JPWO2015033996A1 - ミシン - Google Patents

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    • D05B55/14Needle-bar drives

Abstract

縫い針(11)が挿入される針穴(411,421)が貫通形成された針板(40)と、針板(40)の上面に沿って被縫製物を移動させる移動機構としての送り機構(60)と、縫い針(11)の上下動動作を行う針上下動機構(30)と、針板(40)の下側で縫い針(11)から上糸(U)を捕捉して下糸(D)を絡める釜機構(50)と、針板(40)と釜機構(50)との間に設けられ、下糸(D)と上糸(U)を切断する糸切り装置(80)と、糸切り装置(80)により切断された上糸(U)の縫い針側部分(U1)を被縫製物の上側に引き出すワイパー機構(90)と制御装置(120)と、針板の上面より下方であって、糸切り装置より上方に配置された残端切除機構(100)とを備え、糸切り装置による糸切断後に被縫製物に連なる下糸及び上糸の残端を残端切除機構が切除する。これにより、上糸及び下糸の残端を短くする。

Description

本発明は、上糸及び下糸を切断する糸切り装置を備えるミシンに関する。
針上下動機構と釜機構との協働により、上糸と下糸の結節による縫い目形成を行うミシンにあっては、針板の下側で下糸及び上糸の布側部分と上糸の縫い針側部分とに選り分ける糸捌きを行ってから所定の縫糸の切断を行う糸切り装置を備えている。そして、このような糸切り装置としては、メスが釜の周囲を回動する動作を行う回動式とメスが水平面に沿って動作する水平式とが多く使用されている。
上記回動式の糸切り装置は、垂直釜の周囲において回動可能に支持された糸切用固定メス及び糸切用動メスとを備え、縫製中は針落ち位置から退避している糸切用固定メスが切断時に針落ち位置手前まで前進し、糸切用動メスは糸切用固定メスの前進方向に対向する方向へ移動して針落ち位置で糸捌きを行いつつ糸切用動メスの前進位置に到達して、下糸及び上糸の布側部分の切断を行う(例えば、特許文献1参照)。
また、水平式の糸切り装置は、針落ち位置を通過するように水平面に沿って前後に往復回動動作を行う糸切用動メスと、針落ち位置近傍に設けられた糸切用固定メスとを備え、糸切用動メスは往動回動時に糸捌きを行い、復動回動時に糸切用固定メスと協働して下糸及び上糸の布側部分の切断を行う(例えば、特許文献2参照)。
特開平07−155489号公報 特開2007−029437号公報
しかしながら、上記ミシンの糸切り装置は、いずれも、針板の下側で糸切りを行うので、糸切用メスを針板に近接させて配置し、切断位置も針落ち位置近傍となるように設計したとしても、糸切断後の布地には針板の厚さ分以上の残端(残り糸)が残るという問題があった。このため、残端を極力短くしたいという要請がある場合には、手作業で切除することが必要となっていた。
また、針板から出没する送り歯を用いて布送りを行う場合には、以下の問題がある。即ち、上記糸切り装置では、縫い針と糸切用メスとが干渉しないように、縫い針を上死点近傍に位置する時に切断が行われるようになっている。一方、送り歯は縫い針が針板よりも上昇しているときに送りを行うことから、上記切断のタイミングでは、図14Aに示すように、送り歯が最も針板から突出して布地を針板から押し上げている。従って、送り歯が針板から押し上げている分だけ布地から糸切用メスまでの距離が離れるため、縫糸の残端が長くなるという問題があった。
さらに、送り歯を用いて布送りを行う場合、最終針の針落ち後の縫い針の上死点近傍で糸切りを行うと、送り歯が既に布を送り始めていることから、当該送り分だけ布地から糸切用メスまでの距離が離れるため、縫糸の残端が長くなっていた。さらに、最終針で布の下側に引き出された上糸が切断されることから、最終針の針落ち位置では上糸と下糸との結節が形成されず、上糸の残端は最終針の針落ち位置から残端が生じ、下糸の残端は最終針の一針手前の針落ち位置から生じる状態となる。このため、図13Bに示すように、離れた二箇所から残端が生じて縫い品質の低下を生じていた。
本発明は、上糸及び下糸の残端をより短くすることをその目的とする。
本発明は、縫い針が挿入される針穴が貫通形成された針板と、前記針板の上面に沿って被縫製物を移動させる移動機構と、前記縫い針の上下動動作を行う針上下動機構と、前記針板の下側で前記縫い針から上糸を捕捉して下糸を絡める釜機構と、前記針板と前記釜機構との間に設けられ、下糸と上糸を切断する糸切り装置と、前記糸切り装置により切断された上糸の縫い針側部分を前記被縫製物の上側に引き出すワイパー機構と、前記移動機構と前記糸切り装置と前記ワイパー機構の動作制御を行う制御装置とを備えるミシンにおいて、前記針板の上面より下方であって、前記糸切り装置より上方に配置された残端切除機構を備え、前記糸切り装置によって下糸と上糸を切断した後に、前記被縫製物に連なる下糸及び上糸の残端を、前記残端切除機構によって切除することを特徴とする。
本発明は、針板の上面より下方であって、糸切り装置より上方に配置された残端切除機構により、糸切り装置により切断された被縫製物側の下糸及び上糸の残端を切除するので、針板の厚みによって生じていた下糸及び上糸の残端の増加分を低減することが可能となる。
また、上記発明において、前記針板を上下二層構造とし、前記残端切除機構は、前記針板の上下の層の間に内蔵され、前記糸切り装置による切断後に被縫製物に連なる下糸及び上糸の残端を切除する切除用メスを有する構成としても良い。
本発明は、針板の上下の層の間に、糸切り装置により切断された被縫製物側の下糸及び上糸の残端を切除する残端切除機構の切除用メスを内蔵したので、針板の厚みによって生じていた下糸及び上糸の残端の増加分を低減することが可能となる。
また、上記発明において、前記制御装置は、前記糸切り装置による糸切りを実行する最終針の針落ち位置の一針前の針落ち位置からの送り量を0又はその直前の送り量よりも低減するように前記移動機構の送り量を制御しても良い。
上記発明では、最終針の針落ち位置をその一針前の針落ち位置と同じ位置又は近接させることにより、最終針の針落ち後の被縫製物の移動による残端の延長を回避すると共に、上糸の残端と下糸の残端とが離れた位置から生じる事態を回避することができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
また、上記発明において、前記移動機構は、前記針板の出没孔から出没する送り歯により被縫製物の送りを行い、前記制御装置は、前記糸切り装置による下糸と上糸の切断後、前記ミシンモーターを回転させることにより、前記送り歯の前記針板からの突出量を低減した後に、下糸及び上糸の残端の切除を行うように前記残端切除機構を制御しても良い。
上記発明では、送り歯の突出量を低減させた後に下糸及び上糸の残端の切除を行うので、切除後の残端をより短くすることが可能となる。
また、上記発明において、前記制御装置は、信号入力手段による糸切信号の入力が検出されると、所定針数を予め定められたコンデンス縫いピッチとなるように前記移動機構の送り量を制御しても良い。
上記発明では、コンデンス縫いを行うことが可能となる。
また、上記発明において、
前記ミシンは被縫製物にボタンの縫着を行うボタン付けミシンであって、前記針板及び前記残端切除機構より下方であって、前記釜機構より上方に配置された、前記上糸の縫い開始の端部を保持する上糸保持装置を備え、前記上糸保持装置は、前記上糸の縫い開始の端部の解放状態と前記上糸の縫い開始の端部の挟持状態とを切り替え可能な挟持手段と、当該挟持手段を前記解放状態から前記挟持状態に切り替えるアクチュエーターとを備え、前記制御装置は、前記ボタン縫着の第一針の針落ち後に前記挟持手段を前記解放状態から前記挟持状態に切り替え、前記ボタン縫着の最終針の針落ち後に前記糸切り装置により糸切りを行い、前記糸切り装置による糸切りの実行後に、前記挟持手段を前記解放状態に切り替える制御を行う構成としても良い。
また、上記発明において、前記針板の針穴下方から吸引を行う吸引機構を備える構成としても良い。
上記発明では、吸引機構により針板の下側の集塵をすることができ、周囲の機構等に塵芥が付着することによる動作不良などの発生を低減することが可能となる。
また、残端切除機構により切除する上糸及び下糸の残端を下方に引き延ばすことができ、切除をより確実に行うことが可能となる。
また、上記発明において、前記吸引機構は、前記針板の針穴に対して接離移動可能な吸引ノズルと当該接離移動動作を付与するノズル駆動手段とを備える構成としても良い。
上記発明では、各種構成が配置された針板の下方に対して吸引ノズルを接離移動可能とするため、他の構成と吸引ノズルとの干渉を低減し、相互の動作の安定化を図ることが可能となる。
また、上記発明において、前記移動を行う吸引ノズルが前記針板の針穴に到着すると同時に、又は到達する前に吸引を開始するように前記吸引機構を制御する吸引制御装置を備える構成としても良い。
上記発明では、吸引ノズルにより針穴の周囲の集塵も行うことができ、針板の下側領域をより清浄に維持することが可能となる。
また、上記発明において、前記針板を上下二層構造とし、前記残端切除機構は、前記針板の上下の層の間に内蔵され、前記糸切り装置による切断後に被縫製物に連なる下糸及び上糸の残端を切除する切除用メスを有し、前記上層の針板と前記下層の針板の双方に同心となる針穴を形成する構成としても良い。
また、上記発明において、前記下層の針板の上面の前記針穴の周囲部分を前記下層の針板の上面の他の部分よりも高く形成する構成としても良い。
また、上記発明において、前記残端処理機構は、前記上層の針板と前記下層の針板の間で、前記切除用メスとして、上側に固定メス、下側に動メスを備え、前記固定メスと前記動メスには、いずれも前記上糸と前記下糸とが挿通される貫通穴が形成され、前記動メスの貫通穴の切断動作方向における最小幅が前記上層の針板の針穴の切断動作方向における幅と一致する構成としても良い。
また、上記発明において、縫製時に保持された前記ボタンと前記被縫製物との間で、前記被縫製物の前記ボタン側への引き寄せを防止するための中押さえを備える構成としても良い。
以上のように、本発明は、上糸及び下糸の残端をより短くすることが可能である。
本発明の第一の実施形態であるミシンの概略構成図である。 ミシンの制御系のブロック図である。 送り調節機構の一部の構成を示す正面図である。 糸切り装置の概略構成を示す斜視図である。 糸切り装置の糸切用動メスと糸切用固定メスとによる糸切断状態を示す平面図である。 針板の斜視図である。 針板の下板及び残端切除機構の平面図である。 針板の上板及び残端切除機構の底面図(待機位置状態)である。 針板の上板及び残端切除機構の底面図(切除位置状態)である。 残端切除機構の斜視図である。 図10と異なる方向から見た残端切除機構の斜視図である。 吸引機構の背面図である。 図13Aは0ピッチ制御を実施したときの縫糸切断後の状態を示した説明図である。 図13Bは0ピッチ制御を実施しないときの縫糸切断後の状態を示した説明図である。 図14Aは送り歯降下制御を実施しないときの縫糸残端切除後の長さを示した説明図である。 図14Bは送り歯降下制御を実施したときの縫糸残端切除後の長さを示した説明図である。 ミシンの縫製制御の流れを示すタイミングチャートである 糸切り装置の他の例を示す底面図である。 残端切除機構の他の例を示す斜視図である。 図18Aは他の残端切除機構による残端切除前の状態を示した説明図である。 図18Bは他の残端切除機構による残端切除後の状態を示した説明図である。 残端切除機構及び吸引機構の他の例を示す針板を省略した平面図であって残端切除前且つ吸引開始前の状態を示している。 残端切除機構及び吸引機構の他の例を示す針板を省略した平面図であって残端切除前且つ吸引開始後の状態を示している。 残端切除機構及び吸引機構の他の例を示す針板を省略した平面図であって残端切除後且つ吸引開始後の状態を示している。 縫製から糸切り及び残端切除までの動作制御を示すフローチャートである。 本発明の第二の実施形態であるミシンの概略構成図である。 図23のボタン付けミシンの制御系のブロック図である。 上糸保持装置を示す分解斜視図である。 上糸保持装置を下から見た斜視図である。 挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「初期位置」を説明するための平面図である。 挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「初期位置」を説明するための側面図である。 挟持手段の「初期位置」を説明するための斜視図である。 挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「中間保持位置」を説明するための平面図である。 挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「中間保持位置」を説明するための側面図である。 挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「待機位置」を説明するための平面図である。 挟持手段、駆動手段、検出手段構成する各部材の「待機位置」を説明するための側面図である。 挟持手段の「待機位置」を説明するための斜視図である。 図23のボタン付けミシンのボタン縫着縫製動作のフローチャートである。 図23のボタン付けミシンのボタン縫着縫製動作の動作説明図である。 図33に続くボタン縫着縫製動作の動作説明図である。 図34に続くボタン縫着縫製動作の動作説明図である。 図35に続くボタン縫着縫製動作の動作説明図である。 図36に続くボタン縫着縫製動作の動作説明図である。 針穴の周囲の形状の他の例を示す斜視図である。 針穴と残端切除機構の切除用固定メスと切除用動メスとを、針穴の中心線を通過するY−Z平面に沿った断面で示した断面図であり、切除用動メスの非切除動作時を示す。 針穴と残端切除機構の切除用固定メスと切除用動メスとを、針穴の中心線を通過するY−Z平面に沿った断面で示した断面図であり、切除用動メスの切除動作時を示す。 中押さえを備える送り機構の斜視図である。 図41Aは中押さえを設けた場合のボタンと布地の縫着状態を示す説明図である。 図41Bは中押さえを設けなかった場合のボタンと布地の縫着状態を示す説明図である。
