JP5837385B2 - 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた発光ダイオード用のパッケージ - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた発光ダイオード用のパッケージ Download PDF

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Description

本発明は熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた発光ダイオード用のパッケージおよびそれを用いて製造された発光ダイオードに関するものであり、更に詳しくは、常温でのハンドリング性と高温での溶融性に優れ、硬化後の光線反射率が高い熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた発光ダイオード用のパッケージおよびそれを用いて製造された発光ダイオードに関する。
従来、発光ダイオードとしてはパッケージを用いた表面実装タイプのものが製造されているが、そのパッケージ用材料としては、セラミック、ポリアミド樹脂あるいはポリエステル樹脂等が主として用いられている。
ところが、セラミックをパッケージ用材料として用いた場合には、セラミックの成型加工性がよくなく一般に工業的な適用性が狭くなる。また、発光ダイオードの製造にはパッケージ内にエポキシ樹脂等の封止剤(モールド材)を充填することが一般的であるが、その場合、セラミックとエポキシ樹脂等の封止剤との線膨張係数の差が大きいため、熱応力等により封止剤にクラックが発生して発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題もある。さらに、セラミックは光線反射率が低く発光ダイオードとしての光取り出し効率が低下してしまうという問題もある。
ポリアミド樹脂をパッケージ用材料として用いた場合には、ポリアミド樹脂は耐光劣化により着色するという問題があるため長期使用するとパッケージ表面での反射率が低下して発光ダイオードの輝度が低下するといった問題がある。また、ポリアミド樹脂の耐光劣化のため封止剤との接着性が低下して、発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題もある。
ポリエステル樹脂をパッケージ用材料として用いた場合には、耐熱性が十分でないために耐はんだリフロー性に乏しく、工業的な適用性に制限があるという問題がある。
これらの問題を解決するため、熱硬化性樹脂に無機充填材および白色顔料を配合してなる熱硬化性樹脂組成物が報告されている。例えば特許文献1には、エポキシ樹脂と無機充填材と白色顔料からなる光反射用樹脂組成物タブレット、および該タブレットを用いたトランスファー成形で得られる発光ダイオード用パッケージが記載されている。しかしながら、エポキシ樹脂の耐熱性が十分ではないため、得られるパッケージの耐熱耐光性には課題があった。また、エポキシ樹脂が常温で固体であるため、エポキシ樹脂と無機充填材と白色顔料を均一に混合するためには、ミキシングロールなどによる加熱溶融混練が必要であった。そのため、熱による硬化反応の進行を制御しつつ、均一混合性を確保することは困難であり、また溶融混練後に冷却、粉砕が必要となるなど工程が煩雑であった。
一方、エポキシ樹脂より耐熱耐光性に優れるシリコーン系樹脂を用いた白色熱硬化性樹脂組成物が、特許文献2および3に報告されている。特許文献2には、融点40〜130℃の熱硬化性シリコーンと白色顔料と無機充填材からなる熱硬化性樹脂組成物が記載されている。熱硬化性シリコーンの融点を40℃以上にすることで熱硬化性樹脂組成物を固体状に維持できるため、トランスファー成形の適用を容易にしている。しかしながら、先述のエポキシ樹脂をベースとする熱硬化性樹脂組成物と同様、熱硬化性シリコーンを白色顔料および無機充填材と均一に配合するためには、加熱溶融混練した後、冷却、粉砕する必要があり、工程が煩雑になって設備の負荷が増大する問題があるほか、熱によって硬化が進行して成形性が低下するなどの問題があった。
特許文献3では、シリコーン系樹脂に白色顔料と無機充填材を配合した熱硬化性樹脂組成物を用いた発光ダイオードのパッケージが提案されている。このシリコーン系樹脂は常温で液体であるので、白色顔料と無機充填材との均一混合は容易になるが、得られる熱硬化性樹脂組成物はペースト状である。そのため、該熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形に適用するには、ペーストのハンドリング、計量、搬送、成形機への供給などが非常に困難であることから、パッケージの生産性が低いことが課題であった。
特開2008−112977号公報 特開2009−155415号公報 特開2005−146191号公報
従って、本発明の課題は、常温でのハンドリング性と高温での溶融性が両立でき、硬化後は白色で光線反射率が高く、耐熱耐光性が良好な硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物を提供することであり、それを用いた発光ダイオードのパッケージおよびそれを用いて製造された発光ダイオードを提供することである。
上記課題を解決するために発明者らは鋭意研究の結果、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)白色顔料、(E)無機充填材、(F)SiH基もしくはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物、(G)平均粒径1〜100nmのナノ粒子、を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、(A)、(B)、(F)の少なくとも1成分が23℃において液体であり、かつ硬化性樹脂組成物としては23℃において固体であり、該硬化性樹脂組成物を、打錠圧0.30〜0.50MPaで、Φ13mm、高さ0.70から0.80cmの円筒状に打錠したタブレットに、Φ2.0mmの円筒状ステンレスプローブを1.0mm/secで押し込み、800gの力で5秒間保持した際のプローブ沈み込み距離が0.50mm未満であることを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を発光ダイオード用のリードフレームの片面に成形、硬化後のパッケージの反りが±1.00mm以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物とすることによって上記課題を解決することを見出し、発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成をなす。
(1).(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)白色顔料、(E)無機充填材、(F)SiH基もしくはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物、(G)平均粒径1〜100nmのナノ粒子、を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、(A)、(B)、(F)の少なくとも1成分が23℃において液体であり、かつ硬化性樹脂組成物としては23℃において固体であり、該硬化性樹脂組成物を、打錠圧0.30〜0.50MPaで、Φ13mm、高さ0.70から0.80cmの円筒状に打錠したタブレットに、Φ2.0mmの円筒状ステンレスプローブを1.0mm/secで押し込み、800gの力で5秒間保持した際のプローブ沈み込み距離が0.50mm未満であることを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を発光ダイオード用のリードフレームの片面に成形、硬化後のパッケージの反りが±1.00mm以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物
(2).ナノ粒子の含有量が、10重量%以下であることを特徴とする、(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3).ナノ粒子が、ヒュームドシリカであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(4).ナノ粒子の表面が疎水化処理されていることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(5).ナノ粒子の表面が親水化処理されていることを特徴とする、(1)から(4)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(6).(E)成分が球状シリカであることを特徴とする、(1)から(5)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(7).(D)成分が酸化チタンであることを特徴とする、(1)から(6)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(8).(D)成分が有機シロキサンにより表面処理された酸化チタンであることを特徴とする、(1)から(7)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(9).(D)成分が酸化亜鉛、酸化ジルコニア、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、窒化ホウ素、チタン酸バリウム及び硫酸バリウムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、(1)から(6)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(10).(F)成分が、ビニル基を末端に有する直鎖状ポリシロキサンである、(1)から(9)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(11).(F)成分の重量平均分子量が1,000以上1,000,000以下である、(1)から(10)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(12).(1)から(11)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる発光ダイオードのパッケージ用硬化性樹脂組成物。
(13).23℃において、加圧による賦形または打錠によりタブレット成形が可能であることを特徴とする、(1)から(12)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
(14).加圧による賦形または打錠によりタブレット成形された場合に、互いに付着性のないタブレットが得られることを特徴とする、(1)から(13)のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
(15).(1)から(14)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を、柱状に賦形および/または打錠してなるタブレット。
(16).(1)から(14)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物、もしくは(15)に記載のタブレットを用いて、トランスファー成形により熱硬化性樹脂組成物と金属とを一体成形したことを特徴とする発光ダイオード用のパッケージ。
(17).(16)に記載の発光ダイオード用のパッケージであって、実質的に金属の片面のみに熱硬化性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする発光ダイオード用のパッケージ。
(18).(17)に記載の発光ダイオード用のパッケージであって、23℃における反りが1.0mm以下であることを特徴とする発光ダイオード用のパッケージ。
