JP2019112551A - 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス - Google Patents

樹脂複合材フィルム及び電子デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2019112551A
JP2019112551A JP2017247762A JP2017247762A JP2019112551A JP 2019112551 A JP2019112551 A JP 2019112551A JP 2017247762 A JP2017247762 A JP 2017247762A JP 2017247762 A JP2017247762 A JP 2017247762A JP 2019112551 A JP2019112551 A JP 2019112551A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
resin
resin composite
less
solar cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017247762A
Other languages
English (en)
Inventor
良治 大西
Ryoji Onishi
良治 大西
美樹 山田
Miki Yamada
美樹 山田
才華 大坪
Saika Otsubo
才華 大坪
梨恵 藤田
Rie Fujita
梨恵 藤田
麻友香 山田
Mayuka Yamada
麻友香 山田
隆彦 武脇
Takahiko Takewaki
隆彦 武脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2017247762A priority Critical patent/JP2019112551A/ja
Publication of JP2019112551A publication Critical patent/JP2019112551A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、高い吸水性能を備えた樹脂複合材フィルムを提供することを課題とする。【解決手段】ゼオライトと、樹脂と、を含む樹脂複合材フィルムであって、厚さが5μmより大きく1mm未満であり、波長450nmの可視光の透過率が70%より大きく、ヘイズ値が10以下である、樹脂複合材フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂複合材フィルム及び電子デバイスに関する。
ゼオライトは、触媒、触媒担体、研磨剤、吸着剤、イオン交換剤、光学部材等の様々な用途で、用いられている。また、ゼオライトと樹脂とを含むゼオライト含有樹脂複合材フィルムが、電子デバイスの構成部材、例えば吸水膜として働くことが知られている(特許文献1)。
国際公開第2015/133152号
ゼオライト含有樹脂複合材フィルムを吸水膜として実用化するには、さらなる吸水性の向上が求められる。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載されるようなゼオライト含有樹脂複合材フィルムを、吸水膜に使用することが提案されているが、十分な吸水性が得られていなかった。本発明は、高い吸水性能を備えた樹脂複合材フィルムを提供することを課題とする。
上記実情に鑑み鋭意検討の結果、本発明者らは、ゼオライトを含み、特定の膜厚において、特定の透過率かつ特定のヘイズ値を有する樹脂複合材フィルムを用いることにより上記解題を解決できることを見出し、本発明を達成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]ゼオライトと、樹脂と、を含む樹脂複合材フィルムであって、
厚さが5μmより大きく1mm未満であり、波長450nmの可視光の透過率が70%より大きく、ヘイズ値が10以下である、樹脂複合材フィルム。
[2]樹脂複合材フィルム中のゼオライト含有量が1重量%以上80重量%以下である請求項1に記載の樹脂複合材フィルム。
本発明により、高い吸水性を備えた樹脂複合材フィルムを提供することができる。
具体的には、本発明に係るゼオライト含有樹脂複合材フィルムは、透明な吸水膜として用いることができるので、透明な電子デバイスの構成部材として用いることができる。
本発明の一実施形態である樹脂複合材フィルムを模式的に表す図である。 本発明の他の実施形態である樹脂複合材フィルムを模式的に表す図である。 本発明の一実施形態としての電界効果トランジスタ素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての電界発光素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に表す断面図である。 実施例で測定した樹脂複合材フィルム1の透過率の結果である。 実施例で測定した樹脂複合材フィルム1の高湿条件における吸水率結果である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これら説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
<1.樹脂複合材フィルム>
本発明の一実施形態である樹脂複合材フィルムは、ゼオライトと、樹脂と、を含有し、厚さが5μmより大きく1mm未満であり、波長450nmの可視光の透過率が70%より大きく、ヘイズ値が10以下である樹脂複合材フィルムである。該構成により、下記に説明するように、吸水性及び透明性に優れた樹脂複合材フィルムを提供することができる。
ゼオライトは、吸水性に優れているために、ゼオライトを含有する樹脂複合材フィルムは吸水膜としての機能が期待できる。しかしながら、本発明者らの検討によると、通常は、ゼオライトは樹脂複合材フィルム中で凝集しやすい傾向があることが判明した。樹脂複合材フィルム中にゼオライトが凝集して存在していると、部分的にゼオライトが存在していない領域があるために、高い吸水性を備えた樹脂複合材フィルムが得られにくくなる。また、樹脂複合材フィルム中にゼオライトが凝集していると、このような樹脂複合材フィルムの透過率は低くなり、ヘイズ値も大きくなる。従って、樹脂複合材フィルムの透明性が低くなるために、透明性が求められる用途において、このような樹脂複合材フィルムを使用することができない。
一方、本発明の一実施形態に係る、膜厚が5μmよりも大きく1mm未満の樹脂複合材フィルムは、波長450nmの光の透過率が70%より大きく、ヘイズ値が10以下である、すなわち、適度な膜厚を有する樹脂複合材フィルム中において、ゼオライトが凝集することなく、均一に分散しているために、高い吸水性能を発揮することができる。また、高い透明性を有するために透明性が求められる用途においても、効果的に適用することができる。また、樹脂複合材フィルムの膜厚が5μmよりも大きく、1mm未満の範囲であることにより、以下の効果も期待できる。
樹脂複合材フィルムを吸水膜として使用した際に、例えば、加熱処理等により樹脂複合材フィルムに蓄積した水分を吐き出して樹脂複合材フィルムを再生することも可能であるが、樹脂複合材フィルムの膜厚が小さすぎると、例えば、該樹脂複合材フィルムを電子デバイスのゲッター材等の構成部材として使用した際に、加熱時の熱が電子デバイスの中心部(例えば、発光素子の発光層や光電変換素子の活性層等)に伝わりやすくなり電子デバイスが劣化してしまう場合がある。しかしながら、本発明の一実施形態に係る樹脂複合材フィルムは5μmよりも大きいために、このような加熱処理を行っても、電子デバイスの中心部に熱が伝わるのを抑制することができる。一方、樹脂複合材フィルムの膜厚が大きすぎると、樹脂複合材フィルムを加熱処理により再生する際に、蓄積された水分を吐き出しにくくなるが、本発明の一実施形態に係る樹脂複合材フィルムの膜厚は1mm未満であるために、効率良く再生処理を行うことができる。
樹脂複合材フィルムの波長450nmの光の透過率は、上記の中でも、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが最も好ましい。一方、100%に近い程、好ましいので、上限に制限はない。透過率が高いほど、透明性に優れ、さらには、樹脂複合材フィルム中にゼオライトが均一に分散していることを意味するため、より吸水性を向上させることができる。なお、透過率は、例えば、島津製作所社製分光光度計UV−2500PC等の分光光度計により測定することができる。
また、樹脂複合材フィルムのヘイズ値は、上記の中でも、9%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。一方、0%に近い程、好ましいので、下限に制限はない。ヘイズ値が小さいほど、透明性に優れ、さらには、樹脂複合材フィルム中にゼオライトが均一に分散していることを意味するため、より吸水性を向上させることができる。なお、ヘイズ値は、測色用補助イルミナントCを用いて、例えば、スガ試験機社製TMダブルビーム自動ヘーズコンピュータHZ−2等のヘイズ計により、測定することができる。
また、樹脂複合材フィルムの膜厚は、上記の中でも、好ましくは10μm以上であり、よりに好ましくは30μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上であり、特に好ましくは70μm以上であり、最も好ましくは100μm以上であり、一方、好ましくは700μm以下であり、より好ましくは600μm以下であり、さらに好ましくは500μm以下であり、特に好ましくは400μm以下であり、最も好ましくは300μm以下である。なお、膜厚は、非接触式膜厚計や接触式膜厚計等、通常の膜厚計で測定できる。非接触式膜厚計としては、例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK−X200等の共焦点顕微鏡が挙げられる。
なお、樹脂複合材フィルムの透過率やヘイズ値は、樹脂複合材フィルムに含まれるゼオライトの量や樹脂複合材フィルムの厚さにも影響を受けるが、所望の透過率やヘイズ値が得られるように、樹脂複合材フィルムの構成を適宜、選択すればよい。
また、樹脂複合材フィルムの380nm〜780nmの可視光線透過率は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特段の制限はないが、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、75%以上であることが特に好ましく、80%以上であることが最も好ましい。可視光線透過率が高いほど、透明性が求められる用途に適している。なお、可視光線透過率は、JIS R3106(1998年)に準拠する方法により測定する。
また、樹脂複合材フィルムは、比誘電率が3以下であることが好ましく、2.7以下であることがより好ましく、2.5以下であることがさらに好ましく、2.3以下であることが特に好ましく、2以下であることが最も好ましい。比誘電率が低いほど、低誘電率部材用途に適している。なお、比誘電率は、インピーダンスアナライザ(例えばキーサイト社製E4991B)により測定することができる。
図1は、本発明の一実施形態である樹脂複合体を模式的に表す図であり、図1に示すように、樹脂複合材フィルムは、少なくとも、ゼオライトと、樹脂と、を含有する。以下に樹脂複合材フィルムを構成する各成分について説明する。
<1−1.ゼオライト>
本発明において、ゼオライトとは、結晶性多孔質の、アルミノケイ酸塩、アルミノリン酸塩又はシリコアルミノリン酸塩の総称であり、より具体的には、TO4ユニット(T元素とは、骨格を構成する酸素以外の元素)を基本単位としたものであり、複数のTiO4ユニットがつながった、Composite Building Unit(CBU)と呼ばれる構造単位から構成されるものである。そのために、規則的なチャンネル(管状細孔)とキャビティ(空洞)を有している。このような構成により、ゼオライトは水分の吸着等の特性が発揮できる。
ゼオライトがアルミノケイ酸塩の場合、ゼオライトを構成するシリカ/アルミナのモル比率(SAR)は、好ましくは100以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは30以下、特に好ましくは20以下、最も好ましくは10以下である。該モル比率が上記上限値以下であることにより、樹脂複合材フィルムは、吸水しやすくなり、さらには蓄えた水を保持しやすくなる。
ゼオライトがアルミノリン酸塩の場合、リン/アルミナのモル比率は、通常1である。
ゼオライトがシリコアルミノリン酸塩の場合、Si/(Si+Al+P)モル比率は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.3以上である。該モル比率が上記下限値以上であることにより、樹脂複合材フィルムは、吸水しやすくなり、さらには蓄えた水を保持しやすくなる。
なお、上記モル比率は、元素分析により特定することができる。例えば、島津製作所社製蛍光X線分析装置RaynyEDX−700を用いて測定することができる。
なお、上記ゼオライトは、樹脂複合材フィルムの性能を大きく損なわない限り、アルミニウムの代わりにガリウム、鉄、ホウ素、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛等の元素を用いてもよく、アルミニウムと共に、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、ジルコニウム、スズ、亜鉛等の元素を含んでいてもよい。
ゼオライトの構造は、一般的にはInternational Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードで示すことができる。なお、ゼオライトの構造は、X線構造解析装置(例えば、BRUKER社製卓上型X線回析装置D2PHASER)で決定することができ、IZAが、ゼオライト構造データベース2017年版(http://www.iza−structure.org/databases/)において、各ゼオライト構造のX線回折のパターンを紹介している。
