JP2014130903A - 半導体発光装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】色度ばらつき及び光取り出し効率を向上させ、生産効率を上げ、放熱性が良好なLED装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体発光装置の製造方法は、回路基板上における所定領域に透光性材料に光拡散粒子を含ませた組成物からなる光散乱層を形成した後に、前記回路基板上における前記所定領域以外の領域に半導体発光素子を実装する工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光装置及びその製造方法に関する。なお、半導体発光装置を「LED装置」、半導体発光素子を「LED素子」という場合がある。ここでのLED装置は、照明装置として用いられる。
近年、LED(Light Emitting Diode)素子の近傍に蛍光体を配置し、LED素子からの光で蛍光体を励起させて白色光を得る白色LED装置が開発されている。このようなLED装置の例には、青色LED素子からの青色光と、青色光を受けて蛍光体が発する黄色の蛍光とを組み合わせて白色光を得るLED装置がある。また、紫外光を出射するLED素子を光源とし、紫外光を受けて蛍光体が発する青色光、緑色光、及び赤色光を混色させて、白色光を得るLED装置もある。
従来のLED装置では、LED素子を実装する基板等が、LED素子の出射光や、蛍光体が発する蛍光を吸収しやすく、光取り出し性が十分でない、との問題があった。そこで、一般的なLED装置には、LED素子の周囲に、光取り出し効率を向上させるための光散乱層が配置されている。
LED装置の製造方法では、回路基板上にLED素子を実装した後に、LED素子の上面とほぼ同一面を形成するように光散乱層をLED素子の側面に接すように形成させている(例えば、特許文献1)。この場合、色度ばらつきは抑制されるが、光散乱層をLED素子の側面に接するように形成することにより、光取り出し効率の大きな損失を引き起こしていた。さらに、光散乱層の光散乱能を上げるために高い充填率で無機粒子がLED素子の周りを覆っているため、LED素子が発光した際に生じる熱の放熱が不十分となり、LED素子の温度が上昇し、LED素子から出射する光量が次第に低下してしまうという課題があった。なお、回路基板を単に「基板」という場合がある。
また、基板上にLED素子を実装した後に、LED素子の側面に接しない様に十分な間隔をもって光散乱層を形成させようとしたところ、光散乱効果が大幅に低下し、色度ばらつきおよび光取り出し効率が低下するという課題もあった。また、基板上にLED素子を実装した後に、LED素子のごく近傍に光散乱層を形成させようとしたところ、光散乱層の積層課程で一部の光散乱材が飛散してLED素子の側面に不規則に付着してしまった。そして、この不規則な光散乱材の付着は、LED素子から出射される光量をばらつかせ、しいては色度ばらつきを引き起すという課題もあった。仮に、基板上にLED素子を実装した後に、LED素子の側面に飛散しない様に光散乱層をゆっくりと形成させようとすると、生産効率の低下につながる。
これらの課題を発明者らが鋭意検討した結果、光取り出し効率の向上と、色度ばらつきの向上を両立させるためには、LED素子のごく近傍が光散乱層で覆われており、かつLED素子の側面に光を反射させる物質が接していないことが重要であることがわかった。さらに、この場合、LED素子の側面に光散乱層が接していないため、放熱性も良好で、LED素子の光取り出し効率低下も抑制することができることがわかった。
特開2012−69577号公報
本発明は、色度ばらつき及び光取り出し効率を向上させ、生産効率を上げ、放熱性が良好なLED装置およびその製造方法を提供する。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回路基板上における所定領域に透光性材料に光拡散粒子を含ませた組成物からなる光散乱層を形成した後に、前記回路基板上における前記所定領域以外の領域に半導体発光素子を実装する工程を有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記半導体発光素子の側面は光を出射する発光面であり、前記半導体発光素子の側面に光散乱層が接していないことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記半導体発光装置がLEDであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光散乱層の厚みが10μm以上50μm以下であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光散乱層が光拡散粒子と有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光拡散粒子は酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、および酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記有機ケイ素化合物がシラン化合物の重合体であり、シラン化合物全体の30重量部から100重量部が3官能シラン化合物で構成されていることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光拡散粒子は、平均一次粒径が100nm〜20μmであることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光散乱層は、平均一次粒径が5〜100nmである金属酸化物微粒子をさらに含むことを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記金属酸化物微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光散乱層が、アルミニウムケイ酸塩化合物を含み、アルミニウムケイ酸塩化合物が外径をa、長さをbとしたときのb/aの値が10以上であることを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光散乱層および/または前記半導体発光素子上に、少なくとも蛍光体粒子とポリシロキサンを含有する組成物からなる波長変換層を形成させることを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記波長変換層上にさらに樹脂層を形成することを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光散乱層および/または前記半導体発光素子上に、蛍光体粒子が分散した樹脂からなる蛍光体含有樹脂層を形成することを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、前記請求項1から請求項14のいずれかに記載の製造方法により製造されたLED装置ことを特徴とする。
本発明の半導体発光装置では、基板上における所定領域に光散乱層を形成した後に、所定領域以外の領域に半導体発光素子を実装するので、光散乱層を半導体発光素子の側面の近傍に設けることができ、色度ばらつき及び光取り出し効率を向上させ、生産効率を上げ、放熱性を良好にすることが可能となる。
本発明の一実施形態に係るLED装置の製造工程を示す図。 他の実施形態に係るLED装置の製造工程を示す図。 LED装置の製造方法における光散乱層の形成方法を説明するための図。 光散乱層形成用組成物を塗布するスプレー装置の一例を示す概略断面図。 LED実装領域を保護するマスクの一例を示す平面図。 LED実装領域を保護するマスクの他の例を示す平面図。 LED装置の製造方法における光散乱層の形成方法を説明するための図。 LED装置の他の例を示す概略断面図。 LED装置の他の例を示す概略断面図。 LED装置の他の例を示す断面図。 LED装置の他の例を示す断面図。 LED装置の他の例を示す断面図。 図13(a)は、LED装置の他の例を示す平面図であり、図13(b)は、当該LED装置の概略断面図。 LED装置の概略断面図。 LED装置の概略断面図。 図16(a)は、LED素子と光散乱層との相対的な位置関係の一例を示す図、図16(b)は、LED素子と光散乱層との相対的な位置関係の他の例を示す図。
基板上にLED素子が実装され、LED素子の出射光等を光取り出し面側に反射する光散乱層を有するLED装置において、LED素子の側面に光散乱層が接しないように構成される。
このような構成を実現するため、本発明のLED装置の製造方法は、基板上に光散乱層を形成した後に、LED素子を実装する。それにより、色度ばらつき及び光取り出し効率を向上させ、生産効率を上げ、放熱性を良好にすることが可能となる。
1.LED装置の製造方法
本発明のLED装置の製造方法は、前述するように、基板1上に光散乱層21を形成した後に、LED素子2を実装する。
本発明のLED装置の製造方法の一例を図1のフローチャートに示す。図1に、基板1に配設されたメタル部(金属電極部)3、3’を示す。
基板1上に光散乱層21を形成した後に、LED素子2を実装する場合、LED装置の製造方法には、以下の工程が含まれる。
1)基板1の所定領域に光散乱層形成用組成物を塗布し、硬化させる第1工程
2)基板1にLED素子2を実装する第2工程
ここで、所定領域の一例として、LED素子2が実装される領域を囲む領域が含まれる。
なお、以下の工程をさらに含んでもよい。
3)光散乱層21及びLED素子2を覆うように、蛍光体含有樹脂層を形成する第3工程(図8及び図9参照)
以上のように、この製造方法では、基板1にLED素子2を実装する第2工程の前に、光散乱層形成用組成物を塗布する第1工程を行うため、第1工程において、光散乱層形成用組成物がLED素子2に付着することがない。第1工程では、基板1上における所定領域以外の領域に光散乱層形成用組成物を付着させないようにする。なお、ここでは、図1(c)に示すように、LED素子2の表面2a及び側面2bが、光を出射する発光面となる。
1)第1工程
なお、第1工程において、「光散乱層形成用組成物を塗布する所定領域」とは、(1)基板1において光を取り出す側の面であり、かつ、(2)LED素子2を実装する領域以外であって、かつ、(3)LED素子2の側面2bと接しない領域である。
ここで、「(1)基板1において光を取り出す側の面」の一例としては、図1に示す基板1の表面1aである。
また、ここで、「LED素子2の側面2b」とは、その上端から下端までの全部から光が出射されるものとする。
さらに、「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」とあるが、LED素子2の側面2bと接するかどうかは、LED素子2の側面2bの下端と、光散乱層21の上端との高さ関係にある。両者の高さ関係を、LED素子2と光散乱層21との相対的な位置関係の一例を示す図16(a)、(b)で説明する。図16(a)、(b)に、基板1の表面1aからLED素子2の側面2bの下端e3までの高さ(ここでは、突起電極5の高さ)をh1で示し、基板1の表面1aから光散乱層21の上端e2までの高さ(光散乱層21の高さ)をh2で示す。
図16(a)に示すように、両者の高さ関係が(h1≦h2)のとき、光散乱層21をLED素子2の側面2bに近づけていくと、やがて、光散乱層21は側面2bに接することとなる。したがって、高さ関係が(h1≦h2)のとき、光散乱層形成用組成物を塗布する領域が「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」であるかどうかを考慮する。
ここで、(h1=h2)のとき、光散乱層21をLED素子2の側面2bに近づけていくほど、光取り出し効率が向上する。また、光散乱層21の上端e2とLED素子2の側面2bの下端e3とを当接させても、光取り出し効率の損失を引き起こさない。そこで、光散乱層21の上端e2とLED素子2の側面2bの下端e3とを近接または当接させるように構成する。なお、光散乱層21の上端e2をLED素子2の側面2bの下端e3と当接させたときの光散乱層21が形成される領域は、「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」に含まれる。すなわち、両者の高さ関係が(h1<h2)のとき、光散乱層21をLED素子2の側面2bに接しないように形成すればよい。
これに対し、図16(b)に示すように、両者の高さ関係が(h2<h1)のとき、光散乱層21をLED素子2の側面2bにいくら近づけても、光散乱層21の上端e2とLED素子2の下端e3とが当接することがなく、光散乱層21は側面2bに接しない。したがって、高さ関係が(h2<h1)のとき、光散乱層形成用組成物を塗布する領域が「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」であるかどうかを考慮する必要がない。
なお、LED素子2の実装方法の一例として、ワイヤ(図1(c)に示す配線4)によりLED素子2とメタル部(図1(a)に示すメタル部3)とを接続するワイヤボンディング実装と、基板1上に設けられた突起電極(バンプ(bump)と称される)5とLED素子2とを接続するフリップチップ(Flip Chip)実装とがある。
ここで、「(2)LED素子2を実装する領域」、及び、「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」について、ワイヤボンディング実装と、フリップチップ実装とでそれぞれ説明する。
ワイヤボンディング実装において、「(2)LED素子2を実装する領域」とは、LED素子2が接続される領域(図1(a)に示すメタル部3’)、配線4によりLED素子2と接続される領域(図1(a)に示すメタル部3)、LED素子2とメタル部3との接続領域(配線4が配置される領域)をいう。このことから、「(2)LED素子2を実装する領域以外」とは、LED素子2からの光の出射を阻害せず、かつ、LED素子2の接続を阻害せず、LED素子2とメタル3との配線4による接続を阻害しない領域となる。
「(2)LED素子2を実装する領域以外」の一例を図14のLED装置の概略断面図に示す。図14に示すように、「(2)LED素子2を実装する領域以外」は、メタル部3、3’以外の領域、かつ、LED素子2とメタル3との接続領域8(図5に示す)以外の領域となる。
「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」の一例を図14に示す。図14に示すように、「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」に光散乱層21が形成される。LED素子2の側面2bと光散乱層21との間には隙間Sが設けられる。
LED素子2の高さ(図14に基板1の表面1aからの高さhcを示す)と、光散乱層21の高さ(図14に基板1の表面1aからの高さhrを示す)との関係を(hc>hr)とする。仮に、光散乱層21がLED素子2の側面2bと接すると、側面2bにおいて、光散乱層21より高い上部(側面2bの上部)からの光が取り出されるが、光散乱層21以下の下部(側面2bの下部)からの光が取り出されない。
LED素子2の側面2bと光散乱層21との間には隙間Sが設けられるため、LED素子2の側面2b(下部を含む)からの光が隙間Sを通って取り出し方向(図14において上方)に出射される。隙間Sの広さは、光散乱層形成用組成物を塗布する所定領域が狭くならないように定められる。
以上のように、ワイヤボンディング実装において、基板1の表面1aの領域のうち、できる広くした所定領域に光散乱層21を形成すれば、光取り出し効率を向上させることが可能となる。
フリップチップ実装において、「(2)LED素子2を実装する領域」とは、突起電極5が設けられる領域をいう。このことから、「(2)LED素子2を実装する領域以外」とは、LED素子2からの光の出射を阻害せず、かつ、LED素子2の実装を阻害しない領域となる。
なお、LED素子2の発光面に裏面2cが含まれるとき、「(2)LED素子2を実装する領域以外」には、基板1の表面とLED素子2の裏面2cとの間に設けられる隙間(突起電極5の高さに相当する)も含まれる。
「(2)LED素子2を実装する領域以外」の一例を図15(a)、(b)のLED装置の断面図に示す。図15(a)、(b)に示すように、「(2)LED素子2を実装する領域以外」は、突起電極5以外の領域となる。説明の都合上、LED素子2の側面2bの位置と突起電極5の側面2bの位置とを図15の紙面左右方向で一致させている。
「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」の一例を、図15(a)のLED装置の断面図に示す。図15(a)に示すように、「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」に光散乱層21が形成される。LED素子2の側面2bと光散乱層21との間には隙間Sが設けられる。
突起電極5の高さ(図15(a)に基板1の表面1aからの高さhbを示す)と、光散乱層21の高さ(図15(a)に基板1の表面1aからの高さhrを示す)との関係を(hr<hb)とする。突起電極5の高さと光散乱層21の高さとの関係が(hr<hb)であるため、光散乱層21がLED素子2の側面2bと接しないので、側面2b(その下部を含む)からの光が取り出される。したがって、隙間Sは、0以上であればよい(突起電極5に接していてもよい)。
「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」の他の例を、図15(b)のLED装置の断面図に示す。図15(b)に示すように、「(3)LED素子2の側面2bと接しない領域」に光散乱層21が形成される。LED素子2の側面2bと光散乱層21との間には隙間Sが設けられる。
突起電極5の高さ(図15(b)に基板1の表面1aからの高さhbを示す)と、光散乱層21の高さ(図15(b)に基板1の表面1aからの高さhrを示す)との関係を(hb<hr)とする。突起電極5の高さと光散乱層21の高さとの関係が(hb<hr)であるため、光散乱層21がLED素子2の側面2bと接する可能性がある。仮に、光散乱層21がLED素子2の側面2bと接すると、側面2bにおいて、光散乱層21より高い上部(側面2bの上部)からの光が取り出されるが、光散乱層21以下の下部(側面2bの下部)からの光が取り出されない。
LED素子2の側面2bと光散乱層21との間には隙間Sが設けられるため、LED素子2の側面2b(下部を含む)からの光が隙間Sを通って取り出し方向(図15(b)において上方)に出射される。隙間Sの広さは、光散乱層形成用組成物を塗布する所定領域が狭くならないように定められる。
以上のように、フリップチップ実装において、基板1の表面1aの領域のうち、できるだけ広くした所定領域に光散乱層21を形成すれば、光取り出し効率を向上させることが可能となる。
(光散乱層21を形成する方法)
基板1の所定領域のみに光散乱層21を形成する方法には、以下の3つの方法がある。
(i)メタル部3、3’の一部領域、もしくは全領域を保護しながら、基板1上に光散乱層形成用組成物を塗布し、硬化させる方法
(ii)メタル部3、3’を保護せずに、所定領域のみ光散乱層形成用組成物を塗布し、硬化させる方法
(iii)金型を用いて、所定領域にのみ光散乱層形成用組成物を塗布し、硬化させる方法
(i)の方法では、光散乱層21を形成しない領域、つまりメタル部3、3’の一部領域、もしくはメタル部3、3’の全領域を保護する。保護方法は、特に制限されず、例えば図5に示されるように、保護する領域(図5では、メタル部3とLED素子2との接続領域8の上部)に板状マスク41を配置してもよい。また、基板1上にメタル部3、3’の一部または全部を保護するキャップを配置してもよい。さらに、メタル部3、3’上にレジストマスクを形成してもよい。
レジストマスク51の形成方法を図3(a)及び(b)に示す。まず、メタル部3、3’を有する基板1上にレジスト材料を塗布する(図3(a))。その後、光散乱層21を形成する部分のレジスト材料を除去して、光散乱層21を形成しない領域を保護するレジストマスク51’を得る。
レジスト材料の塗布方法は特に制限されず、例えばスプレー塗布法やディスペンサー塗布法等でありうる。また基板1が平板状であれば、レジスト材料の塗布をスクリーン印刷で行ってもよい。またレジスト材料は特に制限されず、例えば一般的なナフトキノンジアジド化合物等のポジ型感光性材料やビスアジド化合物等のネガ型感光性材料等でありうる。一方、レジストの硬化方法は、レジスト材料の種類に応じて適宜選択され、特定波長の光の照射や、加熱処理等でありうる。レジスト材料の除去方法は、レジスト現像液等で溶解除去する方法等でありうる。
レジストマスク51の形成方法は、上記方法に限定されない。例えばディスペンサー塗布法やインクジェット法で、所望の領域にのみレジスト材料を付着させて、レジストマスク51’を形成してもよい。また、レジストマスクを形成しない領域に板状マスクやキャップ等を配置してから、レジスト材料を塗布してレジストマスク51’を形成してもよい。
また、レジスト材料の代わりに、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用い、マスクを形成してもよい。この場合、水溶性樹脂を、光散乱層21を形成しない部分に水溶性樹脂を塗布して乾燥させる。水溶性樹脂の塗布方法は特に制限されず、例えばディスペンサー塗布法や、インクジェット法等でありうる。また基板1が平板状であれば、スクリーン印刷法でもありうる。
レジストマスク51’等で所定領域以外の領域(LED素子2が実装される領域を含む)を保護した後、例えば図3(c)に示すように、基板1上に光散乱層形成用組成物21’を塗布する。光散乱層形成用組成物21’の塗布手段は特に制限されず、例えばディスペンサー塗布法や、スプレー塗布法でありうる。塗布手段がスプレー塗布であると、薄い厚みで光散乱層21を形成可能である。また基板1がキャビティを有する場合に、そのキャビティ内壁面6に光散乱層形成用組成物を塗布しやすい。
(ii)の方法では、光散乱層21を形成しない領域を保護せず、光散乱層形成用組成物を塗布する。
(i)の方法と同様に、光散乱層形成用組成物を乾燥・硬化させる。
(光散乱層形成用組成物の組成)
上記いずれの方法においても基板1に塗布する光散乱層形成用組成物には、有機ケイ素化合物、光拡散粒子、金属酸化物微粒子、金属アルコキシドまたは金属キレート、溶媒等が含まれる。
光散乱層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物が、ポリシラザンオリゴマーである場合、光散乱層形成用組成物におけるポリシラザンオリゴマーの濃度は高い方が好ましい。ただし、これらの濃度が高すぎると光散乱層形成用組成物の保存安定性が低下する。そのため、ポリシラザンオリゴマーの量は、光散乱層形成用組成物の全質量に対して5〜50重量%であることが好ましい。
また、光散乱層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物が、シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーである場合、光散乱層形成用組成物に含まれるシラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの量も、光散乱層形成用組成物の全質量に対して5〜50重量%であることが好ましい。なお、シラン化合物のオリゴマーの調製方法については、後述する。
光散乱層形成用組成物に含まれる光拡散粒子の量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して、60〜95質量%であり、さらに好ましくは70〜90質量%である。光拡散粒子の量が60質量%未満であると、得られる光散乱層21の光反射性が不十分となる場合がある。一方、光拡散粒子の量が90質量%を超えると、得られる光散乱層21において、バインダー量が相対的に少なくなり、光散乱層21の強度が低くなる場合がある。
光拡散粒子の平均一次粒径は、100nm〜20μmであることが好ましい。平均一次粒径が20μmを超えると、700nm以上の波長の光の反射率が低下する場合があり、一方、平均一次粒径が100nm未満であると、450nm以下の波長の光の反射率が低下する場合がある。
光散乱層形成用組成物に含まれる金属酸化物微粒子の量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して、0.5〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%である。金属酸化物微粒子の量が30質量%を超えると、得られる光散乱層21において、バインダー量が相対的に少なくなり、光散乱層21の強度が低くなる場合がある。金属酸化物微粒子は、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である。金属酸化物微粒子の平均一次粒径は、5nm〜100nmであることが好ましい。平均一次粒径が100nmを超えると、光拡散粒子同士の間を光拡散粒子よりも粒径の小さい金属酸化物微粒子が埋めることによる光散乱層の膜強度向上効果が低下してしまい。一方、平均一次粒径が5nm未満であると、金属酸化物微粒子同士の凝集が起こりやすくなり、その結果、光散乱層の膜強度向上効果が低下してしまう場合がある。
光散乱層形成用組成物に含まれるアルミニウムケイ酸塩の量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して、0.5〜20質量%であり、より好ましくは0.8〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%である。アルミニウムケイ酸塩の量が30質量%を超えると、バインダーの量が相対的に少なくなり、光散乱層21の強度が低くなる場合がある。また、アルミニウムケイ酸塩の量が0.5質量%を下回ると、アンカー効果による隣接層との密着向上効果が低下してしまう。
光散乱層形成用組成物に含まれる金属アルコキシドまたは金属キレートの量は、光散乱層形成用組成物の固形分全質量に対して1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。金属アルコキシドまたは金属キレートの量が1質量%未満であると、得られる光散乱層21と基板1との密着性が高まり難い。一方、金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物の量が30質量%を超えると、得られる光散乱層21において、相対的にバインダー成分の量が低下し、強度が低下する場合がある。
光散乱層形成用組成物に含まれる溶媒は、有機ケイ素化合物を溶解または分散可能なものであれば特に制限はない。例えば水との相溶性に優れた水性溶剤であってもよく、また、水との相溶性が低い非水性溶剤であってもよい。
光散乱層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物が、ポリシラザンオリゴマーである場合、溶媒は脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン炭化水素、エーテル類、エステル類でありうる。具体的には、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルフルオライド、クロロホルム、四塩化炭素、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル等が挙げられる。
一方、光散乱層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物がシラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーである場合、溶媒は特に制限はないが、アルコール類が好ましく、特に多価アルコールが好ましい。光散乱層形成用組成物にアルコールが含まれると、光散乱層形成用組成物の粘度が高まり、光拡散粒子の沈殿を抑制できる。多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が含まれ、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、または1,4−ブタンジオールであることが好ましい。
