本発明は、ソケットに対する撮像手段の相対位置を精度良く較正することが可能な電子部品試験装置のキャリブレーション方法を提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するために、本発明によれば、ソケットを撮像するソケット撮像手段、及び、被試験電子部品を撮像するデバイス撮像手段を備えており、アライメント手段により前記被試験電子部品を前記ソケットに対して相対的に位置決めした後に、移動手段が前記被試験電子部品を前記ソケットに電気的に接触させて、前記被試験電子部品のテストを行う電子部品試験装置において、前記ソケットに対する前記デバイス撮像手段の相対位置を較正するためのキャリブレーション方法であって、第1の所定位置に治具を載置する載置ステップと、前記第1の所定位置に載置された前記治具を前記ソケット撮像手段が撮像する第1の撮像ステップと、前記第1の所定位置に載置された前記治具を前記移動手段が前記アライメント手段に移動させる第1の移動ステップと、前記アライメント手段に位置する前記治具を前記デバイス撮像手段が撮像する第2の撮像ステップと、前記ソケットを前記ソケット撮像手段が撮像する第3の撮像ステップと、前記第1の撮像ステップにて撮像された画像情報に基づいて、前記第1の所定位置に対する前記ソケット撮像手段の相対位置を認識する第1の認識ステップと、前記第2の撮像ステップにて撮像された画像情報に基づいて、前記第1の所定位置に対する前記デバイス撮像手段の相対位置を認識する第2の認識ステップと、前記第3の撮像ステップにて撮像された画像情報に基づいて、前記ソケットに対する前記ソケット撮像手段の相対位置を認識する第3の認識ステップと、前記第1の認識ステップにて認識された前記第1の所定位置に対する前記ソケット撮像手段の相対位置と、前記第3の認識ステップにて認識された前記ソケットに対する前記ソケット撮像手段の相対位置とから、前記ソケットに対する前記第1の所定位置の相対的なズレ量を演算する第1の演算ステップと、前記第2の認識ステップにて認識された前記第1の所定位置に対する前記デバイス撮像手段の相対位置と、前記第1の演算ステップにて演算されたズレ量とから、前記ソケットに対する前記デバイス撮像手段の相対位置を演算する第2の演算ステップと、を備えた電子部品試験装置のキャリブレーション方法が提供される(請求項1参照)。
本発明では、第1の所定位置に対するソケット撮像手段の相対位置と、ソケットに対するソケット撮像手段の相対位置とから、ソケットに対する第1の所定位置のズレ量を演算し、第1の所定位置に対するデバイス撮像手段の相対位置にこのズレ量を加味することにより、ソケットに対するデバイス撮像手段の相対位置を演算する。
第1の所定位置に対するデバイス撮像手段の相対位置に、ソケット対する第1の所定位置のズレ量を加味して、ソケットに対するデバイス撮像手段の相対位置を演算するので、ソケット自体を基準としたキャリブレーションと同等の精度でソケットに対する撮像手段の相対位置の較正を行うことができる。
通常、電子部品試験装置では、例えば、室温〜+125℃程度の熱ストレスを印加した状態でICデバイスのテストを実行する。そのため、品種交換の際に撮像手段の相対位置の較正を行う場合には、電子部品試験装置の温度を室温に一旦戻した後に、手動でキャリブレーションを行わなければならず、昇降温を含めて数時間を要する。これに対し、本発明では、被試験電子部品の品種に依存しない第1の所定位置を基準としてキャリブレーションを行うので、キャリブレーションの自動化を図ることができる。そのため、キャリブレーションの際に電子部品試験装置の昇降温を必要とせず、数分間でキャリブレーションを完了することが可能となる。
また、手動によるキャリブレーションでは、電子部品試験装置を昇降温した後に撮像手段の較正を行うことが困難であったが、本発明では、キャリブレーションの自動化を図ることが可能であるので、電子部品試験装置を昇降温した後にも撮像手段の相対位置の較正を行うことができ、熱膨張等も加味した高精度なキャリブレーションを実施する可能となる。さらに、始業毎や2日おき等の一定周期でキャリブレーションを自動的に実行したり、地震等が発生した際にキャリブレーションを自動的に実行することも可能となる。
また、被試験電子部品の品種に依存しない第1の所定位置を基準としてキャリブレーションを行うので、キャリブレーション治具の汎用化を図ることもできる。
第1の所定位置としては、ソケット撮像手段が撮像可能な範囲内であり、且つ、被試験電子部品の品種交換時に電子部品試験装置から取り外されるテストヘッドとは独立した部分であれば、特に限定されないが、前記ソケットの上方に位置しているソケットガイドであることが好ましい(請求項2参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記載置ステップにおいて、前記移動手段が前記治具を第2の所定位置から前記第1の所定位置に移動させて載置することが好ましい(請求項3参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記移動手段が前記治具を前記アライメント手段から前記第2の所定位置に移動させる返却ステップをさらに備えていることが好ましい(請求項4参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記ソケット撮像手段を、所定の基準位置に固定された標示部の上方に移動させる第2の移動ステップと、前記ソケット撮像手段が前記標示部を撮像する第4の撮像ステップと、前記第4の撮像ステップにて撮像された画像情報に基づいて、前記標示部に対する前記ソケット撮像手段の相対位置を認識する第4の認識ステップと、予め設定されている前記標示部に対する前記ソケット撮像手段の基準相対位置に対する、前記第4の認識ステップにて認識された前記標示部に対する前記ソケット撮像手段の相対位置のズレ量を演算する第3の演算ステップと、前記第3の演算ステップにて演算された前記ズレ量に基づいて、前記第3の認識ステップにて認識された前記ソケットに対する前記ソケット撮像手段の相対位置を修正する修正ステップと、をさらに備えていることが好ましい(請求項5参照)。
画像処理技術を用いたハンドラでは、ICデバイスを撮像するデバイスカメラに加えて、ソケットの位置を計測するためにソケットカメラがコンタクトアームと共に移動可能にデバイス移動装置に設けられている。
上記の通り、被試験電子部品は所定の熱ストレスを印加した状態で試験が行われる。そのため、その熱ストレスに伴う熱膨張によりコンタクトアームに対してソケットカメラの位置がズレてしまい、ソケットカメラを用いてソケットの位置を正確に計測することができず、ICデバイスとソケットのミスコンタクトを招来する場合がある。
