JPWO2015049865A1 - 発光素子用封止剤及びled装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、硫化ガス耐性に優れ、金属電極等からのマイグレーションを抑制可能な封止層を成膜するための発光素子用封止剤を提供することを課題とする。そして、上記課題を2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物からなる群から選ばれる一種以上のシラン化合物またはその重合物100質量部と、中空管状ナノ粒子0.01〜30質量部と、を含み、蛍光体粒子を含まない、発光素子用封止剤とすることで解決する。

Description

本発明は発光素子用封止剤、及び当該発光素子用封止剤の硬化膜を含むLED装置に関する。
近年、窒化ガリウム(GaN)系の青色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)素子の近傍に、YAG蛍光体等の蛍光体を配置した白色LED装置が開発されている。当該白色LED装置では、青色LED素子が出射する青色光と、青色光を受けて蛍光体が発する黄色光とを混色して白色光を得る。また、青色LED素子の近傍に各種蛍光体を配置した白色LED装置も開発されている。当該白色LED装置では、青色LED素子が出射する青色光と、青色光を受けて蛍光体が出射する赤色光や緑色光等を混色して、白色光を得る。このような白色LED装置は、従来の蛍光灯や白熱電灯等の代替品として広く適用されており、さらなる光取り出し効率の向上、及び長寿命化が求められている。
ここで、LED装置に含まれるLED素子は、湿度によって劣化しやすい。一方、LED装置に含まれるリード電極や金属反射層等は、LED装置の使用環境に含まれる硫化水素ガスによって腐食しやすい。このようなLED素子の劣化や、金属腐食が生じると、LED装置からの光取り出し効率が低下する。そこで、一般的なLED装置では、LED素子や金属部材を、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等で直接封止している(特許文献1参照)。
しかし、エポキシ樹脂は熱や光によって劣化しやすい。また、エポキシ樹脂は短波長の光(例えば青色光)によって劣化しやすく、樹脂自体が着色しやすい。そして、LED素子をエポキシ樹脂で直接封止する構成では、エポキシ樹脂がLED素子からの光や熱の影響を受けやすく、当該樹脂が劣化したり、着色しやすい。一方、シリコーン樹脂は、水蒸気や硫化水素ガスに対するバリア性が低く、シリコーン樹脂による封止だけでは、LED素子の劣化や、金属の腐食を十分に抑制できない。つまり、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂によって封止しても、徐々にLED装置からの光取り出し効率が低下する、との問題があった。
そこで、ガスバリア性や耐光性、耐熱性等に優れる無機系の材料で、LED素子や金属部材を封止することが提案されている(特許文献2〜8)。
特開2002−314142号公報 特許第3275308号公報 特開2003−197976号公報 特開2004−231947号公報 特開2002−33517号公報 特開2002−203989号公報 特開2012−216602号公報 特開2013−84796号公報
しかし、特許文献2〜7のように、無機系の材料でLED素子や電極等を被覆しても、LED装置を湿熱環境下で使用すると、金属電極等から溶出した金属イオンが封止層側に移動し、封止層中で金属が析出する(マイグレーション)ことがあった。このようなマイグレーションが生じると、電流がリークしてしまい、LED素子が点灯しなくなることがある。
一方、特許文献8には、中空管状ナノ粒子、無機系バインダ材料、及び蛍光体粒子を含む分散液が記載されている。しかし、無機系バインダ材料と蛍光体粒子とが含まれる分散液では、蛍光体粒子の種類によって、無機系バインダ材料の重合反応が進行しやすく、ポットライフの低下が生じることがあった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、硫化水素ガス耐性に優れ、金属電極等からのマイグレーションを抑制可能な封止層を成膜するための発光素子用封止剤、及びこれを用いたLED装置を提供することにある。
即ち、本発明の第1は、以下の発光素子用封止剤に関する。
[1]2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物からなる群から選ばれる一種以上のシラン化合物またはその重合物100質量部と、中空管状ナノ粒子0.01〜30質量部と、を含み、蛍光体粒子を含まない、発光素子用封止剤。
[2]前記シラン化合物またはその重合物が、2官能シラン化合物またはその重合物、3官能シラン化合物またはその重合物、4官能シラン化合物またはその重合物、2官能シラン化合物と3官能シラン化合物との混合物またはその重合物、及び3官能シラン化合物と2官能シラン化合物及び/または4官能シラン化合物との混合物または重合物、からなる群から選ばれる、[1]に記載の発光素子用封止剤。
[3]前記中空管状ナノ粒子は、粒子の平均外径をaとし、粒子の平均長さをbとしたとき、aとbとの比率b/aが10以上である、[1]または[2]に記載の発光素子用封止剤。
[4]前記中空管状ナノ粒子が、膨潤性粒子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の発光素子用封止剤。
[5]前記中空管状ナノ粒子が、アルミニウムケイ酸塩である、[1]〜[4]のいずれかに記載の発光素子用封止剤。
[6]前記中空管状ナノ粒子が、イモゴライトである、[5]に記載の発光素子用封止剤。
[7]水をさらに含み、前記水の量が、前記シラン化合物またはその重合物100質量部に対して0.1〜120質量部である、[1]〜[6]のいずれかに記載の発光素子用封止剤。
[8]Si以外の2価以上の金属の有機金属化合物をさらに含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の発光素子用封止剤。
[9]無機微粒子をさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の発光素子用封止剤。
本発明の第2は、以下のLED装置に関する。
[10]リード電極を有する基板と、前記リード電極と電気的に接続されたLED素子と、前記リード電極及び前記LED素子のうち少なくとも一方を被覆し、ポリシロキサン及び中空管状ナノ粒子を含み、かつ蛍光体粒子を含まない封止層と、前記LED層上に形成され、透明樹脂及び蛍光体粒子を含む波長変換層と、を有する、LED装置。
[11]リード電極を有する基板と、前記リード電極に電気的に接続されたLED素子と、を準備し、前記リード電極及び前記LED素子のうち少なくとも一方を、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物からなる群から選ばれる一種以上のシラン化合物またはその重合物100質量部と、中空管状ナノ粒子0.01〜30質量部と、を含み、かつ蛍光体粒子を含まない、発光素子用封止剤で被覆する、LED装置の製造方法。
本発明の発光素子用封止剤から得られる封止層は、硫化水素ガスの透過性や水分透過性が低い。また、金属電極等から金属イオンが溶出したとしても、当該封止層に含まれる中空管状ナノ粒子によって、金属イオンがトラップされる。したがって、封止層中での金属の析出が抑制される。つまり、当該封止層を含む発光装置では、長期間に亘って、高い光取り出し効率が維持される。
本発明のLED装置の一例を示す概略断面図である。 本発明のLED装置の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
1.発光素子用封止剤について
本発明の発光素子用封止剤封止剤は、各種発光装置の発光素子や金属部材等を被覆するための封止層を成膜するための材料である。本発明の発光素子用封止剤には、シラン化合物またはその重合物、及び中空管状ナノ粒子が含まれる。発光素子用封止剤には、必要に応じて溶媒や、Si以外の2価以上の金属の有機金属化合物や、無機微粒子等が含まれてもよい。ただし、当該発光素子用封止剤には、蛍光体粒子が含まれない。
前述のように、従来の発光装置では、発光素子や金属部材を十分に封止することが難しく、発光装置の使用環境に含まれる硫化水素ガス等によって、金属部材が腐食しやすいとの問題があった。また特に、発光装置を湿熱環境下で使用すると、金属電極から溶出した金属イオンが封止層側に移動し、封止層中に析出しやすかった。
これに対し、本発明の発光素子用封止剤には、中空管状ナノ粒子が含まれており、当該発光素子用封止剤を硬化して得られる封止層では、金属電極から溶出したイオン等が中空管状ナノ粒子にトラップされる。したがって、封止層中での金属の析出が抑制される。
また、一般的なシラン化合物からなる封止剤では、封止剤の硬化時(シラン化合物の脱水縮合時)に体積収縮が生じやすく、クラックが生じやすい。これに対し、本発明の発光素子用封止剤では、中空管状ナノ粒子によって、硬化時の膜の体積収縮が抑制される。つまり、得られる封止層にクラックが生じ難い。したがって、金属部材の腐食や、LED素子の劣化が長期間に亘って抑制され、発光装置からの光取り出し効率が低下し難い。
(1−1)シラン化合物またはその重合物
発光素子用封止剤に含まれるシラン化合物またはその重合物は、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、4官能シラン化合物、またはこれらの重合物であり、これらは封止層の成膜時に加水分解・重縮合されてポリシロキサンとなる。発光素子用封止剤には、これらのシラン化合物またはその重合物が一種のみ含まれてもよく、二種以上含まれてもよい。