(19).(16)から(18)のいずれかに記載の発光ダイオード用のパッケージを用いて製造された発光ダイオード。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いれば、低い線膨張係数を有する硬化物を与える硬化性樹脂組成物を得ることができるため、それを用いて金属と一体成形された反りの低減された半導体のパッケージおよびそれを用いて製造された半導体を作成できる。
成形品の概念図
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)白色顔料、(E)無機充填材、(F)SiH基もしくはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物、(G)平均粒径1〜100nmのナノ粒子、を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、(A)、(B)、(F)の少なくとも1成分が23℃において液体であり、かつ硬化性樹脂組成物としては23℃において固体であり、該硬化性樹脂組成物を、Φ13mm、高さ0.70から0.80cmの円筒状タブレットに打錠した際のタブレットに、Φ2.0mmの円筒状ステンレスプローブを1.0mm/secで押し込み、800gの力で5秒間保持した際のプローブ沈み込み距離が0.50mm未満であることを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を発光ダイオード用のリードフレームの片面に成形、硬化後のパッケージの反りが±1.00mm以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。以下、各成分について詳細に説明する。
((A)成分)
(A)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物であれば特に限定されない。
((A)成分の骨格)
(A)成分の骨格としてはシロキサンであってもよい。この場合、具体的にはビニル基を有するシロキサン化合物、ポリシロキサンを例示することができ、例えば、
(CH=CH)SiO(4−n−m)/2
(式中、Rは水素原子、水酸基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる基であり、n、mは0≦n<4、0<m≦4、0<n+m≦4を満たす数)で表される化合物であり、より具体的には、末端基あるいは側鎖基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンや、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンなどを挙げることができる。
強度が高くなりやすい、接着性が高くなりやすいという点においては、(A)成分としては有機骨格を有するものが好ましい。
有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。
(A)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
((A)成分が重合体の場合の例)
有機重合体系の(A)成分としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の骨格を有するものを挙げることができる。
これらのうち、ポリエーテル系重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。さらに具体的な例を示すと、
Figure 0005837385
(式中、R、Rは構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない炭素数1〜6の2価の有機基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
その他の重合体としては、例えばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールとの縮合またはラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体、エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系(飽和炭化水素系)重合体、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルと酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等とのアクリル酸エステル系共重合体、前記有機重合体中でビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ε−アミノカプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、ε−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体、例えばビスフェノールAと塩化カルボニルより重縮合して製造されたポリカルボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)骨格としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アンモニアレゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂などが挙げられる。
これらの重合体骨格に、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基を導入して(A)成分とすることができる。
この場合、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基は分子内のどこに存在してもよいが、反応性の点から側鎖または末端に存在する方が好ましい。
アルケニル基を前記重合体骨格に導入する方法については、種々提案されているものを用いることができるが、重合後にアルケニル基を導入する方法と重合中にアルケニル基を導入する方法に大別することができる。
重合後にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、末端、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有する有機重合体に、その官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物を反応させることによりアルケニル基を末端、主鎖あるいは側鎖に導入することができる。上記官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド等のC3〜C20の不飽和脂肪酸、酸ハライド、酸無水物等やアリルクロロホルメート(CH=CHCHOCOCl)、アリルブロモホルメート(CH=CHCHOCOBr)等のC3〜C20の不飽和脂肪族アルコール置換炭酸ハライド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル、1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン、アリルイソシアネート等が挙げられる。
また、エステル交換法を用いてアルケニル基を導入する方法がある。この方法はポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基をエステル交換触媒を用いてアルケニル基含有アルコール又はアルケニル基含有フェノール誘導体とエステル交換する方法である。アルコール残基との交換に用いるアルケニル基含有アルコール及びアルケニル基含有フェノール誘導体は、少なくとも1個のアルケニル基を有し少なくとも1個の水酸基を有するアルコール又はフェノール誘導体であれば良いが、水酸基を1個有する方が好ましい。触媒は使用してもしなくても良いが、チタン系および錫系の触媒が良い。
上記化合物の例としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オール、2−(アリルオキシ)エタノール、ネオペンチルグリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールエタントリアリルエーテル、ペンタエリストールテトラアリルエーテル、1,2,6−ヘキサントリオールトリアリルエーテル、ソルビタントリアリルエーテル、
Figure 0005837385
などが挙げあれる。この中でも、入手の容易さから、アリルアルコール、ビニルアルコール、3−ブテン−1−オール、2−(アリルオキシ)エタノール、および
Figure 0005837385
が好ましい。
さらに、上記アルコール又はフェノール誘導体の酢酸エステル等のエステル化物とポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分をエステル交換触媒を用いてエステル交換しながら、生成するポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基の酢酸エステル等の低分子量エステル化物を減圧脱揮等で系外に留去する方法でアルケニル基を導入する方法もある。
また、リビング重合によりメチル(メタ)アクリレート等の重合を行った後、リビング末端をアルケニル基を有する化合物によって停止させる方法により末端にアルケニル基を導入することもできる。
重合中にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、ラジカル重合法で本発明に用いる(A)成分の有機重合体骨格を製造する場合に、アリルメタクリレート、アリルアクリレート等の分子中にラジカル反応性の低いアルケニル基を有するビニルモノマーや、アリルメルカプタン等のラジカル反応性の低いアルケニル基を有するラジカル連鎖移動剤を用いることにより、有機重合体骨格の側鎖や末端にアルケニル基を導入することができる。
(A)成分としては、分子量は特に制約はないが、100〜100,000の任意のものが好適に使用でき、アルケニル基含有有機重合体であれば500〜20,000のものが特に好ましい。分子量が500以下では可とう性の付与等の有機重合体の利用による特徴が発現し難く、分子量が100、000以上ではアルケニル基とSiH基との反応による架橋の効果が発現し難い。
((A)成分が単量体の場合の例)
有機単量体系の(A)成分としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
((A)成分の炭素−炭素二重結合)
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(I)
Figure 0005837385
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0005837385
示される基が特に好ましい。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)
Figure 0005837385
(式中R2は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0005837385
示される脂環式の基が特に好ましい。
((A)成分の炭素−炭素二重結合と骨格の結合基)
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲン以外の元素を含まないものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 0005837385
Figure 0005837385
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 0005837385
が挙げられる。
((A)成分の具体例)
