JPWO2014157628A1 - 回転電機制御装置 - Google Patents
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Abstract
回転電機の動作状態に拘わらず、精度良く磁極位置を推定する。誘起電圧に基づいてロータの磁極位置を演算する高速域位置演算部3と、回転電機に高周波の観測信号を印加して磁極位置を演算する低速域位置演算部5と、高速域位置演算部3による高速域演算モードと低速域位置演算部5による低速域演算モードとの少なくとも2つのモードの間で演算モードを切り替える切替部1とを備える。切替部1は、回転速度及びトルクにより規定された高速回転域RHでは、高速域演算モードを適用し、低速回転域RLでは低速域演算モードを適用する。切替部は、高速回転域RHとこれよりも低速側の領域との境界である高速域側境界HBと、低速回転域RLとこれよりも高速側の領域との境界である低速域側境界LBとの双方を、トルクが相対的に高い場合にトルクが相対的に低い場合と比べて回転速度が低い側となるように設定している。
Description
本発明は、回転電機をベクトル制御する回転電機制御装置に関する。
永久磁石式同期回転電機、例えば3相同期モータの制御方法として、ベクトル制御と呼ばれる制御方法が知られている。ベクトル制御では、モータの3相のステータコイルに流れるモータ電流を、ロータに配置された永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸と、このd軸に直交するq軸との2相のベクトル成分に座標変換してフィードバック制御を行う。この座標変換のためには、ロータの位置(磁極位置)を精度良く検出する必要がある。多くの場合、磁極位置検出にはレゾルバなどの回転センサが利用される。しかし、コストダウンなどを目的として、そのような回転センサを用いること無く、磁極位置に応じた電気的現象に基づいて、電気的に磁極位置を検出するセンサレス磁極検出が行われる場合がある。例えば、ロータの回転によって生じる誘導起電力を利用して電気的に磁極位置を検出することができる。但し、この方法は、ロータが停止している場合や、非常に低速で回転している場合には、誘導起電力が生じなかったり、誘導起電力が小さかったりすることから、精度良く磁極位置を検出することができない。そこで、高周波電流や高周波電圧をモータに与えてその応答により磁極位置を推定する方法も提案されている。
このように、誘導起電力を利用する方法及び高周波を印加する方法の何れか、つまり、単一の方法で磁極位置(又は回転するdq軸座標系の位相)を決定しようとすると、高速回転域(回転周波数の高周波数領域)、或いは低速回転域(回転周波数の低周波数領域)において精度が低下する。特開平10−94298号公報(特許文献1)には、センサレス磁極検出に関するこのような問題に対応した技術が提案されている。特許文献1によれば、低周波数領域用の位相決定方法と高周波数領域用の位相決定方式との2種類の位相決定方式を用いてそれぞれ位相を生成し、これら2種類の位相を周波数的に加重平均して、dq軸座標系の位相とする。
特許文献1の技術を適用すれば、周波数的に加重平均をとることによって、回転周波数に応じて一定の比率で2種類の位相決定方式を切り替えるようにして、2種類の方式の内、回転周波数に適した方式に基づき位相が決定される。しかし、低周波数領域で用いられる方式(例えば、高周波電流や高周波電圧をモータに印加する方式)、及び高周波数領域で用いられる方式(例えば、誘導起電力を利用する方式)は、何れもモータのトルクによっても磁極位置の推定の推定精度が変化する傾向がある。従って、回転周波数に基づいて、位相決定方式を切り替えたり、加重平均の重みを決定したりするだけでは、位相決定(磁極位置の推定)の精度の確保が充分ではない。
上記背景に鑑みて、回転電機の動作状態に拘わらず、精度良く磁極位置を推定する技術の提供が望まれる。
上記課題に鑑みた本発明に係る回転電機制御装置の特徴構成は、
磁気的突極性を有するように永久磁石が配置されたロータを備えた回転電機を制御対象とし、前記永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸と当該d軸に直交するq軸とのdq軸ベクトル座標系において、電流指令と前記回転電機からのフィードバック電流との偏差に基づいて前記回転電機をフィードバック制御する回転電機制御装置であって、
前記回転電機に発生する誘起電圧に基づいて前記ロータの磁極位置を演算する高速域位置演算部と、
前記回転電機に高周波の観測信号を印加し、当該観測信号への応答成分として前記フィードバック電流に含まれる高周波成分に基づいて前記ロータの磁極位置を演算する低速域位置演算部と、
前記高速域位置演算部により前記磁極位置を演算する高速域演算モードと、前記低速域位置演算部により前記磁極位置を演算する低速域演算モードとの少なくとも2つのモードの間で、前記ロータの磁極位置を演算する演算モードを切り替える切替部と、を備え、
前記切替部は、前記回転電機の回転速度及びトルクにより規定される高速回転域と前記回転電機の回転速度及びトルクにより規定されると共に当該高速回転域よりも前記回転速度が低い側に規定された低速回転域とを設定し、前記高速回転域では前記高速域演算モードを適用し、前記低速回転域では前記低速域演算モードを適用するように構成されていると共に、前記高速回転域よりも前記回転速度が低い側の領域と前記高速回転域との境界である高速域側境界と、前記低速回転域よりも前記回転速度が高い側の領域と前記低速回転域との境界である低速域側境界との双方を、前記トルクが相対的に高い場合に前記トルクが相対的に低い場合と比べて前記回転速度が低い側となるように設定する点にある。
磁気的突極性を有するように永久磁石が配置されたロータを備えた回転電機を制御対象とし、前記永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸と当該d軸に直交するq軸とのdq軸ベクトル座標系において、電流指令と前記回転電機からのフィードバック電流との偏差に基づいて前記回転電機をフィードバック制御する回転電機制御装置であって、
前記回転電機に発生する誘起電圧に基づいて前記ロータの磁極位置を演算する高速域位置演算部と、
前記回転電機に高周波の観測信号を印加し、当該観測信号への応答成分として前記フィードバック電流に含まれる高周波成分に基づいて前記ロータの磁極位置を演算する低速域位置演算部と、
前記高速域位置演算部により前記磁極位置を演算する高速域演算モードと、前記低速域位置演算部により前記磁極位置を演算する低速域演算モードとの少なくとも2つのモードの間で、前記ロータの磁極位置を演算する演算モードを切り替える切替部と、を備え、
