JP2022036344A - 樹脂複合材及び電子デバイス - Google Patents

樹脂複合材及び電子デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2022036344A
JP2022036344A JP2018195446A JP2018195446A JP2022036344A JP 2022036344 A JP2022036344 A JP 2022036344A JP 2018195446 A JP2018195446 A JP 2018195446A JP 2018195446 A JP2018195446 A JP 2018195446A JP 2022036344 A JP2022036344 A JP 2022036344A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
zeolite
resin composite
composite material
solar cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018195446A
Other languages
English (en)
Inventor
良治 大西
Ryoji Onishi
才華 大坪
Saika Otsubo
紀子 片桐
Noriko Katagiri
隆彦 武脇
Takahiko Takewaki
丹娜 銭
Danna Qian
勝司 池田
Katsushi Ikeda
純 松井
Jun Matsui
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2018195446A priority Critical patent/JP2022036344A/ja
Priority to PCT/JP2019/040756 priority patent/WO2020080437A1/ja
Priority to TW108137353A priority patent/TW202028325A/zh
Publication of JP2022036344A publication Critical patent/JP2022036344A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B39/00Compounds having molecular sieve and base-exchange properties, e.g. crystalline zeolites; Their preparation; After-treatment, e.g. ion-exchange or dealumination
    • C01B39/02Crystalline aluminosilicate zeolites; Isomorphous compounds thereof; Direct preparation thereof; Preparation thereof starting from a reaction mixture containing a crystalline zeolite of another type, or from preformed reactants; After-treatment thereof
    • C01B39/04Crystalline aluminosilicate zeolites; Isomorphous compounds thereof; Direct preparation thereof; Preparation thereof starting from a reaction mixture containing a crystalline zeolite of another type, or from preformed reactants; After-treatment thereof using at least one organic template directing agent, e.g. an ionic quaternary ammonium compound or an aminated compound
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/34Silicon-containing compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L63/00Compositions of epoxy resins; Compositions of derivatives of epoxy resins
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/28Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection
    • H01L23/29Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection characterised by the material, e.g. carbon
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L23/00Details of semiconductor or other solid state devices
    • H01L23/28Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection
    • H01L23/31Encapsulations, e.g. encapsulating layers, coatings, e.g. for protection characterised by the arrangement or shape

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、可撓性を維持したまま(貯蔵弾性率を低く維持したまま)、熱膨張係数を低下させることができる樹脂複合材を提供することを課題とする。【解決手段】構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを含むゼオライトを1質量%以上と、エポキシ樹脂と、を含有する、ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂複合材及び電子デバイスに関する。
近年、半導体封止材、あるいは半導体を載置したフレキシブル基板の需要が高まっている。これらの目的には、可撓性の高さを活かしてエポキシ樹脂が用いられるが、エポキシ樹脂単体では、熱膨張係数(CTE)の高さから、製造プロセスでの反り等の変形や、使用中での耐久性(部品の剥離)に問題がある。そこで通常は、アルミナ、シリカ(ガラスフレーク)といったフィラーを用いるが、CTEが低下する代わりに可撓性も下がってしまうトレードオフの関係にある。
また、特許文献1(特開2018-135430号公報)では、MWF型ゼオライトを用いて、熱膨張係数を下げることを試みており、その実施例91-96ではエポキシ樹脂にMWF型ゼオライトを添加した例が記載され、また比較例145-153では、エポキシ樹脂にLTA型ゼオライトやモレキュラーシーブ13X、ハイシリカゼオライト等を添加している樹脂複合材の例が記載され、熱膨張係数が低下することが記載されている。
特開2018-135430号公報
しかしながら特許文献1には、熱膨張係数が低下することが記載されているが、可撓性の改善、具体的には貯蔵弾性率を下げることに関しては、全く記載がない。
そもそも熱膨張係数がマイナスのゼオライトを添加すれば、熱膨張係数は下がるものの、無機の鉱物を樹脂中に添加しているのであるから、弾性率はどうしても上昇してしまう。このため、複合材としての可撓性が低下し、使いにくいものになってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、可撓性を維持したまま(貯蔵弾性率を低く維持したまま)、熱膨張係数を低下させることができる樹脂複合材を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、特定構造を有するゼオライトを使用することにより、可撓性を維持したまま(貯蔵弾性率を低く維持したまま)、熱膨張係数を低下させることができることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを含むゼオライトを1質量%以上と、エポキシ樹脂と、を含有する、ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
[2]前記ゼオライトが、AEI、AFT、AFX、CHA、ERI、KFI、SAT、SAV、SFW、及びTSC構造のいずれかを有する、[1]に記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
[3]前記エポキシ樹脂が、ガラス転移温度が30℃以下のエポキシ樹脂である、[1]又は[2]に記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
[4]前記ゼオライトが、平均一次粒子径300nm以下のナノゼオライトである、[1]乃至[3]のいずれかに記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
[5]前記ゼオライトが、CHA構造を有する、[1]乃至[4]のいずれかに記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
[6][1]乃至[5]のいずれかに記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材を含有する部材を備える、電子デバイス。
可撓性を維持したまま(貯蔵弾性率を低く維持したまま)、熱膨張係数を低下させることができるゼオライト含有エポキシ樹脂複合材を提供することができる。
本発明の一実施形態としてのゼオライトと樹脂とを含む樹脂複合材を模式的に表す図である。 本発明の一実施形態としての電界効果トランジスタ素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての電界発光素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に表す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に表す断面図である。 実施例1~5及び比較例1、2で測定したフィルムの100℃における貯蔵弾性率を縦軸に、平均熱膨張係数を横軸としたグラフである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これら説明は本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
図1は、本発明の一実施形態である樹脂複合材を模式的に表す図である。以下に、樹脂複合材1について、詳細に説明する。
<1.ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材>
図1に示すように、樹脂複合材1は、ゼオライト2と、エポキシ樹脂3と、を含有する。
本発明の一実施形態であるゼオライト含有エポキシ樹脂複合材(以下、単に「複合材」とも称する)は、構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを含むゼオライトを1質量%以上と、エポキシ樹脂と、を含有する、ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材である。
このCBUや後述するゼオライトの結晶構造に関しては、International
Zeolite Association(IZA)が定めるゼオライトの構造を規定するコードで示すことができる。なお、ゼオライトの構造は、X線構造解析装置(例えば、BRUKER社製卓上型X線回析装置D2PHASER)により得られたX線回折パターンを基に、ゼオライト構造データベース2018年版(http://www.iza-structure.org/databases/)を用いて特定することができる。
樹脂複合材中のd6r及びmtwのいずれかを含むゼオライトの含有量は、貯蔵弾性率を低く維持したまま、熱膨張係数を低下させることができる観点から、1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、一方、通常50質量%以下であり、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
また、ゼオライトは、1種を単独で含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよく、d6r及びmtw以外の他の構造単位を含むゼオライトを用いてもよい。
樹脂複合材には、本発明の効果を阻害しない限り、他のゼオライトを含んでいてもよい。この場合、樹脂複合材中の全てのゼオライトに対するd6r及びmtwのいずれかを含むゼオライトの含有量は、通常30質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
d6r及びmtwの構造単位を含むゼオライトを含めた、樹脂複合材中の全てのゼオライトの含有量は、所望の熱膨張係数及び貯蔵弾性率を得られる範囲で任意に選択でき、本発明の効果である低熱膨張と低貯蔵弾性率を両立させる効果を発揮しやすくするため、通常1質量%以上であり、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、一方、特に限定されないが、複合材の可撓性を維持する点で、通常80質量%以下であり、好ましくは70質量%以下であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
複合材は、ゼオライト及び樹脂以外に、その他の化合物を含んでもよい。例えば、後述するように、樹脂複合材を製造する際に、インクや混練物に、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤、溶媒等を含んでもよく、これらの残留成分が樹脂複合材中に含まれていてもよい。
複合材は、従来得られていなかった貯蔵弾性率と平均熱膨張係数の範囲を有するゼオライト含有エポキシ樹脂複合材を提供することができ、具体的には、x:平均熱膨張係数(ppm/K)、y:貯蔵弾性率(MPa)としたときにy≦-56000x+1.4×10、y>0の範囲、より好ましくはy≦-56000x+1.2×10、y>0の範囲のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材を提供することができる。
<1.1.ゼオライト>
(構造)
樹脂複合材に含有されるゼオライトについて説明する。なお、ゼオライトとは、ケイ素又はアルミニウムと、酸素と、を含んで構成される、TOユニット(T元素とは、骨格を構成する酸素以外の元素)を基本単位としたものであり、具体的には、結晶性多孔質なアルミノケイ酸塩、結晶性多孔質なアルミノリン酸塩(ALPO)、又は結晶性多孔質なシリコアルミノリン酸塩(SAPO)が挙げられる。さらに、このTOユニットが、いくつか(数個~数十個)つながった、Composite Building Unit(CBU)と呼ばれる構造単位から成り立っている。そのために、規則的なチャンネル(管状細孔)とキャビティ(空洞)を有している。
ゼオライトは、構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかの構造を含むものであれば特に限定されない。
d6rを有するゼオライトとしては、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSC、及び-WEN型構造のゼオライトが挙げられる。
また、mtwを有するゼオライトとしては、BEA、BEC、CSV、GON、ISV、ITG、-ITN、IWS、MSE、MTW、SFH、SFN、SSF、-SSO、UOS、及びUOV型構造のゼオライトが挙げられる。
