JP2005235469A - 荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 試料観察等の工程の作業効率の低下を防止することのできる荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置の制御方法を提供する。
【解決手段】 荷電粒子ビーム源21と、エミッタ1に加速電圧を印加する加速電圧印加手段13と、エミッタ1にフラッシング用加熱電流を与えてフラッシングを行うフラッシング制御手段と、荷電粒子ビーム20を制御する電子光学系22とを備える荷電粒子ビーム装置において、加速電圧印加手段13によるエミッタ1への加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段13によるエミッタ1への加速電圧の印加が終了した時点での累積印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段13によるエミッタ1への加速電圧の印加の終了後に、フラッシング制御手段によってエミッタ1に第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行う。
【選択図】図1
【解決手段】 荷電粒子ビーム源21と、エミッタ1に加速電圧を印加する加速電圧印加手段13と、エミッタ1にフラッシング用加熱電流を与えてフラッシングを行うフラッシング制御手段と、荷電粒子ビーム20を制御する電子光学系22とを備える荷電粒子ビーム装置において、加速電圧印加手段13によるエミッタ1への加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段13によるエミッタ1への加速電圧の印加が終了した時点での累積印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段13によるエミッタ1への加速電圧の印加の終了後に、フラッシング制御手段によってエミッタ1に第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、荷電粒子ビーム源を備える荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置の制御方法に関する。
荷電粒子ビーム装置においては、荷電粒子ビームを放出するための荷電粒子ビーム源が備えられている。ここで、このような荷電粒子ビーム装置として走査電子顕微鏡の例を取り上げると、走査電子顕微鏡には荷電粒子ビーム源として電子銃が設けられている。そして、電子銃からは、荷電粒子ビームである電子ビームが放出される。
電子銃から放出された電子ビームは、走査電子顕微鏡に設けられた電子光学系により制御されて、走査電子顕微鏡の試料室内に配置された観察対象となる試料に照射される。電子ビームが照射された試料からは、検出対象となる2次電子や反射電子等の被検出電子が発生する。当該被検出電子は、検出器によって検出されて試料像信号が得られる。これにより得られた試料像は、LCDやCRT等からなる表示装置に供給される。そして、この表示装置の画面には試料像が表示され、これによりオペレータによって試料観察が行われる。
このような走査電子顕微鏡における電子銃として、高輝度で高分解能の試料像を得るために、電界放出電子銃(以下、FEGという)が多く用いられている。このFEGは、エミッタと引出電極との間に所定の引出電圧を印加してエミッタ先端部からトンネル効果により電子を引き出すようにしている。エミッタ先端部から引き出された電子は、FEGに設けられた加速電極によって加速され、FEGから試料に向けて電子ビームとして放出される。このとき、加速電極は接地電位とされ、当該接地電位に対する所定の加速電圧をエミッタに印加する。FEGから放出された電子ビームは、走査電子顕微鏡内の電子光学系により制御され、走査電子顕微鏡の試料室内の試料に照射されて試料観察が実行される。
このようなFEGを備えた走査電子顕微鏡を使用して試料観察を行う場合、FEGの引出電極への引出電圧の印加及びエミッタへの加速電圧の印加を行う前(すなわち、FEGから電子ビームを放出する前)に、エミッタの表面を清浄化することが行われている。このエミッタの表面を清浄化するための操作として、エミッタを所定温度まで加熱して、その表面に吸着したガス分子を除去する操作であるフラッシングが行われる。このフラッシングを実行することにより、エミッタの表面を清浄でクリーンな状態とすることができ、その後、引出電極への引出電圧の印加及びエミッタへの加速電圧の印加を行うことによってFEGから放出される電子ビームの安定化を図ることができる。
なお、FEGから電子ビームを放出する前にフラッシングを行うとともに、電子ビーム照射時における引出電圧の変化率が所定範囲を超えた際にもフラッシングを実行するようにしたものもある(例えば、特許文献1参照)。
また、試料観察を実行する時の所定時間(約1時間)前にフラッシングを行うようにするものもある(例えば、特許文献2参照)。
上述のごとく、FEGを備えた走査電子顕微鏡の使用においては、FEGの引出電極及びエミッタへそれぞれ引出電圧及び加速電圧を印加する前に、フラッシングを行ってエミッタの表面を清浄化している。