前記切替部は、前記回転電機の回転速度及びトルクにより規定される高速回転域と前記回転電機の回転速度及びトルクにより規定されると共に当該高速回転域よりも前記回転速度が低い側に規定された低速回転域とを設定し、前記高速回転域では前記高速域演算モードを適用し、前記低速回転域では前記低速域演算モードを適用するように構成されていると共に、前記高速回転域よりも前記回転速度が低い側の領域と前記高速回転域との境界である高速域側境界と、前記低速回転域よりも前記回転速度が高い側の領域と前記低速回転域との境界である低速域側境界との双方を、前記トルクが相対的に高い場合に前記トルクが相対的に低い場合と比べて前記回転速度が低い側となるように設定する点にある。
この特徴構成によれば、高速域位置演算部と低速域位置演算部とを備えることにより、それぞれの演算部に適した回転速度域において磁極位置を推定することが可能となる。さらに、切替部は、これら磁極位置が演算される少なくとも2つのモードの間で、演算モードを切り替えるから、広い回転速度域に亘って精度の良い磁極位置の推定が可能となる。また、切替部においては、低速回転域と高速回転域とが設定されているが、これらの回転域は単純に回転速度にのみ対応して設定されるものではなく、トルクにも対応して設定されている。高速域位置演算部による磁極位置の推定では、例えば出力トルクが最大となるように回転電機を制御する場合(最大トルク制御を実施する場合)、磁極位置を推定するための誘起電圧も増加することになり、推定精度が向上する。つまり、高速域位置演算部による磁極位置の推定では、低トルクの場合に比べて、高トルクの場合の方が、より推定精度が向上する。
一方、低速域位置演算部による磁極位置の推定では、以下に述べる理由により、高トルクの場合に比べて、低トルクの場合の方が、より演算が安定する。飽和特性の表現のために、ロータのインダクタンスとして、ダイナミックインダクタンスが定義される場合がある。例えば最大トルク制御を実施する場合、q軸の磁束は、トルクが大きくなるとq軸電流が増加して次第に飽和領域へと近づく。ダイナミックインダクタンスは、微分によって表されるため、q軸電流が増加して飽和領域に近づくと“0”に近づいていく。つまり、トルクが大きくなるに従って、q軸のダイナミックインダクタンスは小さくなっていく。突極比はq軸のダイナミックインダクタンスをd軸のダイナミックインダクタンスで除した値により示される。q軸のダイナミックインダクタンスが小さくなることによって、突極比が小さくなるので、突極性を利用した磁極位置の推定を行う場合の安定性が低下する。つまり、低速域位置演算部による磁極位置の推定では、回転速度が同じであっても、高トルクの場合に比べて低トルクの場合の方がより推定精度が向上する。
上述したように、切替部においては、低速回転域と高速回転域とが設定されているが、これらの回転域は単純に回転速度にのみ対応して設定されるものではなく、トルクにも対応して設定されている。具体的には、トルクが相対的に高い場合に、トルクが相対的に低い場合と比べて回転速度が低い側となるように、高速域側境界及び低速域側境界の双方が、設定されている。従って、高速域位置演算部による磁極位置の推定は、回転速度が高い側、且つトルクが高い側の領域を適用領域として実行され、低速域位置演算部による磁極位置の推定は、回転速度が低い側、且つトルクが低い側の領域を適用領域として実行されることになる。その結果、2つの演算部のそれぞれがより安定して磁極位置を推定することが可能なように、それぞれの適用領域が切替部によって設定されることとなるから、高い精度で、磁極位置の推定が可能となる。このように、本特徴構成によれば、回転電機の動作状態に拘わらず、精度良く磁極位置を推定することが可能となる。
回転電機に発生する誘起電圧は、主にロータの回転に起因してステータに発生する。そこで、一つの態様として、本発明に係る回転電機制御装置は、前記高速域位置演算部が、少なくとも前記ロータの回転により前記ステータに発生する誘起電圧に基づいて前記ロータの磁極位置を演算するように構成されていると好適である。
また、高速域演算モードによる磁極位置の推定精度を高めるためには、回転電機に発生する誘起電圧の特定を適切に行うことが望ましい。そこで、一つの態様として、前記高速域位置演算部は、d軸電流により前記ロータに発生する磁束の回転により発生する誘起電圧、ステータ側のq軸のインダクタンスに流れる電流の変化分により発生する誘起電圧、前記永久磁石の磁束の回転により発生する誘起電圧とから算出する拡張誘起電圧を用いた拡張誘起電圧モデルにより前記ロータの磁極位置を演算するように構成されていると好適である。この構成によれば、一般的な誘起電圧モデルを用いた磁極位置の演算に比べて、更に高精度な磁極位置の推定が可能となる。
上述したように、切替部は、高速回転域では高速域演算モードを適用し、低速回転域では低速域演算モードを適用するように、演算モードを切り替える。高速回転域と低速回転域との境界が固定的であると、当該境界付近で回転速度が変化した際に、演算モードが頻繁に切り替わり、磁極位置の推定結果がハンチングを生じる可能性もある。従って、この境界にはヒステリシスが設定されていると好適である。1つの態様として、本発明に係る回転電機制御装置は、前記高速域位置演算部及び前記低速域位置演算部が、前記ロータの回転速度を演算し、前記高速域側境界には、前記高速域演算モードにおいて演算される前記磁極位置の誤差により生じる前記回転速度の誤差よりも大きいヒステリシスが設定され、前記低速域側境界には、前記低速域演算モードにおいて演算される前記磁極位置の誤差により生じる前記回転速度の誤差よりも大きいヒステリシスが設定されると好適である。
低速域位置演算部による磁極位置の推定が行われていない演算モードから、低速域位置演算部による磁極位置の推定を行う演算モードへの切り替えの際には、回転電機に対して高周波の観測信号を印加して、その応答成分を信号処理するためのタイムラグがある。従って、実際に磁極位置の推定を行うよりも前に、観測信号を印加して準備しておくことで、当該切り替えの際にも、推定される磁極位置を見失うことが抑制できる。1つの態様として、本発明に係る回転電機制御装置は、前記低速域側境界に対して前記回転速度が高い側に隣接して、前記低速回転域よりも前記回転速度が高い側の領域で適用される前記演算モードを実行しつつ、前記回転電機に前記観測信号を印加する高周波印加領域が設定されると好適である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、回転電機制御装置は、交流の回転電機30の回転状態(磁極位置や回転速度)をレゾルバ等の回転センサを用いることなく、いわゆるセンサレスで検出する機能を備えた制御装置である。本実施形態において、回転電機30は、埋込型永久磁石同期モータ(interior permanent magnet synchronous motor : IPMSM)であり、ロータの永久磁石のN極方向の磁気特性と電気的にこれと垂直な方向(電気角で90°ずれた方向)との磁気特性とが異なる突極性(逆突極性を含む)を有する。詳細は後述するが、本実施形態においてモータ制御装置は、この突極性を利用して、回転電機30の停止時や低速回転時においてもセンサレスで磁極位置や磁極の方向、回転速度などの回転状態を判定する。従って、本発明は、突極性を有する他の方式の回転電機、例えば、シンクロナスリラクタンスモータにも適用することができる。尚、当然ながら、回転電機30は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含むものである。
