JP2015195269A - 発光装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿度や硫化水素ガスによる劣化が少なく、さらに長期間に亘って光取り出し効率が高い発光装置、及びその製造方法の提供を目的とする。【解決手段】電極を有する基板と、前記電極と電気的に接続された発光素子と、前記発光素子及び前記電極を被覆する封止層と、を有し、前記封止層は、ポリシロキサン、及び、層間陽イオンが典型非金属系化合物からなるイオンである層状粘土鉱物を含む、発光装置とする。【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子及び電極を保護する封止層を有する発光装置、及びその製造方法に関する。
近年、窒化ガリウム(GaN)系の青色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)素子の近傍に、YAG蛍光体等の蛍光体を配置した白色LED装置が開発されている。当該白色LED装置では、青色LED素子が出射する青色光と、青色光を受けて蛍光体が発する黄色光とを混色して白色光を得る。また、青色LED素子の近傍に各種蛍光体を配置した白色LED装置も開発されている。当該白色LED装置では、青色LED素子が出射する青色光と、青色光を受けて蛍光体が出射する赤色光や緑色光とを混色して、白色光を得る。このような白色LED装置は、従来の蛍光灯や白熱電灯等の代替品として広く適用されており、さらなる光取り出し効率の向上、及び長寿命化が求められている。
また、例えば赤色光、緑色光、青色光を発する発光素子をそれぞれ組み合わせて、白色光を得る白色発光装置等も開発されている。このような白色発光装置においても、さらなる光取り出し効率の向上、及び長寿命化が求められている。
発光装置の光取り出し効率が低下する要因の一つに、発光装置に含まれる電極や発光素子の劣化が挙げられる。電極の劣化は、例えば発光装置の使用環境に含まれる硫化水素ガス等によって生じる。また、発光素子の劣化は、発光装置の使用環境に含まれる水分等によって生じる。そこで、一般的な発光装置では、発光素子や電極等が、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂からなる封止層で封止されている。
しかし、エポキシ樹脂は熱や光によって劣化しやすく、短波長の光(例えば青色光)により着色する。そのため、エポキシ樹脂からなる封止層は、経時で光透過性が低下しやすい、との問題があった。一方、シリコーン樹脂は、水分や硫化水素ガスに対するバリア性が低く、シリコーン樹脂からなる封止層では、発光素子の劣化や、金属の腐食を十分に抑制できない、との問題があった。
そこで、ガスバリア性、耐熱性、耐光性等に優れる無機系の材料を、封止層に含めることが検討されている。例えば、特許文献1には、パーハイドロポリシラザンの硬化物からなる封止層が提案されている。また、特許文献2及び3には、4官能のアルコキシシランの硬化物からなる封止層が提案されている。
特開2012−19062号公報 特許第3275308号公報 特開2003−197976号公報
しかし、前述の特許文献1のポリシラザンの硬化物は脆く、封止層が割れやすいという問題があった。また、膜が脆いため、封止層の厚みを十分に厚くすることが困難であり、十分なガスバリア性が得られ難かった。
一方、前述の特許文献2または3に記載の4官能のアルコキシシランの硬化物(ポリシロキサン)は、硬化時の収縮量が大きく、膜にクラックが生じやすかった。したがって、膜にクラックや歪みが多く、十分なガスバリア性が得られ難かった。
また封止層の材料を、溶融ガラスとすることも考えられる。しかしながら、溶融ガラスは、成膜温度が350℃以上と高く、発光素子にダメージを与えるおそれがあるため、現実的ではない。
ここで、無機材料を含む封止層のガスバリア性の向上や、封止層のクラック抑制のため、封止層に層状粘土鉱物を添加することが、本発明者らによって検討されている。しかし、一般的な層状粘土鉱物が封止層に含まれると、金属電極の腐食による変色や、封止層の変色によって、発光装置からの光取り出し効率が低下することがあった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、湿度や硫化水素ガスによる劣化が少なく、さらに長期間に亘って光取り出し効率が高い発光装置、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第一は、以下に示す発光装置に関する。
[1]電極を有する基板と、前記電極と電気的に接続された発光素子と、前記発光素子及び前記電極を被覆する封止層と、を有し、前記封止層は、ポリシロキサン、及び、層間陽イオンが典型非金属系化合物からなるイオンである層状粘土鉱物を含む、発光装置。
[2]前記封止層が単一の層からなる単層型封止層である、[1]に記載の発光装置。
[3]前記封止層が、前記ポリシロキサンを含む層、及び前記層状粘土鉱物を含む層を、少なくとも1層ずつ含む積層型封止層である、[1]に記載の発光装置。
[4]前記層間陽イオンが、アンモニウム系イオンである、[1]〜[3]のいずれかに記載の発光装置。
[5]前記層状粘土鉱物がスメクタイト族であり、かつ前記層間陽イオンがアンモニウム系イオンである、[1]〜[4]のいずれかに記載の発光装置。
[6]前記単層型封止層、または前記積層型封止層の前記ポリシロキサンを含む層に、ひも状化合物をさらに含み、かつ前記ひも状化合物の量が、前記封止層の全質量に対して0.5〜30質量%である、[2]〜[5]のいずれかに記載の発光装置。
[7]前記ひも状化合物が、アルミニウムケイ酸塩である、[6]に記載の発光装置。
[8]前記発光素子がLED素子である、[1]〜[7]のいずれかに記載の発光装置。
[9]前記発光素子及び前記封止層を被覆し、かつ蛍光体粒子及び樹脂を含む波長変換層をさらに有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の発光装置。
本発明の第二は、以下の封止層用組成物、及び発光装置の製造方法に関する。
[10]ポリシロキサン前駆体、及び、層間陽イオンが典型非金属化合物からなるイオンである層状粘土鉱物を含む、封止層用組成物。
[11]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の発光装置の製造方法であって、発光素子が電極と電気的に接続された基板を準備する工程と、前記電極及び前記発光素子を覆うように、[10]の封止層用組成物を塗布する工程と、を含む、発光装置の製造方法。
本発明によれば、湿度や硫化水素による劣化が少なく、さらに長期間にわたって高い光取り出し効率が維持可能な発光装置が得られる。
本発明の発光装置の一例を示す概略断面図である。 本発明の発光装置の他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
1.発光装置
本発明の発光装置には、図1に示されるように、電極11を有する基板1と、電極11と電気的に接続された発光素子2と、電極11及び発光素子2を被覆する封止層3と、が含まれ、封止層3には、ポリシロキサン及び層状粘土鉱物が含まれる。また、図2に示されるように、発光装置100には、必要に応じて、発光素子2や封止層3を被覆する波長変換層4が含まれる。
封止層3に含まれる層状粘土鉱物は後述するように、ケイ酸やアルミニウムの酸化物等からなる薄い層が積み重なった構造を有し、層どうしの間に陽イオンが含まれる。そして、一般的な層状粘土鉱物の層間陽イオンは金属イオンであるが、本発明の封止層3に含まれる層状粘土鉱物の層間陽イオンは、典型非金属系化合物からなるイオンである。
前述のように、一般的な層状粘土鉱物が封止層に含まれると、封止層が変色し、封止層の光の透過率が低くなることがあった。封止層の着色は、層間陽イオンである金属イオンが、発光装置の使用環境中の硫化成分によって硫化されたり、層間陽イオンがマイグレートして金属が析出することによって生じると推察される。
これに対し、本発明では、上記層間陽イオンが典型非金属系化合物からなるため、層間陽イオンが硫黄分と反応しても封止層が着色し難い。さらに、層間陽イオンがマイグレートしても析出し難い。そのため、長期間に亘って発光装置からの高い光取り出し効率が維持される。
また、層状粘土鉱物は、表面に水酸基を有する。当該水酸基はポリシロキサンの水酸基と緻密で強固に結合する。そのため、封止層3に層状粘土鉱物が含まれると、ガスや水分を透過させ難い性質を有する。したがって、封止層3に層状粘土鉱物含有層が含まれると、封止層3のガスバリア性や耐湿性が高まる、という効果も得られる。
ここで、本発明の発光装置100に含まれる発光素子2の種類は、特に制限されず、半導体レーザー素子や、LED素子等でありうる。以下、発光素子がLED素子である場合を例に、本発明の発光装置を説明するが、本発明の発光装置は発光素子がLED素子である装置に限定されない。
(1−1)基板
基板1は、LED素子2を支持するための部材である。基板1には、金属からなる電極11が形成されており、当該電極11は、基板1の外部に配置される電源(図示せず)から、LED素子2に電気を供給する機能を有する。また、電極11は、LED素子2が発する光を、発光装置100の光取り出し面側に反射する機能をさらに有してもよい。電極11の形状は特に制限されず、発光装置100の種類や用途等に合わせて適宜選択される。
基板1は、平板状であってもよく、図1に示されるようにキャビティ(凹部)を有してもよい。基板1がキャビティを有する場合、キャビティの形状は特に制限されない。例えば円錐台状であってもよく、角錐台状や、円柱状、角柱状等であってもよい。
基板1は、絶縁性及び耐熱性を有することが好ましく、セラミック樹脂や耐熱性樹脂からなることが好ましい。耐熱性樹脂の例には、液晶ポリマー、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ナイロン、エポキシ樹脂、硬質シリコーンレジン、ポリフタル酸アミド等が含まれる。