シラン化合物またはその重合物は、2官能シラン化合物のみ;2官能シラン化合物の重合物のみ;3官能シラン化合物のみ;3官能シラン化合物の重合物のみ;4官能シラン化合物のみ;4官能シラン化合物の重合物のみ;3官能シラン化合物と4官能シラン化合物との混合物またはその重合物;2官能シラン化合物と3官能シラン化合物との混合物またはその重合物;2官能シラン化合物と3官能シラン化合物と4官能シラン化合物との混合物またはその重合物;2官能シラン化合物と4官能シラン化合物との混合物またはその重合物;のいずれかであることが好ましい。シラン化合物またはその重合物が、これらの化合物または重合物であると、得られる封止層にクラックがさらに生じ難くなる。そのため、発光装置の耐久性がさらに高まりやすい。
2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、または4官能シラン化合物は、例えば以下の一般式(I)で表されるアルコキシシランまたはアリールオキシシランでありうる。
Si(OR)4−n (I)
一般式(I)中、nはアルコキシ基またはアリールオキシ基(OR)の数を表し、2以上4以下の整数である。また、Rは、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
上記一般式(I)式中、Yは、水素原子、または1価の有機基を表す。Yで表される1価の有機基の例には、炭素数が1〜1000、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは6以下の脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基が含まれる。また、1価の有機基は、連結基を介して、肪族基、脂環族基、芳香族基、または脂環芳香族基同士が結合した基でもありうる。連結基は、O、N、S等の原子またはこれらを含む原子団でありうる。また、Yで表される1価の有機基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機官能基等が含まれる。
上記一般式(I)で表される4官能のシラン化合物の例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン等が含まれる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
上記一般式(I)で表される3官能のシラン化合物の例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン等のモノヒドロシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノエチルシラン化合物;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノプロピルシラン化合物;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノブチルシラン化合物が含まれる。これらの中でも、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランがより好ましく、メチルトリメトキシシランがさらに好ましい。
上記一般式(I)で表される2官能のシラン化合物の例には、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、エトキシフェニルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルジペンチルオキシシラン、ブチルメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシペンチルオキシシラン、ジブチルメトキシフェニルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン等が含まれる。中でもジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
一方、上記シラン化合物の重合物(オリゴマー)は、上記シラン化合物を酸触媒、水、有機溶剤の存在下で加水分解し、縮合反応させた化合物でありうる。シラン化合物の重合物は、4官能シラン化合物と、3官能シラン化合物や2官能シラン化合物とを所望のモル比率で予め混合し、ランダムに重合させたものであってもよい。また3官能シラン化合物または2官能シラン化合物をある程度重合させてオリゴマーとした後、このオリゴマーに4官能シラン化合物のみを重合させる等して、ブロック共重合体としたものであってもよい。
シラン化合物を重合するための酸触媒は、水の存在下でシラン化合物を加水分解可能な化合物であればよく、有機酸または無機酸でありうる。無機酸の例には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が含まれ、中でも、リン酸、硝酸が好ましい。また有機酸の例には、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、n−酪酸などのカルボン酸残基、及び有機スルホン酸等の硫黄含有酸残基を有する化合物が含まれ、中でも有機スルホン酸が好ましい。
シラン化合物の重合物の質量平均分子量は、1000〜3000であることが好ましく、より好ましくは1200〜2700であり、さらに好ましくは1500〜2000である。シラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量が上記範囲であると、発光素子用封止剤の粘度が所望の範囲に収まりやすくなる。
シラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値(ポリスチレン換算)である。当該オリゴマーの質量平均分子量は、オリゴマー調製時の反応条件(特に反応時間)で、調整される。
発光素子用封止剤に含まれるシラン化合物またはその重合物の量は、発光素子用封止剤の固形分量(溶媒を除く全質量)に対して50〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは55〜90質量%であり、さらに好ましくは60〜80質量%である。発光素子用封止剤に、シラン化合物またはその重合物が50質量%以上含まれると、当該発光素子用封止剤から得られる封止層の耐湿性や硫化水素ガス耐性が高まりやすい。
(1−2)中空管状ナノ粒子
発光素子用封止剤に含まれる中空管状ナノ粒子は、前述のように、封止層の成膜時に生じる膜の収縮を抑制したり、発光装置の使用時に金属電極から発生する金属イオンをトラップする。中空管状ナノ粒子は、金属イオンのトラップ等が可能な、中空管形状の粒子であれば特に制限されないが、平均長さが20〜3000nmである粒子が好ましく、20〜1500nmである粒子がより好ましい。中空管状ナノ粒子の平均長さが2000nm以下であると、得られる封止層の表面平滑性が高まりやすい。
一方、中空管状ナノ粒子の平均外径をa、平均長さをbとしたとき、aとbとの比率(b/a)は10以上であることが好ましく、より好ましくは10〜1000である。上記比率b/aが10以上であると、得られる封止層の強度が高まりやすい。上記中空管状ナノ粒子の平均外径及び平均長さは、透過型電子顕微鏡(例えばJEOL社製JEM−2000FX)で測定される。
一方、中空管状ナノ粒子の内径、つまり中空部分の直径は、1〜4nmであることが好ましい。中空部分の直径が1nm以上であると、金属イオンが中空管状ナノ粒子内に入り込みやすくなり、中空管状ナノ粒子が金属イオンをトラップしやすくなる。
上記中空管状ナノ粒子は、膨潤性粒子であることが好ましい。発光素子用封止剤に溶媒が含まれる場合に、中空管状ナノ粒子が膨潤性粒子であると、溶媒が中空管状ナノ粒子の表面や構造内部に入り込みやすく、発光素子用封止剤の粘度が高まりやすい。
膨潤性粒子である中空管状ナノ粒子の例には、アルミニウムケイ酸塩化合物が含まれる。アルミニウムケイ酸塩とは、主な構成元素がケイ素、アルミニウム、酸素、及び水素である化合物であり、多数のSi−O−Al結合を含む和水ケイ酸アルミニウムである。典型的なアルミニウムケイ酸塩化合物の構造式は、SiO・Al・2HO、もしくは(OH)AlSiOHで表される。
中空管状ナノ粒子は、特にイモゴライトであることが好ましい。イモゴライトは、平均外径が2.0〜2.5nm、平均内径が1.0〜1.5nm、平均長さが5〜6μmの粒子である。中空管状ナノ粒子がイモゴライトであると、金属イオンのトラップ性が非常に高まりやすい。
発光素子用封止剤において、中空管状ナノ粒子は、前述のシラン化合物またはその重合物100質量部に対して、0.01〜30質量部含まれる。中空管状ナノ粒子の含有量は、シラン化合物100質量部に対して、0.05〜25質量部以上であることがより好ましく、さらに好ましくは0.1〜20質量部である。中空管状ナノ粒子の量が上記範囲であると、発光素子用封止剤から得られる封止層の金属イオンのトラップ性が十分に高まる。さらに、封止層成膜時の膜の収縮も十分に抑制される。
(1−3)溶媒
発光素子用封止剤には、溶媒が含まれてもよい。発光素子用封止剤に含まれる溶媒は、前述のシラン化合物またはその重合物、及び中空管状ナノ粒子を溶解または分散可能であれば特に制限されない。例えば水との相溶性が低い溶媒であってもよいが、水との相溶性に優れる溶媒であることがより好ましい。
発光素子用封止剤に含まれる溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のモノアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の多価アルコールが含まれる。
発光素子用封止剤に含まれる溶媒は、沸点が250℃以下であることが好ましい。溶媒の沸点が高すぎると、発光素子用封止剤の乾燥が遅くなる。
また、溶媒には水が含まれることが好ましい。発光素子用封止剤に水が含まれると、前述のシラン化合物やその重合物が十分に加水分解されやすくなり、得られる封止層が緻密になりやすい。発光素子用封止剤に水が含まれる場合、その量は、シラン化合物100質量部に対して0.1〜120質量部であることが好ましく、より好ましくは100質量部以下である。
