JPWO2018179544A1 - 熱電変換モジュール及びその製造方法 - Google Patents

熱電変換モジュール及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

熱電性能が維持され、かつ絶縁性に優れた熱電変換モジュール、及びその製造方法を提供するものであり、P型熱電素子層とN型熱電素子層とが、面内方向に交互に隣接し直列に配置された熱電素子層の少なくとも一方の面に、絶縁層を介して放熱層を含む熱電変換モジュールであって、前記絶縁層の23℃における弾性率が0.1〜500GPaである、熱電変換モジュール、及びその製造方法である。

Description

本発明は、熱電変換モジュール及びその製造方法に関する。
従来から、熱電変換を利用したエネルギー変換技術として、熱電発電技術及びペルチェ冷却技術が知られている。熱電発電技術は、ゼーベック効果による熱エネルギーから電気エネルギーへの変換を利用した技術であり、この技術は、特にビル、工場等で使用される化石燃料資源等から発生する未利用の廃熱エネルギーを電気エネルギーとして、しかも動作コストを掛ける必要なく、回収できる省エネルギー技術として大きな脚光を浴びている。これに対し、ペルチェ冷却技術は、熱電発電の逆で、ペルチェ効果による電気エネルギーから熱エネルギーへの変換を利用した技術であり、この技術は、例えば、ワインクーラー、小型で携帯が可能な冷蔵庫、またコンピュータ等に用いられるCPU用の冷却、さらに光通信の半導体レーザー発振器の温度制御等の精密な温度制御が必要な部品や装置に用いられている。
このような熱電変換を利用した熱電変換モジュールにおいては、熱電素子層に対する放熱層として導電性を有する高熱伝導層を設けることがあり、熱電素子層との絶縁性が不十分である場合、すなわち、製造時若しくはハンドリングを含め使用時に、それらと熱電素子層との間で短絡が発生し、熱電性能が低下、又は熱電変換モジュールとして機能しなくなるという問題がある。また、熱電変換モジュールの被設置面(外部排熱面や廃熱面等)が、例えば、導電性部位を有し、湾曲した面及び/又は凹凸を有する面等である場合、設置時に又は長期間使用時に、それらと熱電素子層との間で短絡が発生し、結果として、熱電変換モジュールの放熱層が導電性を有さなくても、前記と同様の問題が生じる場合がある。
特許文献1では、インプレーン型熱電変換素子に、粘着層を介して高熱伝導層が積層されたフレキシブル熱電変換素子が開示されている。
特願2017−013006号公報
しかしながら、特許文献1は、粘着層の弾性率が十分でない可能性があり、金属からなる高熱伝導層が、製造時又はハンドリングを含め使用時等に、粘着剤層を突き破り、それらと熱電素子層との間で短絡が発生し、熱電性能が低下、又はフレキシブル熱電変換素子として機能しなくなる恐れがある。また、前記フレキシブル熱電変換素子を、導電性部位を有した前記被設置面等に設置した場合でも、同様の問題が発生する恐れがある。
本発明は、上記問題を鑑み、熱電性能が維持され、かつ絶縁性に優れた熱電変換モジュール、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱電素子層と放熱層との間に特定の範囲の弾性率を有する絶縁層を介在させることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(10)を提供するものである。
(1)P型熱電素子層とN型熱電素子層とが、面内方向に交互に隣接し直列に配置された熱電素子層の少なくとも一方の面に、絶縁層を介して放熱層を含む熱電変換モジュールであって、前記絶縁層の23℃における弾性率が0.1〜500GPaである、熱電変換モジュール。
(2)前記絶縁層が、樹脂、又は無機材料である、上記(1)に記載の熱電変換モジュール。
(3)前記絶縁層の厚さが、1〜150μmである、上記(1)又は(2)に記載の熱電変換モジュール。
(4)前記熱電素子層の一方の面に絶縁層を介して放熱層を含み、他方の面に基板を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(5)前記基板の、前記熱電素子層とは反対側の面に、さらに放熱層を含む、上記(4)に記載の熱電変換モジュール。
(6)前記放熱層が、金属材料、セラミック材料、金属材料と樹脂との混合物、及びセラミック材料と樹脂との混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(7)前記放熱層の熱伝導率が5〜500W/(m・K)である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(8)前記基板がフィルム基板である、上記(4)又は(5)に記載の熱電変換モジュール。
(9)前記熱電変換モジュールが、被覆層を含む、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の熱電変換モジュールの製造方法であって、前記熱電素子層を形成する工程、前記絶縁層を形成する工程、及び前記放熱層を形成する工程を含み、前記絶縁層の23℃における弾性率が0.1〜500GPaである、熱電変換モジュールの製造方法。
本発明によれば、熱電性能が維持され、かつ絶縁性に優れた熱電変換モジュール、及びその製造方法を提供することができる。
本発明の熱電変換モジュールの実施態様を示す断面図である。 本発明の実施例に用いた熱電変換モジュールの断面図である。 本発明の熱電変換モジュールの他の実施態様を示す断面図である。 本発明の実施例に用いた熱電変換モジュールの一部を構成する基板上の電極及び熱電素子の配置の一例を示す平面図である。
[熱電変換モジュール]
本発明の熱電変換モジュールは、P型熱電素子層とN型熱電素子層とが、面内方向に交互に隣接し直列に配置された熱電素子層の少なくとも一方の面に、絶縁層を介して放熱層を含む熱電変換モジュールであって、前記絶縁層の23℃における弾性率が0.1〜500GPaである、熱電変換モジュールである。
特定の弾性率を有する絶縁層を、熱電素子層の少なくとも一方の面に配置することにより、熱電性能を低下させることなく、熱電素子層と、放熱層の導電性部位との短絡及び/又は熱電変換モジュールの被設置面の導電性部位等との短絡を抑制することができる。
本発明の熱電変換モジュールを、図面を使用して説明する。
図1は、本発明の熱電変換モジュールの実施態様示す断面図である。熱電変換モジュール1Aは、P型熱電素子層5とN型熱電素子層4とが面内方向に交互に隣接して直列に配置されてなる熱電素子層6の一方の面に絶縁層9、放熱層8aをこの順に含む。
図2は、本発明の実施例に用いた熱電変換モジュールの断面図である。熱電変換モジュール1Bは、電極3を有する基板2の面上に、熱電素子層6、被覆層7、絶縁層9、被覆層7及び放熱層8aをこの順に含み、さらに基板2の、熱電素子層6とは反対側の面に被覆層7、放熱層8bを含む。
図3は、本発明の熱電変換モジュールの他の実施態様示す断面図である。熱電変換モジュール1Cは、電極3を有する基板2の面上に、熱電素子層6、被覆層7をこの順に含み、さらに絶縁層9で被覆された放熱層8aを含む。
本発明の熱電変換モジュールは、図1で示したように、P型熱電素子層とN型熱電素子層とが、面内方向に交互に隣接し直列に配置された熱電素子層の少なくとも一方の面に、絶縁層を介して放熱層を含む。
熱電素子層の一方の面に絶縁層を介して放熱層を含み、他方の面に基板を有することが好ましい。また、熱電性能の観点から、前記基板の、前記熱電素子層とは反対側の面に、さらに放熱層を含むことがより好ましい。
<絶縁層>
本発明の熱電変換モジュールは、絶縁層を含む。本発明に用いる絶縁層は、熱電素子層と、放熱層の導電性部位との短絡及び/又は熱電変換モジュールの被設置面上の導電性部位等との短絡を抑制することができる。
本発明に用いる絶縁層は、熱電素子層と放熱層の間に配置されるが、この間に配置されれば、特に限定されず、熱電性能を維持できれば、熱電素子層に直接接していてもよいし、後述する被覆層を介していてもよい。また、放熱層と直接接していてもよいし、被覆層を介していてもよい。図3に示したように、放熱層を覆っていてもよい。さらに、被覆層に挟まれて配置されてもよいし、2種以上配置されてもよい。
絶縁層は、接着性を有していてもよい。接着性を有することで、絶縁層を他の層に積層、また他の層を絶縁層に積層すること等が容易になる。
絶縁層の23℃における弾性率は、0.1〜500GPaである。弾性率が0.1GPa未満であると、絶縁層の強度が低下し、放熱層が絶縁層を貫通しやすくなり、放熱層が導電部位を有する場合、熱電素子層と短絡しやすくなる。また、弾性率が500GPa超であると、折り曲げた場合に、クラック等の発生、また屈曲性の低下につながる。絶縁層の23℃における弾性率は、好ましくは0.1〜400GPaであり、より好ましくは0.1〜100GPaであり、さらに好ましくは0.1〜10GPaである。弾性率が上記の範囲にあると、放熱層の導電部位と熱電素子層との短絡が抑制され、熱電性能が維持される。また、熱電変換モジュールの被設置面が導電部位を有する場合も、上記と同様である。
絶縁層としては、絶縁性を有し弾性率が本発明の規定の範囲にあれば特に限定されないが、好ましくは、樹脂、又は無機材料であり、屈曲性の観点からは、樹脂がより好ましい。
樹脂としては、特に制限されないが、樹脂フィルム等が挙げられる。
樹脂フィルムに使用される樹脂としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ナイロン、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族系重合体等が挙げられる。
これらの中で、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート等が挙げられる。シクロオレフィン系ポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。