また、基板1には、無機フィラーが含まれていてもよい。無機フィラーは、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、グラスファイバー等でありうる。
電極11を有する基板1の作製方法は特に制限されず、一般的には、所望の形状のリードフレームと、樹脂とを一体成型して得られる。
(1−2)LED素子
LED素子2は、基板1に形成された電極11と電気的に接続されて、特定の波長の光を発する素子である。LED素子2が出射する光の波長は特に制限されない。LED素子2は、例えば青色光(420nm〜485nm程度の光)を発する素子であってもよく、紫外光を発する素子であってもよい。またさらに、緑色光や赤色光等を発する素子であってもよい。
LED素子2の構成は、特に制限されない。LED素子2が、青色光を発する素子である場合、LED素子2は、n−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、InGaN系化合物半導体層(発光層)と、p−GaN系化合物半導体層(クラッド層)と、透明電極層との積層体等でありうる。
また、LED素子2の形状は特に制限されず、例えば200〜300μm×200〜300μmの発光面を有するものでありうる。またLED素子2の高さは、通常50〜200μm程度である。LED素子2は、上面だけでなく、側面や底面からも光が取り出されるものであってもよい。なお、図1に示される発光装置100には、基板1に1つのLED素子2のみが配置されているが、基板1に複数のLED素子2が配置されてもよい。
LED素子2と前述の電極11との接続方法は特に制限されない。例えばLED素子2と電極11とが、金属ワイヤを介して接続されてもよい。また、図1に示されるように、LED素子2と電極11とが、突起電極12を介して接続されてもよい。LED素子2と電極11とが、金属ワイヤを介して接続される態様をワイヤボンディング型という。一方、LED素子2と電極11とが突起電極12を介して接続される態様をフリップチップボンディング型という。
フリップチップボンディング型の発光装置100では、LED素子2と基板1との隙間にアンダーフィル材(図示せず)が充填されてもよい。アンダーフィル材は、シリコーン樹脂や、エポキシ樹脂、後述の封止層3と同様の材料等からなる部材でありうる。
(1−3)封止層
封止層3は、前述のLED素子2や電極11を被覆する層であり、LED素子2や、電極11を発光装置外部の湿度や硫化水素ガスから保護する層である。封止層3の形成領域は特に制限されず、封止層3はLED素子2及び電極11のみを被覆する層であってもよい。また、LED素子2や電極11だけでなく、LED素子2が配置された側の基板1を全て被覆する層であってもよい。
封止層3は、単一の層から構成されてもよく(単層型封止層)、複数の層から構成されてもよい(積層型封止層)。封止層3には、前述のように、ポリシロキサン及び層状粘土鉱物が含まれ、封止層3が単層型封止層である場合、ポリシロキサン及び層状粘土化合物が同一の層内に含まれる。一方、封止層3が積層型封止層である場合、ポリシロキサン及び層状粘土鉱物は、同一の層に含まれてもよく、異なる層に含まれてもよい。
(1−3−1)封止層が単層型封止層である場合
単層型封止層には、ポリシロキサン及び層状粘土鉱物が含まれ、必要に応じてひも状化合物や、他の成分が含まれる。当該単層型封止層では、層状粘土化合物やひも状化合物が、ポリシロキサンによって結着されている。
単層型封止層の厚みは、特に制限されないが、0.1μm以上15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上4μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以上2μm以下である。単層型封止層の厚みが15μm以下であれば、単層型封止層の成膜時に歪みが生じ難く、単層型封止層にクラックが生じ難い。一方、単層型封止層の厚みが0.1μm以上であると、単層型封止層のガスバリア性が十分に高まりやすく、LED素子や電極等が、発光装置外部の湿度や硫化成分から十分に保護される。封止層3の厚みは、LED素子2の上面(発光面)に配置された封止層3の最大厚みとする。また、層の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定される。
・層状粘土鉱物
単層型封止層に含まれる層状粘土鉱物は、層状の結晶構造を有する粘土鉱物である。層状粘土鉱物は、一般的に1:1型粘土鉱物と、2:1型粘土鉱物に分類される。1:1型粘土鉱物は、ケイ酸からなる単位結晶層(4面体の層)と、アルミニウムからなる単位結晶層等(8面体の層)とが1:1で結合した構造を有する。一方、2:1型粘土鉱物は、ケイ酸からなる2つの単位結晶層(4面体の層)の間に、アルミニウム、酸化マグネシウム、または鉄を含む単位結晶層(8面体の層)等が挟み込まれて結合した構造を有する。
層状粘土鉱物では、同型置換(例えば、ケイ酸からなる層のケイ素がAlやFe(III)と置換されたり、アルミニウムからなる層の一部がSiやFeと置換されたり、酸化マグネシウムからなる層のMgがLiと置換)されること等によって、単位結晶層が負の電荷を帯びている。そして、当該負の電荷によって、層状粘土鉱物を構成する各層の間には、各種陽イオン(層間陽イオン)が吸着されている。
前述のように、一般的な層状粘土鉱物では、上記層間陽イオンが、Na、K、Ca2+、Mg2+、Al2+などの金属イオンからなるが、当該陽イオンは、他の陽イオンに交換可能であり、本発明の層状粘土化合物では、層間陽イオンが典型非金属系化合物からなる陽イオンに交換されている。層状粘土鉱物の陽イオンの交換容易性は、塩基置換能あるいは陽イオン交換能と称される。層状粘土鉱物の陽イオン交換能は、一般に、粘土鉱物の種類によって異なり、比表面積が大きい粘土鉱物ほど、陽イオン交換能は高くなる。
またさらに、粘土鉱物の陰電荷が結晶層表面に局在しているより、結晶層表面に広く分布している方が陽イオン交換能は高くなる。すなわち、2:1型粘土鉱物において2つのケイ酸からなる4面体の層に挟まれたAl−O、Mg−O等の8面体の層に、同型置換がある場合に陽イオン交換能は最も高くなる。2:1型粘土鉱物の8面体の層が同型置換された場合、陰電荷と交換性陽イオンとの距離が適度に離れ、静電相互作用が比較的弱くなる。したがって、当該粘土鉱物では、陽イオンを交換しやすい外圏錯体が形成される。
これに対し、2:1型粘土鉱物であっても、最外層であるケイ酸からなる4面体の層に同型置換がある場合には、陰電荷の発現が局地的である。そして、同型置換による陰電荷と交換性陽イオンとの距離が近いため、静電相互作用が強い。したがって、当該粘土鉱物では、陽イオンを交換し難い内圏錯体が形成されて、陽イオン交換能は低くなる。
一方、1:1型粘土鉱物では、ケイ酸からなる4面体の層及び8面体の層が、それぞれ最外層であるため、同型置換部位において陰電荷の発現が局地的となる。また、陰電荷と交換性陽イオンとの距離が近いため、静電相互作用が強い。したがって、陽イオン交換し難い内圏錯体が形成されて、陽イオン交換能は低くなる。
さらに、1:1型粘土鉱物および2:1型粘土鉱物ともに、粘土鉱物の周りに存在する溶液中のイオン濃度が高いほど陽イオン交換能は高まる。また、1:1型粘土鉱物の陽イオン交換能は、陽イオン交換時に層状粘土鉱物を分散させる分散媒のpHにも依存し、pHによって陰荷電の数が変化する。粘土鉱物の粒子破断面等では、結晶末端の酸素が、分散媒中のプロトンをひきつけて、水酸基(OH)になる。そして、分散媒のpHが高くなるほど粒子破断面や低結晶性粒子表面の上記水酸基が生じ易くなるため、イオン交換能が増大する。一方、2:1型粘土鉱物の陽イオン交換能は、前述の同型置換によって生じる層電荷に大きく依存し、分散媒のpHの影響は受け難い。
本発明の層状粘土鉱物は、前述の1:1型粘土鉱物、2:1型粘土鉱物のいずれでもありうるが、イオン交換能;つまり層間陽イオンが典型非金属系化合物からなる陽イオンである層状粘土鉱物が得られやすいとの観点から、陽イオン交換能の高い材料であることが好ましい。
具体的な1:1型層状粘土鉱物の例には、天然、または合成の鉱物が含まれ、カオリナイト、ハロサイト等が挙げられる。具体的な2:1型層状粘土鉱物の例には、天然、または合成の鉱物が含まれ、天然ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ハイデライト、モンモリロナイト、ノントライト、ベントナイト、ラポナイト等のスメクタイト族粘土鉱物;Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等の膨潤性雲母族粘土鉱物;白雲母、金雲母、フッ素金雲母、絹雲母、カリウム四ケイ素雲母等の非膨潤性雲母族粘土鉱物;およびバーミキュラライト等が挙げられる。
上記層状粘土鉱物は、特に2:1型層状粘土鉱物が好ましく、中でも8面体の層で同型置換があるスメクタイト族およびバーミキュライトが好ましく、特にスメクタイト族であることが好ましい。スメクタイト族は、他の層状粘土鉱物に対して単位結晶層の荷電の力が比較的弱く、陽イオン交換能が高い。また、スメクタイト族は、透明性が高く、単層型封止層が着色し難いとの観点からも好ましい。また特に、合成のスメクタイト族は、不純物が少なく、透明性に優れる。
一方、本発明の発光装置の封止層に含まれる層状粘土鉱物の層間陽イオンは、典型非金属系化合物からなる陽イオン、つまり金属元素を含まない陽イオンであれば特に制限されない。層間陽イオンの例には、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等が電離して生成する陽イオンが含まれる。
