JP5929873B2 - 交流電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2では、1相の電流検出値に加え、他相はdq軸電流指令と電気角とで逆dq変換することにより得られる3相交流電流指令をセンサ相以外の相の電流推定値として扱う。
また、特許文献2では、常時1相の電流検出値に基づいて制御している。そのため、例えば電流センサの故障などにより異常な電流が発生した場合、その状態を適切に捉えて交流電動機を制御することは困難である。以下、1相の電流検出値を用いる制御を「1相制御」、2相の電流検出値を用いる制御を「2相制御」という。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電流検出値に異常が生じた場合に、安定して1相制御に移行可能な交流電動機の制御装置を提供することにある。
1相制御電流値演算手段は、第1電流検出値または第2電流検出値、および、回転角検出値に基づき、1相制御電流値を演算する。
切替手段は、第1電流検出値、第2電流検出値および第3電流検出値が正常か否かに応じ、前記2相制御電流値または前記1相制御電流値を電流確定値として選択する。
安定化制御手段は、第1電流検出値、第2電流検出値および第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから所定時間が経過していない場合、交流電動機に通電される電流を安定化させる。
第1の交流電動機の制御装置では、安定化制御手段は、電動機の理論式を用い、交流電動機の駆動に係る電流指令値に基づき、電圧指令値を演算する。
第2の交流電動機の制御装置では、安定化制御手段は、交流電動機の駆動に係るトルク指令値または電流指令値に基づき、予め記憶された電圧指令マップを参照し、電圧指令値を演算する。
第3の交流電動機の制御装置では、安定化制御手段は、交流電動機の駆動に係るトルク指令値または電流指令値に基づき、予め記憶された電圧パルスパターンマップを参照し、駆動信号を生成する。
第4の交流電動機の制御装置では、安定化制御手段は、電圧指令値である電圧指令位相および回転角検出値に基づき、予め記憶された矩形波パルスパターンマップを参照し、矩形波パルスを演算する。
これにより、不安定な電流検出値を電圧指令値の演算に用いることで制御が不安定になるのを回避することができ、安定した状態にて1相制御に移行することができる。
なお、「交流電動機に通電される電流が安定した状態」とは、周期的な3相交流電流が通電されている状態に加え、電流値がゼロである状態も含まれるものとする。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による交流電動機の制御装置を図1〜図6に基づいて説明する。
図1に示すように、交流電動機の制御装置としての電動機制御装置10は、電動車両を駆動する電動機駆動システム1に適用される。
交流電動機2は、例えば電動車両の駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機である。本実施形態の交流電動機2は、永久磁石式同期型の三相交流電動機である。
電動車両には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池車等、電気エネルギによって駆動輪6を駆動する車両が含まれるものとする。本実施形態の電動車両は、エンジン3を備えるハイブリッド車両であり、交流電動機2は、駆動輪6を駆動するためのトルクを発生する電動機としての機能、および、エンジン3や駆動輪6から伝わる車両の運動エネルギにより駆動されて発電可能な発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータ(図中、「MG」と記す。)である。
直流電源8は、例えばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池や電気二重層キャパシタ等、充放電可能な蓄電装置である。直流電源8は、電動機制御装置10のインバータ11(図2参照)と接続され、インバータ11を介して交流電動機2と電力の授受可能に構成されている。
また、車両制御回路9では、取得されたこれらの信号等に基づいて車両の運転状態を検出し、運転状態に応じたトルク指令値trq*を電動機制御装置10に出力する。
また、車両制御回路9は、エンジン3の運転を制御する図示しないエンジン制御回路に対し、指令信号を出力する。
インバータ11には、交流電動機2の駆動状態や車両要求等に応じて、直流電源8の直流電圧を図示しない昇圧コンバータにより昇圧したインバータ入力電圧VHが印加される。また、インバータ11は、ブリッジ接続される図示しない6つのスイッチング素子を有する。スイッチング素子には、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子は、制御部20のPWM信号生成部25(図3参照)から出力される駆動信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてオン/オフが制御される。これにより、インバータ11は、交流電動機2に印加される3相交流電圧vu、vv、vwを制御する。交流電動機2は、インバータ11により生成された3相交流電圧vu、vv、vwが印加されることにより駆動が制御される。本実施形態では、交流電動機2は、正弦波PWM制御または過変調PWM制御がなされているものとする。正弦波PWM制御モードでは、一定期間(例えばPWM1周期)内における基本波成分が正弦波となるように制御される。また、過変調PWM制御モードでは、電圧指令を本来の正弦波波形から歪ませることにより、電圧利用率を高めている。
ここで、3相交流電圧vu、vv、vwが印加されてU相、V相、W相に通電される電流は、各相電流iu、iv、iwである。
監視用V相電流センサ13は、V相に通電される電流を検出し、監視用V相電流検出値iv_sns_aを制御部20に出力する。監視用V相電流検出値iv_sns_aは、制御用V相電流検出値iv_snsの異常監視に用いられる。
監視用W相電流センサ15は、W相に通電される電流を検出し、監視用W相電流検出値iw_sns_aを制御部20に出力する。監視用W相電流検出値iw_sns_aは、制御用W相電流検出値iw_snsの異常監視に用いられる。
