JP2022156251A - 転写フィルム、積層体の製造方法、導体パターンを有する積層体の製造方法 - Google Patents

転写フィルム、積層体の製造方法、導体パターンを有する積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の被転写物に対する密着性に優れるとともに、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度に優れる転写フィルムを提供する。また、積層体の製造方法及び導体パターンを有する積層体の製造方法を提供する。【解決手段】仮支持体と、感光性層と、を有する転写フィルムであって、上記感光性層は、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含み、上記光重合開始剤が、一般式(a-1)で表される化合物を含む、転写フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、転写フィルム、積層体の製造方法、及び、導体パターンを有する積層体の製造方法に関する。
静電容量型入力装置等のタッチパネルを備えた表示装置(表示装置としては、具体的には、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置等)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分、及び、取り出し配線部分の配線等の導体パターンがタッチパネル内部に設けられている。導体パターン上には、通常、金属の腐食、電極と駆動用回路間の電気抵抗の増加、及び断線といった不具合の防止を目的として、樹脂パターンが保護膜として配置されている。また、上記表示装置のうち、特に液晶表示装置においては、画素間に形成される格子状のブラックマトリックス上にフォトスペーサーとして樹脂パターンが配置されている。
これらの樹脂パターンは、通常、感光性樹脂組成物を使用したフォトリソグラフィー法によって形成されている。
例えば、特許文献1では、アルカリ可溶性樹脂と所定構造のモノマーと光重合開始剤とを含み、且つ、上記アルカリ可溶性樹脂と上記所定構造のモノマーとを所定量比で配合したフォトスペーサー形成用感光性樹脂組成物が開示されている。また、光重合開始剤として、下記構造の化合物が開示されている。
Figure 2022156251000002
ところで、所定のパターンを得るための工程数が少ないことから、仮支持体上に感光性層を配置してなる転写フィルムを使用して樹脂パターンを形成する方法も広く使用されている。転写フィルムを使用した樹脂パターンの形成方法としては、典型的には、転写フィルム中の感光性層を任意の基板(被転写物)に転写して、この感光性層に対してマスクを介して露光した後に現像する形成方法が挙げられる。
国際公開2019/065687号公報
今般、本発明者らは、特許文献1に記載された感光性樹脂組成物を転写フィルムの感光性層として適用してその性能を検討したところ、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜(露光により感光性層が硬化した膜)が被転写物から剥がれる場合があることを明らかとした。換言すると、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の密着性に問題があることを明らかとした。
ところで、感光性層が硬化してなる硬化膜は、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度が高いことも基本性能として求められている。
そこで、上記知見に基づいて、本発明は、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の密着性に優れるとともに、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度に優れる転写フィルムを提供することを課題とする。
また、本発明は、積層体の製造方法及び導体パターンを有する積層体の製造方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕 仮支持体と、感光性層と、を有する転写フィルムであって、
上記感光性層は、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含み、
上記光重合開始剤が、後述する一般式(a-1)で表される化合物を含む、転写フィルム。
〔2〕 上記一般式(a-1)で表される化合物のオキシムエステル価が、2.0×10-3~7.0×10-3mol/gである、〔1〕に記載の転写フィルム。
〔3〕 上記一般式(a-1)において、m+nが1を表し、lが0又は1を表す、〔1〕又は〔2〕に記載の転写フィルム。
〔4〕 上記一般式(a-1)で表される化合物が、後述する一般式(b-1)で表される化合物及び後述する一般式(b-2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔5〕 上記光重合性化合物は、2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の少なくとも1種を含み、
上記2官能の光重合性化合物及び上記3官能の光重合性化合物の合計含有量が、上記光重合性化合物の全質量に対して、40質量%以上である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔6〕 上記2官能の光重合性化合物及び上記3官能の光重合性化合物の合計含有量が、上記光重合性化合物の全質量に対して、45質量%以上である、〔5〕に記載の転写フィルム。
〔7〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の転写フィルムが有する上記仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に接触させて貼り合わせ、上記基板、上記導電層、上記感光性層、及び、上記仮支持体をこの順に有する感光性層付き基板を得る貼合工程と、
上記感光性層をパターン露光する露光工程と、
露光された上記感光性層を現像して、上記導電層を保護する保護膜パターンを形成する現像工程と、
更に、上記貼合工程と上記露光工程との間、又は、上記露光工程と上記現像工程との間に、上記感光性層付き基板から上記仮支持体を剥離する剥離工程と、を有する、積層体の製造方法。
〔8〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の転写フィルムが有する上記仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に接触させ、上記基板、上記導電層、上記感光性層、及び、上記仮支持体をこの順に有する感光性層付き基板を得る貼合工程と、
上記感光性層をパターン露光する露光工程と、
露光された上記感光性層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、
上記樹脂パターンが配置されていない領域における上記導電層をエッチング処理するエッチング工程と、
更に、貼合工程と露光工程との間、又は、露光工程と現像工程との間に、上記感光性層付き基板から仮支持体を剥離する剥離工程と、を含む、導体パターンを有する積層体の製造方法。
本発明によれば、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の密着性が優れるとともに、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度に優れる転写フィルムを提供できる。
また、本発明によれば、積層体の製造方法及び導体パターンを有する積層体の製造方法を提供できる。
第1実施形態の転写フィルムの構成の一例を示す概略図である。 第2実施形態の転写フィルムの構成の一例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本明細書において、「透明」とは、波長400~700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。
本明細書において、可視光の平均透過率は、分光光度計を用いて測定される値であり、例えば、日立製作所株式会社製の分光光度計U-3310を用いて測定できる。
本明細書において、特段の断りのない限り、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、若しくは、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー株式会社製の商品名)、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)、検出器として示差屈折計、及び、標準物質としてポリスチレンを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定した標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある化合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)である。
本明細書において、特段の断りがない限り、金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析装置を用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターを用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、色相は、色差計(CR-221、ミノルタ株式会社製)を用いて測定した値である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロキシ基」は、アクリロキシ基及びメタアクリロキシ基の両方を包含する概念である。
なお、本明細書において、「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
本明細書において「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。したがって、例えば、水溶性樹脂とは、上述の溶解度条件を満たす樹脂を意図する。
本明細書において、組成物の「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層を形成する成分を意味し、組成物が溶剤(有機溶剤、水等)を含む場合、溶剤を除いたすべての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。つまり、組成物層が感光性組成物を用いて形成された感光性層である場合、感光性組成物の溶剤を除くすべての成分が「固形分」に該当する。
本明細書において、酸価(mgKOH/g)とは、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量[mg]である。酸価は、JIS K0070:1992に記載の方法に準じて測定される。
[転写フィルム]
本発明の転写フィルムの特徴点としては、感光性層が、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含み、且つ、上記光重合開始剤が、後述する一般式(a-1)で表される化合物(以下「特定オキシムエステル化合物」ともいう。)を含む点が挙げられる。
本発明の転写フィルムは、上記特徴点を備えることにより、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の密着性が優れるとともに、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度に優れる。
上記構成と効果との作用機序については明らかではないが、本発明者らは以下のように推定している。以下では、仮支持体/感光性層/保護フィルムからなる転写フィルムを例に挙げて推測される作用機序について説明する。
保護フィルムを剥離した転写フィルムを被転写物(例えば、任意の基材)に転写して仮支持体側から光を入射させる露光処理を実施すると、特定オキシムエステル化合物の高い光吸収性に起因して、感光性層の仮支持体側では光重合性化合物が高い反応性を示すのに対して、感光性層の仮支持体とは反対側(換言すると被転写物側)では光重合性化合物の反応性が低いことを明らかとしている。この結果として、感光性層を露光処理して形成される硬化膜は、仮支持体側の表面の硬度が高いと推測される。一方で、被転写物側では、露光処理の際に光重合性化合物が緩く反応するので感光性層が被転写物の形状に追従した状態で硬化し易く、これにより高い密着性を発現すると推測される。
上記特定オキシムエステル化合物の特異的な効果は、実施例欄の実施例及び比較例の対比からも明らかである。
なお、今般の本発明者らの検討により、感光性層は、特定オキシムエステル化合物に起因して、仮支持体側とその反対側とで光重合性化合物の反応性は異なるものの、感光性層全体としては優れた反応性を有していることを確認している。この結果として、特定オキシムエステル化合物を光重合開始剤として使用した感光性層は、透湿度に優れ、導線パターンの保護膜として好適であることも確認している。
以下において、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の密着性がより優れること、及び/又は、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」ともいう。
以下において、本発明の転写フィルムについて説明する。
本発明の転写フィルムは、仮支持体と、感光性層と、を有する。
上記感光性層は、ネガ型感光性層であるのが好ましい。
また、転写フィルムは、典型的には、仮支持体とは反対側の面に保護フィルムを有している。本発明の転写フィルムについても、仮支持体とは反対側の面に保護フィルムを有しているのが好ましい。
また、本発明の転写フィルムは、仮支持体と保護フィルムとの間に、感光性層以外の他の層を含んでいてもよい。他の層としては、熱可塑性樹脂層、中間層、及び、屈折率調整層等が挙げられる。
以下においては、仮支持体と保護フィルムとの間に配置される層を組成物層と称する場合もある。なお、上記組成物層は、感光性層を含めば特に制限されず、単層構成(換言すると感光性層単独の構成)であってもよいし、2層以上の構成であってもよい。上記組成物層が感光性層以外の他の組成物層を含む場合、他の組成物層としては、熱可塑性樹脂層、中間層、屈折率調整層等が挙げられる。
本発明の転写フィルムの態様の一例を以下に示すが、これに制限されない。
(1)「仮支持体/感光性層/屈折率調整層/保護フィルム」
(2)「仮支持体/感光性層/保護フィルム」
(3)「仮支持体/中間層/感光性層/保護フィルム」
(4)「仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性層/保護フィルム」
なお、上記各構成において、感光性層は、ネガ型感光性層であるのが好ましい。また、感光性層が着色樹脂層であることも好ましい。
本発明の転写フィルムは、後述するように配線保護膜用の転写フィルムとして使用されてもよいし、エッチングレジスト用の転写フィルムとして使用されてもよい。
配線保護膜用の転写フィルムとする場合、転写フィルムの構成としては、例えば、上述した(1)又は(2)の構成であるのが好ましい。また、エッチングレジスト用の転写フィルムとする場合、転写フィルムの構成としては、例えば、上述した(2)~(4)の構成であるのが好ましい。
転写フィルムの組成物層において、感光性層の仮支持体側とは反対側に他の組成物層を更に有する構成の場合、感光性層の仮支持体側とは反対側に配置される他の組成物層の合計厚みは、感光性層の厚みに対して、0.1~30%であるのが好ましく、0.1~20%であるのがより好ましい。
後述する貼合工程における気泡発生抑止の観点から、転写フィルムのうねりの最大幅は、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、60μm以下が更に好ましい。なお、うねりの最大幅の下限値としては、0μm以上であり、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
転写フィルムのうねりの最大幅は、以下の手順により測定される値である。
まず、転写フィルムを縦20cm×横20cmのサイズとなるように主面に垂直な方向に裁断し、試験サンプルを作製する。なお、転写フィルムが保護フィルムを有する場合には、保護フィルムを剥離する。次いで、表面が平滑で且つ水平なステージ上に、上記試験サンプルを仮支持体の表面がステージに対向するように静置する。静置後、試験サンプルの中心10cm角の範囲について、試料サンプルの表面をレーザー顕微鏡(例えば、(株)キーエンス社製 VK-9700SP)で走査して3次元表面画像を取得し、得られた3次元表面画像で観察される最大凸高さから最低凹高さを引き算する。上記操作を10個の試験サンプルについて行い、その算術平均値を「転写フィルムのうねり最大幅」とする。
以下において、具体的な実施形態の一例を挙げて、本発明の転写フィルムについて説明する。なお、以下の第1実施形態の転写フィルムは、配線保護膜用の転写フィルムに好適に使用できる構成であり、以下の第2実施形態の転写フィルムは、エッチングレジスト用の転写フィルムに好適に使用できる構成である。
〔第1実施形態の転写フィルム〕
以下において、第1実施形態の転写フィルムの実施形態の一例について説明する。
図1に示す転写フィルム10は、仮支持体1と、感光性層3及び屈折率調整層5を含む組成物層2と、保護フィルム7とを、この順に有する。
なお、図1で示す転写フィルム10は保護フィルム7を配置した形態であるが、保護フィルム7は、配置されなくてもよい。
また、図1で示す転写フィルム10は屈折率調整層5を配置した形態であるが、屈折率調整層5は、配置されなくてもよい。
以下において、転写フィルムを構成する各要素について説明する。
<<仮支持体>>
転写フィルムは、仮支持体を有する。
仮支持体は、組成物層を支持する部材であり、最終的には剥離処理により除去される。
仮支持体は、単層構造であっても、複層構造であってもよい。
仮支持体は、フィルムであることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましい。仮支持体としては、可撓性を有し、且つ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮、又は、伸びを生じないフィルムが好ましい。
上記フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、及び、ポリカーボネートフィルムが挙げられる。
なかでも、仮支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形、及び、傷等がないことが好ましい。
仮支持体は、仮支持体を介してパターン露光できるという点から、透明性が高いことが好ましく、365nmの透過率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体のヘイズは小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のヘイズ値が、2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.1%以下が更に好ましい。
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物、及び、欠陥の数は少ない方が好ましい。仮支持体中における直径1μm以上の微粒子、異物、及び、欠陥の数は、50個/10mm以下が好ましく、10個/10mm以下がより好ましく、3個/10mm以下が更に好ましく、0個/10mmが特に好ましい。
仮支持体の厚みは特に制限されないが、5~200μmが好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の点から、5~150μmがより好ましく、5~50μmが更に好ましく、5~25μmが最も好ましい。
仮支持体の厚みは、SEM(走査型電子顕微鏡:Scanning Electron Microscope)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
仮支持体と組成物層との密着性を向上させるために、仮支持体の組成物層と接する側がUV照射、コロナ放電、プラズマ等により表面改質されていてもよい。
UV照射により表面改質される場合、露光量は10~2000mJ/cmが好ましく、50~1000mJ/cmがより好ましい。
UV照射のための光源としては、150~450nm波長帯域の光を発する低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。光照射量がこの範囲にできる限り、ランプ出力や照度は特に制限はない。
仮支持体としては、例えば、膜厚16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、膜厚12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び、膜厚9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
仮支持体の好ましい形態としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0017]~[0018]、特開2016-027363号公報の段落[0019]~[0026]、国際公開第2012/081680号の段落[0041]~[0057]、及び、国際公開第2018/179370号の段落[0029]~[0040]に記載が挙げられ、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
ハンドリング性を付与する点で、仮支持体の表面に、微小な粒子を含む層(滑剤層)を設けてもよい。滑剤層は仮支持体の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。滑剤層に含まれる粒子の直径は、0.05~0.8μmが好ましい。
また、滑剤層の膜厚は、0.05~1.0μmが好ましい。
仮支持体の市販品としては、ルミラー16KS40、及び、ルミラー16FB40(以上、東レ株式会社製)、並びに、コスモシャインA4100、コスモシャインA4300、及び、コスモシャインA8300(以上、東洋紡株式会社製)が挙げられる。
<<感光性層>>
転写フィルムは、感光性層を有する。
感光性層を被転写物上に転写した後、露光及び現像を行うことにより、被転写物上にパターンを形成できる。
感光性層としては、ネガ型感光性層であるのが好ましい。なお、ネガ型感光性層とは、露光により露光部が現像液に対する溶解性が低下する感光性層である。感光性層がネガ型感光性層である場合、形成されるパターンは硬化層に該当する。
以下、感光性層に含まれ得る成分について詳述する。
<バインダーポリマー>
感光性層は、バインダーポリマーとしてアルカリ可溶性樹脂を含む。感光性層のバインダーポリマーは、その一部がアルカリ可溶性樹脂であってもよいし、すべてがアルカリ可溶性樹脂であってもよい。なお、アルカリ可溶性の定義は既述のとおりである。
感光性層が含み得るバインダーポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、及び、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物との反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーの好適態様の一つとして、アルカリ現像性及びフィルム形成性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位を有する樹脂を意味する。(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位のみで構成されていてもよく、(メタ)アクリル化合物以外の重合性単量体に由来する構成単位を有していてもよい。すなわち、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量の上限は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、100質量%以下である。
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及び、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミドが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有していてもよい。具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、及び、(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数が1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位以外の構成単位を有していてもよい。
上記構成単位を形成する重合性単量体としては、(メタ)アクリル化合物と共重合可能な(メタ)アクリル化合物以外の化合物であれば特に制限されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、及び、α-メチルスチレン等のα位又は芳香族環に置換基を有してもよいスチレン化合物、アクリロニトリル及びビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールエステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、及び、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマル酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、並びに、クロトン酸が挙げられる。
これらの重合性単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、アルカリ現像性をより良好にする点から、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及び、ホスホン酸基が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル樹脂は、カルボキシ基を有する構成単位を有することがより好ましく、上記の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有することが更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における酸基を有する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸に由来する構成単位)の含有量は、現像性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂の全質量に対して、10質量%以上が好ましい。また、上限値は特に制限されないが、アルカリ耐性に優れる点で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50~90質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましく、65~90質量%が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有する樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位のみで構成されている樹脂がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸メチルに由来する構成単位、及び、アクリル酸エチルに由来する構成単位を有するアクリル樹脂も好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、本発明の効果がより優れる点から、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を有することが好ましく、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有することが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂におけるメタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、本発明の効果がより優れる点から、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されず、100質量%以下であってもよく、80質量%以下が好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂は、本発明の効果がより優れる点から、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種と、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種とを有することも好ましい。
本発明の効果がより優れる点から、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量に対して、質量比で60/40~80/20が好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、転写後の感光性層の現像性に優れる点で、末端にエステル基を有することが好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂の末端部は、合成に用いた重合開始剤に由来する部位により構成される。末端にエステル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、エステル基を有するラジカルを発生する重合開始剤を用いることにより合成できる。
また、バインダーポリマーの好適態様の一つとして、例えば、現像性の点から、酸価60mgKOH/g以上の樹脂が挙げられる。上記樹脂としては、なかでも、加熱により架橋成分と熱架橋し、強固な膜を形成しやすいという点から、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有樹脂)であることがより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂)であることが更に好ましい。
カルボキシ基を有する樹脂を使用した場合、例えば、ブロックイソシアネート化合物等の熱架橋性化合物を添加して熱架橋することで、3次元架橋密度を高めることができる。また、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基が無水化され、疎水化すると、湿熱耐性が改善し得る。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて、特に制限はなく、公知の(メタ)アクリル樹脂から適宜選択できる。
例えば、特開2011-095716号公報の段落[0025]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2010-237589号公報の段落[0033]~[0052]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等を好ましく使用できる。
