JP4987032B2 - ロータ角度推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、突極型の永久磁石同期モータのロータ角度を、位置センサを用いることなく推定するロータ角度推定装置に関する。
従来より、永久磁石同期モータ(PMSM:Permanent Magnetic Synchronous Motor )を制御する際に必要となるロータの位置を、位置センサを用いることなく推定してこのモータの運転を制御する、いわゆるセンサレス制御の手法が提案されている(例えば、非特許文献1,2、特許文献1,2参照)。
特許文献1,2及び非特許文献1,2に記載されたセンサレス制御の手法では、突極性を考慮したモータの拡張誘起電圧モデルを用いてロータ位置を推定しているが、いずれの手法も、正弦波電流・電圧を仮定した座標変換に基づくものである。そのため、出力電圧が飽和するような過変調領域では、正確な電圧が把握できないと共に電流に含まれる高調波の影響が大きくなって角度推定ができなくなるという不都合がある。
そこで、本願発明者らは、先の出願(特許文献3)において、ステータの線間電圧(多相のステータ間の相電圧の差)モデルを用いて、ロータ角度の実際値θと推定値θ^との角度差(誤差)θeの正弦成分Vsと余弦成分Vcを、角度推定値θ^を、以下の式(10)により計算することによって、過可変調時においても良好な角度推定ができる手法を提案した。
Figure 0004987032
但し、r:相抵抗、Vuv:U相-V相間の線間電圧、Vwv:W相-V相間の線間電圧、Iu:U相電流、Iw:W相電流、l:自己インダクタンス、m:相互インダクタンス、θ^:ロータ角度の推定値、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差、ω:ロータの角速度、Vs:誘起電圧の正弦成分、Vc:誘起電圧の余弦成分。
特開2001−251889号公報 特開2004−166408号公報 特開2004−343963号公報 森本茂雄、外2名,「推定位置誤差情報を利用したIPMSMの位置・速度センサレス制御」,電気学会,平成13年6月29日,第D122巻,第7号,p.722−729 市川真士、外4名,「拡張誘起電圧モデルに基づく突極型永久磁石同期モータのセンサレス制御」,電気学会,平成13年9月26日,第D122巻,第12号,p.1088−1096
上記特許文献3に記載された手法によれば、相電圧の波形及び相電流の波形に拘わらず、例えば正弦波以外の波形であっても、ロータ角度を精度良く推定することができる。
しかし、上記特許文献3に記載された手法では、上記式(10)においてステータコイルのインダクタンスとして平均インダクタンス(l−m)のみを用いて、リラクタンストルクによる仮想的な誘起電圧を含めた誘起電圧を推定するため、推定されるロータ角度が相電流に応じてオフセットされる。
そして、上記特許文献3に記載された手法のみを用いて、ロータ角度を推定するときには、上記オフセットがモータの電流制御や出力トルクの制御に影響を与えない。しかし、PMSMが低速回転〜停止している時には、回転により生じる誘起電圧に基づく上記特許文献3に記載された手法を用いてロータ角度を推定することはできない。
そのため、モータが低速回転〜停止している時には、ステータコイルに高周波電流を通電して、ロータのインダクタンスの周期的な変化に基づいてロータ角度を推定する等の別の手法に切替えでは、ロータ角度を推定する必要がある。そして、このように、モータの回転速度に応じて、ロータ角度の推定手法を上記特許文献3に記載された手法から他の手法に切替えるときに、上記オフセットが存在しているときには、モータのトルクや通電電流が不安定になるという不都合がある。
そこで、本発明は、モータの駆動電圧が飽和する過変調領域においても良好なロータ角度の推定が可能であると共に、ロータ角度を推定する際の角度オフセットの発生を抑制したロータ角度の推定装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の第1の態様は、永久磁石を有する突極性のロータと、該ロータを回転させる回転磁界を発生する多相のステータ巻線を有するステータとを備えた永久磁石同期モータのロータ角度を推定するロータ角度推定装置に関する。
そして、前記モータの回転時に生じる前記ロータの永久磁石に起因する誘起電圧と前記ロータの突極性に起因する誘起電圧とを含む拡張誘起電圧の項を有する、前記多相のステータ巻線の相電圧の差である線間電圧と前記多相のステータ巻線の相電流との間の関係式に、前記モータ回転時の所定時点における前記多相のステータ巻線の線間電圧と相電流とを代入して、ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての前記拡張誘起電圧の正弦成分と余弦成分とを算出し、該正弦成分と該余弦成分とに基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新するロータ角度更新手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ角度更新手段は、前記線間電圧と相電流との間の関係式を用いて、前記モータのロータ角度の推定値を更新する。そのため、前記モータのステータに印加される電圧が飽和して、例えば正弦波ではなくなった場合であっても、前記正弦成分と前記余弦成分とに基づいて前記モータのロータ角度を精度良く更新することができる。さらに、前記関係式は、前記ロータの突極性に起因する誘起電圧を含む前記拡張誘起電圧の項を有しているため、前記正弦成分と前記余弦成分は、前記ロータの突極性に起因して変化する誘起電圧を反映したものとなる。そのため、前記正弦成分と前記余弦成分とに基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新することによって、前記ロータの突極性に起因して生じ得る前記ロータ角度の推定値の実際値に対するオフセットを抑制することができる。