また、エポキシ樹脂が含有する、エポキシ基の一部との相互作用を、3次元的に有するために、3次元チャネルをさらに有するゼオライトであることがより好ましい。例えば、AEI、AFT、AFX、BEA、BEC、CHA、EMT、ERI、FAU、GME、ISV、ITG、-ITN、IWS、JSR、KFI、MOZ、MSE、OFF、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SZR、TSC、UOS、UOV、及び-WEN型構造のゼオライトが挙げられる。
これらのうち、微粒子化しやすいという観点から、特に酸素8員環以下の構造であるAEI、AFT、AFX、CHA、ERI、KFI、SAT、SAV、SFW、及びTSC構造のいずれかを有することで微粒子化が容易になる点で好ましく、これらの中でも、さらに好ましくは、AEI、AFX、CHA、ERIのいずれかの構造を有するものであり、もっとも好ましくは、CHA構造を有するものである。
これらのゼオライトが、エポキシ樹脂に分散されたときに、貯蔵弾性率をエポキシ樹脂よりあまり高くせず、かつ熱膨張係数を低下させることができる理由に関しては、以下のことが考えられる。例えば、(1)エポキシ樹脂が含有するエポキシ基、硬化剤が有するアミノ基、及びカルボキシル基と、ゼオライト表面のSi-OH基との間で相互作用を発揮することにより、分散剤を用いたような分散機能が生じること、(2)エポキシ樹脂および硬化剤が含有する官能基の一部が、ゼオライトの構造単位 Composite Building Unit(CBU)に、d6r又はmtwのいずれかから形成されるキャビティに入り込むこと、等が考えられる。このようにして、ゼオライトとエポキシ樹脂との間で相互作用が生じることで、エポキシ樹脂複合材内にゼオライトが均一に分散しやすくなり、脆化や変形等を抑制しながら、貯蔵弾性率の維持と熱膨張係数の低下とを兼ね備えることができると考えられる。
なお、本明細書において、酸素8員環を有する構造とは、ゼオライト骨格を形成する酸素とT元素(骨格を構成する酸素以外の元素)で構成される細孔の中で最も酸素数が多い場合の酸素元素の数が8である構造を意味する。
また、ゼオライトのフレームワーク密度は、本発明の効果が損なわれない態様であれば、特段に限定されるものではないが、好ましくは、17.0T/1000Å以下、より好ましくは、16.0T/1000Å以下、さらに好ましくは、15.0T/1000Å以下であり、一方、好ましくは、12.0T/1000Å以上、より好ましくは、13.0以上、さらに好ましくは、14.0T/1000Å以上である。フレームワーク密度が、上記範囲内であれば、ゼオライトを凝集させずに微粒子化しやすくなり、長期的に白濁を少なくすることができる。
なお、フレームワーク密度とは、ゼオライトの単位体積あたりに存在するT原子の数を示し、ゼオライトの構造によって定まる値である。本明細書では、IZAのゼオライト構造データベース2017年版(http://www.iza-structure.org/databases/)に記載の数値を用いればよい。
フレームワーク密度が、16.0T/1000Åより大きく、17.0T/1000Å以下のゼオライトの例としては、CSV、ERI、ITG、LTL、LTN、MOZ、MSE、OFF、SAT、SFH、SFN、SSF、-SSO、-WEN型構造のゼオライトを挙げることができる。
フレームワーク密度が、15.0T/1000Åより大きく、16.0T/1000Å以下のゼオライトの例としては、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、BEA、BEC、CHA、EAB、GME、-ITN、LEV、MWW、及びSFW型構造のゼオライトを挙げることができる。
フレームワーク密度が、14.0T/1000Åより大きく、15.0T/1000Å以下のゼオライトの例としては、ISV、IWS、KFI、SAS、及びSAV型構造のゼオライトを挙げることができる。
フレームワーク密度が、14.0T/1000Å以下の範囲に存在するゼオライトの例としては、EMT、FAU、JSR、SBS、SBT、及びTSC型構造のゼオライトを挙げることができる。
また、ゼオライトのシリカ/アルミナモル比(SAR)は、本発明の効果が損なわれない態様であれば、特段に制限されるものではないが、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは9以上、特に好ましくは12以上であり、通常2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは100以下である。シリカ/アルミナモル比(SAR)が、上記範囲内であれば、カウンターカチオンの量を適切に制御でき、また、ゼオライトの製造コストも安くすむ。
なお、ケイ素、アルミニウムの代わりに、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、Zジルコニウム、スズ、亜鉛、リン等の元素を用いた場合は、代わりになった該元素の酸化物のモル比を、アルミナ又はシリカのモル比として換算すればよい。具体的には、アルミニウムの代わりにガリウムを用いた場合は、酸化ガリウムのモル比をアルミナのモル比に換算すればよい。
また、ゼオライトのカウンターカチオンは、本発明の効果が損なわれない態様であれば、特段に限定されるものではないが、通常、構造規定剤、プロトン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンであり、好ましくは、構造規定剤、プロトン、アルカリ金属イオンであり、より好ましくは、構造規定剤、プロトン、Liイオン、Naイオン、Kイオンであり、さらに好ましくは、構造規定剤、プロトン、Liイオンであり、特に好ましくは、プロトンである。構造規定剤である場合には、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンに比べ、柔軟性があるために、ゼオライトが、0ppm/K未満の平均熱膨張係数をより示しやすいために好ましい。また、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンは、そのサイズが小さいほど、ゼオライトが、0ppm/K未満の平均熱膨張係数をより示しやすいために好ましい。なかでも、プロトンである場合が、樹脂複合材の平均熱膨張係数を低下しやすいために、好ましい。
すなわち、ゼオライトとしては、好ましくは、as-made(構造規定剤含有型)、プロトン型、アルカリ金属型であり、より好ましくは、as-made、プロトン型、Li型、Na型、K型であり、さらに好ましくは、as-made、プロトン型、Li型であり、最も好ましくは、プロトン型である。
なお、構造規定剤とは、後述するように、ゼオライトの製造で用いるテンプレートのことである。
ゼオライトの結晶度は、本発明の効果が損なわれない態様であれば、特段に限定されるものではない。その理由としては、IZAがコードで定める構造よりも、Composite Building Unit(CBU)が、樹脂複合材の平均熱膨張係数に繋がる因子であると推測されるからである。
なお、ゼオライトの結晶度は、X線回折装置(例えば、BRUKER社製卓上型X線回析装置D2PHASER)で求めた、或るX線回折ピークを基準とするゼオライトのX線回折ピークと比較することで求めることができる。具体的な算出例として、Scient
ific Reports 2016、6、Article number:29210
のLTA型ゼオライトの結晶度が挙げられる。
なお、ゼオライトの平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察において、任意に選択した30個以上の一次粒子について粒子径を測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求める。その際、粒子径は、粒子の投影面積と等しい面積を持つ、最大径となる円の直径(円相当径)を意味するものとする。
ゼオライトは、一次粒子が凝集した二次以上の高次粒子状態であってもよい。その状態での平均粒子径は、特段の制限はないが、通常15nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上、さらに好ましくは30nm以上、特に好ましくは40nm、最も好ましくは50nm以上であり、一方、通常3000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは500nm以下、特に好ましくは300nm以下、最も好ましくは100nm以下である。上記範囲内であれば、樹脂複合材内にゼオライトが均一に分散しやすくなり、さらには、得られる樹脂複合材の透明性が高くなる傾向がある。
ゼオライトは、本発明の効果が損なわれない範囲で、シリル化処理等の表面処理がされていてもよい。当該表面処理は、物理的な処理であるか、化学的処理であるかに限定されない。
(平均一次粒子径)
ゼオライトの平均一次粒子径(以下、単に「平均粒子径」や「粒子径」とも称する)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特段の制限はないが、通常15nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上、さらに好ましくは30nm以上であり、一方、通常300nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは175nm以下、特に好ましくは150nm以下、ことさら特に好ましくは125nm以下、最も好ましくは100nm以下である。ゼオライトの平均一次粒径が上記下限値以上であることにより、ゼオライト骨格の維持が容易になり、良好な結晶性を保つことが可能となりやすい。一方、上記上限値以下であれば、樹脂複合材中にゼオライトが均一に分散し易くなるとともに、樹脂との間で相互作用が生じやすくなる。上記のような平均一次粒子径の小さなゼオライトは、「ナノゼオライト」とも称される。
なお、ゼオライトの平均一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)による粒子の観察において、任意に選択した30個以上の一次粒子について粒子径を測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求める。その際、粒子径は、粒子の投影面積と等しい面積を持つ、円の直径(円相当径)とする。
複合材においては、この粒子径の範囲であることで、得られる樹脂複合材のヘイズ値は小さくなり、また、封止材などの光学部材としてした場合に重要な青の光、具体的には波長450nmの光の透過率も高くなる傾向があり好ましい。
(平均熱膨張係数)
ゼオライトの平均熱膨張係数は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、0ppm/K未満であり、好ましくは-2ppm/K以下であり、より好ましくは-3ppm/K以下であり、さらに好ましくは-5ppm/K以下であり、特に好ましくは-7ppm/K以下であり、最も好ましくは-10ppm/K以下であり、一方、通常、-1000ppm/K以上であり、好ましくは-900ppm/K以上であり、より好ましくは-800ppm/K以上であり、さらに好ましくは-700ppm/K以上であり、特に好ましくは-500ppm/K以上であり、最も好ましくは-300ppm/K以上である。ゼオライトの平均熱膨張係数が、上記範囲であれば、樹脂複合材は、ゼオライトの含有量が少なく、高いフレキブル性も維持することができた上で、脆化
や変形等を抑制しながら、良好な画像明瞭性、及び高い透明性を兼ね備えることができる。
なお、ゼオライトの平均熱膨張係数は、BRUKER社製X線回折装置D8ADVANCEとX線回折解析ソフトJADEを用いて格子定数を算出することで、測定することができる。
(ゼオライトの製造方法)
ゼオライトの製造方法は、公知の方法を適用できる。例えば、CHA型のゼオライトを製造する場合、特許第4896110号公報に記載の方法を参照して製造することができる。平均粒子径の小さなゼオライトを製造する場合には、合成時間や温度を通常よりも制御して水熱合成すればよいし、または、水熱合成により得られたゼオライトを、ビーズミル、ボールミル等の湿式粉砕で解砕、及び/又は粉砕すればよい。
上記の解砕、及び/又は粉砕に用いられる粉砕装置としては、例えば、フロイント・ターボ社製「OBミル」、アシザワ・ファインテック社製「ナノ・ゲッター」、「ナノ・ゲッター・ミニ」、「スターミル」、及び「ラボスター」、スギノマシン社製「スターバースト」等が挙げられる。また、一般的に、粉砕後のゼオライトの結晶性は、低下するが、特開2014-189476号公報に記載の方法のように、アルミナ、シリカ等を含む溶液中で再結晶化することができる。
解砕、及び/又は粉砕後のゼオライトの再凝集を抑制する点で、溶媒中で湿式粉砕して、溶媒中に平均粒子径の小さなゼオライトを分散させることが好ましい。なかでも、平均粒子径を小さくできる点で、ビーズミルを行うことが特に好ましい。また、分散後の再凝集を抑制するために、湿式粉砕時に、分散剤を用いてもよい。上記、溶媒、及び分散剤としては、後述のインクの構成成分で挙げる、溶媒、及び分散剤を用いることができる。
また、解砕、及び/又は粉砕されたゼオライトが分散した分散液中のゼオライトの平均粒子径をさらに小さくする目的で、遠心分離を行うことも、平均粒子径の大きな粒子を取り除くことができ、樹脂複合材内により均一に分散しやすくなり、さらには、得られる樹脂複合材の透明性が高くなるので、好ましい。なお、遠心分離に用いる遠心機は、市販の装置(例えば、コクサン社製遠心機H-36、及び日立工機製日立微量高速遠心機CF15RN)を用いることができる。
<1.2.エポキシ樹脂>
(種類)
エポキシ樹脂は、例えば、アルコール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ型エポキシ樹脂が好ましい。中でも、耐熱性がより一層高められることから、フルオレン骨格及び/又はビフェニル骨格を有するフェノキシ型エポキシ樹脂が特に好ましく、とりわけビルフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ型エポキシ樹脂であることが好ましい。
(平均分子量)
樹脂の分子量は、特段の制限はないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)の値で、通常1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上である。また、通常200000以下であり、一方、好ましくは180000以下であり、より好ましくは150000以下である。上記範囲内であることで、溶媒に対する溶解性、粘度等が通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため、好ましい。
また、樹脂の数平均分子量(Mn)も、特段の制限はないが、通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは2500以上である。また、通常100000以下、好ましくは90000以下、より好ましくは80000以下である。上記範囲内であることで、溶媒に対する溶解性、粘度などが通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため、好ましい。ポリスチレン換算の数平均分子量は、前記質量平均分子量と同様の方法で求めることができる。
また、エポキシ樹脂のMwをMnで除した値(Mw/Mn)は、通常1.5以上、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である。一方、その上限は、通常5以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4以下である。上記範囲内であることで、樹脂複合材中のゼオライトの均一性が高くなる点や、平滑性に優れた樹脂複合材の成形体が得られるという点で好ましい。
(平均熱膨張係数)
