JPWO2018143057A1 - ジフルオロリン酸リチウムの製造方法 - Google Patents

ジフルオロリン酸リチウムの製造方法 Download PDF

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Abstract

ヘキサフルオロリン酸リチウムと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、炭素数6〜12の炭化水素溶媒と、を混合することにより、第1原料混合物を得る工程と、得られた前記第1原料混合物に含まれる前記炭化水素溶媒の少なくとも一部を除去することにより、第2原料混合物を得る工程と、前記第2原料混合物を反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウムを含む粗生成物を製造する工程と、を含む、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法。

Description

本開示は、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法に関する。
近年、リチウム二次電池は、携帯電話やノート型パソコンなどの電子機器、或いは電気自動車や電力貯蔵用の電源として広く使用されている。特に最近では、ハイブリッド自動車や電気自動車に搭載可能な、高容量で高出力かつエネルギー密度の高い電池の要望が急拡大している。
リチウム二次電池は、例えば、リチウムを吸蔵放出可能な材料を含有する正極および負極、並びに、リチウム塩と非水溶媒とを含有する電池用非水電解液を含む。
正極に用いられる正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiFePOのようなリチウム金属酸化物が用いられる。
負極に用いられる負極用活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金など)や炭素材料が知られており、特にコークス、人造黒鉛、天然黒鉛が実用化されている。
また、電池用非水電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどのカーボネート類の混合溶媒(非水溶媒)に、LiPF、LiBF、LiN(SOCF、LiN(SOCFCFのようなLi電解質を混合した溶液が用いられている。
電池用非水電解液を用いた電池(例えばリチウム二次電池)の性能を改善するために、電池用非水電解液に対し、種々の添加剤を含有させることが行われている。
例えば、電池の保存特性を改善できる電池用非水電解液として、モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムの少なくとも一方を添加剤として含有する電池用非水電解液が知られている(例えば、特許文献1参照)。
そしてこれまで、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法として種々の方法が開発されてきている。例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウムと二酸化ケイ素とを非水溶媒中で反応させる方法(例えば、特許文献2参照)、ヘキサフルオロリン酸リチウムとヘキサメチルジシロキサンのようなSi−O−Si結合を有する化合物とを反応させる方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
また、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法として、ヘキサフルオロリン酸リチウムと、リチウムのリンオキソ酸塩及びリンのオキソ酸無水物とを反応させる方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献1:特許3439085号公報
特許文献2:特許4604505号公報
特許文献3:特許5768801号公報
特許文献4:特開2015−209341号公報
しかし、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法において、ジフルオロリン酸リチウムの収率をより高めることが求められる場合がある。
したがって、本開示の課題は、ジフルオロリン酸リチウムを高い収率で製造できるジフルオロリン酸リチウムの製造方法を提供することである。
即ち、上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ヘキサフルオロリン酸リチウムと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、炭素数6〜12の炭化水素溶媒と、を混合することにより、第1原料混合物を得る工程と、
得られた前記第1原料混合物に含まれる前記炭化水素溶媒の少なくとも一部を除去することにより、第2原料混合物を得る工程と、
前記第2原料混合物を反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウムを含む粗生成物を製造する工程と、
を含む、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<2> 前記炭化水素溶媒は、テトラリン、トルエン、ヘキサン、及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、<1>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<3> 前記炭化水素溶媒の含有量は、前記第1原料混合物の全体に対して、50質量%以上である、<1>又は<2>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<4> 前記粗生成物を製造する工程は、下記反応式に従い、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1>〜<3>の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
反応式:xLiPF+yリンの酸化物(A)+zリン酸のリチウム塩(B)→nLiPO
(前記反応式において、x、y、z、及びnは化学量論係数を表し、x及びnは各々独立に1以上の整数を表し、y及びzは各々独立に0又は1以上の整数を表す。ただし、x、y、z、及びnは下記式(1)〜下記式(4)を満たす。
式(1):x+前記(B)のLi原子数×z=n
式(2):x+前記(A)のP原子数×y+前記(B)のP原子数×z=n
式(3):前記(A)のO原子数×y+前記(B)のO原子数×z=2n
式(4):6x=2n)