層間陽イオンは特に、イオン交換性の観点から、アンモニウム塩から生成する4級アンモニウムイオンであることが好ましい。4級アンモニウムイオンの例には、アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、イオンジメチル・ジオクタデシル・アンモニウムイオン、ジメチル・ベンジル・オクタデシル・アンモニウムイオン、トリオクチル・メチル・アンモニウムイオン等のアルキル基やベンジル基を有するイオン;メチル・ジエチル・ポリオキシプロピレン・アンモニウムイオン(ポリオキシプロピレンの重合度は約25)等の長鎖の置換基を有するイオン;ドデシルピリジニウムイオン等の環状アンモニウムイオン;が含まれる。
上記層状粘土鉱物は、単層型封止層の全質量に対して0.5〜50質量%含まれることが好ましく、0.5〜10質量%であることより好ましい。単層型封止層に含まれる層状粘土鉱物の量が0.5質量%以上であると、単層型封止層のガスバリア性が高まりやすい。一方、層状粘土鉱物の量が50質量%以下であると、相対的にポリシロキサンの量が多くなり、単層型封止層の強度が高まりやすい。
上記層間陽イオンが、典型非金属系化合物からなる陽イオンである層状粘土鉱物は、一般的な層状粘土鉱物の層間陽イオンをイオン交換して得られる。前述のように、層状粘土鉱物は、単位結晶層同士の結合が比較的弱い。したがって、水等に分散させると、コロイド状を呈するまで単位結晶層の間隔が広がってゾルが形成され、層間陽イオンが交換される。
層間陽イオンが典型非金属系化合物からなる陽イオンである層状粘土鉱物の具体的な調製方法の一例は、以下の通りである。層間陽イオンが金属陽イオンである層状粘土鉱物及び、アンモニウム塩等の陽イオン源とを、水に分散もしくは溶解させる。そして、当該混合液を十分に振とうさせてから、遠心分離によって上澄みを除去する。得られた層状粘土鉱物について、繰り返しこの工程を行う。これにより層間陽イオンが金属イオンから典型非金属系化合物からなる陽イオンに置換された層状粘土鉱物が得られる。なお、元来、層状粘土鉱物に含まれていた金属陽イオン(層間陽イオン)、及び陽イオン源に含まれていたカウンター陰イオンは、水と共に除去される。
・ポリシロキサン
単層型封止層に含まれるポリシロキサンは、シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマー(ポリシロキサン前駆体)を、公知の方法で重合した重合体である。シラン化合物のモノマーは、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、4官能シラン化合物でありうる。
ポリシロキサンは、例えば、3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体でありうる。ポリシロキサンが3官能シラン化合物と4官能シラン化合物との共重合体であると、架橋密度の高い膜が形成されて、単層型封止層の強度が高まる。また、電極11やLED素子2の表面に存在する水酸基と、ポリシロキサン中のケイ素とがシロキサン結合するため、これらの部材と単層型封止層との密着性が高まる。その一方で、ポリシロキサン中に3官能シラン化合物由来の有機基が残存するため、ポリシロキサンの架橋密度が過度に高まらず、単層型封止層にクラックが生じ難い。ポリシロキサンが、3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体である場合、3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物の重合比率は、3:7〜7:3であることが好ましく、4:6〜6:4であることがより好ましい。
また、ポリシロキサンは、2官能シラン化合物及び3官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体でもありうる。2官能シラン化合物及び3官能シラン化合物の重合比率は1:9〜4:6であることが好ましく、1:9〜3:7であることが好ましい。重合比率が上記範囲であると、LED素子2や電極11の表面に存在する水酸基と、ポリシロキサン中のケイ素とが、十分にシロキサン結合する。その結果、単層型封止層とこれらの部材との密着性が十分に高まる。また、重合比率が上記範囲であると、単層型封止層の耐湿性やガスバリア性が高まりやすい。
また、ポリシロキサンは、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物のモノマーまたはそのオリゴマーの重合体でもありうる。2官能シラン化合物の重合比率は、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物の総量(モル)を100とした場合に、3〜30(モル)であることが好ましい。3官能シラン化合物の重合比率は、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物の総量(モル)を100とした場合に、40〜80(モル)であることが好ましい。4官能シラン化合物の重合比率は、2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物の総量(モル)を100とした場合に、10〜30(モル)であることが好ましい。
ここで、ポリシロキサンは、単層型封止層の全質量に対して、50質量%以上95質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは70質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上85質量%以下である。単層型封止層にポリシロキサンが50質量%以上95質量%含まれると、単層型封止層のガスバリア性が高まりやすく、単層型封止層の強度も高まりやすい。
ポリシロキサン前駆体でありうる2官能シラン化合物の例には、下記一般式(II)で表される化合物が含まれる。
Si(OR (II)
上記一般式(II)中、Rはそれぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。また、Rは水素原子またはアルキル基を表す。
2官能のシラン化合物の具体例には、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジプロポキシシラン、ジペンチルオキシシラン、ジフェニルオキシシラン、メトキシエトキシシラン、メトキシプロポキシシラン、メトキシペンチルオキシシラン、メトキシフェニルオキシシラン、エトキシプロポキシシラン、エトキシペンチルオキシシラン、エトキシフェニルオキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルメトキシエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルメトキシプロポキシシラン、メチルメトキシペンチルオキシシラン、メチルメトキシフェニルオキシシラン、エチルジプロポキシシラン、エチルメトキシプロポキシシラン、エチルジペンチルオキシシラン、エチルジフェニルオキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルメトキシエトキシシラン、プロピルエトキシプロポキシシラン、プロピルジエトキシシラン、プロピルジペンチルオキシシラン、プロピルジフェニルオキシシラン、ブチルジメトキシシラン、ブチルメトキシエトキシシラン、ブチルジエトキシシラン、ブチルエトキシプロポキシシシラン、ブチルジプロポキシシラン、ブチルメチルジペンチルオキシシラン、ブチルメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジペンチルオキシシラン、ジメチルジフェニルオキシシラン、ジメチルエトキシプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシプロポキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジペンチルオキシシラン、ジプロピルジフェニルオキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルメトキシペンチルオキシシラン、ジブチルメトキシフェニルオキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジペンチルオキシシラン、メチルエチルジフェニルオキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、メチルブチルジメトキシシラン、メチルブチルジエトキシシラン、メチルブチルジプロポキシシラン、メチルエチルエトキシプロポキシシラン、エチルプロピルジメトキシシラン、エチルプロピルメトキシエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルメトキシエトキシシラン、プロピルブチルジメトキシシラン、プロピルブチルジエトキシシラン、ジブチルメトキシエトキシシラン、ジブチルメトキシプロポキシシラン、ジブチルエトキシプロポキシシラン等が含まれる。中でもジメトキシシラン、ジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシランが好ましい。
ポリシロキサン前駆体でありうる3官能シラン化合物の例には、下記一般式(III)で表される化合物が含まれる。
Si(OR (III)
上記一般式中、Rは、それぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。また、Rは、水素原子またはアルキル基を表す。