また、バインダーポリマーの好適態様の一つとして、スチレン-アクリル共重合体が挙げられる。
なお、本明細書において、スチレン-アクリル共重合体とは、スチレン化合物に由来する構成単位と、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位とを有する樹脂を指し、上記スチレン化合物に由来する構成単位、及び、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の合計含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
また、スチレン化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、5~80質量%が更に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20~95質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、本発明の効果がより優れる点から、芳香環構造を有することが好ましく、芳香環構造を有する構成単位を有することがより好ましい。
芳香環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、及びスチレントリマー等)が挙げられる。なかでも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び置換又は非置換のベンジル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、及びビニルベンジルアルコール等が挙げられる。なかでも、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、バインダーポリマーは、本発明の効果がより優れる点から、下記式(S)で表される構成単位(スチレンに由来する構成単位)を有することがより好ましい。
Figure 2022156251000003
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~70質量%より好ましく、20~60質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましく、20~50モル%が特に好ましい。
なお、本明細書において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、上記「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本明細書において、上記「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
バインダーポリマーは、本発明の効果がより優れる点から、脂肪族炭化水素環構造を有することが好ましい。つまり、バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有することが好ましい。脂肪族炭化水素環構造としては単環でも多環でもよい。なかでも、バインダーポリマーは、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有することがより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位における脂肪族炭化水素環構造を構成する環としては、トリシクロデカン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ノルボルナン環、及び、イソボロン環が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点から、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環が好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環)がより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、バインダーポリマーは、本発明の効果がより優れる点から、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましく、上記式(S)で表される構成単位、及び、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましい。
Figure 2022156251000004
式(Cy)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、RCyは脂肪族炭化水素環構造を有する一価の基を表す。
式(Cy)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
式(Cy)におけるRCyは、本発明の効果がより優れる点から、炭素数5~20の脂肪族炭化水素環構造を有する一価の基であることが好ましく、炭素数6~16の脂肪族炭化水素環構造を有する一価の基であることがより好ましく、炭素数8~14の脂肪族炭化水素環構造を有する一価の基であることが更に好ましい。
また、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、本発明の効果がより優れる点から、シクロペンタン環構造、シクロヘキサン環構造、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造、ノルボルナン環構造、又は、イソボロン環構造であることが好ましく、シクロヘキサン環構造、又は、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることがより好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることが更に好ましい。
更に、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、本発明の効果がより優れる点から、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造であることが好ましく、2~4環の脂肪族炭化水素環が縮環した環であることがより好ましい。
更に、式(Cy)におけるRCyは、本発明の効果がより優れる点から、式(Cy)における-C(=O)O-の酸素原子と脂肪族炭化水素環構造とが直接結合する基、すなわち、脂肪族炭化水素環基であることが好ましく、シクロヘキシル基、又は、ジシクロペンタニル基であることがより好ましい。
バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、20~70質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(Cy)で表される構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、40~75質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位及び上記式(Cy)で表される構成単位の総含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位のモル量nSと上記式(Cy)で表される構成単位のモル量nCyは、本発明の効果がより優れる点から、下記式(SCy)に示す関係を満たすことが好ましく、下記式(SCy-1)を満たすことがより好ましく、下記式(SCy-2)を満たすことが更に好ましい。
0.2≦nS/(nS+nCy)≦0.8 式(SCy)
0.30≦nS/(nS+nCy)≦0.75 式(SCy-1)
0.40≦nS/(nS+nCy)≦0.70 式(SCy-2)
バインダーポリマーは、本発明の効果がより優れる点から、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、及び、リン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
上記酸基を有する構成単位としては、下記に示す、(メタ)アクリル酸由来の構成単位が好ましく、メタクリル酸由来の構成単位がより好ましい。
Figure 2022156251000005
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが酸基を有する構成単位を有する場合、酸基を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける酸基を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
バインダーポリマーは、本発明の効果がより優れる点から、反応性基を有することが好ましく、反応性基を有する構成単位を有することがより好ましい。
反応性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。また、バインダーポリマーがエチレン性不飽和基を有している場合、バインダーポリマーは、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を有することが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
エチレン性不飽和基としては、アリル基又は(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
反応性基を有する構成単位の一例としては、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2022156251000006
バインダーポリマーは、反応性基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが反応性基を有する構成単位を有する場合、反応性基を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~40質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける反応性基を有する構成単位の含有量は、本発明の効果がより優れる点から、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アセトアセチル基、及び、スルホ基等の官能基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、及び、カルボン酸無水物等の化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段の好ましい例としては、カルボキシ基を有するポリマーを重合反応により合成した後、高分子反応により、得られたポリマーのカルボキシ基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロキシ基をポリマーに導入する手段が挙げられる。この手段により、側鎖に(メタ)アクリロキシ基を有するバインダーポリマーを得ることができる。
上記重合反応は、70~100℃の温度条件で行うことが好ましく、80~90℃の温度条件で行うことがより好ましい。上記重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、例えば、富士フイルム和光純薬(株)製のV-601(商品名)又はV-65(商品名)がより好ましい。上記高分子反応は、80~110℃の温度条件で行うことが好ましい。上記高分子反応においては、アンモニウム塩等の触媒を用いることが好ましい。
バインダーポリマーとしては、本発明の効果がより優れる点から、以下に示すポリマーX1~X4が好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率(a~d)及び重量平均分子量Mw等は目的に応じて適宜変更できるが、本発明の効果がより優れる点で、なかでも、以下の構成であるのが好ましい。
(ポリマーX1) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX2) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX3) a:30~65質量%、b:1.0~20質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX4) a:1.0~20質量%、b:20~60質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
Figure 2022156251000007

Figure 2022156251000008
Figure 2022156251000009

Figure 2022156251000010
また、バインダーポリマーは、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を有する重合体(以下、「重合体X」ともいう。)を含んでいてもよい。
カルボン酸無水物構造は、鎖状カルボン酸無水物構造、及び、環状カルボン酸無水物構造のいずれであってもよいが、環状カルボン酸無水物構造であることが好ましい。
環状カルボン酸無水物構造の環としては、5~7員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましく、5員環が更に好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を2つ除いた2価の基を主鎖中に含む構成単位、又は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を1つ除いた1価の基が主鎖に対して直接又は2価の連結基を介して結合している構成単位であることが好ましい。
Figure 2022156251000011
式P-1中、RA1aは、置換基を表し、n1a個のRA1aは、同一でも異なっていてもよく、Z1aは、-C(=O)-O-C(=O)-を含む環を形成する2価の基を表し、n1aは、0以上の整数を表す。
A1aで表される置換基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。
1aとしては、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のアルキレン基が更に好ましい。
1aは、0以上の整数を表す。Z1aが炭素数2~4のアルキレン基を表す場合、n1aは、0~4の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
1aが2以上の整数を表す場合、複数存在するRA1aは、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在するRA1aは、互いに結合して環を形成してもよいが、互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位としては、不飽和カルボン酸無水物に由来する構成単位が好ましく、不飽和環式カルボン酸無水物に由来する構成単位がより好ましく、不飽和脂肪族環式カルボン酸無水物に由来する構成単位が更に好ましく、無水マレイン酸又は無水イタコン酸に由来する構成単位が特に好ましく、無水マレイン酸に由来する構成単位が最も好ましい。
以下、カルボン酸無水物構造を有する構成単位の具体例を挙げるが、カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、これらの具体例に限定されるものではない。下記の構成単位中、Rxは、水素原子、メチル基、CHOH基、又は、CF基を表し、Meは、メチル基を表す。
Figure 2022156251000012
Figure 2022156251000013
重合体Xにおけるカルボン酸無水物構造を有する構成単位は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
カルボン酸無水物構造を有する構成単位の総含有量は、重合体Xの全構成単位に対して、0~60モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、10~35モル%が更に好ましい。
感光性層は、重合体Xを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
感光性層が重合体Xを含む場合、本発明の効果がより優れる点から、重合体Xの含有量は、感光性層の全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.2~20質量%がより好ましく、0.5~20質量%が更に好ましく、0.8~20質量%が更により好ましく、0.8~10質量%が特に好ましい。
重合体Xの市販品としては、例えば、XIRAN EF-40(Polyscope Polymers B.V.製)を使用できる。
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、本発明の効果がより優れる点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、10,000~50,000が更に好ましく、20,000~30,000が特に好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、10~200mgKOH/gが好ましく、60mg~200mgKOH/gがより好ましく、60~150mgKOH/gが更に好ましく、70~125mgKOH/gが特に好ましい。なお、バインダーポリマーの酸価は、JIS K0070:1992に記載の方法に従って測定される値である。
バインダーポリマーの分散度は、現像性の観点から、1.0~6.0が好ましく、1.0~5.0がより好ましく、1.0~4.0が更に好ましく、1.0~3.0が特に好ましい。
感光性層は、バインダーポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。但し、感光性層中のバインダーポリマーの一部又は全部がアルカリ可溶性樹脂である。なかでも、感光性層中のバインダーポリマーの全てがアルカリ可溶性樹脂であるのが好ましい。
バインダーポリマーの含有量は、本発明の効果がより優れる点から、感光性層の全質量に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~70質量%が更に好ましい。
<光重合性化合物>
感光性層は、光重合性化合物を含む。
光重合性化合物は、光重合性基を有する化合物である。
なお、「光重合性化合物」とは、後述する光重合開始剤の作用で重合する化合物であって、上述したバインダーポリマーとは異なる化合物を意味し、分子量が5,000以下であるのが好ましい。
光重合性化合物の分子量は、なかでも、200~3,000が好ましく、250~2,600がより好ましく、280~2,200が更に好ましく、300~2,200が特に好ましい。
光重合性化合物が有する重合性基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;並びに、エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
光重合性化合物が有する重合性基の数は1個以上であれば特に制限されないが、2個以上であるのがより好ましい。つまり、光重合性化合物としては、2個以上の重合性基を有する化合物(以下、「多官能の光重合性化合物」ともいう。)が好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、光重合性化合物が分子中に有する重合性基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましく、2~3個が更に好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、感光性層は、2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の少なくとも1種を含むのが好ましい。
2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の合計含有量は、光重合性化合物の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100質量%以下である。
光重合性化合物は、なかでも、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含むのが好ましい。
エチレン性不飽和基としては、なかでも、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。つまり、光重合性化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物であるのが好ましい。
エチレン性不飽和化合物中のエチレン性不飽和基の数は1個以上であれば特に制限されないが、2個以上であるのがより好ましい。つまり、エチレン性不飽和化合物としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「多官能エチレン性不飽和化合物」ともいう。)が好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、エチレン性不飽和化合物が分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましく、2~3個が更に好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、感光性層は、2官能のエチレン性不飽和化合物及び3官能のエチレン性不飽和化合物の少なくとも1種を含むのが好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物及び3官能のエチレン性不飽和化合物の合計含有量は、光重合性化合物の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100質量%以下である。
光重合性化合物の好適態様の一つとして、多官能のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。なお、多官能のエチレン性不飽和化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物の好適態様の一例として、下記式(M)で表される化合物(単に、「化合物M」ともいう。)が挙げられる。
-R-Q 式(M) 式(M)中、Q及びQはそれぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、Rは鎖状構造を有する二価の連結基を表す。
式(M)におけるQ及びQは、合成容易性の点から、Q及びQは同じ基であることが好ましい。
また、式(M)におけるQ及びQは、反応性の点から、アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
式(M)におけるRとしては、本発明の効果がより優れる点から、アルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基(-L-O-L-)、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基(-(L-O)-L-)が好ましく、炭素数2~20の炭化水素基、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基がより好ましく、炭素数4~20のアルキレン基が更に好ましく、炭素数6~18の直鎖アルキレン基が特に好ましい。
上記炭化水素基は、少なくとも一部に鎖状構造を有していればよく、上記鎖状構造以外の部分としては、特に制限はなく、例えば、分岐鎖状、環状、又は、炭素数1~5の直鎖状アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、及び、それらの組み合わせのいずれであってもよく、アルキレン基、又は、2以上のアルキレン基と1以上のアリーレン基とを組み合わせた基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、直鎖アルキレン基が更に好ましい。
なお、上記Lは、それぞれ独立に、アルキレン基を表し、エチレン基、プロピレン基、又は、ブチレン基が好ましく、エチレン基又は1,2-プロピレン基がより好ましい。pは2以上の整数を表し、2~10の整数であることが好ましい。
また、化合物MにおけるQとQとの間を連結する最短の連結鎖の原子数は、本発明の効果がより優れる点から、3~50個が好ましく、4~40個がより好ましく、6~20個が更に好ましく、8~12個が特に好ましい。
本明細書において、「QとQの間を連結する最短の連結鎖の原子数」とは、Qに連結するRにおける原子からQに連結するRにおける原子までを連結する最短の原子数である。
化合物Mの具体例としては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、及び、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。上記エステルモノマーは混合物としても使用できる。
上記化合物のなかでも、本発明の効果がより優れる点から、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが更に好ましい。
また、2官能のエチレン性不飽和化合物の好適態様の他の一例(上記化合物M以外の2官能のエチレン性不飽和化合物)として、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、ビスアクリル酸(2,2-ジメチルエチレン)(5-エチル-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル)メチレン等も挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物の市販品としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステル A-DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(商品名:NKエステル DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-NOD-N、新中村化学工業(株)製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-HD-N、新中村化学工業(株)製)、ビスアクリル酸(2,2-ジメチルエチレン)(5-エチル-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル)メチレン(商品名:KAYARAD R-604、日本化薬(株)製)等が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、及び、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及び、ヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
また、エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社のEBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステル A-GLY-9E等)も挙げられる。
また、エチレン性不飽和化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられ、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートも挙げられる。官能基数の下限としては、6官能以上がより好ましく、8官能以上が更に好ましい。なお、官能基数の上限としては、20官能以下が好ましい。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA-32P(新中村化学工業(株)製)、U-15HA(新中村化学工業(株)製)、UA-1100H(新中村化学工業(株)製)、共栄社化学(株)製のAH-600(商品名)、並びに、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、及びUX-5000(いずれも日本化薬(株)製)等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和化合物の好適態様の一つとして、酸基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
酸基としては、リン酸基、スルホ基、及び、カルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、酸基を有する3~4官能のエチレン性不飽和化合物〔ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:80~120mgKOH/g)〕、酸基を有する5~6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの〔酸価:25~70mgKOH/g)〕等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物が、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種であると、現像性及び膜強度がより高まる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-520(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-510(東亞合成(株)製)が挙げられる。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する光重合性化合物が好ましく、この公報に記載の内容は、本明細書に組み込まれる。
また、エチレン性不飽和化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、及び、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート等のフタル酸系化合物、並びに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも挙げられる。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、及び、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、エチレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が2~14であり、且つ、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
なかでも、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
また、エチレン性不飽和化合物としては、転写後の感光性層の現像性に優れる点で、なかでも、エステル結合を含むものも好ましい。
エステル結合を含むエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエステル結合を含むものであれば特に制限されないが、本発明の効果が優れる点で、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