図1に示すように、回転電機制御装置は、インバータ制御部10、回転状態情報演算部7を備えて構成されている。インバータ制御部10及び回転状態情報演算部7は、マイクロコンピュータ等の論理回路を中核部材として構築されたECU(electronic control unit)として構成されている。インバータ制御部10は、ベクトル制御法を用いた電流フィードバック制御を行って、インバータ23を介して回転電機30を駆動制御する。インバータ制御部10及び回転状態情報演算部7は、種々の機能部を有して構成されており、各機能部は、マイクロコンピュータ等のハードウェアとソフトウェア(プログラム)との協働により実現される。
インバータ23に接続された直流電源21は、バッテリ等の充電可能な二次電池である。インバータ23は、インバータ制御部10から提供されるスイッチング制御信号Sによりスイッチング制御され、直流と交流との間で電力を変換する。例えば、インバータ23は、直流電源21の直流電力を3相交流に変換して回転電機30に供給する。また、インバータ23は、回転電機30がジェネレータとして機能する際には発電された交流電力を直流に変換して直流電源21に供給する。
インバータ23は、複数のスイッチング素子を有して構成される。スイッチング素子には、IGBT(insulated gate bipolar transistor)やMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)等を適用すると好適である。また、これらのSi(シリコン)デバイスに代えて、SiC−MOSFETやSiC−SIT(static induction transistor)などのSiC(シリコンカーバイド)デバイスをスイッチング素子に適用しても好適である。直流と複数相の交流(ここでは3相交流)との間で電力変換するインバータ23は、よく知られているように複数相(ここでは3相)のそれぞれに対応する数のアームを有するブリッジ回路により構成される。つまり、インバータ23の直流正極側(正極電源ライン)と直流負極側(負極電源ライン)との間に2つのスイッチング素子が直列に接続されて1つのアームが構成される。ここで、正極電源ラインに接続されるスイッチング素子を上段側スイッチング素子と称し、負極電源ラインに接続されるスイッチング素子を下段側スイッチング素子と称する。
複数相の交流が3相交流の場合には、この直列回路(1つのアーム)が3回線並列接続される。つまり、回転電機30のU相、V相、W相に対応するステータコイルのそれぞれに一組の直列回路(アーム)が対応したブリッジ回路が構成される。対となる各相のスイッチング素子による直列回路(アーム)の中間点、つまり、上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子との接続点は、回転電機30のステータコイルにそれぞれ接続される。尚、スイッチング素子には、それぞれフリーホイールダイオード(回生ダイオード)が並列に接続される。
インバータ23は、不図示のドライバ回路を介してインバータ制御部10に接続されており、インバータ制御部10が生成するスイッチング制御信号Sに応じてスイッチング動作する。ドライバ回路は、電圧変換回路や絶縁回路などを備え、インバータ制御部10が生成したスイッチング制御信号Sをスイッチング素子の制御端子(ゲート端子やベース端子など)に中継する回路である。例えば、回転電機30が車両の駆動力源である場合などでは、直流電源21は高電圧であり、インバータ23の各スイッチング素子は、高電圧をスイッチングする。このように、高電圧をスイッチングする素子の制御端子に入力されるパルス状の駆動信号(制御信号)のハイレベルとローレベルとの電位差は、マイクロコンピュータなどの一般的な電子回路の動作電圧よりも遥かに高い電圧である。従って、制御信号は、ドライバ回路を介して電圧変換や絶縁された後、インバータ23の各スイッチング素子に入力される。
このように回転電機30は、インバータ制御部10によりスイッチング制御されるインバータ23を介して、所定の出力トルク及び回転速度で駆動される。この際、回転電機30の各ステータコイルに流れる電流の値がインバータ制御部10にフィードバックされる。インバータ制御部10は、電流指令(Id*,Iq*)との偏差に対してPI制御(比例積分制御)やPID制御(比例積分微分制御)を実行して回転電機30を駆動制御する。このフィードバック制御を実現するため、インバータ23の各相アームと回転電機30の各相ステータコイルとの間に設けられたバスバーなどの導体を流れる電流(Iu,Iv,Iw)が、電流センサ9により検出される。図1においては、電流センサ9は、バスバーなどの交流電力線に対して非接触で交流電流を検出する非接触電流センサの形態を例示している。尚、本実施形態では、3相全てに対して電流センサ9が配置される形態を例示しているが、3相各相の電流は平衡しており瞬時値はゼロであるから、2相のみの電流値を検出して残りの1相を演算により求める構成であっても構わない。
ここで、インバータ制御部10によるベクトル制御について簡単に説明する。このベクトル制御におけるベクトル空間(座標系)は、回転電機30のロータに配置された永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸と当該d軸に電気的に直交するq軸とのdq軸ベクトル座標系(dq軸ベクトル空間)である。本実施形態においてインバータ制御部10は、トルク指令演算部11と、トルク制御部12(電流指令演算部)と、電流制御部13(電圧指令演算部)と、変調制御部14と、3相2相座標変換部15とを備えて構成されている。
本実施形態においては、不図示の上位のECU等からの速度指令ω*及び実際の回転速度に基づいて、トルク指令演算部11がトルク指令T*(目標トルク)を演算する。尚、本実施形態では、レゾルバ等の回転センサを用いることなくセンサレスで回転電機30の回転を検出するので、実際の回転速度は、回転状態情報演算部7により推定される推定回転速度であり、図1に示すように^(ハット)付きのω(便宜上、文中ではω^と表記する。)である。トルク制御部12は、トルク指令T*に応じてベクトル制御の電流指令Id*,Iq*を設定する。電流指令Id*,Iq*は、上述したdq軸ベクトル座標系に対応して設定される。