光散乱層形成用組成物に含まれる有機ケイ素化合物がいずれである場合においても、光散乱層形成用組成物に含まれる溶媒は、沸点が250℃以下であることが好ましい。溶媒の沸点が高すぎると、溶媒の蒸発が遅くなる。
光散乱層形成用組成物に含まれる溶媒の含有量は、光散乱層形成用組成物の全質量に対して、1〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは3〜10質量%である。
光散乱層形成用組成物には、有機ケイ素化合物(特にポリシラザンオリゴマー)と共に、反応促進剤が含まれてもよい。反応促進剤は、酸または塩基のいずれであってもよい。反応促進剤の例には、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリエチルアミン等のアミン;塩酸、シュウ酸、フマル酸、スルホン酸、及び酢酸等の酸;ニッケル、鉄、パラジウム、イリジウム、白金、チタン、アルミニウムを含む金属カルボン酸塩等が含まれる。反応促進剤は、金属カルボン酸塩であることが、特に好ましい。反応促進剤の添加量は、ポリシラザンオリゴマーの質量に対して0.01〜5mol%であることが好ましい。
図4に、光散乱層形成用組成物を塗布するためのスプレー装置の概略を示す。図4に示す塗布装置200において、光散乱層形成用組成物220は、塗布液タンク210に供給される。この塗布液タンク210内の光散乱層形成用組成物220は、圧力をかけられて、連結管230を通じてヘッド240に供給される。ヘッド240に供給された光散乱層形成用組成物220は、ノズル250から吐出されて、基板1上に塗布される。ノズル250からの光散乱層形成用組成物220の吐出は、風圧によって行われる。ノズル250の先端に開閉自在な開口部を設けて、この開口部を開閉操作して、吐出作業のオン・オフを制御する構成としてもよい。
上記スプレー装置による光散乱層形成用組成物の塗布時には、下記(1)〜(6)の操作や条件設定などを行うことが好ましい。
(1)ノズル250の先端部を基板1の直上に配置して光散乱層形成用組成物220を基板1の真上から噴射する。基板1がキャビティを有する場合には、斜め上方から光散乱層形成用組成物220を噴射し、噴射後の光散乱層液性用組成物270をキャビティ内壁面に付着させてもよい。また、光散乱層形成用組成物220の噴射は、基板1とノズル250とを相対的に移動させながら行ってもよい。
(2)光散乱層形成用組成物220の噴射量を、組成物の粘度や、光散乱層の厚みに応じて制御する。同一の条件で塗布をする限り、噴射量を一定とし、単位面積当たりの塗布量を一定とする。光散乱層形成用組成物220の噴射量の経時的なバラツキは10%以内とし、好ましくは1%以内とする。光散乱層形成用組成物220の噴射量は、基板1に対するノズル250の相対移動速度と、ノズル250からの噴射圧力などで調整する。一般的には、光散乱層形成用組成物220の粘度が高い場合に、ノズル250の相対移動速度を遅くして、かつ噴射圧力を高く設定する。ノズルの相対移動速度は通常は約30mm/s〜200mm/sであり;噴射圧力は通常は約0.01MPa〜0.2MPaである。
(3)必要に応じて、ノズル250の温度を調整し、光散乱層形成用組成物220の噴射時の粘度を調整する。
(4)必要に応じて、基板1の温度調整をする。基板1の温度調整機構は、基板1を載置する移動台(図示せず)に設置することができる。基板1の温度を30〜100℃とすると、光散乱層形成用組成物220中の有機溶媒を早く揮発させることができ、光散乱層形成用組成物220が基板1から液だれすることを抑制できる。
(5)塗布装置200の環境雰囲気(温度・湿度)を一定とし、光散乱層形成用組成物220の噴射を安定させる。特に、光散乱層形成用組成物220が、ポリシラザンオリゴマーを含む場合、ポリシラザンオリゴマーが吸湿して光散乱層形成用組成物220自体が固化するおそれがある。そのため、光散乱層形成用組成物220を噴射する際の湿度を低くすることが好ましい。
(6)光散乱層形成用組成物220の噴射・塗布作業中に、ノズル250をクリーニングしてもよい。この場合、塗布装置200の近傍に、洗浄液を貯留したクリーニングタンクを設置する。光散乱層形成用組成物220の噴射の休止中等に、ノズル250の先端部をクリーニングタンク中に浸漬させ、ノズル250の先端部の乾燥を防ぐ。また、噴射・塗布作業の休止中には、光散乱層形成用組成物220が硬化してノズル250の噴射孔がつまる恐れがある。そのため、ノズル250をクリーニングタンク中に浸漬させるか、噴射・塗布作業の開始時にノズル250をクリーニングすることが好ましい。
(シラン化合物のオリゴマーの調製方法)
前述の光散乱層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマー(ポリシロキサンオリゴマー)は、以下の方法で調製できる。シラン化合物のモノマーを、酸触媒、水、有機溶媒の存在下で加水分解し、縮合反応させる。シラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量は、反応条件(特に反応時間)等で調整する。
光散乱層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量は、好ましくは1000〜3000であり、より好ましくは1200〜2700であり、さらに好ましくは1500〜2000である。光散乱層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量が1000未満であると、光散乱層形成用組成物の粘度が低くなり、光散乱層形成時に、液はじき等が生じやすくなる。一方、光散乱層形成用組成物に含まれるシラン化合物のオリゴマーの質量平均分子量が3000を超えると、光散乱層形成用組成物の粘度が高くなり、均一な膜形成が困難となる場合がある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値(ポリスチレン換算)である。
シラン化合物のオリゴマー調製用の酸触媒は、シラン化合物の加水分解時に触媒として作用するものであればよく、有機酸または無機酸のいずれであってもよい。無機酸の例には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が含まれ、リン酸及び硝酸が特に好ましい。また、有機酸の例には、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、及びn−酪酸など、カルボン酸残基を有する化合物;有機スルホン酸、及び有機スルホン酸のエステル化物(有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステル)など、硫黄含有酸残基を有する化合物が含まれる。
シラン化合物のオリゴマー調製用の酸触媒は、下記一般式(IV)で表わされる有機スルホン酸であることが特に好ましい。
−SOH ・・・(IV)
上記一般式(IV)において、Rで表される炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状の飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20の炭化水素基である。環状の炭化水素基の例には、フェニル基、ナフチル基、またはアントリル基等の芳香族炭化水素基が含まれ、好ましくはフェニル基である。また、一般式(IV)においてRで表される炭化水素基は、置換基を有してもよい。置換基の例には、直鎖状、分岐鎖状、または環状の、炭素数1〜20の飽和若しくは不飽和の炭化水素基;フッ素原子等のハロゲン原子;スルホン酸基;カルボキシル基;水酸基;アミノ基;シアノ基等が含まれる。
上記一般式(IV)で表わされる有機スルホン酸は、特にノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、またはドデシルベンゼンスルホン酸であることが好ましい。
シラン化合物のオリゴマー調製時に添加する酸触媒の量は、オリゴマー調製液全量に対して1〜1000質量ppmであることが好ましく、より好ましくは5〜800質量ppmである。
シラン化合物のオリゴマー調製時に添加する水の量によって、得られるポリシロキサンの膜質が変化する。したがって、目的とする膜質に応じて、オリゴマー調製時の水添加率を調整することが好ましい。水添加率とは、オリゴマー調製液に含まれるシラン化合物のアルコキシ基またはアリールオキシ基のモル数に対する、添加する水分子のモル数の割合(%)である。水添加率は、50〜200%であることが好ましく、より好ましくは75〜180%である。水添加率を、50%以上とすることで、光散乱層の膜質が安定する。また200%以下とすることで光散乱層形成用組成物の保存安定性が良好となる。
シラン化合物のオリゴマー調製時に添加する溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール等の一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類、あるいはこれらのモノアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基をすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;等が含まれる。これらは1種単独で添加してもよく、また2種以上を添加してもよい。
基板1に光散乱層形成用組成物21’を塗布した後、光散乱層形成用組成物21’を乾燥・硬化させる。光散乱層形成用組成物を乾燥・硬化させる際の温度は、20〜200℃であることが好ましく、より好ましくは100〜150℃である。温度が20℃未満であると、溶媒が十分に揮発しない可能性がある。一方、温度が200℃を超えると、LED素子2に悪影響を及ぼす可能性がある。また、乾燥・硬化時間は、製造効率の面から、0.1〜30分であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15分である。有機ケイ素化合物がポリシラザンオリゴマーである場合には、波長170〜230nmの範囲のUVU放射線(例えばエキシマ光)を塗膜に照射して硬化させた後に、さらに加熱硬化を行うことで、より緻密な膜が形成される。光散乱層形成用組成物の硬化後、板状マスク41やキャップを除去する。光散乱層形成用組成物の硬化後、マスクやキャップを除去することで、所望の領域のみに光散乱層21が形成される(図10(d))。マスクやキャップの除去方法は、その種類に応じて適宜選択される。例えば、板状マスク41やキャップは、これを除去すればよい。一方、レジストマスク51’は、エッチングにより除去すればよい。エッチング方法は一般的なドライエッチング法、またはウェットエッチング法等でありうる。また、ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂は、水で溶解除去する方法等でありうる。
(ii)の方法では、光散乱層21を形成しない領域を保護せずに、光散乱層形成用組成物を塗布する。光散乱層形成用組成物を塗布する手段は特に制限されず、例えばディスペンサー塗布法やインクジェット塗布法でありうる。基板1が平板状であれば、光散乱層形成用組成物の塗布を、スクリーン印刷法で行ってもよい。そして、光散乱層形成用組成物の塗布後、(i)の方法と同様に、光散乱層形成用組成物を乾燥・硬化させる。
(iii)の方法では、金型を用いて所定領域にのみ光散乱層形成用組成物を付着させ、硬化させる。具体的には、光散乱層の形状を有する金型61を準備し、これを基板1上に配置する(図7(a))。そして、金型61内に光散乱層形成用組成物21’を注入し、光散乱層形成用組成物を乾燥・硬化させた後(図7(b))、金型61を取り外す(図(30(c))。なお、金型61の取り外し後、必要に応じて、光散乱層21の不要部分を削り、光散乱層21の形状を整えてもよい。光散乱層形成用組成物の乾燥・硬化温度や乾燥・硬化時間は(i)の方法と同様でありうる。
基板1に光散乱層形成用組成物を塗布した後、光散乱層形成用組成物を乾燥・硬化させる。光散乱層形成用組成物を乾燥・硬化させる際の温度は、20〜200℃であることが好ましく、より好ましくは100〜150℃である。温度が20℃未満であると、溶媒が十分に揮発しない可能性がある。一方、温度が200℃を超えると、LED素子2に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、乾燥・硬化時間は、製造効率の面から、0.1〜30分であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15分である。有機ケイ素化合物がポリシラザンオリゴマーである場合には、波長170〜230nmの範囲のUVU放射線(例えばエキシマ光)を塗膜に照射して硬化させた後に、さらに加熱硬化を行うことで、より緻密な膜が形成される。光散乱層形成用組成物の硬化後、板状マスクやキャップを除去する。
2)第2工程
1)工程で形成された所定領域以外の領域上に、LED素子2を配置する。このとき、光散乱層21が形成されていない所定領域以外の領域のメタル部(金属電極部)3と、LED素子2とを接続し、固定する。LED素子2とメタル部(金属電極部)3とは、図8に示されるように、配線4を介して接続してもよく、図9に示されるように、突起電極5を介して接続してもよい。
3)第3工程
光散乱層21及びLED素子2を覆うように、蛍光体含有樹脂層11を形成する。蛍光体含有樹脂層11は、透明樹脂もしくはその前駆体と、蛍光体粒子とを含有する蛍光体含有樹脂層形成用組成物を調製し、これをLED素子2及び光散乱層21を被覆するように塗布し、硬化させて得られる。
1.LED装置
次に、以上の製造方法により作製されたLED装置について説明する。
