JPWO2019245054A1 - ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材、ゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物、フィルム、及び電子デバイス - Google Patents

ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材、ゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物、フィルム、及び電子デバイス Download PDF

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Abstract

本発明は、反り等の変形に対する高い抑制性、高い画像明瞭性、及び高い透明性を全て兼ね備えた、電子デバイス等の部材に相応しいポリイミド樹脂複合材を安価に提供することを課題とする。構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有し、電子材料デバイス用である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。

Description

本発明は、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材、ゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物、フィルム、及び電子デバイスに関する。
近年、樹脂フィルムを用いた、フレキシブル性に長けた電子デバイスの開発が活発に進められている。具体的には、ポリイミド樹脂フィルムを基板として用いたOLED(有機電界発光素子)が挙げられ、ディスプレイ装置等にさらに用いられている。
ポリイミド樹脂は、一般的に、他の樹脂と比べて、比較的高いガラス転移温度を有している。しかしながら、ポリイミド樹脂は、高温下における平均熱膨張係数が大きい傾向があるために、電子デバイス製造時の高温処理プロセスでのポリイミド樹脂フィルムの反り等の変形で、電子デバイスの要求初期特性を満たすことができない問題、並びに電子デバイスの駆動発熱によりポリイミド樹脂フィルムが反り等の変形を起こすことで、樹脂上に設置された部品の剥離や断線等がさらに起こり、電子デバイスの要求耐久特性を満たすことができない問題などが、生じる可能性がある。そのため、ポリイミド樹脂の平均熱膨張係数は低いことが求められる。
また、OLEDを用いたディスプレイ装置では、基材を通して表示する像を観察するために、画像明瞭性、及び透明性は、重要な特性である。そのために、基板として用いられる、ポリイミド樹脂のリタデーション値、及びヘイズ率は低いことが求められる。
一方で、反り等の変形防止のためには、ポリイミド樹脂の面内配向は揃っていた方が好ましいが、良好な画像明瞭性、並びに高い透明性のためには、ポリイミド樹脂の面内配向は揃っていない方が好ましいので、反り等の変形防止、及び良好な画像明瞭性、並びに高い透明性には、トレードオフの関係が存在している(特許文献1−3)。
上記のトレードオフの関係を脱する技術としては、樹脂を構成する単位を工夫することやフィラーを加えることが知られている。例えば、特許文献1−3には、樹脂を構成する単位に特殊な成分を組み込むことで、平均熱膨張係数が比較的低く、かつ画像明瞭性が比較的高く、かつ/または透明性が比較的高いポリイミド樹脂が記載されている。また、特許文献3及び4には、ポリイミド樹脂に、シリカ微粒子を添加することで、平均熱膨張係数が比較的低く、かつ画像明瞭性が比較的高く、かつ/または透明性が比較的高いポリイミド樹脂複合材が記載されている。
国際公開第2015/125895号 国際公開第2014/007112号 特開2016−204569号公報 国際公開第2014/051050号
特許文献1−3に記載されるようなポリイミド樹脂を用いたフィルムは、高温処理プロセス時での反り等の変形を抑え、画像明瞭性が良好で、透明性の高いフィルムとして、電子デバイス等の部材に、用いることが期待できる。しかしながら、樹脂を構成する単位に特殊な成分を組み込んでいるので、製造コストが高いという問題が新たに存在する特殊なポリイミド樹脂であることは課題である。
一方、特許文献3及び4に記載されるようなポリイミド樹脂にフィラーを添加したポリイミド樹脂複合材のフィルムは、高温処理プロセス時での反り等の変形を抑え、画像明瞭性が良好で透明性の高いフィルムとして、電子デバイス等の部材として用いることが期待できる。また、特殊なポリイミド樹脂である必要性はないので、総じて安価に用いることが期待できる。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献3及び4に記載の樹脂複合材の場合、フィラーとして添加されたシリカ微粒子は、凝集しやすい傾向があるために、部分的に時間経過ともに白濁化が目立ち、透明性が低下する場合があることが判明した。また、多量のシリカ微粒子を添加しないと樹脂複合材の平均熱膨張係数の低下が困難なために、ポリイミド樹脂含有組成物又はポリイミド樹脂前駆体含有組成物の安定性が低く、かつ該組成物から製造されたポリイミド樹脂のフィルムの画像明瞭性の再現性が乏しく、また脆いことが判明した。
そこで、本発明は、反り等の変形に対する高い抑制性、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を全て兼ね備えた、電子デバイス等の部材に相応しいポリイミド樹脂複合材を安価に提供することを課題とする。
上記実情に鑑み鋭意検討の結果、本発明者らは、特定の構造のゼオライトをポリイミド樹脂中に分散させることで、ポリイミド樹脂複合材の平均熱膨張係数(CTE)が小さく、ヘイズ率が低く、そしてリタデーション値を小さくできることを見出し、本発明に到達した。また、本発明においては、上述の構成により、弾性率も大きくできることをも見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有し、電子材料デバイス用である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[2] ゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有するゼオライト含有ポリイミド複合材であって、
0℃以上前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下における平均熱膨張係数が50ppm/K未満であり、
リタデーション値が150nm以下であり、かつ、
ヘイズ率が5%以下である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[3] 構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有し、透明である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[4] 前記ゼオライトが、AEI、AFT、AFX、CHA、ERI、KFI、SAT、SAV、SFW、及びTSC構造のいずれかを有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[5] 25℃における弾性率が4.5GPa以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[6] ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材前記ゼオライトが、に対し1質量%以上80質量%以下含まれる、[1]〜[5]のいずれかに記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[7] 前記ポリイミド樹脂が、核水素化された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂である、[1]〜[6]のいずれかに記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[8] 構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂前駆体と、を含有する、ゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物。
[9] [8]に記載の組成物の硬化物である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
[10] [1]〜[7]、又は[9]のいずれかに記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材を含有するフィルム。
[11] [1]〜[7]、又は[9]のいずれかに記載のオライト含有ポリイミド樹脂複合材を含有する電子デバイス。
[12] ゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有するゼオライト含有ポリイミド複合材であって、
0℃以上前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下における平均熱膨張係数が50ppm/K未満であり、
25℃における弾性率が4.5GPa以上であり、かつ、
ヘイズ率が5%以下である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
反り等の変形に対する高い抑制性、高い画像明瞭性、及び高い透明性を全て兼ね備えた、電子デバイス等の部材に相応しいポリイミド樹脂複合材を安価に提供することができる。
本発明の一実施形態としてのゼオライトと樹脂とを含む樹脂複合材を模式的に表す図である。 本発明の一実施形態としての電界効果トランジスタ素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての電界発光素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に表す断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これら説明は本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明の一実施形態であるゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材の第1の態様は、構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有し、電子材料デバイス(「電子デバイス」とも称する)用である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材である。
また、本発明の別の実施形態であるゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材の第2の態様は、ゼオライト含有透明ポリイミド樹脂複合材であり、構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有し、透明である、ゼオライト含有透明ポリイミド樹脂複合材である。本発明における「透明」とは、ヘイズ率が5%以下のポリイミド樹脂複合材である。
本願明細書では、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材を、単に「複合材」、「樹脂複合材」、及び「ポリイミド樹脂複合材」とも称する。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂複合材を模式的に表す図である。以下に、樹脂複合材1について、詳細に説明する。
<1.樹脂複合材1>
図1に示すように、樹脂複合材1は、ゼオライト2と、ポリイミド樹脂3と、を含有する。
<1.1 ゼオライト>
樹脂複合材に含有されるゼオライトについて説明する。なお、ゼオライトとは、ケイ素又はアルミニウムと、酸素と、を含んで構成される、TOユニット(T元素とは、骨格を構成する酸素以外の元素)を基本単位としたものであり、具体的には、結晶性多孔質なアルミノケイ酸塩、結晶性多孔質なアルミノリン酸塩(ALPO)、又は結晶性多孔質なシリコアルミノリン酸塩(SAPO)が挙げられる。さらに、このTiOユニットが、いくつか(数個〜数十個)つながった、Composite Building Unit(CBU)と呼ばれる構造単位から成り立っている。そのために、規則的なチャンネル(管状細孔)とキャビティ(空洞)を有している。
樹脂複合材は、構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを1以上含むゼオライトを含有しており、当該ゼオライトはフィラーとして用いられる。当該ゼオライトは、ポリイミド樹脂を含有し、当該ポリイミド樹脂が有するイミド結合の一部が入りやすいキャビティを形成しやすい構造単位を有している。したがって、当該ゼオライトは、従来使用されていたシリカ粒子等のフィラーと比較して、ポリイミド樹脂との相性がよいので、凝集が発生しにくい。
さらに、上記の樹脂複合材においては、少量のゼオライトで、樹脂複合材の平均熱膨張係数を大幅に下げることができるので、時間が経過しても、白濁化を防ぐことができ、高い透明性を維持することができる。また、フィラーであるゼオライトの含有量が小さいために、高いフレキブル性も維持することができ、脆化や変形等を防ぐことや、良好な画像明瞭性にも繋がる。
d6rを有するゼオライトとしては、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSC、及び−WEN型構造のゼオライトが挙げられる。
また、mtwを有するゼオライトとしては、BEA、BEC、CSV、GON、ISV、ITG、−ITN、IWS、MSE、MTW、SFH、SFN、SSF、−SSO、UOS、及びUOV型構造のゼオライトが挙げられる。
また、ポリイミド樹脂が含有する、イミド結合の一部との相互作用を、3次元的に有するために、3次元チャネルをさらに有するゼオライトであることがより好ましい。例えば、AEI、AFT、AFX、BEA、BEC、CHA、EMT、ERI、FAU、GME、ISV、ITG、−ITN、IWS、JSR、KFI、MOZ、MSE、OFF、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SZR、TSC、UOS、UOV、及び−WEN型構造のゼオライトが挙げられる。
