JPWO2018207779A1 - 新規パン酵母 - Google Patents

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Abstract

エタノールを含有する発酵種を配合して発酵、焼成してなるパンにおいて製パン時のホイロ時間の延長やパンのボリューム不足がなく、発酵種由来の風味が強くてソフトなパンを作製可能なパン酵母を提供すること。配合1(強力粉:100部、上白糖:15部、食塩:1.5部、パン酵母:4部、水:58部、エタノール:1.82部)、条件1(3分間ミキシング後、38℃で1時間発酵)で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上、配合2(強力粉:100部、上白糖:30部、食塩:0.5部、パン酵母:4部、水:52部、エタノール:1.90部)で、条件1で作製した時のガス発生量が130ml以上、配合3(強力粉:100部、上白糖:40部、食塩:0.5部、パン酵母:4部、水:47部、エタノール:1.94部)、条件1で作製した時のガス発生量が70ml以上となるパン酵母。

Description

本発明は、新規なパン酵母、該パン酵母を含有するパン生地、該パン生地を焼成してなるパン、及びパン酵母の製造方法に関する。
パン市場では、風味や食感に特徴を出すことによるパンの差別化が積極的に行われており、その手段として、中種法を用いて食感を改良したり、発酵種を用いて風味を改良したりすることが検討されている。発酵種には、エタノール発酵による酒種や老麺種、乳酸発酵によるサワー種など様々なバリエーションがあり、また、その原料の種類も様々である。これら発酵種を製パン原料に用いることにより、パンに特徴的な風味を付与することができる。
しかし、これらの発酵種を1次発酵や2次発酵前にパン生地に添加すると、発酵種がエタノールをパン生地中に持ち込み、エタノールのためにパン酵母による発酵(炭酸ガス発生)が阻害されてしまう問題があった。このエタノールによる発酵阻害の問題は生地中のエタノール濃度が7000ppm以上になると顕著に発生する。このため、エタノールを含有する発酵種を一定量以上パン生地に添加すると、パン生地が所望の体積まで膨らまずパンのボリュームが不足し、ソフトさを欠くパン品質となったり、膨らむために要する時間(ホイロ時間)が通常よりも延長したり、また、パン酵母の添加量を増やした場合にはパンに過度な酵母臭が付き、好ましい風味のバランスを損ねたりするので、従来は、風味付けを目的に十分量の発酵種をパン生地に配合して発酵種由来の風味を持ちながらソフトなパンを効率よく作製することが困難であった。
特許文献1では、麹とアルコールと酒粕を発酵させて製造した酒種は、発酵力が高く、パンに良好なボリュームと酒様の風味を付与できることが開示されている。しかし、高エタノール条件下で高発酵力を有するパン酵母については記載も示唆もされていない。
特開2013−153663号公報
本発明の目的は、エタノールを含有する発酵種を配合して発酵、焼成してなるパンにおいて製パン時のホイロ時間の延長やパンのボリューム不足がなく、発酵種由来の風味が強くてソフトなパンを作製可能なパン酵母、該酵母を含有するパン生地、該パン生地を焼成してなるパン、及び、パン酵母の製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高濃度のエタノールを含有する中糖生地、高糖生地、及び超高糖生地それぞれにおいて従来の菌株以上のガス発生量を示すパン酵母を使用すると、エタノールを含む発酵種を配合したパンにおいて、製パン時のホイロ時間の延長やパンのボリューム不足がなく、発酵種由来の風味が強くてソフトなパンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、配合1(強力粉:100重量部、上白糖:15重量部、食塩:1.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:58重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.82重量部)、条件1(3分間ミキシングして生地を得た後、該生地を38℃で1時間発酵)で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、配合2(強力粉:100重量部、上白糖:30重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:52重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.90重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、配合3(強力粉:100重量部、上白糖:40重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:47重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.94重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となることを特徴とするパン酵母に関する。好適な実施形態によると、前記パン酵母は、エタノール濃度が7000ppm以上のパン生地に対して用いられる。