LED装置100の構造の例を、図8及び図9に示す。
LED装置100は、基板1と、基板1の所定領域に形成された光散乱層21と、基板1における所定領域以外の領域に実装されたLED素子2と、LED素子2及び光散乱層21を覆う蛍光体含有樹脂層11とを有する。
(1)基板について
基板1は、図8及び図9に示されるように、キャビティ(凹部)を有していてもよく、平板状であってもよい。キャビティの形状は特に制限されない。例えば、図8及び図9に示すように、円錐台状であってもよく、角錐台状や、円柱状、角柱状等であってもよい。
基板1は、絶縁性及び耐熱性を有することが好ましく、セラミック樹脂や耐熱性樹脂からなることが好ましい。耐熱性樹脂の例には、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ナイロン、エポキシ樹脂、硬質シリコーンレジン、ポリフタル酸アミド等が含まれる。
基板1には、無機フィラーが含まれていてもよい。無機フィラーは、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、グラスファイバー等でありうる。
例えば図13(a)に示されるように、基板1には、通常メタル部3,3’が配設される。メタル部3,3’は、銀等の金属からなる。メタル部は、外部の電極(不図示)とLED素子2とを電気的に接続する一対の金属電極部(図13(a)において、符号3で示される)でありうる。メタル部3には、LED素子2を取り囲み、かつLED素子2からの光を光取り出し面側に反射する金属反射膜(図13(a)において、符号3’で示される)が含まれてもよい。
(2)LED素子について
LED素子2は、基板1に配設されたメタル部(金属電極部)3と接続されて、基板1上に固定される。
LED素子2は、例えば図8に示されるように、基板1に配設されたメタル部(金属電極部)3と、配線4を介して接続されてもよい。また、図9に示されるように、基板1に配設されたメタル部(金属電極部)3と、突起電極5を介して接続されてもよい。LED素子2が配線4を介してメタル部(金属電極部)3に接続される態様をワイヤボンディング型といい、LED素子2が突起電極5を介してメタル部(金属電極部)3に接続される態様をフリップチップ型という。
LED素子2が出射する光の波長は特に制限されない。LED素子2は、例えば青色光(420nm〜485nm程度の光)を発する素子であってもよく、紫外光を発する素子であってもよい。
LED素子2の構成は、特に制限されない。LED素子2が、青色光を発する素子である場合、LED素子2は、n−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層との積層体でありうる。LED素子2は、例えば200〜300μm×200〜300μmの発光面を有するものでありうる。またLED素子2の高さは、通常50〜200μm程度である。図8及び9に示されるLED装置100には、基板1に1つのLED素子2のみが配置されているが、基板1に複数のLED素子2が配置されていてもよい。
(3)光散乱層について
光散乱層21は、LED素子2からの出射光や、蛍光体含有樹脂層11に含まれる蛍光体が発する蛍光を、LED装置100の光取り出し面側に反射する層である。光散乱層21が配設されることで、LED装置100の光取り出し面から取り出される光量が増加する。
光散乱層21は、基板1の表面のうち、所定領域に形成される。
所定領域とは、前述した(1)基板1において光を取り出す側の面であり、かつ、(2)LED素子2を実装する領域以外であって、かつ、(3)LED素子2の側面2bと接しない領域をいう。LED素子2の実装領域とは、LED素子2の発光面、及びLED素子2とメタル部(金属電極部)3との接続部をいう。つまり、光散乱層21は、LED素子2からの光の出射、及びLED素子2とメタル部(金属電極部)3との接続を阻害しない領域に形成される。光散乱層21は、例えば、LED素子2の周辺領域のみに形成されてもよい。また、例えば、光散乱層21は、LED素子2の周辺領域だけでなく、基板1とLED素子2との間に形成されてもよい。光散乱層21が基板1とLED素子2との間にも形成されると、LED素子2の裏面側に回り込む光を光散乱層21が反射する。そのため、LED装置100からの光取り出し効率が高まる。
図8及び図9に示されるように、基板1がキャビティを有する場合、キャビティ内壁面6にも、光散乱層21が形成されることが好ましい。光散乱層21がキャビティ内壁面6に形成されると、蛍光体含有樹脂層11表面に水平な方向に進む光を、光散乱層21で反射させて、取り出すことができる。
また、図13(a)、(b)に示されるように、光散乱層21はLED素子2の実装領域外かつメタル部領域外;つまりLED素子2の実装領域外であって、メタル部3,3’が形成されていない領域のみに形成されてもよい。具体的には、図13(a)、(b)に示されるように、メタル部3とメタル部3’との隙間に光散乱層21が形成されてもよい。この場合、LED素子2等からの光は、メタル部3,3’及び光散乱層21によって反射される。また、例えば図2に示されるように、光散乱層21は基板1のキャビティ内壁面6のみに形成されてもよい。この場合も、LED素子2等からの光は、メタル部3、3’及び光散乱層21によって反射される。
従来のLED装置の光散乱層は、一般的に金属メッキであった。しかし、金属メッキは、電気の導通防止のために、基板全面に形成することができない。そのため、金属メッキを形成していない領域では、基板に光が吸収されてしまうという問題があった。また、光拡散粒子を分散させた樹脂層からなる光散乱層等も提案されているが、LED素子からの出射光や熱等により劣化しやすい。そのため、LED装置を長期間使用すると、樹脂の劣化により、LED装置からの光取り出し効率が低下する場合があった。
これに対し、本発明のLED装置の光散乱層21は、無機粒子からなる光拡散粒子が、セラミックバインダー(有機ケイ素化合物の硬化物)で結着された層であり;電気が導通しない。つまり、本発明のLED装置では、光散乱層21を基板1の任意の領域に形成でき、メタル部どうしの隙間等にも形成できる。したがって、LED装置から効率よく光を取り出すことができる。さらに、本発明のLED装置の光散乱層21は、LED素子2からの熱や光を受けても分解し難い。したがって、光散乱層21の光反射性が長期に亘って変化することがなく、良好な光取り出し効率が長期間維持される。
光散乱層21の厚みは、10μm以上50μm以下であることが好ましい。光散乱層21の厚みが、50μmを超えると、光散乱層21にクラックが発生しやすくなる。一方、光散乱層21の厚みが10μm未満であると、光散乱層21の光散乱効果が十分ではなく、光取り出し効率が高まらない場合がある。
(3-1)有機ケイ素化合物の硬化物(バインダー)
光散乱層21には、有機ケイ素化合物の硬化物(以下、「バインダー」ともいう)が含まれる。有機ケイ素化合物の硬化物は、(i)ポリシラザンオリゴマーの硬化物であるポリシラザン、並びに(ii)シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの硬化物であるポリシロキサン、並びに(iii)シリコーン樹脂でありうる。
光散乱層21に含まれるバインダーの量は、光散乱層全質量に対して、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。バインダーの量が、5質量%未満であると、膜の強度が十分とならない場合がある。一方、バインダーの含有量が40質量%を超えると相対的に光拡散粒子の量が減少する。そのため、光散乱層の光反射性が十分とならない場合がある。
バインダーである(i)ポリシラザンは、一般式(I):(RSiNRで表されるポリシラザンオリゴマーの重合物(硬化物)でありうる。一般式(I)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基、アリール基、ビニル基、またはシクロアルキル基を表すが、R、R、Rのうち少なくとも1つは水素原子であり、好ましくはすべてが水素原子である。nは1〜60の整数を表す。ポリシラザンオリゴマーの分子形状はいかなる形状であってもよく、例えば、直鎖状または環状であってもよい。
ポリシラザンは、上記式(I)で表されるポリシラザンオリゴマーを、必要に応じて反応促進剤、及び溶媒の存在下、加熱、エキシマ光処理、UV光処理すること等で得られる。
バインダーである(ii)ポリシロキサンは、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、または4官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体(硬化物)でありうる。
バインダーである(iii)であるシリコーン樹脂は、一般式(II):(RaRbSiO)で表わされる2官能シラン化合物の重合物(硬化物)でありうる。一般式(II)中、RaおよびRbは、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシ基を表わす。
本発明におけるバインダーは、中でも、耐光性耐熱性および光散乱層形成用組成物21’の安定性の観点から、(ii)ポリシロキサンが好ましい。
また、光散乱層のクラック耐性の観点から、ポリシロキサンを形成するシラン化合物全体の30重量部から100重量部が3官能シラン化合物で構成されていることが好ましい。
本発明におけるポリシロキサンは、ポリシロキサンを形成するシラン化合物全体の30重量部から100重量部が3官能シラン化合物で構成されていることが好ましい。3官能シラン化合物の割合が前述の範囲であれば、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、または4官能シラン化合物のモノマーを所望の範囲で重合させたポリシロキサンを用いることができる。更に、ポリシロキサンは、特に3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体であることが好ましい。3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物の重合比率は、3:7〜10:0であることが好ましく、5:5〜8:2であることがより好ましい。4官能シラン化合物の重合比率が過剰であると、ポリシロキサンの架橋度が大きくなり、光散乱層にクラックが生じやすくなる。
4官能シラン化合物の例には、下記一般式(II)で表される化合物が含まれる。
Si(OR ・・・(II)
上記一般式(II)中、Rはそれぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
4官能シラン化合物の具体例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランテトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのアルコキシシラン、またはアリールオキシシラン等が含まれる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
3官能シラン化合物の例には、下記一般式(III)で表される化合物が含まれる。
Si(OR ・・・(III)
上記一般式(III)中、Rは、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。また、Rは、水素原子またはアルキル基を表す。
3官能シラン化合物の具体例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン等のモノヒドロシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノエチルシラン化合物;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノプロピルシラン化合物;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノブチルシラン化合物が含まれる。
これらの3官能シラン化合物の一般式(III)で表されるRがメチル基であると、光散乱層21表面の疎水性が低くなる。これにより、蛍光体含有樹脂層11を成膜するための組成物が十分に濡れ広がり、蛍光体含有樹脂層11と光散乱層21との密着性が高まる。一般式(III)で表されるRがメチル基である3官能シラン化合物の例には、メチルトリメトキシシラン、及びメチルトリエトキシシランが含まれ、メチルトリメトキシシランであることが特に好ましい。
2官能シラン化合物の具体例には、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等が含まれる。これらの中でもジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランが好ましい。
ポリシロキサンは、上記シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーを、必要に応じて酸触媒、水、及び溶媒の存在下、加熱処理すること等で得られる。
(3-2)光拡散粒子
光散乱層に含まれる光拡散粒子は、光拡散性の高い粒子であれば、特に制限はない。光拡散粒子の全反射率は、80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは90%以上である。全反射率は日立ハイテク社製、日立分光光度計U4100により測定できる。
光拡散粒子の例には、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、硫酸バリウム(BaSO)、二酸化チタン(TiO)、窒化ホウ素(BrN)、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化アルミニウム(Al)、硫酸バリウム(BaO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等が含まれる。好ましい光拡散粒子の例には、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、及び酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上が含まれる。これらの粒子は、全反射率が大きく、取り扱い易い。光散乱層21には、光拡散粒子が1種のみ含まれてもよく、また2種以上が含まれてもよい。
