JP5729327B2 - Led装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、LED装置の製造方法に関する。
従来、窒化ガリウム(GaN)系の青色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)チップの近傍に、YAG蛍光体等を配置した白色LEDが知られている。当該白色LED装置は、青色LEDチップから出射される青色光と、青色光を受けて蛍光体が発する黄色の蛍光とを混合し、白色光を出射する。近年、上記黄色の蛍光を発する蛍光体を、赤色の蛍光を発する蛍光体、及び緑色の蛍光を発する蛍光体に替えた白色LED装置も提案されている。
白色LED装置は、従来の蛍光灯や白熱電灯の代替品として実用化されている。また近年、白色LED装置を自動車のヘッドライトに適用することも検討されている。自動車のヘッドライトには、(1)照射光の輝度が高いことが求められる。また、標識の色等を判別しやすいよう、(2)照射光の色度が一定であることも求められる。
しかし、一般的なLED装置では、照射光の色度にバラつきが生じやすかった。これは、以下の要因による。一般的な白色LED装置では、LEDチップを、透明樹脂に蛍光体粒子を分散させた封止部材で封止する。この封止部材を形成するための組成物では、蛍光体粒子がその比重により沈降する。そのため、当該組成物を塗布して形成した封止部材では、蛍光体濃度にバラつきがある。
そこで、蛍光体粒子の沈降を抑制する方法が種々提案されている。例えば硬化時の粘度が高いシリコーン樹脂を、封止樹脂とすることが、提案されている(特許文献1)。さらに、粘土鉱物を主とする層状化合物に有機カチオンを添加してなる親油性化合物を封止樹脂に加えることも提案されている(特許文献2)。また、LEDチップの表面を、粘着性の透明材料で覆い、その外側に蛍光体層を付着させる方法も提案されている(特許文献3)。
これらの方法によれば、蛍光体粒子の沈降は、ある程度改善可能である。しかし、これらの方法では、蛍光体粒子を樹脂に分散、もしくは樹脂に付着させている。そのため、LEDチップからの熱で、封止部材を構成する樹脂が劣化して着色したり、透過率が低下する等の問題があった。
封止樹脂を、セラミック材料(ガラス材料)に替える技術も提案されている(特許文献4)。この技術では、蛍光体粒子を、金属アルコキシドやセラミック前駆体に分散させ、これをLEDチップ表面に塗布・焼成して封止部材を得る。特許文献4はさらに、上記分散液に無機粒子を沈降防止剤として添加することも提案している。
特開2002−314142号公報 特開2004−153109号公報 米国特許第7157745号明細書 特許第3307316号公報
しかしながら、特許文献4に記載されているように、無機粒子を多量に添加すると、無機粒子が光を散乱させ、LED装置からの光取り出し効率が低下するという問題があった。またこの場合、蛍光体粒子を含有する層の表面の平滑性が損なわれることでも散乱が生じ、光取り出し効率が低下する。
また、分散液に無機粒子等の粒子成分が多く含まれると、塗膜内に空隙が生じやすいという問題もあった。空隙は、バインダ量が少なく、セラミックバインダが粒子どうしの隙間を埋めきらないために生じる。また、分散液の塗布後、溶媒が揮発したり、セラミックバインダが硬化収縮すること等でも生じる。このような空隙が存在すると、LED装置の外部から、ガスや水分が封止部材を通過して入り込み、LEDチップが経時で劣化する。
一方で、無機粒子の量が少ないと、蛍光体粒子の沈降が十分に抑制できない。さらに、相対的にセラミックバインダ量が多くなると、得られる膜にクラックが生じやすく、このクラックによって、LEDチップが経時で劣化する。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、LEDチップの経時劣化が少なく、かつ封止部材に蛍光体粒子が一定の濃度で含まれるLED装置の製造方法を提供する。
即ち、本発明によれば、以下に示すLED装置の製造方法が提供される。
[1]LEDチップと、前記LEDチップを被覆し、前記LEDチップが発する特定の波長の光を、他の特定の波長の光に変換する波長変換層と、を有するLED装置の製造方法であって、前記LEDチップを準備する準備工程と、前記LEDチップ上に、蛍光体粒子、粘土鉱物粒子、無機粒子、及び溶媒を含有する蛍光体含有液を塗布する蛍光体含有液塗布工程と、前記LEDチップ上に、透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第一次セラミック前駆体塗布工程と、前記LEDチップ上に、さらに透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第二次セラミック前駆体塗布工程と、前記LEDチップを焼成する焼成工程とを含む、LED装置の製造方法。
[2]前記第一次セラミック前駆体塗布工程後、前記第二次セラミック前駆体塗布工程前に、前記セラミック前駆体含有液の塗膜を乾燥させる乾燥工程を有する、[1]に記載のLED装置の製造方法。
[3]前記第一次セラミック前駆体塗布工程後、前記第二次セラミック前駆体塗布工程前に、前記セラミック前駆体含有液の塗膜を焼成するセラミック前駆体含有液焼成工程を有する、[1]に記載のLED装置の製造方法。
また、本発明は、以下に示す他の態様のLED装置の製造方法も提供する。
[4]LEDチップと、前記LEDチップを被覆する透光性基材と、前記透光性基材上に形成され、前記LEDチップが発する特定の波長の光を、他の特定の波長の光に変換する波長変換層とを含むLED装置の製造方法であって、前記透光性基材を準備する準備工程と、前記透光性基材上に蛍光体粒子、粘土鉱物粒子、無機粒子、及び溶媒を含有する蛍光体含有液を塗布する蛍光体含有液塗布工程と、前記透光性基材上に、透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第一次セラミック前駆体塗布工程と、前記透光性基材上に、さらに透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第二次セラミック前駆体塗布工程と、前記透光性基材を焼成し、前記透光性基材及び前記波長変換層が積層された波長変換用積層体を得る焼成工程と、前記波長変換用積層体を、前記LEDチップ上に配設する配設工程とを含む、LED装置の製造方法。
本発明のLED装置の製造方法によれば、得られるLED装置の波長変換層内の蛍光体粒子の濃度を所望の範囲にできる。また、本発明により得られるLED装置では、LEDチップが波長変換層で十分に封止されており、LEDチップの経時劣化が少ない。
本発明のLED装置の製造方法により製造されるLED装置の一例を示す概略断面図である。 本発明のLED装置の製造方法により製造されるLED装置の他の例を示す概略断面図である。 本発明のLED装置の製造方法により製造されるLED装置の他の例を示す概略断面図である。 本発明のLED装置の製造過程を説明するための説明図である。図4Aは蛍光体含有液塗布工程後の膜の様子を示す。図4Bは第一次セラミック前駆体塗布工程後の膜の様子を示す。図4Cは第二次セラミック前駆体塗布工程後の膜の様子を示す。 本発明のLED装置の製造方法において、蛍光体含有液もしくはセラミック前駆体含有液を塗布するスプレー装置の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
本発明は、LEDチップと、前記LEDチップを被覆し、前記LEDチップが発する特定の波長の光を、他の特定の波長の光に変換する波長変換層と、を有するLED装置の製造方法に関する。図1〜図3は、本発明により製造するLED装置100の構造の例を示す概略断面図である。
(LEDチップについて)
LEDチップ1は、パッケージ(LED基板)5上に配設され、パッケージ5上に配設されたメタル部(メタル配線)6と、突起電極7等を介して接続される。
LEDチップ1は、例えば青色LEDである。青色LEDは、LED基板5に積層されたn−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層とからなる積層体等でありうる。LEDチップ1は、例えば200〜300μm×200〜300μmの発光面を有する。またLEDチップ1の高さは、通常50〜200μm程度である。
LEDチップ1の発光面上には、図2に示すように、LEDチップ1を保護するためのガラス基板8を有してもよい。ガラス基板8の厚みは、通常200〜2000μmである。
パッケージ5は、例えば液晶ポリマーやセラミックであるが、絶縁性と耐熱性を有していれば、その材質は特に限定されない。またその形状も特に制限はなく、例えば図1に示すように、凹部を有する形状であってもよく、図2に示すように平板状であってもよい。
メタル部6は、銀等の金属からなる配線であり、LEDチップ1からの出射光を反射する反射板としての機能を有する場合もある。メタル部6は、図1に示すように、突起電極7等を介して、LEDチップ1と接続してもよく、また配線等を介して、LEDチップ1と接続してもよい。突起電極7を介してメタル部6とLEDチップ1とを接続する態様を、フリップチップ型という。