しかしながら、フラッシング実施後にFEGの引出電極及びエミッタにそれぞれ引出電圧及び加速電圧を印加し、エミッタから電子を引き出して加速し、これによりFEGから電子ビームを放出させて試料に照射し、試料観察を長時間にわたって継続していった際には、フラッシングによって一旦清浄化されたエミッタの表面にガス分子が再度付着し、当該ガス分子が積層されていくこととなる。
このように、エミッタの表面にガス分子が積層されて付着していくと、エミッタから電子が安定して引き出されなくなる。この場合には、FEGから放出される電子ビームの輝度に影響が発生することとなり、試料観察に支障をきたすこととなる。
また、上記の試料観察時のように、FEGからの電子ビームの放出が長時間にわたって継続されると、電子が引き出されるエミッタの表面に周囲のイオンが衝突し、エミッタの表面に損傷が発生することもある。このような場合においても、FEGから放出される電子ビームの輝度に影響が発生することとなり、試料観察に支障をきたすこととなる。
したがって、FEGから電子ビームが放出された照射時間を計測し、当該照射時間が所定の許容時間を超えた場合にもフラッシングを行うことが望ましい。
そこで、FEGの使用時間を計測し、設定時間が経過したらフラッシングの開始を指示するメッセージを表示することも行われている(上記特許文献1における「発明が解決しようとする課題」の欄参照)。この場合では、FEGを動作させて試料観察を実行している最中に当該メッセージを表示することを想定している。
試料観察を実行しているときにフラッシングを行う場合には、FEGの動作を止めて当該試料観察を一旦停止してからフラッシングを行う必要があり、試料観察の作業効率が低下する要因となる。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、試料観察等の工程の作業効率の低下を防止することのできる荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明に基づく荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビームが発生するエミッタを有し、エミッタから発生した荷電粒子ビームを加速させて放出する荷電粒子ビーム源と、エミッタに加速電圧を印加する加速電圧印加手段と、エミッタにフラッシング用加熱電流を与えてフラッシングを行うフラッシング制御手段と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子ビームを制御する電子光学系とを備える荷電粒子ビーム装置において、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加が終了した時点での印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加の終了後に、前記フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行うことを特徴とする。
また、本発明に基づく荷電粒子ビーム装置の制御方法は、荷電粒子ビームが発生するエミッタを有し、エミッタから発生した荷電粒子ビームを加速させて放出する荷電粒子ビーム源と、エミッタに加速電圧を印加する加速電圧印加手段と、エミッタにフラッシング用加熱電流を与えてフラッシングを行うフラッシング制御手段と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子ビームを制御する電子光学系とを備える荷電粒子ビーム装置の制御方法において、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加が終了した時点での印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加の終了後に、前記フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行うことを特徴とする。
本発明においては、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加が終了した時点での印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加の終了後に、フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行う。
よって、エミッタへの加速電圧印加の印加時間が所定時間を超えている場合には、エミッタへの加速電圧印加の終了後に、フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流が加えられて自動的にフラッシングが実行される。従って、印加時間が所定時間を超えた際には、試料観察等の工程の終了後にフラッシングが行われることとなり、当該工程の作業効率の低下を防止することができる。
以下、図面を参照して、本発明における荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置の制御方法について説明する。
図1は、本発明における荷電粒子ビーム装置を示す概略構成図である。この荷電粒子ビーム装置は、本実施の形態においては走査電子顕微鏡の構成を有している。同図において、21は電子銃(荷電粒子ビーム源)である。この電子銃21は、FEG(電界放出電子銃)の構成となっており、エミッタ1と、引出電極2と、加速電極3とを備える。