光拡散粒子の平均一次粒径は、100nmより大きく、20μm以下であることが好ましく、100nmより大きく10μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは200nm〜2.5μmである。本発明における平均一次粒径とは、レーザー回折式粒度分布計で測定されるD50の値をいう。レーザー回折式粒度分布測定装置の例には、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置等がある。
光散乱層21に含まれる光拡散粒子の量は、光散乱層全質量に対して60〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましい。光拡散粒子の量が60質量%未満であると、光散乱層の光反射性が十分とならず、光取り出し効率が高まらない場合がある。一方、光拡散粒子の含有量が95質量%を超えると、相対的にバインダーの量が少なくなり、光散乱層の強度が低くなるおそれがある。
(3-3)金属酸化物微粒子
光散乱層21には、金属酸化物微粒子が含まれてもよい。光散乱層21に金属酸化物微粒子が含まれると、光散乱層21表面に微少な凹凸が生じる。この凹凸により、光散乱層21と蛍光体含有樹脂層11との間に、アンカー効果が生じ、光散乱層21と蛍光体含有樹脂層11との密着性が高まる。また、光散乱層21に含まれる光拡散粒子同士の隙間が埋まるため、光散乱層21の強度が高まり、光散乱層21にクラックが生じ難くなる。
金属酸化物微粒子の種類は、特に制限はないが、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特に、膜強度が高くなるとの観点から、酸化ジルコニウム微粒子が含まれることが好ましい。光散乱層21には、金属酸化物微粒子が1種のみ含まれてもよく、2種以上が含まれてもよい。
金属酸化物微粒子は、表面がシランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理されたものであってもよい。金属酸化物微粒子の表面が処理されていると、金属酸化物微粒子が光散乱層21中に均一に分散されやすくなる。
金属酸化物微粒子の平均一次粒径は5〜100nmであり、好ましくは5〜80nm、より好ましくは5〜50nmである。金属酸化物微粒子の平均一次粒径が100nm以下であると、光拡散粒子同士の隙間に金属酸化物微粒子が入り込みやすくなり、光散乱層の強度が高まりやすい。また、金属酸化物微粒子の平均一次粒径が5nm以上であると、光散乱層21表面に適度な凹凸が形成されやすく、前述のアンカー効果が得られやすい。
光散乱層21に含まれる金属酸化物微粒子の量は、光散乱層全質量に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%であり、さらに好ましくは1〜10質量%であり、特に好ましくは2〜10質量%である。金属酸化物微粒子の含有量が0.5質量%未満であると、光散乱層21と蛍光体含有樹脂層11との界面におけるアンカー効果や、膜の強度が十分に高まらない。一方、金属酸化物微粒子の含有量が30質量%を超えると、相対的にバインダーの量が少なくなり、膜強度が低下するおそれがある。
(3-4)金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物
光散乱層21には、Si元素以外の2価以上の金属元素の金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物が含まれてもよい。光散乱層21に金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物が含まれると、光散乱層21と基板1との密着性が高まる。金属アルコキシドまたは金属キレートに含まれる金属が、基板1の表面の水酸基と、メタロキサン結合を形成するため、光散乱層21と基板1との密着性が高まる。
光散乱層21に含まれる、金属アルコキシドまたは金属キレート由来の金属元素(Si元素を除く)の量は、光散乱層21に含まれるSi元素のモル数に対して、0.5〜20モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜10モル%である。金属元素の量が、0.5モル%未満であると、光散乱層21と基板1との密着性が高まらない。一方、金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物量が多くなると光拡散粒子の量が相対的に減少するため、光散乱層の光反射性が低下するおそれがある。金属元素の量、及びSi元素の量は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)で算出できる。
金属アルコキシドまたは金属キレートに含まれる金属元素の種類は、2価以上の金属元素(Siを除く)であれば特に制限されないが、4族または13族の元素であることが好ましい。すなわち、金属アルコキシドまたは金属キレートは、具体的には、下記の一般式(V)で表される化合物であることが好ましい。
m+m−n (V)
一般式(V)中、Mは4族または13族の金属元素を表し、mはMの価数(3または4)を表す。Xは加水分解性基を表し、nはX基の数(2以上4以下の整数)を表す。ただし、m≧nである。Yは1価の有機基を表す。
一般式(V)において、Mで表される4族または13族の金属元素は、アルミニウム、ジルコニウム、チタンであることが好ましく、ジルコニウムであることが特に好ましい。ジルコニウム元素を含むアルコキシドまたはキレートの硬化物は、一般的なLED素子2の発光波長域(特に青色光(波長420〜485nm)に吸収波長を有さない。そのためジルコニウムのアルコキシドまたはキレートの硬化物に、LED素子2からの光等が吸収され難い。
一般式(V)において、Xで表される加水分解性基は、水で加水分解され、水酸基を生成する基でありうる。加水分解性基の好ましい例には、炭素数が1〜5の低級アルコキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基、クロル基等が含まれる。一般式(V)において、Xで表される基は、全て同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
Xで表される加水分解性基は、前述のように、金属元素が基板1の表面の水酸基等とメタロキサン結合を形成する際に、加水分解される。そのため加水分解後に生成される化合物が中性であり、かつ軽沸である基が好ましい。そこで、Xで表される基は、炭素数1〜5の低級アルコキシ基であることが好ましく、より好ましくはメトキシ基、またはエトキシ基である。
一般式(V)において、Yで表される1価の有機基は、一般的なシランカップリング剤に含まれる1価の有機基でありうる。具体的には、炭素数が1〜1000、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは40以下、特に好ましくは6以下である脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基でありうる。Yで表される有機基は、脂肪族基、脂環族基、芳香族基、及び脂環芳香族基が連結基を介して結合した基であってもよい。連結基は、O、N、S等の原子またはこれらを含む原子団であってもよい。
Yで表される有機基は、置換基を有してもよい。置換基の例には、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機基が含まれる。
一般式(V)で表される、アルミニウム元素を含む金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトシキド、アルミニウムトリエトキシド等が含まれる。
一般式(V)で表される、ジルコニウム元素を含む金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラi−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラi−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシド、ジブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等が含まれる。
一般式(V)で表されるチタン元素を含む金属アルコキシドまたは金属キレートの具体例には、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラi−ブトキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、チタンテトラメトキシプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンラクテート、チタニウムビス(エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンアセチルアセトネート等が含まれる。
ただし、上記で例示した金属アルコキシドまたは金属キレートは、入手容易な市販の有機金属アルコキシドまたは金属キレートの一部である。科学技術総合研究所発行の「カップリング剤最適利用技術」9章のカップリング剤及び関連製品一覧表に示される金属アルコキシドまたは金属キレートの硬化物も、本発明に適用し得る。
(3-5)アルミニウムケイ酸塩
光散乱層21を構成する層には、アルミニウムケイ酸塩を含む無機粒子が含有されていてもよい。アルミニウムケイ酸塩とは、主な構成元素を珪素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)および水素(H)とし、多数のSi−O−Al結合で組み立てられた和水珪酸アルミニウムである。典型的には、組成式:SiO・Al・2HOまたは (OH)AlSiOH で示される。
アルミニウムケイ酸塩の例には、イモゴライトと称されるチューブ状のアルミニウムケイ酸塩がある。イモゴライトとは、例えば、外径が2.0〜2.5nm、内径が1.0〜1.5nm、長さが20nm〜6μmのチューブ状の形態を有する。イモゴライトを光散乱層21に0.1質量%から10質量%の範囲で添加すると、チューブ状のイモゴライトが隣接層の凹凸に入り込み、アンカー効果による密着性向上効果が発現する。また、アルミニウムケイ酸塩化合物を含有することにより光散乱層形成用組成物21’の粘度を上昇させる効果があり、光拡散粒子の沈降を抑えることができる。
(4)蛍光体含有樹脂層について
図8及び図9に示すように、キャビティ(凹部)には蛍光体粒子が透明樹脂に分散された蛍光体含有樹脂層11が形成されていてもよい。蛍光体含有樹脂層11は、通常、LED素子2及び光散乱層21を覆うように形成される。
蛍光体含有樹脂層形成用組成物には、透光性樹脂及び蛍光体粒子が含まれ、必要に応じて無機微粒子等が含まれる。
(透光性樹脂)
蛍光体含有樹脂層形成用組成物に含まれる透光性樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂等の汎用な樹脂から選ぶことができる。中でも耐熱性および耐光性の観点から、シリコーン樹脂を用いるのが好ましい。
蛍光体含有樹脂層形成用組成物に含まれる透光性樹脂の量は、蛍光体含有樹脂層形成用組成物の硬化物中の透光性樹脂量が80.0質量%以上99.5質量%以下となる量が好ましく、85質量%以上95質量%以下となる量が好ましい。
蛍光体含有樹脂層形成用組成物の硬化物中で透光性樹脂はバインダーとして機能するため、当該バインダー量が80.0質量%未満では、十分な塗膜強度を有する硬化膜が得られない。一方、透光性樹脂量が99.5質量%を超えると、蛍光体粒子や、無機微粒子等の含有量が相対的に低下し、蛍光体含有樹脂層形成用組成物の粘度が低下しやすい。
(蛍光体粒子)
蛍光体粒子は、発光素子(LED素子)からの出射光の波長(励起波長)により励起されて、励起波長と異なる波長の蛍光を出射するものであればよい。例えば、LED素子から青色光が出射される場合、黄色の蛍光を発する蛍光体粒子が含まれることで、白色LED素子が得られる。黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体が挙げられる。YAG蛍光体は、青色LED素子から出射される青色光(波長420nm〜485nm)を黄色光(波長550nm〜650nm)に変換することができる。
蛍光体粒子は、例えば1)所定の組成を有する混合原料に、フラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して加圧し、成形体を得て、2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成し、焼結体を得ることで製造し得る。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Gaの酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学両論比で十分に混合して得ることができる。あるいは、所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液を、シュウ酸で共沈して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウム、酸化ガリウムとを混合して得ることができる。
蛍光体の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体とすることもできる。