有機重合体系の(A)成分の具体的な例としては、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 0005837385
(式中、RはHまたはCH、R、Rは構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0005837385
(式中、RはHまたはCH、R、Rは炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0005837385
(式中、RはHまたはCH、R、Rは炭素数1〜20の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0005837385
(式中、RはHまたはCH、R、Rは炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0005837385
(式中、RはHまたはCH、R10、R11、R12は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、l、pは1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
有機単量体系の(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2,−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、
Figure 0005837385
Figure 0005837385
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
(A)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
((A)成分の好ましい要件)
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
(A)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
(A)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点、原料液の糸引き性が少なく取扱い性が良好であるという観点、(D)成分および(E)成分などの粉体との均一な混合が容易という観点、および熱硬化性樹脂組成物タブレットの成形性が良好であるという観点から、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
(A)成分としては、他の成分、特に(D)成分、(E)成分および(G)成分などの粉体との均一な混合を容易にするため、更に詳しくは均一な混合のために融点以上に加熱して液体化させる必要がないことから、23℃において液体であることが好ましく、その粘度としては23℃において50Pa秒以下のものが好ましく、20Pa秒以下のものがより好ましく、5Pa秒以下のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(A)成分としては、耐光性がより高いという観点から、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
また、特に耐光性が良好であるという観点からは、芳香環の(A)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、(A)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
((A)成分の好ましい構造1)
(A)成分としては、耐熱性および耐光性が特に高いという観点からは、下記一般式(III)
Figure 0005837385
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(III)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 0005837385
等が挙げられる。
上記一般式(III)のRとしては、パッケージとリードフレームあるいは封止剤との接着性が良好になりうる、あるいは得られるパッケージの力学強度が高くなり得るという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
Figure 0005837385
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
Figure 0005837385
等が挙げられる。
上記一般式(III)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 0005837385
等が挙げられる。
上記一般式(III)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
Figure 0005837385
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(IV)
Figure 0005837385
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(V)
Figure 0005837385
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のRおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
上記一般式(V)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られるパッケージの耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
Figure 0005837385
等が挙げられる。
上記一般式(V)のRとしては、得られるパッケージの耐熱性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
Figure 0005837385
が挙げられる。
上記一般式(V)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい例においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
以上のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 0005837385
等が挙げられる。
((A)成分の好ましい構造2)
また、(B)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(A)成分の揮発性が低くなり、得られるパッケージからのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(A)成分の例として上記したような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物と、SiH基を有する化合物(β)との反応物も好ましい。
((β)成分)
(β)成分は、SiH基を有する化合物であり、SiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンもその例である。
具体的には、例えば
Figure 0005837385
Figure 0005837385
が挙げられる。
ここで、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(VI)
Figure 0005837385
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、O以外の構成元素を含まないものが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(β)成分のその他の例として、ビスジメチルシリルベンゼンなどのSiH基を有する化合物をあげることができる。
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分の反応)
次に、本発明の(A)成分として、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
尚、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(A)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(A)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、反応中のゲル化が抑制できるという点においては、一般に、混合するSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、X/Y≧2であることが好ましく、X/Y≧3であることがより好ましい。また(A)成分の(B)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧X/Yであることが好ましく、5≧X/Yであることがより好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
反応させる場合のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物に触媒を混合したものを、(β)成分にを混合する方法が好ましい。SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものにSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(A)成分が揮発分を有さないため(B)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
以上のような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分の反応物である(A)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルノルボルネンとビスジメチルシリルベンゼンとの反応物等を挙げることができる。
((A)成分のその他の反応性基)
(A)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
((A)成分の混合)
(A)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。特に、(A)成分が有機化合物である場合に、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物を併用することで、より小さな線膨張係数を有する硬化物を与える硬化性樹脂組成物とすることができる。この場合のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物を特に(F)成分とする。
((F)成分)
(F)成分のシリコーン化合物は、実質的にその骨格がSi−O−Si結合で形成されている化合物であり、直鎖状、環状、分枝状、部分ネットワークを有するもの等種々のものが用いられる。
この場合、骨格に結合した置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基、水酸基等の基を挙げることができる。これらのうち、耐熱性が高くなりやすいという点においては、メチル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基としては、ビニル基、アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基等を挙げることができるが、これらのうち反応性がよいという点においては、ビニル基が好ましい。
