JP4637616B2 - ブラシレスdcモータの制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、モータ制御の安定性を確保しつつ、過渡状態での追従性を向上させることが可能なブラシレスDCモータの制御装置を提供することを目的とする。
さらに、相電流の検出値に含まれる雑音の影響を低減し、モータ制御の安定性を確保することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置によれば、トルク指令値の変動が所定値よりも大きい状態から所定値以下である状態へと変化した際には、トルク指令値の変動が所定値よりも大きい状態の影響がない電流微分値を適切に設定することができる。
さらに、請求項5に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置によれば、車両の運転状態に応じてトルク指令値が頻繁に変動する場合であってもロータの回転角度を精度良く算出することができ、車両の走行状態に運転者の意志を適切に反映させることができる。
この実施形態によるブラシレスDCモータの制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関11と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ12は、内燃機関11と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有するロータ(図示略)と、このロータを回転させる回転磁界を発生するステータ(図示略)とを備えて構成されている。
モータ制御装置10は、例えば図1に示すように、パワードライブユニット(PDU)13と、バッテリ14と、制御部15とを備えて構成されている。
PDU13は、例えばトランジスタのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路を具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータを備え、モータ12と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ14が接続されている。
PDU13は、例えばモータ12の駆動時に、制御部15から出力される指令値(U相交流電圧指令値Vu,V相交流電圧指令値Vv,W相交流電圧指令値Vw)に基づき、バッテリ14から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、3相のモータ12のステータ巻線への通電を順次転流させることで各電圧指令値Vu,Vv,Vwに応じたU相電流Iu及びV相電流Iv及びW相電流Iwをモータ12の各相へと出力する。
この制御部15は、例えば、電流指令演算部21と、電流制御演算部22と、角度・回転数算出部23とを備えて構成されている。
また、磁極判別時演算部32は、例えばイグニッションスイッチがオン状態とされた車両の始動時あるいは内燃機関11のアイドル運転状態からの復帰時でのモータ12の始動時等においてロータの磁極の向きを判別する磁極判別処理の実行時での電流指令を演算する。
電流制御部41は、Id指令とd軸電流Idとの偏差ΔId、および、Iq指令とq軸電流Iqとの偏差ΔIqを算出し、例えば、後述する角度・回転数算出部23から入力されるモータ回転数Nmに応じたPI(比例積分)動作により、偏差ΔIdを制御増幅してd軸電圧指令値Vdを算出し、偏差ΔIqを制御増幅してq軸電圧指令値Vqを算出する。
DUTY変換部43は、出力電圧演算部42から出力される各電圧指令値Vu,Vv,Vwを、後述する角度・回転数算出部23から入力される推定回転角度θ^およびバッテリ14の出力電圧を検出する電圧検出器24から出力されるバッテリ電圧Vbに基づき、PDU13の各スイッチング素子をパルス幅変調(PWM)によりオン/オフ駆動させる各パルスからなるスイッチング指令(つまり、パルス幅変調信号)へと変換する。なお、各パルスのデューティは予めDUTY変換部43に記憶されている。
各相演算部61a,61cは、例えば、所定時間周期Δt毎に相電流検出器25から出力される相電流の検出値(電流検出値)Imを時系列データとして、現在の時刻t0での電流検出値I0と、過去の時刻における少なくとも2つの電流検出値、例えば時刻t1(=t0−Δt)での電流検出値I1と、時刻t2(=t1−Δt=t0−2Δt)での電流検出値I2と、時刻t3(=t2−Δt=t0−3Δt)での電流検出値I3とからなる4つの電流検出値に基づき、例えば最小二乗法や移動平均値算出処理等のフィルタ処理によって、電流検出値の平均的な時間変化である各平均電流微分値DIu_av,DIv_avを算出する。