蛍光体粒子の平均粒径は1μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)は高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、蛍光体粒子とポリシロキサン等との界面に生じる隙間が大きくなる。これにより、蛍光体含有樹脂層形成用組成物の硬化膜の強度が低下する。蛍光体粒子の平均粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定することができる。
蛍光体含有樹脂層形成用組成物に含まれる蛍光体粒子の量は、所望の色度を出すための量を任意に選ぶことができる。
硬化膜中の蛍光体粒子の濃度は、蛍光体含有樹脂層形成用組成物に添加する蛍光体粒子量から求めることができる。
(無機微粒子)
蛍光体含有樹脂層形成用組成物には、無機微粒子が含まれてもよい。無機微粒子が含まれることで、硬化前の蛍光体含有樹脂層の粘度が上昇し、ディスペンサー等でLEDパッケージ内に蛍光体含有樹脂層形成用組成物を注入する際中に、シリンジ内での蛍光体の沈降を抑制することができる。
無機微粒子の例には、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物微粒子、フッ化マグネシウム等のフッ化物微粒子がある。
蛍光体含有樹脂層形成用組成物に含まれる無機微粒子の平均粒径は、上述したそれぞれの効果を考慮して1nm以上50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、1nm〜100nmがさらに好ましい。無機微粒子の平均粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定することができる。
蛍光体含有樹脂層形成用組成物に含まれる無機微粒子の量は、蛍光体含有樹脂層形成用組成物の硬化物中の無機微粒子量が、0.1質量%以上5質量%以下となる量が好ましく、より好ましくは0.5〜1.0質量%である。無機微粒子の量が0.1質量%未満であると、硬化前の蛍光体含有樹脂層形成用組成物の粘度を上げることができず、蛍光体の沈降抑制効果が得られない。さらに、無機微粒子の量が5重量%を超えると、蛍光体含有樹脂層のガスバリア性が低下してしまう。
無機微粒子の表面は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理されていてもよい。表面処理によって、透光性樹脂との相溶性が高まる。
また蛍光体含有樹脂層形成用組成物の粘度は、2000〜10000cPが好ましく、より好ましくは4000〜8000cP、さらに好ましくは5000〜6000cPである。蛍光体含有樹脂層形成用組成物の粘度が低すぎる場合には、蛍光体含有樹脂層形成用組成物をディスペン等でLEDパッケージに注入する際に、シリンジ内で蛍光体が沈降してしまい、製造前半と製造後半で出来上がるLEDの色度がずれてしまう可能性がある。また、蛍光体含有樹脂層形成用組成物の粘度が高すぎる場合には、流動性の低下により、ディスペサー等でのLEDパッケージへの蛍光体含有樹脂層形成用組成物注入が困難になってしまう。粘度は、前述の無機微粒子の量等によって調整し得る。
(蛍光体含有樹脂層形成用組成物の調製方法)
蛍光体含有樹脂層形成用組成物は、透光性樹脂に、蛍光体粒子及び必要に応じて、無機微粒子を混合して調製する。
蛍光体含有樹脂層形成用組成物の撹拌は、例えば、撹拌ミル、自転公転撹拌機などで行うことができる。撹拌条件を調整することで、蛍光体含有樹脂層形成用組成物における蛍光体粒子の沈降を抑制することができる。
(蛍光体含有樹脂層形成用組成物の用途)
蛍光体含有樹脂層形成用組成物は、例えば図2の概略断面図に示すような、LED装置100の蛍光体含有樹脂層11を成膜に用いられる。当該LED装置では、蛍光体含有樹脂層11が、LED素子2やメタル部3等の封止機能だけでなく、LED素子2から出射する光の波長を変換する波長変換機能も担う。当該蛍光体含有樹脂層11は、発光素子のパッケージ、LED素子2、メタル部3を被覆するように、蛍光体含有樹脂層形成用組成物を塗布し、これを乾燥・硬化させることで成膜し得る。
LED装置の製造方法の他の例を、図10から図12のLED装置の概略断面図に示す。
図10に示すように、LED装置は、波長変換層7及びガラス基板9を有する(後述する実施例10)。
LED装置の製造方法には、以下の工程が含まれる。
1)基板1の所定領域に光散乱層形成用組成物を塗布し、硬化させる第1工程
2)基板1にLED素子2を実装する第2工程
3)LED素子2の上にガラス基板9を形成する工程
4)ガラス基板9の上に波長変換層7を形成する工程
波長変換層7及びガラス基板9は、予め製造し、検査し、それらの良品のみを上記工程で用いることとする。それにより、LED装置の歩留まりを向上させることが可能となる。
図11に示すように、LED装置は、波長変換層7を有する(後述する実施例11)。
LED装置の製造方法には、以下の工程が含まれる。
1)基板1の所定領域に光散乱層形成用組成物を塗布し、硬化させる第1工程
2)基板1にLED素子2を実装する第2工程
3)LED素子2及び光散乱層21上に波長変換層形成用組成物を塗布し、硬化させる工程(波長変換層7の形成工程)
なお、波長変換層7を、LED素子2または光散乱層21のいずれか一方の上に形成してもよい。
図12に示すように、LED装置は、さらに樹脂層12を有する(後述する実施例12)。
LED装置の製造方法には、以下の工程が含まれる。
1)基板1の所定領域に光散乱層形成用組成物を塗布し、硬化させる第1工程
2)基板1にLED素子2を実装する第2工程
3)LED素子2及び光散乱層21上に波長変換層形成用組成物を塗布し、硬化させる工程(波長変換層7の形成工程)
4)キャビティに樹脂層形成用組成物を充填し、硬化させる工程(樹脂層12の形成工程)
なお、樹脂層形成用組成物の一例として、シリコーンが含まれる。
(5)波長変換層について
波長変換層7は、LED素子2が出射する光(励起光)を受けて、蛍光を発する。励起光と蛍光とが混ざることで、LED装置100からの光の色が所望の色となる。波長変換層7は、少なくとも蛍光体粒子とバインダーとなるポリシロキサンまたはポリシラザンを含有する組成物からなる。
また、波長変換層7に用いるバインダーとしては、硬化前の波長変換層形成用組成物の安定性から、ポリシロキサンを用いるのが好ましい。
よって、以下では、波長変換層7に用いるバインダーとしてポリシロキサンを用いた場合について説明する。
波長変換層7に含まれるポリシロキサンは、特に制限がなく、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、または4官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体(硬化物)でありうる。
波長変換層7に含まれる蛍光体粒子は、LED素子2から出射する光により励起されて、LED素子2からの出射光と異なる波長の蛍光を発するものであればよい。例えば、黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体等がある。YAG蛍光体は、青色LED素子から出射される青色光(波長420nm〜485nm)を受けて、黄色の蛍光(波長550nm〜650nm)を発する。
蛍光体粒子は、例えば1)所定の組成を有する混合原料に、フラックス(フッ化アンモニウム等のフッ化物)を適量混合して加圧し、これを成形体とする。2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中で1350〜1450℃の温度範囲で、2〜5時間焼成し、焼結体とすることで得られる。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Ga等の酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学両論比で十分に混合して得られる。また、所定の組成を有する混合原料は、1)Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液と、シュウ酸とを混合し、共沈酸化物を得る。2)この共沈酸化物と、酸化アルミニウム、または酸化ガリウムとを混合しても得られる。
蛍光体の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体であってもよい。
蛍光体粒子の平均粒径は1μm〜50μmであることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)は高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、蛍光体粒子とポリシロキサンとの界面に生じる隙間が大きくなる。これにより、波長変換層の硬化膜の強度が低下したり、LED装置の外部から、LED素子2側にガスが侵入しやすくなる。蛍光体粒子の平均粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定することができる。
波長変換層7中に含まれる蛍光体粒子の量は、波長変換層形成用組成物の硬化膜中の蛍光体粒子量が60〜95質量%となる量が好ましい。基本的には、波長変換層形成用組成物の硬化膜中における蛍光体粒子の濃度は高いほど好ましい。蛍光体粒子の濃度が高くなると、バインダーの含有比率が低下するので、硬化膜中における蛍光体粒子の分布が均一になりやすい。また、蛍光体粒子の濃度を高くすると、硬化膜を薄くしても必要量の蛍光体粒子をLED装置に配置することができる。
また、波長変換層形成用組成物の硬化膜における蛍光体粒子の濃度が高いと、蛍光体粒子同士が密着するため、波長変換層形成用組成物の硬化膜の強度が高まる。さらには、当該硬化膜における蛍光体粒子の濃度が高いと、蛍光体粒子からの発熱が、硬化膜から放散されやすくなる。
一方で、波長変換層形成用組成物の硬化膜中の蛍光体粒子の濃度が高すぎる(95質量%超である)と、バインダーの含有比率が極端に低下して、蛍光体粒子同士が結着することができない場合がある。
硬化膜中の蛍光体粒子の濃度は、波長変換層形成用組成物に添加する蛍光体粒子量から求めることができる。
(平板状粒子)
波長変換層形成用組成物には、上記蛍光体粒子と共に、平板状粒子が含まれてもよい。波長変換層形成用組成物に平板状粒子が含まれていると、波長変換層形成用組成物の粘度が高まり、該波長変換層形成用組成物中での蛍光体粒子の沈降が抑制される。平板状粒子は、波長変換層形成用組成物中においてカードハウス構造として存在し、少量で波長変換層形成用組成物の粘度が大幅に高まる。
波長変換層形成用組成物に含まれる平板状粒子の典型例には、層状粘土鉱物微粒子がある。層状粘土鉱物微粒子の主成分は層状ケイ酸塩鉱物であり、雲母構造、カオリナイト構造、スメクタイト構造などの構造を有する膨潤性粘土鉱物が好ましく、膨潤性に富むスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物がより好ましい。層状粘土鉱物微粒子は平板状を呈するため、波長変換層形成用組成物を構成するセラミック層の膜強度を向上させることもできる。
平板状粒子の含有量は、波長変換層形成用組成物の硬化膜中の平板状粒子量が0.5質量%以上20質量%以下となる量が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下となる量がより好ましい。硬化膜における平板状粒子の含有量が0.5質量%未満になると、平板状粒子の添加効果が十分に得られない。一方、層状ケイ酸塩鉱物の含有量が20質量%を超えると波長変換層形成用組成物の強度が低下する。
平板状粒子は、上記溶媒との相溶性を考慮して、層状粘土鉱物微粒子の表面は、アンモニウム塩等で修飾(表面処理)されていてもよい。
(無機微粒子)
波長変換層形成用組成物には、無機微粒子が含まれてもよい。無機微粒子が含まれることで、無機微粒子が蛍光体同士の隙間に入り込み、波長変換層形成用組成物の硬化膜の強度が高まる。また無機微粒子が多孔質である場合には、多孔質の空隙部に溶媒が入り込み、波長変換層形成用組成物の粘度が効果的に高まる。無機微粒子の比表面積は200m/g以上が好ましい。
無機微粒子の例には、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物微粒子、フッ化マグネシウム等のフッ化物微粒子がある。
波長変換層形成用組成物に含まれる無機微粒子の平均粒径は、上述したそれぞれの効果を考慮して1nm以上50μm以下が好ましく、1nm〜10μmがより好ましく、1nm〜100nmがさらに好ましい。無機微粒子の平均粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定することができる。
波長変換層形成用組成物に含まれる無機微粒子の量は、波長変換層形成用組成物の硬化物中の無機微粒子量が、0.5質量%以上50質量%以下となる量が好ましく、より好ましくは1〜40質量%である。無機微粒子の量が0.5質量%未満であると、蛍光体粒子の隙間を、無機微粒子で埋めることができず、前述の増粘効果や膜強度向上効果が得られない。さらに、無機微粒子の量が0.5重量%未満であると、相対的に蛍光体粒子成分が多くなるため、波長変換層形成用組成物の塗布時のハンドリング性が低下する。したがって、色度の均一な層の成膜が困難となる。一方で、無機微粒子の量が50質量%を超えると、発光素子の励起光を無機微粒子が過度に散乱させてしまい、発光装置の光取り出し効率が低下する。
無機微粒子の表面は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理されていてもよい。表面処理によって、無機微粒子と、ポリシロキサンや溶媒との相溶性が高まる。
(波長変換層形成用組成物の物性)
波長変換層形成用組成物のpHは、1〜4であることが好ましい。pHが1未満もしくは4を超えると、ポリシロキサンもしくは有機金属化合物が反応してしまい、保存時に沈殿等が生じる場合がある。波長変換層形成用組成物のpH調整のため、必要に応じて、例えば硝酸等、pH調整剤等を添加してもよい。
