JPH1010121A - 血液分離管 - Google Patents

血液分離管

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JPH1010121A
JPH1010121A JP8161859A JP16185996A JPH1010121A JP H1010121 A JPH1010121 A JP H1010121A JP 8161859 A JP8161859 A JP 8161859A JP 16185996 A JP16185996 A JP 16185996A JP H1010121 A JPH1010121 A JP H1010121A
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JP
Japan
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blood
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bottomed
anticoagulant
tube main
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Application number
JP8161859A
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English (en)
Inventor
Toshiki Kawabe
俊樹 川辺
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 臨床検査用の血漿の分離に用いられ、血球成
分に由来する検査値への影響を最小にでき、遠心分離後
は血液分離管のままで保存でき、また、自動分析装置で
血漿試料を採取しても血球成分の混入がなく、しかも、
製造後、使用されるまでに分離剤の性能が劣化せず、且
つ製造し易い血液分離管を提供する。 【解決手段】 有底採血管本体2と、該管本体2の開口
部を密封する栓体3と、該管本体2の内部であって、該
管本体2の内底部から離れた上部に設けられた有底容器
4と、該有底容器4に収容されたチクソトロピー性分離
剤5と、該管本体2の内部であって該栓体と接する空間
内に収容された血液抗凝固剤6とを具備し、血液を採取
後、遠心分離された後、該分離剤によって該血液の血漿
成分と血球成分とが隔離される血液分離管1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は血液分離管に関し、
臨床検査において試料として血漿を用いる検査に使用さ
れ、特に、血液凝固検査用又は血糖値検査用の試料の採
取に用いられる血液分離管に関する。
【0002】
【従来の技術】臨床検査において試料として血漿を用い
る検査が種々ある。例えば、血液の凝固性能を検査す
る、活性化部分トロンボプラスチン時間法(APT
T)、プロトロンビン時間法(PT);糖尿病検査のた
めの血糖値の検査などが挙げられる。
【0003】血液の凝固性能を検査するための血漿の採
取には、例えば、3.2重量%クエン酸ナトリウム水溶
液などの血液抗凝固剤が収容された血液分離管に血液を
採取した後、遠心分離にかけて血漿を分離し、得られた
血漿をピペットなどで他の容器に移しかえて検査に用い
ていた。しかしながら、ピペットを使用して移しかえる
と血球成分が混入するなどの恐れがあった。
【0004】このため、他の容器に移しかえることなく
血漿を採取可能な血液分離管が提案されている。例え
ば、特公平3−65497号公報には、管体の一端が開
口し、他端が閉塞した有底採血管本体と、該管本体の開
口部を密封する栓体と、該管本体内に収容され、分離す
べき血漿成分と血球成分の中間比重を有するチクソトロ
ピー性分離剤と、該管本体の内部であって該栓体と接す
る空間内に血液との接触により血液中に分散可能に分離
剤上部に位置する血液抗凝固剤溶液とを具備し、かつ凝
固が防止された血液が遠心分離された後、該血液から血
球成分が隔離される血液分離管が提案されている。すな
わち、この血液分離管においては、血液抗凝固剤溶液を
分離剤上部に位置させた結果、採取した血液は素早く血
