JPWO2015053300A1 - 電子顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

冷陰極電界放出型電子銃(1)を備えた電子顕微鏡において、エミッション電流を測定することで電子源(101)の清浄度を判別する。エミッション電流がフラッシング直後の0.5 となる時間を電子源(101)を清浄化するべき時機とし、またフラッシング後のエミッション電流の時間的変化を用いて電子源(101)の清浄度を推定し、より強いフラッシングを実施する。

Description

本発明は、電子顕微鏡に関する。例えば、特に高輝度な電子線を発生する冷陰極電界放出型(Cold-FE)電子銃およびこのCold-FE電子銃を備えた電子顕微鏡に関する。
電子顕微鏡は電子線を用いて試料の拡大像や構成元素の情報を得る観察装置である。電子顕微鏡はおもに、電子銃、電子光学系、試料ホルダ、検出器、制御装置、電源部から構成される。
電子銃は電子線を生成する装置である。電子光学系は、電子銃で発生した電子を輸送し、試料に照射する装置である。電子光学系はまた、電子線を電磁レンズにより収束し、また偏向する機能も担っている。試料ホルダは、観察対象となる物質(すなわち試料)を、電子光学系内の電子線通路上に固定し、必要に応じて移動、傾斜させる装置である。電子銃、電子光学系は、空気分子と衝突することなく電子線を通過させるために内部が真空に保たれており、そのための真空排気装置を備えている。試料に照射された電子は、試料を構成する原子との相互作用により、反射電子、二次電子、透過電子、散乱電子、X線等を発生する。検出器では、これらの電子やX線を測定する。電源部は、電子銃、電子光学系、検出器等の動作に必要な電力を供給するとともに、精密な制御を行う。制御装置は、電源を制御するとともに、検出器で得られた情報を解析し、試料の拡大像や、試料の元素組成として、オペレーターに見やすい状態に処理し、表示しまたは記録する。
電子顕微鏡を用いて、より精密な試料拡大像や試料の組成元素分析結果を得る。このために電子銃の果たす役割は大きい。
電子銃は、観察に用いる電子をさまざまな原理により真空中の自由電子として生成する。さらに、発生した自由電子を電位差ポテンシャルにより加速し、運動エネルギーを持つ電子の群すなわち電子線とする。電子銃内で、電子源が発生した単位時間あたりの電子線量をエミッション電流と呼ぶ。また、このエミッション電流の一部を絞りを通して取り出し、試料に照射して拡大像等を得るためのプローブ電子を生成する。単位時間あたりのプローブ電子線量をプローブ電流と呼ぶ。
以下、電子銃の一種である冷陰極電界放出型(Cold-FE)電子銃について説明する。Cold-FE電子銃では、電子源として、先端を電界研磨によって鋭く尖らせたタングステン単結晶を利用している。電子源に近接した引出電極と電子源の間に数キロボルトの引出電圧が印加される。電子源の先端部に電界集中が起きる。この高い電界により、電子源先端から電界放出による電子が放射される。放射される電子線の量が上で述べたエミッション電流である。Cold-FE電子源においては、エミッション電流は電子源から1ステラジアン程度の立体角の範囲に放出される。
エミッション電流は、引出電圧(あるいは電子源先端での電界強度)のほか、電子源の表面状態に影響される。Cold-FE電子源は真空ポンプによって残留ガス圧力を低くした電子銃内に置かれるタングステン単結晶である。しかし、わずかに残ったガス分子が電子源に吸着すると、電子源の仕事関数は一般に低下する。よって、残留ガス分子が電子源に衝突し、吸着するにつれて電子線放出量が減少することになる。この結果、電子銃の運転中、エミッション電流は一定の引出電圧下で徐々に低下する。
Cold-FE電子銃を利用するには、吸着したガス分子を真空中に再放出する等により、電子源表面を清浄化する工程が必要となる。これは単結晶を瞬間的に加熱することで達成される。よって、多くのCold-FE電子銃は、電子源をフィラメント先端に溶接しておき、このフィラメントを短時間通電加熱することで電子源を熱し、清浄化を行う。これをフラッシングと呼ぶ。フラッシングを実施すると電子源先端が清浄化される。Cold-FE電子銃ではこのフラッシングを定期的に実施することで、一定のエミッション電流を得る。必要なフラッシング頻度は電子銃内の残留ガス圧力により変化する。
