JP6087127B2 - 流動性を改善した熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いた半導体のパッケージ - Google Patents

流動性を改善した熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いた半導体のパッケージ Download PDF

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本発明は熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いた半導体のパッケージ及びそれを用いて製造された半導体部品に関するものであり、更に詳しくは、流動性が良好で成型時にウェルドなどの成形不良の無い熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いた発光ダイオード用のパッケージ及びそれを用いて製造された発光ダイオードに関する。
従来、発光ダイオードとしてはパッケージを用いた表面実装タイプのものが製造されているが、そのパッケージ用材料としては、セラミック、ポリアミド樹脂又はポリエステル樹脂等が主として用いられている。
ところが、セラミックをパッケージ用材料として用いた場合には、セラミックの成型加工性が良くないことから一般に工業的な適用性が狭くなる。また、発光ダイオードの製造にはパッケージ内にエポキシ樹脂等の封止剤(モールド材)を充填することが一般的であるが、その場合、セラミックとエポキシ樹脂等の封止剤との線膨張係数の差が大きいため、熱応力等により封止剤にクラックが発生して発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題もある。さらに、セラミックは光線反射率が低く発光ダイオードとしての光取り出し効率が低下してしまうという問題もある。
ポリアミド樹脂をパッケージ用材料として用いた場合には、ポリアミド樹脂は耐光劣化により着色するという問題があるため長期使用するとパッケージ表面での反射率が低下して発光ダイオードの輝度が低下するといった問題がある。また、ポリアミド樹脂の耐光劣化のため封止剤との接着性が低下して、発光ダイオードの信頼性を低下させるという問題もある。
ポリエステル樹脂をパッケージ用材料として用いた場合には、耐熱性が十分でないために耐はんだリフロー性に乏しく、工業的な適用性に制限があるという問題がある。
これらの問題を解決するため、熱硬化性樹脂に無機充填材及び白色顔料を配合してなる熱硬化性樹脂組成物が報告されている。例えば特許文献1には、エポキシ樹脂と無機充填材と白色顔料からなる光反射用樹脂組成物タブレット、及び該タブレットを用いたトランスファー成形で得られる発光ダイオード用パッケージが記載されている。しかしながら、エポキシ樹脂の耐熱性が十分ではないため、得られるパッケージの耐熱耐光性には課題があった。
一方、エポキシ樹脂より耐熱耐光性に優れるシリコーン系樹脂を用いた白色熱硬化性樹脂組成物が、特許文献2及び3に報告されている。特許文献2には、融点40〜130℃の熱硬化性シリコーンと白色顔料と無機充填材からなる硬化性樹脂組成物が記載されている。熱硬化性シリコーンの融点を40℃以上にすることで硬化性樹脂組成物を固体状に維持できるため、トランスファー成形の適用を容易にしている。しかしながら、熱硬化性シリコーンを白色顔料及び無機充填材と均一に配合するためには、融点以上で溶融混練した後、冷却、粉砕する必要があり、工程が煩雑になって設備の負荷が増大する問題があるほか、熱によって硬化が進行して成形性が低下するなどの問題があった。また、熱硬化性シリコーンの融点以下で白色顔料及び無機充填材と配合する場合には、全ての成分が固体状であることから混合が不均一になるという問題があった。
特許文献3では、シリコーン系樹脂に白色顔料と無機充填材を配合した熱硬化性樹脂組成物を用いた発光ダイオードのパッケージが提案されている。このシリコーン系樹脂は常温で液体であるので、白色顔料と無機充填材との均一混合は容易になるが、得られる熱硬化性樹脂組成物はペースト状である。そのため、該熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形に適用するには、ペーストのハンドリング、計量、搬送、成形機への供給などが非常に困難であることから、パッケージの生産性が低いことが課題であった。
特開2008−112977号公報 特開2009−155415号公報 特開2005−146191号公報
従って、本発明の課題は、流動性が良好で成型時にウェルドなどの成形不良の無い熱硬化性樹脂組成物、この方法により製造された熱硬化性樹脂組成物を用いた発光ダイオードのパッケージ及びそれを用いて製造された発光ダイオードを提供することである。
上記課題を解決するために発明者らは鋭意研究の結果、熱硬化性樹脂と平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程により得られた熱硬化性樹脂組成物は流動性が良く、光半導体素子用パッケージの成形時にウェルドなどの充填不良が起こらないことから、製品の歩留まりを大幅に向上できることを見出し、発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の構成を成す。
1).熱硬化性樹脂と無機充填材と白色顔料からなる熱硬化性樹脂組成物を混合及び/又は混練する工程であって、熱硬化性樹脂と平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程により得られることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
2).直径1mm、長さ10mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度170度、荷重50kgの条件下で溶融粘度の測定値が15〜30Pa・sであることを特徴とする1)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
3).前記、熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする1)および2)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
4).前記、平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材が、シリカ、石英、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機充填材、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、中空粒子からなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1)から3)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
5).前記、平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料が酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1)から4)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
6).前記、熱硬化性樹脂組成物が、(a)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(b)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(c)ヒドロシリル化触媒、(d)SiH基もしくはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物、を含有することを特徴とする1)〜5)いずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
7).1)から6)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を加圧下で成形することを特徴とする発光ダイオードのパッケージ用熱硬化性樹脂組成物タブレット。
8).7)に記載の発光ダイオードのパッケージ用熱硬化性樹脂組成物タブレットをトランスファー成形して得られる発光ダイオード用のパッケージ。
9).7)に記載の熱硬化性樹脂組成物タブレットを成形してなり460、480nmにおける分光反射率が80%R以上であることを特徴とする発光ダイオード用のパッケージ。
10).8)および9)に記載の発光ダイオード用のパッケージを用いて製造された発光ダイオード。
11).熱硬化性樹脂と無機充填材と白色顔料からなる熱硬化性樹脂組成物を混合及び/又は混練する工程であって、熱硬化性樹脂と平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程を含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
12).熱硬化性樹脂と無機充填材と白色顔料からなる熱硬化性樹脂組成物を混合及び/又は混練する工程であって、熱硬化性樹脂と平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程を含む工程により製造された熱硬化性樹脂組成物を加圧下で成形することを特徴とする発光ダイオードのパッケージ用熱硬化性樹脂組成物タブレットの製造方法。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いれば、成形温度における溶融粘度が低くなることから光半導体素子用パッケージのウェルド等の充填不良が起こらず、製品の歩留まりが大幅に向上する。
以下、実施形態を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程により得られ、流動性が良いことから光半導体素子用パッケージの成形時にウェルドなどの充填不良が起こらないことから、製品の歩留まりが大幅に向上する熱硬化性樹脂組成物である。
(熱硬化性樹脂組成物の混合および混練方法)
本発明は、熱硬化性樹脂に平均粒径が異なる複数のフィラーを混練する製造方法に関するもので、手順を以下に説明する。第一工程で、内部離型剤等の添加物を含有する熱硬化性樹脂と平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材を所定の配合量で仕込み、リボンブレンダー等公知の混合装置による混合を行う。第二工程では、第一工程で得られた熱硬化性樹脂組成物に平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を所定の配合量で仕込み、リボンブレンダー等公知の混合装置による混合を行った後、ミキシングロールに該熱硬化性樹脂組成物を供給する。本発明では、ミキシングロールのギャップは0.5〜3mmの間で任意に設定できる。ロールのギャップが3mmを超えると、熱硬化性樹脂組成物にせん断がかからず、効率的に混練することができない。またギャップが0.5mmより狭いとき、装置に負荷がかかるため好ましくない。好ましい混練方法としては、まず3mm程度のギャップで熱硬化性樹脂組成物の予備混合品を数回混練し、段階的に0.5mmまでギャップを狭くして混練することでフィラーを均一分散できる。
(高化式フローテスターによる溶融粘度測定)
混練した熱硬化性樹脂組成物の好ましい溶融粘度は15〜30Pa・sであり、さらに好ましくは19〜28Pa・sである。ここでいう溶融粘度とは、高化式フローテスターを用いて、170度、荷重50kgの条件下で測定した溶融粘度のことを言う。溶融粘度が15Pa・s未満の場合、トランスファー成型時にフラッシュバリが多くなり、金型および成形品の汚染につながる場合があり、また、溶融粘度が30Pa・s以上の場合、トランスファー成型時に未充填箇所を生じて成形不良となる場合がある。
平均粒径が1.1〜50μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程を取らない場合、例えば一括で混合及び/又は混練したり、混合順序を反対にした場合に、溶融粘度が30Pa・s以上になる熱硬化性樹脂に本発明を適用することが特に望ましい。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は特に限定されないが、公知の材料である、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂を用いることができる。
<エポキシ樹脂および変性エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料で一般に使用されているものを用いることができ、特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換ビフェノール等のジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロロヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、及び脂環族エポキシ樹脂等があり、これらは単独でも、2種以上併用してもよい。また、使用するエポキシ樹脂は比較的着色のないものであることが好ましく、そのようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートを挙げることができる。