液抗凝固剤と混合され、遠心分離した後は血漿が分離剤
隔壁により血球と分けられるため、血球成分による血漿
成分への影響を無くすことができる。
【0005】また、血糖値の検査などのための血漿の採
取には、例えば、フッ化ナトリウムのような血液抗凝固
剤としての機能と解糖阻止剤としての機能を有する物
質;又はヘパリン塩もしくはEDTA塩などの血液抗凝
固剤とモノヨード酢酸ナトリウムのような解糖阻止剤と
が収容がされた血液分離管に血液を採取した後、遠心分
離にかけて血漿を分離し、得られた血漿をピペットなど
で他の容器に移しかえて検査に用いていた。これは、遠
心分離後、血漿層と血球層が接触した状態で保存する
と、血球による解糖が血糖値に影響するためである。し
かしながら、ピペットを使用して移しかえると血球成分
が混入するなどの恐れがあり、また、移しかえるまでの
時間が長くなると解糖の影響がでる。
【0006】このため、他の容器に移しかえることな
く、また、血漿層と血球層との接触を絶った状態で血漿
を採取可能な血液分離管が提案されている。例えば、特
公平3−65496号公報には、管体の一端が開口し、
他端が閉塞した有底採血管本体と、該管本体の開口部を
密封する栓体と、該管本体内に収容され、分離すべき血
漿成分と血球成分の中間比重を有するチクソトロピー性
分離剤と、該管本体の内部であって該栓体と接する空間
内に血液との接触により血液中に分散可能に上記分離剤
上に装填された解糖阻止剤とを具備し、かつ解糖阻止さ
れた血液が遠心分離された後、該血液から血球成分が隔
離される血液分離管が提案されている。すなわち、この
血液分離管においては、分離剤と解糖阻止剤とが組み合
わされた結果、遠心分離するまでは血球成分による解糖
を解糖阻止剤で抑制し、遠心分離した後は血漿が分離剤
隔壁により血球と分けられるため、血球による解糖の影
響を受けないという効果がある。
【0007】しかしながら、上記のチクソトロピー性分
離剤と、該分離剤上部に位置する血液抗凝固剤溶液とが
有底採血管本体内に収容された血液分離管にあっては、
血液分離管を製造後、使用されるまでは血液抗凝固剤溶
液が分離剤上部と接しているため、血液抗凝固剤溶液
の水分が分離剤に吸水され、該溶液の量が減少してしま
い、使用時に血液との比率が変わり検査値に影響を与え
る、血液抗凝固剤溶液が分離剤の性能を劣化させてし
まい、遠心分離処理時の分離剤の流動性を低下させるこ
とがあり、流動性が低下すると遠心分離をしても分離剤
が血漿層と血球層の間に隔壁を十分に形成できなくな
る、という問題があった。
【0008】また、上記のチクソトロピー性分離剤と、
上記分離剤上に装填された解糖阻止剤とが有底採血管本
体内に収容された血液分離管にあっては、以下のような
問題があった。 解糖阻止剤が分離剤上にあるため、条件によっては解
糖阻止剤が分離剤中に入り込む場合がある。例えば、暖
房器の前や直射日光が当たる高温下で保管されたときに
分離剤の流動性が増して、顆粒状の解糖阻止剤が分離剤
中に入り込む現象が起こる。このような現象が起こる
と、解糖阻止剤の性能が十分に発揮されなくなったり、
分離剤の隔壁形成能が低下したりする。
【0009】また、水溶液にした解糖阻止剤を管本体
内にスプレーした後に乾燥して細粒状に解糖阻止剤を管
本体内面に形成することも考えられ、この場合は解糖阻
止剤の血液への溶解性が良いという利点や、解糖阻止剤
としての性能と血液抗凝固剤としての性能とを有する薬
剤の場合は、血液が部分的に凝固することがないという
利点がある。しかし、スプレー処理により解糖阻止剤を
効率よく管本体内面に形成しようとすると、水溶液中の
解糖阻止剤濃度、スプレー量、乾燥時間などを最適化す
る必要があるが、管本体内底部に分離剤が存在するため
管本体内表面積がその分だけ減少しているので、特にス
プレー量を最適にするのが難しく、このスプレー処理法
も必ずしも実用的とはいえない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】請求項1記載の発明
(以下、本発明1という)は、上記問題点を解決するも
のであり、その目的は、臨床検査用の血漿の分離に用い
られ、血球成分に由来する検査値への影響を最小にで
き、遠心分離後は血液分離管のままで保存でき、デカン
テーション(傾斜法)で血漿を採取でき、また、自動分
析装置で血漿試料を採取しても血球成分の混入がなく、
しかも、製造後、使用されるまでに分離剤の性能が劣化
せず、且つ製造し易い血液分離管を提供することにあ
る。
【0011】請求項2記載の発明(以下、本発明2とい
う)の目的は、上記本発明1の発明目的を全て達成する
と共に、特に血液凝固検査用の血漿の分離に適した血液
分離管を提供することにある。
【0012】請求項3記載の発明(以下、本発明3とい
う)および請求項4記載の発明(以下、本発明4とい
う)の目的は、上記本発明1の発明目的を全て達成する
と共に、特に血糖値検査用の血漿の分離に適した血液分
離管を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明1の血液分離管
は、管体の一端が開口し、他端が閉塞した有底採血管本
体と、該管本体の開口部を密封する栓体と、該管本体の
内部であって、該管本体の内底部から離れた上部に設け
られた有底容器と、該有底容器に収容され、分離すべき
血漿成分と血球成分の中間比重を有するチクソトロピー
性分離剤と、該管本体の内部であって該栓体と接する空
間内に収容された血液抗凝固剤とを具備し、血液を採取
後、遠心分離された後、該分離剤によって該血液の血漿
成分と血球成分とが隔離されることを特徴とする。
【0014】本発明2の血液分離管は、血液抗凝固剤が
血液凝固検査用の血液抗凝固剤である請求項1記載の血
液分離管である。
【0015】本発明3の血液分離管は、血液抗凝固剤が
解糖阻止効果を有するものである請求項1記載の血液分
離管である。
【0016】本発明4の血液分離管は、更に、前記管本
体の内部であって該栓体と接する空間内に収容された解
糖阻止剤を具備する請求項1記載の血液分離管である。
【0017】図1は、本発明1の血液分離管1の一例を
示す断面図であり、管体の一端が開口し、他端が閉塞し
た有底採血管本体2と、該管本体2の開口部を密封する
栓体3と、該管本体2の内部であって、該管本体2の内
底部から離れた上部に設けられた有底容器4と、該有底
容器4に収容され、分離すべき血漿成分と血球成分の中
間比重を有するチクソトロピー性分離剤5と、該管本体
2の内部であって該栓体3と接する空間内に収容された
血液抗凝固剤6とを具備してなる。
【0018】上記有底採血管本体2は、ガラス、プラス
チックなどからなり、プラスチックとしては、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリアクリロニトリルが挙げられる。色は無色
でも着色されていてもよいが、検査対象項目によって
は、光で劣化するものがあるので、このような場合に
は、例えば、褐色又は緑色などに着色されているのが好
ましい。また、透明でも不透明でもよいが、内部が見易
いために透明又は半透明が好ましい。
【0019】有底採血管本体2がプラスチック製の場
合、その製造方法は一般的なプラスチックの成形方法で
あれば、特に限定されず、具体的には、射出成形、ブロ
ー成形、押出成形、真空成形などが挙げられ、これらは
組み合わせてもよい。
【0020】上記栓体3は、有底採血管本体2の開口部
を密封し得るものであれば、特に限定されないが、有底
採血管本体2の内部を減圧状態として使用する、所謂、
真空採血管として使用する場合は、必要とする採血量に
見合った陰圧を維持できるようなガスバリアー性を有す
ることが必要であり、また、採血針の刺通性及び抜針後
の液密性などの性質を有するように、天然ゴム、合成ゴ
ム及び熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも一
種の弾性体が好ましい。
【0021】上記合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴ
ム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコ
ーンゴムが挙げられる。上記熱可塑性エラストマーとし
ては、例えば、エチレン−プロピレンゴム系、ポリエス
テルエラストマー、ナイロンエラストマー系、スチレン
−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体、ポリブタジエン、熱可塑性ポリウレ