電流制御部13は、dq軸ベクトル座標系における電流指令Id*,Iq*と、フィードバック電流Id,Iqとの偏差を例えばPI制御して、dq軸ベクトル座標系における電圧指令Vd*,Vq*を演算する。フィードバック電流Id,Iqは、回転電機30の各ステータコイルに流れる3相電流の検出値が、3相2相座標変換部15により2相のdq軸ベクトル座標系に座標変換されてフィードバックされたものである。電圧指令Vd*,Vq*は、変調制御部14において3相の電圧指令に座標変換される。また、変調制御部14は、この3相の電圧指令に基づいてインバータ23をスイッチング制御するスイッチング制御信号Sを、例えばPWM(pulse width modulation)により生成する。
変調制御部14及び3相2相座標変換部15における座標変換は、ロータの磁極位置θに基づいて行われる。つまり、回転電機30をベクトル制御するためには、現実の3相空間と2相のdq軸ベクトル座標系との間での相互の座標変換が必要である。このため、ロータの磁極位置θを精度良く検出する必要がある。本実施形態では、レゾルバなどの回転検出装置を備えることなく、ロータの磁極位置θを推定するセンサレス制御を採用している。従って、磁極位置θは推定磁極位置であり、図1に示すように^付きのθ(便宜上、文中ではθ^と表記する。)である。
回転電機30が回転中においては、フィードバック電流Id,Iqに誘導起電力による脈動成分が含まれるため、この脈動成分を検出することによって回転速度ω(推定回転速度ω^)を演算することができ、この推定回転速度ω^から磁極位置θ(推定磁極位置θ^)を演算することができる。一方、回転電機30が停止している際には当然ながら誘導起電力も生じない。また、回転電機30が低速で回転している際には、誘導起電力も小さくなり、フィードバック電流Id,Iqに含まれる脈動成分も小さくなる。このため、回転速度ω(ω^)及び磁極位置θ(θ^)の演算には、別の手法を用いる必要がある。例えば、回転電機30が停止中あるいは低速で回転中の場合には、電気的な刺激となる高周波の観測信号(観測電流又は観測電圧)を回転電機30に印加し、その応答から回転速度ω(ω^)並びに磁極位置θ(θ^)を演算することができる。
図1に示すように、本実施形態では、主として、誘導起電力(誘起電圧)を利用することができる高速回転域において回転速度ω(ω^H)並びに磁極位置θ(θ^H)を演算する高速域位置演算部3と、主として、高周波の観測信号を用いて低速回転域において回転速度ω(ω^L)並びに磁極位置θ(θ^L)を演算する低速域位置演算部5との2つの位置演算部を備える。高速域位置演算部3の演算結果(ω^H及びθ^H)と、低速域位置演算部5の演算結果(ω^L及びθ^L)とは、後述するように切替部1によって選択されたり、合成されたりして、トルク指令演算部11や変調制御部14、3相2相座標変換部15で利用される。また、切替部1は、スイッチ2を制御して、高周波の観測信号(ここでは“Vdh *”)を印加するか否かの切り替えも行う。
図2〜図4は、回転電機30の回転速度(回転数[rpm])及びトルク[Nm]により規定された回転特性マップを模式的に示している。図中、“RL”は低速回転域を示し、“RH”は高速回転域を示している。また、“RB”は低速回転域RLと高速回転域RHとの境界領域を示し、“BL”は低速回転域RLとそれよりも高速の回転域との境界や、高速回転域RHとそれよりも低速の回転域との境界を示している。これらの境界を区別する場合には、低速回転域RLよりも回転速度が高い側の領域と低速回転域RLとの境界を低速域側境界LBと称する。また、高速回転域RHよりも回転速度が低い側の領域と高速回転域RHとの境界を高速域側境界HBと称する。
境界BLには、切替部1による切り替え時に、回転速度ω(ω^)並びに磁極位置θ(θ^)の値にハンチングが生じないように、ヒステリシスを持たせることができる。例えば、図1において回転数[rpm]が低速から高速へと変化する場合には、より高速側の境界BL(高速域側境界HB)において、高速域位置演算部3による演算に切り替え、高速から低速へと変化する場合には、より低速側の境界BL(低速域側境界LB)において、低速域位置演算部5による演算に切り替えると好適である。この際、2つの境界BL(LB,HB)に挟まれた領域を境界領域RBと称することができる。尚、1つの態様として、高速域側境界HBには、高速域位置演算部3による高速域演算モードにおいて演算される回転速度ω(ω^H)の誤差よりも大きいヒステリシスが設定され、低速域側境界LBには、低速域位置演算部5による低速域演算モードにおいて演算される回転速度ω(ω^L)の誤差よりも大きいヒステリシスが設定されていると好適である。図2の例のように、低速域側境界LBと高速域側境界HBとの2つの境界BLのみが設定されている場合には、低速域側境界LBと高速域側境界HBとの間の横軸方向の間隔(回転速度)が、位置演算部(3,5)双方の回転速度ω(ω^L,ω^H)の誤差よりも大きく設定されているとよい。
尚、上述したように、低速域位置演算部5による低速域演算モードでは、電気的な刺激となる高周波の観測信号(観測電流又は観測電圧)を回転電機30に印加し、その応答から回転速度ω(ω^)並びに磁極位置θ(θ^)を演算する必要がある。つまり、回転電機30からの応答を待つ期間が必要である。従って、低速域演算モードを開始する前から、高周波の観測信号(観測電流又は観測電圧)の回転電機30への印加を開始する必要がある。つまり、低速域演算モードを開始する前には、準備期間が必要であり、回転域としての準備領域が設定される。この準備領域は、低速域側境界LBに対して回転速度が高い側に隣接して設定される。準備領域は、低速回転域RLよりも回転速度が高い側の領域で適用される演算モードを実行しつつ、回転電機30に観測信号を印加する高周波印加領域として、設定されていると好適である。例えば、回転速度が高速から低速へと変化する場合には、上述した境界領域RBをこの準備領域としての高周波印加領域として利用することができる。
上記説明においては、境界BLがヒステリシスを有する形態を例示したが、回転速度ω(ω^)並びに磁極位置θ(θ^)の値に生じるハンチングが実用上問題無い場合には、当然ながらヒステリシスを設けなくてもよい。図3は、そのようにヒステリシスが設定されない場合の境界BLを例示している。また、境界BLは、連続した直線や曲線である必要はなく、図3に破線で示すような階段状であってもよい。