上述のようにCold-FE電子銃では電子源のフラッシングが必要である。電子源フラッシングにより電子源先端の清浄度が維持され、安定したエミッション電流が得られる。反面、フラッシングにより、電子源先端部のタングステン原子の熱による移動(ドリフト)が発生するため、フラッシングを繰り返すたびに先端部の物理的形状は徐々に変化する。この変化は、通常、結晶内の原子同士に働く引力のため、鋭く尖った先端部の物理的形状が徐々に丸くなってゆく方向への変化となる(これを電子源先端部の「丸まり」と呼ぶ)。
したがって、フラッシングを繰り返して長期間電子源を使用していると、電子源先端の曲率半径が徐々に大きくなり、それに伴い、電子源先端部での電界集中が弱まる結果となる。これは、同一のエミッション電流またプローブ電流を得るための引出電圧が上昇することを意味する。一定のエミッション電流を維持するよう引出電圧を定めると、電子銃の利用期間にわたり、引出電圧が徐々に上昇することとなる。この引出電圧が電子銃の制限電圧(電源の能力と、配線や電子銃内の絶縁性能によって定まる)を越えると、この電子源から十分なプローブ電流を得ることができなくなり、電子源の交換が必要となる。
ここで、フラッシングはフィラメントに流す電流の量として強さが調整できる。より多くの電流を流す、または比較的長時間電流を流すことで、電子源はより高温の「強いフラッシング」となる。このとき、電子源先端はより清浄化されるが、反面丸まりの程度も大きい。反対に、より少ない電流を流す、または比較的短時間に限り電流を流すと、電子源先端の温度は相対的に低くなり、フラッシング一回あたりの丸まりの程度が少ない「弱いフラッシング」となる。一方で、先端の清浄化が不十分となる場合が存在する。このようなときには、同一のエミッション電流を引き出すために必要な引出電圧が高くなり、あるいは電界放出が不安定になり短時間にプローブ電流が大きく変動したり、電子銃の輝度が低下して良好な観察像が得られなくなる。なるべく長期にわたって電子源交換が不要、かつ、なるべく清浄化した電子源が発生した電子線を利用するためには、適切なフラッシング強度を適切な時機に行うことが必要である。従来の電子銃においては、必要なフラッシング強度をフィラメント電流として規定し、あらかじめ十分と思われる強度のフラッシングをあらかじめ十分と考えられる頻度で行うことで、電子源の清浄化と電子源寿命の両立を図っていた。また電子銃の運転中のフラッシング時期については、プローブ電流が減少または不安定化していないか、良好な観察像を得られているかどうかをユーザーが判断して実施していた。
解決しようとする課題は、Cold-FE電子銃を備える電子顕微鏡において、適切なフラッシング時機およびフラッシング強度を電子顕微鏡ユーザーまたは電子顕微鏡制御装置が得ることである。
本発明は、特許請求の範囲に記載の構成を採用し、課題を解決する。例えば、Cold-FE電子銃において、電子源からの電界放出によって得られる総電流であるエミッション電流を測定し、その測定値を用いて、ユーザーに適切なフラッシング時期と強度を指示し、または自動的に適切なフラッシングを実施する。
本発明のCold-FE電子銃は、適切な時期に適切な強度のフラッシングが行われることにより、より安定したプローブ電流を、より長期間電子源を交換することなく得ることができる。これにより、長期間メンテナンスが不要で、より高品質の観察像が得られる電子顕微鏡を得ることができる。
発明の実施例である電子顕微鏡を示す図である。 発明の実施例の一例である電子銃を示す図である。 冷陰極電界放出型電子銃において、清浄な電子源から放出されるエミッション電流とプローブ電流の時間的変化を模式的に例示した図である。 発明の実施例において、エミッション電流の値よりユーザーにフラッシング時機やフラッシングを自動的に行ったこと、また次のフラッシング時機を通知する表示を例示した図である。 冷陰極電界放出型電子銃において、ガス分子が付着した電子源から放出されるエミッション電流の時間的変化を清浄な電子源からのエミッション電流の比較として模式的に例示した図である。 清浄な電子源やガス分子が付着した電子源から放出されるエミッション電流の時間的変化の測定結果を示し、発明の実施例において清浄な電子源とガス分子が付着した電子源との判別をどのように行うかを説明した測定結果および説明図である。 発明の実施例において、エミッション電流の時間的変化よりユーザーに強いフラッシングの時機や強いフラッシングを自動的に行ったこと、また電子源の清浄度を通知する表示を例示した図である。