樹脂フィルムに使用される樹脂の中で、コスト、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロンが好ましい。
また、樹脂には弾性率の制御、熱伝導率の制御の観点からフィラーが含まれていてもよい。
樹脂フィルムに添加されるフィラーとしては、酸化マグネシウム、無水炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、酸化ケイ素等挙げられる。この中で、弾性率制御、熱伝導率等の観点から酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、酸化ケイ素が好ましい。
無機材料としては、特に限定されず、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化珪素等が挙げられる。この中で、コスト、安定性、入手の容易さの観点から、酸化珪素、酸化アルミニウムが好ましい。
前記絶縁層の厚さは、好ましくは1〜150μm、より好ましくは2〜140μm、さらに好ましくは3〜120μm、特に好ましくは5〜100μmである。絶縁層の弾性率が本発明の範囲にあり、かつ絶縁層の厚さがこの範囲にあると、放熱層の導電部位が絶縁層を貫通しにくくなり、熱電素子層との短絡が抑制され、かつ熱電性能が維持される。また、熱電変換モジュールの被設置面が導電部位を有する場合も、上記と同様である。
絶縁層は、絶縁性を担保する点から、体積抵抗率は、好ましくは1×10Ω・cm以上、より好ましくは1×10Ω・cm以上、さらに好ましくは1.0×1010Ω・cm以上である。
なお、体積抵抗率は、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、MCP−HT450)により、絶縁層を23℃50%RHの環境に一日放置後に測定した値である。
<放熱層>
本発明の熱電変換モジュールは、熱電素子層の少なくとも一方の面に、絶縁層を介して放熱層を含む。また、放熱層と絶縁層とは直接接していてもよいし、後述する被覆層を介していてもよい。
本発明に用いる放熱層は、特に、面内方向に配置された熱電素子層間に効率良く温度差を付与することができる。
本発明に用いる放熱層の配置は、特に限定されないが、用いる熱電変換モジュールの熱電素子層、すなわち、P型熱電素子層とN型熱電素子層の配置及びそれらの形状により、適宜調整する必要がある。本発明では、P型熱電素子層とN型熱電素子層との配置が、例えば、図2に示したように、いわゆるインプレーン型であることから、被覆層7の表面の面内方向に放熱層8a、8bのように配置される。この場合、熱電素子層の面内方向に、温度差を付与することができる。前記放熱層が位置する割合が、1対のP型熱電素子層とN型熱電素子層とからなる直列方向の全幅に対し、0.30〜0.70であることが好ましく、0.40〜0.60がより好ましく、0.48〜0.52がさらに好ましく、特に好ましくは、0.50である。この範囲にあると、熱を特定の方向に選択的に放熱することができ、面内方向に効率よく温度差を付与できる。さらに、上記を満たし、かつ直列方向の1対のP型熱電素子層とN型熱電素子層とからなる接合部に対称に配置することが好ましい。
本発明に用いる放熱層は、熱電性能の観点から高熱伝導性材料を用い形成される。放熱層を形成する方法としては、特に制限されないが、シート状の高熱伝導性材料を、事前にフォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法が挙げられる。
放熱層の材料としては、金属材料、セラミック材料、炭素繊維等の炭素系材料、又は、これらの材料と樹脂との混合物が挙げられる。この中で、放熱層は、金属材料、セラミック材料、金属材料と樹脂との混合物、及びセラミック材料と樹脂との混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、金属材料及びセラミック材料からなる群から選ばれる少なくとも一種であることがさらに好ましい。
金属材料としては、金、銀、銅、ニッケル、スズ、鉄、クロム、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、インジウム、亜鉛、モリブデン、マンガン、チタン、アルミニウム等の単金属、ステンレス、真鍮(黄銅)等のような2種以上の金属を含む合金等が挙げられる。
セラミック材料としては、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
この中で、高熱伝導率、加工性、屈曲性の観点から、金属材料が好ましい。金属材料の中で、好ましくは銅(無酸素銅含む)、ステンレスであり、熱伝導率が高く、加工性がさらに容易であることから、銅がより好ましい。
樹脂としては、前述の樹脂を用いることができる。
ここで、本発明に用いられる高熱伝導率を有する金属材料の代表的なものを以下に示す。
・無酸素銅
無酸素銅(OFC:Oxygen−Free Copper)とは、一般的に酸化物を含まない99.95%(3N)以上の高純度銅のことを指す。日本工業規格では、無酸素銅(JIS H 3100, C1020)および電子管用無酸素銅(JIS H 3510, C1011)が規定されている。
・ステンレス(JIS)
SUS304:18Cr−8Ni(18%のCrと8%のNiを含む)
SUS316:18Cr−12Ni(18%のCrと12%のNi、モリブデン(Mo)を含む)ステンレス鋼)
放熱層の熱伝導率は好ましくは、5〜500W/(m・K)であり、より好ましくは、12〜450W/(m・K)であり、さらに好ましくは15〜420W/(m・K)である。放熱層の熱伝導率が上記の範囲にあると、効率よく温度差を付与することができる。
放熱層の厚さは、40〜550μmが好ましく、60〜530μmがより好ましく、80〜510μmがさらに好ましい。放熱層の厚さがこの範囲であれば、熱を特定の方向に選択的に放熱することができ、P型熱電素子層とN型熱電素子層とが、電極を介し面内方向に交互に隣接し直列に配置された熱電素子層の面内方向に、効率よく温度差を付与することができる。
<被覆層>
本発明の熱電変換モジュールは、熱電素子層の少なくとも一方の面に、被覆層を含むことが好ましい。被覆層として、特に制限されないが、封止層、ガスバリア層等が挙げられる。なお、本明細書では、被覆層は、放熱層を被覆する絶縁層とは区別される。
〈封止層〉
本発明の熱電変換モジュールは、被覆層として封止層を含んでいてもよい。封止層は、大気中の水蒸気の透過を効果的に抑制することができる。
封止層は、熱電素子層上に直接、または基板を介して積層されていてもよいし、後述するガスバリア層、絶縁層を介し積層されていてもよい。
本発明に用いる封止層を構成する主成分は、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、又はアクリル系樹脂であることが好ましい。
また、封止層が粘接着性を有する封止剤(以下、「封止剤組成物」ということがある。)からなることが好ましい。本明細書において、粘接着性を有するとは、封止剤が、粘着性、接着性、貼り付ける常態において粘着性を有し、その後エネルギーの付加により接着し硬化するを意味する。封止層を用いることで容易に熱電素子層に積層することができる。また、前記絶縁層、前記放熱層、後述するガスバリア層、等への貼付も容易となる。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴム(以下、「ジエン系ゴム」ということがある。)、又は、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴム及びカルボン酸系官能基を有しないゴム系重合体(以下、「ゴム系重合体」ということがある。)が挙げられる。
ジエン系ゴムは、主鎖末端及び/又は側鎖にカルボン酸系官能基を有する重合体で構成されるジエン系ゴムである。ここで、「カルボン酸系官能基」とは、「カルボキシル基またはカルボン酸無水物基」をいう。また、「ジエン系ゴム」とは、「ポリマー主鎖に二重結合を有するゴム状高分子」をいう。
ジエン系ゴムは、カルボン酸系官能基を有するジエン系ゴムであれば、特に限定されない。
ジエン系ゴムとしては、カルボン酸系官能基含有ポリブタジエン系ゴム、カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴム、カルボン酸系官能基を含有するブタジエンとイソプレンの共重合体ゴム、カルボン酸系官能基を含有するブタジエンとn−ブテンの共重ゴム等が挙げられる。これらの中でも、ジエン系ゴムとしては、架橋後に十分に高い凝集力を有する封止層を効率よく形成し得るという観点から、カルボン酸系官能基含有ポリイソプレン系ゴムが好ましい。
ジエン系ゴムは、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ジエン系ゴム、例えば、カルボキシル基を有する単量体を用いて共重合反応を行う方法や、特開2009−29976号公報に記載される、ポリブタジエン等の重合体に無水マレイン酸を付加させる方法により、得ることができる。
ジエン系ゴムの配合量は、封止剤組成物中、好ましくは0.5〜95.5質量%、より好ましくは、1.0〜50質量%、さらに好ましくは2.0〜20質量%である。ジエン系ゴムの配合量が、封止剤組成物中、0.5質量%以上であることで、十分な凝集力を有する封止層を効率よく形成することができる。また、ジエン系ゴムの配合量を高くし過ぎないことで、十分な粘着力を有する封止層を効率よく形成することができる。
本発明に用いる架橋剤は、ジエン系ゴムのカルボン酸系官能基と反応し、架橋構造を形成し得る化合物である。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
ゴム系重合体は、「25℃においてゴム弾性を示す樹脂」をいう。ゴム系重合体は、ポリメチレンタイプの飽和主鎖をもつゴムや主鎖に不飽和炭素結合をもつゴムであることが好ましい。
このようなゴム系重合体としては、具体的には、イソブチレンの単独重合体(ポリイソブチレン、IM)、イソブチレンとn−ブテンの共重合体、天然ゴム(NR)、ブタジエンの単独重合体(ブタジエンゴム、BR)、クロロプレンの単独重合体(クロロプレンゴム、CR)、イソプレンの単独重合体(イソプレンゴム、IR)、イソブチレンとブタジエンの共重合体、イソブチレンとイソプレンの共重合体(ブチルゴム、IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、スチレンと1,3−ブタジエンの共重合体(スチレンブタジエンゴム、SBR)、アクリロニトリルと1,3−ブタジエンの共重合体(ニトリルゴム)、スチレン−1,3−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体等が挙げられる。これらの中で、それ自体が水分遮断性に優れるとともに、ジエン系ゴム(A)と混ざり易く、均一な封止層を形成し易いという観点から、イソブチレンの単独重合体、イソブチレンとn−ブテンの共重合体、イソブチレンとブタジエンの共重合体、イソブチレンとイソプレンの共重合体等のイソブチレン系重合体が好ましく、イソブチレンとイソプレンの共重合体がより好ましい。
ゴム系重合体を配合する場合、その配合量は、封止剤組成物中、好ましくは0.1質量%〜99.5質量%、より好ましくは10〜99.5質量%、さらに好ましくは50〜99.0質量%、特に好ましくは80〜98.0質量%である。
エポキシ系樹脂としては、特に制限されないが、分子内に少なくともエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ基を2つ以上有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、2,2−ビス(3−グリシジル−4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、ジメチロールトリシクロデカンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの多官能エポキシ化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多官能エポキシ化合物の分子量の下限は、好ましくは700以上、より好ましくは1,200以上である。多官能エポキシ化合物の分子量の上限は、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,500以下である。
多官能エポキシ化合物のエポキシ当量は、好ましくは100g/eq以上500g/eq以下、より好ましくは150g/eq以上300g/eq以下である。
封止剤組成物中のエポキシ系樹脂の含有量は、好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。
アクリル系樹脂としては、特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が好ましい。
この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレートn−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体は、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するエチレン性単量体であり、好ましくはヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物、カルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が用いられる。このような架橋性官能基含有エチレン性単量体の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられる。上記の架橋性官能基含有エチレン性単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
必要に応じて用いられる他の単量体としては、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどの脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上の(メタ)アクリル酸エステル、及び必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体を、それぞれ所定の割合で用い、従来公知の方法を用いて共重合を行い、重量平均分子量が、好ましくは30万〜150万程度、より好ましくは35万〜130万程度の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
必要に応じて用いられる架橋剤としては、従来アクリル系樹脂において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が、架橋性官能基としてヒドロキシ基を有する場合には、ポリイソシアネート化合物が好ましく、一方カルボキシル基を有する場合には、金属キレート化合物やエポキシ化合物が好ましい。
封止剤組成物中のアクリル系樹脂の含有量は、好ましくは30〜95質量%、さらに好ましくは40〜90質量%である。
封止層を構成する封止剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分が含まれていてもよい。封止剤に含まれ得るその他の成分としては、例えば、高熱伝導性材料、難燃剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤、消泡剤、及び濡れ性調整剤などが挙げられる。
封止層は、1層であっても2層以上積層されていてもよい。また、2層以上積層される場合は、それらが同じであっても異なっていてもよい。
封止層の厚さは、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは3〜50μm、さらに好ましくは5〜30μmである。この範囲であれば、前記熱電変換モジュールの熱電素子層の面上に積層した場合、水蒸気透過率を抑制することができ、熱電変換モジュールの耐久性が向上する。
さらに、前述したように、熱電素子層と、封止層とが直接接することが好ましい。熱電素子層と、封止層とが直接接することにより、熱電素子層と封止層との間に大気中の水蒸気が直接存在することがないため、熱電素子層の水蒸気への侵入が抑制され、封止層の封止性が向上する。
〈ガスバリア層〉
本発明の熱電変換モジュールは、被覆層としてさらにガスバリア層を含んでいてもよい。ガスバリア層は、大気中の水蒸気の透過を効果的に抑制することができる。
ガスバリア層は、熱電素子層上に直接積層されていてもよいし、基材上に後述する主成分を含む層から構成され、そのいずれかの面が熱電素子層上に直接積層されてもよいし、封止層、絶縁層を介し積層されていてもよい。
本発明に用いるガスバリア層は、金属、無機化合物、及び高分子化合物からなる群から選ばれる一種以上を主成分とする。ガスバリア層によって、熱電変換モジュールの耐久性を向上させることができる。
前記基材としては、屈曲性を有するものが用いられ、例えば、前述した絶縁層に用いられる樹脂を用いることができる。また、好ましい樹脂も同様である。
金属としては、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、金、銀、銅及び錫等が挙げられ、これらを蒸着膜として用いることが好ましい。これらの中で、生産性、コスト、ガスバリア性の観点から、アルミニウム、ニッケルが好ましい。また、これらは1種単独で、あるいは合金を含め、2種以上を組み合わせて用いることができる。前記蒸着膜は、通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の蒸着法を用いてもよいし、蒸着法以外のDCスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法等のスパッタリング法、またプラズマCVD法等の他の乾式法で成膜してもよい。なお、金属の蒸着膜等は、通常、導電性を有するため、前記基材等を介して熱電素子層に積層される。
無機化合物としては、無機酸化物(MO)、無機窒化物(MN)、無機炭化物(MC)、無機酸化炭化物(MO)、無機窒化炭化物(MN)、無機酸化窒化物(MO)、及び無機酸化窒化炭化物(MO)等が挙げられる。ここで、x、y、zは、各化合物の組成比を表す。前記Mとしては、珪素、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、カルシウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素、ハフニウム、又はバリウム等の金属元素が挙げられる。Mは1種単独でもよいし2種以上の元素であってもよい。各無機化合物は、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の窒化物;炭化珪素等の炭化物;硫化物;等を挙げることができる。また、これらの無機化合物から選ばれた2種以上の複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物)であってもよい。また、SiOZnのように金属元素を2種以上含む複合体(酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物、酸化窒化炭化物も含む)であってもよい。これらは、蒸着膜として用いることが好ましいが、蒸着膜として成膜できない場合は、DCスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の方法で成膜したものでもよい。
Mとしては、珪素、アルミニウム、チタン等の金属元素が好ましい。特にMが珪素の酸化珪素からなる無機層は、高いガスバリア性を有し、また、窒化珪素からなる無機層はさらに高いガスバリア性を有する。特に酸化珪素と窒化珪素の複合体(無機酸化窒化物(MO))であることが好ましく、窒化珪素の含有量が多いとガスバリア性が向上する。