信頼性付与の点からは、エチレン性不飽和化合物としては、炭素数6~20の脂肪族基を有するエチレン性不飽和化合物と、上記のテトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物と、を含むことが好ましい。
炭素数6以上の脂肪族構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
光重合性化合物の好適態様の一つとしては、脂肪族炭化水素環構造を有するエチレン性不飽和化合物(好ましくは、2官能エチレン性不飽和化合物)が挙げられる。
上記エチレン性不飽和化合物としては、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造(好ましくは、トリシクロデカン構造及びトリシクロデセン構造からなる群から選択される構造)を有するエチレン性不飽和化合物が好ましく、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物がより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが更に好ましい。
上記脂肪族炭化水素環構造としては、本発明の効果がより優れる点から、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、トリシクロデカン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、又は、イソボロン構造が好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、2官能のエチレン不飽和化合物と、5又は6官能のジペンタエリスリトールポリアクリレートと、酸基を有するエチレン性不飽和化合物とを含む態様が挙げられる。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、2官能のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、2官能の(メタ)アクリレート化合物)と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物)と、を含む態様が挙げられる。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性のうち少なくとも1つがより優れる点で、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ウレタンアクリレート化合物、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含む態様が挙げられる。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性のうち少なくとも1つがより優れる点で、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、5又は6官能のジペンタエリスリトールポリアクリレート、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含む態様が挙げられる。
光重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層における光重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)の含有量は、感光性層の全質量に対して、1~70質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、5~60質量%が更に好ましく、5~50質量%が特に好ましく、15~50質量%が最も好ましい。
<光重合開始剤>
感光性層は、光重合開始剤を含む。
感光性層中、光重合開始剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層中、光重合開始剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上であるのがより好ましい。また、その上限値としては、感光性層の全質量に対して、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのより好ましい。
(一般式(a-1)で表される化合物(特定オキシムエステル化合物))
光重合開始剤は、下記一般式(a-1)で表される化合物(特定オキシムエステル化合物)を含む。
Figure 2022156251000014
式中、Ra1、Ra2、Rb1、及び、Rb2は、各々独立に、炭素数1~6の炭化水素基を表す。
a1、Ra2、Rb1、及び、Rb2で表される炭素数1~6の炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれであってもよく、なかでも、直鎖状又は分岐鎖状であるのが好ましく、直鎖状であるのがより好ましい。
a1、Ra2、Rb1、及び、Rb2で表される炭素数1~6の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基等の脂肪族炭化水素基であるのが好ましく、アルキル基であるのがより好ましい。
a1、Ra2、Rb1、及び、Rb2で表される炭素数1~6の炭化水素基の炭素数としては、本発明の効果がより優れる点で、1~3であるのが好ましく、1又は2であるのがより好ましく、1が更に好ましい。
a1、Ra2、Rb1、及び、Rb2で表される炭素数1~6の炭化水素基は、更に置換基を有していてもよい。
及びRは、各々独立に、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基、又は、環状の炭化水素基を表す。
及びRで表される炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基等の脂肪族炭化水素基であるのが好ましく、アルキル基であるのがより好ましい。
及びRで表される炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基の炭素数としては、本発明の効果がより優れる点で、1~4であるのが好ましく、1~3であるのがより好ましい。
及びRで表される環状の炭化水素基としては、脂環式炭化水素環基であっても芳香族炭化水素環基であってもよいが、脂環式炭化水素環基であるのが好ましい。
脂環式炭化水素環基及び芳香族炭化水素環基は、単環であっても多環であってもよい。
脂環式炭化水素環基及び芳香族炭化水素環基の環員数としては、例えば、5~18であり、5~10が好ましい。
脂環式炭化水素環基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基、並びに、例えば、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、及び、アダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、例えば、ベンゼン環基及びナフタレン環基が挙げられる。
l及びmは、各々独立に、0~4の整数を表す。nは、0又は1を表す。但し、m+nは1以上の整数を表す。
l及びmは、なかでも、0又は1であるのが好ましい。
m+nは、1~5であるのが好ましく、1又は2であるのがより好ましく、1であるのが更に好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、m+nが1を表し、lが0又は1を表すのが好ましい。
式中、Ra1とRとが結合して環構造を形成していてもよい。また、Ra2とRとが結合して環構造を形成していてもよい。Ra1とRとが結合して環構造を形成する場合、及び、Ra2とRとが結合して環構造を形成する場合、Ra1とRとの結合により形成される基、及び、Ra2とRとの結合により形成される基は-CH-を許容し、-CH-、又は、-CH-CH-であるのが好ましく、-CH-がより好ましい。なお、後述する一般式(a-1X)は、Ra1とRとが結合して環構造を形成し、且つ、Ra1とRとの結合により形成される基が-CH-である態様に該当する。
また、lが1~4の整数を表す場合、-C(=O)-C(Ra1)=N-O-C(=O)-Rb1で表されるオキシムエステル含有基とRとが置換するベンゼン環(一般式(a-1)中に明示される右側のベンゼン環)において、上記オキシムエステル含有基と上記Rの少なくとも1つとがベンゼン環上の隣接し合う炭素原子に各々置換しており、且つ、上記オキシムエステル含有基中のRa1と上記Rとが結合して環を形成している態様も好ましい。
また、-C(=O)-C(Ra1)=N-O-C(=O)-Rb1で表されるオキシムエステル含有基は、上記オキシムエステル含有基が置換するベンゼン環(一般式(a-1)中に明示される右側のベンゼン環)において、一般式(a-1)中に明示される硫黄原子に対してパラ位に置換しているのが好ましい。
また、nが1を表す場合、-C(=O)-C(Ra2)=N-O-C(=O)-Rb2で表されるオキシムエステル含有基は、上記オキシムエステル含有基が置換するベンゼン環(一般式(a-1)中に明示される左側のベンゼン環)において、一般式(a-1)中に明示される硫黄原子に対してパラ位に置換しているのが好ましい。
また、nが0を表し、mが1~4のいずれかを表す場合、Rの少なくとも1つは、上記Rが置換するベンゼン環(一般式(a-1)中に明示される左側のベンゼン環)において、一般式(a-1)中に明示される硫黄原子に対してパラ位に置換しているのが好ましい。
一般式(a-1)で表される化合物としては、本発明の効果がより優れる点で、下記一般式(a-1X)で表される化合物及び下記一般式(a-1Y)で表される化合物の少なくとも1種であるのが好ましく、下記一般式(b-1)で表される化合物及び下記一般式(b-2)で表される化合物の1種以上であるのがより好ましい。
Figure 2022156251000015
一般式(a-1X)中、Rb1及びRは、各々、一般式(a-1)中のRb1及びRと同義であり、好適態様も同じである。
一般式(a-1Y)中、Ra1、Ra2、Rb1、及び、Rは、各々、一般式(a-1)中のRa1、Ra2、Rb1、及び、Rと同義であり、好適態様も同じである。
Figure 2022156251000016

Figure 2022156251000017
一般式(a-1)で表される化合物のオキシムエステル価(mol/g)としては、2.0×10-3~7.0×10-3mol/gであるのが好ましく、4.0×10-3~7.0×10-3mol/gであるのがより好ましい。例えば、上記一般式(b-1)で表される化合物のオキシムエステル価は、2.8×10-3mol/gであり、上記一般式(b-2)で表される化合物のオキシムエステル価は、4.5×10-3mol/gである。
オキシムエステル価(mol/g)とは、一般式(a-1)で表される化合物の1モル当たりの質量に対するオキシムエステル構造部位(オキシムエステル構造部位:-C(Ra1)=N-O-C(=O)-及び-C(Ra2)=N-O-C(=O)-)のモル量である。
上記一般式(a-1)で表される化合物の市販品としては、例えば、IGM Resins B.V社製のOmnirad1312、及び、Omnirad1316等が挙げられる。
光重合開始剤中、上記一般式(a-1)で表される化合物の含有量は、光重合開始剤の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。なお、上限値としては、100質量%以下であるのが好ましく、70質量%以下がより好ましい。
(特定オキシムエステル化合物以外のその他の光重合開始剤)
感光性層は、特定オキシムエステル化合物以外の他の光重合開始剤(以下「他の光重合開始剤」)を含んでいてもよい。
他の光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。
他の光重合開始剤としては、特定オキシムエステル化合物以外のオキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤、モルホリン構造を有する光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤等が挙げられる。他の光重合開始剤としては、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、又は、モルホリン構造を有する光重合開始剤が好ましい。
また、他の光重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落[0031]~[0042]、及び、特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載された重合開始剤を用いてもよい。
他の光重合開始剤の市販品としては、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-02、BASF社製〕、IRGACURE(登録商標)OXE03(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Omnirad(登録商標)379EG、IGM Resins B.V社製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)907、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)127、IGM Resins B.V社製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Omnirad(登録商標)369、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)1173、IGM Resins B.V社製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Omnirad(登録商標)184、IGM Resins B.V社製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)651、IGM Resins B.V社製〕等、オキシムエステル系の〔商品名:Lunar(登録商標) 6、DKSHジャパン(株)製〕、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.製)等が挙げられる。
<複素環化合物>
感光性層は、複素環化合物を含んでいてもよい。
複素環化合物が有する複素環は、単環及び多環のいずれの複素環でもよい。
複素環化合物が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子が挙げられる。複素環化合物は、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有することが好ましく、窒素原子を有することがより好ましい。
複素環化合物としては、例えば、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、及び、ピリミジン化合物が挙げられる。
上記のなかでも、複素環化合物としては、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましい。
複素環化合物の好ましい具体例を以下に示す。トリアゾール化合物及びベンゾトリアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000018
Figure 2022156251000019
テトラゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000020
Figure 2022156251000021
チアジアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000022
トリアジン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000023
ローダニン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000024
チアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000025
ベンゾチアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000026
ベンゾイミダゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000027
Figure 2022156251000028
ベンゾオキサゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
Figure 2022156251000029
複素環化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が複素環化合物を含む場合、複素環化合物の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.01~20.0質量%が好ましく、0.10~10.0質量%がより好ましい。
<脂肪族チオール化合物>
感光性層は、脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
感光性層が脂肪族チオール化合物を含むことで、脂肪族チオール化合物がエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物との間でエン-チオール反応することで、形成される膜の硬化収縮が抑えられ、応力が緩和される。
脂肪族チオール化合物としては、単官能の脂肪族チオール化合物、又は、多官能の脂肪族チオール化合物(すなわち、2官能以上の脂肪族チオール化合物)が好ましい。
上記のなかでも、脂肪族チオール化合物としては、露光後の感光性層の硬化膜の密着性がより優れる点で、多官能の脂肪族チオール化合物が好ましい。
本明細書において、「多官能の脂肪族チオール化合物」とは、チオール基(「メルカプト基」ともいう。)を分子内に2個以上有する脂肪族化合物を意味する。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、分子量が100以上の低分子化合物が好ましい。具体的には、多官能の脂肪族チオール化合物の分子量は、100~1,500がより好ましく、150~1,000が更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物の官能基数としては、露光後の感光性層の硬化膜の密着性がより優れる点で、2~10官能が好ましく、2~8官能がより好ましく、2~6官能が更に好ましい。
多官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]
イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオプロピオネート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,6-ヘキサメチレンジチオール、2,2’-(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso-2,3-ジメルカプトコハク酸、及び、ジ(メルカプトエチル)エーテルが挙げられる。
上記のなかでも、多官能の脂肪族チオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、及び、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
単官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、1-オクタンチオール、1-ドデカンチオール、β-メルカプトプロピオン酸、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、及び、ステアリル-3-メルカプトプロピオネートが挙げられる。
感光性層は、1種単独の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよく、2種以上の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
感光性層が脂肪族チオール化合物を含む場合、脂肪族チオール化合物の含有量は、感光性層の全質量に対して、5質量%以上が好ましく、5~50質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましく、8~20質量%が特に好ましい。
<熱架橋性化合物>
感光性層は、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、エチレン性不飽和化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、バインダーポリマー及びエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物の少なくとも一方が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、保護膜としての機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及び、シクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。
これらのなかでも、解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写物との密着力向上等の点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、且つ、現像残渣を少なくしやすいという点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及び、スチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
また、ブロックイソシアネート化合物として、下記の構造の化合物も使用できる。
Figure 2022156251000030
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品も使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工(株)製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) MF-K60B、デュラネート(登録商標) SBN-70D、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性層の全質量に対して、1~50質量%が好ましく、2~30質量%がより好ましく、2~20質量%が更に好ましい。
<界面活性剤>
感光性層は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0017]、及び、特開2009-237362号公報の段落[0060]~[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC株式会社製)、フロラード FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、(株)NEOS製)等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファック DS-21が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
また、フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。メガファック RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック 304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニン D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の具体例としては、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.80質量%が更に好ましい。
<重合禁止剤>
感光性層は、重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤とは、重合反応を遅延又は禁止させる機能を有する化合物を意味する。重合禁止剤としては、例えば、重合禁止剤として用いられる公知の化合物を使用できる。
重合禁止剤としては、例えば、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、及び、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のフェノチアジン化合物;ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、及び、ペンタエリスリトールテトラキス3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール化合物;4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、及び、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物又はその塩;メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、及び、4-ベンゾキノン等のキノン化合物;4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、及び、t-ブチルカテコール等のフェノール化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、及び、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の金属塩化合物が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、重合禁止剤としては、フェノチアジン化合物、ニトロソ化合物又はその塩、及び、ヒンダードフェノール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、フェノチアジン、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸]、[エチレンビス(オキシエチレン)]2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、p-メトキシフェノール、及び、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩がより好ましい。
重合禁止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.02~2.0質量%が更に好ましい。重合禁止剤の含有量は、光重合性化合物の全質量に対しては、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.01~1.0質量%が更に好ましい。
<水素供与性化合物>
感光性層は、水素供与性化合物を含んでいてもよい。
水素供与性化合物は、光重合開始剤の活性光線に対する感度を一層向上させる、及び、酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
水素供与性化合物としては、例えば、アミン類、及び、アミノ酸化合物が挙げられる。
アミン類としては、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44-020189号公報、特開昭51-082102号公報、特開昭52-134692号公報、特開昭59-138205号公報、特開昭60-084305号公報、特開昭62-018537号公報、特開昭64-033104号公報、及び、Research Disclosure 33825号等に記載の化合物が挙げられる。より具体的には、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン(別名:ロイコクリスタルバイオレット)、トリエタノールアミン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ホルミルジメチルアニリン、及び、p-メチルチオジメチルアニリンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミン類としては、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-フェニルグリシンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミノ酸化合物としては、N-フェニルグリシンが好ましい。
また、水素供与性化合物としては、例えば、特公昭48-042965号公報に記載の有機金属化合物(トリブチル錫アセテート等)、特公昭55-034414号公報に記載の水素供与体、及び、特開平6-308727号公報に記載のイオウ化合物(トリチアン等)も挙げられる。
水素供与性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が水素供与性化合物を含む場合、水素供与性化合物の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスとによる硬化速度の向上の点から、感光性層の全質量に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.01~8.0質量%がより好ましく、0.03~5.0質量%が更に好ましい。
<不純物等>
感光性層は、所定量の不純物を含んでいてもよい。
不純物の具体例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン及びこれらのイオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン、及び、カリウムイオンは不純物として混入し易いため、下記の含有量にすることが好ましい。
感光性層における不純物の含有量は、質量基準で、80ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、2ppm以下が更に好ましい。感光性層における不純物の含有量は、質量基準で、1ppb以上又は0.1ppm以上とすることができる。
不純物を上記範囲にする方法としては、感光性層の原料として不純物の含有量が少ないものを選択すること、及び、感光性層の形成時に不純物の混入を防ぐこと、洗浄して除去することが挙げられる。このような方法により、不純物量を上記範囲内とすることができる。
不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法、及び、イオンクロマトグラフィー法等の公知の方法で定量できる。
感光性層における、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及び、ヘキサン等の化合物の含有量は、少ないことが好ましい。これら化合物の感光性層中における含有量としては、質量基準で、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましく、4ppm以下が更に好ましい。下限は質量基準で、10ppb以上とすることができ、100ppb以上とすることができる。これら化合物は、上記の金属の不純物と同様の方法で含有量を抑制できる。また、公知の測定法により定量できる。