エミッタ1は、U字状の支持体4により支持されており、その先端からは電子(荷電粒子)が放射され、これによりエミッタ1からは電子ビーム(荷電粒子ビーム)20が発生する。支持体4の両端部にはフラッシュ電源(フラッシング用加熱電流供給手段)11が接続されている。従って、エミッタ1には、フラッシング実行時に、支持体4を介してフラッシュ電源11からのフラッシング用加熱電流が供給されるようになっている。エミッタ1及び支持体4は、例えばタングステンから構成されている。
加速電極3は接地電位とされ、加速電源(加速電圧印加手段)13の一端側に接続されている。そして、加速電源13の他端側には支持体4を介してエミッタ1が接続されている。よって、エミッタ1には、加速電源13により接地電位に対して所定の加速電圧(負電圧)が印加されるようになっている。
また、引出電極2には、エミッタ1から電子を引き出すための引出電圧が引出電源部(引出電圧印加手段)12によって印加されるようになっている。なお、引出電源部12及び加速電源部13により、高圧電源部14が構成されている。
引出電極2に印加された引出電圧によってエミッタ1の先端から引き出されて発生した電子ビームは、加速電極3(すなわち接地電位)との電位差によって加速され、電子銃21から試料9に向けて放出される。
電子銃21から放出された電子ビーム20は、集束レンズ5及び対物レンズ7により、試料9上に細く集束される。そして、走査コイル6により、電子ビーム20は試料6上を必要に応じて適宜走査される。ここで、集束レンズ5、走査コイル6、及び対物レンズ7により電子光学系22が構成される。従って、電子銃21から放出された電子ビーム20は、当該電子光学系22により制御された状態で試料9上に照射される。
電子ビーム20が照射された試料9からは、2次電子や反射電子等の被検出電子(図示せず)が発生する。当該被検出電子は、図示しない検出器により検出されて試料像データが得られる。これにより得られた試料像データは、LCDやCRT等からなる図示しない表示装置に供給される。この表示装置は試料像データに基づく試料像を表示し、これによりオペレータによって試料観察が行われる。
試料9は、試料ステージ機構8に載置されている。この試料ステージ機構8は、水平方向、垂直方向、回転方向、及び傾斜方向に試料9を適宜移動させる。
集束レンズ5、走査コイル6、対物レンズ7、及び試料ステージ機構8には、それぞれ駆動部5a〜8aが接続されている。これにより、集束レンズ5、走査コイル6、対物レンズ7、及び試料ステージ機構8は、対応する各駆動部5a〜8aによって駆動される。
エミッタ1を支持する支持体4に繋がれたフラッシュ電源11は、バスライン10に接続されている。また、高圧電源部14を構成する引出電源部12及び加速電源部13もバスライン10に接続されている。さらに、各駆動部5a〜8aもバスライン10に接続されている。従って、当該構成部11〜13及び5a〜8aには、バスライン10を介して、それぞれ所定の制御信号が供給される。
そして、バスライン10には、制御部15、計時部16、記憶部17、及び入力部18が接続されている。
計時部16は、後述する加速電圧の印加時間を計時するものである。記憶部16には、上記各構成部の制御条件等が記憶される。入力部18は、マウスやジョイスティック等のポインティングデバイスやキーボード等を備えている。そして、制御部15は、当該荷電粒子ビーム装置全体を制御するためのものであり、常時、起動状態とされている。
なお、上述のように電子銃21から放出された電子ビーム20を試料9に照射して試料観察を行う際には、電子銃21の内部空間及び電子銃21と試料ステージ機構8との間の空間は、それぞれ対応するバルブ(図示せず)を介して、個別の排気系(図示せず)によって真空排気されるようになっている。そして、当該排気系は常時駆動されており、これによって電子銃21の内部空間及び電子銃21と試料ステージ機構8との間の空間は常時真空排気されている。
以上の構成からなる荷電粒子ビーム装置の制御方法について、図2を参照して、以下に説明する。ここで、図2は、本発明における荷電粒子ビーム装置の制御方法を示すフローチャートであり、図2中における「操作系」とは、図1での各駆動部5a〜8aと、計時部16、記憶部17、及び入力部18とから構成される部分をいう。
まず、オペレータが操作系電源のスイッチを起動して、操作系電源をON状態とする。これにより、各駆動部5a〜8aと、計時部16、記憶部17、及び入力部18が起動状態となる(ステップS1)。
ステップS1によって、上記操作系がON状態とされ、オペレータにより観察動作の指示が入力部18の操作によって入力される。なお、試料9は試料ステージ機構8上に載置されているものとする。
オペレータにより観察動作の指示が入力されると、制御部15による制御によって、各駆動部5a〜8aが制御部15により所定の条件で駆動されることとなり、電子光学系22による電子ビームの制御条件が設定されるとともに、試料ステージ機構8により試料9の位置制御が行われる。
その後、制御部15により、高圧電源部14の駆動制御が行われる。これにより、引出電極2に、引出電源部12によって所定の引出電圧が印加される。また、エミッタ1に、加速電源部13によって、接地電位に対する所定の加速電圧が印加される(ステップS2)。
