以下、本願の荷重計測システムの実施形態の一例として対基板作業システム10について、図を参照しつつ詳しく説明する。
(対基板作業システムの構成)
図1は、本実施形態の実装機11を備える対基板作業システム10の概略構成を示している。対基板作業システム10は、回路基板(以下、「基板」という)CBに部品を実装するシステムである。対基板作業システム10は、1つの部品実装ライン12と、生産管理コンピュータ18と、分析コンピュータ19と、荷重計測装置81とを備えている。基板CBは、図1における左側から右側に向かって部品実装ライン12を搬送され、各種装置によって作業が行われる。部品実装ライン12は、複数(本実施形態では4台)の実装機11と、半田印刷機13と、検査装置14と、リフロー装置15と、基板ハンドリング装置17とを接続して構成されている。各装置等は、隣接した状態で1列に配設され、生産管理コンピュータ18によって統括的に制御される。尚、以下の説明では、各装置等の並ぶ方向をX軸方向、その方向に直交し基板CBの平面と平行な方向をY軸方向と称して説明する。
半田印刷機13は、基板CBに対して半田ペーストを印刷する。実装機11は、半田ペーストを印刷された基板CBに部品を装着する。尚、実装機11の詳細については、後述する。検査装置14は、基板CBに装着した部品の状態や異物の有無などを検査する。リフロー装置15は、ペースト状の半田を加熱して再溶融した後に冷却固化して、部品の装着を完結させる。基板ハンドリング装置17は、実装機11等に対して部品実装ライン12における上流及び下流に設けられている。基板ハンドリング装置17の各々は、基板CBを次の装置に搬送したり、待機させたり、あるいは上下を反転させたりする。
生産管理コンピュータ18は、CPU、RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されている。生産管理コンピュータ18は、実装機11等とネットワークNW1を介して接続されている。生産管理コンピュータ18は、実装機11等の動作を制御するための制御データD1を、実装機11等に送信する。実装機11等は、生産管理コンピュータ18から受信した制御データD1に基づいて装着作業等を実行する。生産管理コンピュータ18には、複数の制御データD1や、制御データD1を生成するための各種データが保存されている。制御データD1には、例えば、実装機11の識別情報(シリアルナンバー)、後述する装着ヘッド24の識別情報、吸着ノズル70のノズル種、吸着ノズル70から部品に付与する荷重をフィードバック制御するのに用いる目標荷重値、荷重幅等の情報が含まれている。
生産管理コンピュータ18には、ネットワークNW2を介して分析コンピュータ19が接続されている。分析コンピュータ19は、CPU、RAM等を備えたコンピュータを主体として構成され、操作部19Aと、表示部19Bとを有している。操作部19Aは、例えば、キーボードやマウス等の入力デバイスである。表示部19Bは、例えば、各種情報を表示するディスプレイである。
ユーザは、分析コンピュータ19の操作部19Aを操作することで、例えば、ネットワークNW2を介して生産管理コンピュータ18に保存された制御データD1の内容を変更することができる。また、ユーザは、操作部19Aを操作することで、生産管理コンピュータ18から特定の実装機11等に、制御データD1を送信することができる。これにより、ユーザは、分析コンピュータ19の操作部19Aを操作することで、荷重を計測するための装着作業を行う制御データD1の生成や、生成した制御データD1を計測対象の実装機11へ送信する処理を行うことができる。
また、本実施形態の分析コンピュータ19は、後述する荷重計測装置81で荷重を計測した実装機11から生産管理コンピュータ18を介してログデータD2を取得する(第一取得処理)。このログデータD2は、例えば、実装機11の動作結果を示す様々な情報であり、荷重を計測する際に吸着ノズル70が動作したタイミングに関するタイミング情報を含んでいる。ログデータD2は、実装機11からネットワークNW1、生産管理コンピュータ18、及びネットワークNW2を介して分析コンピュータ19へ転送される。
また、本実施形態の分析コンピュータ19は、荷重計測装置81と接続するための外部インターフェース19Cを有している。外部インターフェース19Cは、荷重計測装置81の外部インターフェース101(図6参照)と接続するためのインターフェースである。外部インターフェース19C,101としては、特に規格等を限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したインターフェースを採用することができる。尚、分析コンピュータ19は、荷重計測装置81と無線通信が可能な構成でもよい。
分析コンピュータ19は、外部インターフェース19Cを介して、荷重を計測した計測データD3を荷重計測装置81から取得する(第二取得処理)。この計測データD3には、後述する装着ヘッド24の複数の吸着ノズル70に対応した複数の荷重データが含まれる。分析コンピュータ19は、ログデータD2に基づいて、計測データD3に含まれる複数の荷重データと、複数の吸着ノズル70とを対応付けて分析し、分析結果を表示部19Bに表示する。尚、荷重計測装置81の詳細については後述する。
(実装機の構成)
図2は、実装機11の平面図を示している。図2に示すように、実装機11は、搬送装置20、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)22、装着ヘッド24、供給装置26を有している。搬送装置20は、X軸方向に延びるコンベア31を有している。基板CBは、コンベア31によって支持され、X軸方向に搬送される。図3は、実装機11の作業位置を示しており、X軸方向に垂直な平面に沿って切断した断面図を示している。図3に示すように、コンベア31は、コンベアベルト33と、ストッパ35と、クランパ36とを有している。コンベアベルト33は、Y軸方向において所定の距離だけ離間した一組が設けられ、基板CBを上に載せた状態で周回し、基板CBを所定の作業位置(例えば、図2に示す位置)まで搬送する。クランパ36は、作業位置において基板CBを間に挟んでストッパ35と上下方向で対向する位置に設けられている。コンベア31は、電磁モータ63(図4参照)の駆動により、コンベアベルト33を周回させて基板CBを作業位置まで搬送すると、クランパ36を上昇させる。基板CBは、クランパ36とストッパ35との間に挟み込まれ、作業位置において固定的に保持される。
また、実装機11の作業位置には、駆動部41(例えば、エアシリンダ)によって昇降可能な昇降台43が設けられている。昇降台43の上には、昇降台43に対して取り替え可能なバックアップベース44が設けられている。バックアップベース44の上面には、複数のバックアップピン46が立設している。実装機11は、部品を装着する際に、駆動部41を駆動して昇降台43を上昇させ、ストッパ35及びクランパ36によって位置を保持された基板CBの下面にバックアップピン46を当接させる。
また、図2に示すように、移動装置22は、X軸方向スライド機構50と、Y軸方向スライド機構52とを有している。X軸方向スライド機構50は、X軸方向に移動可能にベース54上に設けられたX軸スライダ56を有している。X軸スライダ56は、電磁モータ64(図4参照)の駆動により、X軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸方向スライド機構52は、Y軸スライダ60を有している。Y軸スライダ60は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダ56の側面に設けられている。Y軸スライダ60は、電磁モータ65(図4参照)の駆動により、Y軸方向の任意の位置に移動する。装着ヘッド24は、Y軸スライダ60に取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド24は、移動装置22によってベース54上の任意の位置に移動する。尚、装着ヘッド24は、Y軸スライダ60に着脱可能とされており、作業に応じたヘッドに交換可能とされている。