図1〜3に示されるLED装置100には、パッケージ5に、1つのLEDチップ1のみが配置されているが;パッケージ5に、複数のLEDチップ1が配置されていてもよい。
(波長変換層について)
波長変換層2は、LEDチップ1が出射する光(励起光)を受けて、蛍光を発する層である。励起光と蛍光とが混ざることで、LED装置100から所望の色の光が発光する。例えば、LEDチップ1からの光が青色であり、波長変換層2の発する蛍光が黄色であると、LED装置100からの光が白色となる。
波長変換層2は、図1に示すように、LEDチップ1を直接覆う層であってもよく、図2に示すように、ガラス基板8で発光面が保護されたLEDチップ1を覆う層であってもよい。また、波長変換層2は、図3に示すように、透光性基材3を介してLEDチップ1を覆う層であってもよい。
波長変換層2の厚みは、LEDチップが必要とする蛍光体の量に応じて設定されるため、特に限定されない。ただし、波長変換層2の厚みを150μm以下とすることが好ましく、さらに100μm以下とすることが好ましい。波長変換層2の厚みが150μmを超えると、波長変換層2にクラックが生じることがある。
波長変換層2の厚みの下限は特に制限されないが、通常は15μm以上、好ましくは20μm以上である。蛍光体粒子の大きさ(粒径)は、通常10μm以上であるので、波長変換層2の厚みを15μm未満とすることは難しい。
波長変換層2の厚みは、LEDチップ1の発光面上に形成された波長変換層2の最大厚み(図1参照)、もしくはガラス基板8もしくは透光性基材3上の波長変化層2の最大厚み(図2、図3参照)を意味する。波長変換層2の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定することができる。
本発明により製造されるLED装置の波長変換層2は、内部に含まれる空隙が少ないことが好ましい。この空隙は、波長変換層2を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察して確認できる。空隙の量は、以下のように評価する。
LED装置の波長変換層の断面をSEMで写真撮影する。このときのSEMの倍率は、1000倍とする。また、撮影範囲は、120μm×90μmとする。断面写真を、格子状のマス目で100分割する。各マス内の波長変換層について、空隙の有無を確認し、空隙が有ると確認されたマスの総数(100分率で表す)を空隙度とする。
本発明により製造されるLED装置の波長変換層は、この空隙度が10%以下であることが好ましく、8%以下であることが好ましい。
(LED装置の製造方法)
本発明のLED装置の製造方法は、波長変換層2の形成方法で、2つに大別される。
LED装置の第1の製造方法は、波長変換層2を、LEDチップ1上に直接、もしくはガラス基板8で発光面が覆われたLEDチップ1上に形成する方法である。すなわち、図1または図2に示す構成のLED装置を製造する方法である。
LED装置の第2の製造方法は、波長変換層2を透光性基材3上に形成してから、この積層体(波長変換用積層体4)をLEDチップ1上に配設する方法である。すなわち、図3に示す構成のLED装置を製造する方法である。
1.第1の製造方法
本発明の第1のLED装置の製造方法は、1)前述のLEDチップを準備する工程と、2)前記LEDチップ上に、蛍光体粒子、粘土鉱物粒子、無機粒子、及び溶媒を含有する蛍光体含有液を塗布する蛍光体含有液塗布工程と、3)前記LEDチップ上に、透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第一次セラミック前駆体塗布工程と、4)前記LEDチップ上に、さらに透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第二次セラミック前駆体塗布工程と、5)前記LEDチップを焼成する焼成工程とを含む。
本発明の第1のLED装置の製造方法では、LEDチップ1上に、蛍光体含有液及びセラミック前駆体含有液の2種類の液を塗布して波長変換層2を形成する。このとき、蛍光体粒子を、粘土鉱物粒子、無機粒子、及び溶媒を含む蛍光体含有液に分散して塗布するため、蛍光体粒子の沈降が抑制でき、LEDチップ1上に一定の濃度で蛍光体粒子を塗布できる。
また、本発明の第1のLED装置の製造方法では、セラミック前駆体含有液を、2回以上塗布することで、波長変換層2内に生じる空隙を少なくする。本発明の第1のLED装置の製造方法における2)蛍光体含有液塗布工程、3)第一次セラミック前駆体前駆体塗布工程、及び4)第二次セラミック前駆体塗布工程において、膜がどのように形成されるかを図4に示す。
図4Aに示すように、2)蛍光体含有液塗布工程にて蛍光体含有液を塗布すると、LEDチップ1上に、蛍光体粒子や無機粒子等が配置される。蛍光体含有液にバインダが含まれないため、各粒子間には隙間が多数存在する。
続いて、図4Bに示すように、3)第一次セラミック前駆体前駆体塗布工程において、セラミック前駆体含有液を塗布すると、塗布されたセラミック前駆体含有液は、粒子どうしの隙間に入り込み、粒子間の隙間を埋める。しかし、透光性セラミック前駆体がセラミック化、もしくは一部の溶媒が揮発すると、セラミック前駆体含有液の体積が減少するため、層の一部に空隙が形成される。
そこで、図4Cに示すように、4)第二次セラミック前駆体前駆体塗布工程において、セラミック前駆体含有液を塗布し、第一次セラミック前駆体塗布工程で生じた空隙を埋める。これにより、成膜される波長変換層2内の空隙が少なくなる。
以下、本発明の第1のLED装置の製造方法の各工程について、説明する。
1)LEDチップ準備工程
LEDチップ準備工程では、前述のLEDチップを準備する。例えば、メタル部6(配線)が配設されたパッケージ5に、LEDチップ1を実装する工程等でありうる。
2)蛍光体含有液塗布工程
蛍光体含有液塗布工程では、蛍光体粒子、粘土鉱物粒子、無機粒子、及び溶媒が含まれる蛍光体含有液を塗布する。蛍光体含有液に、粘土鉱物粒子、及び無機粒子が含まれることで、蛍光体含有液の粘度が高まり、蛍光体粒子が沈降し難くなる。
〔蛍光体粒子〕
蛍光体粒子は、LEDチップ1からの出射光の波長(励起波長)により励起されて、励起波長と異なる波長の蛍光を出射するものであればよい。例えば、青色の励起光を受けて黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体が含まれる。YAG蛍光体は、青色LEDチップから出射される青色光(波長420nm〜485nm)を励起光として、黄色(波長550nm〜650nm)の蛍光を出射する。
蛍光体粒子は、例えば1)所定の組成を有する混合原料に、フラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合して加圧し、成形体を得て、2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成し、焼結体を得ることで製造し得る。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Gaの酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学両論比で十分に混合して得られる。あるいは、所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液を、シュウ酸で共沈して得られる共沈酸化物と、酸化アルミニウム、酸化ガリウムとを混合して得られる。
蛍光体粒子の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体粒子でありうる。
蛍光体粒子の平均一次粒径は1μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)は高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、波長変換層内で蛍光体粒子と透明セラミックバインダとの密着性が低くなり、膜強度が低下する。蛍光体粒子の平均一次粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定することができる。
蛍光体含有液に含まれる蛍光体粒子の量は、蛍光体含有液の固形分全量に対して10〜99質量%が好ましく、より好ましくは20〜97質量%である。蛍光体粒子の濃度を上記範囲とすると、蛍光体含有液内で蛍光体粒子が均一に分散されやすくなる。
〔粘土鉱物〕
粘土鉱物が含まれると、蛍光体含有液の粘度が高まり、蛍光体粒子の沈降が抑制される。粘土鉱物の例には、層状ケイ酸塩鉱物、イモゴライト、アロフェン等が含まれる。層状ケイ酸塩鉱物は、雲母構造、カオリナイト構造、またはスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物が好ましく、特に膨潤性に富むスメクタイト構造を有する膨潤性粘土鉱物が好ましい。層状ケイ酸塩鉱物微粒子は、蛍光体含有液中においてカードハウス構造を形成するため、少量で蛍光体含有液の粘度が高まる。また、層状ケイ酸塩鉱物微粒子は平板状を呈するため、蛍光体含有液の膜強度も高まる。
