JP2016145273A - 無機微粒子含有ポリシロキサン組成物、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】、無機微粒子が均一に分散された無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。【解決手段】多官能アルコキシシランと、水、触媒、及び金属元素または半金属元素を含む無機微粒子を含有する重合用組成物中で、前記多官能アルコキシシランを加水分解、重縮合して得られる無機微粒子含有ポリシロキサン組成物であり、前記多官能アルコキシシラン由来のSiと、前記無機微粒子が含む元素M(前記金属元素または前記半金属元素)とがOを介して結合したSi−O−M結合を有する無機微粒子結合ポリシロキサンを含み、前記無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中の前記Si−O−M結合の量(モル数)が、前記多官能アルコキシシランどうしの重縮合により形成されたSi−O−Si結合の量(モル数)に対して、20%以上50%未満である無機微粒子含有ポリシロキサン組成物とする。【選択図】なし
Description
本発明は、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物、及びその製造方法に関する。
近年、高機能フィルム、高機能コーティング材料、高耐久性の光学デバイス用封止材など、様々な用途に有機無機ハイブリッド材料が応用されている。有機無機ハイブリッド材料は、有機的な性質と無機的な性質を併せ持ち、ある程度の柔軟性を維持しながらも、高強度、高耐光性、高耐熱性を有する。このような有機無機ハイブリッド材料の一つとして、ポリシロキサンが知られている。
そして、ポリシロキサンの硬化物を、発光ダイオード(LED)を封止するための封止層に適用すること等が検討されている(特許文献1)。しかしながら、一般的なポリシロキサンは、線膨張係数が大きい。したがって、ポリシロキサンを封止層とすると、線膨張係数の差によって基板及び封止層の界面で剥離が生じたり、冷熱衝撃により封止層にクラックが生じることがあった。
そこで、封止層に無機微粒子を加え、封止層の剥離やクラックを抑制することが検討されている(例えば、特許文献2)。当該技術では、ポリシロキサン(ポリマー)と無機微粒子との混合物から封止層を作製しているが、ポリマー中に無機微粒子を十分に分散させることは難しく、無機微粒子が凝集しやすかった。そして、当該封止層では、光が散乱して、光の透過率が低下しやすく、さらにクラックの発生も十分に抑制できなかった。
また、ポリシロキサンのポリマーと無機微粒子とを含む組成物を用いて各種ハードコート層を形成した場合、屋外等の過酷な条件下で使用すると、クラックや剥離が生じやすく、ハードコート層の透過率が低下してしまうとの課題もあった。
このような課題に対し、特許文献3には、アルコキシシランのオリゴマー及び無機微粒子から得られるシリコーン樹脂組成物によって封止層を形成することが提案されている。当該シリコーン樹脂組成物では、ポリシロキサンのオリゴマーと無機微粒子とを化学的に結合させて、無機微粒子の分散性を高めている。
しかしながら、特許文献3の方法でも、無機微粒子の分散性を十分に高めることは難しかった。特許文献3の技術では、アルコキシシランのオリゴマーと無機微粒子とを混合する際に、多量の溶媒を添加している。そのため、反応溶液中のオリゴマー及び無機微粒子の濃度が低くなり、これらを十分に反応させることが難しかった。その結果、シリコーン樹脂組成物中に、シリコーン樹脂と結合していない無機微粒子が大量に含まれることとなり、これらの凝集を抑制することが難しかった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、無機微粒子が均一に分散された無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明の第一は、以下に示す無機微粒子含有ポリシロキサン組成物及びこれを含む封止用組成物やコーティング剤に関する。
[1]2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、及び4官能アルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能アルコキシシラン、水、触媒、及び金属元素または半金属元素を含む無機微粒子を含有する重合用組成物中で、前記多官能アルコキシシランを加水分解、重縮合して得られる無機微粒子含有ポリシロキサン組成物であり、前記多官能アルコキシシラン由来のSiと、前記無機微粒子が含む元素M(前記金属元素または前記半金属元素)とがOを介して結合したSi−O−M結合を有する無機微粒子結合ポリシロキサンを含み、前記無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中の前記Si−O−M結合の量(モル数)が、前記多官能アルコキシシランどうしの重縮合により形成されたSi−O−Si結合の量(モル数)に対して、20%以上50%未満である、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
[1]2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、及び4官能アルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能アルコキシシラン、水、触媒、及び金属元素または半金属元素を含む無機微粒子を含有する重合用組成物中で、前記多官能アルコキシシランを加水分解、重縮合して得られる無機微粒子含有ポリシロキサン組成物であり、前記多官能アルコキシシラン由来のSiと、前記無機微粒子が含む元素M(前記金属元素または前記半金属元素)とがOを介して結合したSi−O−M結合を有する無機微粒子結合ポリシロキサンを含み、前記無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中の前記Si−O−M結合の量(モル数)が、前記多官能アルコキシシランどうしの重縮合により形成されたSi−O−Si結合の量(モル数)に対して、20%以上50%未満である、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
[2]前記重合用組成物が、有機溶媒をさらに含み、前記重合用組成物の全量に対する、前記有機溶媒の量が0.01質量%以上30質量%未満である、[1]に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
[3]前記重合用組成物の固形分の全量に対する、前記無機微粒子の量が0.5質量%以上15質量%未満である、[1]または[2]に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
[4]前記無機微粒子は、アスペクト比が10以上のひも状形状を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含む封止用組成物。
[6]発光装置の発光素子を封止するために用いられる、[5]に記載の封止用組成物。
[7]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含むコーティング剤。
[3]前記重合用組成物の固形分の全量に対する、前記無機微粒子の量が0.5質量%以上15質量%未満である、[1]または[2]に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
[4]前記無機微粒子は、アスペクト比が10以上のひも状形状を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含む封止用組成物。
[6]発光装置の発光素子を封止するために用いられる、[5]に記載の封止用組成物。
[7]前記[1]〜[4]のいずれかに記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含むコーティング剤。
本発明の第二は、以下に示す無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法に関する。
[8]2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、及び4官能アルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能アルコキシシラン、水、触媒、有機溶媒、及び金属元素または半金属元素を含む無機微粒子を含有する重合用組成物を準備する工程と、前記重合用組成物が前記多官能アルコキシシランを加水分解・重縮合反応させる工程と、を含み、前記重合用組成物の全量に対する、前記有機溶媒の量が0.01質量%以上30質量%未満である、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
[9]前記重合用組成物の固形分の全量に対する、前記無機微粒子の量が0.5質量%以上15質量%未満である、[8]に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
[10]前記無機微粒子は、アスペクト比が10以上のひも状形状を有する、[8]または[9]に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
[8]2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、及び4官能アルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能アルコキシシラン、水、触媒、有機溶媒、及び金属元素または半金属元素を含む無機微粒子を含有する重合用組成物を準備する工程と、前記重合用組成物が前記多官能アルコキシシランを加水分解・重縮合反応させる工程と、を含み、前記重合用組成物の全量に対する、前記有機溶媒の量が0.01質量%以上30質量%未満である、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
[9]前記重合用組成物の固形分の全量に対する、前記無機微粒子の量が0.5質量%以上15質量%未満である、[8]に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
[10]前記無機微粒子は、アスペクト比が10以上のひも状形状を有する、[8]または[9]に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
本発明の第三は、以下に示す発光装置及びその製造方法に関する。
[11]基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子を封止する封止層とを有し、前記封止層が、[5]に記載の封止用組成物の硬化物である、発光装置。
[12]発光素子が配置された基板を準備する工程と、前記発光素子上に、[5]に記載の封止用組成物を、前記発光素子上に塗布する工程と、前記封止用組成物を100℃以上に加熱して硬化させる工程と、を含む、発光装置の製造方法。
[11]基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子を封止する封止層とを有し、前記封止層が、[5]に記載の封止用組成物の硬化物である、発光装置。
[12]発光素子が配置された基板を準備する工程と、前記発光素子上に、[5]に記載の封止用組成物を、前記発光素子上に塗布する工程と、前記封止用組成物を100℃以上に加熱して硬化させる工程と、を含む、発光装置の製造方法。
本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物では、ポリシシロキサンに無機微粒子が均一に分散されており、その硬化膜は冷熱衝撃等によってもクラックが生じ難く、さらに光透過性が高い。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
1.無機微粒子含有ポリシロキサン組成物
本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物には、液状のポリシロキサン(ポリマー)及び無機微粒子が含まれる。そして、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物には、多官能アルコキシシラン由来のSiと、無機微粒子が含む元素M(前記金属元素または前記半金属元素)とがOを介して結合したSi−O−M結合を有する無機微粒子結合ポリシロキサンが少なくとも含まれる。当該無機微粒子結合ポリシロキサンでは、ポリシロキサンに、無機微粒子が疎らに結合しているため、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中で無機微粒子が凝集し難い。さらに無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中における無機微粒子の濃度が均一になりやすく、当該組成物を長期間保存しても、無機微粒子が沈降し難い。
本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物には、液状のポリシロキサン(ポリマー)及び無機微粒子が含まれる。そして、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物には、多官能アルコキシシラン由来のSiと、無機微粒子が含む元素M(前記金属元素または前記半金属元素)とがOを介して結合したSi−O−M結合を有する無機微粒子結合ポリシロキサンが少なくとも含まれる。当該無機微粒子結合ポリシロキサンでは、ポリシロキサンに、無機微粒子が疎らに結合しているため、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中で無機微粒子が凝集し難い。さらに無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中における無機微粒子の濃度が均一になりやすく、当該組成物を長期間保存しても、無機微粒子が沈降し難い。
