JP2000501142A - プリント回路製造用の銅ホイルとその製法 - Google Patents

プリント回路製造用の銅ホイルとその製法

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Abstract

(57)【要約】 金属亜鉛及び単数または複数の3価クロム化合物を含み、希薄アルカリ水溶液中に溶解させることによって容易に除去でき、好ましくは亜鉛とクロムとの重量比が1:1以上である保護層を銅ホイルの表面に電着することによって、銅ホイル表面を酸化及び曇りから保護する。多層プリント回路板に特に好適な電着銅ホイルは、その無光沢面に保護層を電着され、光沢面に接着力増大処理としての銅電着が施される。

Description

【発明の詳細な説明】 プリント回路製造用の銅ホイルとその製法 発明の分野 この発明は、銅ホイルの表面を曇り及び酸化から保護する方法、及びプリント 回路板、特に多層プリント回路板の製造用材料として好適な電着銅ホイルに係わ る。発明の背景 エレクトロニクス用銅ホイル、例えばプリント回路板用の銅−クラッド積層構 造の製造には、公知の電着法が利用される。この方法では、硫酸銅/硫酸電解液 に一部浸漬した状態で回転する大型ドラムが使用される。鉛、鉛/アンチモン、 白金黒チタン、イリジウムまたは酸化ルテニウムで形成された1対の彎曲した陽 極に前記ドラム陰極を近接対向させる。ドラムも陽極も、それぞれ大型ブスバを 介してD.C.電源と接続し、50,000A以上の電流が使用される。ドラム が電解液内で回転するのに伴ない、ドラム表面に銅が電着され、ドラム表面が電 解液から露出するに従って、電着されている銅が回転するドラムから薄いホイル の形で連続的に剥離され、所要サイズにスリット加工され、巻き取りロールに巻 き取られる。ドラム表面は通常ステンレススチール、チタンまたはクロムで形成 されている。 このような方法で得られたホイルは、未処理の段階で生ホイルと呼称される。 生ホイルは、淡いピンク色を呈し、その両面は、はっきりと判別できる外観を有 する。ドラム表面に電着され、次いで剥離された面、即ち“光沢面”は極めて平 滑であるのに対して、反対の面、即ち、電解液及び陽極の方に向いていた面はビ ロードのような仕上がり状態を呈するので“無光沢面”と呼称される。無光沢面 は3〜10ミクロンの高さを有する間 隔の詰まった円錐群と考えればよく、円錐の高さはホイルの厚さ、電流密度、溶 液組成など、互いに独立の変数に応じて異なる。この面によって、回路板(PC Bs)の製造に使用される銅−クラッド積層構造における接着効果を高めるため の、基板の樹脂に埋め込まれるホイル表面の基本形状が得られる。 ホイルの無光沢面にはある程度の微細凹凸があるが、銅−クラッド積層構造を 形成した後、生ホイルの無光沢面に接着力増大表面処理を施すのが普通である。 “接着力増大処理”とは、積層樹脂に接着し易いように電鋳ホイルの一方または 双方の面を変化させる処理を指す。 接着力増大処理は、“処理装置”と呼ばれる装置で行われ、この装置では、生 ホイルがロールから連続的に繰り出され、(印刷機において紙ウェブが操作され るのと同様の態様で)被駆動ローラによって処理装置へ供給され、接触ローラに よって陰極化され、それぞれのタンクにおいて長方形陽極と対向する単数または 複数のめっきバンクを蛇行して通過する。各タンクは適当な電解液の供給源とD .C.電源を独自に備えている。タンクとタンクとの間で、ホイルはその両面を 完全に洗浄される。接着力増大処理の目的は、ホイルの少なくとも片面、通常は 無光沢面に、銅−クラッド積層構造の形成に使用される基層のポリマー材にホイ ルを確実に結合させる複雑な形状の微細突起を電着することにある。 PCBsの回路素子に対する機械的支持力も、電流搬送能力も、銅ホイルとポ リマーとの間の接着力によって与えられるから、剥離強さ(銅ホイルとこれを支 持している絶縁基材とを引き離すのに要する力)は最も重要な特性である。ホイ ルは、極めて強固かつ確実に基材に接着していなければならず、このよ うな接着が、PCBs製造の全工程を通して初期の接着力を維持しなければなら ない。さらにまた、この接着力は、PCBの使用寿命が終るまで不変でなければ ならない。 