JPH08129981A - 電界放射型電子銃及び電子線装置 - Google Patents

電界放射型電子銃及び電子線装置

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JPH08129981A
JPH08129981A JP26508594A JP26508594A JPH08129981A JP H08129981 A JPH08129981 A JP H08129981A JP 26508594 A JP26508594 A JP 26508594A JP 26508594 A JP26508594 A JP 26508594A JP H08129981 A JPH08129981 A JP H08129981A
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JP
Japan
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electron gun
field emission
gas
electron beam
electron
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Application number
JP26508594A
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English (en)
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Nobuo Hirano
暢夫 平野
Toshiaki Kobari
利明 小針
Yasushi Nakaizumi
泰 中泉
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 輝度が高く、安定した電子線を放射する電界
放射型電子銃の提供。 【構成】 電界放射型電子銃に、電子線電流を検出する
電流計24と、検出された電子線電流の直流成分Aに対
する交流成分Bの割合B/Aを演算する演算回路25
と、フィラメント41とフィラメント用電源44と、前
記電子線電流の交流成分の割合B/Aが設定された値を
超えるとき、フィラメント41に給電して該フィラメン
ト41から電子銃室1に気体を放出することを命令する
制御回路26を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線を利用して表面
分析を行う電子顕微鏡、電子線ホログラフィ装置、さら
に半導体基板上に電子線を使って回路を形成する電子線
描画装置等に用いる、電界放射型電子銃に関する。
【0002】
【従来技術】電界放射型電子銃は、針状の陰極に数kV
の負の高電圧を印加して、陰極先端部からの電界放射と
いう現象を利用して電子を放射する。電子顕微鏡等の性
能向上のために、電子線の安定性が求められている。し
かし、電界放射陰極からの電子線電流には周期の短い交
流成分、すなわち電流変動が含まれている。この電流変
動には2つの要因が関係している。1つは残留気体分子
による電界放射陰極へのイオン衝撃であり、もう1つは
吸着分子の電界放射陰極表面での移動である。
【0003】イオン衝撃による電流変動は、電子線電流
または真空の圧力が増加すると変動量も増加するという
特性を有する。このため、残留気体分子によるイオン衝
撃を低減するために電子銃室内の圧力は10~8Pa程度ま
で低くすることが一般に行われている。ところが、吸着
分子の電界放射陰極表面での移動による電流変動は、電
子線電流の大小に左右されず、吸着分子の陰極表面での
拡散の度合いに影響される。
【0004】輝度が高く、安定した電子線を得るために
は、電界放射陰極表面を清浄に保つ必要がある。そこ
で、電界放射に先立ち前記電界放射陰極を加熱して、表
面に吸着している分子の除去と電界放射陰極先端部の整
形が一般に行われている。これを電界放射陰極のフラッ
シングという。フラッシングは、電界放射陰極を固定し
