JP2017226208A - 発光体保護フィルム、波長変換シート、及びバックライトユニット並びにエレクトロルミネッセンス発光ユニット - Google Patents

発光体保護フィルム、波長変換シート、及びバックライトユニット並びにエレクトロルミネッセンス発光ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】発光ユニットに用いた場合に、バリア層に欠陥を有していてもダークスポットの発生を抑制することが可能で、実用に問題ない密着強度を有する発光体保護フィルムを提供すること。
【解決手段】2枚のガスバリアフィルムが接着層を挟んで貼り合わされてなる発光体保護フィルムであって、ガスバリアフィルムは、ポリエステルフィルムからなる基材と、基材と一体に延伸されてなる易接着層と、アンカーコート層と、無機化合物からなる無機蒸着層と、水酸基含有高分子化合物と金属アルコキシドとシランカップリング剤またはそれらの加水分解物の少なくとも1種類以上を含む組成物からなる複合被膜層とが順次積層されてなり、かつ2枚のガスバリアフィルムは、それぞれの複合被膜層の面が前記接着層に接するように対向して貼り合わされている。
【選択図】図2

Description

本発明は、発光体保護フィルム、波長変換シート及びバックライトユニット並びにエレクトロルミネッセンス発光ユニットに関する。
液晶ディスプレイのバックライトユニット及びエレクトロルミネッセンス発光ユニット等の発光ユニットでは、発光体が大気雰囲気中の酸素又は水蒸気等と接触して長時間が経過することにより、発光体としての性能が低下することがある。このため、これらの発光ユニットではしばしば、高分子フィルムにガスバリア層が形成されたガスバリアフィルムが発光体の保護フィルムとして使用される(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2015/013225号
しかしながら、上記発光体保護フィルムの製造において、ガスバリア層形成の際に、異物の混入による損傷及びクラック等の微小欠陥がガスバリア層に生じることがある。また、例えば、ガスバリア層が蒸着法によって形成され、蒸着材料の飛散(スプラッシュ)が生じた場合、ガスバリア層により大きな欠陥が生じる。場合によっては、高分子フィルムとガスバリア層とを貫通した欠陥を生じることもあり得る。これらの欠陥は酸素又は水蒸気等の侵入経路となる。その結果、ガスバリア層に上記欠陥を有する保護フィルムを発光ユニットに用いた場合、上記欠陥に近い箇所に発光不良箇所、すなわちダークスポットが発生することがあった。
欠陥を補うためにはバリアフィルムを2枚以上貼り合わせた保護フィルムを形成する必要がある。しかし、このとき接着剤の種類や、保護フィルムにするための積層構成によっては、剥離の応力がバリアフィルム基材の表面に集中しやすくなる場合があり、基材表層で剥離し密着強度が低下する、という問題があった。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、発光ユニットに用いた場合に、バリア層に欠陥を有していてもダークスポットの発生を抑制することが可能で、かつ優れた密着強度を有する発光体保護フィルム、並びにこれを用いて得られる波長変換シート及びバックライトユニット、エレクトロルミネセンス発光ユニットを提供することを目的とする。
本発明における請求項1の発明は、2枚のガスバリアフィルムが接着層を挟んで貼り合わされてなる発光体保護フィルムであって、
前記ガスバリアフィルムは、ポリエステルフィルムからなる基材と、基材と一体に延伸されてなる易接着層とを少なくとも備えることを特徴とする発光体保護フィルムである。
本発明における請求項2の発明は、前記易接着層が前記基材の両面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光体保護フィルムである。
本発明における請求項3の発明は、前記接着層の伸び率が30%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光体保護フィルムである。
本発明における請求項4の発明は、前記ガスバリアフィルムは、ポリエステルフィルムからなる基材と、基材と一体に延伸されてなる易接着層と、アンカーコート層と、無機化合物からなる無機蒸着層と、水酸基含有高分子化合物と金属アルコキシドとシランカップリング剤またはそれらの加水分解物の少なくとも1種類以上を含む組成物からなる複合被膜層とが順次積層されてなり、
かつ前記2枚のガスバリアフィルムは、それぞれの複合被膜層の面が前記接着層に接するように対向して貼り合わされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光体保護フィルムである。
本発明における請求項5の発明は、前記基材と一体に延伸されてなる易接着層が、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルのいずれか1つ以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発行体保護フィルムである。
本発明における請求項6の発明は、前記接着層が、厚さ5μmにおいて、酸素透過度1000cm/m・day・atm以下のガスバリア性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光体保護フィルムである。
本発明における請求項7の発明は、前記ガスバリアフィルムが、前記基材にエポキシ化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光体保護フィルムである。
本発明における請求項8の発明は、前記接着層がエポキシ樹脂を含む接着剤から形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発光体保護フィルムである。
本発明における請求項9の発明は、樹脂と蛍光体を含む蛍光体層と、前記蛍光体層の両面に積層された一対の保護フィルムとを備え、前記保護フィルムが請求項1〜8のいずれかの発光体保護フィルムからなることを特徴とする波長変換シートである。
本発明における請求項10の発明は、光源と、導光板と、反射板と、請求項9に記載の波長変換シートとを備えることを特徴とするバックライトユニットである。