また、低速域位置演算部5による低速域演算モード、及び高速域位置演算部3による高速域演算モードの他に、例えば、低速域位置演算部5及び高速域位置演算部3を用いた境界演算モードが実行されてもよい。つまり、図2に示す低速回転域RLにおいて低速域演算モードが実行され、高速回転域RHにおいて高速域演算モードが実行され、境界領域RBにおいて境界演算モードが実行されてもよい。1つの態様として、境界演算モードでは、低速域位置演算部5による演算結果(ω^L及びθ^L)と、高速域位置演算部3の演算結果(ω^H及びθ^H)との、回転速度に応じた加重平均によって、回転速度ω(ω^)と磁極位置θ(θ^)が求められると好適である。
尚、この場合には、高速域演算モードから境界演算モードへの移行前に、低速域位置演算部5による演算を開始するための準備期間が設けられると好適である。即ち、低速域位置演算部5による演算が実行される回転域と当該回転域よりも高速側との境界に対して、回転速度が高い側に隣接して準備領域が設けられると好適である。上述したように、この準備領域では、低速域位置演算部5による演算が実行される回転域よりも回転速度が高い側の領域で適用される演算モード(例えば高速域演算モード)を実行しつつ、回転電機30に観測信号を印加する高周波印可領域が設定されている。
さらに、この場合において、低速域演算モードや高速域演算モードから境界演算モードに移行する境界BL、境界演算モードから低速域演算モードや高速域演算モードに移行する境界BLがヒステリシスを有して設定されていてもよい。例えば、図4に示すように、第1境界BL1、第2境界BL2、第3境界BL3、第4境界BL4が設定される。回転速度が高くなっていく場合には、第2境界BL2において、低速域演算モードから境界演算モードへの移行が開始され、第4境界BL4において境界演算モードから高速演算モードに移行する。即ち、回転速度が高くなっていく場合には、回転速度が第2境界BL2未満の領域が、低速域演算モードが実行される低速回転域(RL)であり、第2境界BL2以上第4境界BL4未満の領域が、境界演算モードが実行される境界領域(RB)であり、第4境界BL4以上の領域が、高速域演算モードが実行される高速回転域(RH)である。
回転速度が低くなっていく場合には、第3境界BL3において、高速域演算モードから境界演算モードへの移行が開始され、第1境界BL1において境界演算モードから低速域演算モードに移行する。即ち、回転速度が低くなっていく場合には、回転速度が第3境界BL3以上の領域が、高速域演算モードが実行される高速回転域(RH)であり、第3境界BL3未満第1境界BL1以上の領域が、境界演算モードが実行される境界領域(RB)であり、第1境界BL1未満の領域が、低速域演算モードが実行される低速回転域(RL)である。
以上、図2〜図4を参照して、回転状態情報(推定回転速度ω^、推定磁極位置θ^)を演算する演算モードの切り替えに関する種々の形態について説明したが、回転状態情報演算部7は、少なくとも、低速域位置演算部5と高速域位置演算部3との2つの位置演算部を備えて構成される。また、回転状態情報演算部7では、高速域位置演算部3により少なくとも磁極位置θ(θ^)を演算する高速域演算モードと、低速域位置演算部5により少なくとも磁極位置θ(θ^)を演算する低速域演算モードとの少なくとも2つのモードが実行される。切替部1は、これら少なくとも2つのモードの間で演算モードを切り替える。
上述したように、この切り替えに際しては境界BLが設定されるが、この境界BLは、回転電機30の回転速度(回転数[rpm])及びトルク[Nm]により規定された回転特性マップにおいて、トルクが相対的に高い場合にトルクが相対的に低い場合と比べて回転速度が低い側となるように設定されている。即ち、切替部1は、回転電機30の回転速度及びトルクにより規定された高速回転域RHと当該高速回転域RHよりも回転速度が低い側に規定された低速回転域RLとを設定し、高速回転域RHでは高速域演算モードを適用し、低速回転域RLでは前記低速域演算モードを適用するように構成されている。また、切替部1は、それと共に、高速回転域RHよりも回転速度が低い側の領域と高速回転域RHとの境界である高速域側境界HBと、低速回転域RLよりも回転速度が高い側の領域と低速回転域RLとの境界である低速域側境界LBとの双方の境界BLを、トルクが相対的に高い場合にトルクが相対的に低い場合と比べて回転速度が低い側となるように設定している。当然ながら、境界BLは、図2や図4のような連続した直線や曲線である必要はなく、図3に破線で示すような階段状であってもよい。
以下、高速域位置演算部3及び低速域位置演算部5による回転状態情報の演算手法について説明する。高速域位置演算部3は、回転電機30に発生する誘起電圧に基づいて前記ロータの磁極位置θ(θ^)を演算する。回転電機30に発生する誘起電圧は、主にロータの回転に起因してステータに発生する。そこで、高速域位置演算部3は、少なくとも回転電機30のロータの回転によりステータに発生する誘起電圧に基づいてロータの磁極位置θ(θ^)を演算するとよい。このような演算方法としては、例えば、一般的な誘起電圧モデル(下記式(1)を用いたモデル)に基づく演算方法を用いることができる。但し、本実施形態では、磁極位置の推定精度をより高めるために、高速域位置演算部3は、d軸電流によりロータに発生する磁束の回転により発生する誘起電圧、ステータ側のq軸のインダクタンスに流れる電流の変化分により発生する誘起電圧、永久磁石の磁束の回転により発生する誘起電圧を合算した拡張誘起電圧を用いた“拡張誘起電圧モデル”によりロータの磁極位置θ(θ^)を演算する。磁気的突極性を有する回転電機の回転座標系(dq軸ベクトル座標系)での一般的な回路方程式は、下記式(1)で表される。ここで、pは微分演算子、Ld,Lqはそれぞれd軸インダクタンス及びq軸インダクタンス、KEは誘起電圧定数である。
この式(1)を用いたモデル(一般的な誘起電圧モデル)に基づき、回転状態情報を演算してセンサレス制御を構成すると、回転電機の仕様に依存して推定精度の低下を招く場合が存在するため、汎用性の点では充分ではない。その技術的背景に関しては、市川真士、他による論文“拡張誘起電圧モデルに基づく突極方永久磁石同期モータのセンサレス制御(Sensorless Controls of Salient-Pole Permanent Magnet Synchronous Motors Using Extended Electromotive Force Models, T.IEE Japan, vol. N0.12, 2002)”に詳しいので、ここでは詳細な説明は省略する。この論文によれば、式(1)に含まれる位置情報は、d軸とq軸との違いとして考えることができる。つまり、式(1)の右辺第1項の行列の対角成分及び逆対角成分のインダクタンスの違いと、右辺第2項の誘起電圧項に位置情報が含まれる。この位置情報を1つにまとめると、式(1)は、下記式(2)に書き直すことができる。“Iq”に付加されている“・”は“Iq”の時間微分を意味しており,ドットの付いた変数に対してのみ微分を作用させるため、式(1)の微分演算子pとは区別した表記としている。