また、デバイスカメラは、デバイス移動装置によりコンタクトアームと共に移動可能となっているため、その移動時に発生する振動等によりコンタクトアームに対してソケットカメラの位置がズレてしまい、この場合にもICデバイスとソケットのミスコンタクトを招来する場合がある。
これに対し、本発明では、電子部品試験装置の所定の基準位置に固定された標示部に対するソケット撮像手段の相対位置を、予め設定されている標示部に対するソケット撮像手段の基準相対位置と比較してズレ量を算出し、そのズレ量に基づいて、ソケットに対するソケット撮像手段の相対位置を修正する。
これにより、熱膨張や振動によりコンタクトアームに対してソケット撮像手段の位置がズレていても、そのズレ量を把握してソケットの位置計測に反映させることができるので、被試験電子部品とソケットとのミスコンタクトを防止することができる。
上記発明においては特に限定されないが、前記標示部は、前記電子部品試験装置の非可動部に固定されていることが好ましい(請求項6参照)。
電子部品試験装置の非可動部は、例えば、アクチュエータ等により可動せず、電子部品試験装置のフレームに直接的又は間接的に固定されている部分を挙げることができるが、より具体的には被試験電子部品試験装置のメインベースを挙げることができる。
(2)上記目的を達成するために、本発明によれば、被試験電子部品をソケットに電気的に接触させて、前記被試験電子部品のテストを行う電子部品試験装置であって、前記ソケットを撮像するソケット撮像手段と、前記被試験電子部品を撮像するデバイス撮像手段と、前記ソケット撮像手段が取り付けられているとともに、前記被試験電子部品を移動させる移動手段と、前記デバイス撮像手段が設けられ、前記被試験電子部品を前記ソケットに対して相対的に位置決めするアライメント手段と、前記ソケット撮像手段及び前記デバイス撮像手段により撮像された画像情報に対して画像処理を行う画像処理手段と、第1の所定位置に載置可能なキャリブレーション治具と、を備え、前記画像処理手段は、前記第1の所定位置に載置された前記治具を前記ソケット撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、前記第1の所定位置に対する前記ソケット撮像手段の相対位置を認識する第1の認識部と、前記アライメント手段に位置する前記キャリブレーション治具を前記デバイス撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、前記第1の所定位置に対する前記デバイス撮像手段の相対位置を認識する第2の認識部と、前記ソケットを前記ソケット撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、前記ソケットに対する前記ソケット撮像手段の相対位置を認識する第3の認識部と、前記第1の認識部により認識された前記第1の所定位置に対する前記ソケット撮像手段の相対位置と、前記第3の認識部により認識された前記ソケットに対する前記ソケット撮像手段の相対位置とから、前記ソケットに対する前記第1の所定位置の相対的なズレ量を演算する第1の演算部と、前記第2の認識部により認識された前記第1の所定位置に対する前記デバイス撮像手段の相対位置と、前記第1の演算部により演算されたズレ量とから、前記ソケットに対する前記デバイス撮像手段の相対位置を演算する第2の演算部と、を有する電子部品試験装置が提供される(請求項7参照)。
本発明では、第1の所定位置に対するソケット撮像手段の相対位置と、ソケットに対するソケット撮像手段の相対位置とから、ソケットに対する第1の所定位置のズレ量を演算し、第1の所定位置に対するデバイス撮像手段の相対位置にこのズレ量を加味することにより、ソケットに対するデバイス撮像手段の相対位置を演算する。
第1の所定位置に対するデバイス撮像手段の相対位置に、ソケットに対する第1の所定位置のズレ量を加味して、ソケットに対するデバイス撮像手段の相対位置を演算するので、ソケット自体を基準としたキャリブレーションと同等の精度でソケットに対する撮像手段の相対位置の較正を行うことができる。
また、本発明では、被試験電子部品の品種に依存しない第1の所定位置を基準としてキャリブレーションを行うので、キャリブレーションの自動化を図ることができる。そのため、品種交換に伴うキャリブレーションの際に電子部品試験装置の昇降温を必要とせず、数分間でキャリブレーションを完了することが可能となる。
また、本発明では、キャリブレーションの自動化を図ることが可能であるので、電子部品試験装置を昇降温した後にも撮像手段の相対位置の較正を行うことができ、熱膨張等も加味した高精度なキャリブレーションを実施する可能となる。さらに、始業毎や2日おき等の一定周期でキャリブレーションを自動的に実行したり、地震等が発生した際にキャリブレーションを自動的に実行することも可能となる。
また、被試験電子部品の品種に依存しない第1の所定位置を基準としてキャリブレーションを行うので、キャリブレーション治具の汎用化を図ることもできる。
第1の所定位置としては、ソケット撮像手段が撮像可能な範囲内であり、且つ、被試験電子部品の品種交換時に電子部品試験装置から取り外されるテストヘッドとは独立した部分であれば、特に限定されないが、前記ソケットの上方に位置しているソケットガイドであることが好ましい(請求項8参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記治具を保管する保管手段をさらに備えていることが好ましい(請求項9参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記移動手段の動作範囲内に試験前の前記被試験電子部品を搬入し、又は、前記移動手段の動作範囲内から試験済みの前記被試験電子部品を搬出する搬送手段をさらに備え、前記移動手段及び前記搬送手段は、前記治具を前記保管手段から前記第1の所定位置に移動させることが好ましい(請求項10参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記移動手段及び前記搬送手段は、前記治具を前記アライメント手段から前記保管手段に移動させることが好ましい(請求項11参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記キャリブレーション治具は、前記第1の所定位置に載置されるベース部材と、前記治具の位置及び姿勢が前記ソケット撮像手段及び前記デバイス撮像手段を用いて認識できるように、前記ベース部材の両主面のそれぞれ2点以上に設けられたマーカー部と、を備えていることが好ましい(請求項12参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記マーカー部は、前記ベース部材を貫通している貫通孔であることが好ましい(請求項13参照)。