ている陰極支持線にフラッシング用電源から電力を供給
し、発生するジュール熱を利用する。フラッシングによ
り清浄になった電界放射陰極に高電圧電源により数kV
の負の高電圧を印加して、電界放射により電子を放射さ
せる。
【0005】放射された電子は、絞りで絞られたり電磁
レンズで収束されて、電子顕微鏡や電子線ホログラフィ
装置では観察対象物に、電子線描画装置では描画対象物
に照射される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、輝度が
高く、安定した電子線を得るために、電界放射陰極のフ
ラッシングを行い表面を清浄にするが、時間の経過とと
もに電子銃室に残留する気体分子が吸着して、電界放射
陰極表面は徐々に汚染されていく。
【0007】従来の電子銃室内の残留気体の主成分はH
2である。電界放射陰極表面に吸着したH2分子は他の分
子に比べて質量が小さいため、陰極表面上を高速で拡散
する。このため、陰極表面上の電界放射領域の仕事関数
が高速に変化し放射電子の電流変動を大きくすることに
なる。
【0008】以上に述べたような電子線の電流変動は、
電子顕微鏡または電子線ホログラフィ装置の分析精度や
電子線描画装置の回路形成性能に大きな影響を及ぼす。
例えば走査型電子顕微鏡では、少しずつ平行にずらしな
がら電子線を試料に照射するため、電子線の電流変動は
観察画像の濃淡のムラとなって現れる。そこで、電子線
の電流変動をなるべく小さく抑える必要がある。
【0009】本発明の目的は、輝度が高く、電流変動が
小さい電子線を放射する電界放射型電子銃を提供するこ
とにある。
【0010】本発明の他の目的は、電界放射型電子銃を
利用する電子線装置に、輝度が高く、電流変動が小さい
電子線を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、電子銃室と、電子銃室に内装されて電
子線を放射する電界放射陰極と、前記電子銃室に電子銃
室排気管を介して接続された真空ポンプと、を含んでな
る電界放射型電子銃において、前記電子銃室に気体を放
出する手段と、電子線電流を検出する検出手段と、検出
された電子線電流の直流成分Aに対する交流成分Bの割
合B/Aを演算する演算手段と、該割合B/Aが一定値
を超えるとき、前記気体を放出する手段に気体放出を命
令する制御手段とを設けたことを特徴とする。
【0012】放出される気体の分子量は、10以上50
以下にするのが望ましい。
【0013】電子銃室に気体を放出する手段は、電子銃
室排気管もしくは電子銃室内に設けた発熱体とこの発熱
体に電力を供給する電源の組合せで構成してもよいし、
電子銃室排気管もしくは電子銃室内に、外部に設けた気
体貯蔵容器から気体を導入するように構成したものでも
よい。
【0014】上述のような電界放射型電子銃を電子顕微
鏡や電子線描画装置、電子線ホログラフィー装置の電子
線源として利用することにより、品質のいい電子線を利
用することができる。
【0015】
【作用】電子線電流の変動量が所定の値を超えると、電
子銃室に気体が放出され、それら気体による分圧が上昇
する。電子銃室に放出された気体の分圧が上昇すると、
それら高い分圧を占める気体の分子の電界放射陰極表面
への吸着量が増加する。電界放射陰極表面に吸着した分
子は、H2分子より分子量が大きいため電界放射陰極表
面での拡散が遅い。このため、陰極表面の電界放射領域
の仕事関数の変化の頻度が小さくなり、電子線の電流変
動が小さくなる。
【0016】また、電子線電流に対する演算と気体導入
の命令を連動させることにより、電子銃の操作者の負担
を減らすことが出来る。
【0017】さらに、吸着する分子は、分子量が10以
上50以下なので、電界放射陰極表面での拡散が遅く、
かつフラッシングによる電界放射陰極表面からの除去が
容易、という2つの相反する条件を満たす。
【0018】
【実施例】本発明の実施例を、図面を用いて以下に説明
する。上述のごとく、本発明はH2分子より分子量が大
きな気体を導入する手段と、電界放射陰極のフラッシン
グと電子放射を制御する電子回路とを組み合わせた電界