式(2)に示す電圧方程式を“拡張誘起電圧モデル”と称し、式(2)の第2項を下記式(3)に示すように、“拡張誘起電圧”と定義する。
式(3)の右辺第1項“(Ld−Lq)ωId”は、d軸電流によりロータに発生する磁束の回転により発生する誘起電圧を示している。式(3)の右辺第2項“(Ld−Lq)ωIq”は、ステータ側のq軸のインダクタンスに流れる電流の変化分により発生する誘起電圧を示している。式(3)の右辺第3項“ωKE”はロータに取り付けられた永久磁石の磁束の回転により発生する誘起電圧を示している。つまり、回転電機の永久磁石とインダクタンスにおける位置情報は、全て“拡張誘起電圧”に集約されていることになる。詳細な説明は、市川氏らの論文に詳しいので省略するが、式(2)を回転電機のステータに設定された固定座標系(例えばαβ軸ベクトル座標系)に変換すると、磁極位置の推定の際に処理が困難な値(論文によれば“2θ”)を含む項が存在しなくなるため、推定のための演算が容易となる。一般的な誘起電圧モデルを用いた磁極位置の演算の際には近似を用いる必要が生じて推定精度を低下させる可能性があるが、拡張誘起電圧モデルを用いた場合には、近似は不要となり、高精度な磁極位置θ(θ^)や回転速度ω(ω^)の推定が可能となる。
低速域位置演算部5は、回転電機30に高周波の観測信号を印加し、当該観測信号への応答成分としてフィードバック電流に含まれてフィードバックされる高周波成分に基づいてロータの磁極位置θ(θ^)を演算する。低速域位置演算部5は、例えば、図5に示すように、観測指令生成部51と復調部52と、位相同期部53とを備えて構成されている。観測指令生成部51は、回転電機30に印加する高周波の観測信号を生成する機能部である。本実施形態では、d軸電圧指令Vdに重畳する高周波の観測信号(Vdh *:Vahcos(ω^ht))が生成される。
この観測信号に応じた座標系は、γδ軸ベクトル座標系である。図6に示すように、dq軸ベクトル座標系とγδ軸ベクトル座標系との間には、“θh”(指令値としては位相指令“θh *”)の位相差が存在する。指令値として電圧指令に重畳した位相差に対する応答成分は、回転電機30からのフィードバック電流に含まれる。
ここで回転電機30のステータに設定される固定座標系(αβ軸ベクトル座標系)と、dq軸ベクトル座標系との関係を考えると、dq軸ベクトル座標系は、このαβ軸ベクトル座標系に対して回転する座標系となり、磁極位置θは図7に示すようにαβ軸を基準とした位相角“θ”として定義することができる。また、ロータの回転速度ωは、αβ軸ベクトル座標系に対するdq軸ベクトル座標系の回転速度ωとして定義することができる。本実施形態のように、磁極位置θを演算によって推定する場合には、実際のdq軸ベクトル座標系を直接検出することはできない。従って、図7において^(ハット)付きのdq軸によって示すように、演算によって推定された磁極位置θ^に基づく推定dq軸ベクトル座標系が設定される。αβ軸を基準としたロータの磁極位置は、図7に示すように^付きの“θ^”として定義され、αβ軸ベクトル座標系に対する推定dq軸ベクトル座標系の回転速度は^付きの“ω^”として定義される。
図7に示すように、実際のdq軸ベクトル座標系と推定dq軸ベクトル座標系との誤差に相当するΔθをゼロにすることにより、推定dq軸ベクトル座標系が実際のdq軸ベクトル座標系に一致する。つまり、Δθをゼロとすることにより推定dq軸が実際のdq軸となるので、磁極位置が精度良く検出されることになる。回転状態情報演算部7は、この原理により磁極位置を演算する。
図5に示すように、本実施形態では、q軸フィードバック電流Iq(δ軸フィードバック電流Iδ)が復調部52において“εf”に復調される。復調部52は、ハイパスフィルタ52a、ヘテロダイン回路の中核を構成するミキサー52b、ローパスフィルタ52cを備えて構成されている。q軸フィードバック電流Iq(δ軸フィードバック電流Iδ)からは、ハイパスフィルタ52aを通過することによって高周波の観測信号に対する応答成分が抽出される。
ところで、飽和特性を表現するためのロータのインダクタンスには、ロータの鎖交磁束Φ(Φd,Φq)に対して、下記式(4)で定義されるダイナミックインダクタンスと、下記式(5)で定義されるスタティックインダクタンスとがある。ここで、Ldh:d軸のダイナミックインダクタンス、Lqh:q軸のダイナミックインダクタンス、Lds:d軸のスタティックインダクタンス、Lqs:q軸のスタティックインダクタンスである。
回転電機30の磁気的突極性を示す突極比はq軸のダイナミックインダクタンスをd軸のダイナミックインダクタンスで除した値“Lqh/Ldh” により示される。また、磁極位置の推定には突極比が“1”より大きいことが条件となる。そして、d軸とq軸とのダイナミックインダクタンスの平均値“ΣL”を“(Ldh+Lqh)/2”、d軸とq軸とのダイナミックインダクタンスの差分“ΔL”を“(Ldh−Lqh)/2”とすると、ハイパスフィルタ52aを通過した後のδ軸フィードバック電流Iδの高周波成分“Iδh”は、下記式(6)で示される。
次に、ハイパスフィルタ52aにおいて抽出された応答成分“Iδh”と、観測指令生成部51から伝達される観測指令の高周波成分の正弦成分“sin(ωht)”とがミキサー52bによって混合されて下記式(7)に示す“ε”となる。“A”及び“B”は係数である。ローパスフィルタ52cを通過した“ε”は、下記式(8)に示す“εf”となる。
図7からも明らかなように、式(8)の“Δθ”が“0”に近づくと、推定dq軸ベクトル座標系とdq軸ベクトル座標系との誤差が小さくなる。従って、位相同期部53(PLL:phase locked loop)において“Δθ”が“0”となるようにPI制御が実行される。本実施形態では、第1PI制御部53aと第2PI制御部53bとの2つのPI制御部が設けられている。PI制御の結果、推定回転速度“ω^L”が求められる。回転速度(角速度)を積分すると距離、即ち角度が得られるので、この推定回転速度“ω^L”を積分器53cにおいて積分することによって、推定磁極位置“θ^L”が求められる。
以上説明したように、低速域位置演算部5及び高速域位置演算部3によって、それぞれ回転状態情報が演算される。切替部1は、回転電機30の回転速度及びトルクにより規定された回転特性マップ(図2〜図4等参照)に基づいて演算モードを切り替え、推定回転速度“ω^”及び推定磁極位置“θ^”を決定する。切替部1が、演算モードの切り替えの判定を行う際の基準となる回転速度は、指令値“ω*”でも良いし、推定回転速度“ω^”であってもよい。また、基準となる回転速度は、指令値“ω*”に制御系の遅れを考慮したフィルタをかけて得られる値であってもよい。また、切替部1が、演算モードの切り替えの判定を行う際の基準となるトルクは、トルク指令T*に限らず、d軸フィードバック電流Id(γ軸フィードバック電流Iγ)やq軸フィードバック電流Iq(δ軸フィードバック電流Iδ)から演算によって求められる値であってもよい。また、基準となるトルクは、指令値“T*”に制御系の遅れを考慮したフィルタをかけて得られる値であってもよい。