本発明の第二は、サッカロミセス・セレビシエKCY1278(受領番号:NITE BP−02462)、サッカロミセス・セレビシエKCY1279(受領番号:NITE BP−02463)、又は、サッカロミセス・セレビシエKCY1280(受領番号:NITE BP−02464)である、パン酵母に関する。また、当該パン酵母が交雑育種、変異処理、または細胞融合されたパン酵母であって、配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となる、パン酵母にも関する。
本発明の第三は、前記パン酵母を含有するパン生地に関する。好適な実施形態によると、前記パン生地は、エタノール濃度が7000ppm以上である。
本発明の第四は、前記パン生地を加熱調理したパンに関する。
本発明の第五は、以下の工程を含むことを特徴とするパン酵母のスクリーニング方法に関する。配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となることを指標として、サッカロミセス・セレビシエに属するパン酵母(倍数体)を選択する。
本発明の第六は、パン酵母を製造する方法であって、パン酵母を交雑して複数株の交雑株を得る工程、及び、前記複数株の交雑株のなかから、以下の指標に沿ってパン酵母を選択する工程、を含む、方法に関する。配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となること。
本発明に従えば、エタノールを含有する発酵種を配合して発酵、焼成してなるパンにおいて製パン時のホイロ時間の延長やパンのボリューム不足がなく、発酵種由来の風味が強くてソフトなパンを作製可能なパン酵母、該酵母を含有するパン生地、該パン生地を焼成してなるパン、及び、パン酵母の製造方法を提供することができる。
また、本発明のパン酵母は、中糖生地、高糖生地、及び超高糖生地それぞれにおいて高発酵力を示し、各生地からボリュームが大きく、ソフトなパンを効率よく作製することができる。特に、本発明のパン酵母は、高濃度のエタノールを含む中種発酵後の中種生地に追加で添加することで、ボリュームが大きく、ソフトなパンを効率よく作製することを可能にする。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明のパン酵母は、表1に記載の配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、表1に記載の配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、表1に記載の配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となるものである。配合1〜3はいずれも、エタノールを10000ppm(w/w)という高濃度で含有するものである。このような高濃度のエタノールを含む生地において高発酵力を示すパン酵母は従来知られておらず、本発明のパン酵母は新規のものである。
Figure 2018207779
本発明のパン酵母は、上記ガス発生量の要件を満たす限り、天然由来の酵母であってもよいが、人工的に交雑育種、変異処理、または細胞融合された酵母が好ましく、交雑育種された酵母がより好ましい。本発明のパン酵母は、特に、交雑育種とスクリーニングを交互に行いながら得られたものであることが好ましい。
交雑育種、変異処理、または細胞融合を行なう対象のパン酵母は特に限定されず、天然由来の酵母であってもよいし、人工的な処理を行なって得られた酵母であってもよい。また、市販の酵母であってもよいし、後述する寄託菌株であってもよい。
本発明の好適な実施形態によると、本発明のパン酵母は、複数のパン酵母を交雑して複数株の交雑株を得る工程と、前記複数株の交雑株のなかから、特定の指標に沿ってパン酵母を選択する工程を含む方法によって製造されることが好ましい。より具体的な手順を説明すると、以下のスクリーニング工程(1)〜(3)を行なって製造されることが好ましい。
なお、本明細書において使用される用語については、以下に特に説明する場合を除いて、当分野で通常使用される用語の意味と同一である。本明細書において、糖配合割合を含め、製パン主副原料の配合割合(対粉、重量部)は、特に断りが無い限り、全生地中の小麦粉量100重量部に対する配合量(重量部)、所謂ベーカーズ%であり、該配合量を製パン主副原料の配合割合(重量部)とする。本発明において、高エタノール条件とは、具体的には、混捏直後の生地に対する、当該生地に含まれるエタノールの割合(w/w)が7000ppm以上の状態を示す。
(スクリーニング工程(1))
スクリーニング工程(1)では、胞子株(a)、胞子株(b)、及び胞子株(c)を得る。スクリーニング工程(1)で選択対象として用いる酵母は、自然界の土壌、河川、果実などから単離した酵母であってよく、また、このように単離した酵母から胞子株を取得し、これらを適宜組み合わせて、常法により交雑して得られる酵母であってもよい。また、市販の酵母であってもよいし、後述する寄託菌株であってもよい。さらに、後述する寄託菌株同士を交雑して得られる酵母であってもよいし、後述する寄託菌株と他の酵母を交雑して得られる酵母であってもよい。
胞子株(a)は、以下のようにして得る。即ち、表1に従って、配合1(強力粉:100重量部、上白糖:15重量部、食塩:1.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:58重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.82重量部、条件1(3分間ミキシングして生地を得た後、該生地を38℃で1時間発酵)で作製した生地50gあたりのガス発生量が160ml以上となることを指標として酵母(倍数体)を選択し、該酵母を胞子形成させ、該胞子を分離して胞子株(a)とする。
