JPWO2014136763A1 - レーザー加工用銅箔、キャリア箔付レーザー加工用銅箔、銅張積層体及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

レーザー加工用銅箔、キャリア箔付レーザー加工用銅箔、銅張積層体及びプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Abstract

レーザー加工性に優れ、配線パターンを良好に形成することが可能なレーザー加工用銅箔、キャリア箔付レーザー加工用銅箔、銅張積層体及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。この目的を達成するため、本件発明に係るレーザー加工用銅箔は、銅エッチング液に対するエッチング性を有すると共に、そのエッチング速度が銅箔よりも遅く、且つ、赤外線レーザー光を吸収する難溶性レーザー吸収層を銅箔の表面に設ける。

Description

本件発明は、レーザー加工用銅箔に関し、特に、プリント配線板の製造材料に適したレーザー加工用銅箔、キャリア箔付レーザー加工用銅箔、銅張積層体及びプリント配線板の製造方法に関する。
従来より、電子機器及び電気機器の高機能化、コンパクト化に伴い、プリント配線板の多層化が進展している。多層プリント配線板は、絶縁層を介して配線層を3層以上積層したものであり、各配線層間をビアホールやスルーホール等の層間接続手段により電気的に接続したものである。プリント配線板の製造方法として、ビルドアップ法が知られている。ビルドアップ法とは、内層回路上に絶縁層を介して配線層を積層し、層間接続を行いながら多層化していく製造方法をいう。例えば、モディファイド−セミアディティブ法(MSAP法)等により超高精細な配線パターンを形成する場合、次のような手順で、ビルドアッププリント配線板が製造される。まず、内層回路を備えるコア基板等に、絶縁層を介して銅箔を積層し、レーザー加工等によりビアホール等を形成して、無電解めっき法により層間接続を行う。次に、シード層(銅箔+無電解めっき層)上に配線パターンに応じてめっきレジストを形成し、電解めっきを行った後、めっきレジストと共にめっきレジスト下のシード層をエッチングにより除去する。以上の工程を必要回数繰り返すことにより、所望の配線層数を有するビルドアップ多層プリント配線板を得ることができる。
近年、配線パターンの微細化に伴い、トップ径が100μm以下のマイクロビアホールにより層間接続が行われるようになってきている。このようなマイクロビアホールは、一般に、炭酸ガスレーザー等を用いてレーザー加工により孔開け加工される。この際、銅箔上から炭酸ガスレーザー等を直接照射し、銅箔と絶縁層とを同時に孔開けするCuダイレクト法が採用される場合が多い。しかしながら、銅は、炭酸ガスレーザー等の遠赤外線〜赤外線の波長域のレーザー光の吸収率が極めて低いことから、Cuダイレクト法によりマイクロビアホールを形成する場合には、事前に黒化処理等の銅箔表面のレーザー光の吸収率を高めるための前処理を行う必要があった。
しかしながら、銅箔の表面に対して黒化処理を施した場合、銅箔の表面がエッチングされることから、銅箔の厚みが減少すると共に厚みにバラツキが生じる。このため、シード層を除去する際には、シード層の最も厚い部分に応じてエッチングタイムを設定する必要があり、直線性の高い良好な線幅の配線パターンを形成することが困難になる。
一方、特許文献1には、レーザー加工時の前処理を不要にする技術として、銅箔表面に、SnとCuを主体とする合金層を設けた銅箔が記載されている。特許文献1によれば、同じ室温で同じ表面粗さの場合、Cuと比較するとSnは、そのレーザー吸収率が2倍以上高いため、銅箔表面にSnとCuを主体とする合金層を設けることにより、黒化処理等の前処理を施すことなく、銅箔表面に直接レーザー光を照射して、直径100μmのビアホールを形成することができるとしている。
特開2001−226796号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたレーザー孔開け加工用の銅箔は、銅箔の表面に蒸着又はめっきにより金属Sn層を設け、その後、熱による拡散処理により、銅箔の表面にSnとCuを合金化した合金層とする方法を採用している。このため、当該合金層ではその厚さ方向においてSnの含有量に分布が生じ、当該銅箔の厚さ方向におけるエッチング速度にはバラツキが生じると考えられる。また、当該銅箔の最表面はSnの含有量が極めて高く、特許文献1に記載の銅箔は、表層から順にSn層、SnとCuの合金層、銅層の3層構成を有すると考えられる。金属Sn層は一般的な銅箔に対するエッチング液に対する溶解性がないため、この特許文献1に記載の銅箔を用いた場合、最表面をエッチングにより溶解除去することは困難である。従って、特許文献1に記載された銅箔を用いた場合、エッチング処理の際には、予め、Snを溶解することができる金属Sn層のエッチング液により銅箔の最表面を除去した上で、その下層をエッチングする必要があり、エッチングの工程が煩雑化する。さらに、特許文献1に記載のSnとCuの合金層は、熱拡散により合金化した層であるため、厚さ方向における金属組成が不均一であると考えられ、厚さ方向におけるエッチング速度にバラツキが生じ得る。このため、エッチングの際に、銅箔を均一な厚みでエッチングすることができず、銅箔の厚みにバラツキが生じる恐れがある。さらに、当該合金層の表面は、Snの含有量が高い場合、電解銅めっきにより形成される配線パターン部よりもエッチング速度が遅くなると考えられる。このため、シード層を除去する際に、配線パターン部の方が速くエッチングされて、線幅が細くなり、良好な配線パターンを得ることが困難である。
そこで、本件発明は、レーザー加工性に優れ、配線パターンを良好に形成することが可能なレーザー加工用銅箔、キャリア箔付レーザー加工用銅箔、銅張積層体及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下のレーザー加工用銅箔を採用することで上記目的を達成するに到った。
本件発明に係るレーザー加工用銅箔は、銅エッチング液に対するエッチング性を有すると共に、そのエッチング速度が銅箔よりも遅く、且つ、赤外線レーザー光を吸収する難溶性レーザー吸収層を銅箔の表面に備えたことを特徴とする。
本件発明に係るレーザー加工用銅箔において、前記難溶性レーザー吸収層は、スズ含有量が25質量%以上50質量%以下の電解めっき法により形成された電解銅−スズ合金層であることが好ましい。
本件発明に係るレーザー加工用銅箔において、 前記難溶性レーザー吸収層の厚みは、3μm以下であることが好ましい。
本件発明に係るレーザー加工用銅箔において、前記銅箔の厚みは、7μm以下であることが好ましい。
本件発明に係るレーザー加工用銅箔において、前記銅箔の他方の表面には、粗化処理層及びプライマー樹脂層のうち少なくともいずれか一を備えることが好ましい。
本件発明に係るキャリア箔付レーザー加工用銅箔は、前記難溶性レーザー吸収層上にキャリア箔を剥離可能に備えることを特徴とする。
本件発明に係る銅張積層体は、前記赤外線レーザー光が照射される側に、前記難溶性レーザー吸収層が配置されるように、上記レーザー加工用銅箔と、絶縁層構成材料とが積層されたことを特徴とする。
本件発明に係るプリント配線板の製造方法は、銅エッチング液に対するエッチング性を有すると共に、そのエッチング速度が銅箔よりも遅く、且つ、赤外線レーザー光を吸収するレーザー吸収層を銅箔の表面に備えたレーザー加工用銅箔と、他の導体層とが絶縁層を介して積層された積層体に対して、赤外線レーザー光を難溶性レーザー吸収層に直接照射して層間接続用のビアホールを形成し、ビアホール内のスミアを除去するデスミア工程及び/又は無電解めっき工程の前処理としてのマイクロエッチング工程において、当該難溶性レーザー吸収層を当該銅箔の表面から除去することを特徴とする。
本件発明に係るレーザー加工用銅箔は、レーザー加工性に優れ、且つ、その後のエッチング処理において、厚さ方向で均一なエッチング速度が得られる。しかも、炭酸ガスレーザーを用いた銅張積層板のレーザー加工用銅箔の直接孔開け加工が可能となり、レーザー光吸収効率を高めるための黒化処理等の前処理が不要となり、工程削減することでトータル製造コストを削減することができる。さらに、難溶性レーザー吸収層をエッチングレジストとして機能させることができるため、配線パターン形成前の各種エッチング工程において銅箔(層)の表面が溶解し、銅箔(層)の厚みにバラツキが生じるのを防止することができる。このため、良好なエッチングファクターで配線パターンを形成することができる。
本件発明に係る電解金属箔のスズ含有量とエッチング速度との関係を示す図である。 本件発明に係るプリント配線板の製造方法の一例を説明するための図である。 実施例と比較例1で作製した銅張積層板における電解銅箔のエッチング性を評価するための図である。
以下、本件発明に係るレーザー加工用銅箔、キャリア箔付レーザー加工用銅箔、銅張積層板及びプリント配線板の製造方法の実施の形態を順に説明する。
1.レーザー加工用銅箔
本件発明に係るレーザー加工用銅箔は、銅エッチング液に対するエッチング性を有すると共に、そのエッチング速度が銅箔よりも遅く、且つ、赤外線レーザー光を吸収する難溶性レーザー吸収層を銅箔の表面に備えたことを特徴とする。本件発明に係るレーザー加工用銅箔は、プリント配線板の製造工程において、Cuダイレクト法により、黒化処理等の前処理を施すことなく、レーザー加工用銅箔の表面に対して、レーザー光を直接照射して、マイクロビアホール等の微細孔をレーザー加工により形成可能にしたものである。
ここで、当該難溶性レーザー吸収層は、例えば、赤外線レーザー光に対する吸収性を有する赤外線レーザー吸収性金属材料を含む銅層であって、当該赤外線吸収性材料を銅層内に含有させることにより、銅エッチング液に対するエッチング速度を銅箔のエッチング速度よりも遅くすることのできる赤外線レーザー吸収性金属材料を含む銅層とすることが好ましい。この当該難溶性レーザー吸収層の具体的な例として、例えば、電解めっき法により形成されたスズを25質量%以上50質量%以下含有する電解銅−スズ合金層を挙げることができる。本実施の形態では、主として、難溶性レーザー吸収層として、この電解銅−スズ合金層を用いるものとして、以下、説明する。
1−1.電解銅−スズ合金層
まず、電解銅−スズ合金層について説明する。スズは銅と比較すると、遠赤外線〜赤外線波長域の波長を有するレーザー光(炭酸ガスレーザー光等)の吸収率が高い。つまり、当該電解銅−スズ合金層をレーザー光吸収層として機能させることができ、上述のとおり、Cuダイレクト法により孔開け加工する際の前処理を不要とすることができる。また、本件発明において、電解銅−スズ合金層は、孔開け加工後、配線パターン形成前に行われるデスミア工程やマイクロエッチング工程等で行われる各種エッチング処理において、銅箔の表面がエッチングされるのを防止するためのエッチングレジスト層としても機能させることができる。当該電解銅−スズ合金層は、これらの配線パターン形成前に行われる各種エッチング処理においてエッチングされる。しかしながら、当該電解銅−スズ合金層が溶解除去されるタイミングは、そのスズ含有量や厚みによって制御することができる。このため、層間接続のための無電解めっき工程の前段階までの間に、銅箔の表面を溶解させることなく、電解銅−スズ合金層のみを溶解除去することも可能になる。従って、例えば、MSAP法により配線パターンを形成する場合には、当初の厚みを維持した状態の銅箔上に無電解めっき被膜を形成することができ、均一な厚みのシード層を得ることができる。
(1)スズ含有量
本件発明において、難溶性レーザー吸収層として電解銅−スズ合金層を用いる場合、当該電解銅−スズ合金層中のスズ含有量を25質量%以上とするのは、上述したエッチングレジストとしての機能を発揮させるためである。図1に示すように、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量が25質量%未満の場合、電解銅−スズ合金層のエッチング速度は、スズ含有量が0質量%の電解銅箔と比較すると速くなる。一方、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量が25質量%以上になると、そのエッチング速度はスズを含有しない通常の電解銅箔と比較すると遅くなる。従って、当該電解銅−スズ合金層中のスズ含有量を25質量%以上とすることにより、上述のとおり、電解銅−スズ合金層をエッチングレジストとして機能させることができ、上記配線パターン形成前に行われる各種エッチング処理の際に、銅箔が溶解して、銅箔の厚みにバラツキが生じるのを防止することができる。なお、この明細書は、銅−スズ合金層中の銅とスズの合計含有量を100質量%としたときの特定のスズ質量%に関する発明について記載している。
また、電解銅−スズ合金層は、電解めっき法により銅箔の表面に析出させた得た銅スズ合金から構成されるため、厚さ方向における金属組成が均一になり、当該電解銅−スズ合金層のエッチング速度を厚さ方向において均一にすることができる。従って、上記配線パターン形成前に行われる各種エッチング処理において、電解銅−スズ合金層を厚さ方向に均一な速度で溶解することができる。図1に示すように、スズの含有量が多くなる程エッチング速度は遅くなる。このため、上述したとおり、当該電解銅−スズ合金層中のスズ含有量及び厚みを調整することにより、電解銅−スズ合金層を適切なタイミングで溶解除去させることができる。従って、例えば、層間接続のための無電解めっき工程の前に電解銅−スズ合金層のみを溶解させれば、当初の厚みを維持した状態の銅箔の表面に無電解めっき被膜を形成することができる。このため、例えば、MSAP法により配線パターンを形成する場合、均一な厚みのシード層を形成することができるため、配線パターン形成後のフラッシュエッチング工程等においてシード層を除去する際に、シード層は厚さ方向において均一な組成を有するため、均一なエッチング速度でシード層を溶解除去することができる。以上より、エッチングファクターの良好な配線パターンを形成することが可能になる。なお、MSAP法に限らず、サブトラクティブ法等のエッチング工程を含む方法で配線パターンを形成する場合にも同様のことがいえる。つまり、レーザー孔開け加工後のデスミア工程等において、電解銅−スズ合金層を除去して、初期の厚みを維持した状態の銅箔(層)を露出することができるため、均一な厚みの導体層を得ることができ、エッチングファクターの良好な配線パターンを形成することができる。
ここで、スズを含有しない電解銅箔のエッチング速度を100とした場合、スズ含有量が50質量%を超える電解銅−スズ合金箔のエッチング速度は3未満になる。従って、当該電解銅−スズ合金層中のスズ含有量が50質量%を超えると、銅エッチング液に対するエッチング速度が遅くなりすぎてしまうため、上記配線パターン形成前に行われる各種エッチング処理の際に、電解銅−スズ合金層を溶解除去することが困難になる。特に、図1に示すように、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量が70質量%を超える場合、銅エッチング液に対する電解銅−スズ合金箔のエッチング速度が0μmになることから、一般的な銅エッチング液では電解銅−スズ合金層を銅箔の表面から除去することができなくなる。これらの場合、電解銅−スズ合金層を除去するためのエッチング工程を別途設ける必要が生じ、好ましくない。当該観点から、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましい。このとき、銅エッチング液に対する電解銅箔のエッチング速度を100としたとき、電解銅−スズ合金箔のエッチング速度は、それぞれ4(スズ含有量:45質量%)、13(スズ含有量:40質量%)、25(スズ含有量:35質量%)となる。このため、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量を上記の好ましい範囲にすることにより、上記配線パターン形成前に行われる各種エッチング処理において電解銅−スズ合金層を除去することが容易になる。
一方、スズ含有量が25質量%未満となる場合、銅エッチング液に対する電解銅−スズ合金箔のエッチング速度がスズを含有しない銅箔のエッチング速度よりも速くなるため、エッチングレジストとして機能させるためには、電解銅−スズ合金層の厚みを厚くする必要があり、エッチングにより除去される銅量が増えるため、経済的に好ましくない。但し、図1に示すエッチング速度は、スズ含有量(質量%)の異なる電解銅−スズ合金箔(厚み:3μm)を作製し、各電解銅−スズ合金箔を硫酸−過酸化水素系エッチング液に30秒間浸漬し、水洗、乾燥した後、断面観察により厚みを測定し、エッチングにより減少した厚みに基づいて求めた単位時間当たりのエッチング量(μm)として求めた値である。なお、ここでいうスズ含有量は、以下のような手法で測定できる。「銅箔/電解銅−スズ合金層」の層構成を備えるレーザー加工用銅箔の場合、試料となるレーザー加工用銅箔を全溶解した溶液を、ICP分析法、蛍光X線装置、滴定定量法等を用いて全銅含有量を測定し、この全銅含有量から「銅箔の断面厚さから換算した銅量」を差し引くことで算出した「電解銅−スズ合金層に含まれる銅量」と「全溶解液中のスズ含有量」とからスズ含有量(質量%)を算出できる。また、あらかじめ断面観察などにより銅箔の厚みがわかっている場合は、蛍光X線膜厚測定器を用いて、二層箔として定義した箔の組成分析を行い、電解銅―スズ合金層中のスズ含有量(質量%)を算出できる。
(3)電解銅−スズ合金層の厚み
電解銅−スズ合金層の厚みは、当該レーザー加工用銅箔の厚み及び用途に応じて適宜、適切な値とすることができる。しかしながら、当該電解銅−スズ合金層を配線パターン形成前の適切な段階でエッチングにより溶解除去すること等を考慮すると、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。一方、当該電解銅−スズ合金層の厚みが0.1μm未満になると、レーザー光の吸収率を向上するという目的を達成することが困難になると共に、配線パターン形成前に行われる各種エッチング処理において当該電解銅−スズ合金層を銅箔のエッチングレジストとして十分機能させることができなくなる場合がある。従って、当該観点から電解銅−スズ合金層の厚みは、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、上述したとおり、銅エッチング液に対するエッチング速度は当該電解銅−スズ合金層中のスズ含有量によって変化するから、当該電解銅−スズ合金層の厚みはそのスズ含有量に応じて、適宜、適切な値とすることが好ましい。
(4)銅エッチング液
本件発明において、銅エッチング液としては、銅に対するエッチング液として一般に使用されているエッチング液であれば、特に限定することなく用いることができる。例えば、塩化銅系エッチング液、塩化鉄系エッチング液、硫酸−過酸化水素水系エッチング液、過硫酸ナトリウム系エッチング液、過硫酸アンモニウム系エッチング液、過硫酸カリウム系エッチング液等、各種の銅エッチング液を用いることができる。
1−2.銅箔
次に、銅箔について説明する。本件発明において、銅箔とは銅の含有量が99質量%以上の金属箔をいい、不可避不純物を除いてスズを含有しないスズ非含有銅箔を指す。当該銅箔は、電解銅箔及び圧延銅箔のいずれであってもよい。しかしながら、経済性及び生産効率を考慮すると、電解銅箔であることがより好ましい。
当該銅箔は、多層プリント配線板を製造する際に、絶縁層構成材料に接着されてシード層の一部等を構成する層である。当該銅箔の厚みは、一般のプリント配線板材料として市販されている銅箔と同様の厚みとすることができる。しかしながら、例えば、MSAP法やサブトラクティブ法等のエッチング工程を含む方法により配線パターンを形成する場合、より良好なエッチングファクターを得るという観点から、当該銅箔は薄い方が好ましく、7μm以下であることが好ましい。特に、当該レーザー加工用銅箔を用いてMSAP法により配線パターンを形成する場合には、より微細な配線パターンを良好なエッチングファクターで形成するという観点から、当該銅箔の厚みは3μm以下の極薄電解銅箔であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましい。但し、当該銅箔の厚みが7μm以下である場合には、ハンドリング時にシワ、破れ等の不具合を引き起こさないように後述するキャリア箔付レーザー加工用銅箔の形態で用いることが好ましい。
また、エッチングファクターを良好にするという観点から、当該銅箔の層間絶縁層に接着される側の面、つまり電解銅−スズ合金層が設けられる面と反対側の面(以下、接着面)は平滑であることが好ましい。具体的には、当該接着面の表面粗さ(Rzjis)は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。但し、当該銅箔の接着面に次に説明する粗化処理層が設けられる場合、当該接着面の表面粗さとは、粗化処理層を形成した後の接着面の表面粗さを指す。
1−3.粗化処理層
本件発明に係るレーザー加工用銅箔において、銅箔の接着面、すなわち、上記電解銅−スズ合金層が設けられる面とは反対側の面に粗化処理層が設けられていてもよい。銅箔の接着面に粗化処理層を設けることにより、銅箔と絶縁層との密着性を向上させることができる。粗化処理層は、銅箔の表面(接着面)に微細金属粒を付着形成させる方法、エッチング法で粗化表面を形成する方法等により形成することができる。粗化処理層を形成するための方法は、銅箔と絶縁層との密着性を物理的に向上することができればどのような方法で行ってもよく、従来公知の粗化処理に関する種々の方法を採用することができる。
1−4.プライマー樹脂層
本件発明に係るレーザー加工用銅箔において、銅箔の上記接着面に、プライマー樹脂層が設けられていてもよい。本件発明において、プライマー樹脂層とは、銅箔と絶縁層構成材料との双方に対して良好な密着性を有する接着剤層である。例えば、プライマー樹脂層として、エポキシ樹脂、芳香族ポリアミド樹脂を含有する樹脂組成物からなる層とすることができる。当該プライマー樹脂層を銅箔の接着面に設けることにより、銅箔を絶縁層構成材料と良好に密着させることができる。
プライマー樹脂層の厚みは、銅箔と絶縁層構成材料との密着性を向上することができれば、特に限定されるものではないが、例えば、0.5μm以上10μm以下の範囲内とすることができる。なお、銅箔の接着面に粗化処理層とプライマー樹脂層とが同時に設けられていてもよい。
1−5.レーザー加工用銅箔の製造方法
本件発明に係るレーザー加工用銅箔において、難溶性レーザー吸収層が上述の電解銅−スズ合金層である場合、例えば、銅イオンとスズイオンとを含む電解液を用い、上記銅箔上に電解めっき法によりスズ含有量が25質量%以上50質量%以下の電解銅−スズ合金層を積層したレーザー加工用銅箔を得ることができれば、その製造方法は特に限定されるものではない。また、銅箔の接着面には上述した粗化処理層、プライマー樹脂層の他、防錆処理層、シランカップリング処理層等、必要に応じて各種表面処理層を設けてもよいのは勿論である。
2.キャリア箔付レーザー加工用銅箔
次に、本件発明に係るキャリア箔付のレーザー加工用銅箔(以下、キャリア箔付レーザー加工用銅箔)について説明する。当該キャリア箔付レーザー加工用銅箔は、上記レーザー加工用銅箔の難溶性レーザー吸収層上にキャリア箔を剥離可能に備えたものであり、キャリア箔/剥離層/レーザー加工用銅箔(難溶性レーザー吸収層/銅箔)のように各層が積層されたものである。当該キャリア箔付レーザー加工用銅箔において、キャリア箔に関する構成以外は、上述したレーザー加工用銅箔と同じ構成を採用することができるため、ここではキャリア箔に関する構成についてのみ説明する。
2−1.キャリア箔
キャリア箔は、レーザー加工用銅箔に剥離可能に設けられた金属箔であり、レーザー加工用銅箔が上述したように7μm以下の厚みの極薄銅箔である場合、キャリア箔によりレーザー加工用銅箔を支持することにより、シワや破れなどを防止し、そのハンドリング性を向上することができる。キャリア箔を構成する材料は、特に限定されるものではないが、キャリア箔上に剥離層を介して電析によって、上記電解銅−スズ合金層及び銅箔を形成可能とするため、導電性を有する金属材料であることが好ましい。例えば、銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔、アルミニウム箔の表面に銅或いは亜鉛等の金属めっき層が設けられた複合箔、ステンレス箔、表面をメタルコーティングした樹脂フィルム等を用いることができる。これらの材料の中でも、銅箔をキャリア箔として好適に用いることができる。銅箔をキャリア箔として用いることにより、レーザー加工用銅箔からキャリア箔を剥離した後、これを銅原料として再利用することができるため、資源保全の観点から好ましい。
キャリア箔の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、5μm以上100μm以下とすることができる。キャリア箔の厚みが5μm未満である場合、キャリア箔の厚みが薄く、7μm以下の厚みの極薄レーザー加工用銅箔のハンドリング性を向上するというキャリア箔本来の目的を達成することができず、好ましくない。また、資源保全の観点等から、キャリア箔の厚みは100μm以下であることが好ましく、35μm以下の厚みでも適用可能である。
2−2.剥離層
当該キャリア箔付レーザー加工用銅箔は、いわゆるピーラブルタイプのキャリア箔付レーザー加工用銅箔である。剥離層には、キャリア箔をレーザー加工用銅箔に対して手作業で簡易に剥離可能にすると共に、キャリア箔が剥離されるまでの間はキャリア箔とレーザー加工用銅箔に適度な密着強度で密着させることが要求される。このような剥離層として、例えば、無機剤から構成される無機剥離層、有機剤から構成される有機剥離層が挙げられる。
(1)無機剥離層
無機剥離層を構成する無機剤として、例えば、クロム、ニッケル、モリブデン、タンタル、バナジウム、タングステン、コバルト及びこれらの酸化物から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができる。
(2)有機剥離層
有機剥離層を構成する有機剤として、例えば、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸の中から選択される1種又は2種以上を混合して用いることができる。剥離層は無機剥離層及び有機剥離層のいずれであってもよいが、キャリア箔の引き剥がし特性が安定するという観点から有機剥離層であることが好ましい。
窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物、カルボン酸としてより具体的には、以下の化合物を採用することが好ましい。窒素含有化合物として、例えば、オルトトリアゾール類、アミノトリアゾール類、イミダゾール類、これらの塩、或いは誘導体などを挙げることができる。特に、オルソトリアゾール類であるカルボキシベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール類である3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、トリアゾール誘導体であるN’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリアを挙げることができる。これらのいずれか一種以上を用いて窒素含有化合物から構成される有機剥離層を形成することができる。
硫黄含有化合物として、例えば、チアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾアジルジスルフィド、メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、メルカプトベンゾチアゾールのジシクロヘキシルアミン塩、チオシアヌル酸および2−ベンズイミダゾールチオール等が挙げることができる。硫黄含有化合物を用いて有機剥離層を形成する場合は、これらの中でも、特に、メルカプトベンゾチアゾールおよびチオシアヌル酸を用いることが好ましい。
カルボン酸類として、例えば高分子量カルボン酸が挙げられる。高分子量カルボン酸の中でも、特に、長鎖炭化水素のモノカルボン酸である脂肪酸を用いることが好ましい。脂肪酸は飽和脂肪酸であってもよいが、特に、オレイン酸、リノレイン酸などの不飽和脂肪酸を用いることが好ましい。
(3)剥離層の厚み
剥離層の厚みは、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。いわゆるピーラブルタイプのキャリア箔付銅箔では、一般に、キャリア箔の表面に剥離層を設け、電解等の手法により、剥離層を介してキャリア箔上に銅を析出させて電解銅箔を形成する。このとき、剥離層の厚みが100nmを超えると、特に有機系剥離層の場合、当該剥離層上に電解銅箔を形成することが困難になる。また、これと同時に、キャリア箔と電解銅箔との密着強度が低下する。従って、剥離層の厚みは100nm以下であることが好ましい。均一な厚みの剥離層を形成することができれば、剥離層の厚みの下限値は特に限定されるものではない。しかしながら、1nm未満になると、均一な厚みで剥離層を形成することが困難になり、厚みにバラツキが生じるようになる。このため、剥離層の厚みは1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。
2−3.耐熱金属層
当該キャリア箔付レーザー加工用銅箔は、キャリア箔と剥離層の間、若しくは、剥離層とレーザー加工用銅箔の電解銅−スズ合金層との間に耐熱金属層を形成し、キャリア箔/耐熱金属層/剥離層/レーザー加工用銅箔の層構成、若しくは、キャリア箔/剥離層/耐熱金属層/レーザー加工用銅箔の層構成とすることも好ましい。
2−4.キャリア箔付レーザー加工用銅箔の製造方法
キャリア箔付レーザー加工用銅箔の製造方法は特に限定されるものではない。例えば、キャリア箔の表面に剥離層を形成した後、剥離層を介してキャリア箔上に上記電解銅−スズ合金層、銅箔を電解析出させる等、上記構成のキャリア箔付レーザー加工用銅箔を得ることができればどのような方法で製造してもよい。
2−5.キャリア箔付レーザー加工用銅箔の電解銅−スズ合金層のスズ含有量の測定方法
キャリア箔付レーザー加工用銅箔の場合、「キャリア箔/剥離層/電解銅−スズ合金層/銅箔」の層構成を備えている。従って、電解銅−スズ合金層のスズ含有量の測定を行うためには、以下のような方法を採用することが好ましい。本件出願に係るキャリア箔付レーザー加工用銅箔の場合、キャリア箔を引き剥がすと「剥離層/電解銅−スズ合金層/銅箔」の層構成になる。そして、このときの剥離層は、上述の成分で構成されているため、電解銅−スズ合金層のスズ含有量の測定に影響を及ぼすものではない。よって、「剥離層/電解銅−スズ合金層/銅箔」の層構成の試料を全溶解した溶液を、ICP分析法、蛍光X線装置、滴定定量法等を用いて全銅含有量を測定し、この全銅含有量から「銅箔の断面厚さから換算した銅量」を差し引くことで算出した「電解銅−スズ合金層に含まれる銅量」と「溶解液中のスズ含有量」とからスズ含有量(質量%)を算出できる。また、あらかじめ断面観察などにより銅箔の厚みがわかっている場合は、蛍光X線膜厚測定器を用いて、二層箔として定義した箔の組成分析を行い、電解銅―スズ合金層中のスズ含有量(質量%)を算出できる。
3.銅張積層体
次に、本件発明に係る銅張積層体について説明する。本件発明に係る銅張積層体は、上記難溶性レーザー吸収層が前記赤外線レーザー光を照射される側に配置されるように、上記レーザー加工用銅箔と、絶縁層構成材料とが積層されたことを特徴とする。すなわち、本件発明に係る銅張積層体は、絶縁層構成材料と上記レーザー加工用銅箔とが積層されており、絶縁層構成材料/銅箔/難溶性レーザー吸収層(電解銅−スズ合金層)の順に積層された層構成を有する積層体であればどのようなものであってもよい。また、当該銅張積層体を得ることができれば、その製造方法に特に限定はない。例えば、いわゆるBステージの絶縁樹脂基材又は絶縁樹脂層に上記レーザー加工用銅箔又はキャリア箔付銅箔の銅箔側を積層し、加熱加圧することにより絶縁樹脂基材又は絶縁樹脂層上にレーザー加工用銅箔が積層された銅張積層体を得ることができる。なお、キャリア箔付レーザー加工用銅箔を用いた場合には、キャリア箔を適切な段階で除去すればよい。
4.プリント配線板の製造方法
次に、本件発明に係るプリント配線板の製造方法を説明する。ここでは、図2を参照しながら、本件発明に係るレーザー加工用銅箔10を用いて、MSAP法により配線パターンを形成する場合を例に挙げて説明する。なお、ここで用いるレーザー加工用銅箔10は、プライマー樹脂層11/銅箔(電解銅箔層)12/電解銅−スズ合金層13(難溶性レーザー吸収層)の層構成を備えるものとし、銅箔12の接着面には粗化処理層は設けられていないものとする。また、以下においては、配線層が絶縁層を介して3層以上積層した多層プリント配線板を製造する方法について説明する。但し、本件発明に係るプリント配線板の製造方法は多層プリント配線板の製造方法に限定されるものではなく、両面プリント配線板を製造する際にも適用可能である。
まず、内層回路30(他の導体層)上にいわゆるBステージの絶縁層構成材料20を介して、接着面に上記キャリア箔付レーザー加工用銅箔10の接着面側を積層する。そして、加熱加圧することにより、絶縁層構成材料20と内層回路30及びレーザー加工用銅箔10とをそれぞれ密着させることにより、図2(a)に示す積層体が得られる。
次に、最外層となる電解銅−スズ合金層13の表面に炭酸ガスレーザー等により赤外線レーザー光を直接照射し、内層回路30の導体パターン部30aを底部とするマイクロビアホール40を形成する(図2(b)参照)。
マイクロビアホール40を形成した後、デスミア液を用いてマイクロビアホール40の底部に残存するスミアを除去するデスミア工程を行う(図2(c)参照)。デスミア工程では、積層体100を膨潤液に浸漬した後、いわゆるデスミア液(例えば、アルカリ性過マンガン酸水溶液等)に浸漬して、スミアを除去した後、中和液(還元剤)に浸漬し、過マンガン酸カリウムを還元して除去する中和処理を行う。
続いて、無電解めっき工程の前処理としてのマイクロエッチング工程を行う。マイクロエッチング工程では、マイクロエッチング液(例えば、硫酸−過酸化水素エッチング液や過硫酸アンモニウム系水溶液等)を用いてマイクロビアホール40の孔周囲に付着したスプラッシュ等を除去する。また、マイクロビアホール40の底部にスミアが残存する場合にはこれを除去する(図2(d)参照)。
これらのデスミア工程及びマイクロエッチング工程において、当該積層体100の表面は、中和液やマイクロエッチング液等の銅に対してエッチング性を有する処理液に接触する。当該電解銅−スズ合金層13は、銅エッチング液に対するエッチング性を有するため、これらの工程においてその表面がエッチングされる。当該電解銅−スズ合金層13の厚みやスズ含有量によって、銅エッチング液に対するエッチング速度が変化するため、これらを調整することによって当該電解銅−スズ合金層13を溶解させるタイミングを制御することができる。例えば、マイクロエッチング工程において、銅箔12の表面を清浄化する必要がある場合等は、当該電解銅−スズ合金層13の厚みや材質等を調整することにより、デスミア工程において当該電解銅−スズ合金層13を完全に溶解除去させることが好ましい。一方、銅箔12の厚みを初期の厚みに維持する必要がある場合には、デスミア工程では当該電解銅−スズ合金層13を完全に溶解させずに残存させておき、その後のマイクロエッチング工程において当該当該電解銅−スズ合金層13を完全に溶解除去させればよい。当該電解銅−スズ合金層13を溶解除去させるタイミングは、当該プリント配線板に要求される特性等に応じて、適宜、適切なタイミングとすればよい。
そして、無電解めっき工程により、マイクロビアホール40の孔内部と、銅箔層12上に無電解めっき被膜を形成し、層間接続を行う(図示略)。その後、シード層(銅箔+無電解めっき被膜)上にめっきレジストを設け、電解めっき法により、配線パターンを形成すると共に、ビアホール内を充填めっきする。そして、フラッシュエッチング処理により、めっきレジストと共に、めっきレジスト下のシード層を除去する。なお、図2においては、無電解めっき工程以降の工程については図示略している。また、以下において各構成要素に対する符号は省略する。
上述してきたように、本件発明に係るレーザー加工用銅箔によれば、黒化処理等のレーザー光の吸収率を高めるための前処理を行うことなく、レーザー光を直接照射して、孔開け加工を行うことができる。このため、配線パターン形成前のエッチング処理の回数を減らすことができる。また、本件発明によれば、銅箔の表面に電解銅−スズ合金層等の難溶性レーザー吸収層を備えるため、レーザー孔開け加工後、配線パターン形成前に行われる各種エッチング処理において、銅箔の表面がエッチングされるのを防止することができる。なお、上述したとおり、難溶性レーザー吸収層として、電解銅−スズ合金層を採用する場合は、そのスズ含有量や、当該電解銅−スズ合金層の厚みを適宜調整することにより、電解銅−スズ合金層を溶解除去するタイミングを制御することができる。図2に示した例では、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量が比較的多く、デスミア工程では電解銅−スズ層が溶解しない場合を示した。しかしながら、図示例に限定されるものではなく、当該プリント配線板に要求される特性等に応じて、電解銅−スズ合金層中のスズ量や厚みを調整してデスミア工程において電解銅−スズ合金層を溶解除去させてもよい。
以下、実施例を示して本件発明を、更に具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に制限されるものではない。
この実施例では、以下に述べる方法でキャリア箔レーザー加工用銅箔を作製し、その後銅張積層体を作製し、炭酸ガスレーザーによるレーザー孔開け加工性評価を行うと共に、プリント配線板の製造工程において、配線パターン形成前に行われるエッチング処理に供したときの銅箔(電解銅箔層)の厚みのバラツキ評価を行った。以下、順に述べる。なお、評価の方法等については後述する。
[キャリア箔付レーザー加工用銅箔の作製]
本実施例では、キャリア箔付レーザー加工用銅箔を、以下の工程A〜工程Eにより作製した。
工程A: 片面側の表面粗さ(Rzjis)が0.6μmの厚み18μmの電解銅箔をキャリア箔として用い、次のようにして剥離層をキャリア箔の表面に形成した。なお、表面粗さ(Rzjis)は、JIS B 0601に準拠して、先端曲率半径が2μmのダイヤモンドスタイラスを使用した触針式表面粗さ計により測定した値である。
このキャリア箔をフリー硫酸濃度が150g/l、銅濃度が10g/l、カルボキシベンゾトリアゾール濃度が800ppm、液温30℃のカルボキシベンゾトリアゾール含有希硫酸水溶液に対して、30秒間浸漬した。その後、キャリア箔を引き上げることにより、キャリア箔の表面に付着していた汚染成分を酸洗除去すると共に、カルボキシベンゾトリアゾールを表面に吸着させ、キャリア箔の表面に剥離層を形成し、剥離層を備えるキャリア箔とした。
工程B: 次に、金属成分含有電解液中で、当該剥離層を備えるキャリア箔をカソード分極し、剥離層の表面に耐熱金属層を形成し、耐熱金属層と剥離層とを備えるキャリア箔とした。ここでは、ニッケル電解液として、硫酸ニッケル(NiSO・6HO)を330g/l、塩化ニッケル(NiCl・6HO)を45g/l、ホウ酸を30g/l含み、浴pHが3のワット浴を用い、液温45℃、カソード電流密度2.5A/dmで電解し、剥離層の表面に厚み0.01μmのニッケル層を形成し、耐熱金属層と剥離層とを備えるキャリア箔を作製した。
工程C: 次に、下記組成を有する銅−スズめっき浴中で、当該耐熱金属層と剥離層とを備えるキャリア箔を下記電解条件でカソード分極し、耐熱金属層の表面に、厚み0.7μmの電解銅−スズ合金層を形成した。
(銅−スズめっき浴の組成及び電解条件)
CuSO ・5HO:157g/l(Cu換算40g/l)
SnSO:127g/l(Sn換算70g/l)
11Na:70g/l
フリーHSO:70g/l
液温:35℃
カソード電流密度:30A/dm
工程D: 次に、電解銅−スズ合金層等を備えるキャリア箔を、下記組成の銅めっき浴中で、下記条件でカソード分極し、電解銅−スズ金属層の表面に厚み2μmの電解銅箔を形成し、本件発明に係るキャリア箔付レーザー加工用銅箔を得た。
(銅めっき浴の組成及び電解条件)
CuSO ・5HO:255g/l(Cu換算65g/l)
フリーHSO:150g/l
液温:45℃
カソード電流密度:15A/dm
工程E: 本実施例では、さらに上記キャリア箔付レーザー加工用銅箔の電解銅箔側の面に亜鉛−ニッケル合金防錆層を形成し、電解クロメート処理、アミノ系シランカップリング剤処理を施し、キャリア箔付表面処理レーザー加工用銅箔を得た。
このキャリア箔付レーザー加工用銅箔において、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量は27.5質量%であった。実施例のスズ含有量は、以下のようにして測定した。キャリア箔の表面に剥離層を形成し、当該剥離層の表面に耐熱金属層を形成し、当該耐熱金属層の表面に電解銅―スズ合金層を形成した段階のものを電解銅−スズ合金層中のスズ含有量測定試料とした。その後、当該試料の電解銅―スズ合金層をキャリア箔から剥離し、蛍光X線膜厚測定器XDAL−FD(フィッシャーインストルメンツ製)を用いて箔の組成分析を行い、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量(質量%)を算出した。なお、以下の比較例に関しても、同様の方法でスズ含有量の測定を行っている。
[銅張積層板の作製]
上述のキャリア箔付レーザー加工用銅箔を用いて、電解銅箔の接着面に、絶縁樹脂層構成材として厚み100μmのFR−4のプリプレグを熱間プレス加工により張り合わせた。そして、キャリア箔付レーザー加工用銅箔のキャリア箔を剥離層を介して引き剥がすことにより、キャリア箔を除去して銅張積層板を得た。
比較例
[比較例1]
比較例1では、電解銅−スズ合金層を備えていないこと以外は実施例と同様にしてピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔を作製した。そして、このキャリア箔付電解銅箔を用いて、実施例と同様にして銅張積層板を作製した。
[比較例2]
比較例2では、工程Cにおいて、下記組成の銅−スズめっき浴中で、キャリア箔を下記電解条件でカソード分極し、キャリア箔上に剥離層及び耐熱金属層を介して、厚み0.7μmの電解銅−スズ合金層を形成した以外は、実施例と同様にしてキャリア箔付電解銅箔を作製した。そして、このキャリア箔付電解銅箔を用いて、実施例と同様にして銅張積層板を作製した。
(銅−スズめっき浴の組成及び電解条件)
CuSO ・5HO:79g/l(Cu換算20g/l)
SnSO:72g/l(Sn換算40g/l)
SO:70g/l
液温:45℃
カソード電流密度:15A/dm
このキャリア箔付電解銅箔において、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量は12.9質量%であった。
[比較例3]
比較例3では、比較例1のキャリア箔付電解銅箔を用いて、実施例と同様の方法で銅張積層板を作製した。そして、この銅張積層板の銅箔の表面に、市販の無電解スズめっき液を用いて、0.4μmの厚みの金属スズ層を形成した。そして、当該金属スズ層を形成した銅張積層板を200℃×30分の条件で加熱処理して、電解銅箔の銅成分と金属スズ層のスズ成分との間で相互拡散を起こさせ、当該銅箔の表層にスズ−銅を主体とする拡散合金層を備える銅張積層板を得た。
[評価]
1.評価方法
(1)レーザー孔開け加工性の評価
上記実施例及び比較例で作製した各銅張積層板を用いて、レーザー孔開け加工性能の評価には、炭酸ガスレーザーを用いた。このときの炭酸ガスレーザーによる孔開け加工条件は、加工エネルギー6.9mJ、パルス幅16μsec.、ビーム径120μmの条件で行った。
(2)銅箔の厚みのバラツキ評価
上記実施例及び比較例で作製した各銅張積層板を用いて、プリント配線板を製造過程で一般的に行われるデスミア工程及びマイクロエッチング工程と同様の処理を行い、各工程の前後における銅箔の厚みの変化を評価した。
デスミア工程: まず、デスミア工程では、膨潤処理(膨潤液:Rohm&Haas社製 MLB−211、液温:75℃、処理時間:15分)、過マンガン酸カリウムのアルカリ性水溶液による酸化処理(酸化処理液:Rohm&Haas社製 MLB−213、液温:80℃、処理時間:15分)、中和処理(中和処理液:Rohm&Haas社製 MLB−216、液温:40℃、処理時間15分)の各処理を行い、その後水洗し、乾燥した後、断面観察により厚みを測定した。
マイクロエッチング工程: 次に、マイクロエッチング工程ではデスミア工程後の各銅張積層板を硫酸−過酸化水素系エッチング液(三菱瓦斯化学株式会社製CPE800)に液温30℃の条件で、60秒間浸漬し、水洗し、乾燥した後、断面観察により厚みを測定した。なお、断面観察にはキーエンス株式会社製のVE−9800を用いた。
2.評価結果
(1)レーザー孔開け加工性の評価
表1に、各銅張積層板に対して上記加工条件でビアホールを形成したときのトップ径を示す。ここで、トップ径とは、図2(b)に示すように、ビアホールの開口径をいう。表1に示すように、実施例と、比較例2及び比較例3で作製した銅張積層板では、スズを含有する電解銅−スズ合金層を最外層とし、この電解銅−スズ合金層にレーザー光を照射するため、黒化処理等のレーザー光の吸収率を高めるための前処理を施すことなく、レーザー加工により孔開けが可能であることが確認された。また、比較例1で作製した銅張積層板については、レーザー加工により直接孔開けすることができず、黒化処理等の何らかのレーザー光の吸収率を高めるための前処理を施さなければ、レーザー加工によりマイクロビアホールを形成することができないことが確認された。
一方、比較例3の電解銅箔の場合、マイクロビアホールのトップ径は99.5μmであり、トップ径のみ考慮すれば、比較例3の電解銅箔は、実施例及び比較例2と同等のレーザー孔開け加工性を有している。しかしながら、比較例3の電解銅箔は、その表面に無電解めっき法により形成した金属スズ層を熱拡散によって、銅とスズを相互拡散することにより得た拡散合金層を備えている。当該拡散合金層では、厚さ方向におけるスズの分布が不均一であり、表面に近い程スズの分布が多くなる。従って、当該拡散合金層にレーザー光を照射した場合、融点の低いスズが溶融してスプラッシュが発生し易くなり、ビアホールの周囲に付着するスプラッシュの量が多くなる。このため、マイクロエッチング工程等によっては孔の周囲のスプラッシュを十分に除去することができず、マイクロエッチング工程後もスプラッシュが孔の周囲において突起部として残存することが考えられる。この場合、無電解めっき工程により層間接続を図る場合に、当該突起部において異常析出を引き起こす可能性があり、好ましくない。
Figure 2014136763
(2)銅箔の厚みのバラツキ評価
次に、図3に実施例と比較例1の銅張積層板の断面を示すFIB−SIM像を示す。図3に示すように、実施例で作製した銅張積層板は、2μmの厚みの電解銅箔層上に0.7μmの電解銅−スズ合金層を備えている。当該銅張積層板に対して、上述のとおり、デスミア工程を行った場合、電解銅−スズ合金層の表面は溶解し、電解銅−スズ合金層の厚みは0.21μm減少した。次に、当該銅張積層板に対して、上述のとおり、マイクロエッチング工程を施した場合、電解銅−スズ合金層の表面は溶解し、電解銅−スズ合金層の厚みは0.38μm減少した。このように、電解銅−スズ合金層はデスミア工程及びマイクロエッチング工程の際に溶解されるものの、当該電解銅−スズ合金層が存在することにより、銅箔の厚みには変化がなく、初期の厚み(2μm)を維持することができる。これに対して、比較例1で作製した銅張積層板は、電解銅箔層上に電解銅−スズ合金層を備えていないため、デスミア工程の際には0.10μm、マイクロエッチング工程の際に1.03μm厚みが減少する。また、実施例において、電解銅−スズ合金層中のスズ含有量は27.5質量%であり、図1に示したように、スズを含有しない電解銅箔と比較するとエッチング速度は遅い。このため、比較例1の銅張積層板では、実施例の銅張積層板と比較すると、エッチング量も大きくなり、銅箔の厚みにバラツキが生じる恐れが高くなる。
一方、図示は省略したが、比較例2の銅張積層板は、スズ含有量が12.9質量%の電解銅−スズ合金層を備え、図1に示したとおり、当該電解銅−スズ合金層のエッチング速度はスズを含有していない電解銅箔のエッチング速度よりも速い。このため、比較例2の銅張積層板は、電解銅箔層の表面に電解銅−スズ合金層を備えるものの、デスミア工程におけるエッチング量が0.20μm、マイクロエッチング工程におけるエッチング量が1.25μmと大きく、この場合も電解銅箔層の表面が溶解され、電解銅箔層の厚みにバラツキが生じ得る。
また、比較例3で作製した銅張積層板では、スズ−銅を主体とする拡散合金層は、上述したとおり、スズ層と、スズ銅拡散合金層の二層構成を有するため、金属スズ層と、スズ銅拡散合金層ではそれぞれ各エッチング液に対するエッチング速度が異なる。特に、最外層となる金属スズ層は、銅箔に対する一般的なエッチング処理液では、溶解することが困難である(図1参照)。このため、デスミア工程及びマイクロエッチング工程後のエッチング量は合わせて0.05μmと少なく、エッチングレジスト層として機能するものの、その後の配線パターン形成後のフラッシュエッチング工程において、シード層をエッチングにより除去することが困難になる。また、当該銅箔では、金属スズ層、スズ銅拡散合金層、電解銅箔層の各層においてエッチング速度が異なると考え、厚さ方向に均一にエッチングすることが困難になる。さらに、銅箔に対する一般的なエッチング処理液を用いた場合、最外層となる金属スズ層よりも、電解銅めっきにより形成した配線パターン部の方がエッチング速度が速くなる。従って、エッチングファクターが低下し、配線パターンを良好な線幅で形成することが困難になる。
これに対して、実施例の銅張積層板によれば、デスミア工程及びマイクロエッチング工程において、電解銅−スズ合金層を溶解除去することができるため、シード層を除去する際には電解銅箔層と、この電解銅箔層上に形成された無電解銅めっき被膜を除去すればよい。これらはいずれも銅層であるため、エッチング速度に大きな差はみられない。また、電解銅めっきにより形成された配線パターン部のエッチング速度とも大きな差は現れない。従って、本件発明に係るレーザー加工用銅箔によれば、良好なエッチングファクターで配線パターンを形成することが可能になる。
以上のように本件発明に係るレーザー加工用銅箔を用いることで、レーザー加工性に優れ、且つ、その後のエッチング処理において、厚さ方向で均一なエッチング速度が得られる。しかも、炭酸ガスレーザーを用いた銅張積層板のレーザー加工用銅箔の直接孔開け加工が可能となり、レーザー光吸収効率を高めるための黒化処理等の前処理が不要となり、工程削減することでトータル製造コストを削減することができる。さらに、電解銅−スズ合金層をエッチングレジストとして機能させることができるため、配線パターン形成前の各種エッチング工程において銅箔の表面が溶解し、銅箔の厚みにバラツキが生じるのを防止することができる。また、シード層を除去する際は、銅箔部分のみ溶解除去すればよいため、良好なエッチングファクターで配線パターンを形成することができる。

Claims (8)

  1. 銅エッチング液に対するエッチング性を有すると共に、そのエッチング速度が銅箔よりも遅く、且つ、赤外線レーザー光を吸収する難溶性レーザー吸収層を銅箔の表面に備えたことを特徴とするレーザー加工用銅箔。
  2. 前記難溶性レーザー吸収層は、スズ含有量が25質量%以上50質量%以下の電解めっき法により形成された電解銅−スズ合金層である請求項1に記載のレーザー加工用銅箔。
  3. 前記難溶性レーザー吸収層の厚みは、3μm以下である請求項1又は請求項2に記載のレーザー加工用電解銅合金箔。
  4. 前記銅箔の厚みは、7μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のレーザー加工用電解銅合金箔。
  5. 前記銅箔の他方の表面には、粗化処理層及びプライマー樹脂層のうち少なくともいずれか一を備える請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のレーザー加工用銅箔。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のレーザー加工用銅箔の前記難溶性レーザー吸収層上にキャリア箔を剥離可能に備えたことを特徴とするキャリア箔付レーザー加工用銅箔。
  7. 前記赤外線レーザー光が照射される側に前記難溶性レーザー吸収層が配置されるように、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のレーザー加工用銅箔と、絶縁層構成材料とが積層されたことを特徴とする銅張積層体。
  8. 銅エッチング液に対するエッチング性を有すると共に、そのエッチング速度が銅箔よりも遅く、且つ、赤外線レーザー光を吸収するレーザー吸収層を銅箔の表面に備えたレーザー加工用銅箔と、他の導体層とが絶縁層を介して積層された積層体に対して、赤外線レーザー光を難溶性レーザー吸収層に直接照射して層間接続用のビアホールを形成し、ビアホール内のスミアを除去するデスミア工程及び/又は無電解めっき工程の前処理としてのマイクロエッチング工程において、当該難溶性レーザー吸収層を当該銅箔の表面から除去すること、を特徴とするプリント配線板の製造方法。
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