一方、発光素子用封止剤に含まれる溶媒の総量は、発光素子用封止剤の全質量に対して、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは75質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。
(1−4)有機金属化合物
前述のように、発光素子用封止剤には、Si以外の2価の金属の有機金属化合物が含まれてもよい。有機金属化合物は、2価の金属(Siを除く)の金属アルコキシドまたは金属キレートでありうる。2価の金属の金属アルコキシドまたは金属キレートは、前述のシラン化合物や、発光素子用封止剤の被塗布面に存在する水酸基と、強固なメタロキサン結合を形成する。そのため、発光素子用封止剤に金属アルコキシドまたは金属キレートが含まれると、封止層と上記被塗布面との密着性が高まり、発光装置の耐久性が高まりやすい。
また、金属アルコキシドまたは金属キレートの一部は、発光素子用封止剤の硬化膜(封止層)中で、メタロキサン結合からなるナノサイズのクラスタを形成する。このクラスタは、封止層内で光触媒として作用する。具体的には、発光装置近傍に存在する硫化水素ガスを酸化して、腐食性の低い二酸化硫黄ガス等に変化させる。したがって、発光素子用封止剤に当該化合物が含まれると、封止層によって封止される金属部材の腐食が一層抑制される。
金属アルコキシドまたは金属キレートに含まれる金属元素は、Si以外の4族または13族の金属元素であることが好ましい。また、当該金属アルコキシドまたは金属キレートは、以下の一般式(V)で表される化合物であることが好ましい。
m+m−n (V)
一般式(V)中、Mは4族または13族の金属元素(Siを除く)を表し、mはMの価数(3または4)を表す。Xは加水分解性基を表し、nはX基の数(2以上4以下の整数)を表す。ただし、m≧nである。Yは1価の有機基を表す。
一般式(V)において、Mで表される4族または13族の金属元素は、アルミニウム、ジルコニウム、チタンであることが好ましく、ジルコニウムであることが特に好ましい。ジルコニウムのアルコキシドまたはキレートの硬化物は、LED素子の発光波長域(特に青色光(波長420〜485nm))に吸収波長を有さない。つまり、発光素子用封止剤から得られる封止層に、LED素子からの光が吸収され難くなる。
一般式(V)において、Xで表される加水分解性基は、水で加水分解されて、水酸基を生成する基である。加水分解性基の好ましい例には、炭素数が1〜5の低級アルコキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基、クロル基等が含まれる。一般式(V)において、Xで表される基は、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
ただし、Xで表される加水分解性基は、上記のように、封止層の成膜時に加水分解されて遊離する。そのためXで表される基から加水分解後に生成する化合物は、中性かつ軽沸であることが好ましい。そこで、Xで表される基は、炭素数1〜5の低級アルコキシ基であることが好ましく、より好ましくはメトキシ基、またはエトキシ基である。
一般式(V)において、Yで表される1価の有機基は、一般的なシランカップリング剤に含まれる1価の有機基でありうる。具体的には、炭素数が1〜1000、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは40以下、特に好ましくは6以下である脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基でありうる。Yで表される有機基は、脂肪族基、脂環族基、芳香族基、及び脂環芳香族基が連結基を介して結合した基であってもよい。連結基は、O、N、S等の原子またはこれらを含む原子団であってもよい。
Yで表される有機基は、置換基を有してもよい。置換基の例には、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機基が含まれる。
一般式(V)で表されるアルミニウムの金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトシキド、アルミニウムトリエトキシド等が含まれる。
一般式(V)で表されるジルコニウムの金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラi−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラi−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシド、ジブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等が含まれる。
一般式(V)で表されるチタン元素の金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラi−ブトキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、チタンテトラメトキシプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンラクテート、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンアセチルアセトネート等が含まれる。
ただし、上記で例示した金属アルコキシドまたは金属キレートは、入手容易な市販の有機金属アルコキシドまたは金属キレートの一部である。科学技術総合研究所発行の「カップリング剤最適利用技術」9章のカップリング剤及び関連製品一覧表に示される金属アルコキシドまたは金属キレートも、本発明に適用できる。
発光素子用封止剤に含まれる金属アルコキシドまたは金属キレートの量は、発光素子用封止剤の固形分量(溶媒以外の成分の総量)に対して1〜10質量%であることが好ましく、2〜7質量%であることがより好ましい。これらの含有量が、上記範囲であると、発光素子用封止剤から得られる封止層と、発光素子用封止剤の被塗布面との密着性が高まりやすい。
(1−5)無機微粒子
発光素子用封止剤には、無機微粒子が含まれてもよい。無機微粒子が含まれると、発光素子用封止剤の粘度が高まりやすい。さら発光素子用封止剤から得られる封止層の硬度が高まりやすい。
無機微粒子の例には、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物微粒子、フッ化マグネシウム等のフッ化物微粒子が含まれる。無機微粒子の表面は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等で処理されていてもよい。無機微粒子が、これらのカップリング剤で表面処理されていると、無機微粒子と前述のシラン化合物や溶媒等との相溶性が高まりやすい。
無機微粒子の平均粒径は、1nm以上50nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm〜50nmである。無機微粒子の平均粒径が1nm以上であると、発光素子用封止剤の硬化膜の硬度が高まりやすい。一方、無機微粒子の平均粒径が50nm以下であると、発光素子用封止剤の硬化膜の表面に、微細な凹凸が形成されやすく、当該硬化膜上に成膜される層との密着性が高まりやすい。無機微粒子の平均粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定される。
発光素子用封止剤に含まれる無機微粒子の量は、発光素子用封止剤の固形分量(溶媒以外の成分の総量)に対して0.5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量%である。無機微粒子の量が上記範囲であると、発光素子用封止剤の増粘効果が得られやすく、さらに封止層の硬度も高まりやすい。
(発光素子用封止剤の調製方法)
発光素子用封止剤の調製方法は、前述の各成分が均一に分散可能な方法であれば特に制限されず、各成分を混合し、一般的な方法で攪拌する方法でありうる。混合液の攪拌装置の例には、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等が含まれる。
(発光素子用封止剤の用途)
前述の発光素子用封止剤は、各種発光装置の発光素子や金属部材を被覆する層を成膜するための材料でありうるが、後述するLED装置のLED素子やリード電極を被覆するための材料であることが、特に好ましい。
2.LED装置について
前述の発光素子用封止剤の硬化物を含むLED装置として、以下の2種類のLED装置が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
(1)第一の態様
第一の態様のLED装置の構成を、図1の概略断面図に示す。第一の態様のLED装置100は、図1に示されるように、基板1と、当該基板1上に形成されたLED素子2と、当該LED素子2や基板1の表面を被覆する封止層3と、当該LED素子2上に形成された波長変換層4とを有する。当該LED装置100では、封止層3が前述の発光素子用封止剤の硬化膜である。
当該LED装置100では、LED素子2が出射する光の一部が、波長変換層4で異なる波長の光に変換される。そして、LED素子2が出射する光、及び波長変換層4で波長変換された光が混合され、所望の色の光がLED装置100から出射する。
(1−1)基板
基板1は、LED素子2を保持するための部材であり、金属からなるリード電極11を有する。リード電極11は、基板1の外部に配置される電源(図示せず)から、LED素子2に電気を供給する部材である。リード電極11は、LED素子2からの光や、波長変換層4からの光を、光取り出し面側に反射するための反射層を兼ねてもよい。リード電極11の形状は、発光装置100の種類や用途等に合わせて適宜選択される。
基板1は、図1に示されるようにキャビティ(凹部)を有していてもよく、平板状であってもよい。基板1が有するキャビティの形状は特に制限されない。例えば円錐台状であってもよく、角錐台状や、円柱状、角柱状等でありうる。