(F)成分の例としては次の式で表すことができるものであってもよい。
(CH=CH)SiO(4−n−m)/2
(式中、Rは水酸基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる基であり、n、mは0≦n<4、0<m≦4、0<n+m≦4を満たす数)
(F)成分の例としては、末端基あるいは側鎖基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンや、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンなどを挙げることができる。(F)成分としては複数のものを混合して用いてもよい。
これらの内、本発明の効果がより得られやすいという点においては、ビニル基を末端に有する直鎖状ポリシロキサンが好ましく、ビニル基を両末端に有する直鎖状ポリシロキサンがより好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンがさらに好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンであって、全置換基に対するフェニル基の量が20モル%以上であるシロキサンであることが特に好ましい。
(F)成分の分子量としては、重量平均分子量(Mw)が1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましい。分子量が高い場合にはさらに得られる硬化物が低応力となりやすい。また、(F)成分の分子量としては1,000,000以下であることが好ましく、100,000以下であることより好ましい。分子量が大きい場合には(A)成分との相溶性が得られにくくなる。
(F)成分の量としては、(A)成分および(B)成分の合計の重量に対する(F)成分の重量が30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
(B成分)
(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
(B)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(VI)
Figure 0005837385
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、流動性が高く(D)成分、(E)成分および(G)成分などの粉体と均一に混合しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
(B)成分としては、他の成分、特に(D)成分、(E)成分および(G)成分などの粉体との均一な混合を容易にするため、更に詳しくは均一な混合のために融点以上に加熱して液体化させる必要がないことから、23℃において液体であることが好ましく、その粘度としては23℃において50Pa秒以下のものが好ましく、20Pa秒以下のものがより好ましく、5Pa秒以下のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((B)成分の好ましい構造)
(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(B)成分の揮発性が低くなり得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(B)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
((α)成分)
ここで(α)成分は上記した(A)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と同じもの(α1)も用いることができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい。
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性となりやすい。
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(α2)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物、シリコン系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(I)
Figure 0005837385
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0005837385
示される基が特に好ましい。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)
Figure 0005837385
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0005837385
示される脂環式の基が特に好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(α2)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなりやすいという点においては、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 0005837385
Figure 0005837385
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 0005837385
が挙げられる。
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
(α2)成分の構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
(α2)成分のガラス転位温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、ガラス点移転温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転位温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。ガラス転位温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
(α2)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、炭化水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
(α2)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記のような(α1)成分あるいは/および(α2)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物であり、鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンもその例である。
具体的には、例えば
Figure 0005837385
Figure 0005837385
が挙げられる。
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(V)
Figure 0005837385
(式中、R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(V)で表される化合物中の置換基R1は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(β)成分のその他の例として、ビスジメチルシリルベンゼンなどのSiH基を有する化合物をあげることができる。
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((α)成分と(β)成分の反応)
次に、本発明の(B)成分として、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、(α)成分と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
尚、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(B)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(B)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(α)成分と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる(B)成分と(A)成分とのヒドロシリル化による硬化物の強度を考えた場合、(B)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する(α)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(B)成分の(A)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
反応させる場合の(α)成分、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(α)成分に触媒を混合したものを、(β)成分に混合する方法が好ましい。(α)成分、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものに(α)成分を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
(α)成分と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応の(α)成分あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(B)成分が揮発分を有さないため(A)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(B)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルノルボルネンとビスジメチルシリルベンゼンとの反応物等を挙げることができる。
((A)成分と(B)成分の混合)
(A)成分と(B)成分の組合せについては(A)成分の例として挙げたものおよびそれらの各種混合物/(B)成分の例として挙げたものおよびそれらの各種混合物、の各種組み合わせを挙げることができる。
(A)成分と(B)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されないが、(B)成分中のSiH基の数(Y)の(A)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X≧0.3、より好ましくはY/X≧0.5、さらに好ましくはY/X≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X、より好ましくは2≧Y/X、さらに好ましくは1.5≧Y/Xである。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
((C)成分)
(C)成分はヒドロシリル化触媒である。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh4、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
((D)成分)