この接着処理は、積層構造形成装置において行われ、加熱及び冷却サイクルを 含む。銅ホイルのシートを“プリプレグ”(例えばエポキシ樹脂含浸グラスファ イバ)のシートに重ねる。この双方を、加熱されたプレス板を有する油圧プレス に配置し、高圧下で圧着する。高温において樹脂が液状化し、圧力下にホイル面 の微細凹凸内へ流入する。続く第2サイクルで両シート材が加圧下のまま冷却さ れ、ホイル面の凹凸内で樹脂が凝固して両シート材が強固に接着され、その結果 、双方を引き剥がすことが極めて困難になる。高い剥離力を実現するのは、ホイ ルの無光沢面の役割である。 処理ずみホイルの無光沢面、即ち、ベース・ホイルに処理を施した無光沢面は 、(ドラム装置において電着された)ベース・ホイルの無光沢面に固有の微細な 凹凸と、処理装置においてこの面に施された処理との複合効果を示す。微細凹凸 も接着力増大処理も共に重要である。 数年前まで、PCBsの総生産量の大部分は、片面回路板、及び特に両面回路 板で占められていた。クラシックな銅ホイルは、このような回路板の製造に理想 的な材料である。 図1に示すベース銅ホイル10の拡大断面図から明らかなように、ホイルの両 面は同じではない。ドラム側に形成される面12は、拡大して見ても比較的平滑 なホイル光沢面であり、電解液側に形成される面14、即ち、ホイルの無光沢面 は微細凹凸を有する。図2に示すように、接着力増大処理後の無光沢面は、ポリ マー基材との接着に利用でき、表面積を著しく増大す る球形微細突起16から成る極めて密な、しかも均質なコーティングを有する。 積層処理後のホイル光沢面は、銅−クラッド積層構造の加工面に相当する。即 ち、素子間を電気的に接続するための像パターン形成及びはんだ付けに使用され る基層としての機能を果す。多層PCBs(MLBs)の製造において、ホイル の光沢面は、接着のため化学的手段(褐色酸化物または黒色酸化物処理)によっ て処理される面でもある。 剛性の片面または両面PCBsの製造において重要視される銅ホイルの性質は いくつもあるが、剥離強さは最も重要な性質の1つである。銅クラッドが積層構 造の外面を構成していて、もし剥離強さが充分でなければ、細い銅ホイル配線が 絶縁基材の表面から比較的容易に浮き上がってしまうことに留意しなければなら ない。 ベース・ホイルの無光沢面が持つ“自然な”微細凹凸を銅ホイルのメーカーが 利用する理由もここにあり、ベース・ホイルの段階ですでにポリマーへの潜在的 な“接着適性”を有し、接着力増大処理を施すことによって最大限の最終剥離強 さを与えることができる。PCB市場の主流である多層板の製造に使用される場 合、これは、銅ホイルの必要な特性というよりは、むしろ望ましい特性である。 MLBsの内層の場合、銅ホイルはプリプレグの層間に封入または“サンドウィ ッチ”され、しかも、内層を形成する両面積層シートは極めて薄い。従って、過 剰な接着力増大処理の結果としてしばしば起こる積層シートの絶縁性低下を回避 するためには、“低プロフィル”で、かつ“剥離強さが高過ぎない”銅ホイルで なければならない。 他方、頂面(ホイルの光沢面)がこれを次の内層から分離す るプリプレグに積層されるという事実は、このような接着の信頼性を危うくする 。ホイルの光沢面は極めて平滑であり、“接着適性”はほとんどない。MLBs のメーカーが銅トラックの頂面にいわゆる酸化物処理を施してその接着適性を高 める理由は、ここにある。 MLBsの製造において、内層の銅表面とプリプレグとの間の接着効果を高め るのに、酸化処理の利用が広く行われている。酸化物処理を施さなければ、銅と プリプレグ層との間の接着は、重ねはんだ付けの熱衝撃に耐えることができない 。 MLBs製造分野の誕生期には、内層回路のパターンが現在ほど密ではなかっ たから、プリプレグと内層の支持積層構造との間の接着は重視されなかった。銅 トラックを硬化したプリプレグ中に封入できたからである。ところが、今日では 内部回路が極めて密であり、接着の大部分は支持積層構造に対してではなく銅ト ラックに対して行われる。従って、銅トラックの表面は高い“接着適性”を要求 される。 MLBsの製造に利用される酸化物処理技術は煩雑かつコスト高であり、技術 的に固有の問題を抱えている。その1つが、いわゆる“ピンク・リング”であり 、スルーホールめっきに使用される化学物質が酸化銅層に作用することに起因す る。