マーカー部を貫通孔で構成することにより、ベース部材の表裏面におけるマーカー部の位置関係を容易に一致させることができる。
上記発明においては特に限定されないが、前記ソケット撮像手段により撮像可能に、所定の基準位置に固定された標示部をさらに備え、前記画像処理手段は、前記標示部を前記ソケット撮像手段が撮像した画像情報に基づいて、前記標示部に対する前記ソケット撮像手段の相対位置を認識する第4の認識部と、予め設定されている前記標示部に対する前記ソケット撮像手段の基準相対位置に対する、前記第4の認識部により認識された前記標示部に対する前記ソケット撮像手段の相対位置のズレ量を演算する第3の演算部と、前記第3の演算部により演算された前記ズレ量に基づいて、前記第1の認識部により認識された前記ソケットに対する前記ソケット撮像手段の相対位置を修正する修正部と、を有することが好ましい(請求項14参照)。
本発明では、電子部品試験装置の所定の基準位置に標示部を固定し、この標示部に対するソケット撮像手段の相対位置と、予め設定されている標示部に対するソケット撮像手段の基準相対位置と、を比較してズレ量を演算し、そのズレ量に基づいて、ソケットに対するソケット撮像手段の相対位置を修正する。
これにより、熱膨張や振動によりコンタクトアームに対してソケット撮像手段の位置が相対的にズレても、そのズレ量を把握してソケットの位置計測に反映させるので、被試験電子部品とソケットとのミスコンタクトを防止することができる。
上記発明においては特に限定されないが、前記標示部は、前記電子部品試験装置の非可動部に固定されていることが好ましい(請求項15参照)。
電子部品試験装置の非可動部は、例えば、アクチュエータ等により可動せず、電子部品試験装置のフレームに直接的又は間接的に固定されている部分を挙げることができるが、より具体的には被試験電子部品試験装置のメインベースを挙げることができる。
(3)上記目的を達成するために、本発明によれば、ソケットを撮像するソケット撮像手段、及び、被試験電子部品を撮像するデバイス撮像手段を備えており、アライメント手段により前記被試験電子部品を前記ソケットに対して相対的に位置決めした後に、移動手段が前記被試験電子部品を前記ソケットに電気的に接触させて、前記被試験電子部品のテストを行う電子部品試験装置において、前記ソケットに対する前記デバイス撮像手段の相対位置を較正するために用いられるキャリブレーション治具であって、前記電子部品試験装置の第1の所定位置に載置されるベース部材と、前記治具の位置及び姿勢が前記ソケット撮像手段及び前記デバイス撮像手段を用いて認識できるように、前記ベース部材の両主面のそれぞれ2点以上に設けられたマーカー部と、を備えているキャリブレーション治具が提供される(請求項16参照)。
本発明では、ソケットに対するデバイス撮像手段の相対位置を較正するために用いられるキャリブレーション治具を、電子部品試験装置の第1の所定位置の上に載置するように構成する。これにより、ICデバイスの品種に依存しない第1の所定位置を基準としてキャリブレーションを行うことが可能となるので、キャリブレーションの自動化が図れると共に、キャリブレーション治具の汎用化も図ることができる。
前記電子部品試験装置の第1の所定位置としては、ソケット撮像手段が撮像可能な範囲内であり、且つ、被試験電子部品の品種交換時に電子部品試験装置から取り外されるテストヘッドとは独立した部分であれば特に限定されないが、前記ソケットの上方に位置しているソケットガイドであることが好ましい(請求項17参照)。
上記発明においては特に限定されないが、前記マーカ部は、前記ベース部材を貫通している貫通孔であることが好ましい(請求項18参照)。
マーカー部を貫通孔で構成することにより、ベース部材の表裏面におけるマーカー部の位置関係を容易に一致させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態における電子部品試験装置1は、ハンドラ10、テストヘッド70及びテスタ80を備えており、テストヘッド70とテスタ80とはケーブル81を介して接続されている。
ハンドラ10は、格納部20、ローダ部30、テスト部40及びアンローダ部50から構成されており、格納部20からローダ部30を介してテスト部40に被試験ICデバイスを供給し、コンタクトアーム420がテストヘッド70のソケット71にICデバイスを押し付けて、テスタ80がテストヘッド70及びケーブル81を介してICデバイスのテストを実行した後、アンローダ部50が、試験済みのICデバイスを、テスト結果に従って分類しながら格納部20に格納する。
<格納部20>
格納部20は、供給トレイ用ストッカ21、分類トレイ用ストッカ22、空トレイ用ストッカ23及びトレイ搬送装置24を備えており、試験前及び試験後の被試験ICデバイスを格納することが可能となっている。
供給トレイ用ストッカ21は、複数の供給トレイを積層して収容しており、それぞれの供給トレイには複数の試験前のICデバイスが搭載されている。本実施形態では、図1に示すように、格納部20に2つの供給トレイ用ストッカ21が設けられている。なお、本発明においては供給トレイ用ストッカの数は特にこれに限定されない。
分類トレイ用ストッカ22は、複数の分類トレイを積層して収容しており、それぞれの分類トレイには複数の試験済みのICデバイスが搭載されている。本実施形態では、図1に示すように、格納部20に4つの分類トレイ用ストッカ22が設けられている。分類トレイ用ストッカ22を4つ設けることにより、試験結果に応じて、最大4つの分類にICデバイスを仕分けして格納することが可能となっている。つまり、良品と不良品の分類のみではなく、良品の中でも動作速度が高速なもの、中速なもの、低速なもの、或いは、不良の中でも再試験が必要なもの等に仕分けすることが可能となっている。なお、本発明においては分類トレイ用ストッカの数は特にこれに限定されない。
空トレイ用ストッカ23は、複数の空トレイを積層して収容している。それぞれの空トレイは、供給トレイ上に搭載された全てのICデバイスがローダ部30に供給されて空となったトレイである。
なお、供給トレイ、分類トレイ及び空トレイは、特に図示しないが、いずれもICデバイスを収容可能な凹部が複数形成された同一形状のトレイであり、本実施形態では、便宜上、試験前のICデバイスを搭載したトレイを供給トレイと称し、試験済みのICデバイスを搭載したトレイを分類トレイと称し、ICデバイスを搭載していないトレイを空トレイと称している。
各ストッカ21〜23には、特に図示しないが、Z軸方向に沿って移動可能なエレベータが設けられており、積層した状態の複数のトレイを昇降させることが可能となっている。