放射型電子銃に関するものである。
【0019】図1に本発明に基づく第1の実施例を、電
子顕微鏡を例にして示す。図示の電子銃は、内部に電子
銃室1を形成する電子銃室ケーシング1Aと、この電子
銃室ケーシング1Aから突出し一方の端にフランジ40
Aを備えた電子銃室排気管40と、前記フランジ40A
にフランジ30Aで結合されたイオンポンプ30と、電
子銃室ケーシング1Aの開口に気密に固定された絶縁支
持具4と、この絶縁支持具4の電子銃室1に面する部分
に陰極支持線3によって固定された電界放射陰極2と、
この電界放射陰極2に対向する位置の電子銃室ケーシン
グ1Aの壁面(隔壁21)に形成された小孔22と、こ
の小孔22と電界放射陰極2を結ぶ線の延長線上に配置
された絞り23と、前記電子銃室排気管40の壁面の開
口に気密に固定された絶縁支持具42と、この絶縁支持
具42の電子銃室排気管40内部部分に固定されたフィ
ラメント41と、このフィラメント41とイオンポンプ
30の間にフィラメント41を蔽うように設けられた遮
蔽手段である遮蔽板43と、前記フィラメント41に接
続されたフィラメント用電源44と、前記陰極支持線3
に接続されたフラッシング用電源10と、前記電界放射
陰極2に接続された高電圧電源11と、前記絞り23に
接続し電子線電流を検出する手段である電流計24と、
この電流計24に接続された演算手段である演算回路2
5と、前記フィラメント用電源44,高電圧電源11,
フラッシング用電源10及び演算回路25に接続された
制御手段である制御回路26と、を含んで構成されてい
る。
【0020】前記フィラメント41と、前記フィラメン
ト41に接続されたフィラメント用電源44とを含んで
電子銃室に気体を放出する手段が構成されている。
【0021】イオンポンプ30は、ポンプケーシングに
内装された円筒形の陽極31とこの陽極を両側から挟む
板状の陰極32からなるポンプ素子と、ポンプケーシン
グ外部に配置され前記ポンプ素子に対して磁場をかける
磁石33と、前記ポンプ素子に5〜7kVの高電圧を印
加する図示されていないイオンポンプ用高電圧電源と、
を含んで構成されている。
【0022】前記電界放射陰極は、例えばタングステン
単結晶線で、前記陰極支持線は、例えばタングステン多
結晶線である。電子銃室1は、小孔22のある隔壁21
によって電子顕微鏡の試料室20と隔てられている。隔
壁21および小孔22は、電界放射陰極2から広い角度
で放射される電子を細く絞ると同時に、電子銃室1と試
料室20との圧力差を維持する機能を担う。このため、
前記試料室20が10~6Pa程度の圧力でも、差動排気に
より前記電子銃室は10~8Pa程度の圧力に維持される。
【0023】電子銃室排気管40内に絶縁支持具42に
より固定されているフィラメント41は、例えばタング
ステン多結晶である。加熱されたフィラメント自身や、
輻射により加熱された近傍の部材からは、熱により励起
された気体が放出される。該気体は、遮蔽板43により
遮られて、そのほとんどが電子銃室1の方向に放出され
る試料室20中の絞り23には電流計24が接続されて
いて、電子線電流を測定する。該電子線電流には、直流
と交流の成分が含まれる。演算回路25では、電流計2
4から送りこまれる測定値に基づいて、電子線電流の直
流成分Aに対する交流成分Bの割合B/A、すなわち電
流変動の大きさを演算する。演算回路25は、得られた
電流変動の大きさを示す信号を、制御回路26へ出力す
る。該制御回路26は、電流変動の大きさに応じてフラ
ッシング用電源10、高電圧電源11、フィラメント用
電源44を制御する。
【0024】図2を用いて、本発明の電子放射手順の一
実施例を、電子顕微鏡を例にして説明する。顕微鏡観察
者の開始命令(100)に伴い、制御回路26は、電界
放射陰極2を固定している陰極支持線3に、フラッシン
グ用電源10から電力を供給しジュール熱により陰極支
持線3を発熱させ、高温になった陰極支持線3により電
界放射陰極2を加熱してフラッシングを行なう(10
1)。制御回路26は、同時に、記憶しているフィラメ