[第一の実施形態:本縫いミシンの全体的な概略構成]
以下、図1乃至図15に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施形態たるミシン10の概略構成図、図2は制御系のブロック図である。
ミシン10は、いわゆる本縫いミシンであって、ミシンフレーム20と、縫い針11を保持する針棒12を上下動させる針上下動機構30と、ミシンフレーム20のミシンベッド部21の針落ち位置に設けられた針板40と、針板40の下側で縫い針11の上糸Uを下糸Dに絡める釜機構50と、針板40の上面の被縫製物を一定の送りピッチで送る移動機構としての送り機構60と、送りピッチを変更する送り調節機構70と、最終針の針落ち後に上糸U及び下糸Dを切断する糸切り装置80と、切断後の上糸Uの縫い針側部分U1を被縫製物の上方に引き出すワイパー機構90と、糸切り装置80による切断後の被縫製物の上糸U及び下糸Dの残端を切除する残端切除機構100と、針板40の針穴411,421の下方から吸引を行う吸引機構110と、上記各構成の動作制御を行う制御装置120とを備えている。
なお、糸調子装置及び天秤についてはミシン全般に搭載されている周知の機構であるため図示及び詳細な説明は省略する。
以下、上記各構成について順番に説明する。
[ミシンフレーム]
ミシンフレーム20は、下部に位置するミシンベッド部21と、ミシンベッド部21の一端部から上方に立ち上げられたミシン立胴部22と、ミシン立胴部22の上部からミシンベッド部21に沿うように延設されたミシンアーム部23とからなる。
ここで、ミシン10の構成を説明するにあたって、後述する針棒12の上下動方向をZ軸方向とし、これと直交する方向であってミシンベッド部21及びミシンアーム部23の長手方向に平行な方向をY軸方向とし、Z軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をX軸方向とする。なお、ミシン10を水平面上に設置した場合に、Z軸方向は鉛直上下方向となり、X軸方向及びY軸方向は水平方向となる。
ミシンアーム部23の内側では、その長手方向(Y軸方向)に平行に向けられた主軸32が回転可能に支持されている。
また、ミシンベッド部21の内側では、その長手方向(Y軸方向)に平行に向けられた上下送り軸61が回転可能に支持されている。
主軸32と上下送り軸61には、それぞれにスプロケット33,62が固定装備され、歯付きベルト63を介して主軸32から上下送り軸61にトルク伝達が行われている。
[針上下動機構]
針上下動機構30は、図1に示すように、ミシン立胴部22の上部に設けられたサーボモーターからなるミシンモーター31と、このミシンモーター31の出力軸に接続されて回転を行う主軸32と、当該主軸32のミシン面部側の端部に固定装備された針棒クランク34と、針棒クランク34において主軸32による回転中心から偏心した位置に一端部が連結されたクランクロッド35と、針棒抱き36を介してクランクロッド35の他端部に連結された針棒12とを備えている。
針棒12は、その下端部に縫い針11を保持すると共に、Z軸方向に沿った往復上下動が可能となるようにミシンアーム部23に支持されている。
ミシンモーター31はサーボモーターであり、エンコーダー37を備えている(図2参照)。そして、制御装置120がエンコーダー37からミシンモーター31の回転速度、主軸角度等の検出を行い、ミシンモーター31に対する動作制御を実施するようになっている。
なお、針棒クランク34、クランクロッド35、針棒抱き36等の構成は、周知のものと同じであるため詳細な説明は省略する。
[送り機構]
送り機構60は、周知の構成と同一であるため詳細な説明は省略する。即ち、この送り機構60は、針板40に形成された出没孔412,422から歯先を出没させて被縫製物をX軸方向に沿って決まった送りピッチで送る送り歯64と(図10参照)、送り歯64を支持する送り台と、送り台に上下の往復動作を付与する上下送り軸61と、送り台にX軸方向に沿った水平の往復動作を付与する水平送り軸と、上下送り軸61の全回転を上下の往復動作に変換して送り台に伝達するカムクランク機構と、上下送り軸61の全回転を往復の回動動作に変換して水平送り軸に伝達するもう一つのカムクランク機構と、水平送り軸に固定装備され、送り台に水平方向の往復動作を付与する水平送り腕とを備えている。
送り台は、その一端部から上下方向の往復動作が付与され、他端部から水平方向の往復動作が付与される。上下方向の往復動作と水平方向の往復動作とは、いずれもミシンモーター31の回転と同じ周期で付与され、これにより、送り台の中間に位置する送り歯64は、これらが合成されて、略長円の軌跡で周回運動を行う。この長円運動の上部分を移動するときに送り歯64の歯先が針板40の出没孔から突出し、長円の長手方向に沿って被縫製物を送る動作が行われるようになっている。
[送り調節機構]
送り調節機構70は、送り機構60における上下送り軸61から水平送り軸に往復回動動作を伝達するカムクランク機構と水平送り軸との間で、その傾斜角度に応じて水平送り軸に伝達される往復回動角度の振幅と位相の正逆とを切り換える図示しない送り調節体を備えている。
上記送り調節機構70の送り調節体は、送りピッチが0となる傾斜角度が決まっており、その角度から一定方向に傾斜角度が大きくなるほど正送り方向への送りピッチを大きく調節することができ、逆方向に傾斜角度が大きくなるほど逆送り方向への送りピッチを大きく調節することができる。
そして、送り調節機構70は、図2及び図3に示すように、送りピッチを設定入力する図示しないダイヤルと、ミシン立胴部22内において回動可能に支持されると共にダイヤルの設定に応じてその回動角度が変化するカム部材71と、一端がダイヤルと連結し他端がカム部材と当接する送り調節軸77と、カム部材71と送り調節体とを連結する連結桿72と、連結桿72を下方に付勢する図示しない送り調節バネと、連結桿72及びレバー腕73を介してダイヤルにより設定された送りピッチよりも小さい所定のコンデンス縫いのピッチとなるように送り調節体を角度調節するコンデンス用エアシリンダー74と、送りピッチが0になるように送り調節体の傾斜角度を切り換える0ピッチ用エアシリンダー75と、ダイヤルで設定された送りピッチ又はコンデンス縫いの送りピッチの幅を維持しつつ送り方向が正方向から逆方向となるように送り調節体の傾斜角度を切り換える逆送り用ソレノイド76とを備えている。
図3に示した送り調節機構70の場合、ダイヤルにより調節軸77を進退移動(図3におけるX軸方向)させてカム部材71との当接位置を調節することにより、連結桿72を介して送り調節体の傾斜角度を調節して、通常縫製時の送りピッチを調節している。
なお、上記送り調節体や送り調節体の角度を調節する機構は、周知の技術であり、例えば、特開2007−202667号公報、特開2011−101719号公報等の送り調節の原理を利用することができる。
上記コンデンス用エアシリンダー74、0ピッチ用エアシリンダー75は、いずれも図示しない電磁弁を介して制御装置120によりその動作が制御される。
なお、図3に示すように、コンデンス用エアシリンダー74はプランジャを吸引(図3における右方向移動)して、レバー腕73を時計方向(図3中)に回動させることで、送り調節バネに抗して連結桿72を時計方向(図3中)に回動させ、コンデンス縫いのピッチとなるように送り調節体の傾斜角度を調節する。0ピッチ用エアシリンダー75はプランジャを進出(図3における左方向移動)させ、コンデンス用エアシリンダー74によって回動された状態のレバー腕73を反時計方向に押し戻すことで、連結桿72を反時計方向に回動させ、0ピッチとなるように送り調節体の傾斜角度を調節する。上記の構造であるため、送りを0ピッチにする際には、必ず、コンデンス用エアシリンダー74の吸引動作と0ピッチ用エアシリンダー75の進出動作とが組み合わされて実行される。
また、図3に示した送り調節機構70の場合、コンデンス用エアシリンダー74の吸引動作により、連結桿72を時計方向(図3中)に回動させており、この時の送り調節体の傾斜角度においては、コンデンス縫いのピッチで逆送りの縫いとなっている。
[ワイパー機構]
ワイパー機構90は、周知のものと同一であり、その各構成について詳細な説明は省略する。このワイパー機構90は、ミシンアーム部23の先端下部において針棒12に隣接する位置でX軸回りに回動可能に支持されたワイパー91と、当該ワイパー91に対して回動動作を付与するワイパーソレノイド92とを備えている。
上記ワイパー91は、その下端部が鈎状に形成されており、回動により下端部が上停止位置にある縫い針11の下方を薙ぐ様に通過するように装備されている。これにより、糸切り装置80に針板40の下側で切断された上糸Uの縫い針側部分U1を被縫製物の上に引き抜くことが可能となっている。
[釜機構]
釜機構50は、周知の垂直全回転釜であって、内側に下糸Dを巻いたボビンを格納する内釜と、内釜の外周で回転して縫い針11から上糸Uを捕捉する外釜と、外釜に回転力を付与する釜軸51とを備えている。
釜軸51は、ミシンベッド部21内で前述した上下送り軸61と平行且つ回転可能に支持されており、上下送り軸61との間で歯車を介して二倍速で逆方向の回転が伝達されている。つまり、釜機構50の外釜は主軸32の二倍速で回転を行っている。
また、内釜及び外釜は針板40の下方に配置されており、針板40に形成された針穴411,421の垂直下方を外釜の剣先が通過する様に設計されている。
[糸切り装置]
糸切り装置80は、図4に示すように、協働して上糸U及び下糸Dを切断する糸切用動メス81及び糸切用固定メス82と、ミシンモーター31を駆動源として糸切用動メス81と糸切用固定メス82とが互いの刃部81a,82aを突き合わせる方向に向かって釜機構50の外釜の外周に沿って移動させる作動機構と、作動機構とミシンモーター31との間の動力伝達の接続と切断とを切り換える糸切りソレノイド83(図2参照)とを備えている。
なお、糸切り装置80は、例えば、特開平7−1455489号公報に開示された周知の構成を利用することができるので、その一部の詳細説明は省略する。
糸切用固定メス82は、切断動作の実行時には、作動機構により、その刃部82aが針穴421の下方の針通過位置近傍まで前進移動し待機する。
一方、糸切用動メス81は、針穴421の下方の針通過位置を挟んで糸切用固定メス82とは逆側から糸切用固定メス82の前進方向に対向する方向へ移動し、その刃部81aが針穴421の下方の針通過位置を通過する様に移動を行う。これにより、針穴421の下方の針通過位置において上糸Uと下糸Dとが相互の刃部81a,82aに挟まれて切断される。
図5は糸切用動メス81の刃部81a周辺の形状を示している。図示の様に、糸切用動メス81は、切断動作時の前進方向について尖鋭となる形状の捌き部81bと、捌き部81bの両側に形成された第一と第二の凹部81c,81dとを備えている。
上記捌き部81bは、針穴421の下方の針通過位置を通過する際に、外釜により針板40の下方に引き出された上糸Uのループに突入し、上糸Uを縫い針側部分U1と被縫製物側部分U2とに選り分けを行う。その結果、上糸Uにおける縫い針側部分U1は第一の凹部81cに選り分けられ、被縫製物側部分U2及び下糸Dは第二の凹部81dに選り分けられる。
そして、糸切用動メス81の第二の凹部81dの内側の縁部に刃部81aが形成されており、糸切用固定メス82の刃部82aは、糸切用動メス81の第二の凹部81d側のみに対向する様に形成されている。このため、第二の凹部81dに選り分けられた被縫製物側部分U2及び下糸Dのみが切断される。
作動機構は、各糸切用メス81,82を個別に釜軸51と同心で回動可能に支持する個々の支持体と、ミシンモーター31からクラッチ機構及びカム機構を介して往復回動動作が伝達されるメス軸と、メス軸から個々の支持体に対して互いに逆方向に回動動作を付与する複数のリンク体とを備えている。また、クラッチ機構におけるミシンモーター31からメス軸への動力の接続と切断との切り換えは、前述した糸切りソレノイド83により行われる。