上述したように、本発明に係る回転電機制御装置は、高速域位置演算部3と低速域位置演算部5とを備えることにより、それぞれの演算部に適した回転速度域において磁極位置θ(θ^)を推定することができる。切替部1においては、低速回転域RLと高速回転域RHとが設定されているが、これらの回転域は単純に回転速度(回転数)にのみ対応して設定されるものではなく、トルクにも対応して設定されている。これは、本実施形態のように、高速域位置演算部3が拡張誘起電圧モデルを利用して構築され、低速域位置演算部5が磁気的突極性を利用した高周波応答を利用して構築されている場合に、特に有用である。以下、その技術的意義について説明する。
拡張誘起電圧モデルには、式(1)〜式(3)を示して上述したように、d軸電流によりロータに発生する磁束の回転により発生する誘起電圧が含まれている。出力トルクが最大となるように回転電機30を制御する場合(最大トルク制御を実施する場合)、ステータにはd軸電流も流れるため、磁極位置を推定するための誘起電圧も増加することになる。つまり、高速域位置演算部3による磁極位置の推定では、低トルクの場合(トルクが小さい場合)に比べて、高トルクの場合(トルクが大きい場合)の方が、推定精度が向上し、より演算が安定することになる。
一方、低速域位置演算部5による磁極位置θ(θ^)の推定では、以下に述べる理由により、高トルクの場合(トルクが大きい場合)に比べて、低トルクの場合(トルクが小さい場合)の方が、推定精度が向上し、より演算が安定する。最大トルク制御を実施する場合、d軸電流は一般的に負の値となるからトルクの大小に拘わらず、d軸のダイナミックインダクタンス“Ldh”はほとんど変化しない。一方、q軸の磁束は、トルクが大きくなるとq軸電流が増加して次第に飽和領域へと近づく。ダイナミックインダクタンスは、磁束の微分値であるから、q軸電流が増加して飽和領域に近づくとq軸のダイナミックインダクタンス“Lqh”は“0”に近づいていく。つまり、トルクが大きくなるに従って、q軸のダイナミックインダクタンス“Lqh”は小さくなっていく。
高周波の観測信号に対する応答成分によって磁極位置を推定する手法は、回転電機の磁気的突極性を利用しているが、上述したように突極比は、“Lqh/Ldh”である。q軸のダイナミックインダクタンス“Lqh”が小さくなることによって、突極比が小さくなるので、突極性を利用した磁極位置の推定を行う場合の安定性が低下する。上述したように、磁極位置の推定には突極比が“1”より大きいことが条件となるから、回転速度が同じであっても、トルクが大きくなってq軸のダイナミックインダクタンス“Lqh”が小さくなると演算の安定性が低下する。
上述したように、切替部1においては、低速回転域RLと高速回転域RHとが設定されているが、これらの回転域は単純に回転速度にのみ対応して設定されるものではなく、トルクにも対応して設定されている。具体的には、高速域位置演算部3による磁極位置の推定は、回転速度が高い側、且つトルクが高い側の領域を適用領域として実行され、低速域位置演算部5による磁極位置の推定は、回転速度が低い側、且つトルクが低い側の領域を適用領域として実行されることになる。その結果、2つの演算部(3,5)のそれぞれがより安定して磁極位置を推定することが可能な領域が切替部1によって設定されることとなるから、高い精度で、磁極位置の推定が可能となる。
尚、高速域位置演算部3による磁極位置の推定は、上述したように回転電機30のトルクが高い方がより好ましいが、トルクが低い場合でも推定が不可能となるものではない。一方、低速域位置演算部5による磁極位置の推定は、トルクが高い場合に、突極比が“1”を下回って推定が不可能となる可能性がある。従って、高速域位置演算部3による磁極位置の推定は、トルクに拘わらず、回転速度が高い側の全て領域を適用領域として実行され、低速域位置演算部5による磁極位置の推定は、回転速度が低い側、且つトルクが低い側の領域を適用領域として実行されてもよい。即ち、高速域位置演算部3による磁極位置の推定は、回転速度が高い側のトルクが低い側及び高い側の双方の領域と、回転速度が低い側でトルクが高い側の領域とを適用領域とし、低速域位置演算部5による磁極位置の推定は、回転速度が低い側でトルクが低い側の領域を適用領域として実行されてもよい。
尚、低速域位置演算部5により磁極位置θ(θ^)を推定する際には、電圧指令Vd*に対して高周波の観測指令を重畳する必要がある。このため、切替部1は、低速域位置演算部5による演算が実行される際には、スイッチ2を切り替えて、電圧指令Vd*に対して高周波の観測指令を重畳させる。切替部1は、低速域位置演算部5による演算が実行されない際には、スイッチ2を切り替えて、電圧指令Vd*に対する重畳信号を“0”に設定する。
また、上述したように境界領域RBにおいて、境界演算モードが実行され、低速域位置演算部5による演算結果(ω^L及びθ^L)と、高速域位置演算部3の演算結果(ω^H及びθ^H)との、回転速度に応じた加重平均によって、回転速度ω(ω^)と磁極位置θ(θ^)が求められると好適である。この加重平均も、切替部1において実行されると好適である。加重平均の具体的方法については、特許文献1等に開示されているように公知であるから詳細な説明は省略する。
尚、上記説明においては、低速域位置演算部5が、電圧指令に観測信号を重畳させる例を用いて説明したが、低速域位置演算部5の構成はこの形態に限定されるものではない。高周波の観測信号を回転電機に印加して、その応答によって磁極位置を推定する種々の態様を適用することができる。例えば、電流指令に観測信号が重畳される形態であってもよい。
本発明は、回転電機をベクトル制御する回転電機制御装置に利用することができる。
1 :切替部
3 :高速域位置演算部
5 :低速域位置演算部
21 :直流電源
30 :回転電機
BL :境界
BL1 :第1境界(境界)
BL2 :第2境界(境界)
BL3 :第3境界(境界)
BL4 :第4境界(境界)
HB :高速域側境界
Id :d軸フィードバック電流(フィードバック電流)
Iq :q軸フィードバック電流(フィードバック電流)
Iδ :δ軸フィードバック電流(フィードバック電流)
LB :低速域側境界
RH :高速回転域
RL :低速回転域
Vd :d軸電圧指令
θ :磁極位置
θ^ :推定磁極位置(磁極位置)
ω :回転速度
ω^ :推定回転速度(回転速度)
3 :高速域位置演算部
5 :低速域位置演算部
21 :直流電源
30 :回転電機
BL :境界
BL1 :第1境界(境界)
BL2 :第2境界(境界)
BL3 :第3境界(境界)
BL4 :第4境界(境界)
HB :高速域側境界