基板1は、絶縁性及び耐熱性を有することが好ましく、セラミック樹脂や耐熱性樹脂からなることが好ましい。耐熱性樹脂の例には、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ナイロン、エポキシ樹脂、硬質シリコーンレジン、ポリフタル酸アミド等が含まれる。
基板1には、無機フィラーが含まれていてもよい。無機フィラーは、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、グラスファイバー等でありうる。
リード電極11を有する基板1の作製方法は特に制限されず、通常、所望の形状のリードフレームと、樹脂とを一体成型して得られる。
(1−2)LED素子
LED素子2は、基板1表面に形成されたリード電極11と電気的に接続されて、特定の波長の光を発する。LED素子2が出射する光の波長は特に制限されない。LED素子2は、例えば青色光(420nm〜485nm程度の光)を発する素子であってもよく、紫外光を発する素子であってもよい。
LED素子2の構成は、特に制限されない。LED素子2が、青色光を発する素子である場合、LED素子2は、n−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層との積層体でありうる。LED素子2は、例えば200〜300μm×200〜300μmの発光面を有するものでありうる。またLED素子2の高さは、通常50〜200μm程度である。図1に示されるLED装置100には、基板1に1つのLED素子2のみが配置されているが、基板1に複数のLED素子2が配置されていてもよい。
LED素子2と基板1表面に形成されたリード電極11との接続方法は特に制限されない。例えば図1に示されるように、LED素子2とリード電極11とが、ワイヤ14を介して接続されてもよく、LED素子2とリード電極11とが、突起電極等を介して接続されてもよい。LED素子2とリード電極11とが、突起電極を介して接続される態様をフリップチップ型という。一方、LED素子2とリード電極11とが、ワイヤ14を介して接続される態様をワイヤボンディング型という。
フリップチップボンディング型のLED装置では、LED素子2と基板1との隙間に、アンダーフィル材が充填されてもよい。アンダーフィル材は、シリコーン樹脂や、エポキシ樹脂等でありうる。また、前述の発光素子用封止剤の硬化物であってもよい。
(1−3)封止層
封止層3は、LED素子2及び基板1上のリード電極11のうち少なくとも一方を被覆する層である。封止層3は、前述の発光素子用封止剤の硬化膜からなる。つまり、封止層には、ポリシロキサン及び中空管状ナノ粒子が含まれ、蛍光体粒子が含まれない。
本態様では、LED素子2やリード電極11が封止層3で封止されるため、これらがLED装置外部の水分や硫化水素ガス等から十分に保護される。また、封止層3がリード電極11を覆う場合、LED装置100の使用時に、リード電極11から金属イオンが溶出しても、封止層3に含まれる中空管状ナノ粒子によって、金属イオンがトラップされる。したがって、封止層3内で金属が析出せず、長期間に亘って、LED装置100からの高い光取り出し効率が維持される。
封止層3は、LED素子2、及びリード電極11のいずれか一方のみを被覆する層であってもよく、両方を被覆する層であってもよい。また、基板1のLED素子2が実装されている側の面を全て被覆する層であってもよい。
封止層3の厚みは、特に制限されないが、0.1μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以上100μm以下である。封止層3の厚みが200μm以下であれば、封止層3に歪みが生じ難く、封止層3にクラックが生じ難い。一方、封止層3の厚みが0.1μm以上であれば、十分にLED素子2やリード電極11が保護され、これらの経時劣化が十分に抑制される。また、リード電極11から発生する金属イオン等も十分にトラップされる。
封止層3の厚みは、封止層3がLED素子2を被覆する場合には、LED素子2の上面に配置された封止層3の最大厚みとする。また、封止層3がLED素子2を被覆しない場合には、基板1の上面に配置された封止層3の最大厚みとする。また、封止層3の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定する。
ポリシロキサンは、封止層の全質量に対して50〜95質量%含まれることが好ましく、より好ましくは55〜90質量%であり、さらに好ましくは60〜80質量%である。ポリシロキサンの量が50質量%以上であると、封止層3の硫化水素ガス耐性や耐湿性が高まりやすく、基板1と封止層3との密着性や、基板1とLED素子2との密着性が高まりやすい。
また、中空管状ナノ粒子は、封止層3の全質量に対して0.01〜30質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.03〜28質量%であり、さらに好ましくは0.05〜25質量%である。中空管状ナノ粒子が上記範囲含まれると、リード電極等から金属イオンが溶出したとしても、当該金属イオンがトラップされる。
また、封止層3には、無機微粒子や、Si以外の2価の金属の有機金属化合物の硬化物が含まれてもよい。
封止層3は、前述の発光素子用封止剤を基板1やLED素子2上に塗布し、これを加熱硬化して得られる。発光素子用封止剤の塗布方法は特に制限されず、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布等でありうる。発光素子用封止剤の塗布方法が、スプレー塗布であると、厚みの薄い封止層3が得られやすい。
発光素子用封止剤の加熱硬化方法は特に制限されないが、塗膜を100℃以上に加熱することが好ましく、より好ましくは150〜300℃に加熱する。発光素子用封止剤を100℃以上に加熱すると、前述のシラン化合物やその重合物が脱水縮合し、ポリシロキサンとなる。このときの加熱温度が100℃未満であると、シラン化合物や重合物の脱水縮合時に生じる水が十分に除去されず、封止層3の耐光性が低下する可能性がある。
(1−4)波長変換層
波長変換層4は、LED素子2が出射した特定波長の光を、他の特定波長の光に変換する層である。波長変換層4は、透明樹脂中に蛍光体粒子が分散された層でありうる。
蛍光体粒子は、LED素子が出射する光の波長(励起波長)により励起されて、励起波長と異なる波長の蛍光を出射する。例えば、LED素子2から青色光が出射される場合、波長変換層4に黄色の蛍光を発する蛍光体粒子を添加すると、白色光を出射するLED装置が得られる。黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体がある。YAG蛍光体は、青色LED素子から出射される青色光(波長420nm〜485nm)を励起光として、黄色(波長550nm〜650nm)の蛍光を発する。
波長変換層4に含まれる蛍光体粒子は、例えば1)所定の組成を有する混合原料に、フラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して加圧し、成形体を得て、2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成し、焼結体を得ることで製造される。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Gaの酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学両論比で十分に混合して得られる。また、所定の組成を有する混合原料は、1)Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液と、シュウ酸とを混合し、共沈酸化物を得られる。2)この共沈酸化物と、酸化アルミニウム、または酸化ガリウムとを混合しても得られる。
蛍光体の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体とすることもできる。
蛍光体粒子の平均粒径は1μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)は高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、波長変換層4において、蛍光体粒子と透明樹脂との界面に生じる隙間が大きくなる。これにより、波長変換層4の強度が低下する。蛍光体粒子の平均粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定することができる。
波長変換層4に含まれる蛍光体粒子の量は、波長変換層4の全質量に対して5〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは9〜11質量%である。
波長変換層4に含まれる透明樹脂は、可視光に対して透明な熱硬化性樹脂であれば特に制限されない。透明樹脂の例には、メチルシリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、アルキッド変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、フェニルシリコーン樹脂等のシリコーン樹脂;エポキシ樹脂;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ウレタン樹脂等の透明樹脂等が含まれる。特にシリコーン樹脂であることが好ましい。
波長変換層4の厚みは、通常25μm〜5mmであることが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。波長変換層4の厚みが厚すぎると、波長変換層4内の蛍光体粒子濃度が過剰に低くなり、蛍光体粒子が均一に分散されない恐れがある。