今日では補足的な工程として褐色酸化物処理が広く採用されている。この工 程では、鉱酸中に溶解し易いCuOとは異なり、銅そのもので接着力増大処理を 行えばピンク・リングが発生しないという事実にかんがみ、酸化第2銅を金属銅 に還元する。ところが、この還元工程が褐色酸化物処理を一段と複雑にし、コス トをさらに押し上げることになる。 ホイルの光沢面に接着力増大処理を施した特殊銅ホイルの方 がMLBsの製造に適していることは、すでに公知である。ホイルのドラム側に 接着力増大処理層を電着した場合の剥離強さ(例えば約8ポンド/インチ)は、 ホイルの無光沢面に同じ処理層を電着した場合の剥離強さ(例えば約12ポンド /インチ)よりも小さくなる。しかしながら、このような剥離強さは、MLBs においては十分である。 MLBsの製造に使用される銅ホイルに関する限り、従来はホイルの光沢面に 施されて極めて低い剥離強さしか生まない褐色酸化物処理を、無光沢面に施す方 が有利であるとの所見を得た。無光沢面は、それ自体が山と谷とから成る形状を 有して微細凹凸を呈するため、剥離力がほとんどゼロの光沢面とは異なり約4ポ ンド/インチというかなり大きい剥離強さを有している。この方法を採用すれば 、極めて少量の褐色酸化物をホイルの無光沢面に電着するだけで、所要レベルの 、例えば7ポンド/インチ程度の剥離強さを得ることができる。褐色酸化物の量 をこのように減らせば、ホイルの光沢面に多量の褐色酸化物を電着しなければな らない場合と比較して、構造を脆くするおそれははるかに少なく、しかも同程度 の剥離強さを得ることができる。従って、酸化第2銅を金属銅に還元する必要が なく、製造の全工程が簡単に、かつ低コストとなり、しかもMLBsの品質(特 に絶縁性、及びはんだ付けの衝撃による積層分離に対する耐性)が改善される。 しかし、この特殊銅ホイルの製法と従来の製法との相違は、接着力増大処理を ベース・ホイルの光沢面に施すか無光沢面に施すかの相違にはとどまらない。 回路パターンをパネルに転写する際には、先ずこの特殊ホイルの無光沢面に“ イメージング”が行われ、次いで褐色酸化物 処理が施されるから、無光沢面を“防錆処理”して曇りや酸化から保護する従来 の方法を商業的に見合うように改良しなければならない。 MLBsのための褐色酸化物処理及び微細エッチング技術に共通の条件として 、亜塩素酸ナトリウムまたは過酸化硫酸微細エッチング溶液が銅表面に到達して 均等に所要の反応または効果を発生させねばならない。従って、防錆層は事前洗 浄液で容易に除去できるか、または褐色酸化物や微細エッチング液が容易に透過 できるものでなければならない。止着性が強過ぎる防錆層は、銅の表面と処理剤 との間に不透過性の遮断層を形成して所要の反応を遅らせたり、顕著な不均一性 を発生させるおそれがある。 エレクトロニクスの小型化が進むにつれて、極端に間隔の詰まった回路板が必 要となる。小型化は、多くの場合、5ミルまたはそれ以下の極めて細い銅ホイル 導線、またはトラックラインをプリント回路板に形成することを要求する。ライ ンの細い回路をどの程度まで明確に画成できるかを決定するのは、エレクトロニ クス用として製造される銅ホイルの品質、特にホイル両面の表面品質である。 銅−クラッド積層構造からプリント回路板を製造する際には、写真技術によっ て積層構造の銅面に所要のプリント回路パターン像を形成し、銅面上にフォトレ ジスト材で形成された所要のパターンを残すのが通常の方法である。写真技術に よる像形成が鮮明かつ正確であるためには、フォトレジストがホイルの表面に良 く延び、良く接着しなければならない。 プリント回路板の製造において、銅ホイルの光沢面を粗面化することによって フォトレジストの接着を確実にするという方 法が広く採用されている。この粗面化は、ホイルのメーカーがユーザの手に渡る までホイルを酸化や曇りから保護するためホイルに施した止着性の強い防錆膜を 除去することにもなる。フォトレジストは防錆膜に接着しないから、この防錆膜 を除去しなければならないのである。したがって、ホイル表面の粗面化は防錆膜 を除去するだけでなく、銅表面の形状を平滑な形状から微細凹凸のある面に変え ることで、トラックラインを明確に画成するための条件であるフォトレジストの 接着を容易にする。 