JP2000195454A - 電子線装置 - Google Patents

電子線装置

Info

Publication number
JP2000195454A
JP2000195454A JP10373835A JP37383598A JP2000195454A JP 2000195454 A JP2000195454 A JP 2000195454A JP 10373835 A JP10373835 A JP 10373835A JP 37383598 A JP37383598 A JP 37383598A JP 2000195454 A JP2000195454 A JP 2000195454A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron gun
ion pump
chamber
electromagnetic lens
electron beam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10373835A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3714810B2 (ja
Inventor
Akimitsu Okura
昭光 大蔵
Masashi Kimura
政司 木村
Hirotaka Nonaka
裕貴 野中
Takeshi Kogashiwa
剛 小柏
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Hitachi Science Systems Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Science Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd, Hitachi Science Systems Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP37383598A priority Critical patent/JP3714810B2/ja
Publication of JP2000195454A publication Critical patent/JP2000195454A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3714810B2 publication Critical patent/JP3714810B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間安定に動作する電界放出型電子銃を備
えた電子線装置を提供する。 【解決手段】 電子銃室1とその下方の電磁レンズ部2
を真空的に仕切るための仕切り板29を設ける。仕切り
板29は、電子銃と電磁レンズの光軸に対して随時移動
可能とする。これにより、従来長時間かかっていた粒子
線装置全体のベーキング時間を短縮し、効率化するとと
もに、電磁レンズ室の真空度劣化に伴うノイズ混入や電
子ビームの不安定を防止し、S/Nのよい走査像を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線装置に係
り、特に走査電子顕微鏡や電子線描画装置に用いるに好
適な電界放出型電子銃を備えた電子線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電界放出型電子銃は、従来のヘアピン形
熱電子銃に比較して極めて高輝度かつ小さい電子源を有
するため、電子顕微鏡や電子線描画装置等の電子線装置
に用いるとその性能は飛躍的に向上する。特に最近は、
走査形電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、以
下SEMと略す)の電子銃に用いられ、超高分解能SE
Mとして威力を発揮している。図7は、従来のショット
キーエミッション(Schottky Emission)タイプの電界
放出型電子銃を備えた粒子線装置の電子銃部1と電磁レ
ンズ部2の概略構成図である。電子銃部1は、電子銃室
3と、高圧導入碍子4及び各電極とイオンポンプIP1
等から成る。
【0003】ショットキーエミッションタイプの電界放
出型電子銃は、主として針状陰極(チップ)6、サプレ
ッサ電極7、第1陽極8、第2陽極9等より成る。針状
陰極6と第1陽極8間には、引出し電圧V1を印加し、
この電界により針状陰極6から電子11を放出せしめ
る。これら電子11の一部は第1陽極孔12を通過し、
針状陰極6と第2陽極9との間に印加された加速電圧V
0によって加速される。なお、第2陽極9はアースEと
同電位になっている。また、サプレッサ電極7は、針状
陰極6のフィラメントを加熱電源Vfで加熱することに
よって放出される不要な熱電子を抑制するための電極で
