JP6567198B2 - タッチパネルの製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、タッチパネルの製造方法に関する。
従来より、露光された感光性層を現像するための現像液が知られている。
例えば、感光性ポリイミドの解像特性及び残膜特性を大幅に改善する現像液として、25℃における水溶液中の塩基解離指数pKbが5〜8であり、置換もしくは非置換のN−置換イミダゾール、置換もしくは非置換のN−置換モルホリン、置換もしくは非置換のN−置換ピロリン、置換もしくは非置換のN−(2−シアノエチル)ピペラジン、置換もしくは非置換の2−(N,N−ジ置換アミノ)プロピオニトリル、置換もしくは非置換のN,N−ジ置換アミノプロパギルアミンからなる群から選択される少なくとも1種の第三アミン化合物の水溶液からなる現像液が知られている(例えば、特許第3677191号公報参照)。
また、アルミニウム等の金属を腐食することなく、現像を行うことができるレジスト現像液として、トリアゾール、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、およびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含むレジスト現像液が知られている(例えば、特開2005−208329号公報参照)。
また、酸の作用により極性が増大する樹脂を含有し、活性光線または放射線の照射によりネガ型現像し、リンスすることによりネガパターンを形成するレジストパターン形成方法に用いられ、現像後の残渣等による表面欠陥、LWR(Line Width Roughness)などの問題がないレジストパターンを形成することができるネガ型現像液として、有機溶剤とネガ型現像液の全質量に対し0.015質量%〜0.4質量%の芳香族化合物(例えば、イミダゾール)を含有するネガ型現像液が知られている(例えば、特開2014−211478号公報参照)。
また、ドライフィルムレジストを膨潤させて剥離させる剥離液が知られている。
例えば、レジスト剥離性が良好で、銅配線に対して低ダメージのレジスト剥離液として、モノエタノールアミン0.5質量%〜20質量%、第四級アンモニウム水酸化物0.2質量%〜10質量%、エチレングリコール類0.01質量%〜10質量%、及びアゾール類0.01質量%〜0.5質量%含有するレジスト剥離液が知られている(例えば、特開2015−46575号公報参照)。
一般に、タッチパネルの製造方法では、基板上に配置されたタッチパネル用配線を覆うように感光性層を形成した後、形成された感光性層をパターン露光し、パターン露光された感光性層を現像することにより、基板上に硬化膜(即ち、保護層)を形成することが行われている。保護層には、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部(所謂、ボンディングパッド部)が形成される。
本発明者らは、この保護層の開口部(ボンディングパッド部)にタッチパネル用配線が露出していると、工程中でポストベーク等の熱処理を行った場合に、タッチパネル用配線が変色するという問題が生じ得ることを確認した。
ところで、タッチパネルは、画像が表示される画像表示領域と、この画像表示領域の周囲に配置される画像非表示領域(「枠部」ともいう。)と、を備えている。タッチパネルでは、この枠部に設けられたタッチパネル用配線の配線パターン等を隠すために、保護層上に黒色顔料等を含有する着色パターンが設けられることがある。
しかし、本発明者らの検討により、保護層上に着色剤を含有する着色層を設け、設けた着色層をパターン露光し、現像して、保護層上に着色パターンを形成した場合に、保護層の開口部(ボンディングパッド部)において、着色層の現像残渣が発生し得ることが判明した。
保護層の開口部(ボンディングパッド部)におけるタッチパネル用配線の変色及び着色層の現像残渣の発生は、例えば、IC(Integrated Circuit)コントローラとの接続不良を招くため好ましくない。
これまで、着色パターンを備えるタッチパネルの保護層の開口部(ボンディングパッド部)において生じ得る、タッチパネル用配線の変色及び着色層の現像残渣の問題について着目した報告はなされていない。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、タッチパネル用配線を有する基板上に、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層と、この保護層上に設けられた着色パターンとを備えるタッチパネルであって、開口部に露出したタッチパネル用配線の変色と、開口部における着色層の現像残渣の発生と、が抑制されたタッチパネルの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
感光性層をパターン露光する工程と、
パターン露光された感光性層を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程と、
を含み、
着色層を設ける工程の前に、タッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を接触させる工程を有するタッチパネルの製造方法。
<2> 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
感光性層をパターン露光する工程と、
パターン露光された感光性層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程と、
を含む<1>に記載のタッチパネルの製造方法。
<3> イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の共役酸のpKaが、4.00以下である<2>に記載のタッチパネルの製造方法。
<4> 現像液は、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する<2>又は<3>に記載のタッチパネルの製造方法。
<5> 現像液は、1,2,3−ベンゾトリアゾール及び5−アミノ−1H−テトラゾールから選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する<2>〜<4>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
<6> 現像液中におけるイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、現像液の全質量に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下である<2>〜<5>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
<7> 感光性層の厚さが、20μm以下である<2>〜<6>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
<8> タッチパネル用基板を準備する工程は、基板上に、少なくとも金属膜が配置された配線形成用基板を準備する工程と、
配線形成用基板の金属膜が配置された側の面上に、フォトレジスト層を設ける工程と、
フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、フォトレジスト層をパターニングする工程と、
パターニングされたフォトレジスト層が配置されていない基板上の金属膜をエッチングする工程と、
金属膜をエッチングした後、パターニングされたフォトレジスト層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する剥離液を用いて剥離することにより、パターンニングされた金属膜を露出させる工程と、
を含む<1>に記載のタッチパネルの製造方法。
<9> イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の共役酸のpKaが、4.00以下である<8>に記載のタッチパネルの製造方法。
<10> 剥離液は、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する<8>又は<9>に記載のタッチパネルの製造方法。
<11> 剥離液は、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する<8>〜<10>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
<12> 剥離液が、更にアミン化合物を含有する<8>〜<11>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
<13> 剥離液が、下記の(1)〜(3)の要件を満たす<12>に記載のタッチパネルの製造方法。
(1)イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、剥離液の全質量に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下である。
(2)アミン化合物の含有率が、剥離液の全質量に対して、0.1質量%以上33.0質量%以下である。
(3)水の含有率が、剥離液の全質量に対して、65.0質量%以上99.89質量%以下である。
<14> 感光性層の厚さが、20μm以下である<8>〜<13>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
<15> 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
タッチパネル用基板のタッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する処理液を接触させる工程と、
タッチパネル用基板の、処理液を接触させたタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
感光性層をパターン露光する工程と、
パターン露光された感光性層を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程と、
を含む<1>に記載のタッチパネルの製造方法。
<16> 処理液は、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、及びベンゾイミダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する<15>に記載のタッチパネルの製造方法。
<17> 処理液中におけるイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、処理液の全質量に対して、0.1質量%以上2.0質量%以下である<15>又は<16>に記載のタッチパネルの製造方法。
<18> 水の含有率が、処理液の全質量に対して、80.0質量%以上99.9質量%以下である<15>〜<17>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
<19> 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
感光性層をパターン露光する工程と、
パターン露光された感光性層を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
開口部に露出したタッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する処理液を接触させる工程と、
保護層上と、開口部に露出し、かつ、処理液を接触させたタッチパネル用配線上と、にまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程と、
を含む<1>に記載のタッチパネルの製造方法。
<20> 処理液は、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、及びベンゾイミダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する<19>に記載のタッチパネルの製造方法。
<21> 処理液中におけるイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、処理液の全質量に対して、0.1質量%以上2.0質量%以下である<19>又は<20>に記載のタッチパネルの製造方法。
<22> 水の含有率が、処理液の全質量に対して、80.0質量%以上99.9質量%以下である<19>〜<21>のいずれか1つに記載のタッチパネルの製造方法。
本発明の一実施形態によれば、タッチパネル用配線を有する基板上に、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層と、この保護層上に設けられた着色パターンとを備えるタッチパネルであって、開口部に露出したタッチパネル用配線の変色と、開口部における着色層の現像残渣の発生と、が抑制されたタッチパネルの製造方法が提供される。
本発明のタッチパネルの製造方法の好ましい態様を説明するための概略工程図である。 保護層の開口部(所謂、ボンディングパッド部)において、タッチパネル用配線の変色及び着色層の現像残渣が発生した状態を示す模式図である。 本発明のタッチパネルの製造方法の好ましい他の態様を説明するための概略工程図である。
以下、本開示のタッチパネルの製造方法について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、各成分の濃度又は含有率は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計の濃度又は含有率を意味する。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念である。
本明細書において、「感光性層形成用組成物の固形分」とは、感光性層形成用組成物中の溶剤以外の成分を意味し、「感光性層形成用組成物の固形分量」とは、感光性層形成用組成物中の固形分の全量を意味する。その他の層形成用組成物についても、同様である。
本明細書において、「光」は、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線といった活性エネルギー線を包含する概念である。
本明細書において、「透明」とは、波長400nm〜800nmにおける最低透過率が80%以上(好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)であることを意味する。
[タッチパネルの製造方法]
本開示のタッチパネルの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)は、基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程(以下、「準備工程」ともいう。)と、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程(以下、「感光性層形成工程」ともいう。)と、感光性層をパターン露光する工程(以下、「感光性層露光工程」ともいう。)と、パターン露光された感光性層を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程(以下、「感光性層現像工程」ともいう。)と、保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程(以下、「着色層形成工程」ともいう。)と、着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程(以下、「着色パターン形成工程」ともいう。)と、を含み、着色層を設ける工程(即ち、着色層形成工程)の前に、タッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(以下、「特定アゾール化合物」ともいう。)を接触させる工程(以下、「特定アゾール化合物接触工程」ともいう。)を有する。
一般に、タッチパネルは、画像が表示される画像表示領域と、この画像表示領域の周囲に配置される画像非表示領域(枠部)と、を備えている。タッチパネルにおいて、電極(即ち、タッチパネル用電極)は、少なくともタッチパネルの画像表示領域に配置される部材であり、配線(即ち、タッチパネル用配線)は、少なくともタッチパネルの画像非表示領域(枠部)に配置される部材である。そして、本開示の製造方法における保護層の「開口部」は、タッチパネルの画像非表示領域(枠部)に位置し、開口部では、タッチパネル用配線の一部が露出している。
本開示の製造方法によれば、タッチパネル用配線を有する基板上に、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層と、この保護層上に設けられた着色パターンとを備えるタッチパネルであって、開口部に露出したタッチパネル用配線の変色と、開口部における着色層の現像残渣の発生と、が抑制されたタッチパネルを製造することができる。
本開示の製造方法がこのような効果を奏し得る理由については明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。
一般に、タッチパネルの製造方法では、基板上に配置されたタッチパネル用配線を覆うように感光性層を形成した後、感光性層をパターン露光し、現像することにより、基板上に硬化膜(即ち、保護層)を形成することが行われている。保護層には、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部(所謂、ボンディングパッド部)が形成される。タッチパネル用配線が露出していると、工程中でポストベーク等の熱処理を施した際に変色を生じ得る。
また、タッチパネルでは、画像非表示領域(枠部)に設けられたタッチパネル用配線の配線パターン等を隠すために、保護層上に黒色顔料等を含有する着色パターンが設けられることがあるが、保護層上に着色剤を含有する着色層を設け、設けた着色層をパターン露光し、現像して、保護層上に着色パターンを形成すると、保護層の開口部(ボンディングパッド部)において、着色層の現像残渣が発生し得る。
これに対し、本開示の製造方法では、保護層上に着色層を設ける前に、タッチパネル用配線に特定アゾール化合物を接触させる。タッチパネル用配線に特定アゾール化合物が接触すると、特定アゾール化合物がタッチパネル用配線に吸着すると考えられる。このようにタッチパネル用配線に特定アゾール化合物が吸着することで、タッチパネル用配線が工程中のポストベーク等の熱処理から保護され、タッチパネル用配線の変色が抑制されると考えられる。
また、本開示の製造方法では、タッチパネル用配線に吸着する特定アゾール化合物が、着色層に含まれる成分(所謂、着色層形成用組成物に含まれる、着色剤、バインダー、アルカリ可溶性樹脂、分散剤等の成分)と相互作用し難い化合物であるため、着色層の現像残渣、即ち、タッチパネル用配線に吸着した特定アゾール化合物と、着色層に含まれる成分と、が相互作用することで発生する残渣が抑制されると考えられる。
なお、着色パターンを備えるタッチパネルの保護層の開口部(ボンディングパッド部)において生じ得る、タッチパネル用配線の変色及び着色層の現像残渣の問題について着目した報告は、これまでなされていない。
特許第3677191号公報、特開2005−208329号公報、及び特開2014−211478号公報に記載の現像液には、イミダゾール等のアゾール化合物が含まれているが、これらの現像液は、タッチパネルの画像非表示領域(枠部)に設けられたタッチパネル用配線の配線パターン等を隠すために、保護層上に黒色顔料等を含有する着色パターンを設けるタッチパネルにおいて、使用することまでは想定していないものと思われる。
また、特開2015−46575号公報には、5−アミノテトラゾール等のアゾール化合物を含有するレジスト剥離液が記載されているが、このような組成を有するレジスト剥離液を使用して作製されたタッチパネル用基板を、タッチパネルの画像非表示領域(枠部)に設けられたタッチパネル用配線の配線パターン等を隠すために、保護層上に黒色顔料等を含有する着色パターンを設けるタッチパネルの部材として使用することまでは想定していないものと思われる。
なお、上記の推測は、本発明の効果を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
本発明の製造方法の好ましい態様としては、例えば、以下に示す「第1の態様」、「第2の態様」、「第3の態様」、及び「第4の態様」が挙げられる。これらの態様について、順に説明する。
[第1の態様]
本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法は、基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程(即ち、準備工程)と、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程(即ち、感光性層形成工程)と、感光性層をパターン露光する工程(即ち、感光性層露光工程)と、パターン露光された感光性層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程(以下、「感光性層現像工程A」ともいう。)と、保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程(即ち、着色層形成工程)と、着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程(即ち、着色パターン形成工程)と、を含む。
本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法では、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に設けられた感光性層のパターン露光後の現像に、特定アゾール化合物を含有する現像液を用いる。現像液によって感光性層が溶解されることにより露出した配線に現像液が接した際に、現像液中に含有される特定アゾール化合物がタッチパネル配線に吸着すると考えられる。このように特定アゾール化合物がタッチパネル用配線に吸着することで、タッチパネル用配線が工程中のポストベーク等の熱処理から保護され、タッチパネル用配線の変色が抑制されると考えられる。
また、本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法では、タッチパネル用配線に吸着する特定アゾール化合物が、着色層に含まれる成分(所謂、着色層形成用組成物に含まれる、着色剤、バインダー、アルカリ可溶性樹脂、分散剤等の成分)と相互作用し難い化合物であるため、着色層の現像残渣、即ち、タッチパネル用配線に吸着した特定アゾール化合物と、着色層に含まれる成分と、が相互作用することで発生する残渣が抑制されると考えられる。
以下、本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法の概要について、図面を参照しながら説明する。なお、図1及び図2において、同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。
図1は、本発明のタッチパネルの製造方法の好ましい態様を説明するための概略工程図である。
本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法では、まず、基板10上に、タッチパネル用電極のパターンである透明電極パターン20及びタッチパネル用配線30が配置された構造を有するタッチパネル用基板1を準備する(図1の(A))。次いで、タッチパネル用基板1のタッチパネル用配線30が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層40を設ける(図1の(B))。次いで、タッチパネル用基板1のタッチパネル用配線30が配置された側の面上に設けられた感光性層40に対して、マスクMを介して光線Pを照射するパターン露光を施す(図1の(C))。次いで、パターン露光された感光性層40を、特定アゾール化合物を含有する現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線30の一部を露出させる開口部Oを有する保護層40Aを形成する(図1の(D))。次いで、保護層40A上と開口部Oに露出したタッチパネル用配線30上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層50を設ける(図1の(E))。次いで、着色層50に対して、マスクMを介して光線Pを照射するパターン露光を施した後、パターン露光された着色層50を現像する(図1の(F))ことにより、保護層40A上に着色パターン51を形成し、かつ、保護層40Aの開口部Oにタッチパネル用配線30を露出させる(図1の(G))。なお、図1の(G)は、タッチパネルの枠部の断面を示している。
本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法では、タッチパネル用基板1のタッチパネル用配線30が配置された側の面上に設けられた感光性層40を、特定アゾール化合物を含有する現像液を用いて現像するため、感光性層40を現像した際に、現像液に含まれる特定アゾール化合物をタッチパネル用配線30に効果的に接触させることができる。その結果、タッチパネル用配線30は、特定アゾール化合物により良好に保護されるため、ポストベーク等の熱処理による変色が抑制される。タッチパネル用配線30に吸着した特定アゾール化合物は、着色層50に含まれる成分と相互作用し難いため、着色層50をパターン露光及び現像した際に、着色層50の非露光部に含まれる成分がタッチパネル用配線30に吸着した特定アゾール化合物と接触しても、着色層の現像残渣が発生し難い。
一方、保護層40Aの開口部Oに露出したタッチパネル用配線30上に着色層50を設ける前に、タッチパネル用配線30に特定アゾール化合物を接触させない場合には、図2に示すように、タッチパネル用配線30に現像残渣R及び変色領域Tが発生し得る。
以下、本発明の第1の態様に係る製造方法における各工程について詳細に説明する。なお、各工程において設けられる層を形成するための材料等については後述する。
〔準備工程〕
準備工程は、便宜上の工程であり、基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程である。
準備工程は、予め製造されたタッチパネル用基板を単に準備するだけの工程であってもよいし、タッチパネル用基板を製造する工程であってもよい。
基板としては、ガラス基板又は樹脂基板が好ましい。
また、基板は、透明な基板であることが好ましく、透明な樹脂基板であることがより好ましい。透明の意味については、既述のとおりである。
基板の屈折率は、1.50以上1.52以下が好ましい。
ガラス基板としては、例えば、コーニング社のゴリラガラス(登録商標)等の強化ガラスを用いることができる。
樹脂基板としては、光学的に歪みがないもの及び透明度が高いものの少なくとも一方を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリイミド(PI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の樹脂からなる基板が挙げられる。
透明な基板の材質としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報、及び特開2010−257492号公報に記載されている材質が好ましく用いられる。
タッチパネル用配線としては、例えば、タッチパネルの枠部に配置される引き回し配線(取り出し配線)が挙げられる。
タッチパネル用配線の材質としては、金属が好ましい。タッチパネル用配線の材質である金属としては、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガン、並びに、これらの金属元素の2種以上からなる合金が挙げられる。これらの中でも、タッチパネル用配線の材質である金属としては、銅、モリブデン、アルミニウム、又はチタンが好ましく、電気抵抗が低い点で、銅がより好ましい。