また、変性エポキシ樹脂も好適に用いることができる。そのような変性エポキシ樹脂としては、エポキシ基と反応性良好なアミノ基を1分子中に少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンで変性された変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂および変性脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ樹脂に硬化剤や硬化促進剤を併用してもよい。硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応するものであれば、特に制限なく使用することができるが、比較的着色のないものが好ましい。例えば、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤などが挙げられる。酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、無水グルタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられ、単独で用いても、二種以上併用しても良い。これら酸無水物系硬化剤の中では、無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を用いることが好ましい。また、酸無水物系硬化剤は、その分子量が140〜200程度のものが好ましく、また、無色ないし淡黄色の酸無水物が好ましい。
また、上記硬化剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、硬化剤におけるエポキシ基と反応可能な活性基(酸無水基または水酸基)が0.5〜1.5当量となるように配合することが好ましく、0.7〜1.2当量となるように配合することがより好ましい。活性基が0.5当量未満の場合には、エポキシ樹脂組成物の硬化速度が遅くなるとともに、得られる硬化体のガラス転移温度が低くなる場合があり、一方、1.5当量を超える場合には、耐湿性が低下する場合がある。
上記硬化促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、トリ−2,4,6−ジメチルアミノメチルフェノールなどの3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウム−o,o−ジエチルホスホロジチオエートなどのリン化合物、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、あるいは、併用してもよい。これら硬化促進剤の中では、3級アミン類、イミダゾール類、リン化合物を用いることが好ましい。
また、硬化促進剤の含有率は、エポキシ樹脂に対して、0.01〜8.0重量%であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜3.0重量%である。硬化促進剤の含有率が、0.01重量%未満では、充分な硬化促進効果を得られない場合があり、また、8.0重量%を超えると、得られる硬化体に変色が見られる場合がある。
<シリコーン樹脂>
シリコーン樹脂は、以下のように縮合型シリコーン樹脂と付加型シリコーン樹脂に分類できる。
<縮合型シリコーン樹脂>
本発明に係る熱硬化性オルガノポリシロキサンは、シラノール基含有オルガノポリシロキサンで、特に下記平均組成式(1)
1 aSi(OR2b(OH)c(4-a-b-c)/2(1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の有機基、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数である。)
で表されるシリコーンポリマーである。
ここで、R1における有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等の炭素数1〜20の非置換又は置換1価炭化水素基が挙げられ、上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基がより好ましく、例えばビニル基、アリール基、プロペニル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、炭素数6〜10のものがより好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、炭素数7〜10のものがより好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
また、上記非置換の1価炭化水素基の水素原子の1個又はそれ以上をハロゲン原子、シアノ基等で置換した置換1価炭化水素基であってもよい。
上記平均組成式(1)のR1は、これらの中でも、特にメチル基又はフェニル基であることが好ましい。
上記平均組成式(1)中、R2は同一又は異種の炭素数1〜4の有機基であり、例えばアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。また、OR2はシロキサン樹脂の末端基のうち、シラノ−ル基(Si−OH)以外の部分を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、原料の入手が容易なメトキシ基、イソプロポキシ基が好ましい。
上記平均組成式(1)中、a、b及びcは、0.8≦a≦1.5、0≦b≦0.3、0.001≦c≦0.5、0.801≦a+b+c<2を満たす数であり、より好ましくは、0.9≦a≦1.3、0.001≦b≦0.2、0.01≦c≦0.3、0.911≦a+b+c≦1.8である。R1の含有量aが0.8未満では硬くなり、クラック防止性が低下し、1.5を超えると有機基が多くなって疎水性が高くなり、かつ柔らかくなるため、クラック防止効果がなくなる。OR2の含有量bが0.3を超えると末端基量が多くなり、分子量が小さくなる傾向であるため、クラック防止性能が発現しなくなる。OHの含有量cが0.5を超えると加熱硬化時の縮合反応に関与してくる比率が高まり、高硬度ではあるが、耐クラック性に乏しくなる。cが0.001未満では、融点が高くなる傾向があり、作業性に問題が生じる。cを制御する条件としては、アルコキシ基の完全縮合率を86〜96%にすることが好ましく、86%未満では、融点が低くなり、96%を超えると融点が高くなりすぎる傾向となる。
このような上記平均組成式(1)の熱硬化性オルガノポリシロキサンは、一般に4官能シラン由来のQ単位[SiO4/2]、3官能シラン由来のT単位[R1SiO3/2(R1は上記の通り、以下同じ。)]、2官能シラン由来のD単位[R1SiO2/2]、1官能シラン由来のM単位[R1SiO1/2]の組み合わせで表現することができるが、前記熱硬化性オルガノポリシロキサンをこの表記法で表した時、全シロキサン単位の総モル数に対し、R1SiO3/2で表されるT単位の含有モル数の比率が70モル%以上、望ましくは75モル%以上、特に望ましくは80モル%以上であることが好ましい。T単位が70モル%未満では、硬度、密着性、概観等の総合的なバランスが崩れる場合がある。なお、残部は、M、D、Q単位でよく、これらの和が30モル%以下であることが好ましい。融点に対しては、Q及びT単位が多くなるほど融点が高くなり、D、M単位が多くなるほど、融点が低くなる傾向がある。R1SiO3/2で表されるT単位の含有モル数の比率が70モル%以上、残りの30モル%以下がD単位であることがより好ましい。
前記熱硬化性オルガノポリシロキサンの融点は、40〜130℃であり、好ましくは70〜80℃である。40℃未満の場合には、固体状でなくなり、固体表面のベタツキが多くなってトランスファー成形が難しくなり、130℃を超える場合は、流動性がなくなり、トランスファー成形が困難となる。
このような熱硬化性オルガノポリシロキサンは、下記一般式(2)
1 nSiX4-n(2)
(式中、R1は上記の通りである。Xは塩素等のハロゲン原子又はアルコキシ基、特に炭素数1〜4のアルコキシ基で、nは1、2又は3である。)で示されるオルガノシランの加水分解縮合物として得ることができる。
この場合、Xとしては、固体状のオルガノポリシロキサンを得る点からは、ハロゲン原子、特に塩素原子であることが好ましい。
また、上記一般式(2)におけるnは、1〜3の整数を表す。nが2又は3である場合、即ちR1が複数ある場合、各R1は互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。nは、固形状のポリシロキサンを得ることができる点で、n=1であることが好ましい。
上記一般式(2)で表されるシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のオルガノトリクロロシラン及びオルガノトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等のジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。特にメチルトリクロロシランを用いることが好ましい。また、これにフェニルトリクロロシランを併用することも有効である。
なお、これらシラン化合物は、T単位を70モル%以上含むシラノール基含有オルガノポリシロキサンを得る点から、トリクロロシランやトリアルコキシシランの使用量を選定することが好ましい。
上記加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解及び縮合は、通常の方法で行えばよいが、例えば酢酸、塩酸、硫酸等の酸触媒、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ触媒の存在下で行うことが好ましい。例えば加水分解性基としてクロロ基を含有するシランを使用する場合は、水添加によって発生する塩酸を触媒として、目的とする適切な分子量の加水分解縮合物を得ることができる。
加水分解及び縮合の際に添加される水の量は、上記加水分解性基を有するシラン化合物中の加水分解性基(例えばクロロ基の場合)の合計量1モル当り、通常、0.9〜1.6モルであり、好ましくは1.0〜1.3モルである。この添加量が0.9〜1.6モルの範囲を満たすと、後述の組成物は作業性が優れ、その硬化物は強靭性が優れたものとなる。
上記加水分解性基を有するシラン化合物は、通常、アルコール類、ケトン類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類等の有機溶剤中で加水分解して使用することが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、芳香族化合物としてトルエン、キシレンが好ましく、組成物の硬化性及び硬化物の強靭性が優れたものとなるので、イソプロピルアルコール、トルエン併用系がより好ましい。
この場合、加水分解及び縮合の反応温度は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは20〜100℃である。反応温度がかかる範囲を満たすと、ゲル化することなく、次の工程に使用可能な固体の加水分解縮合物が得られる。
具体的合成方法として、メチルトリクロロシランを用いる場合、トルエンに溶解したメチルトリクロロシランに、水及びイソプロピルアルコールを添加して部分加水分解(反応温度−5〜100℃)し、その後残存するクロロ基の全量を加水分解する水を添加して、反応させることにより、融点76℃の固体シリコーンポリマーが得られる。
こうして目的とするオルガノポリシロキサンが得られる。このオルガノポリシロキサンの融点は、50〜100℃であり、好ましくは、70〜80℃である。50℃未満及び100℃を超えた場合には、次工程の混合作業性で混練りが難しくなる問題が発生する。
本発明のオルガノポリシロキサンを硬化させる場合には、硬化触媒(縮合触媒)と混合して組成物を調製する必要がある。この縮合触媒は、上記オルガノポリシロキサンの安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。例えば、有機金属触媒として、有機酸亜鉛、ルイス酸触媒、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が好適に用いられ、具体的にはオクチル酸亜鉛、安息香酸亜鉛、p−tert−ブチル安息香酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、エチルアセトアセテートアルミニウムジ(ノルマルブチレート)、アルミニウム−n−ブトキシジエチルアセト酢酸エステル、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸錫等が例示される。
硬化触媒の添加量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対して、好ましくは0.0001〜10質量部、特に好ましくは0.001〜1.0質量部である。添加量がかかる範囲を満たすと、硬化性が良好であり、安定したものとなる。
また本発明のオルガノポリシロキサンの硬化性・硬化物の硬度などを損なわない程度に、内部離型材を配合することができる。内部離型材は、成形時の離型性を高めるために配合するものであり、全組成物に対して0.2〜5質量%含有するように添加するものである。内部離型材としては、カルナバワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスなどがあるが、中でも融点が120〜140℃のステアリン酸カルシウムを用いるのが望ましく、高温放置下や光照射下においても、黄変性を抑え、かつ長時間に亘り良好な離型性を継続して保持する。
<付加型シリコーン樹脂>
本発明に係る付加型シリコーン樹脂は、すなわち(A)二重結合基を有する有機ケイ素化合物、(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(C)白金系触媒を必須成分とする付加硬化型シリコーン樹脂組成物が好適に使用される。
(A)成分:
(A)成分には、下記一般式(3):
123SiO−(R45SiO)a−(R67SiO)b−SiR123 (3)(式中、R1は二重結合基含有一価炭化水素基を示し、R2〜R7はそれぞれ同一又は異種の一価炭化水素基を示し、このうちR4〜R7は、好ましくは脂肪族不飽和結合を除く一価炭化水素基を示し、また、R6及び/又はR7は芳香族一価炭化水素基を示し、0≦a+b≦500、好ましくは10≦a+b≦500の整数であり、0≦a≦500、好ましくは10≦a≦500、0≦b≦250、好ましくは0≦b≦150の整数である。)