トレイ搬送装置24は、図1に示すように、支持レール241、可動ヘッド242及び吸着ヘッド243から構成されており、X軸方向及びZ軸方向に沿ってトレイを移動させることが可能となっている。このトレイ搬送装置24は、供給トレイ用ストッカ21、空トレイ用ストッカ23及び分類トレイ用ストッカ22を包含する動作範囲を有している。
支持レール241は、ハンドラ10のメインベース11上にX軸方向に沿って設けられている。可動ヘッド242は、この支持レール241にX軸方向に沿って移動可能に支持されている。4つの吸着パッド243は、可動ヘッド242に下向きに装着されており、特に図示しないアクチュエータによりZ軸方向に沿って移動可能となっている。
トレイ搬送装置24は、全ての試験前のICデバイスをローダ部30に供給して空となった空トレイを供給トレイ用ストッカ21から空トレイ用ストッカ23に移動させる。また、トレイ搬送装置24は、分類トレイが試験済みのICデバイスで満杯となった場合に、空トレイ用ストッカ23から分類トレイ用ストッカ22に空トレイを移送する。
<ローダ部30>
ローダ部30は、第1のデバイス搬送装置31、ヒートプレート32及び2つの第1のバッファ部33を備えており、格納部20から試験前のICデバイスを取り出し、所定の熱ストレスを印加した後にテスト部30に供給することが可能となっている。
第1のデバイス搬送装置31は、図1に示すように、支持レール311、可動レール312、可動ヘッド313及び吸着パッド314から構成されており、4つのICデバイスをX−Y−Z軸方向に沿って移動させることが可能となっている。この第1のデバイス搬送装置31は、供給トレイ用ストッカ21、ヒートプレート32及び第1のバッファ部33を包含する動作範囲を有している。
支持レール311は、ハンドラ10のメインベース11上にY軸方向に沿って設けられている。可動レール312は、2本の支持レール311の間にY軸方向に沿って移動可能に支持されている。可動ヘッド313は、可動レール312にX軸方向に沿って移動可能に設けられている。吸着パッド314は、可動ヘッド313に下向きに装着されており、特に図示しないアクチュエータによりZ軸方向に沿って移動可能となっている。
この第1のデバイス搬送装置31は、供給トレイ用ストッカ21の供給トレイからヒートプレート32に一度に4つのICデバイスを搬送し、ヒートプレート32にてICデバイスに所定の熱ストレスが印加された後、さらにそのICデバイスをヒートプレート32から第1のバッファ部33に移動させる。
ヒートプレート32は、例えば下部に発熱源(不図示)を有する金属製プレートであり、試験前のICデバイスに所定の熱ストレスを印加することが可能となっている。このヒートプレート32の上部表面には、ICデバイスを収容可能な複数の凹部321が形成されている。
第1のバッファ部33は、図1に示すように、アクチュエータ331と可動ヘッド332から構成されており、ICデバイスをローダ部30の領域からテスト部40の領域に移動させることが可能となっている。
アクチュエータ331は、ハンドラ10のメインベース11上にX軸方向に沿って伸縮可能に設けられている。可動ヘッド332は、アクチュエータ331の駆動軸の先端部に固定されている。可動ヘッド332の上面には、ICデバイスを収容可能な4つの凹部333が形成されている。
この第1のバッファ部33は、第1のデバイス搬送装置31により可動ヘッド332の各凹部333に4つのICデバイスが落とし込まれると、アクチュエータ331を伸長させて、ローダ部30の領域からテスト部40の領域に4つのICデバイスを一度に移動させる。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、ハンドラ10の基板11上において2つの第1のバッファ部33の間に、キャリブレーション治具60を保管するための保管場所34が設けられている。なお、キャリブレーション治具60については後述する。本実施形態では、この保管場所34も第1のデバイス搬送装置31の動作範囲に含まれている。
<テスト部40>
テスト部40は、デバイス移動装置41と4つのアライメント装置43を備えており、画像処理技術を用いて試験前のICデバイスをソケット71に対して高精度に相対的に位置決めした後に、テストヘッド70のソケット71にICデバイスを押し付けることが可能となっている。
図2に示すように、テスト部40の下部に空間12が形成されており、この空間12にテストヘッド70が挿入され、テスト部40の下方にテストヘッド70が位置している。
図2及び図3に示すように、テスト部40におけるハンドラ10のメインベース11には開口11aが形成されており、テストヘッド70の上部には、4つのソケット71が装着されている。各ソケット71は、ICデバイスの入出力端子に対応するように配列された多数のコンタクトピン72を備えている。そして、テストヘッド70上部に装着されたソケット71が、開口11aを介してハンドラ10の内部に臨んでいる。
さらに、図3に示すように、ソケット71の上部には、当該ソケット71を固定するためのソケットガイド73が設けられている。ソケット71は、ICデバイスの品種に応じて専用に製作されているのに対し、ソケットガイド73は、ICデバイスの品種に特に依存していない。
このソケットガイド73は、ソケット71のコンタクトピン72をハンドラ10の内部に臨ませるための開口74を備えている。この開口74の周囲には、キャリブレーション治具60(後述)を位置決めするための2本の位置決めピン75が、上方に向かって突出するように設けられている。この位置決めピン75の外周面76はテーパ状に形成されている。
デバイス移動装置41は、図1及び図2に示すように、支持レール411、可動レール412及び可動ヘッド413から構成されており、ICデバイスをX−Y−Z軸方向に沿って移動させることが可能となっている。このデバイス移動装置41は、開口11aを介してハンドラ10内部を臨んでいるソケット71とアライメント装置43を包含する動作範囲を有している。
支持レール411は、ハンドラ10のメインベース11上にY軸方向に沿って設けられている。可動レール412は、2本の支持レール411の間にY軸方向に沿って移動可能に支持されている。可動ヘッド413は、可動レール412にX軸方向に沿って移動可能に支持されている。
なお、図1に示すように、本実施形態では、2本の支持レール411の間に2つの可動レール412が独立して移動可能に支持されている。そのため、一方の可動レール412がアライメント装置43に移動してICデバイスの位置のアライメントを行っている間に、他方の可動レール412がソケット71上に移動してICデバイスのテストを行うことが可能となっている。