これにより、電子銃21のエミッタ1の先端から電子が引き出され、引き出された電子は加速電極3により加速される。これにより、電子銃21からは電子ビーム20が放出される。電子銃21から放出された電子ビーム20は、上述のごとく、電子光学系22により制御されて試料9に照射される。
電子ビーム20が照射された試料9からは、上記被検出電子が発生する。この被検出電子は上記検出器により検出され、検出結果に基づいて試料像データが得られる。これにより得られた試料像データは、上記表示装置に供給される。この表示装置は試料像データに基づく試料像を表示し、これによりオペレータによる試料観察が実施される。
また、上記ステップS2におけるエミッタ1への加速電圧の印加開始に同期して、当該加速電圧の累積印加時間の計時が開始される(ステップS3)。
この累積印加時間の計時は、計時部16により実行され、加速電源部13によるエミッタへの加速電圧の印加時間を計時するとともに累積する。
上述した試料観察においては、オペレータによる入力部18の操作により、試料9上の複数箇所の観察が実施されたり、必要に応じて電子光学系22の駆動条件が適宜変更される。このような試料観察作業は、数時間もしくはそれ以上の時間の間実施されることがある。そして、当該試料観察が実行されている最中は、電子銃21のエミッタ1への加速電圧の印加は継続して行われ、電子銃21からの電子ビーム20の放出は続けられる。
このように電子銃21からの電子ビーム20の放出が続けられると、エミッタ1の表面にガス分子が徐々に積層されて付着されることとなる。また、エミッタ1の表面に周囲のイオンが衝突されていくこととなる。
このような状態の後、オペレータによる試料観察作業が終わると、オペレータは入力部18を操作して、試料観察の停止を指示する。これに応じて、制御部15は、高圧電源部14の駆動を停止する。これにより、引出電源部12による引出電極2への引出電圧の印加が終了する。また、加速電源部13によるエミッタ1への加速電圧の印加が終了する(ステップS4)。
これによって、電子銃21からの電子ビーム20の放出が停止し、試料9への電子ビーム20の照射が終了する。
また、上記ステップS4におけるエミッタ1への加速電圧の印加終了に同期して、上述した加速電圧の累積印加時間の計時を終了する(ステップS5)。
次に、制御部15は、計時部16により累積して計時された当該累積印加時間を読み出す。また、記憶部17に記憶されている所定の設定時間を読み出し、当該累積印加時間が当該設定時間(所定時間)を越えているか否かを比較して判断する。この設定時間は、例えば4〜5時間とされる(ステップS6)。
そして、ステップS6においてYES(累積印加時間が所定時間を超えている)場合には、制御部15によってフラッシュ電源部11の駆動を行う。これにより、フラッシュ電源部11によってエミッタ1に所定のフラッシング用加熱電流(第1のフラッシング用加熱電流)が印加され、フラッシングが実行される。なお、フラッシュ電源部11と制御部15によりフラッシング制御部が構成され、このときのフラッシング用加熱電流は、エミッタ1が加熱されて、当該エミッタ1の温度が2600〜3000Kに達するように設定される(ステップS7)。
これにより、エミッタ1の表面に付着したガス分子を除去してエミッタ1を清浄化することができるとともに、エミッタ1の表面のイオン衝突による損傷の修復を行うことができる。
その後、オペレータが操作系電源のスイッチを停止して、操作系電源をOFF状態とする。これにより、各駆動部5a〜8aと、計時部16、記憶部17、及び入力部18が停止状態となる(ステップS8)。これにより、観察作業は終了する。
一方、ステップS6においてNO(累積印加時間が所定時間以内となっている)場合には、フラッシング動作は行わずに、上記ステップS8に移行する。同様に、これによって観察作業は終了する。
なお、ステップS6での判断がYESとなってステップS7に移行し、ステップS7においてフラッシングが行われた際には、計時部16による累積印加時間のデータはクリアされて、初期値(零)がこの計時部16に備えられたメモリに格納され、その後ステップS8へ移行する。また、ステップS6での判断がNOとなり、ステップS7を経ずにステップS8へ移行した場合には、計時部16による累積印加時間のデータはそのまま保持される。すなわち、当該データは、計時部16に備えられた当該メモリに格納される。ここで、操作系電源がOFF状態とされて計時部16が停止状態となっても、当該メモリに格納されたデータはそのまま保持される。
そして、観察作業が再開した際には、上記各工程ステップS1〜ステップS8が再度実行されることとなる。このとき、計時部16は、当該メモリに格納されている上記データに加算するように、加速電源部13による加速電圧の累積印加時間を累積していく。
このように、本発明においては、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加が終了した時点での印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加の終了後に、フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加える。