で示されるオルガノポリシロキサンを使用することができる。
この場合、R1は炭素数2〜8、特に2〜6のアルケニル基で代表される脂肪族不飽和結合を有し、R2〜R7は炭素数1〜20、特に1〜10の範囲にあるものが好適であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられるが、このうちR4〜R7は好適にはアルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除くアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。また、R6及び/又R7はフェニル基やトリル基などの炭素数6〜12のアリール基等の芳香族一価炭化水素基であることが望ましいものである。
上記一般式(3)のオルガノポリシロキサンは、例えば主鎖を構成する環状ジメチルポリシロキサン、環状ジフェニルポリシロキサン、環状メチルフェニルポリシロキサン等の環状ジオルガノポリシロキサンと、末端基を構成するジビニルテトラメチルジシロキサン、ジメチルテトラビニルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、ジフェニルテトラビニルジシロキサン、ジビニルテトラフェニルジシロキサン等のジシロキサンとのアルカリ平衡化反応によって得ることができるが、この場合、通常、シラノール基及びクロロ分は含有されない。
上記一般式(3)のオルガノポリシロキサンとしては、具体的に下記のものが例示される。
Figure 0006087127
(上記式において、k,mは、0≦k+m≦500を満足する整数であり、好ましくは5≦k+m≦250で、0≦m/(k+m)≦0.5を満足する整数である。)
(A)成分には、上記一般式(3)の直鎖構造を有するオルガノポリシロキサンの他、必要に応じて、3官能性シロキサン単位、4官能性シロキサン単位等を含む三次元網目構造を有するオルガノポリシロキサンを併用することもできる。
(A)成分中の二重結合基の含有量は、全一価炭化水素基の1〜50モル%、好ましくは2〜40モル%、より好ましくは5〜30モル%である。二重結合基の含有量が1モル%よりも少ないと硬化物が得られず、50モル%よりも多いと機械的特性が悪くなることがあるため好ましくない。
また、(A)成分中の芳香族基の含有量は、全一価炭化水素基の0〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは20〜80モル%である。芳香族基は樹脂中に適量含まれた方が、機械的特性が良く製造もしやすいという利点がある。また、芳香族基の導入により屈折率を制御できることも利点として挙げられる。
(B)成分:
(B)成分には、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。かかるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、架橋剤として作用するもので、該成分中のSiH基と(A)成分のビニル基等の二重結合含有基(典型的にはアルケニル基)とが付加反応することにより、硬化物を形成するものである。
また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、芳香族炭化水素基を有することで、前記(A)成分の二重結合基を有する有機ケイ素化合物が高屈折率の場合に相溶性を高め、透明な硬化物を与えることができる。従って、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、芳香族一価炭化水素基を持ったオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、(B)成分の一部又は全部として含ませることができる。
また、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、グリシジル構造を持ったオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、(B)成分の一部又は全部として含ませることができ、オルガノハイドロジェンポリシロキサンはグリシジル構造含有基を有することで、基板との接着性の高い熱硬化性樹脂組成物を与えることができる。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、これらに限られるものではないが、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、1−グリシドキシプロピル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−グリシドキシプロピル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−グリシドキシプロピル−5−トリメトキシシリルエチル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、トリメトキシシラン重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体などが挙げられる。
また、下記構造で示される単位を使用して得られるオルガノハイドロジェンポリシロキサンも用いることができる。
Figure 0006087127
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては下記のものが挙げられる。
Figure 0006087127
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目構造のいずれであってもよいが、一分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は2個以上、好ましくは2〜1,000個、より好ましくは2〜300個程度のものを使用することができる。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分の二重結合基(典型的にはアルケニル基)1個当たり(B)成分中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)を0.75〜2.0個与えるに十分な量を含むことが好ましい。
(C)成分:
(C)成分には、白金系触媒が用いられる。白金系触媒には塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、キレート構造を有する白金錯体等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
これらの触媒成分の配合量は、硬化有効量であり所謂触媒量でよく、通常、前記(A)
及び(B)成分の合計量100質量部当り、白金族金属の質量換算で0.1〜500ppm、特に0.5〜100ppmの範囲で使用される。
(D)その他の成分:本発明に使用する付加硬化型シリコーン樹脂組成物は、上述した(A)〜(C)成分を必須成分とするが、これに必要に応じて各種のシランカップリング剤を添加してもよい。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等や、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン及びそのオリゴマー等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独でも2種以上混合して使用することも可能である。
シランカップリング剤の配合量は、組成物全体の10質量%以下(0〜10質量%)、特に5質量%以下(0〜5質量%)程度配合することが好ましい。
また、熱硬化性樹脂は、耐光性及び耐熱性の点から、(a)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(b)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(c)ヒドロシリル化触媒、t(d)SiH基もしくはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物、を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を用いてもよい。以下、各成分について詳細に説明する。
((a)成分)
(a)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物であれば特に限定されない。
((a)成分の骨格)
(a)成分の骨格としてはシロキサンであってもよい。この場合、具体的にはビニル基を有するシロキサン化合物、ポリシロキサンを例示することができ、例えば、
n(CH2=CH)mSiO(4-n-m)/2
(式中、Rは水素原子、水酸基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる基であり、n、mは0≦n<4、0<m≦4、0<n+m≦4を満たす数)で表される化合物であり、より具体的には、末端基あるいは側鎖基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンや、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンなどを挙げることができる。
強度が高くなりやすい、接着性が高くなりやすいという点においては、(a)成分としては有機骨格を有するものが好ましい。
有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。
(a)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
((a)成分が重合体の場合の例)
有機重合体系の(a)成分としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の骨格を有するものを挙げることができる。
これらのうち、ポリエーテル系重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。さらに具体的な例を示すと、
Figure 0006087127
(式中、R1、R2は構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない炭素数1〜6の2価の有機基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
その他の重合体としては、例えばアジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールとの縮合またはラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体、エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系(飽和炭化水素系)重合体、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルと酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等とのアクリル酸エステル系共重合体、前記有機重合体中でビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ε−アミノカプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、ε−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン
11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体、例えばビスフェノールAと塩化カルボニルより重縮合して製造されたポリカルボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)骨格としては、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アンモニアレゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂などが挙げられる。
これらの重合体骨格に、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基を導入して(a)成分とすることができる。
この場合、炭素−炭素二重結合を有するアルケニル基は分子内のどこに存在してもよいが、反応性の点から側鎖または末端に存在する方が好ましい。
アルケニル基を前記重合体骨格に導入する方法については、種々提案されているものを用いることができるが、重合後にアルケニル基を導入する方法と重合中にアルケニル基を導入する方法に大別することができる。
重合後にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、末端、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有する有機重合体に、その官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物を反応させることによりアルケニル基を末端、主鎖あるいは側鎖に導入することができる。上記官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド等のC3〜C20の不飽和脂肪酸、酸ハライド、酸無水物等やアリルクロロホルメート(CH2=CHCH2OCOCl)、アリルブロモホルメート(CH2=CHCH2OCOBr)等のC3〜C20の不飽和脂肪族アルコール置換炭酸ハライド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル、1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン、アリルイソシアネート等が挙げられる。
