JP5910583B2 - 交流電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
具体的には、交流電動機の回転子とステータのU相軸とが成す角度(θ)と、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*から得られた指令電流位相角(α)とを加算した「U相電流位相角θ´(=θ+α)」を求め、U相電流位相角θ´とU相電流検出値Iuを用いて、下式(91)により電流振幅Iaを算出する。この電流振幅Iaを、U相電流位相角θ´から±120[°]ずらした電気角におけるsin値に乗じ、下式(92)、(93)により他の二相の電流推定値Iv、Iwを算出する。
Iv=√(1/3)×Ia×{−sin(θ´+120°)} ・・・(92)
Iw=√(1/3)×Ia×{−sin(θ´+240°)} ・・・(93)
また、電流検出値Iu=0[A]になったとき、上記(92)、(93)式により、他の二相の電流推定値Iv、Iwは、Iv=0[A]及びIw=0[A]と算出されるため、交流電動機の制御が成立しなくなる可能性がある。
本発明は上述の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、三相のうち一相の相電流を電流センサにより検出して交流電動機の通電を制御する制御装置において、計算式中の「ゼロ割り」や「ゼロ掛け」による電流推定値の変動を防止する交流電動機の制御装置を提供することにある。
制御手段は、一相のセンサ相の電流検出値及び交流電動機の電気角に基づいてd軸電流推定値及びq軸電流推定値を推定する電流推定手段、並びに、センサ相の電流検出値がゼロを含む所定範囲内にある期間である「センサ相電流のゼロクロス時」に、電流推定手段が推定したd軸電流推定値及びq軸電流推定値を固定することにより補間し、交流電動機の通電に係るフィードバック制御に用いられる確定値として出力するゼロクロス補間手段を有することを特徴とする
d軸電流推定値及びq軸電流推定値を固定する値は、センサ相電流のゼロクロス時であると判定した周期の値を用いてもよく、ゼロクロス時判定直前の周期の値、又はそれ以前の周期の値を過去値として保持しておき、その過去値を用いてもよい。或いは、その他の適当な値を用いてもよい。
そして、センサ相電流のゼロクロス時に、さらに他の相の電流推定値を補間することにより、他の相の電流推定値が急変動することを防止することができる。
最初に、複数の実施形態に共通の構成について、図1、図2を参照して説明する。この実施形態による「交流電動機の制御装置」としての電動機制御装置10は、ハイブリッド自動車を駆動する電動機駆動システム1に適用される。
図1に示すように、電動機駆動システム1は、交流電動機2、直流電源8、及び電動機制御装置10等を備える。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ12(図2参照)と接続され、インバータ12を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている
インバータ12には、図示しない昇圧コンバータによる直流電源の昇圧電圧がシステム電圧VHとして入力される。インバータ12は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。制御部15のPWM信号生成部25から出力されるPWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてスイッチング素子のオン/オフが制御されることにより、交流電動機2に印加される三相交流電圧vu、vv、vwに基づいて交流電動機2の駆動が制御される。
以下、本実施形態の説明では、センサ相をW相とする構成を前提として説明する。ただし、他の実施形態では、U相又はV相をセンサ相としてもよい。
本実施形態の回転角センサ14は、レゾルバであるが、その他の実施形態では、ロータリエンコーダ等、他種のセンサを用いてもよい。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
一方、回転数N>0(正転)で、トルク指令値trq*<0である場合、または、回転数N<0(逆転)でトルク指令値trq*>0である場合、インバータ12は、スイッチング素子のスイッチング動作により、交流電動機2が発電した交流電力を直流電力に変換し、直流電源8側へ供給することにより、回生動作する。
以下、制御部15の構成及び作用効果を実施形態毎に説明する。第1実施形態の制御部151は電流フィードバック制御方式により、第2実施形態の制御部153はトルクフィードバック制御方式により、交流電動機2の通電を制御する。
本発明の第1実施形態の制御部151について、図3〜図10を参照して説明する。
電流フィードバック制御方式は、d軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*に対してd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estをフィードバックする制御方式であり、いわゆる正弦波制御モードや過変調制御モードが含まれる。