銅は変色しやすいが、本開示の製造方法によれば、タッチパネル用配線として銅を用いた場合であっても、銅の変色が抑制される。
タッチパネル用電極としては、例えば、タッチパネルの少なくとも画像表示領域に配置される透明電極パターンが挙げられる。
透明電極パターンの材質としては、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の金属酸化膜が好ましい。
また、タッチパネル用電極の材料としては、パターン形状を工夫することにより、金属を用いることもできる。金属としては、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガン、並びに、これらの金属元素の2種以上からなる合金が挙げられる。タッチパネル用電極の材質である金属としては、電気抵抗が低い点で、銅及び銅合金が好ましい。
〔感光性層形成工程〕
感光性層形成工程は、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程である。
なお、感光性層に含有される成分(ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合開始剤等)、並びに感光性層に含有され得る成分の好ましい態様は、後述する感光性層形成用組成物に示すとおりである。
タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける方法は、後述の感光性層形成用組成物を用いる方法であってもよいし、後述の感光性層を有する転写フィルム(以下、「感光性層形成用転写フィルム」ともいう。)を用いる方法であってもよい。
タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、感光性層を設ける好ましい方法としては、感光性層形成用転写フィルムを用いる方法である。
まず、感光性層形成工程において、感光性層形成用転写フィルムを用いる態様について説明する。
この態様では、感光性層形成用転写フィルムを、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上にラミネートし、感光性層形成用転写フィルムの感光性層を上記の面上に転写することにより、上記の面上に感光性層を形成する。
ラミネートは、真空ラミネーター、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを用いて行うことができる。
ラミネートの条件としては、一般的な条件を適用することができる。
ラミネート温度としては、80℃以上150℃以下が好ましく、90℃以上150℃以下がより好ましく、100℃以上150℃以下が特に好ましい。
例えば、ゴムローラーを備えたラミネーターを用いる場合、ラミネート温度は、ゴムローラーの温度を指す。
ラミネート時のタッチパネル用基板の温度は、特に制限されない。ラミネート時のタッチパネル用基板の温度としては、例えば、10℃以上150℃以下が挙げられ、20℃以上150℃以下が好ましく、30℃以上150℃以下がより好ましい。
基板が樹脂基板である場合には、ラミネート時のタッチパネル用基板の温度としては、10℃以上80℃以下が好ましく、20℃以上60℃以下がより好ましく、30℃以上50℃以下が特に好ましい。
ラミネート時の線圧としては、0.5N/cm以上20N/cm以下が好ましく、1N/cm以上10N/cm以下がより好ましく、1N/cm以上5N/cm以下が特に好ましい。
ラミネート時の搬送速度(所謂、ラミネート速度)としては、0.5m/分以上5m/分以下が好ましく、1.5m/分以上3m/分以下がより好ましい。
感光性層形成用転写フィルムとして、例えば、保護フィルム/感光性層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体の積層構造を有する転写フィルムを用いる場合には、まず、感光性層形成用転写フィルムから保護フィルムを剥離して感光性層を露出させる。次いで、露出した感光性層と、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面と、が接するように、感光性層形成用転写フィルムとタッチパネル用基板とを貼り合わせ、次いで、加熱及び加圧を施す。このような操作により、感光性層形成用転写フィルムの感光性層が、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に転写され、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性層/タッチパネル用配線/基板の積層構造を有する積層体が形成される。この積層構造のうち、「タッチパネル用配線/基板」の部分が、タッチパネル用基板である。
その後、必要に応じて、上記の積層体から仮支持体を剥離する。但し、仮支持体を残したまま、後述のパターン露光を行うこともできる。
タッチパネル用基板上に、感光性層形成用転写フィルムの感光性層を転写し、パターン露光し、現像する方法の例としては、特開2006−23696号公報の段落[0035]〜[0051]の記載を参照することもできる。
次に、感光性層形成工程において、後述の感光性層形成用転写フィルムを用いずに、後述の感光性層形成用組成物を用いる態様について説明する。
この態様の好適な例としては、溶剤を含有する態様の後述の感光性層形成用組成物を、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に塗布し、乾燥させることにより、上記の面上に感光性層を形成する。
塗布及び乾燥の方法の具体例は、それぞれ、後述の感光性層形成用転写フィルムにおいて、仮支持体上に感光性層を形成する際の塗布及び乾燥の具体例と同様である。
乾燥後であって露光前の感光性層に対して、必要に応じて、熱処理(所謂、プリベーク)を施してもよい。
感光性層形成工程において形成される感光性層の厚さは、20μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましく、2.0μm以上15.0μm以下が更に好ましく、4.0μm以上10.0μm以下が特に好ましい。
感光性層の厚さが上記範囲内であると、感光性層又は得られる硬化膜の透過率向上、感光性層又は得られる硬化膜の黄着色化抑制等の面で有利である。
〔感光性層露光工程〕
感光性層露光工程は、感光性層をパターン露光する工程である。
本明細書において、「パターン露光」とは、パターン状に露光する態様、即ち、露光部と非露光部とが存在する態様の露光を指す。
タッチパネル用基板上の感光性層のうち、パターン露光における露光部が硬化され、最終的に硬化膜(即ち、保護層)となる。
一方、タッチパネル用基板上の感光性層のうち、パターン露光における非露光部は硬化せず、次の現像工程において、現像液によって除去(溶解)される。非露光部は、現像工程後、硬化膜(即ち、保護層)の開口部を形成し得る。
パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
パターン露光の光源としては、感光性層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm又は405nm)を照射できるものであれば、適宜選定して用いることができる。
光源としては、各種レーザー、LED、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量は、例えば、5mJ/cm以上200mJ/cm以下であり、好ましくは10mJ/cm以上200mJ/cm以下である。
転写フィルムを用いて基板上に感光性層を形成した場合には、パターン露光は、仮支持体を剥離してから行ってもよいし、仮支持体を剥離する前に露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。
露光工程では、パターン露光後であって現像前に、感光性層に対して、熱処理(所謂、PEB(Post Exposure Bake))を施してもよい。
〔感光性層現像工程A〕
感光性層現像工程Aは、パターン露光された感光性層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する現像液を用いて現像することにより(即ち、パターン露光における非露光部を上記の現像液に溶解させることにより)、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程である。
なお、本明細書において、「イミダゾール化合物」とは、イミダゾール構造を有する化合物を意味し、「トリアゾール化合物」とは、トリアゾール構造を有する化合物を意味し、「テトラゾール化合物」とは、テトラゾール構造を有する化合物を意味し、「チアゾール化合物」とは、チアゾール構造を有する化合物を意味し、「チアジアゾール化合物」とは、チアジアゾール構造を有する化合物を意味する。
本発明の第1の態様では、感光性層現像工程Aにおいて、パターン露光された感光性層を、特定アゾール化合物を含有する現像液を用いて現像することにより、保護層の開口部(即ち、ボンディングパッド部)における、タッチパネル用配線の変色抑制と、着色層の現像残渣の発生抑制と、を両立することができる。
特定アゾール化合物としては、特に制限されない。
例えば、着色層の現像残渣の発生をより抑制する観点からは、特定アゾール化合物の共役酸のpKaは、4.00以下が好ましく、2.00以下がより好ましい。
特定アゾール化合物の共役酸のpKaが4.00以下であると、酸基を有する上記の成分と、特定アゾール化合物と、の酸−塩基相互作用が抑制されるため、着色層の現像残渣の発生が抑制できると推測される。
特定アゾール化合物の共役酸のpKaの下限は、特に制限されず、例えば、現像性の観点から、pKaは−10.00以上が好ましく、−5.00以上がより好ましい。
なお、本明細書における共役酸のpKaは、ACD/ChemSketch(ACD/Labs 8.00 Release Product Version:8.08)により求めた計算値である。
特定アゾール化合物の分子量は、特に制限されず、例えば、1000以下が好ましい。
下記の表1及び表2に、特定アゾール化合物の具体例を示す。但し、本開示における特定アゾール化合物は、これらに限定されるものではない。
表1及び表2には、化合物名の他、分類、構造式、共役酸のpKa、及び市販品の例を示す。


その他、特定アゾール化合物の具体例としては、イミダゾール化合物である、1−メチルイミダゾール(pKa:7.01)、4−メチルイミダゾール(pKa:7.68)、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール(pKa:3.14)、2−フェニルイミダゾール(pKa:6.84)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(pKa:8.42)、イミダゾール(pKa:7.18)、5,6−ジメチルベンゾイミダゾール(pKa:6.16)、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾイミダゾール(pKa:2.63)、2−フェニルイミダゾール(pKa:6.84)、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール(pKa:2.46)、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール(pKa:2.24)、2−メルカプト−5−ベンゾイミダゾールカルボン酸(pKa:1.31)、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール(pKa:3.88)、2−アミノ−1−メチルベンゾイミダゾール(pKa:7.66)、2−アミノベンゾイミダゾール(pKa:7.55)、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール(pKa:9.08)、6−アミノベンゾイミダゾール(pKa:6.37)、5−アミノベンゾイミダゾール(pKa:6.37)等が挙げられる。なお、上記の具体例では、特定アゾール化合物の共役酸のpKaの値を括弧内に併記した。なお、括弧内では、「共役酸のpKa」を単に「pKa」と表記した。
これらの中でも、特定アゾール化合物としては、タッチパネル用配線の変色及び着色層の現像残渣の発生をより抑制する観点から、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が好ましく、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、及び5−アミノ−1H−テトラゾールから選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物がより好ましく、1,2,3−ベンゾトリアゾール及び5−アミノ−1H−テトラゾールから選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が更に好ましい。
現像液は、特定アゾール化合物を、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
現像液中における特定アゾール化合物の含有率は、現像液の全質量に対して、0.005質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0.008質量%以上2.2質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下が更に好ましい。
現像液中における特定アゾール化合物の含有率が、現像液の全質量に対して、上記の範囲内であると、保護層の開口部(即ち、ボンディングパッド部)における、タッチパネル用配線の変色抑制と、着色層の現像残渣の発生抑制と、を良好なバランスで両立することができる。
現像液は、水を含有することが好ましい。
現像液中の水の含有率は、特に制限されず、例えば、現像液の全質量に対して、90.0質量%以上99.9質量%以下が好ましく、95.0質量%以上99.9質量%以下がより好ましく、98.0質量%以上99.9質量%以下が更に好ましい。
現像液は、アルカリ性化合物を含有することが好ましい。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン(2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)等が挙げられる。
現像液中におけるアルカリ性化合物の含有率は、現像液の全質量に対して、0.05質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。
現像液の25℃におけるpHとしては、8〜13が好ましく、9〜12がより好ましく、10〜12が特に好ましい。
現像液は、水に対して混和性を有する有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
現像液が有機溶剤を含有する場合、現像液における有機溶剤の濃度は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。
現像液は、公知の界面活性剤を含有してもよい。
現像液が界面活性剤を含有する場合、現像液における界面活性剤の濃度は、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等の方式が挙げられる。
シャワー現像を行う場合、パターン露光後の感光性層に現像液をシャワー状に吹き付けることにより、感光性層の非露光部を除去する。感光性層形成用転写フィルムとして、感光性層と熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方とを備える転写フィルムを用いた場合には、これらの層の基板上への転写後であって感光性層の現像の前に、感光性層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワー状に吹き付け、熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方(両方存在する場合には両方)を予め除去してもよい。
また、現像の後に、洗浄液等をシャワーにより吹き付けつつ、ブラシ等で擦ることにより、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は、20℃〜40℃が好ましい。
感光性層現像工程Aは、上記の現像を行う段階と、上記の現像によって得られた硬化膜を加熱処理(以下、「ポストベーク」ともいう。)する段階と、を含んでいてもよい。
基板が樹脂基板である場合には、ポストベークの温度は、100℃以上160℃以下が好ましく、130℃以上160℃以下がより好ましい。
このポストベークにより、透明電極パターンの抵抗値を調整することもできる。
また、感光性層現像工程Aは、上記の現像を行う段階と、上記の現像によって得られた硬化膜を露光(以下、「ポスト露光」ともいう)する段階と、を含んでいてもよい。
感光性層現像工程Aがポスト露光する段階及びポストベークする段階を含む場合には、ポスト露光の後に、ポストベークを行うことが好ましい。
パターン露光、現像(但し、現像液が特定アゾール化合物を含有すること以外)等については、例えば、特開2006−23696号公報の段落[0035]〜[0051]の記載を参照することもできる。
〔着色層形成工程〕
着色層形成工程は、保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程である。
なお、着色層に含有される成分の好ましい態様は、後述する着色層形成用組成物に示すとおりである。
保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる着色層を設ける方法は、後述の着色層を有する転写フィルム(以下、「着色層形成用転写フィルム」ともいう。)を用いる方法であってもよいし、後述の着色層形成用組成物を用いる方法であってもよい。
まず、着色層形成工程において、後述の着色層形成用転写フィルムを用いる態様について説明する。
この態様では、着色層形成用転写フィルムを、少なくとも、保護層及び開口部に露出したタッチパネル用配線の面上にラミネートし、着色層形成用転写フィルムの着色層を上記の面上に転写することにより、上記の面上に着色層を形成する。
ラミネートは、真空ラミネーター、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを用いて行うことができる。
ラミネートの条件としては、一般的な条件を適用することができる。
ラミネート温度としては、80℃以上150℃以下が好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましく、110℃以上150℃以下が特に好ましい。
ラミネート時の線圧としては、50N/cm以上200N/cm以下が好ましく、75N/cm以上125N/cm以下がより好ましい。
ラミネート時の搬送速度(所謂、ラミネート速度)としては、0.5m/分以上5m/分以下が好ましく、1.5m/分以上3m/分以下がより好ましい。
着色層形成用転写フィルムとして、例えば、保護フィルム/着色層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体の積層構造を有する転写フィルムを用いる場合には、まず、着色層形成用転写フィルムから保護フィルムを剥離して着色層を露出させる。次いで、露出した着色層と、保護層及び開口部に露出したタッチパネル用配線の面と、が接するように、着色層形成用転写フィルムを上記の面に貼り付け、次いで、加熱及び加圧を施す。
このような操作により、着色層形成用転写フィルムの着色層が、保護層及び開口部に露出したタッチパネル用配線の面上に転写された積層体が形成される。
その後、必要に応じて、上記の積層体から仮支持体を剥離する。但し、仮支持体を残したまま、後述のパターン露光を行うこともできる。
次に、着色層形成工程において、後述の着色層形成用転写フィルムを用いずに、後述の着色層形成用組成物を用いる態様について説明する。
この態様の好適な例としては、溶剤を含有する態様の後述の着色層形成用組成物を、保護層及び開口部に露出したタッチパネル用配線の面上に塗布し、乾燥させることにより、上記の面上に着色層を形成する。
塗布及び乾燥の方法の具体例は、それぞれ、後述の感光性層形成用転写フィルムにおいて、仮支持体上に感光性層を形成する際の塗布及び乾燥の具体例と同様である。
乾燥後であって露光前の着色層に対して、必要に応じて、熱処理(所謂、プリベーク)を施してもよい。
〔着色パターン形成工程〕
着色パターン形成工程は、着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程である。
着色パターン形成工程では、既述の着色層形成工程にて形成された着色層のうち、パターン露光における露光部が硬化される。
既述の着色層形成工程にて形成された着色層のうち、パターン露光における非露光部は硬化せず、現像液によって除去(溶解)され、タッチパネル用配線が露出した開口部が形成される。
着色パターン形成工程では、着色層のパターン露光及び現像により、保護層上に着色パターンが形成され、かつ、開口部においてタッチパネル用配線が露出する。
着色パターンとしては、例えば、タッチパネルにおける配線パターンを隠すための着色パターンが挙げられる。
パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
パターン露光の光源としては、着色層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm又は405nm)を照射できるものであれば、適宜選定して用いることができる。
光源としては、各種レーザー、LED、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量は、例えば、5mJ/cm以上200mJ/cm以下であり、好ましくは10mJ/cm以上150mJ/cm以下である。
転写フィルムを用いて着色層を形成した場合には、パターン露光は、仮支持体を剥離してから行ってもよいし、仮支持体を剥離する前に露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。
露光工程では、パターン露光後であって現像前に、着色層に対して、熱処理(所謂、PEB(Post Exposure Bake))を施してもよい。
現像に用いる現像液は、特に制限されず、特開平5−72724号公報に記載の現像液等、公知の現像液を用いることができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ性水溶液に含有され得るアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン(2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)等が挙げられる。
アルカリ性水溶液の25℃におけるpHとしては、8〜13が好ましく、9〜12がより好ましく、10〜12が特に好ましい。
アルカリ性水溶液中におけるアルカリ性化合物の含有率は、アルカリ性水溶液の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。
現像液は、水に対して混和性を有する有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
現像液が有機溶剤を含有する場合、現像液における有機溶剤の濃度は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。
現像液は、公知の界面活性剤を含有してもよい。
現像液が界面活性剤を含有する場合、現像液における界面活性剤の濃度は、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
現像液の液温度は、20℃〜40℃が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等の方式が挙げられる。
シャワー現像を行う場合、パターン露光後の着色層に現像液をシャワー状に吹き付けることにより、着色層の非露光部を除去する。着色層形成用転写フィルムとして、着色層と熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方とを備える転写フィルムを用いた場合には、これらの層の基板上への転写後であって着色層の現像の前に、着色層の溶解性が低いアルカリ性の液(例えば、トリエタノールアミン系現像液)をシャワー状に吹き付け、熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方(両方存在する場合には両方)を予め除去してもよい。
また、現像の後に、洗浄液等をシャワーにより吹き付けつつ、ブラシ等で擦ることにより、現像残渣を除去することが好ましい。
〔その他の工程〕
本開示の製造方法は、既述の工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。
その他の工程としては、通常のフォトリソ工程に設けられることがある工程(例えば、洗浄工程)が挙げられる。
<感光性層形成用組成物>
本開示の製造方法において、感光性層の形成に用いられる感光性層形成用組成物は、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する。
感光性層形成用組成物を用いて形成された感光性層は、感光性層形成用組成物の固形分を含有することになる。
以下、感光性層形成用組成物の成分について、詳細に説明する。
(ラジカル重合性モノマー)
感光性層形成用組成物は、ラジカル重合性モノマーを含有する。
感光性層形成用組成物において、ラジカル重合性モノマーは、硬化膜の強度向上に寄与する。
ラジカル重合性モノマーは、2官能以上のラジカル重合性モノマーを含むことが好ましい。
ここで、ラジカル重合性モノマーとは、分子中にラジカル重合性基を有するモノマーを意味し、2官能以上のラジカル重合性モノマーとは、一分子中にラジカル重合性基を2つ以上有するモノマーを意味する。
ラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和基(即ち、エチレン性二重結合を有する基)が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレートが好ましい。
感光性層形成用組成物は、例えば、硬化膜の塩水湿熱耐性を向上する観点から、2官能のラジカル重合性モノマー(好ましくは、2官能の(メタ)アクリレート)と、3官能以上のラジカル重合性モノマー(好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレート)と、を含有することが特に好ましい。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択することができる。
2官能のラジカル重合性モノマーとしては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメナノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記の2官能のラジカル重合性モノマーの市販品の例としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:A−DCP、新中村化学工業(株))、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(商品名:DCP、新中村化学工業(株))、1,9−ノナンジオールジアクリレート(商品名:A−NOD−N、新中村化学工業(株))、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:A−HD−N、新中村化学工業(株))、ポリプロピレングリコールジアクリレート(商品名:アロニックス(登録商標) M−270、東亜合成(株))等が挙げられる。