ある。これに負のサプレッサ電圧Vsが印加される。
【0004】加速電圧V0により加速された電子は、第
1陽極8と第2陽極9により形成される静電レンズ作用
により第2陽極孔17を通過して下方に収束される電子
ビーム18となる。この電子ビーム18は、一般には静
電レンズ下方に付設された電磁レンズ19により、所望
の位置に焦点を結ぶように構成される。このような構成
において、電子銃室3は、通常、イオンポンプIP1で
10-7Pa以下の真空度(圧力)に維持される。また、
電磁レンズ部2の電磁レンズ室20は、イオンポンプI
P2で10-6Pa以下の真空度(圧力)に維持されてい
る。なお、電子銃部1のイオンポンプは1台に限らず、
複数台設けられている場合もあるが、ここでは1台のみ
で構成されている場合を例にとり説明する。
【0005】さて、これらの真空度を維持するために
は、最終的に到達真空度を得る排気過程で、ベーキング
用電源22,23と加熱ヒータ24,25等により電子
銃室3、電磁レンズ室20及び各イオンポンプIP1,
IP2の加熱脱ガス(ベーキング)が行われる。従来技
術では、このベーキングは電子銃室3、電磁レンズ室2
0及び各イオンポンプIP1,IP2とも同時に行って
いた。ところが、ベーキングを終了して数日経つと、電
磁レンズ部2の真空度は次第に悪くなり、そのまま放置
したり、室温が高くなると、2桁以上も悪くなることが
ある。これは、電子銃部1が放出ガスのできるだけ少な
い超高真空用部材で構成されているのに対し、電磁レン
ズ部2は、必ずしもすべて超高真空用部材を使用してい
る訳ではないことによる。例えば、電磁レンズ下方のエ
アーロック装置26にはOリング27を使用するなど、
機能性やコストも配慮した構成部材を使用している。ま
た、これらの構成部材からの放出ガスだけでなく、エア
ーロック装置26下方より流入してくるガスも加わるの
で、電磁レンズ室20の真空劣化は電子銃室3よりずっ
と早くなる。
【0006】電磁レンズ室20の真空が劣化すると差動
排気のバランスが崩れ、電子銃室3にも影響を与える。
例えば、針状陰極6の表面にガスが吸着して電子銃の輝
度の低下や電子ビームが不安定になる原因となる。ある
いは、電子ビームを出している間に高圧放電を生じ、針
状陰極6が破損する原因ともなる。さらに、電磁レンズ
室20の真空劣化によりイオンポンプIP2からのイオ
ンの散乱が増大し、電磁レンズ下方の試料室にまで侵入
して、SEM像にノイズを発生させる原因となることが
ある。このため、従来技術では、電磁レンズ部2の真空
度がある所定の値、例えば7×10-5Paより悪くなっ
たら、電子銃部1と電磁レンズ部2を同時にベーキング
し、真空度を回復させていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、電子銃部と
電磁レンズ部を同時にベーキングする方法では、いった
ん電子銃からの電子ビーム出しを中断しなければならな
い。ショットキーエミッションタイプの電子銃の場合
は、電子ビーム出しを中断すると、再度の電子ビーム出
しの際、安定するのに長時間を要する場合がある。ま
た、陰極を加熱しない、いわゆるコールドエミッション
(冷陰極)タイプの電界放出型電子銃では、ベーキング
後に陽極表面からの放出ガスを徹底的に枯渇させないと
チップノイズや電子ビームの経時変化が大きくなるとい
った難点がある。いずれの場合も、電子銃部と電磁レン
ズ部を同時にベーキングすることによる時間的なロスは
非常に大きいという問題があった。
【0008】本発明の目的の一つは、上記した従来技術
の欠点を無くし、効率よく電磁レンズ室の真空度を回復
させるための手段と方法を提供することにある。また、
本発明の他の目的は、長時間安定に動作する電界放出型
電子銃を備えた電子線装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明では、電界放出型電子銃とその下方の電
磁レンズ部とを真空的に仕切るための手段を設ける。こ
の仕切り手段は、電子銃と電磁レンズの光軸に対して随
時移動可能となるよう構成する。仕切り手段は、少なく
とも1個の絞り孔を有する絞りを兼備したり、電子銃か
らの電子ビームを検出できる構成とし、電子流検出器と
しての機能も付加することができる。これにより、従来
長時間かかっていた電子線装置全体のベーキング時間を
短縮し、効率化するとともに、電磁レンズ室の真空度劣
化に伴うノイズ混入や、電子ビームが不安定になる現象
を防止し、S/Nのよい走査像が得られるようにするこ
とができる。
【0010】すなわち、本発明の電子線装置は、電界放
出型電子銃を収容する電子銃室と、その下方に設けられ
た電磁レンズを収容する電磁レンズ室と、電子銃室を真
空排気する第1のイオンポンプと、電磁レンズ室を真空
排気する第2のイオンポンプと、電子銃室及び第1のイ
オンポンプを加熱脱ガスする手段と、電磁レンズ室及び
第2のイオンポンプを加熱脱ガスする手段とを備えた電