また、エステル交換法を用いてアルケニル基を導入する方法がある。この方法はポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基をエステル交換触媒を用いてアルケニル基含有アルコール又はアルケニル基含有フェノール誘導体とエステル交換する方法である。アルコール残基との交換に用いるアルケニル基含有アルコール及びアルケニル基含有フェノール誘導体は、少なくとも1個のアルケニル基を有し少なくとも1個の水酸基を有するアルコール又はフェノール誘導体であれば良いが、水酸基を1個有する方が好ましい。触媒は使用してもしなくても良いが、チタン系および錫系の触媒が良い。
上記化合物の例としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オール、2−(アリルオキシ)エタノール、ネオペンチルグリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールエタントリアリルエーテル、ペンタエリストールテトラアリルエーテル、1,2,6−ヘキサントリオールトリアリルエーテル、ソルビタントリアリルエーテル、
Figure 0006087127
などが挙げあれる。この中でも、入手の容易さから、アリルアルコール、ビニルアルコール、3−ブテン−1−オール、2−(アリルオキシ)エタノール、および
Figure 0006087127
が好ましい。
さらに、上記アルコール又はフェノール誘導体の酢酸エステル等のエステル化物とポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分をエステル交換触媒を用いてエステル交換しながら、生成するポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基の酢酸エステル等の低分子量エステル化物を減圧脱揮等で系外に留去する方法でアルケニル基を導入する方法もある。
また、リビング重合によりメチル(メタ)アクリレート等の重合を行った後、リビング末端をアルケニル基を有する化合物によって停止させる方法により末端にアルケニル基を導入することもできる。
重合中にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、ラジカル重合法で本発明に用いる(a)成分の有機重合体骨格を製造する場合に、アリルメタクリレート、アリルアクリレート等の分子中にラジカル反応性の低いアルケニル基を有するビニルモノマーや、アリルメルカプタン等のラジカル反応性の低いアルケニル基を有するラジカル連鎖移動剤を用いることにより、有機重合体骨格の側鎖や末端にアルケニル基を導入することができる。
(a)成分としては、分子量は特に制約はないが、100〜100,000の任意のものが好適に使用でき、アルケニル基含有有機重合体であれば500〜20,000のものが特に好ましい。分子量が500以下では可とう性の付与等の有機重合体の利用による特徴が発現し難く、分子量が100,000以上ではアルケニル基とSiH基との反応による架橋の効果が発現し難い。
((a)成分が単量体の場合の例)
有機単量体系の(a)成分としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
((a)成分の炭素−炭素二重結合)
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(I)
Figure 0006087127
(式中R1は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0006087127
示される基が特に好ましい。
(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)
Figure 0006087127
(式中R2は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0006087127
示される脂環式の基が特に好ましい。
((a)成分の炭素−炭素二重結合と骨格の結合基)
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(a)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲン以外の元素を含まないものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 0006087127
Figure 0006087127
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 0006087127
が挙げられる。
((a)成分の具体例)
有機重合体系の(a)成分の具体的な例としては、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 0006087127
(式中、R1はHまたはCH3、R2、R3は構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲン以外の元素を含まない炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0006087127
(式中、R1はHまたはCH3、R4、R5は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0006087127
(式中、R1はHまたはCH3、R6、R7は炭素数1〜20の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0006087127
(式中、R1はHまたはCH3、R8、R9は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、lは1〜300の数を表す。)
Figure 0006087127
(式中、R1はHまたはCH3、R10、R11、R12は炭素数1〜6の2価の有機基、X、Yは炭素数0〜10の2価の置換基、n、m、l、pは1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
有機単量体系の(a)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2,−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、
Figure 0006087127
Figure 0006087127
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
(a)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
((a)成分の好ましい要件)
(a)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(a)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(b)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
(a)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
(a)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点、原料液の糸引き性が少なく取扱い性が良好であるという観点、後述の白色顔料や無機充填材などの粉体との均一な混合が容易という観点、および熱硬化性樹脂組成物タブレットの成形性が良好であるという観点から、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
(a)成分としては、他の成分、特に後述の白色顔料や無機充填材などの粉体との均一な混合を容易にするため、更に詳しくは均一な混合のために融点以上に加熱して液体化させる必要がないことから、23℃において液体であることが好ましく、その粘度としては23℃において50Pa秒以下のものが好ましく、20Pa秒以下のものがより好ましく、5Pa秒以下のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(a)成分としては、耐光性がより高いという観点から、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
また、特に耐光性が良好であるという観点からは、芳香環の(a)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
得られる硬化物の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、(a)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
((a)成分の好ましい構造1)
(a)成分としては、耐熱性および耐光性が特に高いという観点からは、下記一般式(III)
Figure 0006087127
(式中R1は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのR1は異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(III)のR1としては、得られる硬化物の耐熱性がより高くな
りうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 0006087127
等が挙げられる。
上記一般式(III)のR1としては、パッケージとリードフレームあるいは
封止剤との接着性が良好になりうる、あるいは得られるパッケージの力学強度が高くなり得るという観点からは、3つのR1のうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
Figure 0006087127
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいR1の例としては、グリシジル基、
Figure 0006087127
等が挙げられる。
上記一般式(III)のR1としては、得られる硬化物の耐熱性が良好になり
うるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR1の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 0006087127
等が挙げられる。
上記一般式(III)のR1としては、反応性が良好になるという観点からは
、3つのR1のうち少なくとも1つが
Figure 0006087127
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(IV)
Figure 0006087127
(式中R2は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのR1のうち少なくとも2つが下記一般式(V)
Figure 0006087127
(式中R3は直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、R4は水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のR3およびR4はそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
上記一般式(V)のR3は、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基
であるが、得られるパッケージの耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいR3の例としては、
Figure 0006087127
等が挙げられる。
上記一般式(V)のR3としては、得られるパッケージの耐熱性が良好になり
うるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいR3の例としては、
Figure 0006087127
が挙げられる。
上記一般式(V)のR4は、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良
好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい例に
おいても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
以上のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい具体例として
は、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 0006087127
等が挙げられる。
((a)成分の好ましい構造2)
また、(b)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(a)成分の揮発性が低くなり、得られるパッケージからのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(a)成分の例として上記したような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物と、SiH基を有する化合物(β)との反応物も好ましい。
((β)成分)
(β)成分は、SiH基を有する化合物であり、SiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンもその例である。