感光性層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる点から、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
<残存モノマー>
感光性層は、上述したアルカリ可溶性樹脂の各構成単位の残存モノマーを含む場合がある。
残存モノマーの含有量は、パターニング性、及び、信頼性の点から、アルカリ可溶性樹脂全質量に対して、5,000質量ppm以下が好ましく、2,000質量ppm以下がより好ましく、500質量ppm以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、1質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の各構成単位の残存モノマーは、パターニング性、及び、信頼性の点から、感光性層の全質量に対して、3,000質量ppm以下が好ましく、600質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、0.1質量ppm以上が好ましく、1質量ppm以上がより好ましい。
高分子反応でアルカリ可溶性樹脂を合成する際のモノマーの残存モノマー量も、上記範囲とすることが好ましい。例えば、カルボン酸側鎖にアクリル酸グリシジルを反応させてアルカリ可溶性樹脂を合成する場合には、アクリル酸グリシジルの含有量を上記範囲にすることが好ましい。
残存モノマーの量は、液体クロマトグラフィー、及び、ガスクロマトグラフィー等の公知の方法で測定できる。
<他の成分>
感光性層は、既述の成分以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、及び、粒子(例えば、金属酸化物粒子)が挙げられる。また、他の成分としては、特開2000-310706号公報の段落[0058]~[0071]に記載のその他の添加剤も挙げられる。
-粒子-
粒子としては、金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、及び、Te等の半金属も含まれる。
粒子の平均一次粒子径は、例えば、硬化膜の透明性の点から、1~200nmが好ましく、3~80nmがより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
感光性層が粒子を含む場合、金属種、及び、大きさ等の異なる粒子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
感光性層は、粒子を含まないか、或いは、感光性層が粒子を含む場合には、粒子の含有量が感光性層の全質量に対して、0質量%超35質量%以下が好ましく、粒子を含まないか、或いは、粒子の含有量が感光性層の全質量に対して、0質量%超10質量%以下がより好ましく、粒子を含まないか、或いは、粒子の含有量が感光性層の全質量に対して0質量%超5質量%以下が更に好ましく、粒子を含まないか、或いは、粒子の含有量が感光性層の全質量に対して0質量%超1質量%以下が更に好ましく、粒子を含まないことが特に好ましい。
-着色剤-
感光性層は、微量の着色剤(顔料、染料等)を含んでいてもよいが、例えば、透明性の点からは、着色剤を実質的に含まないことが好ましい。
感光性層が着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、例えば、1-フェニル-3-ピラゾリドン(別名:フェニドン)、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、及び、1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドン等の3-ピラゾリドン類;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、及び、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類;パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、及び、パラフェニレンジアミンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、酸化防止剤としては、3-ピラゾリドン類が好ましく、1-フェニル-3-ピラゾリドンがより好ましい。
感光性層が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、1質量%以下が好ましい。
<感光性層の厚み>
感光性層の厚みは、特に制限されないが30μm以下の場合が多く、本発明の効果がより優れる点で、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。下限としては、感光性層を硬化して得られる膜の強度が優れる点で、0.60μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましい。
感光性層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出できる。
<感光性層の屈折率>
感光性層の屈折率は、1.41~1.59が好ましく、1.47~1.56がより好ましい。
<感光性層の色>
感光性層は無彩色であることが好ましい。具体的には、全反射(入射角8°、光源:D-65(2°視野))が、CIE1976(L*,a*,b*)色空間において、L値は10~90であることが好ましく、a値は-1.0~1.0であることが好ましく、b値は-1.0~1.0であることが好ましい。
なお、感光性層を硬化して得られるパターン(感光性層の硬化膜)は、無彩色であることが好ましい。
具体的には、全反射(入射角8°、光源:D-65(2°視野))が、CIE1976(L*,a*,b*)色空間において、パターンのL値は10~90であることが好ましく、パターンのa値は-1.0~1.0であることが好ましく、パターンのb値は-1.0~1.0であることが好ましい。
<感光性層の透過率>
感光性層の膜厚1.0μmあたりの可視光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が最も好ましい。可視光の透過率としては、波長400nm~800nmの平均透過率、波長400nm~800nmの透過率の最小値、波長400nmmの透過率、いずれもが上記を満たすことが好ましい。透過率の好ましい値としては、例えば、87%、92%、98%等が挙げられる。感光性層の硬化膜の膜厚1.0μmあたりの透過率も同様である。
<感光性層の透湿度>
感光性層を硬化して得られるパターン(感光性層の硬化膜)の膜厚40μmでの透湿度は、電極又は配線の防錆性の観点、及びデバイスの信頼性の観点から、500g/m/24hr以下であることが好ましく、300g/m/24hr以下であることがより好ましく、100g/m/24hr以下であることが更に好ましい。
透湿度は、感光性層を、i線によって露光量300mJ/cmにて露光した後、145℃、30分間のポストベークを行うことにより、感光性層を硬化させた硬化膜で測定する。透湿度の測定は、JIS Z0208のカップ法に準じて行う。温度40℃/湿度90%、温度65℃/湿度90%、及び温度80℃/湿度95%のいずれの試験条件においても、上記の透湿度であることが好ましい。具体的な好ましい数値としては、例えば、、80g/m/24hr、150g/m/24hr、220g/m/24hr、等が挙げられる。
<感光性層の溶解速度>
感光性層の炭酸ナトリウム1.0%水溶液に対する溶解速度は、現像時の残渣抑制の観点から、0.01μm/秒以上が好ましく、0.10μm/秒以上がより好ましく、0.20μm/秒以上がより好ましい。パターンのエッジ形状の観点から、5.0μm/秒以下が好ましく、4.0μm/秒以下がより好ましく、3.0μm/秒以下が更に好ましい。具体的な好ましい数値としては、例えば、1.8μm/秒、1.0μm/秒、0.7μm/秒等が挙げられる。1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する感光性層の単位時間あたりの溶解速度は、以下のように測定するものとする。
ガラス基板に形成した、溶媒を十分に除去した感光性層(膜厚1.0~10μmの範囲内)に対し、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて25℃で、感光性層が溶け切るまでシャワー現像を行う(但し、最長で2分までとする)。
感光性層の膜厚を、感光性層が溶け切るまでに要した時間で割り算することで求める。なお、2分で溶け切らない場合は、それまでの膜厚変化量から同様に計算する。
感光性層の硬化膜(膜厚1.0~10μmの範囲内)の炭酸ナトリウム1.0%水溶液に対する溶解速度は、3.0μm/秒以下が好ましく、2.0μm/秒以下がより好ましく、1.0μm/秒以下が更に好ましく、0.2μm/秒以下が最も好ましい。感光性層の硬化膜は、感光性層をi線によって露光量300mJ/cmにて露光して得られる膜である。具体的な好ましい数値としては、例えば、0.8μm/秒、0.2μm/秒、0.001μm/秒等が挙げられる。現像は、(株)いけうち製1/4MINJJX030PPのシャワーノズルを使用し、シャワーのスプレー圧は0.08MPaとする。上記条件の時、単位時間当たりのシャワー流量は1,800mL/minとする。
<感光性層の膨潤率>
露光後の感光性層の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する膨潤率は、パターン形成性向上の観点から、100%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。露光後の感光性層の膨潤率1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に対する膨潤率は、以下のように測定するものとする。
ガラス基板に形成した、溶媒を十分に除去した感光性層(膜厚1.0~10μmの範囲内)に対し、超高圧水銀灯で500mj/cm(i線測定)で露光する。25℃でガラス基板ごと、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液に浸漬し、30秒経過時点での膜厚を測定する。そして、浸漬後の膜厚が浸漬前の膜厚に対して増加した割合を計算する。具体的な好ましい数値としては、例えば、4%、13%、25%等が挙げられる。
<感光性層中の異物>
パターン形成性の観点から、感光性層中の直径1.0μm以上の異物の数は、10個/mm以下であることが好ましく、5個/mm以下であることがより好ましい。異物個数は以下のように測定するものとする。感光性層の表面の法線方向から、感光性層の面上の任意の5か所の領域(1mm×1mm)を、光学顕微鏡を用いて目視にて観察して、各領域中の直径1.0μm以上の異物の数を測定して、それらを算術平均して異物の数として算出する。具体的な好ましい数値としては、例えば、0個/mm、1個/mm、4個/mm、8個/mm等が挙げられる。
<感光性層中の溶解物のヘイズ>
現像時での凝集物発生抑止の観点から、1.0質量%炭酸ナトリウムの30℃水溶液1.0リットルに1.0cm3の感光樹脂層を溶解させて得られる溶液のヘイズは60%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。ヘイズは以下のように測定するものとする。まず、1.0質量%の炭酸ナトリウム水溶液を準備し、液温を30℃に調整する。炭酸ナトリウム水溶液1.0Lに1.0cm3の感光樹脂層を入れる。気泡を混入しないように注意しながら、30℃で4時間撹拌する。撹拌後、感光性層が溶解した溶液のヘイズを測定する。ヘイズは、ヘイズメーター(製品名「NDH4000」、日本電色工業社製)を用い、液体測定用ユニット及び光路長20mmの液体測定専用セルを用いて測定される。具体的な好ましい数値としては、例えば、0.4%、1.0%、9%、24%等が挙げられる。
<<保護フィルム>>
転写フィルムは、保護フィルムを有していてもよい。
保護フィルムとしては、耐熱性及び耐溶剤性を有する樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、並びに、ポリスチレンフィルムが挙げられる。
また、保護フィルムとして上述の仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。
なかでも、保護フィルムとしては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムがより好ましく、ポリエチレンフィルムが更に好ましい。
保護フィルムの厚みは、1~100μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、5~40μmが更に好ましく、15~30μmが特に好ましい。
保護フィルムの厚みは、機械的強度に優れる点で、1μm以上が好ましく、比較的安価となる点で、100μm以下が好ましい。
また、保護フィルムにおいては、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が、5個/m以下であることが好ましい。
なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、及び、キャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、及び、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
保護フィルムに含まれる直径3μm以上の粒子の数は、30個/mm以下が好ましく、10個/mm以下がより好ましく、5個/mm以下が更に好ましい。
これにより、保護フィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性層又は導電層に転写されることにより生じる欠陥を抑制することができる。
巻き取り性を付与する点から、保護フィルムの組成物層と接する面とは反対側の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
保護フィルムは、転写時の欠陥抑制の点から、組成物層と接する面の表面粗さRa、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
<<仮支持体、感光性層、及び保護フィルムの各物性の好適な関係性>>
以下において、転写フィルムは、仮支持体、感光性層、及び保護フィルムの各物性が以下の態様を示すのが好ましい。
転写フィルムは、好適態様1、好適態様2、好適態様3、好適態様4、及び好適態様5の1つ以上を満たすのが好ましく、いずれも満たすのがより好ましい。
以下、「感光性層を硬化した硬化膜の破断伸び」は、厚み20μmの感光性層を超高圧水銀ランプで120mJ/cm露光して硬化した後、高圧水銀ランプで400mJ/cmでさらに追加露光し、145℃で30分間加熱した後の硬化膜について、引っ張り試験によって測定する。
<好適態様1>
転写フィルムは、仮支持体、感光性層、及び保護フィルムの各物性は、下記(P1)~(P3)の各条件をいずれも満たすのが好ましい。
(P1)感光性層を硬化した硬化膜の120℃における破断伸びが15%以上である。
(P2)仮支持体の中間層側の表面の算術平均粗さRaが50nm以下である。
(P3)保護フィルムの感光性層側の表面の算術平均粗さRaが150nm以下である。
<好適態様2>
転写フィルムの仮支持体及び感光性層の各物性は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
X×Y<1500 式(1)
ここで、式(1)中、Xは、感光性層を硬化した硬化膜の120℃における破断伸びの値(%)を表し、Yは、仮支持体の中間層側の表面の算術平均粗さRaの値(nm)を表す。
上記式(1)において、X×Yで表される値は、750以下であるのが好ましい。
上記Xの具体的な数値としては、18%、25%、30%、35%等が挙げられる。また、上記Yの具体的な数値としては、4nm、8nm、15nm、30nm等が挙げられる。上記X×Yの具体的な数値としては、150、200、300、360、900等が挙げられる。
<好適態様3>
転写フィルムの感光性の物性は、下記条件(P4)を満たすことが好ましい。
(P4)感光性層を硬化した硬化膜の23℃での破断伸びに対し、120℃での破断伸びが2倍以上大きい。
<好適態様4>
転写フィルムの仮支持体及び感光性層の各物性は、下記式(2)を満たすことが好ましい。
Y ≦ Z 式(2)
ここで、式(2)中、Yは、仮支持体の中間層側の表面の算術平均粗さRaの値(nm)を表し、Zは、保護フィルムの感光性層側の表面の算術平均粗さRaの値(nm)を表す。
<<屈折率調整層>>
転写フィルムは、屈折率調整層を有しているのが好ましい。
屈折率調整層としては、公知の屈折率調整層を適用できる。屈折率調整層に含まれる材料としては、例えば、バインダーポリマー、重合性化合物、金属塩、及び、粒子が挙げられる。
屈折率調整層の屈折率を制御する方法は、特に制限されず、例えば、所定の屈折率の樹脂を単独で用いる方法、樹脂と粒子とを用いる方法、及び、金属塩と樹脂との複合体を用いる方法が挙げられる。
バインダーポリマー及び重合性化合物としては、例えば、上記「感光性層」の項において説明したバインダーポリマー及び重合性化合物が挙げられる。
粒子としては、例えば、金属酸化物粒子、及び、金属粒子が挙げられる。
金属酸化物粒子の種類は特に制限はなく、公知の金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、及び、Te等の半金属も含まれる。
粒子の平均一次粒子径は、例えば、硬化膜の透明性の点から、1~200nmが好ましく、3~80nmがより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
金属酸化物粒子としては、具体的には、酸化ジルコニウム粒子(ZrO粒子)、Nb粒子、酸化チタン粒子(TiO粒子)、二酸化珪素粒子(SiO粒子)、及び、これらの複合粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらのなかでも、金属酸化物粒子としては、例えば、屈折率を調整しやすいという点から、酸化ジルコニウム粒子及び酸化チタン粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
金属酸化物粒子の市販品としては、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F04)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F74)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F75)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F76)、酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30M、日産化学工業(株)製)、及び、酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30K、日産化学工業(株)製)が挙げられる。
粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
屈折率調整層における粒子の含有量は、屈折率調整層の全質量に対し、1~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、30~85質量%が更に好ましい。
金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合、酸化チタン粒子の含有量は、屈折率調整層の全質量に対して、1~95質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、30~85質量%が更に好ましい。
屈折率調整層の屈折率は、感光性層の屈折率よりも高いことが好ましい。
屈折率調整層の屈折率は、1.50以上が好ましく、1.55以上がより好ましく、1.60以上が更に好ましく、1.65以上が特に好ましい。屈折率調整層の屈折率の上限は、2.10以下が好ましく、1.85以下がより好ましく、1.78以下が更に好ましい。
屈折率調整層の厚みは、50~500nmが好ましく、55~110nmがより好ましく、60~100nmが更に好ましい。
屈折率調整層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察により測定した任意の5点の平均値として算出する。
<<第1実施形態の転写フィルムの製造方法>>
第1実施形態の転写フィルムの製造方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。
上記の転写フィルム10の製造方法としては、例えば、仮支持体1の表面に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性層3を形成する工程と、感光性層3の表面に屈折率調整層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して屈折率調整層5を形成する工程と、を含む方法が挙げられる。
上述の製造方法により製造された積層体の屈折率調整層5上に、保護フィルム7を圧着させることにより、転写フィルム10が製造される。
第1実施形態の転写フィルムの製造方法としては、屈折率調整層5の仮支持体1を有する側とは反対側の面に接するように保護フィルム7を設ける工程を含むことにより、仮支持体1、感光性層3、屈折率調整層5、及び保護フィルム7を備える転写フィルム10を製造することが好ましい。
上記の製造方法により転写フィルム10を製造した後、転写フィルム10を巻き取ることにより、ロール形態の転写フィルムを作製及び保管してもよい。ロール形態の転写フィルムは、後述するロールツーロール方式での基板との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
また、上記の転写フィルム10の製造方法としては、保護フィルム7上に、屈折率調整層5を形成した後、屈折率調整層5の表面に感光性層13を形成する方法であってもよい。
また、上記の転写フィルム10の製造方法としては、仮支持体1上に感光性層3を形成し、別途、保護フィルム7上に屈折率調整層5を形成し、感光性層3とに屈折率調整層5とを貼り合わせて形成する方法であってもよい。
<感光性組成物及び感光性層の形成方法>
生産性に優れる点で、転写フィルム中の感光性層は、上述した感光性層を構成する成分(例えば、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、及び、光重合開始剤等)、及び、溶剤を含む感光性組成物を使用して塗布法により形成されるのが望ましい。第1実施形態の転写フィルムの製造方法としては、具体的には、仮支持体上に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に所定温度にて乾燥処理を施して感光性層を形成する方法であるのが好ましい。
感光性組成物に含まれ得る溶剤としては、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、n-プロパノール、及び、2-プロパノールが挙げられる。
また、溶剤としては、必要に応じ、沸点が180~250℃である有機溶剤(高沸点溶剤)を用いることもできる。
溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性組成物の全固形分量は、感光性組成物の全質量に対して、5~80質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましい。
つまり、感光性組成物中の溶剤の含有量としては、感光性組成物の全質量に対して、20~95質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、70~95質量%が更に好ましい。
感光性組成物の25℃における粘度は、例えば、塗布性の点から、1~50mPa・sが好ましく、2~40mPa・sがより好ましく、3~30mPa・sが更に好ましい。粘度は、粘度計を用いて測定する。粘度計としては、例えば、東機産業株式会社製の粘度計(商品名:VISCOMETER TV-22)を好適に使用できる。ただし、粘度計は、上記した粘度計に制限されない。
感光性組成物の25℃における表面張力は、例えば、塗布性の点から、5~100mN/mが好ましく、10~80mN/mがより好ましく、15~40mN/mが更に好ましい。表面張力は、表面張力計を用いて測定する。表面張力計としては、例えば、協和界面科学株式会社製の表面張力計(商品名:Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z)を好適に使用できる。ただし、表面張力計は、上記した表面張力計に制限されない。
感光性組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、及び、ダイコート法(すなわち、スリットコート法)が挙げられる。
感光性組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。なお、本明細書において、「乾燥」とは、組成物に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去することを意味する。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、及び、減圧乾燥が挙げられる。上記した方法を単独で又は複数組み合わせて適用することができる。
乾燥温度としては、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、その上限値としては130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。温度を連続的に変化させて乾燥させることもできる。
また、乾燥時間としては、20秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましく、60秒以上が更に好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、600秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。
<屈折率調整層形成用組成物及び屈折率調整層の形成方法>
屈折率調整層形成用組成物としては、上述した屈折率調整層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、屈折率調整層形成用組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した屈折率調整層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、屈折率調整層に含まれる成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。
水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
溶剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~2,500質量部が好ましく、50~1,900質量部がより好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
屈折率調整層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
また、保護フィルムを屈折率調整層に貼り合わせることにより、第1実施形態の転写フィルムを製造できる。
保護フィルムを屈折率調整層に貼り合わせる方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
保護フィルムを屈折率調整層に貼り合わせる装置としては、真空ラミネーター、及び、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターが挙げられる。
ラミネーターはゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
〔第2実施形態の転写フィルム〕
以下において、第2実施形態の転写フィルムの実施形態の一例について説明する。
図2に示す転写フィルム20は、仮支持体11と、熱可塑性樹脂層13、中間層15、及び感光性層17を含む組成物層12と、保護フィルム19とを、この順に有する。
なお、図2で示す転写フィルム20は保護フィルム19を配置した形態であるが、保護フィルム19は、配置されなくてもよい。
また、図2で示す転写フィルム20は熱可塑性樹脂層13及び中間層15を配置した形態であるが、熱可塑性樹脂層13及び中間層15は、配置されなくてもよい。
以下において、転写フィルムを構成する各要素について説明する。
第2実施形態の転写フィルムにおいて、仮支持体11及び保護フィルム19としては、上述した第1実施形態の仮支持体1及び保護フィルム7と同じものが挙げられ、好適態様も同じである。
<<感光性層>>
転写フィルムは、感光性層を有する。
感光性層を被転写物上に転写した後、露光及び現像を行うことにより、被転写物上にパターンを形成できる。
感光性層としては、ネガ型感光性層であるのが好ましい。なお、ネガ型感光性層とは、露光により露光部が現像液に対する溶解性が低下する感光性層である。感光性層がネガ型感光性層である場合、形成されるパターンは硬化層に該当する。
以下、感光性層に含まれ得る成分について詳述する。
<バインダーポリマー>
感光性層は、バインダーポリマーとしてアルカリ可溶性樹脂を含む。感光性層のバインダーポリマーは、その一部がアルカリ可溶性樹脂であってもよいし、すべてがアルカリ可溶性樹脂であってもよい。なお、アルカリ可溶性の定義は既述のとおりである。
バインダーポリマーの酸価は、現像液による感光性層の膨潤を抑制することにより、解像性がより優れる観点から、220mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g未満がより好ましく、190mgKOH/g未満が更に好ましい。
バインダーポリマーの酸価の下限は特に制限されないが、現像性がより優れる観点から、60mgKOH/g以上が好ましく、120mgKOH/g以上がより好ましく、150mgKOH/g以上が更に好ましく、170mgKOH/g以上が特に好ましい。
バインダーポリマーの酸価は、バインダーポリマーを構成する構成単位の種類及び酸基を含む構成単位の含有量により調整すればよい。
バインダーポリマーの重量平均分子量は、5,000~500,000が好ましい。重量平均分子量が500,000以下の場合、解像性及び現像性を向上させる観点から好ましい。重量平均分子量は、100,000以下がより好ましく、60,000以下が更に好ましい。一方で、重量平均分子量が5,000以上の場合、現像凝集物の性状、並びに転写フィルムのエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御する観点から好ましい。重量平均分子量は、10,000以上がより好ましく、20,000以上が更に好ましく、30,000以上が特に好ましい。エッジフューズ性とは、転写フィルムとしてロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、感光性層のはみ出し易さの程度をいう。カットチップ性とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度をいう。このチップが転写フィルムの上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して、不良品の原因となる。