<5> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、メタリン酸リチウム、リン酸トリリチウム、ピロリン酸テトラリチウム、トリリン酸ペンタリチウム、テトラリン酸ヘキサリチウム、及び五酸化二リンからなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1>〜<4>の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<6> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リン酸トリリチウム、ピロリン酸テトラリチウム、トリリン酸ペンタリチウム、及びテトラリン酸ヘキサリチウムからなる群から選ばれる1種を含む化合物と、五酸化二リンとを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1>〜<5>の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<7> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リン酸トリリチウムと、五酸化二リンとを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1>〜<6>の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<8> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、メタリン酸リチウムを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1>〜<5>の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<9> 更に、
前記粗生成物を精製溶媒に溶解させることにより、溶液を得る工程と、
前記溶液からジフルオロリン酸リチウムを取り出す工程と、
を含む<1>〜<8>の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<10> 前記精製溶媒は、酢酸エチル、アセトン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(X)と、トルエン、キシレン、ヘキサン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(Y)とが質量比(前記溶媒(X)/前記溶媒(Y))で70/30〜95/5の範囲で混合された混合溶媒である、<9>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<11> 前記精製溶媒は、前記溶媒(X)として酢酸エチル及びジメトキシエタンの少なくとも一方を含み、前記溶媒(Y)としてトルエン及びジメチルカーボネートの少なくとも一方を含む混合溶媒である、<10>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<12> 前記溶媒(X)と前記溶媒(Y)との組み合わせは、酢酸エチルとトルエンとの組み合わせ、酢酸エチルとジメチルカーボネートとの組み合わせ、ジメトキシエタンとトルエンとの組み合わせ、又はジメトキシエタンとジメチルカーボネートとの組み合わせである、<10>又は<11>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
本開示によれば、ジフルオロリン酸リチウムを高い収率で製造できるジフルオロリン酸リチウムの製造方法が提供される。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
〔ジフルオロリン酸リチウムの製造方法〕
本開示のジフルオロリン酸リチウムの製造方法(以下、「本開示の製造方法」ともいう)は、ヘキサフルオロリン酸リチウムと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、炭素数6〜12の炭化水素溶媒(以下、「特定炭化水素溶媒」ともいう)と、を混合することにより、第1原料混合物を得る工程と、得られた前記第1原料混合物に含まれる前記炭化水素溶媒の少なくとも一部を除去することにより、第2原料混合物を得る工程と、前記第2原料混合物を反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウムを含む粗生成物を製造する工程(以下、「反応工程」ともいう)と、を含む。
ここで、上記特定炭化水素溶媒、即ち、炭素数6〜12の炭化水素溶媒は、LiPFと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種とを混合するための媒体(以下、「原料混合媒体」ともいう)である。
以下では、ジフルオロリン酸リチウムを「LiPO」、ヘキサフルオロリン酸リチウムを「LiPF」とも表記する。
本開示の製造方法によれば、LiPOを高い収率で製造することができる。
かかる効果が奏される理由は明らかではないが、上記第1原料混合物を得る工程において、特定炭化水素溶媒を用いて、予めLiPFと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、単に「原料」ともいう)とを混合することにより、原料が均一に混合されやすく、その結果、反応工程での反応が効率よく進行するためと考えられる。
一方、特定炭化水素溶媒の代わりに、炭化水素構造を持たない溶媒(例えば、アセトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、又はアセトニトリル)を用いると、上記反応工程において反応が阻害される場合がある。
したがって、本開示の製造方法によれば、反応が効率よく進行するため、LiPOの収率が向上すると考えられる。
以下、本開示の製造方法の各工程について説明する。
<第1原料混合物を得る工程>
第1原料混合物を得る工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)と、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、炭素数6〜12の炭化水素溶媒と、を混合することにより、第1原料混合物を得る工程である。
LiPFは、従来公知の方法で製造される固体(例えば粉体)を使用することができる。
リンの酸化物(A)としては、五酸化二リン(以下、「P」とも表記する)が挙げられる。Pは、十酸化四リン(P10)を同化合物として包含する。
は、従来公知の方法で製造される固体(例えば粉体)を使用することができる。
リン酸のリチウム塩(B)としては、例えば、メタリン酸リチウム(以下、「LiPO」とも表記する)、リン酸トリリチウム(以下、「LiPO」とも表記する)、ピロリン酸テトラリチウム(以下、「Li」とも表記する)、トリリン酸ペンタリチウム(以下、「Li10」とも表記する)、テトラリン酸ヘキサリチウム(以下、「Li13」とも表記する)等が挙げられる。
リン酸のリチウム塩(B)は、従来公知の方法で製造される固体(例えば粉体)を使用することができる。
副生成物を低減する観点から、原料(LiPF、リンの酸化物(A)、リン酸のリチウム塩(B))の純度は高い方が好ましいが、特に限定はない。
炭素数6〜12の炭化水素溶媒(特定炭化水素溶媒)としては、例えば、炭素数6〜12の脂肪族炭化水素溶媒、炭素数6〜12の芳香族炭化水素溶媒、炭素数6〜12の脂環族炭化水素溶媒が挙げられる。
炭素数6〜12の脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。これらは直鎖状であっても分岐していてもよい。
炭素数6〜12の芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト、メタ、パラ)、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン(キュメン)、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、メシチレン等が挙げられる。上記芳香族炭化水素溶媒のアルキル基は、直鎖状であっても分岐していてもよい。