本発明における請求項11の発明は、エレクトロルミネッセンス発光体層と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光体保護フィルムとを備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンス発光ユニットである。
本発明の発光体保護フィルムによれば、接着層を挟んで2枚のガスバリアフィルムを貼り合わせることで、ダークスポットの発生を抑制することができる。また、ポリエステルフィルムとともに一体に延伸された易接着層を設けることで、剥離応力が基材表面に集中しても、表層剥離することなく、実用に問題ない密着強度を有することができる。
また、本発明の発光体保護フィルムにおいて、接着剤にバリア性を持たせることで、2枚貼り合わせたガスバリアフィルムのうち、特に発光体層の近くに配置されたバリア層に局所的な微小欠陥が生じた場合にも、ダークスポットの発生を十分抑制することができる。
さらに、本発明の発光体保護フィルムにおいて、接着層がエポキシ樹脂を含む接着剤から形成されることにより、密着性をより向上させることができる。
また、本発明の発光体保護フィルムにおいて、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が高いことにより加水分解による劣化がしにくく、密着強度およびバリア性が劣化しないという効果がある。
本発明はまた、上記発光体保護フィルムを備えたことにより、ダークスポットの発生を抑制でき、優れた密着強度を有する波長変換シート、バックライトユニット、及びエレクトロルミネッセンス発光ユニットを提供することができる。
なお、上記発光体保護フィルムと発光体との密着も、発光体の材料種類によって、剥離の応力がバリアフィルム基材の裏面の表面に集中しやすくなる場合があり、基材裏面の表層で剥離し密着強度が低下する、という問題が生ずる場合もある。
この場合、本発明の発光体保護フィルムによれば、伸び率が30%以下の接着層を挟んで2枚のガスバリアフィルムを貼り合わせることで、ダークスポットの発生をより抑制することができる。また、ポリエステルフィルムとともに一体に延伸された易接着層を少なくとも接着層側に設けることで、剥離応力が基材表面に集中しても、表層剥離することなく、実用に問題ない密着強度を有することができる。さらに、伸び率が30%以下の樹脂と発光体を含む蛍光体層と発光体保護フィルムの間に、ポリエステルフィルムとともに一体に延伸された易接着層を少なくとも接着層側に設けることで、剥離応力が基材表面に集中しても、表層剥離することなく、実用に問題ない密着強度を有することができる。
本発明の一実施形態に係るガスバリアフィルムの概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る発光体保護フィルムの概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る波長変換シートの概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る波長変換シートを用いて得られるバックライトユニットの概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス発光ユニットの概略断面図である。 本発明の図1の実施形態とは異なる一実施形態に係るガスバリアフィルムの概略断面図である。 本発明の図2の実施形態とは異なる一実施形態に係る発光体保護フィルムの概略断面図である。
<第一の実施形態>
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(ガスバリアフィルム)
図1は本実施形態に係るガスバリアフィルムの概略断面図である。図1のガスバリアフィルム10においては、ポリエステルフィルム1の上に、インライン製膜にてポリエステルフィルムと一体に延伸された易接着層2、オフラインでコートされたアンカーコート層3、無機蒸着層4、複合被膜層5が順次積層されている。
以下に順次、これらの各層について説明する。
ポリエステルフィルム1は耐加水分解性が高い方がより好ましい。例えば、耐加水分解
性を向上させるために、末端カルボキシル基の濃度が減少しているポリエステル樹脂組成物からなるものが用いられる。ポリエステル中の末端カルボキシル基の濃度は、ANALYTICAL CHEMISTRY第26巻、1614ページに記載された方法にて測定されるが、この方法によって測定された末端カルボキシル基濃度が30当量/10g以下、さらにゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリエステルフィルム基材の数平均分子量が6万以上であれば、加水分解は起こりにくい。
この耐加水分解性の高いポリエステルフィルムを用いて作成した発光体保護シートは、65℃95%RHなどの環境促進試験下に発光体保護シートを保存しても、バリア性および密着性の低下が起こらない。
ポリエステルの末端カルボキシル基を減少させるため、加水分解性に優れるポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物には、エポキシ化合物を混合し、反応させることが有効である。
エポキシ化合物としてはエチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、エビクールヒドリン、グリシドール、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルへキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリフールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリフールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセワールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジオキシド、1,2−エポキシシクロデカン、2 (3,4−エバ中ジシクロヘキシル)エチルメトキシシラン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらの化合物の1種類または2種類以上を混合し、反応させればよい。
ポリエステルの末端カルボキシル基を減少させるため、カルボジイミド化合物を混合し、反応させることも有効である。カルボジイミド化合物としては、N,N‐ジ‐p‐トリイルカルボジイミド、N,N‐ジフェニルカルボジイミド、N,N”‐ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N”‐ジ‐2,6‐ジメチルフエニルカルボジイミド、N‐トリイル‐N’‐シクロへキシルカルボジイミド、N,N‐ジ‐2,6‐ジイソプロピルフエニルカルボジイミド、N,N‐ジ‐2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェニルカルボジイミド、N‐トリイル‐N‐フェニルカルボジイミド、N,N‐ジ‐p‐ニトロフェニルカルボジイミド、N,N‐ジ‐p‐アミノフェニルカルボジイミド、N,N‐ジ‐p‐ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N‐ジ‐シクロへキシルカルボジイミド、N,N‐ジ‐p‐トリイルカルボジイミド、p‐フェニレン‐ビス‐ジ‐o‐トリイルカルボジイミド、p‐フェニレン‐ビス‐ジシクロへキシルカルボジイミド、ヘキサメチレン‐ビス‐ジシクロへキシルカルボジイミド、エチレン‐ビス‐ジフェニルカルボジイミドなどが挙げられる。これらの化合物の1種類又は2種類以上を混合し、反応させるようにしてもよいし、上述のエポキシ化合物と混合して用いるようにしてもよい。
ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、溶融状態のポリエステルにエポキシ化合物またはカルボジイミド化合物を添加して攪拌・反応させる方法、あるいはエクストルーダなどで混練・反応させる方法などがある。また必要に応じて、組成物中には、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか従来公知の抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種フッ素化合物を添加してもよい。
また、基材である熱可塑性樹脂フィルム(ポリエステルフィルム1)の表面に、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂を被覆層の主たる構成成分とする易接着層を設ける必要がある。結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに、前記樹脂の溶液または樹脂を分散媒で分散させた分散体を含有する水性塗布液を基材フィルムに塗工し、乾燥後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を施して、熱可塑性樹脂フィルムの配向を完了させる方法(いわゆるインラインコート法)で易接着層2を設ける。
インラインコート法によって設けられた易接着層2は、基材のポリエステル材料とコート材料とが混じりあう為、界面で表層剥離しにくくなるためである。
特にエポキシ樹脂をはじめバリア性を有する材料は硬いものが多く、剥離時に応力が分散されず一箇所に集中しやすい。そのため基材表面が最も応力が集中しやすいため、基材表層で低い密着強度で剥離しやすい。本発明の発光体保護フィルムでは、基材にインラインで塗布された易接着層を設けることで、剥離時の応力集中が基材表層で起こっても剥離せず、実用に問題ない密着強度を有することができる。
易接着層2を塗布形成するためのインラインコート液は、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂が用途や次工程で積層されるバリア層の物性によって適宜選択される。密着性を考慮して上記樹脂とイソシアネート架橋剤を添加した2液混合系が好ましい。塗布液中の樹脂組成物の固形分濃度は、2〜35重量%であることが好ましく、特に好ましくは4〜15重量%である。
塗布液をPETフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
上記インラインコート法による場合、塗布層は未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムに前記インラインコート液を塗布、乾燥した後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を行って形成させる。本発明において、最終的に得られる易接着層2の厚みは10〜100nm、乾燥後の塗布量は、0.01〜0.1g/mであることが好ましい。易接着層の塗布量が0.01g/m未満であると、接着性に対する効果がほとんどなくなる。一方、塗布量が0.1g/mを越えると、ヘイズが増加してしまう。
ポリエステルフィルム1の厚さは、特に制限されないが、3μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
次に、アンカーコート層3について詳しく説明する。この層は易接着層2と、無機蒸着層4との密着性を高めることのみでなく、薄い無機蒸着層4を均一に製膜させ高いバリア性を発現させることも目的として積層されているものである。
このアンカーコート層3の構成材料としては、エステル結合より耐加水分解性が高いウレタン結合を含んでいる必要がある。易接着層2の材料に含まれるイソシアネート成分とアンカーコート層3との密着を良好にし、耐水性を良好にする。ウレタン結合は、イソシアネートとアルコールとの付加反応によって生成する結合であり、特に、ポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールなどの水酸基をもつ化合物とイソシアネート基をもつイソシアネート化合物との2液反応複合物からなるアンカーコート層3は、密着性が良好であるだけでなく、平滑な膜を作り、無機蒸着層4を均一に製膜することができるので好ましい。
アンカーコート層3の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件で構わない。また、反応を促進させるために、高温のエージング室などに数日放置して乾燥させる方法を用いてもよい。
次に無機蒸着層4について説明する。無機蒸着層4は金属酸化物を含み、金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、イットリウム、タンタル、ケイ素、マグネシウム等の金属の酸化物が挙げられる。金属酸化物は、安価でバリア性能に優れることから、酸化ケイ素(SiO、xは1.0〜2.0)であることが好ましい。xが1.0以上であると、良好なガスバリア性が得られやすい傾向がある。
無機蒸着層4の形成方法は真空成膜であることが好ましい。真空成膜としては、物理気相成長法及び化学気相成長法が挙げられる。物理気相成長法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。また、化学気相成長法としては、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等が挙げられる。
製造コストの観点から、蒸着法で形成された無機蒸着層4であることが好ましい。例えば、蒸着材料の飛散(スプラッシュ)によりガスバリアフィルムに孔が生じることがある。スプラッシュが生じる頻度は少ないものの、スプラッシュによって生じる孔は比較的大きな欠陥であり、バリア層及び基材層を貫通する孔となり得る。したがって、スプラッシュによる孔が生じた保護フィルムでは、ガスバリア性が大きく低下し得る。特に、発光体層側に配置されるガスバリアフィルムに孔が生じた場合、ダークスポットがより発生しやすくなる。
しかしながら、本実施形態に係る発光体保護フィルムはバリアフィルム積層構成を備えることから、仮に、ガスバリアフィルムに比較的大きな欠陥があったとしても、ガスバリア性の低下を低減することができ、さらに、バリア性を有する接着剤を用いることで、ダークスポットの発生を抑制することができる。したがって、無機蒸着層が蒸着法であることにより、製造コストを低減しつつダークスポットの発生を抑制することができる。
無機蒸着層4の厚さは、10〜300nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。無機蒸着層4の厚さが10nm以上であることにより、均一な膜が得られやすく、ガスバリア性が得られやすくなる傾向がある。一方、無機蒸着層の厚さが300nm以下であることにより、柔軟性を保持させることができ、成膜後に折り曲げ、引張等の外力により、亀裂等が生じにくくなる傾向がある。
次に複合被膜層5について説明する。図1のように、無機蒸着層4の上に複合被膜層5を積層する。複合被覆層5はガスバリア性を有するため、下記式(1)で表わされる金属アルコキシド及びその加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含む組成物から形成されることが好ましい。
M(OR(Rn−m ・・・(1)
上記式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1〜nの整数である。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラエトキシシラン[Si(OC]、トリイソプロポキシアルミニウム[Al(O−iso−C]等が挙げられる。
金属アルコキシドは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であることから、テトラエトキシシラン又はトリイソプロポキシアルミニウムであることが好ましい。
金属アルコキシドの加水分解物としては、例えば、テトラエトキシシランの加水分解物であるケイ酸(Si(OH))、及び、トリプロポキシアルミニウムの加水分解物である水酸化アルミニウム(Al(OH))等が挙げられる。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。上記組成物における金属アルコキシド及びその加水分解物の含有量は、例えば、10〜90質量%である。
上記組成物はさらに水酸基含有高分子化合物を含んでいてもよい。水酸基含有高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びデンプン等の水溶性高分子が挙げられる。水酸基含有高分子化合物はバリア性の観点からポリビニルアルコールであることが好ましい。これらは、1種だけでなく、複数種を組み合わせて使用することもできる。上記組成物における水酸基含有高分子化合物の含有量は、例えば、10〜90質量%である。
複合被膜層5の厚さは、50〜1000nmであることが好ましく、100〜500nmであることが好ましい。複合被膜層5の厚さが50nm以上であると、より十分なガスバリア性を得ることができる傾向があり、1000nm以下であると、十分な柔軟性を保持できる傾向がある。
(発光体保護フィルム)
図2は、本実施形態に係る発光体保護フィルム20の概略断面図である。図2(a)の発光体保護フィルム20において、2枚のガスバリアフィルム10a、10bが接着層15を介して複合被膜層5のコート面が対抗するように貼り合わされている。
2枚のガスバリアフィルムをコート面を対抗して貼り合わせることにより、波長変換保護シートなどの後加工の際、バリア層が外力による破損しにくく、且つ65℃95%RH環境下などの耐湿性試験においても、バリア層が劣化しにくくガスバリア性を保持させることができる。
接着層15の酸素透過率は、厚さ5μmにおいて、厚さ方向に、1000cm/(m・day・atm)以下であればよい。上記酸素透過率は、500cm/(m・day・atm)以下であることが好ましく、100cm/(m・day・atm)以下であることがより好ましく、50cm/(m・day・atm)以下であることがさらに好ましく、10cm/(m・day・atm)以下であることが特に好ましい。
接着層15の酸素透過率が1000cm/(m・day・atm)以下であることにより、発光ユニットに用いた場合に、バリア層が欠陥を有していたとしても、ダークスポットを抑制することが可能な発光体保護フィルム10を得ることができる。上記酸素透過率の下限値は特に制限されないが、例えば、0.1cm/(m・day・atm)である。
本実施形態に係る発光体保護フィルム20のように、バリア層を備える光学フィルムとバリア層を備える別の光学フィルムとが接着層を介して貼り合わされた構成(バリアフィルム積層構成)を備える保護フィルムからは、バリア層を備える光学フィルムのみからなる(バリアフィルム積層構成を備えない)保護フィルムと比べて優れたガスバリア性が得られる。
しかし、上記バリアフィルム積層構成によって保護フィルム全体としてのガスバリア性は得られるものの、バリア層(特に発光体層の近くに配置されたバリア層)に局所的な微小欠陥が生じた場合に、バリア層に生じた微小欠陥の近くの発光体層でのダークスポットの発生を十分抑制できないことがある。このような局所的な微小欠陥は、ガス透過率の測定等によって評価される保護フィルム全体としてのガスバリア性には現れにくいが、当該欠陥近傍のダークスポットの発生に影響するものである。