エポキシ樹脂は、通常、0ppm/Kより大きい平均熱膨張係数を有する。樹脂の平均熱膨張係数は、樹脂複合材が好ましい性能を示す限りにおいて、特段の制限はないが、0℃以上、該樹脂のガラス転移温度以下、の温度範囲中での測定範囲において、通常、0ppm/Kより大きく、好ましくは10ppm/K以上であり、より好ましくは20ppm/K以上であり、さらに好ましくは30ppm/K以上であり、特に好ましくは50ppm/K以上である。また、通常10000ppm/K以下であり、好ましくは9000ppm/K以下であり、より好ましくは8000ppm/Kであり、さらに好ましくは7000ppm/K以下であり、特に好ましくは5000ppm/K以下である。この範囲であると、樹脂複合材の脆化や変形等を抑制しながら、長期的に白濁を少なくすることができる。なお、樹脂の平均熱膨張係数は、以下の通りに、測定することができる。
樹脂の平均熱膨張係数は、JIS K7197(2012年)に準拠する方法により、熱機械分析によって測ることが出来る。例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製熱機械分析装置TMA/SS6100を使用して、シート状にした樹脂複合材の伸縮により測定出来る。具体的には、通常60℃と220℃の2点の温度における伸縮の傾きにより求めることができる。ガラス転移温度が220℃以下の場合には、60℃とガラス転移温度での測定値の平均を取ることができる。また、樹脂のガラス転移温度は、熱機械分析により測定した変曲点から求めることができる。
(ガラス転移温度(Tg))
エポキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常-130℃以上、好ましくは-110℃以上、より好ましくは-80℃以上、さらに好ましくは-70℃以上であり、特に好ましくは-60℃以上である。また、通常90℃以下 、好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。上記範囲内であることで、樹脂複合材は、貯蔵弾性率を低く維持したまま、熱膨張係数を低下させることができる。
なお、樹脂のガラス転移温度は、熱機械分析により測定した変曲点から求めることができる。
(樹脂の製造方法)
樹脂の製造方法は、特段の制限はないが、公知の方法で製造すればよい。例えば、第5版実験化学講座26高分子化学第2章高分子合成(日本化学会編)に記載されている方法で製造することができる。
<1.3.その他の化合物>
樹脂複合材は、ゼオライト及び樹脂以外に、その他の化合物を含んでもよい。例えば、後述するように、樹脂複合材を製造する際に、インクや混練物に、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤、溶媒等を含んでもよく、これらの残留成分が樹脂複合材中に含まれていてもよい。
<1.4.ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材の製造方法>
ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材の製造方法は、特段の制限はなく、樹脂又は樹脂前駆体と、ゼオライトと、溶媒と、を混合してインクを作製し、インクを支持体等に塗布した後に加熱乾燥する方法が挙げられる。なお、樹脂前駆体を使用する場合、ゼオライトと、溶媒との混合物に、樹脂材料であるモノマー、ダイマー、オリゴマー等を混合して加熱により重合・乾燥させればよい。
<1.4.1.インクの構成成分>
上記のインクは、通常、ゼオライトと、樹脂又は樹脂前駆体と、溶媒と、を混合して製造する。
インクに用いられるゼオライトは、上述の樹脂複合材中のゼオライトが用いることができ、インク中のゼオライトの含有率は、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは7質量%以上、最も好ましくは10質量%以上であり、一方、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であることで、ゼオライトが沈殿等を起こすことがなく、分散状態を長く保ったインクを製造できる。
なお、ゼオライトは、インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
複合材を製造する際に使用するインクに用いられる樹脂は、上述の樹脂を用いることができ、樹脂複合材中の樹脂の含有量は、通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、一方、通常90質量%以下、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であることで、樹脂が沈殿等を起こすことがなく、分散状態を長く保ったインクを製造できる。
なお、樹脂は、インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明において、上記の樹脂のように、2種以上を併用することができる材料の含有量の範囲について言及する場合には、その合計量が当該範囲を満たすようにすればよい。
樹脂の原料であるモノマー、ダイマー、オリゴマー等の樹脂前駆体の場合は、上述の樹脂複合材中の樹脂のうち、硬化性樹脂の前駆体であればよい。また、樹脂複合材の含有率は、重合した場合に換算できる上述の樹脂の含有率相当であればよい。
溶媒は、特段の制限はないが、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオク
タン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類;等が挙げられる。 なかでも、樹脂の溶解度が高い点で、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類が好ましい。
特に、核水素化された芳香族化合物を含む樹脂の溶解性が高いという理由で、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類が好ましい。
また、溶媒は、樹脂複合材中に残留していても、していなくてもよいので、溶媒の含有率や沸点に、特段の制限はない。
インク中の溶媒の含有率は、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、一方、通常99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。上記範囲内であることは、インクが適度な粘度を持ち、乾燥後に適度な厚みを持った樹脂複合材が得られるという点で好ましい。
なお、溶媒は、インク中に、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、インクには、ゼオライト、樹脂、及び溶媒以外のその他の化合物を含んでもよい。例えば、分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤等を含んでもよい。分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤は、上述の樹脂複合材中の分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤が用いることができる。
インクに用いられる、その他の化合物は、インク中に、通常0.001質量%以上、好ましくは0.003質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、一方、通常10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。上記範囲内であることで、インク中においても、ゼオライトや樹脂が沈殿等を起こすことなく、分散状態を保つことができる。
分散剤とは、インク中、並びに製造後の樹脂複合材中に、ゼオライトを均一に分散するための化合物を意味する。例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン又はジメチコンPEG-7コハク酸塩等のポリシロキサン化合物及びその塩;シラン化合物等(メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジクロロフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、又は3-カルボキシプロピルトリメチルトリメトキシシラン等)の有機ケイ素化合物;ギ酸、酢酸、酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、6-ヒドロキシヘキサン酸等のカルボン酸化合物;ラウリルエーテルリン酸又はトリオクチルホスフィン等の有機リン化合物;ジメチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン又はポリエチレンイミン等のアミン化合物、カルボン酸アミン化合物、及びリン酸アミン化合物等が挙げられる。なお、カルボン酸アミン化合物とは、カルボキシル基とアミノ基の両方の官能基を有する化合物を、リン酸アミン化合物とは、リン酸基とアミノ基の両方の官能基を有する化合物を意味する。
なかでも、リン酸アミン化合物の分散剤は、ゼオライトへの親和性が特に高いという理由から好ましい。
分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、後述の表面処理剤や界面活性剤が、分散剤として働いてもよい。なお、分散剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
ゼオライトの凝集を防ぎ、ゼオライトをインク中、並びに製造後の樹脂複合材中に、均一に分散するために、ゼオライトは表面処理剤で処理されてもよい。
表面処理剤は、既知のものを用いてよく、上述の分散剤として用いたものや、ポリイミン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素等のバインダー樹脂等を表面処理剤として用いてもよい。
表面処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、表面処理剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
樹脂複合材の製造時に、微小な泡もしくは異物の付着等により樹脂複合材に凹みや乾燥ムラの発生が起こること等を防止する目的で、インクは、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤は、樹脂複合材が、特段の制限はなく、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又はアセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の具体例としては、ノニオン系界面活性剤としてトリトンX100(ダウケミカル社製)、フッ素系界面活性剤としてはゾニルFS300(デュポン社製)、ケイ素系界面活性剤としてはBYK-310、BYK-320、BYK-345(ビックケミー社製)、アセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール104、サーフィノール465(エアープロダクツ社製)、オルフィンEXP4036、又はオルフィンEXP4200(日信化学工業社製)が挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、界面活性剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
また、界面活性剤により、後述するインクの濡れ性を向上することができる。濡れ性は、実際に基材に塗布する以外に、接触角で評価できる。インクの接触角としては、PET基材に対して、通常45°以下、好ましくは30°以下、さらに好ましくは15°以下である。また、基材一面に広がることが、接触角が検出されないことであるので、特に好ま
しくは検出されないことである。45°以下であることにより、インクは、あらゆる基材上で塗布できる。なお、接触角は、接触角計で測定することができる。例えば、協和界面科学社製DM-501で測定することができる。
樹脂は、樹脂複合材の製造中に重合してもよいので、インクは、重合開始剤を含んでもよい。
重合開始剤は、樹脂複合材が、特段の制限はないが、製造方法に応じて選択すればよい。例えば、光硬化方法であれば光重合開始剤を、熱硬化方法であれば熱重合開始剤を選択すればよい。なお、光硬化方法とは、活性エネルギー線硬化方法の内、紫外線、可視光及び赤外線を用いる硬化方法である。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾインエーテル類、ヒドロキシケトン類、アシルホスフィンオキシド類、ジアゾニウムカチオンオニウム塩、ヨードニウムカチオンオニウム塩又はスルホニウムカチオンオニウム塩等が挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1,2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-メチルチオ]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、イソプロピルチオキサントン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、[4-(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、ベンゾフェノン、エチルアントラキノン、ベンゾフェノンアンモニウム塩、チオキサントンアンモニウム塩、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、1,4-ジベンゾイルベンゼン、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラキス(3,4,5-トリメトキシフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2-ベンゾイルナフタレン、4-ベンゾイルビフェニル、4-ベンゾイルジフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、ジベンゾイル、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、o-メチルベンゾイルベンゾエート、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル、活性ターシャリーアミン、カルバゾール・フェノン系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、ベンゾイル、トリアリルスルホニウム、ヘキサフルオロホスフェート塩、六フッ化リン系芳香族スルホニウム塩、六フッ化アンチモン系芳香族スルホニウム塩、六フッ化アンチモン系芳香族スルホニウム塩、六フッ化アンチモン系芳香族スルホニウム塩、トリアリルスルホニウム、ヘキサフルオロアンチモン、4-メチルフェニル-[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスフェート(1-)、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-2-(o-ベンゾイルオキシム)]、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、エチル-4-ジメチルアミノベ
ンゾエート、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート、(9-オキソ9H-キサンテン-2-イル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-n-アルキル(C10~13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス[4-n-アルキル(C10~13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモン、トリフェニルスルホニムトリフルオロスルホネート、トリフェニルスルホニウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルフォネート、(9-オキソ-9H-キサンテン-2-イル)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p-アジドベンズアルデヒド、p-アジドアセトフェノン、p-アジド安息香酸、p-アジドベンズアルデヒド-2-スルホン酸ナトリウム塩、p-アジドベンザルアセトフェノン、4,4’-ジアジドカルコン、4,4’-ジアジドジフェニルスルフィド、3,3’-ジアジドジフェニルスルフィド、2,6-ビス-(4’-アジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサン、1,3-ビス-(4’-アジドベンザル)-プロパノン、4,4’-ジアジドカルコン-2-スルホン酸ナトリウム塩、4,4’-ジアジドスチルベン-2,2’-ジスルホン酸ナトリウム塩、1,3’-ビス-(4’-アジドベンザル)-2’-ジスルホン酸ナトリウム塩-2-プロパノン、2,6-ビス-(4’-アジドベンザル)-2’-スルホン酸(ナトリウム塩)シクロヘキサノン、2,6-ビス-(4’-アジドベンザル)-2’-スルホン酸(ナトリウム塩)4-メチル-シクロヘキサノン、α-シアノ-4,4’-ジベンゾスチルベン、2,5-ビス-(4’-アジドベンザルスルホン酸ナトリウム塩)シクロペンタノン、3-スルホニルアジド安息香酸、4-スルホニルアジド安息香酸、シンナミン酸、α-シアノシンナミリデンアセトン酸、p-アジド-α-シアノシンナミン酸、p-フェニレンジアクリル酸、p-フェニレンジアクリル酸ジエチルエステル、ポリビニルシンナメート、ポリフェノキシ-イソプロピルシンナミリデンアセテート、ポリフェノキシ-イソプロピルα-シアノシンナミリデンアセテート、ナフトキノン(1,2)ジアジド(2)-4-スルホン酸ナトリウム塩、ナフトキノン(1,2)ジアジド(2)-5-スルホン酸ナトリウム塩、ナフトキノン(1,2)ジアジド(2)-5-スルホン酸エステル(I)、ナフトキノン(1、2)ジアジド(2)-5-スルホン酸エステル(II)、ナフトキノン(1、2)ジアジド(2)-4-スルホン酸塩、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノントリ(ナフトキノンジアジドスルホン酸)エステル、ナフトキノン-1,2,5-(トリヒドロキシベンゾフェノン)トリエステル、1,4-イミノキノン-ジアジド(4)-2-スルフォアミド(I)、1-ジアゾ-2,5-ジエトキシ-4-p-トリメルカプトベンゼン塩、5-ニトロアセナフテン、N-アセチルアミノ-4-ニトロナフタレン、有機ホウ素化合物、これら以外の光によりカチオンを発生する光酸発生剤、光によりアニオンを発生する光塩基発生剤等が挙げられる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール及びその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o-クレゾールノボラック、m-ク
レゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t-ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオール、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,4-ジヒドロキシナフタレン、2,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2,8-ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
アミン系硬化剤の具体例として、脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ-p-キシレンジアミン、m-キシレンジアミン、p-キシレンジアミン、m-フェニレンジアミン、o-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノアニソール、2,4-トルエンジアミン、2,4-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-1、2-ジフェニルエタン、2,4-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-アミノフェノール、m-アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2-ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α-(m-アミノフェニル)エチルアミン、α-(p-アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物、3、4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、1-メチル-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾール及びその誘導体としては、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4(5)-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノ-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加体、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示される。
ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示される。
テトラフェニルボロン塩としては、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、重合開始剤は、組成物中において、単独で存在していてもよいし、溶媒等とともに錯体を形成していてもよい。また、多量体を形成していてもよい。なお、重合開始剤は、樹脂複合材の製造後は、完全に分解されても、一部分解されていても、分解されていなくてもよい。
インクは、24時間以上安定であることが好ましく、1週間以上安定であることがさらに好ましい。安定であればあるほど、インクの大量合成や長期保存が可能となり、製造コストを安くすることができる。
なお、インクの安定性は、沈殿物の生成や粘度の変化等で評価することができる。沈殿物の生成は、目視や動的光散乱粒子径測定装置で判断することができる。また、粘度は、回転粘度計法(「物理化学実験のてびき」(足立吟也、石井康敬、吉田郷弘編、化学同人(1993)に記載)により求めることができる。
上述の通り、樹脂複合材はインクの塗布することにより製造する例を示したが、樹脂複合材の製造方法はこれに限定されない。例えば、溶媒を使用せずに、樹脂又は樹脂前駆体と、ゼオライトと、を混練した後に加熱することにより樹脂複合材を製造することもできる。
混練物に用いられるゼオライトは、上述の樹脂複合材中のゼオライトが用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい

また、混練物に用いられる樹脂は、上述の樹脂複合材中の樹脂が用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、混練物に用いられるゼオライト、及び樹脂以外のその他の化合物を含んでもよい。例えば、上述の分散剤、表面処理剤、界面活性剤、重合開始剤等を含んでもよい。その他の化合物は、各々1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。 混練物に用いられるゼオライト、樹脂、及びその他の化合物の比率は、特段の制限はない。
但し、樹脂複合材フィルムの成形加工時の粘度調整が容易にできるために、上記の中でも、インクを塗布することにより樹脂複合材を製造することが好ましい。
インク、及び混練物は、特に限定されずに、従来公知の方法で調合することができ、インク、及び混練物の構成成分を混合することで製造することができる。なお、その際、均一性の向上、脱泡等を目的として、ペイントシェーカー、ビーズミル、プラネタリミキサー、攪拌型分散機、ホモジナイザー、自公転攪拌混合機、三本ロール、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置、及びスターラー等を用いて混合することが好ましい。
各構成成分の混合順序も、反応や沈殿物が発生する等の特段の問題がない限り、任意であり、インク、及び混練物の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
<1.4.2.樹脂複合材の成形>
樹脂複合材を成形する方法は、樹脂の成形に一般に用いられる方法を用いることができる。その際、樹脂複合材の製造に必要な加熱と、成形のための加熱を同時に行ってもよい。
例えば、樹脂複合材が熱可塑性を有する場合、樹脂複合材を所望の形状で、例えば、型へ充填することによって、成形することができる。このような成形体の製造法としては、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、及び圧縮成形法等を用いることができる。
樹脂複合材を構成する樹脂が、熱可塑性樹脂複合材である場合、成形体の成形は、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の温度及び所定の成形速度や圧力の条件で行うことができる。
溶融温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましい。一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また80℃以上であることは、樹脂が均一に溶融できる点で好ましい。
また、樹脂複合材を構成する樹脂が、ポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂複合材である場合(熱重合を起こす樹脂前駆体を用いる場合)、樹脂複合材の成形、すなわち硬化は、それぞれの組成に応じた硬化温度条件で行うことができる。
硬化温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましい。一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また、80℃以上であることは、ある程度硬化が進行し、樹脂複合材から未反応成分が溶出することが抑えられる点で好まし
い。
流動性を有する樹脂複合材の場合には、所望の支持体に積層し(積層工程)、次いで熱処理を行うこと(熱処理工程)により、樹脂複合材を成形することができる。なお、所望の支持体は、製造後取り除いてもよい。
熱処理方法としては、例えば、熱風乾燥、赤外線ヒーターによる乾燥等の公知の乾燥方法が採用できる。なかでも、乾燥速度が速い熱風乾燥が好適である。風乾で乾燥できるのであれば、熱処理方法を省略してもよい。
熱処理の温度は、400℃未満であることが好ましく、370℃以下であることがさらに好ましく、340℃以下であることが特に好ましい。一方、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。400℃未満であることは、ロールツーロール法のような、フレキシブル基材を用いる製造工程においても対応可能な温度である点で好ましい。また80℃以上であることは、シート中の残存溶媒を除去できる点で好ましい。
加熱時間は、特に限定されないが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは3分以上である。一方、通常24時間以下、好ましくは12時間以下、より好ましくは1時間以下、さらに好ましくは15分以下である。上記の範囲にあることは、ロールツーロール法のような実用的な製造工程に適合できる点で好ましい。
基材の材料は、特に限定されないが、基材の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;及びフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材とは、曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下の基材である。なお、フレキシブルな電子デバイスを製造する場合は、屈曲性と支持体としての特性を両立するために、曲率半径が0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、一方で、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがさらに好ましい。なお、曲率半径は、ひずみや割れ等の破壊が現れないところまで曲げた基材を、共焦点顕微鏡(例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK-X200)で求めることができる。
フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、エポキシ樹脂等の上述の樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料が挙げられる。
なお、これらの中でも、フレキシブル基材を使用することができると、ロールツーロール方式による製造が可能となり、生産性が向上する。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により樹脂複合材が劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密な酸化ケイ素膜等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
支持体の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、支持体の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。支持体の膜厚が5μm以上であることは、強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。支持体の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重くならないために好ましい。
支持体の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常10mm以下、好ましくは5mm以下である。ガラス基材の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材の膜厚が5mm以下であることは、重くならないために好ましい。
なお、ロールツーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、シートツーシート方式に比べて量産化に適した生産方式である。
ロールツーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、ロール芯の外径は、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下であり、一方、通常1cm以上、好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、上記下限以上であると、以下の各工程で成膜される層が、曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅は、通常5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上であり、一方、通常5m以下、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であるとロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であると、樹脂複合材の用途の自由度が高くなるため好ましい。