タン、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体
が挙げられる。
【0022】栓体3の製造方法は、材質が天然ゴム又は
合成ゴムの場合は、従来から使用されてきた一般的な成
形方法でよい。材質が熱可塑性エラストマーの場合は、
射出成形が好ましい。
【0023】また、図1では、嵌着により有底採血管本
体2を密封する栓体3を例示しているが、例えば、実開
昭62−160908号公報に記載あるような、ガスバ
リヤー性の高いアルミフィルムなどをプラスチックにラ
ミネートしたシート状の栓体を用いて、有底採血管本体
2に接着又は熱融着して密封するタイプのものでもよ
い。
【0024】本発明1で用いられる有底容器4は、有底
採血管本体2の内底部から離れた上部に設けられ、その
内部に分離すべき血漿成分と血球成分の中間比重を有す
るチクソトロピー性分離剤5が収容されている。
【0025】上記有底容器4は、材質としては、プラス
チックが好ましく、プラスチックとしては、例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;
ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0026】上記有底容器4は、上記の有底採血管本体
2の内底部から離れた上部に設けられる。「有底採血管
本体2の内底部から離れた上部に設けられる」とは、有
底容器4が内底部に接触せずに、内底部よりも上部に設
けられることを意味する。図1に示した有底容器4は、
図1のII−II線断面図である図2から分かるように、有
底容器4の外底部に1カ所、外側面に90度間隔で4カ
所設けられたスペーサー7を介して、有底採血管本体2
の内底部から離れた上部に設けられている。有底容器4
の外側面に90度間隔で4カ所設けられたスペーサー7
は、有底容器4の外側面から棒状に突き出され、その先
端は有底採血管本体の開口部側に曲げられている。上記
スペーサー7は、有底容器4が有底採血管本体2内に収
容された際に、有底容器4の外側面に設けられたスペー
サー7が有底採血管本体2の内側壁を軽く押しつけるよ
うに構成されている。すなわち、有底容器4はスペーサ
ー7によって、有底採血管本体2に係止によって固定さ
れている。上記の「内側壁を軽く押しつける構成」とし
ては、例えば、有底容器4の外側面に設けられたスペー
サー7部分を含めた有底容器4の外径を、有底採血管本
体2の内径よりもやや大きく構成すること;有底容器4
の外側面に設けられたスペーサー7が有底採血管本体2
の内側壁側に弾性をもって開かれた構成とすることなど
が挙げられる。
【0027】上記有底容器4が、上記の有底採血管本体
2の内底部から離れた上部に設けられる態様としては、
上記のようにスペーサーを介して設けられる他に、有底
容器4が栓体3から紐状又は棒状のものによって吊り下
げられてもよく(図示せず)、また、他の構成でも構わ
ない。
【0028】上記スペーサー7としては、図1のように
有底容器4と一体となったものの他に、有底採血管本体
2と一体となったものが挙げられる。有底容器4と一体
となったスペーサー7の場合、スペーサー7は、有底容
器4の少なくとも底部の外側(外底部)には設けられる
必要があり、必要に応じて、有底容器4の側面部の外側
(外側面)にも設けられる。有底容器4と一体となった
スペーサー7としては、例えば、有底容器4の外底部及
び必要に応じて外側面に、棒状又は球状に突き出したも
のが挙げられる。外側面に、突き出したスペーサー7
は、図1のようにその先端部が上方に曲げられていても
よい。
【0029】また、有底採血管本体2と一体となったス
ペーサー7としては、例えば、有底採血管本体2の内底
部及び必要に応じて内側壁に、棒状又は球状に突き出し
たものが挙げられる。
【0030】上記スペーサー7の役割としては、有底
容器4を有底採血管本体2に固定すること、有底採血
管本体2の内表面積の減少を少なくさせること(換言す
ると、有底容器4が有底採血管本体2の内底部及び内側
壁に接触することによる、有底採血管本体2の内表面積
の大幅な減少をさけること)、有底容器4と有底採血
管本体2の内底部との距離及び内側壁との距離(これら
の距離は1mm以上が好ましい)を一定に保ち、有底容