図3に示すように、制御部151は、dq軸電流指令値演算部21、電流減算器22、PI演算部23、逆dq変換部24、PWM信号生成部25、電流推定部301及び、「ゼロクロス補間手段」としての電流推定値ゼロクロス補間部28を有する。
そして、PWM信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ12のスイッチング素子のオン/オフが制御されることより、三相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この三相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加されることにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。
そもそも電流センサ13が二相に設けられている電動機制御装置の場合、キルヒホッフの法則により、電流センサ13が設けられていない残りの一相の電流を容易に算出可能である。それに対し、電流センサ13を一相(W相)にのみ設ける本実施形態では、電流推定部301の他相電流推定部31にて、電流センサ13が設けられていないU相、V相のうち一相の電流を推定する。以下、電流を推定する相を「推定相」という。本実施形態の説明では、推定相をU相とする構成を前提として説明する。
なお、図3中、他相電流推定部31からdq変換部34に出力される他相電流推定値について「iu(v)_est」、同じくdq変換部34について「u(v)w→dq」というように、推定相をV相とする場合を括弧書きで示す。
特に本実施形態では、α−β座標系におけるα軸電流iαとβ軸電流iβとに基づいて算出したセンサ相基準電流位相θxから、推定相の電流推定値iu_estを算出することを特徴とする。
他相電流参照値算出部32は、dq軸電流指令値演算部21により算出されるd軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*、並びに電気角θeを取得し、逆dq変換により、推定相でないV相の電流指令値iv*を算出する。
なお、他の実施形態で推定相がV相の場合には、U相の電流指令値iu*を算出する。或いは、U相及びV相の電流指令値iu*、iv*を算出してもよい。
図5に示すように、α軸はセンサ相であるW相の軸に一致し、β軸はα軸に直交する。センサ相基準電流位相θxは、α軸と、電流振幅Iaの電流ベクトル(Ia∠θx)とがなす、センサ相の電流検出値iw_snsに同期した角度である。正回転、正トルクの力行状態において、W相電流iwの波形が負から正にゼロクロスするときのセンサ相基準電流位相θxは0[°]であり、W相電流iwの波形が正から負にゼロクロスするときのセンサ相基準電流位相θxは180[°]である。
iu+iv+iw=0 ・・・(3)
ここで、式(1)について式(3)を用いて変形すると、以下の式(4)が得られる。
そこで、キルヒホッフの法則(式(3))を用い、β軸電流推定値iβ_estにセンサ相の電流検出値iw_snsを含ませるように式(6)を変形すると、以下の式(7)のようになる。
続いて、式(5)により算出されたα軸電流検出値iα_sns、及び、式(6)又は式(7)により算出されたβ軸電流推定値iβ_estに基づき、式(8)により、センサ相基準電流位相θxを算出する。
ここで、センサ相の電流検出値iw_sns、及び、推定相であるU相電流推定値iu_estを、センサ相基準電流位相θxを用いて表すと、各相の位相差は120[°]であるので、式(9)、(10)のようになる。式(9)、(10)中のIaは、電流振幅である。
iw_sns=Ia×sin(θx) ・・・(9)
iu_est=Ia×sin(θx−120°) ・・・(10)
時間軸への換算方法は、交流電動機2の回転数を係数として算出する方法や、ゼロクロス位相範囲Pzxの開始点から終了点までの2点間を通過する時間をマイコン内のタイマー等で計測する方法等、どのような方法を用いてもよい。
すると、式(11)において、センサ相の電流検出値iw_snsがゼロになるとき、或いは、センサ相基準電流位相θxの正接tan(θx)が無限大になるとき、ゼロで乗算する「ゼロ掛け」が生じる。また、センサ相基準電流位相θxの正接tan(θx)がゼロとなるとき、ゼロで除算する「ゼロ割り」が生じる。そのため、推定相であるU相の電流推定値iu_estが変動するおそれがある。
なお、ゼロ割りに関しては、式(13)において離散系の影響により電流推定値が意図しない値で算出されるのを防ぐため、推定係数iu_kp、或いは推定係数iu_kp内の{1/tan(θx)}項に制限値を設けておくことでも対策できる。また、制御部151に式(13)を実装する場合、推定係数iu_kp、或いは推定係数iu_kp内の{1/tan(θx)}項をマップ化しておくことも有効であり、その場合、マップ上で制限値を設けておくことでも対策できる。
一方、センサ相電流のゼロクロス時であると判定した場合、ゼロクロス判定部331は、前回値保持部332から電流推定値(補間値)iu_est_cmpを取得し、この電流推定値(補間値)iu_est_cmpを、電流推定値(確定値)iu_est_fixとしてdq変換部34へ出力する。
例えば、前回値保持部332では、以前に算出された電流推定値(確定値)iu_est_fixについて、直近の所定回数分を、電流推定値(保持値)iu_est_hldとして保持しておく。そして、センサ相電流のゼロクロス時であると判定した場合、前回値またはそれ以前の値である電流推定値(保持値)iu_est_hldを、電流推定値(補間値)iu_est_cmpとしてゼロクロス判定部331に出力する。