バインダーポリマーの分散度は、1.0~6.0が好ましく、1.0~5.0がより好ましく、1.0~4.0が更に好ましく、1.0~3.0が特に好ましい。なお、分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)である。また、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて測定される値である。
露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制する観点から、バインダーポリマーは、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含むことが好ましい。なお、このような芳香族炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換のフェニル基、及び置換又は非置換のアラルキル基が挙げられる。バインダーポリマーにおける芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対して、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。上限としては特に限定されないが、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。なお、バインダーポリマーを複数種類含む場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位の含有量の平均値が上記範囲内になることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、及びスチレントリマー等)が挙げられる。なかでも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。
一態様において、バインダーポリマーにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がスチレンである場合、スチレンに基づく構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対して、20~70質量%が好ましく、25~65質量%がより好ましく、30~60質量%が更に好ましく、30~55質量%が特に好ましい。なお、感光性層が複数の種類のバインダーポリマーを含む場合、芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有率は、重量平均値として求められる。
アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び置換又は非置換のベンジル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
フェニルアルキル基を有する単量体としては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、及びビニルベンジルアルコール等が挙げられる。なかでも、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。一態様において、バインダーポリマーにおける芳香族炭化水素基を有する単量体成分がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレートに基づく構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対して、50~95質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましく、70~90質量%が更に好ましく、75~90質量%が特に好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含むバインダーポリマーは、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第一の単量体の少なくとも1種及び/又は後述する第二の単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることが好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含まないバインダーポリマーは、後述する第一の単量体の少なくとも1種を重合することにより得られることが好ましく、第一の単量体の少なくとも1種と後述する第二の単量体の少なくとも1種とを共重合することにより得られることがより好ましい。
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステル等が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
バインダーポリマーにおける第一の単量体に基づく構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、15~30質量%が更に好ましい。
上記含有量を5質量%以上にすることは、良好な現像性を発現させる観点、エッジフューズ性を制御する等の観点から好ましい。上記含有量を50質量%以下にすることは、レジストパターンの高解像性及びスソ形状の観点から、更にはレジストパターンの耐薬品性の観点から好ましい。
第二の単量体は、非酸性であり、且つ、分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;並びに(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。なかでも、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、又はn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
バインダーポリマーにおける第二の単量体に基づく構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全質量に対して、5~60質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、17~45質量%が更に好ましい。
バインダーポリマーがアラルキル基を有する単量体に基づく構成単位及び/又はスチレンを単量体に基づく構成単位を含む場合、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制する観点から好ましい。例えば、メタクリル酸に基づく構成単位とベンジルメタクリレートに基づく構成単位とスチレンに基づく構成単位を含む共重合体、メタクリル酸に基づく構成単位とメチルメタクリレートに基づく構成単位とベンジルメタクリレートに基づく構成単位とスチレンに基づく構成単位を含む共重合体等が好ましい。
一態様において、バインダーポリマーは、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を25~55質量%、第一の単量体に基づく構成単位を20~35質量%、第二の単量体に基づく構成単位を15~45質量%含む重合体であることが好ましい。また、別の態様において、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を70~90質量%、第一の単量体に基づく構成単位を10~25質量%含む重合体であることが好ましい。
バインダーポリマーは、側鎖に直鎖構造、分岐構造、及び、脂環構造のいずれかを有してもよい。側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマー、又は側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーを使用することによって、バインダーポリマーの側鎖に分岐構造や脂環構造を導入することができる。脂環構造を有する基は単環又は多環であってもよい。
側鎖に分岐構造を有する基を含むモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸tert-アミル、(メタ)アクリル酸sec-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル及び(メタ)アクリル酸tert-オクチル等が挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert-ブチルが好ましく、メタクリル酸イソプロピル又はメタクリル酸tert-ブチルがより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含むモノマーの具体例としては、単環の脂肪族炭化水素基を有するモノマー、及び、多環の脂肪族炭化水素基を有するモノマーが挙げられる。また、炭素原子数5~20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。より具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルのなかでも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル、又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
バインダーポリマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
2種以上を使用する場合には、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含むバインダーポリマーを2種類混合使用すること、又は芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含むバインダーポリマーと芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含まないバインダーポリマーとを混合使用することが好ましい。後者の場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に基づく構成単位を含むバインダーポリマーの使用割合は、バインダーポリマーの全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
バインダーポリマーの合成は、上述された単数又は複数の単量体を、アセトン、メチルエチルケトン、及びイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、及びアゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱攪拌することにより行われることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成を行う場合もある。反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
バインダーポリマーのガラス転移温度Tgは、30~135℃が好ましい。135℃以下のTgを有するバインダーポリマーを使用することによって、露光時の焦点位置がずれたときの線幅太りや解像度の悪化を抑制できる。この観点から、バインダーポリマーのTgは、130℃以下より好ましく、120℃以下が更に好ましく、110℃以下が特に好ましい。また、30℃以上のTgを有するバインダーポリマーを使用することは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。この観点から、バインダーポリマーのTgは、40℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましく、60℃以上が特に好ましく、70℃以上が最も好ましい。
感光性層は、上述以外のその他の樹脂をバインダーポリマーとして含んでもよい。
その他の樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
バインダーポリマーとして、後述する熱可塑性樹脂層の説明で述べるアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。
バインダーポリマーの含有量は、感光性層の全質量に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~70質量%が更に好ましく、40~60質量%が特に好ましい。バインダーポリマーの含有量を90質量%以下にすることは、現像時間を制御する観点から好ましい。一方で、バインダーポリマーの含有量を10質量%以上にすることは、耐エッジフューズ性を向上させる観点から好ましい。
<光重合性化合物>
感光性層は、光重合性化合物を含む。
なお、「光重合性化合物」とは、後述する光重合開始剤の作用で重合する化合物であって、上述したバインダーポリマーとは異なる化合物を意味し、分子量が5,000以下であるのが好ましい。
光重合性化合物が有する重合性基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;並びに、エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
光重合性化合物が有する重合性基の数は1個以上であれば特に制限されないが、2個以上であるのがより好ましい。つまり、光重合性化合物としては、2個以上の重合性基を有する化合物(多官能の光重合性化合物)が好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、光重合性化合物が分子中に有する重合性基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましく、2~3個が更に好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、感光性層は、2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の少なくとも1種を含むのが好ましい。
2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の合計含有量は、光重合性化合物の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100質量%以下である。
光重合性化合物は、なかでも、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含むのが好ましい。
エチレン性不飽和基としては、なかでも、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。つまり、光重合性化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物であるのが好ましい。
エチレン性不飽和化合物中のエチレン性不飽和基の数は1個以上であれば特に制限されないが、2個以上であるのがより好ましい。つまり、エチレン性不飽和化合物としては、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「多官能エチレン性不飽和化合物」ともいう。)が好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、エチレン性不飽和化合物が分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましく、2~3個が更に好ましい。
本発明の効果がより優れる点で、感光性層は、2官能のエチレン性不飽和化合物及び3官能のエチレン性不飽和化合物の少なくとも1種を含むのが好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物及び3官能のエチレン性不飽和化合物の合計含有量は、光重合性化合物の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、本発明の効果がより優れる点で、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上が更に好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、100質量%以下である。
エチレン性不飽和化合物は、アルキレンオキシ基を有していてもよい。
上記アルキレン基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。エチレン性不飽和化合物に付加するアルキレンオキシ基の付加数は、1分子当たり、2~60が好ましく、2~30がより好ましく、2~20が更に好ましい。
アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基)を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性層における光重合性化合物に対して、10~100質量%が好ましく、60~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
(光重合性化合物B1)
感光性層は、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物B1を含むことも好ましい。光重合性化合物B1は、上述した光重合性化合物B1のうち、一分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
感光性層中、光重合性化合物の全質量に対する光重合性化合物B1の含有量の質量比は、解像性がより優れる観点から、40%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましく、60質量%以上が特に好ましい。上限は特に制限されないが、剥離性の観点から、例えば100質量%以下であり、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましく、85質量%以下が特に好ましい。
光重合性化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等の芳香族炭化水素環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環及びピリジン環等の芳香族複素環、並びに、それらの縮合環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。なお、上記芳香環は、置換基を有してもよい。
光重合性化合物B1は、芳香環を1つのみ有してもよく、2つ以上の芳香環を有してもよい。
光重合性化合物B1は、現像液による感光性層の膨潤を抑制することにより、解像性が向上する観点から、ビスフェノール構造を有することが好ましい。
ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造、及びビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられ、ビスフェノールA構造が好ましい。
ビスフェノール構造を有する光重合性化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。
ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基の付加数は特に制限されないが、1分子あたり4~16個が好ましく、6~14個がより好ましい。
ビスフェノール構造を有する光重合性化合物B1については、特開2016-224162号公報の段落0072~0080に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
光重合性化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-500、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-1300、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(BPE-200、新中村化学工業社製)、及びエトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業社製)が挙げられる。
光重合性化合物B1としては、下記一般式(B1)で表される化合物も好ましい。
Figure 2022156251000031
一般式B1中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。AはCを表す。BはCを表す。n1及びn3は各々独立に1~39の整数であり、且つ、n1+n3は2~40の整数である。n2及びn4は各々独立に0~29の整数であり、且つ、n2+n4は0~30の整数である。-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよい。そして、ブロックの場合、-(A-O)-と-(B-O)-とのいずれがビスフェニル基側でもよい。
一態様において、n1+n2+n3+n4は、2~20が好ましく、2~16がより好ましく、4~12が更に好ましい。また、n2+n4は、0~10が好ましく、0~4がより好ましく、0~2が更に好ましく、0が特に好ましい。
光重合性化合物B1は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
光重合性化合物B1の含有量は、解像性がより優れる観点から、感光性層の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、転写性及びエッジフュージョン(転写部材の端部から感光性樹脂が滲み出す現象)の観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
感光性層は、上述した光重合性化合物B1以外の光重合性化合物を含んでもよい。
光重合性化合物B1以外の光重合性化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。例えば、一分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物、及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業社製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。の市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製)、UA-32P(新中村化学工業社製)、及びUA-1100H(新中村化学工業社製)が挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
一態様において、感光性層は、上述した光重合性化合物B1及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことも好ましく、上述した光重合性化合物B1及び2種以上の3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましい。この場合、光重合性化合物B1と3官能以上のエチレン性不飽和化合物の質量比は、(光重合性化合物B1の合計質量):(3官能以上のエチレン性不飽和化合物の合計質量)=1:1~5:1が好ましく、1.2:1~4:1がより好ましく、1.5:1~3:1が更に好ましい。
また、一態様において、感光性層は、上述した光重合性化合物B1及び2種以上の3官能のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業社製A-9300-1CL等)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E及びA-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製A-GLY-9E等)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックスM-520(東亞合成社製)、及びアロニックスM-510(東亞合成社製)が挙げられる。
また、光重合性化合物として、酸基(カルボキシ基等)を有する光重合性化合物を使用してもよい。上記酸基は酸無水物基を形成していてもよい。酸基を有する光重合性化合物としては、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックス(登録商標)M-520(東亞合成社製)、及びアロニックス(登録商標)M-510(東亞合成社製)が挙げられる。
酸基を有する光重合性化合物として、例えば、特開2004-239942号公報の段落0025~0030に記載の酸基を有する光重合性化合物を用いてもよい。
光重合性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
光重合性化合物の含有量は、感光性層の全質量に対し、10~70質量%が好ましく、15~70質量%がより好ましく、20~70質量%が更に好ましく、30~60質量%が特に好ましい。
光重合性化合物(光重合性化合物B1を含む)の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)としては、200~3,000が好ましく、280~2,200がより好ましく、300~2,200が更に好ましい。
<光重合開始剤>
感光性層は、光重合開始剤を含む。
感光性層中、光重合開始剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層中、光重合開始剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上であるのがより好ましく、1.0質量%以上であるのが更に好ましい。また、その上限値としては、感光性層の全質量に対して、10質量%以下であるのが好ましい。
(一般式(a-1)で表される化合物(特定オキシムエステル化合物))
光重合開始剤は、上述した一般式(a-1)で表される化合物(特定オキシムエステル化合物)を含む。一般式(a-1)で表される化合物及びその好適態様については既述のとおりである。
光重合開始剤中、上記一般式(a-1)で表される化合物の含有量は、光重合開始剤の全質量に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、60質量%以上であるのが特に好ましい。なお、上限値としては、100質量%以下であるのが好ましい。
(特定オキシムエステル化合物以外のその他の光重合開始剤)
感光性層は、特定オキシムエステル化合物以外の他の光重合開始剤(以下「他の光重合開始剤」)を含んでいてもよい。
他の光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。
他の光重合開始剤としては、例えば、特定オキシムエステル化合物以外のオキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤、及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
また、他の光重合開始剤としては、感光性、露光部及び非露光部の視認性、及び解像性の観点から、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種も好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。
2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
また、他の光重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落0031~0042、特開2015-14783号公報の段落0064~0081に記載された重合開始剤も好ましい。
また、他の光重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE、CAS No.10287-53-3)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(商品名:みどり化学社製)、ベンゾフェノン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、TAZ-111(商品名:みどり化学社製)、IrgacureOXE01、OXE02、OXE03、OXE04(BASF社製)、Omnirad651及び369(商品名:IGM Resins B.V.社製)、及び2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール(東京化成工業社製)も挙げられる。
他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、1-[4-(フェニルチオ)]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社製)、IRGACURE OXE-03(BASF社製)、IRGACURE OXE-04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 907、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 127、IGM Resins B.V.製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(商品名:Omnirad 369、IGM Resins B.V.製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 1173、IGM Resins B.V.製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:Omnirad 184、IGM Resins B.V.製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad 651、IGM Resins B.V.製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad 819、IGM Resins B.V.製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B-CIM、Hampford社製)、及び2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(商品名:BCTB、東京化成工業社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
また、光重合性化合物がカチオン重合性化合物を含む場合、感光性層は、光重合開始剤として、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)を含んでいてもよい。
光カチオン重合開始剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光カチオン重合開始剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく使用できる。
光カチオン重合開始剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光カチオン重合開始剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、-10.0以上が好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、並びに、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤としては、特開2014-085643号公報の段落0114~0133に記載のイオン性光カチオン重合開始剤を用いてもよい。