Id :d軸フィードバック電流(フィードバック電流)
Iq :q軸フィードバック電流(フィードバック電流)
Iδ :δ軸フィードバック電流(フィードバック電流)
LB :低速域側境界
RH :高速回転域
RL :低速回転域
Vd :d軸電圧指令
θ :磁極位置
θ^ :推定磁極位置(磁極位置)
ω :回転速度
ω^ :推定回転速度(回転速度)
上述したように、回転電機制御装置は、高速域位置演算部と低速域位置演算部とを備えることにより、それぞれの演算部に適した回転速度域において磁極位置を推定することができる。回転速度域は単純に回転速度にのみ対応して設定されるものではなく、トルクにも対応して設定されている。高周波の観測信号に対する応答成分によって磁極位置を推定する低速域位置演算部では、回転電機の磁気的突極性を利用している。磁気的突極性を示す突極比が大きい方が、突極性を利用した磁極位置の推定は安定する。従って、1つの態様として、前記磁気的突極性は、前記d軸及び前記q軸のそれぞれにおいて前記ロータの鎖交磁束の微分値と前記回転電機を流れる電流の微分値とによって定義されるダイナミックインダクタンスによって規定される比であって、前記q軸のダイナミックインダクタンスを前記d軸のダイナミックインダクタンスで除した値である突極比によって規定され、前記q軸のダイナミックインダクタンスは、前記回転電機の回転速度が同じであっても、前記回転電機のトルクが大きくなるに従って小さくなり、前記低速域位置演算部は、前記突極比が1より大きい条件で前記ロータの磁極位置を演算するものであり、前記高速域側境界及び前記低速域側境界の双方は、前記回転電機のトルクが大きくなり、前記q軸のダイナミックインダクタンスが小さくなるに従って小さくなる前記突極比が、1より大きくなるように設定されていると好適である。
回転電機に発生する誘起電圧は、主にロータの回転に起因してステータに発生する。そこで、一つの態様として、本発明に係る回転電機制御装置は、前記高速域位置演算部が、少なくとも前記ロータの回転により前記ステータに発生する誘起電圧に基づいて前記ロータの磁極位置を演算するように構成されていると好適である。
ここで、高速域演算モードによる磁極位置の推定精度を高めるためには、回転電機に発生する誘起電圧の特定を適切に行うことが望ましい。そこで、一つの態様として、前記高速域位置演算部は、d軸電流により前記ロータに発生する磁束の回転により発生する誘起電圧、ステータ側のq軸のインダクタンスに流れる電流の変化分により発生する誘起電圧、前記永久磁石の磁束の回転により発生する誘起電圧とから算出する拡張誘起電圧を用いた拡張誘起電圧モデルにより前記ロータの磁極位置を演算するように構成されていると好適である。この構成によれば、一般的な誘起電圧モデルを用いた磁極位置の演算に比べて、更に高精度な磁極位置の推定が可能となる。
ここで、高速域演算モードによる磁極位置の推定精度を高めるためには、回転電機に発生する誘起電圧の特定を適切に行うことが望ましい。そこで、一つの態様として、前記高速域位置演算部は、d軸電流により前記ロータに発生する磁束の回転により発生する誘起電圧、ステータ側のq軸のインダクタンスに流れる電流の変化分により発生する誘起電圧、前記永久磁石の磁束の回転により発生する誘起電圧とから算出する拡張誘起電圧を用いた拡張誘起電圧モデルにより前記ロータの磁極位置を演算するように構成されていると好適である。この構成によれば、一般的な誘起電圧モデルを用いた磁極位置の演算に比べて、更に高精度な磁極位置の推定が可能となる。
Claims (5)
- 磁気的突極性を有するように永久磁石が配置されたロータを備えた回転電機を制御対象とし、前記永久磁石が発生する磁界の方向であるd軸と当該d軸に直交するq軸とのdq軸ベクトル座標系において、電流指令と前記回転電機からのフィードバック電流との偏差に基づいて前記回転電機をフィードバック制御する回転電機制御装置であって、
前記回転電機に発生する誘起電圧に基づいて前記ロータの磁極位置を演算する高速域位置演算部と、
前記回転電機に高周波の観測信号を印加し、当該観測信号への応答成分として前記フィードバック電流に含まれる高周波成分に基づいて前記ロータの磁極位置を演算する低速域位置演算部と、
前記高速域位置演算部により前記磁極位置を演算する高速域演算モードと、前記低速域位置演算部により前記磁極位置を演算する低速域演算モードとの少なくとも2つのモードの間で、前記ロータの磁極位置を演算する演算モードを切り替える切替部と、を備え、
前記切替部は、前記回転電機の回転速度及びトルクにより規定される高速回転域と前記回転電機の回転速度及びトルクにより規定されると共に当該高速回転域よりも前記回転速度が低い側に規定された低速回転域とを設定し、前記高速回転域では前記高速域演算モードを適用し、前記低速回転域では前記低速域演算モードを適用するように構成されていると共に、前記高速回転域よりも前記回転速度が低い側の領域と前記高速回転域との境界である高速域側境界と、前記低速回転域よりも前記回転速度が高い側の領域と前記低速回転域との境界である低速域側境界との双方を、前記トルクが相対的に高い場合に前記トルクが相対的に低い場合と比べて前記回転速度が低い側となるように設定する回転電機制御装置。 - 前記高速域位置演算部は、少なくとも前記ロータの回転により前記ステータに発生する誘起電圧に基づいて前記ロータの磁極位置を演算する請求項1に記載の回転電機制御装置。
- 前記高速域位置演算部は、d軸電流により前記ロータに発生する磁束の回転により発生する誘起電圧、ステータ側のq軸のインダクタンスに流れる電流の変化分により発生する誘起電圧、前記永久磁石の磁束の回転により発生する誘起電圧とから算出する拡張誘起電圧を用いた拡張誘起電圧モデルにより前記ロータの磁極位置を演算する請求項1又は2に記載の回転電機制御装置。
- 前記高速域位置演算部及び前記低速域位置演算部は、前記ロータの回転速度を演算し、
前記高速域側境界には、前記高速域演算モードにおいて演算される前記磁極位置の誤差により生じる前記回転速度の誤差よりも大きいヒステリシスが設定され、
前記低速域側境界には、前記低速域演算モードにおいて演算される前記磁極位置の誤差により生じる前記回転速度の誤差よりも大きいヒステリシスが設定される請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。 - 前記低速域側境界に対して前記回転速度が高い側に隣接して、前記低速回転域よりも前記回転速度が高い側の領域で適用される前記演算モードを実行しつつ、前記回転電機に前記観測信号を印加する高周波印加領域が設定される請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機制御装置。
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