[針板]
針板40は、ミシンベッド部21の上部であって針棒12の下方に設けられている。この針板40は、図6に示すように、上板41と下板42とからなる上下二層構造となっている。
上板41と下板42はいずれも半長円形状の板体であり、上板41の下面側に形成された凹部413に下板42が嵌合してネジ止めにより一体化している。
これら上板41と下板42とは、一体化した状態において、同一となる位置に針穴411,421及び送り歯64(図10参照)の出没孔412,422が形成されている。
針穴411,421は、縫い針11の直下位置に形成され、送り歯64の出没孔412,422は、針穴411,421に対してX軸方向に沿った同一線上で前後に二つ、さらに、その両側に二つの計四つ形成されている。この出没孔412,422はいずれも被縫製物の送り方向に沿ったスリット状であって、内部で送り歯64の歯先が送り方向に移動することを許容する構造となっている。
[残端切除機構]
残端切除機構100は、図7〜図11に示すように、針板40の上層となる上板41と下層となる下板42との間に内蔵された切除用メスとしての切除用固定メス101及び切除用動メス102と、切除用動メス102を作動させる糸切除用エアシリンダー103と、当該糸切除用エアシリンダー103のプランジャにナックル104を介して一端部が連結されたメス作動アーム105とを備えている。
図7は下板42の平面図、図8は上板41の底面図である。
上板41の下面及び下板42の上面には、切除用固定メス101及び切除用動メス102を介挿する為に、針穴411,421及び送り歯64の出没孔412,422の周囲に凹部414,424が形成されている。
そして、切除用固定メス101は上板41の凹部414内で、その長手方向をX軸方向に沿わせた状態で配設されている。さらに、切除用固定メス101の基端部は、上板41の下面における出没孔412の一端部側に形成された凹部414にネジ止めにより固定支持されており、当該基端部からは針穴411側に向かって当該針穴411よりも遠方まで延出された延出部が形成されている。さらに、切除用固定メス101の延出部先端には、針穴411に対応する位置に縫い針11を通すための貫通穴が形成され、当該貫通穴の内縁部における先端寄りの部分が糸切除を行う為の刃部101aとなっている。
また、切除用固定メス101のほぼ全体は、出没孔412から出没動作を行う送り歯64と干渉しない様に幅が狭く形成されると共に、長穴101bが形成されている。
切除用動メス102は下板42の凹部424内で、その長手方向をX軸方向に沿わせた状態で配設されている。また、下板42の出没孔422の他端部側に形成された凹部424には上下に貫通する長穴425が形成されており、当該長穴425にはメス作動アーム105のピン105a(図10参照)が下方から挿入されている。
そして、切除用動メス102の基端部には、メス作動アーム105のピン105aが挿入される挿入孔102aが形成されている。また、切除用動メス102の基端部から針穴421側に向かって針穴421よりも遠方まで延出された延出部が形成されている。さらに、切除用動メス102は、基端部から延出部の先端近くまでほぼ全長に渡って長穴102bが形成されている。この長穴102bの先端側では、針穴421を通過する縫い針11を通すことが可能となっている。さらに、当該長穴102bの内縁部における先端側の部分が糸切除を行う為の刃部102cとなっている。
また、上板41の下面から下方に突出するガイドピン415が切除用動メス102の長穴102bに挿入されている。このガイドピン415は、後述するメス作動アーム105により切除用動メス102がX軸方向に往復動作を付与される場合に、切除用動メス102の往復動作を安定させる為のものである。
また、切除用動メス102のほぼ全体は、出没孔412から出没動作を行う送り歯64と干渉しない様に幅が狭く形成されている。
さらに、切除用動メス102の延出端部に対して、切除用固定メス101の延出端部が上から重なり合った状態となっており、なお且つ、切除用固定メス101の刃部101aと切除用動メス102の刃部102cとが針穴411,421を挟んで互いに対向するように配置されている。
そして、切除用動メス102は、上記刃部101a,102cを対向させた状態から、図9に示すように、メス作動アーム105により切除用固定メス101から離間する方向に引き寄せる動作が付与されるようになっており、これによって、糸切り装置80による切断後に、針穴411,421内の上糸U及び下糸Dの残端部を切除することを可能としている。
メス作動アーム105及び糸切除用エアシリンダー103は、図10及び図11に示すように、ミシンベッド部21において針板40に隣接して設けられた滑り板13に支持されている。なお、図10では、針板40の上板41の図示を省略している。
メス作動アーム105は、その長手方向中間部おいて、滑り板13の下面側に取り付けられた段ネジ106により回動可能に支持されており、その一端部が糸切除用エアシリンダー103のプランジャにナックル104を介して連結されている。
また、メス作動アーム105の他端部には上方に突出するピン105aが装備されており、当該ピン105aは、前述した様に、切除用動メス102の挿入孔102aに挿入されている。
糸切除用エアシリンダー103は、プランジャの進退動作によりメス作動アーム105に回動動作を付与することができ、プランジャを後退させた状態から前進させることにより切除用動メス102に切除動作を付与するようになっている。
[吸引機構]
吸引機構110は、図12に示すように、ミシンベッド部21内において、釜機構50に隣接して配置されている。この吸引機構110は、吸引ノズル111と、吸引ノズル111を支持する支持体112を所定方向に往復移動させるノズル駆動手段としてのノズル移動用エアシリンダー113とを備えている。
この吸引機構110は、針穴421の下方から吸引を行うことにより、上糸U及び下糸Dの残端の切除を行う際に当該残端を下方に引き延ばして切除をより確実に行わせること、及び切除後の残端の捕集を行うことを目的としている。
吸引ノズル111は、その上端部が開口して吸引口となっており、その下端部が図示しない集塵トラップを介して負圧発生源に接続されている。また、吸引ノズル111のトラップと負圧発生源との間には吸引用電磁弁114(図2参照)が設けられており、吸引の開始と停止とを切り換えることが可能となっている。
また、吸引ノズル111の上端部は、釜機構50を避けて針板40の針穴421に近接することが可能となるように、外釜の外周に沿って湾曲した形状に形成されている。
吸引ノズル111を支持する支持体112は、ミシンベッド部21内において水平方向に移動可能に支持されており、吸引ノズル111の上端部を針板40の針穴421から離れたところから針穴421の直下位置近傍まで移動することを可能としている。
ノズル移動用エアシリンダー113は、上記支持体112の移動範囲に従って吸引ノズル111を進退移動させる。これにより、吸引ノズル111は、針板40の針穴421から離間した退避位置から上端部が針穴421の直下位置近傍まで接近する吸引位置までの間を往復移動させることが可能となっている。
[ミシンの制御系]
図2に示すように、制御装置120は、制御、判断等各種処理用の各種プログラムが記憶、格納されたROM122と、これらの各種プログラムに従って各種演算処理を行うCPU121と、各種処理におけるワークメモリとして使用されるRAM123と、各種の縫製データ及び設定データを格納したEEPROM124とで概略構成されている。
そして、制御装置120には、システムバス及び駆動回路等を介して、針上下動機構30のミシンモーター31及びエンコーダー37、送り調節機構70の逆送り用ソレノイド76、コンデンス用エアシリンダー74及び0ピッチ用エアシリンダー75、糸切り装置80の糸切りソレノイド83、残端切除機構100の糸切除用エアシリンダー103、ワイパー機構90のワイパーソレノイド92、吸引機構110の吸引用電磁弁114及びノズル移動用エアシリンダー113等が接続されている。
なお、コンデンス用エアシリンダー74、0ピッチ用エアシリンダー75、糸切除用エアシリンダー103、ノズル移動用エアシリンダー113は、実際には、これらを作動させる電磁弁に対して制御装置120は制御を行うが、ここでは各電磁弁の図示を省略する。
また、ミシンモーター31はドライバー回路を介して制御されるがその図示も省略する。
また、制御装置120には、縫製に関する各種の設定を入力するための操作入力部125と縫製の実行等の信号入力手段としてのペダル126とが接続されている。
操作入力部125では、例えば、後述するコンデンス縫いの実行の有無やコンデンスピッチ、針数、正逆の縫い方向等の設定を行う。
ペダル126は、前踏みにより縫製開始信号、前踏み解除により縫製停止信号、後踏みにより糸切信号を制御装置120に指示入力する。また、コンデンス縫いが設定されている場合には、ペダル126が後踏みされると、コンデンス縫いを実行してから糸切りが実行される。
[0ピッチ制御]
ここで、制御装置120が、縫製停止時に行う各種の制御について説明する。
まず、制御装置120はペダル126の後踏みによる信号入力が検出されると、糸切り動作を実行する。このとき、制御装置120は、糸切り装置80による糸切りを実行する最終針の針落ち位置がその一針前の針落ち位置と同じ(あるいはほぼ同じ)となるように、送り機構60を制御して送りピッチ0とする。
従来のように、最終針まで通常の送りピッチ又はコンデンスピッチで送りを行った後に糸切り装置による糸切断が行われると、図13Bに示すように、最終針の針落ちでは結節が形成されないため、被縫製物に残る上糸Uの残端は最終針の針落ち位置から垂下し、被縫製物に残る下糸Dの残端は1ピッチ分離れた一つ前の針落ち位置から垂下する。
これに対して、上記0ピッチ制御を行うと、図13Aに示すように、最終針では結節が生じないが、上糸Uと下糸Dは同じ針落ち位置から垂下した状態となり、下糸の残端が一針前の針落ち位置から垂下する状態を回避することができる。また、一針前の針落ちから糸切断までの間に送り機構60が被縫製物を送った長さ分だけ残端が長くなることを防止できる。
[送り歯降下制御]
また、制御装置120は、糸切り装置80により下糸Dと上糸Uを切断した時の送り歯64の針板40上面からの突出量をミシンモーター31の回転により低減した後に、残端切除機構100による下糸D及び上糸Uの残端の切除を行うように送り歯降下制御を実施する。
図14A及び図14Bにおいて符号hは針板40の内部における切除用固定メス101及び切除用動メス102による切除面の位置を示している。
糸切り装置80は主軸角度50°(いわゆる上停止位置、但し、針棒上死点を0°とする)で上糸U及び下糸Dの切断を行う。図14Aは主軸角度50°における送り歯64の突出状態を示している。この状態で残端切除機構100が上糸U及び下糸Dの残端切除を行うと、切除後の最終的な残端長さL1は、針板上面から送り歯64が突出した距離と針板上面から各切除用メス101,102による切除面までの距離との合計の長さとなる。
制御装置120では、糸切り装置80による上糸U及び下糸Dの切断から残端切除機構100による残端切除の実行までの間に、ミシンモーター31を駆動させて、主軸角度を50°から95°まで正方向に回転させる。
これにより、図14Bに示すように、針板40の上面からの送り歯64の突出量をほぼ0とすることができ、このため、上糸U及び下糸Dの残端の切除後の最終的な残端長さL2を、針板上面から各切除用メス101,102による切除面までの距離とほぼ等しい長さにまで短縮することが可能となる。
[ノズル駆動制御]
また、制御装置120は、残端切除機構100の切除の実行開始までに、吸引ノズル111の上端部を針板40の針穴411,421から離れた退避位置から針穴411,421の直下位置までの移動を完了させると共に、吸引ノズル111の移動開始から少なくとも残端切除機構100の切除完了までの間、吸引ノズル111を吸引状態とするノズル駆動制御を実行する。
これにより、吸引ノズル111は、切除された上糸U及び下糸Dの残端だけでなく、吸引ノズル111の移動範囲の周囲における集塵も行うことができ、針板40の下側領域の清浄化を図ることが可能となる。また、吸引ノズル111が針板40の針穴411,421の直下位置に到達すると同時、もしくは到達する前に吸引を開始するため、残端切除機構100による上糸U及び下糸Dの残端の切除前に吸引が開始されている状態にあるので、切除された上糸U及び下糸Dの残端を採り漏らすことなく捕集することが可能となる。
また、切除される際に上糸U及び下糸Dの残端を下方に引き延ばすことができ、残端切除機構100による上糸U及び下糸Dの残端の切除をより確実に行わせることを可能とする。
[ミシンの縫製制御の流れ]