発明を実施する形態の例としての、Cold-FE電子銃を備えた電子顕微鏡を図1に示す。電子顕微鏡は、電子銃1、電子光学系2、試料ホルダ3、検出器4、制御装置5、電源部6を持つ。図1において、電子銃1と電子光学系2は、それぞれ真空排気装置11、21を持っているが、電子顕微鏡の規模によっては、真空排気装置を一系統のみ備えている場合もあり、またより多数に細分化された多数の真空排気装置を備える場合もある。Cold-FE電子源101を備えた電子銃1は電子線10を発生する。電子光学系2は電子線10を収束、偏向させ、試料31に照射する。試料ホルダ3は試料31を保持し、必要に応じて移動、傾斜、交換する。検出器4は、試料31が発生した反射電子、二次電子、透過電子、散乱電子、X線等を測定する。電源部6は、電子銃1、電子光学系2に電源を供給するとともに、出力を調整し、電子線をオペレーターが要求する状態に制御する。また、検出器4からの情報をデジタル信号に変換する。制御装置5は、電源系6を通して電子銃1、電子光学系2を制御するとともに、検出器4からの情報を処理し、オペレーターに見える形で表示または記録する。図では電源系6を制御・検出系電源61と、電子銃電源62に分けた。
ここで、本発明の実施例である加速電圧数百キロボルトのCold-FE電子銃1の構造の詳細を図2に示す。電子銃1は、電子源101(冷陰極電界放出電子源)、引出電極103、加速管105を備え、電子銃電源62と接続され、高い電位が与えられている。引出電極103には、引出電源621により数キロボルトの引出電圧(V1)が印加される。ここで、電子源101はするどく尖った先端形状を持っているため、電子源101の先端部には強い電界が発生する。この時、電界放出の原理に基づき、電子源101より放出された電子は、電子源101と引出電極103との電位差によって初期的に加速され、引出電極103に照射される。これがエミッション電流である。エミッション電流の一部は、引出電極103に設けられた陽極絞り121の孔を通過し、加速管105へ入射する。加速管105は、複数の中間電極104、106、107、108、109を備えており、電子線はこの中間電極を通過しつつさらに加速される。電子源101、引出電極103は、加速電源623によって数百キロボルトの負の高電圧(V0)下にある。陽極110は接地電位であり、ゼロ電位である。この電位差により電子線が加速され、陽極110を通過した電子はV0のエネルギーを持った電子線となっている。
ここで、引出電源621は、引出電極103に安定的に引出電圧を印加する機能とともに、電源に流れる電流を測定する機能がある。電流計63として図中に示す。引出電極は碍子により他の電極と絶縁されており、微小な放電電流を別にすると、流れる電流はすべて電子源からの電界放出によるエミッション電流によるものである。したがって、引出電源で引出電極と電子源との間に流れる電流を電流計63で測定すれば、これがエミッション電流にほぼ等しくなる。この値をIeとする。
引出電源および電子銃電源は、この電流量Ieを測定データとしてデジタル信号として、図1に示された制御装置5に送る。制御装置5は、このエミッション電流データを記録する。
フラッシング電源624は、電子源が固定されているフィラメント102に流す電流を制御する電源である。制御装置からフラッシングを実施する指令が入ると、フラッシング電源624は、電子源が固定されているフィラメント102に電流を流す。このジュール熱によりフィラメント102が加熱され、電子源101の温度が上昇し、電子源101表面が清浄化される。このときのフラッシング強度は、制御装置がフラッシング電源624をコントロールすることで、たとえばフィラメントに流す電流の大小により制御される。