具体的には、例えば
Figure 0006087127
Figure 0006087127
が挙げられる。
ここで、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(VI)
Figure 0006087127
(式中、R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基R1は、C、H、O以外の構成元
素を含まないものが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(β)成分のその他の例として、ビスジメチルシリルベンゼンなどのSiH基を有する化合物をあげることができる。
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分の反応)
次に、本発明の(a)成分として、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
尚、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(a)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(a)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、反応中のゲル化が抑制できるという点においては、一般に、混合するSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、X/Y≧2であることが好ましく、X/Y≧3であることがより好ましい。また(a)成分の(b)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧X/Yであることが好ましく、5≧X/Yであることがより好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10-8モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10-2モル、より好ましくは10-1モルであり、好ましい添加量の上限は102モル、より好ましくは10モルである。
反応させる場合のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物に触媒を混合したものを、(β)成分に混合する方法が好ましい。SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものにSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(a)成分が揮発分を有さないため(b)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
以上のような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と(β)成分の反応物である(a)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルノルボルネンとビスジメチルシリルベンゼンとの反応物等を挙げることができる。
((a)成分のその他の反応性基)
(a)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
((a)成分の混合)
(a)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。特に、(a)成分が有機化合物である場合に、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物を併用することで、より小さな線膨張係数を有する硬化物を与える硬化性樹脂組成物とすることができる。この場合のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物を特に(d)成分とする。
((d)成分)
(d)成分のシリコーン化合物は、実質的にその骨格がSi−O−Si結合で形成されている化合物であり、直鎖状、環状、分枝状、部分ネットワークを有するもの等種々のものが用いられる。
この場合、骨格に結合した置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基、水酸基等の基を挙げることができる。これらのうち、耐熱性が高くなりやすいという点においては、メチル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基としては、ビニル基、アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基等を挙げることができるが、これらのうち反応性がよいという点においては、ビニル基が好ましい。
(d)成分の例としては次の式で表すことができるものであってもよい。
n(CH2=CH)mSiO(4-n-m)/2
(式中、Rは水酸基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる基であり、n、mは0≦n<4、0<m≦4、0<n+m≦4を満たす数)
(d)成分の例としては、末端基あるいは側鎖基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンや、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンなどを挙げることができる。(d)成分としては複数のものを混合して用いてもよい。
これらの内、本発明の効果がより得られやすいという点においては、ビニル基を末端に有する直鎖状ポリシロキサンが好ましく、ビニル基を両末端に有する直鎖状ポリシロキサンがより好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンがさらに好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンであって、全置換基に対するフェニル基の量が20モル%以上であるシロキサンであることが特に好ましい。
(d)成分の分子量としては、重量平均分子量(Mw)が1,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましい。分子量が高い場合にはさらに得られる硬化物が低応力となりやすい。また、(d)成分の分子量としては1,000,000以下であることが好ましく、100,000以下であることより好ましい。分子量が大きい場合には(a)成分との相溶性が得られにくくなる。
(d)成分の量としては、(a)成分および(b)成分の合計の重量に対する(d)成分の重量が30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
(b成分)
(b)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
(b)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、(a)成分との相溶性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(VI)
Figure 0006087127
(式中、R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基R1は、C、H、Oから構成され
るものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3
,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(b)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、流動性が高く後述の白色顔料や無機充填材などの粉体と均一に混合しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
(b)成分としては、他の成分、特に後述の白色顔料や無機充填材などの粉体との均一な混合を容易にするため、更に詳しくは均一な混合のために融点以上に加熱して液体化させる必要がないことから、23℃において液体であることが好ましく、その粘度としては23℃において50Pa秒以下のものが好ましく、20Pa秒以下のものがより好ましく、5Pa秒以下のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(b)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((b)成分の好ましい構造)
(a)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(b)成分の揮発性が低くなり得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(b)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
((α)成分)
ここで(α)成分は上記した(a)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と同じもの(α1)も用いることができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい。
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性となりやすい。
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(b)成分が(a)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(α2)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物、シリコン系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(I)
Figure 0006087127
(式中R1は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0006087127
示される基が特に好ましい。
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(II)
Figure 0006087127
(式中R2は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0006087127
で示される脂環式の基が特に好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(α2)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、(b)成分が(a)成分と相溶性がよくなりやすいという点においては、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 0006087127
Figure 0006087127
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 0006087127
が挙げられる。
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
(α2)成分の構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
(α2)成分のガラス転位温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、ガラス点移転温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転位温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。ガラス転位温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
(α2)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、炭化水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
(α2)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記のような(α1)成分あるいは/および(α2)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物であり、鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンもその例である。
具体的には、例えば
Figure 0006087127
Figure 0006087127
が挙げられる。
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(VI)
Figure 0006087127
(式中、R1は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(V)で表される化合物中の置換基R1は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
(β)成分のその他の例として、ビスジメチルシリルベンゼンなどのSiH基を有する化合物をあげることができる。
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((α)成分と(β)成分の反応)