ガス発生量は、生地を発酵した時に発生するガス量を意味し、酵母の発酵力を示すものである。高濃度のエタノールを含有する生地によるガス発生量を測定することで、発酵種が添加され高エタノール条件下の生地での発酵機能を推測することが可能となる。本工程で、配合1、条件1で作製した中糖生地50gあたりのガス発生量が160ml以上であることを指標にすると、交雑育種による最終スクリーニング工程(3)で、前記ガス発生量が180ml以上を示し、高エタノール条件下での中糖生地発酵機能を有する酵母の取得が容易になる。
胞子株(b)は、以下のようにして得る。即ち、表1に従って、配合2(強力粉:100重量部、上白糖:30重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:52重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.90重量部)、前記条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が110ml以上となることを指標として酵母(倍数体)を選択し、該酵母を胞子形成させ、該胞子を分離して胞子株(b)とする。
本工程で、配合2、条件1で作製した高糖生地50gあたりのガス発生量が110ml以上であることを指標にすると、交雑育種による最終スクリーニング工程(3)で、前記ガス発生量が130ml以上を示し、高エタノール条件下での高糖生地発酵機能を有する酵母の取得が容易になる。
胞子株(c)は、以下のようにして得る。即ち、表1に従って、配合3(強力粉:100重量部、上白糖:40重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:47重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.94重量部)、前記条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が50ml以上となることを指標として酵母(倍数体)を選択し、該酵母を胞子形成させ、該胞子を分離して胞子株(c)とする。
本工程で、配合3、条件1で作製した超高糖生地50gあたりのガス発生量が50ml以上であることを指標にすると、交雑育種による最終スクリーニング工程(3)で、前記ガス発生量が70ml以上を示し、高エタノール条件下での超高糖生地発酵機能を有する酵母の取得が容易になる。
(スクリーニング工程(2))
スクリーニング工程(2)では、スクリーニング工程(1)で得た胞子株(b)及び胞子株(c)を用いて、胞子株(d)を得る。
具体的には、以下に示す方法で、胞子株(d)を得る。即ち、前記胞子株(b)と前記胞子株(c)を常法に従って交雑して複数の第一世代酵母(倍数体)を得る。これら第一世代酵母(倍数体)の中から、前記配合2、前記条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が125ml以上となり、且つ、前記配合3、前記条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が65ml以上となることを指標として酵母(倍数体)を選択し、該酵母を胞子形成させ、該胞子を分離して胞子株(d)とする。
本工程で、配合2、条件1で作製した高糖生地50gあたりのガス発生量が125ml以上であり、且つ、配合3、条件1で作製した超高糖生地50gあたりのガス発生量が65ml以上であることを指標にすると、交雑育種による最終スクリーニング工程(3)で、高エタノール条件下での高糖生地発酵機能と超高糖生地発酵機能を併せ持つ酵母の取得が容易になる。
(スクリーニング工程(3))
スクリーニング工程(3)では、スクリーニング工程(1)で得た胞子株(a)、及び、スクリーニング工程(2)で得た胞子株(d)を用いて、本発明のパン酵母を得る。
具体的には、まず、前記胞子株(a)と前記胞子株(d)を常法に従って交雑して複数の第二世代酵母(倍数体)を得る。これら第二世代酵母(倍数体)の中から、前記配合1、前記条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、且つ、前記配合2、前記条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、且つ、前記配合3、前記条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となることを指標として酵母(倍数体)を選択する。これにより、本発明のパン酵母を得ることができる。
本工程で、配合1、条件1で作製した中糖生地50gあたりのガス発生量が180ml以上であり、且つ、配合2、条件1で作製した高糖生地50gあたりのガス発生量が130ml以上であり、さらに、配合3、条件1で作製した超高糖生地50gあたりのガス発生量が70ml以上であることを指標にすると、高エタノール条件下の中糖生地、高糖生地及び超高糖生地において、既存の高発酵力を有する酵母を超える発酵力を有する酵母を取得することができる。
上記スクリーニング工程(1)〜(3)において、ガス発生量は、分割された生地20gが38℃で1時間発酵する時に発生するガス量を、ファーモグラフII(ATTO社製)を用いて測定し、得られた全ガス量の数値に2.5を乗じて、生地50gあたりの全ガス量を算出することができる。