なお、無機化合物の蒸着膜は、通常、絶縁性を有する場合が多いが、酸化亜鉛、酸化インジウム等、導電性を有するものも含まれる。この場合、これらの無機化合物を熱電素子層に積層する場合、前述した基材を介して積層するか、熱電変換モジュールの性能に影響を与えない範囲で使用することになる。
高分子化合物としては、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザン系化合物等の珪素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
これらの中でも、ガスバリア性を有する高分子化合物としては、珪素含有高分子化合物が好ましい。珪素含有高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、及びポリオルガノシロキサン系化合物等が好ましい。これらの中でも、優れたガスバリア性を有するバリア層を形成できる観点から、ポリシラザン系化合物がより好ましい。
また、無機化合物の蒸着膜、またはポリシラザン系化合物を含む層に改質処理を施して形成された酸素、窒素、珪素を主構成原子として有する層からなる酸窒化珪素層が、層間密着性、ガスバリア性、及び屈曲性を有する観点から、好ましく用いられる。
ガスバリア層は、例えば、ポリシラザン化合物含有層に、プラズマイオン注入処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、熱処理等を施すことにより形成できる。プラズマイオン注入処理により注入されるイオンとしては、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、及びクリプトン等が挙げられる。
プラズマイオン注入処理の具体的な処理方法としては、外部電界を用いて発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ポリシラザン化合物含有層に対して注入する方法、または、外部電界を用いることなく、ガスバリア層形成用材料からなる層に印加する負の高電圧パルスによる電界のみで発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ポリシラザン化合物含有層に注入する方法が挙げられる。
プラズマ処理は、ポリシラザン化合物含有層をプラズマ中に晒して、含ケイ素ポリマーを含有する層を改質する方法である。例えば、特開2012−106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。紫外線照射処理は、ポリシラザン化合物含有層に紫外線を照射して含ケイ素ポリマーを含有する層を改質する方法である。例えば、特開2013−226757号公報に記載の方法に従って、紫外線改質処理を行うことができる。
これらの中でも、ポリシラザン化合物含有層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成できることから、イオン注入処理が好ましい。
金属、無機化合物及び高分子化合物を含む層の厚さは、用いる化合物等で異なるが、通常、0.01〜50μm、好ましくは0.03〜10μm、より好ましくは0.05〜0.8μm、さらに好ましくは0.10〜0.6μmである。金属、無機化合物及び樹脂を含む厚さが、この範囲であれば、水蒸気透過率を効果的に抑制できる。
前記金属、無機化合物及び高分子化合物の、基材を有するガスバリア層の厚さは、10〜80μmであることが好ましく、より好ましくは、15〜50μm、さらに好ましくは20〜40μmである。ガスバリア層の厚さがこの範囲にあると、優れたガスバリア性が得られるとともに、屈曲性と、被膜強度とを両立させることができる。
ガスバリア層は、1層であっても2層以上積層されていてもよい。また、2層以上積層される場合は、それらが同じであっても異なっていてもよい。
〈基板〉
本発明に用いる熱電変換モジュールの基板としては、特に制限されないが、熱電素子層の電気伝導率の低下、熱伝導率の増加に影響を及ぼさないフィルム基板を用いることが好ましい。なかでも、屈曲性に優れ、後述する熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、基板が熱変形することなく、熱電素子層の性能を維持することができ、耐熱性及び寸法安定性が高いという点から、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムが好ましく、さらに、汎用性が高いという点から、ポリイミドフィルムが特に好ましい。
前記基板の厚さは、屈曲性、耐熱性及び寸法安定性の観点から、1〜1000μmが好ましく、10〜500μmがより好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
また、上記フィルムは、分解温度が300℃以上であることが好ましい。
〈電極層〉
本発明に用いる電極層は、後述する熱電素子層を構成するP型熱電素子層とN型熱電素子層との電気的な接続を行うために設けられる。電極材料としては、金、銀、ニッケル、銅又はこれらの合金等が挙げられる。
前記電極層の厚さは、好ましくは10nm〜200μm、より好ましくは30nm〜150μm、さらに好ましくは50nm〜120μmである。電極層の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり熱電素子層のトータルの電気抵抗値を低く抑えられる。また、電極として十分な強度が得られる。
〈熱電素子層〉
本発明に用いる熱電変換モジュールの熱電素子層は、前述したように、該熱電素子層が、P型熱電素子層とN型熱電素子層とを含み、前記P型熱電素子層と前記N型熱電素子層とが面内方向に交互に隣接し直列に配置され、電気的にも直列接続となるように構成される熱電素子層である。さらに、P型熱電素子層とN型熱電素子層との接続は、接続の安定性、熱電性能の観点から導電性の高い金属材料等から形成される前述した電極層を介してもよい。
本発明に用いる熱電素子層は、基板上に、熱電半導体微粒子、耐熱性樹脂、並びに、イオン液体及び無機イオン性化合物の一方又は双方を含む熱電半導体組成物からなる層であることが好ましい。
(熱電半導体微粒子)
熱電素子層に用いる熱電半導体微粒子は、熱電半導体材料を、微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕することが好ましい。
本発明に用いるP型熱電素子層及びN型熱電素子層を構成する材料としては、温度差を付与することにより、熱起電力を発生させることができる材料であれば特に制限されず、例えば、P型ビスマステルライド、N型ビスマステルライド等のビスマス−テルル系熱電半導体材料;GeTe、PbTe等のテルライド系熱電半導体材料;アンチモン−テルル系熱電半導体材料;ZnSb、ZnSb2、ZnSb等の亜鉛−アンチモン系熱電半導体材料;SiGe等のシリコン−ゲルマニウム系熱電半導体材料;BiSe等のビスマスセレナイド系熱電半導体材料;β―FeSi、CrSi、MnSi1.73、MgSi等のシリサイド系熱電半導体材料;酸化物系熱電半導体材料;FeVAl、FeVAlSi、FeVTiAl等のホイスラー材料、TiS等の硫化物系熱電半導体材料等が用いられる。
これらの中でも、本発明に用いる前記熱電半導体材料は、P型ビスマステルライド又はN型ビスマステルライド等のビスマス−テルル系熱電半導体材料であることが好ましい。
前記P型ビスマステルライドは、キャリアが正孔で、ゼーベック係数が正値であり、例えば、BiTeSb2−Xで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Xは、好ましくは0<X≦0.8であり、より好ましくは0.4≦X≦0.6である。Xが0より大きく0.8以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、p型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
また、前記N型ビスマステルライドは、キャリアが電子で、ゼーベック係数が負値であり、例えば、BiTe3−YSeで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Yは、好ましくは0≦Y≦3(Y=0の時:BiTe)であり、より好ましくは0<Y≦2.7である。Yが0以上3以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、n型熱電変換材料としての特性が維持されるので好ましい。
熱電半導体微粒子の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは、30〜99質量%である。より好ましくは、50〜96質量%であり、さらに好ましくは、70〜95質量%である。熱電半導体微粒子の配合量が、上記範囲内であれば、ゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が大きく、また電気伝導率の低下が抑制され、熱伝導率のみが低下するため高い熱電性能を示すとともに、十分な皮膜強度、屈曲性を有する膜が得られ好ましい。
熱電半導体微粒子の平均粒径は、好ましくは、10nm〜200μm、より好ましくは、10nm〜30μm、さらに好ましくは、50nm〜10μm、特に好ましくは、1〜6μmである。上記範囲内であれば、均一分散が容易になり、電気伝導率を高くすることができる。
前記熱電半導体材料を粉砕して熱電半導体微粒子を得る方法は特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、エッジミル、製粉ミル、ハンマーミル、ペレットミル、ウィリーミル、ローラーミル等の公知の微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕すればよい。
なお、熱電半導体微粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分析装置(CILAS社製、1064型)にて測定することにより得られ、粒径分布の中央値とした。
また、熱電半導体微粒子は、アニール処理(以下、「アニール処理A」ということがある。)されたものであることが好ましい。アニール処理Aを行うことにより、熱電半導体微粒子は、結晶性が向上し、さらに、熱電半導体微粒子の表面酸化膜が除去されるため、熱電変換材料のゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が増大し、熱電性能指数をさらに向上させることができる。アニール処理Aは、特に限定されないが、熱電半導体組成物を調製する前に、熱電半導体微粒子に悪影響を及ぼすことがないように、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、同じく水素等の還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行うことが好ましく、不活性ガス及び還元ガスの混合ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。具体的な温度条件は、用いる熱電半導体微粒子に依存するが、通常、微粒子の融点以下の温度で、かつ100〜1500℃で、数分〜数十時間行うことが好ましい。
(耐熱性樹脂)
本発明に用いる耐熱性樹脂は、熱電半導体微粒子間のバインダーとして働き、熱電変換材料の屈曲性を高めるためのものである。該耐熱性樹脂は、特に制限されるものではないが、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理等により熱電半導体微粒子を結晶成長させる際に、樹脂としての機械的強度及び熱伝導率等の諸物性が損なわれず維持される耐熱性樹脂を用いる。
前記耐熱性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの樹脂の化学構造を有する共重合体等が挙げられる。前記耐熱性樹脂は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐熱性がより高く、且つ薄膜中の熱電半導体微粒子の結晶成長に悪影響を及ぼさないという点から、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、屈曲性に優れるという点からポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂がより好ましい。前述の支持体として、ポリイミドフィルムを用いた場合、該ポリイミドフィルムとの密着性などの点から、耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂がより好ましい。なお、本発明においてポリイミド樹脂とは、ポリイミド及びその前駆体を総称する。
前記耐熱性樹脂は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、熱電変換材料の屈曲性を維持することができる。
また、前記耐熱性樹脂は、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、熱電変換材料の屈曲性を維持することができる。
前記耐熱性樹脂の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜20質量%である。前記耐熱性樹脂の配合量が、上記範囲内であれば、高い熱電性能と皮膜強度が両立した膜が得られる。
(イオン液体)
本発明で用いるイオン液体は、カチオンとアニオンとを組み合わせてなる溶融塩であり、−50〜500℃の幅広い温度領域において液体で存在し得る塩をいう。イオン液体は、蒸気圧が極めて低く不揮発性であること、優れた熱安定性及び電気化学安定性を有していること、粘度が低いこと、かつイオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。また、イオン液体は、非プロトン性のイオン構造に基づく高い極性を示し、耐熱性樹脂との相溶性に優れるため、熱電変換材料の電気伝導率を均一にすることができる。
イオン液体は、公知または市販のものが使用できる。例えば、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、イミダゾリウム等の窒素含有環状カチオン化合物及びそれらの誘導体;テトラアルキルアンモニウム系のアミン系カチオン及びそれらの誘導体;ホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のホスフィン系カチオン及びそれらの誘導体;リチウムカチオン及びその誘導体等のカチオン成分と、Cl、Br、I、AlCl 、AlCl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF)n、(CN)、CSO 、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。
上記のイオン液体の中で、高温安定性、熱電半導体微粒子及び樹脂との相溶性、熱電半導体微粒子間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、イオン液体のカチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
カチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムブロミド]4−メチル−ブチルピリジニウムクロライド、3−メチル−ブチルピリジニウムクロライド、4−メチル−ヘキシルピリジニウムクロライド、3−メチル−ヘキシルピリジニウムクロライド、4−メチル−オクチルピリジニウムクロライド、3−メチル−オクチルピリジニウムクロライド、3、4−ジメチル−ブチルピリジニウムクロライド、3、5−ジメチル−ブチルピリジニウムクロライド、4−メチル−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、4−メチル−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。この中で、1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムブロミド]、1−ブチル−4−メチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファートが好ましい。
また、カチオン成分が、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体の具体的な例として、[1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレート]、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1、3−ジブチルイミダゾリウムメチルスルフェート等が挙げられる。この中で、[1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレート]が好ましい。
上記のイオン液体は、電気伝導度が10−7S/cm以上であることが好ましい。イオン伝導度が上記範囲であれば、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。
また、上記のイオン液体は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
また、上記のイオン液体は、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
前記イオン液体の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1.0〜20質量%である。前記イオン液体の配合量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下が効果的に抑制され、高い熱電性能を有する膜が得られる。
(無機イオン性化合物)
本発明で用いる無機イオン性化合物は、少なくともカチオンとアニオンから構成される化合物である。無機イオン性化合物は400〜900℃の幅広い温度領域において固体で存在し、イオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を抑制することができる。
カチオンとしては、金属カチオンを用いる。
金属カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、典型金属カチオン及び遷移金属カチオンが挙げられ、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンがより好ましい。
アルカリ金属カチオンとしては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs及びFr等が挙げられる。
アルカリ土類金属カチオンとしては、例えば、Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+等が挙げられる。
アニオンとしては、例えば、F、Cl、Br、I、OH、CN、NO3−、NO2−、ClO、ClO2−、ClO3−、ClO4−、CrO 2−、HSO 、SCN、BF 、PF 等が挙げられる。
無機イオン性化合物は、公知または市販のものが使用できる。例えば、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、又はリチウムカチオン等のカチオン成分と、Cl、AlCl 、AlCl 、ClO 等の塩化物イオン、Br等の臭化物イオン、I等のヨウ化物イオン、BF 、PF 等のフッ化物イオン、F(HF) 等のハロゲン化物アニオン、NO 、OH、CN等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。
上記の無機イオン性化合物の中で、高温安定性、熱電半導体微粒子及び樹脂との相溶性、熱電半導体微粒子間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、無機イオン性化合物のカチオン成分が、カリウム、ナトリウム、及びリチウムから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、無機イオン性化合物のアニオン成分が、ハロゲン化物アニオンを含むことが好ましく、Cl、Br、及びIから選ばれる少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
カチオン成分が、カリウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、KBr、KI、KCl、KF、KOH、KCO等が挙げられる。この中で、KBr、KIが好ましい。
カチオン成分が、ナトリウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、NaBr、NaI、NaOH、NaF、NaCO等が挙げられる。この中で、NaBr、NaIが好ましい。
カチオン成分が、リチウムカチオンを含む無機イオン性化合物の具体的な例として、LiF、LiOH、LiNO等が挙げられる。この中で、LiF、LiOHが好ましい。
上記の無機イオン性化合物は、電気伝導率が10−7S/cm以上であることが好ましく、10−6S/cm以上であることがより好ましい。電気伝導率が上記範囲であれば、導電補助剤として、熱電半導体微粒子間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。
また、上記の無機イオン性化合物は、分解温度が400℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
また、上記の無機イオン性化合物は、熱重量測定(TG)による400℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
前記無機イオン性化合物の前記熱電半導体組成物中の配合量は、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1.0〜10質量%である。前記無機イオン性化合物の配合量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下を効果的に抑制でき、結果として熱電性能が向上した膜が得られる。
なお、無機イオン性化合物とイオン液体とを併用する場合においては、前記熱電半導体組成物中における、無機イオン性化合物及びイオン液体の含有量の総量は、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1.0〜10質量%である。
P型熱電素子層及びN型熱電素子層からなる熱電素子層の厚さは、特に限定されるものではなく、同じ厚さでも、異なる厚さ(接続部に段差が生じる)でもよい。屈曲性、材料コストの観点から、P型熱電素子及びN型熱電素子の厚さは、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがさらに好ましい。
[熱電変換モジュールの製造方法]
本発明の熱電変換モジュールの製造方法は、前記熱電素子層を形成する工程、前記絶縁層を形成する工程、及び前記放熱層を形成する工程を含み、前記絶縁層の23℃における弾性率が0.1〜500GPaである、熱電変換モジュールの製造方法である。
以下、本発明に含まれる工程について、順次説明する。
〈熱電素子層形成工程〉
熱電変換モジュールの製造工程には、熱電素子層を形成する熱電素子層形成工程を含む。本発明に用いる熱電素子層は、前記基板の一方の面上に前記熱電半導体組成物から形成されることが好ましい。前記熱電半導体組成物を、前記基板上に塗布する方法としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スピンコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコート、バーコート、ドクターブレード等の公知の方法が挙げられ、特に制限されない。塗膜をパターン状に形成する場合は、所望のパターンを有するスクリーン版を用いて簡便にパターン形成が可能なスクリーン印刷、スロットダイコート等が好ましく用いられる。
次いで、得られた塗膜を乾燥することにより、薄膜が形成されるが、乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等、従来公知の乾燥方法が採用できる。加熱温度は、通常、80〜150℃であり、加熱時間は、加熱方法により異なるが、通常、数秒〜数十分である。
また、熱電半導体組成物の調製において溶媒を使用した場合、加熱温度は、使用した溶媒を乾燥できる温度範囲であれば、特に制限はない。
薄膜形成後、さらにアニール処理(以下、アニール処理Bということがある。)を行うことが好ましい。該アニール処理Bを行うことで、熱電性能を安定化させるとともに、薄膜中の熱電半導体微粒子を結晶成長させることができ、熱電性能をさらに向上させることができる。アニール処理Bは、特に限定されないが、通常、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行われ、用いる樹脂及びイオン液体等の耐熱温度等に依存するが、100〜500℃で、数分〜数十時間行われる。
〈絶縁層形成工程〉
熱電変換モジュールの製造工程には、絶縁層形成工程を含む。絶縁層形
成工程は、例えば、絶縁層を、前記熱電素子層と放熱層との間に形成する工程である。また、放熱層を被覆する工程も含む。
絶縁層の形成は、公知の方法で行うことができ、例えば、前記熱電素子層の面に直接形成してもよいし、接着剤層等を介し貼り合せてもよい。また、予め剥離シート上に形成した絶縁層を、前記熱電素子層に貼り合わせて、絶縁層を熱電素子層に転写させて形成してもよい。また、絶縁層は、2種以上積層してよいし、被覆層を介在させてもよい。
放熱層を絶縁層で被覆する場合は、公知の方法で行うことができ、例えば、ディッピング法等により、被覆する方法が挙げられる。
〈放熱層形成工程〉
熱電変換モジュールの製造工程には、放熱層形成工程を含む。放熱層形成工程は絶縁層上に放熱層を形成する工程である。放熱層が絶縁層で被覆されている場合は、通常、被覆層等を介し、熱電素子層上に形成する工程である。
放熱層の形成は、公知の方法で行うことができ、例えば、放熱層を、絶縁層の面に直接形成してもよいし、被覆層を介して形成してもよい。前記基板上に直接、又は、被覆層を介して形成してもよい。
前述したように、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工したものを、前記絶縁層に直接、又は被覆層を介して貼り合わせてもよい。
〈被覆層形成工程〉
熱電変換モジュールの製造工程には、被覆層形成工程を含むことが好ましい。被覆層形成工程は、被覆層を、熱電素子層と放熱層との間に形成する工程である。
被覆層形成工程には、封止層形成工程を含むことが好ましい。封止層の形成は、公知の方法で行うことができ、例えば、前記熱電素子層の面に直接及び/又は基板に形成してもよいし、予め剥離シート上に形成した封止層を、前記熱電素子層に貼り合わせて、封止層を熱電素子層に転写させて形成してもよい。また、封止層は、2種以上積層してよいし、絶縁層、他の被覆層を介してもよい。
被覆層形成工程には、ガスバリア層形成工程を含むことが好ましい。ガスバリア層の形成は、公知の方法で行うことができ、前記熱電素子層の面に直接及び/又は基板に形成してもよいし、予め剥離シート上に形成したガスバリア層を、前記熱電素子層に貼り合わせて、ガスバリア層を熱電素子層に転写させて形成してもよいし、ガスバリア層を有する基材を、熱電素子層に対向させ積層してもよい。また、ガスバリア層は、2種以上積層してもよく、絶縁層、他の被覆層を介してもよい。
〈電極形成工程〉
熱電変換モジュールの製造工程においては、さらに、フィルム基板上に前述した電極材料等を用い、電極層を形成する電極形成工程を含むことが好ましい。前記フィルム基板上に電極を形成する方法としては、フィルム基板上にパターンが形成されていない電極層を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、または、スクリーン印刷法、インクジェット法等により直接電極層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
パターンが形成されていない電極層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法)、もしくは熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)等のドライプロセス、又はディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティングや電着法等のウェットプロセス、銀塩法、電解めっき法、無電解めっき法、金属箔の積層等が挙げられ、電極層の材料に応じて適宜選択される。
本発明の製造方法によれば、簡便な方法で絶縁性に優れた熱電変換モジュールを製造することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例で用いた絶縁層の弾性率、また、絶縁層及び放熱層等積層前後の絶縁性評価、さらに、作製した熱電変換モジュールの出力、耐屈曲性の評価は以下の方法で行った。
(a)弾性率
絶縁層の23℃における弾性率(GPa)を、ナノインデンター(MTS社製、「Nanoindentor DCM」)を用い、以下の条件で測定した。
圧子形:三角錐
押し込み深さ:10μm
振動周波数:45Hz
ドリフト速度:0.5nm/sec.