ゼオライトの種類は、特段の制限はないが、樹脂複合材フィルムの吸水性を向上させるという観点から、フレームワーク密度が17.0T/1000Å3以下であることが好ましい。フレームワーク密度とは、ゼオライトの単位体積あたりに存在するT原子の数を意味し、ゼオライトの構造によって定まる値である。即ち、同じ組成のゼオライトであれば、フレームワーク密度の値が小さいほど、空隙率が高くなり、吸水性を高めることができる。なお、本発明におけるフレームワーク密度は、IZAのゼオライト構造データベース2017年版(http://www.iza−structure.org/databases/)に記載の数値を用いることができる。
上記の中でも、ゼオライトのフレームワーク密度は、好ましくは16.0T/1000Å3以下であり、より好ましくは15.0T/1000Å3以下であり、更に好ましくは14.0T/1000Å3以下である。
フレームワーク密度が16.0T/1000Å3より大きく、17.0T/1000Å3以下のゼオライトの例としては、ACO、AFG、AFI、ATS、AWW、BOG、CAN、CFI、CGS、CSV、DOH、EDI、EON、ERI、GIS、ITG、IWW、JOZ、LOS、LOV、LTF、LTL、LTN、MAZ、MER、MOR、MOZ、MSE、MEF、NAB、NAT、NES、OFF、PHI、RSN、RTH、SAT、SBN、SEW、SFH、SFN、SFS、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*−SSO、SSY、STF、STI、STT、STW、TER、UOV、UWY、VSV、WEI、−WEN型を挙げることができる。
フレームワーク密度が15.0T/1000Å3より大きく、16.0T/1000Å3以下のゼオライトの例としては、AEI、AFR、AFT、AFV、AFX、AST、AVL、*BEA、BEC、CHA、CON、EAB、ETR、GME、IFW、IRN、ITE、*−ITN、IWR、LEV、MWW、NPO、PAU、POS、SFO、SFW、THO、UFI、USI、UTL型を挙げることができる。
フレームワーク密度が14.0T/1000Å3より大きく、15.0T/1000Å3以下のゼオライトの例としては、AFS、AFY、BPH、DFO、*−EWT、ISV、IWS、IWV、JST、KFI、LTA、MEI、PUN、RHO、SAO、SAS、SAV、及びVFI型を挙げることができる。
フレームワーク密度が14.0T/1000Å3以下の範囲に存在するゼオライトの例としては、BOZ、−CLO、EMT、FAU、−IFU、IRR、−IRY、ITT、−ITV、JSR、NPT、OBW、OSO、RWY、SBE、SBS、SBT、及びTSC型を挙げることができる。
上記のなかでも、吸水性、及び樹脂複合材フィルムが蓄えた水を保持しやすいという観点から、ゼオライトは、FAU型、又はLTA型であることが特に好ましい。
ゼオライトの粒子径は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特段の制限はないが、ゼオライトの平均一次粒子径は、通常15nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上、さらに好ましくは30nm以上であり、通常200nm以下、好ましくは175nm以下、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは125nm以下、特に好ましくは100nm以下である。ゼオライトの平均一次粒径が上記下限値以上であることにより、ゼオライト骨格の維持が容易になり良好な結晶性を保つことが可能となりやすい。一方、上記上限値以下であれば、樹脂複合材フィルム中にゼオライトが均一に分散し易くなり、得られる樹脂複合材フィルムのヘイズ値は小さくなり、また、波長450nmの光の透過率も高くなる傾向がある。なお、ゼオライトの平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察において、任意に選択した30個以上の一次粒子について粒子径を測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求める。その際、粒子径は、粒子の投影面積と等しい面積を持つ、円の直径(円相当径)とする。
ゼオライトのカウンターカチオンは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特段の制限はないが、通常は、構造規定剤、プロトン、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、好ましくは、プロトン、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、より好ましくは、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、さらに好ましくは、アルカリ金属イオンである。アルカリ金属イオンであれば、その水和能力により、ゼオライトの吸水性の向上が期待できる。アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン又はカリウムイオンが挙げられる。なかでも、好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、最も好ましくは、ナトリウムイオンである。
本発明に用いられるゼオライトの製造方法としては、特段の制限はなく、公知の水熱合成法により製造することができる。例えば、CHA型のゼオライトを製造する場合、日本国特許4896110号に記載の方法を参照として、製造することができる。
ができる。
なお、平均一次粒子径の小さなゼオライトを製造する場合には、合成時間や温度を通常よりも制御して水熱合成すればよいし、または、水熱合成により得られたゼオライトを、ビーズミル、ボールミル等の湿式粉砕で解砕、及び/又は粉砕すればよい。
上記の解砕、及び/又は粉砕に用いられる粉砕装置としては、例えば、フロイント・ターボ社製「OBミル」、アシザワ・ファインテック社製「ナノ・ゲッター」、「ナノ・ゲッター・ミニ」、「スターミル」、及び「ラボスター」、スギノマシン社製「スターバースト」等が挙げられる。また、一般的に、粉砕後のゼオライトの結晶性は、低下するが、特開2014−189476号公報に記載の方法のように、アルミナ、シリカ等を含む溶液中で再結晶化することができる。
解砕、及び/又は粉砕後のゼオライトの再凝集を抑制する点で、溶媒中で湿式粉砕して、溶媒中に平均粒子径の小さなゼオライトを分散させることが好ましい。なかでも、平均粒子径を小さくできる点で、ビーズミルを行うことが特に好ましい。また、分散後の再凝集を抑制するために、湿式粉砕時に、分散剤を用いてもよい。上記、溶媒、及び分散剤としては、後述で挙げる、溶媒、及び分散剤を用いることができる。
また、解砕、及び/又は粉砕されたゼオライトが分散した分散液中のゼオライトの平均粒子径をさらに小さくする目的で、遠心分離を行うことも、平均粒子径の大きな粒子を取り除くことができ、樹脂複合材フィルム内により均一に分散しやすくなり、さらには、得られる樹脂複合材フィルムの透明性が高くなるので、好ましい。なお、遠心分離に用いる遠心機は、市販の装置を用いることができる。
樹脂複合材フィルム中のゼオライトの含有量は、通常1重量%以上、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは7重量%以上、特に好ましくは10重量%以上、最も好ましくは15重量%以上であり、一方、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、特に好ましくは55重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。上記下限値以上とすることで、高い吸水性能を有する樹脂複合材フィルムを提供することができる。また、上記上限値以下とすることで、過剰なゼオライトの添加による樹脂の脆化を抑制することができる。
本発明に用いられるゼオライトは、本発明に係る樹脂複合材フィルム中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1−2.樹脂>
樹脂複合材フィルムを構成する樹脂は、本発明の効果を損なわない限りは、特段の制限はないが、得られる樹脂複合材フィルムの波長450nmの光の透過率を高くするために、波長450nmの光の透過率の高い樹脂を使用することが好ましい。なかでも、具体的な樹脂の波長450nmの光の透過率は、70%より大きいことが好ましく、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。一方、100%に近い程、好ましいので、上限に制限はない。また、得られる樹脂複合材フィルムのヘイズ値を低下させるために、樹脂のヘイズ値は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。一方、0%に近い程、好ましいので、下限に制限はない。なお、樹脂の波長450nmの光の透過率及びヘイズ値は、樹脂複合材フィルムと同様の方法により測定することができる。
樹脂の種類は、特段の制限はなく、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂及びゴム成分のいずれも制限なく用いることが出来る。なお、硬化性樹脂としては、活性エネルギー線硬化性樹脂、及び熱硬化性樹脂等の架橋可能な硬化性樹脂が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂複合材フィルムとは、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線等で硬化する樹脂のことである。上記の中でも、上述のような硬化性樹脂であれば、熱可塑性樹脂よりも、樹脂複合材フィルム中で樹脂とゼオライトが均に一分布しやすくなるという点で好ましい。なかでも、熱硬化性樹脂であれば、露光機を用いない分、製造コストが安い点で好ましい。
硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド系樹脂;ポリベンゾオキサゾール系樹脂;尿素系樹脂;ベンゾシクロブテン系樹脂;シリコーン系樹脂;エポキシ系樹脂;等が挙げられる。なかでも、エポキシ系樹脂、及びポリイミド系樹脂は、ゼオライトとの相溶性がいいという点から特に好ましい。
エポキシ系樹脂は、例えば、アルコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、等のフェノキシ型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ系樹脂が挙げられる。
なかでも、耐熱性が高められることからナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ型エポキシ樹脂が好ましい。さらには、樹脂複合材フィルムの耐熱性が高められるという観点から、フルオレン骨格及び/又はビフェニル骨格を有するフェノキシ型エポキシ樹脂が特に好ましく、とりわけビルフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ型エポキシ樹脂であることがより好ましい。
ポリイミド系樹脂は、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミノビスマレイミド(ポリビスマレイミド)樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等のポリイミド系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルエーテル系樹脂等のポリエーテル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリノルボルネン系樹脂;アクリル系樹脂;アセタール系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンスルファイド系樹脂;アラミド、ナイロン等のポリアミド系樹脂;アセチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ABS(アクリロニトリルーブタジエン−スチレン)系樹脂等が挙げられる。また、それらのブロック共重合体、グラフト共重合体等の共重合体も含まれる。
また、ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンゴム、水素添加スチレン−イソブチレン共重合体ゴム等が挙げられる。
また、樹脂のアミン価は低い方が好ましい。具体的に、樹脂のアミン価は、20以下が好ましく、10以下が好ましく、5以下が特に好ましい。上記範囲内であることで、ゼオライトと樹脂とが均一に分散しやすくなり、得られる樹脂複合材フィルムの波長450nmの光の透過率が高くなりやすく、ヘイズ値も低くなる傾向がある。なお、本明細書において、アミン価とは、樹脂中のアミンの量を示す値であり、試料1g量を中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウム(分子量56.11)のmg数をいう。
また、樹脂の酸価は低いことが好ましい。具体的に、樹脂の酸価は、20以下が好ましく、10以下が好ましく、5以下が特に好ましい。上記範囲内であることで、ゼオライトと樹脂とが均一に分散されやすくなり、得られる樹脂複合材フィルムの波長450nmの光の透過率が高くなりやすく、ヘイズ値も低くなる傾向がある。なお、本明細書において、酸価とは、分散剤中の酸性基の量を示す値であり、試料1g量を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をいう。
上記の樹脂のなかでも、核水素化された芳香族化合物を有する水素添加スチレン−イソブチレン共重合体ゴムは、酸価及びアミン価が共にほぼ0であることから、得られる樹脂複合材フィルムの波長450nmの光の透過率が高くなりやすく、ヘイズ値も低くなる傾向がある。なお、核水素化された芳香族化合物を有する水素添加スチレン−イソブチレン共重合体ゴムの例としては、例えば、特開2016−135860号公報記載の樹脂や特開2013−216902号公報記載の樹脂が挙げられる。
