性樹脂層と、仮支持体と、をこの順で含む。
・ロール温度:100℃
・ラミネート速度:2m/分
・ラミネート圧力:0.5MPa
(情報の付与)
積層体の仮支持体の上に、光透過部として9桁の数字パターンを設けたフォトマスクを配置した。フォトマスクでは、合計10組の数字パターンが設けられている。合計10組の数字パターンでは、数字の太さが100μmである数字パターンから数字の太さが10μmの数字パターンまで、10μm刻みで数字の太さが変化している。フォトマスクの上に光学フィルタ(朝日分光社製、HMZ0405)を載せた。光学フィルタ(HMZ0405)は、405nm付近の光のみを透過する。高圧水銀灯を用いて、光学フィルタを介して積層体を露光した。露光におけるエネルギー量は、200mJ/cmであった。
(視認性の評価)
光源(オプトコード社製、LED530-3W)を用いて、数字パターンが露光された領域に530nmを主波長λcとする緑色の参照光を照射し、発生する蛍光を、ロングパスフィルタ(富士フイルム社製、SC62)を介して10倍ルーペを用いて目視で観察した。以下の基準に従って、視認性を評価した。評価結果を表2に示す。
A:30μmの太さの数字を視認できる。
B:60μmの太さの数字を視認できる。
C:100μmの太さの数字を視認できない、又は全ての数字を視認できない。
<実施例2~4>
表1及び表2の記載に従って、感光性樹脂組成物の種類及び熱可塑性樹脂組成物の種類を適宜変更したこと以外は、実施例1と同じ手順によって、視認性を評価した。評価結果を表2に示す。
<比較例1>
光学フィルタ(朝日分光社製、HMZ0405)を光学フィルタ(朝日分光社製、LX0365)に変更したこと以外は、実施例1と同じ手順によって、積層体を露光した。光学フィルタ(朝日分光社製、LX0365)は、365nm付近の光のみを透過する。なお、365nmの波長は、感光性樹脂層をパターニングするために使用される波長である。比較例1では、参照光を照射することなく、ルーペを用いて数字パターンを視認できた。上記の結果は、情報を秘匿するための用途として適当でない。
<比較例2>
参照光の光源をLEDライト(オプトコード社製、LED-UV385P、主波長λc:385nm)に変更したこと以外は、実施例1と同じ手順によって、視認性を評価した。評価結果を表2に示す。
<比較例3>
表1及び表2の記載に従って、感光性樹脂組成物の種類を変更したこと以外は、実施例1と同じ手順によって、視認性を評価した。評価結果を表2に示す。
実施例1~実施例4では、秘匿した数字パターンを蛍光によって視認できた。一方、比較例1では、参照光を必要とせずに数字パターンを視認でき、数字パターンを秘匿できなかった。上記の結果は、表2において「-」で表記している。比較例2では、参照光の主波長λcが数字パターンの付与に使用された主波長λbよりも短いため、いわゆる数字パターンの「かぶり」を生じて数字パターンを十分視認できなかった。ここで、「かぶり」とは、先に付与された数字パターンを含めた膜部分に対して参照光によって露光がされたため、数字パターンの露光部分と未露光部分がともに感光してしまい、数字パターンが明瞭に識別できなくなることを指す。比較例3では、感光性樹脂層が蛍光材料前駆体を含んでいないため、数字パターンを蛍光によって視認できなかった。
<実施例5>
実施例1で使用した感光性転写材料1を用い、下記の評価を行った。
(ラミネート)
基材として100μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムと、導電層として200nmの厚さの銅層と、を含む基板を用意した。導電層の形成では、スパッタリング法を使用した。感光性転写材料1から保護フィルムを剥離した後、シートラミネーターを用いて、以下に示す条件に従って基板と感光性転写材料1とを貼り合わせた。得られた積層体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、銅層と、感光性樹脂層と、中間層と、熱可塑性樹脂層と、仮支持体と、をこの順で含む。
・ロール温度:100℃
・ラミネート速度:2m/分
・ラミネート圧力:0.5MPa
(樹脂パターンの潜像の形成)
仮支持体の上に20ミクロン/20ミクロンのラインアンドスペースパターンを有するフォトマスクを配置し、ラミネートによって得られた積層体に対し、高圧水銀灯を用いて100mJ/cmで露光を行った。フォトマスクは、積層体のサイズよりも小さいデザインを持つものであり、積層体の周辺部分は露光が行われないようにした。
(情報の付与)
積層体の仮支持体の上に、光透過部として9桁の数字パターンを設けたフォトマスクを配置した。フォトマスクの数字パターンは、樹脂パターンの潜像が形成されていない積層体の周辺部分の上に配置された。フォトマスクでは、合計10組の数字パターンが設けられている。合計10組の数字パターンでは、数字の太さが100μmである数字パターンから数字の太さが10μmの数字パターンまで、10μm刻みで数字の太さが変化している。フォトマスクの上に光学フィルタ(朝日分光社製、HMZ0405)を載せた。光学フィルタ(HMZ0405)は、405nm付近の光のみを透過する。高圧水銀灯を用いて、光学フィルタを介して積層体を露光した。露光におけるエネルギー量は、200mJ/cmであった。
(視認性の評価)
光源(オプトコード社製、LED530-3W)を用いて、数字パターンが露光された領域に530nmを主波長λcとする緑色の参照光を照射し、発生する蛍光を、ロングパスフィルタ(富士フイルム社製、SC62)を介して10倍ルーペを用いて目視で観察した。30μmの太さの数字パターンを視認可能であった。
(現像)
視認性の評価後、仮支持体を剥離し、25℃の0.9質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて30秒現像し、20ミクロン/20ミクロンのラインアンドスペースパターンを有する樹脂パターンを作製した。視認性評価で照射した光がかぶりを起こすことはなく、良好な形状を持つ樹脂パターンを作製できた。
2020年9月30日に出願された日本国特許出願2020-165597号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (10)

  1. 主波長λaの光を用いる露光によって樹脂パターンの潜像を形成する感光性樹脂層に対して、識別可能な情報を付与する情報付与方法であって、
    蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、前記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、
    前記感光性樹脂層のうち前記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、前記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、を含み、
    前記主波長λa及び前記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、
    前記主波長λa及び前記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、
    前記主波長λb及び前記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、
    情報付与方法。
  2. 前記蛍光を観察することが、前記主波長λcを遮断するフィルタを介して前記蛍光を観察することを含む、請求項1に記載の情報付与方法。
  3. 前記主波長λa及び前記主波長λbが、λb>λaの関係を満たす、請求項1又は請求項2に記載の情報付与方法。
  4. 前記主波長λaが400nm未満であり、前記主波長λbが400nm以上500nm未満であり、前記主波長λcが500nm以上700nm未満である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の情報付与方法。
  5. 前記蛍光材料前駆体が、トリアリールメタン構造を有する化合物である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の情報付与方法。
  6. 前記蛍光材料前駆体が、ロイコ色素である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の情報付与方法。
  7. 前記感光性樹脂層が、重合体と、重合性化合物と、重合開始剤と、を含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の情報付与方法。
  8. 基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備することと、
    前記感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成することと、
    前記感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、前記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、
    前記感光性樹脂層のうち前記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、前記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、
    前記感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成することと、を含み、
    前記主波長λa及び前記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、
    前記主波長λa及び前記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、
    前記主波長λb及び前記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、
    樹脂パターンの製造方法。
  9. 基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備することと、
    前記感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成することと、
    前記感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、前記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、
    前記感光性樹脂層のうち前記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、前記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、
    前記感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成することと、
    前記樹脂パターンが配置されていない領域にある前記導電層をエッチング処理し、回路配線を形成することと、を含み、
    前記主波長λa及び前記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、
    前記主波長λa及び前記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、
    前記主波長λb及び前記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、
    回路配線の製造方法。
  10. 基材と、導電層と、蛍光材料前駆体を含む感光性樹脂層と、をこの順で含む積層体を準備することと、
    前記感光性樹脂層に主波長λaの光を照射し、樹脂パターンの潜像を形成することと、
    前記感光性樹脂層に主波長λbの光を照射し、前記蛍光材料前駆体を蛍光材料に転化させることと、
    前記感光性樹脂層のうち前記主波長λbの光によって露光された領域に主波長λcの光を照射し、前記蛍光材料から放出される蛍光を観察することと、
    前記感光性樹脂層を現像し、樹脂パターンを形成することと、
    前記樹脂パターンが配置されていない領域にある前記導電層をエッチング処理し、タッチパネル用の配線を形成することと、を含み、
    前記主波長λa及び前記主波長λbが、λa≠λbの関係を満たし、
    前記主波長λa及び前記主波長λcが、λc>λaの関係を満たし、
    前記主波長λb及び前記主波長λcが、λc>λbの関係を満たす、
    タッチパネルの製造方法。
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