JP2017046685A - 細胞の分離回収方法 - Google Patents
細胞の分離回収方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017046685A JP2017046685A JP2016147761A JP2016147761A JP2017046685A JP 2017046685 A JP2017046685 A JP 2017046685A JP 2016147761 A JP2016147761 A JP 2016147761A JP 2016147761 A JP2016147761 A JP 2016147761A JP 2017046685 A JP2017046685 A JP 2017046685A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cells
- blood
- sample
- platelets
- platelet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
Description
(1)がんの疑いのある患者から血液を採取する。なお血液を採取する際、クエン酸、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの抗凝固剤を添加してもよい。また必要に応じ、採取した血液を生理食塩水などで希釈してもよい。
(2)(1)で採取した血液(または希釈した血液)に、血小板GPIIb/IIIa受容体に対する阻害剤(例えばチロフィバン)を含む溶液を添加し、密度勾配遠心法を用いて、CTCを分離する。チロフィバンの濃度は、前記血液(または前記希釈した血液)に対する終濃度として、0.5μg/mL以上とすればよく、0.6μg/mL以上とするとより好ましく、0.7μg/mLから5μg/mLの間とするとさらに好ましく、0.75μg/mLから3μg/mLの間とするとさらにより好ましい。密度勾配遠心法は細胞をその比重に基づき分離する方法であり、密度勾配を形成した媒体(密度勾配形成用媒体)上に採取した血液(または希釈した血液)を重層した後、遠心分離を行ない、目的とするCTCを含む層(上層)を回収することで、不要な細胞を除去したCTCを含む画分を得る。なお密度勾配遠心を行なう前に、血液または希釈血液に、不要な細胞である赤血球、白血球と結合可能な結合剤(例えば、RosetteSep(StemCell Technologies社製))を添加するとよい。前記結合剤は、赤血球、白血球、および/またはこれら細胞の表面抗原と結合することで細胞凝集体を形成し、これら細胞の密度を大きくすることができるため、密度勾配遠心法によるCTCの分離を容易にする。一方、密度勾配遠心による血小板を除去する結合剤(例えば、RosetteSep Human Circulating Epithelial Tumor Cell Enrichment Cocktail(StemCell Technologies社製))を添加することは好ましくない。CTCの一部は、貪食細胞からの認識を回避し遠隔部位への高い転移能を獲得するために血小板を纏う性質を獲得している。そのため前述した血小板を除去する結合剤を添加すると、血小板による凝集体形成の抑制には有効であるが、高転移能を獲得しているCTCの分離回収は困難となる。
(3)(2)で得られたCTCを含む画分を遠心分離することで血液成分を除去し、当該CTCをペレット状にした後、血小板GPIIb/IIIa受容体に対する阻害剤を含む溶液を添加し、CTCを懸濁させる。なおこの時、親水性高分子を結合したタンパク質(例えば、ポリエチレングリコールを結合したBSA)を含む溶液を添加してもよい。親水性高分子を結合したタンパク質の濃度は、懸濁液でのタンパク質の終濃度として、0.01から25%(w/v)の間であればよく、0.02から5%(w/v)の間であればより好ましく、0.05から2%(w/v)の間であればさらに好ましい。
(4)(3)で調製したCTCを含む懸濁液を再度遠心分離し、CTCを含むペレットを回収する。なお必要に応じ、前記回収したペレットを血小板GPIIb/IIIa受容体に対する阻害剤を含む溶液に再度懸濁させ、遠心分離する工程を追加してもよい。
(1)ヒト乳がん細胞(SKBR3)を、5%CO2環境下、10%FBSを含むRPMI−1640培地を用いて37℃で24から96時間培養後、0.25%トリプシン/1mM EDTAを用いて培地から細胞を剥離し、蛍光染色色素(CFSE、同仁化学研究所社製)で標識した。蛍光標識されたSKBR3細胞を目的とする細胞とした。
(2)インフォームドコンセントを得た健常人から血液をEDTA−2K採血管(VP−DK050K、テルモ社製)に3mL採血後、前記採血管に3mLの生理食塩水、75μLの白血球・赤血球結合剤(RosetteSep、StemCell Technologies社製)、ならびに(1)で蛍光標識した約50個のSKBR3細胞およびチロフィバンを含む300mMマンニトール溶液180μLを添加することで、希釈血液試料を調製した。
(3)調製した希釈血液試料を、密度1.091g/mLの密度勾配溶液に重層し、2000×gで10分間、25℃で遠心後、上清を回収した。
(4)(3)で回収した上清に、0.9%(w/v)塩化アンモニウムと0.1%(w/v)炭酸水素カリウムとを含む溶血液で30mLまでメスアップ後、300×gで10分間、25℃で遠心分離した。当該操作により上清に混入した赤血球が破壊され、分離回収したSKBR3細胞の観察が良好になる。
(5)上清を除去後、SKBR3細胞を含むペレットを、チロフィバンを含む300mMマンニトール溶液30mLで再懸濁した。