3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択することができる。
3官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
上記の3官能以上のラジカル重合性モノマーの市販品の例としては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(商品名:AD−TMP、4官能モノマー、新中村化学工業(株))等が挙げられる。
また、ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物、エトキシル化グリセリントリアクリレート等も挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物の市販品の例としては、KAYARAD(登録商標) DPCA-20(商品名、日本化薬(株))、A−9300−1CL(商品名、新中村化学工業(株))等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物の市販品の例としては、KAYARAD(登録商標) RP−1040(商品名、日本化薬(株))、ATM−35E(商品名、新中村化学工業(株))、A−9300(商品名、新中村化学工業(株))、EBECRYL(登録商標) 135(商品名、ダイセル・オルネクス社)等が挙げられる。
エトキシル化グリセリントリアクリレートの市販品の例としては、A−GLY−9E(商品名、新中村化学工業(株))等が挙げられる。
また、ラジカル重合性モノマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート(好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート)も挙げられる。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの市販品の例としては、8UX−015A(商品名、15官能モノマー、大成ファインケミカル(株))、UA−32P(商品名、新中村化学工業(株))、UA−1100H(商品名、新中村化学工業(株))等が挙げられる。
また、ラジカル重合性モノマーは、アルカリ可溶性向上(即ち、現像性向上)及び硬化膜の塩水湿熱耐性向上の観点から、酸基を有する重合性モノマーを含むことが好ましい。
酸基としては、リン酸基、スルホン酸基、カルボキシ基等が挙げられる。これらの中でも、酸基としては、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するラジカル重合性モノマーとしては、酸基を有する3〜4官能のラジカル重合性モノマー(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート[PETA]骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:80mgKOH/g〜120mgKOH/g))、酸基を有する5〜6官能のラジカル重合性モノマー(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート[DPHA]骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:25mgKOH/g〜70mgKOH/g))等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のラジカル重合性モノマーは、必要に応じて、酸基を有する2官能のラジカル重合性モノマーと併用してもよい。
本明細書において、酸価は、JIS K0070(1992年)に記載の方法に従って、測定された値を意味する。
酸基を有するラジカル重合性モノマーとしては、硬化膜の塩水湿熱耐性がより向上する観点から、カルボキシ基を有する2官能以上のラジカル重合性モノマー及びそのカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カルボキシ基を有する2官能以上のラジカル重合性モノマーとしては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択することができる。
カルボキシル基を有する2官能以上のラジカル重合性モノマーの市販品としては、アロニックス(登録商標) TO−2349(商品名、東亞合成(株))、アロニックス(登録商標) M−520(商品名、東亞合成(株))、又はアロニックス(登録商標) M−510(商品名、東亞合成(株))を好適に用いることができる。
酸基を有するラジカル重合性モノマーとしては、特開2004−239942号公報の段落[0025]〜[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物も好適に用いることができる。この公報の内容は、本明細書に組み込まれる。
感光性層形成用組成物に含有されるラジカル重合性モノマーの重量平均分子量(Mw)としては、200以上3000以下が好ましく、250以上2600以下がより好ましく、280以上2200以下が更に好ましい。
感光性層形成用組成物に含有される全てのラジカル重合性モノマーのうち、分子量が最小のラジカル重合性モノマーの分子量は、250以上が好ましく、280以上がより好ましく、300以上が更に好ましい。
感光性層形成用組成物に含有される全てのラジカル重合性モノマーのうち、分子量が300以下のラジカル重合性モノマーの含有率は、感光性層形成用組成物に含有される全てのラジカル重合性モノマーに対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により、下記の条件にて測定する。
重量平均分子量(Mw)の測定において、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、及び「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
−条件−
・GPC:HLC(登録商標)−8020GPC(東ソー(株)製)
・カラム:TSKgel(登録商標)、Super MultiporeHZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本
・溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
・試料濃度:0.45質量%
・流速:0.35mL/min
・サンプル注入量:10μL
・測定温度:40℃
・検出器:示差屈折計(RI)
感光性層形成用組成物は、ラジカル重合性モノマーを、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
感光性層形成用組成物中におけるラジカル重合性モノマーの含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、1質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上70質量%以下がより好ましく、20質量%以上60質量%以下が更に好ましく、20質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
感光性層形成用組成物が2官能のラジカル重合性モノマーと3官能以上のラジカル重合性モノマーとを含有する場合、感光性層形成用組成物中における2官能のラジカル重合性モノマーの含有率は、感光性層形成用組成物に含有される全てのラジカル重合性モノマーに対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上85質量%以下がより好ましく、30質量%以上80質量%以下が更に好ましい。
また、この場合、感光性層形成用組成物中における3官能以上のラジカル重合性モノマーの含有率は、感光性層形成用組成物に含有される全てのラジカル重合性モノマーに対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、15質量%以上80質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下が更に好ましい。
また、この場合、感光性層形成用組成物中における2官能以上のラジカル重合性モノマーの含有率は、2官能のラジカル重合性モノマーと3官能以上のラジカル重合性モノマーとの総含有量に対して、40質量%以上100質量%未満が好ましく、40質量%以上90質量%以下がより好ましく、50質量%以上80質量%以下が更に好ましく、50質量%以上70質量%以下が特に好ましい。
また、感光性層形成用組成物が2官能以上のラジカル重合性モノマーを含有する場合、この感光性層形成用組成物は、更に単官能のラジカル重合性モノマーを含有してもよい。
但し、感光性層形成用組成物が2官能以上のラジカル重合性モノマーを含有する場合、感光性層形成用組成物に含有されるラジカル重合性モノマーにおいて、2官能以上のラジカル重合性モノマーが主成分であることが好ましい。
具体的には、感光性層形成用組成物が2官能以上のラジカル重合性モノマーを含有する場合、2官能以上のラジカル重合性モノマーの含有率は、感光性層形成用組成物に含有されるラジカル重合性モノマーの総含有量に対して、60質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
また、感光性層形成用組成物が、酸基を有するラジカル重合性モノマー(好ましくは、カルボキシル基を有する2官能以上のラジカル重合性モノマー又はそのカルボン酸無水物)を含有する場合、酸基を有するラジカル重合性モノマーの含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
(ラジカル重合開始剤)
感光性層形成用組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず、公知のラジカル重合開始剤を用いることができ、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有するラジカル重合開始剤(以下、「オキシム系重合開始剤」ともいう。)、α−アミノアルキルフェノン構造を有するラジカル重合開始剤(以下、「α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、α−ヒドロキシアルキルフェノン構造を有するラジカル重合開始剤(以下、「α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有するラジカル重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤」ともいう。)、N−フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N−フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、オキシム系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011−95716号公報の段落[0031]〜[0042]、及び特開2015−014783号公報の段落[0064]〜[0081]に記載された重合開始剤を用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、市販品を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の市販品の例としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:IRGACURE(登録商標) OXE−01、BASF社)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE−02、BASF社)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:IRGACURE(登録商標) 379EG、BASF社)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE(登録商標) 907、BASF社)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE(登録商標) 127、BASF社)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名:IRGACURE(登録商標) 369、BASF社)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:IRGACURE(登録商標) 1173、BASF社)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名:IRGACURE(登録商標) 184、BASF社)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:IRGACURE(登録商標) 651、BASF社)、オキシムエステル系の(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン(株))等が挙げられる。
感光性層形成用組成物は、ラジカル重合開始剤を、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
感光性層形成用組成物中におけるラジカル重合開始剤の含有率は、特に制限されない。
例えば、感光性層形成用組成物中におけるラジカル重合開始剤の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。
また、感光性層形成用組成物中におけるラジカル重合開始剤の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
(特定アゾール化合物)
感光性層形成用組成物は、更に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有することが好ましい。
特定アゾール化合物を含有する感光性層形成用組成物を用いて、感光性層を形成することにより、ボンディングパッド部における、タッチパネル用配線の変色と着色層の現像残渣の発生とがより抑制される。
感光性層形成用組成物に含有される特定アゾール化合物(即ち、感光性層に含有される特定アゾール化合物)は、感光性層現像工程Aにおける現像液に含有される特定アゾール化合物と同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
感光性層形成用組成物が特定アゾールを含有する場合、感光性層形成用組成物中における特定アゾール化合物の含有率は、特に制限されず、感光性層現像工程Aにおける現像液に含有される特定アゾール化合物の含有率を考慮して、適宜設定することができる。
例えば、感光性層形成用組成物中における特定アゾール化合物の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、0.1質量%以上10.0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上3.0質量%以下が更に好ましい。
感光性層形成用組成物中における特定アゾール化合物の含有率が、感光性層形成用組成物の固形分量に対して0.1質量%以上であると、タッチパネル用配線の変色がより抑制される傾向にある。
感光性層形成用組成物中における特定アゾール化合物の含有率が、感光性層形成用組成物の固形分量に対して10質量%以下であると、着色層の現像残渣の発生がより抑制される傾向にある。
その他、感光性層形成用組成物における特定アゾール化合物の好ましい態様は、感光性層現像工程Aにおける現像液における特定アゾール化合物の好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(バインダー)
感光性層形成用組成物は、バインダーを含有していてもよい。
バインダーの種類は、特に制限されず、(メタ)アクリル樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂等の重合体を挙げることができる。
バインダーとして、2種類以上の重合体を併用することもできる。
バインダーである重合体は、現像性の観点から、酸基を含むことが好ましい。
酸基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基等を挙げることができる。これらの中でも、酸基としては、カルボキシ基が好ましい。
重合体は、カルボキシ基を有する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位)を含むことが好ましい。重合体がカルボキシ基を有する構成単位を含む場合、重合体中におけるカルボキシ基を有する構成単位の割合は、1モル%以上50モル%以下が好ましく、5モル%以上35モル%以下がより好ましい。
重合体としては、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
ここで、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含む樹脂を指す。
(メタ)アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計割合は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を含むことが好ましい。(メタ)アクリル樹脂が(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の割合は、1モル%以上50モル%以下が好ましく、5モル%以上35モル%以下がより好ましい。
重合体(好ましくは(メタ)アクリル樹脂。以下同じ。)の重量平均分子量(Mw)は、5000以上100000以下が好ましく、10000以上50000以下がより好ましい。
重合体の酸価は、60mgKOH/g以上が好ましい。
重合体としては、特開2011−95716号公報の段落[0025]、及び特開2010−237589号公報の段落[0033]〜[0052]に記載のポリマーのうち、酸価が60mgKOH/g以上であるカルボキシ基含有アクリル樹脂を用いることが好ましい。
重合体の酸価は、60mgKOH/g以上200mgKOH/g以下が好ましく、60mgKOH/g以上150mgKOH/g以下がより好ましく、60mgKOH/g以上110mgKOH/g以下が更に好ましい。
感光性層形成用組成物中におけるバインダーの含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、10質量%以上95質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下が特に好ましい。
感光性層形成用組成物において、バインダーである重合体の全量に対するラジカル重合性モノマーの全量の質量比〔ラジカル重合性モノマーの全量/重合体の全量〕は、膜の硬度及び被着体(基板、仮支持体等)との密着性の観点から、0.20〜0.90が好ましく、0.30〜0.80がより好ましく、0.40〜0.80が特に好ましい。
感光性層形成用組成物において、バインダーである重合体の全量とラジカル重合性モノマーの全量との合計量は、現像性及び被着体(基板、仮支持体等)との密着性の観点から、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
(熱架橋性化合物)
感光性層形成用組成物は、熱架橋性化合物を含有していてもよい。
感光性層形成用組成物が熱架橋性化合物を含有する場合には、感光性層は、感光性(即ち、光硬化性)だけでなく、更に、熱硬化性をも有する。
感光性層が光硬化性及び熱硬化性の両方を有する場合には、光硬化により強度に優れた硬化膜を形成でき、硬化膜形成後の熱硬化により、硬化膜の強度を更に向上させることができる。
熱架橋性化合物としては、一分子中に2つ以上の熱反応性基を有する化合物が好ましい。一分子中に2つ以上の熱反応性基を有する化合物は、熱により反応して架橋構造を形成する。
熱架橋性化合物の熱反応性基としては、イソシアネート基、ケテン基、ブロック化イソシアネート基、ブロック化ケテン基、エポキシ基、及びオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
即ち、熱架橋性化合物は、イソシアネート基、ケテン基、ブロック化イソシアネート基、ブロック化ケテン基、エポキシ基、及びオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である熱反応性基を、一分子中に合計で2つ以上有することが特に好ましい。
熱架橋性化合物は、分子中に親水性基を有していてもよい。
熱架橋性化合物が分子中に親水性基を有することにより、現像性が向上する。
親水性基としては、特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、及びジエチレングリコールのうちいずれかのアルコールの水酸基に、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加した構造の基が挙げられる。
熱架橋性化合物は、熱により酸と反応する化合物であってもよい。
熱により酸と反応する化合物である熱架橋性化合物は、加熱により、系内に存在する酸基(例えば、バインダー中の酸基)と反応する。これにより、系内の極性が減少するため親水性が低下し、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の腐食を防ぐ効果が奏される。
熱により酸と反応する化合物である熱架橋性化合物としては、熱反応性基として、ブロック剤により一時的に不活性化されている基(ブロック化イソシアネート基、ブロック化ケテン基等)を有し、かつ、所定の解離温度において、ブロック剤由来の基が解離することにより酸と反応可能となる化合物であることが好ましい。
熱により酸と反応する化合物である熱架橋性化合物は、25℃における酸との反応性よりも、25℃を超えて加熱した後における酸との反応性の方が高い化合物であることが好ましい。
熱により酸と反応する化合物である熱架橋性化合物としては、ブロック化イソシアネート基を有する化合物(以下、「ブロックイソシアネート化合物」ともいう。)又はブロック化ケテン基を有する化合物(以下、「ブロックケテン化合物」ともいう。)が更に好ましく、ブロックイソシアネート化合物が特に好ましい。
このような態様であると、既述の保護層を感光性層から形成する場合において、熱架橋性化合物による配線(又は、配線及び電極)の腐食が抑制される。
−ブロックイソシアネート化合物−
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物(即ち、イソシアネート基を有する化合物)のイソシアネート基をブロック剤で保護(マスク)した構造を有する化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、分子中に親水性基を有することが好ましい。親水性基の好ましい態様は、既述のとおりである。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、100℃以上160℃以下が好ましく、130℃以上150℃以下がより好ましい。
ここで、ブロックイソシアネート化合物の解離温度とは、「示差走査熱量計(製品名:DSC6200、セイコーインスツルメンツ(株))を用いて、DSC(Differential Scanning Calorimetry)分析にて測定した場合に、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」のことをいう。
ブロックイソシアネート化合物(例えば、解離温度が100℃以上160℃以下であるブロックイソシアネート化合物)を形成するためのブロック剤としては、ピラゾール系化合物(3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール等)、活性メチレン系化合物(マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジ2−エチルヘキシル等)など)、トリアゾール系化合物(1,2,4−トリアゾール等)、オキシム系化合物(一分子中に−C(=N−OH)−で表される構造を有する化合物;ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等)などが挙げられる。
これらの中でも、ブロックイソシアネート化合物を形成するためのブロック剤としては、保存安定性の観点から、オキシム系化合物及びピラゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、オキシム系化合物がより好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、硬化膜の靭性及び基板密着力を向上する観点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化することにより合成される。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のうち、ブロック剤としてオキシム系化合物を用いたオキシム構造を有する化合物は、オキシム構造を有さない化合物と比較して、解離温度を好ましい範囲に制御しやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいため、好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、特開2006−208824号公報の段落[0074]〜[0085]に記載のブロックイソシアネート化合物を用いてもよい。この公報の内容は、本明細書に組み込まれる。
ブロックイソシアネート化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。但し、ブロックイソシアネート化合物は、以下の化合物に限定されない。なお、以下の化合物の構造中、「*」は、結合位置を示す。

ブロックイソシアネート化合物は、市販品を用いてもよい。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、イソホロンジイソシアネートのメチルエチルケトンオキシムブロック化体であるタケネート(登録商標) B870N(商品名、三井化学(株))、ヘキサメチレンジイソシアネート系ブロックイソシアネート化合物であるデュラネート(登録商標) MF−K60B、及びデュラネート(登録商標) TPA−B80E、デュラネート(登録商標) X3071.04(いずれも旭化成ケミカルズ(株))等が挙げられる。
−ブロックケテン化合物−
ブロックケテン化合物としては、ケテン化合物(即ち、ケテン基を有する化合物)のケテン基をブロック剤で保護した構造を有する化合物、光又は熱によりケテン基が発生する化合物等が挙げられる。
ブロックケテン化合物を形成するためのブロック剤の具体例は、既述のブロックイソシアネート化合物を形成するためのブロック剤の具体例と同様である。
ブロックケテン化合物としては、より具体的には、ナフトキノンジアジド構造を有する化合物、メルドラム酸構造を有する化合物等が挙げられる。
ブロックケテン化合物としては、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−α,α−ジメチルベンジル}フェノールのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステル等が挙げられる。
ブロックケテン化合物としては、市販品を用いてもよい。