次に、本発明の(b)成分として、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、(α)成分と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
尚、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(b)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(b)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(α)成分と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる(b)成分と(a)成分とのヒドロシリル化による硬化物の強度を考えた場合、(b)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する(α)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(b)成分の(a)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10-8モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10-2モル、より好ましくは10-1モルであり、好ましい添加量の上限は102モル、より好ましくは10モルである。
反応させる場合の(α)成分、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(α)成分に触媒を混合したものを、(β)成分に混合する方法が好ましい。(α)成分、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものに(α)成分を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
(α)成分と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応の(α)成分あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(b)成分が揮発分を有さないため(a)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(b)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルノルボルネンとビスジメチルシリルベンゼンとの反応物等を挙げることができる。
((a)成分と(b)成分の混合)
(a)成分と(b)成分の組合せについては(a)成分の例として挙げたものおよびそれらの各種混合物/(b)成分の例として挙げたものおよびそれらの各種混合物、の各種組み合わせを挙げることができる。
(a)成分と(b)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されないが、(b)成分中のSiH基の数(Y)の(a)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X≧0.3、より好ましくはY/X≧0.5、さらに好ましくはY/X≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X、より好ましくは2≧Y/X、さらに好ましくは1.5≧Y/Xである。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
((c)成分)
(c)成分はヒドロシリル化触媒である。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(b)成分のSiH基1モルに対して10-8モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10-2モル、より好ましくは10-1モルであり、好ましい添加量の上限は102モル、より好ましくは10モルである。
(熱硬化性樹脂組成物)
熱硬化性樹脂は以下のように、サイズの異なる無機充填材および白色顔料を段階的に混練して熱硬化性樹脂組成物とする。具体的には、第一工程で熱硬化性樹脂と平均粒径が1.1μm〜50μmの無機充填材を混合し、第二工程で得られた組成物と平均粒径が0.1μm〜1.0μmの白色顔料を混合して、熱硬化性樹脂組成物を得る。なお、無機充填材の混練方法および混練装置は特に限定されないが、ライカイ機・ニーダー・ロール・ボールミル・プラネタリーミキサー・押出機・エクストルーダー等を用いることができる。また樹脂組成物によっては必要に応じて冷却・粉砕して混練する方法を挙げることができる。熱硬化性樹脂と無機充填材および白色顔料の混合の順番は、平均粒径がより大きな無機充填材を第一工程で混合・混練し、得られた組成物と白色顔料とを混合・混練することで流動性および成形性に優れた熱硬化性樹脂組成物を得られる。一般にフィラーの粒径が小さくなるほど、表面積が大きくなることが知られており、熱硬化性樹脂が特に平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料が酸化亜鉛の時、酸化亜鉛の混合・混練は第二工程で行うことが重要である。逆の手順で混練すると、第一工程で酸化亜鉛に熱硬化性樹脂の大部分が吸着されてしまい、第二工程で無機充填材の混練に強いせん断が必要となり、熱硬化性樹脂組成物に黄変が見られる。また、分散の終点までに長時間を要するため、生産性が大幅に悪化する。
(無機充填材)
無機充填材は、白色顔料として使用される白色顔料とは異なる。無機充填材は、得られる硬化物の強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化したりする効果を有する。
無機充填材としては特に限定されないが、例えば、石英、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機充填材、アルミナ、ジルコン、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、水酸化マグネシウム、炭酸バリウム、中空粒子、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の半導体封止材の充填材として一般に使用あるいは/および提案されている無機充填材等を挙げることができる。なかでも、石英、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機充填材、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、カーボンブラック、中空粒子を好適に用いることができる。なかでも、硬化反応を阻害し難く、線膨張係数の低減化効果が大きく、リードフレームとの接着性が高くなりやすいという観点からは、シリカ系無機充填材が好ましい。さらに、成形性、電気特性等の物性バランスがよいという点において溶融シリカが好ましく、パッケージの熱伝導性が高くなり易く放熱性の高いパッケージ設計が可能になるという点においては結晶性シリカが好ましい。より放熱性が高くなり易いという点ではアルミナが好ましい。その他、補強効果が高くパッケージの強度が高くなり易いという点においてはガラス繊維、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウムが好ましい。これら無機充填材は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
無機充填材の形状としては特に限定されず、破砕状、片状、球状、棒状等を用いることができるが、熱硬化性樹脂組成物タブレット中の含有率を高くしても成形性が良好となることから、球状あるいは丸みのある破砕状であることが好ましく、球状であることがより好ましい。
無機充填材の粒径としては、特に限定されないが、エポキシ系樹脂等の従来の半導体封止材の充填材として使用あるいは/および提案されている範囲のものを使用することができる。好ましい平均粒径の範囲は1.1〜50μmであるが、細部の充填性が良くなるという観点で、上限は30μmが望ましい。また、下限はタブレット表面のパサつきが無くなり、強度が向上するという観点から4.0μmが望ましい。
無機充填材の比表面積についても、特に限定されず、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、各種設定できる。
無機充填材としては、半導体素子へダメージを与え難いという観点から、低放射線性であることが好ましい。
また、無機充填材は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
(白色顔料)
白色顔料は、得られる硬化物の光線反射率を高める効果を有する。白色顔料としては種々のものを用いることができ、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニア、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、中空ガラス粒子、などが挙げられる。中でも、取り扱いの容易性や入手性、コストの観点から酸化チタンまたは酸化亜鉛が好ましい。得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化物の反射率が高くなるという観点からは酸化チタンおよび酸化亜鉛が好ましい。白色顔料の酸化チタンとしては種々のものを用いることができ、アナターゼ型であってもルチル型であってもよいが、光触媒作用がなく組成物が安定になりやすいという点ではルチル型であることが好ましい。白色顔料の酸化チタンの製造方法としても硫酸法、塩素法などいずれの方法により製造されたものも使用できる。
得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が高く、発光素子の高輝度化、小型化および高密度化に好適であるという観点からは、酸化亜鉛が好ましい。白色顔料の酸化亜鉛の製造方法としては乾式法、湿式法のいずれの方法により製造されたものも使用できる。
白色顔料の平均粒径としても種々のものが用いられるが、得られる硬化物の光線反射率が高くなりやすいという観点から、1.0μm以下のものが好ましく、0.80μm以下のものがより好ましく、0.60μm以下のものが最も好ましい。平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
白色顔料は表面処理が施されていても良い。
白色顔料の表面処理では、白色顔料の表面に無機化合物、有機化合物から選ばれる少なくとも1種を被覆する。無機化合物としては、例えば、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、チタニウム化合物、アンチモン化合物等が挙げられ、また、有機化合物としては、多価アルコール、アルカノールアミン又はその誘導体、有機シロキサン等の有機ケイ素化合物、高級脂肪酸又はその金属塩、有機金属化合物等が挙げられる。
白色顔料の表面に無機化合物や有機化合物を被覆する場合は、湿式法や乾式法の公知の方法を用いて、例えば白色顔料の乾式粉砕の際、スラリー化した際あるいは湿式粉砕した際に行うことができる。他にも、液相法、気相法等、種々の方法が挙げられる。
これらのなかでは、得られる硬化物の光線反射率が高く、耐熱耐光性が良好になることから有機シロキサン処理で処理されていることが好ましい。また、有機シロキサン処理された白色顔料を含有させることは、光取り出し効率が高く、長期間使用しても光取り出し効率が低下しない優良な発光ダイオードを作製するうえでも好適である。
その場合の有機シロキサン処理剤としては種々のものが適用される。例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサン、あるいはそれらの共重合体などのポリシロキサン類、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、などのシクロシロキサン類、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシランなどのクロロシラン類、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するシラン類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するシラン類、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基を有するシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシラン類、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等のアルキル基を有するシラン類、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のその他のシラン類等の各種シラン類で例示されるシランカップリング剤や、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどを挙げることができる。これらの表面処理剤としては炭素−炭素二重結合を含まないものであることが好ましく、炭素−炭素二重結合を含むと耐熱性が低下しやすくなる。また、有機シロキサン以外の表面処理を併用することも可能であり、Al、Zr、Zn等で処理することもできる。
また、無機化合物により表面処理されていてもよい。
無機化合物による表面処理について特に限定されず、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、等種々の表面処理が用いられる。白色顔料、特に酸化チタン等は、耐久性向上、媒体との親和性向上のため、あるいは、粒子形状の崩れを防止するなどの目的で無機化合物、有機化合物で表面処理する場合があるが、白色顔料を無機化合物で表面処理することで、熱硬化性樹脂組成物に含まれる成分との親和性が向上し、白色顔料の熱硬化性樹脂組成物に対する分散性が良くなり硬化物の強度が向上すると考えられる。