また、前記ロータ角度更新手段は、前記関係式における前記モータの回転速度として、ロータ角度の推定値の微分値を用いることを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記モータの回転速度を検出するための回転センサを不要とすることができる。
また、前記ロータ角度更新手段は、前記正弦成分を前記正弦成分と前記余弦成分の2乗和の平方根で除してロータ角度の実際値と推定値との角度差を算出し、該角度差に基づいてロータ角度の推定値を更新することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記正弦成分を前記正弦成分と前記余弦成分の2乗和の平方根で除することによって、前記拡張誘起電圧の変化の影響を低減してロータ角度の推定値を更新することができる。
また、前記モータの多相のステータはU,V,Wの3相であり、前記ロータ角度更新手段は、前記モータをロータの永久磁石による磁束の方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、前記関係式として以下の式(1)を用いることを特徴とする。
Figure 0004987032
但し、√(2/3)(Ld-Lq)(ωId-I q)+ωΨ:拡張誘起電圧、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差、ω^:角速度の推定値、Ψ:誘起電圧定数、Vs:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、R:d軸及びq軸電機子巻線の抵抗、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
かかる本発明によれば、前記ロータ角度更新手段は、前記式(1)に前記所定時点における前記モータの3相の電機子コイルの線間電圧と相電流を代入することによって、前記正弦成分と前記余弦成分を算出することができる。
また、前記モータの多相のステータはU,V,Wの3相であり、前記ロータ角度更新手段は、前記モータをロータの永久磁石による磁束方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、前記関係式として以下の式(2)を用いることを特徴とする。
Figure 0004987032
但し、√(2/3)(Ld-Lq)(ωId-I q)+ωΨ:拡張誘起電圧、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差、ω^:角速度の推定値、Ψ:誘起電圧定数、Vs:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
上記式(2)は、上記式(1)の抵抗Rをゼロとしたものである。前記モータのステータ巻線の抵抗が低いときには、前記関係式として上記式(2)を用いることによって、前記ロータ推定値更新手段により前記正弦成分と前記余弦成分を算出する際の演算を簡素化することができる。
また、前記所定時点における動作条件と近似する第1及び第2動作条件で前記モータが回転しているときのd軸電流及びq軸電流とd軸電圧及びq軸電圧の組合せを、以下の式(3)に代入して、前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを算出するインダクタンス算出手段を備えたことを特徴とする。
Figure 0004987032
但し、Ld^:d軸インダクタンスの推定値(前記関係式におけるd軸インダクタンスLd)、Lq^:q軸インダクタンスの推定値(前記関係式におけるq軸インダクタンス)、Ke^:誘起電圧定数の推定値、(Vd1,Vq1,Id1,Iq1):第1動作条件におけるd軸電圧Vd1,q軸電圧Vq1,d軸電流Id1,q軸電流Iq1の第1の組み合わせ、(Vd2,Vq2,Id2,Iq2):第2動作条件におけるd軸電圧Vd2,q軸電圧Vq2,d軸電流Id2,q軸電流Iq2の第2の組み合わせ、ω:角速度。
かかる本発明において、上記式(1),式(2)を用いて前記正弦成分と前記余弦成分を算出するときには、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスの値が必要となるが、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスは、前記モータの回転数やトルクによって変化する。そこで、前記インダクタンス算出手段は、前記所定時点における前記モータの動作条件と近似する前記第1及び第2動作条件で前記モータが作動しているときのd軸電圧及びq軸電圧とd軸電流及びq軸電流の組みを、前記式(3)に代入して、前記所定時点と同様と想定されるd軸インダクタンスとq軸インダクタンスを算出する。
そして、前記インダクタンス算出手段により算出されたd軸インダクタンスとq軸インダクタンスを、上記式(1)及び式(2)におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスとすることによって、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスを固定値とした場合に比べて、ロータ角度の推定精度を高めることができる。
また、前記関係式におけるq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほど小さくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とする。
かかる本発明において、前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほどq軸インダクタンスが小さくなる傾向がある。そこで、この傾向に合わせて、前記インダクタンス設定手段により、前記関係式におけるq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほど小さく設定することによって、ロータ角度の推定精度を高めることができる。
また、前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータの回転速度が高いほど大きくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とする。