試料ポワソン比:0.25
表面検出しきい値:5%
(b)絶縁性評価
熱電素子層形成後のアニール処理直後の熱電素子層両端の取り出し電極部間の電気抵抗値、及び、さらに、絶縁層、放熱層等を積層した熱電変換モジュールの熱電素子層両端の取り出し電極部間の電気抵抗値を、ディジタルハイテスタ(日置電機社製、型名:3801−50)により、25℃×50%RHの環境下で測定し、絶縁性評価を行った。ここで、熱電変換モジュール作製後の電気抵抗値が、アニール処理直後の電気抵抗値に比べ少なくとも低下しなければ、熱電変換モジュール内において短絡の発生がなく、絶縁性を有することになる。
(c)起電力評価
作製した熱電変換モジュールの一方の面をホットプレートで50℃に加熱した状態で保持し、他方の面を水冷ヒートシンクで20℃に冷却することで、30℃の温度差を付与し、ディジタルハイテスタ(日置電機社製、型名:3801−50)により、熱電変換モジュールの熱電素子層両端の取り出し電極部からの起電力を測定した。通常、短絡が発生すると起電力の低下につながる。
(d)耐屈曲性評価
作製した熱電変換モジュールについて、ポリプロピレン製の丸棒(直径45mm)を用いて、絶縁性にかかる熱電変換モジュールの耐屈曲性を評価した。丸棒に、作製した熱電変換モジュールを巻き付け、巻きつける前の状態(試験前)と、巻きつけている状態のそれぞれの状態で、(b)と同一の条件で、熱電変換モジュールの取り出し電極部間の電気抵抗値を測定し、以下の基準で評価した。丸棒への巻き付けは、絶縁層が外側になる向きで巻き付けた。
◎:試験前と巻き付けている状態で熱電変換モジュールの取り出し電極部間の電気抵抗値の低下が5%未満
○:試験前と巻き付けている状態で熱電変換モジュールの取り出し電極部間の電気抵抗値の低下が5%以上10%未満
×:試験前と巻き付けている状態で熱電変換モジュールの取り出し電極部間の電気抵抗値の低下が10%以上
<熱電素子層の作製>
図4は実施例に用いた熱電素子層の構成を示す平面図であり、(a)はフィルム基板上に形成した電極の配置を示し、(b)は電極上に形成したP型及びN型熱電素子の配置を示す。
銅箔を貼付したポリイミドフィルム基板(宇部エクシモ株式会社製、製品名:ユピセルN、ポリイミド基板厚み:50μm、銅箔:9μm)を準備し、ポリイミドフィルム基板12上の銅箔を、塩化第二鉄溶液を用いウェットエッチングし、後述するP型及びN型熱電素子の配列に対応した配置の電極パターンを形成した。パターニングされた銅箔上に、無電解めっきによりニッケル層(厚さ:9μm)を積層し、次いでニッケル層上に無電解めっきにより金層(厚さ:40nm)を積層することで、電極13のパターン層を形成した。その後、前記ポリイミドフィルム基板12上の電極13上に、後述する塗工液(P)及び(N)を用い塗布することにより、1mm×6mmのP型熱電素子15と1mm×6mmのN型熱電素子14とを交互に6mmの辺で接するように隣接して1対を配置することで、P型熱電素子及びN型熱電素子380対を、ポリイミドフィルム基板12の面内に、電気的にも直列になるように設けた熱電素子層16を作製した。実際には、P型熱電素子15とN型熱電素子14とを38対連結したものを一列として、これを10列設けた。図4において、電極13aは熱電素子層16の各列の連結用電極、電極13bは起電力取り出し用電極である。
(熱電半導体微粒子の作製方法)
ビスマス−テルル系熱電半導体材料であるP型ビスマステルライドBi0.4TeSb1.6(高純度化学研究所製、粒径:180μm)を、遊星型ボールミル(フリッチュジャパン社製、Premium line P−7)を使用し、窒素ガス雰囲気下で粉砕することで、平均粒径1.2μmの熱電半導体微粒子T1を作製した。粉砕して得られた熱電半導体微粒子に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
また、ビスマス−テルル系熱電半導体材料であるN型ビスマステルライドBiTe(高純度化学研究所製、粒径:180μm)を上記と同様に粉砕し、平均粒径1.4μmの熱電半導体微粒子T2を作製した。
(熱電半導体組成物の作製)
塗工液(P)
得られたP型ビスマス−テルル系熱電半導体材料の微粒子T1を90質量部、耐熱性樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミック酸(シグマアルドリッチ社製、ポリ(ピロメリト酸二無水物−co−4,4´−オキシジアニリン)アミド酸溶液、溶媒:N−メチルピロリドン、固形分濃度:15質量%)5質量部、及びイオン液体として[1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムブロミド]5質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(P)を調製した。
塗工液(N)
得られたN型ビスマス−テルル系熱電半導体材料の微粒子T2を90質量部、耐熱性樹脂としてポリイミド前駆体であるポリアミック酸(シグマアルドリッチ社製、ポリ(ピロメリト酸二無水物−co−4,4´−オキシジアニリン)アミド酸溶液、溶媒:N−メチルピロリドン、固形分濃度:15質量%)5質量部、及びイオン液体として[1−ブチル−3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウムブロミド]5質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(N)を調製した。
(熱電素子層の形成)
図4の(b)に示すように、上記で調製した塗工液(P)を、スクリーン印刷法により前記電極パターンが形成されたポリイミドフィルム基板12上の所定の位置に塗布し、温度150℃で、10分間アルゴン雰囲気下で乾燥し、厚さが50μmの薄膜を形成した。次いで、同様に、上記で調製した塗工液(N)を、前記ポリイミドフィルム上の所定の位置に塗布し、温度150℃で、10分間アルゴン雰囲気下で乾燥し、厚さが50μmの薄膜を形成した。
さらに、得られたそれぞれの薄膜に対し、水素とアルゴンの混合ガス(水素:アルゴン=3体積%:97体積%)雰囲気下で、加温速度5K/minで昇温し、325℃で30分間保持し、薄膜形成後のアニール処理を行うことにより、熱電半導体材料の微粒子を結晶成長させ、P型熱電素子層及びN型熱電素子層からなる熱電素子層を形成した。
(実施例1)
<熱電変換モジュールの作製>
イソブチレンとイソプレンの共重合体(日本ブチル社製、Exxon Butyl 268、数平均分子量260,000、イソプレンの含有率1.7モル%)100質量部に対し、カルボン酸系官能基を有するポリイソプレンゴム(クラレ社製、LIR410、数平均分子量30,000、1分子あたりの平均カルボキシル基数:10)5質量部、脂肪族系石油樹脂(日本ゼオン社製、クイントンA100、軟化点100℃)20質量部、架橋剤(三菱化学社製、エポキシ化合物、TC−5)1質量部をトルエンに溶解し、固形分濃度25%の接着剤組成物1を得た。
この接着剤組成物1を剥離フィルム(リンテック社製、商品名:SP−PET382150)の剥離処理面上に塗工し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥し、厚さが25μmの接着剤層を形成し、その上に、他の剥離フィルム(リンテック社製、商品名:SP−PET381031)の剥離処理面を貼り合わせて接着シート1を得た。なお、形成した前記接着剤層は、被覆層としての封止層であり、接着性を有する。
次に、絶縁層としてPETフィルム(東洋紡社製、商品名:エステルフィルムE5100、厚さ:12μm、弾性率:4.0GPa)を用い、上下面に接着シート1の接着剤層(厚さ:25μm、弾性率:0.0002GPa)をラミネートした構成とし、これを絶縁層1とした。
得られた前記熱電素子層の、基板とは反対側の面には絶縁層1を、また、基板の、熱電素子層とは反対側の面には接着シート1の接着剤層(厚さ:25μm、弾性率:0.0002GPa)を貼付し、それぞれの層を介してストライプ状の高熱伝導性材料からなる放熱層(無酸素銅ストライプ板C1020、厚さ:100μm、幅:1mm、長さ:100mm、間隔:1mm、熱伝導率:398W/(m・K))を、P型熱電素子とN型熱電素子とが隣接する部位の上部及び下部に互い違いに配置することで熱電変換モジュールを作製した。
(実施例2)
実施例1において、絶縁層をナイロン系フィルム(東洋紡社製、商品名:ハーデンフィルムN1100、厚さ:12μm、弾性率:1.5GPa)とした以外は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
(実施例3)
実施例1において、絶縁層をLLDPE系フィルム(タマポリ社製、商品名UB−3、厚さ:50μm,弾性率:0.2GPa)とした以外は、実施例1と同様にして、熱電変換モジュールを作製した。
(実施例4)
イミノ型メチル化メラミン樹脂(日本カーバイド工業社製、商品名:MX730、質量平均分子量:1508)100質量部と、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK−370、質量平均分子量:5000)0.1質量部と、p−トルエンスルホン酸(日立化成ポリマー社製、商品名:ドライヤー900)8質量部とを、溶媒としてのトルエンにて混合することで調製した、固形分濃度15質量%の塗布液とし、これをコート剤1とした。
ストライプ状の高熱伝導性材料からなる放熱層(無酸素銅ストライプ板C1020、厚さ:100μm、幅:1mm、長さ:100mm、間隔:1mm、熱伝導率:398W/(m・K))をこのコート剤1に浸漬し、取り出した後、恒温層にて窒素雰囲気下で120℃で60秒乾燥させることでコート処理を行った(厚さ:0.1μm、弾性率:6.0GPa)。これをコート処理放熱層とした。
実施例1において、絶縁層1を接着シート1(厚さ:25μm、弾性率:0.0002GPa)とし、該絶縁層1上の放熱層をコート処理放熱層とした以外は、実施例1と同様に、熱電変換モジュールを作製した。
(比較例1)
接着シート1の接着層を(厚さ:25μm、弾性率:0.0002GPa)を2枚貼合することで接着シート2を作製した。
実施例1において、絶縁層1を、接着シート2に変更した以外は、実施例1と同様に、熱電変換モジュールを作製した。
実施例で用いた絶縁層の弾性率、また絶縁層及び放熱層等積層前後の絶縁性評価、さらに作製した熱電変換モジュールの起電力、耐屈曲性の評価結果を表1に示す。
Figure 2018179544
熱電変換モジュールの熱電素子層と放熱層との間に特定の範囲の弾性率を有する絶縁層を含む実施例1〜3は、特定の範囲の弾性率を有さない接着剤層(被覆層:封止層、弾性率:0.0002GPa)を用いた比較例1に比べ、短絡が発生しておらず、明らかに優位な起電力が得られ、しかも、耐屈曲性を有していることがわかる。また、熱電変換モジュールの熱電素子層と、直接絶縁層で被覆された放熱層とを含む実施例4についても同様であることがわかる。
上記の結果より、本発明の熱電変換モジュールは、熱電性能が維持され、かつ絶縁性に優れることがわかる。
本発明の熱電変換モジュールは、優れた絶縁性を有することから、導電性部位を有する被設置面(外部排熱面や廃熱面等)用の熱電変換モジュール及び/又は導電性部位を有する放熱層を含む熱電変換モジュールとして、より好適に使用できることが期待される。
1A、1B、1C:熱電変換モジュール
2:基板
3:電極
4:N型熱電素子層
5:P型熱電素子層
6:熱電素子層
7:被覆層
8a,8b:放熱層
9:絶縁層
12:ポリイミドフィルム基板
13:電極
13a:熱電素子層の各列の連結用電極
13b:起電力取り出し用電極
14:N型熱電素子
15:P型熱電素子
16:熱電素子層(電極部含む)

Claims (10)

  1. P型熱電素子層とN型熱電素子層とが、面内方向に交互に隣接し直列に配置された熱電素子層の少なくとも一方の面に、絶縁層を介して放熱層を含む熱電変換モジュールであって、前記絶縁層の23℃における弾性率が0.1〜500GPaである、熱電変換モジュール。
  2. 前記絶縁層が、樹脂、又は無機材料である、請求項1に記載の熱電変換モジュール。
  3. 前記絶縁層の厚さが、1〜150μmである、請求項1又は2に記載の熱電変換モジュール。
  4. 前記熱電素子層の一方の面に絶縁層を介して放熱層を含み、他方の面に基板を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
  5. 前記基板の、前記熱電素子層とは反対側の面に、さらに放熱層を含む、請求項4に記載の熱電変換モジュール。
  6. 前記放熱層が、金属材料、セラミック材料、金属材料と樹脂との混合物、及びセラミック材料と樹脂との混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
  7. 前記放熱層の熱伝導率が5〜500W/(m・K)である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
  8. 前記基板がフィルム基板である、請求項4又は5に記載の熱電変換モジュール。
  9. 前記熱電変換モジュールが、被覆層を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール。
  10. 前記請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱電変換モジュールの製造方法であって、前記熱電素子層を形成する工程、前記絶縁層を形成する工程、及び前記放熱層を形成する工程を含み、前記絶縁層の23℃における弾性率が0.1〜500GPaである、熱電変換モジュールの製造方法。
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