また、得られる樹脂複合材フィルムの水の浸入を抑制するバリアフィルム性という観点からは、樹脂は、疎水的であることが好ましく、樹脂の、JIS K 7129(2008年)に定める水蒸気透過度(WVTR)は、1×10-1g/(m2・day)以下であることが好ましく、1×10-2g/(m2・day)以下であることがより好ましく、1×10-3g/(m2・day)以下であることがさらに好ましく、1×10-4g/(m2・day)以下であることが特に好ましく、1×10-5g/(m2・day)以下であることが最も好ましい。水蒸気透過度が低いほど、バリアフィルム用途に適している。なお、水蒸気透過度(WVTR)は、MOCON社製AQUATRANを使って測定することができる。具体的には、疎水性の高いオレフィン系樹脂や核水素化された芳香族化合物を有する水素添加スチレン−イソブチレン共重合体ゴムが挙げられ、核水素化された芳香族化合物を有する水素添加スチレン−イソブチレン共重合体ゴムが特に好ましい。
樹脂の分子量は、本発明の効果を損なわない限りは、特段の制限はないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の値で、通常1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。また、通常200000以下であり、好ましくは180000以下であり、より好ましくは150000以下である。上記範囲内であることで、溶媒に対する溶解性、粘度等が通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため、好ましい。
また、樹脂の数平均分子量(Mn)も、本発明の効果を損なわない限りは、特段の制限はないが、通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2500以上である。また通常100000以下、好ましくは90000以下、より好ましくは80000以下である。上記範囲内であることで、溶媒に対する溶解性、粘度などが通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため、好ましい。ポリスチレン換算の数平均分子量は、前記重量平均分子量と同様の方法で求めることができる。
また、樹脂のMwをMnで除した値(Mw/Mn)は、通常1.5以上、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である。一方、その上限は、通常5以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4以下である。上記の範囲内であることで、樹脂複合材フィルム中のゼオライトの均一性が高くなる点や、平滑性に優れた樹脂複合材フィルムの成形体が得られるという点で好ましい。
樹脂の製造方法は、特段の制限はなく、公知の方法により製造することができる。例えば、第5版実験化学講座26高分子化学第2章高分子合成(日本化学会編)に記載されている方法等の既知の方法で製造することができる。
樹脂複合材フィルム中の樹脂の含有量は、特段の制限はないが、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは45重量%以上、特に好ましくは50重量%以上であり、一方、通常90重量%以下、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは75重量%以下、特に好ましくは70重量%以下である。上記範囲内であることで、樹脂複合材フィルムにおいて、樹脂の特性を保ちつつ、ゼオライト由来の吸水性の特性が発揮しやすくなる点で好ましい。
樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1−3.その他の化合物>
樹脂複合材フィルムは、本発明の効果を損なわない限りにおいて、図2に示すように、ゼオライト及び樹脂以外に、他の化合物を含んでもよい。例えば、樹脂複合材フィルムは、後述するように樹脂複合材形成用インクにより製造することができるが、上記の所望の透過率及びヘイズ値が得られる限りにおいて、樹脂複合材フィルムは、ゼオライト及び樹脂以外の樹脂複合材形成用インク由来の残留成分又は残留成分由来の化合物等が含有されていてもよい。このような残留成分としては、例えば、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤、溶媒等が挙げられる。
<1−3−1.分散剤>
分散剤とは、樹脂複合材フィルム中にゼオライトを均一に分散するための化合物を意味する。本発明に用いられる分散剤としては、本発明の効果を損なわない限りは、特段の制限はなく、既知の物を用いてよい。
例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン又はジメチコンPEG−7コハク酸塩等のポリシロキサン化合物及びその塩;シラン化合物等(メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン又は3−カルボキシプロピルトリメチルトリメトキシシラン等)の有機ケイ素化合物;ギ酸、酢酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸等のカルボン酸化合物;ラウリルエーテルリン酸又はトリオクチルホスフィン等の有機リン化合物;ジメチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン又はポリエチレンイミン等のアミン化合物、カルボン酸アミン化合物、及びリン酸アミン化合物等が挙げられる。なお、カルボン酸アミン化合物とは、カルボキシル基とアミノ基の両方の官能基を有する化合物を、リン酸アミン化合物とは、リン酸基とアミノ基の両方の官能基を有する化合物を意味する。
なかでも、リン酸アミン化合物はゼオライトとの親和性が高いために、樹脂複合材フィルムを形成するための樹脂複合材形成用インクや混錬物に、リン酸アミン化合物を含有する分散剤を加えると、得られる樹脂複合材フィルム中においてゼオライトが均一に存在しやすくなり、その結果、ヘイズ値は低くなりやすくなる。このようなリン酸アミン化合物を含有する分散剤としては、例えば、ビックケミージャパン社製のBYK145が挙げられる。
なお、分散剤は、樹脂複合材フィルム中で一部分解されていてもよい。樹脂複合材フィルム中の分散剤及びその分解物の合計の含有率としては、通常0.05重量%以上であり、好ましくは0.1重量%以上であり、特に好ましくは0.5重量%以上である。一方で、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下であり、特に好ましくは2重量%以下である。上記範囲内であることは、ゼオライトの分散性を持たせつつ、樹脂特性を悪化させないという点で好ましい。
分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、後述の表面処理剤や界面活性剤が、分散剤として働いてもよい。
<1−3−2.表面処理剤>
樹脂複合材フィルム中にゼオライトが均一に分散して、得られる樹脂複合材フィルムの波長450nmにおける透過率を高くし、また、ヘイズ値を低くするために、樹脂複合材フィルムは表面処理剤を含有していてもよい。
表面処理剤としては、樹脂複合材フィルムの透明性が担保される限りにおいて、特段の制限はなく、既知の物を用いてよく、上述の分散剤として用いたものを表面処理剤として用いてよい。具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン又はジメチコンPEG−7コハク酸塩等のポリシロキサン化合物及びその塩;シラン化合物等(メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン又は3−カルボキシプロピルトリメチルトリメトキシシラン等)の有機ケイ素化合物;ギ酸、酢酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸等のカルボン酸化合物;ラウリルエーテルリン酸又はトリオクチルホスフィン等の有機リン化合物;ジメチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン又はポリエチレンイミン等のアミン化合物、カルボン酸アミン化合物等が挙げられる。
表面処理剤は、樹脂複合材フィルム中に、一部分解されて存在していてもよい。樹脂複合材フィルム中の表面処理剤及びその分解物の合計の含有率としては、樹脂複合材中に、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、一方、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。上記範囲内であれば、ゼオライトの分散性を持たせつつ、樹脂特性を悪化させないという点で好ましい。
表面処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1−3−3.界面活性剤>
樹脂複合材フィルムの製造時に、微小な泡もしくは異物の付着等で得られる樹脂複合材フィルムに凹みや乾燥ムラの発生が起こること等を防止する目的で、樹脂複合材フィルム製造時に界面活性剤を使用してもよく、得られる樹脂複合材フィルムは界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、樹脂複合材フィルムの透明性が損なわない限りにおいて、特段の制限はなく、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。界面活性剤の具体例としては、ノニオン系界面活性剤としてトリトンX100(ダウケミカル社製)、フッ素系界面活性剤としてはゾニルFS300(デュポン社製)、ケイ素系界面活性剤としてはBYK−310、BYK−320、BYK−345(ビックケミー社製)、アセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール104、サーフィノール465(エアープロダクツ社製)、オルフィンEXP4036、又はオルフィンEXP4200(日信化学工業社製)が挙げられる。
界面活性剤は、樹脂複合材フィルム中に、一部分解して存在していてもよい。樹脂複合材フィルム中の界面活性剤及びその分解物の合計の含有率は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、一方、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。上記範囲内であることは、ゼオライトの分散性を持たせつつ、樹脂特性を悪化させないという点で好ましい。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、界面活性剤により、後述する樹脂複合材形成用インクの濡れ性を向上することができる。濡れ性は、実際に基材に塗布する以外に、接触角で評価できる。インクの接触角としては、PET基材に対して、通常45°以下、好ましくは30°以下、さらに好ましくは15°以下である。また、基材一面に広がることが、接触角が検出されないことであるので、特に好ましくは検出されないことである。45°以下であることにより、インクは、あらゆる基材上で塗布できる。なお、接触角は、接触角計で測定することができる。例えば、協和界面科学社製DM−501で測定することができる。
<1−3−4.重合開始剤>
樹脂複合材フィルムの製造において、樹脂前駆体を用いて、樹脂複合材フィルムの形成と同時に樹脂前駆体を重合させる目的で重合開始剤を使用してもよい。そのため、樹脂複合材フィルム中に重合開始剤が残存していてもよい。
重合開始剤は、樹脂複合材フィルムの透明性が損なわれない限りにおいて、特段の制限はなく、樹脂の製造方法に応じて選択すればよい。例えば、光硬化方法であれば光重合開始剤を、熱硬化方法であれば熱重合開始剤を選択すればよい。なお、光硬化方法とは、活性エネルギー線硬化方法の内、紫外線、可視光及び赤外線を用いる硬化方法である。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキシド類、ジアゾニウムカチオンオニウム塩、ヨードニウムカチオンオニウム塩又はスルホニウムカチオンオニウム塩等が挙げられる。また、熱重合開始剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール及びその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
重合開始剤は、樹脂複合材フィルム中に、一部分解されて存在していてもよい。樹脂複合材フィルム中の重合開始剤及びその分解物の合計の含有率は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、一方、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。重合開始剤の含有率が0.5重量%以上であることは、得られる樹脂複合材フィルムから未反応成分が溶出することが抑えられる点で好ましい。また、重合開始剤の含有率が10重量%以下であることは、樹脂複合材フィルムの白濁及び脆化等が抑えられる点で好ましい。
重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、重合開始剤は、組成物中において、単独で存在していてもよいし、溶媒等とともに錯体を形成していてもよい。また、多量体を形成していてもよい。
<1−3−5.溶媒>
樹脂複合材フィルムは、樹脂複合材形成用インクから製造する場合、該インク由来の溶媒を含んでもよい。溶媒は、特段の制限はないが、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。
なかでも、樹脂の溶解度が高い点で、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類が好ましい。
特に、樹脂複合材フィルムを構成する樹脂に核水素化された芳香族化合物を含む水素添加スチレン−イソブチレン共重合体ゴムを使用する場合、溶解性が高いという理由で、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類が好ましい。