非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、特開2011-221494号公報の段落0083~0088に記載の化合物を用いてもよい。また、オキシムスルホネート化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落0084~0088に記載された化合物を用いてもよい。
<色素>
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の観点から、発色時の波長範囲400~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、且つ、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(「色素N」ともいう)を含むことも好ましい。色素Nを含むと、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば水溶性樹脂層)との密着性が向上し、解像性により優れる。
本明細書において、色素が「酸、塩基、又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基、又はラジカルにより発色する態様、及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。
具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物であってもよいし、露光により発色状態から変化して消色する化合物であってもよい。この場合、露光により酸、塩基、又はラジカルが感光性層内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素でもよく、酸、塩基、又はラジカルにより感光性層内の状態(例えばpH)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基、又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素でもよい。
なかでも、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Nは、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Nとしてラジカルにより最大吸収波長が変化する色素、及び光ラジカル重合開始剤の両者を含むことが好ましい。
また、露光部及び非露光部の視認性の観点から、色素Nは、酸、塩基、又はラジカルにより発色する色素であることが好ましい。
色素Nの発色機構の例としては、感光性層に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸、又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素、又は塩基反応性色素(例えばロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性の観点から、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長が、550nm以上であることが好ましく、550~700nmであることがより好ましく、550~650nmであることが更に好ましい。
また、色素Nは、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合は、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm以上であればよい。
色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100((株)島津製作所製)を用いて、400~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することにより、得られる。
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、及びアントラキノン系色素が挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)、及びロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。
なかでも、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
ロイコ化合物としては、露光部及び非露光部の視認性の観点から、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有することが好ましい。これにより、ロイコ化合物が有するラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか、又はロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有し、ラジカル、又は酸によりラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
色素Nとしては、例えば、以下の染料及びロイコ化合物が挙げられる。
色素Nのうち染料の具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業社製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業社製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業社製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業社製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン、及び1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
色素Nのうちロイコ化合物の具体例としては、p,p’,p”-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-ザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、及び3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
色素Nは、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の観点から、ラジカルにより最大吸収波長が変化する色素であることが好ましく、ラジカルにより発色する色素であることがより好ましい。
色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン、又はビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
色素Nは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
色素Nの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性、及び解像性の観点から、感光性層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.1~5質量%が更に好ましく、0.1~1質量%が特に好ましい。
色素Nの含有量は、感光性層の全質量中に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g及び0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASFジャパン株式会社)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素に代えて感光性層3gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて感光性層に含まれる色素の含有量を算出する。
なお、感光性層3gとは、感光性組成物中の全固形分の3gと同様である。
<熱架橋性化合物>
感光性層は、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の観点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、光重合性化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、メチロール化合物、及びブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる硬化膜の強度、及び得られる未硬化膜の粘着性の観点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、樹脂及び/又は光重合性化合物等が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、感光性層を硬化した膜を保護膜として使用する場合の機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕
、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。
これらのなかでも、解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の観点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写物との密着力向上等の観点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、且つ、現像残渣を少なくしやすいという観点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及びスチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工社製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ社製)が挙げられる。
また、ブロックイソシアネート化合物として、下記の構造の化合物を用いることもできる。
Figure 2022156251000032
熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
感光性層が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性層の全質量に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
<その他の添加剤>
感光性層は、上記成分以外に、必要に応じて公知の添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、例えば、ラジカル重合禁止剤、増感剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物(トリアゾール等)、ベンゾトリアゾール類、カルボキシベンゾトリアゾール類、ピリジン類(イソニコチンアミド等)、プリン塩基(アデニン等)、及び界面活性剤が挙げられる。
各添加剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
感光性層は、ラジカル重合禁止剤を含んでもよい。
ラジカル重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤が挙げられる。なかでも、フェノチアジン、フェノキサジン、又は4-メトキシフェノールが好ましい。その他のラジカル重合禁止剤としては、ナフチルアミン、塩化第一銅、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、及びジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。感光性層の感度を損なわないために、ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩をラジカル重合禁止剤として使用することが好ましい。
ラジカル重合禁止剤の好ましい含有量は、第1実施形態と同様である。
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール、及びビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、及びN-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、CBT-1(城北化学工業株式会社、商品名)等の市販品を使用できる。
ベンゾトリアゾ-ル類、及びカルボキシベンゾトリアゾ-ル類の合計含有量は、感光性層の全質量に対して、0.01~3質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%以上の場合、感光性層の保存安定性がより優れる。一方、含有量が3質量%以下である場合、感度の維持及び染料の脱色を抑制がより優れる。
感光性層は、増感剤を含んでもよい。
増感剤は、特に制限されず、公知の増感剤、染料及び顔料を使用できる。増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
感光性層が増感剤を含む場合、増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、及び重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、感光性層の全質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。
感光性層は、可塑剤及びヘテロ環状化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。
可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、国際公開第2018/179640号の段落0097~0103及び0111~0118に記載された化合物が挙げられる。
感光性層は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤としては、第1実施形態の界面活性剤と同じものが挙げられ、好適態様も同じである。
また、感光性層は、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び有機又は無機の沈殿防止剤等の公知の添加剤を更に含んでもよい。
感光性層に含まれる添加剤については特開2014-085643号公報の段落0165~0184に記載されており、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
感光性層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる観点から、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
感光性層の層厚(膜厚)は、一般的には0.1~300μmであり、0.2~100μmが好ましく、0.5~50μmがより好ましく、0.5~15μmが更に好ましく、0.5~10μmが特に好ましく、0.5~8μmが最も好ましい。これにより、感光性層の現像性が向上し、解像性を向上させることができる。
また、一態様において、0.5~5μmが好ましく、0.5~4μmがより好ましく、0.5~3μmが更に好ましい。
また、露光後の感光性層の硬化膜の密着性がより優れる点で、感光性層の波長365nmの光の透過率は、10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。上限は特に制限されないが、99.9%以下が好ましい。
<不純物等>
感光性層は、所定量の不純物を含んでいてもよい。
不純物の具体例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン及びこれらのイオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンは不純物として混入し易いため、下記の含有量にすることが好ましい。
感光性層における不純物の含有量は、質量基準で、80ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、2ppm以下が更に好ましい。不純物の含有量は、質量基準で、1ppb以上とすることができ、0.1ppm以上としてもよい。
不純物を上記範囲にする方法としては、組成物の原料として不純物の含有量が少ないものを選択すること、感光性層の作製時に不純物の混入を防ぐこと、及び洗浄して除去することが挙げられる。このような方法により、不純物量を上記範囲内とすることができる。
不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法、及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法で定量できる。
感光性層における、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びヘキサン等の化合物の含有量は、少ないことが好ましい。これら化合物の感光性層の全質量に対する含有量としては、質量基準で、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましく、4ppm以下が更に好ましい。
下限は、質量基準で、感光性層の全質量に対して、10ppb以上とすることができ、100ppb以上とすることができる。これら化合物は、上記の金属の不純物と同様の方法で含有量を抑制できる。また、公知の測定法により定量できる。
感光性層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる観点から、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
<顔料>
感光性層は、顔料を含む着色樹脂層となっていてもよい。
近年の電子機器が有する液晶表示窓には、液晶表示窓を保護するために、透明なガラス基板等の裏面周縁部に黒色の枠状遮光層が形成されたカバーガラスが取り付けられている場合がある。このような遮光層を形成するために着色樹脂層が使用され得る。
顔料としては、所望とする色相に合わせて適宜選択すればよく、黒色顔料、白色顔料、黒色及び白色以外の有彩色の顔料の中から選択できる。なかでも、黒色系のパターンを形成する場合には、顔料として黒色顔料が好適に選択される。
黒色顔料としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、公知の黒色顔料(有機顔料又は無機顔料等)を適宜選択することができる。なかでも、光学濃度の観点から、黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、チタンカーバイド、酸化鉄、酸化チタン、及び黒鉛等が好適に挙げられ、特にカーボンブラックは好ましい。カーボンブラックとしては、表面抵抗の観点から、表面の少なくとも一部が樹脂で被覆されたカーボンブラックが好ましい。
黒色顔料の粒子径は、分散安定性の観点から、数平均粒径で0.001~0.1μmが好ましく、0.01~0.08μmがより好ましい。
ここで、粒径とは、電子顕微鏡で撮影した顔料粒子の写真像から顔料粒子の面積を求め、顔料粒子の面積と同面積の円を考えた場合の円の直径を指し、数平均粒径は、任意の100個の粒子について上記の粒径を求め、求められた100個の粒径を平均して得られる平均値である。
黒色顔料以外の顔料として、白色顔料については、特開2005-007765号公報の段落0015及び0114に記載の白色顔料を使用できる。具体的には、白色顔料のうち、無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、又は硫酸バリウムが好ましく、酸化チタン又は酸化亜鉛がより好ましく、酸化チタンが更に好ましい。無機顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンが更に好ましく、ルチル型の酸化チタンが特に好ましい。
また、酸化チタンの表面は、シリカ処理、アルミナ処理、チタニア処理、ジルコニア処理、又は有機物処理が施されていてもよく、二つ以上の処理が施されてもよい。これにより、酸化チタンの触媒活性が抑制され、耐熱性及び褪光性等が改善される。
加熱後の感光性層の厚みを薄くする観点から、酸化チタンの表面への表面処理としては、アルミナ処理及びジルコニア処理の少なくとも一方が好ましく、アルミナ処理及びジルコニア処理の両方が特に好ましい。
また、感光性層が着色樹脂層である場合、転写性の観点から、感光性層は、黒色顔料及び白色顔料以外の有彩色の顔料を更に含んでいることも好ましい。有彩色の顔料を含む場合、有彩色の顔料の粒径としては、分散性がより優れる点で、0.1μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましい。
有彩色の顔料としては、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(Color Index(以下C.I.)42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)、ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)、モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)及びカーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64、及びC.I.ピグメント・バイオレット23等が挙げられる。なかでも、C.I.ピグメント・レッド177が好ましい。
感光性層が顔料を含む場合、顔料の含有量としては、感光性層の全質量に対して、3質量%超40質量%以下が好ましく、3質量%超35質量%以下がより好ましく、5質量%超35質量%以下が更に好ましく、10質量%以上35質量%以下が特に好ましい。
感光性層が黒色顔料以外の顔料(白色顔料及び有彩色の顔料)を含む場合、黒色顔料以外の顔料の含有量は、黒色顔料に対して、30質量%以下が好ましく、1~20質量%がより好ましく、3~15質量%が更に好ましい。
なお、感光性層が黒色顔料を含み、且つ、感光性層が感光性組成物で形成される場合、黒色顔料(好ましくはカーボンブラック)は、顔料分散液の形態で感光性組成物に導入されることが好ましい。
分散液は、黒色顔料と顔料分散剤とをあらかじめ混合して得られる混合物を、有機溶剤(又はビヒクル)に加えて分散機で分散させることによって調製されるものでもよい。顔料分散剤は、顔料及び溶剤に応じて選択すればよく、例えば市販の分散剤を使用することができる。なお、ビヒクルとは、顔料分散液とした場合に顔料を分散させている媒質の部分を指し、液状であり、黒色顔料を分散状態で保持するバインダー成分と、バインダー成分を溶解及び希釈する溶剤成分(有機溶剤)と、を含む。
分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライター、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、及びサンドミル等の公知の分散機が挙げられる。更に、機械的摩砕により摩擦力を利用して微粉砕してもよい。分散機及び微粉砕については、「顔料の事典」(朝倉邦造著、第一版、朝倉書店、2000年、438頁、310頁)の記載を参照することができる。
<<仮支持体、感光性層、及び、保護フィルムの関係>>
第2実施形態においても、第1実施形態で記載した、仮支持体、感光性層、及び、保護フィルムの関係を満たすことが好ましい。
<<熱可塑性樹脂層>>
熱可塑性樹脂層は、通常、仮支持体と感光性層との間に配置される。転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えることで、転写フィルムと基板との貼合工程における基板への追従性が向上して、基板と転写フィルムとの間の気泡の混入を抑制できる。この結果として、熱可塑性樹脂層に隣接する層(例えば仮支持体)との密着性がより向上する。
熱可塑性樹脂層は、樹脂を含む。上記樹脂は、その一部又は全部として、熱可塑性樹脂を含む。つまり、一態様において、熱可塑性樹脂層は、樹脂が熱可塑性樹脂であることも好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂(熱可塑性樹脂)>
熱可塑性樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。
ここで、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位からなる群から選ばれた少なくとも1種の構成単位を有する樹脂を意味する。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位、及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する重合体であることが好ましい。
酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂がより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の酸価の上限は、特に制限されないが、300mgKOH/g以下が好ましく、250mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂から適宜選択して使用できる。
例えば、特開2011-095716号公報の段落0025に記載のポリマーのうち酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010-237589号公報の段落0033~0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、及び特開2016-224162号公報の段落0053~0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂が挙げられる。
上記カルボキシ基含有アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する構成単位の共重合比は、アクリル樹脂の全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、12~30質量%が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂が特に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、反応性基を有していてもよい。反応性基としては、付加重合可能な基であればよく、エチレン性不飽和基;ヒドロキシ基及びカルボキシ基等の重縮合性基;エポキシ基、(ブロック)イソシアネート基等の重付加反応性基が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上が好ましく、1万~10万がより好ましく、2万~5万が更に好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、現像性及び隣接する層との密着性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10~99質量%が好ましく、20~90質量%がより好ましく、40~80質量%が更に好ましく、50~75質量%が特に好ましい。
<色素>
熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400~780nmにおける最大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基、又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素(単に「色素B」ともいう。)を含むことが好ましい。
色素Bの好ましい態様は、後述する点以外は、上述した色素Nの好ましい態様と同様である。
色素Bは、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、酸又はラジカルにより最大吸収波長が変化する色素が好ましく、酸により最大吸収波長が変化する色素であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、色素Bとしての酸により最大吸収波長が変化する色素、及び後述する光により酸を発生する化合物の両者を含むことが好ましい。
色素Bは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
色素Bの含有量は、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上が好ましく、0.2~6質量%がより好ましく、0.2~5質量%が更に好ましく、0.25~3.0質量%が特に好ましい。
ここで、色素Bの含有量は、熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素0.001g及び0.01gを溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤Irgacure OXE01(商品名、BASFジャパン株式会社)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素を発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素に代えて熱可塑性樹脂層0.1gをメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素の量を算出する。
なお、熱可塑性樹脂層3gとは、組成物の固形分の3gと同様である。
<光により酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物>
熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物(単に「化合物C」ともいう。)を含んでもよい。
化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基、又はラジカルを発生する化合物が好ましい。
化合物Cとしては、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤、及び光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)を使用できる。
(光酸発生剤)
熱可塑性樹脂層は、解像性の観点から、光酸発生剤を含んでもよい。
光酸発生剤としては、上述した感光性層が含んでもよい光カチオン重合開始剤が挙げられ、後述する点以外は好ましい態様も同じである。
光酸発生剤としては、感度及び解像性の観点から、オニウム塩化合物、及びオキシムスルホネート化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、感度、解像性、及び密着性の観点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
また、光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
Figure 2022156251000033
(光ラジカル重合開始剤)
熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含んでもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、上述した感光性層が含んでもよい光ラジカル重合開始剤が挙げられ、好ましい態様も同じである。
(光塩基発生剤)
熱可塑性樹脂組成物は、光塩基発生剤を含んでもよい。
光塩基発生剤としては、公知の光塩基発生剤であれば特に制限されず、例えば、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン、及び2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
化合物Cは、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
化合物Cの含有量は、露光部及び非露光部の視認性並びに解像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
<可塑剤>
熱可塑性樹脂層は、解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂よりも分子量(オリゴマー又はポリマーであり分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が小さいことが好ましい。可塑剤の分子量(重量平均分子量)は、200~2,000が好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリアルキレングリコール化合物がより好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
また、可塑剤は、解像性及び保存安定性の観点から、(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。相溶性、解像性、及び隣接する層との密着性の観点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、且つ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、上述した感光性層に含まれる光重合性化合物として記載した(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
転写フィルムにおいて、熱可塑性樹脂層と感光性層とが直接接触して積層される場合、熱可塑性樹脂層及び感光性層がいずれも同じ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。同じ(メタ)アクリレート化合物を熱可塑性樹脂層及び感光性層がそれぞれ含むことで、層間の成分拡散が抑制され、保存安定性が向上するためである。
熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含む場合、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の観点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないことが好ましい。
また、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、一分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
更に、可塑剤として用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
可塑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性、及び現像性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、1~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~50質量%が更に好ましい。
<増感剤>
熱可塑性樹脂層は、増感剤を含んでもよい。
増感剤としては、特に制限されず、上述した感光性層が含んでもよい増感剤が挙げられる。
増感剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、並びに、露光部及び非露光部の視認性の観点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。
<添加剤等>
熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、必要に応じて界面活性剤等の公知の添加剤を含んでもよい。
また、熱可塑性樹脂層については、特開2014-085643号公報の段落0189~0193に記載されており、この公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
熱可塑性樹脂層の層厚は、特に制限されないが、隣接する層との密着性の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、現像性及び解像性の観点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
<<中間層>>
転写フィルム20において、中間層15は、熱可塑性樹脂層13と感光性層17との間に存在することにより、熱可塑性樹脂層13及び感光性層17の塗布形成の際及び塗布形成後の保存の際に生じ得る成分の混合を抑制できる。
中間層としては、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂層が使用できる。
また、中間層としては、特開平5-072724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断層も使用できる。中間層が酸素遮断層であると、露光時の感度が向上し、露光機の時間負荷が低減し、生産性が向上するため、好ましい。
中間層として用いられる酸素遮断層は、上記公報等に記載された公知の層から適宜選択すればよい。中でも、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する酸素遮断層が好ましい。
以下、水溶性樹脂層(中間層)が含み得る各成分について説明する。
水溶性樹脂層(中間層)は、樹脂を含む。
上記樹脂は、その一部又は全部として、水溶性樹脂を含む。
水溶性樹脂として使用可能な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等の樹脂が挙げられる。
また、水溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体等も使用できる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。
水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
水溶性樹脂の重量平均分子量の下限値としては、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、その上限値としては、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
なお、水溶性樹脂層(中間層)の層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)中の樹脂は、水溶性樹脂層(中間層)の一方の面側に配置される層に含まれる樹脂及び他方の面側に配置される層に含まれる樹脂とは異なる樹脂であることが好ましい。例えば、感光性層17中にバインダーポリマーが含まれ、熱可塑性樹脂層13中に熱可塑性樹脂(アルカリ可溶性樹脂)が含まれる場合、水溶性樹脂層(中間層)15の樹脂は、バインダーポリマー及び熱可塑性樹脂(アルカリ可溶性樹脂)とは異なる樹脂であるのが好ましい。
水溶性樹脂は、酸素遮断性、並びに、層間混合抑制能をより向上させる点で、ポリビニルアルコールを含むことが好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの両者を含むことがより好ましい。
水溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
水溶性樹脂の含有量は特に制限されないが、酸素遮断性、並びに、層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、99.9質量%以下が好ましく、99.8質量%以下が更に好ましい。
中間層は、必要に応じて界面活性剤などの公知の添加剤を含んでいてもよい。
水溶性樹脂層(中間層)の層厚は、特に制限されないが、0.1~5μmが好ましく、0.5~3μmがより好ましい。水溶性樹脂層(中間層)の厚みが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、層間混合抑制能が優れる。また、更に、現像時の水溶性樹脂層(中間層)除去時間の増大も抑制できる。
<<第2実施形態の転写フィルムの製造方法>>
第2実施形態の転写フィルムの製造方法は特に制限されず、公知の方法を使用できる。
上記の転写フィルム20の製造方法としては、例えば、仮支持体11の表面に熱可塑性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して熱可塑性樹脂層13を形成する工程と、熱可塑性樹脂層13の表面に水溶性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して中間層15を形成する工程と、中間層15の表面に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性層17を形成する工程と、を含む方法が挙げられる。
上述の製造方法により製造された積層体の感光性層17上に、保護フィルム19を圧着させることにより、転写フィルム20が製造される。
第2実施形態の転写フィルムの製造方法としては、感光性層17の仮支持体11を有する側とは反対側の面に接するように保護フィルム19を設ける工程を含むことにより、仮支持体11、熱可塑性樹脂層13、中間層15、感光性層17、及び保護フィルム19を備える転写フィルム20を製造することが好ましい。
上記の製造方法により転写フィルム20を製造した後、転写フィルム20を巻き取ることにより、ロール形態の転写フィルムを作製及び保管してもよい。ロール形態の転写フィルムは、後述するロールツーロール方式での基板との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
また、上記の転写フィルム20の製造方法としては、保護フィルム19上に、感光性層17及び中間層15を形成した後、中間層15の表面に熱可塑性樹脂層13を形成する方法であってもよい。
<熱可塑性樹脂層形成用組成物及び熱可塑性樹脂層の形成方法>
仮支持体上に熱可塑性樹脂層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、仮支持体上に熱可塑性樹脂層形成用組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより形成できる。
熱可塑性樹脂層形成用組成物としては、上述した熱可塑性樹脂層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、熱可塑性樹脂層形成用組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した熱可塑性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。溶剤としては、後述する感光性組成物が含む溶剤と同様のものが挙げられ、好適態様も同じである。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~1,900質量部が好ましく、100~900質量部がより好ましい。
熱可塑性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
<水溶性樹脂組成物及び中間層(水溶性樹脂層)の形成方法>
水溶性樹脂組成物としては、上述した中間層(水溶性樹脂層)を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、水溶性樹脂組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した水溶性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、水溶性樹脂を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。
水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~2,500質量部が好ましく、50~1,900質量部がより好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
水溶性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
<感光性組成物及び感光性層の形成方法>
生産性に優れる点で、上述した感光性層を構成する成分(例えば、アルカリ可溶性樹脂層、光重合性化合物、及び、光重合開始剤等)、及び、溶剤を含む感光性組成物を使用して塗布法により形成されるのが望ましい。
第2実施形態の転写フィルムの製造方法としては、具体的には、中間層上に感光性組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に所定温度にて乾燥処理を施して感光性層を形成する方法であるのが好ましい。
感光性組成物としては、上述した感光性層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、感光性組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した感光性層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。具体的には、例えば、アルキレングリコールエーテル溶剤、アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤、アルコール溶剤(メタノール及びエタノール等)、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン等)、非プロトン性極性溶剤(N,N-ジメチルホルムアミド等)、環状エーテル溶剤(テトラヒドロフラン等)、エステル溶剤(酢酸nプロピル等)、アミド溶剤、ラクトン溶剤、並びにこれらの2種以上を含む混合溶剤が挙げられる。
溶剤としては、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ケトン溶剤及び環状エーテル溶剤からなる群より選択される少なくとも1種とを含む混合溶剤がより好ましく、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種、ケトン溶剤、並びに、環状エーテル溶剤の3種を少なくとも含む混合溶剤が更に好ましい。
アルキレングリコールエーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びジプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
溶剤としては、国際公開第2018/179640号の段落0092~0094に記載された溶剤、及び特開2018-177889公報の段落0014に記載された溶剤を用いてもよく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対し、50~1,900質量部が好ましく、100~1200質量部が更に好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
感光性組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、及び、ダイコート法(すなわち、スリットコート法)が挙げられる。
感光性組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。
乾燥温度としては、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、その上限値としては130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。温度を連続的に変化させて乾燥させることもできる。
また、乾燥時間としては、20秒以上が好ましく、40秒以上がより好ましく、60秒以上が更に好ましい。また、その上限値としては特に制限されないが、600秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。
更に、保護フィルムを感光性層に貼り合わせることにより、第2実施形態の転写フィルムを製造できる。
保護フィルムを感光性層に貼り合わせる方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
保護フィルムを感光性層に貼り合わせる装置としては、真空ラミネーター、及び、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターが挙げられる。
ラミネーターはゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
[積層体の製造方法]
上述した転写フィルムを用いることにより、被転写物へ組成物層を転写することができる。
なかでも、本発明の転写フィルムは、タッチパネルの製造に用いられることが好ましい。
なかでも、本発明の積層体の製造方法は、転写フィルムが有する仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に接触させて貼り合わせ、基板、導電層、感光性層、及び、仮支持体をこの順に有する感光性層付き基板を得る貼合工程と、
感光性層をパターン露光する露光工程と、
露光された感光性層を現像して、導電層を保護する保護膜パターンを形成する現像工程と、を有し、
更に、貼合工程と露光工程との間、又は、露光工程と現像工程との間に、感光性層付き基板から仮支持体を剥離する剥離工程と、を有する、積層体の製造方法であるのが好ましい。
以下、上記工程の手順について詳述する。
なお、転写フィルムが保護フィルムを有する構成である場合、保護フィルムを剥がしてから貼合工程を実施する。また、転写フィルムが仮支持体上に感光性層以外の他の層を有している場合(換言すると、仮支持体上の組成物層が感光性層以外の層を有している場合)、貼合工程において得られる感光性層付き基板は、導電層及び感光性層の間、及び/又は、感光性層と仮支持体との間に、更に他の層を備えている。
〔貼合工程〕
貼合工程は、転写フィルムが有する仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に接触させて貼り合わせ、基板、導電層、感光性層、及び、仮支持体をこの順に有する感光性層付き基板を得る工程である。
上記貼合においては、導電層の表面と、組成物層の仮支持体とは反対側の表面とが接触するように圧着させる。
上記圧着の方法としては特に制限はなく、公知の転写方法、及び、ラミネート方法を使用できる。なかでも、組成物層の仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に重ね、ロール等による加圧及び加熱が行われることが好ましい。
貼り合せには、真空ラミネーター、及び、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。
ラミネート温度としては特に制限されないが、例えば、70~130℃であるのが好ましい。
導電層を有する基板は、基板上に導電層を有し、必要により任意の層が形成されてもよい。つまり、導電層を有する基板は、基板と、基板上に配置される導電層とを少なくとも有する導電性基板である。
基板としては、例えば、樹脂基板、ガラス基板、及び、半導体基板が挙げられる。
基板の好ましい態様としては、例えば、国際公開第2018/155193号の段落[0140]に記載があり、この内容は本明細書に組み込まれる。樹脂基板の材料としては、シクロオレフィンポリマー及びポリイミドが好ましい。樹脂基板の厚みは5~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましい。
導電層としては、導電性及び細線形成性の点から、金属層、導電性金属酸化物層、グラフェン層、カーボンナノチューブ層、及び、導電ポリマー層からなる群から選択される少なくとも1種の層であるのが好ましい。
また、基板上には導電層を1層のみ配置してもよいし、2層以上配置してもよい。導電層を2層以上配置する場合は、異なる材質の導電層を有することが好ましい。
導電層の好ましい態様としては、例えば、国際公開第2018/155193号の段落[0141]に記載があり、この内容は本明細書に組み込まれる。
導電層を有する基板としては、透明電極及び引き回り配線の少なくとも一方を有する基板が好ましい。上記のような基板は、タッチパネル用基板として好適に使用できる。
透明電極は、タッチパネル用電極として好適に機能し得る。透明電極は、ITO(酸化インジウムスズ)、及び、IZO(酸化インジウム亜鉛)等の金属酸化膜、並びに、金属メッシュ、及び、金属ナノワイヤー等の金属細線により構成されることが好ましい。
金属細線としては、銀、銅等の細線が挙げられる。なかでも、銀メッシュ、銀ナノワイヤー等の銀導電性材料が好ましい。
引き回し配線の材質としては、金属が好ましい。
引き回し配線の材質である金属としては、金、銀、銅、モリブデン、アルミニウム、チタン、クロム、亜鉛、及び、マンガン、並びに、これらの金属元素の2種以上からなる合金が挙げられる。引き回し配線の材質としては、銅、モリブデン、アルミニウム、又は、チタンが好ましく、銅が特に好ましい。
本発明の転写フィルム中の感光性層を用いて形成されたタッチパネル用電極保護膜は、電極等(すなわち、タッチパネル用電極及びタッチパネル用配線の少なくとも一方)を保護する目的で、電極等を直接又は他の層を介して覆うように設けられることが好ましい。
〔露光工程〕
露光工程は、感光性層をパターン露光する工程である。
なお、ここで、「パターン露光」とは、パターン状に露光する形態、すなわち、露光部と非露光部とが存在する形態の露光を指す。
パターン露光における露光領域と未露光領域との位置関係は特に制限されず、適宜調整される。
感光性層の基板とは反対側から露光されるのが好ましい。
パターン露光の光源としては、少なくとも感光性層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm又は405nm)を照射できるものであれば適宜選定して使用できる。なかでも、パターン露光の露光光の主波長は、365nmが好ましい。なお、主波長とは、最も強度が高い波長である。
光源としては、例えば、各種レーザー、発光ダイオード(LED)、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、及び、メタルハライドランプが挙げられる。
露光量は、5~200mJ/cmが好ましく、10~200mJ/cmがより好ましい。
露光に使用する光源、露光量及び露光方法の好ましい態様としては、例えば、国際公開第2018/155193号の段落[0146]~[0147]に記載があり、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
露光工程、及び、後述する現像工程を行うことで、基板上の導電層上に、導電層の少なくとも一部を保護する保護膜パターンが形成される。
〔剥離工程〕
剥離工程は、貼合工程と露光工程との間、又は、露光工程と後述する現像工程との間に、感光性層付き基板から仮支持体を剥離する工程である。
剥離方法は特に制限されず、特開2010-072589号公報の段落[0161]~[0162]に記載されたカバーフィルム剥離機構と同様の機構を使用できる。
〔現像工程〕
現像工程は、露光された感光性層を現像して、パターンを形成する工程である。
上記感光性層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液として、アルカリ性水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液に含まれ得るアルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、コリン(2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)が挙げられる。
現像の方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、スピン現像、及び、ディップ現像等の方式が挙げられる。
本明細書において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落[0194]に記載の現像液が挙げられ、好適に用いられる現像方式としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落[0195]に記載の現像方式が挙げられる。
〔ポスト露光工程及びポストベーク工程〕
上記積層体の製造方法は、上記現像工程によって得られたパターンを、露光する工程(ポスト露光工程)、及び/又は、加熱する工程(ポストベーク工程)を有していてもよい。
ポスト露光工程及びポストベーク工程の両方を含む場合、ポスト露光の後、ポストベークを実施することが好ましい。ポスト露光の露光量は、100~5000mJ/cmが好ましく、200~3000mJ/cmがより好ましい。ポストベークの温度は、80℃~250℃が好ましく、90℃~160℃がより好ましい。ポストベークの時間は、1分~180分が好ましく、10分~60分がより好ましい。
〔積層体の用途〕
本発明の積層体の製造方法により製造される積層体は、種々の装置に適用することができる。上記積層体を備えた装置としては、例えば、入力装置等が挙げられ、タッチパネルであることが好ましく、静電容量型タッチパネルであることがより好ましい。また、上記入力装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、液晶表示装置等の表示装置に適用することができる。
積層体がタッチパネルに適用される場合、感光性層から形成されるパターンは、タッチパネル用電極又はタッチパネル用配線の保護膜として用いられることが好ましい。つまり、転写フィルムに含まれる感光性層は、タッチパネル用電極保護膜又はタッチパネル用配線の形成に用いられることが好ましい。
[導体パターンを有する積層体の製造方法]
上述した転写フィルムを用いることにより、導体パターンを有する積層体も製造できる。
なかでも、本発明の導体パターンを有する積層体の製造方法は、転写フィルムが有する仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に接触させ、基板、導電層、感光性層、及び、仮支持体をこの順に有する感光性層付き基板を得る貼合工程と
感光性層をパターン露光する露光工程と、
露光された感光性層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、
樹脂パターンが配置されていない領域における導電層をエッチング処理するエッチング工程と、
更に、貼合工程と露光工程との間、又は、露光工程と現像工程との間に、感光性層付き基板から仮支持体を剥離する剥離工程と、を含む製造方法であるのが好ましい。
上述の製造方法により、導電層のエッチング処理により形成された導電パターンを有する積層体が製造され得る。
以下において、導体パターンを有する積層体の製造方法の具体的な手順について説明する。
導体パターンを有する積層体の製造方法における貼合工程、露光工程、現像工程、及び剥離工程については、上述した積層体の製造方法における貼合工程、露光工程、現像工程、及び剥離工程と同じであり、好適態様も同じである。
〔エッチング工程〕
導体パターンを有する積層体の製造方法は、基板、導電層(基板が有する導電層)、及び、樹脂パターン(より好ましくは、上記貼合工程と、上記露光工程と、上記現像工程とを含む製造方法により製造された樹脂パターン)がこの順で積層された積層体において、樹脂パターンが配置されていない領域にある導電層をエッチング処理する工程(エッチング工程)を含む。
上記エッチング工程では、上記現像工程により感光性層から得られる樹脂パターンを、エッチングレジストとして使用し、導電層のエッチング処理を行う。
エッチング処理の方法としては、公知の方法を適用でき、例えば、特開2017-120435号公報の段落[0209]~[0210]に記載の方法、特開2010-152155号公報の段落[0048]~[0054]等に記載の方法、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法、及び、プラズマエッチング等のドライエッチングによる方法が挙げられる。
ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性又はアルカリ性のエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性のエッチング液としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸及びリン酸から選択される酸性成分単独の水溶液、並びに、酸性成分と、塩化第2鉄、フッ化アンモニウム及び過マンガン酸カリウムから選択される塩との混合水溶液が挙げられる。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分であってもよい。
アルカリ性のエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及び、有機アミンの塩(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)から選択されるアルカリ成分単独の水溶液、並びに、アルカリ成分と塩(過マンガン酸カリウム等)との混合水溶液が挙げられる。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分であってもよい。
〔除去工程〕
導体パターンを有する積層体の製造方法においては、残存する樹脂パターンを除去する工程(除去工程)を行うことが好ましい。
除去工程は、特に制限されず、必要に応じて行うことができるが、エッチング工程の後に行うことが好ましい。
残存する樹脂パターンを除去する方法としては特に制限されないが、薬品処理により除去する方法が挙げられ、除去液を用いて除去する方法が好ましい。
感光性層の除去方法としては、液温が好ましくは30~80℃、より好ましくは50~80℃である撹拌中の除去液に、残存する樹脂パターンを有する基板を、1~30分間浸漬する方法が挙げられる。
除去液としては、例えば、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又はこれらの混合溶液に溶解させた除去液が挙げられる。無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
また、除去液を使用し、スプレー法、シャワー法及びパドル法等の公知の方法により除去してもよい。
〔その他の工程〕
導体パターンを有する積層体の製造方法は、上述した工程以外の任意の工程(その他の工程)を含んでもよい。