なお、本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物には、上記無機微粒子結合ポリシロキサン以外に、無機微粒子と結合していないポリシロキサンや、ポリシロキサンと結合していない無機微粒子が含まれてもよい。ただし、ポリシロキサンと結合していない無機微粒子の量が増えると、無機微粒子の凝集物が生成しやすくなり、組成物の硬化物の光散乱性が高くなりやすい。したがって、ポリシロキサンと結合していない無機微粒子の量は少ないことが好ましい。ここで、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物に、無機微粒子含有結合ポリシロキサンが十分に含まれているか否かは、例えば、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物に含まれる多官能アルコキシシランどうしの重縮合により形成されたSi−O−Si結合の量(モル数)に対する、Si−O−M結合量(モル数)で判断することができる。
本発明では、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物に含まれる多官能アルコキシシランどうしの重縮合により形成されたSi−O−Si結合の量(モル数)に対する、Si−O−M結合量(モル数)が20%以上50%未満であり、好ましくは25〜45%であり、さらに好ましくは30〜40%である。当該Si−O−Mの結合量が、Si−O−Si結合量と比較して20%以上であれば、前述の無機微粒子結合ポリシロキサンが十分に形成されている;つまり、ポリシロキサンと結合していない無機微粒子の量が十分に少ない。一方で、当該Si−O−M結合量が過剰であると、当該組成物の硬化物が脆くなりやすいが、上記量が50%未満であれば、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物の強度が高まりやすく、基板との密着性も良好になる。無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中のSi−O−Si結合量、及びSi−O−M結合量は、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を、1H−NMRや、29Si−NMR、17O−NMR、FT−IR等で分析することで、特定可能である。特に、29Si−NMR及び17O−NMRの組み合わせによれば、容易に上記量を特定することができる。なお、本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物において、無機微粒子が二酸化ケイ素である場合、二酸化ケイ素由来のSiと、アルコキシシラン由来のSiとのSi−O−Si結合は、Si−O−M結合に含まれる。
また、ポリシロキサンと結合していない無機微粒子量を減らすためには、後述するように、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の調製時の固形分の全量に対する、無機微粒子の量を15質量%未満とすることが好ましい。
前述のように、従来、多官能アルコキシシランの重縮合物であるオリゴマーと、無機微粒子とを反応させて、シリコーン樹脂組成物を調製することが提案されているが、当該方法では、オリゴマーが比較的高い粘度を有するため、多量の有機溶媒が不可欠であった。そして、反応液中に有機溶媒が多量に含まれると、オリゴマー及び無機微粒子の濃度が低下し、これらの接触機会が減少する。そのため、オリゴマーと無機微粒子とが十分に化学せず、得られるシリコーン樹脂組成物には、シリコーン樹脂と結合していない無機微粒子が多量に含まれやすかった。
さらに、オリゴマーは、無機微粒子に含まれる金属元素や半金属元素と反応する反応点を十分に有さないため、オリゴマーと無機微粒子との間で、化学結合や分子間力による親和が生じ難い。したがって、従来のシリコーン樹脂組成物では、無機微粒子が凝集して、硬化物に光散乱が生じたり、硬化物に生じるクラックを十分に抑制できなかった。
これに対し、本発明では、多官能アルコキシシラン(モノマー)と、無機微粒子とを混合した状態で、多官能アルコキシシランの加水分解・重縮合を行って、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得る。多官能アルコキシシランは、非常に反応性が高く、多官能アルコキシシラン中のSiと無機微粒子中の金属元素等とが結合しやすい。
また、多官能アルコキシシランは、比較的粘度が低いため、有機溶媒を多量に添加しなくとも、無機微粒子と多官能アルコキシシランとを十分に混合させることができる。つまり、多官能アルコキシシランと無機微粒子とを十分に接触させた状態で、多官能アルコキシシランの加水分解・重縮合を進行させることができる。その結果、前述のように、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中に、十分に無機微粒子結合ポリシロキサンが含まれやすくなり、ポリシロキサンと化学的に結合していない無機微粒子の量が非常に少なくなる。
そして、本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物では、無機微粒子が均一に分散されているため、温度変化による体積変化が抑制される。つまり、当該硬化物と基板との密着性が高くなる。またさらに、無機微粒子結合ポリシロキサンでは、ポリシロキサン骨格に無機微粒子が結合しているため、シロキサン結合の結合密度が過度に高まらない。その結果、得られるポリシロキサン分子の一部の自由度が高まりやすく、硬化物の柔軟性が高くなる。そして、当該ポリシロキサンの硬化物に応力がかかったとしても、当該応力が緩和されやすくなり、クラック耐性が高くなる。さらに、当該組成物の硬化物では、無機微粒子の凝集等が少ないため、光が散乱し難く、光透過性が高くなる。
1−1.無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の調製方法
本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物は、多官能アルコキシシラン、無機微粒子、水、及び触媒を含む重合用組成物中で、多官能アルコキシシランを加水分解し、さらに重縮合させることで得られる。このとき、重合用組成物中には、有機溶媒がさらに含まれてもよい。ただし、前述の無機微粒子結合ポリシロキサンを十分に形成するとの観点から、有機溶媒の量は少ないことが好ましい。
本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物は、多官能アルコキシシラン、無機微粒子、水、及び触媒を含む重合用組成物中で、多官能アルコキシシランを加水分解し、さらに重縮合させることで得られる。このとき、重合用組成物中には、有機溶媒がさらに含まれてもよい。ただし、前述の無機微粒子結合ポリシロキサンを十分に形成するとの観点から、有機溶媒の量は少ないことが好ましい。
(多官能アルコキシシラン)
重合用組成物に含まれる多官能アルコキシシランは、2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、4官能アルコキシシランのいずれでもありうる。重合用組成物には、多官能アルコキシシランが1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。多官能アルコキシシランは、2官能アルコキシシラン単体;3官能アルコキシシラン単体;2官能、3官能、及び4官能のアルコキシシランの混合物;2官能及び3官能のアルコキシシランの混合物;3官能及び4官能のアルコキシシランの混合物;2官能及び4官能のアルコキシシランの混合物;でありうる。特に好ましくは、2官能及び3官能のアルコキシシランの混合物、3官能アルコキシシラン単体である。
重合用組成物に含まれる多官能アルコキシシランは、2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、4官能アルコキシシランのいずれでもありうる。重合用組成物には、多官能アルコキシシランが1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。多官能アルコキシシランは、2官能アルコキシシラン単体;3官能アルコキシシラン単体;2官能、3官能、及び4官能のアルコキシシランの混合物;2官能及び3官能のアルコキシシランの混合物;3官能及び4官能のアルコキシシランの混合物;2官能及び4官能のアルコキシシランの混合物;でありうる。特に好ましくは、2官能及び3官能のアルコキシシランの混合物、3官能アルコキシシラン単体である。
2官能アルコキシシランは、分子内にアルコキシシランを2つ有するシランモノマーであり、下記一般式(I)で表される化合物でありうる。
R7R8Si(OR9)2 …(I)
上記一般式(I)中、R9は、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。またR7、R8は、水素原子またはアルキル基を表す。
R7R8Si(OR9)2 …(I)
上記一般式(I)中、R9は、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。またR7、R8は、水素原子またはアルキル基を表す。
2官能のアルコキシシランの例には、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、エトキシフェニルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルジペンチルオキシシラン、ブチルメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシペンチルオキシシラン、ジブチルメトキシフェニルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン等が含まれる。中でもジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
3官能アルコキシシランは、分子内にアルコキシシランを3つ有するシランモノマーであり、下記一般式(II)で表される化合物でありうる。
ここで、3官能アルコキシシランモノマーの例には、下記一般式(II)で表される化合物が含まれる。
R5Si(OR6)3 …(II)
上記一般式(II)中、R5は、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。また、R6は、水素原子またはアルキル基を表す。
R5Si(OR6)3 …(II)
上記一般式(II)中、R5は、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。また、R6は、水素原子またはアルキル基を表す。
3官能アルコキシシランモノマーの具体例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン等のモノヒドロシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノエチルシラン化合物;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノプロピルシラン化合物;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノブチルシラン化合物が含まれる。
これらの3官能アルコキシシランモノマーの中でも、一般式(II)で表されるR5がメチル基である化合物が、反応性等の観点から好ましい。一般式(II)で表されるR5がメチル基である3官能アルコキシシランモノマーの例には、メチルトリメトキシシラン、及びメチルトリエトキシシランが含まれ、メチルトリメトキシシランであることが特に好ましい。
また、4官能アルコキシシランは、分子内にアルコキシシランを4つ有するシランモノマーであり、下記一般式(III)で表される化合物でありうる。
4官能アルコキシシランモノマーの例には、下記一般式(III)で表される化合物が含まれる。
Si(OR4)4 …(III)
上記一般式(III)中、R4はそれぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
4官能アルコキシシランモノマーの例には、下記一般式(III)で表される化合物が含まれる。
Si(OR4)4 …(III)
上記一般式(III)中、R4はそれぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
4官能アルコキシシランモノマーの具体例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランテトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのアルコキシシラン、またはアリールオキシシラン等が含まれる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
多官能アルコキシシランは、重合用組成物全質量中に50〜80質量%含まれることが好ましく、より好ましくは55〜78質量%であり、さらに好ましくは60〜75質量%である。多官能アルコキシシラン化合物の量が上記範囲であると、多官能アルコキシシランの濃度が十分に高くなり、無機微粒子結合ポリシロキサンの調製効率が高まりやすい。
(無機微粒子)