子線装置において、電子銃室と電磁レンズ室との間を真
空的に仕切る仕切り手段を設けたことを特徴とする。
【0011】仕切り手段は、少なくとも1個の絞り孔を
兼ね備えることができ、また、電子銃からの電子流を検
出する手段を兼ね備えることができる。仕切り手段は、
真空外より電子線の光軸を横切る方向の複数位置に移動
可能とするのが好ましい。前記複数位置は、封止位置、
絞り位置等に対応する。また、電磁レンズ室のイオンポ
ンプ側にイオンポンプからのイオンを遮蔽する手段を設
けることができる。このイオン遮蔽手段は、イオンポン
プの排気コンダクタンスをあまり低下させることなくイ
オンポンプからの浮遊イオンを遮蔽することができるも
のであり、真空状態が良いときにはイオンポンプの排気
コンダクタンスが最大となる位置に退避可能なように可
動に取り付けられているのが好ましい。
【0012】本発明による電子線装置の脱ガス方法は、
電界放出型電子銃を収容する電子銃室と、その下方に設
けられた電磁レンズを収容する電磁レンズ室と、電子銃
室を真空排気する第1のイオンポンプと、電磁レンズ室
を真空排気する第2のイオンポンプと、第2のイオンポ
ンプを加熱脱ガスする手段とを備えた電子線装置の脱ガ
ス方法において、電子銃室と電磁レンズ室との間を真空
的に仕切り、電子銃室とは独立に第2のイオンポンプを
加熱脱ガスすることを特徴とする。
【0013】また、本発明は、電界放出型電子銃から放
出された電子線をイオンポンプで真空排気された空間を
通して試料に照射する際のイオンポンプからの浮遊イオ
ンの影響を検出する方法において、イオンポンプの吸入
側に設けられたイオン遮蔽手段によるイオン遮蔽能力を
変化させたとき試料に流れる試料電流の変動を検出する
ことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳述する。以下の図において、図7と同一部
材を意味する部分には、図7と同一の番号を付して示
す。図1は、本発明による電子線装置の一実施の形態を
示す構成概略図である。図1において、針状陰極6、第
1陽極8など、電子銃室3の内部の構成部材は図7に示
した従来技術と同じであるが、本実施の形態では、電子
銃部1と電磁レンズ部2の間を真空的に仕切ることので
きる仕切り装置28を設けている。仕切り装置28は、
電子銃室3の下面(すなわち電磁レンズ19の上面)に
位置し、電子銃室3の下面をスライドして電子銃と電磁
レンズの中心軸すなわち光軸上に真空外部からセットで
きるようになっている。この仕切り装置28の先端部の
仕切り板29は、光軸の開口部30をふさぐ形で電子銃
下面側と接触し、開口部30の排気コンダクタンスが実
質的にほとんど無視できるくらいに小さくなるよう作用
する(必ずしも完全に真空的に遮断されていなくてもよ
い)。
【0015】仕切り装置28で電子銃室3と電磁レンズ
室20の間の開口部30をふさぐ位置に移動することに
より、電磁レンズ部2のイオンポンプIP2をベーキン
グ電源23でベーキングをした際、電磁レンズ室20の
真空度が悪化しても電子銃室3へはほとんど影響を与え
ないようにすることができ、電子銃室3は電子ビームを
出したまま、安定に維持することができる。また、仕切
り板29は、十分脱ガスされた部材を使用することで、
電子ビーム照射を受けても、放出ガスによる電子銃室3
への影響はほとんどないようにすることができる。
【0016】なお、イオンポンプIP1とイオンポンプ
IP2との間の熱遮蔽板31は、イオンポンプIP2の
みを単独でベーキングした場合に、イオンポンプIP1
側へ熱が伝わってイオンポンプIP1の真空度が悪くな
るのを防ぐためのものである。イオンポンプIP1とイ
オンポンプIP2の間が十分離れていて熱伝導を無視で
きるならば、この熱遮蔽板31はなくてもよい。
【0017】イオンポンプIP1とイオンポンプIP2
の各々の真空度が所定の範囲内に達していれば、仕切り
装置28を光軸上から離し、電子ビーム18が電磁レン
ズ19の下方に届くようにする。SEM像を観察する場
合は、エアーロック装置26を開け、その下方の対物レ
ンズ32で試料室33に置かれた試料34の上に電子ビ
ーム18をフォーカスさせる。このフォーカスされた電
子ビームを偏向コイル35と走査電源36により試料面
上で走査するとともに、試料34から発生した2次電子
37などの信号を電子信号検出器38で検出し、信号増
幅器39で増幅する。この信号を映像信号として陰極線
管(Cathode Ray Tube、以下CRTと略す)40に送
り、CRT40上でSEM像として観察する。
【0018】図2は、上述した実施の形態におけるベー
キング処理のフローチャートである。まず、仕切り装置
28を光軸上にセットする(S11)。この仕切り装置
28のセッティングは真空外部から手動で行ってもよい
し、あるいは自動的にセットできるようになっていても
よい。この操作により、光軸の開口部30を仕切り装置
28で真空的に遮断し、開口部30の排気コンダクタン