本実施形態に係る発光体保護フィルム20は、ガスバリアフィルム2枚を接着層15を介して貼り合わせることにより、バリア層に局所的な微小欠陥が生じていたとしても、当該欠陥近傍のダークスポットの発生を抑制することができる。また、本実施形態に係る発光体保護フィルム20によって得られる効果は上記微小欠陥が生じた場合にとどまらず、仮に保護フィルム製造の際にバリア層により大きな欠陥が生じていたとしても、当該欠陥近傍のダークスポットの発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態に係る発光体保護フィルム20によれば、仮に保護フィルム製造の際にバリア層と基材層とを貫通した欠陥が生じていたとしても、当該欠陥近傍のダークスポットの発生を抑制することができる。
接着層15は接着剤から形成される。上記接着剤としては、たとえばアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等が挙げられ、その中ではエポキシ樹脂を含むことが好ましい。接着剤がエポキシ樹脂を含むことにより、密着性を向上させることができる。
接着層15の厚さは、0.5〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、2〜6μmあることがさらに好ましい。接着層15の厚さが0.5μm以上であることにより、密着性が得られやすくなり、上記厚さが50μm以下であることにより、より優れたガスバリア性が得られやすくなる。
接着層15は伸び率が30%以下となることが好ましく、なおかつこの伸び率の効果を充分に発揮させるために、特に厚みが3μm以上の樹脂であるのが好ましい。ここで伸び率とは、接着層を単層でフィルムとした際に、試験片をJIS K6251:2010に規定されている方法で測定した切断時伸びを意味する。接着層に硬い樹脂層を用いることで、接着層のフィルム端面からの酸素の進入を防ぎ、バリア層の劣化を防ぐことが出来るからである。この接着層と対向する基材面に一体として延伸されてなる易接着層を備えることで、固い接着層を用いることで剥離応力が基材表面に集中しやすい場合であっても、表層剥離することなく、実用に問題ない密着強度を有することができる。一方で接着層の伸び率は10%以上が好ましい。伸び率が10%以上であれば接着機能を充分に発現させることができる。
発光体保護フィルム20は、光散乱機能を発揮させるために、ポリエステルフィルムのガスバリア層とは逆面に、光を散乱させるマット層(図示しない)を備えていてもよい。発光体保護フィルム20がマット層を備えることにより、光散乱機能以外にも、干渉縞(モアレ)防止機能及び反射防止機能等を得ることができる。
発光体保護フィルムは、酸素や水蒸気等と接触することにより劣化し得る発光体の保護フィルムとして好適に用いることができる。上記発光体としては、量子ドット等の蛍光体、エレクトロルミネッセンス発光体等が挙げられる。
(波長変換シート)
図3は本発明の一実施形態に係る波長変換シート30の概略断面図である。波長変換シートは液晶ディスプレイ用バックライトユニットの光源からの光の一部の波長を変換可能なシートである。図3に示すように、本実施形態の波長変換シート30は、発光体保護シート20bの上に形成された蛍光体層21と、上記蛍光体層21上に設けられた発光体保護シート20aとを備えて概略構成されている。このように波長変換シート30は、2枚の保護フィルム20の間に、蛍光体層21が挟み込まれた(すなわち、封止された)構造を有する。
蛍光体層21は樹脂及び蛍光体を含む。蛍光体層21の厚さは数十〜数百μmである。上記樹脂としては、例えば、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を使用することができる。蛍光体層21は、量子ドットからなる2種類の蛍光体を含むことが好ましい。
また、蛍光体層21は、1種類の蛍光体を含む蛍光体層と別の種類の蛍光体を含む蛍光体層が2層以上積層されたものであってもよい。2種類の蛍光体には、励起波長が同一のものが選択される。励起波長は、バックライトユニットの光源が照射する光の波長に基づいて選択される。2種類の蛍光体の蛍光色は相互に異なる。光源に青色発光ダイオード(青色LED)を用いる場合、各蛍光色は、赤色及び緑色である。各蛍光の波長、及び光源が照射する光の波長は、カラーフィルタの分光特性に基づき選択される。蛍光のピーク波長は、例えば、赤色で610nmであり、緑色で550nmである。
次に、蛍光体の粒子構造を説明する。蛍光体としては、特に発光効率の良いコア・シェル型量子ドットが好適に用いられる。コア・シェル型量子ドットは、発光部としての半導体結晶コアが保護膜としてのシェルにより被覆されたものである。例えば、コアにはセレン化カドミウム(CdSe)、シェルには硫化亜鉛(ZnS)が使用可能である。CdSeの粒子の表面欠陥がバンドギャップの大きいZnSにより被覆されることで量子収率が向上する。また、蛍光体は、コアが第一シェル及び第二シェルにより二重に被覆されたものであってもよい。この場合、コアにはCdSe、第一シェルにはセレン化亜鉛(ZnSe)、第二シェルにはZnSが使用可能である。
蛍光体層21は、蛍光体をすべて単一の層に分散させた単層構成を有していてもよく、各蛍光体を複数の層に別々に分散させ、これらを積層する多層構成を有していてもよい。
次に、本実施形態の波長変換シート30の製造方法について図2を参照しながら説明する。蛍光体層21の形成方法としては、特に限定されず、例えば、特表2013−544018号明細書に記載される方法が挙げられる。バインダー樹脂に蛍光体を分散させ、調製した蛍光体分散液を発光体保護フィルム20bの面上に塗布した後、塗布面に発光体保護フィルム20aを貼り合わせ、蛍光体層21を硬化することにより、波長変換シート30を製造することができる。
[バックライトユニット]
上記波長変換シート30を用いることにより、バックライトユニット40が得られる。図4は、上記波長変換シート30を用いて得られるバックライトユニット40の概略断面図である。図4において、バックライトユニット40は、波長変換シート30の表面上に導光板34及び反射板36がこの順で配置され、光源32は上記導光板34の側方(導光板34の面方向)に配置される。