可動ヘッド413は、図4に示すように、ソケットカメラ414、アクチュエータ415及び4つのコンタクトアーム420を備えている。4つのコンタクトアーム420は、テストヘッド70に設けられた4つのソケット71の配列に対応するように、可動ヘッド413に下向きに装着されている。なお、図4では、便宜上、一つのコンタクトアーム420しか図示していないが、実際には図1に示すように、2行2列の配列で4つのコンタクトアーム420がアクチュエータ415の駆動軸の先端に装着されている。また、図4では、一つの可動ヘッド413に1台のソケットカメラ414しか図示されていないが、実際には、X軸方向に沿って、2台のソケットカメラ414が設けられている。
ソケットカメラ414は、カメラ支持部材416を介して可動レール412に下向きに固定された例えばCCDカメラであり、テストヘッド70のソケット71を撮像することが可能となっている。このソケットカメラ414は、ソケット71の位置及び姿勢を認識するために使用される。
アクチュエータ415は、Z軸方向に沿って伸縮可能なように可動レール412に固定されており、駆動軸の先端に4つのコンタクトアーム420が装着されている。
各コンタクトアーム420は、固定側コンタクトアーム421、ロックアンドフリー機構422及び把持側コンタクトアーム423から構成されている。
固定側コンタクトアーム421は、その上端でアクチュエータ415の駆動軸に固定されており、その下端で、ロックアンドフリー機構422を介して、把持側コンタクトアーム423に連結されている。
ロックアンドフリー機構422は、特に図示しないが、加圧エアを利用して、固定側コンタクトアーム421に対する把持側コンタクトアーム423のXY平面に沿った相対移動及びZ軸を中心とした相対的な回転を拘束したり、非拘束とすることが可能となっている。また、このロックアンドフリー機構422は、固定側コンタクトアーム421の中心軸と把持側コンタクトアーム423の中心軸とを一致させるセンタリング機能も備えている。
把持側コンタクトアーム423は、その下端にICデバイスを吸着保持するための吸着パッド424が設けられていると共に、その周囲を囲うように環状の当接部材425が設けられている。
また、把持側コンタクトアーム423の内部に、ヒータ426と温度センサ427が埋め込まれている。把持側コンタクトアーム423の温度を温度センサ427により検出することでICデバイスの温度を間接的に測定し、この測定値に基づいてヒータ426のON/OFF制御を行うことにより、ヒートプレート32にて印加された熱ストレスを維持することが可能となっている。
アライメント装置43は、図4に示すように、ステージ431、ミラー433及びデバイスカメラ434を備えており、ステージ431に当接している把持側コンタクトアーム423の位置や姿勢のアライメントを行うことで、ICデバイスをソケット71に対して高精度に位置決めすることが可能となっている。なお、本実施形態では、デバイス移動装置41が2つの可動ヘッド413を備えていることに対応して、図1に示すように、2組合計4個のアライメント装置43が設けられている。
ステージ431は、特に図示しないモータ機構により、XY平面に沿った移動及びZ軸を中心とした回転が可能となっている。また、ステージ431の略中央部には、ICデバイスが通過可能であり且つ環状の当接部材425が当接可能な内径を有する開口432が形成されている。
そして、ロックアンドフリー機構422が非拘束な状態において、把持側コンタクトアーム423がステージ431に当接して、ステージ431が移動した際に把持側コンタクトアーム423がその動きに追従することで、把持側コンタクトアーム423に保持されているICデバイスの位置がアライメントされるようになっている。
デバイスカメラ434は、XY平面に沿って横置きに設置された例えばCCDカメラであり、ミラー433及びステージ431の開口432を介して、把持側コンタクトアーム423に吸着保持されているICデバイスを撮像することが可能となっている。このデバイスカメラ434は、ICデバイスをソケット71に押し付ける前にソケット71に対してICデバイスを位置決めするために、テストの前に毎回使用される。
さらに本実施形態では、図1、図2及び図4に示すように、ソケット71及びステージ431を通過する直線上に標示部45が設けられている。
この標示部45は、図5に示すように、裏面に粘着剤や接着剤が塗布されたシート状の薄いシール部材451から構成されている。このシール部材451の表面には、16個のドット(点)が4行4列に配列されたドットパターン452〜454が、左右両端部及び中央部の計3箇所に印刷されている。
この標示部45は、テスト部40におけるメインベース11に貼り付けられて固定されており、移動可能なコンタクトアーム420や交換可能なソケット71と一緒に動くことがないようになっている。この標示部45は、熱膨張や振動によるソケットカメラ414の位置のズレを把握するために、ソケットカメラ414により撮像される。
本実施形態に係る電子部品試験装置1のように、一つの可動ヘッド413に2台のソケットカメラ414が設けられている場合には、一方のソケットカメラ414が、左端に印刷された第1のドットパターン452を撮像し、他方のソケットカメラ414が、右端に印刷された第2のドットパターン452を撮像する。この場合、中央部に印刷された第3のドットパターン454は特に使用しない。
これに対し、一つの可動ヘッド413にソケットカメラ414が1台しか設けられていないタイプの電子部品試験装置に標示部45を用いる場合には、中央部に印刷されている第3のドットパターン454をソケットカメラ414が撮像し、第1及び第2のドットパターン452、453は特に使用しない。
このように、この標示部45は、可動ヘッド1台当たりにソケットカメラ414が1台設けられているタイプ、及び、ソケットカメラ414が2台設けられているタイプの両方に対応することが可能となっている。
このデバイスカメラ434と先述のソケットカメラ414は、図6に示すように、画像処理装置44に接続されており、撮像した画像情報を画像処理装置44に送信することが可能となっている。
画像処理装置44は、特に図示しない画像処理プロセッサやROM、RAM等から構成されており、ICデバイスのテストに際して、デバイスカメラ434により撮像された画像情報に対して画像処理を行い、把持側コンタクトアーム423に吸着保持されているICデバイスの位置及び姿勢を認識することが可能となっている。さらに、画像処理装置44は、認識したICデバイスの位置及び姿勢を、予め設定されたソケット71の位置及び姿勢に相対的に一致させるのに必要なアライメント量を算出し、このアライメント量をアライメント装置43の制御装置435に送信する。アライメント装置43の制御装置435は、そのアライメント量に基づいて、アライメント装置43のモータ機構(不図示)を制御して、ICデバイスの位置や姿勢のアライメントを行う。