スが実質上ほとんど無視できるくらいに小さくなるよう
にする(S12)。次に、電磁レンズ部2のイオンポン
プIP2をベーキング電源23でベーキング開始する
(S13)。ベーキング時間はタイマー等により適宜設
定することができる。こうして、イオンポンプIP2の
ベーキングが行われる(S14)。このとき、イオンポ
ンプIP2の真空度はベーキングにより悪くなるが、あ
る時点で平衡に達する。その後、イオンポンプIP2の
ベーキングを終了する(S15)。ベーキング終了時点
は前述のようにタイマーで決定してもよいし、あるいは
真空度の変化や平衡点を検出して終了するようにしても
よい。続いて、イオンポンプIP2の冷却を待つ(S1
6)。
【0019】次に、イオンポンプIP2が所定の真空度
に達しているか否かを判定する(S17)。ステップ1
7の判定がNOの場合には、再びステップ13に戻って
イオンポンプIP2をベーキングする。ステップ17の
判定がYESの場合には次に進んで、仕切り装置28を
光軸上から離す(S18)。これによって、電子ビーム
18が電磁レンズ19の下方に届くようになる。次に、
エアーロック装置26を開けてベーキング処理を完了す
る(S19)。この後は、SEM像観察のための操作に
移ることになる。
【0020】図3は、本発明による電子線装置の他の実
施の形態を示す構成概略図である。本実施の形態では、
図1で示した仕切り装置28の機能の他に、仕切り板2
9の先端に少なくとも1個の絞り孔を有する薄膜上の絞
り41を付加している。これにより、電子銃からの電子
ビームを制限し、散乱電子を少なくすることができるよ
うになる。また、仕切り板29には、電子銃からの電子
ビームを受ける穴(ファラデーカップ用の穴)が設けら
れており、大気圧側で電流計42及びアースEに接続し
て電流量を測定できるようになっている。
【0021】電磁レンズ室20のイオンポンプIP2側
に設けられている回転可能な遮蔽板43は、イオンポン
プIP2からの+イオン44や−イオン45を遮蔽する
ためのものである。電磁レンズ室20の真空度が悪化す
ると、イオンポンプIP2からのイオンが増大し、浮遊
イオンの散乱により一部は試料室33にも到達して、S
EM像のS/N(信号対ノイズの比)を低下させたり、
電子ビーム照射時の雑音の原因となる。例えば、排気能
力20L/sのイオンポンプIP2の真空度が通常使用
時5×10-6Paで、真空悪化により7×10-5Paに
なったとすると、市販されているイオンポンプにより多
少異なるが、イオンポンプIP2内のイオン電流は約2
0倍以上も増大する。これらのイオンの一部が、散乱に
より試料34や電子信号検出器38に到達すると、S/
Nを著しく低下させたり、SEM像では不規則なスジ状
のノイズになることがある。
【0022】このような場合、前記仕切り装置28で電
子銃直下の電子流を検出するとともに、試料34上での
照射電流または吸収電流を試料電流計46で検出して、
各々の変動分を比較することによりイオンポンプIP2
からの浮遊イオンの影響を判断することができる。イオ
ンポンプIP2からのイオンの影響が認められれば、前
記遮蔽板43をイオンの影響が少なくなるように回転す
る。この回転は、大気圧側から手動で行ってもよいし、
あるいは真空側で電磁的に制御できるようになっていて
もよい。もしそれでもイオンの影響が大きければ、イオ
ンポンプIP2のベーキングを行うとともに、前記仕切
り装置28を光軸上にセットして電子銃室3と電磁レン
ズ室20の間を真空的に遮断する。ただし、前述したよ
うに、電子銃室3と電磁レンズ室20は完全に遮断され
ていなくてもよい。
【0023】遮蔽板43は次のような使用法で、イオン
ポンプIP2からの浮遊イオンの影響を検出するために
用いることもできる。すなわち、遮蔽板43をイオンポ
ンプIP2からの浮遊イオンを遮蔽できる位置(閉位
置)と遮蔽できない位置(開位置)に交互に移動し(イ
オン遮蔽能力を変化させ)、そのとき試料電流計46に
流れる試料電流の変化を観察する。遮蔽板43が閉位置
にあるときと開位置にあるときとで試料電流が変化する
ということは、イオンポンプIP2からの浮遊イオンが
試料像に影響を与えていることを意味し、この情報はイ
オンポンプIP2をベーキングする時期を決定するため
の判断材料として利用することができる。
【0024】電磁レンズ部2の真空度の悪化は、試料室
33からのガス流入、電磁レンズ室20内の構成部材の
放出ガス、Oリングを使用している場合はOリングから
の透過ガス、室温の上昇などによってもたらされるもの
であるが、実験によると大体数時間のベーキングで電磁
レンズ室20を所定の真空度(例えば、5×10-6Pa
以下)に復帰させることが可能である。電磁レンズ部2
の真空度をできるだけ良くすることは、S/Nの改善に
とって非常に重要である。本実施の形態では、イオンポ
ンプIP2からのイオンを遮蔽するとともに、必要に応