フラッシング後、電子源から放出されるエミッション電流と、絞り121を通過したプローブ電流の時間的な変化について、典型的な例を図3に示す。フラッシング後、エミッション電流は比較的単調に減少するが、プローブ電流は一定時間、(1)高い一定値に近い値を維持する。その後、(2)急激な減少を経て、(3)低い一定値に移行する。高い輝度のプローブ電流による良好な観察像を得るためには、(1)の領域で装置を利用することが望ましい。
エミッション電流とプローブ電流で時間的変化が異なる理由として、物理的に、エミッション電流が電子源表面の比較的広い範囲から電界放出された電子線であるのに対し、プローブ電流が電子源の先端付近から放出された比較的せまい領域から電界放出された電子線であることがあげられる。このため、数多くの原子からなる電子源先端部からの電界放出(エミッション電流)が安定して減少してゆくのに対して、プローブ電流は比較的不安定な挙動を示し、段階的な増減が見られることがある。これはプローブ電流の発生にかかわる電子源上の領域が狭く、特定の結晶面の比較的少数の原子だけが放出に寄与しているため、残留ガス分子による確率的な影響によってプローブ電流が幅広く増減するためであると考えられる。
いま、実験より得られた測定結果によれば、ほとんどの場合、プローブ電流が、図で示したフラッシング直後のプローブ電流Ip0の80%以下に減少すると、プローブ電流の急激な減少が始まり、また電流量も不安定に変動する。このことをプローブ電流を測定して判断することもできるが、ここで、引出電源によってすでに計測されているエミッション電流変化に着目する。エミッション電流が、図で示したフラッシング直後のエミッション電流Ie0の50%(図で0.5Ie0で示す)まで減少したタイミング(τ50)が、ほぼ上記のプローブ電流が80%となる時間に相当することが確認された。
このことから、エミッション電流を計測し、Ieが0.5Ie0まで減少したタイミング(τ50)にフラッシングを行えば、もっとも有効に電子源を活用できると言える。
そこで、本発明の実施例においては、計測したエミッション電流をモニタし、フラッシング直後エミッション電流Ie0の50%まで減少したときにフラッシングを勧めるダイアログ等を表示し、ユーザーにフラッシングを促す。また、ユーザーが席を外し、または試料を交換するタイミングにフラッシングを実施し、電子源の清浄化を行う。
ユーザーへの表示例を図4に示す。ユーザーが見ている制御装置5の画面に、91のようなダイアログを表示させ、ユーザーにフラッシングを促す。ユーザーはダイアログ上のボタン、または他の方法により制御装置5にフラッシング実施を命令し、電子源を清浄化させる。または、装置が操作されていない場合、また試料交換作業が行われている場合、その情報を制御装置5が感知し、自動的にフラッシングを行う。この場合、ユーザーにフラッシングが行われた旨、92のようなダイアログを出し通知することが望ましい。また、最後のフラッシングからの経過時間や、次のフラッシング時間、および次回フラッシングまでの時間の目安となる現在のエミッション電流を、93のような方法で制御装置5に表示し、ユーザーの注意を喚起することができる。93では最後にフラッシングを行った時刻、エミッション電流値から予想される次回のフラッシング時刻、および現在のエミッション電流Ieの値を初期エミッション電流Ie0と比較し、帯グラフの形で表示したものである。
このようにすることで、挙動が比較的不安定であり、また電子光学系の設定条件により値が異なる場合があるプローブ電流を計測するよりも、簡単に電子源へのガス吸着の程度を推定することができ、フラッシングに適切な時機を制御装置が知ることができ、またわかりやすくユーザーに通知することができる。またこの情報に応じて、制御装置はユーザーにフラッシングを促し、または自動的にフラッシングを実施し、電子源を良好な状態に保つことができる。
次に、フラッシング強度について、フラッシングは電子源表面清浄化のために実施するものであるが、電子源表面清浄化のためにどの程度の強さのフラッシングが必要かについては、電子源の表面状態に依存する。より多量のガス分子が吸着した電子源は、強いフラッシングでの清浄化が必要であるが、付着したガス分子が少量であれば弱いフラッシングで清浄化できる。ガス分子吸着量は電子源に吸着された残留ガス分子の種類にもよると考えられ、定性的にはより軽い原子(水素原子など)が比較的低温で電子源から取り除かれるのに対し、重い分子(炭化水素など)が吸着した場合、強いフラッシングが必要となる。