(D)成分は白色顔料であり、得られる硬化物の光線反射率を高める効果を有する。(D)成分としては種々のものを用いることができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニア、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、中空ガラス粒子、などが挙げられる。中でも、取り扱いの容易性や入手性、コストの観点から酸化チタンまたは酸化亜鉛が好ましい。得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化物の反射率が高くなるという観点からは酸化チタンが好ましい。得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が高いという観点からは、酸化亜鉛が好ましい。
(D)成分の平均粒径としても種々のものが用いられるが、得られる硬化物の光線反射率が高くなりやすいという観点から、1.0μm以下のものが好ましく、0.30μm以下のものがより好ましく、0.25μm以下のものが最も好ましい。平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
(D)成分は表面処理が施されていても良い。
D)成分の表面処理では、(D)成分の表面に無機化合物、有機化合物から選ばれる少なくとも1種を被覆する。無機化合物としては、例えば、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、チタニウム化合物、アンチモン化合物等が挙げられ、また、有機化合物としては、多価アルコール、アルカノールアミン又はその誘導体、有機シロキサン等の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸又はその金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。
(D)成分の表面に無機化合物や有機化合物を被覆する場合は、湿式法や乾式法の公知の方法を用いて、例えば白色顔料の乾式粉砕の際、スラリー化した際あるいは湿式粉砕した際に行うことができる。他にも、液相法、気相法等、種々の方法が挙げられる。
これらのなかでは、得られる硬化物の光線反射率が高く、耐熱耐光性が良好になることから有機シロキサン処理で処理されていることが好ましい。また、有機シロキサン処理された白色顔料を含有させることは、光取り出し効率が高く、長期間使用しても光取り出し効率が低下しない優良な発光ダイオードを作製するうえでも好適である。
その場合の有機シロキサン処理剤としては種々のものが適用される。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、あるいはそれらの共重合体などのポリシロキサン類、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、などのシクロシロキサン類、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランなどのクロロシラン類、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するシラン類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するシラン類、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基を有するシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシラン類、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキル基を有するシラン類、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のその他のシラン類等の各種シラン類で例示されるシランカップリング剤や、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどを挙げることができる。これらの表面処理剤としては炭素−炭素二重結合を含まないものであることが好ましく、炭素−炭素二重結合を含むと耐熱性が低下しやすくなる。また、有機シロキサン以外の表面処理を併用することも可能であり、Al、Zr、Zn等で処理することもできる。
また、無機化合物により表面処理されていてもよい。
無機化合物による表面処理について特に限定されず、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、等種々の表面処理が用いられる。白色顔料、特に酸化チタン等は、耐久性向上、媒体との親和性向上のため、あるいは、粒子形状の崩れを防止するなどの目的で無機化合物、有機化合物で表面処理する場合があるが、(D)成分を無機化合物で表面処理することで、熱硬化性樹脂組成物に含まれる成分との親和性が向上し、(D)成分の熱硬化性樹脂組成物に対する分散性が良くなり硬化物の強度が向上すると考えられる。
表面処理の方法としても各種方法を適用することができ、湿式法、乾式法、液相法、気相法等、種々の方法が例示できる。
(D)成分の量としては、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体に占める(D)成分の量が10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましい。10重量%未満であると、得られる硬化物の光線反射率が低下することがある。
(D)成分の酸化チタンとしては種々のものを用いることができ、アナターゼ型であってもルチル型であってもよいが、光触媒作用がなく組成物が安定になりやすいという点ではルチル型であることが好ましい。
(D)成分の酸化チタンの製造方法としても硫酸法、塩素法などいずれの方法により製造されたものも使用できる。
((E)成分)
(E)成分は無機充填材であり、(D)成分として使用される白色顔料とは異なる。(E)成分は、得られる硬化物の強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化したりする効果を有する。
(E)成分としては特に限定されないが、例えば、石英、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機充填材、アルミナ、ジルコン、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の半導体封止材の充填材として一般に使用あるいは/および提案されている無機充填材等を挙げることができる。なかでも、硬化反応を阻害し難く、線膨張係数の低減化効果が大きく、リードフレームとの接着性が高くなりやすいという観点からは、シリカ系無機充填材が好ましい。さらに、成形性、電気特性等の物性バランスがよいという点において溶融シリカが好ましく、パッケージの熱伝導性が高くなり易く放熱性の高いパッケージ設計が可能になるという点においては結晶性シリカが好ましい。より放熱性が高くなり易いという点ではアルミナが好ましい。その他、補強効果が高くパッケージの強度が高くなり易いという点においてはガラス繊維、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウムが好ましい。これら無機充填材は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(E)成分の形状としては特に限定されず、破砕状、片状、球状、棒状等を用いることができるが、熱硬化性樹脂組成物タブレット中の含有率を高くしても成形性が良好となることから、球状あるいは丸みのある破砕状であることが好ましく、球状であることがより好ましい。
(E)成分の粒径としては、特に限定されないが、エポキシ系等の従来の半導体封止材の充填材として使用あるいは/および提案されている範囲のものを使用することができる。好ましい平均粒径の上限としては120μmであり、流動性が良好になりやすいという点から好ましくは60μm、より好ましくは30μmである。
(E)成分の比表面積についても、特に限定されず、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。
(E)成分としては、半導体素子へダメージを与え難いという観点から、低放射線性であることが好ましい。
また、(E)成分は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
((G)成分)
(G)成分は、平均粒径が1〜100nmのナノ粒子である。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分および(F)成分の少なくとも1成分が23℃で液体であるため、熱硬化性樹脂組成物がペースト状、クリーム状の不定形となりやすい傾向があり、常温での計量、梱包、保管、搬送などの取り扱い(ハンドリング性)が困難になるが、(G)成分を必須成分とすることにより、よりハンドリング性に優れる固体とすることが可能となる。
(G)成分の含有量としては、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。含有量が多くなると、得られる熱硬化性樹脂組成物はより硬くなり、固体状態としての形状保持性、ハンドリング性が向上するが、一方で成形時の溶融粘度が高くなりすぎる、もしくは溶融しないなどの問題が生じてトランスファー成形などによる成形が困難となる傾向がある。
(G)成分は、必要に応じて表面処理をすることができる。表面処理としては、疎水性処理および親水性処理が挙げられる。増粘を抑制しつつフィラー充填量向上という観点からは疎水性処理が好ましく、増粘という観点からは親水性処理が好ましい。これらの表面処理は、必要とされる特性に応じて選択することができる。
(G)成分の好ましい例としては、(D)成分と同じ成分でありながら平均粒径が1〜100nmであることが、熱硬化性樹脂組成物の性能の均一性という意味から好ましい。より好ましくはシリカであり、更に好ましくはヒュームドシリカが好ましい。ヒュームドシリカの例としては、例えば、トクヤマ(株)製のレオロシール、日本アエロジル(株)製のアエロジルなどが挙げられる。
(熱硬化性樹脂組成物およびタブレット)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも1成分が液体である(A)成分、(B)成分および(F)成分、(A)成分と(B)成分と(F)成分を硬化させるための(C)成分、粉体である(D)成分、(E)成分および(G)成分からなることを特徴とする。この熱硬化性樹脂組成物は、高温で粘度低下することによって組成物全体が流動可能となり、さらに加熱を続けると硬化反応が進行して所望の形状に成形することが可能である。
成形方法としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物の成形に一般的であるトランスファー成形や圧縮成形などの成形方法を用いることができる。これらの成形方法を用いる場合、原料である熱硬化性樹脂組成物がペースト状やクリーム状、粘土状であると、一定した形状を保持できず、互着や一体化、変形したりするため、計量や搬送、成形機への供給が非常に困難となる。一方、タブレット等の固体形状であると、計量や搬送、成形機への供給が容易となり、自動化も可能となって生産性が大幅に向上する。ここで言うタブレットとは、室温において一定した形状を保持し、経時的な形状の変化が実質的になく、また互いに接触させたときに互着や一体化することのない固体のことを意味する。本発明のタブレットの形状は、特に限定されず、円柱状、角柱状、円盤状、球状などの形状を含むが、トランスファー成形に一般的な円柱状が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物タブレットに占める(D)成分および(E)成分の合計の割合(以下、充填率と言うことがある)としては、70〜95重量%であることが好ましい。充填率における(D)成分と(E)成分の配分については特に限定されず、自由に設定できる。充填率が70重量%以下であると、得られる硬化物の熱膨張率が大きくなって成形体の寸法変化が問題となることや、得られる熱硬化性樹脂組成物が硬いペースト状や粘土状となりタブレット化ができなくなる問題がある。充填率が95重量%以上であると、高温での粘度が高くなりすぎて成形性が低下することや、得られるタブレットが脆くなりすぎることがある。