ント41への給電回数をクリアして0に戻す。フラッシ
ングにより清浄になった電界放射陰極2に高電圧電源1
1により数kVの負の高電圧を印加して電界放射により
電子を放射させる(102)。広い角度で放射される電
子は、隔壁21にある小孔22を通ることで細く絞られ
る。さらに試料室20にある絞り23で細く絞られる。
【0025】電子線の電流変動が予め設定された一定値
(閾値)以下かどうかが制御回路26で判断される(1
03)。電流変動が予め設定された一定値以下のときに
は、そのまま顕微鏡観察を開始する(106)。電流変
動の閾値は、観察像の濃淡ムラの程度を基にして予め決
めておく。もし、電子線の電流変動が一定値を越えると
きには、フィラメント41への給電が予め設定された一
定回数以下かどうかが制御回路26により判断される
(104)。最後にフラッシングを行ってからあとのフ
ィラメント給電回数が一定回数以下ならば、制御回路2
6からの制御信号により、フィラメント用電源44から
フィラメント41に一定時間電力を供給して、該フィラ
メント41を加熱する(105)。制御回路26は、記
憶しているフィラメント給電回数に1を加算する。加熱
されたフィラメント41自身や、輻射により加熱された
近傍の部材からは、熱により励起された気体が放出され
て電子銃室1に流れる。熱により励起されて放出される
気体の大部分はCH4,H2O,CO,CO2のようなH2
より分子量が大きな気体である。
【0026】なお、フィラメント給電回数に制限を設け
てあるのは次の理由による。すなわち、フィラメント給
電により、フィラメントから気体が放出され、電界放射
陰極2の表面に気体分子が吸着するが、フィラメント給
電がたび重なると、電界放射陰極2の表面に吸着してい
る気体分子の量も次第に累積されてくる。理想的には、
電界放射陰極2の表面に分子が1分子層程度吸着した状
態が好ましく、表面に吸着している気体分子の量が多過
ぎても、電界放射陰極2の性能が低下する。したがっ
て、フィラメント給電回数の多少によって気体分子の吸
着状況を判断し、フィラメント給電回数が設定された回
数より多い場合、フラッシングにより、電界放射陰極2
の表面に吸着している気体分子を追い出して表面を清浄
化するのである。
【0027】図3、図4に、気体放出に伴う電子銃から
の電子線の放射特性と電子銃室の真空特性に関する実験
結果の一例を示す。図3は、電子線電流を時間の関数と
して示す図で、縦軸は電子線電流、横軸は時間であり、
横軸上の番号#1から#3は、電子銃室への気体放出の
状態を示している。図4は、電子銃室のH2とH2以外の
気体の合計の、それぞれの分圧を時間の関数として示す
図で、縦軸は電子銃室の分圧、横軸は時間であり、横軸
上の番号#1から#3は図3と同様である。
【0028】気体放出前の状態(#1)では、図4に示
すように、電子銃室の気体の主成分はH2である。電子
放射に先立ち電界放射陰極をフラッシングする。フラッ
シングした直後には、陰極表面が清浄で仕事関数が小さ
いので、図3に示すように、電子線電流は大きい。しか
し、残留気体を吸着するに伴い、仕事関数が増加するの
で電子線電流は減少する。この初期減衰の後、陰極表面
に気体分子が1分子層程度吸着した状態で電子線の放射
特性が安定する。
【0029】初期減衰およびその後の安定状態でも、電
子線電流には周期の短い変動が含まれる。10~8Pa程度
の圧力では、変動の主な原因は、吸着気体分子の電界放
射陰極表面での拡散である。そこで、フィラメント41
に電力を供給する(#2)。この時フィラメント41は
充分加熱(例えば1300K)されるので、放出される
気体の大部分は、図4に示すように、CH4,H2O,C
O,CO2のようなH2より分子量が大きな気体である。
フィラメント41から放出された気体は、遮蔽板43に
より遮られてそのほとんどが電子銃室1の方向に放出さ
れる。このため、電子銃室1内の圧力が上昇するが、H
2の割合は低下し、H2よりも分子量が大きな気体が大部
分を占めるようになる。したがって陰極表面に吸着され
る分子も、H2よりも分子量が大きな気体が大部分を占
めるようになる。陰極表面に吸着した、H2分子より分
子量が大きい気体分子は、陰極表面での拡散が遅い。こ
のため、電界放射陰極表面の電界放射領域の仕事関数の
変化の頻度が小さくなり、図3に示すように、放射電流
の変動が小さくなる(#2)。
【0030】この後、フィラメント41への電力供給を
停止すると(#3)、フィラメント41からの気体放出
が停止するため、図4に示すように、電子銃室1内の気
体の主成分はH2となるが、陰極表面上にすでに分子量
の大きい気体の分子が吸着しているため、H2分子が吸
着する量が小さい。このため、図3に示すように、#2
の状態で得られた電子線放射特性の安定性が継続する。
【0031】以上述べた効果により、H2より分子量の
大きい気体を電子銃室に放出することにより、放出中及
び放出停止後も、電子銃から放射される電子線の電流変
動が減少し、電子線の高輝度化と安定化が可能となる。
【0032】ただし、図2に示すように、フィラメント
給電が一定回数を越えるときには(104)、電界放射
陰極のフラッシングが不充分であることを示しているの
で、電子放射を停止して手順101に戻り、フラッシン
グを行ったのち、そこからの手順を繰り返す。
【0033】また、顕微鏡観察中にも、制御回路26は
電子線の電流変動を監視して電子線電流の変動が設定さ
れた一定値を超えていないかどうかを判断し(10
7)、電流変動が一定値を超えるときには電子放射を停
止して顕微鏡観察を中断し、電界放射陰極2のフラッシ
ング(101)から始まる一連の動作を繰り返すように
する。
【0034】図5に本発明に基づく第2の実施例を、電
子顕微鏡を例にして示す。本実施例は、前記第1の実施
例の絶縁支持具42、フィラメント41、遮蔽板43及
びフィラメント電源44に代えて、気体貯蔵容器50
と、可変流量弁51とその駆動装置52と、可変流量弁
51を介して電子銃室排気管40の内部と前記気体貯蔵
容器50を接続する気体導入管53とを含んで構成され
る気体導入手段を設けたもので、他の構成は第1の実施
例と同様である。本実施例においては、気体導入手段が
電子銃室に気体を放出する手段をなしている。駆動装置
52は制御回路26に接続され、この制御回路26によ
り制御される。制御回路26は、所定のサンプリング間
隔で電子線電流に含まれる交流成分Bの直流成分Aに対
する割合を演算し、前記図2に示したフローチャートに
基づいて制御を行う。割合B/Aが設定された値を超え
た場合、制御回路26は駆動装置52に、定められた時
間だけ可変流量弁51を開くように命令し、駆動装置5
2はその命令を受けて可変流量弁51を開閉する。
【0035】気体貯蔵容器50には例えばCOが充填さ
れている。前記気体貯蔵容器50に充填された気体は、
可変流量弁51が開かれると気体導入管53を通して電
子銃室排気管40内に導入される。図5における他の残
りの要素は、図1に関連付けて述べられたものと同様の
機能を有する。これらの要素には、図1に図示したもの
と同じ符号を付与し、説明は省略されている。
【0036】本発明に基づく電界放射型電子銃について
の2つの実施例に係る前述の記述から、H2分子より大
きな分子量を持つ気体を電子銃室に放出することが可能
であることが明瞭である。もちろん、本発明の2つの好
ましい具体例が開示されたが、本発明の思想範囲内で上
記したものの改良や変形がありうることは理解されると
ころである。例えば、発熱体であるフィラメント41を
電子銃室に設けることが可能である。また、気体導入管
の開口部を電子銃室に設けることも可能である。さら
に、気体貯蔵容器に充填し、電子銃室に導入する気体は
COの他にCH4,H2O,N2,O2,CO2等の任意の
気体が可能である。但し、電子銃室に導入する気体は、
2より分子量が大きく、好ましくは分子量が10以上
であることが望ましいが、大きすぎるとフラッシングが
効果的に行われなくなるので、大きくても50以下であ
ることが望ましい。
【0037】なお、以上の説明では、電子顕微鏡を例に
とり説明したが、各種電子線装置へ応用することができ