炭素数6〜12の脂環族炭化水素溶媒としては、例えば、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。
中でも、特定炭化水素溶媒としては、LiPOの収率を向上させる観点から、テトラリン、トルエン、ヘキサン、及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒であることが好ましい。
原料(LiPFと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種)と、特定炭化水素溶媒との混合方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌機構を備えた反応器を用いて混合する方法;ミキサー、ブレンダー、ミル等を用いて混合する方法;スラリー混合機、ニーダー、混練機等を用いて混合する方法;等が挙げられる。
第1原料混合物に含まれる特定炭化水素溶媒の含有量は、第1原料混合物の全体に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
<第2原料混合物を得る工程>
第2原料混合物を得る工程は、得られた第1原料混合物に含まれる特定炭化水素溶媒の少なくとも一部を除去することにより、第2原料混合物を得る工程である。
第1原料混合物に含まれる特定炭化水素溶媒の少なくとも一部を除去する方法としては特に制限はなく、例えば、第1原料混合物を加熱濃縮して特定炭化水素溶媒を留去する方法;第1原料混合物をエバポレーターにより減圧濃縮して特定炭化水素溶媒を留去する方法;第1原料混合物を濾過(例えばフィルター濾過、減圧濾過、吸引濾過)する方法;等が挙げられる。
第2原料混合物を得る工程は、後述の反応工程における反応性をより高める観点から、ウェットケーキの形態の第2原料混合物を得る工程であることが好ましい。
即ち、第2原料混合物を得る工程では、第1原料混合物に含まれる特定炭化水素溶媒を、ウェットケーキの形態の第2原料混合物が得られる程度まで除去することが好ましい。
<反応工程>
本開示の製造方法において、反応工程は、第2原料混合物を反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)を含む粗生成物を製造する工程である。
ここで、「第2原料混合物を反応させる」とは、第2原料混合物中のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)に対し、第2原料混合物中の、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることを意味する。
本開示の製造方法において、反応工程は、下記反応式に従って、ヘキサフルオロリン酸リチウム(即ち、第2原料混合物中のヘキサフルオロリン酸リチウム)に対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種(即ち、第2原料混合物中の、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種)を反応させることにより、上記粗生成物を製造する工程であることが好ましい。
反応式:xLiPF+yリンの酸化物(A)+zリン酸のリチウム塩(B)→nLiPO
(前記反応式において、x、y、z、及びnは化学量論係数を表し、x及びnは各々独立に1以上の整数を表し、y及びzは各々独立に0又は1以上の整数を表す。ただし、x、y、z、及びnは下記式(1)〜下記式(4)を満たす。
式(1):x+前記(B)のLi原子数×z=n
式(2):x+前記(A)のP原子数×y+前記(B)のP原子数×z=n
式(3):前記(A)のO原子数×y+前記(B)のO原子数×z=2n
式(4):6x=2n)
反応工程が上記反応式に従う場合、上記反応において、主生成物であるLiPO以外の生成物(即ち、副生成物)がより低減された粗生成物が得られやすい。また、原料の無駄も低減される。
なお、上記反応式に従う反応では、原料の純度に応じて、原料モル数(化学量論係数)の変動を許容することができる。
また、上記反応では、本開示の効果を奏する範囲において、原料の純度の測定誤差及び計量誤差による原料モル比の変動を許容することができる。
本開示の製造方法において、反応工程としては、
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)に対し、メタリン酸リチウム(LiPO)、リン酸トリリチウム(LiPO)、ピロリン酸テトラリチウム(Li)、トリリン酸ペンタリチウム(Li10)、テトラリン酸ヘキサリチウム(Li13)、及び五酸化二リン(P)からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることにより、上記粗生成物を製造する工程であることも好ましい。
反応工程がこの態様である場合、前述の第1原料混合物を得る工程における「リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種」は、LiPO、LiPO、Li、Li10、Li13、及びPからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
反応工程が上記態様である場合、前述の反応式を満足していなくてもよいが、満足することがより好ましい。
ここで、Pはリンの酸化物(A)に該当し、LiPO、LiPO、Li、Li10、及びLi13はリン酸のリチウム塩(B)に該当する。
上記反応の態様としては、例えば以下の3態様が挙げられる。なお、態様1、2では、LiPO以外のリン酸のリチウム塩(B)を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(態様1):LiPFと、Pと、LiPO以外のリン酸のリチウム塩(B)との反応
(態様2):LiPFと、Pと、LiPOと、LiPO以外のリン酸のリチウム塩(B)との反応
(態様3):LiPFと、LiPOとの反応
反応工程は、以下の反応工程A又は反応工程Bであることがより好ましい。
(反応工程A)
反応工程Aは、上記態様1、2の反応を経て粗生成物を製造する工程である。
即ち、反応工程Aは、
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)に対し、リン酸トリリチウム(LiPO)、ピロリン酸テトラリチウム(Li)、トリリン酸ペンタリチウム(Li10)、及びテトラリン酸ヘキサリチウム(Li13)からなる群から選ばれる1種を含む化合物と、五酸化二リン(P)とを反応させることにより、上記粗生成物を製造する工程である。
中でも反応工程Aとしては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)に対し、リン酸トリリチウム(LiPO)と、五酸化二リン(P)とを反応させることにより、上記粗生成物を製造する工程であることが好ましい。
本開示の製造方法における反応工程が反応工程Aである場合、前述の第1原料混合物を得る工程における「リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種」は、LiPO、Li、Li10、及びLi13からなる群から選ばれる少なくとも1種と、Pと、を含むことが好ましく、LiPOとPとを含むことがより好ましい。