dq変換部34におけるd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estの算出について説明する。まず、dq変換の一般式を以下の式(14)に示す。
ところで、センサ相電流のゼロクロス時に、他相電流ゼロクロス補間部33で推定相の電流推定値iu_estを補間すると、補間に伴う電流推定値iu_estの誤差によって、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estが変動し、電流フィードバック制御が不安定になる可能性がある。そこで、電流推定値ゼロクロス補間部28は、推定相の電流推定値iu_estに係るゼロクロス補間とは別に、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estについてゼロクロス補間することで、それらの変動を防止する。
センサ相電流のゼロクロス時でないと判定した場合、電流推定値ゼロクロス補間部28は、電流推定部301が演算したd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estをそのままd軸電流推定値(確定値)id_est_fix及びq軸電流推定値(確定値)iq_est_fixとして減算器22にフィードバックする。
図7の横軸は時間を示し、縦軸は電流を示す。横軸の時間は、センサ相基準電流位相θxと相関している。すなわち、図6(b)のゼロクロス位相範囲Pzxは、開始時tsから終了時teまでの「ゼロクロス期間Tzx」に相当する。
ゼロクロス期間Tzx中は、ゼロクロス期間Tzxの開始時tsにおけるd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estが破線で示すように固定され、d軸電流推定補間値id_est_cmp及びq軸電流推定補間値iq_est_cmpとして採用される。
d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを固定する値は、センサ相電流のゼロクロス時であると判定した周期の値を用いてもよく、ゼロクロス時判定直前の周期の値、又はそれ以前の周期の値を過去値として保持しておき、その過去値を用いてもよい。或いは、その他の適当な値を用いてもよい。
以下のフローチャートの説明で、記号Sは「ステップ」を示す。また、上述のように本実施形態では、三相のうちセンサ相としてW相を選択し、電流を推定する推定相としてU相を選択する構成を例示しているため、フローチャートの説明においても、この例による構成を前提として説明する。
S22では、交流電動機2の電気角θeと、d軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*とに基づく逆dq変換によってV相の電流指令値iv*を算出する。この場合のV相は、センサ相以外の二相のうち推定相でない相である。なお、他の実施形態では、U相及びV相の電流指令値iu*、iv*を算出してもよい。
S24では、他の一相の電流指令値iv*とセンサ相の電流検出値iw_snsとを用いて、式(7)によりβ軸電流iβ_estを算出する。
S28では、α軸電流iαとβ軸電流iβとを用いて式(8)によりセンサ相基準電流位相θxを算出する。
図9のサブフローチャートにおいて、S51では、ゼロクロス判定部331にて、現在、センサ相電流のゼロクロス時であるか否かを判定する。この判定は、例えばセンサ相の電流検出値iw_snsが0[A]を含む所定範囲Az内の値であるか否かによって判定する。
一方、S51で、センサ相電流のゼロクロス時である(YES)と判定された場合、S54に進む。S54では、前回値保持部332からU相の電流推定値(補間値)iu_est_cmpを取得し、この電流推定値(補間値)iu_est_cmpを、U相の電流推定値(確定値)iu_est_fixとして出力する。
S81では、現在、センサ相電流のゼロクロス時であるか否か判定する。この判定は、S51の判定結果を援用してもよい。
センサ相電流のゼロクロス時ではない(S81:NO)と判定された場合、S82に進む。S82では、電流推定部301が推定したd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estをそのままd軸電流推定値(確定値)id_est_fix及びq軸電流推定値(確定値)iq_est_fixとして出力し、ルーチンを終了する。
d軸電圧指令値vd*及びq軸電圧指令値vq*は、d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqを強制的にゼロとすることによって固定してもよい。或いは、ゼロクロス期間Tzxの開始時ts以前の値に保持することによって固定してもよい。
(1)本実施形態の電動機制御装置10は、三相のうち一相の相電流を電流センサ13により検出し、他の二相の相電流を推定するものである。電流センサ13をセンサ相のみに設けることで、電流センサ13の数を減らすことができる。これにより、インバータ12の三相出力端子近傍を小型化し、また、電動機制御装置10のコストを低減することができる。