以下適宜、制御用V相電流検出値iv_sns、監視用V相電流検出値iv_sns_a、制御用W相電流検出値iw_sns、および、監視用W相電流検出値iw_sns_aを単に「電流検出値」という。
<1.正転力行> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が正のとき、電力消費。
<2.正転回生> 回転数Nが正でトルク指令値trq*が負のとき、発電。
<3.逆転力行> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が負のとき、電力消費。
<4.逆転回生> 回転数Nが負でトルク指令値trq*が正のとき、発電。
ここで、dq変換の一般式を式(1)に示す。
iu+iv+iw=0 ・・・(2)
iu=−iv−iw ・・・(3)
電流検出部30にて算出されたd軸電流検出値id_snsおよびq軸電流検出値iq_snsは、切替判定部70に出力される。
α軸電流iαおよびβ軸電流iβは、例えば以下の式(5)、(6)のように表される。式中のKtは変換係数である。
センサ相基準電流位相θxの演算式を式(8)に示す。
θx=tan-1(iβ/iα) ・・・(8)
各相の位相差が120[°]であるので、センサ相基準電流位相θxを用いて制御用W相電流検出値iw_snsおよびV相電流推定値iv_estを表すと、式(9)、(10)となる。式(9)、(10中のIaは、電流振幅である。
iw_sns=Ia×sin(θx) ・・・(9)
iv_est=Ia×sin(θx+120°) ・・・(10)
U相電流推定値iu_estも、同様に演算可能である。
なお、U相電流推定値iu_estおよびV相電流推定値iv_estの演算において、ゼロで除算する「ゼロ割り」やゼロで乗算する「ゼロ掛け」を回避するような補正処理を適宜行ってもよい。
また、異常監視部50では、偏差異常、上下限張り付き異常、オフセット異常等の異常が検出された場合、異常が生じている電流検出値を含む相(以下、「異常相」という。)、および、電流検出値に異常が生じていない相(以下、「正常相」という。)を特定する。なお本実施形態では、異常である電流検出値が制御用であるか監視用であるかの特定については、不要である。
本実施形態では、2相制御が正常モードであり、1相制御がフェールセーフモードである、と捉えることもできる。
図5は、制御用V相電流センサ12に異常が生じた場合の制御用W相電流検出値iw_snsを示している。
図5に示すように、時間t1にて制御用V相電流センサ12に異常が生じると、時間t2にて異常監視部50にて制御用V相電流検出値iv_snsの異常検出がなされるまでの期間、異常である制御用V相電流検出値iv_snsを用いたフィードバック制御が行われる。そのため、一時的に制御が不安定になる虞がある。この場合、制御用W相電流センサ14の機能が正常であったとしても、通電される電流が不安定になるため、制御用W相電流検出値iw_snsが、不安定になる虞がある。
また、安定化制御部61では、全オフ信号に替えて、全てのスイッチング素子をオフするような駆動信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを生成し、インバータ11に出力するようにしてもよい。
本実施形態では、時間t2からt3に相当する期間が「所定時間」である。
最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す。)では、電気角θe、制御用V相電流検出値iv_sns、監視用V相電流検出値iv_sns_a、制御用W相電流検出値iw_sns、および、監視用W相電流検出値iw_sns_aを取得する。
S103では、電流推定部40にて、制御用V相電流検出値iv_snsまたは制御用W相電流検出値iw_sns、および、電気角θeに基づき、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する。
S106では、電流検出値の異常を検出してから所定時間が経過したか否かを判断する。電流検出値の異常を検出してから所定時間が経過していないと判断された場合(S106:YES)、経過フラグFlgP=0を維持し、S109へ移行する。電流検出値の異常を検出してから所定時間が経過したと判断された場合(S106:YES)、経過フラグFlgP=1とし、S108へ移行する。
S111では、3相電圧指令値演算部24にて、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を電気角θeに基づいて逆dq変換し、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*を演算する。
S113では、S112にて生成された駆動信号UU、UL、VU、VL、WU、WLをインバータ11に出力する。そして、出力された駆動信号に基づいてインバータ11のスイッチング素子のオン/オフ作動が制御される。2相制御または1相制御においては、駆動信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ11のスイッチング素子のオン/オフ作動を制御することにより、3相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この3相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加されることにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力される。
さらにまた、例えば共通部品の故障等により、制御用V相電流検出値iv_snsおよび監視用V相電流検出値iv_sns_aが共に異常となった場合、交流電動機2の制御を継続することができない。制御用V相電流センサ12以外の電流センサ13〜15に異常が生じた場合も同様である。
なお、安定化制御期間は、インバータ11がシャットダウンされるため、ユーザが違和感を覚える可能性はあるが、その時間は僅かであり、また、異常が生じたことをユーザに認識させる意図を考慮すると、特に問題にはならない。
制御部20では、以下の処理が実行される。
制御部20は、交流電動機2のいずれか1相であるV相に設けられる制御用V相電流センサ12から制御用V相電流検出値iv_snsを取得し、V相以外の1相であるW相に設けられる制御用W相電流センサ14から制御用W相電流検出値iw_snsを取得する。制御部20は、制御用V相電流センサ12および制御用W相電流センサ14以外に設けられる監視用V相電流センサ13および監視用W相電流センサ15から、制御用V相電流検出値iv_snsおよび制御用W相電流検出値iw_snsの異常監視に用いる監視用V相電流検出値iv_sns_aおよび監視用W相電流検出値iw_sns_aを取得する。また、制御部20は、交流電動機2の回転角を検出する回転角センサ16から電気角θeを取得する(図6中のS101)。
電流推定部40は、制御用V相電流検出値iv_snsまたは制御用W相電流検出値iw_sns、および、電気角θeに基づき、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する(S103)。
なお、「交流電動機2に通電される電流が安定した状態」とは、周期的な3相交流電流が通電されている状態に加え、電流値がゼロである状態も含まれるものとする。
これにより、過電流が流れることなく、交流電動機2の電流を安定化させることができる。
本発明の第2実施形態は、安定化制御が第1実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。以下の実施形態においても、上記実施形態と同様、制御用V相電流検出値iv_snsが異常であり、正常相がW相である場合を例に説明する。
vd=Ra×id+Ld×(d/dt)id−ω×Lq×iq ・・・(14)
vq=Ra×iq+Lq×(d/dt)iq+ω×Ld×id+ω×ψ
・・・(15)
vd*=Ra×id*−ω×Lq×iq* ・・・(16)
vq*=Ra×iq*+ω×Ld×id*+ω×ψ ・・・(17)
Ra:電機子抵抗
Ld:d軸自己インダクタンス、Lq:q軸自己インダクタンス
ω:電気角速度
ψ:永久磁石の電機子鎖交磁束
電気角速度ωは、電気角θeに基づいて演算される。また、電気角速度ωは、回転数Nから演算してもよい。
制御用V相電流検出値iv_snsまたは制御用W相電流検出値iw_snsの少なくとも一方を用いて演算されるd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*に基づいて交流電動機2の駆動を制御する「1相制御」および「2相制御」を「電流フィードバック制御」と捉えると、本実施形態の安定化制御は、電流検出値を用いない「フィードフォワード制御」と捉えることもできる。
S121〜S128の処理は、図6中のS101〜S108の処理と同様である。
電流検出値に異常が生じていると判断され(S124:YES)、異常が検出されてから所定時間が経過していないと判断された場合(S126:NO)に移行するS129では、安定化制御を行う。本実施形態では、電圧方程式を用い、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を演算し、S131へ移行する。
S130〜S133の処理は、図6中のS110〜S113の処理と同様である。
これにより、交流電動機2の電気角速度ωに応じた電圧が交流電動機2に印加されるので、インバータ入力電圧VHおよび回転数Nによっては発生しうる逆起電力による電流が流れるのを防ぐことができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
また、図9中のS121が「第1電流取得手段」、「第2電流取得手段」、「第3電流取得手段」および「回転角取得手段」の機能としての処理に対応し、S122が「2相制御電流値演算手段」の機能としての処理に対応し、S123が「1相制御電流値演算手段」の機能としての処理に対応する。また、S127、S128が「切替手段」の機能としての処理に対応し、S130が「電圧指令値演算手段」の機能としての処理に対応し、S132、S133が「駆動制御手段」の機能としての処理に対応する。また、S124、S125が「異常監視手段」の機能としての処理に対応し、S129が「安定化制御手段」の機能としての処理に対応する。
本発明の第3実施形態による安定化制御を図10に基づいて説明する。
本実施形態は、第2実施形態の変形例である。図10に示すように、本実施形態の安定化制御部63では、トルク指令値trq*、回転数N、および、インバータ入力電圧VHに基づき、予め記憶された電圧指令マップを参照することにより、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を演算する。また、トルク指令値trq*に替えて、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*に基づくマップ演算としてもよい。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、安定化制御部63が「安定化制御手段」を構成する。
本発明の第4実施形態による安定化制御を図11および図12に基づいて説明する。
第2実施形態では、電圧方程式によりd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を演算する。
図11に示すように、本実施形態の安定化制御部64では、3相交流の電圧方程式を用い、U相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*を演算する。また、電圧方程式に替えて、第3実施形態のように予め記憶されたマップを参照することによりU相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*を演算してもよい。
なお、図11中では、U相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*がPWM信号生成部25に出力されているが、3相電圧指令値演算部24に出力されるように構成してもよい。
S141〜S148の処理は、図6中のS101〜S108の処理と同様である。
S150〜S153の処理は、図6中のS110〜S113の処理と同様である。
このようにしても上記実施形態と同様の効果を奏する。
また、図12中のS141が「第1電流取得手段」、「第2電流取得手段」、「第3電流取得手段」および「回転角取得手段」の機能としての処理に対応し、S142が「2相制御電流値演算手段」の機能としての処理に対応し、S143が「1相制御電流値演算手段」の機能としての処理に対応する。また、S147、S148が「切替手段」の機能としての処理に対応し、S150が「電圧指令値演算手段」の機能としての処理に対応し、S152、S153が「駆動制御手段」の機能としての処理に対応する。また、S144、S145が「異常監視手段」の機能としての処理に対応し、S149が「安定化制御手段」の機能としての処理に対応する。
本発明の第5実施形態による安定化制御を図13および図14に基づいて説明する。
図13に示すように、本実施形態の安定化制御部65では、トルク指令値trq*、回転数N、および、インバータ入力電圧VHに基づき、予め記憶された電圧パルスパターンマップを参照することにより、駆動信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを演算する。また、トルク指令値trq*に替えて、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*に基づくマップ演算としてもよい。
なお、制御部20の構成は、第1実施形態と同様である。
これにより、過電流が流れることなく、交流電動機2の電流を安定化させることができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、安定化制御部65が「安定化制御手段」を構成する。
本発明の第6実施形態を図15および図16に基づいて説明する。
図15は、交流電動機駆動システムの一部を模式的に示した図である。
図15に示すように、交流電動機2のトルクは、ギア4を経由し、駆動軸としての車軸5に伝達される。本実施形態では、交流電動機2とギア4との間に断続手段としてのクラッチ90が設けられる。クラッチ90は、交流電動機2のトルクが車軸5側へ伝達される状態と、交流電動機2のトルクを車軸5側へ伝達させない状態とを切り替え可能である。換言すると、本実施形態では、交流電動機2と車軸5とを、クラッチ90により物理的に切り離すことが可能である。
本実施形態の安定化制御部66における安定化制御処理は、他の実施形態における安定化制御処理と組み合わせてもよい。
すなわち本実施形態では、制御用V相電流検出値iv_sns、制御用W相電流検出値iw_sns、監視用V相電流検出値iv_sns_aおよび監視用W相電流検出値iw_sns_aの一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから所定時間が経過していない場合、クラッチ90により交流電動機2と車軸5とを切り離す。これにより、電流検出値に生じた異常により意図せぬ電流が交流電動機2に流れたとしても、意図せぬトルクが車軸5へ伝達されるのを防ぐことができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、安定化制御部66が「安定化制御手段」を構成する。
本発明の第7実施形態を図17に基づいて説明する。
図17に示すように、本実施形態の制御部20は、安定化判断部55を備える。なお、図17は、第1実施形態の制御部20に安定化判断部55を適用した例を示しているが、他の実施形態に安定化判断部55を適用してもよい。
これにより、安定した周期的な電流が交流電動機2に通電されていることを判定することができ、制御用W相電流検出値iw_snsが安定した後に、1相制御に適切に切り替えることができる。
これにより、交流電動機2に通電される電流が安定したことを確認し、適切なタイミングにて、1相制御に移行することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、安定化判断部55が「安定化判断手段」を構成する。
上記実施形態では、d軸電流確定値id_fixおよびq軸電流確定値iq_fixがフィードバックされ、フィードバックされるd軸電流確定値id_fixおよびq軸電流確定値iq_fixおよびd軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*に基づいてd軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*が演算される「電流フィードバック制御方式」を中心に説明した。
本実施形態におけるトルクフィードバック制御方式は、例えば矩形波制御モードとして実現される。矩形波制御モードでは、電流一周期内でハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分(以下、「矩形波パルスパターン」と称する。)を交流電動機2に印加する。これにより、電圧利用率を過変調PWM制御モードよりもさらに高めることができる。
制御部80は、トルク推定部81、減算器82、PI演算部83、矩形波発生器84、信号発生器85、電流検出部30、電流推定部40、異常監視部50、安定化制御部61、および、切替判定部70等を有する。
減算器82は、トルク推定部81からフィードバックされるトルク推定値trq_estとトルク指令値trq*との差であるトルク偏差Δtrqを算出する。
矩形波発生器84は、電圧指令位相vφと電気角θeとに基づいて矩形波を発生し、U相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*、および、W相電圧指令値vw*を出力する。
そして、駆動信号UU、UL、VU、VL、WU、WLに基づいてインバータ11のスイッチング素子のオン/オフが制御されることより、3相交流電圧vu、vv、vwが生成され、この3相交流電圧vu、vv、vwが交流電動機2に印加されることにより、トルク指令値trq*に応じたトルクが出力されるように、交流電動機2の駆動が制御される。
本実施形態における安定化制御は、第1実施形態と同様、インバータ11をシャットダウンする。
図19のフローチャートにおいて、S101〜S109は図6と同様であり、図6中のS110〜S113に替えてS161〜S164となっている点が異なっているので、ここでは、S161〜S164について説明する。
S162では、トルク指令値trq*、および、フィードバックされるトルク推定値trq_estに基づき、減算器82にてトルク偏差Δtrqを算出し、トルク偏差Δtrqがゼロに収束するように、PI演算部83にてPI演算により電圧指令位相vφを演算する。
S164では、信号発生器85にて、3相電圧指令値vu*、vv*、vw*、および、インバータ入力電圧VHに基づき、駆動信号UU、UL、VU、VL、WU、WLを生成し、インバータ11へ出力する。
また、PI演算部83では、フィードバックされるトルク推定値trq_est、および、トルク指令値trq*に基づき、電圧指令位相vφを演算する。
本実施形態では、トルクフィードバック制御方式を採用し、矩形波制御とすることにより、電圧利用率を高めることができる。なお、トルクフィードバック制御方式について、フィードバックするトルク推定値trq_estは、d軸電流確定値id_fixおよびq軸電流確定値iq_fixから推定されるものであるため、広義での「電流フィードバック制御」と捉えてもよい。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
トルク推定部81が「トルク推定手段」を構成し、PI演算部83が「電圧指令値演算手段」を構成し、信号発生器85が「駆動制御手段」を構成する。
また、図19中のS161が「トルク推定手段」の機能としての処理に相当し、S162が「電圧指令値演算手段」の機能としての処理に相当し、S164が「駆動制御手段」の機能としての処理に相当する。
さらに、トルク指令値trq*が「指令値」および「トルク指令値」に対応し、電圧指令位相vφが「電圧指令値」に対応する。
本発明の第9実施形態による安定化制御を図20〜図22に基づいて説明する。本実施形態は、安定化制御が第8実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。
図20および図21に示すように、本実施形態の安定化制御部67では、トルク指令値trq*、回転数N、および、インバータ入力電圧VHに基づき、予め記憶された電圧指令位相マップを参照することにより、電圧指令位相vφを演算する。
このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
本実施形態では、安定化制御部67が「安定化制御手段」を構成し、電圧指令位相マップが「電圧指令マップ」に対応する。
本発明の第10実施形態による安定化制御を図23および図24に示す。
本実施形態の安定化制御部68では、電圧指令位相vφ、インバータ入力電圧VH、および、電気角θeに基づき、予め記憶された矩形波パルスパターンマップを参照することにより、矩形波パルス信号であるU相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*が直接的に生成される。
本実施形態による電動機制御処理を図24に示す。本実施形態では、S109の安定化制御にて、矩形波パルス信号であるU相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*およびW相電圧指令値vw*が演算され、S164へ移行する以外は、図19と同様である。
これにより、過電流が流れることなく、交流電動機2の電流を安定化させることができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。本実施形態では、安定化制御部68が「安定化制御手段」を構成する。
(ア)電流センサ
上記実施形態では、V相およびW相に制御用および監視用の電流センサが設けられ、V相が「第1相」に対応し、W相が「第2相」に対応する。他の実施形態では、V相またはW相に替えて、U相に制御用および監視用の電流センサを設け、例えばU相を「第1相」とし、V相またはW相を「第2相」としてもよい。
上記実施形態では、電流検出値の異常の有無によらず、d軸電流検出値id_sns、q軸電流検出値iq_sns、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する。
他の実施形態では、全ての電流検出値が正常である場合にd軸電流検出値id_snsおよびq軸電流検出値iq_snsを演算し、電流検出値の一部に異常が検出された場合、正常相の電流検出値に基づいてd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算してもよい。また、電流検出値の異常が検出されてから所定時間経過後にd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算するようにしてもよい。すなわち、図6の例でいうと、S104にて否定判断された場合、S102の演算を行い、S104にて肯定判断された場合またはS106にて肯定判断された場合、S103の演算を行ってもよい。他の実施形態についても同様である。
上記実施形態では、d軸電流指令値id*、q軸電流指令値iq*、および、センサ相軸であるα軸を基準とするセンサ相基準電流位相θxに基づき、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する。他の実施形態では、1相制御電流値は、第1電流検出値または第2電流検出値、および、回転角検出値に基づいて演算されていれば、どのような方法であってもよく、さらに他のパラメータ等を用いてもよいし、電流指令値やセンサ相基準電流位相θxを用いずに1相制御電流値を演算してもよい。
(i)電流指令位相を用いた基準角と振幅に基づく演算
例えば、特開2004−159391号公報のように、電流指令位相角と電気角から生成したU相電流基準角(θ’)」で除して電流振幅(Ia)を算出し、この電流振幅を、U相電流基準角から±120[°]ずらした電気角におけるsin値に乗じて他の2相の電流推定値Iv、Iwを算出する(式18.1〜18.3)。
Ia=Iu/[√(1/3)×({−sin(θ°)}] ・・・(18.1)
Iv=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+120°)}・・・(18.2)
Iw=√(1/3)×Ia×{−sin(θ’+240°)}・・・(18.3)
以下、(ii)〜(iv)では、センサ相をW相とし、制御に用いるW相の電流検出値を単に「W相電流検出値iw_sns」という。
センサ相以外の相については、電流指令値を推定値とみなし、電流推定値を演算する。例えば、d軸電流指令値id*およびq軸電流指令値iq*の逆dq変換により演算されるU相電流指令値iu*およびV相電流指令値iv*を、U相電流推定値iu_estおよびV相電流推定値iv_estとみなす。そして、U相電流推定値iu_estまたはV相電流推定値iv_est、および、W相電流検出値iw_snsのdq変換によりd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する。
α軸電流iαとβ軸電流iβが「sin波とcos波」の関係にあり、α軸電流iαとβ軸電流iβとの位相差が90[°]であることに着目し、α軸電流微分値Δiαに基づいてβ軸電流推定値iβ_estを演算する。ここで、制御部における演算が離散系である場合、α軸電流微分値Δiαは、実際のβ軸電流iβに対し、電気角移動量Δθeの半分だけ遅れる。この点を考慮し、α軸電流iαの前回値と今回値との平均値に電気角移動量Δθeの半分(Δθe/2)を乗じた補正量Hにて補正したβ軸電流推定値iβ_estとすることが好ましい。そして、α軸電流iαおよびβ軸電流推定値iβ_estを用いてセンサ相基準電流位相θxを演算する。以降の演算は上記実施形態と同様である。
回転座標系であるd−q座標上でW相軸が相対的に回転することを利用し、W相推定誤差Δiw_estを積算して、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estをd軸実電流値idおよびq軸実電流値iqに漸近させる。
前回のd軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_est、および今回の電気角θeに基づき、センサ相成分であるW相電流基準値iw_bfを演算し、W相電流基準値iw_bfとW相電流検出値iw_snsとの差であるW相推定誤差Δiw_estを算出する。W相推定誤差Δiw_estにフィルタ要素であるゲインKを乗じた補正後誤差KΔiw_estを算出し、Δiu=0、Δiv=0とし、dq変換によりd軸補正値id_crrおよびq軸補正値iq_crrを演算する。そして算出されたd軸補正値id_crrおよびq軸補正値iq_crrをセンサ相方向の補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをd−q座標にて積算することにより、d軸電流推定値id_estおよびq軸電流推定値iq_estを演算する。また、センサ相に直交する直交方向補正値をさらに演算し、センサ相方向補正値および直交方向補正値の合成ベクトルを補正ベクトルとし、当該補正ベクトルをd−q座標にて積算するようにしてもよい。
上記実施形態では、安定化制御手段として、インバータをシャットダウンする手段、電圧指令値を電圧方程式またはマップ演算にて演算する手段、電圧パルスパターンを生成する手段、或いは、矩形波パルスパターンを生成する手段について説明した。他の実施形態では、電流を安定化させる手段は、どのような手段であってもよい。
上記第7実施形態では、正常相電流検出値である制御用W相電流検出値iw_snsの電流周期の整数倍に対応する期間の積分値がゼロを含む判定範囲内である場合、交流電動機2に通電される電流が安定したと判断する。
他の実施形態では、今回の電流周期における正常相電流検出値である今周期値と、前回の電流周期における今周期値と対応するタイミングでの正常相電流検出値である前周期値との差が第1の判定閾値X1以下である場合、交流電動機に通電される電流が安定したと判断してもよい。これにより、安定した周期的な電流が交流電動機に通電されていることを判定することができる。
電圧指令値は、電圧値そのものに係る指令に限らず、トルクフィードバック方式にて用いる電圧指令位相、或いは電圧指令の振幅等、インバータに印加する電圧に係る指令値であればどのような値としてもよい。また、電圧指令値は、交流電動機の駆動に係る指令値(例えば電流指令値やトルク指令値)に基づいて算出されていれば、どのような方法で算出してもよいし、さらに他のパラメータ等を用いてもよい。
また、交流電動機の制御装置は、電動車両に適用されていたが、電動車両以外に用いてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
11・・・インバータ
12・・・制御用V相電流センサ(第1電流センサ)
13・・・監視用V相電流センサ(第3電流センサ)
14・・・制御用W相電流センサ(第2電流センサ)
15・・・監視用W相電流センサ(第3電流センサ)
16・・・回転角センサ
20、80・・・制御部(第1電流取得手段、第2電流取得手段、第3電流取得手段、回転角取得手段、2相制御電流値演算手段、1相制御電流値演算手段、異常監視手段、切替手段、電圧指令値演算手段、駆動制御手段、安定化制御手段、トルク推定手段)
Claims (9)
- インバータ(11)によって印加電圧が制御される3相の交流電動機(2)の駆動を制御する交流電動機の制御装置(10)であって、
前記交流電動機のいずれか1相である第1相に設けられる第1電流センサ(12)から第1電流検出値を取得する第1電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の前記第1相以外の1相である第2相に設けられる第2電流センサ(14)から第2電流検出値を取得する第2電流取得手段(20、80)と、
前記第1電流センサおよび前記第2電流センサ以外に設けられる第3電流センサ(13、15)から、前記第1電流検出値および前記第2電流検出値の異常監視に用いる第3電流検出値を取得する第3電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の回転角を検出する回転角センサ(16)から回転角検出値を取得する回転角取得手段(20、80)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、2相制御電流値を演算する2相制御電流値演算手段(30)と、
前記第1電流検出値または前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、1相制御電流値を演算する1相制御電流値演算手段(40)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の異常を監視し、異常が生じている相である異常相および異常が生じていない相である正常相を特定する異常監視手段(50)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常か否かに応じ、前記2相制御電流値または前記1相制御電流値を電流確定値として選択する切替手段(70)と、
前記電流確定値、および、前記交流電動機の駆動に係る指令値に基づき、前記交流電動機に印加する電圧に係る電圧指令値を演算する電圧指令値演算手段(23、83)と、
前記電圧指令値に基づき、前記インバータの駆動制御に係る駆動信号を生成し、当該駆動信号を前記インバータに出力する駆動制御手段(25、85)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから所定時間が経過していない場合、前記交流電動機に通電される電流を安定化させる安定化制御手段(62、64)と、
を備え、
前記切替手段は、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常である場合、前記2相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから前記所定時間が経過した場合、前記第1電流検出値または前記第2電流検出値のうち前記正常相の値である正常相電流検出値に基づいて演算される前記1相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記安定化制御手段は、電動機の理論式を用い、前記交流電動機の駆動に係る電流指令値に基づき、前記電圧指令値を演算することを特徴とする交流電動機の制御装置。 - インバータ(11)によって印加電圧が制御される3相の交流電動機(2)の駆動を制御する交流電動機の制御装置(10)であって、
前記交流電動機のいずれか1相である第1相に設けられる第1電流センサ(12)から第1電流検出値を取得する第1電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の前記第1相以外の1相である第2相に設けられる第2電流センサ(14)から第2電流検出値を取得する第2電流取得手段(20、80)と、
前記第1電流センサおよび前記第2電流センサ以外に設けられる第3電流センサ(13、15)から、前記第1電流検出値および前記第2電流検出値の異常監視に用いる第3電流検出値を取得する第3電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の回転角を検出する回転角センサ(16)から回転角検出値を取得する回転角取得手段(20、80)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、2相制御電流値を演算する2相制御電流値演算手段(30)と、
前記第1電流検出値または前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、1相制御電流値を演算する1相制御電流値演算手段(40)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の異常を監視し、異常が生じている相である異常相および異常が生じていない相である正常相を特定する異常監視手段(50)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常か否かに応じ、前記2相制御電流値または前記1相制御電流値を電流確定値として選択する切替手段(70)と、
前記電流確定値、および、前記交流電動機の駆動に係る指令値に基づき、前記交流電動機に印加する電圧に係る電圧指令値を演算する電圧指令値演算手段(23、83)と、
前記電圧指令値に基づき、前記インバータの駆動制御に係る駆動信号を生成し、当該駆動信号を前記インバータに出力する駆動制御手段(25、85)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから所定時間が経過していない場合、前記交流電動機に通電される電流を安定化させる安定化制御手段(63、67)と、
を備え、
前記切替手段は、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常である場合、前記2相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから前記所定時間が経過した場合、前記第1電流検出値または前記第2電流検出値のうち前記正常相の値である正常相電流検出値に基づいて演算される前記1相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記安定化制御手段は、前記交流電動機の駆動に係るトルク指令値または電流指令値に基づき、予め記憶された電圧指令マップを参照し、前記電圧指令値を演算することを特徴とする交流電動機の制御装置。 - インバータ(11)によって印加電圧が制御される3相の交流電動機(2)の駆動を制御する交流電動機の制御装置(10)であって、
前記交流電動機のいずれか1相である第1相に設けられる第1電流センサ(12)から第1電流検出値を取得する第1電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の前記第1相以外の1相である第2相に設けられる第2電流センサ(14)から第2電流検出値を取得する第2電流取得手段(20、80)と、
前記第1電流センサおよび前記第2電流センサ以外に設けられる第3電流センサ(13、15)から、前記第1電流検出値および前記第2電流検出値の異常監視に用いる第3電流検出値を取得する第3電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の回転角を検出する回転角センサ(16)から回転角検出値を取得する回転角取得手段(20、80)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、2相制御電流値を演算する2相制御電流値演算手段(30)と、
前記第1電流検出値または前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、1相制御電流値を演算する1相制御電流値演算手段(40)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の異常を監視し、異常が生じている相である異常相および異常が生じていない相である正常相を特定する異常監視手段(50)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常か否かに応じ、前記2相制御電流値または前記1相制御電流値を電流確定値として選択する切替手段(70)と、
前記電流確定値、および、前記交流電動機の駆動に係る指令値に基づき、前記交流電動機に印加する電圧に係る電圧指令値を演算する電圧指令値演算手段(23、83)と、
前記電圧指令値に基づき、前記インバータの駆動制御に係る駆動信号を生成し、当該駆動信号を前記インバータに出力する駆動制御手段(25、85)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから所定時間が経過していない場合、前記交流電動機に通電される電流を安定化させる安定化制御手段(65)と、
を備え、
前記切替手段は、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常である場合、前記2相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから前記所定時間が経過した場合、前記第1電流検出値または前記第2電流検出値のうち前記正常相の値である正常相電流検出値に基づいて演算される前記1相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記安定化制御手段は、前記交流電動機の駆動に係るトルク指令値または電流指令値に基づき、予め記憶された電圧パルスパターンマップを参照し、前記駆動信号を生成することを特徴とする交流電動機の制御装置。 - インバータ(11)によって印加電圧が制御される3相の交流電動機(2)の駆動を制御する交流電動機の制御装置(10)であって、
前記交流電動機のいずれか1相である第1相に設けられる第1電流センサ(12)から第1電流検出値を取得する第1電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の前記第1相以外の1相である第2相に設けられる第2電流センサ(14)から第2電流検出値を取得する第2電流取得手段(20、80)と、
前記第1電流センサおよび前記第2電流センサ以外に設けられる第3電流センサ(13、15)から、前記第1電流検出値および前記第2電流検出値の異常監視に用いる第3電流検出値を取得する第3電流取得手段(20、80)と、
前記交流電動機の回転角を検出する回転角センサ(16)から回転角検出値を取得する回転角取得手段(20、80)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、2相制御電流値を演算する2相制御電流値演算手段(30)と、
前記第1電流検出値または前記第2電流検出値、および、前記回転角検出値に基づき、1相制御電流値を演算する1相制御電流値演算手段(40)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の異常を監視し、異常が生じている相である異常相および異常が生じていない相である正常相を特定する異常監視手段(50)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常か否かに応じ、前記2相制御電流値または前記1相制御電流値を電流確定値として選択する切替手段(70)と、
前記電流確定値、および、前記交流電動機の駆動に係る指令値に基づき、前記交流電動機に印加する電圧に係る電圧指令値を演算する電圧指令値演算手段(23、83)と、
前記電圧指令値に基づき、前記インバータの駆動制御に係る駆動信号を生成し、当該駆動信号を前記インバータに出力する駆動制御手段(25、85)と、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから所定時間が経過していない場合、前記交流電動機に通電される電流を安定化させる安定化制御手段(68)と、
を備え、
前記切替手段は、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値が正常である場合、前記2相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから前記所定時間が経過した場合、前記第1電流検出値または前記第2電流検出値のうち前記正常相の値である正常相電流検出値に基づいて演算される前記1相制御電流値を前記電流確定値として選択し、
前記安定化制御手段は、前記電圧指令値である電圧指令位相および前記回転角検出値に基づき、予め記憶された矩形波パルスパターンマップを参照し、矩形波パルスを演算することを特徴とする交流電動機の制御装置。 - 前記第1電流検出値、前記第2電流検出値および前記第3電流検出値の一部に異常が検出され、当該異常が検出されてから所定時間が経過していない場合、前記交流電動機と駆動軸(5)との間に設けられる断続手段(90)は、前記交流電動機のトルクが前記駆動軸へ伝達されないように制御されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
- 前記交流電動機に通電される電流が安定したか否かを判断する安定化判断手段(55)をさらに備え、
前記安定化判断手段により前記交流電動機に通電される電流が安定したと判断された場合、前記所定時間が経過したとみなすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記電圧指令値演算手段(23)は、フィードバックされる前記電流確定値、および、前記指令値である電流指令値に基づき、前記電圧指令値を演算することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
- 前記電流確定値に基づき、トルク推定値を演算するトルク推定手段(81)をさらに備え、
前記電圧指令値演算手段(83)は、フィードバックされる前記トルク推定値、および、前記指令値であるトルク指令値に基づき、前記電圧指令値を演算することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。 - 前記電流確定値に基づき、トルク推定値を演算するトルク推定手段(81)をさらに備え、
前記電圧指令値演算手段は、
フィードバックされる前記電流確定値、および、前記指令値である電流指令値に基づいて前記電圧指令値を演算する電流フィードバック制御方式と、
フィードバックされる前記トルク推定値、および、前記指令値であるトルク指令値に基づいて前記電圧指令値を演算するトルクフィードバック制御方式と、
を切り替え可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の交流電動機の制御装置。
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