具体的に、反応工程Aは、以下の態様A1〜A4の反応により粗生成物を製造する工程であることが好ましい。中でも、態様A1の反応により粗生成物を製造する工程であることがより好ましい。
(態様A1):3LiPF+2P+2LiPO→9LiPO
(態様A2):2LiPF+P+Li→6LiPO
(態様A3):5LiPF+2P+2Li10→15LiPO
(態様A4):3LiPF+P+Li13→9LiPO
なお、態様A1〜A4の反応では、原料モル比を調整することにより、それぞれ、LiPO以外のリン酸のリチウム塩、Li以外のリン酸のリチウム塩、Li10以外のリン酸のリチウム塩、Li13以外のリン酸のリチウム塩を1種以上反応させてもよい。
(反応工程B)
反応工程Bは、上記態様3の反応を経て粗生成物を製造する工程である。
即ち、反応工程Bは、
ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)に対し、メタリン酸リチウム(LiPO)を反応させることにより、上記粗生成物を製造する工程である。
反応工程が反応工程Bである場合、前述の第1原料混合物を得る工程における「リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種」は、LiPOを含むことが好ましい。
具体的に、反応工程Bは、以下の態様Bの反応により粗生成物を製造する工程であることが好ましい。
(態様B):LiPF+2LiPO→3LiPO
反応工程において、LiPFに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させる際の反応は、固相反応であることが好ましい。第2原料混合物がウェットケーキの形態である場合には、この固相反応を実現できる。
また、反応工程では、第2原料混合物を、密閉された反応系内で所望の温度条件に加熱して反応させることが好ましい。
また、反応工程では、第2原料混合物を、例えば撹拌機構を備えた反応器を用いて、混合しながら反応を行ってもよい。
反応工程における反応は、常圧下で行っても、減圧下で行ってもよいが、LiPOを高い収率で得る観点から、反応開始から終了まで密閉した反応系内で行うことが好ましい。
また、上記反応を密閉した反応系内で行う場合、反応系内を窒素、アルゴン等の不活性雰囲気として又は減圧状態として上記反応を行ってもよい。
また、上記反応を密閉した反応系内で行う場合、上記反応は、酸素を含む密閉系で行ってもよい。酸素を含む密閉系については、後述の参考形態を参照することができる。
反応工程において、LiPFに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させる際の温度(以下、「反応温度」ともいう)は、100℃〜350℃であることが好ましく、150℃〜300℃であることがより好ましく、180℃〜250℃であることがさらに好ましい。
反応温度が100℃以上であると、反応が効率よく進行しやすい。
反応温度が350℃以下であると、LiPOが分解しにくく、主生成物であるLiPO以外の生成物(即ち、副生成物)の生成が抑制されやすい。
反応工程において、反応を効率よく進行させる観点から、LiPFに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させる際の時間は、4時間〜16時間であることが好ましく、5時間〜14時間であることがより好ましく、6時間〜12時間であることがさらに好ましい。
本開示の製造方法は、上記粗生成物を精製溶媒に溶解させることにより、溶液を得る工程(以下、「溶解工程」ともいう)と、この溶液からジフルオロリン酸リチウムを取り出す工程(以下、「取り出し工程」ともいう)と、を含むことが好ましい。
本開示の製造方法が、溶解工程及び取り出し工程を含む場合には、粗生成物(不純物を含むLiPO)を効果的に精製でき、純度が高められたLiPOを取り出すことができる。
以下、溶解工程及び取り出し工程について説明する。
<溶解工程>
上記溶解工程は、粗生成物を精製溶媒に溶解させることにより、溶液を得る工程である。
精製溶媒としては粗生成物を溶解できるものであれば特に限定されないが、LiPOに対する良溶媒(以下、「溶媒(X)」という)と、LiPOに対する貧溶媒(以下、「溶媒(Y)」という)との混合溶媒を用いることが好ましい。これにより、LiPOが精製溶媒中に溶解しやすくなり、粗生成物を溶解させた溶液からLiPOを取り出しやすくなる。
良溶媒(溶媒(X))としては、例えば、酢酸エチル、アセトン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。溶媒(X)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
貧溶媒(溶媒(Y))としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。溶媒(Y)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、精製溶媒(混合溶媒)の質量比(溶媒(X)/溶媒(Y))は、好ましくは70/30〜95/5、より好ましくは75/25〜95/5、さらに好ましくは80/20〜95/5、特に好ましくは85/15〜95/5である。
精製溶媒の質量比(溶媒(X)/溶媒(Y))を70/30以上とすることで、精製溶媒中にLiPOがより溶解しやすくなる。一方、溶媒(Y)は、LiPOに対してだけでなく、粗生成物に含まれる不純物に対する溶解性も低いと考えられる。
精製溶媒の質量比(溶媒(X)と溶媒(Y))を95/5以下とすることで、精製溶媒中に不純物が溶解することが抑制されやすい。
したがって、精製溶媒の質量比を上記範囲にすることにより、粗生成物を溶解させた溶液からLiPOを容易に取り出しやすくなる。即ち、純度の高いLiPOを高い収率で取り出しやすい。
即ち、上記精製溶媒は、酢酸エチル、アセトン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(X)と、トルエン、キシレン、ヘキサン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(Y)とが質量比(前記溶媒(X)/前記溶媒(Y))で70/30〜95/5の範囲で混合された混合溶媒であることが好ましい。
精製溶媒が溶媒(X)と溶媒(Y)との混合溶媒である場合、精製溶媒は、溶媒(X)として酢酸エチル及びジメトキシエタンの少なくとも一方を含み、溶媒(Y)としてトルエン及びジメチルカーボネートの少なくとも一方を含む混合溶媒であることが好ましい。
溶媒(X)と前記溶媒(Y)との組み合わせとしては、酢酸エチルとトルエンとの組み合わせ、酢酸エチルとジメチルカーボネートとの組み合わせ、ジメトキシエタンとトルエンとの組み合わせ、又はジメトキシエタンとジメチルカーボネートとの組み合わせが好ましい。
溶解工程において、精製溶媒(好ましくは、溶媒(X)と溶媒(Y)との混合溶媒)に粗生成物を溶解させる際は、粗生成物を60℃以下(好ましくは50℃以下)に冷却して精製溶媒に注入又は流通させることが好ましい。これにより、後述の取り出し工程でLiPOを取り出した際に、LiPOの純度が高まりやすい。
LiPOを含む粗生成物を精製溶媒に溶解させる方法としては特に限定されず、公知の方法(攪拌法、超音波照射法等)を用いることができる。
<取り出し工程>
取り出し工程は、溶解工程で得られた溶液からLiPOを取り出す工程である。