本発明は、(A)成分、(B)成分および(F)成分の少なくとも1成分が23℃で液体であるため、充填率が低い場合には、ペースト状や粘土状となりやすい。この場合、タブレットにはならないが高温での成形性は良好となりやすい傾向がある。一方、充填率が高い場合には、流動させる成分が少ないため、フレーク状や粉状になりやすい。これらは圧縮することでタブレット状に押し固めることが可能であるが、高温での流動性に乏しく成形性が低下しやすい傾向がある。これまで、充填率を単純に増加させていくだけでは、タブレット化と成形性を両立させることが困難であった。
しかしながら本発明では、更に(G)成分として平均粒径1〜100nmのナノ粒子を必須成分とすることにより、タブレット化と成形性を両立できることを見出した。
この理由としては推測ではあるが次のように考えられる。液体と粒子の混合系において、液体成分は粒子の表面を被覆していると考えられ、全ての粒子を被覆した余分の液体成分が変形に寄与していると思われる。そのため、充填率が同じであっても、小粒子の割合が多いほど総表面積が大きくなって被覆に費やされる液体成分が増加し、変形しにくくなっていると考えられる。液体の粘度は高温になると顕著に低下するため、高温では小粒子の割合に対する流動性の変化が小さいが、低温では粘度が高いために、小粒子が多いとペースト状や粘土状のように流動することができずにフレーク状や粉状になることが考えられる。言い換えると、粒子中の小粒子の割合を増やすことで、組成物の高温での流動性を維持したまま、常温での状態を固くすることができることになる。このことは、常温で固体のエポキシ樹脂やシリコーン系樹脂を用いた特許文献1および2、また、粒子の粒度分布まで言及せず平均粒径のみを記載している特許文献3からは想到できない。
(添加剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には種々の添加剤を添加することができる。
(硬化遅延剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(接着性改良剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
カップリング剤の例は、上記したものと同じである。
カップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、ほう素系化合物あるいは/およびアルミニウム系化合物あるいは/およびチタン系化合物が好ましい。シラノール縮合触媒となるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、sec−ブトキシアルミニウムジイソフロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類:、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示でき、取扱い性の点からアルミニウムキレート類がより好ましい。シラノール縮合触媒となるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
シラノール縮合触媒となるほう素系化合物としては、ほう酸エステルが挙げられる。ほう酸エステルとしては下記一般式(VII)、(VIII)で示されるものを好適に用いることが出来る。
Figure 0005837385
Figure 0005837385
(式中Rは炭素数1〜48の有機基を表す。)
ほう酸エステルの具体例として、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイドを好適に用いることができる。
これらほう酸エステルは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
これらほう酸エステルのうち、容易に入手でき工業的実用性が高いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルが好ましく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
硬化時の揮発性を抑制できるという点からは、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、なかでもほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
揮発性の抑制、および作業性がよいという点からは、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、なかでもほう酸トリノルマルブチルがより好ましい。
高温下での着色性が低いという点からは、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチルが好ましく、なかでもほう酸トリメチルがより好ましい。
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
Figure 0005837385
2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類あるいは/および酸無水物類としては、例えば、
Figure 0005837385
テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、上記のシラン化合物を使用することができる。シラン化合物は、リードとの密着性向上に寄与し、パッケージとリードの界面からの水分の浸入の防止に効果的である。これを例示すると、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられ、中でも特にジメチルジメトキシシランが好ましい。
(熱硬化性樹脂の硬化物)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、特性を改質する等の目的で、他の熱硬化樹脂の硬化物を粉砕して粒子状態で混合してもよい。熱硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(熱可塑性樹脂)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合あるいは/およびSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(A)成分や(B)成分との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなりやすいし、多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなりやすい。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(A)成分あるいは/および(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を(A)成分あるいは/および(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態あるいは/および混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
(老化防止剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、ヒンダートフェノール系等一般に用いられている老化防止剤の他、クエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。
ヒンダートフェノール系老化防止剤としては、チバスペシャリティーケミカルズ社から入手できるイルガノックス1010をはじめとして、各種のものが用いられる。
硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(ラジカル禁止剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(溶剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には必要に応じて溶剤を用いてもよい。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる熱硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の効果が得られにくく、また、使用量が多いと、タブレット形状を維持できなくなる問題や、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
(発光ダイオードのための添加剤)
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物には必要に応じて、種々の発光ダイオード特性改善のための添加剤を添加してもよい。添加剤としては例えば、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体等の蛍光体や、特定の波長を吸収するブルーイング剤等の着色剤、光を拡散させるための酸化チタン、酸化アルミニウム、メラミン樹脂、CTUグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のような拡散材、アルミノシリケート等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物等の熱伝導性充填材等を挙げることができる。
発光ダイオード特性改善のための添加剤は均一に含有させても良いし、含有量に傾斜を付けて含有させてもよい。
(離型剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には成形時の離型性を改良するために種々の離型剤を添加してもよい。
離型剤としては、従来使用されている各種のものが用いられる。例えば、金属石鹸、ワックス類等が挙げられる。ここでいう金属石鹸とは、一般に長鎖脂肪酸と金属イオンが結合したものであり、脂肪酸に基づく無極性あるいは低極性の部分と、金属との結合部分に基づく極性の部分を一分子中に合わせて持っていれば使用できる。長鎖脂肪酸としては、例えば炭素数1〜18の飽和脂肪酸、炭素数3〜18の不飽和脂肪酸、脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中では、入手性が容易であり工業的実現性が高いという点からは炭素数1〜18の飽和脂肪酸が好ましく、さらに、離型性の効果が高いという点からは炭素数6〜18の飽和脂肪酸がより好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の他に亜鉛、コバルト、アルミニウム、ストロンチウム等が挙げられる。金属石鹸をより具体的に例示すれば、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、オレイン酸リチウム、2−エチルヘキサン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、オレイン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、2−エチルヘキサン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、12−ヒドロキシステアリン酸鉛、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸マンガン、リシノール酸バリウム、などが例示される。これらの金属石鹸の中では、入手性が容易であり、安全性が高く工業的実現性が高いという点からステアリン酸金属塩類が好ましく、特に経済性の点から、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛からなる群から選択される1つ以上のものが最も好ましい。