上記において、水分65%湿菌体とは、水分が65%を占める湿菌体のことをいう。水分65%湿菌体である酵母は、次のようにして得ることができる。表2記載の組成の培地を大型試験管に5ml、500ml坂口フラスコに50ml分注し、オートクレーブ殺菌した後、培養に使用する。スラント保存している酵母を、大型試験管に1白金耳植菌し、30℃、1日間振とう培養後、500ml坂口フラスコに継植して、さらに30℃、1日間振とう培養する。このようにして作製した菌体を2000rpmで5分間遠心分離し、ヌッチェにより吸引脱水し湿菌体を得る。そして湿菌体の水分含量を測定し、該湿菌体を使用する際には、配合中の酵母の純分量が合うように湿菌体の使用量を調節する。
Figure 2018207779
以上のようにスクリーニング工程(1)〜(3)を経て得られるパン酵母は、配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上を示し、配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上を示し、さらに、配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上を示すパン酵母である。
以上のように本発明のパン酵母は、発酵阻害が惹起される高濃度エタノールを含有する中糖生地、高糖生地及び超高糖生地において高いガス発生量を示す。該パン酵母を用いることで、製パン時のホイロ時間の延長やパンのボリューム不足がなく、エタノール含有発酵種による風味の特徴が充分に出た、食感がソフトなパンを得ることができる。
以上では、本発明のパン酵母をスクリーニング工程(1)〜(3)を経て取得する実施形態を説明したが、本発明のパン酵母は以上のスクリーニング工程を経たものに限定されない。上述したように、配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上を示し、配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上を示し、さらに、配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上という機能を示せば、本発明のパン酵母に該当する。
本発明のパン酵母は、スクリーニング工程(1)および(2)を実施することなく、スクリーニング工程(3)のみを実施することでも取得可能である。スクリーニング工程(1)および(2)を実施しない場合、スクリーニング工程(3)で選択対象として使用する酵母は、上述したような胞子株(a)と胞子株(d)を常法に従って交雑して得られる第二世代酵母に限定されない。自然界の土壌、河川、果実などから単離した酵母であってよく、また、このように単離した酵母から胞子株を取得し、これらを適宜組み合わせて、常法により交雑して得られる酵母であってもよい。また、市販の酵母であってもよいし、後述する寄託菌株であってもよい。さらに、後述する寄託菌株同士を交雑して得られる酵母であってもよいし、後述する寄託菌株と他の酵母を交雑して得られる酵母であってもよい。しかし、スクリーニング工程(3)の前にスクリーニング工程(1)および(2)を実施することで、より確実に、本発明のパン酵母を取得することができる。
本発明のパン酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属するパン酵母を選択することが好ましく、サッカロミセス・セレビシエ KCY1278株、サッカロミセス・セレビシエ KCY1279株又はサッカロミセス・セレビシエ KCY1280株が得られている。前記KCY1278株、KCY1279株、KCY1280株はそれぞれ、サッカロミセス・セレビシエ「NITE BP−02462(2017年4月25日(原寄託日)に寄託されたNITE P−02462から移管。移管日:2018年4月17日)」、「NITE BP−02463(2017年4月25日(原寄託日)に寄託されたNITE P−02463から移管。移管日:2018年4月17日)」、「NITE BP−02464(2017年4月25日(原寄託日)に寄託されたNITE P−02464から移管。移管日:2018年4月17日)」として、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に寄託している。
本発明のパン酵母は、生イーストの形態であってもよいし、常法に従って、ドライイーストの形態に調製されたものであってもよい。
本発明のパン酵母は、酒種や老麺種などのエタノール含有発酵種を添加したパンを作製する際に好適に使用することができる。特に、エタノール含有発酵種が添加されることでパン生地に含まれるエタノールの割合(w/w)が7000ppm以上となり、従来はエタノールによる発酵阻害が問題となっていた高エタノール条件下のパン生地に対して、好適に使用することができる。ただし、本発明のパン酵母は、高濃度のエタノールを含むパン生地において高発酵力を有するため、エタノール含有発酵種が添加されていなくとも、パン生地に含まれるエタノールの割合(w/w)が7000ppm以上であるパン生地に対して好適に使用することができる。また、当該パン生地が、小麦粉100重量部に対して糖を15〜40重量部含有する生地である時、本発明の効果はより確実に達成される。