上記ミシン10の縫製から糸切り及び残端切除までの動作制御の流れを図15のタイミングチャート及び図22のフローチャートに基づいて説明する。なお、ここでは、縫製終了時にコンデンス縫いを行う設定がされていることを前提とする。なお、図15中の(下)は主軸角度における下停止位置を示しており、(上)は上停止位置を示している。
まず、ペダル126の前踏み信号入力が検出されると(ステップS1)、制御装置120は、ミシンモーター31の駆動を開始する(ステップS3)。この通常縫製時の送りピッチは、送り調節機構70のダイヤルで設定された送りピッチで送り機構60が動作を行う。
そして、ペダル126の前踏み状態が解除され、後踏みによる糸切信号入力の検出が行われると(ステップS5)、制御装置120は、エンコーダー37により主軸角度220°が検出されるのを待ってから(ステップS7)、コンデンス用エアシリンダー74をプランジャが後退する方向に作動させる(タイミングT1)(ステップS9)。これにより送り調節機構70の送り調節体が設定されたコンデンスピッチとなる傾斜角度に設定される。
そして、予め設定したコンデンス縫いの所定針数における最後の針落ちが行われると(ステップS11)、制御装置120は、エンコーダー37により再び主軸角度220°が検出されるのを待ってから(ステップS13)、0ピッチ用エアシリンダー75をプランジャが前進する方向に作動させる(タイミングT2)(ステップS15)。
これにより送り調節機構70の送り調節体が0ピッチとなる傾斜角度に設定され、次の最終針における針落ちは、コンデンス縫いの最後の針落ちと同じ位置に行われる(ステップS17)。
次に、上記最終針の針落ち後、制御装置120は、エンコーダー37により再び主軸角度220°が検出されると(ステップS19)、糸切り装置80の糸切りソレノイド83を作動させて、糸切り装置80の作動機構とミシンモーター31との間の動力伝達を接続状態に切り換える(タイミングT3)(ステップS21)。
これにより、糸切り装置80の糸切用動メス81によって、上糸Uが捌き部81bを基準に縫い針側部分U1と被縫製物側部分U2とに選り分けられ、さらに、糸切用動メス81と糸切用固定メス82との協働により、上糸Uの被縫製物側部分U2と下糸Dとが切断される(ステップS23)。
その後、主軸角度50°でミシンモーター31が駆動を停止し(タイミングT4)(ステップS25、S27)、制御装置120は、主軸角度50°がエンコーダー37により検出されてから120[msec]の経過を待ってから(ステップS29)、糸切りソレノイド83を停止させて(ステップS31)、糸切り装置80の作動機構とミシンモーター31との間の動力伝達を遮断状態に切り換える(タイミングT5)。
また、制御装置120は、このタイミングT5において、ワイパー機構90のワイパーソレノイド92を作動させてワイパー91を回動させる(ステップS33)。これにより、縫い針11から被縫製物に渡っている上糸Uの縫い針側部分U1を被縫製物の上方に引き出すことができる。
そして、制御装置120は、ワイパーソレノイド92の作動が完了するタイミングでノズル移動用エアシリンダー113を作動させて吸引ノズル111を待機位置から針穴411,421の直下位置に向かって移動させる(タイミングT6)。また、同じタイミングで吸引用電磁弁114を開いて吸引ノズル111の移動開始と共に吸引も開始させる(ステップS35)。
その後、吸引ノズル111は規定時間経過後に、針穴421の直下位置に到達し、このタイミングで、制御装置120は、ミシンモーター31を駆動させて(タイミングT7)(ステップS37)、主軸角度が95°となるまでミシンモーター31の駆動を継続する(タイミングT8)。
これにより、針板40の上面から突出していた送り歯64の先端部が下降して殆ど隠れた状態となる。
そして、制御装置120は、主軸角度95°が検出されると(ステップS39)ミシンモーター31の駆動を停止し(ステップS41)、殆ど間をおかずに、残端切除機構100の糸切除用エアシリンダー103を作動させて(ステップS43)、切除用動メス102による切除動作を開始する。これにより、上糸U及び下糸Dの残端が切除され、下方の吸引ノズル111により切除された残端が吸引される。
そして、糸切除用エアシリンダー103を規定時間作動させると、作動を停止させて切除用動メス102を後退させる(タイミングT9)。
その後、制御装置120は、吸引用電磁弁114を閉じて吸引ノズル111の吸引状態を停止する(ステップS45)と共に、ミシンモーター31を逆回転で駆動させる(タイミングT10)(ステップS47)。
そして、主軸角度が50°に戻されると(ステップS49)ミシンモーター31の駆動を停止する(タイミングT11)(ステップS51)。また、同じタイミングで、制御装置120は、コンデンス用エアシリンダー74のプランジャを前進、0ピッチ用エアシリンダー75、ノズル移動用エアシリンダー113のプランジャを後退させて、待機位置に復帰させる(ステップS53)。
これにより、制御装置120によるミシンの縫製制御が終了する。
[発明の実施形態の効果]
以上のように、ミシン10は、縫い針11が挿入される針穴411,421が貫通形成された針板40と、針板40の上面に沿って被縫製物を移動させる移動機構としての送り機構60と、縫い針11の上下動動作を行う針上下動機構30と、針板40の下側で縫い針11から上糸Uを捕捉して下糸Dを絡める釜機構50と、針板40と釜機構50との間に設けられ、下糸Dと上糸Uのループの被縫製物側部分を切断する糸切り装置80と、糸切り装置80により切断された上糸Uのループの縫い針側部分U1を被縫製物の上側に引き出すワイパー機構90とを備えるミシン10において、針板40の上板41の上面より下方であって、糸切り装置80の糸切用メス81,82より上方に配置された残端切除機構100を備え、糸切り装置80の糸切断後に、被縫製物に連なる下糸D及び上糸Uの残端を残端切除機構100によって切除している。
さらに、ミシン10は、針板40を上下二層構造とし、針板40の上下の層である上板41と下板42との間に、糸切り装置80により切断された被縫製物側の下糸D及び上糸Uの残端を切除する残端切除機構100の切除用メスとしての切除用固定メス101及び切除用動メス102を内蔵したことを特徴としている。
ミシン10は、糸切り装置80により下糸Dと上糸Uの被縫製物側部分を切断した後に、さらに針板に内蔵した上記残端切除機構100の切除用固定メス101及び切除用動メス102によって被縫製物側の下糸D及び上糸Uの残端を切除したので、切除処理後の下糸D及び上糸Uの残端を針板40の厚みに応じた長さよりも短くすることが可能となる。
また、ミシン10は、糸切り装置80による糸切りを実行する最終針の針落ち位置がその一針前の針落ち位置と同じとなるように移動機構としての送り機構60の送り量を制御する0ピッチ制御を実行する制御装置120を備えている。
このため、上糸U及び下糸Dの残端が異なる位置から垂下する状態を回避することができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。さらに、最終針の針落ちから糸切りまでに送り機構60によって送られた被縫製物の送り長さ分が上糸U及び下糸Dの残端の長さに加わることが回避でき、糸切り装置80により切断された上糸U及び下糸Dの残端を短くすることが可能となる。
なお、糸切り装置80により切断された上糸U及び下糸Dの残端は、残端切除機構100によりさらに短く切除されるが、糸切り装置80による切断後の上糸U及び下糸Dの残端を予め短くすることで、残端切除機構100の切除の際に生じる廃棄物の量を低減することが可能となる。また、切除された残端が短いので、吸引機構110における捕集をより確実に行うことが可能となる。
また、ミシン10は、針板40の下側で切除された下糸D及び上糸Uの残端の吸引を行う吸引機構110を備えている。
このため、吸引機構110により針板40の下側の下糸及び上糸の残端を集塵することができ、周囲の機構等に付着することによる動作不良などの発生を低減することが可能となる。
また、残端切除機構100により切除する上糸U及び下糸Dの残端を吸引して下方に引き延ばすことができ、切除をより確実に行うことが可能となる。
また、ミシン10の吸引機構110は、針板40の針穴421に対して接離移動可能な吸引ノズル111と当該接離移動動作を付与するノズル駆動手段としてのノズル移動用エアシリンダー113とを備えている。
このため、送り歯64や釜機構50等の動作中には吸引ノズル111を退避させておくことができ、これらの構成と吸引ノズル111との干渉を低減し、相互の動作の安定化を図ることが可能となる。
また、ミシン10は、移動を行う吸引ノズル111が針板40の針穴421に到達する前に吸引を開始するように吸引機構110を制御する吸引制御装置としての制御装置120を備えている。
このため、吸引ノズル111の移動経路の周囲の集塵をも行うことができ、また、針穴421に吸引ノズル111が到達する前から吸引動作が行われているので、より確実に上糸U及び下糸Dの残端の引き延ばしと切除後の残端の捕集を行うことが可能となる。
また、ミシン10は、移動機構としての送り機構60が、ミシンモーター31から動力を得て針板40の出没孔412,422から出没する送り歯64により被縫製物の送りを行い、制御装置120は、糸切り装置80により下糸Dと上糸Uのループの被縫製物側部分U2を切断した時の送り歯64の針板40からの突出量をミシンモーター31の回転により低減した後に残端切除機構100による下糸D及び上糸Uの残端の切除を行う送り歯降下制御を行っている。
このため、送り歯64の突出量を低減させて下糸D及び上糸Uの残端の切除を行うので、切除後のさらなる残端をより短くすることが可能となる。
なお、本願では記載を省略しているが、糸切り装置80による上糸U及び下糸Dの切断開始から吸引ノズルによる吸引開始までの間に、特開2008−018282に記載の上糸クランプ装置による上糸クランプ動作を追加するようにしても良い。
[糸切り装置の他の例]
図16に他の糸切り装置80Aの底面図を示す。この図16に示すような、糸切用動メス及び糸切用固定メスを針板40Aに取り付けた糸切り装置80Aは、送り歯64を用いる送り機構60以外の移動機構を搭載するミシンに好適である。
この糸切り装置80Aは、Z軸回りに回動を行う糸切用動メス81Aと、糸切用動メス81Aと協働して上糸U及び下糸Dを切断する糸切用固定メス82Aと、ミシンモーター31或いは他のアクチュエーターを駆動源として糸切用動メス81Aに往復回動を伝達する複数のリンク体83A〜85Aとを備えている。なお、ここでは、糸切用動メス81Aにより糸切り動作を行うための駆動源としてミシンモーター31とは独立した糸切りモーター86A(図24参照)を有する場合を例示する。
糸切用動メス81Aは、回動により針穴441Aの下方を通過するように配置されると共に、一方の側縁部には、上糸Uのループの縫い針側部分U1と被縫製物側部分U2及び下糸Dとに選り分ける糸捌き部811A及び目孔刃部812Aを備え、他方の側縁部は上糸Uの被縫製物側の部分U2及び下糸Dとを捕捉して糸切用固定メス82Aまで運ぶ捕捉部813Aとなっている。
また、糸切用固定メス82Aは糸切用動メス81Aの回動範囲に装備され、その一方の側縁部に刃部821Aが形成されている。
そして、糸切用動メス81Aに対して駆動源から往復回動が付与されると、往路の回動で針穴441Aの下方を通過する際に、糸捌き部811Aによって、上糸Uのループの縫い針側部分U1を回動半径内側に、被縫製物側部分U2及び下糸Dとを回動半径の外側に選り分ける。
そして、糸切用動メス81Aの復路の回動の際には、回動半径の外側に選り分けられた被縫製物側の部分U2及び下糸Dが糸切用動メス81Aの他方の側縁部側に回り込み、糸切用動メス81Aの目孔刃部812Aと糸切用固定メス82Aの刃部821Aとに挟まれて切断される様になっている。
かかる糸切り装置80Aも前述した糸切り装置80と同様に使用することが可能である。
また、糸切り装置80Aのように糸切用動メス81Aが水平面内で回動を行う構成に限らず、例えば、水平面内で往復の直動を行う糸切用動メスを備える糸切り装置を適用することも可能である。
[残端切除機構及び吸引機構の他の例]
図17〜図21により残端切除機構及び吸引機構の他の例を説明する。
他の例としての残端切除機構100Aは、送り歯64を用いる送り機構60以外の移動機構を搭載するミシンに好適である。
この残端切除機構100Aは、針板40Aの上層となる上板41Aと下層となる下板42Aとの間に内蔵された切除用メスとしての切除用固定メス101A及び切除用動メス102Aと、切除用動メス102Aを作動させる糸切除用エアシリンダー103Aと、当該糸切除用エアシリンダー103Aのプランジャに連結されたメス作動部材104Aとを備えている。
上記針板40Aの上板41A及び下板42Aは、いずれも直接に針穴は形成されておらず、針落ち位置には針穴よりも大きな開口411A,421Aが形成されている。そして、上板41Aの針落ち位置の開口411Aには、針穴431Aが形成された針穴形成板43Aがネジ止めにより固定装備されている。図17では図示を省略しているが、下板42Aの針落ち位置の開口421Aには、針穴441Aが形成された針穴ガイド44A(図16参照)がネジ止めにより固定装備されている。但し、この針板40Aは、前述した針板40とその機能においてはほぼ同一である。