る。例えば、電子線の干渉性を利用して、試料と電子線
の相互作用の分布を原子レベルで測定・観察する、電子
線ホログラフィー装置に適用できる。輝度が高く安定し
た電子線により、さらに高精度で微細なホログラフィー
が可能となる。さらに、半導体基板上に、電子線により
回路を形成する電子線描画装置にも適用できる。輝度が
高く安定した電子線により、精密な回路が描画可能とな
る。これらの電子線装置に本発明の電界放射型電子銃を
用いるとき、電子線電流の直流部分Aに対する交流部分
Bの割合B/Aが予め設定されたある値、例えば図2の
手順103における判断基準となる一定値(閾値)を下
回った場合、放射される電子線を遮断し、装置の使用
(データの採取)を一時中断して電流変動が減少したの
ち、装置の使用を再開するようにすると効果的である。
【0038】
【発明の効果】以上に述べたように本発明によれば、電
界放射陰極表面の電界放射領域の仕事関数の変化の頻度
を小さくすることで、輝度が高く、安定した電子線を放
射する電界放射型電子銃が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である電界放射型電子銃
の断面図である。
【図2】本発明の電子線放射手順の一実施例を示すフロ
ーチャートである。
【図3】図1に示す実施例の電子線電流の変化を時間の
関数として示す概念図である。
【図4】図1に示す実施例の電子銃室のH2と、H2以外
の気体の合計のそれぞれの分圧の変化を、時間の関数と
して示す概念図である。
【図5】本発明の第2の実施例である電界放射型電子銃
の断面図である。
【符号の説明】
1 電子銃室 1A 電子銃室ケ
ーシング 2 電界放射陰極 3 陰極支持線 4 絶縁支持具 10 フラッシン
グ用電源 11 高電圧電源 20 試料室 21 隔壁 22 小孔 23 絞り 24 電流計 25 演算回路 26 制御回路 30 イオンポンプ 30A フランジ 31 陽極 32 陰極 33 磁石 40 電子銃室排
気管 40A フランジ 41 フィラメン
ト 42 絶縁支持具 43 遮蔽板 44 フィラメント用電源 50 気体貯蔵容
器 51 可変流量弁 52 駆動装置 53 気体導入管。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 37/305 B 9508−2G H01L 21/027

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子銃室と、電子銃室に内装されて電子
    線を放射する電界放射陰極と、前記電子銃室に電子銃室
    排気管を介して接続された真空ポンプと、を含んでなる
    電界放射型電子銃において、前記電子銃室に気体を放出
    する手段と、電子線電流を検出する検出手段と、検出さ
    れた電子線電流の直流成分Aに対する交流成分Bの割合
    B/Aを演算する演算手段と、該割合B/Aが一定値を
    超えるとき、前記気体を放出する手段に気体放出を命令
    する制御手段とを設けたことを特徴とする電界放射型電
    子銃。
  2. 【請求項2】 放出される気体の分子量が10以上50
    以下であることを特徴とする請求項1に記載の電界放射
    型電子銃。
  3. 【請求項3】 放出される気体がCH4,H2O,CO,
    2,O2,CO2の内一つ以上を成分とする気体である
    ことを特徴とする請求項2記載の電界放射型電子銃。
  4. 【請求項4】 電子銃室に気体を放出する手段が、電子
    銃室と真空ポンプをつなぐ排気管内に設けられた発熱体
    と該発熱体に電力を供給して発熱させる電源を含んでな
    り、該発熱体は発熱によって気体分子を放出するもので
    あることを特徴とする請求項3に記載の電界放射型電子
    銃。
  5. 【請求項5】 電子銃室を排気する真空ポンプと前記発
    熱体との間に、気体の流れを遮蔽する遮蔽手段を設けた
    ことを特徴とする請求項4に記載の電界放射型電子銃。
  6. 【請求項6】 電子銃室に気体を放出する手段が、電子
    銃室内に設けられた発熱体と該発熱体に電力を供給する
    電源を含んでなり、該発熱体は発熱によって気体分子を
    放出するものであることを特徴とする請求項3に記載の
    電界放射型電子銃。
  7. 【請求項7】 電子銃室に気体を放出する手段が、気体
    貯蔵容器と、可変流量弁と、該可変流量弁を介して前記
    気体貯蔵容器と電子銃室を連通する気体導入管を含んで
    構成される気体導入手段であることを特徴とする請求項
    3に記載の電界放射型電子銃。
  8. 【請求項8】 電界放射陰極の加熱処理後に電子線を放
    射する手順を含んでなる電界放射型電子銃の制御方法に
    おいて、電界放射陰極の加熱処理後の電子線電流を所定
    のサンプリング間隔で検出し、電子線電流の直流成分A
    に対する交流成分Bの割合B/Aが所定の値を超えると
    き、電子銃室への気体放出を命令することを特徴とする
    電界放射型電子銃の制御方法。
  9. 【請求項9】 電界放射型電子銃の定常運転中に、電子
    線電流を検出し、検出された電子線電流の直流成分Aに
    対する交流成分Bの割合B/Aが所定の値を超えると
    き、電子銃室への気体放出を命令することを特徴とする
    電界放射型電子銃の制御方法。
  10. 【請求項10】 電子銃室への気体放出の命令が、予め
    定められた一定時間の間だけ維持されることを特徴とす
    る請求項8または9に記載の電界放射型電子銃の制御方
    法。
  11. 【請求項11】 電界放射陰極を内装した電子銃室と、
    前記電界放射陰極の加熱処理を行う手段と、電子銃室に
    気体を放出する手段と、該気体を放出する手段に気体放
    出を命令する制御手段とを含んでなる電界放射型電子銃
    を制御する方法において、前回電界放射陰極の加熱処理
    を行ってからのちの気体導入を命令する制御手段の命令
    回数が所定回数を超えるとき、電子線放射を停止し、電
    界放射陰極の加熱処理を行うことを特徴とする電界放射
    型電子銃の制御方法。
  12. 【請求項12】 電子線源として請求項1記載の電界放
    射型電子銃を用い、電子線電流の直流成分Aに対する交
    流成分Bの割合B/Aが一定値未満のときに、電界放射
    陰極から放射された電子線を使用することを特徴とする
    電子線装置。
  13. 【請求項13】 電子線源として請求項1記載の電界放
    射型電子銃を用い、電子線電流の直流成分Aに対する交
    流成分Bの割合B/Aが一定値未満のときに、試料に電
    子線が照射されることを特徴とする電子顕微鏡。
  14. 【請求項14】 電子線源として請求項1記載の電界放
    射型電子銃を用い、電子線電流の直流成分Aに対する交
    流成分Bの割合B/Aが一定値未満のときに、ホログラ
    ム作成を行うことを特徴とする電子線ホログラフィ装
    置。
  15. 【請求項15】 電子線源として請求項1記載の電界放
    射型電子銃を用い、電子線電流の直流成分Aに対する交
    流成分Bの割合B/Aが一定値未満のときに、電子線描
    画を行うことを特徴とする電子線描画装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6239538B1 (en) 1997-09-17 2001-05-29 Nec Corporation Field emitter
JP2012028282A (ja) * 2010-07-28 2012-02-09 Hitachi High-Technologies Corp 透過型および走査透過型電子顕微鏡
WO2015053300A1 (ja) * 2013-10-10 2015-04-16 株式会社日立ハイテクノロジーズ 電子顕微鏡

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