一方、トルク変動が所定閾値#ΔTq以下であって、かつ、トルク変動が所定閾値#ΔTqよりも大きい状態から所定閾値#ΔTq以下の状態に変化してからの経過時間が所定経過時間よりも長い場合には、各平均電流微分値DIu_av,DIv_avを各電流微分値dIu/dt,dIv/dtとして出力する。
この時間変化ΔIと、この時間変化ΔIに対応する電流検出値Im、つまり時刻(t1+t2)/2における電流検出値Imとは、各電流検出値I0,I1,I2,I3によって、例えば下記数式(1)に示すように記述され、この数式(1)は下記数式(2)に示すように変形される。
また、各電流検出値I0,I1に基づき算出される各瞬時電流微分値DIu_na,DIv_naは、現在の時刻t0よりも時間遅れTd(=係数kd×所定時間周期Δt、例えば、kd=0.5)だけ過去の時刻(t0+t1)/2における値となる。
すなわち、相電流微分演算部61にて算出される各平均電流微分値DIu_av,DIv_avまたは各瞬時電流微分値DIu_na,DIv_naが過去の時刻(t1+t2)/2または時刻(t0+t1)/2における値であることに対応して、時刻(t1+t2)/2または時刻(t0+t1)/2での各相電圧指令値(例えば、図4に示す相電圧指令値V1またはV0)を各電圧指令値Vu,Vw,Vvとして設定する。
このPWMインバータ13Aでは、相短絡が発生することを防止するために、各相毎に対をなす各トランジスタTU1,TU2およびTV1,TV2およびTW1,TW2を、両方ともオフに設定するデッドタイムTDが設けられている。そして、このデッドタイムTDにおいては、各相電流Iu,Iv,Iwの極性に応じて、各相毎に対をなす各ダイオードDU1,DU2およびDV1,DV2およびDW1,DW2の何れか一方に電流が転流し、PWMインバータ13Aの出力電圧が変化する。
乗算部81は、キャリア周波数出力部15Aから出力されるPDU13のPWMインバータ13Aのパルス幅変調(PWM)の周期Tと、デッドタイム出力部15Bから出力されるPDU13のPWMインバータ13AのデッドタイムTDと、電圧検出器24から出力されるバッテリ電圧Vbとを乗算する。
加算部83は、各電圧指令値Vu,Vw,Vvと、各相電流Iu,Iv,Iwの極性に応じて付与された正負の符号を有する乗算部81の算出結果とを加算して得た値を、新たに、線間電圧(例えば、線間電圧Vuw,Vvw)を算出するための各電圧指令値Vu,Vw,Vvとして設定する。
各相実電圧演算部62a,62b,62cは、各相毎に下記数式(3)に基づき実電圧VRを算出し、線間電圧(例えば、線間電圧Vuw,Vvw)を算出するための各電圧指令値Vu,Vw,Vvとして設定する。
なお、各相電圧指令値Vu,Vv,Vwは、例えば下記数式(5)に示すように正弦波状である。
すなわち、角度差θeに回転角速度ω及び誘起電圧定数Keを乗算して得た値として角度差推定値θesを設定すると、この角度差推定値θesは、上記数式(7)での誘起電圧の正弦成分Vsにおいて、正弦値sinθeを角度差θeで近似(θe≒sinθe)し、さらに、相抵抗値rによる電圧降下を無視して、例えば下記数式(9)に示すように記述される。
すなわち、下記数式(10)において、誤差ΔLを含む項(ωΔLIq)は、角度差θeがゼロのときの角度差推定値θesの誤差であって、回転角速度ωに比例して増大する。このため、モータ12の相対的に高回転状態おいては、モータ12の相対的に低回転状態に比べて、角度差推定値θesの誤差が増大する。
そして、収束演算部66は、例えば下記数式(12)に示すように、この入力値(つまり角度差θe)をゼロに収束させるようにして追従演算処理を行うことによって、推定回転角度θ^および回転角速度推定値ω^を逐次更新しつつ算出し、推定回転角度θ^および回転角速度推定値ω^の収束値を電流制御演算部22の出力電圧演算部42および電流変換部44へ出力する。
また、上記数式(12)において、offsetは、例えばモータ12の相対的に低回転状態、あるいは、例えば実回転角度θを算出する際等において適宜に設定されるロータの回転角度である。
次に、ステップS02においては、前回の処理での回転角速度推定値ω^に基づき、モータ12の回転数Nmを算出する。
次に、ステップS03においては、少なくとも2つの相電流検出器25,25から出力される各相電流検出値(例えば、U相電流Iu,V相電流Iv)を取得する。
次に、ステップS04においては、PDU13に具備されるパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータ13AのデッドタイムTDとPDU13からモータ12に供給される各相電流Iu,Iv,Iwの極性とに応じて、線間電圧(例えば、線間電圧Vuw,Vvw)を算出するための各電圧指令値Vu,Vw,Vvを補正して、補正後の各電圧指令値Vu,Vw,Vvを、各相の実電圧として設定する。