例えば、国際公開第2019/022089号の段落[0172]に記載の可視光線反射率を低下させる工程、国際公開第2019/022089号の段落[0172]に記載の絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程等が挙げられるが、これらの工程に制限されない。
<可視光線反射率を低下させる工程>
導体パターンを有する積層体の製造方法は、基材が有する複数の導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理を行う工程を含んでいてもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理が挙げられる。基材が銅を含む導電層を有する場合、銅を酸化処理して酸化銅とし、導電層を黒化することにより、導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理については、特開2014-150118号公報の段落0017~0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載されており、これらの公報に記載の内容は本明細書に組み込まれる。
<絶縁膜を形成する工程、絶縁膜の表面に新たな導電層を形成する工程>
導体パターンを有する積層体の製造方法は、導体パターンの表面に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜の表面に新たな導電層を形成する工程と、を含むことも好ましい。
上記の工程により、第一の電極パターンと絶縁した第二の電極パターンを形成することができる。
絶縁膜を形成する工程としては、特に制限されず、公知の永久膜を形成する方法が挙げられる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィーにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程は、特に制限されず、例えば、導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィーにより所望のパターンの新たな導電層を形成してもよい。
導体パターンを有する積層体の製造方法は、基材の両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有する基板を用い、基材の両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。このような構成により、基材の一方の表面に第一の導体パターン、もう一方の表面に第二の導体パターンを形成した積層体を形成できる。このような積層体を、ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
〔導体パターンを有する積層体の用途〕
導体パターンを有する積層体の製造方法により製造される導体パターンを有する積層体は、種々の装置に適用することができる。このような導体パターンを有する積層体を備えた装置としては、例えば、入力装置が挙げられ、タッチパネルが好ましく、静電容量型タッチパネルがより好ましい。また、上記入力装置は、有機EL表示装置及び液晶表示装置等の表示装置に適用できる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、特に断りのない限り、「部」及び、「%」は質量基準である。
また、以下の実施例において、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量である。
[各種合成例]
〔感光性層の配合成分〕
<<アルカリ可溶性樹脂>>
<バインダーポリマーP-1の合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテル(82.4g、富士フイルム和光純薬株式会社)をフラスコに仕込み、溶液を調製した。得られた溶液を、窒素気流下、90℃に加熱した。加熱した溶液に、スチレン(38.4g、富士フイルム和光純薬株式会社)、ジシクロペンタニルメタクリレート(30.1g、ファンクリルFA-513M、日立化成株式会社)、及び、メタクリル酸(34.0g、富士フイルム和光純薬株式会社)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(20g)に溶解させた溶液、並びに、重合開始剤V-601(5.4g、富士フイルム和光純薬株式会社)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(43.6g、富士フイルム和光純薬株式会社)に溶解させた溶液、を同時に3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間おきにV-601(0.75g)を溶液に3回添加した。その後、更に溶液を3時間反応させた。その後、得られた溶液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(58.4g)、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテル(11.7g)で希釈した。空気気流下、希釈後の溶液を100℃に加熱し、更に、テトラエチルアンモニウムブロミド(0.53g、富士フイルム和光純薬株式会社)、及び、p-メトキシフェノール(0.26g、富士フイルム和光純薬株式会社)を溶液に添加した。得られた溶液に、グリシジルメタクリレート(25.5g、日油株式会社、ブレンマーGH)を20分かけて滴下した。得られた溶液を100℃で7時間反応させ、バインダーポリマーP-1の溶液を得た。得られた溶液の固形分濃度は36.3質量%であった。得られたバインダーポリマーは、表1に示す各構成単位を有し、GPCにおける標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は17000、分散度は2.4、バインダーポリマーの酸価は94.5mgKOH/gであった。ガスクロマトグラフィーを用いて測定した残存モノマー量はいずれのモノマーにおいても、バインダーポリマーの固形分に対して、0.1質量%未満であった。
なお、固形分とは、溶剤を除いた成分を意図する。上記成分の性状が、液体状であっても、固形分に含まれる。
<バインダーポリマーP-2の合成>
2000mLのフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(三和化学産業製、商品名「PGM-AC」。以下において「PGM-AC」と記載する。)60g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(三和化学産業製、商品名PGM)240gを導入した。得られた液体を、撹拌速度250rpmで撹拌しつつ90℃に昇温した。
滴下液(1)の調製として、メタクリル酸(三菱レイヨン製、商品名アクリエステルM)107.1g、メタクリル酸メチル(三菱ガス化学製、商品名MMA)5.46g、及びシクロヘキシルメタクリレート(三菱ガス化学製、商品名CHMA)231.42gを混合し、PGM-AC 60gで希釈することにより、滴下液(1)を得た。
滴下液(2)の調製として、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬工業製、商品名V-601)9.637gをPGM-AC 136.56gで溶解させることにより、滴下液(2)を得た。
滴下液(1)と滴下液(2)とを同時に3時間かけて、上述した2000mLのフラスコ(詳細には、90℃に昇温された液体が入った2000mLのフラスコ)に滴下した。次に、滴下液(1)の容器をPGM-AC 12gで洗浄し、洗浄液を上記2000mLのフラスコに滴下した。次に、滴下液(2)の容器をPGM-AC 6gで洗浄し、洗浄液を上記2000mLのフラスコに滴下した。これらの滴下中、上記2000mLのフラスコ内の反応液を90℃に保ち、撹拌速度250rpmで撹拌した。更に、後反応として、90℃で1時間撹拌した。
後反応後の反応液に、開始剤の追加添加1回目として、V-601の2.401gを添加した。更に、V-601の容器をPGM-AC 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。その後、90℃で1時間撹拌した。
次に、開始剤の追加添加2回目として、V-601の2.401gを反応液に添加した。更にV-601の容器をPGM-AC 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。その後90℃で1時間撹拌した。
次に、開始剤の追加添加3回目として、V-601の2.401gを反応液に添加した。更に、V-601の容器をPGM-AC 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。その後90℃で3時間撹拌した。
90℃で3時間撹拌後、PGM-AC 178.66gを反応液へ導入した。次に、テトラエチルアンモニウムブロミド(和光純薬工業社製)1.8gとハイドロキノンモノメチルエーテル(和光純薬工業社製)0.8gとを反応液に添加した。更にそれぞれの容器をPGM-AC 6gで洗浄し、洗浄液を反応液へ導入した。その後、反応液の温度を100℃まで昇温させた。
次に、グリシジルメタクリレート(日油社製、商品名ブレンマーG)76.03gを1時間かけて反応液に滴下した。ブレンマーGの容器をPGM-AC 6gで洗浄し、洗浄液を反応液に導入した。この後、付加反応として、100℃で6時間撹拌した。
次に、反応液を冷却し、ゴミ取り用のメッシュフィルター(100メッシュ)でろ過し、バインダーポリマーP-2の溶液を1158g得た(固形分濃度36.3質量%)。得られたバインダーポリマーP-2は、表1に示す各構成単位を有し、重量平均分子量は27000、数平均分子量は15000、酸価は95mgKOH/gであった。
以下、表1に、バインダーポリマーP-1及びP-2の組成を示す。
表1中、(メタ)アクリロイル基を有する構成単位以外の構成単位については、各構成単位を形成するためのモノマーの略称で示している。
(メタ)アクリロイル基を有する構成単位については、モノマーとモノマーとの付加構造の形式で示している。例えば、MAA-GMAは、メタクリル酸に由来する構成単位に対してグリシジルメタクリレートが付加した構成単位を意味する。
St:スチレン
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
MAA-GMA:メタクリル酸に由来する構成単位に対してグリシジルメタクリレートが付加した構成単位
MAA:メタクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
Figure 2022156251000034
<バインダーポリマーA-1の合成>
3つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(「PGMEA」、116.5部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。
次に、スチレン(「St」、52.0部)、メタクリル酸メチル(「MMA」、19.0部)、メタクリル酸(「MAA」、29.0部)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬工業製、商品名「V-601」、4.0部)、及び、PGMEA(116.5部)を加えた溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃±2℃にて2時間撹拌することで、バインダーポリマーA-1を含む溶液(固形分濃度30.0%)を得た。
<バインダーポリマーA-2の合成>
モノマーの種類等を下記表2に示す通りに変更し、その他の条件については、バインダーポリマーA-1と同様の方法で合成し、バインダーポリマーA-2を含む溶液(固形分濃度30.0%)を得た。
以下、表2に、バインダーポリマーA-1及びA-2の組成を示す。
表2中、バインダーポリマーの各構成単位を形成するためのモノマーの略称で示している。
St:スチレン
BzMA:メタクリル酸ベンジル
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
MMA:メタクリル酸メチル
Figure 2022156251000035
<<架橋性化合物>>
<ブロックイソシアネート化合物Q-1(化合物Q-1)>
窒素気流下、ブタノンオキシム(453g、出光興産社製)をメチルエチルケトン(700g)に溶解させ、溶液を得た。氷冷下で、得られた溶液に1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(500g、シス-トランス異性体混合物、三井化学社製、タケネート600)を1時間かけて滴下し、滴下後、更に溶液を1時間反応させた。その後、得られた溶液を40℃に昇温して更に1時間反応させた。H-NMR及びHPLCにて反応が完結したことを確認し、下記の構造式を示されるブロックイソシアネート化合物Q-1のメチルエチルケトン溶液を得た。
Figure 2022156251000036
<<光酸発生剤>>
<光酸発生剤C-1の合成>
以下に示す構造の化合物を特開2013-047765号公報の段落0227に記載の方法に従って合成した。
Figure 2022156251000037
〔屈折率調整層の配合成分〕
<<バインダーポリマーP’-1の合成>>
3つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル(270.0g)を加え、撹拌しながら窒素気流下で70℃に昇温させた。一方、アリルメタクリレート(45.6g、富士フイルム和光純薬株式会社)、及び、メタクリル酸(14.4g)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(270.0g)に溶解させ、更にV-65(3.94g、富士フイルム和光純薬株式会社)を溶解させて滴下液を作製し、得られた滴下液を3つ口フラスコ中へ2.5時間かけて滴下を行った。得られた溶液を、撹拌しながら2時間反応させた。その後、得られた溶液の温度を室温まで放冷した後、イオン交換水(2.7L)を撹拌しながら、得られた溶液をイオン交換水へ滴下し、再沈殿を実施して懸濁液を得た。ろ紙を引いたヌッチェにて懸濁液を投入することでろ過を行い、濾過物を更にイオン交換水で洗浄して湿潤状態のバインダーポリマーP’-1粉体を得た。次に、45℃の送風乾燥にかけ、恒量になったことを確認し、粉体として収率70%でバインダーポリマーP’-1を得た。
以下にバインダーポリマーP’-1の構造式を示す。なお、以下の構造式中の各構成単位の比率は、質量%である。
Figure 2022156251000038
[各種組成物の調製]
〔感光性組成物及び熱可塑性組成物の調製〕
表3に示す組成の感光性組成物(組成物X-1~X-10)及び熱可塑性組成物(組成物X-11)を調製した。なお、表3中、アルカリ可溶性樹脂以外の各成分の数値は、各成分自体の配合量(質量部)を表し、アルカリ可溶性樹脂の数値は、アルカリ可溶性樹脂を含有するバインダーポリマー溶液の配合(質量部)を意味する。
また、表3(及び後述の表6)中、「2官能及び3官能の光重合性化合物の含有率(質量%)」は、光重合性化合物の全質量に対する2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の合計含有量(質量%)を表す。
Figure 2022156251000039
以下、表3に示す光重合性化合物の具体的な構造を示す。
・カルボキシ基を有するモノマー(アロニックスTO-2349 (東亞合成(株)製):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸誘導体との混合物
・8UX-015A(大成ファインケミカル(株)製):15官能のウレタンアクリレート
・A-DPH(新中村化学工業(株)製):5~6官能ジペンタエリスリトールポリアクリレート
・A-NOD-N(新中村化学工業(株)製):1,9-ノナンジオールジアクリレート
・NKエステルBPE-500(新中村化学工業(株)製):2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン
・アロニックスM-270(東亞合成(株)製):ポリプロピレングリコールジアクリレート(n≒12)
・KAYARAD R-604(日本化薬(株)製):ビスアクリル酸(2,2-ジメチルエチレン)(5-エチル-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル)メチレン
また、以下、表3に示す光重合開始剤の具体的な構造を示す。
Figure 2022156251000040

Figure 2022156251000041
また、表3中、バインダーポリマーP-1、P-2、A-1、A-2、化合物Q-1、及び、光酸発生剤C-1は、上述の合成例にて合成したものを使用している。バインダーポリマーP-1、P-2、A-1、A-2は、アルカリ可溶性樹脂に相当する。なお、アルカリ可溶性の定義は既述のとおりである。
また、表3中のCBT-1は、カルボキシベンゾトリアゾール類に相当する。
また、表3中のXIRAN EF-40は、スチレン無水マレイン酸共重合体に相当する。
〔屈折率調整層形成用組成物の調製〕
表4に示す組成の屈折率調整層形成用組成物(組成物Y-1)を調製した。なお、各成分の量の単位は、質量部である。
なお、表4中、バインダーポリマーP’-1は、上述の合成例にて合成したものを使用している。
Figure 2022156251000042
〔水溶性樹脂組成物の調製〕
表5に示す組成の水溶性樹脂組成物(組成物Z-1)を調製した。なお、各成分の量の単位は、質量部である。
Figure 2022156251000043
〔実施例1〕
厚み16μmのPETフィルム(東レ社製、ルミラー16KS40)を仮支持体に、スリット状ノズルを用いて、乾燥後の厚みが8.5μmになる塗布量の感光性組成物X-1を塗布し、100℃の乾燥ゾーンで溶媒を揮発させて、感光性層を形成した。更に、感光性層の上に、スリット状ノズルを用いて、乾燥後の厚みが70nmになる塗布量の屈折率調整層形成用組成物Y-1を塗布し、80℃の乾燥温度で乾燥させ、屈折率調整層を形成した。屈折率調整層の上に保護フィルムとして、厚み16μmのPETフィルム(東レ社製、ルミラー16KS40)を圧着した後、ロール状に巻き取り、実施例1の転写フィルム1を作製した。
〔実施例2~7及び比較例1~2〕
表6に従って各成分、各組成物、及び、各厚み等を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、実施例2~7及び比較例1~2の転写フィルム2~7及び9~10を作製した。
〔実施例8〕
厚み16μmのPETフィルム(東レ社製、ルミラー16KS40)を仮支持体に、スリット状ノズルを用いて乾燥後の厚みが4μmとなるように熱可塑性組成物X-11を塗布し、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させて熱可塑性樹脂層を形成した。
その後、上記熱可塑性樹脂層の上に、スリット状ノズルを用いて乾燥後の厚みが1.1μmとなるように水溶性樹脂組成物Z-1を塗布し、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させて、水溶性樹脂層(中間層)を形成した。
更に、上記水溶性樹脂層(中間層)の上に、スリット状ノズルを用いて乾燥後の厚みが厚さ3.0μmとなるように感光性組成物X-8を塗布し、80℃の乾燥ゾーンを40秒間かけて通過させて感光性層を形成した。
次いで、感光性層の上に保護フィルムとしてPETフィルム(東レ社製、ルミラー16KS40)を圧着して後、ロール状に巻き取り、実施例8の転写フィルム8を作製した。
[評価]
作製した転写フィルム1~10の転写フィルムに対して、以下の評価を実施した。
〔鉛筆硬度の評価〕
作製した転写フィルム1~10の各転写フィルムを巻き出した後、保護フィルムを剥離しながら、ロール温度100℃、線圧1.0MPa、線速度4.0m/minのラミネート条件で、0.7mm厚みのガラス板にラミネートした。得られた転写フィルムがラミネートされたガラス板を超高圧水銀灯を用いて表6に記載のUV照射量で全面露光した後、仮支持体を剥離して25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を30秒間シャワーで吹き付けた。その後純水で洗った。
上記手順により得られたサンプルの硬化した感光性層(硬化膜)に対して、JISK5600に準拠して鉛筆で引っかき試験を実施し、以下に示す評価基準により評価を実施した。なお、鉛筆硬度における硬度は、硬度が高い順に3H、2H、H、F、HB、Bである。
「A」:硬化膜の鉛筆硬度が2H以上(硬化膜の硬度が非常に高い)
「B」:硬化膜の鉛筆硬度がH~HB(硬化膜の硬度がやや高い)
「C」:硬化膜の鉛筆硬度がB以下(硬化膜の硬度が低い)
評価結果を表6に示す。
〔密着性の評価〕
作製した転写フィルム1~10の各転写フィルムを巻き出した後、保護フィルムを剥離しながら、ロール温度100℃、線圧1.0MPa、線速度4.0m/minのラミネート条件で、市販のITO基材(メルク社製、749737-5EA)のITO面にラミネートした。得られた転写フィルムがラミネートされたITOフィルムを超高圧水銀灯を用いて表6に記載のUV照射量で全面露光した後、仮支持体を剥離して25℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を30秒間シャワーで吹き付けた。その後純水で洗った。
上記手順により得られたサンプルの硬化した感光性層(硬化膜)に対して、ASTM D 3359に準拠してクロスカット剥離テープ試験を行った。評価は、ITOフィルムから剥がれが生じなかったマス目の割合により、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、剥離テープ試験における密着性能は、密着性能が高い順に5B、4B、3B、2B、1B、0Bである。
「A」:硬化膜の密着強度が4B以上である(硬化膜の密着性が非常に高い)
「B」:硬化膜の鉛筆硬度が3Bである(硬化膜の密着性がやや高い)
「C」:硬化膜の密着強度が2B以下である(硬化膜の密着性が低い)
評価結果を表6に示す。
Figure 2022156251000044
表6の結果から、実施例の転写フィルムは、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の密着性が優れ、且つ、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度が優れることが明らかである。
実施例1~8の対比から、感光性層が含む光重合性化合物が2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の少なくとも1種を含み、且つ、2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の合計含有量が、光重合性化合物の全質量に対して45質量%以上である場合、感光性層を被転写物に転写した後に形成される硬化膜の密着性がより優れ、且つ、硬化膜の被転写物とは反対側の表面の硬度がより優れることが確認された。
一方、比較例の転写フィルムでは所望の性能が両立できなかった。
〔実施例9〕
実施例1において、屈折率調整層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に転写フィルム(転写フィルム11)を作製して同様の評価を実施した。実施例9の転写フィルムは、実施例1の転写フィルムと同じ結果であった。
〔実施例10~15〕
実施例2~7において、それぞれ屈折率調整層を形成しなかったこと以外は、実施例2~7と同様に転写フィルム(転写フィルム12~17)を作製して同様の評価を実施した。実施例10~15の転写フィルムは、それぞれ実施例2~7の転写フィルムと同じ結果であった。
〔実施例16~22〕
実施例1~7の各転写フィルムを使用して、以下の通り、実施例16~22のタッチパネルを備えた液晶表示装置を作製して、表示特性及び動作を確認した。
<積層体の作製>
シクロオレフィン透明フィルムにITO透明電極パターン及び銅の引き回し配線をこの順番に有する基板を準備した。
保護フィルムを剥離した実施例1~7の各転写フィルムと上記基板とを、感光性層が、上記基板上のITO透明電極パターン及び銅の引き回し配線を覆う位置となるようにラミネートした。ラミネートは、MCK社製真空ラミネーターを用いて、シクロオレフィン透明フィルムの温度:40℃、ゴムローラー温度100℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件で行った。
その後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、露光マスク(オーバーコート形成用パターンを有する石英露光マスク)面と仮支持体とを密着させ、仮支持体を介して露光量100mJ/cm(i線で測定)でパターン露光した。
仮支持体を剥離後、25℃の炭酸ナトリウム1.0質量%水溶液を使用して45秒間現像処理を実施した。
その後、現像処理後の透明フィルム基板に超高圧洗浄ノズルから超純水を噴射することで残渣を除去した。引き続き、エアを吹きかけて水分を除去し、145℃にて30分間のポストベーク処理を行って、シクロオレフィン透明フィルム上にITO透明電極パターン、銅の引き回し配線、屈折率調整層、及び、硬化膜パターンをこの順に有する透明積層体を形成した。
作製した透明積層体を用いて、公知の方法によりタッチパネルを製造した。製造したタッチパネルを、特開2009-047936号公報の段落0097~0119に記載の方法で製造した液晶表示素子に貼り合わせることにより、タッチパネルを備えた液晶表示装置を製造した。
タッチパネルを備えた液晶表示装置について、表示特性に問題がなく、動作にも問題が無いこと確認した。
〔実施例23~29〕
実施例9~15の転写フィルムを用いた以外は、実施例16~22と同様の方法により、実施例23~29のタッチパネルを備えた液晶表示装置を製造した。
タッチパネルを備えた液晶表示装置について、表示特性に問題がなく、動作にも問題が無いこと確認した。
〔実施例30〕
<積層体の作製>
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、スパッタ法にて厚さ200nmの銅層を作製し、銅層付きPET基板を作製した。
保護フィルムを剥離した実施例8の転写フィルムを、線圧0.6MPa、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で上記銅層付きPET基板にラミネートした。
その後、線幅3~20μmのラインアンドスペースのパターン(Duty比 1:1)を有するマスクを、露光位置(アライメント)を調整しながら仮支持体にコンタクトさせ、上記マスクを介して超高圧水銀灯で露光量100mJ/cm(i線で測定)で露光した。露光後30分静置した後に現像し、樹脂パターンを形成した。現像は28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒間行った。
パターン形成した試料を銅エッチング液(Cu-02:関東化学(株)製)により23℃で30秒間エッチングし、4質量%水酸化ナトリウム溶液を用いてレジスト剥離を行うことで銅パターンを作製した。
顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
1、11 仮支持体
2、12 組成物層
3、17 感光性層
5 屈折率調整層
13 熱可塑性樹脂層
15 中間層
7、19 保護フィルム
10、20 転写フィルム

Claims (8)

  1. 仮支持体と、感光性層と、を有する転写フィルムであって、
    前記感光性層は、アルカリ可溶性樹脂と、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含み、
    前記光重合開始剤が、下記一般式(a-1)で表される化合物を含む、転写フィルム。
    Figure 2022156251000045

    式中、Ra1、Ra2、Rb1、及び、Rb2は、各々独立に、炭素数1~6の炭化水素基を表す。R及びRは、各々独立に、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状の炭化水素基、又は、環状の炭化水素基を表す。l及びmは、各々独立に、0~4の整数を表す。nは、0又は1を表す。但し、m+nは1以上の整数を表す。なお、Ra1とRとが結合して環構造を形成していてもよい。また、Ra2とRとが結合して環構造を形成していてもよい。
  2. 前記一般式(a-1)で表される化合物のオキシムエステル価が、2.0×10-3~7.0×10-3mol/gである、請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 前記一般式(a-1)において、m+nが1を表し、lが0又は1を表す、請求項1又は2に記載の転写フィルム。
  4. 前記一般式(a-1)で表される化合物が、下記一般式(b-1)で表される化合物及び下記一般式(b-2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の転写フィルム。
    Figure 2022156251000046

    Figure 2022156251000047
  5. 前記光重合性化合物は、2官能の光重合性化合物及び3官能の光重合性化合物の少なくとも1種を含み、
    前記2官能の光重合性化合物及び前記3官能の光重合性化合物の合計含有量が、前記光重合性化合物の全質量に対して、40質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の転写フィルム。
  6. 前記2官能の光重合性化合物及び前記3官能の光重合性化合物の合計含有量が、前記光重合性化合物の全質量に対して、45質量%以上である、請求項5に記載の転写フィルム。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の転写フィルムが有する前記仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に接触させて貼り合わせ、前記基板、前記導電層、前記感光性層、及び、前記仮支持体をこの順に有する感光性層付き基板を得る貼合工程と、
    前記感光性層をパターン露光する露光工程と、
    露光された前記感光性層を現像して、前記導電層を保護する保護膜パターンを形成する現像工程と、
    更に、前記貼合工程と前記露光工程との間、又は、前記露光工程と前記現像工程との間に、前記感光性層付き基板から前記仮支持体を剥離する剥離工程と、を有する、積層体の製造方法。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の転写フィルムが有する前記仮支持体とは反対側の表面を、導電層を有する基板に接触させ、前記基板、前記導電層、前記感光性層、及び、前記仮支持体をこの順に有する感光性層付き基板を得る貼合工程と、
    前記感光性層をパターン露光する露光工程と、
    露光された前記感光性層を現像して樹脂パターンを形成する現像工程と、
    前記樹脂パターンが配置されていない領域における前記導電層をエッチング処理するエッチング工程と、
    更に、貼合工程と露光工程との間、又は、露光工程と現像工程との間に、前記感光性層付き基板から仮支持体を剥離する剥離工程と、を含む、導体パターンを有する積層体の製造方法。
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