かかる本発明において、前記モータの回転速度が高いほどd軸インダクタンスとq軸インダクタンスが大きくなる傾向がある。そこで、この傾向に合わせて、前記インダクタンス設定手段により、前記所定時点における前記モータの回転速度が高いほどd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを大きく設定することによって、ロータ角度の推定精度を高めることができる。
次に、本発明の第2の態様及び第3の態様は、永久磁石を有するロータと、該ロータを回転させる回転磁界を発生する多相のステータ巻線を有するステータとを備えた永久磁石同期モータのロータ角度を推定するロータ角度推定装置に関する。
そして、本発明の第2の態様は、前記モータをロータの永久磁石による磁束の方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、以下の式(1)の関係式に、前記モータ回転時の所定時点における前記多相のステータ巻線の線間電圧Vuw,Vvwと相電流Iu,Ivとを代入して、ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分Vsと余弦成分Vcとを算出し、該正弦成分Vsと該余弦成分Vcとに基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新するロータ角度更新手段とを備えたことを特徴とする。
Figure 0004987032
但し、√(2/3)(Ld-Lq)(ωId-I q)+ωΨ:拡張誘起電圧、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差、ω^:角速度の推定値、Ψ:誘起電圧定数、Vs:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、R:d軸及びq軸電機子巻線の抵抗、Ld:d軸電機子巻線のインダクタンス、Lq:q軸電機子巻線のインダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
かかる本発明によれば、前記式(1)は線間電圧Vuw,Vvwを入力して正弦成分Vsと余弦成分Vcを算出するものであるため、前記モータのステータに印加される駆動電圧が飽和して、例えば正弦波でなくなった場合であっても、正弦成分Vsと余弦成分Vcを用いてロータ角度の推定値を精度良く更新することができる。さらに、上記式(1)は、ロータの突極性を反映して変化するd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqを用いているため、ロータが突極性を有する場合に生じ得るロータ角度の推定値のオフセットを抑制することができる。
また、本発明の第3の態様は、前記モータをロータの永久磁石による磁束の方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、以下の式(2)の関係式に、前記モータ回転時の所定時点における前記多相のステータ巻線の線間電圧Vuw,Vvwと相電流Iu,Ivとを代入して、ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分Vsと余弦成分Vcとを算出し、該正弦成分Vsと該余弦成分Vcとに基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新するロータ角度更新手段とを備えたことを特徴とする。
Figure 0004987032
但し、√(2/3)(Ld-Lq)(ωId-I q)+ωΨ:拡張誘起電圧、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差、ω^:角速度の推定値、Ψ:誘起電圧定数、Vs:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、Ld:d軸電機子巻線のインダクタンス、Lq:q軸電機子巻線のインダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
かかる本発明によれば、前記式(2)は前記式(1)における抵抗Rをゼロとしたものであり、ステータ巻線の抵抗が低いモータでは、前記式(2)を用いることで前記正弦成分及び前記余弦成分の算出を簡素化することができる。
そして、前記式(2)は線間電圧Vuw,Vvwを入力して正弦成分Vsと余弦成分Vcを算出するものであるため、前記モータのステータに印加される駆動電圧が飽和して、例えば正弦波でなくなった場合であっても、正弦成分Vsと余弦成分Vcを用いてロータ角度の推定値を精度良く更新することができる。さらに、上記式(2)は、ロータの突極性を反映して変化するd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqを用いているため、ロータが突極性を有する場合に生じ得るロータ角度の推定値のオフセットを抑制することができる。
また、前記第2の態様及び前記第3の態様において、前記ロータ角度更新手段は、以下の式(4)によりロータ角度の実際値と推定値との角度差を算出し、該角度差に基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新することを特徴とする。
Figure 0004987032
但し、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差、Vs:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分。
また、前記第2の態様及び前記第3の態様において、前記所定時点における動作条件と近似する第1及び第2動作条件で前記モータが回転しているときのd軸及びq軸電流とd軸及びq軸電圧の組合せを、以下の式(3)に代入して、前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを算出するインダクタンス算出手段を備えたことを特徴とする。
Figure 0004987032