また、溶媒は、樹脂複合材フィルム中に残留していても、していなくてもよいので、溶媒の含有率や沸点に、特段の制限はないが、樹脂複合材フィルムに溶媒がない方が、より樹脂複合材フィルムの特性を発揮するので、好ましい。
溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<2.樹脂複合材フィルムの製造方法>
樹脂複合材フィルムの製造方法は、特段の制限はないが、通常、ゼオライトと、樹脂又は樹脂前駆体とを混合した後に、80℃以上に加熱して製造する。本発明の樹脂複合材フィルムは、例えば以下の(1)又は(2)の方法で製造することができる。
(1)ゼオライトと、樹脂又は樹脂前駆体と、を混練した後に、加熱する。
(2)ゼオライトと、樹脂又は樹脂前駆体と、溶媒等を混合した樹脂複合材形成用インクを製造し、該インクを基材に塗布した後に、加熱乾燥する。なお、樹脂前駆体としては、樹脂の原料であるモノマー、ダイマー、オリゴマー等が挙げられる。
<2−1.樹脂複合材形成用インクの構成成分>
樹脂複合材形成用インクは、通常、ゼオライトと、樹脂と、溶媒と、を混合して製造する。
本発明に係るインクに用いられるゼオライトは、上述の樹脂複合材フィルムにおいて説明したゼオライトを用いることができる。また、樹脂複合材形成用インク中のゼオライトの含有率は、通常、0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは7重量%以上であり、最も好ましいは10重量%以上である。一方、80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、特に好ましくは55重量%以下で最も好ましくは50重量%以下である。上記下限値以上あることで、樹脂複合材フィルムが形成しやすくなるために好ましい。また、上記上限値以下であれば、過剰な添加によるゼオライトの凝集を抑制することができるために好ましい。なお、ゼオライトは、樹脂複合材形成用インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
樹脂複合材形成用インクに用いられる樹脂は、上述の樹脂複合材フィルムにおいて説明した樹脂を用いることができる。樹脂複合材形成用インク中の樹脂又は樹脂前駆体の含有量は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、一方、通常90重量%以下、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは75重量%以下、特に好ましくは70重量%以下である。上記範囲内であることで、樹脂複合材形成用インク中において、樹脂が沈殿等を起こしにくくなり、良好な分散状態を保つことができる。なお、樹脂は、樹脂複合材形成用インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
樹脂複合材形成用インクに用いられる溶媒は、上述の樹脂複合材フィルムにおいて説明した溶媒を用いることができる。樹脂複合材形成用インク中の溶媒の含有率は、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上であり、一方、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。上記範囲内であれば、樹脂複合材形成用インクが適度な粘度を持ち、乾燥後に適度な厚みを持った樹脂複合材フィルムが得られるという点で好ましい。溶媒は、樹脂複合材形成用インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、樹脂複合材形成用インクには、ゼオライト、樹脂、及び溶媒以外のその他の化合物を含んでもよい。例えば、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤等を含んでもよい。分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤は、上述の樹脂複合材フィルムにおいて説明した分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤を用いることができる。特に、得られる樹脂複合材の波長450nmの透過率を高め、ヘイズ値を低くするために、樹脂複合材形成用インクは、界面活性剤を含有していることが好ましく、なかでも、上述の理由により、リン酸アミン化合物を含有する分散剤を用いることが好ましい。なお、樹脂複合材形成用インク中のこれらの化合物の合計量は、通常0.001重量%以上、好ましくは0.003重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.05重量%以上であり、一方、通常10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。上記範囲内であれば、樹脂複合材形成用インク中において、ゼオライトや樹脂が沈殿等を起こすことなく、良好な分散状態を保つことができる。
樹脂複合材形成用インクは、24時間以上安定であることが好ましく、1週間以上安定であることがさらに好ましい。安定であればあるほど、インクの大量合成や長期保存が可能となり、製造コストを安くすることができる。
なお、樹脂複合材形成用インクの安定性は、沈殿物の生成や粘度の変化等で評価することができる。沈殿物の生成は、目視や動的光散乱粒子径測定装置で判断することができる。また、粘度は、回転粘度計法(「物理化学実験のてびき」(足立吟也、石井康敬、吉田郷弘編、化学同人(1993)に記載)により求めることができる。
<2−2.混練物の構成成分>
混練物に用いられるゼオライトは、上述の樹脂複合材フィルムにおいて説明したゼオライトが用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
混練物に用いられる樹脂は、上述の樹脂複合材フィルムにおいて説明したゼオライトが用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、混練物に用いられるゼオライト、及び樹脂以外のその他の化合物を含んでもよい。例えば、樹脂複合材形成用インクと同様に、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤等を含んでもよい。その他の化合物は、各々1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。これらの化合物の具体例としては、上述の樹脂複合材フィルムにおいて説明したその他の化合物が挙げられる。特に、得られる樹脂複合材フィルムの波長450nmの透過率を高め、ヘイズ値を低くするために、樹脂複合材形成用インクは、界面活性剤を含有していることが好ましく、なかでも、上述の理由により、リン酸アミン化合物を含有する分散剤を用いることが好ましい。
混練物に用いられるゼオライト、樹脂、及びその他の化合物の比率は、所望の樹脂複合材フィルムが得られるように適宜選択すればよい。
<2−3.樹脂複合材形成用インク及び混練物の調合>
樹脂複合材形成用インク、及び混練物は、公知の方法で調合することができ、各構成成分を混合することで製造することができる。なお、その際、樹脂複合材インク及び混練物の均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカー、ビーズミル、プラネタリミキサー、攪拌型分散機、ホモジナイザー、自公転攪拌混合機、三本ロール、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置、及びスターラー等を用いて混合することが好ましい。
各構成成分の混合順序も、反応や沈殿物が発生する等の特段の問題がない限り任意であり、樹脂複合材形成用インク、及び混練物の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
樹脂複合材フィルムを製造する方法は、樹脂の製造に一般に用いられる方法を用いることができる。その際、樹脂複合材フィルムの製造と、更なる成形を同時に行ってもよい。
本発明に係る樹脂複合材フィルムを構成する樹脂が、熱硬化性樹脂である場合、樹脂複合材フィルムの成形、すなわち硬化は、それぞれの組成に応じた硬化温度条件で行うことができる。
硬化温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましい。一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また、80℃以上であることは、ある程度硬化が進行し、樹脂複合材フィルムから未反応成分が溶出することが抑えられる点で好ましい。
樹脂複合材フィルムを構成する樹脂が、熱可塑性樹脂である場合、成形体の成形は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度及び所定の成形速度や圧力の条件で行うことができる。
溶融温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましい。一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また80℃以上であることは、樹脂が均一に溶融できる点で好ましい。
また、樹脂複合材形成用インク等を有する樹脂複合材組成物を、所望の支持体に積層し(積層工程)、次いで熱処理を行うこと(熱処理工程)により、樹脂複合材フィルムを成形することができる。なお、所望の支持体は、製造後取り除いてもよい。
また、熱処理方法としては、例えば、熱風乾燥、赤外線ヒーターによる乾燥等の公知の乾燥方法が採用できる。
熱処理の温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましい。一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また80℃以上であることは、シート中の残存溶媒を除去できる点で好ましい。
加熱時間は、特に限定されないが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは3分以上である。一方、通常24時間以下、好ましくは12時間以下、より好ましくは1時間以下、さらに好ましくは15分以下である。上記の範囲にあることは、ロールツーロール法のような実用的な製造工程に適合できる点で好ましい。
また、熱処理工程に加えて、さらに光処理工程を行うことにより、円滑に、短時間で、本発明に係る樹脂複合材フィルムの成形体を製造することも可能である。なお、光処理工程を行う場合は、上述の光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤を含むことにより、より短時間で成形体を製造することができる。
光処理工程の時間は、特に限定されないが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは3分以上である。一方、通常60分以下、好ましくは30分以下、より好ましくは20分以下、さらに好ましくは10分以下である。光処理工程の時間が上記の範囲にあることは、ロールツーロール法のような実用的な製造工程に適合できる点で好ましい。
支持体の材料は、本発明の効果を損なわない限りは、特に限定されない。基材の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;及びフレキシブル基材が挙げられる。
本発明において、フレキシブル基材とは、曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下の基材である。なお、フレキシブルな電子デバイスを製造する場合は、屈曲性と支持体としての特性を両立するために、曲率半径が0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、一方で、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがさらに好ましい。なお、曲率半径は、ひずみや割れ等の破壊が現れないところまで曲げた基材を、共焦点顕微鏡(例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK−X200)で求めることができる。
フレキシブル基材の具体例としては、本発明の効果を損なわない限りは、特に限定されないが、エポキシ系樹脂等の上述の本発明に係る樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料が挙げられる。
なお、これらの中でも、フレキシブル基材を使用することができると、ロールツーロール方式による製造が可能となり、生産性が向上する。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により樹脂複合材フィルムが劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密な酸化ケイ素膜等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
支持体の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状等のものを用いることができる。
また、支持体の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。支持体の膜厚が5μm以上であることは、強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。支持体の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重量が重くならないために好ましい。
支持体の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常10mm以下、好ましくは5mm以下である。ガラス基材の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材の膜厚が5mm以下であることは、質量が重くならないために好ましい。