表面処理の方法としても各種方法を適用することができ、湿式法、乾式法、液相法、気相法等、種々の方法が例示できる。
白色顔料の量としては、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体に占める白色顔料の量が10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることがさらに好ましい。10重量%未満であると、得られる硬化物の光線反射率が低下することがある。
(熱硬化性樹脂組成物タブレット)
成形方法としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物の成形に一般的であるトランスファー成形や圧縮成形などの成形方法を用いることができる。これらの成形方法を用いる場合、原料である熱硬化性樹脂組成物がペースト状や粘土状であると、一定した形状を保持できず、互着や一体化、変形したりするため、計量や搬送、成形機への供給が非常に困難となる。一方、タブレット形状であると、計量や搬送、成形機への供給が容易となり、自動化も可能となって生産性が大幅に向上する。ここで言うタブレットとは、室温において一定した形状を保持し、経時的な形状の変化が実質的になく、また互いに接触させたときに互着や一体化することのない固体のことを意味する。本発明のタブレットの形状は、特に限定されず、円柱状、角柱状、円盤状、球状などの形状を含むが、トランスファー成形に一般的な円柱状が好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物のタブレット成形条件は、特に限定されないが、室温(0〜35℃)で、0.5〜20MPa、1〜5秒程度の条件下において加圧成形、具体的にはタブレット成形可能なものであることが望まれる。
熱硬化性樹脂組成物タブレットにタック性がある場合、熱硬化性樹脂組成物タブレットに有機及び/又は無機充填材で被覆することができる。充填材の種類およびサイズは特に限定されず、複数の充填材を用いて被覆しても良いが、成型性および該熱硬化性樹脂組成物を熱硬化して成形される硬化物組成の均一性が良好になるといった観点から、熱硬化性樹脂組成物中に含まれる充填材でタブレットを被覆することが望ましい。
熱硬化性樹脂組成物タブレットに充填材を被覆する方法については、充填材が熱硬化性樹脂組成物タブレットと一体化しうる方法であれば、特に制限は無い。好適な方法としては容器あるいは袋に充填材を入れ、機械を用いて振動により熱硬化性樹脂組成物タブレットに充填材を被覆する方法や、手動でふり掛ける方法などが挙げられる。
(硬化物の性状)
本発明の熱硬化性樹脂組成物タブレットを成形硬化すれば白色成形体を得ることができるが、硬化して得た白色成形体としては、表面の波長460nm及び/又は480nmの光線反射率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。表面の光線反射率は以下のように測定することができる。PETフィルムを離型フィルムとして用い、所定の温度条件でトランスファー成形にてボイドのない1.0mm厚の成形体を作成する。得られた成形体に必要に応じて所定の後硬化を実施する。得られた成形体について分光色差計(日本電色製VSS−400)を用いて460nm及び/又は480nmの拡散反射率を測定することにより求めることができる。
また、本発明の硬化物は、分光色差計(日本電色工業製VSS−400)を用いて得られる黄色度(YI)が12以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましい。黄色度(YI)が12より高いと、該熱硬化性樹脂組成物を成形して得られた発光ダイオードの色度ばらつきが生じてしまう。
さらに、本発明の硬化物は耐熱性に優れており、300℃1分の加熱後の反射率の保持率が高い。反射率保持率の値は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。反射率の保持率が85%未満の場合、半田付け工程で樹脂の変色が進行し、発光ダイオードの色度ばらつきの要因となる。
(発光ダイオードのパッケージ)
本発明で言う発光ダイオードのパッケージとは、発光ダイオード素子から出た光が照射されるように設計されたものであり、さらに好ましくは発光ダイオード素子から出た光を反射させて外部に取出すように設計されたものである。その形状等には特に制約はない。例えば、発光ダイオード素子を搭載するための凹部を有する形状のものでもよいし、単に平板状のものであってもよい。本発明の発光ダイオードのパッケージの表面は平滑であってもよいし、エンボス等のような平滑でない表面を有していてもよい。
形状についても特定されないが、半導体のパッケージが実質的に金属の片面に樹脂が成形されている形状を有する場合(MAPタイプ)において特に本発明の効果が得られやすい。
(発光ダイオードのパッケージの成形方法)
本発明で言う半導体パッケージの成形方法としては各種の方法が用いられる。例えば、射出成形、トランスファー成形、RIM成形、キャスティング成形、プレス成形等、熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に一般に用いられる各種成形方法が用いられる。これらの内、成形サイクルが短く成形性が良好であるという点においてはトランスファー成形が好ましい。成形条件も任意に設定可能であり、例えば成形温度についても任意であるが、硬化が速く成形サイクルが短く成形性が良好になりやすいという点においては100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上の温度が好ましい。上記のような各種方法によって成形した後、必要に応じて後硬化(アフターキュア)することも任意である。後硬化することで耐熱性が高くなり易い。
(発光ダイオード素子)
本発明で言う発光ダイオードの各種の発光ダイオード素子としても、特に限定なく従来公知の発光ダイオードに用いられる発光ダイオード素子を用いることができる。
発光ダイオード素子のサイズ、個数についても特に限定なく用いることができる。
発光ダイオード素子の発光出力としては特に限定なく任意のものを用いることができるが、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合にさらに本発明の効果が顕著である。
発光ダイオード素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができるが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著である。
用いる発光ダイオード素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは多色発光させても良い。
(リード)
本発明の半導体に用いられるリード端子としては、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩcm以下が好ましく、より好ましくは3μΩcm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、これらに金、銀、ニッケル、パラジウム等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
(封止剤)
本発明の半導体の封止剤としては各種のものを用いることができ、例えば従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂を用いることができる。また、特開2002−80733、特開2002−88244で提案されているような、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個有する脂肪族系有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、及びヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物からなる封止剤を用いてもよく、この封止剤を用いる方が、パッケージ樹脂との接着性が高いという点、及び透明性が高く本発明のパッケージの耐光性が高いという効果が顕著であるという点において、好ましい。
一方、樹脂封止を用いず、ガラス等でカバーしてハーメチック封止により封止することも可能である。
また発光ダイオードや受光素子の場合などにおいてはさらにレンズを適用することも可能であり、封止剤をレンズ形状に成形してレンズ機能を持たせることも可能である。
(発光ダイオードの用途)
本発明の半導体は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、ロジック、メモリーなどのLSI、各種センサー、受発光デバイスなどをあげることができる。また、半導体が発光ダイオードの場合も従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、例えば液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(配合例1:実施例3)エポキシ樹脂
最初に、下記に示した各成分のうち白色顔料を除く全ての成分を、ヘンシェルミキサー(容量15リットル、回転数1000rpm)で2分間予備混合した。次に得られた組成物に白色顔料を加えさらにヘンシェルミキサーで2分間予備混合し、得られた組成物を同方向噛み合い二軸押出混練機(スクリュ径D=30mm、押出機軸長さ=1m、ニーディングディスク長 = 6D、スクリュ回転数300rpm、吐出量20kg/h)で、混練温度20〜30℃、10分の条件で加熱混練した。吐出物を厚さ2mmのシートにした後、冷却し、粉砕してエポキシ樹脂成形材料を得た。
(硬化性光反射用樹脂組成物)
エポキシ樹脂:
トリグリシジルイソシアヌレート 100重量部
(日産化学工業(株)製、商品名TEPIC−L、エポキシ当量100)
硬化剤:
ヘキサヒドロ無水フタル酸 140重量部
硬化促進剤:
テトラ−n−ブチルホスホニウム− 2.4重量部
o,o−ジエチルホスホロジチオエート
(日本化学工業社製「ヒシコーリン PX−4ET」)
無機充填材:
球状溶融シリカA 平均粒径45μm(MSR−4500TN:(株 )龍森製) 200重量部
球状溶融シリカB 平均粒径4μm(N−MSR−04:(株)龍森製) 85重量部
白色顔料:
酸化亜鉛1種(平均粒径0.6μm) 185重量部
(堺化学工業社製)
カップリング剤:
γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン 19重量部
酸化防止剤:
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10− 1重量部
ホスファフェナントレン−10−オキシド
次いで、タブレット用成形金型を用い、上記エポキシ樹脂組成物を、室温、成形圧力2МPa、3秒間の条件で打錠し、φ13mm、高さ15mmの円柱状のタブレットを作製した。
(配合例2:実施例4)上記(配合例1)の白色顔料(酸化亜鉛1種(平均粒径0.6μm)185重量部)の代わりに二酸化チタン(CR−95:石原産業(株)製、アルミナ−シリカ−有機物表面処理、ルチル型、平均粒径0.28μm)150重量部を使用した以外は配合例1と同様にエポキシ樹脂成形材料を調製した。
(合成例1)縮合型シリコーン樹脂
メチルトリクロロシラン100質量部、トルエン200質量部を1Lのフラスコに入れ、氷冷下で水8質量部、イソプロピルアルコール60質量部の混合液を液中滴下した。内温は−5〜0℃で5〜20時間かけて滴下し、その後加熱して還流温度で20分間撹拌した。それから室温まで冷却し、水12質量部を30℃以下、30分間で滴下し、20分間撹拌した。更に水25質量部を滴下後、40〜45℃で60分間撹拌した。その後水200質量部を加えて有機層を分離した。この有機層を中性になるまで洗浄し、その後共沸脱水、濾過、減圧ストリップをすることにより、無色透明の固体(融点76℃)36.0質量部のオルガノポリシロキサンを得た(収率80%)。
(CH31.0Si(OC370.07(OH)0.101.4
(配合例3:実施例5)使用した原料を以下に示す組成のうち白色顔料を除く全ての成分を、ヘンシェルミキサー(容量15リットル、回転数1000rpm)で2分間予備混合した。次に得られた組成物に白色顔料を加えさらにヘンシェルミキサーで2分間予備混合し、得られた組成物を、小型二軸混連押出機(HK25D、パーカーコーポレーション社製、スクリュー系φ25、スクリュー長さ約1025mm、L/D41、スクリュー回転数300rpm)を用いて溶融混練を行い、縮合型シリコーン樹脂組成物を得た。
熱硬化性オルガノポリシロキサン:
合成例1で得たオルガノポリシロキサン 100重量部
白色顔料:
酸化亜鉛1種(平均粒径0.6μm) 150重量部
(堺化学工業社製)
無機充填材:
球状溶融シリカA 平均粒径45μm(MSR−4500TN:(株 )龍森製) 200重量部
球状溶融シリカB 平均粒径4μm(N−MSR−04:(株)龍森製) 85重量部
硬化触媒:
安息香酸亜鉛(和光純薬工業(株)製) 1.1重量部
離型材:
ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製) 0.8重量部
シランカップリング剤:
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(KBM−803: 信越化学工業(株)製商品名) 1重量部
(配合例4:実施例6)上記(配合例3)の白色顔料(酸化亜鉛1種(平均粒径0.6μm)150重量部)の代わりに二酸化チタン(CR−95:石原産業(株)製、アルミナ−シリカ−有機物表面処理、ルチル型、平均粒径0.28μm)150重量部を使用した以外は配合例3と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製した。