また、電流センサ13の数を1つにすることで、複数個の電流センサを用いる従来の交流電動機の制御システムで発生しうる、電流センサのゲイン誤差の影響が無くなる。これにより、交流電動機2において、複数個の電流センサのゲイン誤差が引き起こす出力トルク変動を排することができ、例えば車両用の場合は車両振動を無くすことに繋がり、車両の商品性を下げる要素を取り除くことができる。
それに対し、本実施形態の方法は、電流推定部301が推定したd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを、電流推定値ゼロクロス補間部28で「直接的に」補間する。したがって、間接的な補間方法に比べ、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estの変動をより確実に防止することができる。
その点、特許文献1の従来技術では、実際の電流位相を全く考慮しておらず、指令電流位相角から求めたU相電流位相角を用いて他の二相の電流推定値を算出するため、特に車両用のようにトルク変化や回転速度変化が要求される場合には、電流推定値を精度良く算出することができず、交流電動機の制御が成立しなくなる可能性がある。
特に、式(7)により、センサ相以外の一相の電流指令値iv*とセンサ相の電流検出値iw_snsとに基づいてβ軸電流iβを算出することが好ましい。
次に、本発明の第2実施形態の制御部153について、図11〜図13を参照して説明する。第2実施形態の制御ブロック図及びフローチャートの説明では、第1実施形態と実質的に同一の構成又はステップに同一の符号を付して説明を省略する。
トルクフィードバック制御方式は、トルク指令値trq*に対してトルク推定値trq_estをフィードバックする制御方式である。トルクフィードバック制御方式の制御モードとして、具体的には、矩形波電圧の位相を制御する矩形波制御モードが知られている(例えば特開2010−124544号公報参照)。なお、ここでの矩形波とは、電流1周期で1パルスの波形をいう。
トルク減算器52は、トルク推定部56からフィードバックされるトルク推定値trq_estとトルク指令値trq*との差であるトルク偏差Δtrqを算出する。
信号発生器55は、U相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*、及びW相電圧指令値vw*に基づき、インバータ12のスイッチング素子のオン/オフの切替えに係る電圧指令信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを生成し、インバータ12に出力する。
電圧信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ12のスイッチング素子のオン/オフが制御されることより、三相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この三相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加されることにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。
電流フィードバック制御方式と異なり、トルクフィードバック制御方式では、d軸電流指令値id*及びq軸電流指令値iq*、或いは、これらを逆dq変換して得られるセンサ相以外の相(U相とV相)の電流指令値iu*、iv*を電流推定に用いることができない。そこで、本実施形態の電流推定部303は、これらの電流指令値を用いず、センサ相の電流検出値iw_sns、及び電気角θeの情報に基づいて、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを推定する。
Δiα=−{iα(n)−iα(n−1)}/Δθe ・・・(16)
なお、電流検出タイミングは、インバータ12のいずれかの相のスイッチング素子が電気角60[°]毎にオン/オフするタイミングである「スイッチタイミング」、及び、連続するスイッチタイミング同士の間の「中間タイミング」に設定してもよい。
H={iα(n−1)+iα(n)}/2×(Δθe/2) ・・・(17)
iβ_est=Δiα+H ・・・(18)
他相電流参照値算出部32では、センサ相の電流検出値iw_snsとセンサ相基準電流位相θxとに基づき、式(11)又は(13)により、推定相の電流推定値(参照値)iu_est_refを算出する。そして、センサ相電流のゼロクロス時には、他相電流ゼロクロス補間部33(図4参照)にて、推定相の電流推定値iu_estをゼロクロス補間し、推定相の電流推定値(確定値)iu_est_fixを算出する。
こうして推定相の電流推定値(確定値)iu_est_fixが算出されると、電流推定部303は、式(15)により、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを算出する。
センサ相電流のゼロクロス時でないと判定した場合、電流推定値ゼロクロス補間部58は、電流推定部303が推定したd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estをそのままd軸電流推定値(確定値)id_est_fix及びq軸電流推定値(確定値)iq_est_fixとしてトルク推定部56に出力する。