なお、ロールツーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、シートツーシート方式に比べて量産化に適した生産方式である。
なお、ロールツーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、ロール芯の外径の上限は、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下である。一方、下限は通常1cm以上、好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、上記下限以上であると、以下の各工程で成膜される層が、曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅の下限は、通常5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上である。一方、上限は、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であると、樹脂複合材フィルムの用途の自由度が高くなるため好ましい。
また、熱処理を含む成形方法で成形した固形状の樹脂複合材から、所望の形状に削り出すことによって、成形体を得ることもできる。
<3.樹脂複合材フィルムの用途>
本発明に係る樹脂複合材フィルムの用途に、特段に制限はなく、例えば、触媒モジュール、分子篩膜モジュール、光学部材、吸水部材、食品、建築部材、及び電子デバイスの構成部材や包装部材等に用いることができる。なかでも、電子デバイスの構成部材、例えば基材、ゲッター材フィルム、封止材等に用いることは、本発明に係る樹脂複合材フィルムの高い特性を活かせるので、好ましい。なかでも、本発明に係る樹脂複合材フィルムは、高い吸水性を示すために、吸水性がより発揮できる用途が、より好ましい。
<3−1.電子デバイス>
電子デバイスは、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置である。具体的には、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、若しくは化学センサー等、又はこれらの素子を組み合わせ若しくは集積化したデバイスが挙げられる。また、光電流を生じるフォトダイオード若しくはフォトトランジスタ、電界を印加することにより発光する電界発光素子、及び光により起電力を生じる光電変換素子若しくは太陽電池等の光素子も挙げることができる。電子デバイスのより具体的な例は、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
なかでも、電子デバイスの好ましい例としては、電界効果トランジスタ(FET)素子、電界発光素子(LED)、光電変換素子又は太陽電池が挙げられる。これらのデバイスで、本発明に係る樹脂複合材フィルムの高い特性は、有効に活かすことができる。
以下、本発明に係る樹脂複合材フィルムを構成要素として有する電子デバイスの例として、電界効果トランジスタ素子、電界発光素子、光電変換素子、及び太陽電池について、以下、詳細に説明する。
<3−2.電界効果トランジスタ(FET)素子>
電界効果トランジスタ(FET)素子は、本発明に係る樹脂複合材フィルムを構成要素として有している。一実施形態に係る電界効果トランジスタ(FET)素子は、基材上に、半導体層と、絶縁体層と、ソース電極と、ゲート電極と、ドレイン電極とを有する。
本発明の一実施形態において、基材又は絶縁体層は、本発明に係る樹脂複合材フィルムを有している。特に、本発明に係る樹脂複合材フィルムは、誘電率が低いので、絶縁体層の材料としても好ましく用いられる。
以下、一実施形態に係るFET素子について詳細に説明する。図3は、FET素子の構造例を模式的に表す図である。図3において、11が半導体層、12が絶縁体層、13及び14がソース電極及びドレイン電極、15がゲート電極、16が基材、17がFET素子をそれぞれ示す。図3(A)〜(D)にはそれぞれ異なる構造のFET素子が記載されているが、どれもFET素子の構造例を示している。FET素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
なお、本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、本明細書における「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が通常1.0x10-6cm2/V・s以上、好ましくは1.0x10-5cm2/V・s以上、より好ましくは5.0x10-5cm2/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10-4cm2/V・s以上であることが望ましい。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタのIV特性の測定、等により測定できる。
<3−2−1.基材>
FET素子は、通常基材16上に作製する。基材16の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材16の材料の好適な例は、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;本発明に係る樹脂複合材フィルム等のフレキシブル基材が挙げられる。なお、本発明に係る樹脂複合材フィルムは、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造上好ましいが、フレキシブル基材でなくても、基材16として用いることができる。
さらに、基材16に処理を施すことにより、FETの特性を向上させることができる。これは基材16の親水性/疎水性を調整することにより、成膜される半導体層11の膜質を向上させること、特に基材13と半導体層11との界面部分の特性を改良することによるものと推定される。このような基材処理としては、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等を用いた疎水化処理;塩酸、硫酸、及び酢酸等の酸を用いた酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及びアンモニア等を用いたアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等を用いたプラズマ処理;ラングミュアブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体又は半導体の薄膜の形成処理等が挙げられる。
<3−2−2.絶縁体層>
FET素子の絶縁体層12に用いられる材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂及びこれらの共重合体;二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;窒化ケイ素等の金属窒化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム等の強誘電性金属酸化物;並びにこれらの金属酸化物、金属窒化物、強誘電性金属酸化物等の粒子が分散されている樹脂、及び本発明に係る樹脂複合材フィルム等が挙げられる。
一般に絶縁体層12の静電容量が大きくなるほどゲート電圧を低電圧で駆動できることになるので、有利になる。このことは、絶縁体層の厚さを薄くする事等で実現できる。
絶縁体層12の形成方法は、特段の制限はなく、例えば、スピンコート法、ブレードコート法及びスピンコート法等の湿式塗布法、蒸着法、スパッタリング法、スクリーン印刷やインクジェット等の印刷法、アルミニウムにアルマイトを形成するように金属上に酸化膜を形成する方法等、材料特性に合わせた公知の方法で形成することができる。
<3−3.電界発光素子(LED)>
電界発光素子(LED)は、本発明に係る樹脂複合材フィルムを含有する構成要素を有している。電界発光素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーによって蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。
本発明の一実施形態において、基材は、本発明に係る樹脂複合材フィルムを有している。
以下に、電界発光素子について、図面を参照しながら説明する。図4は、本発明に係る電界発光素子の一実施形態を模式的に示す断面図である。図4において、符号31は基材、32は陽極、33は正孔注入層、34は正孔輸送層、35は発光層、36は電子輸送層、37は電子注入層、38は陰極、39は電界発光素子を示している。なお、電界発光素子がこれらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。例えば、必ずしも、正孔注入層33、正孔輸送層34、電子輸送層36、及び電子注入層37を設ける必要はない。電界発光素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
<3−3−1.基材>
基材31は、電界発光素子39の支持体となるものであり、その材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材31の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;本発明に係る樹脂複合材フィルム等のフレキシブル基材が挙げられる。なお、本発明に係る樹脂複合材フィルムは、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造上好ましいが、フレキシブル基材でなくても、基材31として用いることができる。
基材31の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状等のものを用いることができる。
なお、図4は電界発光素子の一実施形態を示すものにすぎず、本発明に係る電界発光素子が図示された構成に限定されるわけではない。例えば、図4とは、逆の積層構造とすること、すなわち、基板31上に陰極38、電子注入層37、電子輸送層36、発光層35、正孔輸送層34、正孔注入層33及び陽極32をこの順に積層することも可能である。
本発明に係る電界発光素子の構成は特に限定されず、単一の素子であっても、アレイ状に配置された構造からなる素子であっても、陽極と陰極とがX−Yマトリックス状に配置された構造の素子であってもよい。
<3−4.光電変換素子>
光電変換素子は、本発明に係る樹脂複合材フィルムを含有する構成要素を有している。一実施形態に係る光電変換素子は、少なくとも一対の電極と、該電極間に存在する活性層と、を有する。また、一実施形態に係る光電変換素子は、基材、電子取り出し層、及び正孔取り出し層を含むその他の構成要素を有していてもよい。
本発明の一実施形態において、基材は、本発明に係る樹脂複合材フィルムを有している。
図5は、光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図5に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図5に示されるものに限られるわけではない。本発明の一実施形態に係る光電変換素子57は、基材56、カソード(電極)51、電子取り出し層(バッファ層)52、活性層53、正孔取り出し層(バッファ層)54及びアノード(電極)55がこの順に形成された層構造を有する。なお、必ずしも電子取り出し層52及び正孔取り出し層54を設ける必要はない。光電変換素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
<3−4−1.基材>
光電変換素子57は、通常は支持体となる基材56を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材56を有さなくてもよい。
基材56の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材56の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;及び本発明に係る樹脂複合材フィルム等のフレキシブル基材が挙げられる。
基材56の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状等のものを用いることができる。
<3−5.太陽電池>
光電変換素子57は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。図6は本発明の一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に表す断面図であり、図6には本発明の一実施形態に係る太陽電池である薄膜太陽電池が示されている。図6に表すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池111は、耐候性保護フィルム101と、紫外線カットフィルム102と、ガスバリアフィルム103と、ゲッター材フィルム104と、封止材105と、太陽電池素子106と、封止材107と、ゲッター材フィルム108と、ガスバリアフィルム109と、バックシート110と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池111は、太陽電池素子106として、本発明に係る光電変換素子を有している。そして、耐候性保護フィルム101が形成された側(図6中下方)から光が照射されて、太陽電池素子106が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池111は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
本発明の一実施形態において、耐候性保護フィルム、バックシート、紫外線カットフィルム、ガスバリアフィルム、ゲッター材フィルム、及び封止材のいずれかは、本発明に係る樹脂複合材フィルムを有している。特に、本発明に係る樹脂複合材フィルムは、吸水性が高いので、ゲッター材フィルムの材料としても好ましく用いられる。