じてイオンポンプIP2のベーキングを効率的に実施
し、ノイズの少ない試料照射電流を得ることができる。
【0025】図4は、図3に示した仕切り装置28の部
分をより詳しく説明するための構成概略図である。同図
において電子銃下面の開口部30に設けられた受け部4
7に仕切り装置28の仕切り板29が相対し、両者の対
向面にシール材48が接触している。シール材48は、
例えば十分に脱ガスされたフッ素ゴムあるいはポリイミ
ド樹脂等のOリング状のシール材であって、電気的絶縁
と真空シールの役割を兼ねている。仕切り板29の内面
は電子銃からの電子流を検出できるよう深穴があけられ
ており、ファラデーカップとしての役割を持つ。また、
仕切り板29の側面には少なくとも1個の孔を有する薄
膜状の絞り板41とこれを保持する絞りホルダー49が
取り付けられている。この反対側の側面には、絶縁軸棒
50と移動軸棒51が接続されている。移動軸棒51に
はベローズ52が溶接され、調整つまみ53により仕切
り板29や絞り板41を光軸に対して移動可能なように
なっている。
【0026】また、仕切り板29や絞り板41で検出さ
れた電子流は、リード線54及び電流導入端子55を介
して、大気圧側で電流計42に接続して測定できるよう
になっている。なお、仕切り装置28全体は電磁レンズ
部2に取付け取外し可能になっている。図5は、本実施
の形態におけるベーキング処理の一例のフローチャート
である。まず、イオンポンプIP2側の遮蔽板43を、
イオンポンプIP2からのイオンを遮蔽する位置と遮蔽
しない位置とに回転させる(S21)。この状態で、試
料電流計46で試料電流の変動を測定し、イオンポンプ
IP2からのイオンの影響をチェックする(S22)。
次に、ステップ22で測定された試料電流計46の変動
分が仕切り装置28の絞り41で検出される電流の変動
分より大きいかどうか判定する(S23)。変動分は、
各々の検出電流の変動率で比較するとよい。遮蔽板43
を回転させたときの試料電流計46の変動分が仕切り装
置28の絞り41で検出される電流の変動分より小さい
ときは、イオンポンプIP2からのイオンの影響が小さ
いと判断されるので処理を終了する。
【0027】試料電流計46の変動分が仕切り装置28
の絞り41で検出される変動分より大きいときは、次の
ステップ24に進み、図2のステップ13〜ステップ1
9までの処理を実行し、イオンポンプIP2をベーキン
グする。図5に示した処理が終了した後、SEM像観察
のための操作に移る。図6は、本発明による電子線装置
の他の実施の形態を示す構成概略図である。この実施の
形態では、電子銃室3と電磁レンズ室20との間の差動
排気を効率的に維持するために、電子銃の下方に中間室
56設け、これにイオンポンプIP3、ベーキング用電
源58、加熱ヒータ59等を取り付け、仕切り装置60
もこの中間室に取付けた。仕切り装置60の構成は図4
で示したものとほぼ同じであるが、本実施の形態では、
中間室側の開口部61で仕切り板62とシール材63が
スライドし、重力に逆らわない形になるので、構造的に
は幾分単純化できる。
【0028】なお、本発明は、ショットキーエミッショ
ンタイプの電子銃に限定されるものではなく、例えば、
冷陰極電界放出型電子銃を備えた電子線装置及びその類
似装置にも適用できる。また、SEM用の電子線装置に
限定されるものではなく、例えば、透過形電子顕微鏡、
電子線描画装置や、走査トンネル顕微鏡、原子間力顕微
鏡などとの複合形装置に使用される電子線装置にも適用
しうる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電界放出型電子銃と電磁レンズ部を有する電子線装置に
おいて、効率良く電磁レンズ室の真空度を回復させる手
段と方法を提供することができる。また、SEM像や照
射電子線に混入するノイズを極力少なくする手段を提供
することができる。さらに、長時間安定に動作する電界
放出型電子銃を備えた電子線装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子線装置の一実施の形態の構成
概略図。
【図2】本発明によるベーキング処理の一例を示すフロ
ーチャート。
【図3】本発明による電子線装置の他の実施の形態の構
成概略図。
【図4】図3に示した仕切り装置の部分の詳細図。
【図5】本発明によるベーキング処理の他の例を示すフ
ローチャート。
【図6】本発明による電子線装置の他の実施の形態の構
成概略図。
【図7】従来の電子線装置の概略構成図。
【符号の説明】
1…電子銃部、2…電磁レンズ部、3…電子銃室、4…
高圧導入碍子、6…針状陰極(チップ)、7…サプレッ
サ電極、8…第1陽極、9…第2陽極、11…電子、1
2…第1陽極孔、17…第2陽極孔、18…電子ビー
ム、19…電磁レンズ、20…電磁レンズ室、22,2
3…ベーキング用電源、24,25…加熱ヒータ、26
…エアーロック装置、27…Oリング、28…仕切り装