3官能シラン化合物の具体例には、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリペンチルオキシシラン、トリフェニルオキシシラン、ジメトキシモノエトキシシラン、ジエトキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシルモノメトキシシラン、ジペンチルオキシモノエトキシシラン、ジペンチルオキシモノプロポキシシラン、ジフェニルオキシルモノメトキシシラン、ジフェニルオキシモノエトキシシラン、ジフェニルオキシモノプロポキシシラン、メトキシエトキシプロポキシシラン、モノプロポキシジメトキシシラン、モノプロポキシジエトキシシラン、モノブトキシジメトキシシラン、モノペンチルオキシジエトキシシラン、モノフェニルオキシジエトキシシラン等のモノヒドロシラン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジエトキシシラン、メチルモノメトキシジプロポキシシラン、メチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、メチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、メチルメトキシエトキシプロポキシシラン、メチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリペンチルオキシシラン、エチルトリフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシジエトキシシラン、エチルモノメトキシジプロポキシシラン、エチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、エチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、エチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノエチルシラン化合物;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリペンチルオキシシラン、プロピルトリフェニルオキシシラン、プロピルモノメトキシジエトキシシラン、プロピルモノメトキシジプロポキシシラン、プロピルモノメトキシジペンチルオキシシラン、プロピルモノメトキシジフェニルオキシシラン、プロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、プロピルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノプロピルシラン化合物;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリペンチルオキシシラン、ブチルトリフェニルオキシシラン、ブチルモノメトキシジエトキシシラン、ブチルモノメトキシジプロポキシシラン、ブチルモノメトキシジペンチルオキシシラン、ブチルモノメトキシジフェニルオキシシラン、ブチルメトキシエトキシプロポキシシラン、ブチルモノメトキシモノエトキシモノブトキシシラン等のモノブチルシラン化合物が含まれる。これらの中でも、好ましくはRがメチル基である化合物であり、メチルトリメトキシシラン及びメチルトリエトキシシランさらに好ましく、メチルトリメトキシシランが特に好ましい。
ポリシロキサン前駆体でありうる4官能シラン化合物の例には、下記一般式(IV)で表される化合物が含まれる。
Si(OR …(IV)
上記一般式(IV)中、Rはそれぞれ独立にアルキル基またはフェニル基を表し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基を表す。
4官能シラン化合物の具体例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランテトラブトキシシラン、テトラペンチルオキシシラン、テトラフェニルオキシシラン、トリメトキシモノエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシトリブトキシシラン、モノメトキシトリペンチルオキシシラン、モノメトキシトリフェニルオキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン、トリプロポキシモノメトキシシラン、トリメトキシモノブトキシシラン、ジメトキシジブトキシシラン、トリエトキシモノプロポキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、トリブトキシモノプロポキシシラン、ジメトキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジエトキシモノプロポキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジプロポキシモノメトキシモノブトキシシラン、ジプロポキシモノエトキシモノブトキシシラン、ジブトキシモノメトキシモノエトキシシラン、ジブトキシモノエトキシモノプロポキシシラン、モノメトキシモノエトキシモノプロポキシモノブトキシシランなどのアルコキシシラン、またはアリールオキシシラン等が含まれる。これらの中でもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
また、ポリシロキサン前駆体でありうるオリゴマーは、上記2官能シラン化合物、3官能シラン化合物、及び4官能シラン化合物を所望の比率で混合し、酸触媒、水、溶媒の存在下で反応させて得られる。シラン化合物のオリゴマーは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)で測定される重量平均分子量が500〜20000であることが好ましく、より好ましくは1000〜10000であり、さらに好ましくは1500〜6000である。オリゴマーの重合度が高すぎると、単層型封止層を得るための組成物の粘度が過度に高まるおそれがある。シラン化合物のオリゴマーの分子量は、反応時間、温度、水の濃度等により調整される。
・ひも状化合物
単層型封止層には、ひも状化合物が含まれてもよい。ひも状化合物とは、平均外径をa、平均長さをbとしたとき、aとbとの比率(b/a)が10以上である化合物をいう。aとbとの比率(b/a)は、1000以下であることが好ましい。上記比率b/aが10以上であると、単層型封止層の強度が高まりやすい。上記ひも状化合物の平均外径及び平均長さは、透過型電子顕微鏡(例えばJEOL社製JEM−2000FX)で測定される。
また、ひも状化合物の平均長さは20〜3000nmであることが好ましく、より好ましくは20〜1500nmである。ひも状化合物の平均長さが2000nm以下であると、得られる封止層の表面平滑性が高まりやすい。
さらに、ひも状化合物は、金属イオンのトラップ等が可能な、中空管形状の粒子であることが好ましく、その内径、つまり中空部分の直径は、1〜4nmであることが好ましい。中空部分の直径が1nm以上であると、金属イオンがひも状化合物内に入り込みやすくなり、発光装置の使用時に金属電極から発生する金属イオン等がトラップされやすくなる。その結果、金属イオンのマイグレーション(析出)が抑制されて、発光装置の光取り出し効率の低下が抑制される。
上記ひも状化合物は、膨潤性粒子であることが好ましい。ひも状化合物が膨潤性粒子であると、単層型封止層を成膜するための組成物の粘度が高まりやすく、単層型封止層を成膜するための組成物の塗布性が高まる。
膨潤性粒子であるひも状化合物は、アルミニウムケイ酸塩化合物であることが特に好ましい。アルミニウムケイ酸塩とは、主な構成元素がケイ素、アルミニウム、酸素、及び水素である化合物であり、多数のSi−O−Al結合を含む和水ケイ酸アルミニウムである。典型的なアルミニウムケイ酸塩化合物の構造式は、SiO・Al・2HO、もしくは(OH)AlSiOHで表される。
ひも状化合物は、特にイモゴライトであることが好ましい。イモゴライトは、平均外径が2.0〜2.5nm、平均内径が1.0〜1.5nm、平均長さが5〜6μmの粒子である。ひも状化合物がイモゴライトであると、金属イオンのトラップ性が非常に高まりやすい。
ひも状化合物は、封止層の全質量に対して0.5〜30質量%含まれることが好ましく、より好ましくは5.0〜15.0質量%である。ひも状化合物が、封止層に0.5質量%以上含まれると、金属イオン等がトラップされやすくなり、金属イオンのトラップ性が十分に高まる。さらに、単層型封止層を成膜する際の、膜の収縮も抑制される。
・その他の成分
単層型封止層には、上記ポリシロキサン、層状粘土鉱物、及びひも状化合物以外に、必要に応じて他の成分が含まれてもよい。他の成分は、本発明の効果及び目的を損なわない範囲で含まれる。他の成分の例には、金属アルコキシド(シラン化合物を除く)や金属キレートの重合物、無機酸化物微粒子、環状エーテル化合物等が含まれる。
(1−3−2)封止層が積層型封止層である場合
積層型封止層には、複数の層が含まれ、いずれかの層にポリシロキサン及び層状粘土鉱物が含まれる。積層型封止層において、ポリシロキサン及び層状粘土鉱物は同一の層に含まれてもよいが、ポリシロキサン及び層状粘土鉱物がそれぞれ異なる層に含まれることが好ましい。つまり、積層型封止層が、ポリシロキサンを含むポリシロキサン含有層と、層状粘土鉱物を含む層状粘土鉱物含有層との積層体であることが好ましく、これらは隣接して形成されることが好ましい。前述のように、層状粘土鉱物には水酸基が含まれ、当該水酸基がポリシロキサンの水酸基と緻密で強固に結合する。そのため、層状粘土鉱物含有層とポリシロキサン含有層とが隣接して形成されると、これらの界面におけるガスバリア性及び耐湿性が、層状粘土鉱物含有層単体、またはポリシロキサン含有層単体のガスバリア性や耐湿性より非常に高くなる。
積層型封止層には、必要に応じて、ポリシロキサン含有層及び層状粘土鉱物含有層がそれぞれ2層以上含まれてもよい。また、積層型封止層には、ポリシロキサン含有層及び層状粘土鉱物含有層以外の層が含まれてもよい。
積層型封止層がポリシロキサン含有層及び層状粘土鉱物含有層の積層体である場合、これらの積層順序は特に制限されない。例えば、LED素子及び電極を覆うように層状粘土鉱物含有層が形成され、当該層状粘土鉱物含有層上にポリシロキサン含有層が形成されていてもよい。また、LED素子及び電極を覆うようにポリシロキサン含有層が形成され、さらにそのポリシロキサン含有層を覆うように層状粘土鉱物含有層が形成されてもよい。
積層型封止層の総厚みは、特に制限されないが、0.1μm以上15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上4μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以上2μm以下である。積層型封止層の厚みが0.1μm以上であると、積層型封止層のガスバリア性が十分に高まりやすく、LED素子2や電極11等が、発光装置100外部の湿度やガスから十分に保護される。積層型封止層の厚みは、LED素子2の上面(発光面)に配置された積層型封止層の最大厚みとする。また、層の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定される。
・ポリシロキサン含有層
ポリシロキサン含有層には、ポリシロキサンが含まれる。ポリシロキサン含有層は、ポリシロキサンのみからなる層でもありうるが、ポリシロキサン含有層にはひも状化合物が含まれることが好ましい。ポリシロキサン含有層に含まれるポリシロキサン及びひも状化合物は、前述の単層型封止層に含まれるポリシロキサン及びひも状化合物と同様でありうる。
ひも状化合物は、封止層の全質量に対して0.5〜30質量%含まれることが好ましく、より好ましくは5.0〜15.0質量%である。ひも状化合物が、封止層に0.5質量%以上含まれると、金属イオン等がトラップされやすくなり、金属イオンのトラップ性が十分に高まる。さらに、ポリシロキサン含有層成膜時の膜の収縮も抑制される。
ポリシロキサン含有層の厚みは、0.2〜15.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.8〜2.0μmである。ポリシロキサン含有層の厚みが、0.2μm以上であると、積層型封止層のガス透過性や水分透過性が低くなりやすく、電極11やLED素子2が劣化し難くなる。一方で、ポリシロキサン含有層の厚みが15.0μm以下であると、ポリシロキサン含有層にクラックが生じ難い。ポリシロキサン含有層の厚みは、LED素子2の上面(発光面)に配置されたポリシロキサン含有層の最大厚みとする。また、層の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定される。
・層状粘土鉱物含有層
層状粘土鉱物含有層には、層間陽イオンが典型非金属系化合物からなる陽イオンである層状粘土鉱物が含まれる。層状粘土鉱物含有層には、必要に応じて他の成分が含まれてもよい。層状粘土鉱物含有層に含まれる層状粘土鉱物は、前述の単層型封止層に含まれる層状粘土鉱物と同様でありうる。
また、層状粘土鉱物含有層の厚みは、0.05〜10.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0μmである。層状粘土鉱物含有層の厚みが、0.05μm以上であると、積層型封止層のガス透過性や水分透過性が低くなりやすく、電極11やLED素子2が劣化し難くなる。層状粘土鉱物含有層の厚みは、LED素子2の上面(発光面)に配置された層状粘土鉱物含有層の最大厚みとする。また、層の厚みは、レーザホロゲージを用いて測定される。
(1−4)波長変換層
本発明の発光装置には、波長変換層4が含まれてもよい。波長変換層4は、LED素子2が出射した特定波長の光を、他の特定波長の光に変換する層である。波長変換層4は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の中に蛍光体粒子が分散された層でありうる。
波長変換層4に含まれる蛍光体粒子は、LED素子2から出射する光により励起されて、LED素子2からの出射光と異なる波長の蛍光を発するものであればよい。例えば、黄色の蛍光を発する蛍光体粒子の例には、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体等がある。YAG蛍光体は、青色LED素子から出射される青色光(波長420nm〜485nm)を受けて、黄色の蛍光(波長550nm〜650nm)を発する。
蛍光体粒子は、例えば1)所定の組成を有する混合原料に、フラックス(フッ化アンモニウム等のフッ化物)を適量混合して加圧し、これを成形体とする。2)得られた成形体を坩堝に詰め、空気中で1350〜1450℃の温度範囲で、2〜5時間焼成し、焼結体とすることで得られる。
所定の組成を有する混合原料は、Y、Gd、Ce、Sm、Al、La、Ga等の酸化物、または高温で容易に酸化物となる化合物を、化学両論比で十分に混合して得られる。また、所定の組成を有する混合原料は、1)Y、Gd、Ce、Smの希土類元素を化学両論比で酸に溶解した溶液と、シュウ酸とを混合し、共沈酸化物を得る。2)この共沈酸化物と、酸化アルミニウム、または酸化ガリウムとを混合しても得られる。
蛍光体の種類は、YAG蛍光体に限定されるものではなく、例えばCeを含まない非ガーネット系蛍光体等、他の蛍光体であってもよい。
蛍光体粒子の平均粒径は1μm〜50μmであることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。蛍光体粒子の粒径が大きいほど発光効率(波長変換効率)が高くなる。一方、蛍光体粒子の粒径が大きすぎると、蛍光体粒子と樹脂との界面に生じる隙間が大きくなる。これにより、波長変換層4の強度が低下しやすい。蛍光体粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布計で測定されるD50の値をいう。レーザー回折式粒度分布測定装置の例には、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置等がある。波長変換層4中に含まれる蛍光体粒子の量は、波長変換層4の全質量に対して、通常5〜15質量%である。
波長変換層4の厚みは25μm〜5mm程度であることが好ましい。波長変換層4の厚みが厚すぎると、蛍光体粒子の濃度が過剰に低くなり、蛍光体粒子が均一に分散されない場合がある。波長変換層4の厚みは、LED素子2の発光面上に成膜された波長変換層4の最大厚みを意味する。波長変換層4の厚みは、レーザホロゲージで測定することができる。
2.発光装置の製造方法
前述の発光装置の製造方法は、以下の2つ工程を有する方法でありうる。
(1)LED素子を実装した基板を準備する工程
(2)LED素子及び電極を被覆するように、封止層用組成物を塗布し、封止層を形成する工程
発光装置の製造方法には、必要に応じて(3)封止層上に、蛍光体粒子を含む波長変換層を形成する工程を有してもよい。
(2−1)LED素子実装工程
LED素子実装工程では、LED素子と電極とが接続された基板を準備する。例えば前述の電極を有する基板を準備し、当該基板にLED素子を固定し、基板の電極と、LED素子のカソード電極及びアノード電極とを接続する工程でもありうる。LED素子と電極との接続方法や、LED素子を基板に固定する方法は特に制限されず、従来公知の方法と同様の方法でありうる。
(2−2)封止層形成工程
封止層形成工程は、封止層が単層型封止層である場合には、前述のポリシロキサン前駆体、層状粘土鉱物、及び溶媒を含む単層型封止層用組成物を、電極、及びLED素子を覆うように塗布し、これを加熱硬化させて単層型封止層を成膜する工程でありうる。
一方、前述の封止層が前述のポリシロキサン含有層及び層状粘土鉱物含有総を含む積層型封止層である場合、封止層形成工程には、(i)ポリシロキサン前駆体、層状粘土鉱物、及び溶媒を含む単層型封止層用組成物を塗布し、これを加熱硬化させてポリシロキサン含有層を成膜するステップと、(ii)層状粘土鉱物と溶媒とを含む層状粘土鉱物含有層用組成物を塗布し、これを加熱して溶媒を除去することにより、層状粘土鉱物含有層を成膜するステップとが含まれる。
・封止層が単層型封止層である場合
封止層が単層型封止層である場合、封止層形成工程は、前述のポリシロキサン前駆体、層状粘土鉱物、及び溶媒を含む単層型封止層用組成物を、電極、及びLED素子を覆うように塗布し、これを加熱硬化させる工程でありうる。
単層型封止層用組成物に含まれるポリシロキサン前駆体は、前述のポリシロキサン調製用のシラン化合物またはそのオリゴマーでありうる。また、単層型封止層用組成物に含まれる溶媒は、水、または各種有機溶媒でありうる。有機溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1価の脂肪族アルコールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の2価以上の多価アルコールが含まれる。
単層型封止層用組成物には、ポリシロキサン前駆体を加水分解するための水が含まれることが好ましい。単層型封止層用組成物に含まれる水の量は、単層型封止層用組成物全量に対して、3〜15質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量%である。また、前述のポリシロキサン前駆体100質量部に対して、10〜120質量部であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量部である。水の量が過剰に少ないと、単層型封止層の成膜時にポリシロキサン前駆体が十分に加水分解されず、単層型封止層の耐湿熱性等が十分に高まらないことがある。一方、水の量が過剰であると、単層型封止層用組成物の保存中に加水分解等が生じ、ゲル化する可能性がある。
また、単層型封止層用組成物には、沸点が150℃以上の有機溶媒が含まれることも好ましい。沸点が150℃以上の有機溶媒が含まれると、単層型封止層用組成物の保存安定性が高まり、単層型封止層用組成物が塗布装置から安定して塗布される。一方、溶媒の沸点は250℃以下であることが好ましい。単層型封止層用組成物の乾燥性が高まる。
単層型封止層用組成物の塗布方法は特に制限されず、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布など、公知の塗布方法でありうる。特に、スプレー塗布は薄い塗布膜を成膜しやすく、薄い単層型封止層が形成されるため好ましい。
また、単層型封止層用組成物を加熱硬化させる際の温度は、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは150〜300℃である。加熱温度が100℃未満であると、ポリシロキサン前駆体が脱水縮合際に生じる水や、単層型封止層用組成物に含まれる溶媒等が十分に除去されず、単層型封止層の耐光性等が低下する可能性がある。
・封止層が積層型封止層である場合
封止層が積層型封止層である場合、封止層形成工程には、(i)ポリシロキサン前駆体、層状粘土鉱物、及び溶媒を含むポリシロキサン含有層用組成物を塗布し、これを加熱硬化させてポリシロキサン含有層を成膜するステップと、(ii)層状粘土鉱物と溶媒とを含む層状粘土鉱物含有層用組成物を塗布し、これを加熱して溶媒を除去することにより、層状粘土鉱物含有層を成膜するステップとが含まれる。これらのステップは、いずれを先に行ってもよい。また、これらのステップは、必要に応じて繰り返し行ってもよい。
・・ポリシロキサン含有層を成膜するステップ
ポリシロキサン含有層を成膜するステップは、ポリシロキサン前駆体、ひも状化合物、溶媒等を含むポリシロキサン含有層用組成物を、電極及びLED素子を覆うように塗布し、これを加熱硬化させるステップでありうる。ポリシロキサン含有層用組成物に含まれるポリシロキサン前駆体、ひも状化合物、及び溶媒は、前述の単層型封止層用組成物に含まれる各成分と同様でありうる。
ポリシロキサン含有層用組成物の塗布方法は特に制限されず、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布など、公知の塗布方法でありうる。特に、スプレー塗布は薄い塗布膜を成膜しやすく、厚みの薄いポリシロキサン含有層が形成されるために好ましい。
また、ポリシロキサン含有層用組成物を加熱硬化させる際の温度は、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは150〜300℃である。加熱温度が100℃未満であると、ポリシロキサン前駆体が脱水縮合際に生じる水や、ポリシロキサン含有層用組成物に含まれる溶媒等が十分に除去されず、積層型封止層の耐光性等が低下する可能性がある。
・・層状粘土鉱物含有層を成膜するステップ
層状粘土鉱物含有層を成膜するステップは、前述の層状粘土鉱物と溶媒とを含む層状粘土鉱物含有層用組成物を、電極、及びLED素子を覆うように塗布し、これを加熱して溶媒を除去するステップでありうる。層状粘土鉱物含有層用組成物に含まれる層状粘土鉱物含有層用組成物に含まれる層状粘土鉱物及び溶媒は、前述の単層型封止層用組成物に含まれる各成分と同様でありうる。
層状粘土鉱物含有層用組成物の塗布方法は特に制限されず、ブレード塗布、スピンコート塗布、ディスペンサー塗布、スプレー塗布など、公知の塗布方法でありうる。特に、スプレー塗布は薄い塗布膜を成膜しやすく、厚みの薄い層状粘土鉱物含有層が形成されるため好ましい。
また、層状粘土鉱物含有層用組成物を加熱硬化させる際の温度は、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは150〜300℃である。加熱温度が100℃未満であると、層状粘土鉱物含有層用組成物に含まれる溶媒等が十分に除去されず、積層型封止層の耐光性等が低下する可能性がある。
(2−3)波長変換層形成工程
波長変換層形成工程は、蛍光体粒子及び樹脂またはその前駆体を含む波長変換層用組成物を、前述の封止層上に塗布し、これを硬化させる工程でありうる。波長変換層用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれる。波長変換層用組成物に含まれる溶媒は、前述の樹脂またはその前駆体を溶解または分散させることが可能なものであれば、特に制限されない。溶媒はトルエン、キシレンなどの炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルアセテートなどのエステル類等でありうる。
また、波長変換層用組成物の混合は、例えば、撹拌ミル、ブレード混練撹拌装置、薄膜旋回型分散機等で行うことができる。撹拌条件を調整することで、波長変換層用組成物における蛍光体粒子の沈降が抑制される。
波長変換層用組成物の塗布方法は適宜選択され、例えばディスペンサー塗布等でありうる。また、波長変換層用組成物の塗布後、これを硬化させる。波長変換層用組成物の硬化方法や硬化条件は、樹脂の種類により適宜選択される。硬化方法の一例として、加熱硬化が挙げられる。
3.発光装置の用途
前述の発光装置には、さらに他の光学部品(レンズなど)が設けられて各種光学部材とされてもよい。本発明の発光装置は、耐湿性や、硫化水素ガス耐性にも優れることから、車輌用の照明や、屋外で使用する照明用途等に好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はこれによって何ら制限を受けない。
[ポリシロキサン含有層用組成物aの作製]
テトラメトキシシラン26.5g、メチルトリメトキシシラン10.5g、メタノール40.0g、及びアセトン40.0gを混合し、撹拌した。そこに、水54.6g及び60%硝酸4.7μLを加え、さらに3時間撹拌した。その後、26℃で2日間熟成させた。得られた組成物をポリシロキサン前駆体の固形分値が10質量%となるようにメタノールで希釈し、ポリシロキサン前駆体を含むポリシロキサン含有層用組成物aを作製した。
[層間陽イオンがアンモニウムイオンであるスメクタイトの作製]
スメクタイト(クニミネ工業社製:スメクトンSA)1gと1モル/Lの塩化アンモニウム水溶液9gを混合し、振とう機により30分間振とうした。続いて、遠心分離機により5000rpmで10分間処理し、生じた上澄みを除去した。続いて、1モル/Lの塩化アンモニウム水溶液9gの混合、振とう機による30分間の振とう、遠心分離機による5000rpmでの10分間の処理、上澄みの除去、という操作をさらに4回繰り返し、ゲルを得た。続いて、水10gを当該ゲルに添加した。そして振とう機による30分間の振とう、遠心分離機による5000rpmでの10分間の処理、及び上澄みの除去、という操作を3回繰り返し、ゲルを洗浄した。前記ゲルを真空乾燥することにより、層間陽イオンがアンモニウムイオンであるスメクタイトの粉末を得た。
[層間陽イオンがアンモニウムイオンである雲母の作製]
雲母(トピー工業社製:PDM−5B)1gと1モル/Lの塩化アンモニウム水溶液9gを混合し、振とう機により30分間振とうした。続いて、遠心分離機により5000rpmで10分間処理し、生じた上澄みを除去した。続いて、1モル/Lの塩化アンモニウム水溶液9gの混合、振とう機による30分間の振とう、遠心分離機による5000rpmでの10分間の処理、生じた上澄みの除去という操作をさらに4回繰り返し、ゲルを得た。続いて、水10gをゲルに添加した。そして、振とう機による30分間の振とう、遠心分離機による5000rpmでの10分間の処理、生じた上澄みの除去、という操作を3回繰り返し、ゲルを洗浄した。前記ゲルを真空乾燥することにより、層間陽イオンがアンモニウムイオンである雲母の粉末を得た。
[ひも状アルミニウムケイ酸塩の作製]
オルトケイ酸ナトリウムをイオン交換水に溶解し、3.0mMオルトケイ酸ナトリウム水溶液を10L調製した。調製したオルトケイ酸ナトリウム水溶液を、カラムに充填した陽イオン交換樹脂に流入して、3.0mMのオルトケイ酸水溶液を得た。カラムの流速は、得られるオルトケイ酸水溶液の電気伝導率が10μS/cmになるように設定した。なお、オルトケイ酸水溶液の電気伝導率は、電気伝導率計ES−51(堀場製作所社製)により、25℃で測定した。
次に、得られた3.0mMのオルトケイ酸水溶液を5L、30mMの硝酸アルミニウム水溶液を1L、28mMの尿素水溶液を1L、3.8mMのNaOH水溶液を1L、イオン交換水2Lを混合して、SiとAlのモル濃度が1:2の比になるように混合液を調製した。調製した混合液を充分に撹拌した後、この混合液をオートクレーブにて100℃で80時間加熱した。
混合液が室温に戻った後、5MのNaCl水溶液を混合液に対して1/10体積量加えてゲル化させ、遠心分離することで透明なひも状アルミニウムケイ酸塩のゲルを得た。得られたゲルに含まれる塩であるNaClを透析膜により除去し、ひも状アルミニウムケイ酸塩の水分散液を得た。
得られたゲルにメタノールを添加し、撹拌、遠心分離を行い、上澄みを取り除いた。さらに、再度メタノールを添加し、分散させた後に、遠心分離を行った。上記の操作を適当回数行い、ゲルの水相をメタノール相に置換し、ひも状アルミニウムケイ酸塩のメタノール分散液を得た。
得られたひも状アルミニウムケイ酸塩の溶媒分散液をロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度10質量%のひも状アルミニウムケイ酸塩のメタノール分散液を得た。
[実施例1]
ポリシロキサン含有層用組成物a 10gと、層間陽イオンがアンモニウムイオンであるスメクタイト 0.1gとを混合し、単層型封止層用組成物Aを調製した。そして50μm厚のPETフィルムに当該単層型封止層用組成物Aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて単層型封止層を得た。
[実施例2]
層間陽イオンがアンモニウムイオンであるスメクタイト1gと、水9gとを混合し、層状粘土鉱物含有層用組成物aを準備した。50μm厚のPETフィルムにポリシロキサン含有層用組成物aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、ポリシロキサン含有層を得た。当該ポリシロキサン含有層上に、層状粘土鉱物含有層用組成物aをさらにスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層を得た。
[実施例3]
50μm厚のPETフィルムに実施例2と同様の層状粘土鉱物含有層用組成物aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層を得た。当該層状粘土鉱物含有層上に、ポリシロキサン含有層用組成物aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、ポリシロキサン含有層を得た。
[実施例4]
ポリシロキサン含有層用組成物a 9gと、層間陽イオンがアンモニウムイオンである雲母0.1gとを混合し、単層型封止層用組成物Bを調製した。
50μm厚のPETフィルムに当該単層型封止層用組成物Bをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて単層型封止層を得た。
[実施例5]
層間陽イオンがアンモニウムイオンである雲母1gと、水9gとを混合し、層状粘土鉱物含有層用組成物bを準備した。50μm厚のPETフィルムにポリシロキサン含有層用組成物aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、ポリシロキサン含有層を得た。当該ポリシロキサン含有層上に、層状粘土鉱物含有層用組成物bをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層を得た。
[実施例6]
50μm厚のPETフィルムに実施例5と同様の層状粘土鉱物含有層用組成物bをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層を得た。当該層状粘土鉱物含有層上に、ポリシロキサン含有層用組成物aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、ポリシロキサン含有層を得た。
[比較例1]
ポリシロキサン含有層用組成物aを準備した。50μm厚のPETフィルムに、ポリシロキサン含有層用組成物aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて単層型封止層を得た。
[比較例2]
層間陽イオンがアンモニウムイオンであるスメクタイト1gと、水(溶媒)9gとを混合し、層状粘土鉱物含有層用組成物aを準備した。50μm厚のPETフィルムに層状粘土鉱物含有層用組成物aをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層(単層型封止層)を得た。
[比較例3]
層間陽イオンがアンモニウムイオンである雲母1gと、水(溶媒)9gとを混合し、層状粘土鉱物含有層用組成物bを準備した。50μm厚のPETフィルムに層状粘土鉱物含有層用組成物bをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層(単層型封止層)を得た。
[比較例4]
層間陽イオンがナトリウムイオンであるスメクタイト(クニミネ工業社製:スメクトンSA)1gと、水(溶媒)9gとを混合し、層状粘土鉱物含有層用組成物cを準備した。50μm厚のPETフィルムに層状粘土鉱物含有層用組成物cをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層(単層型封止層)を得た。
[比較例5]
層間陽イオンがナトリウムイオンである雲母(トピー工業社製:PDM−5B)1gと、水(溶媒)9gとを混合し、層状粘土鉱物含有層用組成物dを準備した。50μm厚のPETフィルムに層状粘土鉱物含有層用組成物dをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層(単層型封止層)を得た。
[比較例6]
ポリシロキサン含有層用組成物a 10gと、層間陽イオンがナトリウムイオンであるスメクタイト 0.1gとを混合し、単層型封止層用組成物Cを調製した。そして50μm厚のPETフィルムに当該単層型封止層用組成物Cをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて単層型封止層を得た。
[比較例7]
ポリシロキサン含有層用組成物a 10gと、層間陽イオンがナトリウムイオンである雲母 0.1gとを混合し、単層型封止層用組成物Dを調製した。そして50μm厚のPETフィルムに当該単層型封止層用組成物Dをスプレー塗布し、110℃で5分間加熱・硬化させて単層型封止層を得た。
[比較例8]
実施例1と同様のPETフィルム(封止層を成膜せず)を比較例8とした。
実施例1〜6及び比較例1〜8において、単層型封止層または積層型封止層の厚みは、表1に記載の厚みとした。例えば、実施例1では、単層型封止層の厚みを2μmとした。また、実施例2の積層型封止層においては、ポリシロキサン含有層の厚みを2μmとし、層状粘土鉱物含有層の厚みを2μmとした。
[評価]
各実施例及び比較例で作製した封止層の酸素ガス透過性、硫化ガス変色耐性、及び各封止層形成用の組成物の沈降安定性を評価し、さらにこれらを総合的に評価した。評価結果を表1に示す。
・酸素ガス透過性
各実施例及び比較例で作製した試料の酸素ガス透過度を、温度30℃、湿度70%Rhの雰囲気下で、測定した。酸素ガス透過度は、MOCONOXTRAN10/50A酸素ガス透過度測定装置(モダンコントロール社製)にて測定し、以下のように評価した。
○:酸素ガス透過度が2cc/m・day・atm未満である
△:酸素ガス透過度が2cc/m・day・atm以上10cc/m・day・atm未満である
×:酸素ガス透過度が10cc/m・day・atm以上である
・硫化ガス変色耐性の評価
各実施例及び比較例で作製した試料を、硫黄粉末10gを入れた密閉ガラス容器内で10時間保存した。このとき、密閉ガラス容器内部の温度は、80℃とした。当該試料の処理前と処理後の光の透過率を測定した。そして、処理前の光の平均透過率に対する、処理後の光の平均透過率の低下率((処理前平均透過率−処理後平均透過率)/処理前平均透過率×100))に基づき、封止層の変色を評価した。
○:400nm〜800nmの光の平均透過率の低下率が1%未満である
△:400nm〜800nmの光の平均透過率の低下率が1%以上5%未満である
×:400nm〜800nmの光の平均透過率の低下率が5%以上である
・組成物の沈降安定性
各封止層を形成するための、層状粘土鉱物を含む組成物(単層型封止層用組成物または層状粘土鉱物含有層用組成物)を1cm×1cmの底面を持つ直方体セルに注入し、室温で2ヵ月間放置した際の上澄み液層の厚みを計測し、下記の基準で沈降安定性を評価した。
○:上澄み液層無し
△:上澄み液層の厚みが5mm未満
×:上澄み液層の厚みが5mm以上
・総合評価
各実施例及び比較例で調製した封止層用組成物(単層型封止層用組成物、ポリシロキサン含有層用組成物、層状粘土鉱物含有層用組成物)、及びこれを塗布・硬化させて得られる封止層について、以下の基準で総合的に評価した。ガスバリア性は、前述の硫化ガス変色耐性と同様に評価した。
○:封止層用組成物の製造日から2ヵ月後に封止層を形成しても、
ガスバリア性評価が○であり、実用に値する
△:封止層用組成物の製造日に封止層を形成した場合、ガスバリア性評価が○であるが、
封止層用組成物の製造日から2ヵ月後に封止層を形成すると、
ガスバリア性評価が△以下であり、やや実用に劣る
×:封封止層用組成物の製造日に封止層を形成した場合であっても、
ガスバリア性評価が△以下であり、実用性無し
Figure 2015195269
表1に示されるように、封止層に層状粘土鉱物及びポリシロキサンが含まれる場合、単層型の封止層及び積層型の封止層のいずれであっても、酸素ガスの透過率が低かった(実施例1〜6)。これに対し、ポリシロキサンまたは層状粘土鉱物のいずれか一方のみ、もしくは両方が含まれない場合には、酸素ガスの透過を十分に抑制することが難しかった(比較例1〜5及び8)。
また、層間陽イオンがアンモニウム系イオンである層状粘土鉱物を含む封止層を有する場合には、封止層が硫黄によって変色し難かった(実施例1〜6)。これに対し、層間陽イオンがナトリウムイオンである層状粘土鉱物を含む封止層は、硫黄によって変色しやすかった(比較例4〜7)。層間陽イオンが硫化されて、封止層が着色したと推察される。
さらに、層状粘土鉱物が、スメクタイトである場合には、層状粘土鉱物が雲母である場合と比較して、組成物の沈降安定性が高かった(実施例1〜3)。
[実施例7]
円形パッケージ(開口径3mm,底面直径2mm、壁面角度60°)の収容部の中央に、1つの青色LED素子(直方体状;200μm×300μm×100μm)をフリップチップ実装した。円形パッケージは、図1に示されるように、電極11が形成されているものとした。当該LED素子及び電極を覆うように、実施例1と同様に調製した単層型封止層用組成物Aをスプレー塗布し、150℃で60分間加熱・硬化させて単層型封止層を成膜した。
続いて、下記の方法で調製した蛍光体粒子を10質量%分散させたシリコーン樹脂(OE6630,東レダウ社製)を、円形パッケージ内にディスペンサにより塗布し、150℃で1時間焼成し、波長変換層を形成した。波長変換層の厚みは2.5mmとした。
・蛍光体粒子の調製
7.41g、Gd4.01g、CeO0.63g、及びAl7.77gを十分に混合した。当該混合物にフラックスとしてフッ化アンモニウムを適量混合し、アルミ製の坩堝に充填した。当該充填物を、水素含有窒素ガスを流通させた還元雰囲気中において、1350〜1450℃の温度範囲で2〜5時間焼成して焼成品((Y0.72Gd0.24Al12:Ce0.04)を得た。
得られた焼成品を粉砕、洗浄、分離、乾燥して、平均粒径が10μm程度の黄色蛍光体粒子を得た。波長465nmの励起光における発光波長を測定したところ、おおよそ波長570nmにピーク波長を有していた。
[実施例8]
実施例7と同様に、LED素子が実装された円形パッケージを準備した。そして、実施例2と同様のポリシロキサン含有層用組成物aをスプレー塗布し、150℃で60分間加熱・硬化させて、ポリシロキサン含有層を得た。当該ポリシロキサン含有層上に、さらに実施例2と同様に調製した層状粘土鉱物含有層用組成物aをスプレー塗布し、150℃で60分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層を得た。
続いて、実施例7と同様に厚み2.5mmの波長変換層を形成した。
[実施例9]
実施例7と同様に、LED素子が実装された円形パッケージを準備した。そして、実施例2と同様に調製した層状粘土鉱物含有層用組成物aをスプレー塗布し、150℃で60分間加熱・硬化させて、層状粘土鉱物含有層を得た。当該層状粘土鉱物含有層上に、さらに実施例2と同様のポリシロキサン含有層用組成物aをスプレー塗布し、150℃で60分間加熱・硬化させて、ポリシロキサン含有層を得た。
続いて、実施例7と同様に厚み2.5mmの波長変換層を形成した。
[実施例10]
単層型封止層用組成物を、以下の単層型封止層用組成物Cに変更した以外は、実施例7と同様にLED装置を作製した。
ポリシロキサン含有層用組成物a 8gと、層間陽イオンがアンモニウムイオンであるスメクタイト 0.1gと、ひも状アルミニウムケイ酸塩の濃度が10質量%である、前述のひも状アルミニウムケイ酸塩メタノール分散液 1gとを混合し、単層型封止層用組成物Cを得た。
[実施例11及び実施例12]
ポリシロキサン含有層用組成物aを、以下のポリシロキサン含有層用組成物gに変更した以外は、実施例8及び9とそれぞれ同様にLED装置を得た。
ポリシロキサン含有層用組成物a 9g、及び前述のひも状アルミニウムケイ酸塩メタノール分散液 1gとを混合し、ポリシロキサン含有層用組成物gを得た。
[比較例9]
単層型封止層用組成物Aを、比較例1と同様の単層型封止層用組成物であるポリシロキサン含有層用組成物aに変更した以外は、実施例7と同様にLED装置を作製した。
[比較例10]
単層型封止層用組成物Aを、比較例2と同様に調製した層状粘土鉱物含有層用組成物aに変更した以外は、実施例7と同様にLED装置を作製した。
[比較例11]
単層型封止層用組成物Aを、比較例4と同様に調製した層状粘土鉱物含有層用組成物cに変更した以外は、実施例7と同様にLED装置を作製した。
[比較例12]
単層型封止層用組成物Aを、比較例6と同様に調製した単層型封止層用組成物Cに変更した以外は、実施例7と同様にLED装置を作製した。
[比較例13]
単層型封止層用組成物Aを、塗布しなかった以外は、実施例7と同様にLED装置を作製した。
実施例7〜12及び比較例9〜13において、単層型封止層または積層型封止層の厚みは、表2に記載の厚みとした。例えば、実施例7では、単層型封止層の厚みを1μmとし、実施例8の積層型封止層においては、ポリシロキサン含有層の厚みを1μmとし、層状粘土鉱物含有層の厚みを1μmとした。
[評価]
各実施例及び比較例で作製したLED装置の電極腐食耐性、硫化腐食耐性、湿熱耐性を評価した。さらに前述と同様に総合評価を行った。評価結果を表2に示す。
・電極腐食耐性の評価
封止層を形成しなかった以外は、実施例7と同様にLED装置(標準サンプル)を作製した。当該標準サンプル、並びに各実施例及び比較例で作製したLED装置について、それぞれ全光束測定を行い、イオンマイグレーションによる金属電極腐食耐性を以下のように評価した。
×:標準サンプルの全光束値に対して、全光束値が2%以上低下
△:標準サンプルの全光束値に対して、全光束値が0%超、2%未満低下
○:標準サンプルの全光束値に対して、全光束値の低下無し
・硫化耐性
各実施例及び比較例で作製したLED装置を、硫化水素ガス15ppm、温度25℃、相対湿度75%Rhの環境下に1000時間暴露した。硫化水素ガスに曝露前後の全光束測定値の変化(全光束対初期比(硫化水素ガス曝露後全光束値/硫化水素ガス曝露前全光束値×100))に基づき、以下のように硫化耐性を評価した。
◎:全光束対初期比が94%以上
○:全光束対初期比が92%以上94%未満
△:全光束対初期比が90%以上92%未満
×:全光束対初期比が90%未満
・湿熱耐性
各実施例及び比較例で作製したLED装置を、湿熱試験機SH251(エスペック社製)にて、80℃、90%Rhの環境下、1000時間暴露した。湿熱試験前後の全光束測定値の変化(全光束対初期比(湿熱処理後全光束値/湿熱処理前全光束値×100))に基づき、以下のように湿熱耐性を評価した。
◎:全光束対初期比が98%以上
○:全光束対初期比が96%以上98%未満
△:全光束対初期比が92%以上96%未満
×:全光束対初期比が92%未満
Figure 2015195269
表2に示されるように、封止層に、ひも状アルミニウムケイ酸塩が含まれると、硫化耐性及び湿熱耐性が高まった(実施例10〜12)。ひも状アルミニウムケイ酸塩に硫黄や水分が吸着されたと推察される。また、層状粘土鉱物の層間陽イオンがアンモニウム系イオンである場合(実施例7〜11、及び比較例10)、層間陽イオンがナトリウムイオンである場合(比較例11及び12)と比較して、電極腐食耐性や質熱耐性が高まった。層間陽イオンがアンモニウム系イオンであると、層間陽イオンが硫化され難かったと推察される。
[実施例13〜16]
封止層の厚みを、表3に示される値とした以外は、実施例10と同様にLED装置を作製した。
[実施例17〜20]
封止層の厚みを、表3に示される値とした以外は、実施例11と同様にLED装置を作製した。
[実施例21〜24]
封止層の厚みを、表3に示される値とした以外は、実施例12と同様にLED装置を作製した。
[評価]
各実施例及び比較例で作製したLED装置の硫化耐性、湿熱耐性を前述の方法で評価した。さらに前述と同様の方法により総合評価も行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2015195269
表3に示されるように、封止層の総厚みが0.1〜15μmであると、硫化耐性及び湿熱耐性が高まった(実施例10〜14、17、18、21、22)。一方、封止層の総厚みが0.1μm未満であると、湿度や硫黄分に対するバリア性が十分に高まり難かったと推察される。一方、封止層の総厚みが15μm超である場合には、クラックが生じやすくなり、バリア性が十分に高まり難かったと推察される。
[実施例25及び実施例26]
単層型封止層用組成物の硬化温度を、表4に示される値とした以外は、実施例10と同様にLED装置を作製した。
[実施例27及び実施例28]
ポリシロキサン含有層及び層状粘土鉱物含有層の硬化温度を、表4に示される値とした以外は、実施例11と同様にLED装置を作製した。
[実施例29及び実施例30]
層状粘土鉱物含有層及びポリシロキサン含有層の硬化温度を、表4に示される値とした以外は、実施例12と同様にLED装置を作製した。
Figure 2015195269
表4に示されるように、封止層の硬化時の温度が、100℃以上であると、硫化耐性や湿熱耐性が高まりやすかった。これに対し、封止総の硬化時の温度が90℃であると、硫化耐性や耐湿熱性が若干低くなった。これは、ポリシロキサン前駆体の重合が十分に行われなかったり、封止層内部に、ポリシロキサン前駆体の重合時に発生した水が膜に残ったと推察される。
本発明の発光装置は、ガスバリア性、耐湿性に優れ、長期間にわたって光の取り出し性が高い。よって、屋外や屋内で使用される照明などに有用である。
1 基板
2 LED素子
3 封止層
11 電極
12 突起電極
100 発光装置

Claims (11)

  1. 電極を有する基板と、
    前記電極と電気的に接続された発光素子と、
    前記発光素子及び前記電極を被覆する封止層と、を有し、
    前記封止層は、ポリシロキサン、及び、層間陽イオンが典型非金属系化合物からなるイオンである層状粘土鉱物を含む、発光装置。
  2. 前記封止層が単一の層からなる単層型封止層である、請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記封止層が、前記ポリシロキサンを含む層、及び前記層状粘土鉱物を含む層を、少なくとも1層ずつ含む積層型封止層である、請求項1に記載の発光装置。
  4. 前記層間陽イオンが、アンモニウム系イオンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光装置。
  5. 前記層状粘土鉱物がスメクタイト族であり、かつ前記層間陽イオンがアンモニウム系イオンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光装置。
  6. 前記単層型封止層、または前記積層型封止層の前記ポリシロキサンを含む層に、ひも状化合物をさらに含み、かつ前記ひも状化合物の量が、前記封止層の全質量に対して0.5〜30質量%である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発光装置。
  7. 前記ひも状化合物が、アルミニウムケイ酸塩である、請求項6に記載の発光装置。
  8. 前記発光素子がLED素子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置。
  9. 前記発光素子及び前記封止層を被覆し、かつ蛍光体粒子及び樹脂を含む波長変換層をさらに有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置。
  10. ポリシロキサン前駆体、及び、層間陽イオンが典型非金属化合物からなるイオンである層状粘土鉱物を含む、封止層用組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法であって、
    発光素子が電極と電気的に接続された基板を準備する工程と、
    前記電極及び前記発光素子を覆うように、請求項10の封止層用組成物を塗布する工程と、
    を含む、発光装置の製造方法。
JP2014072236A 2014-03-31 2014-03-31 発光装置及びその製造方法 Pending JP2015195269A (ja)

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