本発明のパン酵母は、1段階発酵で製パンするストレート法と、2段階発酵で製パンする中種法のいずれにおいても使用することができるが、中種法で好適に使用することができる。中種法では、まず、小麦粉総量の55〜75%と、パン酵母の全量又は一部、水の一部をミキシングして中種生地を作製し、これを所定時間発酵(中種発酵)させた後に、この中種生地に残りの材料を加えて再度ミキシング(本捏)し、再発酵させて、製パンを行なう。本発明のパン酵母は、エタノール耐性を示すため、高濃度のエタノールを含む中種発酵後の中種生地に追加で添加するパン酵母(追種)として好適に用いることができる。なお、中種法で発酵種を添加する場合、中種発酵後の中種生地に追加で該発酵種を添加することが好ましいが、これに限定されるものではない。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」や「%」は、特記がない場合、重量基準である。
<スクリーニング用菌体作製>
以下のスクリーニングで用いる水分65%湿菌体である酵母は、次のようにして得た。表2記載の組成の培地を大型試験管に5ml、500ml坂口フラスコに50ml分注し、オートクレーブ殺菌した後、培養に使用した。スラント保存している酵母を、大型試験管に1白金耳植菌し、30℃、1日間振とう培養後、500ml坂口フラスコに継植して、さらに30℃、1日間振とう培養した。このようにして作製した菌体を2000rpmで5分間遠心分離し、ヌッチェにより吸引脱水し湿菌体を得た。そして湿菌体の水分含量を測定し、該湿菌体を使用する際には、配合中の酵母の純分量が合うように該湿菌体の使用量を調節した。
<製パン用菌体作製>
実施例および比較例において、製パン試験に供するパン酵母を得るために、以下のように培養を行った。
(バッチ培養)
表2記載の組成の培地を大型試験管に5ml、500ml坂口フラスコに50ml分注し、オートクレーブ殺菌した後、培養に使用した。育種株1白金耳を大型試験管に全量植菌し、30℃、1日間振とう培養後、500ml坂口フラスコに継植して、さらに30℃、1日間振とう培養した。作製したバッチ培養菌体を以下の5Lジャーの種母培養に供した。なお、培地の調製の際に、糖は糖蜜を使用し、培地中の糖濃度が4%(w/v)分になるよう糖蜜の使用量を調整した。
(5Lジャー種母培養)
5Lジャーに表3記載の組成の培地2Lを入れて、オートクレーブ殺菌後、500ml坂口フラスコ5本分のバッチ培養菌体を植菌し、表4記載の条件で種母培養を行った。なお、培地の調製の際に、糖は糖蜜を使用し、培地中の糖濃度が4%(w/v)分になるよう糖蜜の使用量を調整した。
Figure 2018207779
Figure 2018207779
(5Lジャー本培養)
始発液として表5記載の組成の培地を使用し、これに、5Lジャーで培養した種母菌体を湿菌体として50g添加し、表6記載の条件で本培養を行った。本培養では、13時間培養を行い、糖は分割添加した。本培養終了後直ちに菌体を遠心分離し、ヌッチェにより吸引脱水して湿菌体を作製し、以下のスクリーニングに使用した。スクリーニングにおいて発酵力を評価する際には、次に記載する手法により、各パン生地からのガス発生量を測定した。
Figure 2018207779
Figure 2018207779
<ガス発生量測定>
小麦粉として日清製粉製の強力粉カメリヤを使用し、規定量の上白糖と水、食塩、エタノールを含む懸濁液を調製し、これらをパン酵母とともに混ぜ合わせてホバート卓上ミキサーで生地を3分間混捏した。混捏後生地20gのガス発生量を、ファーモグラフII(ATTO社製)を用いて38℃で1時間測定し、得られた全ガス量に2.5を乗じ、混捏後生地50gに相当する全ガス量を求め、そのガス量を各パン酵母のガス発生量とした。特に断りの無い限り、原料の配合割合(%)は、全生地中の小麦粉量100に対する重量割合、所謂ベーカーズ%とし、パン酵母量は、水分が65%を占める湿菌体に相当する量を示す。
また、以下の製パンに使用した材料について、小麦粉は強力粉「カメリヤ」(日清製粉社製)及び「オーション」(日清製粉社製)を使用し、イーストフードは「ニューフードC」(カネカ社製)、乳化剤は「パンマック200V」(理研ビタミン社製)、ショートニングは「スノーライト」(カネカ社製)を使用した。その他の製パン材料および製パン副原料は、一般小売店から入手可能なものを使用した。
実施例の製パン評価における酵母の使用量は、水分が65%を占める湿菌体の使用量として記載した。実際に使用する菌体の水分含量が65%と異なる場合には、配合中の酵母の純分量が一致するように該菌体の使用量を調整し、これと共に、水の添加量も該菌体の水分含量を考慮して調整した。
<ホイロガス発生量測定>
実施例で作製したミキシング終了後の生地20gのガス量を、ファーモグラフII(ATTO社製)を用いて38℃55分間測定し、得られた全ガス量に2.5を乗じて、生地50gあたりの全ガス量を算出した。これをホイロガス発生量とした。
<ホイロ時間測定>
実施例で作製した生地350gをワンローフ型に入れ、ホイロ発酵(温度39℃/湿度86%)させ、生地の膨張がワンローフの型上10mmに到達するのに要した時間を測定した。これをホイロ時間とした。
<パンの比容積測定>
実施例で作製した生地350gをワンローフ型に入れ、ホイロ発酵(温度39℃/湿度86%/55分)させ、焼成したパンを25℃で24時間保管した後に、当該パンの重量と体積をレーザー体積計(アステック社製)で測定した。得られた重量と体積からパンの比容積を算出した。
<パンの官能評価>