なお、必ずしも支持体を用いる必要はなく、熱処理を含む成形方法で成形した固形状の樹脂複合材から、所望の形状に削り出すことによって、成形体を得ることもできる。
また、樹脂複合材を構成する樹脂が、光硬化性樹脂複合材である場合(光重合を起こす樹脂前駆体を用いる場合)、熱処理工程に加えて、さらに光処理工程を行うことにより、円滑に、短時間で、樹脂複合材の成形体を製造することも可能である。なお、光処理工程を行う場合は、上述の光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤を含むことにより、より短時間で成形体を製造することができる。
光処理工程の時間は、特に限定されないが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは3分以上である。一方、通常60分以下、好ましくは30分以下、より好ましくは20分以下、さらに好ましくは10分以下である。光処理工程の時間が上記の範囲にあることは、ロールツーロール法のような実用的な製造工程に適合できる点で好ましい。
<2.樹脂複合材の用途>
樹脂複合材の用途としては、例えば、触媒モジュール、分子篩膜モジュール、光学部材、吸湿部材、食品、建築部材、及び電子デバイスの構成部材や包装部材等に用いることができる。なかでも、電子デバイスの構成部材、例えば基材、ゲッター材フィルム、封止材等に用いることは、樹脂複合材の高い特性を活かせるので、好ましい。
<2.1.電子デバイス>
電子デバイスは、2個以上の電極を有し、その電極間に流れる電流や生じる電圧を、電気、光、磁気又は化学物質等により制御するデバイス、あるいは、印加した電圧や電流により、光や電場、磁場を発生させる装置である。具体的には、抵抗器、整流器(ダイオード)、スイッチング素子(トランジスタ、サイリスタ)、増幅素子(トランジスタ)、メモリー素子、若しくは化学センサー等、又はこれらの素子を組み合わせ若しくは集積化したデバイスが挙げられる。また、光電流を生じるフォトダイオード若しくはフォトトランジスタ、電界を印加することにより発光する電界発光素子、及び光により起電力を生じる光電変換素子若しくは太陽電池等の光素子も挙げることができる。電子デバイスのより具体的な例は、S.M.Sze著、Physics of Semiconductor Devices、2nd Edition(Wiley Interscience 1981)に記載されているものを挙げることができる。
なかでも、電子デバイスの好ましい例としては、電界効果トランジスタ(FET)素子、電界発光素子(LED)、光電変換素子又は太陽電池が挙げられる。これらのデバイスで、樹脂複合材の高い特性は、有効に活かすことができる。
本発明の別の実施形態に係る電子デバイスは、上述した樹脂複合材を含有する部材を備える、電子デバイスである。以下、上述した樹脂複合材を含有する部材を構成要素として有する電子デバイスの例として、電界効果トランジスタ素子、電界発光素子、光電変換素子、及び太陽電池について、以下、詳細に説明する。
<2.2.電界効果トランジスタ(FET)素子>
樹脂複合材は、電界効果トランジスタ(FET)素子の構成要素として用いることができる。一実施形態に係る電界効果トランジスタ(FET)素子は、基材上に、半導体層と、絶縁体層と、ソース電極と、ゲート電極と、ドレイン電極とを有する。
一実施形態において、基材は樹脂複合材を有している。特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、基材の材料として好ましく用いられる。また、一実施形態において、絶縁体層は樹脂複合材を有している。特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、誘電率が低いので、絶縁体層の材料としても好ましく用いられる。
以下、一実施形態に係るFET素子について詳細に説明する。図2は、FET素子の構造例を模式的に表す図である。図2において、11が半導体層、12が絶縁体層、13及び14がソース電極及びドレイン電極、15がゲート電極、16が基材、17がFET素子をそれぞれ示す。図2(A)~(D)にはそれぞれ異なる構造のFET素子が記載されているが、どれもFET素子の構造例を示している。FET素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015-134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
なお、本明細書において「半導体」とは、固体状態におけるキャリア移動度の大きさによって定義される。キャリア移動度とは、周知であるように、電荷(電子又は正孔)がどれだけ速く(又は多く)移動されうるかを示す指標となるものである。具体的には、「半導体」は、室温におけるキャリア移動度が通常1.0x10-6cm/V・s以上、好ましくは1.0x10-5cm/V・s以上、より好ましくは5.0x10-5cm/V・s以上、さらに好ましくは1.0x10-4cm/V・s以上であることが望ましい。なお、キャリア移動度は、例えば電界効果トランジスタのIV特性の測定、等により測定できる。
<2.2.1.基材(16)>
FET素子は、通常基材16上に作製する。基材16の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材16の材料の好適な例は、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;本発明の一実施形態である樹脂複合材の成形体等のフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材とは、曲率半径が通常、0.1mm以上であり、10000mm以下の基材である。なお、フレキシブルな電子デバイスを製造する場合は、屈曲性と支持体としての特性を両立するために、曲率半径が0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、一方で、3000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがさらに好ましい。なお、曲率半径は、ひずみや割れ等の破壊が現れないところまで曲げた基材を、共焦点顕微鏡(例えば、キーエンス社製形状測定レーザマイクロスコープVK-X200)で求めることができる。
フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、上述したエポキシ系樹脂等の樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;本発明の一実施形態である樹脂複合材の成形体が挙げられる。
なお、樹脂複合材の成形体は、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造上好ましいが、フレキシブル基材でなくても、基材16として用いることができる。
さらに、基材16に処理を施すことにより、FETの特性を向上させることができる。これは基材16の親水性/疎水性を調整することにより、成膜される半導体層11の膜質を向上させること、特に基材13と半導体層11との界面部分の特性を改良することによるものと推定される。このような基材処理としては、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクタデシルトリクロロシラン等を用いた疎水化処理;塩酸、硫酸、及び酢酸等の酸を用いた酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及びアンモニア等を用いたアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等を用いたプラズマ処理;ラングミュアブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体又は半導体の薄膜の形成処理等が挙げられる。
<2.2.2.絶縁体層(12)>
FET素子の絶縁体層12に用いられる材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂及びこれらの共重合体;二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;窒化ケイ素等の金属窒化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム等の強誘電性金属酸化物;並びにこれらの金属酸化物、金属窒化物、強誘電性金属酸化物等の粒子が分散されている樹脂、及び樹脂複合材等が挙げられる。
一般に絶縁体層12の静電容量が大きくなるほどゲート電圧を低電圧で駆動できることになるので、有利になる。このことは、絶縁体層の厚さを薄くする事等で実現できる。
絶縁体層12の形成方法は、特段の制限はなく、例えば、スピンコート法、ブレードコート法及びスピンコート法等の湿式塗布法、蒸着法、スパッタリング法、スクリーン印刷やインクジェット等の印刷法、アルミニウムにアルマイトを形成するように金属上に酸化膜を形成する方法等、材料特性に合わせた公知の方法で形成することができる。
<2.3.電界発光素子(LED)>
樹脂複合材は、電界発光素子(LED)の構成要素として用いることができる。電界発光素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーによって蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。
以下に、電界発光素子について、図面を参照しながら説明する。図3は、電界発光素子の一実施形態を模式的に示す断面図である。図3において、符号31は基材、32は陽極、33は正孔注入層、34は正孔輸送層、35は発光層、36は電子輸送層、37は電子注入層、38は陰極、39は電界発光素子を示している。なお、電界発光素子がこれらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。例えば、必ずしも、正孔注入層33、正孔輸送層34、電子輸送層36、及び電子注入層37を設ける必要はない。電界発光素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015-134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
一実施形態において、基材31は樹脂複合材を有しており、特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、基材31の材料として好ましく用いられる。
<2.3.1.基材(31)>
基材31は、電界発光素子39の支持体となるものであり、その材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材31の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;本発明の一実施形態である樹脂複合材の成形体等のフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、上述したエポキシ系樹脂等の樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;本発明の一実施形態である樹脂複合材の成形体が挙げられる。
なお、樹脂複合材の成形体は、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造方法上好ましいが、フレキシブル基材でなくても、基材31として用いることができる。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により電界発光素子が劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密な酸化ケイ素膜や本発明の一実施形態である樹脂複合材等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材31の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、基材31の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の膜厚が5μm以上
であることは、電界発光素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ質量が重くならないために好ましい。
基材31の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材31の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材31の膜厚が1cm以下であることは、質量が重くならないために好ましい。
なお、図3は、電界発光素子の一実施形態を示すものにすぎず、電界発光素子が、図示された構成に限定されるわけではない。例えば、図3とは、逆の積層構造とすること、すなわち、基板31上に陰極38、電子注入層37、電子輸送層36、発光層35、正孔輸送層34、正孔注入層33及び陽極32をこの順に積層することも可能である。
電界発光素子の構成は特に限定されず、単一の素子であっても、アレイ状に配置された構造からなる素子であっても、陽極と陰極とがX-Yマトリックス状に配置された構造の素子であってもよい。
<2.4.光電変換素子>
樹脂複合材は、光電変換素子の構成要素として用いることができる。一実施形態に係る光電変換素子は、少なくとも一対の電極と、該電極間に存在する活性層と、を有する。また、一実施形態に係る光電変換素子は、基材、電子取り出し層、及び正孔取り出し層を含むその他の構成要素を有していてもよい。
図4は、光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図4に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、光電変換素子が、図4に示されるものに限られるわけではない。光電変換素子57は、基材56、カソード(電極)51、電子取り出し層(バッファ層)52、活性層53、正孔取り出し層(バッファ層)54及びアノード(電極)55がこの順に形成された層構造を有する。なお、必ずしも電子取り出し層52及び正孔取り出し層54を設ける必要はない。光電変換素子を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015-134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
一実施形態に係る光電変換素子においては、基材56が、樹脂複合材を有しており、特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、基材56の材料として好ましく用いられる。
<2.4.1.基材(56)>
光電変換素子57は、通常は支持体となる基材56を有する。
基材56の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材56の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;及び本発明の一実施形態である樹脂複合材等の成形体等のフレキシブル基材が挙げられる。
フレキシブル基材の具体例としては、限定されるわけではないが、上述したエポキシ系樹脂等の樹脂;紙又は合成紙等の紙材料;銀、銅、ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属箔に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料;本発明の一実施形態である樹脂複合材等の成形体が挙げられる。
なお、樹脂複合材の成形体は、フレキシブル基材であれば、ロールツーロール法等の製造方法上好ましいが、フレキシブル基材でなくても、基材56として用いることができる。
樹脂基材を使用する場合には、ガスバリア性に留意する必要がある。すなわち、基材のガスバリア性が低過ぎると、基材を通過する外気により活性層が劣化することがあるので望ましくない。このため、樹脂基材を使用する場合には、少なくとも一方の板面に緻密な酸化ケイ素膜や本発明の一実施形態である樹脂複合材等を設ける等の方法により、ガスバリア性を確保するのが望ましい。
