JP3714810B2 - 電子線装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線装置に係り、特に走査電子顕微鏡や電子線描画装置に用いるに好適な電界放出型電子銃を備えた電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電界放出型電子銃は、従来のヘアピン形熱電子銃に比較して極めて高輝度かつ小さい電子源を有するため、電子顕微鏡や電子線描画装置等の電子線装置に用いるとその性能は飛躍的に向上する。特に最近は、走査形電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以下SEMと略す)の電子銃に用いられ、超高分解能SEMとして威力を発揮している。
図7は、従来のショットキーエミッション(Schottky Emission)タイプの電界放出型電子銃を備えた粒子線装置の電子銃部1と電磁レンズ部2の概略構成図である。電子銃部1は、電子銃室3と、高圧導入碍子4及び各電極とイオンポンプIP1等から成る。
【0003】
ショットキーエミッションタイプの電界放出型電子銃は、主として針状陰極(チップ)6、サプレッサ電極7、第1陽極8、第2陽極9等より成る。針状陰極6と第1陽極8間には、引出し電圧V1を印加し、この電界により針状陰極6から電子11を放出せしめる。これら電子11の一部は第1陽極孔12を通過し、針状陰極6と第2陽極9との間に印加された加速電圧V0によって加速される。なお、第2陽極9はアースEと同電位になっている。また、サプレッサ電極7は、針状陰極6のフィラメントを加熱電源Vfで加熱することによって放出される不要な熱電子を抑制するための電極である。これに負のサプレッサ電圧Vsが印加される。
【0004】
加速電圧V0により加速された電子は、第1陽極8と第2陽極9により形成される静電レンズ作用により第2陽極孔17を通過して下方に収束される電子ビーム18となる。この電子ビーム18は、一般には静電レンズ下方に付設された電磁レンズ19により、所望の位置に焦点を結ぶように構成される。
このような構成において、電子銃室3は、通常、イオンポンプIP1で10-7Pa以下の真空度(圧力)に維持される。また、電磁レンズ部2の電磁レンズ室20は、イオンポンプIP2で10-6Pa以下の真空度(圧力)に維持されている。なお、電子銃部1のイオンポンプは1台に限らず、複数台設けられている場合もあるが、ここでは1台のみで構成されている場合を例にとり説明する。
【0005】
さて、これらの真空度を維持するためには、最終的に到達真空度を得る排気過程で、ベーキング用電源22,23と加熱ヒータ24,25等により電子銃室3、電磁レンズ室20及び各イオンポンプIP1,IP2の加熱脱ガス(ベーキング)が行われる。
従来技術では、このベーキングは電子銃室3、電磁レンズ室20及び各イオンポンプIP1,IP2とも同時に行っていた。ところが、ベーキングを終了して数日経つと、電磁レンズ部2の真空度は次第に悪くなり、そのまま放置したり、室温が高くなると、2桁以上も悪くなることがある。これは、電子銃部1が放出ガスのできるだけ少ない超高真空用部材で構成されているのに対し、電磁レンズ部2は、必ずしもすべて超高真空用部材を使用している訳ではないことによる。例えば、電磁レンズ下方のエアーロック装置26にはOリング27を使用するなど、機能性やコストも配慮した構成部材を使用している。また、これらの構成部材からの放出ガスだけでなく、エアーロック装置26下方より流入してくるガスも加わるので、電磁レンズ室20の真空劣化は電子銃室3よりずっと早くなる。
【0006】
電磁レンズ室20の真空が劣化すると差動排気のバランスが崩れ、電子銃室3にも影響を与える。例えば、針状陰極6の表面にガスが吸着して電子銃の輝度の低下や電子ビームが不安定になる原因となる。あるいは、電子ビームを出している間に高圧放電を生じ、針状陰極6が破損する原因ともなる。さらに、電磁レンズ室20の真空劣化によりイオンポンプIP2からのイオンの散乱が増大し、電磁レンズ下方の試料室にまで侵入して、SEM像にノイズを発生させる原因となることがある。このため、従来技術では、電磁レンズ部2の真空度がある所定の値、例えば7×10-5Paより悪くなったら、電子銃部1と電磁レンズ部2を同時にベーキングし、真空度を回復させていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、電子銃部と電磁レンズ部を同時にベーキングする方法では、いったん電子銃からの電子ビーム出しを中断しなければならない。ショットキーエミッションタイプの電子銃の場合は、電子ビーム出しを中断すると、再度の電子ビーム出しの際、安定するのに長時間を要する場合がある。また、陰極を加熱しない、いわゆるコールドエミッション(冷陰極)タイプの電界放出型電子銃では、ベーキング後に陽極表面からの放出ガスを徹底的に枯渇させないとチップノイズや電子ビームの経時変化が大きくなるといった難点がある。いずれの場合も、電子銃部と電磁レンズ部を同時にベーキングすることによる時間的なロスは非常に大きいという問題があった。
【0008】
本発明の目的の一つは、上記した従来技術の欠点を無くし、効率よく電磁レンズ室の真空度を回復させるための手段と方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、長時間安定に動作する電界放出型電子銃を備えた電子線装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明では、電界放出型電子銃とその下方の電磁レンズ部とを真空的に仕切るための手段を設ける。この仕切り手段は、電子銃と電磁レンズの光軸に対して随時移動可能となるよう構成する。仕切り手段は、少なくとも1個の絞り孔を有する絞りを兼備したり、電子銃からの電子ビームを検出できる構成とし、電子流検出器としての機能も付加することができる。これにより、従来長時間かかっていた電子線装置全体のベーキング時間を短縮し、効率化するとともに、電磁レンズ室の真空度劣化に伴うノイズ混入や、電子ビームが不安定になる現象を防止し、S/Nのよい走査像が得られるようにすることができる。
【0010】
すなわち、本発明の電子線装置は、電界放出型電子銃を収容する電子銃室と、その下方に設けられた電磁レンズを収容する電磁レンズ室と、電子銃室を真空排気する第1のイオンポンプと、電磁レンズ室を真空排気する第2のイオンポンプと、電子銃室及び第1のイオンポンプを加熱脱ガスする手段と、電磁レンズ室及び第2のイオンポンプを加熱脱ガスする手段とを備えた電子線装置において、電子銃室と電磁レンズ室との間を真空的に仕切る仕切り手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
仕切り手段は、少なくとも1個の絞り孔を兼ね備えることができ、また、電子銃からの電子流を検出する手段を兼ね備えることができる。仕切り手段は、真空外より電子線の光軸を横切る方向の複数位置に移動可能とするのが好ましい。前記複数位置は、封止位置、絞り位置等に対応する。
また、電磁レンズ室のイオンポンプ側にイオンポンプからのイオンを遮蔽する手段を設けることができる。このイオン遮蔽手段は、イオンポンプの排気コンダクタンスをあまり低下させることなくイオンポンプからの浮遊イオンを遮蔽することができるものであり、真空状態が良いときにはイオンポンプの排気コンダクタンスが最大となる位置に退避可能なように可動に取り付けられているのが好ましい。
【0012】
本発明による電子線装置の脱ガス方法は、電界放出型電子銃を収容する電子銃室と、その下方に設けられた電磁レンズを収容する電磁レンズ室と、電子銃室を真空排気する第1のイオンポンプと、電磁レンズ室を真空排気する第2のイオンポンプと、第2のイオンポンプを加熱脱ガスする手段とを備えた電子線装置の脱ガス方法において、電子銃室と電磁レンズ室との間を真空的に仕切り、電子銃室とは独立に第2のイオンポンプを加熱脱ガスすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、電界放出型電子銃から放出された電子線をイオンポンプで真空排気された空間を通して試料に照射する際のイオンポンプからの浮遊イオンの影響を検出する方法において、イオンポンプの吸入側に設けられたイオン遮蔽手段によるイオン遮蔽能力を変化させたとき試料に流れる試料電流の変動を検出することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳述する。以下の図において、図7と同一部材を意味する部分には、図7と同一の番号を付して示す。
図1は、本発明による電子線装置の一実施の形態を示す構成概略図である。図1において、針状陰極6、第1陽極8など、電子銃室3の内部の構成部材は図7に示した従来技術と同じであるが、本実施の形態では、電子銃部1と電磁レンズ部2の間を真空的に仕切ることのできる仕切り装置28を設けている。仕切り装置28は、電子銃室3の下面(すなわち電磁レンズ19の上面)に位置し、電子銃室3の下面をスライドして電子銃と電磁レンズの中心軸すなわち光軸上に真空外部からセットできるようになっている。この仕切り装置28の先端部の仕切り板29は、光軸の開口部30をふさぐ形で電子銃下面側と接触し、開口部30の排気コンダクタンスが実質的にほとんど無視できるくらいに小さくなるよう作用する(必ずしも完全に真空的に遮断されていなくてもよい)。