焼成後、袋に入れて密封し25℃で1日保存したワンローフを1.5cm幅にスライスしたものをサンプルとした。評価は10名で行い、各人がサンプルを食して、パンが呈する発酵種(酒種)由来の芳醇な酒様の風味、およびパンのソフトさを10点満点で評価し、その平均値を算出した。なお、前記風味の評価は、酒種を一般的な使用量(5%)で添加した比較例5のパンの風味を5点に設定した時の相対評価とし、前記ソフトさの評価は、同じく比較例5のパンのソフトさを5点に設定した時の相対評価とした。
(実施例1〜3) KCY1278株、KCY1279株、KCY1280株の取得
(スクリーニング用菌体の準備)
日本国内の土壌及び植物等から単離したSaccharomyces cerevisiae株(2倍体)(東北地方:380サンプル/1167分離菌、四国地方:236サンプル/695分離菌、中国地方347サンプル/468分離菌、九州地方:294サンプル/752分離菌、その他:55サンプル/111分離菌)から胞子株を取得し、その内ランダムに選択した数々の組合せで30種の交雑株を作製し、前記<スクリーニング用菌体作製>に従い培養し、水分65%湿菌体として酵母(倍数体)を得た。
(スクリーニング工程(1)−1:胞子株(a)の取得)
上記で得られた30種の酵母(倍数体)の中から、表1記載の配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が160ml以上であった酵母(倍数体)10株を選抜した。これらの酵母(倍数体)を同定したところ、いずれもサッカロミセス・セレビシエであり、特にガス発生量が186mlと高かった株をNITE BP−02461(KCY1275株)として、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に寄託した(2017年4月25日(原寄託日)に寄託されたNITE P−02461から移管。移管日:2018年4月17日)。選抜した10株の酵母(倍数体)をそれぞれ胞子形成させ、該胞子を分離して得られた合計40種の胞子株を胞子株(a)とした。
(スクリーニング工程(1)−2:胞子株(b)の取得)
前記スクリーニング用菌体の準備で得られた30種の酵母(倍数体)の中から、表1記載の配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が110ml以上であった酵母(倍数体)8株を選抜した。これら8株の内、1株は市販されているカネカ社製カネカイーストDR(商品名)であり、ガス発生量が133mlであった。これら8株のパン酵母(倍数体)をそれぞれ胞子形成させ、該胞子を分離して得られた32種の胞子株を胞子株(b)とした。
(スクリーニング工程(1)−3:胞子株(c)の取得)
前記スクリーニング用菌体の準備で得られた30種の酵母(倍数体)の中から、表1記載の配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が50ml以上であった酵母(倍数体)10株を選抜した。これら10株の内、1株は市販されているカネカ社製カネカイーストTR(商品名)であり、ガス発生量が60mlであった。これら10株のパン酵母(倍数体)をそれぞれ胞子形成させ、該胞子を分離して得られた40種の胞子株を胞子株(c)とした。
(スクリーニング工程(2):胞子株(d)の取得)
前記胞子株(b)と前記胞子株(c)を常法に従って交雑して30種の第一世代交雑株を得、それらを前記<スクリーニング用菌体作製>に従い培養し、水分65%湿菌体を得た。得られた30種の第一世代交雑株の中から、配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が125ml以上であり、且つ、配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が65ml以上となったパン酵母(倍数体)を7株選抜した。これら7株のパン酵母(倍数体)をそれぞれ胞子形成させ、該胞子を分離して得られた28種の胞子株を胞子株(d)とした。
(スクリーニング工程(3):KCY1278株、KCY1279株、KCY1280株の取得)
前記胞子株(a)と前記胞子株(d)を常法に従って交雑して20種の第二世代交雑株を得、前記<スクリーニング用菌体作製>に従い培養し、水分65%湿菌体を得た。得られた20種の第二世代交雑株の中から、配合1、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上であり、且つ、配合2、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上であり、さらに、配合3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となったパン酵母(倍数体)を複数得た。
そのうち3株を同定したところ、いずれもサッカロミセス・セレビシエであった。各株を、受領番号:NITE BP−02462(KCY1278株・実施例1)、受領番号:NITE BP−02463(KCY1279株・実施例2)、受領番号:NITE BP−02464(KCY1280株・実施例3)として独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に寄託した。
これらKCY1278株、KCY1279株、又はKCY1280株を用いて配合1〜3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量を表7に示した。
