JP2016106622A - 細胞の分離回収方法 - Google Patents

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泰之 秋山
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【課題】 細胞を含む溶液から前記細胞を分離回収する方法であって、前記溶液中に含まれる細胞量が非常に少ない場合であっても、効率的に細胞を分離回収できる方法を提供すること。【解決手段】 細胞を含む溶液を遠心分離することで前記細胞を分離回収する方法であって、細胞を含む溶液に親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含ませることで、前記課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、細胞を含む溶液から前記細胞を効率的に分離回収する方法に関する。特に本発明は、前記溶液中に含まれる細胞量が非常に少ない場合であっても、前記細胞を効率的に分離回収できる方法に関する。
近年、血液などの体液や、臓器などの組織を溶液に懸濁もしくは分散して得られる組織標本試料や細胞培養液などから細胞を選択的に分離回収し、当該分離回収した細胞を基礎研究や臨床診断、治療へ応用する研究が進められている。例えば、がん患者より採取した血液から腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell、以下CTC)を採取し、当該細胞について形態学的分析、組織型分析や遺伝子分析を行ない、前記分析により得られた知見に基づき治療方針を判断する研究が進められている。
血液などの検体中に含まれる細胞を分離回収する方法として、従来から遠心分離による方法が用いられており、前記細胞をより多く回収するための効率のよい分離回収方法が求められている。特許文献1は、密度勾配遠心分離を用いた方法で血液中に含まれる細胞を分離回収する方法であって、血液由来タンパク質および/または乳由来タンパク質を含有する溶液を前記血液に添加することで、効率的な細胞の分離回収を実現している。しかしながら、CTCのように血液中への含量が非常に少ない細胞に対しては、引用文献1に開示の方法を用いても、効率的に細胞を分離回収するのは困難であった。
特開2011−024575号公報
本発明の課題は、細胞を含む溶液から前記細胞を分離回収する方法であって、前記溶液中に含まれる細胞量が非常に少ない場合であっても、効率的に細胞を分離回収できる方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明の第一の態様は、
細胞を含む溶液を遠心分離することで、前記細胞を分離回収する方法であって、
細胞を含む溶液が、親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含む溶液である、前記方法である。
また本発明の第二の態様は、細胞を含む溶液が、糖をさらに含んだ溶液である、前記第一の態様に記載の方法である。
また本発明の第三の態様は、
細胞を含む溶液を密度勾配形成用媒体上に重層する工程と、
密度勾配遠心分離を行ない、前記細胞を含む上清を回収する工程と、
前記上清を遠心分離して得られた前記細胞を含むペレットを、親水性高分子を結合したタンパク質および糖を含んだ溶液に懸濁させる工程と、
前記ペレット懸濁液を遠心分離することで、前記細胞を含むペレットを回収する工程とを含む、細胞を分離回収する方法である。
また本発明の第四の態様は、親水性高分子を結合したタンパク質が、タンパク質に対し親水性高分子を0.5以上のモル比で反応させて得られたタンパク質である、前記第一から第三の態様のいずれかに記載の方法。
また本発明の第五の態様は、タンパク質が血液由来タンパク質または乳由来タンパク質である、前記第一から第四の態様のいずれかに記載の方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法で分離回収する、細胞を含む溶液は、細胞を含む液状の組成物を意味する。具体的には、血液、希釈血液、血清、血漿、髄液、臍帯血、成分採血液、尿、唾液、精液、糞便、痰、羊水、腹水などの生体試料や、肝臓、肺、脾臓、腎臓、皮膚、腫瘍、リンパ節などの組織の一片を懸濁させた液や、前記生体試料や前記組織懸濁液より分離して得られる、前記生体試料または前記組織由来の細胞を含む画分や、あらかじめ単離した細胞の培養液、などがあげられる。このうち前記生体試料や前記組織懸濁液より分離して得られる、前記生体試料または前記組織由来の細胞を含む画分の一例として、生体試料や組織懸濁液を密度勾配形成用媒体上に重層後、密度勾配遠心分離を行ない、得られる画分があげられる。