【0015】
仕切り装置28で電子銃室3と電磁レンズ室20の間の開口部30をふさぐ位置に移動することにより、電磁レンズ部2のイオンポンプIP2をベーキング電源23でベーキングをした際、電磁レンズ室20の真空度が悪化しても電子銃室3へはほとんど影響を与えないようにすることができ、電子銃室3は電子ビームを出したまま、安定に維持することができる。また、仕切り板29は、十分脱ガスされた部材を使用することで、電子ビーム照射を受けても、放出ガスによる電子銃室3への影響はほとんどないようにすることができる。
【0016】
なお、イオンポンプIP1とイオンポンプIP2との間の熱遮蔽板31は、イオンポンプIP2のみを単独でベーキングした場合に、イオンポンプIP1側へ熱が伝わってイオンポンプIP1の真空度が悪くなるのを防ぐためのものである。イオンポンプIP1とイオンポンプIP2の間が十分離れていて熱伝導を無視できるならば、この熱遮蔽板31はなくてもよい。
【0017】
イオンポンプIP1とイオンポンプIP2の各々の真空度が所定の範囲内に達していれば、仕切り装置28を光軸上から離し、電子ビーム18が電磁レンズ19の下方に届くようにする。SEM像を観察する場合は、エアーロック装置26を開け、その下方の対物レンズ32で試料室33に置かれた試料34の上に電子ビーム18をフォーカスさせる。このフォーカスされた電子ビームを偏向コイル35と走査電源36により試料面上で走査するとともに、試料34から発生した2次電子37などの信号を電子信号検出器38で検出し、信号増幅器39で増幅する。この信号を映像信号として陰極線管(Cathode Ray Tube、以下CRTと略す)40に送り、CRT40上でSEM像として観察する。
【0018】
図2は、上述した実施の形態におけるベーキング処理のフローチャートである。まず、仕切り装置28を光軸上にセットする(S11)。この仕切り装置28のセッティングは真空外部から手動で行ってもよいし、あるいは自動的にセットできるようになっていてもよい。この操作により、光軸の開口部30を仕切り装置28で真空的に遮断し、開口部30の排気コンダクタンスが実質上ほとんど無視できるくらいに小さくなるようにする(S12)。次に、電磁レンズ部2のイオンポンプIP2をベーキング電源23でベーキング開始する(S13)。ベーキング時間はタイマー等により適宜設定することができる。こうして、イオンポンプIP2のベーキングが行われる(S14)。このとき、イオンポンプIP2の真空度はベーキングにより悪くなるが、ある時点で平衡に達する。その後、イオンポンプIP2のベーキングを終了する(S15)。ベーキング終了時点は前述のようにタイマーで決定してもよいし、あるいは真空度の変化や平衡点を検出して終了するようにしてもよい。続いて、イオンポンプIP2の冷却を待つ(S16)。
【0019】
次に、イオンポンプIP2が所定の真空度に達しているか否かを判定する(S17)。ステップ17の判定がNOの場合には、再びステップ13に戻ってイオンポンプIP2をベーキングする。ステップ17の判定がYESの場合には次に進んで、仕切り装置28を光軸上から離す(S18)。これによって、電子ビーム18が電磁レンズ19の下方に届くようになる。次に、エアーロック装置26を開けてベーキング処理を完了する(S19)。この後は、SEM像観察のための操作に移ることになる。
【0020】
図3は、本発明による電子線装置の他の実施の形態を示す構成概略図である。本実施の形態では、図1で示した仕切り装置28の機能の他に、仕切り板29の先端に少なくとも1個の絞り孔を有する薄膜上の絞り41を付加している。これにより、電子銃からの電子ビームを制限し、散乱電子を少なくすることができるようになる。また、仕切り板29には、電子銃からの電子ビームを受ける穴(ファラデーカップ用の穴)が設けられており、大気圧側で電流計42及びアースEに接続して電流量を測定できるようになっている。
【0021】
電磁レンズ室20のイオンポンプIP2側に設けられている回転可能な遮蔽板43は、イオンポンプIP2からの+イオン44や−イオン45を遮蔽するためのものである。電磁レンズ室20の真空度が悪化すると、イオンポンプIP2からのイオンが増大し、浮遊イオンの散乱により一部は試料室33にも到達して、SEM像のS/N(信号対ノイズの比)を低下させたり、電子ビーム照射時の雑音の原因となる。例えば、排気能力20L/sのイオンポンプIP2の真空度が通常使用時5×10-6Paで、真空悪化により7×10-5Paになったとすると、市販されているイオンポンプにより多少異なるが、イオンポンプIP2内のイオン電流は約20倍以上も増大する。これらのイオンの一部が、散乱により試料34や電子信号検出器38に到達すると、S/Nを著しく低下させたり、SEM像では不規則なスジ状のノイズになることがある。