Figure 2018207779
(比較例1)KCY1275株
前記(スクリーニング工程(1)−1)で得たKCY1275株を用いて配合1〜3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量を表7に示した。
(比較例2)カネカ社製カネカイーストDR
前記(スクリーニング工程(1)−2)で得た、市販されているカネカ社製カネカイーストDRを用いて配合1〜3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量を表7に示した。
(比較例3)カネカ社製カネカイーストTR
前記(スクリーニング工程(1)−3)で得た、市販されているカネカ社製カネカイーストTRを用いて配合1〜3、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量を表7に示した。
以上の結果から、本発明のKCY1278株、KCY1279株、及びKCY1280株は、市販されているパン酵母に較べて、高濃度のエタノールを含有する中糖、高糖、及び超高糖配合生地で高いガス発生量を示し、エタノール存在下における発酵機能が高いといえる。
(実施例4−6)酒種15%添加製パン試験
上述したKCY1278株(実施例4)、KCY1279株(実施例5)、KCY1280株(実施例6)それぞれを用いて、表8記載の配合4、表9記載の工程によりパン生地を作製した。作製したパン生地のホイロガス発生量、及びホイロ時間、並びに、各パン生地を表9記載の条件で焼成して作製したパンの比容積(ボリューム)を測定し、結果を表10に示した。さらに官能評価として、パンの風味及びソフトさ(食感)を評価し、結果を表10に示した。
Figure 2018207779
Figure 2018207779
Figure 2018207779
(比較例4)酒種15%添加製パン試験
カネカ社製カネカイーストTRを用いて、表8記載の配合4、表9記載の工程によりパン生地を作製し、該パン生地を表9記載の条件で焼成してパンを作製した。実施例4〜6と同様の測定及び評価を行い、結果を表10に示した。
(比較例5) 酒種5%添加製パン試験
カネカ社製カネカイーストTRを用いて、酒種量を一般的な使用量に変更した表8記載の配合5、表9記載の工程によりパン生地を作製し、該パン生地を表9記載の条件で焼成してパンを作製した。実施例4〜6と同様の測定及び評価を行い、結果を表10に示した。
表10に示した結果から、一般的な使用量の3倍量の酒種を添加した条件(生地混捏直後のパン生地中のエタノール濃度は約10000ppm)で、本発明によるパン酵母(KCY1278株・実施例4、KCY1279株・実施例5、KCY1280株・実施例6)は、比較例4のカネカ社製カネカイーストTRに比べて、ホイロ時間が短く、パンのボリュームが大きく、食感もソフトとなり、優れたパン品質を示していることが分かる。
さらに、本発明によるパン酵母(KCY1278株・実施例4、KCY1279株・実施例5、KCY1280株・実施例6)を用いて、一般的な使用量の3倍量の酒種を添加して製造されたパン(パン生地中のエタノール濃度は約10000ppm)は、比較例5のカネカ社製カネカイーストTRを用いて一般的な使用量の酒種を添加して製造されたパン(パン生地中のエタノール濃度は約3500ppm)と比較しても、ホイロ時間の遅延がなく、パンのボリュームは遜色なく、風味を向上でき、食感がソフトな優れたパン品質を示していることが分かる。
すなわち、本発明によるパン酵母(KCY1278株、KCY1279株、KCY1280株)は、高濃度のエタノールが存在する生地条件下において、良好なパンの品質を示すため、エタノールを含有する発酵種を任意の量添加して、ボリュームが大きく、ソフトなパンを効率よく作製することを可能にする。また、本発明によるパン酵母は、高濃度のエタノールが存在する中糖生地、高糖生地、及び超高糖生地それぞれにおいて高発酵力を示し、各生地からボリュームが大きく、ソフトなパンを効率よく作製することが可能にする。

Claims (9)

  1. 配合1(強力粉:100重量部、上白糖:15重量部、食塩:1.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:58重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.82重量部)、条件1(3分間ミキシングして生地を得た後、該生地を38℃で1時間発酵)で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、
    配合2(強力粉:100重量部、上白糖:30重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:52重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.90重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、
    配合3(強力粉:100重量部、上白糖:40重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:47重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.94重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となることを特徴とするパン酵母。