切除用固定メス101Aは、上板41Aの開口411Aに取り付けられており、針穴431Aと重合する位置に縫い針を挿通させる貫通穴が形成され、当該貫通穴のY軸方向一端側の内縁部には刃部101Aaが形成されている。
切除用動メス102Aは下板42Aの凹部422A内で、その長手方向をX軸方向に沿わせた状態で配設されている。また、この切除用動メス102Aは、上板41Aの下面に対して段ネジ105AによりZ軸回りに回動可能に支持されている。
さらに、切除用動メス102Aの一端部の上面は切除用固定メス101Aの下面に摺接し、当該切除用動メス102Aの一端部には、針穴431Aと重合する位置に縫い針を挿通させる貫通穴が形成され、当該貫通穴のY軸方向他端側の内縁部には刃部102Aaが形成されている。
下板42Aの凹部422A内には、上下に貫通した貫通穴423Aが形成されており、当該貫通穴423Aの下側にはメス作動部材104Aが配置されている。このメス作動部材104Aはその上面にボス104Aaが形成されており、当該ボス104Aaは貫通穴423Aを通って切除用動メス102Aの長穴102Abに挿入されている。
糸切除用エアシリンダー103Aは、下板42Aの下面側おいて、そのプランジャの進退方向をY軸方向に沿わせた状態で固定装備されており、当該プランジャにはメス作動部材104Aが装備されている。これにより、糸切除用エアシリンダー103Aは、メス作動部材104Aを介して、切除用動メス102Aを回動せしめ、刃部102Aaが形成された端部をY軸方向に沿って往動させることを可能としている。
そして、糸切除用エアシリンダー103Aは通常時ではそのプランジャが前進した状態であり、図18Aに示すように、針穴431Aを通る上糸U及び下糸Dを挟んで切除用固定メス101Aの刃部101Aaと切除用動メス102Aの刃部102Aaが対向した状態となっている。そして、糸切除用エアシリンダー103Aのプランジャを後退移動させると、図18B及び図21に示すように、切除用動メス102Aが切除用固定メス101Aの刃部101Aa側に向かって前進し、互いの刃部101Aa,102Aaによって上糸U及び下糸Dを切除することが可能となっている。
吸引機構110Aは、図19〜図21に示すように、ミシンベッド部21内において、針板40Aの下方に配置されている。この吸引機構110Aは、吸引ノズル111Aと、吸引ノズル111Aを支持する支持アーム112Aを所定方向に往復回動移動させるノズル駆動手段としてのノズル移動用エアシリンダー113Aとを備えている。
吸引ノズル111Aは、その一端部が開口して吸引口となっており、その他端部は図示しない集塵トラップを介して負圧発生源に接続されている。この吸引ノズル111Aは吸引口側が高くなるように支持アーム112Aに傾斜支持されている。
また、図示しない吸引用電磁弁により吸引の開始と停止とを切り換えることが可能な点は前述した吸引機構110と同一である。
支持アーム112Aはその一端部で吸引ノズル111Aを支持し、他端部はナックル115Aを介してノズル移動用エアシリンダー113Aのプランジャに連結されている。
この支持アーム112Aは針板40Aの下板42Aの下面又はミシンのフレームによりZ軸回りに回動可能に支持されており、その回動により、吸引ノズル111Aの吸引口を針穴431Aから離間した退避位置(図19の位置)と、吸引ノズル111Aの吸引口を針穴431Aの直下位置近傍(図20及び図21の位置)とに切り換えることを可能としている。
なお、ナックル115Aと支持アーム112Aの他端部とは、当該支持アーム112Aの他端部に形成された図示しない長穴を介して連結されている。
上記残端切除機構100A及び吸引機構110Aは、前述した残端切除機構100及び吸引機構110と同じ動作制御を行うことができる。
即ち、糸切り装置で上糸U及び下糸Dを切断後、ワイパー機構90により上糸Uの縫い針側部分U1を被縫製物から引き抜き、その後、吸引を行いつつ吸引ノズル111Aを退避位置(図19の状態)から針穴直下位置近傍まで回動させる(図20の状態)。そして、吸引ノズル111Aにより上糸U及び下糸Dの残端を下方に引き延ばした状態で、残端切除機構100Aの切除用動メス102Aを回動させて、上糸U及び下糸Dの残端の切除を行う(図21の状態)。切除された上糸U及び下糸Dの残端は、吸引ノズル111Aにより捕集する。
このように、残端切除機構100A及び吸引機構110Aも、前述した残端切除機構100及び吸引機構110と同様に使用することが可能である。
また、先述した糸切り装置80Aと残端切除機構100Aは、いずれも、送り歯を使用しない移動機構を用いたミシンに好適だが、上述した吸引機構110Aは、送り歯64を使用する移動機構としての送り機構60を搭載したミシンと送り歯を使用しない移動機構を用いたミシンのいずれに搭載しても好適に使用することが可能である。
[他のミシン]
前述したミシン10は本縫いミシンを例示したが、送り歯を使用する送り機構を搭載した他の形式のミシンに対しても前述した糸切り装置80、残端切除機構100、吸引機構110又は110A及びこれらに対する動作制御を適用することが可能である。
また、送り歯を使用する送り機構以外の移動機構を搭載した他の形式のミシンに対して、前述した糸切り装置80、80A、残端切除機構100、100A、吸引機構110、110A及びこれらに対する動作制御を適用することが可能である。
送り歯を使用する送り機構以外の移動機構を搭載した他の形式のミシンとしては、例えば、被縫製物を移動させる移動機構として、X−Y平面(或いはR−θ平面)に任意に被縫製物を移動させるミシン(例えば、後述するボタン付けミシン、電子サイクル縫いミシン等)が上げられる。
これらの移動機構を搭載するミシンの場合には、一定の縫いパターンを形成するための縫製データに従って縫製が行われるので、前述した0ピッチ制御を行う場合には、縫製データに定められた縫い終わり位置に針落ちを行った後に同一位置に最終針の針落ちを行い、その後、糸切り装置で上糸U及び下糸Dを切断することにより好適な糸切りを行うことができる。
また、X−Y平面(或いはR−θ平面)に任意に被縫製物を移動させるミシンの場合には、送り歯の問題が生じないので送り歯降下制御は実施しない。
[その他]
糸切り装置としては、前述したY軸回りに糸切用メスが回動するものに限られず、例えば、水平面内で糸切用動メスが移動するメス機構等も適用可能である。
また、釜機構50の釜として垂直全回転釜を例示したが、これに限らず、水平釜や半回転釜を利用してもよい。但し、水平釜の場合には、水平面内で糸切用動メスが移動するメス機構を使用することが望ましい。
また、図7・図8で示した針板では上板・下板ともに半長円形状であるが、切除用メスが内蔵される箇所だけを上板・下板の2層構造にすれば良く、上板・下板の両方を半長円形状にする必要はない。
また、本願では送り調節体をコンデンスピッチ、0ピッチに角度調節する駆動源としてエアシリンダーを用いたが、ソレノイドでも良い。同様に、残端切除機構やノズル接離移動の駆動源としてエアリンダーを用いたが、ソレノイドでも良い。
また、送り方向が正方向から逆方向となるように送り調節体の傾斜角度を切り換える駆動源としてソレノイドを用いたが、エアシリンダーでも良い。
また、送り調節機構70の0ピッチ用エアシリンダー75は、送りピッチが0になるように送り調節体の傾斜角度を切り換えているが、完全に0とならなくともよい。例えば、直前の送りピッチ(例えば、コンデンス縫いピッチ)よりも小さい微小ピッチとなるように送り調節体の傾斜角度を切り換えてもよい。
[第二の実施形態:ボタン付けミシンへの適用]
本発明の残端切除機構は、被縫製物としての布地にボタンの縫着を行うミシン(ボタン付けミシン)にも適用可能である。
以下、ボタン付けミシン10Bについて図23〜図37に基づいて説明する。なお、既に説明した構成と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
図23はボタン付けミシン10Bの全体の概略構成を示し、図24はその制御系を示している。
図23及び図24に示すように、ボタン付けミシン10Bは、ミシンフレーム20、針上下動機構30、針板40A、糸切り装置80A、ワイパー機構90、残端切除機構100A(図17〜図21参照)、吸引機構110Aを備えている。
また、このボタン付けミシン10Bは、ボタンB及び布地Cを縫い針11に対してX−Y平面に沿って任意に移動させる移動機構としての送り機構60Bと、半回転釜である釜機構50Bと、上糸Uの縫い開始端部U0を保持する上糸保持装置130と、全体の各構成を制御する制御装置120Bとを備えている。
[ボタン付けミシン:釜機構]
上記釜機構50Bは、前述したように半回転釜であり、図示しない外釜と、剣先54Bを備える中釜53B(図27B及び図29B参照)と、中釜53Bに往復回動動作を伝達する図示しないドライバーを備えている。そして、ドライバーの往復回動動作はミシンモーター31を駆動源としており、主軸32とドライバーに往復回動動作を伝達するドライバー軸51Bとの間にはカムクランク機構からなる伝達機構52Bが設けられている。
即ち、主軸32は全回転を行い、主軸32に固定装備された偏心カムをその一端部で回転可能に支持するコネクティングロッドと、ドライバー軸51Bを中心にその半径方向外側に延出された回動腕とを備え(いずれも図示略)、コネクティングロッドの他端部が回動腕の回動端部に連結されている。これにより、コネクティングロッドの一端部が偏心カムによって周回運動を行うと、他端部の回動腕には往復回動動作が生じ、ドライバー軸51Bを介してドライバーに往復回動動作が付与される。
[ボタン付けミシン:送り機構]
送り機構60Bは、図23及び図24に示すように、水平な針板40Aの上面に沿ってボタンB及び布地Cを移動させて、縫い針11に対して任意に移動位置決めを行う。
このため、送り機構60Bは、ミシンベッド部21の上面において、X軸方向及びY軸方向に沿って移動可能に支持された下板61B及び土台62Bと、土台62Bにより昇降可能に支持され、ボタンBの保持を行うボタンつまみ足63Bと、土台62Bを通じてボタンつまみ足63Bを下板61Bの上面に押圧する押圧バネ67Bと、押圧バネ67Bに抗してボタンつまみ足63Bを上昇させる昇降用モーター64Bと、下板61B及び土台62BをX軸方向に沿って移動させるための駆動源となるX軸モーター65Bと、下板61B及び土台62BをY軸方向に沿って移動させるための駆動源となるY軸モーター66Bとを備えている。
下板61BはX−Y平面に沿って設けられた長尺な平板であり、その一端部は針板40Bの上面に載置された状態となっている。
土台62Bは下板61Bの上面後端側においてX軸回りに回動可能に支持されており、当該回動によって土台62Bの前端側に設けられたボタンつまみ足63Bを昇降させることができる。
そして、下板61Bの前端部の上側にボタンつまみ足63Bが配置されている。このボタンつまみ足63Bは、ボタンBを挟持するための一対の爪を備え、図示しないバネによりボタンBの挟持圧が付与されている。即ち、バネに抗して一対の爪をX軸方向に沿って拡開することよりボタンBを挟み込んで挟持させることができる。
前述したように、ボタンつまみ足63Bは押圧バネ67Bによって下板61Bの上面に対して上から押圧するように押圧力が付与されている。このため、下板61Bの一端部の上面に布地Cを載置することによりボタンつまみ足63BがボタンBと共に布地Cの保持を行う。
また、ボタンつまみ足63Bは、複数のリンク体を介して昇降用モーター64Bから上方への加圧力が付与されて上昇し、布地Cの保持状態を解除することができるようになっている。
X軸モーター65B及びY軸モーター66Bは、例えば、ボタンBが四つ穴ボタンである場合に、四つの穴が決まった順番で縫い針11の下方に位置決めされるように下板61B及び土台62Bを針棒12の上下動に同期しながら順次移動させる。X軸モーター65B及びY軸モーター66Bの動作は、制御装置120Bによって制御される。
また、このボタン付けの縫製の場合も、最後の一針は直前の一針とほぼ同じ位置で針落ちが行われ、上糸U及び下糸Dの残端が異なる位置から垂下する状態を回避することができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
[ボタン付けミシン:上糸保持装置]
上糸保持装置130は、図25〜図31に示されるように、上糸の端部を保持面と挟持面との間で挟持(保持)する保持状態と、挟持(保持)した上糸の端部を開放する解放状態とを切り替え可能な挟持手段Aと、挟持手段Aを相対的に移動させて保持状態と解放状態とを切り替える駆動手段Bと、駆動手段Bの動作位置を検出する検出手段Cとにより構成されている。
挟持手段Aは、保持面1316を有する保持部材としての下板131と、保持面1316に対向して配置される挟持面1325を備える挟持手段としての上板144とを備えている。