本実施形態における画像処理装置44は、図6に示すように、抽出部441、認識部442、演算部443及び修正部444を機能的に備えている。
抽出部441は、カメラ414、434により撮像された画像情報に対して画像処理を行って、ソケット71、治具60又は標示部45の位置や姿勢を抽出することが可能となっている。
認識部442は、抽出部441の抽出結果に基づいて、ソケット71やソケットガイド73、標示部45に対するカメラ414、434の相対的な位置を認識することが可能となっている。
演算部443は、認識部442の認識結果に基づいてソケット71に対するソケットガイド73の相対的なズレ量や、ソケット71に対するデバイスカメラ434の相対位置を演算することが可能となっている。また、この演算部443は、標示部45に対するソケットカメラ414の相対位置を、予め設定されている標示部45に対するソケットカメラ414の基準相対位置と比較してズレ量を演算することも可能となっている。
修正部444は、演算部443により演算された標示部45に対するソケットカメラ414の相対位置のズレ量に基づいて、認識部442により認識されたソケット71に対するソケットカメラ414の相対位置を修正することが可能となっている。
<アンローダ部50>
アンローダ部50は、図1に示すように、2つの第2のバッファ部51と第2のデバイス搬送装置52を備えており、テスト部40から試験済みのICデバイスを搬出して、それらICデバイスを試験結果に応じて仕分けしながら格納部20に移動させることが可能となっている。
第2のバッファ部51は、第1のバッファ部33と同様に、アクチュエータ511と可動ヘッド512から構成されており、ICデバイスをテスト部40の領域からアンローダ部50の領域に移動させることが可能となっている。
アクチュエータ511は、ハンドラ10のメインベース11上にX軸方向に沿って伸縮可能に設けられている。可動ヘッド512は、アクチュエータ511の駆動軸の先端部に固定されている。可動ヘッド512の上面には、ICデバイスを収容可能な4つの凹部513が形成されている。
この第2のバッファ部51は、デバイス移動装置41により可動ヘッド512の各凹部513に4つのICデバイスが落とし込まれると、アクチュエータ511を短縮させて、テスト部40の領域からアンローダ部50の領域に4つのICデバイスを一度に移動させる。
第2のデバイス搬送装置52は、第1のデバイス搬送装置31と同様に、支持レール521、可動レール522、可動ヘッド523及び吸着パッド524から構成されており、4つのICデバイスをX−Y−Z軸方向に沿って移動させることが可能となっている。この第2のデバイス搬送装置52は、第2のバッファ部51及び4つの分類トレイ用ストッカ22を包含する動作範囲を有している。
支持レール521は、ハンドラ10のメインベース11上にY軸方向に沿って設けられている。可動レール522は、2本の支持レール521の間にY軸方向に沿って移動可能に支持されている。可動ヘッド523は、可動レール522にX軸方向に沿って移動可能に設けられている。吸着パッド524は、可動ヘッド523に下向きに装着されており、特に図示しないアクチュエータによりZ軸方向に沿って移動可能となっている。
この第2のデバイス搬送装置52は、試験済みのICデバイスを第2のバッファ部51から試験結果に応じた分類トレイ用ストッカ22の分類トレイに移動させる。
以下に、図7を参照しながら、本実施形態に係る電子部品試験装置1によるICデバイスの位置のアライメント方法について概説する。
格納部20からローダ部30を介してテスト部40に供給されたICデバイスを、デバイス移動装置41のコンタクトアーム420が吸着保持してアライメント装置43のステージ431に移動させる。そして、把持側コンタクトアーム423をステージ431に当接させた状態で、開口432を介して、把持側コンタクトアーム423に把持されたICデバイスをデバイスカメラ434が撮像し、その画像情報を画像処理装置44に送信する(ステップS100)。画像処理装置44は、その画像情報に画像処理を施して、例えばICデバイスの入出力端子やパッケージの輪郭等から、ICデバイスの位置及び姿勢を算出する(ステップS110)。
次いで、ステップS110で算出されたICデバイスの位置及び姿勢を、予め認識されているソケット71の位置及び姿勢と比較する(ステップS120)。この比較において、ICデバイスの位置及び姿勢がソケット71の位置及び姿勢に相対的に一致している場合(ステップS120にてYES)には、ICデバイスの位置及び姿勢のアライメントは終了する。
ステップS120においてICデバイスの位置及び姿勢とソケット71の位置及び姿勢が相対的に一致していない場合(ステップS120にてNO)には、画像処理装置44は、ICデバイスの位置及び姿勢をソケット71の位置及び姿勢に相対的に一致させるようなアライメント量を算出する(ステップS130)。
次に、ロックアンドフリー機構422が、固定側コンタクトアーム421に対する把持側コンタクトアーム423の相対移動のロックを解除し(ステップS140)、アライメント装置43のステージ431がアライメント量を移動して、この移動動作に把持側コンタクトアーム423が追従することにより、ICデバイスの位置及び姿勢のアライメントが行われる(ステップS150)。
次に、画像処理装置44は、ICデバイスの位置及び姿勢と、予め設定されているソケット71の位置及び姿勢とを再度比較し(ステップS160)、これらが相対的に一致していない場合(ステップS160にてNO)には、ステップS130に戻って必要なアライメント量の算出を行う。
ステップS160の比較において、ICデバイスの位置及び姿勢と、ソケット71の位置及び姿勢が相対的に一致している場合(ステップS160にてYES)には、ロックアンドフリー機構422が、固定側コンタクトアーム421に対する把持側コンタクトアーム423の相対移動をロックする(ステップS170)。
以上のICデバイスの位置及び姿勢のアライメント処理が終了したら、デバイス移動装置41は、ICデバイスをソケット71に移動させ、ICデバイスをソケット71に押し付けて、ICデバイスの入出力端子とソケット71のコンタクトピン72とを電気的に接触させ、この状態でケーブル81及びテストヘッド70を介して、テスタ80がICデバイスのテストを実行する。
以下に、図8を参照しながら、本実施形態に係る電子部品試験装置1の設置時や起動時に行うカメラ414、434の基準キャリブレーションについて概説する。