ブロックケテン化合物の市販品の例としては、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−α,α−ジメチルベンジル}フェノールのナフトキノンジアジドスルホン酸エステルであるTAS−200(商品名、東洋合成(株))が挙げられる。
また、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジドスルホン酸エステルも購入可能である。
感光性層形成用組成物は、熱架橋性化合物を含有する場合、熱架橋性化合物を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
感光性層形成用組成物が熱架橋性化合物(例えば、ブロックイソシアネート化合物又はブロックケテン化合物)を含有する場合、感光性層形成用組成物中の熱架橋性化合物の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上40質量%以下が更に好ましく、10質量%以上30質量%以下が特に好ましい。
(溶剤)
感光性層形成用組成物は、塗布による感光性層の形成の観点から、溶剤を少なくとも1種含有していてもよい。
溶剤としては、通常用いられる溶剤を、特に制限なく用いることができる。
溶剤としては、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1−メトキシ−2−プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、n−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられる。溶剤としては、これらの有機溶剤の混合物である混合溶剤を用いてもよい。
溶剤としては、メチルエチルケトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤、又はジエチレングリコールエチルメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合溶剤が好ましい。
感光性層形成用組成物が溶剤を含有する場合、感光性層形成用組成物中の固形分の含有率は、感光性層形成用組成物の全量に対して、1質量%以上80質量%以下が好ましく、3質量%以上50質量%以下がより好ましく、5質量%以上40質量%以下が特に好ましい。
感光性層形成用組成物が溶剤を含有する場合、感光性層形成用組成物の粘度(25℃)は、塗布性の観点から、1mPa・s以上50mPa・s以下が好ましく、2mPa・s以上40mPa・s以下がより好ましく、3mPa・s以上30mPa・s以下が特に好ましい。
粘度は、例えば、VISCOMETER TV−22(製品名、TOKI SANGYO CO.LTD)を用いて測定する。
感光性層形成用組成物が溶剤を含有する場合、感光性層形成用組成物の表面張力(25℃)は、塗布性の観点から、5mN/m以上100mN/m以下が好ましく、10mN/m以上80mN/m以下がより好ましく、15mN/m以上40mN/m以下が特に好ましい。
表面張力は、例えば、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(製品名、協和界面科学(株))を用いて測定する。
溶剤としては、US2005/282073A1号明細書の段落[0054]及び[0055]に記載のSolventを用いることもできる。この明細書の内容は、本明細書に組み込まれる。
また、溶剤として、必要に応じて、沸点が180℃〜250℃の有機溶剤(所謂、高沸点溶剤)を用いることもできる。
(界面活性剤)
感光性層形成用組成物は、界面活性剤を少なくとも1種含有していてもよい。
界面活性剤としては、特許第4502784号公報の段落[0017]及び特開2009−237362号公報の段落[0060]〜[0071]に記載の界面活性剤、公知のフッ素系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、メガファック(登録商標) F551(DIC(株))が挙げられる。
感光性層形成用組成物が界面活性剤を含有する場合、感光性層形成用組成物中の界面活性剤の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、0.01質量%以上3質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下が更に好ましい。
(重合禁止剤)
感光性層形成用組成物は、重合禁止剤を含有していてもよい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0018]に記載された熱重合防止剤(「重合禁止剤」ともいう。)を用いることができる。
重合禁止剤としては、フェノチアジン、フェノキサジン、又は4−メトキシフェノールを好適に用いることができる。
感光性層形成用組成物は、重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤を1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
感光性層形成用組成物が重合禁止剤を含有する場合、感光性層形成用組成物中の重合禁止剤の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、0.01質量%以上3質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.8質量%以下が更に好ましい。
(その他の成分)
感光性層形成用組成物は、既述の成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、特開2000−310706号公報の段落[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
また、感光性層形成用組成物は、その他の成分として、屈折率又は光透過性を調節することを目的として、粒子(例えば、金属酸化物粒子)を少なくとも1種含有していてもよい。
金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれる。
硬化膜(即ち、保護層)の透明性の観点から、粒子の平均一次粒子径は、1nm以上200nm以下が好ましく、3nm以上80nm以下がより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
感光性層形成用組成物中における粒子の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、0質量%以上35質量%以下が好ましく、0質量%以上10質量%以下がより好ましく、0質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0質量%以上1質量%以下が更に好ましく、0質量%(即ち、感光性層形成用組成物に粒子が含まれないこと)が特に好ましい。
また、感光性層形成用組成物は、その他の成分として、微量の着色剤(顔料、染料等)を含有していてもよいが、透明性の観点から、着色剤を実質的に含有しないことが好ましい。
具体的には、感光性層形成用組成物中における着色剤の含有率は、感光性層形成用組成物の固形分量に対して、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
<感光性層形成用転写フィルム>
本開示の製造方法に用いられる感光性層形成用転写フィルムは、仮支持体と、少なくとも既述の感光性層と、を備える。
以下、感光性層形成用転写フィルムに含まれ得る各要素について説明する。
(仮支持体)
感光性層形成用転写フィルムは、仮支持体を備える。
仮支持体は、フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。
仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮、又は伸びを生じないフィルムを用いることができる。
このようなフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等のフィルムが挙げられる。
これらの中でも、仮支持体としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚さは、特に制限されず、例えば、5μm〜200μmである。
仮支持体の厚さは、例えば、取扱い易さ及び汎用性の観点から、10μm〜150μmであることが特に好ましい。
(感光性層)
感光性層形成用転写フィルムは、少なくとも感光性層を備える。
感光性層は、感光性(即ち、光硬化性)を有するが、更に、熱硬化性を有していてもよい。感光性層に熱硬化性を付与する手段としては、例えば、既述の感光性層形成用組成物に、既述の熱架橋性化合物を含有させる手段が挙げられる。
感光性層が光硬化性及び熱硬化性の両方を有する場合には、硬化膜の強度をより向上させることができる。
感光性層は、現像性の観点から、更にアルカリ可溶性(例えば、弱アルカリ水溶液に対する溶解性)を有することが好ましい。感光性層にアルカリ可溶性を付与する手段としては、例えば、既述の感光性層形成用組成物に、既述のバインダーとして、酸基を含む重合体を含有させる手段が挙げられる。
また、感光性層は、透明層であることが好ましい。
感光性層の厚さは、20μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましく、2.0μm以上15.0μm以下が更に好ましく、4.0μm以上10.0μm以下が特に好ましい。
感光性層の厚さが上記範囲内であると、転写フィルム全体の薄膜化、感光性層又は得られる硬化膜の透過率向上、感光性層又は得られる硬化膜の黄着色化抑制等の面で有利である。
感光性層の屈折率は、好ましくは1.47以上1.56以下であり、より好ましくは1.50以上1.53以下であり、更に好ましくは1.50以上1.52以下であり、特に好ましくは1.51以上1.52以下である。
本明細書において、「屈折率」は、波長550nmにおける屈折率を指す。
本明細書における「屈折率」は、特に断りが無い限り、温度23℃において波長550nmの可視光で、エリプソメトリーによって測定した値を意味する。
感光性層の形成方法は、特に制限されない。
感光性層を形成する方法の一例としては、仮支持体上に、既述の感光性層形成用組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
塗布の方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、ダイコート法(即ち、スリットコート法)等の方法が挙げられる。これらの中でも、塗布の方法としては、ダイコート法が好ましい。
乾燥の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等の公知の方法を、単独で、又は複数組み合わせて適用することができる。
(保護フィルム)
感光性層形成用転写フィルムは、更に、感光性層からみて仮支持体とは反対側に、保護フィルムを備えていてもよい。
感光性層形成用転写フィルムが、感光性層からみて仮支持体とは反対側に、後述の屈折率調整層を備える場合には、保護フィルムは、屈折率調整層からみて仮支持体とは反対側に配置されることが好ましい。
保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
保護フィルムとしては、例えば、特開2006−259138号公報の段落[0083]〜[0087]、及び[0093]に記載の保護フィルムを用いてもよい。
(熱可塑性樹脂層)
感光性層形成用転写フィルムは、更に、仮支持体と感光性層との間に、熱可塑性樹脂層を備えていてもよい。
感光性層形成用転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えていると、感光性層形成用転写フィルムを被転写体に転写して積層体を形成した場合に、積層体の各要素に気泡が発生し難くなる。このような積層体を画像表示装置に用いた場合には、画像ムラなどが発生し難くなり、優れた表示特性が得られる。
熱可塑性樹脂層は、アルカリ可溶性を有することが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、転写時において、タッチパネル用基板の表面の凹凸を吸収するクッション材として機能する。タッチパネル用基板の表面の凹凸には、既に形成されている、画像、電極、配線等も含まれる。熱可塑性樹脂層は、凹凸に応じて変形し得る性質を有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂層は、特開平5−72724号公報に記載の有機高分子物質を含むことが好ましく、ヴィカー(Vicat)法(具体的には、アメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が、約80℃以下の有機高分子物質を含むことがより好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さは、3μm以上30μm以下が好ましく、4μm以上25μm以下がより好ましく、5μm以上20μm以下が更に好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さが3μm以上であると、タッチパネル用基板の表面の凹凸に対する追従性が向上するので、タッチパネル用基板の表面の凹凸をより効果的に吸収することができる。
熱可塑性樹脂層の厚さが30μm以下であると、プロセス適性がより向上する。具体的には、熱可塑性樹脂層の厚さが30μm以下であると、例えば、仮支持体に熱可塑性樹脂層を塗布形成する際の乾燥(即ち、溶剤除去のための乾燥)の負荷がより軽減され、また、転写後の熱可塑性樹脂層の現像時間が短縮される。
熱可塑性樹脂層は、溶剤及び熱可塑性の有機高分子を含む熱可塑性樹脂層形成用組成物を仮支持体に塗布し、必要に応じて、乾燥させることによって形成され得る。
塗布方法及び乾燥方法の具体例は、それぞれ、感光性層を形成する際の塗布方法及び乾燥方法の具体例と同様である。
溶剤としては、熱可塑性樹脂層を形成する高分子成分を溶解するものであれば、特に制限されず、例えば、有機溶剤(メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−プロパノール、2−プロパノール等)が挙げられる。
熱可塑性樹脂層は、100℃で測定した粘度が1000Pa・s〜10000Pa・sであることが好ましい。また、100℃で測定した熱可塑性樹脂層の粘度が、100℃で測定した感光性層の粘度よりも低いことが好ましい
(中間層)
感光性層形成用転写フィルムは、更に、仮支持体と感光性層との間に、中間層を備えていてもよい。
感光性層形成用転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えている場合、中間層は、熱可塑性樹脂層と感光性層との間に配置されることが好ましい。
中間層の成分としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、又は、これらのうちの少なくとも2種を含む混合物である樹脂が挙げられる。
また、中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されているものを用いることもできる。
仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、中間層、及び感光性層をこの順に備える態様の転写フィルムを製造する場合には、中間層は、例えば、熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤と、中間層の成分としての上記樹脂と、を含有する中間層形成用組成物を熱可塑性樹脂層上に塗布し、必要に応じて、乾燥させることによって形成され得る。
塗布方法及び乾燥方法の具体例は、それぞれ、感光性層を形成する際の塗布方法及び乾燥方法の具体例と同様である。
上記の態様の感光性層形成用転写フィルムの場合、例えば、まず、仮支持体上に熱可塑性樹脂層形成用組成物を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を形成する。次いで、この熱可塑性樹脂層上に中間層形成用組成物を塗布し、乾燥させて中間層を形成する。その後、中間層上に、既述の感光性層形成用組成物を塗布し、乾燥させて感光性層を形成する。なお、感光性層形成用組成物に含まれる溶剤は、中間層を溶解しない溶剤であることが好ましい。
(屈折率調整層)
感光性層形成用転写フィルムは、更に、感光性層からみて仮支持体が存在する側とは反対側に、屈折率調整層を備えてもよい。
屈折率調整層を備える態様の感光性層形成用転写フィルムによれば、透明電極パターンを備えるタッチパネル用基板に対して、感光性層形成用転写フィルムの屈折率調整層及び感光性層を転写することによりタッチパネル用保護層を形成した場合において、透明電極パターンがより視認され難くなる(即ち、透明電極パターンの隠蔽性がより向上する)。透明電極パターンが視認される現象は、一般に、「骨見え」と称されている。
透明電極パターンが視認される現象、及び、透明電極パターンの隠蔽性については、特開2014−10814号公報及び特開2014−108541号公報を適宜参照することができる。
屈折率調整層は、感光性層に隣接して配置されることが好ましい。
屈折率調整層の屈折率は、感光性層の屈折率よりも高いことが好ましい。
屈折率調整層の屈折率は、好ましくは1.50以上であり、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.60以上である。
屈折率調整層の屈折率の上限は、特に制限されないが、好ましくは2.10以下であり、より好ましくは1.85以下であり、更に好ましくは1.78以下であり、特に好ましくは1.74以下である。
屈折率調整層は、光硬化性(即ち、感光性)を有してもよいし、熱硬化性を有してもよいし、光硬化性及び熱硬化性の両方を有してもよい。
屈折率調整層は、転写後の光硬化により、強度に優れた硬化膜を形成する観点から、光硬化性を有することが好ましい。
また、屈折率調整層は、熱硬化により、硬化膜の強度をより向上させることができる観点から、熱硬化性を有することが好ましい。
屈折率調整層は、熱硬化性及び光硬化性を有することが好ましい。
屈折率調整層は、アルカリ可溶性(例えば、弱アルカリ水溶液に対する溶解性)を有することが好ましい。
また、屈折率調整層は、透明層であることが好ましい。
屈折率調整層が感光性を有する態様は、転写後において、タッチパネル用基板上に転写された感光性層及び屈折率調整層を、一度のフォトリソグラフィによって、まとめてパターニングすることができるという利点を有する。
屈折率調整層の厚さは、500nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。
また、屈折率調整層の厚さは、20nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、55nm以上が更に好ましく、60nm以上が特に好ましい。
屈折率調整層の厚さは、50nm〜100nmがより好ましく、55nm〜100nmが更に好ましく、60nm〜100nmが特に好ましい。
屈折率調整層の屈折率は、透明電極パターンの屈折率に応じて、調整することが好ましい。
例えば、ITOからなる透明電極パターンのように、透明電極パターンの屈折率が1.8以上2.0以下である場合には、屈折率調整層の屈折率は、1.60以上が好ましい。
この場合の屈折率調整層の屈折率の上限は、特に制限されず、好ましくは2.1以下であり、より好ましくは1.85以下であり、更に好ましくは1.78以下であり、特に好ましくは1.74以下である。
また、例えば、IZO(Indium Zinc Oxide;酸化インジウム亜鉛)からなる透明電極パターンのように、透明電極パターンの屈折率が2.0を超える場合には、屈折率調整層の屈折率は、1.70以上1.85以下が好ましい。
屈折率調整層の屈折率を制御する方法は、特に制限されず、所定の屈折率の樹脂を単独で用いる方法、樹脂と金属酸化物粒子又は金属粒子とを用いる方法、金属塩と樹脂との複合体を用いる方法等が挙げられる。
屈折率調整層は、屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、特に好ましくは1.60以上)である無機粒子、屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、特に好ましくは1.60以上)である樹脂、及び屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、特に好ましくは1.60以上)である重合性モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する態様であることが好ましい。
このような態様であると、屈折率調整層の屈折率を1.50以上(より好ましくは1.55以上、特に好ましくは1.60以上)に調整し易い。
また、屈折率調整層は、バインダー、重合性モノマー、及び粒子を含有することが好ましい。
屈折率調整層の成分については、特開2014−108541号公報の段落[0019]〜[0040]、及び[0144]〜[0150]に記載されている硬化性透明樹脂層の成分、特開2014−10814号公報の段落[0024]〜[0035]、及び[0110]〜[0112]に記載されている透明層の成分、国際公開第2016/009980号の段落[0034]〜[0056]に記載されているアンモニウム塩を有する組成物の成分等を参照することができる。
また、屈折率調整層は、金属酸化抑制剤を少なくとも1種含有することが好ましい。
屈折率調整層が金属酸化抑制剤を含有する場合には、屈折率調整層を基板(即ち、転写対象物)上に転写する際に、屈折率調整層と直接接する部材(例えば、基板上に形成された導電性部材)を表面処理することができる。この表面処理は、屈折率調整層と直接接する部材に対して、金属酸化抑制機能(保護性)を付与するものである。
金属酸化抑制剤は、「分子中に窒素原子を含む芳香環」を有する化合物であることが好ましい。「分子中に窒素原子を含む芳香環」を有する化合物は、置換基を有してもよい。
「分子中に窒素原子を含む芳香環」としては、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、又はこれらのいずれか1つと他の芳香環との縮合環が好ましく、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、又はこれらのいずれか1つと他の芳香環との縮合環であることがより好ましい。
縮合環を形成する「他の芳香環」は、単素環であっても複素環であってもよいが、単素環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましく、ベンゼン環であることが更に好ましい。
金属酸化抑制剤としては、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、メルカプトチアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
金属酸化抑制剤としては、市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾールを含む城北化学工業(株)のBT−120を好ましく用いることができる。
屈折率調整層が金属酸化抑制剤を含有する場合、金属酸化抑制剤の含有率は、屈折率調整層の固形分量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下が更に好ましい。
屈折率調整層は、上述した成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
屈折率調整層に含有され得るその他の成分としては、既述の感光性層形成用組成物に含有され得るその他の成分と同様のものが挙げられる。
屈折率調整層は、その他の成分として、界面活性剤を含有することが好ましい。
屈折率調整層の形成方法は、特に制限されない。
屈折率調整層の形成方法の一例としては、仮支持体上に形成された既述の感光性層上に、水系溶剤を含有する態様の屈折率調整層形成用組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
塗布方法及び乾燥方法の具体例は、それぞれ、感光性層を形成する際の塗布方法及び乾燥方法の具体例と同様である。
屈折率調整層形成用組成物は、上述した屈折率調整層の各成分を含有し得る。
屈折率調整層形成用組成物は、例えば、バインダー、重合性モノマー、粒子、及び水系溶剤を含有する。
また、屈折率調整層形成用組成物としては、国際公開第2016/009980号の段落[0034]〜段落[0056]に記載されている、アンモニウム塩を有する組成物も好ましい。
<着色層形成用組成物>
本開示の製造方法において、着色層の形成に用いられる着色層形成用組成物は、少なくとも、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する。
着色層形成用組成物を用いて形成された着色層は、着色層形成用組成物の固形分を含有することになる。
以下、着色層形成用組成物の成分について、詳細に説明する。
(着色剤)
着色層形成用組成物は、着色剤を含有する。
着色剤としては、特に制限されず、公知の着色剤(顔料、染料等)を用いることができ、好ましくは顔料である。
顔料としては、表面処理された顔料(樹脂、顔料誘導体の分散剤等で顔料表面を処理した顔料、粒子表面に親水性基(カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基等)を有する自己分散顔料など)も挙げられる。さらに、顔料としては、市販の顔料分散体を用いてもよい。
顔料としては、所望とする色相に合わせて適宜選択すればよく、黒色顔料、白色顔料、黒色及び白色以外の有彩色の顔料の中から選択することができる。例えば、黒色系のパターンを形成する場合には、顔料として黒色顔料が好適に選択される。
黒色顔料としては、特に制限されず、公知の黒色顔料(有機顔料又は無機顔料)を用いることができる。
黒色顔料としては、例えば、光学濃度の観点から、カーボンブラック、酸化チタン、チタンカーバイド、酸化鉄、窒化チタン、及び黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、表面抵抗の観点から、表面の少なくとも一部が樹脂で被覆されたカーボンブラック(所謂、樹脂被覆カーボンブラック)が好ましい。
黒色顔料(好ましくは、カーボンブラック)は、分散液の形態で用いられることが好ましい。
分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とを予め混合して得られる混合物を、有機溶剤(又はビヒクル)に加えて分散機で分散させることにより調製されるものでもよい。
顔料分散剤は、顔料及び溶媒に応じて選択すればよく、例えば、市販の分散剤を用いることができる。ここで、「ビヒクル」とは、分散液とした場合に顔料を分散させている媒質の部分を指し、液状であり、黒色顔料を分散状態で保持するバインダー成分と、バインダー成分を溶解及び希釈する溶媒成分(即ち、有機溶剤)と、を含む。
分散機としては、特に制限されず、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機が挙げられる。
分散後は、機械的摩砕により摩擦力を利用して微粉砕してもよい。
分散機及び微粉砕については、「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、310頁及び438頁)の記載を参照することができる。
黒色顔料の粒子径は、分散安定性の観点から、数平均粒径で0.001μm以上0.1μm以下が好ましく、0.01μm以上0.08μm以下がより好ましい。
ここで、「粒径」とは、電子顕微鏡で撮影した顔料粒子の写真像から顔料粒子の面積を求め、顔料粒子の面積と同面積の円を考えた場合の円の直径を指し、「数平均粒径」は、任意の100個の粒子について上記の粒径を求め、求められた100個の粒径を平均して得られる平均値である。
着色層形成用組成物は、転写性の観点から、黒色顔料及び白色顔料以外の有彩色の顔料を更に含有していることが好ましい。
着色層形成用組成物が有彩色の顔料を含有する場合、有彩色の顔料は、着色層形成用組成物中に良好に分散されていることが好ましい。このような観点から、有彩色の顔料の粒径は、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。
有彩色の顔料としては、国際公開第2016/088609号の段落[0026]に記載の有彩色の顔料を好ましく用いることができる。
着色層形成用組成物中における着色剤の含有率は、着色層形成用組成物の固形分量に対して、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上40質量%以下がより好ましく、20質量%以上35質量%以下が更に好ましい。
着色層形成用組成物が黒色顔料以外の顔料(白色顔料及び有彩色の顔料)を含有する場合、着色層形成用組成物中における黒色顔料以外の顔料の含有量は、黒色顔料の含有量に対して、30質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、3質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
(ラジカル重合性モノマー)
着色層形成用組成物は、ラジカル重合性モノマーを含有する。
着色層形成用組成物において、ラジカル重合性モノマーは、着色層の硬化膜の強度向上に寄与する。
着色層形成用組成物におけるラジカル重合性モノマーの好ましい態様は、既述の感光性層形成用組成物におけるラジカル重合性モノマーの好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(ラジカル重合開始剤)
着色層形成用組成物は、ラジカル重合開始剤を含有する。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず、公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
着色層形成用組成物におけるラジカル重合開始剤の好ましい態様は、既述の感光性層形成用組成物におけるラジカル重合開始剤の好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(バインダー)
着色層形成用組成物は、バインダーを含有していてもよい。
バインダーの種類は、特に制限されず、(メタ)アクリル樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂等の重合体を挙げることができる。
バインダーとして、2種類以上の重合体を併用することもできる。
着色層形成用組成物におけるバインダーの好ましい態様は、既述の感光性層形成用組成物におけるバインダーの好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(熱架橋性化合物)
着色層形成用組成物は、熱架橋性化合物を含有していてもよい。
着色層形成用組成物が熱架橋性化合物を更に含有する場合には、着色層は、感光性(即ち、光硬化性)だけでなく、更に、熱硬化性をも有する。
着色層が光硬化性及び熱硬化性の両方を有する場合には、光硬化により強度に優れた硬化膜を形成でき、硬化膜形成後の熱硬化により、硬化膜の強度を更に向上させることができる。
着色層形成用組成物における熱架橋性化合物の好ましい態様は、既述の感光性層形成用組成物における熱架橋性化合物の好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(溶剤)
着色層形成用組成物は、塗布による着色層の形成の観点から、溶剤を少なくとも1種含有していてもよい。
溶剤としては、通常用いられる溶剤を、特に制限なく用いることができる。
着色層形成用組成物における溶剤の好ましい態様は、既述の感光性層形成用組成物における溶剤の好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(その他の成分)
着色層形成用組成物は、既述の成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、界面活性剤、重合禁止剤、粒子(例えば、金属酸化物粒子)等が挙げられる。また、その他の成分としては、例えば、特開2000−310706号公報の段落[0058]〜[0071]に記載のその他の添加剤が挙げられる。
着色層形成用組成物における界面活性剤、重合禁止剤、粒子等の好ましい態様は、既述の感光性層形成用組成物における界面活性剤、重合禁止剤、粒子等の好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
<着色層形成用転写フィルム>
本開示の製造方法に用いられる着色層形成用転写フィルムは、仮支持体と、少なくとも既述の着色層と、を備える。
以下、着色層形成用転写フィルムに含まれ得る各要素について説明する。
(仮支持体)
着色層形成用転写フィルムは、仮支持体を備える。
着色層形成用転写フィルムにおける仮支持体の好ましい態様は、既述の感光性層形成用転写フィルムにおける仮支持体の好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(着色層)
着色層形成用転写フィルムは、少なくとも着色層を備える。
着色層は、感光性(即ち、光硬化性)を有しており、更に、熱硬化性を有していてもよい。着色層に熱硬化性を付与する手段としては、例えば、既述の着色層形成用組成物に、既述の熱架橋性化合物を含有させる手段が挙げられる。
着色層が光硬化性及び熱硬化性の両方を有する場合には、硬化後の膜強度をより向上させることができる。
着色層は、現像性の観点から、更にアルカリ可溶性(例えば、弱アルカリ水溶液に対する溶解性)を有することが好ましい。着色層にアルカリ可溶性を付与する手段としては、例えば、既述の着色層形成用組成物に、既述のバインダーとして、酸基を含む重合体を含有させる手段が挙げられる。
着色層の厚さは、0.5μm以上10μm以下が好ましく、1.0μm以上5.0μm以下がより好ましく、2.0μm以上4.0μm以下が更に好ましい。
着色層の厚さが上記範囲内であると、転写フィルム全体の薄膜化、現像性、面状欠陥(ピンホール)等の面で有利である。
着色層の形成方法は、特に制限されない。
着色層を形成する方法の一例としては、仮支持体上に、既述の着色層形成用組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
塗布方法及び乾燥方法の具体例は、それぞれ、感光性層を形成する際の塗布方法及び乾燥方法の具体例と同様である。
(保護フィルム)
着色層形成用転写フィルムは、更に、着色層からみて仮支持体とは反対側に、保護フィルムを備えていてもよい。
着色層形成用転写フィルムにおける保護フィルムの具体例は、既述の感光性層形成用転写フィルムにおける保護フィルムの具体例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(熱可塑性樹脂層)
着色層形成用転写フィルムは、更に、仮支持体と着色層との間に、熱可塑性樹脂層を備えていてもよい。
着色層形成用転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えていると、着色層形成用転写フィルムを被転写体に転写して積層体を形成した場合に、積層体の各要素に気泡が発生し難くなる。
熱可塑性樹脂層は、転写時において、タッチパネル用基板の表面の凹凸を吸収するクッション材として機能する。タッチパネル用基板の表面の凹凸には、既に形成されている、画像、電極、配線等も含まれる。熱可塑性樹脂層は、凹凸に応じて変形し得る性質を有していることが好ましい。
着色層形成用転写フィルムにおける熱可塑性樹脂層の好ましい態様は、既述の感光性層形成用転写フィルムにおける熱可塑性樹脂層の好ましい態様と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、着色層形成用転写フィルムにおける熱可塑性樹脂層の形成方法は、既述の感光性層形成用転写フィルムにおける熱可塑性樹脂層の形成方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(中間層)
着色層形成用転写フィルムは、更に、仮支持体と着色層との間に、中間層を備えていてもよい。
着色層形成用転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えている場合、中間層は、熱可塑性樹脂層と着色層との間に配置されることが好ましい。
着色層形成用転写フィルムにおける中間層の成分は、既述の感光性層形成用転写フィルムにおける中間層の成分と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、着色層形成用転写フィルムにおける中間層の形成方法は、既述の感光性層形成用転写フィルムにおける中間層の形成方法と同様であるため、ここでは説明を省略する。
[第2の態様]
本発明の第2の態様に係るタッチパネルの製造方法は、タッチパネル用基板を準備する工程(即ち、準備工程)が、基板上に、少なくとも金属膜が配置された配線形成用基板を準備する工程(以下、「配線形成用基板準備工程」ともいう。)と、配線形成用基板の金属膜が配置された側の面上に、フォトレジスト層を設ける工程(以下、「フォトレジスト層形成工程」ともいう。)と、フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、フォトレジスト層をパターニングする工程(以下、「パターニング工程」ともいう。)と、パターニングされたフォトレジスト層が配置されていない基板上の金属膜をエッチングする工程(以下、「エッチング工程」ともいう。)と、金属膜をエッチングした後、パターニングされたフォトレジスト層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する剥離液を用いて剥離することにより、パターンニングされた金属膜を露出させる工程(以下、「剥離工程」ともいう。)と、を含む。
本発明の第2の態様に係るタッチパネルの製造方法では、タッチパネル用基板を製造する際に、特定アゾール化合物を含有する剥離液を用いて、金属膜の面上に形成されたフォトレジスト層を剥離するため、金属膜からフォトレジスト層が剥離される際に、剥離液が金属膜に接触し、剥離液中に含まれる特定アゾール化合物が金属膜に吸着すると考えられる。このように特定アゾール化合物がエッチング後の金属膜(即ち、タッチパネル用基板におけるタッチパネル配線)に吸着することで、タッチパネル用配線が工程中のポストベーク等の熱処理から保護され、タッチパネル用配線の変色が抑制されると考えられる。
また、本発明の第2の態様に係るタッチパネルの製造方法では、本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法でも述べたように、タッチパネル用配線に吸着する特定アゾール化合物が、着色層に含まれる成分(所謂、着色層形成用組成物に含まれる、着色剤、バインダー、アルカリ可溶性樹脂、分散剤等の成分)と相互作用し難い化合物であるため、着色層の現像残渣、即ち、タッチパネル用配線に吸着した特定アゾール化合物と、着色層に含まれる成分と、が相互作用することで発生する残渣が抑制されると考えられる。
以下、本発明の第2の態様に係るタッチパネルの製造方法の概要について、図3を参照しながら説明する。なお、以下で説明する概要は、本発明の第2の態様に係るタッチパネルの製造方法の好ましい一例である。
図3は、本発明のタッチパネルの製造方法の好ましい他の態様を説明するための概略工程図であり、本開示におけるタッチパネル用基板の好ましい製造工程を示している。
本発明の第2の態様に係るタッチパネルの製造方法では、タッチパネル用基板の製造工程において、タッチパネル用配線に特定アゾール化合物を接触させる。まず、基板110上に、透明導電膜120及び金属膜130が配置された構造を有する配線形成用基板100を準備する(図3の(a))。次いで、配線形成用基板100の金属膜130が配置された側の面上に、フォトレジスト層140を設ける(図3の(b))。次いで、フォトレジスト層140に対して、マスクMを介して光線Pを照射するパターン露光を施し(図3の(c))、現像することにより、フォトレジスト層140をパターニングする(図3の(d))。次いで、パターニングされたフォトレジスト層140が配置されていない基板110上の透明導電膜120及び金属膜130をエッチングする(図3の(e))。透明導電膜120及び金属膜130をエッチングした後、パターニングされたフォトレジスト層140を、特定アゾール化合物を含有する剥離液を用いて剥離することにより、パターンニングされた金属膜130を露出させる(図3の(f))。なお、図3の(f)は、タッチパネル用基板の部分断面図である。
本発明の第2の態様に係るタッチパネルの製造方法では、タッチパネル用基板の製造工程において、配線形成用基板100の金属膜130が配置された側の面上に設けられたフォトレジスト層140を、パターニング後、特定アゾール化合物を含有する剥離液を用いて剥離するため、金属膜130からフォトレジスト層140を剥離した際に、剥離液に含まれる特定アゾール化合物を金属膜130に接触させることができる。その結果、エッチング後の金属膜130(即ち、タッチパネル用基板におけるタッチパネル配線)は、特定アゾール化合物により良好に保護されるため、ポストベーク等の熱処理による変色が抑制される。金属膜130に吸着した特定アゾール化合物は、着色層に含まれる成分と相互作用し難いため、着色層をパターン露光及び現像した際に、着色層の非露光部に含まれる成分がタッチパネル用配線(即ち、エッチング後の金属膜130)に吸着した特定アゾール化合物と接触しても、着色層の現像残渣が発生し難い。
以下、本発明の第2の態様に係る製造方法における各工程について詳細に説明する。
〔準備工程〕
<配線形成用基板準備工程>
配線形成用基板準備工程は、便宜上の工程であり、基板上に、少なくとも金属膜が配置された配線形成用基板を準備する工程である。
配線形成用基板準備工程は、予め製造された配線形成用基板を単に準備するだけの工程であってもよいし、配線形成用基板を製造する工程であってもよい。
配線形成用基板準備工程における基板は、本発明の第1の態様に係る製造方法の準備工程における基板と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
金属膜は、タッチパネル用配線又はタッチパネル用電極の材料である。
金属膜の材質である金属としては、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及びマンガン、並びに、これらの金属元素の2種以上からなる合金が挙げられる。これらの中でも、金属膜の材質である金属としては、銅、モリブデン、アルミニウム、又はチタンが好ましく、タッチパネル用配線としたときの電気抵抗が低い点で、銅がより好ましい。
銅は変色しやすいが、本開示の製造方法によれば、銅膜をタッチパネル用配線の材料として用いた場合であっても、銅の変色が抑制される。
配線形成用基板は、基板と金属膜との間に透明導電膜が配置された構造を有する基板であってもよい。
透明導電膜は、透明電極パターンの材料である。
透明導電膜の材質としては、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の金属酸化膜が好ましい。
<フォトレジスト層形成工程>
フォトレジスト層形成工程は、配線形成用基板の金属膜が配置された側の面上に、フォトレジスト層を設ける工程である。
配線形成用基板の金属膜が配置された側の面上に、フォトレジスト層を設ける方法は、フォトレジスト層形成用組成物(所謂、感光性材料)を用いる方法であってもよいし、フォトレジスト層を有する転写フィルムを用いる方法であってもよい。
フォトレジスト層を形成するための感光性材料は、特に制限されず、露光された領域が現像により除去されるポジ型感光性材料であってもよいし、露光されなかった領域が現像により除去されるネガ型感光性材料であってもよく、好ましくは、ポジ型感光性材料である。
例えば、ポジ型感光性材料としては、酸により解離して酸性官能基(例えば、カルボキシ基)を生じる酸解離性官能基を有する構造単位とカルボキシ基を有する構造単位とフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートに由来する構造単位と架橋構造とを有するポリマー、光酸発生剤等を含有する材料を挙げることができる。
感光性材料については、例えば、特開2013−156416号公報の段落[0012]〜[0144]の記載を参照することもできる。
<パターニング工程>
パターニング工程は、フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、フォトレジスト層をパターニングする工程である。
パターニング工程では、フォトレジスト層がネガ型感光性材料を用いて形成されている場合には、フォトレジスト層のうち、パターン露光における露光部が硬化し、非露光部が未硬化の状態となる。そして、この未硬化の非露光部が現像液により溶解し、除去されることで、パターニングされたフォトレジスト層が形成される。
フォトレジスト層がポジ型感光性材料を用いて形成されている場合には、フォトレジスト層のうち、パターン露光における非露光部が硬化し、露光部が未硬化の状態となる。そして、この未硬化の露光部が現像液により溶解し、除去されることで、パターニングされたフォトレジスト層が形成される。
パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
パターン露光の光源としては、各種レーザー、LED、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量は、例えば、5mJ/cm以上200mJ/cm以下であり、好ましくは10mJ/cm以上200mJ/cm以下である。
現像に用いる現像液は、特に制限されず、公知の現像液を用いることができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ性水溶液に含有され得るアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン(2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)等が挙げられる。
アルカリ性水溶液の25℃におけるpHとしては、8〜13が好ましく、9〜12がより好ましく、10〜12が特に好ましい。
アルカリ性水溶液中におけるアルカリ性化合物の含有率は、アルカリ性水溶液の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。
現像液の液温度は、20℃〜40℃が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等の方式が挙げられる。
パターニング工程では、パターン露光後であって現像前に、フォトレジスト層に対して、熱処理(所謂、PEB(Post Exposure Bake))を施してもよい。
<エッチング工程>
エッチング工程は、パターニングされたフォトレジスト層が配置されていない基板上の金属膜(例えば、基板と金属膜との間に透明導電膜が配置されている場合には、透明導電膜及び金属膜)をエッチングする工程である。
エッチングの方法は、特に制限されず、例えば、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。
エッチング液は、特に制限されず、公知のエッチング液を用いることができる。
エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化銅水溶液等が挙げられる。
例えば、金属膜の材料が銅の場合には、塩化第二鉄水溶液が好ましい。
エッチング液の液温は、特に制限されず、例えば、エッチング工程中にフォトレジスト層が剥離することを防止する観点から、20℃以上45℃以下が好ましい。
<剥離工程>
剥離工程は、金属膜をエッチングした後、パターニングされたフォトレジスト層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する剥離液を用いて剥離することにより、パターンニングされた金属膜(所謂、タッチパネル用配線)を露出させる工程である。
本発明の第2の態様では、剥離工程において、金属膜からパターニングされたフォトレジスト層を、特定アゾール化合物を含有する剥離液を用いて剥離することにより、金属膜に特定アゾール化合物を含有する剥離液が接触する。この接触により、タッチパネル用配線の材料である金属膜に特定アゾール化合物が吸着するため、保護層の開口部(即ち、ボンディングパッド部)における、タッチパネル用配線の変色抑制と、着色層の現像残渣の発生抑制と、を両立することができると考えられる。
剥離工程における剥離液に含有される特定アゾール化合物は、以下の点を除き、本発明の第1の態様に係る製造方法の感光性層現像工程Aにおいて用いられる現像液に含有される特定アゾール化合物と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
特定アゾール化合物としては、タッチパネル用配線の変色及び着色層の現像残渣の発生をより抑制する観点から、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が好ましく、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物がより好ましく、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が更に好ましく、5−アミノ−1H−テトラゾール及び1,2,4−トリアゾールから選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が特に好ましい。
剥離液は、特定アゾール化合物を、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
剥離液中における特定アゾール化合物の含有率は、剥離液の全質量に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下が更に好ましい。
剥離液中における特定アゾール化合物の含有率が、剥離液の全質量に対して、上記の範囲内であると、保護層の開口部(即ち、ボンディングパッド部)における、タッチパネル用配線の変色抑制と、着色層の現像残渣の発生抑制と、を良好なバランスで両立することができる。
剥離液は、フォトレジスト層の剥離性の観点から、更にアミン化合物を含有することが好ましい。
なお、本明細書において、「アミン化合物」とは、アミノ基を有する有機化合物を意味する。
アミン化合物としては、特に制限されない。
アミン化合物の分子量は、例えば、30以上2000以下が好ましく、30以上500以下がより好ましく、40以上400以下が更に好ましい。
剥離液が水を含有する場合、アミン化合物は、水との混和性の観点から、ヒドロキシ基を有することが好ましい。ヒドロキシ基を有するアミン化合物としては、例えば、アルカノールアミンが挙げられる。
アルカノールアミンの具体例としては、N−メチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
また、アルカノールアミンとしては、市販品を用いることもできる。
アルカノールアミンの市販品の例としては、日本乳化剤(株)のアミノアルコール MEM(商品名、N-Ethyl Ethanolamine)、アミノアルコール MED(商品名、N-Ethyl Diethanolamine)、アミノアルコール MBM(商品名、N-n-Butyl Ethanolamine)、アミノアルコール MBD(商品名、N-n-Butyl Diethanolamine)、アミノアルコール tr−BMEA(商品名、N-t-Butyl Ethanolamine)、アミノアルコール tr−BDEA(商品名、N-t-Butyl Diethanolamine)、アミノアルコール PA(商品名、N-(β-Aminoethyl)Isopropanolamine)、アミノアルコール 2FA(商品名、N,N-Diethyl Isopropanolamine)、アミノアルコール 2Mabs(商品名、N,N-Dimethyl Ethanolamine)、アミノアルコール 2A(商品名、N,N-Diethyl Ethanolamine)、アミノアルコール 2B(商品名、N,N-Dibuthyl Ethanolamine)、アミノアルコール EA(商品名、N-(β-Aminoethyl) Ethanolamine)、アミノアルコール MMA(商品名、N-Methyl Ethanolamine)、アミノアルコール MDA(商品名、N-Methyl Diethanolamine)等が挙げられる。
剥離液は、アミン化合物を、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
剥離液がアミン化合物を含有する場合、剥離液中のアミン化合物の含有率は、特に制限されず、例えば、剥離液の全質量に対して、0.1質量%以上33.0質量%以下が好ましく、5.0質量%以上20.0質量%以下がより好ましく、10質量%以上20.0質量%以下が更に好ましい。
剥離液は、プロセスを簡略化する観点から、水を含有することが好ましい。
剥離液が水を含有する場合、剥離液中の水の含有率は、特に制限されず、例えば、剥離液の全質量に対して、30.0質量%以上99.99質量%以下が好ましく、65.0質量%以上99.89質量%以下がより好ましい。
剥離液は、フォトレジスト層の剥離性の観点から、有機溶剤(但し、既述のアミン化合物を除く)を含有していてもよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール等のアルコール類、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、ジメチルスルホキシドなど挙げられる。
剥離液は、有機溶剤を、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
剥離液が有機溶剤を含有する場合、剥離液における有機溶剤の濃度は、0.1質量%以上33質量%以下が好ましい。
剥離液は、本発明の一実施形態の効果を損なわない範囲において、必須成分であるアゾール化合物、並びに、任意成分である水、アミン化合物、及び有機溶剤以外の他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、金属の変色を防止し得る変色防止剤が挙げられる。
剥離液が変色防止剤を更に含有することで、タッチパネル用配線の変色をより防止することができる。
剥離液の好ましい組成例としては、例えば、以下に示す組成が挙げられる。以下に示す組成を有する剥離液は、フォトレジスト層の剥離性が良好であり、かつ、開口部に露出したタッチパネル用配線の変色と、開口部における着色層の現像残渣の発生と、をより良好に抑制することができる。
下記の(1)〜(3)の要件を満たす組成。
(1)イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、剥離液の全質量に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下である。
(2)アミン化合物の含有率が、剥離液の全質量に対して、0.1質量%以上33.0質量%以下である。
(3)水の含有率が、剥離液の全質量に対して、65.0質量%以上99.89質量%以下である。
剥離液の25℃におけるpHとしては、10〜14が好ましく、10〜12がより好ましく、10.5〜11.5が特に好ましい。
剥離液を用いて、フォトレジスト層の剥離方法としては、特に制限されず、例えば、フォトレジスト層を備える配線形成用基板を浸漬する方法が挙げられる。
剥離液の液温度は、特に制限されず、例えば、フォトレジスト層の剥離性の観点から、30℃〜50℃が好ましい。