粘土鉱物でありうる層状ケイ酸塩鉱物の例には、天然または合成の、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト等のスメクタイト属粘土鉱物;Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母属粘土鉱物;バーミキュラライト;カオリナイト;またはこれらの混合物が含まれる。粘土鉱物は、表面がアンモニウム塩等で修飾(表面処理)されたものでありうる。アンモニウム塩等で修飾された粘土鉱物が含まれると、粘土鉱物と溶媒との相溶性が高まる。
蛍光体含有液に含まれる粘土鉱物の量は、蛍光体含有液の固形分全量に対して0.3〜20質量%であることが好ましく、より好ましく0.5〜15質量%である。粘土鉱物の濃度が0.5質量%未満であると、蛍光体含有液の粘度が十分に高まらない。一方、粘土鉱物の濃度が、20質量%を超えると、相対的に蛍光体粒子の量が少なくなり、十分な蛍光が得られない。なお、蛍光体含有液中の粘土鉱物の割合が増えれば増えるほど、粘度が増加するわけではない。粘度は蛍光体含有液中の溶媒量、蛍光体粒子量等、その他の成分との含有比率で定まる。
〔無機粒子〕
無機粒子は、蛍光体と粘土鉱物との界面に生じる隙間を埋める充填効果、蛍光体含有液の粘度を高める効果を有する。また無機粒子が含まれると、波長変換層の強度が高まる。
無機粒子の例には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の酸化物微粒子等が含まれる。無機粒子の表面は、シランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理されていてもよい。表面処理によって、無機粒子と、セラミックバインダとの密着性が高まる。また、無機粒子は、比表面積の大きい多孔質の無機粒子でありうる。
無機粒子の粒径分布は特に制限はない。広範囲に分布していてもよく、比較的狭い範囲に分布していてもよい。なお、無機粒子の粒径は、一次粒径の中心粒径が0.001μm以上50μm以下であることが好ましく、蛍光体の一次粒径より小さいことがより好ましい。また、無機粒子の粒径は、波長変換層の厚さより小さい範囲とする。波長変換層の表面平滑性を高めるためである。無機粒子の平均粒径は、例えばコールターカウンター法によって測定される。
蛍光体含有液に含まれる無機粒子の量は、蛍光体含有液の固形分全量に対して0.5〜70質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜65質量%であり、さらに好ましくは1.0〜60質量%である。蛍光体含有液の濃度が0.5質量%未満であると、相対的に蛍光体粒子等の量が多くなり、蛍光体粒子の分散性が低下することがある。また、蛍光体牛液の塗布時のハンドリング性が悪化する。一方、無機粒子の濃度が、70質量%を超えると、相対的に蛍光体粒子の量が少なくなり、十分な蛍光が得られない。さらに、無機粒子によって光が散乱しやすくなり、LED装置からの光取り出し効率が低下する。
なお、蛍光体含有液中の無機粒子の割合が増えれば増えるほど、粘度が増加するわけではない。粘度は蛍光体含有液中の溶媒量、蛍光体粒子の含有量等、その他の成分との含有比率で定まる。
〔溶媒〕
第一液には、溶媒が含まれる。溶媒の例には、水、水との相溶性に優れた有機溶媒、水との相溶性が低い有機溶媒が含まれる。水との相溶性に優れた有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類が挙げられる。
溶媒に水が含まれると、粘土鉱物が膨潤し、蛍光体含有液の粘度が高まる。ただし、水に不純物が含まれると、粘土鉱物の膨潤を阻害するおそれがある。そこで、粘土鉱物を膨潤させる場合には、添加する水を純水とする。
また、溶媒には、エチレングリコールや、プロピレングリコール等、沸点が150℃以上の有機溶媒が含まれることも好ましい。沸点が150℃以上の有機溶媒が含まれると、蛍光体含有液の保存安定性が向上し、蛍光体含有液を塗布装置から安定して塗布できる。一方、蛍光体含有液の乾燥性の観点から、溶媒の沸点は250℃以下であることが好ましい。
〔蛍光体含有液の調製〕
蛍光体含有液は、蛍光体粒子、無機粒子、粘土鉱物、及び溶媒を混合・攪拌して調製する。撹拌は、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等で行う。蛍光体含有液の25℃での粘度は10〜1000cPであることが好ましく、12〜800cPがより好ましく、20〜600cPがさらに好ましい。粘度は、溶媒の量や、粘土鉱物の量、無機粒子の量等で調整する。粘度の測定は、振動式粘度計で行う。
蛍光体含有液には、波長変換層のバインダ成分である透光性セラミック前駆体が含まれないことが好ましい。蛍光体含有液中に透光性セラミック前駆体が含まれると、時間の経過とともに、蛍光体含有液中で透光性セラミック前駆体が重縮合し、粘度が高くなる可能性がある。
〔蛍光体含有液の塗布〕
蛍光体含有液は、LEDチップ1の発光面を覆うように塗布する。塗布の手段は、特に制限されない。例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディスペンス法、ジェットディスペンス法等、従来公知の方法でありうる。特に、スプレーコート法が、薄い膜を形成可能であるため好ましい。
図5は、蛍光体含有液を塗布するためのスプレー装置の概略図である。図5に示す塗布装置200における、塗布液タンク210内の蛍光体含有液220は、圧力をかけられて連結管230を通じてヘッド240に供給される。ヘッド240に供給された蛍光体含有液220は、ノズル250から吐出されて、移動台280に載置された塗布対象物(LEDチップ1の発光面)に塗布される。ノズル250は、エアーコンプレッサー(図示せず)と接続されており、ノズル250からの塗布液の吐出は風圧によって行われる。ノズル250の先端に開閉自在な開口部を設けて、この開口部を開閉操作して、吐出作業のオン・オフを制御する構成としてもよい。
上記塗布液タンク210は、蛍光体含有液220を保持可能であれば、特に制限はないが、塗布液の攪拌機構を有することが好ましい。塗布前の蛍光体含有液220を常に攪拌することで、蛍光体粒子の沈降を抑止できる。塗布液タンク210の具体例には、アネスト岩田社製PC−51等がある。
また、上記ヘッド240及びノズル250は、任意の方向に移動可能であることが好ましい。さらに、ノズル250は、被噴射物に斜め方向からも塗布液を噴射可能であることが好ましい。具体的には、移動台280の被噴射体を載置する面に対して、20〜160°の方向から塗布液を塗布可能であることが好ましい。
ノズル250の先端部の孔径は、塗布液を均一に吐出可能であれば、特に制限はないが、20μm〜2mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.5mmである。ノズルの具体例には、アネスト岩田社製スプレーガンW−101−142BPG等がある。コンプレッサーの具体例には、アネスト岩田社製OFP−071C等がある。
被噴射体を載置するための移動台280は、上下、左右、前後の任意の方向に移動可能であることが好ましい。
蛍光体含有液の塗布工程では、下記(1)〜(9)の操作や条件設定などをおこなう。
(1)基本的には、ノズル250の先端部をパッケージ5の直上に配置して蛍光体含有液220をLEDチップ1の真上から噴射する。LEDチップ1は直方体状である場合には、蛍光体含有液220をLEDチップ1の真上から噴射したり、LEDチップ1の斜上方から噴射してもよい。斜め上方から噴射することで、LEDチップ1の角部に蛍光体含有液220を適切に塗布することができる。このようにして、LEDチップ1の側面に対しても蛍光体含有液220を均一に塗布することが好ましい。
(2)蛍光体含有液220の噴射量を、蛍光体含有液の粘度や目的の色度に応じて制御する。同一の条件で塗布をする限り、噴射量を一定とし、単位面積当たりの蛍光体量を一定とする。蛍光体含有液220の噴射量の経時的なバラツキは10%以内とし、好ましくは1%以内とする。蛍光体含有液220の噴射量は、LEDチップ1に対するノズル250の相対移動速度と、ノズル250からの噴射圧力などで調整される。一般的には、分散液の粘度が高い場合に、ノズルの相対移動速度を遅くして、かつ噴射圧力を高く設定する。特に限定されないが、ノズルの相対移動速度は通常は約30mm/s〜200mm/sであり;噴射圧力は通常は約0.01MPa〜0.2MPaである。
(3)ノズル250の温度を調整し、蛍光体含有液220の噴射時の粘度を調整してもよい。パッケージ5を室温環境下においてもよいし、温度調整機構を移動台280に設けてパッケージ5の温度をコントロールしてもよい。パッケージ5の温度を30〜100℃で高く設定すれば、パッケージ5に噴射された蛍光体含有液220中の溶媒を早く揮発させることができ、蛍光体含有液220がパッケージ5から液だれするのを防止することができる。逆に、パッケージ5の温度を5〜20℃と低く設定すれば、溶媒をゆっくり揮発させることができ、蛍光体含有液220をパッケージ5の外壁に沿って均一に塗布することができる。ひいては波長変換層2の膜密度や膜強度などを増大させることができ、緻密な膜を形成することができる。