但し、Ld^:d軸インダクタンスの推定値(前記関係式におけるd軸インダクタンスLd)、Lq^:q軸インダクタンスの推定値(前記関係式におけるq軸インダクタンスLq)、Ke^:誘起電圧定数の推定値、(Vd1,Vq1,Id1,Iq1):第1動作条件におけるd軸電圧Vd1,q軸電圧Vq1,d軸電流Id1,q軸電流Iq1の第1の組み合わせ、(Vd2,Vq2,Id2,Iq2):第2動作条件におけるd軸電圧Vd2,q軸電圧Vq2,d軸電流Id2,q軸電流Iq2の第2の組み合わせ、ω:角速度、r:相抵抗。
かかる本発明において、上記式(1),式(2)を用いて前記正弦成分と前記余弦成分を算出するときには、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスの値が必要となるが、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスは、前記モータの回転数やトルクによって変化する。そこで、前記インダクタンス算出手段は、前記所定時点における前記モータの動作条件と近似する前記第1及び第2動作条件で前記モータが作動しているときのd軸電圧及びq軸電圧とd軸電流及びq軸電流の組みを、前記式(3)に代入して、前記所定時点と同様と想定されるd軸インダクタンスとq軸インダクタンスを算出する。
そして、前記インダクタンス算出手段により算出されたd軸インダクタンスとq軸インダクタンスを、上記式(1)及び式(2)におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスとすることによって、d軸インダクタンスとq軸インダクタンスを固定値とした場合に比べて、ロータ角度の推定精度を高めることができる。
また、前記関係式におけるq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほど小さくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とする。
かかる本発明において、前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほどq軸インダクタンスが小さくなる傾向がある。そこで、この傾向に合わせて、前記インダクタンス設定手段により、前記関係式におけるq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほど小さく設定することによって、ロータ角度の推定精度を高めることができる。
また、前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータの回転速度が高いほど大きくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とする。
かかる本発明において、前記モータの回転速度が高いほどd軸インダクタンスとq軸インダクタンスが大きくなる傾向がある。そこで、この傾向に合わせて、前記インダクタンス設定手段により、前記所定時点における前記モータの回転速度が高いほどd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを大きく設定することによって、ロータ角度の推定精度を高めることができる。
本発明のロータ角度推定装置の構成を含むモータ制御装置の構成図。 モータの出力トルク及び回転速度と、d軸インダクタンス及びq軸インダクタンスとの関係を示した説明図。 d軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを可変設定とした場合の効果についての説明図。 拡張誘起電圧を用いてロータ角度を推定する効果についての説明図。
本発明の実施の形態の一例について、図1〜図4を参照して説明する。図1に示したように、本実施形態のモータ制御装置1は、永久磁石を有する突極性のロータと、このロータを回転させる回転磁界を生じさせる3相(U,V,W相)のステータとを備えた永久磁石同期モータ50(PMSM:Permanent Magnetic Synchronous Motor、以下、単にモータ50という)の出力トルクを制御するものである。
モータ制御装置1は、マイクロコンピュータやメモリ等により構成される電子ユニットであり、モータ制御装置1には、モータ50のU相に流れる電流を検出するU相電流センサ10、及びW相に流れる電流を検出するW相電流センサ11の電流検出信号と、モータ50のトルク指令値Tr_cが入力される。また、モータ制御装置1からモータ50のステータに出力される3相の駆動電圧Vu,Vv,Vwにより、モータ50が回転駆動される。
モータ制御装置1は、モータ50を、ロータの永久磁石の磁束方向をd軸とし、d軸と直交する方向をq軸とするd−q軸による回転座標系の等価回路で扱う。そして、モータ制御装置1は、モータ50のロータ角度の推定値θ^を更新するロータ角度更新部20、U相電流センサ10によるU相電流の検出値Iu_sとW相電流センサ11によるW相電流の検出値Iw_sを、ロータ角度の推定値θ^を用いてd軸電流の検出値Id_sとq軸電流の検出値Iq_sに変換する3相/dq変換部30、所定のトルク指令値Tr_cをd軸電流の指令値Id_cとq軸電流の指令値Iq_cに変換する電流指令値設定部31、d軸電流の指令値Id_cと検出値Id_sとの差ΔIdを算出する減算部32、q軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sとの差ΔIqを算出する減算部33、ΔIdとΔIqを減少させるようにd軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値Vq_cを決定する電流FB(Feed Back)部34、d軸電圧の指令値Vd_cとq軸電圧の指令値Vq_cをロータ角度の推定値θ^を用いて3相電圧の指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cに変換するdq/3相変換部35、及び3相電圧の指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cに応じた電圧をモータ50のステータに供給するPDU(Power Drive Unit)36を備えている。