浸漬時間は、例えば、30秒間〜90秒間が好ましい。
〔感光性層形成工程〕
感光性層形成工程は、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程である。
本発明の第2の態様に係る製造方法における感光性層形成工程は、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が、特定アゾール化合物を含有する剥離液に接触した金属膜に由来するものである点以外は、本発明の第1の態様に係る製造方法における感光性層形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔感光性層露光工程〕
本発明の第2の態様に係る製造方法における感光性層露光工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における感光性層露光工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔感光性層現像工程〕
感光性層現像工程は、パターン露光された感光性層を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程である。
現像に用いる現像液は、特に制限されず、特開平5−72724号公報に記載の現像液等、公知の現像液を用いることができる。
現像液としては、アルカリ性水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ性水溶液に含有され得るアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリン(2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)等が挙げられる。
アルカリ性水溶液の25℃におけるpHとしては、8〜13が好ましく、9〜12がより好ましく、10〜12が特に好ましい。
アルカリ性水溶液中におけるアルカリ性化合物の含有率は、アルカリ性水溶液の全質量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。
現像液は、水に対して混和性を有する有機溶剤を含有していてもよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
現像液が有機溶剤を含有する場合、現像液における有機溶剤の濃度は、0.1質量%以上30.0質量%以下が好ましい。
現像液は、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有していてもよい。
現像液が特定アゾール化合物を含有する場合、現像液に含有される特定アゾール化合物は、既述の剥離工程における剥離液に含有される特定アゾール化合物と同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよいが、好ましくは、同じ種類である。
現像液が特定アゾール化合物を含有する場合、現像液中における特定アゾール化合物の含有率は、特に制限されず、剥離工程における剥離液に含有される特定アゾール化合物の含有率を考慮して、適宜設定することができる。
現像液は、公知の界面活性剤を含有していてもよい。
現像液が界面活性剤を含有する場合、現像液における界面活性剤の濃度は、0.01質量%以上10.0質量%以下が好ましい。
現像液の液温度は、20℃〜40℃が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等の方式が挙げられる。
シャワー現像を行う場合、パターン露光後の着色層に現像液をシャワー状に吹き付けることにより、着色層の非露光部を除去する。着色層形成用転写フィルムとして、着色層と熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方とを備える転写フィルムを用いた場合には、これらの層の基板上への転写後であって着色層の現像の前に、着色層の溶解性が低いアルカリ性の液(例えば、トリエタノールアミン系現像液)をシャワー状に吹き付け、熱可塑性樹脂層及び中間層の少なくとも一方(両方存在する場合には両方)を予め除去してもよい。
また、現像の後に、洗浄液等をシャワーにより吹き付けつつ、ブラシ等で擦ることにより、現像残渣を除去することが好ましい。
〔着色層形成工程〕
本発明の第2の態様に係る製造方法における着色層形成工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における着色層形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔着色パターン形成工程〕
本発明の第2の態様に係る製造方法における着色パターン形成工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における着色パターン形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
なお、本発明の第2の態様に係る製造方法において、各工程で設けられる層を形成するための材料等は、本発明の第1の態様に係る製造方法において、各工程で設けられる層を形成するための材料等と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
[第3の態様]
本発明の第3の態様に係るタッチパネルの製造方法は、基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程(即ち、準備工程)と、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する処理液を接触させる工程(以下、「処理液接触工程A」ともいう。)と、タッチパネル用基板の、処理液を接触させたタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程(即ち、感光性層形成工程)と、感光性層をパターン露光する工程(即ち、感光性層露光工程)と、パターン露光された感光性層を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程(即ち、感光性層現像工程)と、保護層上と開口部に露出したタッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程(即ち、着色層形成工程)と、着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程(即ち、着色パターン形成工程)と、を含む。
本発明の第3の態様に係るタッチパネルの製造方法では、準備したタッチパネル用基板のタッチパネル用配線に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させることで、タッチパネル配線に特定アゾール化合物が吸着すると考えられる。このように特定アゾール化合物がタッチパネル用配線に吸着することで、タッチパネル用配線が工程中のポストベーク等の熱処理から保護され、タッチパネル用配線の変色が抑制されると考えられる。
また、本発明の第3の態様に係るタッチパネルの製造方法では、本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法でも述べたように、タッチパネル用配線に吸着する特定アゾール化合物が、着色層に含まれる成分(所謂、着色層形成用組成物に含まれる、着色剤、バインダー、アルカリ可溶性樹脂、分散剤等の成分)と相互作用し難い化合物であるため、着色層の現像残渣、即ち、タッチパネル用配線に吸着した特定アゾール化合物と、着色層に含まれる成分と、が相互作用することで発生する残渣が抑制されると考えられる。
以下、本発明の第3の態様に係るタッチパネルの製造方法の概要について、図1を参照しながら説明する。
本発明の第3の態様に係るタッチパネルの製造方法では、まず、基板10上に、タッチパネル用電極のパターンである透明電極パターン20及びタッチパネル用配線30が配置された構造を有するタッチパネル用基板1を準備し、準備したタッチパネル用基板1のタッチパネル用配線30に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させる(図1の(A))。次いで、タッチパネル用基板1の、処理液を接触させたタッチパネル用配線30が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層40を設ける(図1の(B))。次いで、タッチパネル用基板1のタッチパネル用配線30が配置された側の面上に設けられた感光性層40に対して、マスクMを介して光線Pを照射するパターン露光を施す(図1の(C))。次いで、パターン露光された感光性層40を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線30の一部を露出させる開口部Oを有する保護層40Aを形成する(図1の(D))。次いで、保護層40A上と開口部Oに露出したタッチパネル用配線30上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層50を設ける(図1の(E))。次いで、着色層50に対して、マスクMを介して光線Pを照射するパターン露光を施した後、パターン露光された着色層50を現像する(図1の(F))ことにより、保護層40A上に着色パターン51を形成し、かつ、保護層40Aの開口部Oにタッチパネル用配線30を露出させる(図1の(G))。なお、図1の(G)は、タッチパネルの枠部の断面を示している。
本発明の第3の態様に係るタッチパネルの製造方法では、準備したタッチパネル用基板1のタッチパネル用配線30に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させる。その結果、タッチパネル用配線30は、特定アゾール化合物により良好に保護されるため、ポストベーク等の熱処理による変色が抑制される。タッチパネル用配線30に吸着した特定アゾール化合物は、着色層50に含まれる成分と相互作用し難いため、着色層50をパターン露光及び現像した際に、着色層50の非露光部に含まれる成分がタッチパネル用配線30に吸着した特定アゾール化合物と接触しても、着色層の現像残渣が発生し難い。
以下、本発明の第3の態様に係る製造方法における各工程について詳細に説明する。
〔準備工程〕
本発明の第3の態様に係る製造方法における準備工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における準備工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔処理液接触工程A〕
処理液接触工程Aは、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する処理液を接触させる工程である。
本発明の第3の態様では、処理液接触工程Aにおいて、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させることにより、タッチパネル用配線に特定アゾール化合物が吸着するため、保護層の開口部(即ち、ボンディングパッド部)における、タッチパネル用配線の変色抑制と、着色層の現像残渣の発生抑制と、を両立することができると考えられる。
処理液接触工程Aにおける処理液に含有される特定アゾール化合物は、以下の点を除き、本発明の第1の態様に係る製造方法の感光性層現像工程Aにおいて用いられる現像液に含有される特定アゾール化合物と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
特定アゾール化合物としては、タッチパネル用配線の変色及び着色層の現像残渣の発生をより抑制する観点から、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が好ましく、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物がより好ましく、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、及びベンゾイミダゾール、からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が更に好ましく、5−アミノ−1H−テトラゾール及び1,2,4−トリアゾールから選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物が特に好ましい。
処理液は、特定アゾール化合物を、1種のみ含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
処理液中における特定アゾール化合物の含有率は、処理液の全質量に対して、0.005質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0.008質量%以上2.2質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下が更に好ましい。
処理液中における特定アゾール化合物の含有率が、処理液の全質量に対して、上記の範囲内であると、保護層の開口部(即ち、ボンディングパッド部)における、タッチパネル用配線の変色抑制と、着色層の現像残渣の発生抑制と、を良好なバランスで両立することができる。
処理液は、水を含有することが好ましい。
処理液中の水の含有率は、特に制限されず、例えば、処理液の全質量に対して、80.0質量%以上99.9質量%以下が好ましく、90.0質量%以上99.9質量%以下がより好ましく、95.0質量%以上99.9質量%以下が更に好ましく、98.0質量%以上99.9質量%以下が特に好ましい。
処理液は、水に対して混和性を有する有機溶剤を含有していてもよい。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
処理液が有機溶剤を含有する場合、処理液における有機溶剤の濃度は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。
処理液は、公知の界面活性剤を含有していてもよい。
処理液が界面活性剤を含有する場合、処理液における界面活性剤の濃度は、0.01質量%以上10質量%以下が好ましい。
タッチパネル用基板のタッチパネル用配線に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させる方法としては、塗布、スピンコート、ノズルによる吹き付け、浸漬等の方法が挙げられる。
処理液の液温度は、20℃〜40℃が好ましい。
〔感光性層形成工程〕
感光性層形成工程は、タッチパネル用基板の、処理液を接触させたタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程である。
本発明の第3の態様に係る製造方法における感光性層形成工程は、感光性層を設けるタッチパネル用基板のタッチパネル用配線が、特定アゾール化合物を含有する処理液に接触したものである点以外は、本発明の第1の態様に係る製造方法における感光性層形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔感光性層露光工程〕
本発明の第3の態様に係る製造方法における感光性層露光工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における感光性層露光工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔感光性層現像工程〕
本発明の第3の態様に係る製造方法における感光性層現像工程は、本発明の第2の態様に係る製造方法における感光性層現像工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔着色層形成工程〕
本発明の第3の態様に係る製造方法における着色層形成工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における着色層形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔着色パターン形成工程〕
本発明の第3の態様に係る製造方法における着色パターン形成工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における着色パターン形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
なお、本発明の第3の態様に係る製造方法において、各工程で設けられる層を形成するための材料等は、本発明の第1の態様に係る製造方法において、各工程で設けられる層を形成するための材料等と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
[第4の態様]
本発明の第4の態様に係るタッチパネルの製造方法は、基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程(即ち、準備工程)と、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程(即ち、感光性層形成工程)と、感光性層をパターン露光する工程(即ち、感光性層露光工程)と、パターン露光された感光性層を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程(即ち、感光性層現像工程)と、開口部に露出したタッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する処理液を接触させる工程(以下、「処理液接触工程B」ともいう。)と、保護層上と、開口部に露出し、かつ、処理液を接触させたタッチパネル用配線上と、にまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程(即ち、着色層形成工程)と、着色層をパターン露光し、現像することにより、保護層上に着色パターンを形成し、かつ、開口部にタッチパネル用配線を露出させる工程(即ち、着色パターン形成工程)と、を含む。
本発明の第4の態様に係るタッチパネルの製造方法では、保護層の開口部に露出したタッチパネル用配線に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させることで、タッチパネル配線に特定アゾール化合物が吸着すると考えられる。このように特定アゾール化合物がタッチパネル用配線に吸着することで、タッチパネル用配線が工程中のポストベーク等の熱処理から保護され、タッチパネル用配線の変色が抑制されると考えられる。
また、本発明の第4の態様に係るタッチパネルの製造方法では、本発明の第1の態様に係るタッチパネルの製造方法でも述べたように、タッチパネル用配線に吸着する特定アゾール化合物が、着色層に含まれる成分(所謂、着色層形成用組成物に含まれる、着色剤、バインダー、アルカリ可溶性樹脂、分散剤等の成分)と相互作用し難い化合物であるため、着色層の現像残渣、即ち、タッチパネル用配線に吸着した特定アゾール化合物と、着色層に含まれる成分と、が相互作用することで発生する残渣が抑制されると考えられる。
以下、本発明の第4の態様に係るタッチパネルの製造方法の概要について、図1を参照しながら説明する。
本発明の第4の態様に係るタッチパネルの製造方法では、まず、基板10上に、タッチパネル用電極のパターンである透明電極パターン20及びタッチパネル用配線30が配置された構造を有するタッチパネル用基板1を準備する(図1の(A))。次いで、タッチパネル用基板のタッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層40を設ける(図1の(B))。次いで、タッチパネル用基板1のタッチパネル用配線30が配置された側の面上に設けられた感光性層40に対して、マスクMを介して光線Pを照射するパターン露光を施す(図1の(C))。次いで、パターン露光された感光性層40を、現像液を用いて現像することにより、タッチパネル用配線30の一部を露出させる開口部Oを有する保護層40Aを形成した後、開口部Oに露出したタッチパネル用配線30に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させる(図1の(D))。次いで、保護層40A上と、開口部Oに露出し、かつ、処理液を接触させたタッチパネル用配線30上と、にまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層50を設ける(図1の(E))。次いで、着色層50に対して、マスクMを介して光線Pを照射するパターン露光を施した後、パターン露光された着色層50を現像する(図1の(F))ことにより、保護層40A上に着色パターン51を形成し、かつ、保護層40Aの開口部Oにタッチパネル用配線30を露出させる(図1の(G))。なお、図1の(G)は、タッチパネルの枠部の断面を示している。
本発明の第4の態様に係るタッチパネルの製造方法では、保護層40Aの開口部Oに露出したタッチパネル用配線30に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させる。その結果、タッチパネル用配線30は、特定アゾール化合物により良好に保護されるため、ポストベーク等の熱処理による変色が抑制される。タッチパネル用配線30に吸着した特定アゾール化合物は、着色層50に含まれる成分と相互作用し難いため、着色層50をパターン露光及び現像した際に、着色層50の非露光部に含まれる成分がタッチパネル用配線30に吸着した特定アゾール化合物と接触しても、着色層の現像残渣が発生し難い。
以下、本発明の第4の態様に係る製造方法における各工程について詳細に説明する。
〔準備工程〕
本発明の第4の態様に係る製造方法における準備工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における準備工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔感光性層形成工程〕
本発明の第4の態様に係る製造方法における感光性層形成工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における感光性層形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔感光性層露光工程〕
本発明の第4の態様に係る製造方法における感光性層露光工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における感光性層露光工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔感光性層現像工程〕
本発明の第4の態様に係る製造方法における感光性層現像工程は、本発明の第2の態様に係る製造方法における感光性層現像工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔処理液接触工程B〕
処理液接触工程Bは、保護層の開口部に露出したタッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物(即ち、特定アゾール化合物)を含有する処理液を接触させる工程である。
本発明の第4の態様では、処理液接触工程Bにおいて、保護層の開口部に露出したタッチパネル用配線に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させることにより、タッチパネル用配線に特定アゾール化合物が吸着するため、保護層の開口部(即ち、ボンディングパッド部)における、タッチパネル用配線の変色抑制と、着色層の現像残渣の発生抑制と、を両立することができると考えられる。
処理液接触工程Bにおける処理液に含有される特定アゾール化合物は、本発明の第3の態様に係る製造方法の処理液接触工程Aにおいて用いられる処理液に含有される特定アゾール化合物と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
また、処理液に含有し得る特定アゾール化合物以外の成分(例えば、水、水に対して混和性を有する有機溶剤、及び界面活性剤)は、本発明の第3の態様に係る製造方法の処理液接触工程Aにおいて用いられる処理液に含有し得る特定アゾール化合物以外の成分と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
保護層の開口部に露出したタッチパネル用配線に、特定アゾール化合物を含有する処理液を接触させる方法としては、塗布、スピンコート、ノズルによる吹き付け、浸漬等の方法が挙げられる。
処理液の液温度は、20℃〜40℃が好ましい。
〔着色層形成工程〕
着色層形成工程は、保護層上と、開口部に露出し、かつ、処理液を接触させたタッチパネル用配線上と、にまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程である。
本発明の第4の態様に係る製造方法における着色層形成工程は、着色層を設ける、保護層の開口部に露出したタッチパネル用配線が、特定アゾール化合物を含有する処理液に接触したものである点以外は、本発明の第1の態様に係る製造方法における着色層形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
〔着色パターン形成工程〕
本発明の第4の態様に係る製造方法における着色パターン形成工程は、本発明の第1の態様に係る製造方法における着色パターン形成工程と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
なお、本発明の第4の態様に係る製造方法において、各工程で設けられる層を形成するための材料等は、本発明の第1の態様に係る製造方法において、各工程で設けられる層を形成するための材料等と同義であり、好ましい態様及びその理由も同様である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
《第1の態様の実施例》
[実施例1−1〜19−1及び比較例1−1〜3−1]
<感光性層形成用組成物の調製>
感光性層用転写フィルムの感光性層を形成するための材料(即ち、感光性層形成用組成物、固形分:28.85質量%)を調製した。具体的には、下記の組成の成分を撹拌混合した後、得られた混合液を、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(孔径:0.3μm)を用いて濾過することにより調製した。
−感光性層形成用組成物の組成−
(ラジカル重合性モノマー)
・A−DCP(商品名、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、新中村化学工業(株);2官能モノマー)
5.84質量%
・アロニックス(登録商標) TO−2349(商品名、カルボキシ基含有モノマー、東亜合成(株);5官能モノマーと6官能モノマーとの混合物)
1.22質量%
・8UX−015A(商品名、ウレタンアクリレート、大成ファインケミカル(株);15官能モノマー)
2.92質量%
(ラジカル重合開始剤)
・IRGACURE(登録商標) OXE−02(商品名、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム、BASF社;オキシム系光重合開始剤)
0.10質量%
・IRGACURE(登録商標) 907(商品名、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、BASF社;α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤)
0.20質量%
(バインダー)
・重合体D(酸価:95mgKOH/g)の固形分36.3質量%溶液
43.56質量%
(熱架橋性化合物)
・デュラネート(登録商標) X3071.04(商品名、ヘキサメチレンジイソシアネート系のブロックイソシアネート化合物、旭化成ケミカルズ(株))
4.83質量%
(界面活性剤)