電子源表面が十分に清浄化されていない場合、プローブ電流の時間的な変化は、図3下で示したような標準的なものにならない。安定領域(1)が短くなり、不安定領域(2)が早くやってきたり、安定領域(1)が現れず、フラッシング直後から輝度の低い一定値の領域(3)が現れることがある。
今、これらの電子源が清浄な状態、多くのガス分子が残留している状態にそれぞれ対応するエミッション電流の時間的変化の例を図5に示す。清浄な電子源状態でエミッション電流の時間変化を記録すると、一定時間ののち、初期エミッション電流の1/10程度(0.1Ie0)で安定化する。一方、清浄でない状態の電子源で同様の測定を行うと、安定期のエミッション電流は初期値の1/5、1/3など大きな値となり、それ以上減少しなくなる。
これは定性的には次のように理解される。電子源の清浄化が不十分である場合、電子源の状態は清浄には戻らず、図3上に示した標準的なエミッション電流の減少曲線の左端ではなく、その途中までしか清浄化されない。フラッシング後、図3の左端ではなく、途中からエミッション電流変化が始まることになる。電子銃の引出電圧は、エミッション電流が一定値(たとえば10μA)となるように選ばれるので、逆にフラッシング直後のエミッション電流Ie0はいかなる場合も同一となる。しかし、そこからの減少度合いは、清浄電子源からの標準的なエミッション電流グラフ(図3上)を拡大し、Ie=10μAに合わせたようなカーブを描く。このため、Ie0に比べて長時間が経過したあとのエミッション電流が0.1Ie0に収束せず、Ie0に比べもっと大きな値となる。電子源が清浄化されているかどうかは、長期間観察後のエミッション電流の収束値を測定すればよい。
ところが、上の長期間観察は、通常行わない。上記のように0.5Ie0となった時刻τ50においてユーザーにフラッシングを促す場合はなおさらである。
ここで多数エミッション電流データを観察した実験結果によると、その減少傾向に確たる傾向があることがわかった。図6に示す。この図においては、横軸で示した時間はエミッション電流が0.5Ie0となった時間(τ50)を1として規格化されている。ここで電子源がフラッシングにより清浄化されているかどうかについてグループ分けを行うと、電子源が清浄化されたグループ(A)は、0.5τ50において上に凸であることがわかる。一方、清浄でない場合グループ(B)はこの時刻において、エミッション電流の時間的変化を表すカーブが下に凸となる。中間的な清浄度を示すグループ(C)は(A)と(B)の中間となる。
そこで、本発明の実施例においては、制御装置5において、電子銃電源62からの出力として計測したエミッション電流の時間的変化を記録し、特にエミッション電流Ieが0.5Ie0となった時刻τ50と、時刻0.5τ50におけるエミッション電流Ie0.5を抜き出す。Ie0.5とIe0を比較し、たとえば75%以上の値であれば、電子源は清浄であると判別する。一方、Ie0.5がこの値に満たない場合、電子源に多くのガス分子が残っていると判断し、フラッシング強度を自動的に強め、またはユーザーに通知して強いフラッシングを実施するよう勧める。
ユーザーへの表示例を図7に示す。前回のIe0.5値を判断基準とし、ユーザーが見ている制御装置5の画面に、94のようなダイアログを表示させ、ユーザーに強いフラッシングを促す。ユーザーはダイアログ上のボタン、または他の方法により制御装置5にフラッシング実施を命令し、電子源を強く加熱することで清浄化させる。または、装置が長時間操作されていない場合など、その情報を制御装置5が感知し、自動的に強いフラッシングを行う。この場合、ユーザーに強いフラッシングが行われた旨、95のようなダイアログを出し通知することが望ましい。また、最後にIe0.5を計測した時間や、電子源の清浄度合いの目安となるIe0.5の値を、96のような方法で制御装置5に表示し、ユーザーの注意を喚起することができる。96では最後にIe0.5を計測した時刻、Ie0.5から判別できるチップの清浄度を帯グラフの形で表示したものである。チップのガス分子付着が多い場合、ユーザーは強いフラッシングを行い、その効果をこの帯グラフで判別することができる。