この金属石鹸の添加量としては特に制限はないが、好ましい量の下限は熱硬化性樹脂組成物タブレット全体100重量部に対して0.025、より好ましくは0.05重量部であり、好ましい量の上限は組成物全体100重量部に対して5重量部、より好ましくは4重量部である。添加量多すぎる場合は硬化物の物性の低下をきたし、少なすぎると金型離型性が得られないことがある。
ワックス類としては、天然ワックス、合成ワックス、酸化または非酸化のポリオレフィン、ポリエチレンワックス等が例示できる。
尚、離型剤を添加しなくても十分な離型性が得られる場合には離型剤は用いない方がよい。
(その他添加剤)
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、その他、着色剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、アンチモン−ビスマス等のイオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(Bステージ化)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、各成分および添加剤等の配合物をそのまま用いてもよいし、加熱等により部分的に反応(Bステージ化)させてから使用してもよい。Bステージ化することにより粘度調整が可能であり、トランスファー成形性を調整することもできる。また、硬化収縮をより抑制する効果もある。
(熱硬化性樹脂組成物の性状)
本発明の熱硬化性樹脂組成物としては上記したように各種組み合わせのものが使用できるが、トランスファー成形などによる成形性が良好であるという点においては、組成物としては150℃以下の温度で流動性を有するものが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の硬化性については、任意に設定できるが、成形サイクルが短くできるという点においては120℃における硬化時間が120秒以内であることが好ましく、60秒以内であることがより好ましい。また、150℃における硬化時間が100秒以内であることが好ましく、60秒以内であることがさらに好ましく、30秒以内であることがより好ましい。また、100℃における硬化時間が180秒以内であることが好ましく、120秒以内であることがより好ましい。
この場合の硬化時間は、以下のようにして調べられる。設定温度に調整したホットプレート上に厚み50μmのアルミ箔を置き、その上に熱硬化性樹脂組成物100mgを置いてゲル化するまでの時間を測定して硬化時間とする。
熱硬化性樹脂組成物が使用される工程において、熱硬化性樹脂組成物中へのボイドの発生および熱硬化性樹脂組成物からのアウトガスによる工程上の問題が生じ難いという観点においては、硬化中の重量減少が5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
硬化中の重量減少は以下のように調べられる。熱重量分析装置を用いて熱硬化性樹脂組成物10mgを室温から150℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して、減少した重量の初期重量の割合として求めることができる。
また、電子材料等として用いた場合にシリコーン汚染の問題を起こし難いという点においては、この場合の揮発成分中のSi原子の含有量が1%以下であることが好ましい。
(硬化物の性状)
本発明の熱硬化性樹脂組成物を成形硬化すれば白色の成形体得ることができるが、硬化して得た白色成形体としては、表面の波長460nmの光線反射率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。表面の光線反射率は以下のように測定することができる。PETフィルムを離型フィルムとして用い、所定の温度条件でプレス成形にてボイドのない0.5mm厚の成形体を作成する。得られた成形体に必要に応じて所定の後硬化を実施する。得られた成形体について積分球を設置した分光光度計を用いて460nmの全反射を測定することにより求めることができる。
耐熱性が良好であるという観点からは、組成物を硬化させて得られる硬化物のTgが100℃以上となるものが好ましく、150℃以上となるものがより好ましい。
この場合、Tgは以下のようにして調べられる。3mmx5mmx30mmの角柱状試験片を用いて引張りモード、測定周波数10Hz、歪0.1%、静/動力比1.5、昇温側度5℃/分の条件にて測定した動的粘弾性測定(アイティー計測制御社製DVA−200使用)のtanδのピーク温度をTgとする。
また、リードフレーム等にイオンマイグレーション等の問題が生じ難く信頼性が高くなるという点においては、硬化物からの抽出イオン含有量が10ppm未満であることが好ましく、5ppm未満であることがより好ましく、1ppm未満であることがさらに好ましい。
この場合、抽出イオン含有量は以下のようにして調べられる。裁断した硬化物1gを超純水50mlとともにテフロン(登録商標)製容器に入れて密閉し、121℃、2気圧、20時間の条件で処理する。得られた抽出液をICP質量分析法(横河アナリティカルシステムズ社製HP−4500使用)によって分析し、得られたNaおよびKの含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。一方同じ抽出液をイオンクロマト法(ダイオネクス社製DX−500使用、カラム:AS12−SC)によって分析し、得られたClおよびBrの含有量の値を、用いた硬化物中の濃度に換算して求める。以上のように得られたNa、K、Cl、Brの硬化物中の含有量を合計して抽出イオン含有量とする。
硬化物の線膨張係数としては、特に制約はないが、リードフレーム等の金属やセラミック等との接着性が良好になりやすいという点においては、線膨張係数は100℃において50ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることがより好ましい。また、封止樹脂等の有機材料との接着性が良好になりやすいという点においては、線膨張係数は100℃において70ppm以上であることが好ましく、100ppm以上であることがより好ましい。また、硬化時、硬化後、熱試験時にパッケージと封止剤との間に応力が発生しにくく信頼性が高くなりやすいという点においては、封止剤と近い線膨張係数および線膨張係数の温度依存性を有することが好ましい。
(発光ダイオードのパッケージ)
本発明で言う発光ダイオードのパッケージとは、発光ダイオード素子から出た光が照射されるように設計されたものであり、さらに好ましくは発光ダイオード素子から出た光を反射させて外部に取出すように設計されたものである。その形状等には特に制約はない。例えば、発光ダイオード素子を搭載するための凹部を有する形状のものでもよいし、単に平板状のものであってもよい。本発明の発光ダイオードのパッケージの表面は平滑であってもよいし、エンボス等のような平滑でない表面を有していてもよい。
形状についても特定されないが、半導体のパッケージが実質的に金属の片面に樹脂が成形されている形状を有する場合(MAPタイプ)において特に本発明の効果が得られやすい。
(発光ダイオードのパッケージの成形方法)
本発明で言う半導体パッケージの成形方法としては各種の方法が用いられる。例えば、射出成形、トランスファー成形、RIM成形、キャスティング成形、プレス成形等、熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に一般に用いられる各種成形方法が用いられる。これらの内、成形サイクルが短く成形性が良好であるという点においてはトランスファー成形が好ましい。成形条件も任意に設定可能であり、例えば成形温度についても任意であるが、硬化が速く成形サイクルが短く成形性が良好になりやすいという点においては100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上の温度が好ましい。上記のような各種方法によって成形した後、必要に応じて後硬化(アフターキュア)することも任意である。後硬化することで耐熱性が高くなり易い。
(発光ダイオードのパッケージの反り)
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、発光ダイオード用のリードフレームの片面に成形してパッケージとした場合の、パッケージの反りが±1.0mm以下であることが望ましい。
この場合の反りはJIS C 6481に記載の最大反りの測定方法に基づき測定される。半導体パッケージを一辺の中央で垂直に吊り下げ、その辺に平行に直定規を当てる。直定規は半導体パッケージの凹面に当て、直定規と半導体パッケージの基材面との最大の隔たりを金属製直尺で1.0mmの単位まで測定する。半導体パッケージの凹面に樹脂が成形されている場合は、直定規と半導体パッケージに成形された樹脂面との最大の隔たりを金属製直尺で1.0mmの単位まで測定し、その値から樹脂の厚み分を引いた値を、1.0mmの単位に四捨五入する。
他の辺についても順次測定し、最も大きな隔たりを反りとする。尚、反りの測定に用いる半導体パッケージは、実施例の(成型方法)で示した半導体パッケージを用いた。
(発光ダイオード素子)
本発明で言う発光ダイオードの各種の発光ダイオード素子としても、特に限定なく従来公知の発光ダイオードに用いられる発光ダイオード素子を用いることができる。
発光ダイオード素子のサイズ、個数についても特に限定なく用いることができる。
発光ダイオード素子の発光出力としては特に限定なく任意のものを用いることができるが、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合にさらに本発明の効果が顕著である。
発光ダイオード素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができるが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著である。
用いる発光ダイオード素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは多色発光させても良い。
(リード)
本発明の半導体に用いられるリード端子としては、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩ-cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ-cm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、これらに金、銀、ニッケル、パラジウム等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
(封止剤)
本発明の半導体の封止剤としては各種のものを用いることができ、例えば従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂を用いることができる。また、特開2002−80733、特開2002−88244で提案されているような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する脂肪族系有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、およびヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物からなる封止剤を用いてもよく、この封止剤を用いる方が、パッケージ樹脂との接着性が高いという点、および透明性が高く本発明のパッケージの耐光性が高いという効果が顕著であるという点において、好ましい。
一方、樹脂封止を用いず、ガラス等でカバーしてハーメチック封止により封止することも可能である。
また発光ダイオードや受光素子の場合などにおいてはさらにレンズを適用することも可能であり、封止剤をレンズ形状に成形してレンズ機能を持たせることも可能である。