・メガファック(登録商標) F−551(商品名、DIC社)
0.05質量%
(溶剤)
・メチルエチルケトン 42.05質量%
(重合体Dの固形分36.3質量%溶液の準備)
感光性層形成用組成物の調製では、バインダーとして、下記の構造を有する重合体Dの固形分36.3質量%溶液(溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を用いた。重合体Dにおいて、各構成単位の右下の数値は、各構成単位の含有比率(モル%)を示す。
重合体Dの固形分36.3質量%溶液は、下記に示す重合工程及び付加工程により準備した。
−重合工程−
2000mLのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(三和化学産業(株)、商品名:PGM−Ac)60g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(三和化学産業(株)、商品名:PGM)240gを導入した。得られた液体を、撹拌速度250rpm(round per minute;以下同じ。)で撹拌しつつ90℃に昇温した。
滴下液(1)の調製として、メタクリル酸(三菱ケミカル(株)、商品名:アクリエステルM)107.1g、メタクリル酸メチル(三菱ガス化学(株)、商品名:MMA)5.46g、及びシクロヘキシルメタクリレート(三菱ガス化学(株)、商品名:CHMA)231.42gを混合し、PGM−Ac 60gで希釈することにより、滴下液(1)を得た。
滴下液(2)の調製として、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)、商品名:V−601)9.637gをPGM−Ac 136.56gで溶解させることにより、滴下液(2)を得た。
滴下液(1)と滴下液(2)とを同時に3時間かけて、上述した2000mLのフラスコ(詳細には、90℃に昇温された液体が入った2000mLのフラスコ)に滴下した。次に、滴下液(1)の容器をPGM−Ac 12gで洗浄し、洗浄液を上記2000mLのフラスコに滴下した。次に、滴下液(2)の容器をPGM−Ac 6gで洗浄し、洗浄液を上記2000mLのフラスコに滴下した。これらの滴下中、上記2000mLのフラスコ内の反応液を90℃に保ち、撹拌速度250rpmで撹拌した。更に、後反応として、90℃で1時間撹拌した。
後反応後の反応液に、開始剤の追加添加1回目として、V−601の2.401gを添加した。更に、V−601の容器をPGM−Ac 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。その後、90℃で1時間撹拌した。
次に、開始剤の追加添加2回目として、V−601の2.401gを反応液に添加した。更にV−601の容器をPGM−Ac 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。その後90℃で1時間撹拌した。
次に、開始剤の追加添加3回目として、V−601の2.401gを反応液に添加した。更に、V−601の容器をPGM−Ac 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。その後90℃で3時間撹拌した。
−付加工程−
90℃で3時間撹拌後、PGM−Ac 178.66gを反応液へ導入した。次に、テトラエチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業(株))1.8gとハイドロキノンモノメチルエーテル(和光純薬工業(株))0.8gとを反応液に添加した。更にそれぞれの容器をPGM−Ac 6gで洗浄し、洗浄液を反応液へ導入した。その後、反応液の温度を100℃まで昇温させた。
次に、グリシジルメタクリレート(日油(株)、商品名:ブレンマーG)76.03gを1時間かけて反応液に滴下した。ブレンマーGの容器をPGM−Ac 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。この後、付加反応として、100℃で6時間撹拌した。
次に、反応液を冷却し、ゴミ取り用のメッシュフィルター(100メッシュ)でろ過し、重合体Dの溶液を1158g得た(固形分濃度:36.3質量%)。得られた重合体Dの重量平均分子量は27000、数平均分子量は15000、酸価は95mgKOH/gであった。

<感光性層用転写フィルムの作製>
仮支持体としての厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に、スリット状ノズルを用いて、感光性層形成用組成物を塗布して塗膜を得た後、100℃の乾燥温度にて乾燥させることにより、感光性層を形成した。ここで、感光性層形成用組成物の塗布量は、乾燥後の膜厚が8.0μmになるように調整した。
次に、仮支持体上に形成した感光性層の上に、保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着することにより、保護フィルム/感光性層/仮支持体の積層構造を有する感光性層用転写フィルムを得た。
<着色層用転写フィルムの作製>
着色層用転写フィルムは、国際公開2016/088609号の段落[0140]〜[0146]の記載の方法に従って作製した。
具体的には、仮支持体としての厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に、スリット状ノズルを用いて、下記の組成の熱可塑性樹脂層形成用組成物を塗布して塗膜を得た後、100℃の乾燥温度にて乾燥させることにより、熱可塑性樹脂層を形成した。ここで、熱可塑性樹脂層形成用組成物の塗布量は、乾燥後の膜厚が15.1μmになるように調整した。
次いで、形成した熱可塑性樹脂層の面上に、スリット状ノズルを用いて、下記の組成の中間層形成用組成物を塗布して塗膜を得た後、100℃の乾燥温度にて乾燥させることにより、中間層を形成した。ここで、中間層形成用組成物の塗布量は、乾燥後の膜厚が1.6μmになるように調整した。
次いで、形成した中間層の面上に、スリット状ノズルを用いて、下記の組成の着色層形成用組成物を塗布して塗膜を得た後、100℃の乾燥温度にて乾燥させることにより、着色層を形成した。ここで、着色層形成用組成物の塗布量は、乾燥後の膜厚が2.0μmになるように調整した。
次に、着色層の上に、保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着することにより、保護フィルム/着色層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体の積層構造を有する着色層用転写フィルムを得た。
(熱可塑性樹脂層形成用組成物の調製)
下記の組成の成分を撹拌混合した後、得られた混合液を、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(孔径:0.3μm)を用いて濾過することにより、熱可塑性樹脂層形成用組成物を調製した。
−熱可塑性樹脂層形成用組成物の組成−
・メタノール 11.10質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
6.36質量部
・メチルエチルケトン 52.40質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合比(モル比):55/11.7/4.5/28.8、重量平均分子量:10万、Tg≒70℃)
5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合比(モル比):63/37、重量平均分子量:1万、Tg≒100℃)
13.60質量部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株))
9.10質量部
・フッ素系ポリマー(商品名:メガファック(登録商標) F−780−F、DIC(株))
0.54質量部
(中間層形成用組成物の調製)
下記の組成の成分を撹拌混合した後、得られた混合液を、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(孔径:0.3μm)を用いて濾過することにより、中間層形成用組成物を調製した。
−中間層形成用組成物の組成−
・ポリビニルアルコール(商品名:PVA205、ケン化度:88%、重合度:550、(株)クラレ)
32.20質量部
・ポリビニルピロリドン(商品名:K−30、アイエスピー・ジャパン社)
14.90質量部
・蒸留水 524.00質量部
・メタノール 429.00質量部
(着色層形成用組成物の調製)
下記の組成の成分を撹拌混合した後、得られた混合液を、ポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(孔径:0.3μm)を用いて濾過することにより、着色層形成用組成物を調製した。
−着色層形成用組成物の組成−
・以下に示す黒色顔料分散液 137.4質量部
・ジペンタエリスリトール(ペンタ/ヘキサ)アクリレート(商品名:KAYARAD(登録商標) DPHA、日本化薬(株)、重合性モノマー)
19.5質量部
・トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:A−DCP、新中村化学工業(株)、重合性モノマー)
6.5質量部
・シクロヘキシルメタクリレート(a)/メチルメタクリレート(b)/メタクリル酸(c)共重合体のグリシジルメタクリレート付加物(d)〔(組成比(質量%):(a)/(b)/(c)/(d)=46/1/10/43、重量平均分子量:36000、酸価:66mgKOH/g)の1−メトキシ−2−プロパノール/メチルエチルケトン溶液、固形分量:45質量%、バインダー〕
81.2質量部
・1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE−01、BASF社、重合開始剤)
9.2質量部
・フェノチアジン(重合禁止剤) 0.2質量部
・界面活性剤(商品名:メガファック(登録商標) F−554、DIC(株))
0.4質量部
・1−メトキシ−2−プロピルアセテート 236.7質量部
・メチルエチルケトン 321.3質量部
−黒色顔料分散液の組成−
・以下の方法により作製した樹脂被覆カーボンブラック
13.10質量%
・下記構造の分散剤1 0.65質量%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(=72/28[モル比])ランダム共重合体、重量平均分子量:3.7万)
6.72質量%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
79.53質量%

(樹脂被覆カーボンブラックの調製)
特許第5320652号公報の段落[0036]〜[0042]の記載の方法に従って、特許第5320652号公報の実施例2の樹脂被覆カーボンブラックを得た。
<評価用積層体の作製>
厚さ200μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを透明な基板として準備した。次いで、基板の片面に、酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明導電膜をスパッタリング法で200nmの厚みで形成した。次に、透明電極膜の上に銅膜をスパッタリング法で500nmの厚みで形成し、銅膜/透明導電膜/基板の積層構造を有する導電性フィルムを作製した。
次いで、1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像可能なネガタイプのアクリル系感光性層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚さ1μmのレジスト層を、上記にて作製した導電性フィルムの銅膜の表面に転写し、レジスト層/銅膜/透明導電膜/基板の積層構造を有する第1の積層体を得た。次に、得られた第1の積層体のレジスト層側の面から、マスクを介して、メタルハライドランプを用いた露光を行った後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸して、レジスト層に現像処理を施した。
次いで、エッチング液である塩化第二鉄水溶液を用いて、パターン化されたレジスト層が積層されていない部分の酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明導電膜と、銅膜とを同時にエッチング除去した後、剥離液を用いてレジスト層を剥離した。
その結果、透明な基板上に透明導電膜及び銅膜(配線)が、銅膜を露出させて形成されたタッチパネル用基板が得られた。
次に、上記にて作製した感光性層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した感光性層用転写フィルムを、上記にて得られたタッチパネル用基板にラミネートすることにより、銅膜の表面に転写フィルムの感光性層を転写し、仮支持体/感光性層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第2の積層体を得た。
ラミネートの条件は、タッチパネル用基板の温度40℃、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件とした。ここで、銅膜は、タッチパネルの配線を想定した膜である。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスク(保護層形成用パターンを有する石英露光マスク)面と仮支持体の面との間の距離を125μmに設定し、第2の積層体の感光性層を、仮支持体を介して、露光量100mJ/cm(i線)の条件でパターン露光した。
露光後、第2の積層体から仮支持体を剥離した。
次に、仮支持体が剥離された第2の積層体の感光性層を現像するための現像液として、下記の表3に示す組成の現像液A−1〜A−19及びa−1〜a−3を調製した。具体的には、イオン交換水の中に、イオン交換水以外の成分(例えば、現像液A−1〜A−19では、炭酸水素ナトリウム及び特定アゾール化合物)を添加し、30分間撹拌混合することにより、現像液を調製した。
次いで、仮支持体が剥離された第2の積層体の感光性層を、上記にて調製した現像液(液温:26℃)を用いて40秒間シャワー現像した。現像後、純水で洗浄し、次いで、エアを吹きかけて水分を除去し、80℃で1分間の加熱処理を行うことにより、開口部を有する保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体を得た。なお、保護層の開口部では、銅膜の一部が露出している。
次に、上記にて作製した着色層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した着色層用転写フィルムを、着色層の表面と、上記にて現像による感光性層の除去により露出した銅膜及び保護層の表面と、が接するように重ね合わせ、ラミネートすることにより、銅膜及び保護層の表面に、着色層用転写フィルムの着色層を転写し、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体(但し、保護層の開口部の積層構造は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)である。)を得た。
ラミネートは、ラミネーター(型式:LamicII、(株)日立インダストリイズ)を用い、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にて行った。
次に、第3の積層体から仮支持体(即ち、着色層用転写フィルムの仮支持体)を剥離した。
剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスクの面と熱可塑性樹脂層の面との間の距離を125μmに設定し、第3の積層体の着色層を露光量100mJ/cm(i線)の条件で露光した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液にてシャワー現像して、保護層上の一部の領域に着色パターンを形成した。次いで、純水で洗浄し、その後、オーブンにて145℃の温度で30分間加熱(ポストベーク)処理を行うことにより、着色パターン/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有し、かつ、保護層の開口部に銅膜の一部が露出した評価用積層体を得た。
〔評価〕
1.着色層の現像残渣
上記にて得られた評価用積層体について、銅膜の表面を、光学顕微鏡(倍率:50倍)を用いて観察し、以下の評価基準に基づき、着色層の現像残渣を評価した。結果を表3に示す。なお、評価結果が「1」、「2」、「3」、及び「4」であれば、実用上許容される範囲内であると判断した。
(評価基準)
1:保護層の開口部における現像残渣の密度が、0個/cmであった。
2:保護層の開口部における現像残渣の密度が、1個/cmであった。
3:保護層の開口部における現像残渣の密度が、2個/cmであった。
4:保護層の開口部における現像残渣の密度が、3個/cm以上9個/cm以下あった。
5:保護層の開口部における現像残渣の密度が、10個/cm以上であった。
2.銅の変色
上記にて得られた評価用積層体について、保護層の開口部に露出した銅膜の表面を、光学顕微鏡(倍率:50倍)を用いて観察し、以下の評価基準に基づき、銅の変色を評価した。結果を表3に示す。なお、評価結果が「1」、「2」、又は「3」であれば、実用上許容される範囲内であると判断した。
(評価基準)
1:変色した部分が全く確認されなかった。
2:変色した部分の割合が、露出した銅膜の表面の10%以下であった。
3:変色した部分の割合が、露出した銅膜の表面の10%を超えて、80%以下であった。
4:変色した部分の割合が、露出した銅膜の表面の80%を超えていた。

表3における各成分の欄に記載の「−」は、その成分を含有しないことを示す。
表3に記載の各成分の詳細は、以下のとおりである。
<特定アゾール化合物>
・ベンゾイミダゾール(東京化成工業(株))
・1,2,3−ベンゾトリアゾール(商品名:BT−120、城北化学工業(株))
・1,2,4−トリアゾール(東京化成工業(株))
・5−アミノ−1H−テトラゾール(商品名:HAT、東洋紡(株))
・2−アミノベンゾチアゾール(東京化成工業(株))
・2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(東京化成工業(株))
<その他>
・EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)
・ポリオキシエチレンラウリルアミン(商品名:パイオニン D−3110、アミン系界面活性剤、竹本油脂(株))
表3に示すように、特定アゾール化合物を含有する現像液A−1〜A−19を用いた実施例1−1〜19−1では、銅の変色及び着色層の現像残渣の発生の両方を良好に抑制することができた。
一方、表3に示すように、特定アゾール化合物を含有しない現像液a−1を用いた比較例1−1では、銅の変色及び着色層の現像残渣が顕著に認められた。
EDTAを含有する現像液a−2を用いた比較例2−1及びポリオキシエチレンラウリルアミンを含有する現像液a−3を用いた比較例3−1では、着色層の現像残渣の発生を抑制することができたものの、銅の変色が顕著に認められた。
特定アゾール化合物として、共役酸のpKaが4.00以下である特定アゾール化合物を含有する現像液を用いた実施例(例えば、実施例3−1、実施例9−1、実施例18−1、及び実施例19−1)では、共役酸のpKaが4.00を超える特定アゾール化合物を含有する現像液を用いた実施例(例えば、実施例15−1及び実施例17−1)と比較して、着色層の現像残渣の発生がより抑制されていた。
トリアゾール化合物を含有する現像液を用いた実施例(例えば、実施例3−1及び実施例19−1)、及びテトラゾール化合物を含有する現像液を用いた実施例(例えば、実施例9−1)は、イミダゾール化合物を含有する現像液を用いた実施例(例えば、実施例15−1)、チアゾール化合物を含有する現像液を用いた実施例(例えば、実施例17−1)、及びチアジアゾール化合物を含有する現像液を用いた実施例(例えば、実施例18−1)と比較して、銅の変色及び着色層の現像残渣の発生の両立という点で、より優れていた。
[実施例101−1〜119−1及び比較例101−1〜103−1]
実施例101−1〜119−1及び比較例101−1〜103−1では、保護フィルム/感光性層/仮支持体の積層構造を有する感光性層転写フィルムを、保護フィルム/屈折率調整層/感光性層/仮支持体の積層構造を有する転写フィルムに変更したこと以外は、実施例1−1〜19−1及び比較例1−1〜3−1の各々と同様の操作を行い、銅の変色及び着色層の現像残渣の評価試験を行った。
実施例101−1〜119−1及び比較例101−1〜103−1では、屈折率調整層の材料として、表4に示す組成の材料B−1を用いた。
実施例101−1〜119−1及び比較例101−1〜103−1において、保護フィルム/屈折率調整層/感光性層/仮支持体の積層構造を有する転写フィルムは、以下のようにして作製した。
仮支持体としての厚さ16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に、スリット状ノズルを用いて、既述の感光性層形成用組成物を塗布して塗膜を得た。得られた塗膜を100℃の乾燥温度で乾燥させることにより、感光性層を形成した。ここで、感光性層形成用組成物の塗布量は、乾燥後の膜厚が8.0μmになるように調整した。
次に、感光性層上に、スリット状ノズルを用いて、屈折率調整層形成用組成物である材料B−1を塗布して塗膜を得た。得られた塗膜を100℃の乾燥温度で乾燥させることにより、屈折率調整層を形成した。ここで、材料B−1の塗布量は、乾燥後の膜厚(屈折率調整層の膜厚)が約80nmになるように調整した。形成された屈折率調整層の屈折率は、1.68であった。
次に、屈折率調整層の上に、保護フィルム(厚さ12μmのポリプロピレンフィルム)を圧着することにより、保護フィルム/屈折率調整層/感光性層/仮支持体の積層構造を有する転写フィルムを得た。
実施例101−1〜119−1及び比較例101−1〜103−1において、転写フィルムのラミネートは、上記の転写フィルムから保護フィルムを剥離して屈折率調整層を露出させ、屈折率調整層が露出した転写フィルムを用いて行った。
評価試験の結果を表5に示す。
[実施例120−1]
実施例120−1では、屈折率調整層形成用組成物である材料B−1を、表4に示す組成の材料B−2に変更したこと以外は、実施例103−1と同様の操作を行った。
評価試験の結果を表5に示す。


表5に示すように、保護フィルム/屈折率調整層/感光性層/仮支持体の積層構造を有する転写フィルムを用いた実施例101−1〜119−1及び比較例101−1〜103−1においても、それぞれ実施例1−1〜19−1及び比較例1−1〜3−1と同様の結果が得られた。
屈折率調整層形成用組成物として材料B−1を用いた実施例103−1と、屈折率調整層形成用組成物として材料B−2を用いた実施例120−1と、では同様の結果が得られた。
以上のことから、タッチパネル用配線と感光性層との間に屈折率調整層が存在する場合においても、銅の変色と、着色層の現像残渣の発生と、が抑制されることが確認された。
このような結果が得られた理由としては、屈折率調整層が非常に薄い膜であるため、感光性層の非露光部を現像により除去する際に、現像液に含有される特定アゾール化合物が屈折率調整層を透過し、銅に接触したためではないかと推測される。
《第2の態様の実施例》
[実施例1−2〜30−2、比較例1−2、及び比較例2−2]
<感光性層用転写フィルムの作製>
上述した第1の態様の実施例における感光性層用転写フィルムの作製と同様の操作を行い、感光性層用転写フィルムを得た。
<着色層用転写フィルムの作製>
上述した第1の態様の実施例における着色層用転写フィルムの作製と同様の操作を行い、着色層用転写フィルムを得た。
<剥離液の調製>
レジスト層を剥離するための剥離液として、下記の表6に示す組成の剥離液を調製した。具体的には、イオン交換水の中に、イオン交換水以外の成分(例えば、実施例1−2〜30−2における剥離液では、アミン化合物及び特定アゾール化合物)を添加し、30分間撹拌混合することにより、剥離液を調製した。
<評価用積層体の作製>
厚さ200μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを透明な基板として準備した。次いで、基板の片面に、酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明導電膜をスパッタリング法で200nmの厚みで形成した。次に、透明電極膜の上に銅膜をスパッタリング法で200nmの厚みで形成し、銅膜/透明導電膜/基板の積層構造を有する導電性フィルムを作製した。
次いで、1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像可能なネガタイプのアクリル系感光性層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚さ3μmのレジスト層を、上記にて作製した導電性フィルムの銅膜の表面に転写し、レジスト層/銅膜/透明導電膜/基板の積層構造を有する第1の積層体を得た。次に、第1の積層体のレジスト層側の面から、マスクを介して、メタルハライドランプを用いた露光を行った後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸して、レジスト層に現像処理を施した。
次いで、エッチング液である塩化第二鉄水溶液(液温:23℃)を用いて、パターン化されたレジスト層が積層されていない部分の酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明導電膜と、銅膜とをエッチング除去した。次に、導電性フィルム全体を、上記にて調製した剥離液(液温:50℃)に70秒間浸して、レジスト層を剥離した。次いで、純水で20秒間水洗処理した後、自然乾燥を行った。
その結果、透明な基板上に透明導電膜及び銅膜(配線)が、銅膜を露出させて形成されたタッチパネル用基板が得られた。
次に、上記にて作製した感光性層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した感光性層用転写フィルムを、上記にて得られたタッチパネル用基板にラミネートすることにより、銅膜の表面に転写フィルムの感光性層を転写し、仮支持体/感光性層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第2の積層体を得た。
ラミネートの条件は、タッチパネル用基板の温度40℃、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件とした。ここで、銅膜は、タッチパネルの配線を想定した膜である。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスク(保護層形成用パターンを有する石英露光マスク)面と仮支持体の面との間の距離を125μmに設定し、第2の積層体の感光性層を、仮支持体を介して、露光量100mJ/cm(i線)の条件でパターン露光した。
露光後、第2の積層体から仮支持体を剥離した。
次いで、仮支持体が剥離された第2の積層体の感光性層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(液温:26℃)を用いて40秒間シャワー現像した。現像後、純水で洗浄し、次いで、エアを吹きかけて水分を除去し、80℃で1分間の加熱処理を行うことにより、開口部を有する保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体を得た。なお、保護層の開口部では、銅膜の一部が露出している。