先ず、キャリブレーション用のゲージ(不図示)をアライメント装置43のステージ431上に載置する。このゲージは、例えば、座標軸が印刷された透明なボードから構成されており、座標軸が開口432に位置してデバイスカメラ434で撮像することが可能となっている。そして、デバイスカメラ434がゲージを撮像する(ステップS200)。次いで、ソケットカメラ414をゲージの上方に移動させ、ソケットカメラ414でもゲージを撮像する(ステップS210)。さらに、ソケットカメラ414を標示部45上に移動させ、ソケットカメラ414で標示部45を撮像する(ステップS220)。
次に、画像処理装置44が、ステップS200及びステップS210にて撮像された画像情報に対して画像処理を行って、ゲージに印刷された座標軸の位置及び姿勢を抽出して、カメラ414,434が共用する基準座標系を設定する(ステップS230)。
さらに、ステップS220にて撮像した画像情報に対して画像処理を行って、標示部45に印刷されたドットパターン452又は453の位置及び姿勢に基づいて、画像情報における標示部45の位置及び姿勢を抽出し、この位置及び姿勢に基づいて標示部45に対するソケットカメラ414の相対位置が認識される(ステップS240)。このステップS240で認識される標示部45に対するソケットカメラ414の相対位置が、後に説明する図14のステップS560において用いられる基準相対位置として設定される。
以下に、図9〜図13を参照して、ICデバイスの品種交換時等に行われるソケットカメラ及びデバイスカメラの相対位置のキャリブレーション方法について説明する。
先ず、そのキャリブレーションに用いられるキャリブレーション治具60の構成について説明する。
キャリブレーション治具60は、ICデバイスの品種交換等に伴ってソケット71が交換された場合に、ソケット71に対してデバイスカメラ434の相対位置を較正するキャリブレーションに用いられる治具であり、図9および図10に示すように、ベース部材61及びマーカー部62を備えている。
ベース部材61は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等の合成樹脂やアルミニウム等の金属から構成される平板状の部材である。マーカー部62は、このベース部材61の表面から裏面に向かって貫通している複数の貫通孔から構成されており、本実施形態では40個の貫通孔が矩形状に配列されている。
なお、本発明において貫通孔の形成位置や配列は特にこれに限定されず、カメラ414、434を用いて治具60の位置及び姿勢を認識することができるように、ベース部材61の両主面の少なくとも2箇所に貫通孔が設けられていれば良い。なお、貫通孔の数が多い程、治具60の位置及び姿勢を正確に認識することができる。
また、マーカー部62を、印刷したドット(点)で構成しても良いが、ソケットカメラ414が治具60の上面を撮像するのに対し、デバイスカメラ434は治具60の下面を撮像するので、マーカー部62を貫通孔で構成した方が、表裏面におけるマーカー部62の位置を揃え易い。
矩形状に配列されたマーカー部62の両側には、ソケットガイド73の位置決めピン75が挿入される第1及び第2の挿入孔63、65が形成されている。図10に示すように、第1の挿入孔63は、位置決めピン75のテーパ状の外周面76に対応した内周面64を有している。これに対し、第2の挿入孔65は、治具60の長手方向に沿って拡がっている内径を有している。この第2の挿入孔65により、挿入孔63、65や位置決めピン75に生じている機械的なピッチ誤差を吸収することができる。
なお、以上に説明したキャリブレーション治具60は、通常は、上述したローダ部30の保管場所34(図1参照)に保管されている。なお、本発明においては、この保管場所をテスト部40やアンローダ部50に設けても良く、ハンドラのデバイス搬送系の中であれば特に限定されない。
次に、図11を参照しながら本実施形態に係るソケットカメラ及びデバイスカメラの相対位置のキャリブレーション方法について説明する。
先ず、第1のデバイス搬送装置31が保管場所34からキャリブレーション治具60を第1のバッファ部33に移動させ、第1のバッファ部33は治具60をローダ部30の領域からテスト部40の領域に移動させ、次いで、デバイス移動装置41が、治具60を第1のバッファ部33からソケットガイド73に移動させて載置する(ステップS300)。
治具60がソケットガイド73に載置される際、図12及び図13に示すように、治具60の第1の挿入孔63,65のテーパ状の内周面64に沿って、ソケットガイド73の位置決めピン75が案内されるので、治具60がソケットガイド73に対して自動的に位置決めされる。
次に、ソケットカメラ414が、ソケットガイド73上に載置された治具60を撮像する(ステップS310)。
次に、デバイス移動装置41が、ソケットガイド73からアライメント装置43のステージ431に治具60を移動させ(ステップS320)、把持側コンタクトアーム423をステージ431に当接させた状態でデバイスカメラ434が治具60を撮像する(ステップS330)。
次に、デバイス移動装置41は、治具60がソケットガイド73に載っていない状態で、ソケットカメラ414をソケット71の上方に移動させて(ステップS340)、ソケットカメラ414がソケット71を撮像する(ステップS350)。
画像処理装置44の抽出部441が、ステップS310にてソケットカメラ314により撮像された画像情報に画像処理を行って、治具60に形成されたマーカー部62の位置及び配列に基づいて、画像情報における治具60の位置及び姿勢を抽出する。この位置及び姿勢に基づいて、認識部442がソケットガイド73に対するソケットカメラ414の相対的な位置及び姿勢P1を認識する(ステップS360)。
次いで、画像処理装置44の抽出部441は、ステップS330にてデバイスカメラ434により撮像された画像情報に対して画像処理を行って、治具60に形成されたマーカー部62の位置及び配列に基づいて、画像情報における治具60の位置及び姿勢を抽出する。この位置及び姿勢に基づいて、認識部442がソケットガイド73に対するデバイスカメラ434の相対的な位置及び姿勢P2を認識する(ステップS370)。
次いで、画像処理装置44の抽出部441は、ステップS350にてソケットカメラ414により撮像された画像情報に対して画像処理を行って、ソケット71に設けられた各コンタクトピン72の位置及び配列に基づいて、画像情報におけるソケット71の位置及び姿勢を抽出する。この位置及び姿勢に基づいて、認識部442がソケット71に対するソケットカメラ414の相対的な位置及び姿勢P3を認識する(ステップS380)。
さらに、画像処理装置44の演算部443は、ステップS360にて認識されたソケットガイド73に対するソケットカメラ414の相対位置P1と、ステップS380にて認識されたソケット71に対するソケットカメラ414の相対位置P3とから、ソケット71に対するソケットガイド73のズレ量ΔP(=|P1−P3|)を算出し(ステップS390)、このズレ量ΔPと、ステップS370にて認識されたソケットガイド73に対するデバイスカメラ434の相対位置P2とから、ソケット71に対するデバイスカメラ434の相対位置P4を算出する(ステップS400)。