無機微粒子は、多官能アルコキシシラン中のSiとOを介して結合可能な元素を含む粒子であれば特に制限されないが、Si、Al、Zn、Ti、またはZrを含む粒子であることが好ましい。これらの元素を含む無機微粒子は、入手が容易であり、さらに多官能アルコキシシラン由来のシラノール基と結合してSi−O−M結合を形成しやすい。上記元素を含む化合物の例には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、アルミニウムケイ酸塩等が含まれる。
無機微粒子は、多官能アルコキシシラン中のSiとOを介して結合可能な元素を含む粒子であれば特に制限されないが、Si、Al、Zn、Ti、またはZrを含む粒子であることが好ましい。これらの元素を含む無機微粒子は、入手が容易であり、さらに多官能アルコキシシラン由来のシラノール基と結合してSi−O−M結合を形成しやすい。上記元素を含む化合物の例には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、アルミニウムケイ酸塩等が含まれる。
無機微粒子の形状は特に制限されず、球状、円柱状、角柱状等、いずれの形状でもありうる。このような無機微粒子の平均一次粒径は、5〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは10〜750nmであり、さらに好ましくは15〜500nmである。無機微粒子の平均一次粒径が、このような範囲であると、多官能アルコキシシランと反応して、前述の無機微粒子結合ポリシロキサンを形成しやすい。また、無機微粒子の平均一次粒径が上記範囲であると、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化膜の光透過性が高まりやすい。無機微粒子の平均一次粒径は、コールターカウンター法で測定される。
一方、無機微粒子はひも状形状であってもよい。ひも状形状とは、平均外径をa、平均長さをbとしたとき、aとbとの比率(アスペクト比:b/a)が10以上であることをいう。無機微粒子のアスペクト比は、1000以下であることが好ましい。無機微粒子のアスペクト比が10以上であると、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物の表面に凹凸が生じやすくなり、当該硬化物と基板との密着性が高まる。また、当該硬化物の強度も高まりやすい。無機微粒子の平均外径及び平均長さは、透過型電子顕微鏡(例えばJEOL社製JEM−2000FX)で測定される。
ここで、ひも状形状を有する無機微粒子の平均長さは20〜6000nmであることが好ましく、より好ましくは20〜3000nmであり、さらに好ましくは20〜1500nmである。ひも状形状を有する無機微粒子の平均長さが20nm以上であると、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物表面に凹凸が形成されやすくなり、例えば基板と当該硬化物との間にアンカー効果が働きやすい。一方、無機微粒子の平均長さが6000nm以下であると重合用組成物や、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の粘度が所望の範囲に収まりやすくなる。
ここで、ひも状形状を有する無機微粒子の具体例には、アルミニウムケイ酸塩やアルミナが含まれる。アルミニウムケイ酸塩とは、主な構成元素がケイ素、アルミニウム、酸素、及び水素である化合物であり、多数のSi−O−Al結合を含む和水ケイ酸アルミニウムでありうる。典型的なアルミニウムケイ酸塩の構造式は、SiO2・Al2O3・2H2O、もしくは(OH)3Al2O3SiOHで表される。
アルミニウムケイ酸塩の例には、中空管形状を有するイモゴライトが含まれる。イモゴライトは、平均外径が2.0〜2.5nmであり、平均内径が1.0〜1.5nmであり、平均長さが1〜6μmである粒子である。
一方、アルミナの例には、アルミナの無水和物からなるひも状形状の粒子、またはアルミナの水和物からなるひも状形状の粒子等が含まれる。ここで、アルミナの結晶系には、無定形、ベーマイト、または擬ベーマイトがあるが、重合用組成物に含まれるアルミナには、ベーマイトまたは擬ベーマイトのいずれか一方、もしくは両方の結晶系が含まれることが好ましい。
また、アルミナの平均外径は1〜10nm程度であることが好ましく、より好ましくは2〜6nmである。また、アルミナの平均繊維長は400〜1500nmであることが好ましく、より好ましくは1200〜1500nmである。アルミナの平均外径及び繊維長が当該範囲であると、得られる無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物の表面硬度が高まりやすい。
無機微粒子は、重合用組成物の固形分に全量に対して0.5質量%以上15質量%未満含まれることが好ましく、より好ましくは2〜12質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。無機微粒子の量が15質量%未満であると、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中に含まれる、ポリシロキサンと結合していない無機微粒子の量が少なくなる。つまり、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中で無機微粒子が凝集し難くなる。一方、無機微粒子の量が0.5質量%以上であると、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物のクラック耐性が高まりやすくなる。
(水)
重合用組成物に含まれる水は、多官能アルコキシシランや無機微粒子を分散させる溶媒としての役割、及び多官能アルコキシシランを加水分解する役割を果たす。
重合用組成物に含まれる水は、多官能アルコキシシランや無機微粒子を分散させる溶媒としての役割、及び多官能アルコキシシランを加水分解する役割を果たす。
水は、多官能アルコキシシラン100質量部に対して、30〜45質量部であることが好ましく、より好ましくは32〜42質量部であり、さらに好ましくは35〜40質量部である。水の量が上記範囲であると、多官能アルコキシシラン化合物の加水分解が十分に行われる。
(触媒)
重合用触媒に含まれる触媒は、多官能アルコキシシランの加水分解や重縮合を促進可能な化合物であれば、特に制限されない。触媒は酸性触媒であってもよく、塩基性触媒であってもよい。また、酸性触媒と塩基性触媒を併用してもよい。
重合用触媒に含まれる触媒は、多官能アルコキシシランの加水分解や重縮合を促進可能な化合物であれば、特に制限されない。触媒は酸性触媒であってもよく、塩基性触媒であってもよい。また、酸性触媒と塩基性触媒を併用してもよい。
酸性触媒は、有機酸、無機酸のいずれでもありうる。酸性触媒でありうる無機酸の例には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等が含まれ、中でも、リン酸、及び硝酸が好ましい。また有機酸の例には、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、n−酪酸などのカルボン酸残基、及び有機スルホン酸等の硫黄含有酸残基を有する化合物が含まれる。有機酸の具体例には、有機スルホン酸、もしくはこれらのエステル化物(有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステル)等が含まれる。
一方、塩基性触媒の例には、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、尿素等が含まれる。
重合用組成物に含まれる触媒の量は、多官能アルコキシシラン100質量部に対して、0.02〜2質量部であることが好ましく、より好ましくは0.04〜1.5質量部であり、さらに好ましくは0.08〜1質量部である。触媒の量が上記範囲であると、ポリシロキサンが効率良く得られる。
(有機溶媒)
重合用組成物には、有機溶媒がさらに含まれてもよい。重合用組成物に有機溶媒が含まれると、重合用組成物中に無機微粒子が良好に分散されやすくなる。
重合用組成物には、有機溶媒がさらに含まれてもよい。重合用組成物に有機溶媒が含まれると、重合用組成物中に無機微粒子が良好に分散されやすくなる。
重合用組成物中に含まれる有機溶媒は、多官能アルコキシシラン等を溶解または分散可能な溶媒であれば、特に制限されず、例えば無機微粒子のスラリー中に含まれる有機溶媒等であってもよい。
有機溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール等の一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類、あるいはこれらのモノアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基をすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;等が含まれる。重合用組成物には、これらが1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
有機溶媒の量は、前述のように過度に多くないことが好ましい。具体的には、重合用組成物全質量に対して0.01以上30質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%である。有機溶媒の量が上記範囲であると、各成分の分散性が高まる。一方で、有機溶媒量が、重合用組成物全質量に対して30質量%未満であれば、多官能アルコキシシラン及び無機微粒子の濃度が過度に低くならず、これらが十分に反応しやすくなる。
(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の調製方法)
前述の多官能アルコキシシラン、無機微粒子、水、及び触媒を混合した重合用組成物を準備し、当該重合用組成物中で、多官能アルコキシシランを加水分解し、さらに重縮合させることで、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物が得られる。なお、無機微粒子は、予め有機溶媒に分散された状態、つまりスラリーの状態で他の成分と混合されることが、無機微粒子の分散性の観点から好ましい。
前述の多官能アルコキシシラン、無機微粒子、水、及び触媒を混合した重合用組成物を準備し、当該重合用組成物中で、多官能アルコキシシランを加水分解し、さらに重縮合させることで、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物が得られる。なお、無機微粒子は、予め有機溶媒に分散された状態、つまりスラリーの状態で他の成分と混合されることが、無機微粒子の分散性の観点から好ましい。
多官能アルコキシシランは、重合用組成物を好ましくは20〜90℃、より好ましくは40〜80℃の温度に保持し、静置もしくは攪拌することによって反応する。反応時間は24〜168時間であることが好ましく、より好ましくは72〜120時間である。
反応終了後、必要に応じて、多官能アルコキシシランの加水分解によって生成したアルコールや有機溶媒、水等を除去してもよい。
当該反応によって得られる、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物に含まれる無機微粒子結合ポリシロキサンの骨格であるポリシロキサンの重量平均分子量は、通常1000以上400000以下であり、好ましくは1000以上50000以下である。ポリシロキサンの分子量は、重合用組成物中の水の量や触媒の種類、反応時間等によって調整される。また、ポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定され、ポリスチレン換算した値である。なお、無機微粒子結合ポリシロキサンの骨格であるポリシロキサンの構造は、1H−NMRまたは29Si−NMRにより確認可能である。
1−2.無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の用途
無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物は、前述のように、硬度、耐光性、耐熱性が高く、また冷熱衝撃等によってもクラックが生じ難い。したがって、各種基板等のコーティング剤とすることができる。
無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物は、前述のように、硬度、耐光性、耐熱性が高く、また冷熱衝撃等によってもクラックが生じ難い。したがって、各種基板等のコーティング剤とすることができる。
無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をコーティング剤とする場合の被塗布物は、特に制限されず、例えば各種光学フィルムや光学部材、容器、自動車、建材、包装材等でありうる。
無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を各種コーティング剤とする場合、必要に応じて無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を溶媒等で希釈してもよい。また、コーティング剤の塗布方法は特に制限されず例えばブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布など、公知の塗布方法でありうる。
また、コーティング剤の塗布後、熱処理することで、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中の無機微粒子結合ポリシロキサンやポリシロキサンがさらに重合して硬化する。熱処理温度は特に制限されないが、通常100〜200℃に加熱することが好ましい。加熱時間は、1〜20時間程度とすることができる。また、マイクロ波加熱によってコーティング剤を硬化させることもできる。具体的には、300〜1000Wで、5〜120分程度、マイクロ波を照射して、硬化させることが好ましい。また、コーティング剤の硬化は、マイクロ波加熱と、熱処理とを組み合わせてもよい。これらの硬化処理は、空気中で行ってもよく、窒素雰囲気下や、真空下で行ってもよい。
無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を各種コーティング剤とする場合、コーティング剤の硬化物の厚みは、0.5〜20μm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。コーティング剤の硬化物の厚みが20μm以下であると、冷熱衝撃等によってクラックが生じ難い。一方、厚みが0.5μm以上であると、各種部材を外部衝撃から保護すること等ができる。
一方、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物は、比較的厚膜にしても、クラックが生じ難く、光透過性も高い。したがって、後述するように、発光装置の発光素子を封止するための封止用組成物とすることもできる。
2.発光装置
前述のように、本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物は、発光装置の封止用組成物に適用することができる。発光装置の一例を図1及び図2に示す。発光装置100には、電極11を有する基板1と、電極11と電気的に接続された発光素子2と、電極11及び発光素子2を被覆する封止層3とが含まれる。発光装置100には、図2に示されるように、必要に応じて、発光素子2や封止層3を被覆する波長変換層4が含まれてもよい。当該発光装置100において、封止層3が、前述の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物である。
前述のように、本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物は、発光装置の封止用組成物に適用することができる。発光装置の一例を図1及び図2に示す。発光装置100には、電極11を有する基板1と、電極11と電気的に接続された発光素子2と、電極11及び発光素子2を被覆する封止層3とが含まれる。発光装置100には、図2に示されるように、必要に応じて、発光素子2や封止層3を被覆する波長変換層4が含まれてもよい。当該発光装置100において、封止層3が、前述の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物である。
ここで、本発明の発光装置100に含まれる発光素子2の種類は、特に制限されず、半導体レーザー素子や、発光ダイオード(LED)素子等でありうる。以下、発光素子がLED素子である場合を例に、本発明の発光装置を説明するが、本発明の発光装置は発光素子がLED素子である装置に限定されない。
2−1.基板
基板1は、LED素子2を支持するための部材である。基板1には、金属からなる電極11が形成されており、当該電極11は、基板1の外部に配置される電源(図示せず)から、LED素子2に電気を供給する機能を有する。また、電極11は、LED素子2が発する光を、発光装置100の光取り出し面側に反射する機能をさらに有してもよい。電極11の形状は特に制限されず、発光装置100の種類や用途等に合わせて適宜選択される。
基板1は、LED素子2を支持するための部材である。基板1には、金属からなる電極11が形成されており、当該電極11は、基板1の外部に配置される電源(図示せず)から、LED素子2に電気を供給する機能を有する。また、電極11は、LED素子2が発する光を、発光装置100の光取り出し面側に反射する機能をさらに有してもよい。電極11の形状は特に制限されず、発光装置100の種類や用途等に合わせて適宜選択される。
基板1は、平板状であってもよく、図1に示されるようにキャビティ(凹部)を有してもよい。基板1がキャビティを有する場合、キャビティの形状は特に制限されない。例えば円錐台状であってもよく、角錐台状や、円柱状、角柱状等であってもよい。
基板1は、絶縁性及び耐熱性を有することが好ましく、セラミック樹脂や耐熱性樹脂からなることが好ましい。耐熱性樹脂の例には、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ナイロン、エポキシ樹脂、硬質シリコーンレジン、ポリフタル酸アミド等が含まれる。
また、基板1には、無機フィラーが含まれていてもよい。無機フィラーは、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、グラスファイバー等でありうる。
電極11を有する基板1の作製方法は特に制限されず、一般的には、所望の形状のリードフレームと、樹脂とを一体成型して得られる。
2−2.LED素子
LED素子2は、基板1に形成された電極11と電気的に接続されて、特定の波長の光を発する素子である。LED素子2が出射する光の波長は特に制限されない。LED素子2は、例えば青色光(420nm〜485nm程度の光)を発する素子であってもよく、紫外光を発する素子であってもよい。またさらに、緑色光や赤色光等を発する素子であってもよい。
LED素子2は、基板1に形成された電極11と電気的に接続されて、特定の波長の光を発する素子である。LED素子2が出射する光の波長は特に制限されない。LED素子2は、例えば青色光(420nm〜485nm程度の光)を発する素子であってもよく、紫外光を発する素子であってもよい。またさらに、緑色光や赤色光等を発する素子であってもよい。
LED素子2の構成は、特に制限されない。LED素子2が、青色光を発する素子である場合、LED素子2は、n−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層との積層体等でありうる。
また、LED素子2の形状は特に制限されず、例えば200〜300μm×200〜300μmの発光面を有するものでありうる。またLED素子2の高さは、通常50〜200μm程度である。LED素子2は、上面だけでなく、側面や底面からも光が取り出されるものであってもよい。なお、図1に示される発光装置100には、基板1に1つのLED素子2のみが配置されているが、基板1に複数のLED素子2が配置されてもよい。
LED素子2と前述の電極11との接続方法は特に制限されない。例えばLED素子2と電極11とが、図1に示されるように、金属ワイヤ12を介して接続されてもよい。また、LED素子2と電極11とが、突起電極(図示せず)を介して接続されてもよい。LED素子2と電極11とが、金属ワイヤを介して接続される態様をワイヤボンディング型という。一方、LED素子2と電極11とが突起電極を介して接続される態様をフリップチップボンディング型という。
フリップチップボンディング型の発光装置100では、LED素子2と基板1との隙間にアンダーフィル材(図示せず)が充填されてもよい。アンダーフィル材は、シリコーン樹脂や、エポキシ樹脂、後述の封止層3と同様の材料等からなる部材でありうる。
2−3.封止層
封止層3は、前述のLED素子2や電極11を被覆する層であり、LED素子2や、電極11を発光装置外部の湿度や硫化水素ガスから保護する層である。封止層3の形成領域は特に制限されず、封止層3はLED素子2及び電極11のみを被覆する層であってもよい。また、LED素子2や電極11だけでなく、LED素子2が配置された側の基板1を全て被覆する層であってもよい。また、蛍光体粒子を含み、LED素子2が出射した特定波長の光を、他の特定波長の光に変換する層を兼ねてもよい。
封止層3は、前述のLED素子2や電極11を被覆する層であり、LED素子2や、電極11を発光装置外部の湿度や硫化水素ガスから保護する層である。封止層3の形成領域は特に制限されず、封止層3はLED素子2及び電極11のみを被覆する層であってもよい。また、LED素子2や電極11だけでなく、LED素子2が配置された側の基板1を全て被覆する層であってもよい。また、蛍光体粒子を含み、LED素子2が出射した特定波長の光を、他の特定波長の光に変換する層を兼ねてもよい。
封止層3には、前述の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物が含まれる。またさらに、封止層3には蛍光体粒子が必要に応じて含まれてもよい。蛍光体粒子は、LED素子2から出射する光により励起されて、LED素子2からの出射光と異なる波長の蛍光を発するものであればよい。例えば、黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体等がある。YAG蛍光体は、青色LED素子から出射される青色光(波長420nm〜485nm)を受けて、黄色の蛍光(波長550nm〜650nm)を発する。
蛍光体粒子は、例えば1)所定の組成を有する混合原料に、フラックス(フッ化アンモニウム等のフッ化物)を適量混合して加圧し、これを成形体とする。2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中で1350〜1450℃の温度範囲で、2〜5時間焼成し、焼結体とすることで得られる。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Ga等の酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学量論比で十分に混合して得られる。また、所定の組成を有する混合原料は、1)Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液と、シュウ酸とを混合し、共沈酸化物を得る。2)この共沈酸化物と、酸化アルミニウム、または酸化ガリウムとを混合しても得られる。
蛍光体の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体であってもよい。
蛍光体粒子の平均粒径は1μm〜50μmであることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)が高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、蛍光体粒子とバインダ(ポリシロキサンの硬化物)との界面に生じる隙間が大きくなる。これにより、封止層3の強度が低下しやすい。蛍光体粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計で測定されるD50の値をいう。レーザー回折式粒度分布測定装置の例には、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置等がある。波長変換層4中に含まれる蛍光体粒子の量は、封止層3の全質量に対して、通常5〜15質量%である。
封止層3の厚みは、100μm以上3000μm以下であり、好ましくは200μm以上2800μm以下であり、さらに好ましくは500μm以上2500μm以下である。封止層の厚みが3000μm以下であれば、封止層3の成膜時に歪みが生じ難く、クラックが生じ難い。一方、封止層3の厚みが100μm以上であると、封止層3のガスバリア性が十分に高まりやすく、LED素子2や電極11等が、発光装置100外部の湿度や硫化成分から十分に保護される。封止層3の厚みは、LED素子2の上面(発光面)に配置された封止層3の最大厚みとする。また、層の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定される。
2−4.波長変換層
図2に示されるように、本発明の発光装置100には、別途波長変換層4が含まれてもよい。波長変換層4は、LED素子2が出射した特定波長の光を、他の特定波長の光に変換する層であり、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の中に蛍光体粒子が分散された層でありうる。蛍光体粒子は、前述の封止層に含まれ得る蛍光体粒子と同様である。
図2に示されるように、本発明の発光装置100には、別途波長変換層4が含まれてもよい。波長変換層4は、LED素子2が出射した特定波長の光を、他の特定波長の光に変換する層であり、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の中に蛍光体粒子が分散された層でありうる。蛍光体粒子は、前述の封止層に含まれ得る蛍光体粒子と同様である。
このような波長変換層4の厚みは25μm〜5mm程度であることが好ましい。波長変換層4の厚みが厚すぎると、蛍光体粒子の濃度が過剰に低くなり、蛍光体粒子が均一に分散されない場合がある。波長変換層4の厚みは、LED素子2の発光面上に成膜された波長変換層4の最大厚みを意味する。波長変換層4の厚みは、レーザホロゲージで測定することができる。
2−5.発光装置の製造方法
前述の発光装置は、以下の3つ工程を経て製造することができる。
(1)LED素子が実装された基板を準備する工程
(2)LED素子及び電極を被覆するように、前述の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含む封止用組成物を塗布する工程
(3)封止用組成物を硬化させる工程
前述の発光装置は、以下の3つ工程を経て製造することができる。
(1)LED素子が実装された基板を準備する工程
(2)LED素子及び電極を被覆するように、前述の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含む封止用組成物を塗布する工程
(3)封止用組成物を硬化させる工程
発光装置の製造方法には、必要に応じて(4)封止層上に、蛍光体粒子を含む波長変換層を形成する工程が含まれてもよい。
(1)LED素子準備工程
LED素子準備工程では、LED素子と電極とが接続された基板を準備する。例えば前述の電極を有する基板を準備し、当該基板にLED素子を固定し、基板の電極と、LED素子のカソード電極及びアノード電極とを接続する工程でありうる。LED素子と電極との接続方法や、LED素子を基板に固定する方法は特に制限されず、従来公知の方法と同様の方法でありうる。
LED素子準備工程では、LED素子と電極とが接続された基板を準備する。例えば前述の電極を有する基板を準備し、当該基板にLED素子を固定し、基板の電極と、LED素子のカソード電極及びアノード電極とを接続する工程でありうる。LED素子と電極との接続方法や、LED素子を基板に固定する方法は特に制限されず、従来公知の方法と同様の方法でありうる。
(2)封止用組成物塗布工程
封止用組成物塗布工程は、前述の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物、を含む封止用組成物を、電極、及びLED素子を覆うように塗布する工程でありうる。封止用組成物には、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の他に、必要に応じて溶媒や蛍光体粒子が含まれてもよい。溶媒や蛍光体粒子の混合方法は特に制限されず、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物と混合した後、公知の方法で攪拌する方法等でありうる。例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等で行うことができる。撹拌条件を調整することで、封止用組成物に含まれる蛍光体粒子の沈降が抑制される。
封止用組成物塗布工程は、前述の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物、を含む封止用組成物を、電極、及びLED素子を覆うように塗布する工程でありうる。封止用組成物には、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の他に、必要に応じて溶媒や蛍光体粒子が含まれてもよい。溶媒や蛍光体粒子の混合方法は特に制限されず、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物と混合した後、公知の方法で攪拌する方法等でありうる。例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等で行うことができる。撹拌条件を調整することで、封止用組成物に含まれる蛍光体粒子の沈降が抑制される。
封止用組成物の塗布方法は特に制限されず、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布など、公知の塗布方法でありうる。
(3)封止用組成物硬化工程
封止用組成物硬化工程は、封止用組成物を加熱する工程でありうる。当該封止用組成物硬化工程では、封止用組成物中の溶媒を除去すると共に、ポリシロキサンをさらに重合させて硬化させる。
封止用組成物硬化工程は、封止用組成物を加熱する工程でありうる。当該封止用組成物硬化工程では、封止用組成物中の溶媒を除去すると共に、ポリシロキサンをさらに重合させて硬化させる。
封止用組成物を硬化させる際の温度は、100〜200℃であることが好ましい。加熱温度が100℃未満であると、ポリシロキサンの重合が十分に行われないことがありうる。
(4)波長変換層形成工程
波長変換層形成工程は、蛍光体粒子及び樹脂またはその前駆体が含まれる波長変換層用組成物を、前述の封止層上に塗布し、これを硬化させる工程でありうる。波長変換層用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれる。波長変換層用組成物に含まれる溶媒は、前述の樹脂またはその前駆体を溶解または分散させることが可能なものであれば、特に制限されない。溶媒はトルエン、キシレンなどの炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテートなどのエステル類等でありうる。
波長変換層形成工程は、蛍光体粒子及び樹脂またはその前駆体が含まれる波長変換層用組成物を、前述の封止層上に塗布し、これを硬化させる工程でありうる。波長変換層用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれる。波長変換層用組成物に含まれる溶媒は、前述の樹脂またはその前駆体を溶解または分散させることが可能なものであれば、特に制限されない。溶媒はトルエン、キシレンなどの炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテートなどのエステル類等でありうる。
また、波長変換層用組成物の混合は、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等で行うことができる。撹拌条件を調整することで、波長変換層用組成物における蛍光体粒子の沈降が抑制される。
波長変換層用組成物の塗布方法は適宜選択され、例えばディスペンサー塗布等でありうる。また、波長変換層用組成物の塗布後、これを硬化させる。波長変換層用組成物の硬化方法や硬化条件は、樹脂の種類により適宜選択される。硬化方法の一例として、加熱硬化が挙げられる。
2−6.発光装置の用途
前述の発光装置には、さらに他の光学部品(レンズなど)が設けられて各種光学部材とされてもよい。本発明の発光装置は、耐湿性や、硫化水素ガス耐性にも優れることから、車輌用の照明や、屋外で使用する照明用途等に好適である。
前述の発光装置には、さらに他の光学部品(レンズなど)が設けられて各種光学部材とされてもよい。本発明の発光装置は、耐湿性や、硫化水素ガス耐性にも優れることから、車輌用の照明や、屋外で使用する照明用途等に好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。
[実施例1]
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が1質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。重合用組成物に含まれる、酸化ジルコニウム分散液由来の有機溶媒の含有量は、重合用組成物全量に対して3質量%であった。
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が1質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。重合用組成物に含まれる、酸化ジルコニウム分散液由来の有機溶媒の含有量は、重合用組成物全量に対して3質量%であった。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。当該組成物に含まれるポリシロキサン(無機微粒子結合ポリシロキサンの骨格であるポリシロキサンも含む)の重量平均分子量(GPCで測定:ポリスチレン換算)は2000であった。また、ポリシロキサンの生成は、1H−NMRで確認した。
また、当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して25%であった。
また、当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して25%であった。
そして、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をメチルエチルケトンで固形分濃度が30質量%になるように希釈し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基板上にバーコートにてウェット膜厚10μmとなるように塗布した。そして、120℃で1時間焼成し、フィルム基板上に、ハードコート層(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物)を作製した。
[実施例2]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子の量が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加えた以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子の量が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加えた以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例3]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が10質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加えた以外は、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して35%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が10質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加えた以外は、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して35%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例4]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が20質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して3質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して45%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が20質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して3質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して45%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例5]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して0.1質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して40%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して0.1質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して40%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例6]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して10質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して25%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して10質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して25%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例7]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して20質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して22%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して20質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して22%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例8]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して25質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して20%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え;重合用組成物に含まれる有機溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して25質量%になるようにメタノールを添加した以外は、実施例1と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して20%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例9]
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.05mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.05molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。重合用組成物に含まれる、酸化ジルコニウム分散液由来の有機溶媒の含有量は、重合用組成物全量に対して3質量%であった。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。ポリシロキサンの重量平均分子量(GPCで測定:ポリスチレン換算)は2000であった。また、ポリシロキサンの生成は、1H−NMRで確認した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.05mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.05molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。重合用組成物に含まれる、酸化ジルコニウム分散液由来の有機溶媒の含有量は、重合用組成物全量に対して3質量%であった。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。ポリシロキサンの重量平均分子量(GPCで測定:ポリスチレン換算)は2000であった。また、ポリシロキサンの生成は、1H−NMRで確認した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例10]
プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.05mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.05molを混合した多官能アルコキシシランの混合物を用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.05mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.05molを混合した多官能アルコキシシランの混合物を用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例11]
テトラメトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.05mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.05molを混合した多官能アルコキシシランの混合物を用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
テトラメトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.05mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.05molを混合した多官能アルコキシシランの混合物を用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例12]
プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.1molをアルコキシシランとして用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.1molをアルコキシシランとして用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例13]
ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.1molをアルコキシシランとして用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物および評価サンプルを作製した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.1molをアルコキシシランとして用いた以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物および評価サンプルを作製した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例14]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化亜鉛微粒子が5質量%になるように球状酸化亜鉛分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZN−220−1KG、平均一次粒子径:20〜25nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化亜鉛とが結合して生成したSi−O−M結合(MはZn)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化亜鉛微粒子が5質量%になるように球状酸化亜鉛分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZN−220−1KG、平均一次粒子径:20〜25nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化亜鉛とが結合して生成したSi−O−M結合(MはZn)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例15]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化チタン微粒子が5質量%になるように球状酸化チタン分散液(TECNAN社製TECNADIS−TI−220−1KG、平均一次粒子径:10〜15nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化チタンとが結合して生成したSi−O−M結合(MはTi)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化チタン微粒子が5質量%になるように球状酸化チタン分散液(TECNAN社製TECNADIS−TI−220−1KG、平均一次粒子径:10〜15nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化チタンとが結合して生成したSi−O−M結合(MはTi)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)は、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例16]
重合用組成物の固形分全量に対して、球状アルミナ微粒子が5質量%になるように球状アルミナ分散液(TECNAN社製TECNADIS−AL−220−1KG、平均一次粒子径:20〜25nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと球状アルミナとが結合して生成したSi−O−M結合(MはAl)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、球状アルミナ微粒子が5質量%になるように球状アルミナ分散液(TECNAN社製TECNADIS−AL−220−1KG、平均一次粒子径:20〜25nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと球状アルミナとが結合して生成したSi−O−M結合(MはAl)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例17]
重合用組成物の固形分全量に対して、ひも状アルミナ微粒子が5質量%になるようにひも状アルミナ分散液(川研ファインケミカル社製F−1000、アスペクト比350、長さ1400nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランとひも状アルミナとが結合して生成したSi−O−M結合(MはAl)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、ひも状アルミナ微粒子が5質量%になるようにひも状アルミナ分散液(川研ファインケミカル社製F−1000、アスペクト比350、長さ1400nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランとひも状アルミナとが結合して生成したSi−O−M結合(MはAl)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[実施例18]
重合用組成物の固形分全量に対して、後述の方法で調製されるひも状アルミニウムケイ酸塩微粒子が5質量%になるように、ひも状アルミニウムケイ酸塩分散液(アスペクト比500、長さ1000nm、外径2nm、内径1nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランとひも状アルミニウムケイ酸塩とが結合して生成したSi−O−M結合(MはAl)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
重合用組成物の固形分全量に対して、後述の方法で調製されるひも状アルミニウムケイ酸塩微粒子が5質量%になるように、ひも状アルミニウムケイ酸塩分散液(アスペクト比500、長さ1000nm、外径2nm、内径1nm)を加え、重合用組成物とした以外は、実施例2と同様にして無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランとひも状アルミニウムケイ酸塩とが結合して生成したSi−O−M結合(MはAl)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して30%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
・ひも状アルミニウムケイ酸塩の調製
以下に、ひも状アルミニウムケイ酸塩の調製方法を示す。
(第1の工程)
オルトケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、3.0mMオルトケイ酸ナトリウム水溶液を10L調製した。当該オルトケイ酸ナトリウム水溶液を、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに流入させて、3.0mMのオルトケイ酸水溶液を得た。カラム内での流速は、得られるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率が500μS/cm以下になるように設定した。なお、オルトケイ酸水溶液の電気伝導率は、電気伝導率計ES−51(堀場製作所社製)を用いて、25℃で測定した。
以下に、ひも状アルミニウムケイ酸塩の調製方法を示す。
(第1の工程)
オルトケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、3.0mMオルトケイ酸ナトリウム水溶液を10L調製した。当該オルトケイ酸ナトリウム水溶液を、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに流入させて、3.0mMのオルトケイ酸水溶液を得た。カラム内での流速は、得られるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率が500μS/cm以下になるように設定した。なお、オルトケイ酸水溶液の電気伝導率は、電気伝導率計ES−51(堀場製作所社製)を用いて、25℃で測定した。
(第2の工程)
得られた3.0mMのオルトケイ酸水溶液を2Lと、30mMの硝酸アルミニウム水溶液を1Lと、28mMの尿素水溶液を1Lと、3.8mMのNaOH水溶液を1Lと、イオン交換水2Lとを混合して、SiとAlのモル濃度が1:2の比になるように混合液を調製した。当該混合液のpHが、pH4.0〜7.0の範囲になるよう、上記NaOH水溶液の添加によって調整した。
当該混合液を充分に撹拌した後、混合液をオートクレーブにて100℃で72時間加熱した。混合液を室温に戻した後、混合液に対して1/10体積量の5MのNaCl水溶液を加えてゲル化させ、遠心分離することで透明なひも状アルミニウムケイ酸塩のゲルを得た。得られたゲルに含まれる塩(NaCl)を透析膜により除去し、ひも状アルミニウムケイ酸塩の水分散液を得た。
得られた3.0mMのオルトケイ酸水溶液を2Lと、30mMの硝酸アルミニウム水溶液を1Lと、28mMの尿素水溶液を1Lと、3.8mMのNaOH水溶液を1Lと、イオン交換水2Lとを混合して、SiとAlのモル濃度が1:2の比になるように混合液を調製した。当該混合液のpHが、pH4.0〜7.0の範囲になるよう、上記NaOH水溶液の添加によって調整した。
当該混合液を充分に撹拌した後、混合液をオートクレーブにて100℃で72時間加熱した。混合液を室温に戻した後、混合液に対して1/10体積量の5MのNaCl水溶液を加えてゲル化させ、遠心分離することで透明なひも状アルミニウムケイ酸塩のゲルを得た。得られたゲルに含まれる塩(NaCl)を透析膜により除去し、ひも状アルミニウムケイ酸塩の水分散液を得た。
アルミニウムケイ酸塩の平均長さは、原子間力顕微鏡(Agilent Technologies社製Agilent 7500 AFMシステム)にて測定した。具体的には、原子間力顕微鏡で測定した範囲内にある任意の50個のひも状アルミニウムケイ酸塩の長さを測定し、これらの平均値を算出した。
[比較例1]
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、ポリシロキサン含有組成物を得た。
無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物とした。該組成物に含まれる酸化ジルコニウム分散液由来の溶媒の含有量は、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の全量に対して3%であった。
ポリシロキサンの重量平均分子量(GPCで測定:ポリスチレン換算)は2000であった。また、ポリシロキサンの生成は、1H−NMRで確認した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して5%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、ジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、ポリシロキサン含有組成物を得た。
無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物とした。該組成物に含まれる酸化ジルコニウム分散液由来の溶媒の含有量は、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の全量に対して3%であった。
ポリシロキサンの重量平均分子量(GPCで測定:ポリスチレン換算)は2000であった。また、ポリシロキサンの生成は、1H−NMRで確認した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して5%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[比較例2]
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。さらに、重合用組成物に含まれる溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して50%になるようにメタノールを添加した。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して10%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。さらに、重合用組成物に含まれる溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して50%になるようにメタノールを添加した。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して10%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[比較例3]
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合し、重合用組成物とした。この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で24時間熟成させて、アルコキシシラン化合物の加水分解反応および重縮合反応をある程度進行させた。
そして、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、さらに60℃で24時間熟成させ重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。ポリシロキサンの重量平均分子量(GPCで測定:ポリスチレン換算)は2000であった。また、ポリシロキサンの生成は、1H−NMRで確認した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して10%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合し、重合用組成物とした。この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で24時間熟成させて、アルコキシシラン化合物の加水分解反応および重縮合反応をある程度進行させた。
そして、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%となるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、さらに60℃で24時間熟成させ重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。ポリシロキサンの重量平均分子量(GPCで測定:ポリスチレン換算)は2000であった。また、ポリシロキサンの生成は、1H−NMRで確認した。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して10%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[比較例4]
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が20質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。さらに、重合用組成物に含まれる溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して3%になるようにメタノールを添加した。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して55%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が20質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。さらに、重合用組成物に含まれる溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して3%になるようにメタノールを添加した。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して55%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[比較例5]
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。さらに、重合用組成物に含まれる溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して40%になるようにメタノールを添加した。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して15%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
テトラエトキシシラン(4官能アルコキシシラン)0.03mol、プロピルトリメトキシシラン(3官能アルコキシシラン)0.04mol、及びジメチルジメトキシシラン(2官能アルコキシシラン)0.03molを混合した多官能アルコキシシランの混合物に対して、水と、希硝酸とを、多官能アルコキシシランの混合物:水:希硝酸のモル比が1:3:0.002となるように混合した。さらに、重合用組成物の固形分全量に対して、球状酸化ジルコニウム微粒子が5質量%になるように球状酸化ジルコニウム分散液(TECNAN社製TECNADIS−ZR−220−1KG、平均一次粒子径:15nm)を加え、重合用組成物とした。さらに、重合用組成物に含まれる溶媒の含有量が、重合用組成物全量に対して40%になるようにメタノールを添加した。
この重合用組成物を密閉容器中にて20℃で3時間撹拌した後、60℃で48時間熟成させて、多官能アルコキシシランの加水分解反応および重縮合反応を進行させた。熟成終了後、反応によって生成したメタノールを含む上相を除去した。その後、60℃で3時間乾燥させて、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を得た。
当該組成物について、多官能アルコキシシランどうしが重縮合して生成したSi−O−Si結合の量、及び多官能アルコキシシランと酸化ジルコニウムとが結合して生成したSi−O−M結合(MはZr)の量を、17O−NMRおよび29Si−NMRで確認した。その結果、Si−O−M結合の量(モル数)が、前記Si−O−Si結合の量(モル数)に対して15%であった。その後、実施例1と同様に、当該無機微粒子含有ポリシロキサン組成物をPETフィルム上に塗布し、120℃で1時間焼成し、ハードコート層を作製した。
[評価]
実施例1〜18、及び比較例1〜5で作製したハードコート層(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化膜)について、以下の方法でクラック耐性、密着性、及び硬度を評価した。結果を表1に示す。
実施例1〜18、及び比較例1〜5で作製したハードコート層(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化膜)について、以下の方法でクラック耐性、密着性、及び硬度を評価した。結果を表1に示す。
<クラック耐性評価>
各サンプルについて光学顕微鏡(SZX12;OLYMPUS社製)により拡大倍率20倍で外観観察を行い、以下の基準でクラック耐性を評価した。
○:層中にクラックが1本も無い
×:層中にクラックが1本以上有る
各サンプルについて光学顕微鏡(SZX12;OLYMPUS社製)により拡大倍率20倍で外観観察を行い、以下の基準でクラック耐性を評価した。
○:層中にクラックが1本も無い
×:層中にクラックが1本以上有る
<密着性評価>
密着性の評価を、JIS K5400の碁盤目セロハンテープ剥離試験に従って評価した。具体的には、サンプル表面(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物側)にカッターナイフで、1cm×1cmの正方形内に1mm間隔の碁盤目状に切り込みを入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付けた。その後、セロハンテープをはく離し、はく離部の割合を測定した。下記の基準に従って、膜とフィルム基板との密着性を評価した。
○:はく離部(剥離したマス)の割合が0%以上、3%未満
×:はく離部(剥離したマス)の割合が3%以上
密着性の評価を、JIS K5400の碁盤目セロハンテープ剥離試験に従って評価した。具体的には、サンプル表面(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物側)にカッターナイフで、1cm×1cmの正方形内に1mm間隔の碁盤目状に切り込みを入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付けた。その後、セロハンテープをはく離し、はく離部の割合を測定した。下記の基準に従って、膜とフィルム基板との密着性を評価した。
○:はく離部(剥離したマス)の割合が0%以上、3%未満
×:はく離部(剥離したマス)の割合が3%以上
<硬度評価>
各サンプル表面(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物側)を#0000のスチールウールに1kg/cm2の荷重をかけて、ストローク100mm、速度30mm/secで10回往復摩擦した。その後、下記の基準に従って、付いた傷の本数にて硬度を評価した。
○:傷本数が0本以上、10本未満
×:傷本数が10本以上
各サンプル表面(無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の硬化物側)を#0000のスチールウールに1kg/cm2の荷重をかけて、ストローク100mm、速度30mm/secで10回往復摩擦した。その後、下記の基準に従って、付いた傷の本数にて硬度を評価した。
○:傷本数が0本以上、10本未満
×:傷本数が10本以上
表1に示されるように、無機微粒子と多官能アルコキシシランとを混合してから、多官能アルコキシシランを加水分解・重縮合させた無機微粒子含有ポリシロキサン組成物では、ポリシロキサンのSi−O−Si結合に対して、Si−O−M(Mは、無機微粒子由来の金属元素または半金属元素)の量が多くなった(実施例1〜18)。つまり、無機微粒子結合ポリシロキサンが十分に形成された。そして、当該無機微粒子結合ポリシロキサンが十分に含まれると、クラック耐性が良好であり、さらに硬度も高かった。無機微粒子が硬化物中に均一に分散されたためであると推察される。
また、無機微粒子の凝集があると、当該箇所で基板とハードコート層とが密着できず、基板とハードコート層との密着性が低くなることがある。これに対し、上記のように実施例1〜18では、基板との密着性も良好であることから、無機微粒子の凝集が少なかったと推察される。
一方、多官能アルコキシシランを重縮合させたポリマーやオリゴマーと無機微粒子とを混合した場合には、Si−O−M量が少なかった(比較例1及び比較例3)。そして、これらの比較例では、ハードコート層の硬度が十分に高まらず、さらに基板との密着性が低かった。多官能アルコキシシランのポリマーやオリゴマーでは、金属元素等との反応点が少ないため、十分にこれらが反応できず、十分に無機微粒子結合ポリシロキサンが形成されず、無機微粒子の凝集等が生じたと推察される。
また、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の調製時の有機溶媒量が30質量%以上であると、得られる無機微粒子含有ポリシロキサン組成物において、Si−O−M量が少なくなった(比較例2及び比較例5)。アルコキシシラン及び無機微粒子の濃度がそれぞれ低くなるため、これらが接触し難く、反応が生じ難かったと推察される。また、Si−O−Si結合に対する、Si−O−M(Mは、無機微粒子由来の金属元素または半金属元素)の量が50モル%以上である場合(比較例4)には、クラック耐性は高まったものの、密着性や硬度評価が低くなった。これは、ポリシロキサンと無機微粒子とが多量に結合したため、相対的に基板と結合できるポリシロキサンのSi−O結合が少なくなったためであると推察される。
[実施例19〜36、比較例6〜10(発光装置の製造)]
・基板の準備
金属反射層(銀メッキ)及びリード電極を有する芳香族ポリアミド製円形基板を準備した。当該円形基板は、円錐台状のキャビティを有するものとした。キャビティの開口径は3mm、キャビティ底面の直径は2mm、壁面角度は60°とした。そして、当該基板に、ダイボンド接着剤で、発光素子(直方体状;200μm×300μm×100μm)を固定した。さらに、発光素子のアノード電極及びカソード電極を、リード電極にワイヤで接続した。
・基板の準備
金属反射層(銀メッキ)及びリード電極を有する芳香族ポリアミド製円形基板を準備した。当該円形基板は、円錐台状のキャビティを有するものとした。キャビティの開口径は3mm、キャビティ底面の直径は2mm、壁面角度は60°とした。そして、当該基板に、ダイボンド接着剤で、発光素子(直方体状;200μm×300μm×100μm)を固定した。さらに、発光素子のアノード電極及びカソード電極を、リード電極にワイヤで接続した。
・蛍光体粒子の調製
蛍光体原料として、Y2O37.41g、Gd2O34.01g、CeO20.63g、及びAl2O37.77gを十分に混合した。これにフラックスとしてフッ化アンモニウムを適量混合し、アルミ製の坩堝に充填した。当該充填物を、水素含有窒素ガスを流通させた還元雰囲気中において、1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成して焼成品((Y0.72Gd0.24)3Al5O12:Ce0.04)を得た。
得られた焼成品を粉砕、洗浄、分離、乾燥して、平均粒径が10μm程度の黄色蛍光体粒子を得た。波長465nmの励起光における発光波長を測定したところ、およそ波長570nmにピーク波長を有していた。
蛍光体原料として、Y2O37.41g、Gd2O34.01g、CeO20.63g、及びAl2O37.77gを十分に混合した。これにフラックスとしてフッ化アンモニウムを適量混合し、アルミ製の坩堝に充填した。当該充填物を、水素含有窒素ガスを流通させた還元雰囲気中において、1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成して焼成品((Y0.72Gd0.24)3Al5O12:Ce0.04)を得た。
得られた焼成品を粉砕、洗浄、分離、乾燥して、平均粒径が10μm程度の黄色蛍光体粒子を得た。波長465nmの励起光における発光波長を測定したところ、およそ波長570nmにピーク波長を有していた。
・封止用組成物の準備
前述の1〜18、及び比較例1〜5の上記無機微粒子含有ポリシロキサン組成物に、前述の蛍光体粒子を分散させて、封止用組成物とした。蛍光体粒子の分散は、ロッキングミルにより行った。封止用組成物に含まれる蛍光体粒子の濃度は、封止用組成物に対して8質量%とした。当該封止用組成物を前述の基板の凹部にポッティングした。そして、160℃で19時間焼成して、それぞれ実施例19〜36、及び比較例6〜10の発光装置を得た。封止層の厚みは2.5mmとした。
前述の1〜18、及び比較例1〜5の上記無機微粒子含有ポリシロキサン組成物に、前述の蛍光体粒子を分散させて、封止用組成物とした。蛍光体粒子の分散は、ロッキングミルにより行った。封止用組成物に含まれる蛍光体粒子の濃度は、封止用組成物に対して8質量%とした。当該封止用組成物を前述の基板の凹部にポッティングした。そして、160℃で19時間焼成して、それぞれ実施例19〜36、及び比較例6〜10の発光装置を得た。封止層の厚みは2.5mmとした。
[比較例11]
封止用組成物をシリコーン樹脂(OE6630:東レダウ社製)とし、150℃1時間加熱して硬化させた以外は、実施例17と同様に発光装置を得た。
封止用組成物をシリコーン樹脂(OE6630:東レダウ社製)とし、150℃1時間加熱して硬化させた以外は、実施例17と同様に発光装置を得た。
[評価]
実施例19〜36及び比較例6〜11の封止用組成物について、以下の方法でクラック耐性、光透過性、及び密着性評価を行った。
実施例19〜36及び比較例6〜11の封止用組成物について、以下の方法でクラック耐性、光透過性、及び密着性評価を行った。
<クラック耐性評価>
発光装置の各封止層について、光学顕微鏡(SZX12;OLYMPUS製)により拡大倍率12.5倍で外観観察を行った。以下の基準でクラック耐性を評価した。
○:封止層にクラックが1本も無い
×:封止層にクラックが1本以上有る
発光装置の各封止層について、光学顕微鏡(SZX12;OLYMPUS製)により拡大倍率12.5倍で外観観察を行った。以下の基準でクラック耐性を評価した。
○:封止層にクラックが1本も無い
×:封止層にクラックが1本以上有る
<密着性評価>
発光装置の封止層の密着性を評価した。具体的には、ヒートショック試験機(TSA−42EL;エスペック社製)を用いて、発光装置に−40℃(30分)及び100℃(30分)のヒートショックサイクルを繰り返し与え、この試験後に封止層の膜はがれによる発光装置の不点灯が発生するか否かを調べ、以下の基準で評価した。
◎:ヒートショック1000サイクルを行っても不点灯無し
○:ヒートショック800サイクル以上、1000サイクル未満で不点灯発生
△:ヒートショック600サイクル以上、800サイクル未満で不点灯発生
×:ヒートショック600サイクル未満で不点灯発生
発光装置の封止層の密着性を評価した。具体的には、ヒートショック試験機(TSA−42EL;エスペック社製)を用いて、発光装置に−40℃(30分)及び100℃(30分)のヒートショックサイクルを繰り返し与え、この試験後に封止層の膜はがれによる発光装置の不点灯が発生するか否かを調べ、以下の基準で評価した。
◎:ヒートショック1000サイクルを行っても不点灯無し
○:ヒートショック800サイクル以上、1000サイクル未満で不点灯発生
△:ヒートショック600サイクル以上、800サイクル未満で不点灯発生
×:ヒートショック600サイクル未満で不点灯発生
<透過率>
剥離性のあるフッ素樹脂型に、実施例19〜36及び比較例6〜11の封止用組成物を充填し、各実施例及び比較例と同様に硬化させた。そして、硬化物を当該樹脂型より剥離し、厚さ2mmの評価サンプルを作製した。このサンプルの可視光透過率を分光光度計(U−4100;日立ハイテクノロジーズ社製)にて測定し、以下の基準で評価した。
◎:可視光域の平均透過率が98%以上である
○:可視光域の平均透過率が95%以上98%未満である
△:可視光域の平均透過率が92%以上95%未満である
×:可視光域の平均透過率が92%未満である
剥離性のあるフッ素樹脂型に、実施例19〜36及び比較例6〜11の封止用組成物を充填し、各実施例及び比較例と同様に硬化させた。そして、硬化物を当該樹脂型より剥離し、厚さ2mmの評価サンプルを作製した。このサンプルの可視光透過率を分光光度計(U−4100;日立ハイテクノロジーズ社製)にて測定し、以下の基準で評価した。
◎:可視光域の平均透過率が98%以上である
○:可視光域の平均透過率が95%以上98%未満である
△:可視光域の平均透過率が92%以上95%未満である
×:可視光域の平均透過率が92%未満である
表2に示されるように、ポリシロキサンのSi−O−Si結合量に対する、Si−O−M(Mは、無機微粒子由来の金属元素または半金属元素)量が20%以上である実施例19〜36では、クラック耐性が良好であり、さらに基板との密着性が良好であり、さらに光透過率が優れた。ただし、ポリシロキサンのSi−O−Si結合に対する、Si−O−M(Mは、無機微粒子由来の金属元素または半金属元素)の量が多くなると、光透過性が若干低下する傾向にあり(実施例21、22)、Si−O−M量が50%以上であると、透過率が非常に悪くなった(比較例9)。
一方、ポリシロキサンのSi−O−Si結合量に対する、Si−O−M結合(Mは、無機微粒子由来の金属元素または半金属元素)量が20%未満である、比較例6〜8、10では、密着性が悪いだけでなく、光透過率も低かった。無機微粒子が凝集して、光の散乱等が生じたことで、光透過率が低下したと推察される。
さらに、シリコーン樹脂からなる封止層では、クラックが生じ難く、光透過性は良好であったものの、密着性が低かった(比較例11)。
本発明の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物は強度や耐光性、耐熱性、耐クラック性、ガスバリア性等が優れる。したがって、各種光学製品や、容器、建材、自動車用部材等のハードコート層や発光装置の封止用組成物として有用である。
1 基板
2 LED素子
3 封止層
11 電極
12 金属ワイヤ
100 発光装置
2 LED素子
3 封止層
11 電極
12 金属ワイヤ
100 発光装置
Claims (12)
- 2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、及び4官能アルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能アルコキシシラン、水、触媒、及び金属元素または半金属元素を含む無機微粒子を含有する重合用組成物中で、前記多官能アルコキシシランを加水分解、重縮合して得られる無機微粒子含有ポリシロキサン組成物であり、
前記多官能アルコキシシラン由来のSiと前記無機微粒子が含む元素M(前記金属元素または前記半金属元素)とがOを介して結合したSi−O−M結合を有する無機微粒子結合ポリシロキサンを含み、
前記無機微粒子含有ポリシロキサン組成物中の前記Si−O−M結合の量(モル数)が、前記多官能アルコキシシランどうしの重縮合により形成されたSi−O−Si結合の量(モル数)に対して、20%以上50%未満である、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。 - 前記重合用組成物が、有機溶媒をさらに含み、前記重合用組成物の全量に対する、前記有機溶媒の量が0.01質量%以上30質量%未満である、請求項1に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
- 前記重合用組成物の固形分の全量に対する、前記無機微粒子の量が0.5質量%以上15質量%未満である、請求項1または2に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
- 前記無機微粒子は、アスペクト比が10以上のひも状形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含む封止用組成物。
- 発光装置の発光素子を封止するために用いられる、請求項5に記載の封止用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物を含むコーティング剤。
- 2官能アルコキシシラン、3官能アルコキシシラン、及び4官能アルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能アルコキシシラン、水、触媒、有機溶媒、及び金属元素または半金属元素を含む無機微粒子を含有する重合用組成物を準備する工程と、
前記重合用組成物が前記多官能アルコキシシランを加水分解・重縮合反応させる工程と、
を含み、前記重合用組成物の全量に対する、前記有機溶媒の量が0.01質量%以上30質量%未満である、無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。 - 前記重合用組成物の固形分の全量に対する、前記無機微粒子の量が0.5質量%以上15質量%未満である、請求項8に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
- 前記無機微粒子は、アスペクト比が10以上のひも状形状を有する、請求項8または9に記載の無機微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
- 基板と、前記基板上に配置された発光素子と、前記発光素子を封止する封止層とを有し、
前記封止層が、請求項5に記載の封止用組成物の硬化物である、発光装置。 - 発光素子が配置された基板を準備する工程と、
前記発光素子上に、請求項5に記載の封止用組成物を、前記発光素子上に塗布する工程と、
前記封止用組成物を100℃以上に加熱して硬化させる工程と、を含む、発光装置の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015022165A JP2016145273A (ja) | 2015-02-06 | 2015-02-06 | 無機微粒子含有ポリシロキサン組成物、及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018116081A (ja) * | 2017-01-16 | 2018-07-26 | 日本特殊陶業株式会社 | 波長変換部材の製造方法 |
JP2020050808A (ja) * | 2018-09-28 | 2020-04-02 | 旭化成株式会社 | コーティング組成物 |
JP2022000705A (ja) * | 2017-09-04 | 2022-01-04 | ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッドSeoul Semiconductor Co., Ltd. | 表示装置 |
US11508885B2 (en) | 2018-09-28 | 2022-11-22 | Nichia Corporation | Light emitting device |
-
2015
- 2015-02-06 JP JP2015022165A patent/JP2016145273A/ja active Pending
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US12094859B2 (en) | 2017-09-04 | 2024-09-17 | Seoul Semiconductor Co., Ltd. | Display device and method for manufacturing the same |
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