また波長変換層形成用組成物の粘度は、10〜1000cPが好ましく、より好ましくは12〜800cP、さらに好ましくは20〜600cPである。波長変換層形成用組成物の粘度が低すぎる場合には、蛍光体含有樹脂層形成用組成物の塗布時に、蛍光体含有樹脂層形成用組成物が流れてしまい、目的の領域に波長変換層形成用組成物を塗布できない。また波長変換層形成用組成物の粘度型高すぎる場合には、波長変換層形成用組成物の塗布が困難となり、さらに発光素子の埋め込み性が不良となる場合がある。粘度は、前述の無機微粒子の量等によって調整し得る。
(波長変換層形成用組成物の調製方法)
波長変換層形成用組成物は、溶媒に、蛍光体粒子、ポリシロキサン、有機金属化合物、及び必要に応じて、無機微粒子、平板状粒子等を混合して調製する。
各成分の混合順序は特に制限されないが、溶媒の一部を水とする場合は、1)水以外の分散溶媒に平板状粒子(親油性に表面処理されたもの)を予備混合して、その後にポリシロキサン、有機金属化合物、蛍光体粒子、無機微粒子、及び水を添加混合して撹拌する態様、2)平板状粒子(親油性に表面処理されたもの)と水とを予備混合して、その後に、ポリシロキサン、有機金属化合物、蛍光体粒子、無機酸化物を、水以外の分散溶媒とともに撹拌する態様が例示される。このようにして、波長変換層形成用組成物中に平板状粒子を均一に分散させて、粘度をより高めることができる。
混合液の撹拌は、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機などで行うことができる。撹拌条件を調整することで、蛍光体分散液における蛍光体粒子の沈降を抑制することができる。
波長変換層7は、ポリシロキサンに蛍光体粒子を分散させた波長変換層形成用組成物を準備し、これをディスペンサーやスプレー等で、LED素子2、及び光散乱層21上に塗布する。その後、この波長変換層形成用組成物を硬化させることで得られる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。
(1)パッケージの準備
図8及び図9に示される、キャビティを有する基板1を準備した。基板1は、ポリフタル酸アミド(PPA)樹脂からなるものとした。基板1は、3.2mm×2.8mm×1.8mmの直方体に、開口径2.4mm、壁面角度45°、深さ0.85mmの円錐台状のキャビティが形成されたものとした。
(2)蛍光体含有樹脂層形成用組成物の準備
シリコーン樹脂(信越シリコーン社製、KER2600)と、黄色蛍光体(根本特殊化学製、YAG 450C205(体積平均粒径 粒径D50 20.5μm))とを混合し、蛍光体含有樹脂層形成用組成物を調製した。蛍光体含有樹脂層形成用組成物における黄色蛍光体の濃度は、5質量%とした。
(3)波長変換層形成用組成物の準備
ジメトキシジメチルシラン22.5g、メチルトリメトキシシラン85.1g、テトラメトキシシラン28.5g、メタノール80.0g、及びアセトン80.0gを混合・撹拌した。当該混合液に、水109.2g及び60%硝酸9.2μLを加え、さらに4.5時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10%となるようにメタノールで希釈した。続いて、スターラーで30分間撹拌し2官能ジメチルシラン化合物:3官能モノメチルシラン化合物:4官能シラン化合物の重合モル比が18.75:62.5:18.75であり、質量平均分子量2000であり、pHが4である、ポリシロキサン溶液を得た。
続いて、前記ポリシロキサン溶液に、黄色蛍光体(根本特殊化学製、YAG 450C205(体積平均粒径 粒径D50 20.5μm))1gと、MK−100(合成雲母、コープケミカル社製)0.05gと、RX300(1次粒子の平均粒径7nm、比表面積300m/g、日本エアロジル社製)0.05gと、プロピレングリコール1.5gとを混合し、波長変換層形成用組成物を調製した。
(4)イモゴライトの合成
容量1Lの攪拌機付き容器に、0.1mol/lのオルトケイ酸ナトリウム250mlと、0.15mol/lの塩化アルミニウム六水和物250mlとを混合した。混合物を攪拌しながら、混合物に1Nの水酸化ナトリウム水溶液50mlを混合物に滴下した。このときの溶液をプレートヒーターにより加熱して90℃とし、この温度を10時間維持した。
次に、混合物に濃塩酸を加えてpHを7.0とした。生成した塩化ナトリウムを水洗により除去し、再度濃塩酸を加えてpHを4.0とした。これを100℃に加熱し、24時間維持することでアルミニウムケイ酸塩化合物であるイモゴライトを作製した。
(5)LED装置の作製、評価
比較例及び実施例に係るLED装置を作製し、これらのLED装置に対して、光取り出し性評価、色度ばらつき評価、クラック耐性評価、密着性評価、及び、耐熱性評価を行った。
<光取り出し性評価>
比較用LED装置を作製し、この比較用LED装置が発する全光束値と、各LED装置が発する全光束値とを比較し、評価した。
比較用LED装置は、図9の蛍光体含有樹脂層封止型LED構成(後述する)において、発光素子の実装後に光散乱層を積層させた以外は、実施例1のLED装置1−1と同様に作製した。評価は以下のように行った。
・全光束値が、比較用LED装置より5%以上高い:◎
・全光束値が、比較用LED装置より3%以上5%未満高い:○
・全光束値が、比較用LED装置より0%以上3%未満高い:△
・全光束値が、比較用LED装置より低い:×
<色度ばらつき評価>
各実施例及び比較例のLED装置を、それぞれ5サンプルずつ作製した。これらのLED装置の発光色度を、分光放射輝度計(CS−1000A、コニカミノルタセンシング社製)にて測定し、5つの測定値から標準偏差を算出して、色度の均一性を評価した。評価は標準偏差の平均値で行った。また、評価の指標として、標準偏差が0.02以下であれば色度のばらつきにおいて実用上問題がないものとした。具体的には下記のように評価した。
・標準偏差の平均値が0.01以下である:○
・標準偏差の平均値が0.01より大きく、0.02以下である:△
・標準偏差の平均値が0.02より大きい:×
<クラック耐性評価>
作製した各LED装置の光散乱層を、走査型電子顕微鏡SEM(VE7800;Keyence社製)にて、拡大倍率1000倍で外観観察した。それぞれについて、下記の基準でクラック耐性評価を行った。
・封止層に1μm以上の長さの亀裂が無い:◎
・封止層に1μm以上10μm未満の長さの亀裂が1本有る:○
・封止層に10μm以上の長さの亀裂が1本以上5本以下有る:△
・封止層に10μm以上の長さの亀裂が5本以上有る:×
<密着性評価>
実施例及び比較例で作製したLED装置について、ヒートショック試験器(TSA−42EL;エスペック社製)を用い、ヒートショック試験を行った。試験は、LED装置を100℃にて30分保存後、−40℃にて30分保存する工程を1サイクルとし、これを繰返し行った。試験後のサンプルに電流を流して、点灯するかを確認した。不点灯は、LED素子と光散乱層との界面剥離によって生じる。LED素子と光散乱層との密着性を、下記の基準で評価した。
・2500サイクル実施後にも点灯:◎
・2000サイクル実施後には点灯するが、2500サイクル未満で不点灯発生:○
・1500サイクル実施後には点灯するが、2000サイクル未満で不点灯発生:△
・1500サイクル未満で不点灯発生:×
<耐熱性評価>
スプレーを用いて発光装置用光散乱層の溶液をスライドガラスに塗布し、150℃で1時間焼成して硬化させることで30μm厚の封止材層を積層させ、片面に30μm厚の光散乱層がついたスライドガラスを作製した。続いて、前記サンプルの初期状態の反射率を測定し、200℃の恒温槽に168時間放置した後の透過率を同様に測定した際の透過率変化をもとに、下記の基準で耐熱性評価を行った。
◎:熱処理後の400nm-700nmの平均反射率低下が0%以上、0.2%未満である
○:熱処理後の400nm-700nmの平均反射率低下が0.2%以上、0.5%未満である
△:熱処理後の400nm-700nmの平均反射率低下が0.5%以上、0.8%未満である
×:熱処理後の400nm-700nmの平均反射率低下が0.8%以上である
[比較例1]
比較例1に係るLED装置を作製したときの工程順として、基板1上にLED素子2を実装した後に、光散乱層21を形成した(光散乱層積層)。
バインダーにポリシロキサンを用いた。
光散乱層形成用組成物21’は次の手順によって作製している。
メチルトリメトキシシラン81.7g、テトラメトキシシラン60.9g、メタノール80.0g、及びアセトン80.0gを混合・撹拌した。当該混合液に、水109.2g及び60%硝酸9.2μLを加え、さらに4.5時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン固形分値が10%となるようにメタノールで希釈した。続いて、スターラーで30分間撹拌し3官能モノメチルシラン化合物:4官能シラン化合物の重合モル比が60:40であり、質量平均分子量2000であり、pHが4である、ポリシロキサン溶液を得た。
続いて、前記ポリシロキサン溶液に、光拡散粒子である酸化チタン600g(富士チタン工業 TA−100 粒径600nm)、及び1,3−ブタンジオール50gを混合して光散乱層形成用組成物21’を調整した。
スプレー装置の移動台上に、前述のパッケージを載置した。パッケージ内のLED素子の発光面を、図5に示されるマスク41で保護しながら、基板に光散乱層形成用組成物をスプレー塗布した。このとき、光散乱層形成用組成物の吐出圧力は、0.1MPaとした。また、ノズルが基板の一端から他端まで一往復するように、ノズルを移動させた。ノズルの移動速度は100mm/sとした。その後、150℃で1時間加熱して、膜厚30μmの光散乱層21を形成した。続いて、前述の蛍光体含有樹脂層形成用組成物を用いて、蛍光体含有樹脂層11を形成することによりLED No.3のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“×”、色度ばらつき“×”、耐熱性“○”となった。
Figure 2014130903
[比較例2]
比較例1のLED装置作製において、光散乱層21を形成(光散乱層積層)しないことによりLED No.4のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“×”、色度ばらつき“×”、耐熱性“○”となった。
[実施例1]
比較例1のLED装置作製において、基板1上に光散乱層21を形成した(光散乱層積層)、後に、LED素子2を実装することにより、LED No.1のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例2]
比較例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’のバインダーとして、ポリシロキサンの代わりにシリコーン(OE6630, 東レダウコーニング社製)を用い、ディスペンサーにより基板上に塗布することにより、LED No.2のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“△”、色度ばらつき“○”、耐熱性“△”となった。
[実施例3]
実施例3に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、ポリシロキサン溶液のシロキサンモノマー原料にメチルトリメトキシシラン136.2gとし、テトラメトキシシランを用いないことにより、光散乱層21のポリシロキサン3官能比率を100%であるLED No.5のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“△”となった。
[実施例4]
実施例4に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、メチルトリメトキシシランの添加量を40.9g、テトラメトキシシランの添加量を106.5gとすることにより、光散乱層21のポリシロキサン3官能比率を30%であるLED No.6のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例5]
実施例5に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、メチルトリメトキシシランの添加量を27.2g、テトラメトキシシランの添加量を121.8gとすることにより、光散乱層21のポリシロキサン3官能比率を20%であるLED No.7のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“△”、密着性“△”、耐熱性“○”となった。
[実施例6]
実施例6に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’をスプレー塗布する際のノズルの移動速度を600mm/sとすることにより光散乱層21の膜厚が5μmであるLED No.8のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“△”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例7]
実施例7に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’をスプレー塗布する際のノズルの移動速度を60mm/sとすることにより光散乱層21の膜厚が50μmであるLED No.9のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例8]
実施例8に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’をスプレー塗布する際のノズルの移動速度を50mm/sとすることにより光散乱層21の膜厚が60μmであるLED No.10のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“△”、密着性“△”、耐熱性“○”となった。
[実施例9]