溶解工程において得られた溶液(粗生成物を精製溶媒に溶解させた溶液)からLiPOを取り出す方法は特に制限は無く、従来公知の方法を任意に選択し実施することができる。例えば、上記溶液を加熱濃縮して精製溶媒を留去する方法;上記溶液をエバポレーターにより減圧濃縮して精製溶媒を留去する方法;上記溶液を濾過(例えばフィルター濾過、減圧濾過、吸引濾過)する方法;上記溶液に、粗生成物を溶解させた精製溶媒とは別の精製溶媒をさらに加えて、LiPOを析出させる方法;等が挙げられる。上記方法により、固体としてのLiPOを取り出すことができる。
固体として取り出されたLiPOの乾燥方法としては、従来公知の方法を任意に選択し実施することができる。例えば、棚段式乾燥機での静置乾燥法;コニカル乾燥機での流動乾燥法;ホットプレート、オーブン等の装置を用いて乾燥させる方法;ドライヤーなどの乾燥機で温風又は熱風を供給する方法;等が挙げられる。これにより、取り出されたLiPOの残留溶媒の除去を行うことができる。
以上で説明した、本開示のLiPOの製造方法は、特にリチウムイオン電池(好ましくはリチウムイオン二次電池)用非水電解液に添加される添加剤としてのLiPOの製造に好適である。
即ち、本開示の製造方法によれば、高い収率でLiPOを製造できるため、LiPOの生産性が向上する。
本開示の製造方法によって製造されたLiPOは、非水電解液に添加した場合に、電池特性の向上に寄与することが期待される。
〔ジフルオロリン酸リチウムの製造方法の参考形態〕
以下、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法の参考形態を示す。
参考形態によれば、ジフルオロリン酸リチウムを高い収率で製造できる。
参考形態に係るジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、以下の<1A>〜<9A>の態様を含む。
<1A> ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を、酸素を含む密閉系で反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウムを含む粗生成物を製造する工程を含む、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<2A> 前記粗生成物を製造する工程は、下記反応式に従って、前記粗生成物を製造する工程である、<1A>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
反応式:xLiPF+yリンの酸化物(A)+zリン酸のリチウム塩(B)→nLiPO
(前記反応式において、x、y、z、及びnは化学量論係数を表し、x及びnは各々独立に1以上の整数を表し、y及びzは各々独立に0又は1以上の整数を表す。ただし、x、y、z、及びnは下記式(1)〜下記式(4)を満たす。
式(1):x+前記(B)のLi原子数×z=n
式(2):x+前記(A)のP原子数×y+前記(B)のP原子数×z=n
式(3):前記(A)のO原子数×y+前記(B)のO原子数×z=2n
式(4):6x=2n)
<3A> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、メタリン酸リチウム、リン酸トリリチウム、ピロリン酸テトラリチウム、トリリン酸ペンタリチウム、テトラリン酸ヘキサリチウム、及び五酸化二リンからなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1A>又は<2A>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<4A> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リン酸トリリチウム、ピロリン酸テトラリチウム、トリリン酸ペンタリチウム、及びテトラリン酸ヘキサリチウムからなる群から選ばれる1種を含む化合物と、五酸化二リンとを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1A>〜<3A>の何れか1つに記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<5A> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リン酸トリリチウムと、五酸化二リンとを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1A>〜<4A>の何れか1つに記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<6A> 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、メタリン酸リチウムを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、<1A>〜<3A>の何れか1つに記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<7A> 更に、前記粗生成物を精製溶媒に溶解させることにより、溶液を得る工程と、前記溶液からジフルオロリン酸リチウムを取り出す工程と、を含む、<1A>〜<6A>の何れか1つに記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<8A> 前記精製溶媒は、酢酸エチル、アセトン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(X)と、トルエン、キシレン、ヘキサン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(Y)とが質量比(前記溶媒(X)/前記溶媒(Y))で70/30〜95/5の範囲で混合された混合溶媒である、<7A>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<9A> 前記精製溶媒は、前記溶媒(X)として酢酸エチル及びジメトキシエタンの少なくとも一方を含み、前記溶媒(Y)としてトルエン及びジメチルカーボネートの少なくとも一方を含む混合溶媒である、<7A>又は<8A>に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
<10A> 前記溶媒(X)と前記溶媒(Y)との組み合わせは、酢酸エチルとトルエンとの組み合わせ、酢酸エチルとジメチルカーボネートとの組み合わせ、ジメトキシエタンとトルエンとの組み合わせ、又はジメトキシエタンとジメチルカーボネートとの組み合わせである、<7A>〜<9A>の何れか1つに記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
参考形態のジフルオロリン酸リチウムの製造方法(以下、「参考形態の製造方法」ともいう)は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を、酸素を含む密閉系で反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウムを含む粗生成物を製造する工程(以下、「反応工程」ともいう)を含む。
ここで、密閉系とは、密閉された反応系をいう。具体的には、反応が行われる雰囲気内から、雰囲気外へのガスの漏れが実質的にない系をいう。ガスの漏れが実質的にないとは、設計上不可避的なガスの漏れを含んでもよいことを意味する。