本発明は細胞を含む溶液から前記細胞を遠心分離を用いて分離回収する際、前記溶液に親水性高分子を結合したタンパク質がさらに含まれていることを特徴としている。親水性高分子は電荷を持たない親水性高分子であればよく、一例としてポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシアルキル)メタクリレート、ポリアクリルアミド、ホスホリルコリン基を側鎖に有するポリマー、多糖類、ポリペプチドがあげられる。タンパク質は水溶性を有していればよく、一例として血清由来タンパク質や血漿由来タンパク質などの血液由来タンパク質やカゼインなどの乳由来タンパク質があげられ、さらに具体的な例として当業者が通常用いる血清由来タンパク質であるウシ血清アルブミン(BSA)や、当業者が通常用いる乳由来タンパク質であるカゼインがあげられる。親水性高分子を結合したタンパク質は、親水性高分子とタンパク質とが一定の割合で結合したタンパク質であり、例えば、タンパク質と結合可能な官能基(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド基)を付与した親水性高分子とタンパク質とを一定のモル比で反応させることで得られる。なお親水性高分子とタンパク質との反応比は、タンパク質に対し親水性高分子を0.01以上のモル比で反応させればよく、0.5以上のモル比で反応させればより好ましく、2以上のモル比で反応させると最も好ましい(タンパク質に対し親水性高分子を2以上のモル比で反応させると、血液由来タンパク質の場合は前記タンパク質に対し親水性高分子が実測モル比1以上で結合し、乳由来タンパク質の場合は前記タンパク質に対し親水性高分子が実測モル比0.2以上で結合する)。また前記溶液に、マンニトール、グルコース、スクロースなどの糖をさらに含むと細胞へのダメージが少なくなるため好ましく、前記糖を含む溶液に塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどの電解質や、BSAやカゼイン等のタンパク質をさらに含んでもよい。添加する糖の濃度は等張液となる濃度とすればよく、糖としてマンニトールを用いる場合は終濃度で250mMから350mMの間とすればよい。
本発明の方法で分離回収した細胞の測定は、例えば、スライドに塗布したり、顕微鏡や光学検出器などで観察したり、フローサイトメトリーを用いたりして行なえばよい。なお本発明の方法で分離回収した細胞の測定を、顕微鏡や光学検出器などで観察して行なう場合、前記細胞を含む懸濁液を、前記細胞を保持可能な保持部を有した細胞保持手段に導入し、前記保持部に前記細胞を保持した後、顕微鏡や光学検出器などで観察するとよい。保持部の例として、前記細胞を収納可能な孔や、前記細胞を固定可能な材料(例えば、ポリ−L−リジン)で覆われた面があげられる。なお保持部の大きさを前記細胞を一つだけ保持可能な大きさとすると、特定細胞の採取および解析(形態学的分析、組織型分析、遺伝子分析など)が容易に行なえる点で好ましい。また細胞を保持部に保持させる際、誘電泳動力を用いると、保持部に細胞を効率的に保持させることができる点で好ましい。誘電泳動力を用いる場合、具体的には、交流電圧を印加することで誘電泳動を発生させ、保持部内へ細胞を導入すればよい。印加する交流電圧は、保持部内の細胞の充放電が周期的に繰り返される波形を有した交流電圧であると好ましく、周波数を100kHzから3MHzの間とし、電界強度を1×10から5×10V/mの間とすると特に好ましい(WO2011/149032号および特開2012−013549号公報参照)。
以下、本発明の分離回収方法の一例として、血液中に含まれる腫瘍細胞(CTC)を分離回収する方法について説明するが、本発明は本説明の内容に限定されるものではない。
(1)がんの疑いのある患者から血液を採取する。なお血液を採取する際、クエン酸、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの抗凝固剤を添加してもよい。また必要に応じ、採取した血液を生理食塩水などで希釈してもよい。
(2)採取した血液(または希釈した血液)を密度勾配遠心法を用いて、CTCを分離する。密度勾配遠心法は細胞をその比重に基づき分離する方法であり、密度勾配を形成した媒体(密度勾配形成用媒体)上に採取した血液(または希釈した血液)を重層した後、遠心分離を行ない、目的とするCTCを含む層(上層)を回収することで、不要な細胞を除去したCTCを含む画分を得る。なお密度勾配遠心を行なう前に、血液または希釈血液に、不要な細胞である赤血球、白血球、血小板と結合可能な結合剤(例えば、RosetteSep(StemCell Technologies社製))を添加するとよい。前記結合剤は、赤血球、白血球や血小板、および/またはこれら細胞の表面抗原と結合することで細胞凝集体を形成し、これら細胞の密度を大きくすることができるため、密度勾配遠心法によるCTCの分離を容易にする。
(3)(2)で得られたCTCを含む画分を遠心分離することで血液成分を除去し、当該CTCをペレット状にした後、親水性高分子を結合したタンパク質(例えば、ポリエチレングリコールを結合したBSAやポリエチレングリコールを結合したカゼイン)を含む溶液を添加し、CTCを懸濁させる。親水性高分子を結合したタンパク質の濃度は、懸濁液でのタンパク質の終濃度として、0.01から25%(w/v)の間であればよく、0.02から5%(w/v)の間であればより好ましく、0.05から2%(w/v)の間であればさらに好ましい。
(4)(3)で調製したCTCを含む懸濁液を再度遠心分離し、CTCを含むペレットを回収する。なお必要に応じ、前記回収したペレットを親水性高分子を結合したタンパク質を含む溶液に再度懸濁させ、遠心分離する工程を追加してもよい。
本発明は、細胞を含む溶液を遠心分離することで前記細胞を分離回収する方法において、細胞を含む溶液が親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含むことを特徴としている。本発明の方法は細胞を含む溶液から前記細胞を高効率に分離回収することができ、特に前記溶液中に含まれる細胞量が非常に少ない場合に有用な方法である。
例えば本発明を、血液中に含まれる腫瘍細胞(CTC)の分離回収に適用することで、採血量を少なくすることができ、患者への負担を低減させることができる。またがんの診断をCTCの存在により行なう場合、CTCの有無の判断結果に対する信頼性が向上するため、精度高く診断することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は当該例に限定されるものではない。
実施例1
(1)一方の末端がメトキシ基であり、もう一方の末端がN−ヒドロオキシスクシンイミドエステル基である、分子量5000のポリエチレングリコール(mPEG−NHS)と、ウシ血清アルブミン(BSA)(300mg、4.5μmol)とを、炭酸水素ナトリウム緩衝液(0.1M、15mL)に溶解させ、当該溶液を室温で3時間撹拌することでポリエチレングリコールを結合したBSA(PEG−BSA)を調製した。なお調製する際、mPEG−NHSとBSAとのモル比(mPEG−NHS/BSA)を0.5、1、2または5となるようにした。調製後、分画分子量10000の透析膜を用いて、純水への溶液置換を3日間行なった。
(2)ヒト乳がん細胞(SKBR3)を、5%CO環境下、10%FBSを含むRPMI−1640培地を用いて37℃で24から96時間培養後、0.25%トリプシン/1mM EDTAを用いて培地から細胞を剥離し、蛍光染色色素(CFSE、同仁化学研究所社製)で標識した。蛍光標識されたSKBR3細胞を目的とする細胞とし、蛍光標識されたSKBR3細胞約50個を(1)で調製したPEG−BSA(BSAとして1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液30mLに添加し、懸濁させた。
(3)(2)で得られたSKBR3細胞懸濁液を300×gで5分間、室温にて遠心分離し、上清を除去した。
(4)(3)で上清を除去したSKBR3細胞を含む懸濁液を細胞診断チップに導入し、交流電圧を3分間印加することで前記チップが有する保持部にSKBR3細胞を保持させた。本実施例で用いた細胞診断チップは、直径30μmで深さ30μmの微細孔からなる微細孔を複数有した絶縁体と前記絶縁体と下部電極基板の間に設置した遮光性のクロム膜とからなる保持部を、厚さ1mmのスペーサーと下部電極基板とで挟んだ構造であり、前記スペーサーを上部電極基板と下部電極基板とで挟んだ構造である。
(5)細胞診断チップに保持されたSKBR3細胞数を計測し、(2)で添加したSKBR3細胞数で除することで回収率を算出した。
実施例2
(1)一方の末端がメトキシ基であり、もう一方の末端がN−ヒドロオキシスクシンイミドエステル基である、分子量5000のポリエチレングリコール(mPEG−NHS)と、カゼイン(300mg、10.7μmol)(カゼインの分子量28000と仮定し算出)とを、純水(30mL)に溶解させ、当該溶液を室温で24時間撹拌することでポリエチレングリコールを結合したカゼイン(PEG−カゼイン)を調製した。なお調製する際、mPEG−NHSとカゼインとのモル比(mPEG−NHS/カゼイン)を0.5、1、2または5となるようにした。
(2)実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、(1)で調製したPEG−カゼイン(カゼインとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液を用いた他は、実施例1と同様な方法で回収率を算出した。
比較例1
実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、
300mMマンニトールを含む溶液、
300mMマンニトールおよび1%(w/v)BSAを含む溶液、
300mMマンニトールおよび0.1%(w/v)カゼインを含む溶液、
300mMマンニトールおよび、一方の末端がメトキシ基、もう一方の末端がカルボキシ基である分子量5000のポリエチレングリコール(mPEG−COOH、mPEG−NHSの加水分解物)0.3mMを含む溶液、または
300mMマンニトールおよび、両末端がヒドロキシ基である分子量6000のポリエチレングリコール(PEG−OH)0.3mMを含む溶液、
を用いた他は、実施例1と同様な方法で回収率を算出した。
実施例1および2ならびに比較例1での回収率の結果をまとめて表1に示す。なお表1において、PEG(0.5)−BSAはmPEG−NHS/BSAがモル比0.5の条件で調製したPEG−BSA(PEGはBSAに対して実測モル比0.33で結合している)であり、PEG(1)−BSAはmPEG−NHS/BSAがモル比1の条件で調製したPEG−BSA(PEGはBSAに対して実測モル比0.45で結合している)であり、PEG(2)−BSAはmPEG−NHS/BSAがモル比2の条件で調製したPEG−BSA(PEGはBSAに対して実測モル比1.14で結合している)であり、PEG(5)−BSAはmPEG−NHS/BSAがモル比5の条件で調製したPEG−BSA(PEGはBSAに対して実測モル比3.01で結合している)であり、PEG(0.5)−カゼインはmPEG−NHS/カゼインがモル比0.5の条件で調製したPEG−カゼイン(PEGはカゼインに対して実測モル比0.08で結合している)であり、PEG(1)−カゼインはmPEG−NHS/カゼインがモル比1の条件で調製したPEG−カゼイン(PEGはカゼインに対して実測モル比0.12で結合している)であり、PEG(2)−カゼインはmPEG−NHS/カゼインがモル比2の条件で調製したPEG−カゼイン(PEGはカゼインに対して実測モル比0.23で結合している)であり、PEG(5)−カゼインはmPEG−NHS/カゼインがモル比5の条件で調製したPEG−カゼイン(PEGはカゼインに対して実測モル比0.38で結合している)である。遠心分離を用いたがん細胞の分離回収工程において、親水性高分子を結合した血液由来タンパク質であるPEG−BSAまたは親水性高分子を結合した乳由来タンパク質であるPEG−カゼインを含む溶液を用いることで、PEGおよびタンパク質を含まない溶液(3.8%)や、BSAまたはカゼインを含む溶液(90.6%、88.1%)や、PEGを含む溶液(89.0%、12.9%)と比較し、回収率が向上していることがわかる(91.3%から99.2%)。またPEG−BSAまたはPEG−カゼインを含む溶液同士で比較したところ、がん細胞回収率は、mPEG−NHS/BSAまたはmPEG−NHS/カゼインの上昇に伴い向上しており、PEG(2)−BSA、PEG(5)−BSA、PEG(2)−カゼインおよびPEG(5)−カゼインを含んだ溶液では回収率が97%以上と高い回収率となった。
Figure 2016106622
実施例3
(1)インフォームドコンセントを得た健常人から血液をEDTA−2K採血管(VP−DK050K、テルモ社製)に3mL採血後、前記採血管に3mLの生理食塩水、75μLの白血球・赤血球結合剤(RosetteSep、StemCell Technologies社製)および蛍光標識した約50個のSKBR3細胞を添加することで、希釈血液試料を調製した。
(2)調製した希釈血液試料を、密度1.091g/mLの密度勾配溶液に重層し、2000×gで5分間、室温にて遠心後、上清を回収した。
(3)(2)で回収した上清に、0.9%(w/v)塩化アンモニウムと0.1%(w/v)炭酸水素カリウムと含む溶血液で30mLまでメスアップし、300×gで10分間、室温にて遠心分離した。当該操作により上清に混入した赤血球が破壊され、分離回収したSKBR3細胞の観察が良好になる。
(4)上清を除去後、SKBR3細胞を含むペレットを、実施例1(1)に記載の方法で調製したPEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液30mLで再懸濁した。
(5)再懸濁液を300×gで5分間、室温にて遠心分離後、上清を除去し、再度、SKBR3細胞を含むペレットをPEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液30mLで再懸濁した。当該操作は、血液成分を除去し、目的とするSKBR3細胞を濃縮するための操作である。
(6)実施例1(3)から(5)と同様な方法で、SKBR3細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。
実施例4
実施例3(4)および(5)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、実施例2(1)に記載の方法で調製したPEG−カゼイン(カゼインとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液を用いた他は、実施例3と同様な方法で、SKBR3細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。
比較例2
実施例3(4)および(5)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、
300mMマンニトールを含む溶液、
300mMマンニトールおよび0.1%(w/v)BSAを含む溶液、または
300mMマンニトールおよび0.1%(w/v)カゼインを含む溶液、
を用いた他は、実施例3と同様な方法で、SKBR3細胞の分離回収および回収率の算出を行なった。
実施例3および4ならびに比較例2での回収率の結果をまとめて表2に示す。なお表2において、PEG(1)−BSAはmPEG−NHS/BSAがモル比1の条件で調製したPEG−BSA(PEGはBSAに対して実測モル比0.45で結合している)であり、PEG(2)−BSAはmPEG−NHS/BSAがモル比2の条件で調製したPEG−BSA(PEGはBSAに対して実測モル比1.14で結合している)であり、PEG(5)−BSAはmPEG−NHS/BSAがモル比5の条件で調製したPEG−BSA(PEGはBSAに対して実測モル比3.01で結合している)であり、PEG(1)−カゼインはmPEG−NHS/カゼインがモル比1の条件で調製したPEG−カゼイン(PEGはカゼインに対して実測モル比0.12で結合している)であり、PEG(2)−カゼインはmPEG−NHS/カゼインがモル比2の条件で調製したPEG−カゼイン(PEGはカゼインに対して実測モル比0.23で結合している)であり、PEG(5)−カゼインはmPEG−NHS/カゼインがモル比5の条件で調製したPEG−カゼイン(PEGはカゼインに対して実測モル比0.38で結合している)である。遠心分離を用いたがん細胞の分離回収工程において、親水性高分子を結合した血液由来タンパク質であるPEG−BSAまたは親水性高分子を結合した乳由来タンパク質であるPEG−カゼインを含む溶液を用いることで、PEGおよびタンパク質を含まない溶液(81.5%)や、BSAまたはカゼインを含む溶液(87.0%、86.6%)と比較し、回収率が向上していることがわかる(90.4%から96.4%)。またPEG−BSAを含む溶液同士で比較したところ、がん細胞回収率は、mPEG−NHS/BSAの上昇に伴い向上しており、PEG(2)−BSAおよびPEG(5)−BSAを含んだ溶液では回収率が95.0%前後と高い回収率となった。
Figure 2016106622

Claims (5)

  1. 細胞を含む溶液を遠心分離することで、前記細胞を分離回収する方法であって、
    細胞を含む溶液が、親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含む溶液である、前記方法。
  2. 細胞を含む溶液が、糖をさらに含んだ溶液である、請求項1に記載の方法。
  3. 細胞を含む溶液を密度勾配形成用媒体上に重層する工程と、
    密度勾配遠心分離を行ない、前記細胞を含む上清を回収する工程と、
    前記上清を遠心分離して得られた前記細胞を含むペレットを、親水性高分子を結合したタンパク質および糖を含んだ溶液に懸濁させる工程と、
    前記ペレット懸濁液を遠心分離することで、前記細胞を含むペレットを回収する工程とを含む、細胞を分離回収する方法。
  4. 親水性高分子を結合したタンパク質が、タンパク質に対し親水性高分子を0.5以上のモル比で反応させて得られたタンパク質である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. タンパク質が血液由来タンパク質または乳由来タンパク質である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
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