(配合例5:実施例7)付加型シリコーン樹脂
使用した原料を以下に示す組成のうち白色顔料を除く全ての成分を、ヘンシェルミキサー(容量15リットル、回転数1000rpm)で2分間予備混合した。次に得られた組成物に白色顔料を加えさらにヘンシェルミキサーで2分間予備混合し、得られた組成物を小型二軸混連押出機(HK25D、パーカーコーポレーション社製、スクリュー系φ25、スクリュー長さ約1025mm、L/D41、スクリュー回転数300rpm)を用いて混練し、付加型シリコーン樹脂組成物を得た。
両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン:
下記(i)式で示される化合物 94重量部
オルガノハイドロジェンポリシロキサン:
下記(ii)式で示される化合物 6重量部
白色顔料:
酸化亜鉛1種(平均粒径0.6μm) 150重量部
(堺化学工業社製)
無機充填剤:
球状溶融シリカA 平均粒径45μm(MSR−4500TN:(株 )龍森製) 200重量部
球状溶融シリカB 平均粒径4μm(N−MSR−04:(株)龍森製) 85重量部
硬化触媒:塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液 1.1重量部
離型材:
ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業(株)製) 0.8重量部
シランカップリング剤:
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(KBM−803: 信越化学工業(株)製商品名) 1重量部
Figure 0006087127
Figure 0006087127
(配合例6:実施例8)上記(配合例5)の白色顔料(酸化亜鉛1種(平均粒径0.6μm)150重量部)の代わりに二酸化チタン(CR−95:石原産業(株)製、アルミナ−シリカ−有機物表面処理、ルチル型、平均粒径0.28μm)150重量部を使用した以外は配合例5と同様に熱硬化性樹脂組成物を調製した。
(合成例2)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート200g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を50分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。1H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応した以下の構造を有するものであることがわかった。
Figure 0006087127
(合成例3)
2Lオートクレーブにトルエン720g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン240gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温50℃で加熱、攪拌した。アリルグリシジルエーテル171g、トルエン171g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.049gの混合液を90分かけて滴下した。滴下終了後にジャケット温を60℃に上げて40分反応、1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認した。トリアリルイソシアヌレート17g、トルエン17gの混合液を滴下した後、ジャケット温を105℃に上げて、トリアリルイソシアヌレート66g、トルエン66g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.033gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了から4時間後に1H−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの未反応率は0.8%だった。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンとアリルグリシジルエーテルの副生物(アリルグリシジルエーテルのビニル基の内転移物(シス体およびトランス体))が合計5,000ppm以下となるまで減圧留去し、無色透明の液体を得た。1H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がアリルグリシジルエーテル及びトリアリルイソシアヌレートと反応したものであり平均的に以下の構造を有するものであることがわかった。
Figure 0006087127
(配合例7および配合例8)
表1の内容に従って各成分を配合し、ミキサー(THINKY製、あわとり練太郎)で混合することで熱硬化性樹脂を得た。
Figure 0006087127
Figure 0006087127
(実施例1)
表2に示す配合例9の組成物と平均粒径1.1〜50μmの無機充填材を混合する第一工程と、得られた組成物と平均粒径0.1〜1.0μmの白色顔料を混合および混練する第二工程とを経て、実施例1の熱硬化性樹脂組成物を二段階で得た。なお第一工程の混合は、テフロン製の丸棒状の冶具で押し延ばした後、折り重ねて再度押し延ばす作業を繰り返して均一化した。第二工程の混練は、ミキシングローラー(電動カッターローラー、送り速度1.3min/mm、大島工業株式会社製、ER−440)を用いた。ミキシングローラーのギャップは、まず2mmとし、1.5mm、1.0mm、0.5mmと順次ギャップを狭くして混練する作業を1セットとし、5セット目の混練後の熱硬化性樹脂組成物の特性を比較した。
(実施例2)
実施例2は実施例1と同じ表2に示す配合例9の組成物に白色顔料としてチタン酸バリウム(共立マテリアル社製、平均粒径0.662μm、商品名:BT−HP9DX)を実施例1の酸化亜鉛の代わりに用いた。それ以外は実施例1と同様に行った。
(実施例9)
実施例9は、表2に示す配合例10の組成物を用いて実施例1と同様の手順で混練して得た。
(比較例1)
比較例1は実施例1と同じ配合例9の組成物を用い無機充填材と白色顔料を1段階で混合した後に前記ミキシングローラーで混練したものである。
(比較例2)
比較例2は、実施例1と逆の順序、すなわち平均粒径0.1〜1.0μmの白色顔料を混合する第一工程と、得られた組成物と平均粒径1.1〜50μmの無機充填材を混合および混練する第二工程とを経て得た。
Figure 0006087127
Figure 0006087127
(タブレット化)
作製した硬化性樹脂組成物を、Φ13mmの金属製の杵と臼からなるタブレット製造冶具で0.39MPa圧縮して、高さ7.5mmになるよう仕込み量を調整した。
(成型性の測定)
(1)高化式フローテスター(溶融粘度):
直径1mm、長さ10mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津
製作所社製CFT−500D)を使用し、測定温度170度、荷重50kgの条件下で試料投入から13〜18秒後に測定し、3回の平均値を測定値とした。
(2)タブレット性:
冶具からタブレットを取り出す時の形状安定性を評価した。
○:形状を維持して取り出せる、△:外力により容易に変形する。
(3)成型性:トランスファー成形機を用いて50mm×50mm×1mmの板を作製した時の充填性で成型性を判定した。
○:充填に問題無し、△:未充填箇所あり、×:バリが大量発生
(4)反射率(460nm):(3)で成形した1mm厚の平板を、微小面分光色差計(日本電色工業社製VSS−400)を用いて拡散反射率を測定した。
(5)耐熱試験後の反射率保持率:300℃1分の耐熱試験後の反射率保持率を求めた。反射率保持率[%]=耐熱試験後の反射率÷初期の反射率×100
無機充填材と白色顔料を2工程で混練した実施例1から9は全て、トランスファー成型性が良好であり、得られた硬化物は反射率が高い。なかでも実施例1、2の熱硬化性樹脂組成物は300℃1分の耐熱試験後の反射率保持率が高く、信頼性に優れる。とりわけ、実施例1はタブレット性が良好であり、生産性に優れている。比較例1、2は、実施例1と同様の組成であるが、無機充填材と白色顔料の混練順序が異なるため、成形性および460nmの反射率が実施例1と比較して劣る。粒径のより小さな白色顔料は、無機充填材と比較して比表面積が大きいことから給油量が大きい。よって白色顔料を先に混練するもしくは無機充填材と同時に混練すると、熱硬化性樹脂が白色顔料に吸着され無機充填材の混練が難しくなる。この状態で強く混練すると、熱硬化性樹脂組成物に強いせん断力がかかり、組成物の黄変を引き起こし、分散の終点到達に時間を要する。以上、本発明の熱硬化性樹脂組成物に対し、平均粒径の異なる無機充填材および白色顔料を段階的に混合及び混練することで、分散の終点到達が早く生産性に優れる熱硬化性樹脂組成物が得られた。また得られた硬化物は、いずれも反射率が高く、光半導体用パッケージ等の電子材料用途に好適である。

Claims (8)

  1. 熱硬化性樹脂と無機充填材と白色顔料からなる熱硬化性樹脂組成物を混合及び/又は混練する工程であって、熱硬化性樹脂と平均粒径が4〜45μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程により得られることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
    白色顔料が、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、および、チタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1種である熱硬化性樹脂組成物の製造方法
  2. 前記、熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法
  3. 前記、平均粒径が4〜45μmの無機充填材が、シリカ、石英、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機充填材、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、中空粒子からなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法
  4. 前記、熱硬化性樹脂組成物が、(a)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(b)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、(c)ヒドロシリル化触媒、(d)SiH基もしくはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有するシリコーン化合物、を含有することを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の製造方法
  5. 熱硬化性樹脂と無機充填材と白色顔料からなる熱硬化性樹脂組成物を混合及び/又は混練する工程であって、熱硬化性樹脂と平均粒径が4〜45μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程、
    得られた熱硬化性樹脂組成物を加圧下で成形し、タブレットを得る工程
    を含むことを特徴とする発光ダイオードのパッケージ用熱硬化性樹脂組成物タブレットの製造方法であって、白色顔料が、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、および、チタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1種である発光ダイオードのパッケージ用熱硬化性樹脂組成物タブレットの製造方法
  6. 熱硬化性樹脂と無機充填材と白色顔料からなる熱硬化性樹脂組成物を混合及び/又は混練する工程であって、熱硬化性樹脂と平均粒径が4〜45μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程、
    得られた熱硬化性樹脂組成物を加圧下で成形し、タブレットを得る工程、
    得られたタブレットをトランスファー成形し、発光ダイオード用のパッケージを得る工程
    を含むことを特徴とする発光ダイオード用のパッケージの製造方法であって、白色顔料が、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、および、チタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1種である発光ダイオード用のパッケージの製造方法
  7. 60、480nmにおける分光反射率が80%R以上であることを特徴とする請求項6記載の発光ダイオード用のパッケージの製造方法
  8. 熱硬化性樹脂と無機充填材と白色顔料からなる熱硬化性樹脂組成物を混合及び/又は混練する工程であって、熱硬化性樹脂と平均粒径が4〜45μmの無機充填材を混合及び/又は混練する第一の工程と、これにより得られた組成物と平均粒径が0.1〜1.0μmの白色顔料を混合及び/又は混練する第二の工程、
    得られた熱硬化性樹脂組成物を加圧下で成形し、タブレットを得る工程、
    得られたタブレットをトランスファー成形し、発光ダイオード用のパッケージを得る工程、
    得られたパッケージを使用して発光ダイオードを製造する工程
    を含むことを特徴とする発光ダイオードの製造方法であって、白色顔料が、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、および、チタン酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1種である発光ダイオードの製造方法。
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