これらのうち、微粒子化しやすいという観点から、酸素8員環以下の構造をさらに有することが特に好ましく、具体的には、AEI、AFT、AFX、CHA、ERI、KFI、SAT、SAV、SFW、及びTSC構造のゼオライトが挙げられる。
なお、本明細書において、酸素8員環を有する構造とは、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素(骨格を構成する酸素以外の元素)で構成される細孔の中で最も酸素数が多い場合の酸素元素の数が8である構造を意味する。
(ゼオライトの樹脂複合材中の含有率)
樹脂複合材中に含有されるゼオライトの含有率は、特段の制限はないが、通常、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、最も好ましくは15質量%以上であり、一方、通常、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下、最も好ましくは20質量%以下である。上述の通り、樹脂に少量のゼオライトを添加すれば、フィラーとしてシリカ等を用いた場合と比較して、得られる平均熱膨張係数を大きく低下させることができる。
よって、ゼオライト含有率が上記1質量%以上、80質量%以下であれば、樹脂複合材は、脆化や変形等を抑制しながら、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。なかでも、10質量%以上、30質量%以下であれば、シリカ等と比較して、少量の含有量で、上記樹脂複合材の性質がより明確に発揮されるので、特に好ましい。
樹脂複合材中のゼオライトは、1種を単独で含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。ただし、その中の少なくともひとつは、前述のとおり、構造単位 Composite Building Unit(CBU)にd6r及びmtwのいずれかが含まれているゼオライトである。
具体的に、ゼオライトは、製造しやすい点で、アルミノケイ酸塩であることが好ましいが、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、ケイ素又はアルミニウムの代わりに、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、リン等の元素を用いてもよく、ケイ素、アルミニウムと共にガリウム、鉄、ホウ素、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、リン等の元素を含んでいてもよい。
ゼオライトの構造は、International Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードで示すことができる。なお、ゼオライトの構造は、X線構造解析装置(例えば、BRUKER社製卓上型X線回析装置D2PHASER)により得られたX線回折パターンを基に、ゼオライト構造データベース2018年版(http://www.iza−structure.org/databases/)を用いて特定することができる。
(ゼオライトの平均熱膨張係数)
ゼオライトの平均熱膨張係数は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、0ppm/K未満であり、好ましくは−2ppm/K以下であり、より好ましくは−3ppm/K以下であり、さらに好ましくは−5ppm/K以下であり、特に好ましくは−7ppm/K以下であり、最も好ましくは−10ppm/K以下であり、一方、通常、−1000ppm/K以上であり、好ましくは−900ppm/K以上であり、より好ましくは−800ppm/K以上であり、さらに好ましくは−700ppm/K以上であり、特に好ましくは−500ppm/K以上であり、最も好ましくは−300ppm/K以上である。ゼオライトの平均熱膨張係数が、上記範囲であれば、樹脂複合材は、ゼオライトの含有量が少なく、高いフレキブル性も維持することができた上で、脆化や変形等を抑制しながら、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。
なお、ゼオライトの平均熱膨張係数は、BRUKER社製X線回折装置D8ADVANCEとX線回折解析ソフトJADEを用いて格子定数を算出することで、測定することができる。
このゼオライトの平均熱膨張係数は、60℃と220℃の熱膨張係数を測定し、その平均をもって平均熱膨張係数とする。
また、ゼオライトのフレームワーク密度は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段に限定されるものではないが、好ましくは、17.0T/1000Å以下、より好ましくは、16.0T/1000Å以下、さらに好ましくは、15.0T/1000Å以下であり、一方、好ましくは、12.0T/1000Å以上、より好ましくは、13.0T/1000Å以上、さらに好ましくは、14.0T/1000Å以上である。フレームワーク密度が、上記範囲内であれば、ゼオライトを凝集しにくいように微粒子化しやすくなり、脆化や変形等を抑制しながら、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。
なお、フレームワーク密度とは、ゼオライトの単位体積あたりに存在するT原子の数を示し、ゼオライトの構造によって定まる値である。本明細書では、IZAのゼオライト構造データベース2018年版(http://www.iza−structure.org/databases/)に記載の数値を用いればよい。
フレームワーク密度が、16.0T/1000Åより大きく、17.0T/1000Å以下のゼオライトの例としては、CSV、ERI、ITG、LTL、LTN、MOZ、MSE、OFF、SAT、SFH、SFN、SSF、−SSO、−WEN型構造のゼオライトを挙げることができる。
フレームワーク密度が、15.0T/1000Åより大きく、16.0T/1000Å以下のゼオライトの例としては、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、BEA、BEC、CHA、EAB、GME、−ITN、LEV、MWW、及びSFW型構造のゼオライトを挙げることができる。
フレームワーク密度が、14.0T/1000Åより大きく、15.0T/1000Å以下のゼオライトの例としては、ISV、IWS、KFI、SAS、及びSAV型構造のゼオライトを挙げることができる。
フレームワーク密度が、14.0T/1000Å以下の範囲に存在するゼオライトの例としては、EMT、FAU、JSR、SBS、SBT、及びTSC型構造のゼオライトを挙げることができる。
また、ゼオライトのシリカ/アルミナモル比(SAR)は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段に制限されるものではないが、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは9以上、特に好ましくは12以上であり、通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下である。シリカ/アルミナモル比(SAR)が、上記範囲内であれば、カウンターカチオンの量を適切に制御でき、また、ゼオライトの製造コストも安くすむ。
また、TOユニットを構成するケイ素、アルミニウムの代わりに、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛、リン等の元素を用いた場合は、代わりになった該元素の酸化物のモル比を、アルミナ又はシリカのモル比として換算すればよい。具体的には、アルミニウムの代わりにガリウムを用いた場合は、酸化ガリウムのモル比をアルミナのモル比に換算すればよい。
また、ゼオライトのカウンターカチオンは、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段に限定されるものではないが、通常、構造規定剤、プロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンであり、好ましくは、構造規定剤、プロトン、アルカリ金属イオンであり、より好ましくは、構造規定剤、プロトン、Liイオン、Naイオン、Kイオンであり、さらに好ましくは、構造規定剤、プロトン、Liイオンであり、特に好ましくは、プロトンである。構造規定剤である場合には、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンに比べ、柔軟性があるために、ゼオライトが、0ppm/K未満の平均熱膨張係数を示しやすいために好ましい。また、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンは、そのサイズが小さいほど、ゼオライトが、0ppm/K未満の平均熱膨張係数を示しやすいために好ましい。なかでも、プロトンである場合が、樹脂複合材の平均熱膨張係数を低下しやすくなるために、好ましい。
すなわち、ゼオライトとしては、好ましくは、as−made(構造規定剤含有型)、プロトン型、アルカリ金属型であり、より好ましくは、as−made、プロトン型、Li型、Na型、K型であり、さらに好ましくは、as−made、プロトン型、Li型であり、最も好ましくは、プロトン型である。
なお、構造規定剤とは、ゼオライトの製造で用いるテンプレートのことである。
ゼオライトの結晶度は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段に限定されるものではない。その理由としては、IZAがコードで定める構造よりも、Composite Building Unit(CBU)の方が、樹脂複合材の平均熱膨張係数に繋がる因子であると推測されるからである。
なお、ゼオライトの結晶度は、X線回折装置(例えば、BRUKER社製卓上型X線回析装置D2PHASER)で求めた、或るX線回折ピークを、基準とするゼオライトのX線回折ピークと比較することで求めることができる。具体的な算出例として、Scientific Reports 2016、6、Article number:29210 のLTA型ゼオライトの結晶度が挙げられる。
ゼオライトの平均一次粒子径は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、通常15nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上、さらに好ましくは30nm以上、最も好ましくは40nmである。一方、通常2000nm以下、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下、特に好ましくは200nm以下、最も好ましくは100nm以下である。ゼオライトの平均一次粒子径が、上記範囲内であれば、樹脂複合材内にゼオライトが均一に分散しやすくなり、さらには、得られる樹脂複合材の透明性が高くなることや、良好な画像明瞭性に繋がる傾向がある。
なお、ゼオライトの平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察において、任意に選択した30個以上の一次粒子について粒子径を測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求める。その際、粒子径は、粒子の投影面積と等しい面積を持つ、最大径となる円の直径(円相当径)を意味するものとする。
ゼオライトは、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、一次粒子が凝集した二次以上の高次粒子状態であってもよい。その状態での平均粒子径は、特段の制限はないが、通常15nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上、さらに好ましくは30nm以上、特に好ましくは40nm、最も好ましくは50nm以上であり、一方、通常3000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは500nm以下、特に好ましくは300nm以下、最も好ましくは100nm以下である。上記範囲内であれば、樹脂複合材内にゼオライトが均一に分散しやすくなり、さらには、得られる樹脂複合材の透明性が高くなることや、良好な画像明瞭性に繋がる傾向がある。
なお、ゼオライトの二次以上の高次粒子の平均粒子径は、一次粒子同様に、走査電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察において、任意に選択した30個以上の粒子について粒子径を測定し、その粒子の粒子径を平均して求めてもよい。その際、粒子径は、粒子の投影面積と等しい面積を持つ、最大径となる円の直径(円相当径)を意味するものとする。また、粒子径分布測定装置を用いて測定した、D50値を用いてもよい。粒子径分布測定装置としては、粒子径に応じて、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いてもよいし、動的光散乱式粒子径分布測定装置を用いてもよい。
ゼオライトの製造方法としては、特段の制限はなく、公知の水熱合成法により、安価に製造することができる。例えば、CHA型のゼオライトを製造する場合、日本国特許4896110号に記載の方法を参照として、製造することができる。
ゼオライトの製造方法では、必要に応じて構造規定剤をテンプレートに用いることができるが、通常は、目的とするゼオライト構造が製造可能な構造規定剤であれば、特に制限はなく、構造規定剤なしで製造可能であれば、構造規定剤を用いなくてもよい。
なお、平均粒子径の小さなゼオライトを製造する場合には、合成時間を通常よりも短い時間で、また、合成温度を通常よりも低い温度で制御して水熱合成すればよいし、または、水熱合成により得られたゼオライトを、ビーズミル、ボールミル等の湿式粉砕で解砕、及び/又は粉砕すればよい。
上記の解砕、及び/又は粉砕に用いられる粉砕装置としては、例えば、フロイント・ターボ社製「OBミル」、アシザワ・ファインテック社製「ナノ・ゲッター」、「ナノ・ゲッター・ミニ」、「スターミル」、及び「ラボスター」、スギノマシン社製「スターバースト」等が挙げられる。また、一般的に、粉砕後のゼオライトの結晶性は、低下するが、特開2014−189476号公報に記載の方法のように、アルミナ、シリカ等を含む溶液中で再結晶化することができる。