さらに、モータ制御装置1は、トルク指令値Tr_cとロータ角速度の推定値ω^に基づいてd軸インダクタンスの推定値Ld^とq軸インダクタンスの推定値Lq^を求めるインダクタンス設定部22(本発明のインダクタンス設定手段に相当する)、3相電圧の指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cとU相電流の検出値Iu_sとW相電流の検出値Iw_sとロータ角速度の推定値ω^とd軸インダクタンスの推定値Ld^とq軸インダクタンスの推定値Lq^とに基づいて、後述する拡張誘起電圧Eexの正弦成分Vsと余弦成分Vcを算出する正弦・余弦成分算出部23、正弦成分Vsと余弦成分Vcの2乗和の平方根から拡張誘起電圧Eexを求める拡張誘起電圧算出部24、及び正弦成分Vsを拡張誘起電圧Eexで除してロータ角度の実際値と推定値との角度差θeを求める除算部25を備えている。
なお、モータ制御装置1に備えられたマイクロコンピュータに、モータ50の制御用プログラムを実行させることによって、マイクロコンピュータが、ロータ角度更新部20、インダクタンス設定部22、正弦・余弦成分算出部23、拡張誘起電圧算出部24、除算部25、3相/dq変換部30、電流指令値設定部31、減算部32,33、電流FB(Feed Back)部34、及びdq/3相変換部35として機能する。
また、正弦・余弦成分算出部23、拡張誘起電圧算出部24、除算部25、及びロータ角度更新部20により、本発明のロータ角度更新手段が構成され、この構成とインダクタンス設定部22とにより、本発明のロータ角度推定装置が構成される。
次に、正弦・余弦成分算出部23による拡張誘起電圧Eexのロータ角度の実際値と推定値との角度差θeについての正弦成分Vs及び余弦成分Vcの算出処理について説明する。
先ず、永久磁石同期モータのα,β軸での拡張誘起電圧モデルは、以下の式(11)のようになる。
Figure 0004987032
但し、Vα:α軸電圧、Vβ:β軸電圧、R:α軸及びβ軸の抵抗、ω:ロータ角速度、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、s:微分演算子、Iα:α軸電流、Iβ:β軸電流、φ:誘起電圧定数、θ:ロータ角度。
また、永久磁石同期モータの相電圧とα,β軸電圧との関係は以下の式(12)となり、相電流とα,β軸電流との関係は以下の式(13)となる。
Figure 0004987032
但し、Vuw:U相とW相間の線間電圧(Vuw=Vu−Vw)、Vvw:V相とW相間の線間電圧(Vvw=Vv−Vw)、Vα:α軸電圧、Vβ:β軸電圧。
Figure 0004987032
但し、Iα:α軸電流、Iβ:β軸電流、Iu:U相電流、Iv:V相電流。
上記式(12)及び式(13)を用いて、上記式(11)を3相交流系に変換すると、以下の式(14)が得られる。
Figure 0004987032
式(14)において、ロータ角度の実際値θと推定値θ^の角度差をθe(=θ−θ^)として、以下の式(15)の関係式を算出する。
Figure 0004987032
但し、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差。
上記式(15)の右辺第2項は、ロータの永久磁石による誘起電圧と突極性に起因する誘起電圧とを含む拡張誘起電圧である。そこで、上記式(15)を変形して、以下の式(16)を得る。
Figure 0004987032
ここで、角速度については、角度の推定誤差の収束が迅速であり、且つ、後述するロータ角度更新部20におけるロータ角度と角速度のオブザーバが、LPF(Low Pass Filter)として機能することを前提とすると、角速度の実際値ωと推定値ω^はほぼ同一(ω≒ω^)とみなすことができる。そして、この場合は上記式(16)は以下の式(17)で表される。
Figure 0004987032
但し、ω^:角速度ωの推定値。
そこで、正弦・余弦成分算出部23は、拡張誘起電圧の正弦成分Vsと余弦成分Vcを以下の式(18)によって算出する。
Figure 0004987032
但し、Eex:ロータの永久磁石による誘起電圧と突極性による誘起電圧をあわせた拡張誘起電圧。
ここで、図2は、モータ50の回転速度及び出力トルクに応じたd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスの変化を示したものであり、縦軸がインダクタンスに設定され、横軸が最大トルクに対するトルク指令の割合(%)に設定されている。図2中、a1は回転速度600rpm(Revolution Per Minute)時のq軸インダクタンス、a2は回転速度1000rpm時のq軸インダクタンス、a3は回転速度1500rpm時のq軸インダクタンス、a4は回転速度2000rpm時のq軸インダクタンス、b1は回転速度600rpm時のd軸インダクタンス、b2は回転速度1000rpm時のd軸インダクタンス、b3は回転速度1500rpm時のd軸インダクタンス、b4は回転速度2000rpm時のd軸インダクタンスである。
図2に示したように、モータ50のq軸インダクタンスは、モータ50の出力トルクが大きいほど小さくなる傾向がある。また、モータ50のd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスは、モータ50の回転速度が高いほど大きくなる傾向がある。
そこで、インダクタンス設定部22は、図2のd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqと、回転速度及び出力トルクとの対応関係(この対応関係のマップデータが、予めメモリに保持されている)に、トルク指令値Tr_cと角速度の推定値ω^を適用して、d軸インダクタンスの推定値Ld^及びq軸インダクタンスの推定値Lq^を取得する。
正弦・余弦成分算出部23は、正弦成分Vsを余弦成分Vcを算出するときに、その時点におけるトルク指令値Tr_cと角速度の推定値ω^を用いてインダクタンス設定部22により求められたLd^を上記式(18)のLdに代入し、Lq^を上記式(18)のLqに代入する。