そして、ステップS06においては、差分ΔTqが所定閾値#ΔTqよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS09に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS07に進む。
そして、ステップS08においては、各瞬時電流微分値DIu_na,DIv_naを各電流微分値dIu/dt,dIv/dtとして設定し、後述するステップS12に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS07に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS10に進む。
そして、ステップS11においては、各平均電流微分値DIu_av,DIv_avを各電流微分値dIu/dt,dIv/dtとして設定し、ステップS12に進む。
そして、ステップS14においては、角度差θeに近似される角度差近似値(−Vs/(Vs2+Vc2)1/2≒θe)をゼロに収束させるようにして追従演算処理を行うことによって、推定回転角度θ^および回転角速度推定値ω^を逐次更新しつつ算出し、一連の処理を終了する。
これに対して、相電流の検出値の現在値と直近の過去での過去値とに基づき算出した瞬時的な電流微分値(例えば、図10に示す瞬時値)では、トルク指令値Tqの急激な変化が生じるタイミングと、このトルク指令値Tqの変化に応じて電流微分値が変化するタイミングとが同等になり、電流微分値が相電流の変動量に応じた相対的に大きな値となる。
13A PWMインバータ(通電切換手段)
52 高回転時角度演算部(角度演算手段)
63 誘起電圧正弦・余弦成分演算部(角度誤差算出手段)
75 相電流微分出力部(瞬時電流微分値設定手段、平均電流微分値設定手段)
ステップS05 検知手段
Claims (5)
- 永久磁石を有するロータと、このロータを回転させる回転磁界を発生する複数相のステータ巻線を有するステータとを備えたブラシレスDCモータを、トルク指令値に応じて複数のスイッチング素子からなり前記ステータ巻線への通電を順次転流させる通電切換手段により回転駆動させるブラシレスDCモータの制御装置であって、
前記複数相の相電流の電流微分値に基づき、前記ロータの回転角度を演算する角度演算手段と、
前記トルク指令値の変動量が所定値よりも大きい場合に、前記相電流の瞬時的な変化に基づき算出される瞬時電流微分値を前記電流微分値として設定する瞬時電流微分値設定手段と、
前記トルク指令値の変動が所定値以下である場合に、前記相電流の平均的な変化に基づき算出される平均電流微分値を前記電流微分値として設定する平均電流微分値設定手段とを備えることを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。 - 前記瞬時電流微分値設定手段は、前記トルク指令値の変動が所定値よりも大きい状態から前記トルク指令値の変動が所定値以下である状態へと変化してからの経過時間が所定時間以内である場合に、前記瞬時電流微分値を前記電流微分値として設定することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御装置。
- 前記角度演算手段は、前記電流微分値と、前記ステータ巻線の入力側における前記複数相間の相電圧の差である線間電圧とに基づき、前記ロータの回転角度を演算することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラシレスDCモータの制御装置。
- 前記ロータの回転角度に対する推定回転角度と実回転角度との角度差の正弦値および余弦値を算出する角度誤差算出手段を備え、
前記角度演算手段は、前記角度誤差算出手段により算出される前記角度差の正弦値および余弦値に基づき、前記ロータの回転角度を演算することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかひとつに記載のブラシレスDCモータの制御装置。 - 前記ロータは前記ブラシレスDCモータおよび内燃機関を駆動源として搭載するハイブリッド車両の駆動軸に連結され、
前記トルク指令値の変動量を運転者のアクセル操作量の変化に連動して検知する検知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御装置。
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