解砕、及び/又は粉砕後のゼオライトの再凝集を抑制する点で、溶媒中で湿式粉砕して、溶媒中に平均粒子径の小さなゼオライトを分散させることが好ましい。なかでも、平均粒子径を小さくできる点で、ビーズミルを行うことが特に好ましい。また、分散後の再凝集を抑制するために、湿式粉砕時に、分散剤を用いてもよい。上記、溶媒、及び分散剤としては、後述のインクの構成成分で挙げる、溶媒、及び分散剤を用いることができる。
また、解砕、及び/又は粉砕されたゼオライトが分散した分散液中のゼオライトの平均粒子径をさらに小さくする目的で、遠心分離を行い、平均粒子径の大きな粒子を取り除くことができる。これにより、ゼオライトが樹脂複合材内でより均一に分散しやすくなり、さらには、得られる樹脂複合材の透明性が高くなるので、好ましい。なお、遠心分離に用いる遠心機は、市販の装置(例えば、コクサン社製遠心機H−36、及び日立工機製日立微量高速遠心機CF15RN)を用いることができる。
<1.2.ポリイミド樹脂>
以下に、樹脂複合材に用いられるポリイミド樹脂について述べる。
ポリイミド樹脂は、硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂いずれも制限なく用いることが出来る。なかでも、活性エネルギー線硬化性樹脂、及び熱硬化性樹脂等の架橋が可能である、硬化性樹脂であれば、熱可塑性樹脂よりも、樹脂複合材内での樹脂とゼオライトの均一分布が高くなる点で好ましい。特に、熱硬化性樹脂であれば、露光機を用いない分、製造コストが安い点で好ましい。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂複合材とは、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線等で硬化する樹脂のことである。
また、ポリイミド樹脂は、核水素化(「水添」とも称する)された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂であっても、核水素化されていない芳香族化合物を有するポリイミド樹脂であってもよいが、ゼオライトとの相溶性が良い、言い換えればゼオライトとの接着性が向上する点から、特に電子デバイスに用いる場合には、核水素化された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂であることが好ましい。
核水素化された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂の具体例としては、「新訂 最新ポリイミド −基礎と応用−」(日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会編、エヌ・ティー・エス(2010))、国際公開第2015/125895号、国際公開第2014/98042号記載、及び特開2016−128555号公報などで挙げられるポリイミド樹脂が該当する。
ポリイミド樹脂とゼオライトとの相性については、以下のことが考えられる。例えば、(1)ポリイミド樹脂が含有する、イミド結合、並びに未反応由来のカルボニル基、及びアミノ基と、ゼオライト表面のSi−OH基との間で相互作用を発揮することにより、分散剤を用いたような分散機能が生じること、(2)ポリイミド樹脂が含有する、イミド結合の一部が、ゼオライトの構造単位 Composite Building Unit(CBU)に、d6r又はmtwのいずれかから形成されるキャビティに入り込むこと、等が考えられる。よって、ポリイミド樹脂複合材内にゼオライトが均一に分散しやすくなり、脆化や変形等を抑制しながら、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。結果として、長期的に白濁化を防ぐことができ、良好な画像明瞭性や高い透明性も維持することができる。
なかでも、核水素化された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂は、核水素化された芳香族化合物が、芳香族化合物同士のπ−π結合に由来するπ−πスタッキングを阻害することにより、ゼオライトとの相溶性がよくなる。特に、d6r又はmtwを有するゼオライトでは、相溶性がさらによくなっているが、これは、上記の理由に加えて、阻害されたπ−πスタッキング分のスペースを埋めるような役割を、d6r又はmtwというCBUが務めることで、相溶性がさらによくなっていると考えられる。結果として、長期的に白濁化を防ぐことができ、さらに良好な画像明瞭性やさらに高い透明性も維持することができる。
ポリイミド樹脂の分子量は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)の値で、通常1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。また、通常200000以下であり、好ましくは180000以下であり、より好ましくは150000以下である。上記範囲内であることで、溶媒に対する溶解性、粘度等が通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため、好ましい。
また、ポリイミド樹脂の数平均分子量(Mn)も、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2500以上である。また通常100000以下、好ましくは90000以下、より好ましくは80000以下である。上記範囲内であることで、溶媒に対する溶解性、粘度などが通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため、好ましい。ポリスチレン換算の数平均分子量は、前記質量平均分子量と同様の方法で求めることができる。
また、ポリイミド樹脂のMwをMnで除した値(Mw/Mn)は、通常1.5以上、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上であり、一方、通常5以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4以下である。上記範囲内であることで、樹脂複合材中のゼオライトの均一性が高くなる点や、平滑性に優れた樹脂複合材の成形体が得られるという点で好ましい。
ポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常80℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは220℃以上であり、特に好ましくは250℃以上である。また、通常700℃以下、好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下、さらに好ましくは350℃以下であり、特に好ましくは320℃以下である。上記範囲内であることで、樹脂複合材は、脆化や変形等を抑制しながら、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。
ポリイミド樹脂は、通常、0ppm/Kより大きい平均熱膨張係数を有する材料である。ポリイミド樹脂の平均熱膨張係数は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、0℃以上、該樹脂のガラス転移温度以下、の温度範囲中での測定範囲において、通常、0ppm/Kより大きく、好ましくは10ppm/K以上であり、より好ましくは20ppm/K以上であり、さらに好ましくは30ppm/K以上であり、特に好ましくは50ppm/K以上であり、また、通常200ppm/K以下であり、好ましくは150ppm/K以下であり、より好ましくは125ppm/Kであり、さらに好ましくは100ppm/K以下であり、特に好ましくは75ppm/K以下である。上記範囲内であることで、樹脂複合材は、脆化や変形等を抑制しながら、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。また、ゼオライトが少量で済むので、長期的に白濁が少なくすることができる。
なお、樹脂の平均熱膨張係数は、JIS K7197(2012年)に準拠する方法により、熱機械分析によって測ることが出来る。例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製熱機械分析装置TMA/SS6100を使用して、シート状にした樹脂複合材の伸縮により測定出来る。具体的には、通常60℃と220℃の2点の温度における熱膨張係数の傾きにより求めることができる。ガラス転移温度が220℃以下の場合には、60℃とガラス転移温度での測定値の平均を取ることができる。また、樹脂のガラス転移温度は、熱機械分析により測定した変曲点から求めることができる。
また、ポリイミド樹脂の製造方法は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はなく、公知の方法で製造すればよい。例えば、「新訂 最新ポリイミド −基礎と応用−」(日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会編、エヌ・ティー・エス(2010))に記載されている方法で製造することができる。
<1.3.その他の化合物>
樹脂複合材は、ゼオライト、及びポリイミド樹脂以外に、本発明の効果を著しく損なわない限り、その他の化合物を含んでもよい。例えば、後述するように、樹脂複合材を製造する際に、インクや混練物に、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、イミド化促進剤、溶媒等を含んでもよく、これらの残留成分が樹脂複合材中に含まれていてもよい。
<1.4.ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材の特性>
上述の構成により、従来にない特性を有するゼオライト含有ポリイミド複合材が得られる。具体的には、本発明の別の実施形態であるゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材の第3の態様であり、ゼオライトと、核水素化された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂と、を含有するゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材であって、0℃以上前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下における該複合材の平均熱膨張係数が50ppm/K未満であり、該複合材のリタデーション値が150nm以下であり、該複合材のヘイズ率が5%以下である、ゼオライト含有ポリイミド複合材、又は、第4の態様であり、ゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有するゼオライト含有ポリイミド複合材であって、0℃以上前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下における平均熱膨張係数が50ppm/K未満であり、25℃における弾性率が4.5GPa以上であり、かつ、ヘイズ率が5%以下である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材が得られる。
0℃以上ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下におけるゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材の平均熱膨張係数は、50ppm/K未満とすることができる。好ましくは45ppm/K以下であり、より好ましくは40ppm/K以下であり、さらに好ましくは35ppm/K以下であり、特に好ましくは30ppm/K以下である。また、通常0ppm/K以上であり、好ましくは5ppm/K以上であり、より好ましくは10ppm/K以上であり、さらに好ましくは15ppm/K以上であり、特に好ましくは20ppm/K以上である。なお、樹脂複合材の平均熱膨張係数は、上述の樹脂の平均熱膨張係数と同様の方法で測定できる。
また、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材のリタデーション値は、150nm以下とすることができる。好ましくは125nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、さらに好ましくは75nm以下であり、特に好ましくは50nm以下である。また、ゼロに近いほど好ましいので、好ましい下限はない。なお、リタデーション値は、位相差フィルム・光学材料検査装置を用いて測定することができる。例えば、大塚電子社製RETS−100を用いて、膜厚10μmの膜に対して、波長460nmの値として算出することができる。
また、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材のヘイズ率は、D65光に対する値であり、通常5%以下とできる。好ましくは4%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1%以下である。また、ゼロに近いほど好ましいので、好ましい下限はない。なお、ヘイズ率は、JIS K7136(2000年)、及びJIS K7361−1(1997年)に準拠する方法により測定する。具体的には、ヘイズ計(例えばスガ試験機社製TMダブルビーム自動ヘイズコンピュータHZ−2)で測定することができる。
樹脂複合材の波長450nmにおける光の透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。100%に近いほど好ましいので、好ましい上限はない。上記範囲内にあることで、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。なお、透過率は、分光光度計(例えば島津製作所社製分光光度計UV−2500PC)で測定することができる。
樹脂複合材の可視光線透過率は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは75%以上、最も好ましくは80%以上である。100%に近いほど好ましいので、好ましい上限はない。上記範囲内にあることで、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。なお、可視光線透過率は、分光光度計(例えば島津製作所社製分光光度計UV−2500PC)で測定した値から、JIS R3106(1998年)に定義されている方法により算出することができる。
樹脂複合材のイエローインデックス(黄色度)値は、好ましくは−20以上であり、より好ましくは−10以上であり、さらに好ましくは−5以上であり、特に好ましくは−3以上であり、最も好ましくは−1以上である。一方、好ましくは20以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下であり、特に好ましくは3以下であり、最も好ましくは1以下である。上記範囲内にあることで、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。なお、イエローインデックス値は、JIS K7373(2006年)に準拠する方法により測定することができる。具体的には、スガ試験機社製カラーコンピューターSM5を用いて、膜厚10μmの膜に対して算出することができる。
樹脂複合材の25℃における弾性率(以下、樹脂複合材の貯蔵弾性率を、本願明細書中で単に「弾性率」ということもある。)は特段制限されないが、通常4.0GPa以上であり、4.2GPa以上であることが好ましく、4.5GPa以上であることがより好ましく、4.6GPa以上であることがさらに好ましく、4.7GPa以上であることが特に好ましく、一方で、通常8.0GPa以下であり、7.5GPa以下であることが好ましく、7.0GPa以下であることがより好ましく、6.8GPa以下であることがさらに好ましく、6.5GPa以下であることが特に好ましい。上記範囲にあることで、反り等の変形に対する高い抑制性を持つことが出来る。
樹脂複合材の貯蔵弾性率は、例えば、JIS K−7244法に記載の動的粘弾性測定法により、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製動的粘弾性装置DMS6100を用いて、測定温度範囲:−100℃から150℃、周波数:1Hz、昇温速度:5℃/分の条件下、両持ち引張モードで測定することができる。
樹脂複合材における、時間経過に伴う白濁化については、上述のD65光におけるヘイズ率、波長450nmにおける光の透過率、又は可視光線透過率で定量的に数値化できるが、目視により定性的な判断をすることができる。
また、樹脂複合材における、フレキシブル性については、耐屈曲性試験等で定量的に数値化できるが、手で折り曲げることによる亀裂や筋の数を数えることにより定性的な判断をすることができる。
<1.5.ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材の製造方法>
ポリイミド樹脂複合材の製造方法は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はなく、加熱溶融状態で成形、射出成型する等の常法が使用できるが、ポリイミドの優れた強度やガスバリア性などを活用するためフィルム状にして使用されることも多い。そこで以下において、フィルム状の複合材を作製するのに特に適し、簡易な方法としてポリイミド樹脂前駆体と、ゼオライトと、溶媒と、を混合してゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物(「インク」とも称する)を作製し、インクを支持体等に塗布した後に加熱乾燥する方法を例として説明する。よって以下に記載されたポリイミド樹脂、分散剤、溶媒等の説明はインクに限るものではなく、複合材に含まれていてもよい。
ポリイミド樹脂は、多くの溶媒に対し、不溶不融であるために、ポリイミド前駆体である、ポリアミック酸を用いて成形したあと、脱水・環化(イミド化)で、ポリイミド樹脂に転化する。その際、脱水・環化は、加熱もしくは、後述するイミド化促進剤を用いてもよく、ポリイミド樹脂へ転化する加熱温度は、後述する硬化温度に相当する。
なお、ポリイミド樹脂前駆体とは、テトラカルボン酸2無水物とジアミンとを、原料として、等モルで、重合させた、ポリアミック酸を意味する。なお、ポリアミック酸は、一般的には、インク中で、テトラカルボン酸2無水物とジアミンで重合させた状態のインクをそのまま用いる。
<1.5.1.インクの構成成分>
本発明の別の実施形態であるインクは、少なくとも、上述のゼオライトと、ポリイミド樹脂前駆体と、を含有したゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物であり、これらの原料を混合、又は、ポリイミド樹脂前駆体に代えて、ポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂前駆体原料(テトラカルボン酸2無水物、及びジアミン)と、溶媒と、を含有した組成物を混合して製造する。
インク中のゼオライトの含有率は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは7質量%以上、最も好ましくは10質量%以上であり、一方、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であることで、ゼオライトが沈殿等を起こすことがなく、分散状態を長く保ったインクを製造できる。なお、ゼオライトの含有率を算出する際のゼオライトの量は、ゼオライト及び、ゼオライトに含有された物質の合計量である。
なお、ゼオライトは、インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
インクに用いられるポリイミド樹脂は、上述の本発明の一実施形態に係る樹脂複合材中のポリイミド樹脂を用いることができ、通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、一方、通常90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であることで、樹脂が沈殿等を起こすことがなく、分散状態を長く保ったインクを製造できる。
なお、ポリイミド樹脂は、インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ポリイミド樹脂前駆体である、ポリアミック酸を上述のポリイミド樹脂の代わりに混合してもよい。なお、インク中のポリイミド樹脂前駆体の含有率は、ポリイミド樹脂に転化した場合に換算できる上述の樹脂の含有率相当であればよい。
一般的に、ポリイミド樹脂前駆体である、ポリアミック酸を含有するインクは、テトラカルボン酸2無水物とジアミンとを等モル加えたインクを、加熱で重合することでポリアミック酸をインク中で形成後、そのままインクとして用いる。
よって、テトラカルボン酸2無水物とジアミンとを、上述のポリイミド樹脂の代わりに混合してもよい。なお、インク中のポリイミド樹脂前駆体原料(テトラカルボン酸2無水物及びジアミン)の含有率は、最終的にポリイミド樹脂に転化した場合に換算できる上述の樹脂の含有率相当であればよい。
なお、テトラカルボン酸2無水物の具体例としては、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、「新訂 最新ポリイミド −基礎と応用−」(日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会編、エヌ・ティー・エス(2010))、国際公開第2015/125895号、国際公開第2014/98042号記載、及び特開2016−128555号公報などで挙げられるテトラカルボン酸2無水物が該当する。なかでも、核水素化された芳香族化合物を有するテトラカルボン酸2無水物が好ましい。
また、ジアミンの具体例としては、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、「新訂 最新ポリイミド −基礎と応用−」(日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会編、エヌ・ティー・エス(2010))、国際公開第2015/125895号、国際公開第2014/98042号記載、及び特開2016−128555号公報などで挙げられるジアミンが該当する。
また、テトラカルボン酸2無水物とジアミンとを等モルを重合してポリアミック酸を形成するための加熱温度としては、該当するポリアミック酸がさらに脱水・環化してポリイミドへ転化する温度未満であることが好ましい。
溶媒は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。
なかでも、ポリイミド樹脂前駆体の溶解度が高い点で、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類が好ましい。
特に、核水素化された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂前駆体の溶解性が高いという理由で、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類が好ましい。
また、溶媒は、樹脂複合材中に残留していても、していなくてもよいので、溶媒の含有率や沸点に、特段の制限はない。
インク中の溶媒の含有率は、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、一方、通常99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であることは、インクが適度な粘度を持ち、乾燥後に適度な厚みを持った樹脂複合材が得られるという点で好ましい。
なお、溶媒は、インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、インクには、ゼオライト、ポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂前駆体又はポリイミド樹脂前駆体原料、及び溶媒以外のその他の化合物を含んでもよく、例えば、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、イミド化促進剤等を含んでもよい。これらの分散剤、表面処理剤、界面活性剤、イミド化促進剤は、上述の樹脂複合材中の分散剤、表面処理剤、界面活性剤、イミド化促進剤を用いることができる。
インクに用いられる、その他の化合物は、インク中に、通常0.001質量%以上、好ましくは0.003質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、一方、通常10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。上記範囲内であることで、インク中においても、ゼオライトやポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂前駆体が沈殿等を起こすことなく、分散状態を保つことができる。
分散剤とは、インク中、並びに製造後の樹脂複合材中に、ゼオライトを均一に分散するための化合物を意味する。例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン又はジメチコンPEG−7コハク酸塩等のポリシロキサン化合物及びその塩;シラン化合物等(メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジクロロフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、又は3−カルボキシプロピルトリメチルトリメトキシシラン等)の有機ケイ素化合物;ギ酸、酢酸、酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸等のカルボン酸化合物;ラウリルエーテルリン酸又はトリオクチルホスフィン等の有機リン化合物;ジメチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン又はポリエチレンイミン等のアミン化合物、カルボン酸アミン化合物、及びリン酸アミン化合物等が挙げられる。なお、カルボン酸アミン化合物とは、カルボキシル基とアミノ基の両方の官能基を有する化合物を、リン酸アミン化合物とは、リン酸基とアミノ基の両方の官能基を有する化合物を意味する。
なかでも、リン酸アミン化合物の分散剤は、ゼオライトへの親和性が特に高いという理由から好ましい。
分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、後述の表面処理剤や界面活性剤が、分散剤として働いてもよい。なお、分散剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
ゼオライトの凝集を防ぎ、ゼオライトをインク中、並びに製造後の樹脂複合材中に、均一に分散するために、ゼオライトは表面処理剤で処理されてもよい。
表面処理剤は、特段の制限はなく、既知のものを用いてよく、上述の分散剤として用いたものや、ポリイミン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素等のバインダー樹脂等を表面処理剤として用いてよい。
表面処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、表面処理剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
樹脂複合材の製造時に、微小な泡もしくは異物の付着等により樹脂複合材に凹みや乾燥ムラの発生が起こること等を防止する目的で、インクは、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、特段の制限はなく、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又はアセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の具体例としては、ノニオン系界面活性剤としてトリトンX100(ダウケミカル社製)、フッ素系界面活性剤としてはゾニルFS300(デュポン社製)、ケイ素系界面活性剤としてはBYK−310、BYK−320、BYK−345(ビックケミー社製)、アセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール104、サーフィノール465(エアープロダクツ社製)、オルフィンEXP4036、又はオルフィンEXP4200(日信化学工業社製)が挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、界面活性剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
また、界面活性剤により、後述するインクの濡れ性を向上することができる。濡れ性は、実際に基材に塗布する以外に、接触角で評価できる。インクの接触角としては、PET基材に対して、通常45°以下、好ましくは30°以下、さらに好ましくは15°以下である。また、基材一面に広がることが、接触角が検出されないことであるので、特に好ましくは検出されないことである。45°以下であることにより、インクは、あらゆる基材上で塗布できる。なお、接触角は、接触角計で測定することができる。例えば、協和界面科学社製DM−501で測定することができる。
イミド化促進剤は、ポリイミド樹脂前駆体である、ポリアミック酸からポリイミドへのイミド化が促進されればよいので、該当するポリイミド樹脂複合材中のポリイミド樹脂の製造方法に応じて選択すればよい。例えば、「新訂 最新ポリイミド −基礎と応用−」(日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会編、エヌ・ティー・エス(2010))、国際公開第2015/125895号、国際公開第2014/98042号記載、及び特開2016−128555号公報などに記載のイミド化促進剤等が挙げられる。
イミド化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、イミド化促進剤は、組成物中において、単独で存在していてもよいし、溶媒等とともに錯体を形成していてもよい。また、多量体を形成していてもよい。なお、イミド化促進剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
インクは、24時間以上安定であることが好ましく、1週間以上安定であることがさらに好ましい。安定であればあるほど、インクの大量合成や長期保存が可能となり、製造コストを安くすることができる。
なお、インクの安定性は、沈殿物の生成や粘度の変化等で評価することができる。沈殿物の生成は、目視や動的光散乱粒子径測定装置で判断することができる。また、粘度は、回転粘度計法(「物理化学実験のてびき」(足立吟也、石井康敬、吉田郷弘編、化学同人(1993)に記載)により求めることができる。
上述の通り、樹脂複合材はインクの塗布することにより製造する例を示したが、ポリイミド樹脂複合材の製造方法はこれに限定されない。例えば、溶媒を使用せずに、ポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂前駆体と、ゼオライトと、を混練した後に加熱することにより樹脂複合材を製造することもできる。
混練物に用いられるゼオライトは、樹脂複合材中のゼオライトが用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、混練物に用いられる樹脂は、樹脂複合材中のポリイミド樹脂が用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、混練物に用いられるゼオライト、及びポリイミド樹脂以外のその他の化合物を含んでもよい。例えば、上述の分散剤、表面処理剤、界面活性剤、イミド化促進剤等を含んでもよい。その他の化合物は、各々1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
混練物に用いられるゼオライト、ポリイミド樹脂、及びその他の化合物の比率は、混練物から加熱して製造される樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はない。
但し、樹脂複合材フィルムの成形加工時の粘度調整が容易にできるために、上記の中でも、インクを塗布することによりポリイミド樹脂複合材を製造することが好ましい。
インク、及び混練物は、特に限定されずに、従来公知の方法で調合することができ、インク、及び混練物の構成成分を混合することで製造することができる。なお、その際、均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカー、ビーズミル、プラネタリミキサー、攪拌型分散機、ホモジナイザー、自公転攪拌混合機、三本ロール、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置、及びスターラー等を用いて混合することが好ましい。
各構成成分の混合順序も、反応や沈殿物が発生する等の特段の問題がない限り、任意であり、インク、及び混練物の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
<1.5.2.ポリイミド樹脂複合材の成形>
樹脂複合材を成形する方法は、樹脂の成形に一般に用いられる方法を用いることができる。その際、樹脂複合材の製造に必要な加熱と、成形のための加熱とを同時に行ってもよい。
例えば、ポリイミド樹脂複合材が熱可塑性を有する場合、樹脂複合材を所望の形状で、例えば、型へ充填することによって、成形することができる。このような成形体の製造法としては、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、及び圧縮成形法等を用いることができる。
樹脂複合材を構成するポリイミド樹脂が、熱可塑性樹脂である場合、成形体の成形は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度及び所定の成形速度や圧力の条件で行うことができる。
溶融温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましく、一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましく、120℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また、80℃以上であることは、樹脂が均一に溶融できる点で好ましく、100℃以上であれば、水分の影響を小さくできる点で好ましく、120℃以上であれば、水分の影響をより小さくできる点で好ましい。
また、ポリイミド樹脂複合材を構成する樹脂が、上述のポリイミド樹脂前駆体組成物の硬化物である、熱硬化性樹脂複合材である場合(樹脂前駆体を用いる場合)、樹脂複合材の成形、すなわち硬化は、それぞれの組成に応じた硬化温度条件で行うことができる。
硬化温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましく、一方、0℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましく、100℃以上であることが特に好ましく、120℃以上であることが最も好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また、80℃以上であることは、ある程度硬化が進行し、樹脂複合材から未反応成分が溶出することが抑えられる点で好ましい、100℃以上であれば、水分の影響を小さくできる点で好ましく、120℃以上であれば、水分の影響をより小さくできる点で好ましい。
流動性を有する樹脂複合材の場合には、所望の支持体に積層し(積層工程)、次いで熱処理を行うこと(熱処理工程)により、樹脂複合材を成形することができる。なお、所望の支持体は、製造後取り除いてもよい。
熱処理方法としては、例えば、熱風乾燥、赤外線ヒーターによる乾燥等の公知の乾燥方法が採用できる。なかでも、乾燥速度が速い熱風乾燥が好適である。風乾で乾燥できるのであれば、熱処理方法を省略してもよい。
熱処理の温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましく、一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましく、120℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また、80℃以上であることは、シート中の残存溶媒を除去できる点で好ましく、100℃以上であれば、水分の影響を小さくできる点で好ましく、120℃以上であれば、水分の影響をより小さくできる点で好ましい。
加熱時間は、特に限定されないが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは3分以上であり、一方、通常24時間以下、好ましくは12時間以下、より好ましくは1時間以下、さらに好ましくは15分以下である。上記の範囲にあることは、ロールツーロール法のような実用的な製造工程に適合できる点で好ましい。
支持体の材料は、特に限定されないが、基材の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;及びフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材とは、曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下の基材である。なお、フレキシブルな電子デバイスを製造する場合は、屈曲性と支持体としての特性を両立するために、曲率半径が0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、一方で、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがさらに好ましい。なお、曲率半径は、ひずみや割れ等の破壊が現れないところまで曲げた基材を、共焦点顕微鏡(例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK−X200)で求めることができる。
フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、エポキシ系樹脂等の上述樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料が挙げられる。
なお、これらの中でも、フレキシブル基材を使用することができると、ロールツーロール方式による製造が可能となり、生産性が向上する。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により樹脂複合材が劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密な酸化ケイ素膜等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
支持体の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、支持体の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。支持体の膜厚が5μm以上であることは、強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。支持体の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重くならないために好ましい。
支持体の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常10mm以下、好ましくは5mm以下である。ガラス基材の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材の膜厚が5mm以下であることは、重くならないために好ましい。
なお、ロールツーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、シートツーシート方式に比べて量産化に適した生産方式である。
ロールツーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、ロール芯の外径は、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下であり、一方、通常1cm以上、好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、上記下限以上であると、以下の各工程で成膜される層が、曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅は、通常5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上であり、一方、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上記上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、上記下限以上であると、樹脂複合材の用途の自由度が高くなるため好ましい。
なお、必ずしも支持体を用いる必要はなく、熱処理を含む成形方法で成形した固形状の樹脂複合材から、所望の形状に削り出すことによって、成形体を得ることもできる。
<2.樹脂複合材の用途>
上述の樹脂複合材の第1の態様は、電子材料デバイスの用途で用いられる。また、第2及び第3の態様は、電子材料デバイスだけでなく、例えば、触媒モジュール、分子篩膜モジュール、光学部材、吸湿部材、食品、建築部材、及び包装部材等の用途で用いることができ、なかでも、電子材料デバイスの構成部材、例えば、基材、ゲッター材フィルム、封止材等に用いることは、樹脂複合材の高い特性を活かせるので、好ましい。
また、樹脂複合材を含有する材料はフィルムとして用いることができ、フィルム状にすることで、ポリイミド樹脂のガスバリア性等を生かすことができるのみならず、前述の高い透明性やフレキシブル性、画像明瞭性などの点で有利である。フィルム状にして使用する際の樹脂複合材の膜厚は、特段の制限はないが、目的とする用途に合わせて適宜設定すればよいが、通常0.5μmより大きく、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは2μm以上であり、さらに好ましくは3μm以上であり、特に好ましくは5μm以上であり、一方、上述の透明性やフレキシブル性、画像明瞭性の観点から、通常5mm以下であり、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、さらに好ましくは0.3mm以下であり、特に好ましくは0.1mm以下である。
樹脂複合材の膜厚は、非接触式膜厚計や接触式膜厚計等、通常の膜厚計で測定できる。非接触式としては、共焦点顕微鏡(例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK−X200)等が挙げられる。
以下、電子デバイスとしてのポリイミド樹脂複合材を使用する例を説明する。
<2.1.電子デバイス>
電子デバイスは、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置である。具体的には、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、若しくは化学センサー等、又はこれらの素子を組み合わせ若しくは集積化したデバイスが挙げられる。また、光電流を生じるフォトダイオード若しくはフォトトランジスタ、電界を印加することにより発光する電界発光素子、及び光により起電力を生じる光電変換素子若しくは太陽電池等の光素子も挙げることができる。電子デバイスのより具体的な例は、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
なかでも、電子デバイスの好ましい例としては、電界効果トランジスタ(FET)素子、電界発光素子(LED)、光電変換素子又は太陽電池が挙げられる。これらのデバイスで、樹脂複合材の高い特性は、有効に活かすことができる。
以下、本発明の別の実施形態である、上述の樹脂複合材を構成要素として有する電子デバイス(「樹脂複合材を含有する電子デバイス」とも称する)の例として、電界効果トランジスタ素子、電界発光素子、光電変換素子、及び太陽電池について、以下、詳細に説明する。
<2.2.電界効果トランジスタ(FET)素子>
電界効果トランジスタ(FET)素子は、樹脂複合材を構成要素として有している。一実施形態に係る電界効果トランジスタ(FET)素子は、基材上に、半導体層と、絶縁体層と、ソース電極と、ゲート電極と、ドレイン電極とを有する。
一実施形態において、基材は本発明の一実施形態に係る樹脂複合材を有している。当該樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、基材の材料として好ましく用いられる。
以下、一実施形態に係るFET素子について詳細に説明する。図2は、FET素子の構造例を模式的に表す図である。図2において、11が半導体層、12が絶縁体層、13及び14がソース電極及びドレイン電極、15がゲート電極、16が基材、17がFET素子をそれぞれ示す。図2(A)〜(D)にはそれぞれ異なる構造のFET素子が記載されているが、どれもFET素子の構造例を示している。FET素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
なお、本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、本明細書における「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が通常1.0x10−6cm/V・s以上、好ましくは1.0x10−5cm/V・s以上、より好ましくは5.0x10−5cm/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10−4cm/V・s以上であることが望ましい。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタのIV特性の測定等により測定できる。
<2.2.1.基材>
FET素子は、通常基材16上に作製する。基材16の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材16の材料の好適な例は、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;上述の樹脂複合材の成形体等のフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材とは、曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下の基材である。なお、フレキシブルな電子デバイスを製造する場合は、屈曲性と支持体としての特性を両立するために、曲率半径が0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、一方で、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがさらに好ましい。なお、曲率半径は、ひずみや割れ等の破壊が現れないところまで曲げた基材を、共焦点顕微鏡(例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK−X200)で求めることができる。
フレキシブル基材の具体例としては、本発明の一実施形態である樹脂複合材が含有されていれば限定されないが、エポキシ系樹脂等の樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;上述の樹脂複合材の成形体が挙げられる。
なお、樹脂複合材の成形体は、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造上好ましいが、フレキシブル基材でなくても、基材16として用いることができる。
さらに、基材16に処理を施すことにより、FETの特性を向上させることができる。これは、基材16の親水性/疎水性を調整することにより、成膜される半導体層11の膜質を向上させること、特に基材13と半導体層11との界面部分の特性を改良することによるものと推定される。このような基材処理としては、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等を用いた疎水化処理;塩酸、硫酸、及び酢酸等の酸を用いた酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及びアンモニア等を用いたアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等を用いたプラズマ処理;ラングミュアブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体又は半導体の薄膜の形成処理等が挙げられる。
<2.3.電界発光素子(LED)>
電界発光素子(LED)は、樹脂複合材を含有する構成要素を有している。電界発光素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーによって蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。
以下に、電界発光素子について、図面を参照しながら説明する。図3は、電界発光素子の一実施形態を模式的に示す断面図である。図3において、符号31は基材、32は陽極、33は正孔注入層、34は正孔輸送層、35は発光層、36は電子輸送層、37は電子注入層、38は陰極、39は電界発光素子を示している。なお、電界発光素子がこれらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。例えば、必ずしも、正孔注入層33、正孔輸送層34、電子輸送層36、及び電子注入層37を設ける必要はない。電界発光素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
一実施形態において、基材31は、樹脂複合材を有している。樹脂複合材は、その特性ゆえ、基材31の材料として好ましく用いられる。
<2.3.1.基材(31)>
基材31は、電界発光素子39の支持体となるものであり、その材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材31の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;上述の樹脂複合材の成形体等のフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材の具体例としては、本発明の一実施形態である樹脂複合材が含有されていれば限定されないが、エポキシ系樹脂等の樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;樹脂複合材の成形体が挙げられる。
なお、樹脂複合材の成形体は、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造上好ましいが、フレキシブル基材でなくとも、基材31として用いることができる。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により電界発光素子が劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密な酸化ケイ素膜や樹脂複合材等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材31の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、基材31の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の膜厚が5μm以上であることは、電界発光素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ質量が重くならないために好ましい。
基材31の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材31の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材31の膜厚が0.5cm以下であることは、質量が重くならないために好ましい。
なお、図3は、電界発光素子の一実施形態を示すものにすぎず、電界発光素子が図示された構成に限定されるわけではない。例えば、図3とは、逆の積層構造とすること、すなわち、基板31上に陰極38、電子注入層37、電子輸送層36、発光層35、正孔輸送層34、正孔注入層33及び陽極32をこの順に積層することも可能である。
電界発光素子の構成は特に限定されず、単一の素子であっても、アレイ状に配置された構造からなる素子であっても、陽極と陰極とがX−Yマトリックス状に配置された構造の素子であってもよい。
<2.4.光電変換素子>
光電変換素子は、樹脂複合材を含有する構成要素を有している。一実施形態に係る光電変換素子は、少なくとも一対の電極と、該電極間に存在する活性層と、を有する。また、一実施形態に係る光電変換素子は、基材、電子取り出し層、及び正孔取り出し層を含むその他の構成要素を有していてもよい。
図4は、光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図4に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、光電変換素子が、図4に示されるものに限られるわけではない。一実施形態に係る光電変換素子57は、基材56、カソード(電極)51、電子取り出し層(バッファ層)52、活性層53、正孔取り出し層(バッファ層)54及びアノード(電極)55がこの順に形成された層構造を有する。なお、必ずしも電子取り出し層52及び正孔取り出し層54を設ける必要はない。光電変換素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
一実施形態に係る光電変換素子においては、基材56が、樹脂複合材を有している。樹脂複合材は、その特性ゆえに、基材56の材料として好ましく用いられる。
<2.4.1.基材(56)>
光電変換素子57は、通常は支持体となる基材56を有する。
基材56の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材56の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;及び樹脂複合材の成形体等のフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材の具体例としては、本発明の一実施形態である樹脂複合材が含有されていれば限定されないが、エポキシ系樹脂等の樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;上述の樹脂複合材の成形体が挙げられる。
なお、樹脂複合材の成形体は、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造上好ましいが、フレキシブル基材でなくても、基材56として用いることができる。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により活性層が劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密な酸化ケイ素膜や樹脂複合材等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材56の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、基材56の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材56の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材56の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ質量が重くならないために好ましい。
基材56の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材31の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材56の膜厚が0.5cm以下であることは、質量が重くならないために好ましい。
<2.5.太陽電池>
光電変換素子57は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。図5は、本発明の一実施形態に係る太陽電池である薄膜太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。図5に表すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池111は、耐候性保護フィルム101と、紫外線カットフィルム102と、ガスバリアフィルム103と、ゲッター材フィルム104と、封止材105と、太陽電池素子106と、封止材107と、ゲッター材フィルム108と、ガスバリアフィルム109と、バックシート110と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池111は、太陽電池素子106として、光電変換素子を有している。そして、耐候性保護フィルム101が形成された側(図5中下方)から光が照射されて、太陽電池素子106が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池111は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
また、耐候性保護フィルム、バックシート、紫外線カットフィルム、ガスバリアフィルム、ゲッター材フィルム、及び封止材は、電界効果トランジスタ素子(FET)、及び電界発光素子(LED)等の上述の電子デバイスにも用いることができる。
本実施形態の薄膜太陽電池111の製造方法には、制限は無いが、例えば、図6の形態の太陽電池製造方法としては、図5に示される積層体を作製した後に、ラミネート封止工程を行う方法が挙げられる。本実施形態の太陽電池素子106は、耐熱性に優れるため、ラミネート封止工程による劣化が低減される点で好ましい。
図5に示される積層体の作製は、周知の技術を用いて行うことができる。ラミネート封止工程の方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート、押出しラミネート、共押出成型ラミネート、押出コーティング、光硬化接着剤によるラミネート、サーマルラミネート等が挙げられる。なかでも有機電界発光素子の封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート法、太陽電池で実績のあるホットメルトラミネート又はサーマルラミネートが好ましく、さらに、ホットメルトラミネート又はサーマルラミネートがシート状の封止材を使用できる点でより好ましい。
ラミネート封止工程の加熱温度は、通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。ラミネート封止工程の加熱時間は、通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。ラミネート封止工程の圧力は、通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材105、107のはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。なお、2個以上の太陽電池素子106を直列又は並列接続したものも上記と同様にして、製造することができる。
太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。
<2.6.太陽電池モジュール>
太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111は、そのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図6に示すように、太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111を基材112上に備える太陽電池モジュール113を作製し、この太陽電池モジュール113を使用場所に設置して用いることができる。
基材112としては、周知技術を用いることができ、例えば、基材112の材料としては、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等に記載の材料を用いることができる。また、基材112に、ポリイミド樹脂複合材を用いてもよい。例えば、基材112として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池111を設けることにより、太陽電池モジュール113として、建物の外壁用太陽電池パネルを作製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により制限されるものではない。なお、後述の実施例において得られたゼオライト、及びフィルムの評価は、下記の方法により行った。
<ゼオライトの評価>
(ゼオライトの平均一次粒径)
JEOL社製オートファインコーターJFC−1600にて、ゼオライト−白金ターゲット間距離30mmとし、60秒間のスパッタリングにより、ゼオライト試料表面の白金厚みが約9nmになるように蒸着させてから、SEMによる観察を行った。SEMにおける作動距離は10〜11mmとし、加速電圧10kV、スポットサイズは30mmとした。平均一次粒子径は、JEOL社製走査電子顕微鏡JSM−6010LVによる粒子の観察において、任意に選択した30個の一次粒子について粒子径を測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求めた。なお、粒子径は、粒子の投影面積と等しい面積を持つ、円の直径(円相当径)とした。
(ゼオライトの平均熱膨張係数)
BRUKER社製X線回折装置D8ADVANCEとX線回折解析ソフトJADEを用いて格子定数を算出することで、ゼオライトの60〜220℃における平均熱膨張係数を測定した。
<フィルムの評価>
(フィルムの平均熱膨張係数)
温度範囲60℃〜220℃の平均熱膨張係数(CTE)を、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製熱機械分析装置TMA/SS6100を使用して測定した。なお、サンプル形状は幅4mm、チャック間距離20mmとし、昇温速度10℃/minで昇温させた。
(フィルムのリタデーション値)
フィルムのリタデーション値(Rth)は、大塚電子社製位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100を用いて、膜厚10μmの膜に対しての、波長460nmの値として算出した。
(フィルムのヘイズ率)
フィルムのヘイズ率は、スガ試験機社製TMダブルビーム自動ヘイズコンピュータHZ−2を用いて測定した。今回用いたヘイズ率は、D65光に対する値である。
(フィルムの貯蔵弾性率)
樹脂複合材フィルムの各温度における貯蔵弾性率を、JIS K−7244法に記載の動的粘弾性測定法により、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製動的粘弾性装置DMS6100を用いて、両持ち引張モードで測定した(測定温度範囲:−100℃から150℃、周波数:1Hz、昇温速度:5℃/分)。表1に示す弾性率は、測定温度25℃における弾性率である。
<ゼオライトの合成方法>
(合成例1:ゼオライトC1の合成方法)
容器内に、キシダ化学社製水酸化ナトリウム、構造規定剤(SDA)として、セイケム社製N,N,N−トリメチル−1−アダマンタアンモニウム水酸化物(TMAdaOH)、アルドリッチ社製水酸化アルミニウム、日揮触媒化成社製Cataloid SI−30を順次加えた。得られた混合物の組成は、1.0SiO/0.033Al/0.1NaOH/0.06KOH/0.07TMAdaOH/20HOであった。その後、種結晶として、SiOに対して2質量%のCHA型ゼオライトを混合物に加えて、よく混合した後、得られた混合物を耐圧容器に入れ、160℃のオーブン中で、15rpmで回転させながら、48時間水熱合成を行った。吸引濾過、洗浄した後に、乾燥することで、CHA型ゼオライト(as-made)である、ゼオライトC1を得た。
得られたゼオライトC1をSEM観察したところ、平均一次粒子径は、1000nmであった。また、ゼオライトC1の60〜220℃における平均熱膨張係数を測定した結果、ゼオライトC1の平均熱膨張係数は−10ppm/Kであった。
(合成例2:ゼオライトC2の合成方法)
容器内に、水、キシダ化学社製水酸化カリウム、触媒化成工業社製FAU型ゼオライトUSY7を順次加えた。得られた混合物の組成は、1.0SiO2/0.143Al2O3/0.582KOH/36.2H2Oであった。よく混合した後、得られた混合物を耐圧容器に入れ、100℃のオーブン中で、静置させておいて、7日間水熱合成を行った。吸引濾過、洗浄した後に、乾燥することで、CHA型ゼオライトである、ゼオライトC2を得た。
得られたゼオライトC2をSEM観察したところ、平均一次粒子径は、200nmであった。また、ゼオライトC2の60〜220℃における平均熱膨張係数を測定した結果、ゼオライトC2の平均熱膨張係数は−10ppm/Kであった。
(合成例3:ゼオライトT1の合成方法)
Chemical Engineering Journal、 230、380、2013を参考にして、以下の合成を行った。容器内に、水、キシダ化学社製水酸化ナトリウム、キシダ化学社製水酸化カリウム、構造規定剤(SDA)として、セイケム社製テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAOH)、浅田化学工業社製アルミン酸ソーダ(酸化アルミニウム20.13%、酸化ナトリウム18.9%)、アルドリッチ社製 AS−40コロイダルシリカを順次加えた。得られた混合物の組成は、1.0SiO/0.025Al/0.3NaOH/0.3KOH/0.06TMAOH/10HOであった。良く混合した後、得られた混合物を耐圧容器に入れ、130℃のオーブン中で、15rpmで回転させながら、5日間水熱合成を行った。吸引濾過、洗浄した後に、乾燥することで、OFF型とERI型の連晶である、Linde T型ゼオライト(as―made)を得た。この粉末を600℃、6時間、空気流通下で焼成することにより、ゼオライトT1を得た。
得られたゼオライトT1をSEM観察したところ、平均一次粒子径は、300nmであった。また、ゼオライトT1の60〜220℃における平均熱膨張係数を測定した結果、ゼオライトT1の平均熱膨張係数は−12ppm/Kであった。
(合成例4:アルミノフォスフェートA1の合成方法)
容器内で、キシダ化学社製85%リン酸69gと水130gを混合した。これに、擬ベーマイト(75% Al2O3)40.8gを加えて撹拌させた。2時間撹拌後、トリエチルアミン27.3gと水120gの混合物を加えて、さらに1時間撹拌させた。良く混合した後、得られた混合物を耐圧容器に入れ、190℃のオーブンで、15rpmで回転させながら、12時間水熱合成を行った。吸引濾過、洗浄した後に、乾燥することで、APC型アルミノフォスフェートを得た。得られたAPC型アルミノフォスフェートを600℃、6時間、空気流通下で焼成することにより、アルミノフォスフェートA1を得た。
(合成例5:シリカライト1の合成方法)
容器内に、水、構造規定剤(SDA)として、セイケム社製テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAOH)、日産化学社製スノーテックス−40コロイダルシリカを順次加えた。得られた混合物の組成は、1.0SiO/0.4TPAOH/11.8HOであった。良く混合した後、得られた混合物を耐圧容器に入れ、100℃のオーブン中で、15rpmで回転させながら、20時間水熱合成を行った。吸引濾過、洗浄した後に、乾燥することで、MFI型の結晶を持つ、シリカライト―1型ゼオライトを得た。得られたシリカライト−1型ゼオライトを600℃、6時間、空気流通下で焼成することにより、シリカライト1を得た。
(合成例6:ゼオライトR1の合成方法)
容器内で、クラウンエーテル(18−クラウンー6)0.93gを水6.3gに溶解させ、これにキシダ化学社製水酸化ナトリウム0.45g、70%アルミン酸ソーダ1.74g、キシダ化学社製水酸化セシウム1水和物0.71gを加えて、80℃3h加熱撹拌させた。これに日産化学社製スノーテックス−40コロイダルシリカ10.5gを加えて、良く混合した後、室温で1日放置した。得られた混合物を耐圧容器に入れ、110℃96時間静置で水熱合成し、ろ過、水洗して、RHO型ゼオライトを得た。得られたRHO型を600℃、6時間、空気流通下で焼成することによりゼオライトR1を得た。
<樹脂組成物の製造方法>
(樹脂組成物製造例1:ポリイミド前駆体含有組成物M1の製造方法)
窒素ガス導入管、冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 311g(1.06mol)、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物 324g(1.06mol)2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン 340g(1.06mol)、4,4’−ビス(ジアミノジフェニル)スルホン 263g(1.06mol)、N-メチルピロリドン 2890gを加え、80℃で8時間加熱撹拌することで、ポリイミド前駆体を30質量%含むポリイミド前駆体含有組成物M1を得た。該ポリイミド前駆体は、核水素化(水添)された芳香族化合物を有する。
<実施例1:ポリイミド前駆体含有組成物M1を使用した樹脂複合材フィルムの製造>
(比較例1−1:ポリイミド樹脂フィルム1の製造方法)
ポリイミド前駆体含有組成物M1を、N−メチルピロリドンで希釈し、ポリイミド前駆体が20質量%となるように調整した。得られたインクをアルカリガラス(コーニング社製)上に、テスター産業社製アプリケーターを用いて塗布し、330℃で30分間、乾燥・焼成を行うことで、ポリイミド樹脂フィルム1を得た。東洋精機製作所社製THICKNESS METER B−1により膜厚を測定した結果、フィルムの膜厚は、10μmであった。なお、フィルムの平均熱膨張係数を測定した時の変曲点から求めた、ポリイミド樹脂フィルム1のガラス転移温度(Tg)は、320℃であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、ヘイズ率、及び弾性率を表1に示す。
(実施例1−1:ポリイミド樹脂複合材フィルム1の製造方法)
N−メチルピロリドンに、ゼオライトC1を加え、アシザワ・ファインテック社製ラボスターミニで、ビーズミルすることによって、ゼオライトC1の含有量が、4質量%であるゼオライト分散液D1を得た。
次に、得られたゼオライト分散液D1約20gを、日立工機製日立微量高速遠心機CF15RNを用いて5000rpmで、30分間遠心分離し、上澄みを取ることで、遠心分離後のゼオライト分散液を得た。遠心分離後のゼオライト分散液中のゼオライト量は、2.5質量%であった。また、動的光散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社Nanotrac WaveII−EX150)で測定したD50値は、35nmであった。
次に、得られた遠心分離後のゼオライト分散液19.2gと4gのポリイミド前駆体含有組成物M1とを混合し、撹拌子で撹拌することで、ゼオライトとポリイミド前駆体含有組成物M1とを混合したインクを得た。得られたインクを、テスター産業社製アプリケーターによって塗布し、330℃で30分間、乾燥・焼成を行うことでポリイミド樹脂複合材フィルム1を得た。なお、フィルムの膜厚は、19μmであり、得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して28.6質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、ヘイズ率、及び弾性率を表1に示す。