ガラスとしてはソーダガラス、青板ガラス又は無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスからの溶出イオンが少ない点で、これらの中でも無アルカリガラスが好ましい。
基材56の形状に制限はなく、例えば、板状、フィルム状又はシート状等のものを用いることができる。
また、基材56の膜厚に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材56の膜厚が5μm以上であることは、光電変換素子の強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材56の膜厚が20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ質量が重くならないために好ましい。
基材56の材料がガラスである場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基材31の膜厚が0.01mm以上であることは、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。また、ガラス基材56の膜厚が1cm以下であることは、質量が重くならないために好ましい。
<2.5.太陽電池>
光電変換素子57は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。図5には、薄膜太陽電池の構成を模式的に表す断面図が示されている。図5に表すように、薄膜太陽電池111は、耐候性保護フィルム101と、紫外線カットフィルム102と、ガスバリアフィルム103と、ゲッター材フィルム104と、封止材105と、太陽電池素子106と、封止材107と、ゲッター材フィルム108と、ガスバリアフィルム109と、バックシート110と、をこの順に備える。薄膜太陽電池111は、太陽電池素子106として、本発明の一実施形態である光電変換素子を有している。そして、耐候性保護フィルム101が形成された側(図5中下方)から光が照射されて、太陽電池素子106が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池111は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/180230号又は特開2015-134703号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
また、ここで述べる耐候性保護フィルム、バックシート、紫外線カットフィルム、ガスバリアフィルム、ゲッター材フィルム、及び封止材は、電界効果トランジスタ素子(FET)、及び電界発光素子(LED)等の上述の電子デバイスにも用いることができる。
一実施形態においては、耐候性保護フィルム101及びバックシート110は、樹脂複合材を有しており、特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、耐候性保護フィルム101及びバックシート110の材料として好ましく用いられる。
また、一実施形態においては、紫外線カットフィルム102は、樹脂複合材を有しており、特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、紫外線カットフィルム2の材料として好ましく用いられる。
また、一実施形態においては、ガスバリアフィルム103、109は樹脂複合材を有しており、特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、ガスバリアフィルム103、109の材料として好ましく用いられる。
また、一実施形態においては、ゲッター材フィルム104、108は、樹脂複合材を有しており、特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低く、かつ吸湿性を有するので、ゲッター材フィルム104、108の材料として好ましく用いられる。
また、一実施形態において、封止材105、107は樹脂複合材を有しており、特に、本発明の一実施形態である樹脂複合材は、平均熱膨張係数が低いので、封止材105、107の材料として好ましく用いられる。
<2.5.1.耐候性保護フィルム(101)>
耐候性保護フィルム101は、天候変化から太陽電池素子106を保護するフィルムである。耐候性保護フィルム101で太陽電池素子106を覆うことにより、太陽電池素子106等を天候変化等から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。耐候性保護フィルム101は、薄膜太陽電池111の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性及び/又は機械強度等の、薄膜太陽電池111の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム101は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV-2500PC)で測定することができ、可視光線透過率は、JIS R3106(1998年)に定義された方法により算出できる。
さらに、薄膜太陽電池111は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム101も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム101の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
耐候性保護フィルム101を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子106を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、AS(アクリロニトリル-スチレン)系樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド-イミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂及び本発明の一実施形態である樹脂複合材等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム101は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、耐候性保護フィルム101は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム101の厚みは、特に規定されないが、通常10μm以上200μm以下である。
耐候性保護フィルム101には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理及びプラズマ処理のうち少なくとも一方等の表面処理を行ってもよい。
耐候性保護フィルム101は、薄膜太陽電池111においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池111の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
<2.5.2.紫外線カットフィルム(102)>
紫外線カットフィルム102は、紫外線の透過を防止するフィルムである。紫外線カットフィルム102を薄膜太陽電池111の受光部分に設け、紫外線カットフィルム102で太陽電池素子106の受光面106aを覆うことにより、太陽電池素子106及び必要に応じてガスバリアフィルム103、109等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム102に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、下限に制限はない。また、紫外線カットフィルム102は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV-2500PC)で測定することができる。
さらに、薄膜太陽電池111は、光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム102も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム102の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
また、紫外線カットフィルム102は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうることが好ましい。
紫外線カットフィルム102を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂又はエステル系樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルム、及び本発明の一実施形態である樹脂複合材等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の化合物等を用いることができる。なお、紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。上述のように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液
を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステル系樹脂が挙げられる。
紫外線カットフィルム102の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(三菱ケミカルアグリドリーム社製)等が挙げられる。
なお、紫外線カットフィルム102は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、紫外線カットフィルム102は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
紫外線カットフィルム102の厚みは、特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
紫外線カットフィルム102は、太陽電池素子106の受光面106aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子106の受光面106aの全てを覆う位置に設ける。ただし、太陽電池素子6の受光面106aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム102が設けられていてもよい。
<2.5.3.ガスバリアフィルム(103)>
ガスバリアフィルム103は、水蒸気及び酸素の透過を防止するフィルムである。ガスバリアフィルム103で太陽電池素子106を被覆することにより、太陽電池素子106を、水蒸気及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム103に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子106の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、通常1×10-1g/m/day以下であることが好ましく、下限に制限はない。
ガスバリアフィルム103に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々であるが、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、通常1×10-1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、下限に制限はない。
また、ガスバリアフィルム103は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV-2500PC)で測定することができる。
さらに、薄膜太陽電池111は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム103も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム103の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
ガスバリアフィルム103の具体的な構成は、太陽電池素子106を水蒸気及び酸素から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム103を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
なかでも好適なガスバリアフィルム103としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムに酸化ケイ素や窒素ケイ素を真空蒸着したフィルム、及び本発明の一実施形態である樹脂複合材の成形体等が挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム103は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、ガスバリアフィルム103は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。なお、積層フィルムの場合、ある層のフィルムが水蒸気の透過防止に寄与し、別の層が酸素の透過防止に寄与するといった、層で役割分担をしていてもよい。
ガスバリアフィルム103の厚みは、特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ガスバリアフィルム103は、太陽電池素子106を被覆して、水蒸気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子106の正面(受光面側の面。図5では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図5では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池111においては、その正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム103が太陽電池素子106の正面を覆い、後述するガスバリアフィルム9が太陽電池素子106の背面を覆うようになっている。なお、後述するバックシート110としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム108及びガスバリアフィルム109のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
<2.5.4.ゲッター材フィルム(104)>
ゲッター材フィルム104は、水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収するフィルムである。ゲッター材フィルム104で太陽電池素子106を覆うことにより、太陽電池素子106等を水分及び酸素のうち少なくとも一方から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。ここで、ゲッター材フィルム104は上記のようなガスバリアフィルム103とは異なり、水分及び/又は酸素の透過を妨げるものではなく、水分及び/又は酸素を吸収するものである。
水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム103等で太陽電池素子106を被覆した場合に、ガスバリアフィルム103及び109で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム104が捕捉して水分による太陽電池素子106への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム104の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm以下である。
また、ゲッター材フィルム104が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム103及び109等で太陽電池素子106を被覆した場合に、ガスバリアフィルム103及び109で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム104が捕捉して酸素による太陽電池素子106への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム104の酸素吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm以上であり、上限に制限は無いが、通常10mg/cm以下である
さらに、ゲッター材フィルム104は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV-2500PC)で測定することができる。
さらに、薄膜太陽電池111は、光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム104も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム104の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
ゲッター材フィルム104を構成する材料は、水分及び酸素のうち少なくとも一方を吸収することができるものであれば任意である。
その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;シリカゲル;ゼオライト;硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム又は硫酸ニッケル等の硫酸塩;アルミニウム金属錯体又はアルミニウムオキシドオクチレート等の有機金属化合物、及び本発明の一実施形態である樹脂複合材等が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、カルシウム、ストロンチウム又はバリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム又は酸化バリウム等が挙げられる。その他にZr-Al-BaOやアルミニウム金属錯体等も挙げられる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ等のゼオライト、酸化マグネシウム、酸化鉄、及び本発明の一実施形態である樹脂複合材等が挙げられる。また、鉄、マンガン、亜鉛、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
ゲッター材フィルム104の具体的な商品名を挙げると、例えば、水分用としては、OleDry(双葉電子工業社製)やモイストキャッチ(共同印刷社製)等が挙げられる。また酸素用としては、ダイアミロン(三菱ケミカル社製)、オキシキャッチ(共同印刷社製)、エージレスオーマック(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム104は、1種の材料単独で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。
また、ゲッター材フィルム104は、単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム104の厚みは、特に規定されないが、通常5μm以上200μm以下である。
ゲッター材フィルム104は、ガスバリアフィルム103及び109で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子106の正面(受光面側の面。図5では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図5では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池111においては、その正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム104はガスバリアフィルム103と太陽電池素子106との間に設けることが好ましい。本実施形態では、ゲッター材フィルム104が太陽電池素子106の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム108が太陽電池素子106の背面を覆い、ゲッター材フィルム104、108がそれぞれ太陽電池素子106とガスバリアフィルム103、109との間に位置するようになっている。なお、後述する
バックシート110としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム108及びガスバリアフィルム109のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
<2.5.5.封止材(105)>
封止材105は、太陽電池素子106を補強するフィルムである。太陽電池素子106は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材105により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池111の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材105以外の耐候性保護フィルム101やバックシート110の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池111全体が、良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材105は、太陽電池素子106の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させることが好ましい。例えば、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、上限に制限はない。透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所製分光光度計UV-2500PC)で測定することができる。
封止材105の厚みは、特に規定されないが、通常2μm以上700μm以下である。
封止材105の基板に対するT型剥離接着強さは通常1N/インチ以上通常2000N/インチ以下である。T型剥離接着強さが1N/インチ以上であることは、モジュールの長期耐久性を確保できる点で好ましい。T型剥離接着強さが2000N/インチ以下であることは、太陽電池を廃棄する際に、基材やバリアフィルムと接着材を分別して廃棄できる点で好ましい。T型剥離接着強さは、JIS K6854-3(1999年)に準拠する方法により測定できる。
封止材105の構成材料としては、上記特性を有する限り特段の制限はないが、有機太陽電池及び無機太陽電池の封止、有機電界発光素子(LED)及び無機電界発光素子(LED)の封止、又は電子回路基板の封止等に一般的に用いられている封止用材料、及び本発明の一実施形態である樹脂複合材等を用いる事ができる。
なお、ここでは、太陽電池用の封止材105の構成材料として、本発明の一実施形態である樹脂複合材を用いる事ができると述べているが、有機太陽電池及び無機太陽電池、有機電界発光素子(LED)及び無機電界発光素子(LED)等の電子デバイス、及び電子回路基板の封止材としても、本発明の一実施形態である樹脂複合材を用いることができる。
封止材105の具体的な構成材料としては、熱硬化性樹脂複合材、熱可塑性樹脂複合材及び活性エネルギー線硬化性樹脂複合材、及び本発明の一実施形態である樹脂複合材が挙げられる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂複合材とは、例えば、紫外線、可視光、赤外線、電子線等で硬化する樹脂のことである。
より具体的な構成材料としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂複合材、炭化水素系樹脂複合材、エポキシ系樹脂複合材、ポリエステル系樹脂複合材、アクリル系樹脂複合材、ウレタン系樹脂複合材、又はシリコーン系樹脂複合材及び本発明の一実施形態である樹脂複合材等が挙げられ、それぞれの高分子の主鎖、分岐鎖、末端の化学修飾、分子量の調整、添加剤等によって、熱硬化性、熱可塑性及び活性エネルギー線硬化性等
の特性が発現する。
また、薄膜太陽電池111は、光を受けて熱せられることが多いため、封止材105も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材105の構成材料の融点は、通常80℃以上400℃以下である。
封止材105中の封止材用構成材料の密度は、0.80g/cm以上が好ましく、上限に制限はない。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112(1999年)に準拠する方法によって実施することができる。
封止材105を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子106を挟み込むように設ける。太陽電池素子106を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子106の正面及び背面にそれぞれ封止材105及び封止材107を設けるようにしている。
<2.5.6.太陽電池素子(106)>
太陽電池素子106は、前述の光電変換素子57と同様である。すなわち、光電変換素子57を用いて薄膜太陽電池111を製造することができる。
太陽電池素子106は、薄膜太陽電池111一個につき一個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子106を設ける。具体的な太陽電池素子106の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子106を複数設ける場合、太陽電池素子106はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子106を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子106同士は電気的に接続され、接続された一群の太陽電池素子106から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため、通常は、太陽電池素子106は直列に接続される。
このように太陽電池素子106同士を接続する場合には、太陽電池素子106間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子106と太陽電池素子106との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子106の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池111の発電量を増加させるためである。
<2.5.7.封止材(107)>
封止材107は、上述した封止材105と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、封止材107と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
<2.5.8.ゲッター材フィルム(108)>
ゲッター材フィルム108は、上述したゲッター材フィルム104と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、ゲッター材フィルム104と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
<2.5.9.ガスバリアフィルム(109)>
ガスバリアフィルム109は、上述したガスバリアフィルム103と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、ガスバリアフィルム109と同様のものを同様に必要に応
じて用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
<2.5.10.バックシート(110)>
バックシート110は、上述した耐候性保護フィルム101と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は、耐候性保護フィルム101と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池素子106よりも背面側の構成部材は、必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
また、このバックシート110が、水分及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート110をガスバリア層として機能させることも可能である。具体的には、バックシート110として、アルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合には、用途によりゲッター材フィルム108及びガスバリアフィルム109のうち少なくとも一方を用いなくてもよい。
<2.5.11.寸法等>
本実施形態の薄膜太陽電池111は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池111を形成することにより、薄膜太陽電池111を建材、自動車又はインテリア等に容易に設置できる。薄膜太陽電池111は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるため、さらに多くの用途に使用しうる。薄くて軽いため輸送や保管等流通面でも好ましい。さらに、膜状であるためロールツーロール方式の製造が可能であり大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池111の具体的な寸法には、制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上3000μm以下である。
<2.5.12.製造方法>
本実施形態の薄膜太陽電池111の製造方法には、制限は無いが、例えば、図6の形態の太陽電池製造方法としては、図5に示される積層体を作成した後に、ラミネート封止工程を行う方法が挙げられる。本実施形態の太陽電池素子106は、耐熱性に優れるため、ラミネート封止工程による劣化が低減される点で好ましい。
図5に示される積層体作成は、周知の技術を用いて行うことができる。ラミネート封止工程の方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート、押出しラミネート、共押出成型ラミネート、押出コーティング、光硬化接着剤によるラミネート、サーマルラミネート等が挙げられる。なかでも有機電界発光素子の封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート、太陽電池で実績のあるホットメルトラミネート又はサーマルラミネートが好ましく、さらに、ホットメルトラミネート又はサーマルラミネートがシート状の封止材を使用できる点でより好ましい。
ラミネート封止工程の加熱温度は、通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。ラミネート封止工程の加熱時間は、通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。ラミネート封止工程の圧力は、通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材105、107のはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。なお、2個以上の太陽電池素子106を直列又は並列接続したものも上記と同様にして、製造することができ
る。
太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。
<2.5.13.太陽電池モジュール>
太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111は、そのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いてもよい。例えば、図6に示すように、太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池111を基材112上に備える太陽電池モジュール113を作製し、この太陽電池モジュール113を使用場所に設置して用いることができる。
基材112としては、周知技術を用いることができ、例えば、基材112の材料としては、国際公開第2013/180230号又は特開2015-134703号公報等に記載の材料を用いることができる。また、基材112に、本発明の一実施形態である樹脂複合材を用いてもよい。例えば、基材112として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池111を設けることにより、太陽電池モジュール113として、建物の外壁用太陽電池パネルを作製することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により制限されるものではない。なお、後述の実施例において得られたフィルムの評価は、下記の方法により行った。
<フィルムの評価>
(フィルムの平均熱膨張係数)
樹脂複合材フィルムの温度範囲23℃~200℃の平均熱膨張係数(CTE)を、(株)日立ハイテクサイエンス社製熱機械分析装置TMA/SS6100を使用して、引張モードで測定した。なお、サンプル形状は幅3mm、チャック間距離20mmとし、昇温速度2℃/minで昇温させた後、降温速度4℃/min降温させた。2度目の昇温時のグラフの傾きからフィルムの平均熱膨張係数を求めた。
(フィルムの貯蔵弾性率)
樹脂複合材フィルムの各温度における貯蔵弾性率を、JIS K-7244法に記載の動的粘弾性測定法により、アイティー計測制御株式会社製動的粘弾性装置DVA-200を用いて、両持ち引張モードで測定した(測定温度範囲:-50℃から300℃、周波数:1Hz、昇温速度:3℃/分)。
<合成例1:CHA型ゼオライト合成>
容器に、キシダ化学社製水酸化ナトリウム、構造規定剤(SDA;Structure
Directing Agent)として、セイケム社製N,N,N-トリメチル-1-アダマンタアンモニウム水酸化物(TMAdaOH)、アルドリッチ社製水酸化アルミニウム、日揮触媒化成社製Cataloid SI-30を順次加えた。得られた混合物の組成及びモル比は、SiO:Al:NaOH:TMAdaOH:HO=1.0:0.02:0.1:0.1:20であった。その後、種結晶として、SiOに対して2質量%のCHA型ゼオライトを混合物に加えて、よく混合した後、得られた混合物を耐圧容器に入れ、160℃のオーブン中で、15rpmで回転させながら、24時間水熱合成を行った。吸引濾過、洗浄した後に、乾燥した。得られた粉末を600℃、6時間、
空気流通下で焼成することにより、構造規定剤(SDA)であるTMAdaOHを除去することでCHA型ゼオライトを得た。得られたゼオライトの平均一次粒径は、100nmであった。
<合成例2:CHA型ゼオライトのシリル化処理>
容器内に、富士フイルム和光純薬社製トルエン192.6gと、信越シリコーン社製シリル化剤KBM-903を2.94g入れ、窒素ガスで容器内を置換した。続いて、事前に200℃で脱水しておいた合成例1のCHA型ゼオライトを加え、窒素雰囲気においてオイルバスで80℃に加熱し、1時間シリル化処理を行った。得られた粉末を濾過し、アセトン溶媒で未反応のシリル化剤を除去し、風乾させた後に100℃のオーブンで一晩乾燥させた。CHN分析にてシリル化量を計算したところ、ゼオライト100gに対し、6.36gのシリル化剤が処理されていることが分かった。
<実施例1:ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材フィルムの製造>
容器に三菱ケミカル社製エポキシ樹脂YX7105(エポキシ当量:440~520)を27.32g入れオーブンで65℃に予熱した、そこに三菱ケミカル社製エポキシ樹脂硬化剤ST14(アミン価:415~455KOHmg/g)6.01gと、事前に200℃で脱水をしておいたCHA型ゼオライト10.0gを加えた。重量比はYX7105とST14を合わせて100gに対し、ゼオライトが30gとなった。真空ミキサーにて1500rpm、5分間混練した。混練後、テストラミネーターを用いて50μmのフィルムに成型し、40℃、16時間の加熱処理を行った後、80℃、6時間ポストキュアさせ、樹脂複合材フィルムを得た。
得られた樹脂複合材フィルム1の平均熱膨張係数、及び貯蔵弾性率を表1に示す。
<実施例2:硬化剤の量調整>
ST14の量を5.46gにする以外は実施例1と同様にして、樹脂複合材フィルム2を得た。得られた樹脂複合材フィルムの平均熱膨張係数、及び貯蔵弾性率を表1に示す。
<実施例3:ゼオライト50部>
YX7105とST14を合わせて100gに対し、合成例1で得たCHAゼオライトが50gとなるようにする以外は実施例1と同様にして、樹脂複合材フィルム3を得た。得られた樹脂複合材フィルムの平均熱膨張係数、及び貯蔵弾性率を表1に示す。
<実施例4:シリル化剤>
合成例2で得たシリル化CHA型ゼオライトを10.0g用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂複合材フィルム4を得た。得られた樹脂複合材フィルムの平均熱膨張係数、及び貯蔵弾性率を表1に示す。
<実施例5:シリル化剤 硬化剤>
合成例2で得たシリル化CHA型ゼオライトを10.0g用いる以外は実施例2と同様にして、樹脂複合材フィルム5を得た。得られた樹脂複合材フィルムの平均熱膨張係数、及び貯蔵弾性率を表1に示す。
<比較例1>
ゼオライトを入れない以外は実施例1と同様にして、樹脂複合材フィルム6を得た。得られた樹脂複合材フィルムの平均熱膨張係数、貯蔵弾性率を表1に示す。
<比較例2>
ゼオライトの代わりに、日本電気硝子株式会社製ガラスフレーク(平均粒径50μm、アスペクト比200以上)を用いる以外は実施例1と同様にして、樹脂複合材フィルム7
を得た。得られた樹脂複合材フィルムの平均熱膨張係数、貯蔵弾性率を表1に示す。また、貯蔵弾性率を縦軸にとり、平均熱膨張係数を横軸にとったグラフを図7に示す
Figure 2022036344000002

上記の表1より、実施例1~5は、比較例1及び2と比較して、貯蔵弾性率及び平均熱膨張係数が低いことが分かる。これは、エポキシ樹脂複合材内にゼオライトが均一に分散
したことに加え、特定構造のゼオライトを用いることで、ゼオライトとエポキシ樹脂との間で相互作用が生じ、負の膨張係数を持つゼオライトが収縮して単に樹脂中に孔として存在するのではなく、効率的に樹脂の熱膨張を押さえ、従来の添加量に対し二律背反的な平均熱膨張係数と貯蔵弾性率との関係とは異なる効果を得ることができたものである。
本発明の一実施形態であるゼオライト含有エポキシ樹脂複合材により、可撓性を維持したまま(貯蔵弾性率を低く維持したまま)、熱膨張係数を低下させることができる樹脂複合材を提供することができる。
1 樹脂複合材
2 ゼオライト
3 樹脂
11 半導体層
12 絶縁体層
13、14 ソース電極及びドレイン電極
15 ゲート電極
16 基材
17 FET素子
31 基材
32 陽極
33 正孔注入層
34 正孔輸送層
35 発光層
36 電子輸送層
37 電子注入層
38 陰極
39 電界発光素子
51 カソード
52 電子取り出し層
53 活性層
54 正孔取り出し層
55 アノード
56 基材
57 光電変換素子
101 耐候性保護フィルム
102 紫外線カットフィルム
103、109 ガスバリアフィルム
104、108 ゲッター材フィルム
105、107 封止材
106 太陽電池素子
110 バックシート
111 薄膜太陽電池
112 基材
113 太陽電池モジュール

Claims (6)

  1. 構造単位 Composite Building Unit(CBU)としてd6r及びmtwのいずれかを含むゼオライトを1質量%以上と、エポキシ樹脂と、を含有する、ゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
  2. 前記ゼオライトが、AEI、AFT、AFX、CHA、ERI、KFI、SAT、SAV、SFW、及びTSC構造のいずれかを有する、請求項1に記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
  3. 前記エポキシ樹脂が、ガラス転移温度が30℃以下のエポキシ樹脂である、請求項1又は2に記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
  4. 前記ゼオライトが、平均一次粒径300nm以下のナノゼオライトである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
  5. 前記ゼオライトが、CHA構造を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゼオライト含有エポキシ樹脂複合材を含有する部材を備える、電子デバイス。
JP2018195446A 2018-10-16 2018-10-16 樹脂複合材及び電子デバイス Pending JP2022036344A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018195446A JP2022036344A (ja) 2018-10-16 2018-10-16 樹脂複合材及び電子デバイス
PCT/JP2019/040756 WO2020080437A1 (ja) 2018-10-16 2019-10-16 液状組成物、樹脂複合材、液状封止材、封止材及び電子デバイス
TW108137353A TW202028325A (zh) 2018-10-16 2019-10-16 液狀組成物、樹脂複合材料、液狀密封材料、密封材料及電子元件

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018195446A JP2022036344A (ja) 2018-10-16 2018-10-16 樹脂複合材及び電子デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022036344A true JP2022036344A (ja) 2022-03-08

Family

ID=70284258

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018195446A Pending JP2022036344A (ja) 2018-10-16 2018-10-16 樹脂複合材及び電子デバイス

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2022036344A (ja)
TW (1) TW202028325A (ja)
WO (1) WO2020080437A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022074143A (ja) * 2020-11-02 2022-05-17 三菱ケミカル株式会社 ゼオライト及びゼオライトの製造方法、並びに組成物
TWI814313B (zh) * 2022-03-29 2023-09-01 辰展股份有限公司 可撓性散熱金屬板
WO2023210790A1 (ja) * 2022-04-28 2023-11-02 三菱ケミカル株式会社 ゼオライト、ゼオライトの製造方法、組成物、液状封止剤、樹脂複合材、封止材、封止材の製造方法、及び電子デバイス

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3410173B2 (ja) * 1993-11-02 2003-05-26 三井化学株式会社 エポキシ樹脂組成物から成形された半導体装置用中空パッケージならびにそれを用いた半導体装置
JP4774784B2 (ja) * 2005-03-30 2011-09-14 住友ベークライト株式会社 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP6886309B2 (ja) * 2017-02-21 2021-06-16 旭化成株式会社 複合体
JP7065396B2 (ja) * 2017-03-08 2022-05-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 紫外線硬化性樹脂組成物、有機el発光装置の製造方法及び有機el発光装置
JP6837900B2 (ja) * 2017-04-14 2021-03-03 旭化成株式会社 複合体
JP7263729B2 (ja) * 2017-10-16 2023-04-25 三菱ケミカル株式会社 樹脂複合材及び電子デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
TW202028325A (zh) 2020-08-01
WO2020080437A1 (ja) 2020-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7263729B2 (ja) 樹脂複合材及び電子デバイス
JP2022036344A (ja) 樹脂複合材及び電子デバイス
CN110291151B (zh) 树脂组合物、成形体、层叠体、涂布材料及粘接剂
JP7355010B2 (ja) ゼオライト含有ポリイミド樹脂複合材、ゼオライト含有ポリイミド樹脂前駆体組成物、フィルム、及び電子デバイス
TW201827518A (zh) 密封用樹脂組成物及密封用薄片
JP6919575B2 (ja) プリプレグ、プリント配線板、半導体パッケージ及びプリント配線板の製造方法
JP2013028722A (ja) ハイバリア性を有する封止材
JP2020193141A (ja) 珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法および珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子
JP2021075435A (ja) 珪素含有酸化物被覆窒化アルミニウム粒子の製造方法および放熱性樹脂組成物の製造方法
EP2357079B1 (en) Multilayer film and a production method for same
JP2019112552A (ja) 分散液、樹脂複合材、及び電子デバイス
JP2013077790A (ja) 太陽電池用バックシート及び太陽電池用バックシートの製造方法
JP7452001B2 (ja) 発光素子パッケージ及びその製造方法
JP7211175B2 (ja) 樹脂組成物
WO2012008276A1 (ja) ガスバリア性フィルム、及びそれを用いた有機電子デバイス
JP2019112551A (ja) 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス
TWI763782B (zh) 密封板片及半導體裝置的製造方法
JP2020102554A (ja) 積層体、電子部品およびインバータ
JP2019112553A (ja) 樹脂複合材フィルム及び電子デバイス
JP7414162B2 (ja) 発光素子パッケージ及びその製造方法
KR20220034682A (ko) 수지 조성물
WO2020203750A1 (ja) 硬化性樹脂組成物
CN117981477A (zh) 树脂片材、印刷布线板、半导体芯片封装及半导体装置
WO2022264906A1 (ja) 無機酸化物蒸着用プライマー組成物、硬化物及び積層体
JP5276193B1 (ja) 積層体の製造方法