(6)再懸濁液を300×gで5分間、25℃で遠心分離後、上清を除去し、再度、SKBR3細胞を含むペレットを、チロフィバンを含む300mMマンニトール溶液30mLで懸濁した。当該操作は、血液成分を除去し、目的とするSKBR3細胞を濃縮するための操作である。
(7)(6)で得られたSKBR3細胞懸濁液を300×gで5分間、25℃で遠心分離し、上清を除去した。
(8)(7)で上清を除去したSKBR3細胞を含む懸濁液を細胞診断チップに導入し、交流電圧を3分間印加することで前記チップが有する保持部にSKBR3細胞を保持させた。本実施例で用いた細胞診断チップは、直径30μmで深さ30μmの微細孔からなる微細孔を複数有した絶縁体と前記絶縁体と下部電極基板の間に設置した遮光性のクロム膜とからなる保持部を、厚さ1mmのスペーサーと下部電極基板とで挟んだ構造であり、前記スペーサーを上部電極基板と下部電極基板とで挟んだ構造である。
(9)細胞診断チップに保持されたSKBR3細胞数を計測し、(2)で添加したSKBR3細胞数で除することで回収率を算出した。
実施例1(2)、(5)および(6)でSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、
300mMマンニトール溶液(液温25℃または0℃)、
ヘパリンを含む300mMマンニトール溶液(液温25℃)、または
チクロピジンを含む300mMマンニトール溶液(液温25℃)、
を用いた他は、実施例1と同様な方法で、SKBR3細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。
実施例1(1)での目的とする細胞として、ヒト小細胞肺がん細胞(H69)を用い、実施例1(2)、(5)および(6)の細胞を懸濁させる溶液として、0.75μg/mLのチロフィバンを含む300mMマンニトール溶液を用いた他は、実施例1と同様な方法で細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。
実施例1(2)で血液に添加する白血球・赤血球結合剤として、白血球、赤血球および血小板と結合可能なRosetteSep Human Circulating Epithelial Tumor Cell Enrichment Cocktail(StemCell Technologies社製)を用い、実施例1(2)、(5)および(6)の細胞を懸濁させる溶液として、300mMマンニトール溶液を用いた他は、実施例1と同様な方法で細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。
(1)一方の末端がメトキシ基であり、もう一方の末端がN−ヒドロオキシスクシンイミドエステル基である、分子量5000のポリエチレングリコール(mPEG−NHS)と、ウシ血清アルブミン(BSA)(300mg、0.3mmol/L)とを、炭酸水素ナトリウム緩衝液(0.1M、15mL)に溶解させ、当該溶液を25℃で3時間撹拌することでポリエチレングリコールを結合したBSA(PEG−BSA)を調製した。なお調製する際、mPEG−NHSとBSAとのモル比(mPEG−NHS/BSA)を2となるようにした。調製後、分画分子量10000の透析膜を用いて、純水への溶液置換を3日間行なった。
(2)実施例1(5)および(6)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、チロフィバンおよび(1)で調製したPEG−BSA(BSAとして1%(w/v))を含む300mMマンニトール溶液、を用いた他は、実施例1と同様な方法でSKBR3細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。
実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液および実施例1(5)および(6)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液の組み合わせとして、表3に示す組み合わせを用いた他は、実施例1と同様な方法で、SKBR3細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。なお表3に記載の「PEG−BSA」とは実施例3(1)で調製したPEG−BSAであり、BSAとして1%(w/v)含んだ溶液である。
Claims (4)
- 血小板を含む試料中に含まれる細胞を遠心分離を用いて分離回収する方法であって、血小板を含む試料が血小板GPIIb/IIIa受容体に対する阻害剤をさらに含む、前記方法。
- 血小板を含む試料が親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 血小板を含む試料が糖をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
- 血小板GPIIb/IIIa受容体に対する阻害剤が、0.5μg/mL以上のチロフィバンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015174129 | 2015-09-03 | ||
JP2015174129 | 2015-09-03 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017046685A true JP2017046685A (ja) | 2017-03-09 |
JP6686768B2 JP6686768B2 (ja) | 2020-04-22 |
Family
ID=58280693
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016147761A Active JP6686768B2 (ja) | 2015-09-03 | 2016-07-27 | 細胞の分離回収方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6686768B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018163964A1 (ja) | 2017-03-10 | 2018-09-13 | 東京瓦斯株式会社 | 燃料電池システム及び燃料電池制御プログラム |
JP2018157812A (ja) * | 2017-03-23 | 2018-10-11 | 東ソー株式会社 | 試料中に含まれる細胞の検出方法 |
JP2019207229A (ja) * | 2018-05-29 | 2019-12-05 | 東ソー株式会社 | 血液試料保存剤 |
CN113637639A (zh) * | 2021-08-06 | 2021-11-12 | 安徽贝铭生物科技有限公司 | 一种血液循环肿瘤细胞的俘获方法 |
Citations (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005514009A (ja) * | 2001-10-05 | 2005-05-19 | アフィメート テラポイティクス アーゲー | 血小板凝集を阻害するためのヒト起源の抗体 |
US20050181353A1 (en) * | 2004-02-17 | 2005-08-18 | Rao Galla C. | Stabilization of cells and biological specimens for analysis |
JP2007064916A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-15 | Tosoh Corp | 抗凝固活性を有する薬剤の評価方法 |
WO2007102562A1 (ja) * | 2006-03-01 | 2007-09-13 | Keio University | 新規抗血栓薬 |
JP2010501072A (ja) * | 2006-08-17 | 2010-01-14 | エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー | 血小板機能を測定し、血小板関連疾患および心血管疾患を診断するための方法および手段 |
US20100247492A1 (en) * | 2008-09-05 | 2010-09-30 | The Scripps Research Institute | Methods for the detection of circulating tumor cells |
US20110027771A1 (en) * | 2009-07-31 | 2011-02-03 | Artemis Health, Inc. | Methods and compositions for cell stabilization |
JP2011024575A (ja) * | 2009-07-01 | 2011-02-10 | Takara Bio Inc | 細胞の分離方法 |
US20110230571A1 (en) * | 2007-10-26 | 2011-09-22 | Alfred Health | Diagnostic and therapeutic protocols |
-
2016
- 2016-07-27 JP JP2016147761A patent/JP6686768B2/ja active Active
Patent Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005514009A (ja) * | 2001-10-05 | 2005-05-19 | アフィメート テラポイティクス アーゲー | 血小板凝集を阻害するためのヒト起源の抗体 |
JP2010029203A (ja) * | 2001-10-05 | 2010-02-12 | Affimed Therapeutics Ag | 血小板凝集を阻害するためのヒト起源の抗体 |
US20050181353A1 (en) * | 2004-02-17 | 2005-08-18 | Rao Galla C. | Stabilization of cells and biological specimens for analysis |
JP2007064916A (ja) * | 2005-09-02 | 2007-03-15 | Tosoh Corp | 抗凝固活性を有する薬剤の評価方法 |
WO2007102562A1 (ja) * | 2006-03-01 | 2007-09-13 | Keio University | 新規抗血栓薬 |
JP2010501072A (ja) * | 2006-08-17 | 2010-01-14 | エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー | 血小板機能を測定し、血小板関連疾患および心血管疾患を診断するための方法および手段 |
US20110230571A1 (en) * | 2007-10-26 | 2011-09-22 | Alfred Health | Diagnostic and therapeutic protocols |
US20100247492A1 (en) * | 2008-09-05 | 2010-09-30 | The Scripps Research Institute | Methods for the detection of circulating tumor cells |
JP2011024575A (ja) * | 2009-07-01 | 2011-02-10 | Takara Bio Inc | 細胞の分離方法 |
US20110027771A1 (en) * | 2009-07-31 | 2011-02-03 | Artemis Health, Inc. | Methods and compositions for cell stabilization |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
"誘導泳動を利用した血中希少がん細胞の検出・解析システムの開発", 東ソー研究・技術報告, vol. 58, JPN6020007595, 2014, pages 3 - 12, ISSN: 0004222136 * |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018163964A1 (ja) | 2017-03-10 | 2018-09-13 | 東京瓦斯株式会社 | 燃料電池システム及び燃料電池制御プログラム |
JP2018157812A (ja) * | 2017-03-23 | 2018-10-11 | 東ソー株式会社 | 試料中に含まれる細胞の検出方法 |
JP2019207229A (ja) * | 2018-05-29 | 2019-12-05 | 東ソー株式会社 | 血液試料保存剤 |
JP7334468B2 (ja) | 2018-05-29 | 2023-08-29 | 東ソー株式会社 | 血液試料保存剤 |
CN113637639A (zh) * | 2021-08-06 | 2021-11-12 | 安徽贝铭生物科技有限公司 | 一种血液循环肿瘤细胞的俘获方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6686768B2 (ja) | 2020-04-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Ju et al. | Detection of circulating tumor cells: opportunities and challenges | |
Evander et al. | Non-contact acoustic capture of microparticles from small plasma volumes | |
JP6364946B2 (ja) | 分離構造体及び分離方法 | |
JP6686768B2 (ja) | 細胞の分離回収方法 | |
JP6617516B2 (ja) | 血液試料中に含まれる目的細胞の検出方法 | |
JP2008529541A (ja) | 腫瘍細胞の分離用容器 | |
US20190078153A1 (en) | Method of analyzing genetically abnormal cells | |
JPWO2013168767A1 (ja) | 赤血球除去方法および採血用遠沈管 | |
JP2002536635A (ja) | 体液から腫瘍細胞を濃縮するか又は除去する方法及びかかる目的に適したキット | |
US11371982B2 (en) | Method of predicting patient prognosis using rare cells | |
EP2084508B1 (en) | Preparation method | |
JP6617495B2 (ja) | 腫瘍細胞の検出方法 | |
JP7143678B2 (ja) | 標的細胞を検出する方法 | |
WO2019172030A1 (ja) | 腫瘍マーカーならびに腫瘍細胞を夾雑細胞と区別して回収および検出する方法 | |
Costa et al. | Methodology for the isolation and analysis of CTCs | |
JP7334468B2 (ja) | 血液試料保存剤 | |
JP7306618B2 (ja) | がんの転移形成能に関与する因子および前記因子を用いたがん患者の予後予測方法 | |
JP6822006B2 (ja) | 目的粒子の回収方法および回収装置 | |
JP2016106622A (ja) | 細胞の分離回収方法 | |
CN113980814B (zh) | 一种用于外周血红细胞快速裂解的组合物及其应用 | |
JP2017055759A (ja) | 比重分離を利用した細胞の分離回収方法 | |
Stevens et al. | Improved enrichment of circulating Tumor cells from diagnostic leukapheresis product | |
JP2018157812A (ja) | 試料中に含まれる細胞の検出方法 | |
JP7413692B2 (ja) | 細胞を含む試料の前処理方法 | |
JP7279542B2 (ja) | 試料中に含まれる目的細胞の定量方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190611 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200226 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200303 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200316 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6686768 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |