JPWO2015046557A1 - 循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス及び循環腫瘍細胞の濃縮分離方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(2)該細胞凝集薬剤と該血液由来試料を該容器内で反応させる工程。
(3)該容器を遠心分離し、該腫瘍細胞とその他の血液細胞との間に細胞分離剤による隔壁を形成させる工程。
(4)隔壁より上側の血漿中に濃縮分離された該腫瘍細胞を回収する工程。
本発明に係る循環腫瘍細胞濃縮分離デバイスは、後で説明する細胞凝集薬剤を用いて血液由来試料に含まれる血液細胞を除去することができる。本明細書における血液細胞は、所望とする腫瘍細胞以外に血液由来試料中に存在する血液細胞を表し、例えば血球細胞、血小板細胞、より詳細には赤血球、B細胞、T細胞、単核細胞、NK細胞、顆粒細胞等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
循環腫瘍細胞の比重は、腫瘍細胞の種類にもよるが、1.040〜1.065程度が一般的である。他方、赤血球の比重は1.095、白血球の比重は1.063〜1.085程度である。従って、循環腫瘍細胞以外の細胞の比重は、通常、1.063〜1.095の範囲である
本明細書における血液由来試料には、被験者より採取した全血検体をそのまま用いたものの他に、例えば血液の性質を保持するため、あるいは腫瘍細胞の分離濃縮において有利な環境を作る等の目的で種々の薬剤を添加したものも同様に含まれる。
本発明は、チクソトロピー性を有する細胞分離剤を一端が閉塞し、他端が開口した有底の管状容器に収容してなるデバイスを提供することで上記課題を解決する。
なお、基数とは各官能基に定められている固有の数値である。
本発明に係る腫瘍細胞濃縮分離デバイスには、必要に応じて血液抗凝固剤が添加されてもよい。該血液抗凝固剤は後に説明する細胞凝集薬剤と血液由来試料の反応時に両者と共存する形態を取っていればよい。すなわち、該血液抗凝固剤は予め前記容器内に収容される形態を取っていてもよいし、また予め血液由来試料に別に添加される形態を取っていてもよい。予め前記容器内に収容される形態を取る場合は、容器内壁面に塗布される形態や、顆粒状、シート状等の血液由来試料に溶解しやすい形状にして容器内に収容する形態を取ってもよい。
本発明の腫瘍細胞濃縮分離デバイスは、必要に応じて細胞凝集薬剤を含有する。本発明における細胞凝集薬剤とは、所望とする腫瘍細胞以外の血液細胞を選択的に凝集させ、比重差を用いた遠心分離操作により沈降、分離しやすくさせることで該腫瘍細胞の純度を高めることができる薬剤を意味する。そのため、そのような作用機序を持つ薬剤であれば公知の薬剤を適用することが可能であるが、好適には、白血球表面に特有な抗原に結合する抗原認識部位と、赤血球表面に特有な抗原に結合する抗原認識部位を両方具備する抗体(RosetteSep human CD45 depletion cocktail、STEMCELL Technologies社製)が用いられる。
本発明に係る細胞分離剤の製造方法は従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。すなわち、前記液状成分と、前記無機粉末と、前記特定のポリアルキレングリコールとを適宜の方法で混合すればよい。混合方法については特に限定されず、プラネタリーミキサー、ロールミル、ホモジナイザーなどの公知の混練機を用いた方法を挙げることができる。
本発明に係る循環腫瘍細胞濃縮分離デバイスは、構成要素として、容器本体と、容器本体内に収容されており、かつ上記本発明に係る細胞分離剤、及び必要に応じて血液抗凝固剤や細胞凝集薬剤とを備える。該容器本体としては、特に限定されず、採血管として広く用いられている有底の管状容器を始め、試験管、遠沈管、マイクロチューブ等の任意の遠心分離可能な有底の管状容器を用いることができる。
(1)比重が1.050〜1.080の範囲内であり、遠心分離操作によって前記腫瘍細胞と前記腫瘍細胞以外の血液細胞とを分離可能な細胞分離剤が収容されており、一端が閉塞し、他端が開口した有底の管状容器内に、血液由来試料と、腫瘍細胞以外の血液細胞同士を選択的に凝集させ遠心分離操作により沈降させるための細胞凝集薬剤と、血液抗凝固剤を共存させる工程、
(2)該細胞凝集薬剤と該血液由来試料を該容器内で反応させる工程、
(3)該容器を遠心分離し、該腫瘍細胞とその他の血液細胞との間に細胞分離剤による隔壁を形成させる工程、
(4)隔壁より上側の血漿中に濃縮分離された該腫瘍細胞を回収する工程。
(実施例1〜12及び比較例1〜2において用いた物質)
1)液状成分
液状成分1:アクリル酸エステル重合体(比重1.032、25℃における粘度=65Pa.s)
粘度の測定は、レオメーター DV−III(ブルックフィールド社製)により行った。
無機粉末として、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、アエロジルR974、粒径:約12nm、比表面積:約170m2/g、化学的に表面をCH3基で処理することにより疎水性とされている)と酸化チタン(石原産業社製、タイペークA−100、粒径0.15μm)を併用した。
チクソトロピー性増強剤1〜3として、下記の表1に示すポリアルキレングリコールを用意した。
増強剤2:ポリブチレングリコール(日油社製、ユニオールPB700)
増強剤3:ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(アデカ社製、アデカポリエーテルG300)
(実施例1)
下記の表2に示すように、液状成分1を94.9重量%と、上記混合物である無機粉末を計4.6重量%と、ポリアルキレングリコールとして表1に示したチクソトロピー性増強剤1を0.5重量%とを含むように、これらを配合し、室温下でプラネタリーミキサーを用いて撹拌混合し、細胞分離剤を作製した。
使用した材料及び配合割合を下記の表2に示すように変更したことを除いては、実施例1と同様にして細胞分離剤を作製した。なお、実施例11ではポリアルキレングリコールを用いなかった。実施例12では数平均分子量350であるチクソトロピー性増強剤3を用いた。比較例1では細胞分離剤の比重が1.045となるように調整した。比較例2では、細胞分離剤の比重が1.085となるように調整した。
15mL容量のコニカルチューブ(BD社製)を用意し、各チューブに実施例1〜12及び比較例1〜2の細胞分離剤を約1.8gずつ収容することで循環腫瘍細胞濃縮分離デバイスを作製した。
以下の評価はEDTAにより抗凝固処理を行ったヒト健常血に結腸腺癌培養細胞(DLD−1)を50個/血液1mLとなるように添加した擬似患者血を使用して行った。
循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス3本に擬似患者血を各2mL注入後、1200g×20分/室温の条件で遠心分離を行った。細胞分離剤による隔壁の平均厚み5mm以上の場合には○を付し、2mm以上、5mm未満の厚みの場合には△を付し、2mm未満の厚みの場合には×とした。結果を下記の表3に示す。
遠心分離後の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイスを横倒しにし、60Hzで1時間の振動を与えた。隔壁が移動しなかった場合には○、移動しているが隔壁を保っている場合には△、隔壁が崩壊して血球細胞と混合した場合には×とした。結果を下記の表3に示す。
遠心分離後に形成された隔壁の状態を、並びに油状浮遊物及び油膜の有無を目視により観察した。下記の表3に結果を示す。表3においては、隔壁に亀裂が生じている場合には「亀裂」とした。また、油状浮遊物や油膜が生じている場合には「△油」と記載した。これらがいずれも観察されない場合には○を付した。
遠心分離後、隔壁より上側の血漿中に濃縮分離された腫瘍細胞をピペッティングによって懸濁回収した。DLD−1は上皮系の細胞であるため、回収した懸濁液にCD326−FITC抗体(ミルテニー社製)を添加して蛍光標識を行った。また、残存する所望でない白血球をCD45−APC(ミルテニー社製)によって蛍光標識を行い、フローサイトメーター(FACSAria、BD社製)により、CD326+/CD45−の細胞数を計測し、擬似患者血中に含まれていた腫瘍細胞数100個に対する回収率を算出した。結果を表3に示す。
血液由来試料と細胞凝集薬剤が共存する下記の実施例13〜18を説明する。
細胞凝集薬剤として、RosetteSep human CD45 depletion cocktail(STEMCELL Technologies社製)を使用した。EDTAで抗凝固処理した擬似患者血2mLに細胞凝集薬剤を10μL(5μL/血液1mL)添加して揺動混和を行い、室温で20分間静置した後、1200G×20分/室温の条件で遠心分離した。
細胞凝集薬剤の添加量を下記の表4に示すように変更したことを除いては、実施例13と同様にして評価を行った。結果を表4に示す。なお、表中の細胞凝集薬剤の添加量及び、腫瘍細胞以外の血液細胞数は血液由来試料1mLあたりに換算して示す。
2…容器本体
3…細胞分離剤
Claims (12)
- 血液由来試料に存在する、循環腫瘍細胞を濃縮分離するためのデバイスであって、
一端が閉塞し、他端が開口した有底の管状容器と、
前記管状容器内に収容されており、遠心分離後に腫瘍細胞と前記腫瘍細胞以外の血液細胞とを分離し得るチクソトロピー性を有する細胞分離剤とを備え、
前記細胞分離剤の比重が1.050〜1.080の範囲内である、循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。 - 前記細胞分離剤の比重が1.055〜1.080の範囲内である、請求項1に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記細胞分離剤の比重が1.065〜1.077の範囲内である、請求項1に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記細胞分離剤がチクソトロピー性付与剤として数平均分子量700以上であるポリアルキレングリコールを含み、かつ該ポリアルキレングリコールが細胞分離剤の全体の5重量%以下の濃度で配合されているものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記管状容器内に収容されている血液抗凝固剤をさらに含む、請求項1に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記腫瘍細胞以外の血液細胞同士を選択的に凝集させ、遠心分離操作により沈降させる細胞凝集薬剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記細胞凝集薬剤が、血球細胞を選択的に凝集させる細胞凝集薬剤である、請求項6に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記細胞凝集薬剤が、免疫複合体の形成能力を持つ抗体である、請求項7に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記細胞凝集薬剤の抗体が、白血球表面に特有な抗原に結合する抗原認識部位と赤血球表面に特有な抗原に結合する抗原認識部位との双方を備える、請求項8に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記細胞凝集薬剤が、血液由来試料1mLに対しての添加量が25〜150μLになるように添加されている、請求項6〜9のいずれか1項に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 前記有底の管状容器の開口が、少なくともその一部が刺通可能に構成される栓体で封止されており、かつ内部が減圧されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の循環腫瘍細胞濃縮分離デバイス。
- 血液由来試料中の循環腫瘍細胞を濃縮分離する方法であって、
(1)比重が1.050〜1.080の範囲内であり、遠心分離操作によって前記腫瘍細胞と前記腫瘍細胞以外の血液細胞とを分離可能な細胞分離剤が収容されており、一端が閉塞し、他端が開口した有底の管状容器内に、血液由来試料と、腫瘍細胞以外の血液細胞同士を選択的に凝集させ遠心分離操作により沈降させるための細胞凝集薬剤と、血液抗凝固剤を共存させる工程と、
(2)該細胞凝集薬剤と該血液由来試料を該容器内で反応させる工程と、
(3)該容器を遠心分離し、該腫瘍細胞とその他の血液細胞との間に細胞分離剤による隔壁を形成させる工程と、
(4)隔壁より上側の血漿中に濃縮分離された該腫瘍細胞を回収する工程と、
を備える、血液由来試料中の循環腫瘍細胞の濃縮分離方法。
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