これらの実施態様によれば、従来のCold-FE電子銃に比べ、電子源の清浄度について的確な情報が得られ、適切な時期に適切な強度のフラッシングが行われることにより、より安定したプローブ電流を、より長期間電子源を交換することなく得ることができる。これにより、長期間メンテナンスが不要で、より高品質の観察像が得られる電子顕微鏡を得ることができる。
1 電子銃
10 電子線
11 電子銃真空排気装置
101 電子源
102 フィラメント
103 引出電極
104 調整電極
105 加速管
106 中間電極
107 中間電極
108 中間電極
109 中間電極
110 陽極
17 イオンポンプ
2 電子光学系
21 電子光学系真空排気装置
3 試料ホルダ
31 試料
4 検出器
5 制御装置
6 電源部
61 制御・検出系電源
62 電子銃電源
621 引出電源
622 調整電源
623 加速電源
624 フィラメント加熱電源
91 ユーザーにフラッシングを促すダイアログの例
92 ユーザーにフラッシング実施を通知するダイアログの例
93 ユーザーにフラッシング時機を通知する表示の例
94 ユーザーに強いフラッシングを促すダイアログの例
95 ユーザーに強いフラッシング実施を通知するダイアログの例
96 ユーザーに電子源の清浄度を通知する表示の例

Claims (6)

  1. 冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡において、
    電界放出により発生した電流であるエミッション電流を測定する機能と、
    このエミッション電流の数値を入力情報に用いて、電子源の加熱清浄化を行う時期をユーザーに通知する機能と、
    を持った電子顕微鏡。
  2. 冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡において、
    電界放出により発生した電流であるエミッション電流を測定する機能と、
    このエミッション電流の数値を入力情報に用いて、電子源の加熱清浄化を自動的に実施する機能と、
    を持った電子顕微鏡。
  3. 冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡において、
    電界放出により発生した電流であるエミッション電流を測定する機能と、
    このエミッション電流の数値を入力情報に用いて、電子源の加熱清浄化を行うべき時期の目安となる情報をユーザーに通知する機能と、
    を持った電子顕微鏡。
  4. 冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡において、
    電界放出により発生した電流であるエミッション電流を測定する機能と、
    このエミッション電流の時間的な変化を入力情報に用いて、電子源のガス分子付着を推定し、電子源の強い加熱清浄化を行うべき時期をユーザーに通知する機能と、
    を持った電子顕微鏡。
  5. 冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡において、
    電界放出により発生した電流であるエミッション電流を測定する機能と、
    このエミッション電流の時間的な変化を入力情報に用いて、電子源のガス分子付着を推定し、電子源の強い加熱清浄化を自動的に実施する機能と、
    を持った電子顕微鏡。
  6. 冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡において、
    電界放出により発生した電流であるエミッション電流を測定する機能と、
    このエミッション電流の時間的な変化を入力情報に用いて、電子源のガス分子付着を推定し、電子源の強い加熱清浄化を行うべき時期の目安となる情報をユーザーに通知する機能と、
    を持った電子顕微鏡。
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