導光板34及び反射板36は、光源32から照射された光を効率的に反射し、導くものであり、公知の材料が使用される。導光板34としては、例えば、アクリル、ポリカーボネート、及びシクロオレフィンフィルム等が使用される。光源32には、例えば、青色発光ダイオード素子が複数個設けられている。この発光ダイオード素子は、紫色発光ダイオ
ード、又はさらに低波長の発光ダイオードであってもよい。
光源32から照射された光は、導光板34(矢印D1方向)に入射した後、反射及び屈折等を伴って蛍光体層21(矢印D2方向)に入射する。蛍光体層21を通過した光は、蛍光体層21を通過する前の光に蛍光体層21で発生した黄色光が混ざることで、白色光となる。
[エレクトロルミネッセンス発光ユニット]
図5は本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス発光ユニットの概略断面図である。本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス発光ユニット50は、エレクトロルミネッセンス発光体層56と、発光体保護フィルム20a、20bとを少なくとも備える。
図5に示すエレクトロルミネッセンス発光ユニット50は、例えば、透明電極層54と、該透明電極層54上に設けられたエレクトロルミネッセンス発光体層56と、該エレクトロルミネッセンス発光体層56上に設けられた誘電体層58と、該誘電体層58上に設けられた背面電極層60とを含む電極要素を、前記発光体保護フィルム20a、20bで挟持するとともに密封することにより得られる。なお、発光体保護フィルム20a、20bと前記電極要素との間にシーラントを介して積層してもよい。
エレクトロルミネッセンス発光ユニットにおいても、前述の波長変換シートに対して説明したメカニズムと同様のメカニズムによるダークスポット発生が考えられる。本実施形態に係るエレクトロルミネッセンス発光ユニット50によれば、エレクトロルミネッセンス発光体層56を含む電極要素上に設けられた保護フィルムとして、上記発光体保護フィルム20を用いることにより、当該発光体保護フィルム20がバリア層に欠陥を有していたとしても、当該欠陥近傍のダークスポットの発生を抑制することができる。
各電極層、エレクトロルミネッセンス発光体層及び誘電体層は、例えば、蒸着及びスパッタ法等により、公知の材料を用いて、形成することができる。
<第二の実施形態>
(ガスバリアフィルム)
図6は本実施形態に係るガスバリアフィルムの概略断面図である。図6のガスバリアフィルム10においては、ポリエステルフィルム1の両面に、インライン製膜にてポリエステルフィルムと一体に延伸された易接着層2a、2b、オフラインでコートされたアンカーコート層3、無機蒸着層4、複合被膜層5が順次積層されている以外は第一の実施形態と同様である。
(発光体保護フィルム)
図7は、本実施形態に係る発光体保護フィルム20の概略断面図である。図7(a)の発光体保護フィルム20において、2枚のガスバリアフィルム10a、10bが接着層15を介して複合被膜層5のコート面が対抗するように貼り合わされている。特記すべきもの以外、第一の実施形態と同様である。
この場合、ガスバリアフィルム10a、10bは、さらに接着層と反対の面にもポリエステルフィルムと一体に延伸された易接着層2bを備えている。
(波長変換シート)
原則的に第一の実施形態と同様であるが、発光体保護シートと蛍光体層が積層されるとき、発光体保護シートに使用されるガスバリアフィルムの延伸ポリエステルフィルムの基
材裏面と蛍光体がこの順で配され、基材裏面には延伸時に一体に延伸されてなる易接着層2bを備える。この場合、延伸ポリエステルフィルムは二軸延伸がより好ましい。
蛍光体層21は樹脂及び蛍光体を含む。この蛍光体層は伸び率が30%以下が好ましく、特に厚みが3μm以上の蛍光体層からなるのが好ましい。蛍光体の水や酸素など外気による劣化を防ぐため蛍光体層は伸び率が30%以下の硬い樹脂層を用いることで、端面からのガスの進入を防ぐためである。
蛍光体層に用いられる硬い樹脂層と発光体保護シートに用いられるポリエステル基材との剥離強度は、剥離時に応力が分散されず一箇所に集中し、ポリエステル基材表層で低い密着強度で剥離しやすい。ポリエステル基材表層の密着強度を上げるために延伸時に一体に延伸されてなる易接着層が好ましい。
(実施例1)
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[ポリエステルフィルム1及び易接着層2の作製]
フィルム原料ポリマーとして耐加水分解性が高いポリエステル樹脂の原料ポリマーを用いて、樹脂をシート状に溶融押し出しを行い、冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。この未延伸PETシートを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次に上記のインラインコート法により、易接着層としてポリエステルとブロックイソシアネート水溶液をPETフィルムの片面に塗布した後、続いてテンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で加熱および弛緩処理を行った。
その結果、フィルムの厚さ23μm、易接着層の厚さが50nmの易接着層2を積層したポリエステルフィルム1を得た。このフィルムの酸価は24、数平均分子量は61000であった。
[ガスバリアフィルム10の作製]
(アンカーコート層)
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、全固形分が5質量%になるよう酢酸エチルで希釈した。希釈後の混合液に、さらにβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、全固形分に対して5質量%となるように添加し、これらを混合することでアンカーコート層組成物を作製した。
上記で作成したポリエステルフィルム1上の易接着層2の上に、上記アンカーコート層組成物をバーコート法により塗布し、100℃1分間乾燥硬化させることにより、厚さ50nmのアンカーコート層3を形成した。
(無機蒸着層)
電子ビーム加熱式の真空蒸着装置を用いて、酸化珪素材料(SiO、キヤノンオプトロン株式会社製)を1.5×10−2Paの圧力下で電子ビーム加熱によって蒸発させ、上記アンカーコート層上に厚さ30nmのSiOx膜(無機蒸着層4)を形成した。なお、