参考形態の製造方法によれば、LiPOを高い収率で製造することができる
かかる効果が奏される理由は明らかではないが、上記反応工程において、LiPFに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を、酸素を含む密閉系で反応させることにより、反応が効率よく進行するためと考えられる。
一方、上記反応工程を、酸素を含まない密閉系で行った場合、又は酸素を含む開放系で行った場合、目的の反応が阻害されやすい。
したがって、参考形態の製造方法によれば、酸素を含む密閉系での反応がLiPOの収率の向上に寄与していると考えられる。
例えば、上記反応工程が、LiPFに対し、リンの酸化物(A)としてのPと、リン酸のリチウム塩(B)としてのLiPOと、を反応させることにより、LiPOを含む粗生成物を製造する工程である場合、下記反応1及び反応2を経て、LiPOを含む粗生成物が製造され得る。
この場合、反応1及び反応2を酸素を含む密閉系で行うことにより、反応1により発生したPOFガスの揮散が抑制される。これにより、POFガスがLiPOと反応しやすくなり、LiPOに転化されやすくなる。すなわち、反応2の反応が効率よく進行すると考えられる。
反応1:3LiPF+2P→3LiPO+4POF(ガス)
反応2:4POF(ガス)+2LiPO→6LiPO
以下、参考形態の製造方法の各工程について説明する。
<反応工程>
参考形態の製造方法において、反応工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)に対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を、酸素を含む密閉系で反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)を含む粗生成物を製造する工程である。
参考形態の製造方法における反応工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)に対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を、酸素を含む密閉系で反応させることに限定されていること以外は、本開示の製造方法における反応工程と同様であり、好ましい態様も同様である。
反応工程における密閉系(密閉された反応系)としては、例えば密閉可能な反応容器が挙げられる。密閉可能な反応容器としては特に限定されないが、原料(LiPFと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)の少なくとも1種)が十分混合されるように攪拌できる反応容器であることが好ましい。
酸素としては特に限定されないが、例えば、空気(乾燥空気等)、不活性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等)で希釈した酸素及び空気が挙げられる。
密閉系内における酸素濃度は、好ましくは3体積%以上50体積%以下、より好ましくは5体積%以上40体積%以下、更に好ましくは8体積%以上30体積%以下である。
酸素濃度が3体積%以上であると、副反応(例えばPの水分による分解)によるPの消費が抑制されやすい。
酸素濃度が50体積%以下であると、LiPFの酸化の行き過ぎが抑制されやすい。
したがって、酸素濃度が3体積%以上50体積%以下であることにより、反応工程での副生成物が低減され、LiPOが高い収率で得られやすい。
参考形態の製造方法は、上記粗生成物を精製溶媒に溶解させることにより、溶液を得る工程(以下、「溶解工程」ともいう)と、この溶液からジフルオロリン酸リチウムを取り出す工程(以下、「取り出し工程」ともいう)と、を含むことが好ましい。
本開示の製造方法が、溶解工程及び取り出し工程を含む場合には、粗生成物(不純物を含むLiPO)を効果的に精製でき、純度が高められたLiPOを取り出すことができる。
参考形態の製造方法が含み得る溶解工程及び取り出し工程は、それぞれ、本開示の製造方法が含み得る溶解工程及び取り出し工程と同様であり、好ましい態様も同様である。
参考形態の製造方法も、特にリチウムイオン電池(好ましくはリチウムイオン二次電池)用非水電解液に添加される添加剤としてのLiPOの製造に好適である。
即ち、参考形態の製造方法によれば、高い収率でLiPOを製造できるため、LiPOの生産性が向上する。
参考形態の製造方法によって製造されたLiPOは、非水電解液に添加した場合に、電池特性の向上に寄与することが期待される。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
以下において、「%」は、特に断りが無い限り、「質量%」を指す。
〔実施例1〕
LiPOを含む粗生成物を以下の方法で製造した。
乾燥窒素ガスでパージされたグローブボックス内において、原料としてのヘキサフルオロリン酸リチウム5.0g、五酸化二リン3.1g、及びリン酸トリリチウム2.5gの各粉体と、原料混合媒体としてのテトラリン100mLをマグネチックスターラーの攪拌子と共に200mLのビーカーに入れ、スターラーで300rpm、1時間撹拌混合を行った(以上、第1原料混合物を得る工程)。
その後、この混合スラリー液を濾過して原料混合媒体(テトラリン)の少なくとも一部を除去することにより、原料粉体のウェットケーキを得た(以上、第2原料混合物を得る工程)。
次に、同じグローブボックスに温度計、圧力計、ガスの導入ラインおよび排気ラインを備えた200mLのハステロイC製密閉反応容器(以下、単に「反応容器」ともいう)を入れ、この反応容器に、先に混合した原料粉体のウェットケーキを撹拌子と共に全て入れ、蓋をして密閉した。この反応容器をグローブボックスから取り出し、加熱して200℃、8時間の処理で反応を行った(以上、反応工程)。
次に、反応容器を室温(25℃)まで冷却し、反応容器の内部を窒素ガスでパージした後に、再び乾燥窒素ガスでパージされたグローブボックス内に入れて反応容器の蓋を開けた。ここへ、予め用意しておいた溶媒(X)としての酢酸エチルと、溶媒(Y)としてのトルエンとを混合した精製溶媒(酢酸エチル/トルエン(質量比)=95/5)150gを入れ、蓋をしてグローブボックスから取り出し、60℃に加熱して300rpmで1時間撹拌を行うことにより、粗生成物が溶解した溶液を得た(以上、溶解工程)。
その後、直ちに反応容器の蓋を開け、反応容器内の溶液(粗生成物が溶解した溶液)をフィルターを備えた濾過器に注ぎ、減圧濾過により溶媒不溶の固形分(不純物)を濾別し、溶液を回収した。回収した溶液を、エバポレーターで溶媒留去して濃縮を行い、溶媒をおよそ100g留去させたところで停止し、得られたスラリー液を室温(25℃)にて濾過して、LiPOを含むウェットケーキを得た(以上、取り出し工程)。これを50℃、1000Pa以下にて減圧乾燥し、乾燥後重量で9.4gの固体を得た。
得られた固体を分析し純度を求めたところ、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)99.9%、その他の成分0.1%であった。収率は88.2%であった(表1参照)。
なお、LiPOの純度及び収率は以下のようにして求めた。
(LiPOの純度)
得られた固体を重水溶媒に溶解し19F−NMR分析を行い、得られたスペクトルの積分値に基づき、質量基準の百分率法によりLiPOの純度を算出した。
19F−NMRスペクトルの帰属は以下の通りである。
LiPF:−71.4ppm、−73.3ppm(分子量:151.9、F数:6)