このステップS400にて算出されたソケット71に対するデバイスカメラ434の相対位置P4に基づいて、図7のステップS120やS160にて用いられるソケット71の位置及び姿勢が設定される。
なお、以上のキャリブレーションが完了したら、デバイス移動装置41が、アライメント装置43のステージ431から第1のバッファ部33に治具60を移動させ、第1のバッファ部33は治具60をテスト部40の領域からローダ部30の領域に移動させ、次いで、第1のデバイス搬送装置31が治具60を保管場所34に返却する。
以上のように、本実施形態では、ソケットガイド73に対するデバイスカメラ434の相対位置P2に、ソケット71に対するソケットガイド73のズレ量ΔPを加味して、ソケット71に対するデバイスカメラ434の相対位置を演算するので、ソケット71自体を基準としたキャリブレーションと同等の精度でカメラ414,434の較正を行うことができる。
また、本実施形態では、キャリブレーションを自動的に行うことができるので、キャリブレーションの際に電子部品試験装置の昇降温が不要となり、数分間でキャリブレーションを完了することが可能となる。
上述の実施形態では、ICデバイスの品種交換時に本実施形態に係るキャリブレーションを実施するように説明したが、本発明においては特にこれに限定されず、例えば次のような場合に実施しても良い。
例えば、キャリブレーションの自動化により、電子部品試験装置を昇降温した後にもデバイスカメラの相対位置の較正を行っても良い。これにより、熱膨張等も加味した高精度なキャリブレーションを実施することが可能となる。
また、始業毎や2日毎といった一定周期毎にキャリブレーションを自動的に実行するようにしても良い。さらに、例えば地震等の発生によりアライメント精度のチェック時に基準値を外れたような場合にも、キャリブレーションを自動的に実行するようにしても良い。
また、本実施形態では、ICデバイスの品種に依存しないソケットガイドを基準としてキャリブレーションを行うので、キャリブレーション治具60の汎用化を図ることもできる。
さらに、本実施形態では、熱膨張や振動等により生じたソケットカメラのズレを修正する。以下に、図14〜図15Bを参照して、ソケットカメラの相対位置の修正方法について説明する。なお、ソケットカメラの修正の実施頻度は、図11を参照して説明したキャリブレーションの実施頻度よりも少なくしても良く、或いは、キャリブレーションを実施する度にソケットカメラの修正を行っても良い。また、キャリブレーションを行った後にソケットカメラの修正を行っても良く、或いは、その逆であっても良い。
先ず、図15Aに示すように、ソケットカメラ414がソケット71の上方に位置するように、支持レール411上を可動レール412が移動し(ステップS500)、ソケットカメラ414がソケット71を撮像する(ステップS510)。なお、ソケットカメラのキャリブレーションを実施する直前にデバイスカメラのキャリブレーションが実施されている場合には、ステップS500及びステップS510を図11のステップS340及びステップS350で代用しても良い。
次いで、図15Bに示すように、ソケットカメラ414が標示部45の上方に位置するように、支持レール411上を可動レール412が移動して(ステップS520)、ソケットカメラ414が標示部45を撮像する(ステップS530)。
次に、画像処理装置44の抽出部441は、ステップS510にてソケットカメラ414により撮像された画像情報に対して画像処理を行って、ソケット71が有する複数のコンタクトピン72(図3参照)の位置及び姿勢に基づいて、画像情報におけるソケット71の位置及び姿勢を抽出する。この位置及び姿勢に基づいて、認識部442がソケット71に対するソケットカメラ414の相対的な位置及び姿勢を認識する(ステップS540)。なお、ソケットカメラのキャリブレーションを実施する直前にデバイスカメラのキャリブレーションが実施されている場合には、このステップS540を図11のステップS380で代用しても良い。
次に、画像処理装置44の抽出部441は、ステップS530にてソケットカメラ414により撮像された画像情報に対して画像処理を行って、標示部45に印刷されたドットパターン452又は453の位置及び姿勢に基づいて、画像情報における標示部45の位置及び姿勢を抽出する。この位置及び姿勢に基づいて、認識部442が標示部45に対するソケットカメラ414の相対的な位置及び姿勢を認識する(ステップS550)。
次いで、画像処理装置44の演算部443が、ステップS550にて認識された標示部45に対するソケットカメラ414の相対的な位置及び姿勢を、基準キャリブレーション時のステップS240(図8参照)にて認識された基準相対位置と比較し、ステップS550にて認識された相対位置の、基準相対位置に対するズレ量を算出する(ステップS560)。
次いで、画像処理装置44の修正部444は、ステップS540にて認識されたソケット71に対するソケットカメラ414の相対的な位置及び姿勢から、ステップS560にて演算されたズレ量を差し引いて、ソケット71に対するソケットカメラ414の相対位置及び姿勢を修正する(ステップS570)。
このステップS570にて修正されたソケット71に対するソケットカメラ414の相対的な位置及び姿勢に基づいて、例えば、図7のステップS120やS160にて用いられるソケット71の位置及び姿勢や、デバイス移動装置41によるアライメントステージ431からソケット71までのコンタクトアーム420の移動量が修正される。この修正により、ステップS540にて認識されたソケットに対するソケットカメラの相対位置から、熱膨張や振動により生じたソケットカメラ414の位置ズレが取り除かれるので、ICデバイスとソケット71とのミスコンタクトを防止することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述の実施形態では、治具60を載置する位置としてソケットガイド73を例示したが、本発明においては、ハンドラ10においてソケットカメラ414が撮像可能な部分であれば、特にこれに限定されない。また、上述の実施形態では、標示部45の固定位置として、ハンドラ10のメインベース11を例示したが、本発明においては、電子部品試験装置の非可動部であれば、特に限定されない。さらに、上述の実施形態では、位置決めピン75と挿入孔63により、ソケットガイド73と治具60とを位置決めするように説明したが、本発明においては特にこれに限定されない。