器4と有底採血管本体2の内底部及び内側壁との間に、
採血した血液が流入可能な程度の空間を設けること、で
ある。
【0031】スペーサー7によって、有底容器4を有底
採血管本体2に固定する方法としては、図1に示したよ
うな係止の他に、嵌合、接着、融着、押さえなどの方法
が挙げられる。
【0032】上記係止とは、例えば、図1のように、有
底容器4の外側面に設けたスペーサー7によって、有底
採血管本体2の内側壁を押しつけるように構成すること
により、スペーサー7と有底採血管本体2の内側壁との
摩擦力によって固定する方法である。
【0033】上記嵌合とは、例えば、図3(イ)及び図
3(ロ)(図3(イ)のロ−ロ線断面図)に示すよう
に、有底容器4の外底部に設けられたスペーサー7の先
端の凸部7aと有底採血管本体2の内底部に設けられた
凹部2aとの凹凸嵌合が挙げられる。凹凸嵌合の態様と
しては、この他に種々の態様が考えられる。なお、図3
(イ)及び図3(ロ)においては、有底容器4の外側面
にもスペーサー7があるが、有底容器4の外底部に設け
られたスペーサー7の強度が強く、且つ有底採血管本体
2の内底部を分厚く構成する場合には、これは必要がな
い。
【0034】上記接着とは、例えば、有底容器4に設け
られたスペーサーの先端部と有底採血管本体2との接触
部を接着剤を用いて接着する方法、又は有底採血管本体
2に設けられたスペーサーの先端部と、有底容器4との
接触部を接着剤を用いて接着する方法が挙げられる。
【0035】上記融着とは、例えば、有底容器4に設け
られたスペーサーの先端部と有底採血管本体2との接触
部を熱融着する方法、又は有底採血管本体2に設けられ
たスペーサーの先端部と、有底容器4との接触部を熱融
着する方法が挙げられる。上記熱融着としては、例え
ば、高周波溶着が挙げられる。
【0036】上記押さえとは、例えば、図4(イ)及び
図4(ロ)(図4(イ)の平面図)に示すように、側壁
の上端から90度間隔で4ケ所、有底採血管本体と栓体
との嵌合部まで伸びる細長い棒状のスペーサー7が立設
された有底容器4を用い、該栓体の嵌合に際して、栓体
の底部で、スペーサー7の上端部7bを押しつけて固定
する方法である。
【0037】また、有底容器4を血球の比重よりも重い
(比重1.09以上)材質のもので製造した場合は、有
底容器4を自重で有底採血管本体2の内底部にスペーサ
ーを介して設けることもできる。
【0038】本発明1で用いられるチクソトロピー性分
離剤5は、分離すべき血漿成分と血球成分の中間比重
(1.03〜1.08程度)を有することが必要であ
り、従来から血漿分離用組成物として使用されているも
ののいずれも使用可能であり、特に限定されないが、例
えば、通常、常温で流動性を有する樹脂(例えば、シク
ロペンタジエン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系
樹脂)などに、チクソトロピー性付与剤(例えば、シリ
カ)、比重調整剤(例えば、シリカ)等の添加剤を添
加、混練することによって得られるものが挙げられ、例
えば、特公平7−43369号公報、特公平7−269
53号公報に記載されているものが挙げられる。チクソ
トロピー性分離剤5の有底容器4への収容量は0.3〜
2g程度が好ましい。
【0039】本発明1で用いられる血液抗凝固剤6は、
有底採血管本体2の内部であって栓体3と接する空間内
に収容されておればよい。具体的には、有底採血管本体
2の内面に塗布されてもよいし、底部に収容されてもよ
い。血液抗凝固剤6の形状としては、液体、固体のいず
れでもよい。
【0040】血液抗凝固剤6としては、公知のものがい
ずれも使用可能であり、例えば、エチレンジアミン四酢
酸二カリウム塩(EDTA−2K)、エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム塩(EDTA−2Na)、エチレン
ジアミン四酢酸ナトリウム二カリウム塩、エチレンジア
ミン四酢酸ナトリウム三カリウム塩、エチレンジアミン
四酢酸三ナトリウム塩などのEDTA塩;ヘパリンナト
リウム、ヘパリンリチウムなどのヘパリン塩;フッ化ナ
トリウム;クエン酸ナトリウムが挙げられる。これらの
2種以上を組み合わせてもよい。その使用量も公知の使