よって、エミッタへの加速電圧印加の印加時間が所定時間を超えている場合には、エミッタへの加速電圧印加の終了後に、フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流が加えられて自動的にフラッシングが実行される。従って、印加時間が所定時間を超えた際には、試料観察等の工程の終了後にフラッシングが行われることとなり、当該工程の作業効率の低下を防止することができる。
なお、図2において、操作系電源をONする工程(ステップS1)と加速電圧の印加を開始する工程(ステップS2)との間に、別途フラッシングを実施する工程が入っていないが、当該2つの工程の間にS7とは別にフラッシングを実施する工程を入れても構わない。
このとき、その直前の観察作業の終了時にフラッシュ電源部11によりエミッタ1に上記第1のフラッシング用加熱電流を印加してフラッシングを実施した場合がある。その場合は、直前の観察作業の終了時に当該第1のフラッシング用加熱電流をエミッタ1に印加した後、改めて観察作業を実施するために操作系電源をONにし(ステップS1)、エミッタ1へ加速電圧の印加する(ステップS2)直前に、フラッシュ電源部11によりエミッタ1にフラッシングのためのフラッシング用加熱電流を印加することとなる。このときのフラッシングのためのフラッシング用加熱電流は、上記第1のフラッシング用加熱電流より小さな電流値となる第2のフラッシング用加熱電流とし、当該第2のフラッシング用加熱電流は上記第1のフラッシング用加熱電流の60%以下とすることが好ましい。これにより、極弱度のフラッシングを実施することができる。また、当該第2のフラッシング用加熱電流を上記第1のフラッシング用加熱電流に等しくし、第2のフラッシング用加熱電流の印加時間を、第1のフラッシング用加熱電流の印加時間の60%以下に設定してもよい。
すなわち、このときの第2のフラッシング用加熱電流は、エミッタ1を加熱して、当該エミッタ1の温度が1300〜1600Kに到達するような電流量に設定する。このような第2のフラッシング用加熱電流をエミッタ1に供給して、当該エミッタ1を1300〜1600Kの温度にまで加熱すると、エミッタ1の表面に付着して残っている1層もしくは数層のガス分子を、安定な状態に再配列させるという効果を有する。よって、ステップS2においてエミッタ1への加速電圧の印加を開始しても、それ以降、他のガス分子によるエミッタ1への付着が起こりにくくなり、電子ビームの輝度の安定化を促進することができる。
なお、この場合、計時部16による累積印加時間の計時を、加速電源部13による加速電圧の印加開始に同期させる代わりに、上記極強度のフラッシング実施直後に同期させて行ってもよい。
上記の例では、荷電粒子ビーム装置として走査電子顕微鏡の例を取り上げて説明したが、電子ビーム露光装置等の他の荷電粒子ビーム装置に本発明を適用することができる。
1…エミッタ、2…引出電極、3…加速電極、4…支持体、11…フラッシュ電源、12…引出電源部、13…加速電源部(加速電圧印加手段)、14…高圧電源部、15…制御部、16…計時部、17…記憶部、20…電子ビーム(荷電粒子ビーム)、21…電子銃(荷電粒子ビーム源)、22…電子光学系
Claims (8)
- 荷電粒子ビームが発生するエミッタを有し、エミッタから発生した荷電粒子ビームを加速させて放出する荷電粒子ビーム源と、エミッタに加速電圧を印加する加速電圧印加手段と、エミッタにフラッシング用加熱電流を与えてフラッシングを行うフラッシング制御手段と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子ビームを制御する電子光学系とを備える荷電粒子ビーム装置において、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加が終了した時点での印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加の終了後に、前記フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行うことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
- 前記加速電圧印加手段による前記エミッタへの加速電圧の印加の終了後に、前記フラッシング制御手段によって前記エミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えることにより、前記エミッタの温度が2600〜3000Kに到達するように当該エミッタを加熱することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム装置。
- 前記フラッシング制御手段は、前記エミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行った後、前記加速電圧印加手段によって前記エミッタへ加速電圧を印加する直前に、前記エミッタに前記第1のフラッシング用加熱電流よりも小さな第2のフラッシング用加熱電流を加えたフラッシングを行うことを特徴とする請求項1若しくは2記載の荷電粒子ビーム装置。
- 前記フラッシング制御手段によって前記エミッタに第2のフラッシング用加熱電流を加えることにより、前記エミッタの温度が1400〜1500Kに到達するように当該エミッタを加熱することを特徴とする請求項3記載の荷電粒子ビーム装置。
- 荷電粒子ビームが発生するエミッタを有し、エミッタから発生した荷電粒子ビームを加速させて放出する荷電粒子ビーム源と、エミッタに加速電圧を印加する加速電圧印加手段と、エミッタにフラッシング用加熱電流を与えてフラッシングを行うフラッシング制御手段と、荷電粒子ビーム源から放出された荷電粒子ビームを制御する電子光学系とを備える荷電粒子ビーム装置の制御方法において、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加時間を計時し、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加が終了した時点での印加時間を所定時間と比較し、印加時間が所定時間を超えている場合には、加速電圧印加手段によるエミッタへの加速電圧の印加の終了後に、前記フラッシング制御手段によってエミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行うことを特徴とする荷電粒子ビーム装置の制御方法。
- 前記加速電圧印加手段による前記エミッタへの加速電圧の印加の終了後に、前記フラッシング制御手段によって前記エミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えることにより、前記エミッタの温度が2600〜3000Kに到達するように当該エミッタを加熱することを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム装置の制御方法。
- 前記フラッシング制御手段は、前記エミッタに第1のフラッシング用加熱電流を加えてフラッシングを行った後、前記加速電圧印加手段によって前記エミッタへ加速電圧を印加する直前に、前記エミッタに前記第1のフラッシング用加熱電流よりも小さな第2のフラッシング用加熱電流を加えたフラッシングを行うことを特徴とする請求項5若しくは6記載の荷電粒子ビーム装置の制御方法。
- 前記フラッシング制御手段によって前記エミッタに第2のフラッシング用加熱電流を加えることにより、前記エミッタの温度が1400〜1500Kに到達するように当該エミッタを加熱することを特徴とする請求項7記載の荷電粒子ビーム装置の制御方法。
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JP2004040755A Withdrawn JP2005235469A (ja) | 2004-02-18 | 2004-02-18 | 荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置の制御方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007073521A (ja) * | 2005-09-05 | 2007-03-22 | Ict Integrated Circuit Testing Ges Fuer Halbleiterprueftechnik Mbh | 荷電粒子ビーム照射デバイス及び荷電粒子ビーム照射デバイスを動作させるための方法 |
WO2015053300A1 (ja) * | 2013-10-10 | 2015-04-16 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | 電子顕微鏡 |
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-
2004
- 2004-02-18 JP JP2004040755A patent/JP2005235469A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007073521A (ja) * | 2005-09-05 | 2007-03-22 | Ict Integrated Circuit Testing Ges Fuer Halbleiterprueftechnik Mbh | 荷電粒子ビーム照射デバイス及び荷電粒子ビーム照射デバイスを動作させるための方法 |
JP4688760B2 (ja) * | 2005-09-05 | 2011-05-25 | アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー | 荷電粒子ビーム照射デバイス及び荷電粒子ビーム照射デバイスを動作させるための方法 |
WO2015053300A1 (ja) * | 2013-10-10 | 2015-04-16 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | 電子顕微鏡 |
JPWO2015053300A1 (ja) * | 2013-10-10 | 2017-03-09 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | 電子顕微鏡 |
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