蒸着における加速電圧は40kVであり、エミッション電流は0.2Aであった。
(複合被膜層)
次に、テトラエトキシシラン10.4質量部と塩酸(濃度:0.1N)89.6質量部とを混合して、混合液を30分間撹拌し、テトラエトキシシランの加水分解溶液を得た。一方、ポリビニルアルコールを水/イソプロピルアルコールの混合溶媒(水/イソプロピルアルコール(質量比)=90:10)中に溶解させ、3質量%のポリビニルアルコール溶液を得た。テトラエトキシシランの加水分解溶液60質量部とポリビニルアルコール溶液40質量部とを混合し、複合被膜組成物を得た。
無機蒸着層4の上に、上記複合被覆層組成物を塗布、乾燥することにより、300nmの厚さを有する複合被覆層5を形成してガスバリアフィルム10(又は10a、10b)とした。
次に図2に示すように、上記で得られたガスバリアフィルム10bの複合被膜層5の表面上に、接着層15として下記接着剤Aを塗布し、さらに接着剤Aの塗布面に、ガスバリアフィルム10aの複合被覆層5の面を貼り合わせ、50℃2日間エージングを行った。上記のようにして、ガスバリアフィルム2枚(10a、10b)を、5μmの厚さを有する接着層15を介して貼り合せた。
接着剤Aは、三菱ガス化学株式会社製マクシーブ、配合比が[エポキシ樹脂系主剤/アミン系硬化剤/メタノール/酢酸エチル=1/3/3/6(質量比)]のエポキシ樹脂からなる主剤とポリアミン樹脂からなる硬化剤とを混合して得られる接着剤組成物である。(マット層)
次にガスバリアフィルム10a、10bが貼り合わされていない側の面上に、アクリル樹脂(商品名:アカリディック、DIC社製)100質量部とシリカ粒子(商品名:トスパール120、平均粒子径:2.0μm、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)20質量部からなる組成物を塗布した。塗膜を加熱して、アクリル樹脂を硬化することにより、厚さ3μmのマット層(図示せず)を形成した。上記のようにして、ガスバリアフィルム10b、接着層15、ガスバリアフィルム10a、及びマット層(図示せず)がこの順に積層されてなる発光体保護フィルム20を得た。
(実施例2)
[ポリエステルフィルム1及び易接着層2a、易接着層2bの作製]
フィルム原料ポリマーとして耐加水分解性が高いポリエステル樹脂の原料ポリマーを用いて、樹脂をシート状に溶融押し出しを行い、冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。この未延伸PETシートを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次に上記のインラインコート法により、易接着層としてポリエステルとブロックイソシアネート水溶液をPETフィルムの両面に塗布した後、続いてテンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で加熱および弛緩処理を行った。
その結果、フィルムの厚さ23μm、易接着層の厚さが50nmの易接着層2を積層したポリエステルフィルム1を得た。このフィルムの酸価は24、数平均分子量は61000であった。
以降は実施例1と同様の手順でガスバリアフィルム10a、10b及び発光体保護フィルム20を作成した。
(比較例1)
[ポリエステルフィルムの作製]
フィルム原料ポリマーとして耐加水分解性が高い原料ポリマーを用いて、樹脂をシート状に溶融押し出しを行い、冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。この未延伸PETシートを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
続いてテンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で加熱および弛緩処理を行った。その結果、フィルムの厚さ23μmのポリエステルフィルムを得た。実施例1と異なり、本例では易接着層を形成していない。このフィルムの酸価は23、数平均分子量は61,500であった。
以降は、易接着層のない上記ポリエステルフィルムを用いたこと以外は上記実施例1と同様の構成にして積層し、比較例1の発光体保護フィルムを得た。
[発光体保護フィルムの評価]
(接着層の酸素透過率測定)
上記の実施例1及び比較例1で用いられたものと同じ接着剤Aを、厚さ70μmのCPP(無延伸ポリプロピレン)フィルム上に塗布し、さらに接着剤Aの塗布面に、厚さ70μmのCPPフィルムを貼り合せ、エージングを行い、厚さ70μmのCPP、厚さ5μmの接着層、及び厚さ70μmのCPPがこの順に積層されてなる、酸素透過率測定用サンプル(積層体)を得た。
得られたサンプルを差圧式ガス透過率測定装置(GTRテック株式会社製、GTR-30X)内に配置し、JIS K7126−1(附属書1)に記載の方法に従って、温度40℃、相対湿度0%の環境下で試験ガスを酸素とし、差圧101kPa(1atm)で差圧法にて上記サンプルの酸素透過率を測定した。
酸素透過率の測定結果は、100cm/(m・day・atm)であった。
[波長変換シートの作製]
セレン化カドミウム(CdSe)の粒子に硫化亜鉛(ZnS)を被覆したコア・シェル構造を有する蛍光体(商品名:CdSe/ZnS 530、SIGMA−ALDRICH社製)を溶媒に分散して濃度調整することで、蛍光体分散液を調製した。この蛍光体分散液をエポキシ系感光性樹脂と混合して、蛍光体組成物を得た。
上記実施例1及び比較例1で得られた発光体保護フィルムのマット層側とは逆面に、上記蛍光体組成物を塗布し、100μmの厚さを有する蛍光体層を形成した。
上記蛍光体層上に、さらに同じ実施例1及び比較例1で得られた2枚目の発光体保護フィルムを、マット層とは逆面に配置して積層した後、紫外線照射により蛍光体層(感光性樹脂を含有)を硬化することで、実施例1及び比較例1で作製した発光体保護フィルムを用いた波長変換シートを得た。
[波長変換シートの評価]
(密着性評価)
実施例1及び比較例1で得られた波長変換シートを幅15mmの短冊状にカットし、2枚の発光体保護フィルム間の強度として、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製)を用いて剥離に要した強度(密着強度)を測定した。剥離スピードは300mm/分の速度で行った。