さらに、正弦・余弦成分算出部23は、その時点における3相電圧の指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cから、線間電圧VuwとVvwを算出して上記式(18)に代入し、U相電流の検出値Iu_sを上記式(18)のIuに代入し、U相電流の検出値Iu_sとW相電流の検出値Iw_sの検出値から算出されるV相電流の検出値Iv_sを上記式(18)のIvに代入して、正弦成分Vsと余弦成分Vcを算出する。
図3は、このように、インダクタンス設定部22によりd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを可変設定とした場合の効果を示したものであり、縦軸が正弦成分Vsに設定され、横軸が最大トルクに対するトルク指令値の割合(%)を示している。また、ロータ角度の実際値と推定値との角度差θeがほぼゼロ(θe≒0)の場合を示している。
図3中、c1〜c4はd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを固定値とした場合を示しており、c1が回転速度600rpm時、c2が回転速度1000rpm時、c3が回転速度1500rpm時、c4が回転速度2000rpm時である。また、d1〜d4はd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqをインダクタンス設定部22により設定した場合を示しており、d1が回転速度600rpm時、d2が回転速度1000rpm時、d3が回転速度1500rpm時、d4が回転速度2000rpm時である。
図3から、d軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを固定値としたときには、正弦成分Vsが大きく変化していることがわかる。そして、この場合は、本来ゼロ付近になるべき正弦成分Vsの値がゼロから乖離するために、後述するロータ角度の推定精度が低くなる。
それに対して、インダクタンス設定部22によりd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを設定したd1〜d4では、算出される正弦成分Vsの値がゼロ付近で安定している。そのため、ロータ角度の推定精度を高めることができる。
次に、拡張誘起電圧算出部24は、以下の式(19)により拡張誘起電圧Eexを算出する。
Figure 0004987032
但し、Eex:拡張誘起電圧、Vs:正弦成分、Vc:余弦成分。
また、除算部25は、以下の式(20)によりロータ角度の実際値と推定値との角度差θeを算出する。
Figure 0004987032
但し、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差。
そして、ロータ角度更新部20は、以下の式(21)によるオブザーバの追従演算を制御サイクル毎に実行する。これにより、ロータ角度更新部20は、ロータ角度の推定値θ^と角速度の推定値ω^を更新して、各制御サイクルにおけるロータ角度と角速度を推定する。
Figure 0004987032
但し、θ^(n+1):n+1番目の制御サイクルにおけるロータ角度の推定値、ω^ (n+1):n+1番目の制御サイクルにおける角速度の推定値、Δt:1制御サイクルの時間、θ^:n番目の制御サイクルにおけるロータ角度の推定値、ω^(n):n番目の制御サイクルにおける角速度の推定値、θe(n):n番目の制御サイクルにおけるロータ角度の実際値と推定値との角度差、K1,K2:θeの演算係数。
図4(a),図4(b)は、このようにして、インダクタンス設定部22、正弦・余弦成分算出部23、拡張誘起電圧算出部24、除算部25、及びロータ角度更新部20により、ロータ角度の推定値を算出した場合の効果を示した比較図である。
図4(a)は、上述したロータの突極性が考慮されていない式(10)により、ロータ角度を推定した場合を示しており、上段がロータ角度の推定値の推移をし、下段がロータ角度の実際値と推定値との角度差θeを示している。この場合は、角度差θの0度に対するオフセットが生じている(オフセットの中心値は10度)。そのため、例えば、モータ50の回転速度が低下して、他のロータ角度の推定手法に切替えるときに、このオフセットの影響によりモータ50の動作が不安定になるおそれがある。
それに対して、図4(b)は、本実施の形態のインダクタンス設定部22、正弦・余弦成分算出部23、拡張誘起電圧算出部24、除算部25、及びロータ角度更新部20により、ロータ角度を推定した場合を示している。図4(b)の上段はロータ角度の推定値の推移を示し、下段はロータ角度の実際値と推定値との角度差θeを示している。
図4(b)では、図4(a)のようなθeの0度に対するオフセットは生じていない(オフセットの中心値は0度)。そのため、モータ50の回転速度が低下して、他のロータ角度の推定手法に切替えるときに、このオフセットの影響によりモータ50の動作が不安定になることを防止することができる。
なお、本実施の形態において、正弦・余弦成分算出部23は、上記式(18)により正弦成分Vsと余弦成分Vcを算出したが、制御対象のモータの相抵抗が小さいときには、上記式(17)における抵抗Rをゼロとした以下の式(22)を用いて、正弦成分Vsと余弦成分Vcを算出するようにしてもよい。
Figure 0004987032
また、本実施の形態において、インダクタンス設定部22は、図2に示したd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqと、モータ50の回転速度及び出力トルクとの対応マップを用いて、上記式(18)のd軸インダクタンスLd及びq軸インダクタンスLqを設定した。しかし、正弦・余弦成分算出部23により正弦成分Vsと余弦成分Vcを算出するときのモータ50の作動条件(d軸電圧の指令値Vd_c,q軸電圧の指令値Vq_c,d軸電流の検出値Id_s,q軸電流の検出値Iq_c)と近似する2組の動作条件(第1動作条件及び第2動作条件)を用いて、以下の式(23)により、d軸インダクタンスの推定値Ld^とq軸インダクタンスの推定値Lq^を求め、このLd^,Lq^を上記式(18)のLd,Lqとしてもよい。