また、ここで述べる耐候性保護フィルム、バックシート、紫外線カットフィルム、ガスバリアフィルム、ゲッター材フィルム、及び封止材は、電界効果トランジスタ素子(FET)、及び電界発光素子(LED)等の上述の電子デバイスにも用いることができる。
<3−5−1. 耐候性保護フィルム(101)>
耐候性保護フィルム101は、天候変化から太陽電池素子106を保護するフィルムである。耐候性保護フィルム101で太陽電池素子106を覆うことにより、太陽電池素子106等を天候変化等から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。耐候性保護フィルム101は、薄膜太陽電池111の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性及び/又は機械強度等の、薄膜太陽電池111の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム101は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV−2500PC)で測定することができ、可視光線透過率は、JIS R3106(1998年)に準拠する方法により測定できる。
さらに、薄膜太陽電池111は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム101も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム101の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
耐候性保護フィルム101を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子106を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド−イミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、及び本発明に係る樹脂複合材フィルム等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム101は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、耐候性保護フィルム101は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム101の厚みは、特に規定されないが、通常10μm以上200μm以下である。
また耐候性保護フィルム101には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理及びプラズマ処理のうち少なくとも一方等の表面処理を行ってもよい。
耐候性保護フィルム101は、薄膜太陽電池111においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池111の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
<3−5−2.紫外線カットフィルム(102)>
紫外線カットフィルム102は、紫外線の透過を防止するフィルムである。紫外線カットフィルム102を薄膜太陽電池111の受光部分に設け、紫外線カットフィルム102で太陽電池素子106の受光面106aを覆うことにより、太陽電池素子106及び必要に応じてガスバリアフィルム103、109等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム102に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、下限に制限はない。また、紫外線カットフィルム102は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV−2500PC)で測定することができる。
さらに、薄膜太陽電池111は、光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム102も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム102の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
また、紫外線カットフィルム102は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうることが好ましい。
紫外線カットフィルム102を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂又はエステル系樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルム、及び本発明に係る樹脂複合材フィルム等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の化合物等を用いることができる。なお、紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。上述のように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は、特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステル系樹脂が挙げられる。
紫外線カットフィルム102の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(三菱ケミカルアグリドリーム社製)等が挙げられる。
なお、紫外線カットフィルム102は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、紫外線カットフィルム102は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
紫外線カットフィルム102の厚みは、特に規定されないが、通常5μmより大きく、200μm以下である。
紫外線カットフィルム102は、太陽電池素子106の受光面106aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子106の受光面106aの全てを覆う位置に設ける。ただし、太陽電池素子6の受光面106aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム102が設けられていてもよい。
<3−5−3.ガスバリアフィルム(103)>
ガスバリアフィルム103は、水蒸気及び酸素の透過を防止するフィルムである。ガスバリアフィルム103で太陽電池素子106を被覆することにより、太陽電池素子106を、水蒸気及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム103に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子106の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m2)の1日あたりの水蒸気透過率が、通常1×10-1g/m2/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
ガスバリアフィルム103に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m2)の1日あたりの酸素透過率が、通常1×10-1cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
また、ガスバリアフィルム103は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV−2500PC)で測定することができる。
さらに、薄膜太陽電池111は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム103も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム103の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
ガスバリアフィルム103の具体的な構成は、太陽電池素子106を水蒸気及び酸素から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム103を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
なかでも好適なガスバリアフィルム103としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムに酸化ケイ素や窒素ケイ素を真空蒸着したフィルム、及び本発明に係る樹脂複合材フィルムの成形体等が挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム103は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、ガスバリアフィルム103は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。なお、積層フィルムの場合、ある層のフィルムが水蒸気の透過防止に寄与し、別の層が酸素の透過防止に寄与するといった、層で役割分担をしていてもよい。
ガスバリアフィルム103の厚みは、特に規定されないが、通常5μmより大きく、200μm以下である。
ガスバリアフィルム103は、太陽電池素子106を被覆して、水蒸気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子106の正面(受光面側の面。図5では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図6では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池111においては、その正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム103が太陽電池素子106の正面を覆い、後述するガスバリアフィルム9が太陽電池素子106の背面を覆うようになっている。なお、後述するバックシート110としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム108及びガスバリアフィルム109のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
<3−5−4.ゲッター材フィルム(104)>
ゲッター材フィルム104は、水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収するフィルムである。ゲッター材フィルム104で太陽電池素子106を覆うことにより、太陽電池素子106等を水分及び酸素のうち少なくとも一方から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。ここで、ゲッター材フィルム104は上記のようなガスバリアフィルム103とは異なり、水分又は酸素の透過を妨げるものではなく、水分又は酸素を吸収するものである。
水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム103等で太陽電池素子106を被覆した場合に、ガスバリアフィルム103及び109で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム104が捕捉して水分による太陽電池素子106への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム104の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm2以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm2以下である。
また、ゲッター材フィルム104が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム103及び109等で太陽電池素子106を被覆した場合に、ガスバリアフィルム103及び109で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム104が捕捉して酸素による太陽電池素子106への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム104の酸素吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm2以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm2以下である
さらに、ゲッター材フィルム104は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV−2500PC)で測定することができる。
さらに、薄膜太陽電池111は、光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム104も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム104の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
ゲッター材フィルム104を構成する材料は、水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収することができるものであれば任意である。
その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;シリカゲル;硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム又は硫酸ニッケル等の硫酸塩;アルミニウム金属錯体又はアルミニウムオキシドオクチレート等の有機金属化合物、及び本発明に用いられるゼオライト等が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム又はバリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム又は酸化バリウム等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOやアルミニウム金属錯体等も挙げられる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ等のゼオライト、酸化マグネシウム、酸化鉄、及び本発明に係る樹脂複合材等が挙げられる。また、鉄、マンガン、亜鉛、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
ゲッター材フィルム104の具体的な商品名を挙げると、例えば、水分用としては、OleDry(双葉電子工業社製)やモイストキャッチ(共同印刷社製)等が挙げられる。また酸素用としては、ダイアミロン(三菱ケミカル社製)、オキシキャッチ(共同印刷社製)、エージレスオーマック(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
なかでも、ゲッター材フィルム104としては、高い吸水性を有している本発明に係る樹脂複合材フィルムが最も好ましい。
なお、ゲッター材フィルム104は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、ゲッター材フィルム104は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム104の厚みは、特に規定されないが、通常5μmより大きく、200μm以下である。
ゲッター材フィルム104は、ガスバリアフィルム103及び109で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子106の正面(受光面側の面。図6では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図6では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池111においては、その正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム104はガスバリアフィルム103と太陽電池素子106との間に設けることが好ましい。本実施形態では、ゲッター材フィルム104が太陽電池素子106の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム108が太陽電池素子106の背面を覆い、ゲッター材フィルム104、108がそれぞれ太陽電池素子106とガスバリアフィルム103、109との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート110としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム108及びガスバリアフィルム109のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
<3−5−5.封止材(105)>
封止材105は、太陽電池素子106を補強するフィルムである。太陽電池素子106は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材105により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池111の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材105以外の耐候性保護フィルム101やバックシート110の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池111全体が、良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材105は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV−2500PC)で測定することができる。
封止材105の厚みは、特に規定されないが、通常2μm以上700μm以下である。
封止材105の基板に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。T型剥離接着強さが1N/インチ以上であることは、モジュールの長期耐久性を確保できる点で好ましい。T型剥離接着強さが2000N/インチ以下であることは、太陽電池を廃棄する際に、基材やバリアフィルムと接着材を分別して廃棄できる点で好ましい。T型剥離接着強さは、JIS K6854−3(1999年)に準拠する方法により測定できる。
封止材105の構成材料としては、上記特性を有する限り特段の制限はないが、有機太陽電池及び無機太陽電池の封止、有機電界発光素子(LED)及び無機電界発光素子(LED)の封止、又は電子回路基板の封止等に一般的に用いられている封止用材料、及び本発明に係る樹脂複合材フィルム等を用いる事ができる。
なお、ここでは、太陽電池用の封止材105の構成材料として、本発明に係る樹脂複合材フィルムを用いる事ができると述べているが、有機太陽電池及び無機太陽電池、有機電界発光素子(LED)及び無機電界発光素子(LED)等の電子デバイス、及び電子回路基板の封止材としても、本発明に係る樹脂複合材フィルムを用いることができる。
封止材105の具体的な構成材料としては、熱硬化性樹脂複合材、熱可塑性樹脂複合材及び活性エネルギー線硬化性樹脂複合材、及び本発明に係る樹脂複合材が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂複合材とは、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線等で硬化する樹脂のことである。
より具体的な構成材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂複合材、炭化水素系樹脂複合材、エポキシ系樹脂複合材、ポリエステル系樹脂複合材、アクリル系樹脂複合材、ウレタン系樹脂複合材、又はシリコーン系樹脂複合材及び本発明に係る樹脂複合材等が挙げられ、それぞれの高分子の主鎖、分岐鎖、末端の化学修飾、分子量の調整、添加剤等によって、熱硬化性、熱可塑性及び活性エネルギー線硬化性等の特性が発現する。
また、薄膜太陽電池111は、光を受けて熱せられることが多いため、封止材105も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材105の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
封止材105中の封止材用構成材料の密度は、0.80g/cm3以上が好ましく、上限に制限はない。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112(1999年)に準拠する方法によって実施することができる。
封止材105を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子106を挟み込むように設ける。太陽電池素子106を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子106の正面及び背面にそれぞれ封止材105及び封止材107を設けるようにしている。
<3−5−6.太陽電池素子(106)>
太陽電池素子106は、上述の光電変換素子57と同様である。すなわち、光電変換素子57を用いて薄膜太陽電池111を製造することができる。
太陽電池素子106は、薄膜太陽電池111一個につき一個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子106を設ける。具体的な太陽電池素子106の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子106を複数設ける場合、太陽電池素子106はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子106を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子106同士は電気的に接続され、接続された一群の太陽電池素子106から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため、通常は、太陽電池素子106は直列に接続される。
このように太陽電池素子106同士を接続する場合には、太陽電池素子106間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子106と太陽電池素子106との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子106の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池111の発電量を増加させるためである。
<3−5−7.封止材(107)>
封止材107は、上述した封止材105と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、封止材107と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
<3−5−8.ゲッター材フィルム(108)>
ゲッター材フィルム108は、上述したゲッター材フィルム104と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、ゲッター材フィルム104と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
<3−5−9.ガスバリアフィルム(109)>
ガスバリアフィルム109は、上述したガスバリアフィルム103と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、ガスバリアフィルム109と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
<3−5−10.バックシート(110)>
バックシート110は、上述した耐候性保護フィルム101と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、耐候性保護フィルム101と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
また、このバックシート110が、水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート110をガスバリア層として機能させることも可能である。具体的には、バックシート110として、アルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合には、用途によりゲッター材フィルム108及びガスバリアフィルム109のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
<3−5−11.寸法等>
本実施形態の薄膜太陽電池111は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池111を形成することにより、薄膜太陽電池111を建材、自動車又はインテリア等に容易に設置できる。薄膜太陽電池111は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるため、さらに多くの用途に使用しうる。薄くて軽いため輸送や保管等流通面でも好ましい。さらに、膜状であるためロールツーロール方式の製造が可能であり大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池111の具体的な寸法には、制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上3000μm以下である。
<3−5−12.製造方法>
本実施形態の薄膜太陽電池111の製造方法には、制限は無いが、例えば、図6の形態の太陽電池製造方法としては、図6に示される積層体を作成した後に、ラミネート封止工程を行う方法が挙げられる。本実施形態の太陽電池素子106は、耐熱性に優れるため、ラミネート封止工程による劣化が低減される点で好ましい。
図6に示される積層体作成は、周知の技術を用いて行うことができる。ラミネート封止工程の方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート、押出しラミネート、共押出成型ラミネート、押出コーティング、光硬化接着剤によるラミネート、サーマルラミネート等が挙げられる。なかでも有機電界発光素子の封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート法、太陽電池で実績のあるホットメルトラミネート又はサーマルラミネートが好ましく、さらに、ホットメルトラミネート又はサーマルラミネートがシート状の封止材を使用できる点でより好ましい。
ラミネート封止工程の加熱温度は、通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。ラミネート封止工程の加熱時間は、通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。ラミネート封止工程の圧力は、通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材105、107のはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。なお、2個以上の太陽電池素子106を直列又は並列接続したものも上記と同様にして、製造することができる。
太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。
<3−5−13.太陽電池モジュール>
太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111は、そのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図7に示すように、本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111を基材112上に備える太陽電池モジュール113を作製し、この太陽電池モジュール113を使用場所に設置して用いることができる。
基材112としては、周知技術を用いることができ、例えば、基材112の材料としては、国際公開第2013/180230号又は特開2015−134703号公報等に記載の材料を用いることができる。また、基材112に、本発明に係る樹脂複合材フィルムを用いてもよい。例えば、基材112として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池111を設けることにより、太陽電池モジュール113として、建物の外壁用太陽電池パネルを作製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により制限されるものではない。
(ゼオライト分散液1の作製)
LTA型ナノゼオライト(中村超硬社製 Zeoal Z4A−005)と、リン酸アミン化合物系分散剤(ビックケミージャパン社製 BYK145)と、トルエンと、を、質量比が1:0.2:10となる様に混合し、微粉砕分散用ビーズミル(アシザワ・ファインテック社製:ラボスタ―)を用いて攪拌し、ゼオライト含有分散液1を作製した。ビーズミルの条件は0.05mmジルコニアビーズを用い、周速11m/s、充填率:70%とした。
(ゼオライト分散液2の作製)
リン酸アミン化合物系分散剤(ビックケミージャパン社製 BYK145)を使用しなかった以外は、ゼオライト分散液1と同様の方法によりゼオライト分散液2の作製を行ったところ、ゼオライトとトルエンの相溶性が悪く、粉体が再凝集し、装置内部への粉体が蓄積、ミルの動力上昇、スラリーの温度上昇といった問題が起こり、均一な分散液を得ることが出来なかった。
以上より、分散剤を入れることで、ゼオライトの分散性が向上したと考えられる。
(製造例1:水素添加スチレンーイソブチレンースチレン共重合体の合成)
水素添加スチレンーイソブチレンースチレン共重合体は、特開2013−216902号公報に従って製造した。攪拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、ポリスチレンブロック含有率(以下、PS含有量と表すことがある)が30質量%で、重量平均分子量(Mw)=111000、数平均分子量(Mn)=82100であるスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体25質量部及びテトラヒドロフラン75質量部からなる溶液と、水素化触媒として5質量%パラジウム担持活性炭触媒4質量部を入れて混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素ガスを供給し、温度170℃、圧力10MPaにて4.5時間水素化反応を行った。
水素化反応終了後、反応液をテトラヒドロフラン100質量部で希釈し、その溶液を濾過して水素化触媒を除去した。濾液をメタノール1200質量部中へ攪拌しながら注ぎ、析出した水素化ブロック共重合体を濾過により分離後、減圧乾燥機により乾燥させた。
このようにして得られた水素化ブロック共重合体は、下記式で表され(X:Y=15:70)、重量平均分子量(Mw)は103000、数平均分子量(Mn)は78200であった(Mw/Mn=1.3)。また、水素化率は97%であった。
(樹脂複合材形成用インク1の作製)
ゼオライトと、製造例1により得られた水素添加スチレンーイソブチレンースチレン共重合体と、を質量比が1:10となるように、ゼオライト分散液1と製造例1により得られた水素添加スチレンーイソブチレンースチレン共重合体とを混合し、IKAホモジナイザー(T18デジタルウルトラタックス)を用いて10分間攪拌させ、樹脂複合材形成用インク1を作製した。
(実施例1:樹脂複合材フィルム1の作製)
厚み50μmの剥離PETフィルムであるMRF50(三菱ケミカル社製)の剥離面と反対側の面に、上記樹脂複合材形成用インク1を滴下し、硬化後の膜厚が40〜45μmとなるようにバーコーターで延ばして硬化前の塗布膜を得た。次に、110℃で20分間、塗布膜の乾燥を行う事で、樹脂複合材フィルム1を得た。得られたフィルム1の膜厚を、東洋精機製作所社製THICKNESS METER B−1で測定した結果、40μmであった。
<透明性の測定>
樹脂複合材フィルム1のヘイズ値を、スガ試験機社製ヘーズコンピュータHZ−2を用いて、測色用補助イルミナントC(C光)により測定した。測定時にはマッチングオイル(カーギルジャパン製イマ−ジョンオイル タイプB)を用いることで、樹脂複合材表面の凹凸など、表面構造に由来する外部ヘイズを除去し、内部ヘイズ値を測定した。また、複合樹脂フィルム1の可視光領域の波長における透過率を島津製作所製分光光度計UV−2500PCを用いて測定した。得られた結果を図8及び表1に示す。なお、図8で示す「Reference」とは、水素添加のスチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(樹脂1)のみで作ったフィルムである。
Figure 2019112551
図8、及び表1の結果から分かるように、実施例1により得られた樹脂複合材フィルム1は、波長450nmの光の透過率が70%より大きく、ヘイズ値が10以下である、透明性が高い樹脂フィルムであることが確認された。これは、言い換えれば、樹脂複合材フィルム中にゼオライトが均一に分散していることを示していると言える。
<高湿条件における吸水性の測定>
楠本化成社製の恒温恒湿機(ETAC FX213C)を用いて、実施例1で得られた樹脂複合材のフィルム1を、40℃、90%RHの雰囲気に晒し、時間ごとのフィルムの重量変化を測定した。結果を図9に示す。図9の結果から、実施例1で得られた樹脂複合材フィルム1は、高湿度条件においても高性能に吸水することがわかる。
以上の結果より、膜厚5μmより大きく1mm未満であり、波長450nmの可視光の透過率が70%より大きく、ヘイズ値が10以下である、ゼオライトが均一に分散している樹脂複合材は、透明性があり、かつ高い吸水性を有していると言える。よって、本発明に係るフィルムは、透明な電子デバイスの構成部材等に用いることに適しているといえる。
本発明に係る樹脂複合材フィルムは、透明性があり、かつ高い吸水性を有しているので、透明な電子デバイスの構成部材等に適している。
1樹脂複合材フィルム
2ゼオライト
3樹脂
4その他の化合物
11半導体層
12絶縁体層
13、14ソース電極及びドレイン電極
15ゲート電極
16基材
17FET素子
31基材
32陽極
33正孔注入層
34正孔輸送層
35発光層
36電子輸送層
37電子注入層
38陰極
39電界発光素子
51カソード
52電子取り出し層
53活性層
54正孔取り出し層
55アノード
56基材
57光電変換素子
101耐候性保護フィルム
102紫外線カットフィルム
103、109ガスバリアフィルム
104、108ゲッター材フィルム
105、107封止材
106太陽電池素子
110バックシート
111薄膜太陽電池
112基材
113太陽電池モジュール

Claims (2)

  1. ゼオライトと、樹脂と、を含む樹脂複合材フィルムであって、
    厚さが5μmより大きく1mm未満であり、波長450nmの可視光の透過率が70%より大きく、ヘイズ値が10以下である、樹脂複合材フィルム。
  2. 前記樹脂複合材フィルム中のゼオライト含有量が1重量%以上80重量%以下である請求項1に記載の樹脂複合材フィルム。
JP2017247762A 2017-12-25 2017-12-25 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス Pending JP2019112551A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017247762A JP2019112551A (ja) 2017-12-25 2017-12-25 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017247762A JP2019112551A (ja) 2017-12-25 2017-12-25 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019112551A true JP2019112551A (ja) 2019-07-11

Family

ID=67223518

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017247762A Pending JP2019112551A (ja) 2017-12-25 2017-12-25 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019112551A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003003068A (ja) * 2001-06-19 2003-01-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 抗菌、防かび性を有する硬化性組成物及びその硬化物
WO2016152249A1 (ja) * 2015-03-24 2016-09-29 三菱樹脂株式会社 農業用フィルム
JP2018100390A (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 共同印刷株式会社 光透過性吸湿フィルム及びその製造方法
WO2018155311A1 (ja) * 2017-02-23 2018-08-30 日本ゼオン株式会社 電子デバイス用樹脂フィルム及び電子デバイス

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003003068A (ja) * 2001-06-19 2003-01-08 Shin Etsu Chem Co Ltd 抗菌、防かび性を有する硬化性組成物及びその硬化物
WO2016152249A1 (ja) * 2015-03-24 2016-09-29 三菱樹脂株式会社 農業用フィルム
JP2018100390A (ja) * 2016-12-20 2018-06-28 共同印刷株式会社 光透過性吸湿フィルム及びその製造方法
WO2018155311A1 (ja) * 2017-02-23 2018-08-30 日本ゼオン株式会社 電子デバイス用樹脂フィルム及び電子デバイス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5869581B2 (ja) ナノシリカ系コーティングを有する反射防止物品
JP6247533B2 (ja) ナノシリカ系コーティング及びバリア層を有する反射防止物品
EP2712730B1 (en) Back sheet for a solar cell module, and solar cell module comprising the same
KR101724705B1 (ko) 보호 필름 및 태양 전지용 프론트 시트
JP2010287662A (ja) 太陽電池モジュール用裏面保護シート、及び該保護シートを使用した太陽電池モジュール
JP7263729B2 (ja) 樹脂複合材及び電子デバイス
TWI541313B (zh) 太陽電池用背板及太陽電池模組
JP2011142179A (ja) 太陽電池モジュール
JP2019112552A (ja) 分散液、樹脂複合材、及び電子デバイス
KR102462579B1 (ko) 제올라이트 함유 폴리이미드 수지 복합재, 제올라이트 함유 폴리이미드 수지 전구체 조성물, 필름, 및 전자 디바이스
KR101774051B1 (ko) 보호 필름 및 태양 전지용 프론트 시트
JP2022036344A (ja) 樹脂複合材及び電子デバイス
KR20160138104A (ko) 태양 전지 백 시트 및 태양 전지 모듈
CN102569440B (zh) 太阳能电池用背板及太阳能电池用背板的制造方法
JP2018119067A (ja) 親水性コーティング剤、及びその塗布膜
JP6071937B2 (ja) 太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュール
JP2019112551A (ja) 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス
JP5831856B2 (ja) 太陽電池用バックシート及び太陽電池用バックシートの製造方法
JP5763021B2 (ja) 太陽電池用ポリマーシート及びその製造方法、並びに太陽電池モジュール
JP2019112553A (ja) 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス
TW201817600A (zh) 積層體及使用其之太陽電池背面保護用片材、太陽電池模組
KR101613148B1 (ko) 태양 전지 모듈 백시트용 유무기 복합 접착제
JP2017226208A (ja) 発光体保護フィルム、波長変換シート、及びバックライトユニット並びにエレクトロルミネッセンス発光ユニット
JP2009027155A (ja) インク受容膜形成用塗工液、その製造方法、インク受容膜、積層基板および配線材料
JP2015212736A (ja) 積層反射フィルムおよびその製造方法、ならびにこれを含む光学反射体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200819

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210831

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220308