密着強度が1N以上、もしくは発光体保護フィルムが切れる(材破)する場合に、好適
な密着性が得られていると判断した。また、促進試験として温度65℃、湿度95%RH環境試験下に250時間保存し、保存後の密着強度も測定した。
[波長変換シートの評価]
(ダークスポット評価)
実施例1及び比較例1で得られた波長変換シートを60cm×34cm(27インチモニタに相当)の大きさに断裁し、促進試験として温度65℃、湿度95%RHの環境下に250時間保存した。保存後UVライトを照射し、黒点状の欠陥(ダークスポット)の数を目視で数えた。
評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1および比較例1の波長変換シートには、ダークスポットは観察されなかった。ガスバリアフィルムを2枚積層している構成を用い、バリア性を有する接着剤でラミネートしているため、ダークスポットは65℃95%RH環境試験による促進試験でも観察されなかった。
また、発光体保護フィルムの密着性評価試験において、実施例1である易接着層があるポリエステルフィルムを用いた場合では、測定中にフィルムが切れて材破したのに対し、比較例1である易接着層のないポリエステルフィルムを用いた場合では、密着強度は1N以下の値という低い値だった。比較例の剥離したフィルムの断面を操作型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、バリアフィルムに用いたポリエステルフィルム表層で剥離していた。
以上の結果から、本発明によれば、ダークスポットの発生が抑制でき、かつ優れた密着強度が得られることがわかった。
[接着剤Aの伸び率評価]
離型フィルムの離型面側に接着剤Aを塗布し、オーブンで80℃10分乾燥し、さらにこの樹脂層の上に新たに離型フィルムの離型面を塗工面と接するようにして100℃、0.5Paの圧で、速度1.0m/minでラミネートした。その後、80℃7日間エージングを実施し、厚み10μmの熱硬化樹脂を得た。
樹脂をチャック間距離:50mm、標点間距離:35mm、幅6.0mmのダンベル型に切り抜いた後、島津製引張り試験機にて、300mm/minのスピードで引張り試験を行った(JIS K6251:2010参照)。伸び率は26%だった。
[蛍光体の樹脂層の伸び率評価]
離型フィルムの離型面側に発光体に用いられる樹脂を塗布し、オーブンで80℃1分乾燥した。紫外線を5000mJ/cm照射後、80℃1時間熱キュアを実施し、厚み10μmの紫外線硬化樹脂を得た。
樹脂をチャック間距離:50mm、標点間距離:35mm、幅6.0mmのダンベル型に切り抜いた後、島津製引張り試験機にて、300mm/minのスピードで引張り試験を行った(JISK6251)。伸び率は10%だった。
Figure 2017226208
1…ポリエステルフィルム
2、2a、2b…易接着層
3…アンカーコート層
4…無機薄膜層
5…複合被膜層
10、10a、10b…ガスバリアフィルム
15…接着層
20、20a、20b…発光体保護フィルム
21…蛍光体層
30…波長変換シート
32…光源
34…導光板
35…反射板
40…バックライトユニット
50…エレクトロルミネッセンス発光ユニット
54…透明電極層
56…エレクトロルミネッセンス発光体層
58…誘電体層
60…背面電極層

Claims (11)

  1. 2枚のガスバリアフィルムが接着層を挟んで貼り合わされてなる発光体保護フィルムであって、
    前記ガスバリアフィルムは、ポリエステルフィルムからなる基材と、基材と一体に延伸されてなる易接着層とを少なくとも備えることを特徴とする発光体保護フィルム。
  2. 前記易接着層が前記基材の両面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光体保護フィルム。
  3. 前記接着層の伸び率が30%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の発光体保護フィルム。
  4. 前記ガスバリアフィルムは、ポリエステルフィルムからなる基材と、基材と一体に延伸されてなる易接着層と、アンカーコート層と、無機化合物からなる無機蒸着層と、水酸基含有高分子化合物と金属アルコキシドとシランカップリング剤またはそれらの加水分解物の少なくとも1種類以上を含む組成物からなる複合被膜層とが順次積層されてなり、
    かつ前記2枚のガスバリアフィルムは、それぞれの複合被膜層の面が前記接着層に接するように対向して貼り合わされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光体保護フィルム。
  5. 前記基材と一体に延伸されてなる易接着層が、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルのいずれか1つ以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光体保護フィルム。
  6. 前記接着層が、厚さ5μmにおいて、酸素透過度1000cm/m・day・atm以下のガスバリア性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光体保護フィルム。
  7. 前記ガスバリアフィルムが、前記基材にエポキシ化合物を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光体保護フィルム。
  8. 前記接着層がエポキシ樹脂を含む接着剤から形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発光体保護フィルム。
  9. 樹脂と蛍光体を含む蛍光体層と、前記蛍光体層の両面に積層された一対の保護フィルムとを備え、前記保護フィルムが請求項1〜8のいずれかに記載の発光体保護フィルムからなることを特徴とする波長変換シート。
  10. 光源と、導光板と、反射板と、請求項9に記載の波長変換シートとを備えることを特徴とするバックライトユニット。
  11. エレクトロルミネッセンス発光体層と、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光体保護フィルムとを備えることを特徴とするエレクトロルミネッセンス発光ユニット。
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