(実施例1−2:ポリイミド樹脂複合材フィルム2の製造方法)
ゼオライト分散液D1 4.8g と、ポリイミド前駆体含有組成物M1 4g を混合した以外は、実施例1と同様にして、ポリイミド樹脂複合材フィルム2を得た。フィルムの膜厚は6μmであり、得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、ヘイズ率、及び弾性率を表1に示す。
(実施例2−1:ポリイミド樹脂複合材フィルム3の製造方法)
ゼオライトC1の代わりにゼオライトC2を用いる以外は実施例1−1と同様にして、ポリイミド樹脂複合材フィルム3を得た。フィルムの膜厚は21μmであり、得られたフィルム内のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して28.6質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、ヘイズ率、及び弾性率を表1に示す。
(実施例2−2:ポリイミド樹脂複合材フィルム4の製造方法)
ゼオライトC1の代わりにゼオライトC2を用いる以外は実施例1−2と同様にして、ポリイミド樹脂複合材フィルム4を得た。フィルムの膜厚は21μmであり、得られたフィルム内のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、ヘイズ率、および弾性率を表1に示す。
(実施例3−1:ポリイミド樹脂複合材フィルム5の製造方法)
ゼオライトT1を0.24g、ポリイミド前駆体0.6g、NMP2.4g、となるよう混合し、撹拌子で撹拌することでインクを得た。得られたインクを、テスター産業社製アプリケーターによって塗布し、330℃で30分間、乾燥・焼成を行うことでポリイミド樹脂複合材フィルム1を得た。なお、フィルムの膜厚は、44μmであり、得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して28.6質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、及びヘイズ率を表1に示す。
(実施例3−2:ポリイミド樹脂複合材フィルム6の製造方法)
ゼオライトT1を0.06g、ポリイミド前駆体0.6g、NMP2.4g、となるよう混合し、撹拌子で撹拌することでインクを得た。得られたインクを、テスター産業社製アプリケーターによって塗布し、330℃で30分間、乾燥・焼成を行うことでポリイミド樹脂複合材フィルム6を得た。なお、フィルムの膜厚は、21μmであり、得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、及びヘイズ率を表1に示す。
(実施例4−1:ポリイミド樹脂複合材フィルム7の製造方法)
ゼオライトT1の代わりに、触媒化成工業社製FAU型ゼオライトHY(5)(シリカ/アルミナモル比=40)を用いた以外は、実施例3−2と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム7を作製した。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、及びヘイズ率を表1に示す。
(実施例5−1:ポリイミド樹脂複合材フィルム8の製造方法)
ゼオライトT1の代わりに、東ソー社製プロトン型BEA型ゼオライト HSZ−940HOA(シリカ/アルミナモル比=40)を用いた以外は、実施例3−2と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム8を作製した。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数を表1に示す。
(比較例1−2:ポリイミド樹脂複合材フィルム9の製造方法)
ゼオライトT1の代わりに、アドマテックス社製シリカ SC2500−SQ(平均一次粒子径200nm)を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム9を作製した。なお、フィルムの膜厚は、18μmであり、得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、ヘイズ率、及び弾性率を表1に示す。
(比較例1−3:ポリイミド樹脂複合材フィルム10の製造方法)
ゼオライトC1の代わりに、負膨張材であるフルウチ株式会社製タングステン酸ジルコニウム ファインZWO−01を用いた以外は、実施例1−1と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム10を作製した。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、ヘイズ率、及び弾性率を表1に示す。
(比較例1−4:ポリイミド樹脂複合材フィルム11の製造方法)
ゼオライトT1の代わりに、ゼオライトA1を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム11を作製した。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数を表1に示す。
(比較例1−5:ポリイミド樹脂複合材フィルム12の製造方法)
ゼオライトT1の代わりに、シリカライト1を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム12を作製した。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数、リタデーション値、ヘイズ率、及び弾性率を表1に示す。
(比較例1−6:ポリイミド樹脂複合材フィルム13の製造方法)
ゼオライトT1の代わりに、中村超硬社製ZeoalZ4A−005(平均一次粒子径50nm、LTA型ゼオライト)を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム13を作製した。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数を表1に示す。
(比較例1−7:ポリイミド樹脂複合材フィルム14の製造方法)
ゼオライトT1の代わりに、ゼオライトR1を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法によりポリイミド樹脂複合材フィルム14を作製した。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数を表1に示す。
(樹脂組成物製造例2:非水添ポリイミド前駆体含有組成物M2の製造方法)
窒素ガス導入管、冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 635g(2.16mol)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 445g(2.22mol)、N,N−ジメチルアセトアミド 3240gを加え、80℃で6時間加熱撹拌することで、ポリイミド前駆体を25質量%含むポリイミド前駆体含有組成物M2を得た。該ポリイミド前駆体は、核水素化(水添)された芳香族化合物を有さない。
(比較例1−8:ポリイミド樹脂フィルム2の製造方法)
ポリイミド前駆体含有組成物M1の代わりに、M2を用いた以外は、比較例1−1と同様の方法によりポリイミド樹脂フィルム2を作製した。得られたフィルムの平均熱膨張係数を表1に示す。
(実施例6−1:ポリイミド樹脂複合材フィルム15の製造方法)
ゼオライトC1とポリイミド前駆体含有物M2を使う以外は実施例1−1と同様にして、ポリイミド樹脂複合材フィルム15を得た。得られたフィルム中のゼオライトの含有量は、フィルム質量に対して9.1質量%であった。得られたフィルムの平均熱膨張係数を表1に示す。
Figure 2019245054
表1において、本発明の実施形態に係るゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材は、該樹脂複合材の平均熱膨張係数が、50ppm未満であり、該樹脂複合材のリタデーション値は、150nm以下で、かつポリイミド樹脂並みに低く、該樹脂複合材のヘイズ率は、5%以下で、ポリイミド樹脂並みに低いことがわかる。
一般的な無機フィラーであるシリカや、負の熱膨張係数を有するフィラーであるタングステン酸ジルコニウムを含有するポリイミド樹脂複合材に比べ、本発明の実施形態に係るゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材は平均熱膨張係数の低下量が大きい。正の熱膨張係数を有するシリカと、負の熱膨張係数を有するタングステン酸ジルコニウムをそれぞれ含むポリイミド樹脂複合材の平均熱膨張係数が同じであり、フィラーそのものの平均熱膨張係数が樹脂複合材の平均熱膨張係数を決定づけるものではない。
特定のゼオライトを含有するポリイミド樹脂複合材は平均熱膨張係数が大きく低下している。d6rを含むゼオライト(CHA、ERI)、及び/又はmtwを含むゼオライト(BEA)を含有するポリイミド樹脂複合体の平均熱膨張係数は、これらを含まないゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材と比べて大きく、これらのCBUを含んでいるために平均熱膨張係数がより小さくなったと推測される。
ゼオライト9.1質量%含有時による平均熱膨張係数の減少率は、非水添のポリイミドを用いた際の12.0%に比べて、水添ポリイミドを用いた際は14.0%であり、水添ポリイミドの方が、効果がより顕著にみられた。この原因は定かではないが、水添することで樹脂同士のπ−πスタックが弱るとともに、ゼオライトとの間の相互作用が強まった結果だと考えられる。
以上の結果より、本発明の一実施形態に係るゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材により、反り等の変形に対する高い抑制性、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を全て兼ね備えた、電子デバイス等の部材に相応しいゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材を安価に提供することができることがわかる。
本発明の一実施形態に係るポリイミド樹脂複合材により、反り等の変形に対する高い抑制性、高い画像明瞭性、及び高い透明性を全て兼ね備えた、電子デバイス等の部材に相応しいゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材を安価に提供することができる。
1 樹脂複合材
2 ゼオライト
3 樹脂
11 半導体層
12 絶縁体層
13、14 ソース電極及びドレイン電極
15 ゲート電極
16 基材
17 FET素子
31 基材
32 陽極
33 正孔注入層
34 正孔輸送層
35 発光層
36 電子輸送層
37 電子注入層
38 陰極
39 電界発光素子
51 カソード
52 電子取り出し層
53 活性層
54 正孔取り出し層
55 アノード
56 基材
57 光電変換素子
101 耐候性保護フィルム
102 紫外線カットフィルム
103、109 ガスバリアフィルム
104、108 ゲッター材フィルム
105、107 封止材
106 太陽電池素子
110 バックシート
111 薄膜太陽電池
112 基材
113 太陽電池モジュール

Claims (11)

  1. 構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有し、電子材料デバイス用である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  2. ゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有するゼオライト含有ポリイミド複合材であって、
    0℃以上前記ポリイミド樹脂のガラス転移温度以下における平均熱膨張係数が50ppm/K未満であり、
    リタデーション値が150nm以下であり、かつ、
    ヘイズ率が5%以下である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  3. 構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂と、を含有し、透明である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  4. 前記ゼオライトが、AEI、AFT、AFX、CHA、ERI、KFI、SAT、SAV、SFW、及びTSC構造のいずれかを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  5. 25℃における弾性率が4.5GPa以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  6. ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材前記ゼオライトが、に対し1質量%以上80質量%以下含まれる請求項1〜5のいずれか一項に記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  7. 前記ポリイミド樹脂が、核水素化された芳香族化合物を有するポリイミド樹脂である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  8. 構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを少なくとも含むゼオライトと、ポリイミド樹脂前駆体と、を含有する、ゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物。
  9. 請求項8に記載の組成物の硬化物である、ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材。
  10. 請求項1〜7、又は9のいずれか一項に記載のゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材を含有するフィルム。
  11. 請求項1〜7、又は9のいずれか一項に記載のオライト含有ポリイミド樹脂複合材を含有する電子デバイス。
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