LiPOF:−75.0ppm、−77.5ppm(分子量:111.9、F数:1)
LiPO:−81.0ppm、−83.5ppm(分子量:107.9、F数:2)
LiF :−120.0ppm(分子量:25.9、F数:1)
その他の成分:その他のピーク(LiPFと同じ分子量、F数と仮定)
分析で得られたスペクトルから上記帰属と下記式により各化合物の質量分率を求め、LiPOの質量分率を純度とした。
(積分値/化合物のF数)×(化合物の分子量)=(化合物の質量部)
(化合物の質量部)/(化合物の質量部の総和)×100=化合物の質量分率(%)
(LiPOの収率)
得られた固体の質量に、上記で算出された純度を乗じてLiPOの質量を求めた。この質量からLiPOに含まれるF原子のモル数を算出し、これをモル数1とした。次に、原料としてのLiPFの質量から、このLiPFに含まれるF原子のモル数を算出し、これをモル数2とした。LiPOの収率は、モル数2に対するモル数1の割合((モル数1/モル数2)×100)として求めた。即ち、LiPOの収率はF原子基準の収率とした。
〔実施例2〜実施例16〕
表1に従って、原料混合媒体及び精製溶媒の種類の組み合わせを変更したこと以外は実施例1と同様にして固体を得て、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。なお、表1中、「wt比」は質量比を表す。表2も同様である。
〔比較例1〕
LiPOを含む粗生成物を以下の方法で製造した。
温度計、圧力計、ガスの導入ラインおよび排気ラインを備えた200mLのハステロイC製密閉反応容器を、乾燥窒素ガスでパージされたグローブボックス内に入れ、グローブボックス内において反応容器中に、ヘキサフルオロリン酸リチウム5.0g、五酸化二リン3.1g、リン酸トリリチウム2.5gの各粉体をマグネチックスターラーの攪拌子と共に入れ蓋をして密閉した。この反応容器をグローブボックスから取り出し、スターラーで300rpm、1時間撹拌混合を行った。
次に、この原料を装入、混合した反応容器を加熱し、200℃、8時間の処理で反応を行うことにより、LiPOを含む粗生成物を得た。
次に、反応容器を室温(25℃)まで冷却し、反応容器の内部を窒素ガスでパージした後に、再び乾燥窒素ガスでパージされたグローブボックス内に入れて反応容器の蓋を開けた。ここへ、予め用意しておいた溶媒(X)としての酢酸エチルと、溶媒(Y)としてのトルエンとを混合した精製溶媒(酢酸エチル/トルエン(質量比)=95/5)150gを入れ、蓋をしてグローブボックスから取り出し、60℃に加熱しながらスターラーで300rpm、1時間撹拌を行うことにより、粗生成物が溶解した溶液を得た。
その後、直ちに反応容器の蓋を開け、反応容器内の溶液(粗生成物が溶解した溶液)をフィルターを備えた濾過器に注ぎ、減圧濾過により溶媒不溶の固形分(不純物)を濾別し、溶液を回収した。回収した溶液を、エバポレーターで溶媒留去して濃縮を行い、溶媒をおよそ100g留去させたところで停止し、得られたスラリー液を室温(25℃)にて濾過して、LiPOを含むウェットケーキを得た。これを50℃、1000Pa以下にて減圧乾燥し、乾燥後質量で8.6gの固体を得た。
得られた固体を分析し純度を求めたところ、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)99.9%、その他の成分0.1%であった。収率は80.7%であった(表2参照)。
〔比較例2〜4〕
表2に従って、精製溶媒の種類の組み合わせを変更したこと以外は比較例1と同様にして固体を得て、比較例1と同様の測定を行った。結果を表2に示す。
〔比較例5〜7〕
表2に従って、原料混合媒体を変更したこと以外は実施例1と同様にして固体を得て、実施例1と同様の測定を行った。結果を表2に示す。
表1、2に示すように、炭素数6〜12の炭化水素溶媒(原料混合媒体)を用いて原料粉体を混合した各実施例は、原料粉体のみを混合した比較例1〜4、及び、上記炭化水素溶媒以外の溶媒(アセトン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、又はアセトニトリル)を用いて原料粉体を混合した比較例5〜7に比べ、高い収率でLiPOが得られたことがわかる。また、各実施例で得られたLiPOは純度も高かった。
以下、前述の参考形態の具体例を、「参考例」として示し、参考例に対する比較例を、「参考比較例」として示す。
〔参考例1〕
LiPOを含む粗生成物を以下の方法で製造した。
温度計、圧力計、ガスの導入ラインおよび排気ラインを備えた200mLのハステロイC製密閉反応容器(以下、単に「反応容器」ともいう)を、乾燥窒素ガスでパージされたグローブボックス内に入れ、グローブボックス内において反応容器中に、原料としてのヘキサフルオロリン酸リチウム5.0g、五酸化二リン3.1g、及びリン酸トリリチウム2.5gの各粉体をマグネチックスターラーの攪拌子と共に入れ蓋をして密閉した。この反応容器をグローブボックスから取り出し、スターラーで300rpm、1時間撹拌混合を行った。
次に、この原料を装入、混合した反応容器の排気ラインを開けて、反応容器を1000Pa以下に減圧した後、ガスの導入ラインから乾燥空気を導入して、反応容器内を乾燥空気で置換する操作を2回繰返した。次に、排気ラインを閉じて反応容器を密閉した後に加熱を開始して、200℃、8時間の処理で反応を行った(以上、反応工程)。
次に、反応容器を室温(25℃)まで冷却し、反応容器の内部を窒素ガスでパージした後に、再び乾燥窒素ガスでパージされたグローブボックス内に入れて反応容器の蓋を開けた。ここへ、予め用意しておいた溶媒(X)としての酢酸エチルと、溶媒(Y)としてのトルエンとを混合した精製溶媒(酢酸エチル/トルエン(質量比)=95/5)150gを入れ、蓋をしてグローブボックスから取り出し、60℃に加熱しながらスターラーで300rpm、1時間撹拌を行うことにより、粗生成物が溶解した溶液を得た(以上、溶解工程)。
その後、直ちに反応容器の蓋を開け、反応容器内の溶液(粗生成物が溶解した溶液)をフィルターを備えた濾過器に注ぎ、減圧濾過により溶媒不溶の固形分(不純物)を濾別し、溶液を回収した。回収した溶液を、エバポレーターで溶媒留去して濃縮を行い、溶媒をおよそ100g留去させたところで停止し、得られたスラリー液を室温(25℃)にて濾過して、LiPOを含むウェットケーキを得た(以上、取り出し工程)。これを50℃、1000Pa以下にて減圧乾燥し、乾燥後質量で9.4gの固体を得た。
得られた固体を分析し純度を求めたところ、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)99.9%、その他の成分0.1%であった。収率は88.2%であった(表1参照)。
なお、LiPOの純度及び収率は以下のようにして求めた。
(LiPOの純度)
得られた固体を重水溶媒に溶解し19F−NMR分析を行い、得られたスペクトルの積分値に基づき、質量基準の百分率法によりLiPOの純度を算出した。
19F−NMRスペクトルの帰属は以下の通りである。
LiPF:−71.4ppm、−73.3ppm(分子量:151.9、F数:6)
LiPOF:−75.0ppm、−77.5ppm(分子量:111.9、F数:1)
LiPO:−81.0ppm、−83.5ppm(分子量:107.9、F数:2)
LiF :−120.0ppm(分子量:25.9、F数:1)
その他の成分:その他のピーク(LiPFと同じ分子量、F数と仮定)
