JP6686357B2 - 細胞の回収方法 - Google Patents
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細胞を含む溶液を、前記細胞を保持可能な保持部を設けた細胞保持手段に導入する工程と、
前記保持部に前記細胞を保持させる工程とを含む、細胞の回収方法であって、
細胞を含む溶液が、血液由来タンパク質、乳由来タンパク質または親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含む溶液である、前記回収方法である。
細胞を含む溶液を、前記細胞を保持可能な保持部を設けた細胞保持手段に導入する工程と、
前記保持部に前記細胞を保持させる工程と、
接着物質を含む溶液を前記細胞保持手段に導入することで、前記保持された細胞を前記保持部に接着させる工程とを含む、細胞の固定化方法であって、
細胞を含む溶液が、血液由来タンパク質、乳由来タンパク質または親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含む溶液である、前記固定化方法である。
細胞を含む溶液を、前記細胞を保持可能な保持部を設けた細胞保持手段に導入する工程と、
前記保持部に前記細胞を保持させる工程と、
接着物質を含む溶液を前記細胞保持手段に導入することで、前記保持された細胞を前記保持部に接着させる工程と、
細胞固定試薬を含む細胞膜透過試薬を前記細胞保持手段に導入することで、前記保持部に接着した細胞を標本化する工程とを含む、細胞の標本化方法であって、
細胞を含む溶液が、血液由来タンパク質、乳由来タンパク質または親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含む溶液である、前記標本化方法である。
貫通孔11aを有した平板状の遮光部材11と、貫通孔12aを有した平板状の絶縁体12と、導入口13a、排出口13bおよび貫通部13cを有した平板状のスペーサ13とからなる細胞導入保持手段10と、
細胞導入保持手段10を上下方向に密着して挟むよう設けた電極基板21・22と、
電極基板21・22同士を接続する導線30と、
電極基板21・22に信号を印加する信号発生器40と、
を備えている。遮光部材11が有する貫通孔11aと絶縁体12が有する貫通孔12aとは互いに同一の寸法および形状であり、かつそれぞれの貫通孔の位置が一致するよう遮光部材11および絶縁体12を設けている。貫通孔11a、貫通孔12aおよび遮光部材11の下部に密着して設けた電極基板21により保持部50が構成され、導入口13aから細胞を含む液体を導入すると、貫通部13cを通じて保持部50へ細胞が導入される。電極基板22はスペーサ13上部に密着して設けており、導入口13aから導入した、細胞を含む液体の飛散や蒸発を防止している。なお保持部50に保持した細胞の回収を容易にするため、電極基板22はスペーサ13から取り外し可能な構造となっている。
なお貫通孔11a・12aは直径30μm、深さ40μmであり、孔間隔50μmでアレイ状に配置されている。また遮光部材11はクロム膜で構成されており、スペーサ13の厚さは1mmである。
(1)がんの疑いのある患者から血液から採取し、密度勾配遠心法を用いて、CTCを含むペレットを取得後、血液由来タンパク質、乳由来タンパク質または親水性高分子を結合したタンパク質(例えば、ポリエチレングリコールを結合したBSAやポリエチレングリコールを結合したカゼイン)を含む溶液を添加し、CTCを懸濁させる。血液由来タンパク質、乳由来タンパク質または親水性高分子を結合したタンパク質の濃度は、懸濁液でのタンパク質の終濃度として、0.01から25%(w/v)の間であればよく、0.02から5%(w/v)の間であればより好ましく、0.05から2%(w/v)の間であればさらに好ましい。
(2)(1)で調製したCTCを含む懸濁液を、図1に示した細胞回収装置100に備えた導入口13aから、信号発生器40から交流電圧を電極基板21・22へ印加した状態で導入することで、誘電泳動力により保持部50へCTCが保持させる。誘電泳動時、CTCを含む懸濁液の電気伝導度が高いと、交流電場印加の際に発熱し、溶媒内のCTCを含む粒子のブラウン運動が活発になるため、誘電泳動力によるCTC保持能が低下する。またCTCを含む懸濁液の電気泳動度が低いと、細胞表面の負電荷による細胞自体の分散安定性が高まるため、細胞の微細孔近傍への沈降が妨げられ、保持部50へのCTC保持能力が低下する。一方、CTCを含む懸濁液に血液由来タンパク質、乳由来タンパク質または親水性高分子を結合したタンパク質をさらに含ませると、細胞自体の分散安定性が低下し、細胞が貫通孔11a・12a近傍に速やかに沈降するので、保持部50へのCTCの保持能が向上する。