用量でよく、例えば、3.2重量%クエン酸ナトリウム
水溶液の場合であれば、血液9容に対して1容の割合に
なるようにして使用される。
【0041】本発明1の血液分離管1の製造方法は、例
えば、有底採血管本体2の内面に血液抗凝固剤6溶液を
スプレー塗布後乾燥した後、又は該管本体2の底部に血
液抗凝固剤6溶液を収容した後、該管本体2にスペーサ
ー7が設けられた有底容器4を収容し、前述の種々の方
法で有底採血管本体2に固定する。次いで、有底容器4
にチクソトロピー性分離剤5を充填する。次いで、必要
に応じて減圧下又は常圧下で栓体3を嵌合する。上記の
方法に代えて、血液抗凝固剤6溶液が収容された有底採
血管本体2に、予めチクソトロピー性分離剤5を充填し
ておいた有底容器4(スペーサー7が設けられている)
を収容し、有底採血管本体2に固定した後、次いで、必
要に応じて減圧下又は常圧下で栓体3を嵌合する方法も
挙げられる。また、前述のようにスペーサーが有底採血
管本体2と一体化して設けられている場合は、有底容器
4としてはスペーサーが設けられていないものが用いら
れる。
【0042】本発明1の血液分離管1の使用方法の例
を、図5及び図6に基づいて説明する。有底採血管本体
2に、真空採血法で採血するか、又は常圧で採血した血
液を該管本体2に移すなどの方法で血液20を採取した
後、緩やかに転倒混和して血液抗凝固剤6と血液20を
混和させる(図5は、この混和の終了した後の状態を示
す)。その後、例えば、1300Gで5分間の条件で遠
心分離する。遠心分離により、チクソトロピー性分離剤
5からなる隔壁が形成され血漿成分21と血球成分22
とが隔離される(図6)。
【0043】本発明2の血液分離管は、本発明1におけ
る血液抗凝固剤が血液凝固検査用の血液抗凝固剤である
他は、本発明1の血液分離管と同様である。本発明2で
使用される血液抗凝固剤としては、例えば、3.13重
量%クエン酸ナトリウム水溶液、3.2重量%クエン酸
ナトリウム水溶液、3.8重量%クエン酸ナトリウム水
溶液等が挙げられる。また、クエン酸ナトリウムにクエ
ン酸を加えて緩衝作用をもたせた水溶液でもよい。ま
た、クエン酸ナトリウムに抗線溶効果物質、例えば、ア
プロチニン等を添加した水溶液でもよい。また、水溶液
に限らず、これらの粉末などの固体状物質でもよい。
【0044】本発明3の血液分離管は、本発明1におけ
る血液抗凝固剤が解糖阻止効果を有するものである他
は、本発明1の血液分離管と同様である。
【0045】本発明3で使用される血液抗凝固剤が解糖
阻止効果を有するものとしては、例えば、フッ化ナトリ
ウムが挙げられる。フッ化ナトリウムは使用量が少ない
場合は、解糖阻止効果のみを有するが、使用量が多くな
ると血液抗凝固効果も有するようになる。
【0046】本発明3の血液分離管は、血糖値検査用の
試料の採取に用いられる血液分離管として最適である。
【0047】本発明4の血液分離管は、本発明1の血液
分離管において、更に、有底採血管本体の内部であって
栓体と接する空間内に収容された解糖阻止剤を具備する
ことの他は、本発明1の血液分離管と同様である。
【0048】本発明4における、解糖阻止剤としては、
フッ化ナトリウム、モノヨード酢酸ナトリウムが挙げら
れる。本発明4においては、血液抗凝固剤と解糖阻止剤
を別々に使用してもよいが、血液抗凝固剤と解糖阻止剤
を混合して使用してもよい。血液抗凝固剤と解糖阻止剤
の組み合わせとしては、解糖阻止効果のあるフッ化ナト
リウム、モノヨード酢酸ナトリウムを主成分とし、これ
にEDTA塩(例えば、EDTA−2K)などの血液抗
凝固効果のある試薬を加えたものを、水溶液、粉末又は
顆粒状にしたものが挙げられる。これらの薬剤を水溶液
にして有底採血管本体内にスプレーした後、乾燥させた
ものは、血液への溶解性がよいので特に好ましい。
【0049】図7は、本発明4の血液分離管41の例を
示す断面図である。血液分離管41は、本発明1の血液
分離管1の有底採血管本体2の内部であって栓体3と接
する空間内に解糖阻止剤8が、更に収容されたことの他
は、本発明1の血液分離管1と同様であるため、異なる
部分のみを説明し、血液分離管1と同一の部分には同一
の参照番号を付することにより、その説明を省略する。
【0050】本発明4の血液分離管41においては、解
糖阻止剤8は有底採血管本体2の内部であって栓体3と