ここで、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを固定して補間する具体例は、第1実施形態の図7と同様である。
trq_est
=p×{iq_est×ψ+(Ld−Lq)×id_est×iq_est}
・・・(19)
記号は、以下のとおりである。
p:交流電動機の極対数
Ld、Lq:d軸自己インダクタンス、q軸自己インダクタンス
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
図12のフローチャートは、第1実施形態の図8のフローチャートに対し、S22−S24に代えてS25−S27によりα軸電流iα及びβ軸電流iβを算出する点のみが異なる。
S26では、α軸電流iαの電流検出タイミングの間の電気角移動量Δθeに対するα軸電流iαの変化量に基づいて、式(16)によりα軸電流の微分値Δiαを算出する。
S27では、α軸電流の微分値Δiαに基づいて、式(17)、(18)により補正量Hを加算してβ軸電流iβ_estを算出する。
電圧位相指令値VΨは、トルク偏差Δtrqを強制的にゼロとすることによって固定してもよい。或いは、ゼロクロス期間Tzxの開始時ts以前の値に保持することによって固定してもよい。
第2実施形態は、第1実施形態の効果(1)〜(4)を共通に有し、第1実施形態の効果(5)に代えて、下記の(5’)を有する。また、第2実施形態特有の効果(8)を有する。
(ア)電流推定手段が一相のセンサ相の電流検出値iw_sns及び電気角θeに基づいて、推定相の電流推定値iu(v)_est、d軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを推定する方法は、上記実施形態のように、α−β座標系におけるα軸電流iα及びβ軸電流iβに基づくものに限らない。
例えば、電流指令値を用いる電流推定方法では、第1実施形態の効果(6)が得られないことを是認すれば、従来技術である特開2004−159391号公報(特許文献1)の技術等を用いてもよい。
この方法を採用する電流推定部は、まずd軸電流推定値id_est及びq軸電流推定値iq_estを推定してから、必要に応じて、逆dq変換により他の相の電流推定値を算出する構成となる。
また、「トルクフィードバック制御方式」は、上記実施形態の矩形波制御モードに限らず、交流電動機の駆動に係る電流検出値に基づくトルク推定値をトルク指令値に対してフィードバックする制御方式であれば、どのようなものであってもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・電動機制御装置(交流電動機の制御装置)、
12・・・インバータ、
13・・・電流センサ、
151、153・・・制御部(制御手段)、
28、58 ・・・電流指令値ゼロクロス補間部(ゼロクロス補間手段)、
301、303・・・電流推定部(電流推定手段)。
Claims (4)
- 三相の交流電動機(2)を駆動するインバータ(12)と、
前記交流電動機の三相のうち一相のセンサ相に流れる電流を検出する電流センサ(13)と、
前記インバータを構成する複数のスイッチング素子のオン/オフを切り替えて前記交流電動機の通電を制御する制御手段(151、153)と、
を備え、
前記制御手段は、
前記一相のセンサ相の電流検出値及び前記交流電動機の電気角に基づいてd軸電流推定値及びq軸電流推定値を推定する電流推定手段(301、303)、並びに、
前記センサ相の電流検出値がゼロを含む所定範囲内にある期間であるセンサ相電流のゼロクロス時に、前記電流推定手段が推定したd軸電流推定値及びq軸電流推定値を固定することにより補間し、前記交流電動機の通電に係るフィードバック制御に用いられる確定値として出力するゼロクロス補間手段(28、58)を有し、
前記電流推定手段は、さらに前記センサ相以外の他の相の電流推定値を推定し、
前記センサ相電流のゼロクロス時に、さらに前記他の相の電流推定値を補間することを特徴とする交流電動機の制御装置(10)。 - 前記制御手段(151)は、前記センサ相電流のゼロクロス時に、前記ゼロクロス補間手段(28)が出力した前記d軸電流推定値及びq軸電流推定値の確定値をd軸電流指令定値及びq軸電流指令値に対してフィードバックすることにより、前記交流電動機の通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
- 前記制御手段(153)は、前記センサ相電流のゼロクロス時に、前記ゼロクロス補間手段(58)が出力した前記d軸電流推定値及びq軸電流推定値の確定値に基づいてトルク推定値を算出し、当該トルク推定値をトルク指令値に対してフィードバックすることにより、前記交流電動機の通電を制御することを特徴とする請求項1に記載の交流電動機の制御装置。
- 前記制御手段は、前記センサ相電流のゼロクロス時に、さらに、前記交流電動機の電圧に関する指令値を固定することを特徴とする請求項2または3に記載の交流電動機の制御装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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