波長変換層4は、上記樹脂またはその前駆体と、蛍光体粒子とが含まれる波長変換層用組成物を調製し、これを、LED素子2を被覆するように塗布・硬化して得られる。なお、LED素子2上に封止層3が形成されている場合には、当該封止層3上に波長変換層用組成物を塗布する。
波長変換層用組成物の塗布方法は、透明樹脂の種類に応じて適宜選択され、例えばディスペンサーによる塗布等でありうる。また、波長変換層用組成物の硬化方法や硬化条件は、透明樹脂の種類により適宜選択される。硬化方法の一例として、加熱硬化が挙げられる。
(2)第二の態様
第二の態様のLED装置を、図2の概略断面図に示す。第二の態様のLED装置200は、図2に示されるように、基板1と、当該基板1上に形成されたLED素子2と、当該LED素子2を少なくとも被覆する封止層3’とを有する。当該LED装置200では、封止層3’に前述の発光素子用封止剤の硬化物が含まれる。
第二の態様のLED装置200では、封止層3’に蛍光体粒子が含まれており、LED素子2が出射する光の一部が、封止層3’(以下「波長変換型封止層」と称する)で異なる波長の光に変換される。そして、LED素子2が出射する光、及び波長変換型封止層3’によって変換された光が混合され、所望の色の光がLED装置200から出射する。
当該LED装置200には、波長変換型封止層3’上に、必要に応じて、LED素子2を外部の衝撃から保護するための透光層(図示せず)等が含まれてもよい。なお、第二の態様における基板1及びLED素子2は、第一の態様の基板1及びLED素子2と同様でありうる。
(2−1)波長変換型封止層
波長変換型封止層3’は、LED素子2及び基板1上のリード電極11を被覆する層であり、蛍光体粒子、及び前述の発光素子用封止剤の硬化物が含まれる。波長変換型封止層3’には、具体的には蛍光体粒子、ポリシロキサン、中空管状ナノ粒子が含まれる。
本態様では、LED素子2及びリード電極11が波長変換型封止層3’で封止されるため、これらがLED装置外部の水分や硫化水素ガス等から十分に保護される。また、LED装置200の使用時に、リード電極11から金属イオンが溶出しても、波長変換型封止層3’に含まれる中空管状ナノ粒子によって、金属イオンがトラップされる。したがって、波長変換型封止層3’内に金属が析出せず、長期間に亘って、LED装置200からの高い光取り出し効率が維持される。
波長変換型封止層3’は、LED素子2、及びリード電極11のみを被覆する層であってもよい。また、基板1のLED素子2が実装されている側の面を全て被覆する層であってもよい。
波長変換型封止層3’の厚みは特に制限されず、LED装置200が必要とする蛍光体粒子の量に応じて設定される。ただし、波長変換型封止層3’に含まれる蛍光体粒子の粒径より厚いことが好ましい。具体的には10μm以上であることが好ましく、より好ましくは15μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上である。波長変換型封止層3’の厚みが10μm未満であると、蛍光体粒子が十分に保持されず、蛍光体粒子が剥がれる場合がある。蛍光体粒子が剥がれると、LED装置200の照射光の色度がばらつきやすくなる。また、蛍光体粒子が剥がれると、波長変換型封止層3’に空隙が生じやすく、波長変換型封止層3’のガスバリア性も低下する。
一方、波長変換型封止層3’の厚みは500μm未満であることが好ましい。波長変換型封止層3’の厚みが500μm以上であると、蛍光体粒子の濃度にムラが生じ易くなる。その結果、LED装置200の出射光の色度にムラが生じやすくなる。
波長変換型封止層3’の厚みは、LED素子2の上面に配置された波長変換型封止層3’の最大厚みとする。また、層の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定する。
蛍光体粒子は、前述の第一の態様の波長変換層に含まれる蛍光体粒子と同様でありうる。蛍光体粒子は、波長変換型封止層3’の全質量に対して60〜95質量%含まれることが好ましく、より好ましくは70〜90質量%であり、さらに好ましくは75〜85質量%である。蛍光体粒子の量が60質量%以上であると、波長変換型封止層3’から、十分な蛍光が得られる。一方、蛍光体粒子の量が95質量%以下であると、波長変換型封止層3’に含まれるポリシロキサンや中空管状ナノ粒子の量が相対的に多くなり、波長変換型封止層3’の硫化水素ガス耐性や耐湿性、金属イオンのトラップ性能が十分に高まる。
一方、ポリシロキサンは、波長変換型封止層3’の全質量に対して5〜40質量%含まれることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%であり、さらに好ましくは15〜25質量%である。ポリシロキサンの量が5質量%以上であると、波長変換型封止層3’の硫化水素ガス耐性や耐湿性が高まりやすく、基板1と波長変換型封止層3’との密着性も高まりやすい。
また、中空管状ナノ粒子は、波長変換型封止層3’の全質量に対して0.01〜30質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.03〜28質量%であり、さらに好ましくは0.05〜25質量%である。中空管状ナノ粒子が上記範囲含まれると、リード電極から金属イオンが溶出したとしても、当該金属イオンがトラップされる。
波長変換型封止層3’は、(1)蛍光体粒子を溶媒に分散させた蛍光体分散液を、LED素子2を被覆するように塗布した後、(2)蛍光体粒子を覆うように前述の発光素子用封止剤を塗布し、硬化させて得られる。
蛍光体分散液には、蛍光体粒子と共に、粘土鉱物粒子や無機酸化物微粒子等が含まれてもよい。蛍光体分散液に、粘土鉱物粒子が含まれると、蛍光体分散液の粘度が高まり、蛍光体粒子の沈降が抑制される。
蛍光体分散液に含まれる粘土鉱物粒子は、層状ケイ酸塩鉱物、アロフェン等でありうる。層状ケイ酸塩鉱物は、雲母構造、カオリナイト構造、またはスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物であることが好ましく、特に膨潤性に富むスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物が好ましい。
層状ケイ酸塩鉱物の例には、天然または合成の、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト、ラポナイト等のスメクタイト属粘土鉱物や、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母属粘土鉱物、白雲母、金雲母、フッ素金雲母、絹雲母、カリウム四ケイ素雲母等の非膨潤性雲母属粘土鉱物、およびバーミキュラライトやカオリナイト、またはこれらの混合物が含まれる。
粘土鉱物粒子の市販品の例には、ラポナイトXLG(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、ラポナイトRD(英国、ラポート社製合成ヘクトライト類似物質)、サーマビス(独国、ヘンケル社製合成ヘクトライト類似物質)、スメクトンSA−1(クニミネ工業(株)製サポナイト類似物質)、ベンゲル(ホージュン(株)販売の天然ベントナイト)、クニビアF(クニミネ工業(株)販売の天然モンモリロナイト)、ビーガム(米国、バンダービルト社製の天然ヘクトライト)、ダイモナイト(トピー工業(株)製の合成膨潤性雲母)、ミクロマイカ(コープケミカル(株)製の合成非膨潤性雲母)、ソマシフ(コープケミカル(株)製の合成膨潤性雲母)、SWN(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル(株)製の合成スメクタイト)、M−XF((株)レプコ製の白雲母)、S−XF((株)レプコ製の金雲母)、PDM−800(トピー工業(株)製のフッ素金雲母)、セリサイトOC−100R(オーケム通商(株)製の絹雲母)、PDM−K(G)325(トピー工業(株)製のカリウム四ケイ素雲母)等が含まれる。
蛍光体分散液に含まれる粘土鉱物粒子の量は、蛍光体分散液の固形分量(溶媒を除く成分全量)に対して0.3〜20質量%であることが好ましく、より好ましく0.5〜15質量%である。粘土鉱物粒子の量が上記範囲であると、蛍光体粒子の沈降が十分に抑制されやすい。
また、蛍光体分散液に無機微粒子が含まれると、蛍光体分散液の粘度が高まりやすく、蛍光体の沈降が抑制される。無機微粒子は、前述の発光素子用封止剤に含まれる無機微粒子と同様でありうる。
蛍光体分散液に含まれる無機微粒子の量は、蛍光体分散液の固形分量(溶媒を除く成分全量)に対して0.3〜70質量%であることが好ましく、より好ましく0.5〜65質量%である。無機微粒子の量が上記範囲であると、蛍光体粒子の沈降が十分に抑制されやすい。
また、蛍光体分散液に含まれる溶媒は、アルコール類であることが好ましい。アルコール類の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の2価以上の多価アルコール;でありうる。蛍光体分散液には、2種以上のアルコールが含まれてもよい。2価以上のアルコールが含まれると、蛍光体分散液の粘度が高まりやすく、分散質である蛍光体粒子の沈降が抑制される。
蛍光体分散液の塗布方法は特に制限されず、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布などでありうる。必要に応じて、塗膜を乾燥させる。
続いて、蛍光体粒子を覆うように、前述の発光素子用封止剤を塗布する。発光素子用封止剤の塗布方法は特に制限されず、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布等でありうる。
発光素子用封止剤の塗布後、発光素子用封止剤を加熱して硬化させる。加熱硬化方法は特に制限されないが、塗膜を100℃以上に加熱することが好ましく、より好ましくは150〜300℃に加熱する。発光素子用封止剤を100℃以上に加熱すると、前述のシラン化合物やその重合物が脱水縮合し、ポリシロキサンとなる。このときの加熱温度が100℃未満であると、シラン化合物や重合物の脱水縮合時に生じる水が十分に除去されず、波長変換型封止層3’の耐光性が低下する可能性がある。