(4)塗布装置200の環境雰囲気(温度・湿度)を一定とし、蛍光体含有液220の噴射を安定させる。
(5)塗布装置200とパッケージ5との間にLEDチップ1の形状に応じたマスクを配置し、当該マスクを介して蛍光体含有液220を噴射してもよい。
(6)1つのパッケージ5への蛍光体含有液220の噴射・塗布が終了したら、その次のパッケージ5に対して、上記と同様の操作を繰り返し、複数のパッケージ5のLEDチップ1上に蛍光体含有液220を順次噴射・塗布する。
この場合、パッケージ5の切り替えとは無関係に、蛍光体含有液220を連続的に噴射し続けてもよいし、パッケージ5を切り替えるごとに蛍光体含有液220の噴射を一時的に休止して、蛍光体含有液220を断続的に噴射してもよい。蛍光体含有液220を連続的に噴射し続ければ、各パッケージ5に対する蛍光体含有液220の噴射量を安定させることができる。蛍光体含有液220を断続的に噴射すれば、蛍光体含有液220の使用量を節約することができる。
(7)噴射・塗布工程中は、一定数のパッケージ5への蛍光体含有液220の噴射・塗布が終了するごとに、白色光の色度や輝度を実際に検査し、その検査結果を蛍光体含有液220の噴射量や噴射圧、噴射温度などにフィードバックしてもよい(検査工程)。
(8)噴射・塗布工程中は、ノズル250をクリーニングしてもよい。この場合、塗布装置200の近傍に、洗浄液を貯留したクリーニングタンクを設置し、蛍光体含有液220の噴射の休止中や白色光の色度・輝度の検査中などにおいて、ノズル250の先端部をクリーニングタンク中に浸漬させ、ノズル250の先端部の乾燥を防ぐ。また、噴射・塗布工程の休止中には、蛍光体含有液220が硬化してノズル250の噴射孔がつまる恐れがあるので、ノズル250をクリーニングタンク中に浸漬させるか、噴射・塗布工程の開始時にノズル250をクリーニングすることが好ましい。
(9)噴射・塗布工程では、蛍光体含有液220をミスト状に噴射するため、蛍光体含有液220中の溶媒が揮発すると、蛍光体粒子、無機微粒子などの粉体が飛散することもある。そのため、好ましくは塗布装置200の全体をハウジングなどで被覆してフィルタ越しに集塵・排気しながら、噴射・塗布工程や検査工程の処理を実行する。蛍光体をフィルタで捕集すれば、高価な蛍光体粒子を再利用することができる。
〔蛍光体含有液の乾燥〕
蛍光体含有液塗布工程では、蛍光体含有液の塗布中、または塗布後に蛍光体含有液中の溶媒を乾燥させることが好ましい。蛍光体含有液中の溶媒を乾燥させる際の温度は、通常20〜200℃であり、好ましくは25〜150℃である。20℃未満であると、十分に乾燥できない可能性がある。一方、200℃を超えると、LEDチップに悪影響を及ぼす可能性がある。また、乾燥時間は、製造効率の面から、通常0.1〜30分であり、好ましくは0.1〜15分である。
3)第一次セラミック前駆体塗布工程
第一次セラミック前駆体塗布工程では、透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する。セラミック前駆体含有液には、セラミック前駆体の他に、硬化促進剤、溶媒、無機粒子や、粘土鉱物等が含まれてもよい。
〔透光性セラミック前駆体〕
セラミック前駆体含有液に含まれる透光性セラミック前駆体は、例えば有機金属化合物である。有機金属化合物は、ゾル−ゲル反応によって透明セラミック(好ましくはガラスセラミック)となる。生成するセラミックは、前述の蛍光体粒子、無機粒子、粘土鉱物粒子を結着させて、波長変換層を構成する。
透光性セラミック前駆体である有機金属化合物の例には、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、硝酸塩、金属酸化物などが含まれるが、加水分解と重合反応によりゲル化し易い金属アルコキシドが好ましい。透光性のガラスセラミックを形成可能であれば金属の種類に制限はない。形成されるガラスセラミックの安定性や製造の容易性の観点から、ケイ素を含有していることが好ましい。また、複数種の有機金属化合物を組み合わせてもよい。
透光性セラミック前駆体である金属アルコキシドは、テトラエトキシシランのような単分子でもよいし、有機シロキサン化合物が鎖状または環状に連結したポリシロキサンでもよいが;ポリシロキサンによれば、セラミック前駆体含有液の粘性を高めることができる。
透光性セラミック前駆体であるポリシロキサンは、アルコキシシラン、もしくはそのオリゴマー(低分子量ポリシロキサンともいう)を重合して得られる。アルコキシシランは、例えば以下の一般式(I)で表される。
Si(OR)4−n (I)
一般式(I)中、nはアルコキシド(OR)の数を表し、2以上4以下の整数である。また、Rは、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
上記一般式(I)式中、Yは、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基は、炭素数が1〜1000、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下、特に好ましくは6以下の脂肪族基、脂環族基、芳香族基、脂環芳香族基である。これらは、連結基として、O、N、S等の原子または原子団を有してもよい。これらの中でも特にメチル基が好ましい。Yがメチル基である場合には、波長変換層の耐光性及び耐熱性が良好になる。
上記一般式(I)においてYで表される1価の有機基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基、メルカプト基、エポキシ基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシ基、イミノ基、フェニル基等の有機官能基等が含まれる。
上記一般式(I)で表されるアルコキシシランは、例えば以下の4官能のシラン化合物、3官能のシラン化合物、2官能のシラン化合物等とすることができる。
4官能のシラン化合物の例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン等が含まれる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
3官能のシラン化合物の例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン等のモノヒドロシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノエチルシラン化合物;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノプロピルシラン化合物;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノブチルシラン化合物が含まれる。これらの中でも、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランがより好ましく、メチルトリメトキシシランがさらに好ましい。
2官能のシラン化合物の具体例には、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、エトキシフェニルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルジペンチルオキシシラン、ブチルメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシペンチルオキシシラン、ジブチルメトキシフェニルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン等が含まれる。中でもジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
セラミック前駆体含有液に含まれる、透光性セラミック前駆体であるポリシロキサンは、質量平均分子量が1000〜3000であることが好ましく、1200〜2700であることがより好ましく、1500〜2000であることがさらに好ましい。ポリシロキサンの質量平均分子量が1000未満であると、セラミック前駆体含有液の粘度が低過ぎる場合がある。一方、質量平均分子量が3000を超えると、上記粘度が高くなり、セラミック前駆体含有液が蛍光体粒子どうしの隙間等に入り込めないことがある。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値(ポリスチレン換算)である。
セラミック前駆体含有液におけるポリシロキサン濃度は、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%がより好ましい。
セラミック前駆体含有液に含まれる、透光性セラミック前駆体の他の例には、ポリシラザン(シラザンオリゴマーともいう)が含まれる。ポリシラザンは、一般式:(RSiNRで表される。式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基、アリール基、ビニル基、シクロアルキル基を表すが、R、R、Rのうち少なくとも1つは水素原子であり、好ましくはすべてが水素原子であり、nは1〜60の整数を表す。ポリシラザンの分子形状はいかなる形状であってもよく、例えば、直鎖状または環状であってもよい。
セラミック前駆体含有液におけるポリシラザン濃度は高い方が好ましいが、ポリシラザン濃度が上昇すると、セラミック前駆体含有液の保存期間が短縮する。そのため、セラミック前駆体含有液におけるポリシラザンの濃度は、5〜50質量%であることが好ましい。
〔反応促進剤〕
セラミック前駆体含有液には、透光性セラミック前駆体(特に、ポリシラザン)とともに、反応促進剤が含まれていてもよい。反応促進剤は、酸または塩基などでありうる。反応促進剤の具体例には、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンなどの塩基や、塩酸、シュウ酸、フマル酸、スルホン酸、酢酸や、ニッケル、鉄、パラジウム、イリジウム、白金、チタン、アルミニウムを含む金属のカルボン酸塩などが含まれるが、これに限られない。特に好ましい反応促進剤は金属カルボン酸塩である。ポリシラザンとともに含まれる場合、好ましい含有量は、ポリシラザンを基準にして0.01〜5mol%である。
〔溶媒〕
セラミック前駆体含有液には、溶媒が含まれてもよい。セラミック前駆体溶液に含まれる溶媒は、透光性セラミック前駆体を分散もしくは溶解可能なものであれば特に制限はない。例えば水との相溶性に優れた水性溶媒であってもよく、また、水との相溶性が低い非水性溶媒であってもよい。具体的には、蛍光体含有液に含まれる溶媒と同様でありうる。
セラミック前駆体含有液に含まれる透光性セラミック前駆体が、ポリシロキサンである場合、セラミック前駆体含有液には、溶媒として水が含まれることが好ましい。水が含まれると、十分にポリシロキサンが加水分解され、緻密な膜が形成される。水の含有量は、ポリシロキサン100質量部に対して、10〜120質量部が好ましく、より好ましくは80〜100質量部である。水の含有量が少な過ぎるとポリシロキサンが十分に加水分解されない。一方、水の量が過剰であると、セラミック前駆体含有液の保存安定性が低下する。
〔粘土鉱物及び無機粒子〕
セラミック前駆体含有液には、粘土鉱物及び無機粒子が含まれてもよい。セラミック前駆体含有液に含まれる粘土鉱物及び無機粒子の種類は、蛍光体含有液に含まれる粘土鉱物及び無機粒子と同様でありうる。ただし、セラミック前駆体溶液に含まれる粘土鉱物及び無機粒子の粒径が大きいと、増粘効果が低く、波長変換層の膜強度が低下するおそれがあるため、その粒子は蛍光体より小さいことが好ましい。具体的には、0.001〜10μm程度が好ましく、より好ましくは0.001〜5μmであることが好ましい。上記粒径は、例えばコールターカウンター法で測定できる。
〔セラミック前駆体含有液の調製〕
セラミック前駆体含有液は、透光性セラミック前駆体及び溶媒、硬化促進剤、無機粒子、粘土鉱物等を混合・攪拌して調製できる。撹拌は、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等で行う。セラミック前駆体含有液の25℃での粘度は1〜100cPとすることが好ましく、1〜80cPがより好ましい。粘度が過剰に高いと、セラミック前駆体含有液を塗布した際に、セラミック前駆体含有液が蛍光体粒子等の間に入り込み難くなる。粘度は、溶媒の量、粘土鉱物の量、無機粒子の量等で調整する。粘度の測定は、振動式粘度計で行う。
〔第一次セラミック前駆体塗布工程におけるセラミック前駆体含有液の塗布〕
第一次セラミック前駆体塗布工程において、セラミック前駆体含有液は、蛍光体含有液塗布後のLEDチップ1上に塗布する。塗布の手段は、特に制限されない。例えば、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディスペンス法、ジェットディスペンス法、インクジェット法等、従来公知の方法でありうる。特に、スプレーコート法、ディスペンス法、ジェットディスペンス法、インクジェット法が好ましい。スプレーコートの方法は、蛍光体含有液と同様でありうる。
また、ディスペンサーでセラミック前駆体含有液を塗布する場合、塗布装置は、塗布液の滴下量を制御可能な装置であることが好ましい。滴下量を制御可能な装置の例には、武蔵エンジニアリング社製の非接触ジェットディスペンサーや、武蔵エンジニアリング社製のディスペンサー等がある。
また、インクジェット装置でセラミック前駆体含有液を塗布する場合も、塗布装置が塗布量を制御可能であることが好ましい。塗布量を制御可能な装置の例には、コニカミノルタIJ社製のインクジェット装置等がある。
第一次セラミック前駆体塗布工程におけるセラミック前駆体含有液の塗布量は、蛍光体粒子表面が塗膜で被覆される程度の量が好ましい。第一次セラミック前駆体塗布工程におけるセラミック前駆体含有液の塗布量が過剰であると、波長変換層2にクラックが生じやすくなる。一方、セラミック前駆体含有液の量が少なすぎると、塗膜内に多数の空隙が残り、第二次セラミック前駆体塗布工程を行っても、空隙を埋められないおそれがある。
3−1)乾燥工程
本発明の第1のLED装置の製造方法では、第一次セラミック前駆体塗布工程後、後述の第二次セラミック前駆体塗布工程前に、第一次セラミック前駆体塗布工程で塗布したセラミック前駆体含有液の塗膜を乾燥させる乾燥工程を行ってもよい。ここでいう乾燥とは、透光性セラミック前駆体がゾル−ゲル反応しない状態で溶媒を揮発させることをいう。
乾燥工程は、20〜200℃で行うことが好ましく、より好ましくは25〜150℃である。乾燥時間は、製造効率の面から、通常0.1〜30分であり、好ましくは0.1〜15分である。
塗膜の乾燥方法は、特に制限はなく、例えばホットプレートやオーブン等、公知の方法で行い得る。
3−2)セラミック前駆体含有液焼成工程
本発明の第1のLED装置の製造方法では、第一次セラミック前駆体塗布工程後、後述の第二次セラミック前駆体塗布工程前に、第一次セラミック前駆体塗布工程で塗布したセラミック前駆体含有液の塗膜を焼成する工程を行ってもよい。ここでいう焼成とは、透光性セラミック前駆体をゾル−ゲル反応させて、セラミック化することをいう。
焼成工程は、100〜300℃で行うことが好ましく、より好ましくは120〜250℃である。焼成時間は、製造効率の面から、15〜120分であり、好ましくは30〜90分である。焼成は、ホットプレートやオーブン等、公知の方法で行い得る。
4)第二次セラミック前駆体塗布工程
第二次セラミック前駆体塗布工程では、前記第一次セラミック前駆体塗布工程でセラミック前駆体含有液を塗布したLEDチップ1上に、さらにセラミック前駆体含有液を含むセラミック前駆体含有液を塗布する。第二次セラミック前駆体塗布工程で塗布するセラミック前駆体含有液は、第一次セラミック前駆体塗布工程で塗布したセラミック前駆体含有液と異なってもよいが、硬化物の屈折率を同一にするとの観点から、同一のセラミック前駆体含有液を塗布することが好ましい。
第二次セラミック前駆体塗布工程における、セラミック前駆体含有液の塗布方法は、特に制限はなく、第一次セラミック前駆体塗布工程と同様でありうる。
第二次セラミック前駆体塗布工程におけるセラミック前駆体含有液の塗布量は、波長変換層の厚み、及び第一次セラミック前駆体塗布工程後に生じている空隙の量に応じて適宜選択する。第二次セラミック前駆体塗布工程におけるセラミック前駆体含有液の塗布量が過剰であると、波長変換層2にクラックが生じやすくなる。一方、セラミック前駆体含有液の量が少なすぎると、蛍光体粒子どうしの隙間に生じた空隙を、十分に埋めることができないおそれがある。
4−1)第n次セラミック前駆体塗布工程
本発明の第1のLED装置の製造方法では、第二次セラミック前駆体塗布工程後、さらにLEDチップ1上に、セラミック前駆体含有液を塗布する工程を行ってもよい。セラミック前駆体含有液を繰り返し塗布することで、波長変換層に残存する空隙の量が、より少なくなる。セラミック前駆体含有液の塗布方法は、第一次セラミック前駆体塗布工程と同様でありうる。
また、第n次セラミック前駆体塗布工程におけるセラミック前駆体含有液の塗布回数は、特に制限はないが、製造効率の面から4回以下が好ましい。
5)焼成工程
焼成工程では、蛍光体含有液、及びセラミック前駆体含有液が塗布されたLEDチップ1を焼成する。焼成することで、セラミック前駆体含有液中の透光性セラミック前駆体がセラミック膜となり、セラミック膜内に蛍光体粒子が分散された波長変換層2が得られる。
焼成工程における焼成温度は、LEDチップ1の劣化を抑制する観点から、100℃〜300℃が好ましく、120℃〜250℃とすることがより好ましい。また、焼成時間は、15〜120分が好ましく、30〜90分が好ましい。焼成時間が短過ぎると、透光性セラミック前駆体が、十分にセラミックとならず、波長変換層の膜強度等が十分とならない可能性がある。
なお、前述の3)第一次セラミック前駆体塗布工程、及び4)第二次セラミック前駆体塗布工程で塗布する透光性セラミック前駆体がポリシラザンである場合は、170〜230nmの範囲の波長成分を含むVUV放射線(例えばエキシマ光)を塗膜に照射した後、焼成を行うことが好ましい。放射線硬化後に、焼成を行うことで、波長変換層2の水分の浸透防止効果をより向上させることができる。
2.第2の製造方法
本発明の第2のLED装置の製造方法は、1)透光性基材を準備する準備工程と、2)前記透光性基材上に蛍光体含有液を塗布する蛍光体含有液塗布工程と、3)前記透光性基材上に、透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第一次セラミック前駆体塗布工程と、4)前記透光性基材上に、さらに透光性セラミック前駆体を含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第二次セラミック前駆体塗布工程と、5)前記透光性基材を焼成し、前記透光性基材及び前記波長変換層が積層された波長変換用積層体を得る焼成工程と、6)前記波長変換用積層体を、前記LEDチップ上に配設する配設工程とを含む。
本発明の第2のLED装置の製造方法では、波長変換層2をLEDチップ1上に直接形成せずに、透光性基材3上に形成し、透光性基材3と波長変換層2との積層体(波長変換用積層体4)をLEDチップ1近傍に配置する。
なお、第2のLED装置の製造方法における、2)蛍光体含有液塗布工程、3)第一次セラミック前駆体塗布工程、4)第二次セラミック前駆体塗布工程、及び5)焼成工程は、第1のLED装置の製造方法の各工程と同様である。
第2のLED装置の製造方法における、1)準備工程で準備する透光性基材3は、可視光に対して透光性を有する基材であればよい。透光性基材3の例には、ガラス基材、樹脂基材等が含まれる。また透光性基材3の形状は特に制限されず、平板状や、レンズ状等、任意の形状でありうる。
透光性基材3の厚みも、特に制限はない。通常30〜2000μmであり、好ましくは50〜1000μmである。
また、第2のLED装置の製造方法における6)配設工程では、透光性基材3と波長変換層2との積層体(波長変換用積層体4)を、LEDチップ1を覆うように配設する。配設方法は特に制限がなく、例えば図3に示すように、波長変換用積層体4の透光性基材3を、パッケージ5と任意の方法で貼り合わせてもよい。このとき、透光性基材3とLEDチップ1とが面するように配置してもよく、波長変換用積層体4の波長変換層2とLEDチップ1とが面するように配置してもよい。
また、波長変換用積層体4の透光性基材3、もしくは波長変換層2を、LEDチップ1の発光面と任意の方法で貼り合わせてもよい。
第2のLED装置の製造方法の6)配設工程で、例えば図3に示すように、LEDチップ1と、波長変換用基板4とを、隔てて配設する場合には、LEDチップ1と波長変換用基板4との間に、透光性樹脂層等、任意の層を形成してもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。以下に、各実施例の評価方法を示す。
[LEDチップ実装パッケージの製造]
図1の概略断面図に示されるLEDチップ実装パッケージを用意した。具体的には、円形パッケージ5(開口径3mm,底面直径2mm、壁面角度60°)の収容部の中央に、1つの青色LEDチップ1(直方体状;200μm×300μm×100μm)をフリップチップ実装したLEDチップ実装パッケージを用意した。
[蛍光体粒子の作製]
以下の手順で黄色蛍光体粒子を作製した。下記に示す組成の蛍光体原料を十分に混合した混合物を、アルミ坩堝に充填し、これにフラックスとしてフッ化アンモニウム等のフッ化物を適量混合した。充填物を、水素含有窒素ガスを流通させた還元雰囲気中において1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成して、焼成品((Y0.72Gd0.24Al12:Ce0.04)を得た。
[蛍光体粒子の原料組成]
・・・ 7.41g
Gd ・・・ 4.01g
CeO ・・・ 0.63g
Al ・・・ 7.77g
得られた焼成品を粉砕、洗浄、分離、乾燥することで所望の蛍光体を得た。得られた蛍光体を粉砕して約10μmの粒径の蛍光体粒子とした。得られた蛍光体粒子の組成を調べて、所望の蛍光体であることを確認した。波長465nmの励起光に対する発光波長を調べたところ、おおよそ波長570nmにピーク波長を有していた。得られた蛍光体粒子を、以下の比較例および実施例で用いた。
[ポリシロキサン分散液の調製]
ポリシロキサン(アルコキシシランKBM13、信越化学社製)を固形分値が14%となるようにイソプロパノールで希釈し、ポリシロキサン分散液を得た。
<実施例1>
上記蛍光体粒子1g、合成雲母(MK−100、コープケミカル社製)0.05g、1次粒子の平均粒径が7nmであるシリル化処理無水シリカ(RX300、日本アエロジル社製)0.05g、及びプロピレングリコール1.5gを混合し、蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を図5の概略断面図に示す塗布装置にて、上記LEDチップ実装パッケージのLEDチップ上に、スプレー塗布した。スプレー圧は0.2MPa、ノズル250のパッケージ5に対する相対移動速度は100mm/sとした。その後、塗膜を50℃で1時間乾燥させた。
続いて、上記ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上にスプレー塗布した。スプレー圧は0.1MPa、ノズル250のパッケージ5に対する相対移動速度は100mm/sとした。得られた塗膜を150℃で10分間乾燥させた。その後、セラミック前駆体含有液を上記と同様の条件で、再度スプレー塗布した。
続いて、150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例2>
実施例1と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、上記ポリシロキサン分散液1g、合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、及びシリル化処理無水シリカ(RX300、日本アエロジル社製)0.05gを混合し、セラミック前駆体含有液を調製した。セラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜に、セラミック前駆体含有液を上記と同様の条件で、再度スプレー塗布した。
続いて、150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例3>
蛍光体粒子1g、合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、シリル化処理無水シリカ(RX300、日本アエロジル社製)0.05g、プロピレングリコール1g、及びイソプロピルアルコール0.75gを混合し、蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、LEDチップ実装パッケージにスプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、さらにセラミック前駆体含有液を上記と同様の条件で、再度スプレー塗布した。
続いて、150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例4>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様にLEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上に塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、さらにセラミック前駆体含有液を2回スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例5>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にてセラミック前駆体含有液を3回スプレー塗布した。塗膜を150℃で1時間焼成し、蛍光体粒子を含む波長変換層を形成し、図2に示すLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例6>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上にスプレー塗布した。塗膜の乾燥を行うことなく、続けてこの塗膜上に、セラミック前駆体含有液を、上記と同様の条件でスプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例7>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上にスプレー塗布し、150℃で60分間焼成した。焼成後の膜に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液を再度スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例8>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、実施例2と同様にセラミック前駆体含有液を調製した。セラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜に、上記と同様の条件にてセラミック前駆体含有液を、再度スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例9>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、上記ポリシロキサン分散液1g、合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、シリル化処理無水シリカ(RX300、日本アエロジル社製)0.05g、及び純水0.5gを混合し、セラミック前駆体含有液とした。セラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に、上記塗膜上にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にてセラミック前駆体含有液を、再度スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例10>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、実施例9と同様にセラミック前駆体含有液を調製した。セラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に実施例1と同様にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にてセラミック前駆体含有液を、2回スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例11>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、ポリシロキサン分散液1g、合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、シリル化処理無水シリカ(RX300、日本アエロジル社製)0.05g、及び純水1gを混合し、セラミック前駆体含有液とした。セラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に実施例1と同様にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液を再度スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例12>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、ポリシロキサン分散液1gと合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.01g、シリル化処理無水シリカ(RX300、日本アエロジル社製)0.01g、及び純水0.5gを混合し、セラミック前駆体含有液を調製した。セラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に実施例1と同様にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液を再度スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例13>
上記蛍光体粒子1gと合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、シリル化処理無水シリカ(RX300、日本アエロジル社製)0.05g、エチレングリコール1g、及びイソプロピルアルコール0.75gを混合し、蛍光体含有液を作成した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に実施例1と同様にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液を再度スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例14>
蛍光体粒子1gと合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、平均粒径10μmのシリル化シリカ(VM−2270、東レダウコーニング社製)0.05g、プロピレングリコール1g、イソプロピルアルコール0.75gとを混合し、蛍光体含有液を作成した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に実施例1と同様にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液を再度スプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例15>
蛍光体粒子1g、合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、1次粒子の平均粒径25nmであるシリカ(NanoTek Powder シリカ、CIKナノテック社製)を0.05g、プロピレングリコール1g、イソプロピルアルコール0.75gを混合し、蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
その後、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、実施例1と同様に上記塗膜上にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液をスプレー塗布した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。同様の工程を行い、同一のLED装置を5個作製した。
<実施例16>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を図5の塗布装置によりガラス基板(50mm×20mm×1mm)上にスプレー塗布した。スプレー圧は0.2MPa、ノズル250のパッケージ5に対する相対移動速度は100mm/sとした。その後、塗膜を50℃で1時間乾燥させた。
その後、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に実施例1と同様にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液を再度スプレー塗布した。得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、ガラス基板と波長変換層とが積層された波長変換用積層体を得た。
この波長変換用積層体を3mm角に切断し、任意の1枚をLED装置(実施例1〜15にて使用したものと同じもの)のLEDパッケージ上に図3に示すように貼付した。同様に他のLED装置にも、波長変換層用積層体を貼付し、同一のLED装置を5個作成した。
<実施例17>
実施例3と同様に蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を図5の塗布装置によりガラス基板(50mm×20mm×1mm)上にスプレー塗布した。スプレー圧は0.2MPa、ノズル250のパッケージ5に対する相対移動速度は100mm/sとした。その後、塗膜を50℃で1時間乾燥させた。
実施例3と同様に、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に実施例16と同様にスプレー塗布し、150℃で10分間乾燥させた。乾燥後の塗膜上に、上記と同様の条件にて、セラミック前駆体含有液のスプレー塗布を2回繰り返した。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、実施例16と同様に波長変換用積層体を貼付した。同様の工程を行い、図3に示す構造のLED装置を5個作製した。
<比較例1>
蛍光体粒子1gとイソプロピルアルコール1gとを混合し、蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に、実施例1と同様にスプレー塗布した。セラミック前駆体含有液の塗布は1回のみとした。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。
<比較例2>
蛍光体粒子1g、1次粒子の平均粒径25nmであるシリカ(NanoTek Powder シリカ、CIKナノテック社製)0.08g、プロピレングリコール1.5gを混合し、蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に、実施例1と同様にスプレー塗布した。セラミック前駆体含有液の塗布は1回のみとした。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。
<比較例3>
蛍光体粒子1g、シリカ(NanoTek Powder シリカ、CIKナノテック社製)0.05g、合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、プロピレングリコール1g、及びイソプロピルアルコール0.75gを混合し、蛍光体含有液を調製した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に、実施例1と同様にスプレー塗布した。セラミック前駆体含有液の塗布は1回のみとした。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。
<比較例4>
蛍光体粒子1g、合成スメクタイト(ルーセンタイトSWN コープケミカル社製)0.05g、プロピレングリコール1g、及びイソプロピルアルコール0.75gを混合し、蛍光体含有液を作成した。この蛍光体含有液を、実施例1と同様に、上記LEDチップ実装パッケージに、スプレー塗布し、乾燥させた。
続いて、ポリシロキサン分散液からなるセラミック前駆体含有液を、上記塗膜上に、実施例1と同様にスプレー塗布した。セラミック前駆体含有液の塗布は1回のみとした。
得られた塗膜を150℃で1時間焼成し、LEDチップ上に波長変換層が形成されたLED装置を得た。
Figure 0005729327
Figure 0005729327
[評価]
・粘度の測定
実施例1〜17、及び比較例1〜4で調製した蛍光体含有液の粘度を、振動式粘度計(VM−10A−L、CBC社製)にて、25℃で測定した。測定結果を表3及び4に示す。
・色度の評価
実施例1〜17、及び比較例1〜4にて作成したLED装置各5サンプルについて、各々の装置が発する光の色度を測定した。測定装置は、分光放射輝度計(CS−1000A、コニカミノルタセンシング社製)とした。
表3及び4に示す色度は、色空間をXYZ座標系で表したCIE−XYZ表色系であり、ある点と原点を結ぶ直線が平面x+y+z=1と交わる点で定義される。色度は(x、y)座標で表し、x+y+z=1の関係から得られるz座標は省略する。白色光の色度は(0.33,0.33)であり、色度がこの値に近いほど白色光に近くなる。x座標の値が小さくなると青色がかった白色になり、x座標の値が大きくなると黄色がかった白色になる。
表3及び表4には、各実施例及び比較例の5サンプルの色度の測定値、及びこれらの標準偏差を記載した。標準偏差が小さければ、色度のばらつきが小さい。標準偏差が0.02以下であれば、色度のばらつきがなく、実用上問題がないとした。評価は、x値とy値の標準偏差の平均値で行った。基準を下記に示す。
「◎」…0.01以下である
「○」…0.01より大きく、0.02以下である
「×」…0.02より大きい
・腐食耐性評価
腐食耐性は、JIS規格のガス暴露試験(JIS C 60068−2−43)に基づき評価した。実施例及び比較例で作製したLED装置を、硫化水素ガス濃度が15ppmである雰囲気(温度25℃、相対湿度75%RH)内で、1000時間保存(硫化ガスに暴露)した。各LED装置について、暴露の前後で全光束測定を行い、下記の基準で評価した。
◎…全光束対初期比(暴露後全光束値/硫化ガス暴露前全光束値×100)が98%以上である
○…全光束対初期比(暴露後全光束値/硫化ガス暴露前全光束値×100)が96%以上98%未満である
Figure 0005729327
Figure 0005729327
表3及び表4に示すように、波長変換層の成膜の際、セラミック前駆体含有液を2回以上塗布すると、腐食耐性が非常に良好となった(実施例1〜17)。これは、セラミック前駆体含有液を2回以上塗布することで、1回目の塗布で生じた隙間を埋めることができたためと推察される。
さらに、蛍光体含有液に塗布する粘土鉱物粒子を合成雲母とした場合(実施例1及び2)より、粘土鉱物粒子を合成スメクタイトとした場合(実施例3〜15)のほうが、色度評価が良好であった。これは、合成スメクタイトが膨潤し、蛍光体含有液内で蛍光体粒子が、より均一に分散されたためと考えられる。
また、波長変換層を透光性基材上に作製し、この積層体(波長変換用積層体)をLEDチップ上に貼付した場合(実施例16及び17)にも、波長変換層をLEDチップ上に直接形成した場合(実施例1〜15)と同様に、優れた腐食耐性、及び色度を有するLED装置が得られた。
また、蛍光体含有液に、粘土鉱物及び無機粒子の両方を添加した実施例1〜17、及び比較例3は、色度が良好であった。これは、粘土鉱物及び無機粒子の両方を添加することで、蛍光体粒子の沈降が抑制されたためと推察される。一方で、粘土鉱物及び無機粒子のうち、いずれか一方のみ添加した比較例1、2、及び4では、色度評価が低かった。
本発明のLED装置の製造方法によれば、得られるLED装置の波長変換層内の蛍光体粒子の濃度が一定である。また、本発明により得られるLED装置では、LEDチップが波長変換層で十分に封止されており、LEDチップの経時劣化が少ない。したがって、本発明により製造されるLED装置は、出射光の色度の均一性が求められる自動車用ヘッドライトをはじめ、屋内、屋外で使用される各種照明装置に好適である。
1 LEDチップ
2 波長変換層
3 透光性基材
4 波長変換用積層体
5 パッケージ
6 メタル部
7 突起電極
8 ガラス基板
100 LED装置

Claims (8)

  1. LEDチップと、前記LEDチップを被覆し、前記LEDチップが発する特定の波長の光を、他の特定の波長の光に変換する波長変換層と、を有するLED装置の製造方法であって
    記LEDチップ上に、蛍光体粒子、粘土鉱物粒子、無機粒子、及び溶媒を含有し、かつ透光性セラミック前駆体を含有しない蛍光体含有液を塗布する蛍光体含有液塗布工程と、
    前記LEDチップ上に、金属アルコキシドを含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第一次セラミック前駆体塗布工程と、
    前記LEDチップ上に、さらに金属アルコキシドを含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第二次セラミック前駆体塗布工程と、
    前記LEDチップを焼成する焼成工程と
    を含む、LED装置の製造方法。
  2. 前記第一次セラミック前駆体塗布工程及び前記第二次セラミック前駆体塗布工程で塗布する、前記セラミック前駆体含有液中の前記金属アルコキシドの質量平均分子量が1000〜3000である、請求項1に記載のLED装置の製造方法。
  3. 前記第一次セラミック前駆体塗布工程及び前記第二次セラミック前駆体塗布工程で塗布する、前記セラミック前駆体含有液中の前記金属アルコキシドの濃度が1〜40質量%である、請求項1または2に記載のLED装置の製造方法。
  4. 前記第一次セラミック前駆体塗布工程及び前記第二次セラミック前駆体塗布工程で塗布する、前記セラミック前駆体含有液が、アルコールをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のLED装置の製造方法。
  5. 前記金属アルコキシドが、アルコキシシランまたはそのオリゴマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のLED装置の製造方法。
  6. 前記第一次セラミック前駆体塗布工程後、前記第二次セラミック前駆体塗布工程前に、前記セラミック前駆体含有液の塗膜を乾燥させる乾燥工程を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のLED装置の製造方法。
  7. 前記第一次セラミック前駆体塗布工程後、前記第二次セラミック前駆体塗布工程前に、前記セラミック前駆体含有液の塗膜を焼成するセラミック前駆体含有液焼成工程を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のLED装置の製造方法。
  8. LEDチップと、前記LEDチップを被覆する透光性基材と、前記透光性基材上に形成され、前記LEDチップが発する特定の波長の光を、他の特定の波長の光に変換する波長変換層とを含むLED装置の製造方法であって
    記透光性基材上に蛍光体粒子、粘土鉱物粒子、無機粒子、及び溶媒を含有する蛍光体含有液を塗布し、かつ透光性セラミック前駆体を含有しない蛍光体含有液塗布工程と、
    前記透光性基材上に、金属アルコキシドを含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第一次セラミック前駆体塗布工程と、
    前記透光性基材上に、さらに金属アルコキシドを含有するセラミック前駆体含有液を塗布する第二次セラミック前駆体塗布工程と、
    前記透光性基材を焼成し、前記透光性基材及び前記波長変換層が積層された波長変換用積層体を得る焼成工程と、
    前記波長変換用積層体を、前記LEDチップ上に配設する配設工程と
    を含む、LED装置の製造方法。
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