Figure 0004987032
但し、Ld^:d軸インダクタンスの推定値、Lq^:q軸インダクタンスの推定値、Ke^:誘起電圧定数の推定値、(Vd1,Vq1,Id1,Iq1):第1動作条件におけるd軸電圧Vd1,q軸電圧Vq1,d軸電流Id1,q軸電流Iq1の組み合わせ、(Vd2,Vq2,Id2,Iq2):第2動作条件におけるd軸電圧Vd2,q軸電圧Vq2,d軸電流Id2,q軸電流Iq2の組み合わせ、ω:角速度、r:相抵抗。
また、制御対象とするモータの回転速度及び出力トルクの変動によるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスの変化が小さいときには、d軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを固定値としてもよい。
また、本実施の形態では、ロータの突極性を有する永久磁石同期モータ50のロータ角度を推定する例を示したが、ロータの突極性を有しない永久磁石同期モータのロータ角度を推定する場合であっても、本実施の形態のモータ制御装置1を用いることができる。
1…モータ制御装置、10…U相電流センサ、11…W相電流センサ、20…ロータ角度更新部、22…インダクタンス設定部、23…正弦・余弦成分算出部、24…拡張誘起電圧算出部、50…モータ。

Claims (14)

  1. 永久磁石を有する突極性のロータと、該ロータを回転させる回転磁界を発生する多相のステータ巻線を有するステータとを備えた永久磁石同期モータのロータ角度を推定するロータ角度推定装置であって、
    前記モータの回転時に生じる前記ロータの永久磁石に起因する誘起電圧と前記ロータの突極性に起因する誘起電圧とを含む拡張誘起電圧の項を有する、前記多相のステータ巻線の相電圧の差である線間電圧と前記多相のステータ巻線の相電流との間の関係式に、前記モータ回転時の所定時点における前記多相のステータ巻線の線間電圧と相電流とを代入して、ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての前記拡張誘起電圧の正弦成分と余弦成分とを算出し、該正弦成分と該余弦成分とに基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新するロータ角度更新手段とを備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
  2. 請求項1記載のロータ角度推定装置において、
    前記ロータ角度更新手段は、前記関係式における前記モータの回転速度として、ロータ角度の推定値の微分値を用いることを特徴とするロータ角度推定装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載のロータ角度推定装置において、
    前記ロータ角度更新手段は、前記正弦成分を前記正弦成分と前記余弦成分の2乗和の平方根で除してロータ角度の実際値と推定値との角度差を算出し、該角度差に基づいてロータ角度の推定値を更新することを特徴とするロータ角度推定装置。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載のロータ角度推定装置において、
    前記モータの多相のステータはU,V,Wの3相であり、
    前記ロータ角度更新手段は、前記モータをロータの永久磁石による磁束方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、前記関係式として以下の式(1)を用いることを特徴とするロータ角度推定装置。
    Figure 0004987032
    但し、ω^:角速度の推定値、Vs:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、R:相抵抗、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
  5. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載のロータ角度推定装置において、
    前記モータの多相のステータはU,V,Wの3相であり、
    前記ロータ角度更新手段は、前記モータをロータの永久磁石による磁束方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、前記関係式として以下の式(2)を用いることを特徴とするロータ角度推定装置。
    Figure 0004987032
    但し、ω^:角速度の推定値、Ψ:誘起電圧定数、Vs:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:拡張誘起電圧のロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
  6. 請求項4又は請求項5記載のロータ角度推定装置において、
    前記所定時点における動作条件と近似する第1及び第2動作条件で前記モータが回転しているときのd軸電流及びq軸電流とd軸電圧及びq軸電圧の組合せを、以下の式(3)に代入して算出したd軸インダンクタンス及びq軸インダクタンスを、前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスとして設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とする。
    Figure 0004987032
    但し、Ld^:d軸インダクタンスの推定値、Lq^:q軸インダクタンスの推定値、Ke^:誘起電圧定数の推定値、(Vd1,Vq1,Id1,Iq1):第1動作条件におけるd軸電圧Vd1,q軸電圧Vq1,d軸電流Id1,q軸電流Iq1の組み合わせ、(Vd2,Vq2,Id2,Iq2):第2動作条件におけるd軸電圧Vd2,q軸電圧Vq2,d軸電流Id2,q軸電流Iq2の組み合わせ、ω:角速度。
  7. 請求項4又は請求項5記載のロータ角度推定装置において、