  2. エタノール濃度が7000ppm以上のパン生地に対して用いられる、請求項1に記載のパン酵母。
  3. サッカロミセス・セレビシエKCY1278(受領番号:NITE BP−02462)、サッカロミセス・セレビシエKCY1279(受領番号:NITE BP−02463)、又は、サッカロミセス・セレビシエKCY1280(受領番号:NITE BP−02464)である、パン酵母。
  4. 請求項3に記載のパン酵母が交雑育種、変異処理、または細胞融合されたパン酵母であって、
    配合1(強力粉:100重量部、上白糖:15重量部、食塩:1.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:58重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.82重量部)、条件1(3分間ミキシングして生地を得た後、該生地を38℃で1時間発酵)で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、
    配合2(強力粉:100重量部、上白糖:30重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:52重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.90重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、
    配合3(強力粉:100重量部、上白糖:40重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:47重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.94重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となる、パン酵母。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のパン酵母を含有するパン生地。
  6. エタノール濃度が7000ppm以上である、請求項5に記載のパン生地。
  7. 請求項5又は6に記載のパン生地を加熱調理したパン。
  8. 以下の工程を含むことを特徴とするパン酵母のスクリーニング方法。
    配合1(強力粉:100重量部、上白糖:15重量部、食塩:1.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:58重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.82重量部)、条件1(3分間ミキシングして生地を得た後、該生地を38℃で1時間発酵)で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、
    配合2(強力粉:100重量部、上白糖:30重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:52重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.90重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、
    配合3(強力粉:100重量部、上白糖:40重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:47重量部、エタノール(99.5%(w/w):1.94重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となることを指標として、サッカロミセス・セレビシエに属するパン酵母(倍数体)を選択する。
  9. パン酵母を製造する方法であって、
    パン酵母を交雑して複数株の交雑株を得る工程、及び
    前記複数株の交雑株のなかから、以下の指標に沿ってパン酵母を選択する工程、を含む、方法。
    配合1(強力粉:100重量部、上白糖:15重量部、食塩:1.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:58重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.82重量部)、条件1(3分間ミキシングして生地を得た後、該生地を38℃で1時間発酵)で作製した生地50gあたりのガス発生量が180ml以上となり、
    配合2(強力粉:100重量部、上白糖:30重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:52重量部、エタノール(99.5%(w/w)):1.90重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が130ml以上となり、かつ、
    配合3(強力粉:100重量部、上白糖:40重量部、食塩:0.5重量部、パン酵母(水分65%湿菌体):4重量部、水:47重量部、エタノール(99.5%(w/w):1.94重量部)、条件1で作製した生地50gあたりのガス発生量が70ml以上となること。
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