【0022】
このような場合、前記仕切り装置28で電子銃直下の電子流を検出するとともに、試料34上での照射電流または吸収電流を試料電流計46で検出して、各々の変動分を比較することによりイオンポンプIP2からの浮遊イオンの影響を判断することができる。イオンポンプIP2からのイオンの影響が認められれば、前記遮蔽板43をイオンの影響が少なくなるように回転する。この回転は、大気圧側から手動で行ってもよいし、あるいは真空側で電磁的に制御できるようになっていてもよい。もしそれでもイオンの影響が大きければ、イオンポンプIP2のベーキングを行うとともに、前記仕切り装置28を光軸上にセットして電子銃室3と電磁レンズ室20の間を真空的に遮断する。ただし、前述したように、電子銃室3と電磁レンズ室20は完全に遮断されていなくてもよい。
【0023】
遮蔽板43は次のような使用法で、イオンポンプIP2からの浮遊イオンの影響を検出するために用いることもできる。すなわち、遮蔽板43をイオンポンプIP2からの浮遊イオンを遮蔽できる位置(閉位置)と遮蔽できない位置(開位置)に交互に移動し(イオン遮蔽能力を変化させ)、そのとき試料電流計46に流れる試料電流の変化を観察する。遮蔽板43が閉位置にあるときと開位置にあるときとで試料電流が変化するということは、イオンポンプIP2からの浮遊イオンが試料像に影響を与えていることを意味し、この情報はイオンポンプIP2をベーキングする時期を決定するための判断材料として利用することができる。
【0024】
電磁レンズ部2の真空度の悪化は、試料室33からのガス流入、電磁レンズ室20内の構成部材の放出ガス、Oリングを使用している場合はOリングからの透過ガス、室温の上昇などによってもたらされるものであるが、実験によると大体数時間のベーキングで電磁レンズ室20を所定の真空度(例えば、5×10-6Pa以下)に復帰させることが可能である。電磁レンズ部2の真空度をできるだけ良くすることは、S/Nの改善にとって非常に重要である。本実施の形態では、イオンポンプIP2からのイオンを遮蔽するとともに、必要に応じてイオンポンプIP2のベーキングを効率的に実施し、ノイズの少ない試料照射電流を得ることができる。
【0025】
図4は、図3に示した仕切り装置28の部分をより詳しく説明するための構成概略図である。同図において電子銃下面の開口部30に設けられた受け部47に仕切り装置28の仕切り板29が相対し、両者の対向面にシール材48が接触している。シール材48は、例えば十分に脱ガスされたフッ素ゴムあるいはポリイミド樹脂等のOリング状のシール材であって、電気的絶縁と真空シールの役割を兼ねている。仕切り板29の内面は電子銃からの電子流を検出できるよう深穴があけられており、ファラデーカップとしての役割を持つ。また、仕切り板29の側面には少なくとも1個の孔を有する薄膜状の絞り板41とこれを保持する絞りホルダー49が取り付けられている。この反対側の側面には、絶縁軸棒50と移動軸棒51が接続されている。移動軸棒51にはベローズ52が溶接され、調整つまみ53により仕切り板29や絞り板41を光軸に対して移動可能なようになっている。
【0026】
また、仕切り板29や絞り板41で検出された電子流は、リード線54及び電流導入端子55を介して、大気圧側で電流計42に接続して測定できるようになっている。なお、仕切り装置28全体は電磁レンズ部2に取付け取外し可能になっている。
図5は、本実施の形態におけるベーキング処理の一例のフローチャートである。まず、イオンポンプIP2側の遮蔽板43を、イオンポンプIP2からのイオンを遮蔽する位置と遮蔽しない位置とに回転させる(S21)。この状態で、試料電流計46で試料電流の変動を測定し、イオンポンプIP2からのイオンの影響をチェックする(S22)。次に、ステップ22で測定された試料電流計46の変動分が仕切り装置28の絞り41で検出される電流の変動分より大きいかどうか判定する(S23)。変動分は、各々の検出電流の変動率で比較するとよい。遮蔽板43を回転させたときの試料電流計46の変動分が仕切り装置28の絞り41で検出される電流の変動分より小さいときは、イオンポンプIP2からのイオンの影響が小さいと判断されるので処理を終了する。
【0027】
試料電流計46の変動分が仕切り装置28の絞り41で検出される変動分より大きいときは、次のステップ24に進み、図2のステップ13〜ステップ19までの処理を実行し、イオンポンプIP2をベーキングする。図5に示した処理が終了した後、SEM像観察のための操作に移る。
図6は、本発明による電子線装置の他の実施の形態を示す構成概略図である。この実施の形態では、電子銃室3と電磁レンズ室20との間の差動排気を効率的に維持するために、電子銃の下方に中間室56設け、これにイオンポンプIP3、ベーキング用電源58、加熱ヒータ59等を取り付け、仕切り装置60もこの中間室に取付けた。仕切り装置60の構成は図4で示したものとほぼ同じであるが、本実施の形態では、中間室側の開口部61で仕切り板62とシール材63がスライドし、重力に逆らわない形になるので、構造的には幾分単純化できる。
【0028】
なお、本発明は、ショットキーエミッションタイプの電子銃に限定されるものではなく、例えば、冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子線装置及びその類似装置にも適用できる。また、SEM用の電子線装置に限定されるものではなく、例えば、透過形電子顕微鏡、電子線描画装置や、走査トンネル顕微鏡、原子間力顕微鏡などとの複合形装置に使用される電子線装置にも適用しうる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電界放出型電子銃と電磁レンズ部を有する電子線装置において、効率良く電磁レンズ室の真空度を回復させる手段と方法を提供することができる。また、SEM像や照射電子線に混入するノイズを極力少なくする手段を提供することができる。さらに、長時間安定に動作する電界放出型電子銃を備えた電子線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子線装置の一実施の形態の構成概略図。
【図2】本発明によるベーキング処理の一例を示すフローチャート。
【図3】本発明による電子線装置の他の実施の形態の構成概略図。
【図4】図3に示した仕切り装置の部分の詳細図。
【図5】本発明によるベーキング処理の他の例を示すフローチャート。
【図6】本発明による電子線装置の他の実施の形態の構成概略図。
【図7】従来の電子線装置の概略構成図。
【符号の説明】
1…電子銃部、2…電磁レンズ部、3…電子銃室、4…高圧導入碍子、6…針状陰極(チップ)、7…サプレッサ電極、8…第1陽極、9…第2陽極、11…電子、12…第1陽極孔、17…第2陽極孔、18…電子ビーム、19…電磁レンズ、20…電磁レンズ室、22,23…ベーキング用電源、24,25…加熱ヒータ、26…エアーロック装置、27…Oリング、28…仕切り装置、29…仕切り板、30…開口部、31…熱遮蔽板、32…対物レンズ、33…試料室、34…試料、35…偏向コイル、36…走査電源、37…2次電子、38…電子信号検出器、39…信号増幅器、40…陰極線管(CRT)、41…絞り、42…電流計、43…遮蔽板、44…+イオン、45…−イオン、46…試料電流計、47…受け部、48…シール材、49…絞りホルダー、50…絶縁軸棒、51…移動軸棒、52…ベローズ、53…調整つまみ、54…リード線、55…電流導入端子、56…中間室、58…ベーキング用電源、59…加熱ヒータ、60…仕切り装置、61…開口部、62…仕切り板、63…シール材、E…アース、IP1,IP2,IP3…イオンポンプ、V1…引出し電圧、V0…加速電圧、Vf…フィラメント加熱電源、Vs…サプレッサ電圧

Claims (2)

  1. 電界放出型電子銃から放出された電子線をイオンポンプで真空排気された空間を通して試料に照射する際のイオンポンプからの浮遊イオンの影響を検出する方法において、
    前記イオンポンプの吸入側に設けられたイオン遮蔽手段によるイオン遮蔽能力を変化させたとき試料に流れる試料電流の変動を検出することを特徴とする方法。
  2. 電界放出型電子銃を収容する電子銃室と、
    その下方に設けられた電磁レンズを収容する電磁レンズ室と、
    前記電磁レンズ室を真空排気するイオンポンプと、
    前記電磁レンズ室のイオンポンプ側に設けられ、前記イオンポンプからのイオンを遮蔽する遮蔽手段と、
    前記電磁レンズ室の下方に設けられた試料室と、
    前記試料室に置かれた試料とアースの間に流れる試料電流を検出する試料電流計とを有し、
    前記遮蔽手段によるイオン遮蔽能力を変化させたとき、前記試料電流計に流れる試料電流の変動を検出することを特徴とする電子線装置。
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