装着ヘッド24は、基板CBに対して部品を装着するものである。装着ヘッド24は、下面に設けられた複数(図2においては1つのみ図示)の吸着ノズル70を有している。複数の吸着ノズル70は、負圧エア、正圧エア通路を介して、正負圧供給装置66(図4参照)に通じている。各吸着ノズル70は、負圧によって部品を吸着保持し、保持した部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド24は、複数の吸着ノズル70を昇降させるノズル昇降装置67(図4参照)を有している。ノズル昇降装置67によって、装着ヘッド24は、部品を保持する吸着ノズル70の上下方向の位置を変更する。尚、吸着ノズル70は、装着ヘッド24に対して着脱可能とされており、保持対象の部品に応じた吸着ノズル70や他の保持部(チャックなど)に交換可能とされている。また、装着ヘッド24は、複数の吸着ノズル70を環状に並べた構成でもよく、あるいは、複数の吸着ノズル70を一方向に並べた構成でも良い。また、装着ヘッド24は、複数の吸着ノズル70をまとめて移動させる装置や、複数の吸着ノズル70を個々に自転させる装置を備えても良い。
供給装置26は、フィーダ型の供給装置であり、複数のテープフィーダ72を有している。テープフィーダ72は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープフィーダ72は、送り装置68(図4参照)によってテープ化部品を送り出し、部品を供給位置に供給する。
また、図4は、実装機11の電気的な構成を示している。図4に示すように、実装機11は、制御装置140を有している。制御装置140は、コントローラ141と、複数の駆動回路142とを有している。コントローラ141は、複数の駆動回路142に接続されている。複数の駆動回路142は、上記した電磁モータ63,64,65、駆動部41、正負圧供給装置66、ノズル昇降装置67、送り装置68に接続されている。また、コントローラ141は、CPU141A、ROM141B、RAM141C、フラッシュメモリ141D等を備え、コンピュータを主体とするものである。ROM141Bには、各種のプログラム等が保存されている。CPU141Aは、ROM141Bに保存されたプログラムを実行し、駆動回路142を介して実装機11の各装置を制御する。RAM141Cは、CPU141Aによってプログラム等を実行する際に、作業用メモリとして使用される。フラッシュメモリ141Dには、装着作業に係わる一時データ(エラーなど)が保存される。本実施形態のフラッシュメモリ141Dには、上記した装着作業や荷重の計測作業の動作結果を示すログデータD2が保存される。
(実装機による装着作業)
実装機11の制御装置140は、上述した構成によって、基板CBに対する部品の装着作業を行う。より具体的には、制御装置140は、上流側の基板ハンドリング装置17から搬入された基板CBを、搬送装置20によって作業位置まで搬送する。ストッパ35及びクランパ36は、作業位置において、基板CBを固定的に保持する。また、テープフィーダ72は、テープ化部品を送り出し、部品を供給位置に供給する。装着ヘッド24は、テープフィーダ72の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル70によって部品を吸着保持する。装着ヘッド24は、作業位置に配置された基板CBの上方に移動し、吸着ノズル70によって保持している部品を基板CBに装着する。この際に、本実施形態の制御装置140は、吸着ノズル70から部品に付与する荷重をフィードバック制御する。制御装置140は、例えば、駆動回路142のアンプからノズル昇降装置67の電磁モータへ供給する駆動電力の電流値や電圧値に基づいて、吸着ノズル70から部品に付与している荷重を演算する。制御装置140は、部品に付与している荷重が予め設定された目標荷重値(例えば、1N)に到達、あるいは一致するように、駆動回路142からノズル昇降装置67へ供給する駆動電力を制御する。これにより、吸着ノズル70から部品に付与する荷重を制御し、部品の割れなどの部品の破損の発生を抑制する。
(荷重計測装置の構成)
次に、本実施形態の荷重計測装置81の構成について説明する。図5は、本実施形態の荷重計測装置81の平面図を示している。図6は、荷重計測装置81の断面図であり、荷重計測装置81を実装機11の作業位置に配置した状態を示している。即ち、図6は、図3に対応し、基板CBに替えて荷重計測装置81を配置した状態となっている。また、図7は、荷重計測装置81の電気的な構成を示している。尚、図6では、バックアップベース44は、バックアップピン46を取り外した状態となっている。また、以下の説明では、荷重計測装置81を搬送する際の方向(X軸方向及びY軸方向)を用いて、荷重計測装置81の各部材の位置等について説明する。また、荷重計測装置81を薄型に構成した場合は、バックアップピン46をバックアップベース44に取り付けたまま、荷重計測装置81をコンベア31で搬送してもよい。
図5及び図6に示すように、荷重計測装置81は、筐体83と、筐体83の上面に取り付けられた被挟持板85,86とを有している。被挟持板85,86は、筐体83の上面83AにおけるY軸方向の両端のそれぞれに設けられている。被挟持板85,86は、X軸方向に延設された板状をなしている。被挟持板85,86の上下方向の厚みは、図3に示す基板CBの厚みL1と同一(例えば、2mm)となっている。コンベアベルト33は、被挟持板85,86のY軸方向の外側に突出した部分の下面を支持している。コンベア31は、被挟持板85,86をコンベアベルト33に乗せた状態で荷重計測装置81を搬送する。荷重計測装置81のY軸方向に沿った幅W2は、基板CBの基板幅W1(図3参照)と略同一となっている。
図7に示すように、荷重計測装置81は、電源91と、電源スイッチ93と、残量メータ94と、荷重センサ95と、データロガー97と、計測開始スイッチ99と、外部インターフェース101等を有している。電源91は、例えば、充電式のバッテリーであり、荷重センサ95及びデータロガー97へ直流の電圧V1を供給する。
電源スイッチ93は、電源91から荷重センサ95等への電圧V1の供給の開始、又は停止を切り替えるスイッチである。電源スイッチ93は、筐体83の底面83E(図6参照)に取り付けられている。電源スイッチ93は、例えば、スライドスイッチやタクトスイッチ(登録商標)等であり、ユーザからの操作に応じたON/OFF信号S1を電源91へ出力する。電源91は、電源スイッチ93からのON/OFF信号S1に応じて、荷重センサ95等への電圧V1の供給を開始、又は停止する。残量メータ94は、筐体83の底面83Eに取り付けられている。残量メータ94は、電源91と接続されており、電源91のバッテリーの残量を表示する。
荷重センサ95は、装着ヘッド24の吸着ノズル70によって押圧される荷重(部品を押圧する力など)を検出するセンサである。荷重センサ95は、例えば、水晶圧電式の荷重センサであり、上下方向の荷重のみを検出する1軸センサとして構成されている。尚、荷重センサ95は、歪みゲージ式等の他の方式の荷重センサでもよい。歪みゲージ式の荷重センサは、応答性の観点から水晶圧電式のものに比べて衝撃荷重(動的な力)を精度よく検出できない可能性がある。このため、荷重センサ95としては、水晶圧電式の荷重センサが好ましい。また、荷重センサ95は、複数の方向の荷重を検出可能な複数軸の荷重センサでもよい。