実施例9に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’に酸化チタンスラリー(TECNADIS-TI-220、TECNAN社製)を8g添加することにより、光散乱層21に金属酸化物微粒子が10質量%含まれたLED No.11のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“◎”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例10]
実施例10に係る波長変換型封止層/ガラス基板積層型LED装置を、図10のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、蛍光体含有樹脂層でLEDを封止せず、波長変換層7を積層させたガラス基板をLED素子2上に配置することにより、図10の構成のLED No.12のLED装置を作製した。
なお、波長変換層7を積層させたガラス基板は、スプレー装置(TS−MSP−400、タイテック ソリューションズ社製)を用いて、150℃1時間乾燥後の波長変換層7の膜厚が20μmとなるように前記波長変換層形成用組成物を塗布することで作製している。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“◎”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“◎”となった。
[実施例11]
実施例11に係る波長変換型封止層型LED装置を、図11のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、蛍光体含有樹脂層でLEDを封止せず、波長変換層7を光散乱層21およびLED素子2上に積層させることにより、図11の構成のLED No.13のLED装置を作製した。
なお、波長変換層7の積層は、スプレー装置(TS−MSP−400、タイテック ソリューションズ社製)を用いて、150℃1時間乾燥後の波長変換層7の膜厚が20μmとなるように前記波長変換層形成用組成物を塗布することで作製している。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“◎”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“◎”となった。
[実施例12]
実施例12に係る樹脂層/波長変換型封止層型LED装置を、図12のLED装置の概略断面図に示す。
実施例11のLED装置作製において、装置作製後にさらにLED装置の凹部にシリコーン樹脂(OE6630, 東レダウコーニング社製)を注入し、150℃で1時間硬化させることにより図12の構成のLED No.14のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“◎”、色度ばらつき“◎”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例13]
実施例13に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’に添加する光拡散粒子を酸化チタンの代わりに硫酸バリウム(堺化学工業社製 BF−10 粒径600nm)とすることにより、光散乱粒子が硫酸バリウムであるLED No.15のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例14]
実施例14に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’に添加する光拡散粒子を酸化チタンの代わりにチタン酸バリウム(堺化学工業社製 BT−05 粒径500nm)とすることにより、光散乱粒子がチタン酸バリウムであるLED No.16のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例15]
実施例15に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’に添加する光拡散粒子を酸化チタンの代わりに窒化ホウ素(DENKA社製 h−BN 粒径500nm)とすることにより、光散乱粒子が窒化ホウ素であるLED No.17のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例16]
実施例16に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’に添加する光拡散粒子を酸化チタンの代わりに酸化亜鉛(堺化学工業社製 XZ-500F 粒径500nm)とすることにより、光散乱粒子が酸化亜鉛であるLED No.18のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例17]
実施例17に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’に添加する光拡散粒子を酸化チタンの代わりに酸化アルミニウム(住友化学社製 AKP-20 粒径500nm)とすることにより、光散乱粒子が酸化アルミニウムであるLED No.18のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“○”、耐熱性“○”となった。
[実施例18]
実施例18に係る蛍光体含有樹脂層封止型LED装置を、図9のLED装置の概略断面図に示す。
実施例1のLED装置作製において、光散乱層形成用組成物21’にアルミニウムケイ酸塩化合物として前述のイモゴライトを7.5g添加したものを用いることにより、光散乱層21にアルミニウムケイ酸塩化合物が1質量%含まれたLED No.18のLED装置を作製した。
このLED装置に対する評価を表1に示す。表1に示すように、光取り出し性“○”、色度ばらつき“○”、クラック耐性“○”、密着性“◎”、耐熱性“○”となった。
表1に示されるように、工程順として、基板1に光散乱層21を形成し(光散乱層積層)し、その後に、LED素子2を実装した場合(実施例1)、実装した後に光散乱層積層した場合(比較例1)と比較して、光取り出し性及び色度ばらつきが良好であった。比較例1では、光散乱層21を形成するとき、塗布する光散乱層形成用組成物がLED素子2の側面2bに付着したものと推測される。
また、基板1に光散乱層21を形成した場合(実施例1、2)、光散乱層21を形成しない場合(比較例2)と比較して、光取り出し性及び色度ばらつきが良好であった。これは、光散乱層21を設けることで、光散乱効果が大幅に向上し、また、散乱による均一化がなされたためであると推察される。
さらに、バインダーにポリシロキサンを用いた場合(実施例1)、シリコーンを用いた場合(実施例2)と比較して、光取り出し性及び耐熱性が良好であった。これは、無機のポリシロキサンの方が、シリコーンに比べて、拡散粒子の充填率が高く、耐熱性に優れているためである。
表2に示されるように、図9に示す蛍光体含有樹脂層封止型LED装置において、光散乱層21におけるポリシロキサン3官能比率が30%以上の場合(実施例1、3、4)、20%以下の場合(実施例5)と比較して、クラック耐性及び密着性が良好であった。実施例5では、保存条件(2000サイクル未満)によっては、不点灯を確認した。これは、LED素子2と光散乱層21との界面剥離が発生したものと推測される。
Figure 2014130903
図9に示す蛍光体含有樹脂層封止型LED装置において、光散乱層21の膜厚を5μmとした場合(実施例6)と、その膜厚を50μmとした場合(実施例7)と比較して、光取り出し性が低下した。これは、光散乱層21の膜厚は厚くなるほど光散乱効果が増すが、膜厚5μmでは、光散乱効果が十分に発揮されないためであると推察される。
さらに、光散乱層21の膜厚を60μmとした場合(実施例8)、膜厚50μmの実施例7と比較して、クラック耐性及び密着性が低下した。光散乱層21の膜厚が厚すぎると、クラックの原因になると推測される。以上のことから、光散乱層21の膜厚においては、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
光散乱層21に金属酸化物微粒子を含ませた場合(実施例9)、金属酸化物微粒子を含ませない場合(実施例1)と比較して、実施例9の方が、クラック耐性に優れていることを確認した。
図10に示す波長変換型封止層/ガラス基板積層型LED装置(実施例10)と、図9に示す蛍光体含有樹脂層封止型LED装置(実施例1)とを比較した結果、実施例10の方が、色ばらつき及び耐熱性が良好であった。
さらに、図11に示す波長変換型封止層型LED装置(実施例11)と、実施例1とを比較した結果、実施例11の方が、色ばらつき及び耐熱性が良好であった。さらに、図12に示す樹脂層/波長変換型封止層型LED装置(実施例12)と、実施例1とを比較した結果、実施例12の方が、色ばらつきが良好であった。
なお、光散乱層21における光散乱粒子を硫酸バリウムとした場合(実施例13)、チタン酸バリウムとした場合(実施例14)、窒化ホウ素とした場合(実施例15)、酸化亜鉛とした場合(実施例16)、酸化アルミニウムとした場合(実施例17)のそれぞれと、酸化チタンとした実施例1とを比較した結果、光取り出し性が低下した。以上のことから、光散乱粒子は、酸化チタンであることが好ましいことが確認された。
さらに、図9に示す蛍光体含有樹脂層封止型LED装置において、光散乱層21にアルミニウムケイ酸塩化合物であるイモゴライトを添加した場合(実施例18)、密着性が向上することが確認された。
本発明のLED装置は、光散乱層が経時劣化することがないため、その光取り出し効率が、長期間に亘って良好である。したがって、本発明により製造されるLED装置は、大光量が必要とされる自動車用ヘッドライトをはじめ、屋内、屋外で使用される各種照明装置に好適である。
1 基板
1a 表面(光取り出し側の面)
2 LED素子
2a 表面
2b 側面
2c 裏面
3 メタル部
3’メタル部
4 配線
5 突起電極
6 キャビティ内壁面
7 波長変換層
8 LED素子とメタル部との接続領域
9 ガラス基板
11 蛍光体含有樹脂層
12 樹脂層
21 光散乱層
21’ 光散乱層形成用組成物
41 板状マスク
51 レジストマスク
51’ レジストマスク
61 金型
100 LED装置
200 塗布装置
210 塗布液タンク
220 光散乱層形成用組成物
230 連結管
240 ヘッド
250 ノズル
270 光散乱層液性用組成物

Claims (15)

  1. 回路基板上における所定領域に透光性材料に光拡散粒子を含ませた組成物からなる光散乱層を形成した後に、前記回路基板上における前記所定領域以外の領域に半導体発光素子を実装する工程を有することを特徴とする半導体発光装置の製造方法。
  2. 前記半導体発光素子の側面は光を出射する発光面であり、
    前記半導体発光素子の側面に光散乱層が接していないことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置の製造方法。
  3. 前記半導体発光装置がLEDであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体発光装置の製造方法。
  4. 前記光散乱層の厚みが10μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置の製造方法。
  5. 前記光散乱層が光拡散粒子と有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置の製造方法。
  6. 前記光拡散粒子は酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、および酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
  7. 前記有機ケイ素化合物がシラン化合物の重合体であり、シラン化合物全体の30重量部から100重量部が3官能シラン化合物で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光装置の製造方法。
  8. 前記光拡散粒子は、平均一次粒径が100nm〜20μmであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
  9. 前記光散乱層は、平均一次粒径が5〜100nmである金属酸化物微粒子をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体発光装置の製造方法。
  10. 前記金属酸化物微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、及び酸化亜鉛の群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光装置の製造方法。
  11. 請求項1から請求項10に記載の半導体発光装置の製造方法であって、前記光散乱層が、アルミニウムケイ酸塩化合物を含み、アルミニウムケイ酸塩化合物が外径をa、長さをbとしたときのb/aの値が10以上であることを特徴とする、請求項11に記載の発光装置。
  12. 前記光散乱層および/または前記半導体発光素子上に、少なくとも蛍光体粒子とポリシロキサンを含有する組成物からなる波長変換層を形成させることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
  13. 前記波長変換層上にさらに樹脂層を形成することを特徴とする請求項12に記載の半導体発光装置の製造方法。
  14. 前記光散乱層および/または前記半導体発光素子上に、蛍光体粒子が分散した樹脂からなる蛍光体含有樹脂層を形成することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の半導体発光装置の製造方法。
  15. 前記請求項1から請求項14のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする半導体発光装置。
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