    前記関係式におけるq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほど小さくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
  8. 請求項4又は請求項5記載のロータ角度推定装置において、
    前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータの回転速度が速いほど大きくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
  9. 永久磁石を有するロータと、該ロータを回転させる回転磁界を発生する多相のステータ巻線を有するステータとを備えた永久磁石同期モータのロータ角度を推定するロータ角度推定装置であって、
    前記モータをロータの永久磁石による磁束の方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、以下の式(1)の関係式に、前記モータ回転時の所定時点における前記多相のステータ巻線の線間電圧Vuw,Vvwと相電流Iu,Ivとを代入して、ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分Vsと余弦成分Vcとを算出し、該正弦成分Vsと該余弦成分Vcとに基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新するロータ角度更新手段とを備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
    Figure 0004987032
    但し、ω^:角速度の推定値、Ψ:誘起電圧定数、Vs:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、R:d軸及びq軸電機子巻線の抵抗、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
  10. 永久磁石を有するロータと、該ロータを回転させる回転磁界を発生する多相のステータ巻線を有するステータとを備えた永久磁石同期モータのロータ角度を推定するロータ角度推定装置であって、
    前記モータをロータの永久磁石による磁束の方向をd軸としたd−q軸による回転座標系の等価回路で扱い、以下の式(2)の関係式に、前記モータ回転時の所定時点における前記多相のステータ巻線の線間電圧Vuw,Vvwと相電流Iu,Ivとを代入して、ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分Vsと余弦成分Vcとを算出し、該正弦成分Vsと該余弦成分Vcとに基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新するロータ角度更新手段とを備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
    Figure 0004987032
    但し、ω^:角速度の推定値、Ψ:誘起電圧定数、Vs:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての正弦成分、Vc:ロータ角度の実際値と推定値との角度差についての余弦成分、θ^:ロータ角度の推定値、Vuw:U相-W相間の線間電圧、Vvw:V相-W相間の線間電圧、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、s:微分演算子、Iu:U相の相電流、Iv:V相の相電流。
  11. 請求項9又は請求項10記載のロータ角度推定装置において、
    前記ロータ角度更新手段は、以下の式(4)によりロータ角度の実際値と推定値との角度差を算出し、該角度差に基づいて前記モータのロータ角度の推定値を更新することを特徴とするロータ角度推定装置。
    Figure 0004987032
    但し、θe:ロータ角度の実際値と推定値との角度差、Vs:正弦成分、Vc:余弦成分。
  12. 請求項9から請求項11のうちいずれか1項記載のロータ角度推定装置において、
    前記所定時点における動作条件と近似する第1及び第2動作条件で前記モータが回転しているときのd軸電流及びq軸電流とd軸電圧及びq軸電圧の組合せを、以下の式(3)に代入して、前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを算出するインダクタンス算出手段を備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
    Figure 0004987032
    但し、Ld^:d軸インダクタンスの推定値、Lq^:q軸インダクタンスの推定値、Ke^:誘起電圧定数の推定値、(Vd1,Vq1,Id1,Iq1):第1動作条件におけるd軸電圧Vd1,q軸電圧Vq1,d軸電流Id1,q軸電流Iq1の第1の組み合わせ、(Vd2,Vq2,Id2,Iq2):第2動作条件におけるd軸電圧Vd2,q軸電圧Vq2,d軸電流Id2,q軸電流Iq2の第2の組み合わせ、ω:角速度、r:相抵抗。
  13. 請求項9から請求項11のうちいずれか1項記載のロータ角度推定装置において、
    前記関係式におけるq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータのトルク又はq軸電流の検出値若しくは指令値が大きいほど小さくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
  14. 請求項9から請求項11のうちいずれか1項記載のロータ角度推定装置において、
    前記関係式におけるd軸インダクタンス及びq軸インダクタンスを、前記所定時点における前記モータの回転速度が高いほど大きくなる傾向で設定するインダクタンス設定手段を備えたことを特徴とするロータ角度推定装置。
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