(発光ダイオードの用途)
本発明の半導体は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、ロジック、メモリーなどのLSI、各種センサー、受発光デバイスなどをあげることができる。また、半導体が発光ダイオードの場合も従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、例えば液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(合成例1)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート200g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を50分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。1H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応した以下の構造を有するものであることがわかった。
Figure 0005837385
(合成例2)
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて40分反応、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。トリアリルイソシアヌレート17g、トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は0.8%だった。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転移物(シス体およびトランス体))が合計5,000ppm以下となるまで減圧留去し、無色透明の液体を得た。1H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がアリルグリシジルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートと反応したものであり平均的に以下の構造を有するものであることがわかった。
Figure 0005837385
(配合例1、2)
表1の内容に従って各成分を配合して組成物A、Bを調製した。
Figure 0005837385
(実施例1および比較例1、2)
表2に記載した各成分の配合量に従って、下記の要領にて本発明の硬化性樹脂組成物を調製した。
別途調製した表1に記載の組成物A、B、および(F)成分の混合液をカップ状の容器に秤取り、あらかじめ混合しておいた(D)成分、(E)成分、および金属石鹸の混合粉体を少量ずつ加えてプラスチック製スパチュラで混練した。得られた硬化性樹脂組成物はやや湿った粉状であったが、丸棒状の冶具にて押し延ばした後、折り重ねて再度押し延ばす作業を繰り返すと、徐々に湿潤化してきて湿ったフレーク状に均一化した。
なお、球状シリカ、株式会社龍森製、白色顔料の酸化チタン(PC−3)は石原産業(株)製、金属石鹸のステアリン酸Caは堺化学(株)製を用いた。
(タブレット化)
作製した硬化性樹脂組成物を、Φ13mmの金属製の杵と臼からなるタブレット製造冶具で0.39MPa圧縮して、高さ7.5mmになるよう仕込み量を調整した。
(タブレット特性の測定)
(1)タック性:指触により定性的に判定した。
(2)タブレット耐破壊荷重(g):タブレット強度の測定には、タブレット製造治具にて0.39MPaの圧力で、Φ13mm、高さ0.75cmの形に圧縮したタブレットを使用した。測定装置として、Systems Ltd.製、Texture Analyser、Model TA XT plusを、プローブとして、Cylinder probe P/2(2mmΦ stainless steel)を使用した。平滑な面上に置かれたタブレットの中央に、プローブを試験速度1mm/sで押し込み、一定の力に達したところで5秒間保持した。測定は3回行った。タブレットに加える荷重を100g単位で増していき、3回測定のすべてにおいて、タブレットにひび割れ、崩れ等の外観異常がなく、かつ、プローブがタブレットに底付きしないときの最大の荷重を、タブレット耐破壊荷重(g)とした。
(3)沈み込み距離(mm):タブレット耐破壊荷重でプローブを押し込んだ際の、プローブのタブレットへの沈み込み距離の3回平均値を沈み込み距離(mm)とした。
Figure 0005837385
(MAP品の成形方法)
Agメッキした縦50mm、横55mm、厚み0.25mmのCu製の発光ダイオード用リードフレームを準備する。成形後のMAP(Mold Array Package:半導体のパッケージが実質的に金属の片面に樹脂が成形されている形状を有するタイプ)は縦15列、横12列で合計180個のリフレクターが含まれる。各リフレクターは上面φ2.1mm、底面φ1.8mm(テーパー角度:15度)、高さ0.55mmで、横方向直径に沿って右端から0.45mmのところに幅0.20mmの本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させた白色コンパウンドからなる電極スリットが縦に設けられている。各リフレクター間の間隔は縦横直径方向ともに1.1mmである。リードフレームおよび金型は、上記の要件を満足するリードフレーム付きリフレクターが作製できれば、特に制約はない。成形品の概念図を図1に示した。
トランスファー成形は、アピックヤマダ株式会社製G−Lineマニュアルプレスを用いて実施した。型締力30ton、注入圧力8MPa、注入速度3mm/s。白色コンパウンド5.0gを計量、円柱状に賦形(上記に記載したタブレット化)しシリンダー内へ装填し成形した。成形条件は、170℃、150秒とした。成形後、熱風オーブンにて180℃、1時間後硬化(アフターキュア)した。
(反り)
MAP品の反りは成形部を上にして平滑な面に置いたとき、成形部が真横から見た状態凹になっている場合を順反り、凸になっている場合を逆反りと定義した。反りの程度はMAP品を平滑な面に置き、面から離れている4辺のうちで最も距離がある値(mm)を数値化した。
実施例1と比較例1、2を比較すると、タックがなくなり、沈み込み距離が抑制されており、かつMAPに成形された際の反りが1.00mm以下となっていることがわかる。

Claims (18)

  1. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有し、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない有機化合物、または、該有機化合物とSiH基を有する化合物(β)との反応物、
    (B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、
    (C)ヒドロシリル化触媒、
    (D)白色顔料、
    (E)無機充填材、
    (F)SiH基もしくはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有し、直鎖状、環状、分枝状または部分ネットワークを有するシリコーン化合物、
    (G)平均粒径1〜100nmのナノ粒子、を含有し、
    熱硬化性樹脂組成物に占める(D)成分および(E)成分の合計含有量が70〜95重量%、(G)成分の含有量が10重量%以下、
    (A)成分および(B)成分の合計含有量に対する(F)成分の含有量が30重量%以上
    (B)成分中のSiH基の数Yの(A)成分中の炭素−炭素二重結合の数Xに対する比Y/Xが、0.3〜3であることを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、
    (A)、(B)、(F)の少なくとも1成分が23℃において液体であり、かつ硬化性樹脂組成物としては23℃において固体であり、該硬化性樹脂組成物を、打錠圧0.30〜0.50MPaで、Φ13mm、高さ0.70から0.80cmの円筒状に打錠したタブレットに、Φ2.0mmの円筒状ステンレスプローブを1.0mm/secで押し込み、800gの力で5秒間保持した際のプローブ沈み込み距離が0.50mm未満であることを特徴とする硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物を発光ダイオード用のリードフレームの片面に成形、硬化後のパッケージの反りが±1.00mm以下であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. ナノ粒子が、ヒュームドシリカであることを特徴とする、請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. ナノ粒子の表面が疎水化処理されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. ナノ粒子の表面が親水化処理されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. (E)成分が球状シリカであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. (D)成分が酸化チタンであることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. (D)成分が有機シロキサンにより表面処理された酸化チタンであることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  8. (D)成分が酸化亜鉛、酸化ジルコニア、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、窒化ホウ素、チタン酸バリウム及び硫酸バリウムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  9. (F)成分が、ビニル基を末端に有する直鎖状ポリシロキサンである、請求項1から8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  10. (F)成分の重量平均分子量が1,000以上1,000,000以下である、請求項1から9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる発光ダイオードのパッケージ用硬化性樹脂組成物。
  12. 23℃において、加圧による賦形または打錠によりタブレット成形が可能であることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  13. 加圧による賦形または打錠によりタブレット成形された場合に、互いに付着性のないタブレットが得られることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を、柱状に賦形および/または打錠してなるタブレット。
  15. 請求項1から13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物、もしくは請求項14に記載のタブレットを用いて、トランスファー成形により熱硬化性樹脂組成物と金属とを一体成形したことを特徴とする発光ダイオード用のパッケージ。
  16. 請求項15に記載の発光ダイオード用のパッケージであって、実質的に金属の片面のみに熱硬化性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする発光ダイオード用のパッケージ。
  17. 請求項16に記載の発光ダイオード用のパッケージであって、23℃における反りが1.0mm以下であることを特徴とする発光ダイオード用のパッケージ。
  18. 請求項15から17のいずれかに記載の発光ダイオード用のパッケージを用いて製造された発光ダイオード。
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