(3)保持部50に保持されたCTCに対し、接着物質を含む溶液を導入口13aから導入することで、前記CTCを保持部50に接着させる。接着物質としてポリ−L−リジンを用いた場合、血液由来タンパク質、乳由来タンパク質、またはタンパク質に対し親水性高分子を1以下のモル比で反応させて得られた親水性高分子を結合したタンパク質が共存すると、ポリ−L−リジンとタンパク質とが結合し可溶性が低下して白色の析出物が形成するため、CTCの観察・測定が困難となる(後述の実施例2参照)。そこでタンパク質に対し親水性高分子を1.5以上のモル比で反応させて得られた、親水性高分子を結合したタンパク質を含む溶液でCTCを懸濁させるとよい。
(4)保持部50に接着したCTCに対し、細胞固定試薬を含有する細胞膜透過試薬を導入口13aから導入することで、前記CTCを標本化させる。
(1)一方の末端がメトキシ基であり、もう一方の末端がN−ヒドロオキシスクシンイミドエステル基である、分子量5000のポリエチレングリコール(mPEG−NHS)と、ウシ血清アルブミン(BSA)(300mg、4.5μmol)とを、炭酸水素ナトリウム緩衝液(0.1M、15mL)に溶解させ、当該溶液を室温で3時間撹拌することでポリエチレングリコールを結合したBSA(PEG−BSA)を調製した。なお調製する際、mPEG−NHSとBSAとのモル比(mPEG−NHS/BSA)を1、2または5となるようにした。調製後、分画分子量10000の透析膜を用いて、純水への溶液置換を3日間行なった。
(2)ヒト乳がん細胞(SKBR3)を、5%CO2環境下、10%FBSを含むRPMI−1640培地を用いて37℃で24から96時間培養後、0.25%トリプシン/1mM EDTAを用いて培地から細胞を剥離し、蛍光染色色素(CFSE、同仁化学研究所社製)で標識した。蛍光標識されたSKBR3細胞を目的とする細胞とし、蛍光標識されたSKBR3細胞50から200個を0.1%(w/v)BSAおよび300mMマンニトールを含む溶液800μL、または(1)で調製したPEG−BSA(BSAとして1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液800μLに添加し、懸濁させた。
(3)(2)で得られたSKBR3細胞を含む懸濁液を図1に示す細胞回収装置100に導入し、信号発生器40で電圧20Vpp、周波数1MHzの交流電圧を電極基板21・22に3分間印加することで細胞回収装置100が有する保持部50にSKBR3細胞を保持させた。
(4)細胞診断チップに保持されたSKBR3細胞数を計測し、(2)で添加したSKBR3細胞数で除することで回収率を算出した。
(1)一方の末端がメトキシ基であり、もう一方の末端がN−ヒドロオキシスクシンイミドエステル基である、分子量5000のポリエチレングリコール(mPEG−NHS)と、カゼイン(300mg、10.7μmol)(カゼインの分子量28000と仮定し算出)とを、純水(30mL)に溶解させ、当該溶液を室温で24時間撹拌することでポリエチレングリコールを結合したカゼイン(PEG−カゼイン)を調製した。なお調製する際、mPEG−NHSとカゼインとのモル比(mPEG−NHS/カゼイン)を0.5、1、2または5となるようにした。
(2)実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、0.1%(w/v)カゼインおよび300mMマンニトールを含む溶液800μL、また
(1)で調製したPEG−カゼイン(カゼインとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液を用いた他は、実施例1と同様な方法で回収率を算出した。
実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、300mMマンニトールを含む溶液を用いた他は、実施例1と同様な方法で回収率を算出した。
(1)実施例1(2)から(3)と同様な方法で、誘電泳動により保持部50にSKBR3細胞を保持した。その後、引き続き信号発生器40で電圧20Vpp、周波数1MHzの交流電圧を電極基板21・22に印加しながら、0.01%(w/v)ポリ−L−リジンを含む300mMマンニトール溶液を導入することで、SKBR3細胞を保持部50に接着させた。
(2)(1)でポリ−L−リジンにより微細孔内にSKBR3細胞を接着させた後、細胞導入保持手段10内部を目視および顕微鏡で観察した。
実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、0.1%(w/v)カゼインおよび300mMマンニトールを含む溶液800μL、または実施例2(1)で調製したPEG−カゼイン(カゼインとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液を用いた他は、実施例3と同様な方法で観察した。
実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、300mMマンニトールを含む溶液を用いた他は、実施例3と同様な方法で観察した。
(1)実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、
mPEG−NHS/BSAがモル比2の条件で調製したPEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液、または
mPEG−NHS/カゼインがモル比2の条件で調製したPEG−カゼイン(カゼインとして0.1%(w/v))および300mMマンニトールを含む溶液、
を用いた他は、実施例3(1)と同様な方法で、ポリ−L−リジンにより微細孔内にSKBR3細胞を接着させた。
(2)50%(v/v)エタノールおよび1%(v/v)ホルムアルデヒドを含む溶液を図1に示す細胞回収装置100へ導入することで、保持部に保持されたSKBR3細胞を標本化した。
(3)保持部50に保持されたSKBR3細胞数(計測値)を、誘電泳動後の時点で保持部50に捕捉されたSKBR3細胞数(計測値)で除することで保持率を算出した。
実施例1(2)のSKBR3細胞に懸濁させる溶液として、300mMマンニトールを含む溶液を用いた他は、実施例5と同様な方法で保持率を算出した。
10:細胞導入保持手段
11:遮光部材
12:絶縁体
11a、12a:貫通孔
13:スペーサ
13a:導入口
13b:排出口
13c:貫通部
21・22:電極基板
30:導線
40:信号発生器
50:保持部
60:細胞
Claims (8)
- 細胞を含む溶液を、前記細胞を保持可能な保持部を設けた細胞保持手段に導入する工程と、
前記保持部に前記細胞を保持させる工程とを含む、細胞の回収方法であって、
細胞を含む溶液が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシアルキル)メタクリレート、ポリアクリルアミド及びホスホリルコリン基を側鎖に有するポリマーから選択される親水性高分子を結合したBSAまたは前記親水性高分子を結合したカゼインをさらに含む溶液である、前記回収方法。 - 細胞を含む溶液を、前記細胞を保持可能な保持部を設けた細胞保持手段に導入する工程と、
前記保持部に前記細胞を保持させる工程と、
接着物質を含む溶液を前記細胞保持手段に導入することで、前記保持された細胞を前記保持部に接着させる工程とを含む、細胞の固定化方法であって、
細胞を含む溶液が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシアルキル)メタクリレート、ポリアクリルアミド及びホスホリルコリン基を側鎖に有するポリマーから選択される親水性高分子を結合したBSAまたは前記親水性高分子を結合したカゼインをさらに含む溶液である、前記固定化方法。 - 細胞を含む溶液を、前記細胞を保持可能な保持部を設けた細胞保持手段に導入する工程と、
前記保持部に前記細胞を保持させる工程と、
接着物質を含む溶液を前記細胞保持手段に導入することで、前記保持された細胞を前記保持部に接着させる工程と、
細胞固定試薬を含む細胞膜透過試薬を前記細胞保持手段に導入することで、前記保持部に接着した細胞を標本化する工程とを含む、細胞の標本化方法であって、
細胞を含む溶液が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシアルキル)メタクリレート、ポリアクリルアミド及びホスホリルコリン基を側鎖に有するポリマーから選択される親水性高分子を結合したBSAまたは前記親水性高分子を結合したカゼインをさらに含む溶液である、前記標本化方法。 - 細胞固定試薬を含む細胞膜透過試薬がエタノールとホルムアルデヒドとを少なくとも含む試薬である、請求項3に記載の方法。
- 接着物質を含む溶液がポリ−L−リジンを少なくとも含む溶液である、請求項2から4のいずれかに記載の方法。
- 細胞を含む溶液が、糖をさらに含む溶液である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
- 保持部に細胞を保持させる工程を、誘電泳動力を用いて行なう、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
- 前記親水性高分子を結合したBSAまたは前記親水性高分子を結合したカゼインが、BSAまたはカゼインに対し前記親水性高分子を1.5以上のモル比で反応させて得られたBSAまたはカゼインである、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
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