荷重センサ95は、筐体83の上面83Aに取り付けられた荷重入力部95Aを有する。図5に示すように、上面83Aには、被挟持板86に近接する位置に計測板83Cが設けられている。計測板83Cには、上下方向に貫通する貫通孔83Dが形成されている。荷重入力部95Aは、略円柱形状をなし、貫通孔83D内を上下方向に挿通されている。
ここで、ユーザは、例えば、荷重の計測を行う際、テープフィーダ72に部品をセットしない。そして、実装機11は、制御データD1に基づいて装着ヘッド24を駆動し、部品を吸着保持していない吸着ノズル70によって荷重入力部95Aを押圧する。荷重センサ95は、吸着ノズル70によって荷重入力部95Aを下方へ押下されると、その荷重で水晶圧電素子(図示略)の内部に圧縮応力を生じさせ、応力の大きさに応じたアナログの検出電圧V2を出力する。荷重センサ95は、検出電圧V2をデータロガー97に出力する。
本実施形態の荷重センサ95は、例えば、静荷重と動荷重とを計測可能となっている。ここでいう静荷重とは、例えば、吸着ノズル70から荷重センサ95(実装時には部品や基板CB)に加わる荷重のうち、時間の経過に対して変化せず一定の値となる荷重である。また、動荷重とは、吸着ノズル70から荷重センサ95に加わる荷重のうち、時間の経過に対して変化する荷重である。具体的には、動荷重は、例えば、吸着ノズル70を荷重入力部95Aに接触(衝突)させた際に発生する衝突荷重である。静荷重は、例えば、接触後に吸着ノズル70によって荷重入力部95Aを押圧する際に発生する押圧荷重である。データロガー97は、この装着動作において荷重センサ95から出力される動荷重及び静荷重(検出電圧V2)を連続的に記録する。この記録された動荷重及び静荷重(検出電圧V2)が、基板CBや部品の耐荷重の条件を満たしているか否かを分析することで、荷重の良否を判定できる。
計測開始スイッチ99は、吸着ノズル70によって操作可能な押圧スイッチ99Aを有する。押圧スイッチ99Aは、荷重入力部95Aに近接した位置に設けられている(図5参照)。計測開始スイッチ99は、例えば、吸着ノズル70によって押圧スイッチ99Aを押下されていない状態ではオフ状態となり、ローレベルの記録開始信号S2(図7参照)をデータロガー97に出力する。また、計測開始スイッチ99は、例えば、吸着ノズル70によって押圧スイッチ99Aを一定の基準位置まで下方に押下されると、ハイレベルの記録開始信号S2をデータロガー97に出力する。
データロガー97は、ローレベルの記録開始信号S2を入力する間は、荷重センサ95から入力された検出電圧V2の記憶を実行しない。また、データロガー97は、計測開始スイッチ99からハイレベルの記録開始信号S2を入力したタイミングから所定時間だけ検出電圧V2を記録する。この所定時間は、複数の吸着ノズル70の動作シーケンス、より具体的には、部品を基板CBに装着する際の実際の動作時間や動作状態に応じて設定される。例えば、実装機11は、複数の吸着ノズル70のうち、一の吸着ノズル70によってまず押圧スイッチ99Aを押下した後、次に荷重入力部95Aを押下する。実装機11は、吸着ノズル70を変更しながら連続的に荷重入力部95Aを押下する。所定時間は、この複数の吸着ノズル70の動作シーケンスに必要な時間を設定される。そして、データロガー97は、複数の吸着ノズル70によって押圧スイッチ99Aを押下されてから所定時間だけ荷重センサ95から出力される検出電圧V2を連続的に記録する。データロガー97は、入力した検出電圧V2と、計測した時間とを計測データD3として記録する。計測データD3には、複数の吸着ノズル70の荷重を計測した複数の荷重データが含まれる。上記した構成の荷重計測装置81では、荷重計測の前後における不要なデータ(搬送時の振動による荷重など)を極めて少なくすることが可能となる。
外部インターフェース101は、上記した分析コンピュータ19と接続するためのインターフェースである。外部インターフェース101は、筐体83の側面83Bに取り付けられている(図6参照)。ユーザは、外部インターフェース101を介して荷重計測装置81と接続した分析コンピュータ19(操作部19A)を操作し、データロガー97から計測データD3を読み出すことができる。これにより、ユーザは、計測データD3(複数の荷重データ)を分析し、分析結果を分析コンピュータ19の表示部19Bに表示することができる。例えば、分析コンピュータ19は、計測データD3(検出電圧V2を荷重に変換した値)の最大値が所望の範囲内に収まっているか否かに基づいて、吸着ノズル70から部品に付与する荷重が正常であるか否かを判定する。
また、図5に示すように、上面83Aには、作業位置に固定した荷重計測装置81の正確な位置、換言すれば、荷重入力部95A及び押圧スイッチ99Aの正確な位置を検出するための2つのフィデューシャルマーク111が設けられている。また、上面83Aには、被挟持板85に近接する位置にコード部113が設けられている。コード部113は、例えば、2次元コードであり、荷重計測装置81を基板CBと識別するためのものである。尚、コード部113は、荷重計測装置81と基板CBとを識別可能なものであれば、バーコード等の他の識別情報でもよい。
実装機11の制御装置140は、荷重計測装置81の上面83Aに設けられたフィデューシャルマーク111やコード部113を、装着ヘッド24に設けられたカメラ69(図4参照)によって撮像し、画像データを取得する。制御装置140は、フィデューシャルマーク111を撮像した画像データを画像処理することによって、位置決めされた荷重計測装置81や押圧スイッチ99Aなどの正確な座標位置(X軸方向及びY軸方向における位置)を検出する。
(荷重の計測及び分析について)
次に、荷重計測装置81による荷重の計測、及び分析コンピュータ19による分析の方法について、図8を参照しながら説明する。図8は、荷重計測用の制御データD1の生成から、計測データD3(荷重データ)の分析までの一連の処理手順を示している。尚、図8に示す手順は、一例であり、対基板作業システム10の構成等に応じて適宜変更可能である。
まず、図8のステップ(以下、単に「S」と表記する)11において、ユーザは、荷重を計測する対象の実装機11を動作せる制御データD1、即ち、計測用の制御データD1を作成する。例えば、ユーザは、分析コンピュータ19の操作部19Aを操作して制御データD1を作成する。この制御データD1は、例えば、部品をセットしていないテープフィーダ72から部品を取得するかのような動作(実際には取得しない動作)を実行し、作業位置(例えば、図2に示す位置)に固定された荷重計測装置81に対して装着作業を実行するデータである。荷重計測装置81は、この装着作業にともなって、複数の吸着ノズル70によって荷重入力部95Aを押圧され、荷重を計測・保存する。
また、この制御データD1には、装着作業において吸着ノズル70から部品や基板CBに付与する荷重、即ち、計測の際に荷重計測装置81に付与する荷重が設定される。この荷重は、例えば、目標とする目標荷重値や許容する荷重値の範囲を示す荷重幅である。目標荷重値や荷重幅は、生産する基板CBの種類や実装する部品の耐荷重などに基づいて設定される。これにより、計測対象の実装機11は、この目標荷重値や荷重幅の範囲で装着作業を行う。その結果、後述する荷重計測装置81の計測データD3と、制御データD1の目標荷重値等を比較することで、荷重の良否を判定できる。
特に、本実施形態の荷重計測装置81は、実装機11と通信する手段や機能を備えていない。このため、荷重計測装置81の計測データD3は、実装機11から干渉を受けずに計測したデータとなる。より具体的には、荷重計測装置81は、実装機11と通信を実行できないため、実装機11から計測データD3を上書きや書き替えられる可能性がなく、実装機11から物理的に付与された荷重をそのまま計測データD3として記録できる。これにより、ユーザから見た計測データD3の客観性を担保し、計測データD3の信頼性を向上できる。
次に、S13において、ユーザは、分析コンピュータ19を操作して、生産管理コンピュータ18から計測対象の実装機11へ制御データD1を送信させる。実装機11の制御装置140は、例えば、制御データD1を受信すると、計測のための装着作業を実施するか否かを選択する画面を表示パネル11A(図1参照)に表示する。表示パネル11Aは、例えば、静電容量方式のタッチパネルである。制御装置140は、ユーザから表示パネル11Aに対して実行を指示する入力を受け付けると、制御データD1に基づく装着作業を開始する。
S13において、ユーザから表示パネル11Aへの入力を受け付けると、制御装置140は、荷重計測処理を開始する(S15)。実装機11は、例えば、図1に示す部品実装ライン12の上流側から荷重計測装置81を搬入してほしい旨の表示を表示パネル11Aに行う。S15の荷重計測処理において、ユーザは、荷重計測装置81の電源スイッチ93をオン操作し、電源を起動した荷重計測装置81を部品実装ライン12の上流側に配置する。対基板作業システム10は、部品実装ライン12の上流側から計測対象の実装機11の作業位置まで荷重計測装置81を搬送する。計測対象の実装機11は、生産管理コンピュータ18から取得した制御データD1に基づいて、装着ヘッド24及び吸着ノズル70を動作させ、荷重計測装置81に対する装着作業を実行する。尚、荷重計測装置81の搬送中において、データロガー97は、ローレベルの記録開始信号S2を入力しているため、仮に荷重センサ95から検出電圧V2を入力したとしても記録しない。これにより、荷重計測装置81は、搬送中の振動等を誤って荷重としてデータロガー97に記録するのを抑制することが可能となる。
次に、計測対象の実装機11は、上流から搬入した荷重計測装置81を作業位置に位置決めし、荷重計測装置81のコード部113を装着ヘッド24のカメラ69によって撮像する。実装機11の制御装置140は、撮像したコード部113が荷重計測装置81の識別情報と一致すると、2つのフィデューシャルマーク111を撮像する。尚、制御装置140は、コード部113が荷重計測装置81の識別コードと一致しない場合、エラーを報知しても良い。制御装置140は、撮像したフィデューシャルマーク111に基づいて、位置決めされた荷重計測装置81の正確な座標位置を検出する。制御装置140は、検出した座標位置に基づいて、装着作業を実行する。制御装置140は、任意の吸着ノズル70によって押圧スイッチ99Aを押下する。計測開始スイッチ99は、押圧スイッチ99Aを押下されることで、ハイレベルの記録開始信号S2をデータロガー97へ出力する。データロガー97は、この時点から所定時間だけ検出電圧V2の記録を開始する。制御装置140は、複数の吸着ノズル70によって荷重入力部95Aを連続的に押下する。荷重センサ95は、吸着ノズル70による押圧荷重に応じた検出電圧V2をデータロガー97に出力する。データロガー97は、ハイレベルの記録開始信号S2を入力してから、上記した記録を行う所定時間だけ経過したタイミングで、検出電圧V2の記録を終了する。データロガー97には、複数の吸着ノズル70ごとの荷重データが順番に記憶される。
また、制御装置140は、計測作業にともなって、複数の吸着ノズル70の各々が動作したタイミング情報をログデータD2としてフラッシュメモリ141D(図4参照)に保存する。このログデータD2は、例えば、複数の吸着ノズル70の各々を荷重計測装置81に向けて実際に下降させる動作を開始した時間である下降開始時間、及び複数の吸着ノズル70の各々を荷重計測装置81から離間するように上昇させる動作を開始した上昇開始時間である。この下降開始時間及び上昇開始時間は、例えば、制御装置140からノズル昇降装置67(駆動回路142)に対して下降又は上昇の指令を開始した時間である。尚、制御装置140は、新たな計測作業を実行するごとに、フラッシュメモリ141D内の古いログデータD2を削除する設定でもよい。これにより、1台の実装機11における最新のログデータD2を特定し易くなる。また、実装機11に不要な過去のログデータD2が蓄積されフラッシュメモリ141Dを圧迫するのを抑制できる。
また、制御装置140は、タイミング情報である下降開始時間及び上昇開始時間と、複数の吸着ノズル70の各々との対応関係を示す関連付け情報を、ログデータD2に保存しても良い。例えば、制御装置140は、吸着ノズル70の個々を識別するノズルIDと、下降開始時間及び上昇開始時間を関連付けた情報を、ログデータD2に保存しても良い。あるいは、制御装置140は、装着ヘッド24において吸着ノズル70を装着する各ホルダを識別するホルダIDと、下降開始時間及び上昇開始時間を関連付けた情報を、ログデータD2に保存しても良い。これにより、後述する分析コンピュータ19の処理(図8のS31の「計測エラー」の表示処理)において、ノズルIDやホルダIDを表示することができる。
そして、計測対象の実装機11は、荷重計測装置81を搬出する。対基板作業システム10は、計測対象の実装機11から搬出された荷重計測装置81を、最下流(リフロー装置15側)まで搬送する。そして、ユーザは、部品実装ライン12から搬出された荷重計測装置81を取り出す。
図8に戻り、ユーザは、分析コンピュータ19を操作して、計測を実行した実装機11からログデータD2を取得する(S17)。分析コンピュータ19は、生産管理コンピュータ18を介して実装機11からログデータD2を取得する(図1参照)。例えば、分析コンピュータ19は、ユーザからログデータD2を取得したい旨の操作を操作部19Aに受け付けると、部品実装ライン12に設置された複数の実装機11のうち、ログデータD2を保存する実装機11を選択する画面を表示部19Bに表示する。分析コンピュータ19は、例えば、実装機11のシリアルナンバー、ログデータD2を取得した日時等を表示する。例えば、分析コンピュータ19は、ユーザによって操作部19A(マウス)を操作され任意のシリアルナンバーを選択されると、選択されたシリアルナンバーに対応する実装機11のログデータD2を生産管理コンピュータ18(実装機11)からダウンロードする。これにより、ユーザは、ログデータD2を取得したいと考えている実装機11を、分析コンピュータ19の表示部19Bに表示されたシリアルナンバーやログデータD2の取得日時等で確認しながら、所望のログデータD2をダウンロードできる。
分析コンピュータ19によるログデータD2のダウンロードが完了すると(S17)、ユーザは、荷重計測装置81を分析コンピュータ19に接続する(S19)。ユーザは、荷重計測装置81の外部インターフェース101と、分析コンピュータ19の外部インターフェース19CとをUSBケーブルで接続する。
この状態において、分析コンピュータ19は、例えば、ユーザによって操作部19Aを操作され分析を開始する旨の入力を受け付けると、荷重計測装置81のデータロガー97に保存された計測データD3(例えば、荷重を示す検出電圧V2のアナログ波形である荷重データ)を読み込む。分析コンピュータ19は、ダウンロードしたログデータD2に基づいて、読み込んだ計測データD3の分析を開始する(S21)。従って、本実施形態の分析コンピュータ19は、S17においてユーザによって選択された実装機11からダウンロードしたログデータD2と、荷重計測装置81から読み込んだ計測データD3とが対応するものとして分析を実行する。