接する空間内に収容されておればよい。具体的には、有
底採血管本体2の内面に塗布されてもよいし、底部に収
容されてもよい。
【0051】本発明4の血液分離管41の製造方法とし
ては、例えば、有底採血管本体2の内面に血液抗凝固剤
6溶液と解糖阻止剤8溶液をスプレー塗布後乾燥した
後、又は該管本体2の底部に血液抗凝固剤6溶液と解糖
阻止剤8溶液を収容した後、該管本体2にスペーサー7
が設けられた有底容器4を収容し、前述の種々の方法で
有底採血管本体2に固定する。次いで、有底容器4にチ
クソトロピー性分離剤5を充填する。次いで、必要に応
じて減圧下又は常圧下で栓体3を嵌合する。上記の方法
に代えて、血液抗凝固剤6と解糖阻止剤8が収容された
有底採血管本体2に、予めチクソトロピー性分離剤5を
充填しておいた有底容器4(スペーサー7が設けられて
いる)を収容し有底採血管本体2に固定した後、次い
で、必要に応じて減圧下又は常圧下で栓体3を嵌合する
方法も挙げられる。また、前述のようにスペーサーが有
底採血管本体2と一体化して設けられている場合は、有
底容器4としてはスペーサーが設けられていないものが
用いられる。また、上記のいずれの方法においても、血
液抗凝固剤6と解糖阻止剤8は、混合して使用されても
よい。
【0052】本発明4の血液分離管41の使用方法とし
ては、例えば、有底採血管本体2に、真空採血法で採血
するか、又は常圧で採血した血液を該管本体2に移すな
どの方法で血液を採取した後、緩やかに転倒混和して血
液抗凝固剤と血液を混和させる。その後、例えば、13
00Gで5分間の条件で遠心分離する。遠心分離によ
り、チクソトロピー性分離剤からなる隔壁が形成され血
漿成分と血球成分とが隔離される。
【0053】本発明4の血液分離管41は、血糖値検査
用の試料の採取に用いられる血液分離管として最適であ
る。
【0054】(作用)本発明1の血液分離管は、 血液抗凝固剤とチクソトロピー性分離剤が、実質的
に、接触しない状態で製造されるので、該分離剤の性能
が経時的に劣化する恐れがない。 血液が吸引などによって採取されると、直ちに有底採
血管本体底部などに存在する血液抗凝固剤と接触される
ので血液凝固がおこらない。 遠心分離されると、該分離剤の比重が血漿成分と血球
成分の中間にされているので、該分離剤は血球成分より
も上部に移動し血球層の上部に隔壁が形成される結果、
上から血漿層、分離剤層(隔壁)、血球層に分かれるの
で、血漿層をそのままで保存することができる。 遠心分離後、血球成分を混入しない血漿を傾斜法(デ
カンテーション)やピペッティング法で採取できる。
【0055】本発明4の血液分離管は、 チクソトロピー性分離剤が、血液抗凝固剤及び解糖阻
止剤と接触しない状態で製造されるので、該分離剤の性
能が経時的に劣化する恐れがない。 血液が吸引などによって採取されると、直ちに有底採
血管本体底部などに存在する血液抗凝固剤及び解糖阻止
剤と接触されるので血液凝固が起こらないと共に、血液
の解糖が阻止される。 遠心分離されると、該分離剤の比重が血漿成分と血球
成分の中間にされているので、該分離剤は血球成分より
も上部に移動し血球層の上部に隔壁が形成される結果、
上から血漿層、分離剤層(隔壁)、血球層に分かれるの
で、血漿層を解糖の影響なくそのままで保存することが
できる。 遠心分離後、血球成分を混入しない血漿を傾斜法(デ
カンテーション)やピペッティング法で採取できる。
【0056】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を説明す
る。 (実施例1)図1に示したような血液分離管1を以下の
ようにして製造した。ポリエチレンテレフタレートを使
用して容量7mlの有底採血管本体2を射出成形により
成形した。有底採血管本体2の開口部の外径は13.3
mm、内径は10.7mmとし、高さは100mmとし
た。ブチルゴムに無機充填剤を混合した組成物をプレス
成形して栓体3を成形した。有底容器4として、ポリエ
チレンテレフタレートを使用して、底部を有する中空の
略円筒体からなり、その外底部に1カ所、外側面に90
度間隔で4カ所に図1に示したスペーサー7が設けられ
た容量0.5mlの有底容器4を射出成形により成形し
た。
【0057】上記有底採血管本体2の底部に、血液抗凝
固剤6溶液として、3.2重量%クエン酸ナトリウム水
溶液を0.3ml注入した。また、上記有底容器4にチ
クソトロピー性分離剤5(積水化学工業社製、商品名
「エスコレクト」、比重1.05)を0.5ml充填し
た。チクソトロピー性分離剤5が充填された有底容器4
を、上記の血液抗凝固剤6溶液が充填された有底採血管
本体2に挿入し、係止した。この有底採血管本体2に、
減圧下で上記栓体3を嵌合し、血液凝固検査用の3ml
採血用の血液分離管1を得た。
【0058】(実施例2)図7に示したような血液分離
管41を以下のようにして製造した。実施例1と同様に
して成形された有底採血管本体2の内面に、解糖阻止剤
としてフッ化ナトリウムと血液抗凝固剤としてEDTA
−2Kを溶解した薬剤水溶液をスプレー塗布後乾燥し、
フッ化ナトリウム3.6mg、EDTA−2K4.5m
gを付着させた。この解糖阻止剤と血液抗凝固剤とが付
着された有底採血管本体2を、実施例1のクエン酸ナト
リウム水溶液が充填された有底採血管本体2の代わりに
用いた他は、実施例1と同様にして血糖値検査用の3m
l採血用の血液分離管41を得た。
【0059】
【発明の効果】本発明1の血液分離管の構成は上記の通
りであり、臨床検査用の血漿の分離に用いられ、血球成
分に由来する検査値への影響を最小にでき、遠心分離後
は血液分離管のままで保存でき、デカンテーション(傾
斜法)で血漿を採取でき、また、自動分析装置で血漿試
料を採取しても血球成分の混入がなく、しかも、製造
後、使用されるまでに分離剤の性能が劣化せず、且つ製
造し易い血液分離管を提供する。本発明2の血液分離管
の構成は上記の通りであり、上記本発明1の効果を全て
奏すると共に、特に血液凝固検査用の試料の採取に好適
な血液分離管を提供する。本発明3及び4の血液分離管
の構成は上記の通りであり、上記本発明1の効果を全て
奏すると共に、特に血糖値検査用の試料の採取に好適な
血液分離管を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明1の血液分離管の一例を示す断面図であ
る。
【図2】図1のII−II線断面図である
【図3】図3(イ)は、有底容器の底部に設けられたス
ペーサーの先端の凸部と、有底採血管本体の内底部に設
けられた凹部との凹凸嵌合の例を示す断面部であり、図
3(ロ)は、図3(イ)のロ−ロ線断面図である。
【図4】図4(イ)は、スペーサーが立設された有底容
器を示す断面図であり、図4(ロ)は、その平面図であ
る。
【図5】本発明1の血液分離管の使用方法を説明する図
である。
【図6】本発明1の血液分離管の使用方法を説明する図
である。
【図7】本発明4の血液分離管の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1、41 血液分離管 2 有底採血管本体 3 栓体 4 有底容器 5 チクソトロピー性分離剤 6 血液抗凝固剤 7 スペーサー 8 解糖阻止剤 20 血液 21 血漿成分 22 血球成分

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管体の一端が開口し、他端が閉塞した有
    底採血管本体と、 該管本体の開口部を密封する栓体と、 該管本体の内部であって、該管本体の内底部から離れた
    上部に設けられた有底容器と、 該有底容器に収容され、分離すべき血漿成分と血球成分
    の中間比重を有するチクソトロピー性分離剤と、 該管本体の内部であって該栓体と接する空間内に収容さ
    れた血液抗凝固剤とを具備し、 血液を採取後、遠心分離された後、該分離剤によって該
    血液の血漿成分と血球成分とが隔離されることを特徴と
    する血液分離管。
  2. 【請求項2】 血液抗凝固剤が血液凝固検査用の血液抗
    凝固剤である請求項1記載の血液分離管。
  3. 【請求項3】 血液抗凝固剤が解糖阻止効果を有するも
    のである請求項1記載の血液分離管。
  4. 【請求項4】 更に、前記管本体の内部であって該栓体
    と接する空間内に収容された解糖阻止剤を具備する請求
    項1記載の血液分離管。
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