次に、上記にて作製した着色層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した着色層用転写フィルムを、着色層の表面と、上記にて現像による感光性層の除去により露出した銅膜及び保護層の表面と、が接するように重ね合わせ、ラミネートすることにより、銅膜及び保護層の表面に、着色層用転写フィルムの着色層を転写し、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体(但し、保護層の開口部の積層構造は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)である。)を得た。
ラミネートは、ラミネーター(型式:LamicII、(株)日立インダストリイズ)を用い、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にて行った。
次に、第3の積層体から仮支持体(即ち、着色層用転写フィルムの仮支持体)を剥離した。
剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスクの面と熱可塑性樹脂層の面との間の距離を125μmに設定し、第3の積層体の着色層を露光量100mJ/cm(i線)の条件で露光した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液にてシャワー現像して、保護層上の一部の領域に着色パターンを形成した。次いで、純水で洗浄し、その後、オーブンにて145℃の温度で30分間加熱(ポストベーク)処理を行うことにより、着色パターン/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有し、かつ、保護層の開口部に銅膜の一部が露出した評価用積層体を得た。
〔評価〕
1.着色層の現像残渣
上記にて得られた評価用積層体について、銅膜の表面を、光学顕微鏡(倍率:50倍)を用いて観察し、第1の態様の実施例と同様の評価基準に基づき、着色層の現像残渣を評価した。結果を表6に示す。なお、評価結果が「1」、「2」、「3」、及び「4」であれば、実用上許容される範囲内であると判断した。
2.銅の変色
上記にて得られた評価用積層体について、保護層の開口部に露出した銅膜の表面を、光学顕微鏡(倍率:50倍)を用いて観察し、第1の態様の実施例と同様の評価基準に基づき、銅の変色を評価した。結果を表6に示す。なお、評価結果が「1」、「2」、又は「3」であれば、実用上許容される範囲内であると判断した。

表6における各成分の欄に記載の「−」は、その成分を含有しないことを示す。
表6に記載の各成分の詳細は、以下のとおりである。
<特定アゾール化合物>
・ベンゾイミダゾール(東京化成工業(株))
・1,2,3−ベンゾトリアゾール(商品名:BT−120、城北化学工業(株))
・1,2,4−トリアゾール(東京化成工業(株))
・5−アミノ−1H−テトラゾール(商品名:HAT、東洋紡(株))
<その他>
・ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル(商品名:パイオニン(登録商標)D−6112−W、アリールフェニルエーテル型界面活性剤、竹本油脂(株))
表6に示すように、特定アゾール化合物を含有する剥離液を用いた実施例1−2〜30−2では、銅の変色及び着色層の現像残渣の発生の両方を良好に抑制することができた。
一方、表6に示すように、特定アゾール化合物を含有しない剥離液を用いた比較例1−2では、銅の変色及び着色層の現像残渣が顕著に認められた。また、特定アゾール化合物の代わりにポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテルを含有する剥離液を用いた比較例2−2では、着色層の現像残渣の発生をわずかに抑制することができたものの、銅の変色が顕著に認められた。
特定アゾール化合物として、共役酸のpKaが4.00以下である特定アゾール化合物を含有する剥離液を用いた実施例(例えば、実施例3−2、実施例10−2、及び実施例17−2)では、共役酸のpKaが4.00を超える特定アゾール化合物を含有する剥離液を用いた実施例(例えば、実施例24−2)と比較して、着色層の現像残渣の発生及び銅の変色がより抑制されていた。
テトラゾール化合物を含有する剥離液を用いた実施例(例えば、実施例3−2)、並びにトリアゾール化合物を含有する剥離液を用いた実施例(例えば、実施例10−2及び実施例17−2)は、イミダゾール化合物を含有する剥離液を用いた実施例(例えば、24−2)と比較して、着色層の現像残渣の発生及び銅の変色がより抑制されていた。
《第3の態様の実施例》
[実施例1−3及び2−3]
<感光性層用転写フィルムの作製>
上述した第1の態様の実施例における感光性層用転写フィルムの作製と同様の操作を行い、感光性層用転写フィルムを得た。
<着色層用転写フィルムの作製>
上述した第1の態様の実施例における着色層用転写フィルムの作製と同様の操作を行い、着色層用転写フィルムを得た。
<剥離液の調製>
銅膜の表面を処理するための処理液として、下記の表7に示す組成の処理液を調製した。具体的には、イオン交換水の中に特定アゾール化合物を添加し、30分間撹拌混合することにより、処理液を調製した。
<評価用積層体の作製>
厚さ200μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを透明な基板として準備した。次いで、基板の片面に、酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明導電膜をスパッタリング法で200nmの厚みで形成した。次に、透明電極膜の上に銅膜をスパッタリング法で200nmの厚みで形成し、銅膜/透明導電膜/基板の積層構造を有する導電性フィルムを作製した。
次いで、1質量%炭酸ナトリウム水溶液によって現像可能なネガタイプのアクリル系感光性層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚さ3μmのレジスト層を、上記にて作製した導電性フィルムの銅膜の表面に転写し、レジスト層/銅膜/透明導電膜/基板の積層構造を有する第1の積層体を得た。次に、第1の積層体のレジスト層側の面から、マスクを介して、メタルハライドランプを用いた露光を行った後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸して、レジスト層に現像処理を施した。
次いで、エッチング液である塩化第二鉄水溶液を用いて、パターン化されたレジスト層が積層されていない部分の酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明導電膜と、銅膜とを同時にエッチング除去した後、剥離液である10質量%N−メチルエタノールアミン水溶液(液温:50℃)に70秒間浸して、レジスト層を剥離した。次いで、純水に20秒間浸して水洗処理した後、自然乾燥を行った。
その結果、透明な基板上に透明導電膜及び銅膜(配線)が、銅膜を露出させて形成されたタッチパネル用基板が得られた。
次に、タッチパネル用基板を、上記にて調製した特定アゾール化合物を含有する処理液(液温:23℃)に70秒間浸して、露出した銅膜の表面を処理した。次いで、純水に20秒間浸して水洗処理した後、自然乾燥を行った。
次に、上記にて作製した感光性層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した感光性層用転写フィルムを、タッチパネル用基板にラミネートすることにより、特定アゾール化合物を含有する処理液を用いて処理した銅膜の表面に、転写フィルムの感光性層を転写し、仮支持体/感光性層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第2の積層体を得た。
ラミネートの条件は、タッチパネル用基板の温度40℃、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件とした。ここで、銅膜は、タッチパネルの配線を想定した膜である。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスク(保護層形成用パターンを有する石英露光マスク)面と仮支持体の面との間の距離を125μmに設定し、第2の積層体の感光性層を、仮支持体を介して、露光量100mJ/cm(i線)の条件でパターン露光した。
露光後、第2の積層体から仮支持体を剥離した。
次いで、仮支持体が剥離された第2の積層体の感光性層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(液温:26℃)を用いて40秒間シャワー現像した。現像後、純水で洗浄し、次いで、エアを吹きかけて水分を除去し、80℃で1分間の加熱処理を行うことにより、開口部を有する保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体を得た。なお、保護層の開口部では、銅膜の一部が露出している。
次に、上記にて作製した着色層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した着色層用転写フィルムを、着色層の表面と、上記にて現像による感光性層の除去により露出した銅膜及び保護層の表面と、が接するように重ね合わせ、ラミネートすることにより、銅膜及び保護層の表面に、着色層用転写フィルムの着色層を転写し、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体(但し、保護層の開口部の積層構造は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)である。)を得た。
ラミネートは、ラミネーター(型式:LamicII、(株)日立インダストリイズ)を用い、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にて行った。
次に、第3の積層体から仮支持体(即ち、着色層用転写フィルムの仮支持体)を剥離した。
剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスクの面と熱可塑性樹脂層の面との間の距離を125μmに設定し、第3の積層体の着色層を露光量100mJ/cm(i線)の条件で露光した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液にてシャワー現像して、保護層上の一部の領域に着色パターンを形成した。次いで、純水で洗浄し、その後、オーブンにて145℃の温度で30分間加熱(ポストベーク)処理を行うことにより、着色パターン/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有し、かつ、保護層の開口部に銅膜の一部が露出した評価用積層体を得た。
《第4の態様の実施例》
[実施例1−4及び2−4]
<感光性層用転写フィルムの作製>
上述した第1の態様の実施例における感光性層用転写フィルムの作製と同様の操作を行い、感光性層用転写フィルムを得た。
<着色層用転写フィルムの作製>
上述した第1の態様の実施例における着色層用転写フィルムの作製と同様の操作を行い、着色層用転写フィルムを得た。
<剥離液の調製>
銅膜の表面を処理するための処理液として、下記の表7に示す組成の処理液を調製した。具体的には、イオン交換水の中に特定アゾール化合物を添加し、30分間撹拌混合することにより、処理液を調製した。
<評価用積層体の作製>
実施例1−3と同様の操作を行い、透明な基板上に透明導電膜及び銅膜(配線)が、銅膜を露出させて形成されたタッチパネル用基板を得た。
次に、上記にて作製した感光性層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した感光性層用転写フィルムを、タッチパネル用基板にラミネートすることにより、銅膜の表面に転写フィルムの感光性層を転写し、仮支持体/感光性層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第2の積層体を得た。
ラミネートの条件は、タッチパネル用基板の温度40℃、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件とした。ここで、銅膜は、タッチパネルの配線を想定した膜である。
次に、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスク(保護層形成用パターンを有する石英露光マスク)面と仮支持体の面との間の距離を125μmに設定し、第2の積層体の感光性層を、仮支持体を介して、露光量100mJ/cm(i線)の条件でパターン露光した。
露光後、第2の積層体から仮支持体を剥離した。
次いで、仮支持体が剥離された第2の積層体の感光性層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(液温:26℃)を用いて40秒間シャワー現像した。現像後、純水で洗浄し、次いで、エアを吹きかけて水分を除去し、80℃で1分間の加熱処理を行うことにより、開口部を有する保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体を得た。なお、保護層の開口部では、銅膜の一部が露出している。
次に、第3の積層体を、上記にて調製した特定アゾール化合物を含有する処理液(液温:23℃)に70秒間浸して、保護層の開口部に露出した銅膜の表面を処理した。次いで、純水に20秒間浸して水洗処理した後、自然乾燥を行った。
次に、上記にて作製した着色層用転写フィルムから保護フィルムを剥離し、保護フィルムを剥離した着色層用転写フィルムを、着色層の表面と、上記にて現像による感光性層の除去により露出した銅膜及び保護層の表面と、が接するように重ね合わせ、ラミネートすることにより、特定アゾール化合物を含有する処理液を用いて処理された銅膜の表面、及び保護層の表面に、着色層用転写フィルムの着色層を転写し、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有する第3の積層体(但し、保護層の開口部の積層構造は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/着色層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)である。)を得た。
ラミネートは、ラミネーター(型式:LamicII、(株)日立インダストリイズ)を用い、ゴムローラー温度(即ち、ラミネート温度)130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分の条件にて行った。
次に、第3の積層体から仮支持体(即ち、着色層用転写フィルムの仮支持体)を剥離した。
剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株))を用い、露光マスクの面と熱可塑性樹脂層の面との間の距離を125μmに設定し、第3の積層体の着色層を露光量100mJ/cm(i線)の条件で露光した後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液にてシャワー現像して、保護層上の一部の領域に着色パターンを形成した。次いで、純水で洗浄し、その後、オーブンにて145℃の温度で30分間加熱(ポストベーク)処理を行うことにより、着色パターン/保護層/銅膜/透明導電膜/基板(COPフィルム)の積層構造を有し、かつ、保護層の開口部に銅膜の一部が露出した評価用積層体を得た。
〔評価〕
1.着色層の現像残渣
上記にて得られた評価用積層体について、銅膜の表面を、光学顕微鏡(倍率:50倍)を用いて観察し、第1の態様の実施例と同様の評価基準に基づき、着色層の現像残渣を評価した。結果を表7に示す。なお、評価結果が「1」、「2」、「3」、及び「4」であれば、実用上許容される範囲内であると判断した。
2.銅の変色
上記にて得られた評価用積層体について、保護層の開口部に露出した銅膜の表面を、光学顕微鏡(倍率:50倍)を用いて観察し、第1の態様の実施例と同様の評価基準に基づき、銅の変色を評価した。結果を表7に示す。なお、評価結果が「1」、「2」、又は「3」であれば、実用上許容される範囲内であると判断した。
表7における各成分の欄に記載の「−」は、その成分を含有しないことを示す。
表7に記載の各成分の詳細は、以下のとおりである。
<特定アゾール化合物>
・1,2,4−トリアゾール(東京化成工業(株))
・5−アミノ−1H−テトラゾール(商品名:HAT、東洋紡(株))
表7に示すように、銅配線パターン形成後、感光性層形成前に、特定アゾール化合物を含有する処理液を用いて、銅膜の表面を処理した実施例1−3及び実施例2−3、並びに、保護層形成後、着色層形成前に、特定アゾール化合物を含有する処理液を用いて、銅膜の表面を処理した実施例1−4及び実施例2−4では、銅の変色及び着色層の現像残渣の発生の両方を非常に良好に抑制することができた。
2016年9月29日に出願された日本国特許出願2016−192276号及び2016年12月26日に出願された日本国特許出願2016−250601号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的に、かつ、個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (22)

  1. 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
    前記タッチパネル用基板の前記タッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
    前記感光性層をパターン露光する工程と、
    パターン露光された前記感光性層を、現像液を用いて現像することにより、前記タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
    前記保護層上と前記開口部に露出した前記タッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
    前記着色層をパターン露光し、現像することにより、前記保護層上に着色パターンを形成し、かつ、前記開口部に前記タッチパネル用配線を露出させる工程と、
    を含み、
    前記着色層を設ける工程の前に、前記タッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を接触させる工程を有するタッチパネルの製造方法。
  2. 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
    前記タッチパネル用基板の前記タッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
    前記感光性層をパターン露光する工程と、
    パターン露光された前記感光性層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する現像液を用いて現像することにより、前記タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
    前記保護層上と前記開口部に露出した前記タッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
    前記着色層をパターン露光し、現像することにより、前記保護層上に着色パターンを形成し、かつ、前記開口部に前記タッチパネル用配線を露出させる工程と、
    を含む請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
  3. 前記イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の共役酸のpKaが、4.00以下である請求項2に記載のタッチパネルの製造方法。
  4. 前記現像液は、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する請求項2又は請求項3に記載のタッチパネルの製造方法。
  5. 前記現像液は、1,2,3−ベンゾトリアゾール及び5−アミノ−1H−テトラゾールから選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  6. 前記現像液中におけるイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、前記現像液の全質量に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下である請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  7. 前記感光性層の厚さが、20μm以下である請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  8. 前記タッチパネル用基板を準備する工程は、基板上に、少なくとも金属膜が配置された配線形成用基板を準備する工程と、
    前記配線形成用基板の前記金属膜が配置された側の面上に、フォトレジスト層を設ける工程と、
    前記フォトレジスト層をパターン露光し、現像することにより、前記フォトレジスト層をパターニングする工程と、
    前記パターニングされたフォトレジスト層が配置されていない基板上の前記金属膜をエッチングする工程と、
    前記金属膜をエッチングした後、前記パターニングされたフォトレジスト層を、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する剥離液を用いて剥離することにより、パターンニングされた金属膜を露出させる工程と、
    を含む請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
  9. 前記イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の共役酸のpKaが、4.00以下である請求項8に記載のタッチパネルの製造方法。
  10. 前記剥離液は、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する請求項8又は請求項9に記載のタッチパネルの製造方法。
  11. 前記剥離液は、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  12. 前記剥離液が、更にアミン化合物を含有する請求項8〜請求項11のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  13. 前記剥離液が、下記の(1)〜(3)の要件を満たす請求項12に記載のタッチパネルの製造方法。
    (1)前記イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、前記剥離液の全質量に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下である。
    (2)前記アミン化合物の含有率が、前記剥離液の全質量に対して、0.1質量%以上33.0質量%以下である。
    (3)水の含有率が、前記剥離液の全質量に対して、65.0質量%以上99.89質量%以下である。
  14. 前記感光性層の厚さが、20μm以下である請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  15. 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
    前記タッチパネル用基板の前記タッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する処理液を接触させる工程と、
    前記タッチパネル用基板の、前記処理液を接触させた前記タッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
    前記感光性層をパターン露光する工程と、
    パターン露光された前記感光性層を、現像液を用いて現像することにより、前記タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
    前記保護層上と前記開口部に露出した前記タッチパネル用配線上とにまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
    前記着色層をパターン露光し、現像することにより、前記保護層上に着色パターンを形成し、かつ、前記開口部に前記タッチパネル用配線を露出させる工程と、
    を含む請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
  16. 前記処理液は、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、及びベンゾイミダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する請求項15に記載のタッチパネルの製造方法。
  17. 前記処理液中におけるイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、前記処理液の全質量に対して、0.1質量%以上2.0質量%以下である請求項15又は請求項16に記載のタッチパネルの製造方法。
  18. 水の含有率が、前記処理液の全質量に対して、80.0質量%以上99.9質量%以下である請求項15〜請求項17のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
  19. 基板上に、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線が配置された構造を有するタッチパネル用基板を準備する工程と、
    前記タッチパネル用基板の前記タッチパネル用配線が配置された側の面上に、ラジカル重合性モノマー及びラジカル重合開始剤を含有する感光性層を設ける工程と、
    前記感光性層をパターン露光する工程と、
    パターン露光された前記感光性層を、現像液を用いて現像することにより、前記タッチパネル用配線の一部を露出させる開口部を有する保護層を形成する工程と、
    前記開口部に露出した前記タッチパネル用配線に、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する処理液を接触させる工程と、
    前記保護層上と、前記開口部に露出し、かつ、前記処理液を接触させた前記タッチパネル用配線上と、にまたがる、着色剤、ラジカル重合性モノマー、及びラジカル重合開始剤を含有する着色層を設ける工程と、
    前記着色層をパターン露光し、現像することにより、前記保護層上に着色パターンを形成し、かつ、前記開口部に前記タッチパネル用配線を露出させる工程と、
    を含む請求項1に記載のタッチパネルの製造方法。
  20. 前記処理液は、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、及びベンゾイミダゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物を含有する請求項19に記載のタッチパネルの製造方法。
  21. 前記処理液中におけるイミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアゾール化合物、及びチアジアゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアゾール化合物の含有率が、前記処理液の全質量に対して、0.1質量%以上2.0質量%以下である請求項19又は請求項20に記載のタッチパネルの製造方法。
  22. 水の含有率が、前記処理液の全質量に対して、80.0質量%以上99.9質量%以下である請求項19〜請求項21のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
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