尚、分析コンピュータ19は、ログデータD2と計測データD3との関連性を示す情報に基づいて、ログデータD2に対応する計測データD3を判定してもよい。例えば、分析コンピュータ19は、ログデータD2の時間情報と、計測データD3の時間情報とに基づいて、ログデータD2に対応する計測データD3を判定してもよい。ここでいう計測データD3の時間情報とは、例えば、荷重計測装置81によって荷重を計測した(取得した)時間である。また、時間情報に基づいて対応関係を判定する場合、実装機11と荷重計測装置81との基準時間を予め一致させておくことが好ましい。例えば、荷重計測装置81は、計測前に分析コンピュータ19に接続されることで、実装機11と基準時間を一致させる構成でもよい。そして、分析コンピュータ19は、計測後の荷重計測装置81を接続されると、荷重計測装置81から読み込んだ計測データD3の時間情報に基づいて、計測データD3に対応する(時間情報が一致する)ログデータD2を実装機11から検索してもよい。これにより、ユーザにログデータD2を選択させる手間をなくし、分析コンピュータ19が読み込んだ計測データD3に対応するログデータD2を自動で判定し、関連付けることができる。
また、分析コンピュータ19は、時間情報以外の他の情報(ログデータD2と計測データD3との関連性を示す情報)に基づいて、ログデータD2に対応する計測データD3を判定してもよい。例えば、実装機11は、荷重計測装置81と通信可能に構成され、計測時に荷重計測装置81に対して識別情報(関連性を示す情報)を通知してもよい。そして、荷重計測装置81は、実装機11から通知された識別情報を計測データD3と関連付けて記憶してもよい。これにより、分析コンピュータ19は、荷重計測装置81から読み込んだ計測データD3の識別情報に基づいて、計測データD3に対応するログデータD2を実装機11から検索できる。
また、荷重計測装置81は、計測データD3の識別情報を入力可能な入力部を備えてもよい。ユーザは、例えば、荷重の計測前に実装機11の表示パネル11A(図1参照)に表示された識別情報(モジュールや計測日時を特定できる数字など)を確認し、荷重計測装置81の入力部を使用して確認した識別情報を入力する。荷重計測装置81は、入力された識別情報を計測データD3と関連付けて記憶してもよい。この場合にも、分析コンピュータ19は、荷重計測装置81から読み込んだ計測データD3の識別情報に基づいて、計測データD3に対応するログデータD2を実装機11から検索できる。
また、分析コンピュータ19は、ログデータD2と計測データD3との対応関係を判定しなくともよい。例えば、荷重計測装置81を、1回の計測データD3のみデータロガー97に記憶できる構成としてもよい。そして、対基板作業システム10は、計測データD3の分析を分析コンピュータ19によって実行されるまで次の荷重の計測を実行できない構成でもよい。これにより、ユーザは、荷重の計測を1回実施するごとに、必ず分析コンピュータ19による分析を実施する。即ち、ユーザは、計測から分析までの作業を一連の処理として行うなどの制約が生じる。この場合、荷重計測装置81から取得した計測データD3と、生産管理コンピュータ18から取得したログデータD2とは、一対一の関係となり、対応関係の判定が不要となる。従って、分析コンピュータ19は、生産管理コンピュータ18から取得したログデータD2と、荷重計測装置81から取得した計測データD3とを、対応関係を判定せずに関連付けることができる。
次に、S23において、分析コンピュータ19は、計測データD3に含まれる複数の荷重データと、複数の吸着ノズル70との対応付けを行う。図9は、計測データD3の一例であり、計測データD3に含まれる複数の荷重データ151〜153を示している。尚、図9は、複数(例えば、12個)の吸着ノズル70のうち、1〜3番目に荷重を測定した3つの吸着ノズル70に対応する荷重データ151,152,153のみを示している。図9の縦軸は、荷重の値を示している。図9の横軸は、時間を示している。
図9に示すように、計測データD3には、連続した複数の荷重データ151〜153が含まれている。荷重データ151〜153は、例えば、荷重を示す検出電圧V2のアナログ波形(アナログデータ)である。あるいは、荷重データ151〜153は、検出電圧V2の値を荷重値に分析コンピュータ19が変換したアナログ波形でも良い。図9中の時間T0は、例えば、吸着ノズル70によって押圧スイッチ99Aを押下した時間である。下降開始時間TS1,TS2,TS3は、各荷重データ151〜153(計測作業)において、計測対象の吸着ノズル70を下降させる動作を開始した時間である。上昇開始時間TE1,TE2,TE3は、各荷重データ151〜153(計測作業)において、計測対象の吸着ノズル70を上昇させる動作を開始した時間である。例えば、1番目に計測した荷重データ151において、下降開始時間TS1から所定時間(例えば、10ms)経過した後で吸着ノズル70が荷重入力部95Aに接触し、計測された荷重は、そのタイミング(10ms後)から増大を開始している。また、荷重データ151の荷重は、制御装置140によるフィードバック制御にともなって増大し、吸着ノズル70に作用する荷重が目標荷重に到達すると最大値M1付近となる。荷重データ151の荷重は、吸着ノズル70を上昇させる上昇開始時間TE1を経過すると低減する。尚、図9に示す荷重データ151は、一例であり、実際のアナログ波形を簡素化して示している。
荷重データ151の下降開始時間TS1から上昇開始時間TE1までの計測時間TW1と、荷重データ152の下降開始時間TS2から上昇開始時間TE2までの計測時間TW2は、異なっている。同様に、荷重データ152の計測時間TW2と、荷重データ153の下降開始時間TS3から上昇開始時間TE3までの計測時間TW3は、異なっている。計測時間TW1,TW2,TW3は、例えば、40ms〜150msである。
これは、本実施形態の制御装置140は、吸着ノズル70から部品に付与する荷重のフィードバック制御を実施しているためである。具体的には、制御装置140は、例えば、駆動回路142の駆動電力の電流値に基づいて、吸着ノズル70を下降させるのに必要な力が所望の力となる状態、即ち、吸着ノズル70から部品に所望の荷重を付与する状態まで吸着ノズル70を下降させる。制御装置140は、例えば、吸着ノズル70から部品に所望の荷重を付与する状態になると、吸着ノズル70の上昇を開始する。このため、荷重データ151〜153は、各吸着ノズル70の上下方向への移動における摺動抵抗などが異なることで、吸着ノズル70にその時々に作用する荷重の状態に応じて、荷重の立ち上がりや変化量の異なった波形となる。結果として、各荷重データ151〜153の計測時間TW1,TW2,TW3には、ばらつきが発生する。また、荷重データ151〜153は、時間軸に対して等間隔には並ばず、不規則な間隔となる。
これに対し、本実施形態のログデータD2には、計測作業において実装機11によって保存された各吸着ノズル70に対応する下降開始時間TS1〜TS3及び上昇開始時間TE1〜TE3が保存されている。分析コンピュータ19は、S23において、S17で取得したログデータD2に含まれる下降開始時間TS1〜TS3及び上昇開始時間TE1〜TE3と、計測データD3の時間とを照合する。そして、分析コンピュータ19は、計測データD3に含まれる複数の荷重データ151〜153が、どの吸着ノズル70に対応しているのかを検出し対応付けを行う。図9に示すように、分析コンピュータ19は、例えば、下降開始時間TS1及び上昇開始時間TE1を含む荷重データ151を、1番目に計測した吸着ノズル70(図中のノズル1)に対応付ける。同様に、分析コンピュータ19は、下降開始時間TS2及び上昇開始時間TE2を含む荷重データ152を、2番目に計測した吸着ノズル70(図中のノズル2)に対応付ける。同様に、分析コンピュータ19は、下降開始時間TS3及び上昇開始時間TE3を含む荷重データ153を、3番目に計測した吸着ノズル70(図中のノズル3)に対応付ける。
従って、本実施形態の対応付けに用いる情報(タイミング情報)は、荷重の計測作業において、実装機11が複数の吸着ノズル70(保持部)の各々を実際に動作させた実タイミング情報(下降開始時間TS1〜TS3及び上昇開始時間TE1〜TE3)である。これによれば、分析コンピュータ19(分析装置)は、実タイミング情報(下降開始時間TS1など)に基づいて、複数の荷重データ151〜153の中から、各吸着ノズル70(保持部)を動作させた時間(下降開始時間TS1など)等と一致する荷重データ151〜153を特定することで、荷重データ151〜153と吸着ノズル70を対応付けることができる。これにより、実際に動作した実タイミングに基づいて、吸着ノズル70と荷重データ151〜153とをより正確に対応付けることができる。
尚、本願のタイミング情報は、上記した実タイミング情報に限らず、実装機11の動作条件から複数の吸着ノズル70(保持部)の各々が動作したタイミングを推定した推定タイミング情報でもよい。ここでいう推定タイミング情報とは、例えば、計測作業において、1番目の吸着ノズル70(保持部)を荷重計測装置81に向けて下降させた下降開始時間TS1を基準として、予め定められている実装機11の動作条件(装着の順番、装着ヘッド24の吸着ノズル70を動作させるサイクルタイム等)に基づいて、吸着ノズル70が動作したタイミングを推定した情報である。これによれば、分析コンピュータ19(分析装置)は、この推定タイミング情報に基づいて、複数の荷重データ151〜153の中から、各吸着ノズル70の推定した推定タイミングと一致する荷重データ151〜153を特定することで、荷重データ151〜153と吸着ノズル70を対応付けることができる。特に、荷重のフィードバック制御を実施しない実装機11では、荷重の大きさに係わらず吸着ノズル70を決まったサイクルタイムで上下動させる。このため、検出される荷重データ151〜153は、等間隔に配置されるはずである。従って、1つの吸着ノズル70のタイミングを基準として、サイクルタイム等を用いて他の吸着ノズル70の下降タイミングを推定し易くなる。即ち、荷重のフィードバック制御を実行しない実装機11では、推定タイミングを用いることは極めて有効である。
また、タイミングの推定に用いる基準時間は、下降開始時間TS1や上昇開始時間TE1に限らず、例えば、吸着ノズル70の動作を開始させる前の指令を決定した時間や、吸着ノズル70の下降中の途中の時間(中間地点の時間)などを用いても良い。また、タイミングの推定に用いる実装機11の動作条件は、サイクルタイムに限らず、例えば、吸着ノズル70を動作させる平均速度や、吸着ノズル70の位置を入れ替える時間などを用いても良い。また、タイミングを推定する処理は、計測を行う実装機11側で実行しても良く、分析コンピュータ19で実行しても良い。
次に、分析コンピュータ19は、後述するS29の荷重の良否を判定する処理に用いるデータを、各荷重データ151〜153から抽出する(S25)。分析コンピュータ19は、例えば、1番目の荷重データ151のうち、下降開始時間TS1から上昇開始時間TE1までのデータを抽出する。そして、分析コンピュータ19は、抽出したデータの中における荷重の最大値M1を、良否判定用のデータとして検出する。同様に、分析コンピュータ19は、荷重データ152,153のうち、下降開始時間TS2,TS3から上昇開始時間TE2,TE3までのデータを抽出し、最大値M2,M3をそれぞれ検出する。
従って、本実施形態の複数の荷重データ151〜153は、時間の経過にともなって荷重が変化するデータである。分析コンピュータ19(分析装置)は、複数の吸着ノズル70(保持部)の各々の下降開始時間TS1等(タイミング情報)に基づいて、複数の荷重データ151〜153の各々から複数の吸着ノズル70の各々に対応する所定期間のデータを抽出する抽出処理(S25)と、抽出処理で抽出したデータに基づいて、荷重の良否を判定する判定処理(S29)と、を実行する。
これによれば、荷重データ151〜153は、例えば、時間の経過にともなって荷重が増減するアナログデータである。分析コンピュータ19(分析装置)は、タイミング情報(下降開始時間TS1など)に基づいて、その荷重データ151〜153から必要な所定時間のデータを抽出する。これにより、計測にともなう振動等によって増大した荷重(ノイズ)が荷重データ151〜153に含まれる場合(所定時間以外に含まれる場合)、下降や上昇のタイミングに基づいて必要な部分だけを抽出することでノイズを除去した所望の荷重データ151〜153を取得できる。そして、分析コンピュータ19は、抽出したデータに基づいて荷重の良否を判定することで(S29)、各吸着ノズル70(保持部)の荷重が所望の荷重であるか否かをより正確に判定することができる。
尚、分析コンピュータ19は、S25の抽出処理において、下降開始時間TS1又は上昇開始時間TE1の一方のみを用いて荷重データ151からデータを抽出し、最大値M1を検出しても良い。例えば、分析コンピュータ19は、1番目の下降開始時間TS1と、2番目の下降開始時間TS2との間のデータを抽出し、そのデータの中から最大値M1を検出しても良い。あるいは、分析コンピュータ19は、下降開始時間TS1から所定時間後までのデータを抽出し、そのデータの中から最大値M1を検出しても良い。また、分析コンピュータ19は、上昇開始時間TE1から所定時間前までのデータを抽出し、そのデータの中から最大値M1を検出しても良い。
また、分析コンピュータ19は、S25の抽出処理において、S29の判定処理に用いるデータとして最大値M1〜M3を検出するのではなく、抽出したデータの平均値や標準偏差を演算しS29の判定処理に用いても良い。
次に、分析コンピュータ19は、複数の荷重データ151〜153のうち、荷重の最大値M1,M2,M3が閾値TH以下となる荷重データ151〜153が存在するか否かを判定する(S27)。ここで、スタックなどの動作異常が発生すると、吸着ノズル70は、荷重計測装置81まで下降できないか、下降できたとしても荷重入力部95Aを適切に押下できない状態となる。この場合、動作異常の発生した吸着ノズル70の荷重データ151〜153は、荷重の増加しないデータ、あるいは増加したとしても極めて小さい増加とるデータを含む状態、即ち、データの欠落が生じた状態となる。そこで、分析コンピュータ19は、荷重の最大値M1〜M3が閾値TH以下となる荷重データ151〜153が存在するか否かを判定することで、動作異常によって荷重の増加していない荷重データ151〜153が存在するか否かを判定する(S27)。従って、S27で用いる閾値TH(図9参照)は、動作異常によって増大しない荷重データ151〜153の値に応じて設定される。閾値THは、例えば、0.2N(ニュートン)である。
分析コンピュータ19は、最大値M1〜M3が閾値TH以下となる荷重データ151〜153が存在しないことに応じて(S27:YES)、荷重データ151〜153の良否を判定する(S29)。本実施形態の制御データD1には、荷重を計測する際に吸着ノズル70から部品に付加する荷重をフィードバック制御するための目標となる目標荷重値、及び許容する荷重値の範囲を示す荷重幅が設定されている。分析コンピュータ19は、S29において、この目標荷重値及び荷重幅に基づいて荷重の良否を判定する。
例えば、分析コンピュータ19は、S25で抽出した荷重データ151の最大値M1(荷重値)が、目標荷重値を基準として荷重幅の範囲に入っているか否かを判定することで、荷重の良否を判定する。分析コンピュータ19は、最大値M1か荷重幅の範囲内に入っている場合、その荷重データ151(計測した吸着ノズル70の荷重)が良好であると判定する。目標荷重値は、例えば、181gf(グラムフォース)である。荷重幅は、例えば、20%である。この場合、分析コンピュータ19は、例えば、最大値M1が、上限値(217.2gf=181gf*1.2)以下で、且つ下限値(144.8gf=181gf*0.8)以上の場合に、荷重が良好であると判定する。尚、分析コンピュータ19は、例えば、1つの吸着ノズル70に対し複数回の計測を実行した場合、その複数回の荷重データ151の最大値M1のすべてが荷重幅の範囲に入っているか否かを判定しても良い。また、分析コンピュータ19は、例えば、複数回の計測した荷重値の一部(過半数など)が、荷重幅に含まれている場合に、荷重が良好であると判定してもよい。また、分析コンピュータ19は、目標荷重値又は荷重幅の一方で荷重の良否を判定してもよい。例えば、分析コンピュータ19は、最大値M1が目標荷重値と一致するか否かによって荷重の良否を判定してもよい。あるいは、分析コンピュータ19は、複数回の計測を実行した複数の最大値M1が、その平均値を基準として一定の荷重幅内に収まっているか否かによって荷重の良否を判定してもよい。
次に、分析コンピュータ19は、分析結果を表示部19Bに表示する(S31)。分析コンピュータ19は、各吸着ノズル70の荷重の良否の他に、例えば、荷重計測装置81のシリアルナンバー、実装機11のシリアルナンバー、装着ヘッド24のシリアルナンバーなどと合わせて、各吸着ノズル70の荷重の値を示す。表示する荷重の値としては、例えば、上記した目標荷重値、荷重幅、最大値M1〜M3を表示する。また、1つの吸着ノズル70について複数回の計測を実行した場合、1つの吸着ノズル70の荷重値として、例えば、平均値、3シグマ値、最小値、最大値などを表示しても良い。また、分析コンピュータ19は、実装機11のシリアルナンバーなどを、制御データD1によって取得することができる。また、分析コンピュータ19は、荷重値の散布図、棒グラフ、折れ線グラフなどを表示しても良い。
一方で、S27において、分析コンピュータ19は、最大値M1〜M3が閾値TH以下となる荷重データ151〜153が存在することに応じて(S27:NO)、閾値TH以下となった荷重データ151〜153に対応付けた吸着ノズル70の情報として、スタックなどの動作異常が発生した情報を設定する(S33)。図10は、一例として、ノズル2(荷重データ152)の計測時にスタックが発生した状態を示している。図10に示すように、荷重データ152は、下降開始時間TS2を経過した後も閾値THよりも増大せず、最大値M2が閾値TH以下となっている。
ここで、仮に、分析コンピュータ19が、下降開始時間TS2や上昇開始時間TE2などによる荷重データ152の関連付けを実行せず、単純に閾値THを越えたデータを荷重データ152として吸着ノズル70に関連付ける場合を考える。この場合、分析コンピュータ19は、1番目の荷重データ151の次に2番目で閾値THを越える荷重データ153を、ノズル2(2番目の吸着ノズル70)に対応する荷重データ152であると誤って対応付けてしまう虞がある。換言すれば、計測した吸着ノズル70の順番に対して、欠落したデータを飛ばして荷重データ151〜153を対応付けてしまうこととなる。上記したように、本実施形態の複数の荷重データ151〜153は、フィードバック制御を実行したことで、時間軸に対して等間隔には並ばず、不規則な間隔となる。このため、このような吸着ノズル70と荷重データ151〜153をずれて対応付ける事態が発生する可能性がより高くなる。
これに対し、本実施形態の分析コンピュータ19では、下降開始時間TS1等を用いて、荷重データ151〜153と、吸着ノズル70との対応付けを実施するため、動作異常によってデータの欠落した吸着ノズル70を特定することができる。分析コンピュータ19は、閾値TH以下となった荷重データ151〜153(例えば、荷重データ152)の情報を設定した後(S33)、S29の良否判定を実行し、S31を実行する。分析コンピュータ19は、S31の表示処理において、動作異常を検出した吸着ノズル70の情報を表示する。例えば、分析コンピュータ19は、動作異常が発生した吸着ノズル70(ノズル2)に対応する欄に「計測エラー」が発生した旨を表示する。
従って、本実施形態の分析コンピュータ19(分析装置)は、複数の荷重データ151〜153のうち、荷重の最大値M1〜M3が閾値TH以下となる荷重データ152が存在する場合に(S27:NO)、最大値M2が閾値TH以下となる荷重データ152に対応付ける吸着ノズル70(ノズル2)に関する情報を報知する報知処理(S31)を実行する。
スタックなどの動作異常が発生すると、動作異常の発生した吸着ノズル70に対応する荷重データ151〜153は、計測不能あるいは極めて小さい値となる。これに対し、分析コンピュータ19は、荷重の最大値M1〜M3が所望の閾値TH以下となる吸着ノズル70、即ち、荷重を検出できない吸着ノズル70が存在する場合、その吸着ノズル70に関する情報を報知する。分析コンピュータ19は、S23の対応付け処理において荷重データ151〜153と、吸着ノズル70を適切に対応付けるため、荷重を検出できない(閾値THを満たさない)吸着ノズル70をより正確に特定できる。このため、分析コンピュータ19の表示(報知)を確認したユーザは、スタック等の異常が発生した吸着ノズル70を迅速且つ正確に特定することができ、吸着ノズル70の付け替えや洗浄などの適切な対応を行うことができる。
尚、上記したように、ログデータD2には、吸着ノズル70の個々を識別するノズルIDや吸着ノズル70を装着する各ホルダを識別するホルダIDと、下降開始時間及び上昇開始時間を関連付けた情報を保存しても良い。この場合、上記した「計測エラー」の表示の際に、分析コンピュータ19は、計測エラーとなった吸着ノズル70に関連付けてノズルIDやホルダIDを表示することができる。これにより、例えば、装着ヘッド24のホルダに取り付けられた吸着ノズル70の中から、ホルダIDに基づいて、計測エラーとなった吸着ノズル70を容易に特定することができる。また、例えば、装着ヘッド24のホルダから既に吸着ノズル70を取り外していた場合には、ノズルIDに基づいて、計測エラーとなった吸着ノズル70を容易に特定することができる。
また、分析コンピュータ19は、良否判定(S29)や、結果表示(S31)の終了に合わせて、分析に用いたログデータD2を実装機11から削除する処理を実行してもよい。例えば、分析コンピュータ19は、判定を終了したタイミングで(S29)、ダウンロードしたログデータD2と、実装機11に保存された元データとを削除する。分析コンピュータ19は、実装機11のログデータD2(元データ)を削除する旨を、生産管理コンピュータ18に通知する。これにより、実装機11に保存されたログデータD2は、分析で使用され不要になったタイミングで削除される。
因みに、上記実施形態において、対基板作業システム10は、荷重計測システムの一例である。分析コンピュータ19は、分析装置の一例である。吸着ノズル70は、保持部の一例である。ログデータD2は、タイミング情報の一例である。下降開始時間TS1〜TS3及び上昇開始時間TE1〜TE3は、実タイミング情報の一例である。
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の対基板作業システム10(荷重計測システム)は、複数の吸着ノズル70(保持部)を有し複数の吸着ノズル70に保持した部品を基板CBに対して装着する装着ヘッド24を備える実装機11に配置され、装着の際に複数の吸着ノズル70が部品に付与する荷重を計測する荷重計測装置81と、分析コンピュータ19(分析装置)と、を備える。分析コンピュータ19は、荷重の計測作業において複数の吸着ノズル70の各々が動作したタイミングに関する情報であるログデータD2の下降開始時間TS1等(タイミング情報)を取得する第一取得処理(S17)と、複数の吸着ノズル70の各々における荷重を計測した結果である複数の荷重データ151〜153を、荷重計測装置81から取得する第二取得処理(S19)と、第一取得処理で取得したログデータD2に基づいて、第二取得処理で取得した複数の荷重データ151〜153と、複数の吸着ノズル70を対応付ける対応付け処理(S23)と、を実行する。
これによれば、分析コンピュータ19(分析装置)は、荷重の計測作業において複数の吸着ノズル70の各々が動作したタイミングに関するログデータD2(タイミング情報)を取得する。このタイミング情報は、例えば、個々の吸着ノズル70を実際に動作させた情報や、その情報から推定した情報などである。分析コンピュータ19は、ログデータD2(タイミング情報)に基づいて、荷重計測装置81から取得した複数の荷重データ151〜153と、複数の吸着ノズル70を対応付ける。これにより、仮に、スタックなどの動作異常によって、一部の吸着ノズル70で荷重の計測に失敗し荷重データ151〜153が欠落したとしても、分析コンピュータ19は、実際に動作させたログデータD2に基づいて、複数の吸着ノズル70と、複数の荷重データ151〜153を対応付けることができる。その結果、例えば、荷重を計測できなかった吸着ノズル70、即ち、スタックなどの動作異常が発生している吸着ノズル70を特定することができる。
また、実装機11は、部品を基板CBに対して装着する装着作業において、複数の吸着ノズル70(保持部)のうち、装着作業を実行する吸着ノズル70が部品に付与する荷重をフィードバック制御するものである。
これによれば、実装機11は、部品を基板CBに装着する装着作業において、装着作業を行う吸着ノズル70(保持部)から部品に付与する荷重をフィードバック制御して、部品に付与する荷重を所望の荷重に制御する。このフィードバック制御を実行する実装機11では、例えば、所望の荷重を検出できるまで吸着ノズル70を下降させ、吸着ノズル70によって部品を基板CB側へと押圧する。この動作は、部品や基板CBを用いない荷重の計測作業においても同様となる。実装機11は、フィードバック制御を実行することで、変動する荷重に応じて各吸着ノズル70に対し互いに異なる動作を実行する。その結果、各吸着ノズル70に対応する荷重データ151〜153は、波形の立ち上がりや立ち下がりのタイミングが異なり、立ち上がってから立ち下がるまでの時間、即ち、荷重の計測時間(計測時間TW1など)が異なってくる。例えば、時間軸に沿って並べられた複数の荷重データ151〜153は、図9に示すように、等間隔には並ばず、実際のフィードバック制御に応じて、ばらついた配置となる。等間隔に荷重データ151〜153が並んでいないため、荷重データ151〜153の欠落が発生すると、荷重データ151〜153と、吸着ノズル70の対応付けが特に困難となる。
一方で、実装機11は、スタックが発生した場合、吸着ノズル70を下降させる動作において、ひっかかりなどによって実際には吸着ノズル70を下降できていなくとも、フィードバックされる荷重が増大することとなる。つまり、実装機11は、スタックして荷重が上昇したのか、あるいは、正常に下降して荷重計測装置81に当たって荷重が上昇したのかを判定することが難しい。実装機11側でもエラーが発生しないため、荷重データ151〜153と、吸着ノズル70を対応付けることはさらに困難となる。これに対し、本実施形態では、複数の吸着ノズル70の各々を実際に動作させた下降開始時間TS1など(タイミング情報)に基づいて、複数の吸着ノズル70と、複数の荷重データ151〜153を対応付け、スタックなどの異常が発生している吸着ノズル70を特定することができる。このため、この種のフィードバック制御を実行する実装機11に対して、本願の荷重計測システムを用いることは極めて有効である。
また、本願は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施形態において、対応付けに用いるタイミング情報は、実装機11のログデータD2に限らない。例えば、実装機11は、荷重計測装置81と通信可能に構成され、計測時に荷重計測装置81に対して吸着ノズル70を動作させたタイミング情報を通知してもよい。そして、荷重計測装置81は、実装機11から通知されたタイミング情報を荷重データ151〜153の各々と関連付けて記憶してもよい。これにより、分析コンピュータ19は、荷重計測装置81から読み込んだ荷重データ151〜153と、それに関連付けられたタイミング情報とに基づいて、荷重データ151〜153と吸着ノズル70とを対応付けることができる。例えば、分析コンピュータ19は、荷重計測装置81から読み込んだタイミング情報に基づいて、1番目の吸着ノズル70(ノズル1)を動作させたタイミング(通知時間)から、2番目の吸着ノズル70(ノズル2)を動作させたタイミング(通知時間)までのデータを、ノズル1の荷重データ151として処理しても良い。この場合、荷重計測装置81は、実装機11から1番目の吸着ノズル70(ノズル1)を動かしたタイミングの通知だけを受ける構成でも良い。そして、分析コンピュータ19は、ノズル1のタイミングを基準として他のノズル(ノズル2以降)のタイミングを、他の情報に基づいて推定しても良い。ここでいう他の情報とは、例えば、装着ヘッド24の吸着ノズル70を動作させるサイクルタイムである。
また、荷重データ151〜153は、アナログデータに限らず、離散的なデジタルデータでも良い。
また、分析コンピュータ19は、S25における抽出処理を実行しなくとも良い。この場合、分析コンピュータ19は、例えば、下降開始時間TS1〜TS3ごとに計測データD3を分割して、分割したデータを荷重データ151〜153として処理しても良い。
また、実装機11は、吸着ノズル70から部品に付与する荷重をフィードバック制御しない構成でも良い。
また、分析コンピュータ19は、荷重データ151〜153の最大値M1〜M3と閾値THを比較する処理(S27)や、その結果に応じてエラーを報知する処理(S33)を実行しなくとも良い。
また、上記実施形態において、複数台の荷重計測装置81を用いて荷重の計測を実施してもよい。この場合、実装機11は、例えば、各荷重計測装置81のコード部113(図5参照)を計測の開始時に撮像し、コード部113の情報をログデータD2と関連付けてもよい。これにより、例えば、分析コンピュータ19は、荷重計測装置81を接続する際に、荷重計測装置81のコード部113をバーコードリーダで読み込むことで、コード部113の情報をキー情報として、計測データD3に対応するログデータD2を実装機11から検索できる。
また、上記実施形態では、本願の荷重計測システムとして、実装機11、半田印刷機13、生産管理コンピュータ18等を備えた対基板作業システム10を採用した場合について説明したが、これに限らない。本願の荷重計測システムは、例えば、分析コンピュータ19と、荷重計測装置81のみを備える構成でもよい。
また、分析コンピュータ19は、生産管理コンピュータ18を介さずに、任意の実装機11からログデータD2を直接取得してもよい。
また、生産管理コンピュータ18及び分析コンピュータ19は、パーソナルコンピュータに限らず、サーバ装置でもよい。
また、本願の荷重を計測する対象は、吸着ノズル70に限らない。上記実施形態では、装着ヘッド24は、吸着ノズル70によって押圧スイッチ99A等を押下した。しかしながら、例えば、装着ヘッド24は、部品を保持する他の部材(チャックなど)によって押圧スイッチ99Aを押下してもよい。
また、上記実施形態の荷重計測装置81の構成は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、フィデューシャルマーク111は、2つに限らず、1つ又は3つ以上でもよい。また、例えば、押圧スイッチ99Aと荷重入力部95Aとを離れた位置に設けてもよい。また、例えば、電源スイッチ93及び外部インターフェース101を、上面83Aに設けてもよい。