(2−2)透光層
本態様のLED装置200には、必要に応じて波長変換型封止層3’上に透光層が含まれてもよい。透光層は、LED素子2を外部の衝撃やガス等から保護する機能を果たす。透光層は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の透明樹脂からなる層でありうる。
透光層の厚みは25μm〜5mmであることが好ましく、さらに1〜3mmであることが好ましい。一般的に、透明樹脂が含まれる透光層の厚みを25μm以下とすることは難しい。一方、LED装置の小型化との観点から、透光層の厚みは5mm以下であることが好ましい。透光層の厚みは、LED素子2の発光面上に成膜された透光層の最大厚みを意味する。透光層の厚みは、レーザホロゲージで測定することができる。
透光層は、上記樹脂またはその前駆体を、波長変換型封止層3’を被覆するように塗布・硬化して得られる。樹脂またはその前駆体の塗布方法は、樹脂の種類に応じて適宜選択され、例えばディスペンサー塗布等でありうる。また、樹脂またはその前駆体の硬化方法や硬化条件は、樹脂の種類により適宜選択される。硬化方法の一例として、加熱硬化が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。
<アルミニウムケイ酸塩化合物(イモゴライト)の合成>
容量1Lの攪拌機付き容器に、0.1mol/Lのオルトケイ酸ナトリウム250mLと、0.15mol/Lの塩化アルミニウム六水和物250mLとを混合した。混合物を攪拌しながら、混合物に1Nの水酸化ナトリウム水溶液50mLを滴下した。そして、溶液をプレートヒーターにより加熱して90℃とし、当該温度で10時間維持した。
その後、溶液に濃塩酸を加えてpHを7.0とした。生成した塩化ナトリウムを水洗により除去し、再度濃塩酸を加えてpHを4.0とした。これを100℃に加熱し、24時間維持して、アルミニウムケイ酸塩化合物(イモゴライト)を得た。
当該イモゴライトの平均外径は2.0〜2.5nm、平均内径は1.0〜1.5nm、平均長さは1〜3μmであった。これらはTEMで測定した。
<基板及びLED素子の準備>
金属反射層(銀メッキ)及びリード電極を有する芳香族ポリアミド製円形基板を準備した。当該円形基板は、円錐台状のキャビティを有するものとした。キャビティの開口径は3mm、キャビティ底面の直径は2mm、壁面角度は60°とした。そして、当該基板に、ダイボンド接着剤で、LED素子(直方体状;200μm×300μm×100μm)を固定した。さらに、LED素子のアノード電極及びカソード電極を、リード電極にワイヤで接続した。
<実施例1>
・蛍光体分散液の調製
蛍光体粒子(YAG 405C205、粒度分布D50が20.5μm、根本特殊化学社製)1gと、SWN(合成スメクタイト、コープケミカル社製)0.05gと、RX300(1次粒子の平均粒径7nmのシリル化処理無水シリカ 日本アエロジル社製)0.05gと、プロピレングリコール1gと、イソプロピルアルコール(IPA)0.5gとを混合し、蛍光体分散液を得た。
・発光素子用封止剤の調製
メチルトリメトキシシラン47.3g、テトラメトキシシラン13.1g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサンの固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。続いて、当該ポリシロキサン溶液100gに、前述のイモゴライトを0.01g添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。
・LED装置の作製
LED素子を実装した前述の基板に、LED素子を被覆するように蛍光体分散液をスプレー塗布した。その後、150℃で20分間乾燥させ、LED素子上に蛍光体粒子を配置した。
続いて、前述の発光素子用封止剤を、蛍光体粒子を被覆するように、スプレー塗布した。その後、150℃で1時間焼成し、波長変換型封止層を成膜した。得られた波長変換型封止層の厚みは20μmであった。
<実施例2>
実施例1で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を0.1gに変更した以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例3>
実施例1で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を0.5gに変更した以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例4>
実施例1で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を2.0gに変更した以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例5>
実施例2と同様に調製した発光素子用封止剤に、さらにZRR11GB(Zrアルコキシド 高純度化学社製)2gと、ZRPA30WT%−E25(ZrOスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径20nm CIKナノテック社製)13.3gと、蒸留水6gとを添加し、攪拌して発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例6>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrアルコキシドの量を5gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例7>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrアルコキシドの量を10gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例8>
実施例2と同様に調製した発光素子用封止剤に、さらにZRR11GB(Zrアルコキシド 高純度化学社製)2gと、蒸留水6gとを添加し、攪拌して発光素子用封止剤を得た。上記発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例9>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrOスラリーの量を3.3gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例10>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrOスラリーの量を23.3gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例11>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrOスラリーの量を33.3gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例12>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrOスラリーを、RTTPA15WT%−N05(TiOスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径35nm CIKナノテック社製)26.7gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例13>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrOスラリーを、ALPA15WT%−X480(Alスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径35nm CIKナノテック社製)26.7gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例14>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrOスラリーを、RX300(1次粒子の平均粒径7nmのシリル化処理無水シリカ 日本アエロジル社製)4gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例15>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれる蒸留水の量を0.1gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例16>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれる蒸留水の量を3.0gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例17>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれる蒸留水の量を10gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例18>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrアルコキシドを、ZR−181(Zrキレート、日本曹達社製)2gとした以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例19>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrアルコキシドを、TOT(Tiアルコキシド、日本曹達社製)2gとした以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例20>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrアルコキシドを、T−50(Tiキレート、日本曹達社製)2gとした以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例21>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrアルコキシドを、ALR14GB(Alアルコキシド、高純度化学社製)2gとした以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例22>
実施例5で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を0.5gに変更した以外は、実施例5と同様にLED装置を作製した。
<実施例23>
実施例22で調製した発光素子用封止剤に含まれるZrアルコキシドを、ZR−181(Zrキレート、日本曹達社製)2gとした以外は、実施例22と同様にLED装置を作製した。
<実施例24>
メチルトリメトキシシラン60.3g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。当該ポリシロキサン溶液100gに前述のイモゴライト0.5g、及び蒸留水6gを添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例25>
実施例24と同様にポリシロキサン溶液を得た。当該ポリシロキサン溶液100gに前述のイモゴライト0.5g、及びZRPA30WT%−E25(ZrOスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径20nm CIKナノテック社製)13.3を添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例26>
実施例24で調製した発光素子用封止剤に、さらにZRPA30WT%−E25(ZrOスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径20nm CIKナノテック社製)13.3を添加した以外は、実施例24と同様にLED装置を作製した。
<実施例27>
実施例1で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を0.001gに変更した以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例28>
実施例1で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を3gに変更した以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例29>
ジメチルジメトキシシラン11.8g、メチルトリメトキシシラン35.1g、テトラメトキシシラン13.4g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。当該ポリシロキサン溶液100gに前述のイモゴライト0.5g、及び蒸留水6gを添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例30>
ジメチルジメトキシシラン16.9g、メチルトリメトキシシラン43.5g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。当該ポリシロキサン溶液100gに前述のイモゴライト0.5g、及び蒸留水6gを添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例31>
実施例29と同様に調製した発光素子用封止剤に、さらにZRR11GB(Zrアルコキシド 高純度化学社製)2gと、ZRPA30WT%−E25(ZrOスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径20nm CIKナノテック社製)13.3gと、蒸留水6gとを添加し、攪拌して発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例32>
実施例30と同様に調製した発光素子用封止剤に、さらにZRR11GB(Zrアルコキシド 高純度化学社製)2gと、ZRPA30WT%−E25(ZrOスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径20nm CIKナノテック社製)13.3gと、蒸留水6gとを添加し、攪拌して発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例33>
ジメチルジメトキシシラン11.9g、テトラメトキシシラン49.2g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。当該ポリシロキサン溶液100gに前述のイモゴライト0.5g、及び蒸留水6gを添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例34>
ジメチルジメトキシシラン61.2g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。当該ポリシロキサン溶液100gに前述のイモゴライト0.5g、及び蒸留水6gを添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<実施例35>
テトラメトキシシラン60.7g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。当該ポリシロキサン溶液100gに前述のイモゴライト0.5g、及び蒸留水6gを添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<比較例1>
・蛍光体分散液の調製
蛍光体粒子(YAG 405C205、粒度分布D50が20.5μm、根本特殊化学社製)1gと、SWN(合成スメクタイト、コープケミカル社製)0.05gと、RX300(1次粒子の平均粒径7nmのシリル化処理無水シリカ 日本アエロジル社製)0.05gと、プロピレングリコール1gと、イソプロピルアルコール(IPA)0.5gとを混合し、蛍光体分散液を得た。
・ポリシロキサン溶液の調製
メチルトリメトキシシラン47.3g、テトラメトキシシラン13.1g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。
・LED装置の作製
LED素子を実装した前述の基板に、LED素子を被覆するように蛍光体分散液をスプレー塗布した。その後、150℃で20分間乾燥させ、LED素子上に蛍光体粒子を配置した。
続いて、前述のポリシロキサン溶液を、蛍光体粒子を被覆するように、スプレー塗布した。その後、150℃で1時間焼成し、波長変換型封止層を成膜した。得られた波長変換型封止層の厚みは20μmであった。
<比較例2>
比較例1と同様に調製したポリシロキサン溶液に、さらにZRR11GB(Zrアルコキシド 高純度化学社製)2gと、ZRPA30WT%−E25(ZrOスラリー、スラリーの1次粒子の平均粒径20nm CIKナノテック社製)13.3gと、蒸留水6gとを添加し、攪拌して発光素子用封止剤を得た。当該発光素子用封止剤を用いた以外は、比較例1と同様にLED装置を作製した。
<比較例3>
実施例1で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を0.0001gに変更した以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<比較例4>
実施例1で調製した発光素子用封止剤に含まれるイモゴライトの量を4gに変更した以外は、実施例1と同様にLED装置を作製した。
<評価>
各実施例及び比較例で作製したLED装置について、以下の方法で硫化水素ガス耐性、クラック耐性、マイグレーションをそれぞれ評価した。結果を表1及び表2に示す。
・硫化水素ガス耐性評価
JIS規格のガス暴露試験(JIS C 60068−2−43)に基づき、硫化水素ガス15ppm雰囲気(温度25℃、相対湿度75%RH)に、実施例及び比較例で作製したLED装置を1000時間暴露した。各LED装置について、暴露の前後でLED装置が発する光の全光束測定を行い、下記の基準で硫化水素ガス耐性を評価した。
全光束対初期比(暴露後全光束値/硫化水素ガス暴露前全光束値×100)が98%以上である ◎
全光束対初期比(暴露後全光束値/硫化水素ガス暴露前全光束値×100)が96%以上98%未満である ○
全光束対初期比(暴露後全光束値/硫化水素ガス暴露前全光束値×100)が92%以上96%未満である △
全光束対初期比(暴露後全光束値/硫化水素ガス暴露前全光束値×100)が92%未満である ×
・クラック耐性評価
実施例及び比較例で作製したLED装置の波長変換型封止層を、走査型電子顕微鏡SEM(VE7800;Keyence社製)にて、拡大倍率1000倍で外観観察した。それぞれについて、下記の基準でクラック耐性を評価した。
封止層に1μm以上の長さの亀裂が無い ◎
封止層に1μm以上10μm未満の長さの亀裂が1本有る ○
封止層に10μm以上の長さの亀裂が1本以上4本以下有る △
封止層に10μm以上の長さの亀裂が5本以上有る ×
・マイグレーション評価
実施例及び比較例で作製したLED装置(各20個ずつ)を、85℃85%の恒温恒湿試験槽に投入し、20mAにて1000h連続点灯させた。この試験前後におけるLED装置点灯時の絶縁抵抗を測定した。そして、恒温恒湿試験後に絶縁抵抗値が低下したLED装置の個数を特定し、下記の基準でマイグレーションの発生を評価した。
絶縁抵抗が低下したLED装置の個数が1個もしくは0個 ◎
絶縁抵抗が低下したLED装置の個数が2個 ○
絶縁抵抗が低下したLED装置の個数が3個 △
絶縁抵抗が低下したLED装置の個数が4個以上 ×
Figure 2015049865
Figure 2015049865
上記表1及び表2に示されるように、発光素子用封止剤に中空管状ナノ粒子(イモゴライト)が含まれない場合(比較例1及び比較例2)や、0.01質量部未満である場合(比較例3)、マイグレーションが生じやすかった。これに対し、発光素子用封止剤に中空管状ナノ粒子(イモゴライト)が含まれる場合(実施例1〜35)には、マイグレーションが殆ど生じなかった。中空管状ナノ粒子が、リード電極等から発生した金属イオンをトラップしたと推察される。
また、発光素子用封止剤に中空管状ナノ粒子(イモゴライト)が含まれる場合(実施例1〜35)、クラック耐性が高まった。中空管状ナノ粒子によって、シラン化合物の重縮合時に膜が硬化収縮し難くなり、クラックが発生し難かったと推察される。
また発光素子用封止剤中に、金属の有機金属化合物が含まれると(実施例5〜23、31、32)、波長変換型封止層の硫化水素ガス耐性が高まりやすかった。有機金属化合物が、シラン化合物や、基板表面のOH基等とメタロキサン結合を形成し、波長変換型封止層と基板との密着性が高まったと推察される。
<実施例36>
・発光素子用封止剤の調製
メチルトリメトキシシラン47.3g、テトラメトキシシラン13.1g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサンの固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン溶液を得た。続いて、当該ポリシロキサン溶液100gに、前述のイモゴライトを0.01g添加して攪拌し、発光素子用封止剤を得た。
・波長変換層用組成物の調製
シリコーン樹脂(OE6630、東レダウ社製)9gと、蛍光体粒子(YAG 405C205、粒度分布D50が20.5μm、根本特殊化学社製)1gとを混合し、攪拌して、波長変換層用組成物を得た。
・LED装置の作製
LED素子を実装した前述の基板に、LED素子、リード電極、及び金属反射層を被覆するように、発光素子用封止剤をスプレー塗布した。その後、150℃で1時間焼成し、厚み1.5μmの封止層を得た。
続いて、上記波長変換層用組成物をディスペンサーにより滴下し、150℃で1時間焼成して、波長変換層を得た。得られた波長変換層の厚みは2.5mmであった。
<実施例37〜70、及び比較例5〜8>
前述の実施例2〜35、及び比較例1〜4で調製した発光素子用封止剤にて、封止層を成膜した以外は、実施例36と同様にLED装置を作製した。
<評価>
各実施例及び比較例で作製したLED装置について、前述の方法で硫化水素ガス耐性、クラック耐性、マイグレーションをそれぞれ評価した。評価結果を表3及び4に示す。
Figure 2015049865
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上記表3及び4に示されるように、発光素子用封止剤に中空管状ナノ粒子(イモゴライト)が含まれない場合(比較例5、6)や、0.01質量部未満である場合(比較例7)には、マイグレーションが生じやすかった。これに対し、発光素子用封止剤に中空管状ナノ粒子(イモゴライト)が含まれる場合(実施例36〜70)には、マイグレーションが殆ど生じなかった。中空管状ナノ粒子が、リード電極等から発生した金属イオンをトラップしたと推察される。また、比較例8はマイグレーションが発生しにくいが、クラックが確認できた。
また、発光素子用封止剤に中空管状ナノ粒子(イモゴライト)が含まれる場合(実施例36〜70)、クラック耐性が高まった。中空管状ナノ粒子によって、シラン化合物の重縮合時に膜が硬化収縮し難くなり、クラックが発生し難かったと推察される。
また発光素子用封止剤中に、金属の有機金属化合物が含まれると(実施例40〜58、66、及び67)、波長変換型封止層の硫化水素ガス耐性が高まりやすかった。有機金属化合物が、シラン化合物や、基板表面のOH基等とメタロキサン結合を形成し、波長変換型封止層と基板との密着性が高まったと推察される。
<実施例71>
実施例1で作製した、発光素子用封止剤をガラス基板に成膜し、150℃20分間乾燥させ、1.5μm、5μm、10μm、20μmの厚さの発光素子用封止剤の硬化膜をそれぞれ得た。
<実施例72>
実施例2で作製した発光素子用封止剤を使用した以外は、実施例71と同様に発光素子用封止剤の硬化膜を得た。
<実施例73>
実施例3で作製した発光素子用封止剤を使用した以外は、実施例71と同様に発光素子用封止剤の硬化膜を得た。
<実施例74>
実施例4で作製した発光素子用封止剤を使用した以外は、実施例71と同様に発光素子用封止剤の硬化膜を得た。
<実施例75>
実施例27で作製した発光素子用封止剤を使用した以外は、実施例71と同様に発光素子用封止剤の硬化膜を得た。
<実施例76>
実施例28で作製した発光素子用封止剤を使用した以外は、実施例71と同様に発光素子用封止剤の硬化膜を得た。
<比較例9>
比較例3で作製した発光素子用封止剤を使用した以外は、実施例71と同様に発光素子用封止剤の硬化膜を得た。
<比較例10>
比較例4で作製した発光素子用封止剤を使用した以外は、実施例71と同様に発光素子用封止剤の硬化膜を得た。
<クラック耐性評価>
実施例71〜76及び比較例9及び10で作製した発光素子用封止剤の硬化膜を、走査型電子顕微鏡SEM(VE7800;Keyence社製)にて、拡大倍率1000倍で外観観察した。それぞれについて、下記の基準でクラック耐性を評価した。結果を表5に示す。
封止層に1μm以上の長さの亀裂が無い ◎
封止層に1μm以上10μm未満の長さの亀裂が1本有る ○
封止層に10μm以上の長さの亀裂が1本以上4本以下有る △
封止層に10μm以上の長さの亀裂が5本以上有る ×
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表5に示されるように、中空管状ナノ粒子の添加量が増えると、クラック耐性が向上する。またこのとき、シラン化合物100質量部に対する、中空管状ナノ粒子の量が0.01質量部未満であると、クラック耐性が低下した(比較例9)。一方、シラン化合物100質量部に対する、中空管状ナノ粒子の量が30質量部超である場合にも、クラック耐性が低下した(比較例10)。
本出願は、2013年10月1日出願の特願2013−206610に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の発光素子用封止剤によれば、硫化水素ガス耐性に優れ、かつ金属電極等からのマイグレーションが少なく、長期間に亘って高い光取り出し効率を維持可能な封止層が得られる。したがって、当該封止層を含むLED装置は、屋内、屋外の各種照明装置に適用可能である。
1 基板
2 LED素子
3 封止層
3’ 波長変換型封止層
4 波長変換層
11 リード電極
14 ワイヤ
100、200 LED装置

Claims (11)

  1. 2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物からなる群から選ばれる一種以上のシラン化合物またはその重合物100質量部と、
    中空管状ナノ粒子0.01〜30質量部と、を含み、
    蛍光体粒子を含まない、発光素子用封止剤。
  2. 前記シラン化合物またはその重合物が、2官能シラン化合物またはその重合物、3官能シラン化合物またはその重合物、4官能シラン化合物またはその重合物、2官能シラン化合物と3官能シラン化合物との混合物またはその重合物、及び3官能シラン化合物と2官能シラン化合物及び/または4官能シラン化合物との混合物または重合物、からなる群から選ばれる、請求項1に記載の発光素子用封止剤。
  3. 前記中空管状ナノ粒子は、粒子の平均外径をaとし、粒子の平均長さをbとしたとき、aとbとの比率b/aが10以上である、請求項1または2に記載の発光素子用封止剤。
  4. 前記中空管状ナノ粒子が、膨潤性粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子用封止剤。
  5. 前記中空管状ナノ粒子が、アルミニウムケイ酸塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光素子用封止剤。
  6. 前記中空管状ナノ粒子が、イモゴライトである、請求項5に記載の発光素子用封止剤。
  7. 水をさらに含み、
    前記水の量が、前記シラン化合物またはその重合物100質量部に対して0.1〜120質量部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発光素子用封止剤。
  8. Si以外の2価以上の金属の有機金属化合物をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光素子用封止剤。
  9. 無機微粒子をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光素子用封止剤。
  10. リード電極を有する基板と、
    前記リード電極と電気的に接続されたLED素子と、
    前記リード電極及び前記LED素子のうち少なくとも一方を被覆し、ポリシロキサン及び中空管状ナノ粒子を含み、かつ蛍光体粒子を含まない封止層と、
    前記LED層上に形成され、透明樹脂及び蛍光体粒子を含む波長変換層と、を有する、LED装置。
  11. リード電極を有する基板と、前記リード電極に電気的に接続されたLED素子と、を準備し、
    前記リード電極及び前記LED素子のうち少なくとも一方を、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物からなる群から選ばれる一種以上のシラン化合物またはその重合物100質量部と、中空管状ナノ粒子0.01〜30質量部と、を含み、かつ蛍光体粒子を含まない、発光素子用封止剤で被覆する、
    LED装置の製造方法。
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