下板131は、図25に示されるように、一定方向に長い略平板状の部材であり、駆動手段Bに支持された状態でその長手方向がY軸方向と平行とされる。下板131の前端部1311には長方形状の貫通孔1312が下板131の長手方向に沿って形成され、貫通孔1312の四角形に相当する四つの内周面のうち、最も先端側となる内面が保持面1316となる。かかる保持面1316は、下板131が駆動手段Bに支持された状態において、X−Z平面に平行となっている。さらに、下板131の後端側には下板131の長手方向に沿ったスリット状の孔部1313が形成されている。また、下板131には、その下面から下方に突出する前ピン1314と、前ピン1314のやや左後方で下方に突出する左ピン1315とがそれぞれ設けられている。
なお、保持面1316は、挟持面1325との間に上糸Uを挟み込むための保持面として機能する。
上板144は、図25に示されるように、挟持面1325を有する先端部材132と、前端部1331に先端部材132を連結して保持する上板本体133とにより構成されている。
先端部材132は、先端部材本体1321の前端側において図25における下方に延出する挟持部1322と、挟持部1322の下端から図25における前方に突出する突起部1323とを有しており、先端部材本体1321の後端側には連結孔1324が形成されている。挟持部1322の前側の面は、保持面1316との間に上糸Uを挟み込むための挟持面1325として機能する。かかる挟持面1325は、先端部材132(上板144)が駆動手段Bに支持された状態において、X−Z平面に平行となる。
上板本体133は、下板131よりもやや短い略平板状の部材である。上板本体133の前端部1331の下部には下方に突出する連結突起1332が設けられている。また、上板144には、その下面から下方に突出する後ピン1333と、後ピン1333のやや右前方で下方に突出する右ピン1334とがそれぞれ設けられている。
そして、先端部材132の連結孔1324と、上板本体133の連結突起1332とを嵌合して連結することにより、先端部材132と上板本体133とが一体に組み付けられ、上板144となる。
挟持手段Aにおいて、上板144における先端部材132の挟持部1322及び突起部1323が、下板131の貫通孔1312に挿通されるとともに、上板144の後ピン1333が下板の孔部1313に挿通されるように、上板144と下板131は重ねられ、上板144と下板131とはその長手方向に相対的に移動自在となっている。
そして、下板131の前ピン1314と、上板144の後ピン1333は、後述するガイド137の中孔部1372を挿通し、そのガイド137の下方で、コイルばね139を介し、接続されている。
このコイルばね139が最も縮んだ状態において、下板131の前ピン1314と上板144の後ピン1333とは最も接近するとともに、下板131の左ピン1315と、上板144の右ピン1334とも最も接近する。つまり、この状態において、左ピン1315と右ピン1334とは、下板131(上板144)をはさみ、下板131(上板144)の長手方向に垂直な方向に配置されている。
さらに、コイルばね139は引っ張りばねであり、常時前ピン1314と後ピン1333を互いに接近する方向に付勢しており、これにより下板131の保持面1316と、上板144の挟持面1325とは外力を加えない限り、常時当接した状態を維持する。
駆動手段Bは、上糸保持装置130の駆動源であり、挟持手段Aの状態切り替えを行うアクチュエーターとしての保持用モーター134と、保持用モーター134の回動軸1341に固定装備された揺動リンク140と、揺動リンク140の揺動端部1402にその一端部が接続され他端部が後述するカム板リンク136を介し挟持手段Aに接続される連結部材135と、カム板リンク136に接続される挟持手段Aを保持するとともに、その移動動作をガイドするガイド137と、ガイド137に保持される挟持手段Aを覆うガイド蓋138とを備えている。
保持用モーター134は、制御装置120Bの動作指令信号に従って、所定の角度ずつ回転するステッピングモーターであって、エンコーダー37が出力した主軸32の角度に基づくパルス信号に応じて規定の主軸角度で駆動する。
連結部材135は、図中Y方向に沿って配置され、その一端部には孔部1351が形成されており、また他端部には孔部1352が形成されている。連結部材135は、揺動リンク140の揺動端部1402におけるY方向変位をカム板リンク136を介して挟持手段Aに伝達する。
カム板リンク136は、下板131(上板144)に交差するように配置される、その長手方向を図中X軸方向に沿わせて配置される。カム板リンク136には、その下面から下方に突出するカム板ピン1361が設けられている。よって、カム板リンク136はカム板ピン1361を中心に揺動可能である。また、カム板リンク136は、その長手方向の一端部に左孔部1362、他端部に右孔部1363が形成されている。左孔部1362、右孔部1363にはそれぞれ下板131の左ピン1315と、上板144の右ピン1334とが連結されている。また、カム板リンク136の左端部には、後述するコロ142の外周面に対応するようにやや湾曲したカム形状部1364が設けられている。
ガイド137は、ミシンベッド部21の内側に固定されている。
ガイド137は、その中央部に所定幅を有する溝部1371が前後方向に沿って形成され、さらに溝部1371には、中孔部1372が前後方向に沿って形成されている。また、ガイド137の溝部1371の左右両側には、スリット状の左孔部1373及び右孔部1374が前後方向に沿ってそれぞれ形成されている。ここで、これら左孔部1373及び右孔部1374は、互いに平行に形成されているが、左孔部1373及び右孔部1374は互いに前後方向においてややずれた位置関係となっており、相対的に左孔部1373は前側に、右孔部1374は後側に形成されている。また、ガイド137の左縁の下部には、ねじ1375により、コロ142が取り付けられている。
なお、溝部1371の幅は、下板131及び上板144の幅と略同一である。
ガイド蓋138は、略平板状の部材であって、四つのねじ1381により前側及び後側のそれぞれ二箇所の位置でガイド137に固定されている。これにより、上述した下板131及び上板144は、ガイド137及びガイド蓋138との間に挟まれ、ガイド137の溝部1371に案内されて、下板131及び上板144のがたつきを防止する。
駆動手段Bにおいて、保持用モーター134の回動軸1341には、揺動リンク140の一端部である軸部1401が固定されている。そして、連結部材135の一端部に形成された孔部1351内を摺動自在となるように挿通された段ねじ141により揺動リンク140の揺動端部1402に連結部材135は連結されている。また、連結部材135の他端部に形成された孔部1352には、カム板リンク136をカム板ピン1361により軸支した状態で取り付けられる。このような構成により、保持用モーター134の回動軸1341の所定の角度範囲での回動に伴う揺動リンク140の揺動により、連結部材135はY軸方向に沿って前後動する。そして、連結部材135の前後動は、カム板リンク136に伝動される。
また、ガイド137の左孔部1373と右孔部1374には、それぞれ下板131の左ピン1315と、上板144の右ピン1334とが挿通されており、左ピン1315と右ピン1334とはそれぞれカム板リンク136の左孔部1362と右孔部1363において摺動可能にストッパ143,143により取り付けられている。
よって、保持用モーター134の回動軸1341の回動に伴う駆動力は、カム板リンク136を介して左ピン1315と右ピン1334に伝動される。そして、左ピン1315と右ピン1334とはそれぞれ左孔部1373と右孔部1374とにより前後に移動自在に配置されているので、その駆動力は、下板131と上板144(挟持手段A)を前後に相対的に移動するように伝動される。
検出手段Cは、連結部材135に固定されたスリット板150と、ミシンベッド部21の内側に固定され、連結部材135とともに移動するスリット板150の有無を検出する第1のセンサ151と第2のセンサ152とを備えている。
スリット板150は、連結部材135に固定されており、連結部材135とともに前後動する部材である。スリット板150は、第1のセンサ151に対応した位置を出入し、第1のセンサ151によりその有無が検出される第1被検出部1501と、第2のセンサ152に対応した位置を出入し、第2のセンサ152によりその有無が検出される第2被検出部1502とを備えている。
第1のセンサ151及び第2のセンサ152は、それぞれ発光素子1511、1521と受光素子1512、1522とを備え、例えば、発光素子としてはLED、受光素子としてはフォトセンサが使用される。以下、発光素子が出力する発光光を受光素子が受光する場合オフ状態、発光素子が出力する発光光を受光素子が受光しない場合オン状態と定義して説明する。
具体的には、スリット板150の前後動に伴い、第1被検出部1501が第1のセンサ151の発光光を遮蔽するとき、第1のセンサ151は第1被検出部1501を検出しオン状態となり、遮蔽しないとき第1のセンサ151はオフ状態となる。そして、第1のセンサ151は、そのオン状態かオフ状態かを示す検出信号を制御装置120Bに出力する。
同様に、第2被検出部1502が第2のセンサ152の発光光を遮蔽するとき、第2のセンサ152は第2被検出部1502を検出しオン状態となり、遮蔽しないとき第2のセンサ152はオフ状態となる。そして、第2のセンサ152は、そのオン状態かオフ状態かを示す検出信号を制御装置120Bに出力する。
なお、発光素子が出力した発光光が受光素子へ向かう光路155を図27A、図29A及び図30Aの平面図では点線で、図27B、図29B及び図30Bの側面図ではドットで示している。
なお、検出手段Cは、発光素子と受光素子の組合せによる位置検出の他に、保持用モーター134にエンコーダーを設け、エンコーダーの角度検出により位置検出を行っても良い。
次に、上糸保持装置130の動作を説明する。
まず、図25を参照して、縫製開始前から縫製開始直後にかけての動作を説明する。
制御装置120Bからの初期位置信号に基づき、保持用モーター134は回動軸1341を図中反時計回りに所定の角度に回動する。回動軸1341の回動に伴い、揺動リンク140は、軸部1401を支点として揺動する(図27A中矢印L0参照)。また、段ねじ141により揺動リンク140に摺動可能に取り付けられた連結部材135は、揺動リンク140の揺動に伴い、前側に移動(前移動)する(図27A中矢印M0参照)。
連結部材135に軸支されているカム板リンク136は、連結部材135の前移動に伴い全体として前移動する。
カム板リンク136の右孔部1363と結合している上板144の右ピン1334は、カム板リンク136の前移動に伴い、ガイド137の右孔部1374に沿って前移動して右孔部1374の前壁にぶつかり(当接し)、右ピン1334の前移動が規制された状態となる。この際、右ピン1334と一体の上板144も前移動し、上板144は最前位置に位置する。
同様に、カム板リンク136の左孔部1362と結合している下板131の左ピン1315は、カム板リンク136の前移動に伴い、ガイド137の左孔部1373に沿って前移動する。この際、ガイド137の左孔部1373と右孔部1374とでは、相対的に左孔部1373の方が右孔部1374よりやや前方に形成されているので、上板144の右ピン1334が右孔部1374の前壁にぶつかった(当接した状態)後も、下板131の左ピン1315は、上板144の右ピン1334を支点とするようにガイド137の左孔部1373に沿って前移動する。そして、左ピン1315の前移動、すなわち下板131の前移動は、下板131の貫通孔1312が針板40Aの針穴431Aの直下の所定の最前位置に到達するまで続けられ、所定の最前位置に到達した時点で、制御装置120Bが保持用モーター134を停止させることにより停止する。なお、ガイド137の左孔部1373の前方向の長さは、左ピン1315が前記最前位置到達した後も左孔部1373の前壁とぶつからないように余裕を持った長さに形成され、保持用モーター134の脱調を防いでいる。
下板131及び上板144が最前位置に位置するとき、下板131の前ピン1314と上板144の後ピン1333は、互いにコイルばね139の付勢力に抗してY軸方向について離間した状態となる。なお、この場合、コイルばね139の付勢力により下板131の前ピン1314と上板144の後ピン1333とが前後方向に互いに近づくように付勢されているが、コイルばね139の付勢力よりも保持用モーター134の駆動力のほうが大きいので、下板131は、コイルばね139の付勢力に抗して、最前位置に位置することができる。
また、下板131及び上板144が最前位置に位置するとき、下板131の貫通孔1312における保持面1316と、上板144の前端部1331に取り付けられた先端部材132の挟持面1325及び突起部1323との前端とはY軸方向に離間しており、貫通孔1312が開いた状態となる。このとき、貫通孔1312と針板40Aの針穴431Aとが上下に重なった状態となっており、縫製開始後の第一針目の縫い針11がこれら貫通孔1312及び針板40Aの針穴431Aを貫通して上下動できるようになる。このように、挟持手段Aが縫い針11の上下動経路上に位置する位置を、以下の説明では「初期位置」とする。この初期位置において、挟持手段Aは上糸を保持又は挟持しない「解放状態」となる。
そして、この「初期位置」において、検出手段Cのスリット板150は、連結部材135の前移動とともに前移動しており、スリット板150の第1被検出部1501及び第2の被検出部1502は、それぞれ第1のセンサ151と第2のセンサ152において非検出位置にあり、オフ状態である。
そして、挟持手段Aが「初期位置」に位置すると、上糸Uの縫い開始側の端部U0が挿通されている第一針目の縫い針11が、針穴431A及び貫通孔1312を貫通するように上下動する。なお、上糸Uの端部U0は、縫い針11が下降したとき釜機構50Bの中釜53Bの剣先54Bによって下方に引き出され、その後、縫い針11が上昇したときには、図28に示されるように、貫通孔1312に上糸Uの端部U0が挿通された状態で垂れ下がった状態となる。
次に、図29A及び図29Bを参照して、縫製開始後(第一針目の縫い針11の上下動後)における上糸保持装置130の動作を説明する。
制御装置120Bからの中間保持位置信号に基づき、保持用モーター134は回動軸1341を図中時計回りに所定の角度に回動する。回動軸1341の回動に伴い、揺動リンク140は、軸部1401を支点として揺動する(図29A中の矢印L1参照)。また、段ねじ141により揺動リンク140に摺動可能に固定された連結部材135は、揺動リンク140の揺動に伴い、後側に移動(後移動)する(図29A中の矢印M1参照)。
連結部材135に軸支されているカム板リンク136は、連結部材135の後移動に伴い全体として後移動する。
カム板リンク136が後移動を始めると、まず、コイルばね139の付勢力によって、上板144の後ピン1333が下板131の前ピン1314の方向に引っ張られているので、上板144の右ピン1334がガイド137の右孔部1374の前壁と当接したままの状態で、下板131のみが後移動を開始する。そして、下板131が所定量の移動を行って停止すると、下板131の保持面1316が上板144の突起部1323の先端より後方に位置し、貫通孔1312が閉じられた「中間保持位置」となる。
なお、この「中間保持位置」は、下板131のみが後移動している状態であり、カム板リンク136のカム板ピン1361と、上板144の右ピン1334と、下板131の左ピン1315とが、挟持手段A(下板131、上板144)の長手方向にほぼ垂直な向きに一列に配置されるまでの間の配置のことである。この間、保持用モーター134が「中間保持位置」に対応した所定の角度の回動を行っている。
そして、この「中間保持位置」において、検出手段Cのスリット板150は、連結部材135の後移動とともに後移動しており、スリット板150の第1被検出部1501は第1のセンサ151において検出位置にあり、オン状態である。また、第2の被検出部1502は第2のセンサ152において非検出位置にあり、オフ状態である。
この「初期位置」から「中間保持位置」への下板131の移動は、天秤の上昇が開始されるまでに完了し、この「中間保持位置」においては、下板131の保持面1316と上板144の挟持面1325とは当接しておらず、上糸を挟持又は保持していない。この状態により、天秤が上方へ引き上げる上糸Uを屈曲させ、その上糸Uの引き上げに対する抵抗を付与している。
このような抵抗を付与することによって、天秤により引き上げられる上糸Uが慣性力によってたるんでしまうことを防ぐとともに、挟持手段Aから抜けてしまうことを防ぐことができ、また、縫い針11の目穴からの上糸Uの縫い開始の端部U0までの長さを一定に保つことができる。
次に、図309A及び図30Bを参照して、「中間保持位置」後、挟持手段Aが上糸Uを挟持、保持する前後の上糸保持装置130の動作を説明する。
前述の「中間保持位置」から保持用モーター134は図中時計回りの回動を行い揺動リンク140を揺動し、その揺動リンク140の揺動に伴う連結部材135の後移動により、カム板ピン1361と、右ピン1334と、左ピン1315とが、挟持手段Aの長手方向に垂直な向きに一列に配置される。この状態においては、コイルばね139の付勢力により下板131の前ピン1314と上板144の後ピン1333とが前後方向に互いに最も近づくように付勢されている。それに伴い、下板131の保持面1316と上板144の挟持面1325とが当接(実際には上糸Uが介在するので完全に接触しないで当接に近い状態となる)し、図31に示すように、挟持手段Aが上糸Uを挟持する「上糸挟持位置」となる。この上糸挟持位置において挟持手段Aは「挟持状態」となる。
「上糸挟持位置」となった後、制御装置120Bからの退避位置信号に基づき、保持用モーター134は回動軸1341を図中時計回りに所定の角度に引き続き回動する。回動軸1341の回動に伴い、揺動リンク140は、軸部1401を支点として揺動する(図30A中の矢印L2参照)。また、段ねじ141により揺動リンク140に摺動可能に固定された連結部材135は、揺動リンク140の揺動に伴い、後側に移動(後移動)する(図30A中の矢印M2参照)。
連結部材135に軸支されているカム板リンク136は、連結部材135の後移動に伴い全体として後移動する。
この状態では、挟持面1325と保持面1316とが当接状態となるので、コイルばね139が付勢する上板144と下板131の相互近接方向への移動はそれ以上行われない。従って、カム板リンク136の後移動により、下板131、上板144とも同量ずつ後移動する。つまり、挟持手段Aは挟持状態となって上糸Uを挟持しつつ後移動する。
このように、挟持手段Aは、上糸Uの挟持状態を維持しつつ、「上糸挟持位置」よりやや後移動した「退避位置」に移動する。この「退避位置」は、針板40Aの針穴431Aの後方側であり、針穴431Aから挟持手段Aに渡る上糸Uの端部U0が糸切り装置80Aが糸切りを行う際に往復回動動作を行う糸切用動メス81Aに接触しない位置になっている。
そして、この「退避位置」において、検出手段Cのスリット板150は、連結部材135の後移動とともに後移動しており、スリット板150の第1被検出部1501及び第2の被検出部1502は、それぞれ第1のセンサ151と第2のセンサ152において検出位置にあり、いずれもオン状態である。
そして、挟持手段Aが、この「退避位置」に退避した状態において、最終針まで縫製が行われる。
このように、上糸保持装置130は、初期位置と待機位置との間で挟持手段Aの位置を切り換えることにより、上糸Uの縫い開始の端部U0の挟持状態と解放状態とを切り換えることができるようになっている。
[ボタン付けミシン:動作制御]
図24に示すように、制御装置120Bは、ハードウェア構成は前述した制御装置120と同じで、CPU121、ROM122、RAM123、EEPROM124とを備えている。
そして、制御装置120Bには、システムバス及び駆動回路等を介して、針上下動機構30のミシンモーター31及びエンコーダー37、送り機構60BのX軸モーター65B、Y軸モーター66B、昇降用モーター64B、糸切り装置80Aの糸切用動メス81Aの回動動作を行う糸切りモーター86A、残端切除機構100Aの糸切除用エアシリンダー103A、ワイパー機構90のワイパーソレノイド92、吸引機構110Aの吸引用電磁弁114A及びノズル移動用エアシリンダー113A、上糸保持装置130の保持用モーター134、第1のセンサ151、第2のセンサ152等が接続されている。
なお、糸切除用エアシリンダー103A、ノズル移動用エアシリンダー113Aは、実際には、これらを作動させる電磁弁に対して制御装置120Bは制御を行うが、ここでは各電磁弁の図示を省略する。
また、制御装置120Bには、制御装置120と同様に、操作入力部125が接続されている。
この操作入力部125は、例えば、縫着するボタンの穴の数、各穴の寸法、各穴への運針の順番、針数等の設定を行う。
また、このボタン付けミシン10Bは、予め設定された規定の針数でボタン縫着を行うので、糸切りの実行指令を入力するペダル126は備えておらず、替わりに、縫製の実行の指令を入力するスタートペダル126Bが設けられている。
[ボタン付けミシン:縫製動作]
次に、上記ボタン付けミシン100Bのボタン縫着縫製動作について図32のフローチャート及び図33〜図37の動作説明図によって説明する。
まず、下板61Bの上面に被縫製物である布地Cが載置され、ボタンつまみ足63BにボタンBがセットされ、スタートペダル126Bが押されると、制御装置120Bは、送り機構60Bの昇降用モーター64Bを制御してボタンつまみ足63Bを布地Cの上に下降させる。これによりボタンBと布地Cとがボタンつまみ足63Bに保持された状態となる(ステップS101)。
次に、制御装置120Bは、保持用モーター134を制御して、上糸保持装置130の挟持手段Aを初期位置に移動させる。これにより、針穴431Aの下側において、挟持手段Aの保持面1316と挟持面1325とが開かれた状態となる(ステップS103、図33、解放状態)。
次に、制御装置120Bは、ミシンモーター31の駆動を開始する(ステップS105)。これにより、第一針目の針落ちが挟持手段Aの保持面1316と挟持面1325との間に行われる。制御装置120Bは、エンコーダー37の出力を監視して、縫い針11が上昇して挟持手段Aの保持面1316と挟持面1325の間から上方に抜ける所定の主軸角度で保持用モーター134を作動させ、挟持手段Aを中間保持位置まで移動させる(ステップS107)。これにより、挟持手段Aは待機位置側に移動し、保持面1316と挟持面1325とが近接状態となる。このため、天秤により上糸Uの引き上げが行われた際に、上糸Uの所定の抵抗力を付与することができ、上糸Uの弛みが抑制される。
さらに、制御装置120Bは、エンコーダー37の出力を監視して、天秤がその上死点を通過すると、保持用モーター134を作動させ、挟持手段Aを待機位置まで移動させる(ステップS109、挟持状態)。
これにより、挟持手段Aは針穴431Aから離間し、保持面1316と挟持面1325が最も近接した状態となって上糸Uの縫い開始の端部U0が挟持される。
その後、設定されたボタン縫着の針数でボタンの穴に対して規定の順番で針落ちが行われる(ステップS111)。
そして、最終針の針落ち後の縫い針11の上昇時に、制御装置120Bは糸切りモーター86Aを作動させて糸切り装置80Aにより糸切りを開始する(ステップS113)。
即ち、糸切り装置80Aの糸切用動メス81Aが往復回動の往路にて布地Cの下側で中釜53Bにより形成された上糸Uのループの内の縫い針11側に連なる部分のみを選別し(図34)、往復回動の復路にて上糸Uのループの内の布地C側に連なる部分と中釜53Bから布地Cに渡る下糸Dとを糸切用固定メス82A側に運んで切断する(図35)。
この時、上糸の縫い開始の端部U0は挟持手段Aが待機位置側に引っ張って退避させた状態にあるため、糸切用動メス81Aの回動範囲外にあり、切断されない。
そして、ミシンモーター31が所定の上停止位置で停止すると(ステップS115)、制御装置120Bは、ワイパーソレノイド92を制御してワイパーによる糸払いを実行する(ステップS117)。これにより、糸切り装置80Aで切断された上糸Uの縫い針11側の部分がボタンBの上方に引き出される(図36)。
そして、制御装置120Bは、糸切除用エアシリンダー103Aを作動させて、布地Cの下側に残っている糸切り装置80Aの切断後の上糸U及び下糸Dの残端と、布地Cから挟持手段Aに渡る上糸Uの縫い開始の端部U0を布地Cの下面近くの位置で切除する(ステップS119)。
次いで、制御装置120Bは、保持用モーター134を作動させて挟持手段Aを初期位置に移動させる(ステップS121)。これにより、挟持手段Aが解放状態となり、切除された上糸Uの縫い開始の端部U0が保持面1316と挟持面1325との挟持状態から解放される(図37)。
さらに、制御装置120Bは、ノズル移動用エアシリンダー113Aと吸引用電磁弁114Aを作動させて、吸引ノズル111Aの先端部を針穴431Aの下方に移動させると共に吸引を行い、切除された上糸U及び下糸Dの残端と上糸Uの縫い開始の端部U0とを吸引する(ステップS123)。
そして、制御装置120Bは、送り機構60Bの昇降用モーター64Bを制御してボタンつまみ足63Bを上昇させる(ステップS125)。これにより布地Cがボタンつまみ足63Bから解放され、縫製が完了する。
以上のように、ボタン付けミシン10Bでは、上糸保持装置130により、上糸Uの縫い開始の端部U0が最終針まで挟持手段Aにより待機位置に保持されるので、縫製の過程で上糸Uの縫い開始の端部U0が上糸Uや下糸Dに絡みついていわゆる鳥の巣状態となることを効果的に抑制することが可能となる。
また、保持された上糸Uの縫い開始の端部U0は、最終的に残端切除機構100Aにより切除されるので、布地Cにおける上糸Uの縫い開始の端部U0の残端をより短くすることができ、見栄えの良い良好なボタン縫着縫製を実現することが可能となる。
[針穴の周囲の形状の他の例]
前述したように、針板40Aの下層となる下板42Aには針穴ガイド44Aが設けられている。
そして、この針穴ガイド44Aの中心には、上下に貫通した針穴441Aが形成されており、当該針穴441Aは、針穴形成板43Aの針穴431Aと同心であって内径が等しくなっている。
図38、図39A及び図39Bに示すように、この針穴ガイド44Aの上面の針穴441Aの周囲部分を針穴ガイド44Aの上面の他の部分よりも高くしてボス状突起443Aを形成することが望ましい。このボス状突起443Aは、平面視円形であって針穴441Aと同心となるように形成される。また、針穴441Aの上端部には面取り442Aを形成しても良い。
針穴ガイド44Aの下側において、上糸U及び下糸Dを選り分ける糸捌き、糸切り等の糸処理が行われるので、針穴ガイド44Aにも針穴441Aを形成することにより、これらの糸処理の際に各糸を適正な位置に案内し、適正に位置に保持することができる。
また、針穴ガイド44Aの下側において、残端切除機構100Aにより切除された上糸U及び下糸Dの残端が針穴441Aを介して吸引ノズルにより吸引されるので、ボス状突起443Aを設けることにより、針穴441Aの上端部をより残端切除機構100Aに近接させることができ、残端の吸引をより良好に行うことが可能となる。
また、ボス状突起443Aは、針穴ガイド44Aの上面における他の部分よりも高くなっているので、吸引時に針穴ガイド44Aの上面に沿った針穴441A側に向かう気流の発生を低減し、上から下へより効果的に吸引を行うことが可能となる。
なお、ここでは、針板40Aを例示したが、針板40の場合も下板42の針穴421についてその上端部の周囲にボス状突起を形成しても良い。
[残端処理機構と針穴の関係]
例えば前述した残端切除機構100Aは、針板40Aの上層となる上板41Aと下層となる下板42Aとの間において、上側に切除用固定メス101A、下側に切除用動メス102Aを備えている。なお、上側に切除用固定メス101Aを配置するのは、上板41Aの強度を確保するためである。即ち、上板41Aは残端をより短くするためにより薄くすることが要求されるため、その下面に形成された凹部に切除用固定メス101Aを嵌め込んだ状態で固定する。仮に、切除用動メス102Aを上側に配置すると、上糸の下面に形成される凹部はメスの動作範囲を考慮して広範囲となり、強度が低下する。従って、切除用固定メス101Aを上側に配置することで針板40Aの強度を確保することができる。
図39Aに示すように、切除用固定メス101Aと切除用動メス102Aの双方には、上糸U及び下糸Dが挿通される貫通穴101Ab,102Abが形成されている。そして、切除用動メス102AはY軸方向に移動して上糸U及び下糸Dの切除を行う。
また、切除用固定メス101A及び切除用動メス102Aの貫通穴101Ab,102Abは、互いに対向する面側においていずれも円形の開口であり、互いに対向する面側において最小の寸法(最小径)となっている。
さらに、互いに対向する面側におけるこれらの円形の開口は、切除用動メス102Aが非切除動作時の待機位置にある状態で、いずれも、上板41A側の針穴431A及び下板42A側の針穴441Aと同心になると共に、その内径d2が、針穴431A及び針穴441Aの内径d1と一致している。
図39Aは切除用動メス102Aが非切除動作時の待機位置にある状態を示し、図30Bは切除用動メス102Aが切除動作方向に移動した状態を示している。
切除用動メス102Aが切除動作方向に移動すると、図30Bに示す領域sは切除された上糸U又は下糸Dの残端が入り込む可能性があるポケットとなる。この領域sは切除用動メス102Aの切除動作方向の幅が浅いほど上糸U又は下糸Dの残端が入り込み難くなる。そして、この領域sは切除用動メス102Aの刃先とは逆側に形成され、領域sの深さは前述した貫通穴102Abの切除動作方向の最小幅d2と一致する。
一方、切除用動メス102Aの貫通穴102Abの切除動作方向の最小幅d2は、少なくとも針穴431A,441Aの幅d1以上としなければ、上糸U及び下糸Dや縫い針11の挿通を良好に行えなくなる。従って、切除用動メス102Aの貫通穴102Abの切除動作方向の最小幅d2は、上糸U及び下糸Dや縫い針11を挿通しやすく、且つ、上糸U又は下糸Dの残端が入り込み難くなるという双方の要件を満たすために、針穴431A,441Aの幅d1と一致させている。
これにより、上糸U及び下糸Dや縫い針11の挿通性を確保しつつ、上糸U又は下糸Dの残端の吸引を良好に行うことが可能となっている。
なお、ここでは、残端切除機構100Aを例示したが、残端切除機構100の場合も切除用動メス102の長穴102bを円形とし、その切除動作方向の最小幅(固定メス側の開口の切除動作方向の幅)を針穴411,421の同方向の幅と一致させても良い。
[中押さえ]
前述したボタン付けミシン10Bに、縫製時に保持されたボタンBと被縫製物としての布地Cとの間で、布地CのボタンB側への引き寄せを防止するための中押さえ621Bを設けても良い。
当該中押さえ621Bは、図40に示すように、送り機構60Bの土台62BのY軸方向の前端部に設けられ、Y軸方向に沿って前端部側に延出された棒状の部材である。
この中押さえ621Bは、一対のボタンつまみ足63Bによって上から保持された布地Cと一対のボタンつまみ足63Bによって挟持されたボタンBとの間となるように高さが設定されている。また、X軸方向の配置については、一対のボタンつまみ足63Bによって挟持されたボタンBの丁度真ん中を通るように位置設定されている。
これにより、ボタンBが二つ穴又は四つ穴である場合に、図41Aに示すように、ボタン穴の間に中押さえ621Bを通す配置とすることができる。
従って、ボタンBを布地Cに縫着する縫製を行う場合に、ボタン穴の間で布地Cを上方から押さえることができる。これにより、図41Bに示すように、ボタン穴とボタン穴との間で、縫い針11の引き上げや上糸Uの引き上げによって布地Cが上方に引き上げられることを抑制することが可能となる。
布押さえ421Bにより、ボタン穴とボタン穴との間における布地Cの引き上げが抑制されると、布地Cと針板40Aの上面との隙間を低減することができる。これにより、上糸U及び下糸Dの残端の切除後において、上記隙間分だけ残端を短くすることが可能となる。
本発明に係るミシンは、自動糸切り後に被縫製物に縫い糸の残端が生じ得るミシンに関して利用可能性がある。
10 ミシン
11 縫い針
12 針棒
20 ミシンフレーム
30 針上下動機構
31 ミシンモーター
32 主軸
37 エンコーダー
40,40A 針板
41,41A 上板(上層の針板)
42,42A 下板(下層の針板)
50,50B 釜機構
60,60B 送り機構(移動機構)
64 送り歯
70 送り調節機構
74 コンデンス用エアシリンダー
75 0ピッチ用エアシリンダー
76 逆送り用ソレノイド
80,80A 糸切り装置
81,81A 糸切用動メス
82,82A 糸切用固定メス
90 ワイパー機構
91 ワイパー
100,100A 残端切除機構(糸切除機構)
101,101A 切除用固定メス(切除用メス)
101Ab 貫通穴
102,102A 切除用動メス(切除用メス)
102Ab 貫通穴
103,103A 糸切除用エアシリンダー
110,110A 吸引機構
111,111A 吸引ノズル
113,113A ノズル移動用エアシリンダー(ノズル駆動手段)
114 吸引用電磁弁
120 制御装置(吸引制御装置)
126 ペダル(信号入力手段)
130 上糸保持装置
134 保持用モーター(アクチュエーター)
411,421,431A 針穴
443A ボス状突起
412,422 出没孔
621B 中押さえ
D 下糸
U 上糸
U1 上糸ループの針側部分
U2 上糸ループの被縫製物側部分

Claims (13)

  1. 縫い針が挿入される針穴が貫通形成された針板と、
    前記針板の上面に沿って被縫製物を移動させる移動機構と、
    前記縫い針の上下動動作を行う針上下動機構と、
    前記針板の下側で前記縫い針から上糸を捕捉して下糸を絡める釜機構と、
    前記針板と前記釜機構との間に設けられ、下糸と上糸を切断する糸切り装置と、
    前記糸切り装置により切断された上糸の縫い針側部分を前記被縫製物の上側に引き出すワイパー機構と、
    前記移動機構と前記糸切り装置と前記ワイパー機構の動作制御を行う制御装置とを備えるミシンにおいて、
    前記針板の上面より下方であって、前記糸切り装置より上方に配置された残端切除機構を備え、
    前記糸切り装置によって下糸と上糸を切断した後に、
    前記被縫製物に連なる下糸及び上糸の残端を、前記残端切除機構によって切除することを特徴とするミシン。
  2. 前記針板を上下二層構造とし、
    前記残端切除機構は、
    前記針板の上下の層の間に内蔵され、前記糸切り装置による切断後に被縫製物に連なる下糸及び上糸の残端を切除する切除用メスを有することを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記制御装置は、前記糸切り装置による糸切りを実行する最終針の針落ち位置の一針前の針落ち位置からの送り量を0又はその直前の送り量よりも低減するように前記移動機構の送り量を制御することを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
  4. 前記移動機構は、前記針板の出没孔から出没する送り歯により被縫製物の送りを行い、
    前記制御装置は、前記糸切り装置による下糸と上糸の切断後、前記ミシンモーターを回転させることにより、前記送り歯の前記針板からの突出量を低減した後に、下糸及び上糸の残端の切除を行うように前記残端切除機構を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
  5. 前記制御装置は、信号入力手段による糸切信号の入力が検出されると、所定針数を予め定められたコンデンス縫いピッチとなるように前記移動機構の送り量を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシン。
  6. 前記ミシンは被縫製物にボタンの縫着を行うボタン付けミシンであって、
    前記針板及び前記残端切除機構より下方であって、前記釜機構より上方に配置された、前記上糸の縫い開始の端部を保持する上糸保持装置を備え、
    前記上糸保持装置は、前記上糸の縫い開始の端部の解放状態と前記上糸の縫い開始の端部の挟持状態とを切り替え可能な挟持手段と、当該挟持手段を前記解放状態から前記挟持状態に切り替えるアクチュエーターとを備え、
    前記制御装置は、
    前記ボタン縫着の第一針の針落ち後に前記挟持手段を前記解放状態から前記挟持状態に切り替え、
    前記ボタン縫着の最終針の針落ち後に前記糸切り装置により糸切りを行い、
    前記糸切り装置による糸切りの実行後に、前記挟持手段を前記解放状態に切り替える制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
  7. 前記針板の針穴下方から吸引を行う吸引機構を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシン。
  8. 前記吸引機構は、前記針板の針穴に対して接離移動可能な吸引ノズルと当該接離移動動作を付与するノズル駆動手段とを備えることを特徴とする請求項7記載のミシン。
  9. 前記移動を行う吸引ノズルが前記針板の針穴に到着すると同時に、又は到達する前に吸引を開始するように前記吸引機構を制御する吸引制御装置を備えることを特徴とする請求項8記載のミシン。
  10. 前記針板を上下二層構造とし、
    前記残端切除機構は、前記針板の上下の層の間に内蔵され、前記糸切り装置による切断後に被縫製物に連なる下糸及び上糸の残端を切除する切除用メスを有し、
    前記上層の針板と前記下層の針板の双方に同心となる針穴を形成したことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のミシン。
  11. 前記下層の針板の上面の前記針穴の周囲部分を前記下層の針板の上面の他の部分よりも高く形成したことを特徴とする請求項10記載のミシン。
  12. 前記残端処理機構は、前記上層の針板と前記下層の針板の間で、前記切除用メスとして、上側に固定メス、下側に動メスを備え、
    前記固定メスと前記動メスには、いずれも前記上糸と前記下糸とが挿通される貫通穴が形成され、
    前記動メスの前記貫通穴の前記動メスの切除動作方向における最小幅が前記上層の針板の針穴の切断動作方向における幅と一致することを特徴とする請求項10又は11記載のミシン。
  13. 縫製時に保持された前記ボタンと前記被縫製物との間で、前記被縫製物の前記ボタン側への引き寄せを防止するための中押さえを備えることを特徴とする請求項6記載のミシン。
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