置、29…仕切り板、30…開口部、31…熱遮蔽板、
32…対物レンズ、33…試料室、34…試料、35…
偏向コイル、36…走査電源、37…2次電子、38…
電子信号検出器、39…信号増幅器、40…陰極線管
(CRT)、41…絞り、42…電流計、43…遮蔽
板、44…+イオン、45…−イオン、46…試料電流
計、47…受け部、48…シール材、49…絞りホルダ
ー、50…絶縁軸棒、51…移動軸棒、52…ベロー
ズ、53…調整つまみ、54…リード線、55…電流導
入端子、56…中間室、58…ベーキング用電源、59
…加熱ヒータ、60…仕切り装置、61…開口部、62
…仕切り板、63…シール材、E…アース、IP1,I
P2,IP3…イオンポンプ、V1…引出し電圧、V0
加速電圧、Vf…フィラメント加熱電源、Vs…サプレ
ッサ電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 政司 茨城県ひたちなか市大字市毛1040番地 株 式会社日立サイエンスシステムズ内 (72)発明者 野中 裕貴 茨城県ひたちなか市大字市毛1040番地 株 式会社日立サイエンスシステムズ内 (72)発明者 小柏 剛 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器事業部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電界放出型電子銃を収容する電子銃室
    と、その下方に設けられた電磁レンズを収容する電磁レ
    ンズ室と、前記電子銃室を真空排気する第1のイオンポ
    ンプと、前記電磁レンズ室を真空排気する第2のイオン
    ポンプと、前記電子銃室及び前記第1のイオンポンプを
    加熱脱ガスする手段と、前記電磁レンズ室及び前記第2
    のイオンポンプを加熱脱ガスする手段とを備えた電子線
    装置において、 前記電子銃室と前記電磁レンズ室との間を真空的に仕切
    る仕切り手段を設けたことを特徴とする電子線装置。
  2. 【請求項2】 前記仕切り手段は、少なくとも1個の絞
    り孔を兼ね備えていることを特徴とする請求項1記載の
    電子線装置。
  3. 【請求項3】 前記仕切り手段は、電子銃からの電子流
    を検出する手段を兼ね備えていることを特徴とする請求
    項1又は2記載の電子線装置。
  4. 【請求項4】 前記仕切り手段は、電子線の光軸を横切
    る方向に移動可能であることを特徴とする請求項1,2
    又は3記載の電子線装置。
  5. 【請求項5】 前記電磁レンズ室のイオンポンプ側にイ
    オンポンプからのイオンを遮蔽する手段を設けたことを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の電子線装
    置。
  6. 【請求項6】 電界放出型電子銃を収容する電子銃室
    と、その下方に設けられた電磁レンズを収容する電磁レ
    ンズ室と、前記電子銃室を真空排気する第1のイオンポ
    ンプと、前記電磁レンズ室を真空排気する第2のイオン
    ポンプと、前記第2のイオンポンプを加熱脱ガスする手
    段とを備えた電子線装置の脱ガス方法において、 前記電子銃室と前記電磁レンズ室との間を真空的に仕切
    り、前記電子銃室とは独立に前記第2のイオンポンプを
    加熱脱ガスすることを特徴とする電子線装置の脱ガス方
    法。
  7. 【請求項7】 電界放出型電子銃から放出された電子線
    をイオンポンプで真空排気された空間を通して試料に照
    射する際のイオンポンプからの浮遊イオンの影響を検出
    する方法において、 前記イオンポンプの吸入側に設けられたイオン遮蔽手段
    によるイオン遮蔽能力を変化させたとき試料に流れる試
    料電流の変動を検出することを特徴とする方法。
JP37383598A 1998-12-28 1998-12-28 電子線装置 Expired - Fee Related JP3714810B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37383598A JP3714810B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 電子線装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37383598A JP3714810B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 電子線装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000195454A true JP2000195454A (ja) 2000-07-14
JP3714810B2 JP3714810B2 (ja) 2005-11-09

Family

ID=18502841

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37383598A Expired - Fee Related JP3714810B2 (ja) 1998-12-28 1998-12-28 電子線装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3714810B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006190578A (ja) * 2005-01-06 2006-07-20 National Institute For Materials Science 低真空走査型電子顕微鏡を用いた炭素系材料の微細加工方法とその装置
WO2011001611A1 (ja) * 2009-06-30 2011-01-06 株式会社 日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子銃及び荷電粒子線装置
JP2015018807A (ja) * 2013-07-08 2015-01-29 カール ツァイス マイクロスコーピー エルエルシー 荷電粒子ビームシステム及びその作動方法
US9530612B2 (en) 2013-07-08 2016-12-27 Carl Zeiss Microscopy, Llc Charged particle beam system and method of operating a charged particle beam system
KR101744482B1 (ko) * 2015-12-01 2017-06-08 한국표준과학연구원 연강재질의 초고진공 진공챔버를 구비한 전계방사형 전자총 및 이를 포함하는 전자현미경
US10128077B2 (en) 2015-10-20 2018-11-13 Korea Research Institute Of Standards And Science Electron microscope electron gun for facilitating position adjustment and electron microscope including same
JP2020038776A (ja) * 2018-09-03 2020-03-12 株式会社ニューフレアテクノロジー 荷電粒子装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103943437B (zh) * 2014-04-18 2017-01-04 北京大学 一种场发射电子源发射体尖端塑形装置及其塑形方法

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006190578A (ja) * 2005-01-06 2006-07-20 National Institute For Materials Science 低真空走査型電子顕微鏡を用いた炭素系材料の微細加工方法とその装置
WO2011001611A1 (ja) * 2009-06-30 2011-01-06 株式会社 日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子銃及び荷電粒子線装置
JP2011014244A (ja) * 2009-06-30 2011-01-20 Hitachi High-Technologies Corp 荷電粒子銃及び荷電粒子線装置
DE112010002767T5 (de) 2009-06-30 2012-10-18 Hitachi High-Technologies Corporation Kanone für geladene Teilchen und Vorrichtung für einen Strahl geladener Teilchen
US9530611B2 (en) 2013-07-08 2016-12-27 Carl Zeiss Microscopy, Llc Charged particle beam system and method of operating a charged particle beam system
US9530612B2 (en) 2013-07-08 2016-12-27 Carl Zeiss Microscopy, Llc Charged particle beam system and method of operating a charged particle beam system
JP2015018807A (ja) * 2013-07-08 2015-01-29 カール ツァイス マイクロスコーピー エルエルシー 荷電粒子ビームシステム及びその作動方法
US9536699B2 (en) 2013-07-08 2017-01-03 Carl Zeiss Microscopy, Llc Charged particle beam system and method of operating a charged particle beam system
US9627172B2 (en) 2013-07-08 2017-04-18 Carl Zeiss Microscopy, Llc Charged particle beam system and method of operating a charged particle beam system
US9640364B2 (en) 2013-07-08 2017-05-02 Carl Zeiss Microscopy, Llc Charged particle beam system and method of operating a charged particle beam system
US10128077B2 (en) 2015-10-20 2018-11-13 Korea Research Institute Of Standards And Science Electron microscope electron gun for facilitating position adjustment and electron microscope including same
KR101744482B1 (ko) * 2015-12-01 2017-06-08 한국표준과학연구원 연강재질의 초고진공 진공챔버를 구비한 전계방사형 전자총 및 이를 포함하는 전자현미경
JP2020038776A (ja) * 2018-09-03 2020-03-12 株式会社ニューフレアテクノロジー 荷電粒子装置
JP7062559B2 (ja) 2018-09-03 2022-05-17 株式会社ニューフレアテクノロジー 荷電粒子装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3714810B2 (ja) 2005-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8263943B2 (en) Ion beam device
JP2851213B2 (ja) 走査電子顕微鏡
US8093558B2 (en) Environmental cell for a particle-optical apparatus
US20130126731A1 (en) Charged Particle Microscope and Ion Microscope
US8686380B2 (en) Charged particle beam apparatus
US20080283745A1 (en) Emitter chamber, charged partical apparatus and method for operating same
US8766542B2 (en) Field-emission electron gun and method for controlling same
EP1515358A2 (en) Small electron gun
US20080284332A1 (en) Gun chamber, charged particle beam apparatus and method of operating same
Kasuya et al. Stabilization of a tungsten⟨ 310⟩ cold field emitter
JPS5842939B2 (ja) イオン・ビ−ム衝撃装置
JP2000195454A (ja) 電子線装置
EP0289577B1 (en) Dynamic electron emitter
JP3129226B2 (ja) 電界放出型冷陰極搭載装置の製造方法
US20180308658A1 (en) Ion Beam Apparatus
Sloane et al. The emission of negative ions from oxide coated cathodes
US10971329B2 (en) Field ionization source, ion beam apparatus, and beam irradiation method
US6967334B2 (en) Ion source and ion beam device
JP6696019B2 (ja) イオンビーム装置、及びその作動方法
JP7002593B2 (ja) ガリウム集束イオンビームとイオン顕微鏡複合装置
JP2002313270A (ja) 高真空電子線装置及びその排気方法
Sinclair et al. Dramatic reduction of DC field emission from large area electrodes by plasma-source ion implantation
WO2023037545A1 (ja) イオンビーム装置、エミッタティップ加工方法
JPH1012176A (ja) 形状観察装置
RU2817406C1 (ru) Источник быстрых атомов для равномерного травления плоских диэлектрических подложек

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050823

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080902

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090902

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090902

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100902

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110902

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120902

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130902

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees