JP2005260250A - 表面処理銅箔及びそれを用いた銅張積層板 - Google Patents

表面処理銅箔及びそれを用いた銅張積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】炭酸ガスレーザーを用いて、銅箔層と基材樹脂層とを同時に穴明け加工することのできる銅張積層板に用いる表面処理銅箔を提供する。
【解決手段】銅箔の片面側に所定厚のニッケル層又はコバルト層を設けた表面処理銅箔、若しくはキャリア箔と電解銅箔層との間に所定厚のニッケル層又はコバルト層槽を備えたキャリア箔付電解銅箔とする。これらを用いて、銅張積層板を製造すると、その銅張積層板は、炭酸ガスレーザーを用いて、容易に銅箔層と基材樹脂層とを同時に穴明け加工することが可能となるのである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電解銅箔、キャリア箔付電解銅箔、当該キャリア箔付電解銅箔の製造方法、当該キャリア箔付電解銅箔を用いた積層板等に関する。
近年、携帯電話、モバイルツール、ノートブックパーソナルコンピュータ等の普及に伴い、軽薄短小、高密度実装化の流れが加速している。従って、これらの電子機器に組み込まれるプリント配線板の世界においても同様のファインピッチ回路の形成が求められてきた。
プリント配線板の軽薄短小化が求められるということは、多層化した高密度回路が求められると言うことになる。従って、多層プリント配線板の層間導通を確保するための手段として、従前は基板を貫通するスルーホール形成のみで行われてきたが、近年は多層プリント配線板の設計の自由度を向上させるため、より小径のビアホール、基板を貫通させず内層銅箔の表面までの小径穴明けを行ったブラインドビアホール(BVH)、インタースティシャルビアホール(IVH)等を形成することが一般的に行われるようになってきた。
これらのスルーホールや各種バイアホール等の小径穴の形成には、従来からドリル加工を用いてプリント配線板に小径穴を形成してきた。このドリル加工は、プリント配線板を重ねて一気に複数枚の加工を可能とし、多軸化することで容易に生産性を向上させる手段としての長所を有するものであった。
そして、このドリル加工による小径穴の形成は、従来、穴径0.3〜0.4mmのものが主体であり、近年の技術進歩により穴径0.15〜0.25mm程度までドリル加工が可能となってきた。
更に、超硬ドリルを用いることで、穴径0.1〜0.05mmの範囲のドリル加工が検討されているが、いまだ技術的に解決すべき課題が多く、ドリル寿命、難削材に該当するプリント配線板等も存在する等の問題点も多い。
しかしながら、現実の市場における電子、電気機器の軽薄短小化はめざましい速度で進行しており、ドリル加工技術の進展を待つことの出来ない状況が形成されてきた。そこで、レーザ加工技術を応用しての0.1mm以下の小径穴の加工が行われてきた。
レーザー法を用いてプリント配線板への小径穴の加工を行う場合、レーザーの初期照射が(1)基材樹脂から始まる場合、(2)回路を形成することとなる銅箔表面から始まる場合の2パターンに大別して考えられる。このとき、銅箔は表面が光沢を持ち、レーザー光を反射する性質を持つものであるから、前記(2)のレーザー加工の方が困難なものとなる。
現実には、光沢を持つ銅箔表面から前記(2)の条件下でのレーザー加工を行うことはほぼ不可能な状況にある。銅箔がレーザー光を反射すると言うことは、レーザー光の初期吸収効率が悪くなり、穴明け速度が遅くなると言うことであり、生産効率を引き下げることとなる。そのため、前記(2)のパターンで、レーザー穴明けを行う場合は、穴明け箇所の外層銅箔を、予めエッチングで除去する作業を必要としていた。この方法は、一般にコンフォーマルマスク法として広く知られているものである。
このエッチング作業では、エッチングレジストの塗布が行われることになるが、レジストレーションの精度が問題で、穴明け箇所のエッチング位置を要求通りの精度にすることは非常に困難であった。そのため、内層銅箔回路の接点部となるランドとレーザー加工で形成するバイアホール等との位置ずれが生ずるため、その誤差を見込んで内層銅箔回路のランドを大きめに設計する等の対応がなされていた。これは内層銅箔回路を微細化する上での大きな障害となるのである。
しかも、レーザーの種類により穴明け加工性能が異なるのは当然である。即ち、エネルギー吸収の大きなYAGレーザーを用いる場合には銅箔層の加工が問題とならない場合もある。ところが、加工コストの問題から、出力が大きく消費電力の少ない炭酸ガスレーザーを安定して使用できることが従来から望まれてきた。従って、銅箔のエッチングを行うことなく、銅箔と樹脂層とを同時に安定して炭酸ガスレーザーで加工できる銅張積層板の開発が待たれてきた。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、上述したコンフォーマルマスク法のように銅箔を除去することなく、炭酸ガスレーザーを用いて銅箔層と基材樹脂層とを同時に加工可能な銅箔を発明するに到ったのである。以下、本件発明について説明する。
一つめの本願発明に係る、銅箔の片面を粗化処理したプリント配線板用の表面処理銅箔は、銅箔の片面側に補助金属層として0.08〜2.0μm厚のニッケル層を備え、他面に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔としている。
この表面処理銅箔は、電解工程若しくは圧延法で得られた表面処理前の未処理の電解銅箔(本明細書において、電解法で得られた未処理銅箔を「析離箔」と称する場合がある。)の片面に0.08〜2.0μm厚のニッケル層を、そして、もう一方の面には、基材と接着する際にアンカー効果を得るための微細銅粒を付着形成し(以上及び以下において、この処理を「粗化処理」と称し、処理した面を「粗化処理面」と称することとする。)、防錆処理を施した表面処理銅箔のことである。電解法で得られた未処理銅箔の場合には、いわゆる光沢面側にニッケル層を形成し、粗面側に粗化処理と防錆処理とを施すものとなる。図1には、一つめの本願発明に係る表面処理銅箔の模式断面図を示している。但し、表面処理銅箔の防錆処理層については、図面中の記載を省略している。これは、他の表面処理銅箔及びキャリア箔付電解銅箔の模式断面図を示す場合も同様とする。
同様の層構成を持つ、二つめの本願発明に係る表面処理銅箔として、銅箔の片面に粗化処理を行ったプリント配線板用の表面処理銅箔であって、銅箔の片面の表層に補助金属層として0.05〜3.0μm厚のコバルト層を備え、他面に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔がある。この表面処理銅箔は、先に説明した、一つめの本願発明に係る表面処理銅箔のニッケル層をコバルト層に置き換えたものである。従って、以上及び以下の説明において、ニッケル層とコバルト層とを含め「補助金属層」と称することとする。
このように、片面にニッケル若しくはコバルトからなる補助金属層を形成した銅箔をプリント配線板の外層銅箔として用いることで、従来のコンフォーマルマスク法のように予め銅箔をエッチング除去することなく、銅箔と基材成分とを同時にレーザー穴明け加工することが可能となるのである。
現段階において、なぜ銅箔層の上にニッケル層若しくはコバルト層があると容易にレーザー穴明け加工性能が向上するのかについて、明確な理論は確立できていない。しかしながら、研究を続けていく中で、本件発明者等は、以下のような原理でレーザー穴明け加工性能が向上するものとの心証を得ている。
本件発明者等は、単なる銅箔のレーザー光による穴明け加工が困難な理由を以下のように考えた。このように銅箔等に関してレーザー加工性を理論的に追求した例は従来に存在しない。ここで、レーザー出力エネルギーをPとし、表面反射及び熱伝導損失をηとすると、被加工物の温度上昇に寄与するエネルギーはP(1−η)となる。従って、P(1−η)= m・C・ΔTが成立する。このときのmは、レーザー光による加工穴の直径をd、加工厚さをHとし、銅の比重をρとするとP(1−η)=π(d/2)・H・ρ・C・ΔTとなる。よって、ΔT=4P(1−η)/(π・d・H・ρ・C)となる。この式を用いて、銅が溶解する条件を考えてみる。ここでは、パルス幅60μsec.、パルスエネルギー16.0mJ、レーザー光径160μmとし、種々の厚さの銅箔に125μmの加工径の穴を形成するものとし、ρ=8.94g/cm3、C=0.39J/K・gとし、ΔT=4P(1−η)/(10.95・d・H)を用いて、これを理論式とする。
レーザー光により銅箔の穴明けを可能とするためには、レーザー光が銅を溶解させ、沸点以上の温度に導けるものでなければならない。この理論式を基に、銅箔表面における反射率をηの値として用い、上昇温度を銅箔の厚さ別にシュミレートした結果を図2に示す。この図2から分かるように、反射率が1%変化するだけで、上昇温度に1000℃以上の差が生じることになる。そして、厚さ3〜4μ厚の極薄銅箔の穴明けを可能とするには、98%以下の反射率でなければ、ならないことが分かる。
以上のシュミレートは、加工開始から終了まで、レーザー光の照射を受ける銅箔表面が常に想定した反射率を維持したことを前提としている。銅箔の初期表面の粗さ等を変えることで、初期照射面の反射率を狙い通りに作り込むことは可能であり、一般的に銅張積層板の外層銅箔の表面は銅箔光沢面の持つ本来の粗さ若しくは研磨による所定の粗さを有しているものであり、滑らかな鏡面とは言えない。しかしながら、レーザー光の照射を開始すると、所定の粗さを持つ銅箔表面が溶解を初め、初期照射面の銅成分が溶解し蒸発すると、その下には滑らかな鏡面の銅表面が形成されることとなる。この鏡面となった銅箔表面の持つ反射率は、通常98%以上の反射率を持つ表面となる。この結果、一定深さ以上の銅箔層のレーザー加工が困難となるのである。
レーザー加工で銅に穴明け加工を行おうとすると、所定の銅箔の厚さ分だけ、銅が連続して蒸発するプロセスが再現できるものでなければならない。即ち、レーザーが照射されている間、少なくとも、照射部位が銅の沸点温度を超えるものとなっていなければならないのである。
そこで、銅箔表面に所定厚のニッケル層若しくはコバルト層を設けると、レーザー光による加工部位の温度を銅の沸点以上の温度に容易に維持することのできるものとなるのである。ニッケル層及びコバルト層は、次に述べるように作用していると考えている。銅は、周期律表第IB族の貴金属に分類される元素であり、融点1083℃、沸点2582℃、1.01×105Paの条件下で融解エンタルピー(融解熱)13.3kJ/molという物性を持つ。
これに対し、ニッケルは周期律表第VIII族に分類される元素であり、融点1455℃、沸点2731℃、1.01×105Paの条件下で融解エンタルピー(融解熱)17.6kJ/molという物性を持つ。そして、コバルトは周期律表第VIII族に分類される元素であり、融点1492℃、沸点2747℃、1.01×105Paの条件下で融解エンタルピー(融解熱)14.4kJ/molという物性を持つものである。このニッケルとコバルトとの物性は非常に近似しており、双方とも沸点温度を比較すると銅の沸点より150〜160℃程度高い温度となっている。これらの物性から判断する限りにおいて、熱に対しては、銅よりニッケル及びコバルトが安定と考えられる。従って、レーザー光を用いた加工は、レーザー光を照射する部分に高エネルギーを与えることで、その部位の温度を急激に上昇させ、その部位の材料を溶融させ蒸発させることで行うのであるから、銅に比べニッケル及びコバルトが容易に穴があきやすいと言う理論は成立しないように考えられる。
ところが、ここで銅とニッケル及びコバルトとの熱伝導性能を比較してみる。銅の熱伝導率は、700℃において354W・m−1・K−1という熱の良導体である。これに対し、ニッケルは700℃において71W・m−1・K−1、コバルトは700℃において69W・m−1・K−1であり、ニッケルもコバルトもその熱伝導率は銅の熱伝導率の約1/5程度であり、銅と比べ熱の伝導性が極めて遅いことが分かる。このことを考えるに、ニッケル層若しくはコバルト層を備えていない銅張積層板の銅箔表面にレーザー光を照射すると、その照射開始より、そのレーザー光の一部が鏡面の銅箔表面から反射され、その残りのレーザー光が熱エネルギーとしてIVH若しくはBVH等の貫通孔又は穴部を形成する所定の位置に加えられる。このとき、銅箔表面が鏡面状態であるほど、レーザー光の反射率は高く熱エネルギーに変換される割合は小さくなる。そして、銅張積層板全体の面積で見れば、レーザー加工を行っている部位の面積は非常に狭く、その部位が瞬間的に高温となったとしても、熱の良導体である銅は、レーザー光により与えられた熱量を直ぐに拡散させ、集中した熱量が一部分に止まることが困難になると考えられる。即ち、初期照射表面の除去された後の鏡面の銅箔表面はレーザー光の反射率が高くなり、レーザー光を照射した銅箔部に与えられる熱エネルギーの供給量が減り、銅箔層に与えられた熱量を拡散して分散する熱量とが銅の沸点以下の温度で平衡してしまい、照射部位の銅箔温度が沸点以上に上昇することが困難になっているものと考えられる。
これに対し、ニッケル若しくはコバルトは、銅の熱伝導率の約1/5の速度でしか熱を伝達しない。従って、レーザー光が銅張積層板の銅箔の上に形成したニッケル層若しくはコバルト層の表面に照射されると、その補助金属層の照射部位のみに熱エネルギーが集中し、熱の拡散速度に比べ、レーザー光による熱エネルギーの供給速度の方が速く、レーザーの照射部位が容易にニッケル若しくはコバルトの融点に達するものと考えられる。しかも、同一の表面粗さを持つ銅とニッケルとのレーザー光反射率を比較すると、明らかにニッケル及びコバルトの反射率が少なくとも1〜2%程度小さくなり、レーザー光の吸収効率が高くなる。これは、上述の銅箔の温度上昇シュミレーションからも分かるように、照射部位の温度が1000℃以上高くなっている可能性を示唆することになる。現実の場を考えても、少なくとも数100℃程度の温度上昇に相当すると考えられる。
その結果、ニッケル若しくはコバルトは銅箔に比べ、その融点が高いにも拘わらず、レーザー光照射による温度上昇が素早く起こり、容易に溶解し、蒸発することになるものと考えられる。そして、レーザー光の照射により、銅よりも融点の高いニッケル及びコバルトが一旦溶解を始め沸点に達すると、ニッケル若しくはコバルトを沸点温度にまで上昇させた熱量が熱の良導体である銅からなる銅箔層に伝達され、連続したレーザー光照射による熱エネルギーの供給と併せて容易に銅の溶解温度を越えた温度上昇を起こさせ、レーザー照射部位の銅箔温度を銅の沸点温度に導くドライビングフォースとなることで、レーザー光による銅箔層の除去が容易に行え、銅張積層板の銅箔層と基材樹脂層とを同時に除去できるものとなると考えている。以下に説明する表面処理銅箔及びキャリア箔付電解銅箔におけるニッケル若しくはコバルトからなる補助金属層は、上述したと同様の役割を果たすものとなる。
そして、表面処理銅箔の表面に形成する補助金属層は、ニッケル層の場合は0.08〜2μm厚、コバルト層の場合は0.05〜3μm厚であることが好ましい。これは、一般的に炭酸ガスレーザーで用いられる12〜30mJのパルスエネルギーで容易に加工できる範囲として定めたものである。この範囲の補助金属層を有する表面処理銅箔を外層銅箔として用いて製造した銅張積層板に関する炭酸ガスレーザーによる開孔率は全て100%であり、銅箔と基材成分とを同時に確実に穴明けすることが可能である。そこで、この補助金属層の厚さを規定するに当たり、本件発明者等は、表面処理銅箔の補助金属層厚さと加工穴径の実測値との関係に着目したのである。
図3には、平滑な面に形成した補助金属層厚さと加工穴径の実測値との関係を示している。このときの炭酸ガスレーザー照射条件は、周波数2000Hz、マスク径5.0mm、パルス幅60μsec.、パルスエネルギー16.0mJ、オフセット0.8、レーザー光径140μmとし、種々の厚さの銅箔を用いた銅張積層板に110μmの加工径の穴を形成することを予定して行ったものである。従って、本件発明者等は判断基準として、加工後の穴径が100〜110μmとなった範囲で、加工が良好に行われたものとした。
この図3から分かるように、ニッケルの場合は0.08μm厚、コバルトの場合は0.05μm厚をクリティカルな値として、急激に加工後の穴径が良好なものになることが分かる。そして、ニッケル若しくはコバルトの補助金属層が厚くなるに従って、逆に加工後の穴径は小さくなっている。これは、レーザー光が補助金属層を貫通して銅箔層に至るまでの距離が長いと、補助金属層に形成された穴が深くなりレーザー光のフォーカシングが起こり、実質的に銅箔層に当たるレーザー光が絞り込まれるためと考えられる。
また、補助金属層が厚すぎると補助金属層を構成するニッケル若しくはコバルトの一旦溶解した表面が滑らかになりレーザー光の反射率が増加するため、レーザー光の照射を開始した初期の補助金属層と同等の温度上昇が望めず、結果として、加工速度が遅くなり穴径を悪くしているとも考えられる。従って、加工穴径の実測値が100μmを確保できる範囲として、図3から判断できるように、ニッケルの場合は2μm厚が上限であり、コバルトの場合は3μm厚が上限となるのである。更に、レーザー穴明け加工のN数を増やし、統計的に判断した結果、加工後の穴径を目標の穴径により安定的に近づけるためには、ニッケルの場合は0.2〜0.8μm厚、コバルトの場合は0.1〜0.9μm厚の範囲であることが、より好ましいものと判断できた。
これらのニッケル層若しくはコバルト層の形成は、単純蒸着やスパッタリング蒸着等の乾式法と、電気化学的手法を用いてのメッキ法のいずれかにより形成することが望ましい。これらの手法は、層厚制御が容易だからである。単純蒸着は、0.13Paレベルの低真空チャンバー内で、ニッケル若しくはコバルトを加熱バスケットに入れ、高温加熱することで蒸発させ銅箔表面へ蒸着するものであり、スパッタリング蒸着は、ニッケル若しくはコバルトのターゲット材を用い、このターゲット材にアルゴン等のイオンを衝突させ、ニッケル若しくはコバルトの原子を弾き出し、銅箔表面に着地させることで補助金属層を形成するものである。これらの製造条件は、生産性を考慮して工程にあったそれぞれの条件を任意に選択すればよい。
電気化学的手法としては、ニッケル層を形成する場合は、ニッケルメッキ液として用いられる溶液を広く使用することが可能である。例えば、(1)硫酸ニッケルを用いニッケル濃度が5〜30g/l、液温20〜50℃、pH2〜4、電流密度0.3〜10A/dmの条件、(2)硫酸ニッケルを用いニッケル濃度が5〜30g/l、ピロリン酸カリウム50〜500g/l、液温20〜50℃、pH8〜11、電流密度0.3〜10A/dm2の条件、(4)硫酸ニッケルを用いニッケル濃度が10〜70g/l、ホウ酸20〜60g/l、液温20〜50℃、pH2〜4、電流密度1〜50A/dmの条件、その他一般のワット浴の条件とする等である。また、電気化学的手法としては、無電解ニッケルメッキ法を採用することも可能である。
コバルト層を形成する場合は、コバルトメッキ液として用いられる溶液を使用することが可能である。例えば、(1)硫酸コバルトを用いコバルト濃度が5〜30g/l、クエン酸三ナトリウム50〜500g/l、液温20〜50℃、pH2〜4、電流密度0.3〜10A/dmの条件、(2)硫酸コバルトを用いコバルト濃度が5〜30g/l、ピロリン酸カリウム50〜500g/l、液温20〜50℃、pH8〜11、電流密度0.3〜10A/dmの条件、(3)硫酸コバルトを用いコバルト濃度が10〜70g/l、ホウ酸20〜60g/l、液温20〜50℃、pH2〜4、電流密度1〜50A/dmの条件とする等である。
上述した本願発明に係る表面処理銅箔と層構成的には同様な、三つめのものとして、銅電解液を電解して得られる電解銅箔の片面に粗化処理を行ったプリント配線板用の表面処理銅箔であって、電解銅箔の粗面の表層に0.05〜2.0μm厚のニッケル層を備え、光沢面に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔がある。そして、四つめの本願発明に係る表面処理銅箔として、銅電解液を電解して得られる電解銅箔の片面に粗化処理を行ったプリント配線板用の表面処理銅箔であって、電解銅箔の粗面の表層に0.03〜3.0μm厚のコバルト層を備え、光沢面に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔もある。
これらの表面処理銅箔の断面模式図を図4に示している。この図4から分かるように、ここでの補助金属層は電解銅箔の粗面側に形成し、基材との接着面として用いるのは微細銅粒を付着形成した光沢面側というものである点が、図1で説明した表面処理銅箔の場合と異なる。この表面処理銅箔を銅張積層板の外層銅箔として用いた場合を考えると、図1で説明した表面処理銅箔を用いた場合は平滑な補助金属層が表層に位置することになるのに対して、電解銅箔の粗面と同様の凹凸を持つ補助金属層が位置することになる。
これらの表面処理銅箔においても、ニッケル層若しくはコバルト層である補助金属層がレーザー光による加工時に果たす役割は図1で説明した表面処理銅箔と同じであり、ニッケル層及びコバルト層の厚さを限定した理由も同じであるため、ここでの重複した説明は省略するものとする。図4で説明した表面処理銅箔の更なる特色としては、この補助金属層が凹凸形状を持っている点にある。従って、補助金属層を設けた効果と凹凸形状を付与した効果により、よりレーザー穴明け加工性が向上するのである。ここで、凹凸形状の持つ効果をレーザー光の反射率との関係から明らかにする。図5には、未処理銅箔の粗面の粗さの違いを利用して、表面粗さとレーザー光反射率との関係を示している。
この図5から明らかとなるように、ある一定の銅箔表面の粗さ(Rz)までは、粗くなるほど、レーザー光反射率が低くなっていることが分かる。即ち、平滑な表面である場合に比べ、多少の凹凸を有する表面であることが、レーザー光の吸収効率を高め照射部位の温度上昇が容易に起こることを裏付けるのである。これは、凹凸を有する表面であると適度にレーザー光を乱反射し、レーザー光の利用効率が上昇するためであると考えられる。
しかしながら、Rzが20.0を越えた領域では、むしろ、反射率が高くなる傾向にあるようである。これは、電解銅箔の厚さで言えば70μm厚以上の粗面粗さに対応するものである。これは、図6に示すように、電解銅箔の粗面の形状が山形の凹凸形状をしており、厚さの厚い銅箔ほど、製造時の電解時間が長くなり、粗面の山形形状の1つ1つのサイズが大きくなるものであり、粗さ測定では単に大きな粗さを持つものとして計測される。しかしながら、レーザー光の反射率を最低のラインに持っていくためには、よりレーザー光の持つ波長と同様の粗さを持つものが最も優れていると言われるように、本件発明のように銅箔の粗面形状を積極的に利用しようとした場合にも、適正な凹凸形状の範囲が存在しているものと考えられる。従って、本件発明において、電解銅箔の粗面を利用するものについては、公称厚さ70μm以下の電解銅箔を用いることが好ましいと判断できるのである。これは、以下で説明するキャリア箔付電解銅箔のキャリア箔として電解銅箔を用いる場合にも重要な要素となる。
電解銅箔の粗面に形成されている凹凸は、図6に示すように、山形の形状となっており、この山形の表面に補助金属層の形成を行うのである。従って、この形状を持つ補助金属層表面にレーザー光の照射が開始されると、山形の凹凸形状の先端部(山形の頂上部)の温度上昇が最も速いと考えられる。通常、突起部と平面部とを持つものを一定の高温雰囲気に入れると、平面部の温度上昇に比べ、突起部は6倍前後の温度上昇速度を示すと言われることと同様の現象が発生すると考えられる。この結果、レーザー光の照射の開始により、補助金属層を形成した粗面の山形の凹凸形状の先端部に急激な温度上昇が発生し、平滑面にレーザー光を照射する場合と比べても、補助金属層の沸点温度に容易に到達し、補助金属層が溶解し、蒸発する。その後、図1で示した表面処理銅箔に関する説明で行ったように、補助金属層と銅箔層との蒸発が連続して続き、銅箔層と基材樹脂層との同時除去が可能となるものと考えられる。
以上に説明した、本願発明に係る表面処理銅箔は、これらの表面処理銅箔を外層銅箔として銅張積層板を製造した後、レーザー穴明け加工を行い、エッチング法で補助金属層を除去し、その後一般的なエッチングプロセスを経て、プリント配線板製造に用いられることになるのである。従って、コンフォーマルマスク法のような、予めのレーザー照射部位の銅箔剥離を必要としないため、回路の位置精度にも優れ、工程を短くすることが可能で、プリント配線板の製造コストを有効に低減させることが可能となるのである。
本願発明に係る表面処理銅箔は、一般に銅箔の表面処理を行う、表面処理機と称する装置を用いて行うことができる。ここで図7を用いて、この製造方法について説明することにする。
この表面処理機では、ロール状に巻き取られた未処理銅箔を一方向から巻きだし、当該未処理銅箔は、適宜水洗処理槽を配し、連続配置した酸洗処理槽、補助金属層形成槽、微細銅粒を形成する粗面化処理槽、防錆処理槽及び乾燥処理部のそれぞれを通過することになる。
このとき、ロール状に巻き取られた未処理銅箔の巻き出し方向を変えることで、銅箔の光沢面若しくは粗面のいずれの面にも所望の補助金属層を形成出来ることになる。巻き出された銅箔が最初に通過することとなる酸洗処理槽とは、いわゆる酸洗処理を行う工程であり、未処理銅箔に付いた油脂成分を完全に除去する脱脂処理及び表面酸化被膜除去を目的に行うものである。この酸洗処理槽に未処理銅箔を通過させることで、未処理銅箔の清浄化を図り、以下の工程での均一電着等を確保するのである。この酸洗処理には、塩酸系溶液、硫酸系溶液、硫酸−過酸化水素系溶液等種々の溶液を用いることが可能で、特に限定する必要性はない。そして、その溶液濃度や液温等に関しては、生産ラインの特質に応じて調整すれば足りるものである。
酸洗処理が終了すると、未処理銅箔は水洗され、補助金属層形成槽に入ることになる。この補助金属層形成層内には、上述したニッケルメッキ液若しくはコバルトメッキ液のいずれかの溶液が満たされており、未処理銅箔が当該補助金属層形成槽を通過する間に所定厚さの補助金属層を銅箔表面に形成することとなるのである。このとき、当該メッキ液中に入った未処理銅箔の片面側に対しアノード電極を平行に離間配置し、未処理銅箔自体をカソード分極することで、補助金属層を銅箔表面上に均一且つ平滑に電析させるのである。以下、電解法を用いる該当槽内では、同様のアノード電極配置を採用するものとする。
そして、補助金属層の形成が終了すると、次には補助金属層を形成したと反対の銅箔表面に微細銅粒を形成する工程として、粗面化処理槽に未処理銅箔は入ることになる。粗面化処理槽内で行う処理は、更に細分化すると、未処理銅箔の上に微細銅粒を析出付着させる工程と、この微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキ工程とで構成される。
未処理銅箔の表面に微細銅粒を析出付着させる工程では、いわゆる銅メッキ液を銅イオンの供給源として用いる。但し、一般的な平滑メッキ条件を採用するのではなく、ここでの電解条件はヤケメッキの条件が採用される。従って、一般的に銅メッキ液に比べ、ここで用いる溶液濃度は、ヤケメッキ条件を作り出しやすいよう、低い濃度となっている。このヤケメッキ条件は、特に限定されるものではなく、生産ラインの特質を考慮して定められるものである。例えば、硫酸銅系溶液を用いるのであれば、濃度が銅5〜20g/l、硫酸50〜200g/l、その他必要に応じた添加剤(α−ナフトキノリン、デキストリン、ニカワ、チオ尿素等)、液温15〜40℃、電流密度10〜50A/dmの条件とする等である。
微細銅粒の脱落を防止するための被せメッキ工程では、析出付着させた微細銅粒の脱落を防止するために、平滑メッキ条件で微細銅粒を被覆するように銅を均一析出させるための工程である。従って、ここでも銅メッキ液を銅イオンの供給源として用いることができる。この平滑メッキ条件は、特に限定されるものではなく、生産ラインの特質を考慮して定められるものである。例えば、硫酸銅系溶液を用いるのであれば、濃度が銅50〜80g/l、硫酸50〜150g/l、液温40〜50℃、電流密度10〜50A/dmの条件とする等である。
防錆処理槽では、銅張積層板及びプリント配線板の製造過程で支障をきたすことの無いよう、電解銅箔層の表面が酸化腐食することを防止するための処理を行う工程である。防錆処理に用いられる方法は、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等を用いる有機防錆、若しくは亜鉛、クロメート、亜鉛合金等を用いる無機防錆のいずれを採用しても問題はない。銅箔の使用目的に合わせた防錆を選択すればよい。有機防錆の場合は、有機防錆剤を浸漬塗布、シャワーリング塗布、電着法等の手法を採用することが可能となる。無機防錆の場合は、電解で防錆元素を電解銅箔層の表面上に析出させる方法、その他いわゆる置換析出法等を用いることが可能である。例えば、亜鉛防錆処理を行うとして、ピロ燐酸亜鉛メッキ浴、シアン化亜鉛メッキ浴、硫酸亜鉛メッキ浴等を用いることが可能である。例えば、ピロ燐酸亜鉛メッキ浴であれば、濃度が亜鉛5〜30g/l、ピロ燐酸カリウム50〜500g/l、液温20〜50℃、pH9〜12、電流密度0.3〜10A/dmの条件とする等である。
乾燥処理部とは、未処理銅箔が、上述の各工程の種々の溶液を満たした槽内を通過し、完成した表面処理銅箔をロール状に巻き取るための最終工程として行われるものである。即ち、ウエットな状態にある完成した表面処理銅箔が、加熱乾燥炉内を通過する工程である。これらの工程を経て、本願発明に係る表面処理銅箔の製造がなされることになるのである。
そして、現在の表面処理銅箔の製造技術レベルから考え、本願発明に係る表面処理銅箔は公称厚さ7μm程度の厚さが薄物化するための限界である。これに対し、本願発明に関するものとして、公称厚さ7μm未満の極薄銅箔を量産することの可能なキャリア箔付電解銅箔について記載している。極薄銅箔はガラス−エポキシ基材、フェノール基材、ポリイミド等の高分子絶縁基材と熱間プレス成形にて張り合わされ銅張積層板とし、高密度配線プリント配線板製造に用いられる。
この熱間プレス成形は、銅箔、Bステージに硬化させたプリプレグ(基材)、その他スペーサーとなる鏡板とを多段に積層し、高温雰囲気下で高圧をかけ、銅箔とプリプレグとを熱圧着し(以下、この工程を「プレス成形」と称する場合がある。)、銅張積層板が得られる。このとき銅箔に皺が存在すると、皺部において銅箔にクラックが生じ、プリプレグから樹脂が染み出したり、後のエッチング工程であるプリント配線板製造工程にて形成回路の断線を起こす原因となることもある。
銅箔に対する皺の発生は、銅箔が薄くなればなるほど、深刻な問題となる。キャリア箔付電解銅箔は、このような問題を解決し、更に熱間成形プレス時の銅箔光沢面への異物混入を防止することの出来る銅箔として知られている。即ち、キャリア箔付電解銅箔は、キャリア箔と電解銅箔とがあたかもラミネートされた如き構成のものであり、キャリア箔の付いたままプレス成形し、銅回路を形成する直前に、キャリア箔を除去することができるのである。これにより電解銅箔のハンドリング時及びプレス時の皺の発生防止、銅張積層板としての表面汚染の防止が可能となるのである。
本明細書においては、「キャリア箔」という名称を用いているが、このキャリア箔は、電解銅箔とあたかも平面的に貼り合わされたような形態で用いられるものである。本明細書における「キャリア箔」は次のような性質を有するものである。本発明に係るキャリア箔付電解銅箔の製造方法を考えると、キャリア箔の表面上に電解銅箔となる銅成分を電析させるので、キャリア箔の少なくとも表面には導電性があることが必要となる。そして、このキャリア箔付電解銅箔は、連続した製造工程を流れ、少なくとも銅張積層板の製造終了時までは、電解銅箔層と接合した状態を維持し、ハンドリングを容易にし、電解銅箔をあらゆる意味で補強し、保護する役割を持つものであるので、キャリア箔は所定の強度を有する必要がある。これらのことを満足するものであれば、「キャリア箔」としての使用が可能であり、一般的には金属箔が想定されるが、これには限定されないものである。
キャリア箔付電解銅箔は、一般にピーラブルタイプとエッチャブルタイプに大別することが可能である。違いを一言で言えば、ピーラブルタイプはプレス成形後にキャリア箔を引き剥がして除去するタイプのものであり、エッチャブルタイプとは、プレス成形後にキャリア箔をエッチング法にて除去するタイプのものである。本願発明に関するものとして、後者のエッチャブルタイプのキャリア箔付電解銅箔と、前者のピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔とを記載している。
ここでは最初に、エッチャブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔について説明する。まず、ひとつめのエッチャブルタイプのキャリア箔付電解銅箔は、キャリア箔層、補助金属層及び電解銅箔層との3層で構成したキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)0.05〜4.0μm未満の平滑面を有する金属材を用い、当該キャリア箔の平滑面側に補助金属層として0.08〜2.0μm厚のニッケル層を備え、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。
そして、二つめのエッチャブルタイプのキャリア箔付電解銅箔は、キャリア箔層、補助金属層及び電解銅箔層との3層で構成したキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)0.05〜4.0μm未満の平滑面を有する金属材を用い、当該キャリア箔の平滑面側に補助金属層として0.05〜3.0μm厚のコバルト層を備え、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。
この2つのエッチャブルタイプのキャリア箔付電解銅箔は、粗さ(Rz)0.05〜4.0μm未満の平滑面を有する金属製のキャリア箔の表面に、所定厚さの補助金属層が位置し、当該コバルト層の表層に電解銅箔層が位置するたキャリア箔付電解銅箔を意味しており、図8に模式断面構造を示している。この銅箔は、銅張積層板に加工した後、キャリア箔をエッチング除去してレーザー加工に用いるものであり、補助金属層表面の形状は、キャリア箔表面の形状によって左右されることになる。従って、キャリア箔表面の粗さと補助金属層の厚さとのバランスが重要なポイントとなってくる。
ここで用いるキャリア箔表面の粗さ(Rz)が0.05μmより小さくなると、キャリア箔に用いる金属材の種類により異なるが、キャリア箔とその上に形成する補助金属層との必要最小限の密着性が維持できず、あまりにも容易に剥離するものとなるのである。
キャリア箔を除去した後の本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔は、図1で説明した表面処理銅箔と同様のものとなる。従って、前述したと同様の理由により、粗さ(Rz)0.05〜4.0μm未満の平滑面を有する金属製のキャリア箔に形成する補助金属層は、ニッケル層とする場合は0.08〜2.0μm厚、コバルト層とする場合は0.05〜3.0μm厚の範囲に制御することが必要となる。ここでも、ニッケル層若しくはコバルト層である補助金属層がレーザー光による加工時に果たす役割は図1で説明した内容と同じであり、ニッケル層及びコバルト層の厚さを限定した理由も同じであるため、ここでの重複した説明は省略するものとする。
そして、三つめのエッチャブルタイプのキャリア箔付電解銅箔は、キャリア箔層、補助金属層及び電解銅箔層との3層で構成したキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Ra)0.05〜4.0μm未満の平滑面を有する金属材を用い、当該キャリア箔の平滑面側に補助金属層として0.03〜1.0μm厚のニッケル層若しくはコバルト層を備え、当該補助金属層の表層に微細銅粒のみからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。図9の断面模式図から分かるように、この電解銅箔層は、微細銅粒のみで構成されており、プリント配線板の回路の導体となるバルク銅が無いため、現実にプリント配線板用途にそのままで使用できるものではない。
ところが、この図9で示すキャリア箔付電解銅箔を銅張積層板の外層銅箔として用いると、次のような使い方が可能になり、レーザー加工性も極めて優れたものとなる。このキャリア箔付電解銅箔を用いて銅張積層板を製造すると、まず最初にキャリア箔をエッチング除去することになる。このキャリア箔の除去が終了すると、銅張積層板の表層にはニッケル若しくはコバルトの補助金属層が位置することになる。従って、この段階でレーザー穴明け加工をすることになる。このときバルク銅が存在しないと、蒸発させる銅量がバルク銅が存在する場合に比べ半分以下の量で済むことになり、微細銅粒分の銅を蒸発させればよいことになる。しかも、微細銅粒は略球体形状をしているため、均一に析出させても一定の凹凸を持ち、レーザー光の反射率を低下させ、レーザー加工効率を上昇させるものとなる。ここに、上述したニッケル若しくはコバルトの沸点を超える熱量が作用し、より容易にレーザー加工が行えるものとなるのである。
この結果、ニッケル層を設ける場合もコバルト層を設ける場合も、その補助金属層の厚さは少なくとも0.03μmであれば、通常の電解銅箔に用いられる微細銅粒のサイズからして、実操業上良好なレーザー穴明け加工が可能となる。そして、通常の微細銅粒の2倍程度の極めて大きな微細銅粒を形成した場合でも補助金属層の厚さは1.0μmあれば、良好なレーザー加工が可能となるのである。但し、上述した平滑な面に補助金属層を形成する場合と同様に、ニッケルの場合には2μm、コバルトの場合は3μmを上限としても差し支えない。
そして、レーザー加工が終了すると、ニッケル層若しくはコバルト層をエッチングにより除去し、微細銅粒のみを銅張積層板表面に残すのである。その後、ビアホール、スルーホール等の導通確保のためのメッキ処理時に、ビアホール、スルーホール等の内壁面に銅を析出させると同時に、銅張積層板の微細銅粒の表面にバルク銅層を同時形成するのである。このようにすれば、バルク銅層が薄いまま、以下一般的なエッチングプロセスで、プリント配線板を製造することが可能となるのである。
この手法を採用すると、バルク銅層の厚みをエッチングラインの中で任意に設定することが可能であり、ファインピッチラインの形成にも非常に有利なものとなる。なお、本件明細書で、「微細銅粒のみからなる電解銅箔層」と記載しているのは、バルク層を有していないことを表すために用いたものであり、防錆層等の一般的に銅箔に施される表面処理までをも除外したことを意味するものではない。
更に、四つめの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔では、キャリア箔層、補助金属層及び電解銅箔層との3層で構成したキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有する金属材を用い、当該キャリア箔の粗面側に補助金属層として0.05〜2.0μm厚のニッケル層を備え、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔とし、加えて、五つめのキャリア箔層、補助金属層及び電解銅箔層との3層で構成したキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有する金属材を用い、当該キャリア箔の粗面側に補助金属層として0.03〜3.0μm厚のコバルト層を備え、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。
これらの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔は、粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有する金属製のキャリア箔の表面に、0.05〜2.0μm厚のニッケル層若しくは0.03〜3.0μm厚のコバルト層を備え、当該コバルト層の表層に電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔を意味しており、図10に模式断面構造を示している。この銅箔は、銅張積層板に加工した後、キャリア箔をエッチング除去してレーザー加工に用いるものであり、補助金属層表面の形状は、キャリア箔表面の形状によって左右されることになり、補助金属層はキャリア箔の粗面形状が転写することになってくる。

従って、キャリア箔を除去した後の図10に示すキャリア箔付電解銅箔は、図4で説明した表面処理銅箔と同様のものとなる。従って、前述した内容と同様の理由により、粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有する金属製のキャリア箔に形成する補助金属層は、ニッケル層とする場合は0.05〜2.0μm厚、コバルト層とする場合は0.03〜3.0μm厚の範囲に制御することが必要となる。ここでも、ニッケル層若しくはコバルト層である補助金属層がレーザー光による加工時に果たす役割は、図1で説明した表面処理銅箔と同じであり、ニッケル層及びコバルト層の厚さを限定した理由も同じであるため、ここでの重複した説明は省略するものとする。
さらに、六つめの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔として、キャリア箔層、補助金属層及び電解銅箔層との3層で構成したキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有する金属材を用い、当該キャリア箔の粗面側に補助金属層として0.03〜1.0μm厚のニッケル層若しくはコバルト層を備え、当該補助金属層の表層に微細銅粒のみからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としており、図11に模式断面図を示す。このキャリア箔付電解銅箔は、図9で説明したキャリア箔付電解銅箔のキャリア箔の補助金属層を形成する面の粗さが異なったのみである。従って、図9で示したキャリア箔付電解銅箔の説明として行った効果に加え、キャリア箔の粗面の粗さのもたらす効果が加わることになる。この粗面を用いることで生じる効果は、図4に示した表面処理銅箔で行った説明と同様であり、重複した記載となるため省略する。
本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔で、キャリア箔を金属材と限定したのは、キャリア箔を除去する手段がエッチング法を用いることを前提としているためである。従って、有機性導電フィルム等を考慮しなかったのは、現段階において、これらの有機性フィルムを有効に膨潤除去等することの可能な有効なエッチング法に準ずる有効な手段を見いだせないためである。
よって、本願発明のキャリア箔付電解銅箔でキャリア箔に用いる金属材は、アルミニウム、銅、鉄基合金材等を想定している。本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔においてキャリア箔の平滑面を用いる場合は、上記素材の適当な圧延材を用いることも可能である。このキャリア箔の厚さは、特に限定せられるものではないが、製造方法及び装置の構造から自ずとその上限値が定まるものである。以下に述べるいわゆる表面処理機を用いて製造を行う場合は、キャリア箔自体が装置内を蛇行走行するものであるため、蛇行走行する際のキャリア箔の走行形態を安定化させること及び、最終的にキャリア箔付電解銅箔として巻き取って製品化することを考慮すれば、アルミニウム及び銅の場合が210μm厚、鉄基合金の場合が180μmが上限厚さと言える。
キャリア箔の下限値は、上述したキャリア箔としての最も重要な役割は、電解銅箔層、特に極薄銅箔層のサポートにあると考えられる。従って、この役割を十分に果たすためには、キャリア箔の構成材料に左右されることなく、少なくとも、5μmの厚さが要求されるものと考えられる。
そして、本願発明に関する、エッチャブルタイプのキャリア箔付電解銅箔では、前述した様に、粗さ(Rz)0.05μm〜4.0μm未満の平滑面を有する金属製のキャリア箔の使用を予定するものと、キャリア箔に粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有する、異なる金属製のものを用いることを予定している。前者の粗さ範囲は、キャリア箔に公称厚さ12〜210μm厚までのいずれの厚さのの電解銅箔の光沢面を用いてもよい。そして、後者は、前述した銅箔の粗面粗さとレーザー光反射率との関係を考慮し、キャリア箔に公称厚さ12〜70μm厚の電解銅箔の粗面を用いることが有用である。
電解銅箔は、電解工程と表面処理工程とを経て製造されるものであるが、このキャリア箔として用いる電解銅箔は、防錆等の表面処理の有無を問題とするものではない。未処理の電解銅箔は、ドラム形状をした回転陰極と、その回転陰極の形状に沿って対向配置するアノード陽極との間に、硫酸銅溶液を流し、電解反応を利用して銅を回転陰極のドラム表面に析出させ、この析出した銅は箔状態となり、回転陰極から連続して引き剥がして巻き取り、製造されるものである。この段階の銅箔が、未処理電解銅箔(析離箔)である。
この析離箔の回転陰極と接触した状態から引き剥がされた面は、鏡面仕上げされた回転陰極表面の形状が転写したものとなり、光沢を持ち滑らかな面であるため光沢面と称する。これに対し、析出サイドであった方の析離箔の表面形状は、析出する銅の結晶成長速度が結晶面ごとに異なるため、図6に示した如き山形の凹凸形状を示すものとなり、これを粗面と称する。通常は、この粗面が銅張積層板を製造する際の絶縁材料との張り合わせ面となるのである。
このようにして形成された電解銅箔の光沢面は、一般に粗さ(Rz)0.05μm〜4.2μmの粗さを持つので、この中から粗さ(Rz)0.05μm〜4.0μm未満の粗さの光沢面を持つ銅箔を選択使用すればよいのである。この光沢面は、回転陰極ドラムの面形状の転写であるため、厚さにより左右されるものではないため、上述したキャリア箔の厚さに関する理由と合わせて公称厚さ12〜210μm厚の量産ベースの電解銅箔の使用が可能である。一方、電解銅箔の粗面は、一般に粗さ(Rz)4.0μm〜26.0μmの粗さを持つので、この中から粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗さの粗面を持つ銅箔を選択使用すればよいのである。従って、この粗さ範囲に入る粗面を持つ電解銅箔であれば、どのような厚さの銅箔の使用も可能であるが、公称厚さ12〜70μm厚の電解銅箔を用いることが望ましいものとなる。これは、前述した銅箔粗面の反射率を考慮することにより定まるものである。
そして、以上に述べたエッチャブルタイプの本願発明に関する、レーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔の製造方法としては、上述した表面処理機を用いて製造することが望ましい。キャリア箔は、一般にロール状として存在し、このロール状のキャリア箔を連続して切れ目無く処理することが、生産歩留まりの観点から好ましいからである。
そこで、本件発明者等は、ロール状に巻き取られたキャリア箔を一方向から巻きだし、当該キャリア箔は、適宜水洗処理槽を配した電解銅箔層の形成工程として、連続配置した酸洗処理槽、補助金属層形成槽、電解銅箔層となるバルク銅層の形成槽、バルク銅層の表面に形成する微細銅粒を形成する粗面化処理槽、防錆処理槽及び乾燥処理部のそれぞれを通過することにより、キャリア箔上に補助金属層及び電解銅箔層を連続形成するのである。具体的には、図12の表面処理機の概略断面図に示すようになる。
配置した槽順に説明するが、酸洗処理槽とは、上述した本願発明に係る表面処理銅箔の製造方法で説明したと同様であるため省略する。そして、キャリア箔の表面に形成する補助金属層形成層及びその補助金属層の形成に用いる溶液も前述したと同様で合うため、重複した記載は省略する。
補助金属層の形成が終了すると、続いて、その補助金属層上に電解銅箔のバルク銅層の形成が行われる。バルク銅の形成槽では、硫酸銅系溶液、ピロ燐酸銅系溶液等の銅イオン供給源として使用可能な溶液を用い、特に限定されるものではない。例えば、硫酸銅系溶液であれば、濃度が銅30〜100g/l、硫酸50〜200g/l、液温30〜80℃、電流密度1〜100A/dmの条件、ピロ燐酸銅系溶液であれば、濃度が銅10〜50g/l、ピロ燐酸カリウム100〜700g/l、液温30〜60℃、pH8〜12、電流密度1〜10A/dmの条件とする等である。ここでは、当該溶液中に、補助金属層を形成したキャリア箔を浸漬し、補助金属層を形成したキャリア箔の面に対しアノード電極を平行配置し、キャリア箔自体をカソード分極することで、バルク銅層を形成する銅成分を補助金属層上に均一且つ平滑に電析させるのである。以下、電解法を用いる該当槽内では、同様のアノード電極配置を採用するものとする。
このとき、バルク銅層の形成槽において、バルク銅の形成を行わなければ、キャリア箔に電解銅箔としての微細銅粒のみが形成された、本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔が容易に得られることになる。
そして、バルク銅層の形成が終了すると、次にはバルク銅層の表面に微細銅粒を形成する工程として、粗面化処理槽にキャリア箔は入ることになる。バルク銅を形成しない場合は、直接補助金属層の上に微細銅粒の形成を行うことになる。ここでの粗面化処理槽内で行う処理及び条件、防錆処理の内容、乾燥処理工程は、上述した本願発明に係る表面処理銅箔の製造を行う場合と同様であるため、ここでの詳細な記載は省略する。
次いで、ピーラブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔について説明する。まず、一つめの本願発明に関する、ピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔としては、キャリア箔の表面上に、接合界面層を備え、その接合界面層上に補助金属層及び電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)0.05μm〜4.0μm未満の平滑面を有するフィルム若しくは金属材を用い、当該キャリア箔の平滑面側に有機剤若しくは金属材を用いて形成した接合界面層を備え、当該接合界面層の表層に補助金属層として0.08〜2.0μm厚のニッケル層を形成し、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。この模式断面が図13に示したものである。
また、二つめの本願発明に関する、ピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔としては、キャリア箔の表面上に、接合界面層を備え、その接合界面層上に補助金属層及び電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)0.05μm〜4.0μm未満の平滑面を有するフィルム若しくは金属材を用い、当該キャリア箔の平滑面側に有機剤若しくは金属材を用いて形成した接合界面層を備え、当該接合界面層の表層に補助金属層として0.05〜3.0μm厚のコバルト層を備え、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。この模式断面が図13に示したものである。
そして、三つめの本願発明に関する、ピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔としては、キャリア箔の表面上に、接合界面層を備え、その接合界面層上に補助金属層及び電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)0.05μm〜4.0μm未満の平滑面を有するフィルム若しくは金属材を用い、当該キャリア箔の平滑面側に有機剤若しくは金属材を用いて形成した接合界面層を備え、当該接合界面層の表層に補助金属層として0.03〜1.0μm厚のニッケル層若しくはコバルト層を備え、当該補助金属層の表層に微細銅粒のみからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔とし、バルク層を有さないキャリア箔付電解銅箔としている。この模式断面図が図14に示したものである。
さらに、四つめの本願発明に関する、ピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔としては、キャリア箔の表面上に、接合界面層を備え、その接合界面層上に補助金属層及び電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有するフィルム若しくは金属材を用い、当該キャリア箔の粗面側に有機剤若しくは金属材を用いて形成した接合界面層を備え、当該接合界面層の表層に補助金属層として0.05〜2.0μm厚のニッケル層を備え、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。この模式断面が図15に示したものである。
五つめの本願発明に関する、ピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔としては、キャリア箔の表面上に、接合界面層を備え、その接合界面層上に補助金属層及び電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有するフィルム若しくは金属材を用い、当該キャリア箔の粗面側に有機剤若しくは金属材を用いて形成した接合界面層を備え、当該接合界面層の表層に補助金属層として0.03〜3.0μmのコバルト層を形成し、当該補助金属層の表層にバルク層と微細銅粒とからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。この模式断面が図15に示したものである。
さらに、六つめの本願発明に関する、ピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔としては、キャリア箔の表面上に、接合界面層を備え、その接合界面層上に電解銅箔層を備えたキャリア箔付電解銅箔であって、キャリア箔には粗さ(Rz)4.0μm〜20.0μmの粗面を有するフィルム若しくは金属材を用い、当該キャリア箔の粗面の表層に有機剤若しくは金属材を用いて形成した接合界面層を備え、当該接合界面層の表層に補助金属層として0.03〜1.0μmのニッケル層若しくはコバルト層を備え、当該コバルト層の表層に微細銅粒のみからなる電解銅箔層を備えたレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔としている。この模式断面が図16に示したものである。
以上のことから分かるように、ピーラブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔は、上記したエッチャブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔のキャリア箔と補助金属層との界面に有機剤を用いた接合界面を設けた点で相違するものである。従って、ここで用いるキャリア箔に対する考え方、ニッケル若しくはコバルトの補助金属層の果たす役割、厚さ領域の数値の持つ意味、微細銅粒のみの電解銅箔層とする意味については同様であるため、重複した説明となるため省略する。
そして、ピーラブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔の製造方法に関しても、上記したエッチャブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔の製造方法と異なるのは、キャリア箔の酸洗処理後に有機接合界面形成層を設け、有機接合界面の形成を行って、補助金属層の形成を行うのである。このことから、本願では、ピーラブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔の製造方法であって、ロール状に巻き取られたキャリア箔を一方向から巻きだし、当該キャリア箔は、適宜水洗処理槽を配した電解銅箔層の形成工程として、連続配置した酸洗処理槽、接合界面形成槽、補助金属層形成層、電解銅箔層となるバルク銅層の形成槽、バルク銅層の表面に形成する微細銅粒を形成する粗面化処理槽、防錆処理槽及び乾燥処理部のそれぞれを通過することにより、キャリア箔上に有機系剤による接合界面層及び電解銅箔層を連続形成することを特徴とするキャリア箔付電解銅箔の製造方法としているのである。この製造方法のフローを図17に示す。
この接合界面形成層で金属材を用いた接合界面を形成する場合は、キャリア箔の1m2あたり、約500〜1500mgの亜鉛を電着させる方法を採用し、亜鉛層を形成することが好ましい。他の異種金属を用いる場合より、引き剥がし強度の安定性の確保が容易だからである。しかしながら、この金属材を用いた接合界面層は、以下に説明する有機剤を用いた接合界面層に比べれば、キャリア箔と補助金属層との引き剥がし安定性に欠けるものとなるのである。
この接合界面の形成に有機剤を用いることで、キャリア箔と補助金属層との界面の引き剥がし強度を低位でより安定させ、銅張積層板製造の高温プレス成形の後の、キャリア箔の引き剥がし強度を、人間の手作業で容易に剥離させることの出来るレベルにコントロールすることが可能となるのである。しかも、従来の接合界面層に金属系材を用いた場合にみられた、引き剥がしが不能な状態や、引き剥がし後にキャリア箔の断片が銅箔表面に残留するような不良は、完全に無くすことが可能となるのである。
ここでいう有機剤は、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上からなるものを用いることが好ましい。
窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸のうち、窒素含有有機化合物には、置換基を有する窒素含有有機化合物を含んでいる。具体的には、窒素含有有機化合物としては、置換基を有するトリアゾール化合物である1,2,3−ベンゾトリアゾール(以下、「BTA」と称する。)、カルボキシベンゾトリアゾール(以下、「CBTA」と称する。)、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア(以下、「BTD−U」と称する。)、1H−1,2,4−トリアゾール(以下、「TA」と称する。)及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール(以下、「ATA」と称する。)等を用いることが好ましい。
硫黄含有有機化合物には、メルカプトベンゾチアゾール(以下、「MBT」と称する。)、チオシアヌル酸(以下、「TCA」と称する。)及び2−ベンズイミダゾールチオール(以下、「BIT」と称する)等を用いることが好ましい。
カルボン酸は、特にモノカルボン酸を用いることが好ましく、中でもオレイン酸、リノール酸及びリノレイン酸等を用いることが好ましい。
以上に述べた有機剤の使用方法を、キャリア箔上への接合界面層の形成方法について述べつつ、説明することとする。キャリア箔上への接合界面層の形成は、上述した有機剤を溶媒に溶解させ、その溶媒中にキャリア箔を浸漬させるか、接合界面層を形成しようとする面に対するシャワーリング、噴霧法、滴下法及び電着法等を用いて行うことができ、特に限定した手法を採用する必要性はない。このときの溶媒中の有機系剤の濃度は、上述した有機系剤の全てにおいて、濃度0.01g/l〜10g/l、液温20〜60℃の範囲が好ましい。有機系剤の濃度は、特に限定されるものではなく、本来濃度が高くとも低くとも問題のないものである。
また、有機剤による接合界面層の形成は、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択される1種又は2種以上を混合した溶液を用いて形成したものでも、あるいは、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物及びカルボン酸の中から選択された1種の有機剤若しくは2種以上を混合した有機剤を複数回繰り返し塗布することにより形成するものであってもよい。これにより、より精度の高い接合界面層の厚さ制御が可能となる。
接合界面層の形成原理からすると、上述の有機剤は、次のような理由によりキャリア箔表面上に安定的に存在するものと考える。例えば、金属であるキャリア箔に有機剤の接合界面層を形成する場合、キャリア箔の表層に形成されている金属酸化被膜である酸化補助金属層に対し、有機剤が吸着することになる。そして、その酸化補助金属層に吸着した状態から、表層に存在する酸素等の結合子と結びつき、接合界面層を形成する有機剤が安定するものと推測している。従って、有機剤の濃度が高いほど有機剤がキャリア箔表面に吸着する速度が速くなると言え、基本的に有機剤の濃度は製造ラインの速度に応じて定められるものである。キャリア箔と溶媒に溶解させた有機剤とを接触させる時間も製造ラインの速度から決まり、実用的には5〜60秒の接触時間となる。
これらのことを考慮した結果、下限値である有機系剤の濃度0.01g/lよりも低い濃度となると、短時間でのキャリア箔表面への吸着は困難であり、しかも形成される接合界面層の厚さにバラツキが生じ、製品品質の安定化が不可能となるのである。一方、上限値である10g/lを越える濃度としても、特に有機剤のキャリア箔表面への吸着速度が添加量に応じて増加するものでもなく、生産コスト面から見て好ましいものとは言えないためである。
述した有機剤を使用することにより、接合界面層を形成する際の量的制御を容易にし、キャリア箔と補助金属層を備えた電解銅箔との接合強度を一定の範囲に納めることが可能となる。しかも、熱的安定性にすぐれ、プレス後の引き剥がし強度の安定性を確保することが可能となる。
キャリア箔と電解銅箔とを引き剥がした際に、有機剤は、補助金属層の表層にも有機被膜として転写しているため、電解銅箔の防錆層としての役割をも果たすものとなる。そして、この有機被膜は、希硫酸、希塩酸等の溶液で酸洗する事で容易に除去することが可能なものであり、プリント配線板の製造工程に悪影響を与えるものではない。
これらの有機剤は、本来一般に、導電性材料ではなく、絶縁性を有する材料ある。従って、ピーラブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔は、キャリア箔自体を陰極として分極し、キャリア箔上に形成した有機剤からなる接合界面層上に直接的に銅を電解析出させるものであり、接合界面層を通しての通電可能な状態とする必要がある。即ち、有機剤からなる接合界面層の厚さは自ずと限界が生じ、適正な引き剥がし強度の確保を可能とし、しかも銅の安定した電解析出が可能な厚さとする必要がある。
従って、有機剤をどのような濃度の溶媒を用いて、いかなる処理時間で接合界面層を形成するかが重要なのではなく、結果として形成された接合界面層の厚さ、言い換えると、接合界面に存在する有機剤の量が重要となるのである。このことから、有機系剤を用いた接合界面層の厚さが、好ましくは1nm〜1μmの範囲であることを明らかにしている。
ここに明記した厚さ範囲で、適正な剥離強度の確保が可能で、しかも銅の安定した電解析出が可能となるのである。即ち、接合界面層に用いる有機系剤の量(厚さ)が、下限値である1nmを下回る厚さでは、有機系剤からなる接合界面層の厚みにバラツキが生じ、均一な接合界面層が形成できない。その結果として、プレス成形後の安定した適正な引き剥がし強度が得られず、場合によってはキャリア箔を引き剥がせないことになる。
上限値である1μmを越えると、通電状態が不安定になり、銅の析出状況が不安定で、均一な厚さの電解銅箔層の形成が困難となる。また、長時間掛けて銅を析出させても、安全にプレス成形を終了することのできる程度の、最低必要とされる引き剥がし強度を満足しないものとなる。そして、接合界面層の厚さが更に大きくなると、完全に通電不能な状態となる。
接合界面層の厚さはnm〜μmレベルと、非常に薄いものであるため、その測定には、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いるか、化学定量分析法、表面抵抗測定法等を用いて分析することが可能である。
ここでいう「適正な引き剥がし強度」とは、JIS−C−6481に準拠して測定した場合の値が、1〜300gf/cmの範囲のものと考えている。これは、従来のピーラブルタイプのキャリア箔付電解銅箔の使用実績を考慮し、経験上得られた適正と考えられるキャリア箔と電解銅箔との界面における引き剥がし強度(剥離強度)に、当該キャリア箔付電解銅箔の使用者の理想的な要求値を加味したものとしての範囲である。キャリア箔と電解銅箔との界面における引き剥がし強度が、低いほど剥離作業は容易になる。しかしながら、引き剥がし強度が、1gf/cm未満であると、キャリア箔付電解銅箔の製造時の巻き取り、銅張積層板の製造時等に自然にキャリア箔と電解銅箔とが部分的に剥離してふくれ、ズレ等の不良が発生する原因となる。一方、引き剥がし強度が、300gf/cmを越えた場合は、本件特許発明の特徴である容易にキャリア箔が引き剥がせるというイメージのものではなく、引き剥がしに際し、特殊な引き剥がし装置を用いる等の手法が必要となるのである。
このとき、ピーラブルタイプの本願発明に関するレーザー穴明け加工用のキャリア箔付電解銅箔を用いると、銅張積層板を製造した後、銅張積層板からキャリア箔から極めて容易に引き剥がすことが可能となるのである。従って、本願発明では、本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔を用いて得られる銅張積層板とし、キャリア箔を引き剥がして以降は、上記した本願発明に係る表面処理銅箔を用いた場合と同様の効果を得ることが可能で、ファインピッチ回路用プリント配線板の製造コストを有効に低減させるものとなる。
本発明に係る表面処理銅箔を銅張積層板の外層銅箔として用いることで、従来のコンフォーマルマスク法のように、レーザー光を照射する部位の銅箔を予め剥離する必要はなく、銅張積層板の銅箔層と機材樹脂層とを同時に穴明けすることが容易に可能となる。これは、プリント配線板製造にかかるコストを大幅に低減することとなり、しかも位置精度に優れた回路基板の製造を可能とするものである。
以下、本件発明に係るレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔及びキャリア箔付電解銅箔の製造方法にとレーザー穴明け結果について、実施形態として説明する。なお、レーザー穴明け試験は、レーザー穴明け性の優劣がより鮮明にわかりやすいよう、16mJの低パルスエネルギーを用いて行った。レーザー照射条件は、以下の全ての実施形態において、周波数2000Hz、マスク径5.0mm、パルス幅60μsec.、パルスエネルギー16.0mJ(但し、第1実施形態〜第4実施形態までは20.0mJ)、オフセット0.8、レーザー光径140μmとし、種々の厚さの銅箔を用いた銅張積層板に110μmの加工径の穴を形成することを予定して行ったものである。従って、本件発明者等は判断基準として、加工後の穴径が100〜110μmとなった範囲で、加工が良好に行われたものと判断した。更に、実施形態中共通した符号を付すことのできるものは極力共通の符号を用いている。
第1実施形態: 本実施形態においては、一つめの本願発明に係る表面処理銅箔1に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図7として示したものであり、巻き出された公称厚さ9μmの銅箔を製造するための析離箔3が、製造装置2の各槽を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、析離箔3の光沢面4側へ1μ厚のニッケルを用いた補助金属層5を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行う。
巻き出された析離箔3は、最初に酸洗処理槽6に入る。酸洗処理槽6の内部には濃度150g/l、液温30℃の希硫酸溶液が満たされており、浸漬時間30秒として、析離箔3に付いた油脂成分を除去し、表面酸化被膜の除去を行った。酸洗処理槽6を出た析離箔3は、補助金属層形成槽7に入ることになる。補助金属層形成槽7の中には、硫酸ニッケルを用いニッケル濃度が20g/l、液温40℃、pH3の溶液を満たし、析離箔3自体をカソード分極し、電流密度8A/dmで電解を行い、析離箔3の光沢面4に補助金属層5として1μm厚のニッケル層を形成した。このとき、平板のアノード電極Aは、析離箔3の光沢面4に対して、図17中に示すように平行に離間配置した。
補助金属層5の形成がなされると、続いて、析離箔3の粗面8に粗化処理を施すため、析離箔3の粗面8に微細銅粒9を形成する工程として、粗化処理槽10に析離箔3は入ることになる。粗化処理槽10内で行う処理は、析離箔3の粗面8の上に微細銅粒9を析出付着させる工程10aと、この微細銅粒9の脱落を防止するための被せメッキ工程10bとで構成される。
粗面8の上に微細銅粒9を析出付着させる工程10aでは、硫酸銅溶液であって、濃度が100g/l硫酸、18g/l銅、液温25℃、電流密度10A/dm2のヤケメッキ条件で10秒間電解した。このとき、平板のアノード電極Aは、析離箔3の粗面8に対し、図7中に示すように平行に離間配置した。
微細銅粒9の脱落を防止するための被せメッキ工程10bでは、硫酸銅溶液であって、濃度150g/l硫酸、65g/l銅、液温45℃、電流密度15A/dmの平滑メッキ条件で20秒間電解した。このとき、平板のアノード電極Aの配置は、微細銅粒9を析出付着させる工程10Aと同様である。
防錆処理槽11では、防錆元素として亜鉛を用いて微細銅粒を付着形成した粗化面に対し防錆処理を行った。ここでは、アノード電極として亜鉛板を用いた溶解性アノード12を用い、防錆処理槽11内の亜鉛の濃度バランスを維持するものとした。ここでの電解条件は、硫酸亜鉛浴を用い、70g/l硫酸、20g/l亜鉛の濃度とし、液温40℃、電流密度15A/dmとした。このとき、平板の溶解性アノード電極12は、析離箔3の粗面8に対し、図7中に示すように平行に離間配置した。
防錆処理が終了すると、最終的に析離箔3は、乾燥処理部13で電熱器により雰囲気温度110℃に加熱された炉内を40秒かけて通過し、完成した表面処理銅箔1としてロール状に巻き取った。以上の各槽毎の工程間には、約15秒間の水洗可能な水洗層14を設けて洗浄し、前処理工程の溶液の持ち込みを防止している。
この表面処理銅箔を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、レーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率(以上及び以下において、レーザー穴明け加工の可能であった割合を言うものとする。)100%、開口径分布103〜108μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第2実施形態: 本実施形態においては、二つめの本願発明に係る表面処理銅箔1に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図7として示したものであり、巻き出された公称厚さ9μmの銅箔を製造するための析離箔3が、製造装置2の各槽を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、析離箔3の光沢面4側へ1μ厚のコバルトを用いた補助金属層5を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、補助金属層形成槽7の内部を満たす溶液が異なるのみで、その他第1実施形態と同様であるため、共通する部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
酸洗処理槽6を出た析離箔3は、補助金属層形成槽7に入ることになる。補助金属層形成槽7の中には、硫酸コバルトを用いコバルト濃度が20g/l、クエン酸三ナトリウム200g/l、液温35℃、pH3、電流密度7A/dmの条件で電解を行い、析離箔3の光沢面4に補助金属層8として1μm厚のコバルト層を形成したのである。その他の製造条件は、第1実施形態と同様である。
この表面処理銅箔1を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、レーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布105〜111μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第3実施形態: 本実施形態においては、三つめの本願発明に係る表面処理銅箔1に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図7として示したものであり、巻き出された公称厚さ9μmの銅箔を製造するための析離箔3が、製造装置2の各槽を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、析離箔3の粗面8側へ1μ厚のニッケルを用いた補助金属層5を形成したのである。
以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、製造条件は第1実施形態として示した内容と全く同様であるため、共通する部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。異なるのは、表面処理機2の析離箔3の巻き出し方を変え、表面処理機2内を走行する銅箔の表裏が第1実施形態の場合と反転させる点だけである。このようにして析離箔3の粗面8側に補助金属層5を形成し、光沢面4側に微細銅粒を付着形成するのである。
このようにして得られた表面処理銅箔1を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、レーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布105〜110μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第4実施形態:本実施形態においては、四つめの本願発明に係る表面処理銅箔1に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図7として示したものであり、巻き出された公称厚さ9μmの銅箔を製造するための析離箔3が、製造装置2の各槽を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、析離箔3の粗面8側へ1μ厚のコバルトを用いた補助金属層5を形成したのである。
以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、製造条件は第2実施形態として示した内容と全く同様であるため、共通する部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。異なるのは、表面処理機2の巻き出し方を変え、表面処理機2内を走行する銅箔の表裏が第2実施形態の場合と反転させる点だけである。このようにして析離箔3の粗面8側に補助金属層5を形成し、光沢面4側に微細銅粒を付着形成するのである。
このようにして得られた表面処理銅箔1を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布105〜108μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第5実施形態: 本実施形態においては、一つめのエッチャブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図12として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、光沢面4側へ1μm厚のニッケル層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行う。
巻き出されたキャリア箔20は、最初に酸洗処理槽6に入る。酸洗処理槽6の内部には濃度150g/l、液温30℃の希硫酸溶液が満たされており、浸漬時間30秒として、キャリア箔20に付いた油脂成分を除去し、表面酸化被膜の除去を行った。
酸洗処理槽6を出たキャリア箔20は、続いて、キャリア箔20の光沢面4に補助金属層5の形成を行う補助金属層形成層7に入ることになる。補助金属層形成槽7の中には、硫酸ニッケルを用いニッケル濃度が20g/l、液温40℃、pH3の溶液を満たし、キャリア箔20自体をカソード分極し、電流密度8A/dmで電解を行い、補助金属層5として1μm厚のニッケル層を形成した。このとき、平板のアノード電極Aは、キャリア箔3の光沢面4に対して、図12中に示すように平行に離間配置した。
補助金属層5の形成が終了すると、その上に電解銅箔層21のバルク銅層23の形成が行われる。バルク銅層形成槽24の内には、濃度150g/l硫酸、65g/l銅、液温45℃の硫酸銅溶液を満たした。そして、当該溶液中を、補助金属層5を形成したキャリア箔20が通過する間に、バルク銅層23を形成する銅成分が均一且つ平滑に、補助金属層5を形成したキャリア箔20の片面に対し析出させたのである。図11に示すように、平板のアノード電極Aを平行に離間配置し、キャリア箔20自体をカソード分極し、電流密度15A/dmの平滑メッキ条件でバルク銅層23が3μmの厚さとなるよう電解した。
バルク銅層23の形成が終了すると、次にはバルク銅層23の表面に微細銅粒9を形成する工程として、粗化処理槽10にキャリア箔20は入ることになる。粗化処理槽10内で行う処理は、バルク銅層24の上に微細銅粒9を析出付着させる工程10aと、この微細銅粒9の脱落を防止するための被せメッキ工程10bとで構成される。
バルク銅層23の上に微細銅粒9を析出付着させる工程10aでは、前述のバルク銅層形成槽24で用いたと同様の硫酸銅溶液であって、濃度が100g/l硫酸、18g/l銅、液温25℃、電流密度10A/dmのヤケメッキ条件で10秒間電解した。このとき、平板のアノード電極Aは、バルク銅層23を形成したキャリア箔20の面に対し、図12中に示すように平行に離間配置した。
微細銅粒9の脱落を防止するための被せメッキ工程10bでは、前述のバルク銅層形成槽24で用いたと同様の硫酸銅溶液であって、濃度150g/l硫酸、65g/l銅、液温45℃、電流密度15A/dmの平滑メッキ条件で20秒間電解した。このとき、平板のアノード電極Aは、微細銅粒9を析出付着させる工程10aの場合と同様に微細銅粒9を付着形成したキャリア箔20の面に対し、図12中に示すように平行に離間配置した。
防錆処理槽11では、防錆元素として亜鉛を用いて防錆処理を行った。ここでは、アノード電極として亜鉛板を用いた溶解性アノード12を用い、防錆処理槽11内の亜鉛の濃度バランスを維持するものとした。ここでの電解条件は、硫酸亜鉛浴を用い、70g/l硫酸、20g/l亜鉛の濃度とし、液温40℃、電流密度15A/dmとした。
防錆処理が終了すると、最終的にキャリア箔20は、乾燥処理部13で電熱器により雰囲気温度110℃に加熱された炉内を40秒かけて通過し、完成したキャリア箔付電解銅箔1としてロール状に巻き取った。以上の工程で、各槽毎の工程間には、約15秒間の水洗可能な水洗層14を設けて洗浄し、前処理工程の溶液の持ち込みを防止している。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔に用いた銅成分を銅アルカリエッチング液を用い、ニッケル層の損傷を最大限に抑制した。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布107〜113μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第6実施形態: 本実施形態においては、二つめのエッチャブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図12として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、その光沢面4側へ1μm厚のコバルト層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、補助金属層形成槽7の内部を満たす溶液が異なるのみで、その他第5実施形態と同様であるため、共通する部分の説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
酸洗処理槽6を出た析離箔3は、補助金属層形成槽7に入ることになる。補助金属層形成槽7の中には、硫酸コバルトを用いコバルト濃度が20g/l、クエン酸三ナトリウム200g/l、液温35℃、pH3、電流密度8A/dmの条件で電解を行い、キャリア箔20の光沢面4に補助金属層8として1μm厚のコバルト層を形成したのである。その他の製造条件は、第1実施形態と同様である。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔に用いた銅成分を銅アルカリエッチング液を用い、コバルト層の損傷を最大限に抑制した。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布108〜112μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第7実施形態:本実施形態においては、三つめのエッチャブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図12として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、その光沢面4側へ1μm厚のニッケル層を補助金属層5として形成し、微細銅粒9のみからなる電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、第5実施形態におけるバルク銅層23の形成工程を省略したものであり、その他は第5実施形態と同様であるため、重複した記載となるため省略する。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔に用いた銅成分を銅アルカリエッチング液を用い、ニッケル層の損傷を最大限に抑制した。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布110〜115μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。しかも、レーザー加工の終了後に、ニッケル層を市販の剥離液を用いて除去し、層間導通メッキを施すことでバルク銅層を形成し、プリント配線板の製造が可能なことも確認できた。
第8実施形態: 本実施形態においては、四つめのエッチャブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図12として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、その粗面8側へ1μm厚のニッケル層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、処理手順は全く第5実施形態の場合と同様であり、相違するところはない。
異なるのは、表面処理機2のキャリア箔20の巻き出し方を変え、表面処理機2内を走行する銅箔の表裏が第5実施形態の場合と反転させる点だけである。このようにしてキャリア箔20の粗面8側に補助金属層5を形成し、光沢面4側に微細銅粒を付着形成するのである。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔に用いた銅成分を銅アルカリエッチング液を用い、ニッケル層の損傷を最大限に抑制した。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布111〜114μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第9実施形態:本実施形態においては、キャリア箔の粗面側に補助金属層を形成し、この光沢面側に微細銅粒形成した、五つめのエッチャブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図12として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、その粗面8側へ1μm厚のコバルト層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、処理手順は全く第6実施形態の場合と同様であり、相違するところはない。
異なるのは、表面処理機2のキャリア箔20の巻き出し方を変え、表面処理機2内を走行する銅箔の表裏が第6実施形態の場合と反転させる点だけである。このようにしてキャリア箔20の粗面8側に補助金属層5を形成し、光沢面4側に微細銅粒を付着形成するのである。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔に用いた銅成分を銅アルカリエッチング液を用い、コバルト層の損傷を最大限に抑制した。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布112〜115μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第10実施形態:本実施形態においては、キャリア箔の粗面側に補助金属層を形成し、この光沢面側に微細銅粒形成した、六つめのエッチャブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図12として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、その粗面8側へ1μm厚のニッケル層を補助金属層5として形成し、微細銅粒9のみからなる電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行うのであるが、第8実施形態におけるバルク銅層23の形成工程を省略したものであり、その他は第8実施形態と同様であるため、重複した記載となるため省略する。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔に用いた銅成分を銅アルカリエッチング液を用い、ニッケル層の損傷を最大限に抑制した。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布112〜115μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。しかも、レーザー加工の終了後に、ニッケル層を市販の剥離液を用いて除去し、層間導通メッキを施すことでバルク銅層を形成し、プリント配線板の製造が可能なことも確認できた。
第11実施形態:本実施形態においては、一つめのピーラブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図17として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、光沢面4側へ1μm厚のニッケル層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行う。
巻き出されたキャリア箔20は、最初に酸洗処理槽6に入る。酸洗処理槽6の内部には濃度150g/l、液温30℃の希硫酸溶液が満たされており、浸漬時間30秒として、キャリア箔20に付いた油脂成分を除去し、表面酸化被膜の除去を行った。
酸洗処理槽6を出たキャリア箔20は、接合界面形成槽30に入ることになる。接合界面形成槽22の中には、濃度5g/lのCBTAを含む、液温40℃、pH5の水溶液で満たした。従って、キャリア箔20は、走行しつつ当該溶液中に30秒浸漬され、キャリア箔20の表面に接合界面層31を形成した。
以下、この接合界面層31の上に補助金属層5を形成し、その補助金属層5の上にバルク銅層23及び微細銅粒9を形成し、防錆処理を行い、乾燥させることとなるのである。ところが、補助金属層5の形成、バルク銅層23の形成、微細銅粒9の形成、防錆処理槽11の条件及び乾燥処理部13での乾燥条件は、全て第5実施形態と同様であるため、説明は省略する。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔を手作業で引き剥がし、ニッケル層を露出させた。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布106〜112μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第12実施形態: 本実施形態においては、二つめのピーラブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図17として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、光沢面4側へ1μm厚のコバルト層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造件の説明を行う。
巻き出されたキャリア箔20は、最初に酸洗処理槽6に入る。酸洗処理槽6の内部には濃度150g/l、液温30℃の希硫酸溶液が満たされており、浸漬時間30秒として、キャリア箔20に付いた油脂成分を除去し、表面酸化被膜の除去を行った。
酸洗処理槽6を出たキャリア箔20は、接合界面形成槽30に入ることになる。接合界面形成槽22の中には、濃度5g/lのCBTAを含む、液温40℃、pH5の水溶液で満たした。従って、キャリア箔20は、走行しつつ当該溶液中に30秒浸漬され、キャリア箔20の表面に接合界面層31を形成した。
以下、この接合界面層31の上に補助金属層5を形成し、その補助金属層5の上にバルク銅層23及び微細銅粒9を形成し、防錆処理を行い、乾燥させることとなるのである。ところが、補助金属層5の形成、バルク銅層23の形成、微細銅粒9の形成、防錆処理槽11の条件及び乾燥処理部13での乾燥条件は、全て第6実施形態と同様であるため、説明は省略する。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔を手作業で引き剥がし、コバルト層を露出させた。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布106〜112μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第13実施形態:本実施形態においては、三つめのピーラブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図17として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、光沢面4側へ1μm厚のニッケル層を補助金属層5として形成し、微細銅粒9のみからなる電解銅箔層21を形成したのである。以下、各種の槽を直列に連続配置した順序に従って、製造条件の説明を行う。
巻き出されたキャリア箔20は、最初に酸洗処理槽6に入る。酸洗処理槽6の内部には濃度150g/l、液温30℃の希硫酸溶液が満たされており、浸漬時間30秒として、キャリア箔20に付いた油脂成分を除去し、表面酸化被膜の除去を行った。
酸洗処理槽6を出たキャリア箔20は、接合界面形成槽30に入ることになる。接合界面形成槽22の中には、濃度5g/lのCBTAを含む、液温40℃、pH5の水溶液で満たした。従って、キャリア箔20は、走行しつつ当該溶液中に30秒浸漬され、キャリア箔20の表面に接合界面層31を形成した。
以下、この接合界面層31の上に補助金属層5を形成し、その補助金属層5の上に微細銅粒9を形成し、防錆処理を行い、乾燥させることとなるのである。ところが、補助金属層5の形成、微細銅粒9の形成、防錆処理槽11の条件及び乾燥処理部13での乾燥条件は、全て第7実施形態と同様であるため、説明は省略する。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔を手作業で引き剥がし、ニッケル層を露出させた。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布109〜114μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第14実施形態:本実施形態においては、四つめのピーラブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図17として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、粗面8側へ1μm厚のニッケル層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。従って、第11実施形態の製造プロセス及び製造条件と同じであり、重複した記載となるため省略する。
異なるのは、表面処理機2のキャリア箔20の巻き出し方を変え、表面処理機2内を走行する銅箔の表裏が第11実施形態の場合と反転させる点だけである。このようにしてキャリア箔20の粗面8側に補助金属層5を形成し、その補助金属層5の上にバルク銅層23及び微細銅粒9を形成し、防錆処理を行い、乾燥させることとしたのである。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔を手作業で引き剥がし、ニッケル層を露出させた。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布106〜112μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第15実施形態:本実施形態においては、キャリア箔の粗面側に補助金属層を形成し、この光沢面側に微細銅粒形成した、五つめのピーラブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図17として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、粗面8側へ1μm厚のコバルト層を補助金属層5として形成し、3μ厚の電解銅箔層21を形成したのである。従って、第12実施形態の製造プロセス及び製造条件と同じであり、重複した記載となるため省略する。
異なるのは、表面処理機2のキャリア箔20の巻き出し方を変え、表面処理機2内を走行する銅箔の表裏が第11実施形態の場合と反転させる点だけである。このようにしてキャリア箔20の粗面8側に補助金属層5を形成し、その補助金属層5の上にバルク銅層23及び微細銅粒9を形成し、防錆処理を行い、乾燥させることとしたのである。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔を手作業で引き剥がし、コバルト層を露出させた。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布106〜110μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
第16実施形態: 本実施形態においては、キャリア箔の粗面側に補助金属層を形成し、この光沢面側に微細銅粒形成した、六つめのピーラブルタイプの本願発明に関するキャリア箔付電解銅箔15に関して説明する。そして、ここで用いた表面処理機2は、図17として示したものであり、巻き出されたキャリア箔20が、表面処理機2の各槽内を蛇行走行するタイプのものである。ここでは、キャリア箔20に18μm厚のグレード3に分類される析離箔を用い、光沢面4側へ1μm厚のコバルト層を補助金属層5として形成し、微細銅粒9のみからなる電解銅箔層21を形成したのである。従って、第13実施形態の製造プロセス及び製造条件と同じであり、重複した記載となるため省略する。
異なるのは、表面処理機2のキャリア箔20の巻き出し方を変え、表面処理機2内を走行する銅箔の表裏が第13実施形態の場合と反転させる点だけである。このようにしてキャリア箔20の粗面8側に補助金属層5を形成し、その補助金属層5の上にバルク銅層23及び微細銅粒9を形成し、防錆処理を行い、乾燥させることとしたのである。
このようにして得られたキャリア箔付電解銅箔15を4層板の外層銅箔として用いた銅張積層板を製造し、レーザー穴明け加工性能を調べた。キャリア箔の除去は、キャリア箔を手作業で引き剥がし、コバルト層を露出させた。キャリア箔の除去後、レーザー光によるバイアホール形成を行うのであるが、そのレーザーの照射条件は、冒頭に述べた通りであり、100ショットのビアホール形成レーザー加工試験を行い、開口率100%、開口径分布112〜115μmであり、100μmを下回る開口径は存在しなかった。
なお、本件発明者等は、本件発明に係る表面処理箔及びキャリア箔付電解銅箔との比較のため、補助金属層を備えていない電解銅箔を用いて銅張積層板を製造し、同様の炭酸ガスレーザーを用いて、上述したと同様の条件で、ビアホール穴明け試験を行った所、図18に示すように、完全な穴明けができないことを確認した。
表面処理銅箔の模式断面図。 レーザー光による銅箔温度上昇のシュミレート結果。 加工穴径と補助金属層との関係を表す図。 表面処理銅箔の模式断面図。 電解銅箔の粗面粗さとレーザー光反射率との関係。 銅箔粗面のSEM観察像。 表面処理機の模式断面図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 表面処理機の模式断面図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 キャリア箔付電解銅箔の断面模式図。 表面処理機の模式断面図。 炭酸ガスレーザーで加工できなかった穴部の断面図。
符号の説明
1 表面処理銅箔
2 表面処理機
3 析離箔
4 光沢面
5 補助金属層
6 酸洗処理槽
7 補助金属層形成層
8 粗面
9 微細銅粒
10 粗化処理槽
11 防錆処理槽
12 熔解性アノード
13 乾燥処理部
14 水洗槽
15 キャリア箔付電解銅箔
16 亜鉛溶解性アノード
20 キャリア箔
21 電解銅箔層
22 接合界面形成槽
23 バルク銅層
24 バルク銅層形成層

Claims (5)

  1. 銅箔の片面を粗化処理したプリント配線板用の表面処理銅箔であって、
    銅箔の片面側に補助金属層として0.08〜2.0μm厚のニッケル層を備え、他面側に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔。
  2. 銅箔の片面を粗化処理したプリント配線板用の表面処理銅箔であって、
    銅箔の片面側に補助金属層として0.05〜3.0μm厚のコバルト層を備え、他面側に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔。
  3. 銅電解液を電解して得られる電解銅箔の片面に粗化処理を行ったプリント配線板用の表面処理銅箔であって、
    電解銅箔の粗面側に補助金属層として0.05〜2.0μm厚のニッケル層を備え、光沢面側に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔。
  4. 銅電解液を電解して得られる電解銅箔の片面に粗化処理を行ったプリント配線板用の表面処理銅箔であって、
    電解銅箔の粗面側に補助金属層として0.03〜3.0μm厚のコバルト層を備え、光沢面側に微細銅粒による粗化処理を施したことを特徴とするレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔。
  5. 請求項1〜請求項4に記載のレーザー穴明け加工用の表面処理銅箔を用いて得られる銅張積層板。
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