分析で得られたスペクトルから上記帰属と下記式により各化合物の質量分率を求め、LiPOの質量分率を純度とした。
(積分値/化合物のF数)×(化合物の分子量)=(化合物の質量部)
(化合物の質量部)/(化合物の質量部の総和)×100=化合物の質量分率(%)
(LiPOの収率)
得られた固体の質量に、上記で算出された純度を乗じてLiPOの質量を求めた。この質量からLiPOに含まれるF原子のモル数を算出し、これをモル数1とした。次に、原料としてのLiPFの質量から、このLiPFに含まれるF原子のモル数を算出し、これをモル数2とした。LiPOの収率は、モル数2に対するモル数1の割合((モル数1/モル数2)×100)として求めた。即ち、LiPOの収率はF原子基準の収率とした。
〔参考例2〜参考例4〕
表3に従って、精製溶媒の種類の組み合わせを変更したこと以外は参考例1と同様にして固体を得て、参考例1と同様の測定を行った。結果を表3に示す。
〔参考比較例1〕
参考例1の反応工程において、ガスの導入ラインから窒素を導入したこと以外は参考例1と同様にして固体を得て、参考例1と同様の測定を行った。結果を表3に示す。
〔参考比較例2〜4〕
表3に従って、精製溶媒の種類の組み合わせを変更したこと以外は参考比較例1と同様にして固体を得て、参考比較例1と同様の測定を行った。結果を表3に示す。
−表3の説明−
「wt比」は質量比を表す。
「vol%」は体積%を表す。
「反応系」は、酸素を含む密閉系の一例である反応容器である。
表3に示すように、反応工程において、LiPFに対し、P(リンの酸化物(A))及びLiPO(リン酸のリチウム塩(B))を反応させる際に、酸素を含む密閉系(反応容器)で反応を行った各参考例は、窒素雰囲気の密閉系で反応を行った各参考比較例に比べ、高い収率でLiPOが得られたことがわかる。また、得られたLiPOは純度も高かった。
日本国特許出願2017−015855及び日本国特許出願2017−015856の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. ヘキサフルオロリン酸リチウムと、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、炭素数6〜12の炭化水素溶媒と、を混合することにより、第1原料混合物を得る工程と、
    得られた前記第1原料混合物に含まれる前記炭化水素溶媒の少なくとも一部を除去することにより、第2原料混合物を得る工程と、
    前記第2原料混合物を反応させることにより、ジフルオロリン酸リチウムを含む粗生成物を製造する工程と、
    を含む、ジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  2. 前記炭化水素溶媒は、テトラリン、トルエン、ヘキサン、及びシクロヘキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  3. 前記炭化水素溶媒の含有量は、前記第1原料混合物の全体に対して、50質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  4. 前記粗生成物を製造する工程は、下記反応式に従い、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リンの酸化物(A)及びリン酸のリチウム塩(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
    反応式:xLiPF+yリンの酸化物(A)+zリン酸のリチウム塩(B)→nLiPO
    (前記反応式において、x、y、z、及びnは化学量論係数を表し、x及びnは各々独立に1以上の整数を表し、y及びzは各々独立に0又は1以上の整数を表す。ただし、x、y、z、及びnは下記式(1)〜下記式(4)を満たす。
    式(1):x+前記(B)のLi原子数×z=n
    式(2):x+前記(A)のP原子数×y+前記(B)のP原子数×z=n
    式(3):前記(A)のO原子数×y+前記(B)のO原子数×z=2n
    式(4):6x=2n)
  5. 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、メタリン酸リチウム、リン酸トリリチウム、ピロリン酸テトラリチウム、トリリン酸ペンタリチウム、テトラリン酸ヘキサリチウム、及び五酸化二リンからなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  6. 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リン酸トリリチウム、ピロリン酸テトラリチウム、トリリン酸ペンタリチウム、及びテトラリン酸ヘキサリチウムからなる群から選ばれる1種を含む化合物と、五酸化二リンとを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  7. 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、リン酸トリリチウムと、五酸化二リンとを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  8. 前記粗生成物を製造する工程は、ヘキサフルオロリン酸リチウムに対し、メタリン酸リチウムを反応させることにより、前記粗生成物を製造する工程である、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  9. 更に、
    前記粗生成物を精製溶媒に溶解させることにより、溶液を得る工程と、
    前記溶液からジフルオロリン酸リチウムを取り出す工程と、
    を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  10. 前記精製溶媒は、酢酸エチル、アセトン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル及びトリエチレングリコールジメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(X)と、トルエン、キシレン、ヘキサン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒(Y)とが質量比(前記溶媒(X)/前記溶媒(Y))で70/30〜95/5の範囲で混合された混合溶媒である、請求項9に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  11. 前記精製溶媒は、前記溶媒(X)として酢酸エチル及びジメトキシエタンの少なくとも一方を含み、前記溶媒(Y)としてトルエン及びジメチルカーボネートの少なくとも一方を含む混合溶媒である、請求項10に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  12. 前記溶媒(X)と前記溶媒(Y)との組み合わせは、酢酸エチルとトルエンとの組み合わせ、酢酸エチルとジメチルカーボネートとの組み合わせ、ジメトキシエタンとトルエンとの組み合わせ、又はジメトキシエタンとジメチルカーボネートとの組み合わせである、請求項10又は請求項11に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
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