この粗面化は機械的手段(例えば、ブラシで削摩したり、軽石でこするなど) によって、または銅クラッド積層シートの銅面を鉱酸の酸化作用でエッチングす る化学的手段(いわゆる微細エッチング)によって行われる。鉱酸は、ホイルの 平滑面を銅粒子界面に沿って侵食することによって小孔を形成し、銅表面を平滑 面から微細凹凸面に変える。 MLBsの製造においては、銅ホイルの積層(ポリマー基材への接着を2回) が行われる。先ず、薄い両面銅クラッド積層シートが作成される。次いで、これ らの積層シート上に回路パターンを作像し、エッチングによって不要な銅を除い て所要の回路パターンを形成する。このようにして作成された複数の両面板層を 重ね合わせ、層間にプリプレグ・シートを介在させることにより内部回路のそれ ぞれを互いに絶縁する。このように回路板とプリプレグとを積み重ねたものを積 層することによって、一体構造の多層回路板を形成する。次に回路板の所定位置 に穿孔し、いわゆるスルーホール銅めっきを行うことによって、すべての層の銅 トラック導電ラインを電気的に相互接続する。 トラックラインの頂面(回路パターン作像に利用された面)とプリプレグシー トとを、第2(いわゆるB段階)積層処理の 工程において正しく接着しなければならない。 MLBsの製造に際しては、回路パターンを有する内層回路板にいわゆる褐色 酸化物処理を施すことによってトラックライン頂面の微細形状を変化させ、これ によってポリマー・プリプレグに対する接着適性を高める、という方法が広く採 用されている。この褐色酸化物処理は、回路板を亜塩素酸ナトリウムのアルカリ 溶液に浸漬することによって行われ、亜塩素酸ナトリウムはその酸化作用によっ て露出銅トラック頂面の金属銅を酸化第2銅(CuO)に、浴の種類と処理条件 によっては酸化第1銅(Cu2O)との混合物に変換する。この酸化物コーティ ングは、樹枝状結晶の形で銅トラックの表面に垂直に成長する。従って、ポリマ ー基材への接着に利用できる表面積が増大し、接着適性が改善される。 銅ホイルの接着力増大処理に関する種々の特許が、基材に接着すべきホイルの 片面または両面に接着力増大処理を施すこと(米国特許第5,207,889号 )、または、回路板との積層に使用される銅ホイルに対する処理として、樹枝状 の銅層を電着したのち、回路板に積層されるホイルの面に被覆銅層を電着する方 法を開示している(米国特許第4,572,768号)。また、ホイルの光沢面 または無光沢面を利用することにより、得られる銅−クラッド積層構造に適応性 に富んだ表面特性を与える、即ち、鏡面のような光沢面または“サティンのよう な仕上がりの銅−クラッド積層構造(無光沢面)”を与える方法が、米国特許第 3,998,601号に開示されている。米国特許第3,857,681号は、 銅ホイルの少なくとも一方の面に銅樹枝状層及び被覆層を電着することにより、 ポリマー基材に積層する際の接着力を高め、次いで亜鉛コーティングを施すこ とにより、積層シートの酸化や変色を防止する方法を開示している。 米国特許第3,625,844号及び第3,853,716号に開示されてい るように、銅ホイルの表面に防錆クロム酸塩層を電着することによって曇りや酸 化から保護することも公知である。 固有の微細凹凸を、したがって、固有の接着適性を有するホイルの無光沢面は 、従来利用されているホイルの光沢面と比較して、褐色酸化物の成長に適してい る。このことは、ホイルの光沢面を微細エッチングや機械的削摩によって粗面化 することがあっても、変わらない。発明の要約 本発明の主な目的は、銅ホイルの無光沢面の表面特性を高解像度の像パターン 形成に特に適応させるように制御する方法と、プリント回路板を製造する過程で アルカリ水溶液に溶解させることによって容易に除去できる防錆層で無光沢面を 被覆する方法とを提供することにある。この発明のその他の目的及び利点は、以 下の説明と実施の態様とから明らかになるであろう。 上記目的を達成するため、この発明は、プリント回路板の製造材料として好適 な銅ホイルにおいて、無光沢面及びこれとは反対側の光沢面を有する電着ベース 銅ホイルと、金属亜鉛及び単数または複数の3価クロム化合物を含み、アルカリ 溶液に可溶の、前記無光沢面に施された抗酸化/曇り止め保護層と、前記光沢面 における電着銅含有接着力増大処理層とから成ることを特徴とする銅ホイルを提 供する。 (金属亜鉛として計算された)亜鉛と無光沢面の保護層中の(金属クロムとし て計算された)クロムとの重量比は、好まし くは少なくとも1:1であり、さらに好ましくは約2:1である。 この発明はまた、銅ホイルの表面を曇り及び酸化から保護する方法において、 6価クロム・イオンを含む陰イオンと亜鉛とを含有する酸性水溶液から成る電解 液を調製し、前記銅ホイルを前記電解液中に浸漬し、前記銅ホイルを前記電解液 に浸漬しながら陰極化することによって、成分として亜鉛及び単数または複数の クロム化合物を含み、クロムに対する亜鉛の比が少なくとも1:1である保護層 を前記銅ホイル上に形成する工程から成ることを特徴とする前記方法を提供する 。電解液のpHは約3〜4.5であることが好ましい。 この発明では、ホイルが使用されるまではホイルを酸化から保護しているが、 低温において水酸化ナトリウムまたはカリウム水溶液のような希薄アルカリ溶液 に浸漬するだけで、ブラシをかけたり、こすったり、微細エッチングしなくても 、(例えば、約8ポンド/インチ程度の剥離強さを有する)銅−クラッド積層構 造の表面から容易に除去できる、(防錆電解液から誘導されてホイルの表面に電 着される)防錆層をホイルの無光沢面に設ける。 銅ホイルの製造における防錆加工の目的は、外気による酸化だけでなく、銅− クラッド積層構造を製造するための積層加工中の高温における酸化からも保護す ることによって、貯蔵寿命を延ばす保護コーティングをホイルの表面に形成する ことにある。 銅ホイルを酸化から保護する防錆層の機能は、ホイルの貯蔵寿命を延ばすこと だけではない。銅−クラッド積層構造に次の加工を施すには、すばやく、完全に アルカリ中に溶解させるこ とによって、ホイルの像パターン形成面から保護層を容易に除去できることが必 要である。フォトレジストが確実に接着し、エッチング液に支障なく反応し、褐 色酸化物処理が適正に施されるには、防錆化合物の完全な除去が必要だからであ る。従って、ホイルの“加工”面(像パターンを形成される面)を保護する防錆 層の種類、構造、化学的組成及び厚さが極めて重要である。 この発明は、回転ドラム陰極への電着によって形成される銅ホイルが互いに異 なる2つの面を持つという事実を利用する。ドラムと接する面、即ち、ホイルの 光沢面は、拡大して観察しても比較的平滑であるが、電解液と接する面、即ち、 ホイルの無光沢面は、加工しなくても微細凹凸を有している(高解像度電子顕微 鏡で観察すると、この面は微細な山と谷とで構成されている)。しかも、この場 合の微細凹凸の程度は、プリント回路板メーカーによって機械的または化学的粗 面化が行われる場合よりもはるかに適正に銅ホイル・メーカーによって制御する ことができる。 従って、無光沢面を上にしてホイルをポリマー基材に接合することによって得 られた積層シートは、フォトレジストの接着を確実にし、細いラインの画成精度 を高める。ホイルの光沢面(すなわちドラム側の面)に接着力増大処理を施すこ とによって、トラック・ラインをポリマー基材に確実に止着することができる。 銅ホイルの光沢面に接着力増大処理を施し、無光沢面を像パターン形成に利用 してホイルを製造することで、もう1つの利点が得られる。この利点は、現在プ リント回路板市場の主流となっているMLBsの製造に特に好適なホイルが得ら れること にある。即ち、エレクトロニクス・パッケージにおける回路の極めて高い機能密 度を達成できるからである。図面の簡単な説明 この明細書の一部を形成する添付の図面に沿って、発明の詳細を以下に説明す る。添付図面中: 図1は、従来のベース銅ホイルを示す。 図2は、無光沢面に接着力増大処理を施された従来の完成銅ホイルを示す。 図3は、この発明の銅ホイルを示す。発明とその好ましい実施態様の説明 図3には、この発明による完成状態の銅ホイルを示してあり、このホイルは、 亜鉛及び単数または複数の3価クロム化合物を含む(以下クロム酸塩と呼称する )保護層28が電着された無光沢面24を有する電着ベース銅ホイル20を含む 。ホイル20は、接着力増大処理層26を電着された平滑または光沢面22を有 する。生ホイルの無光沢面は好ましくは約3〜約10ミクロン、最も好ましくは 約5ミクロンの表面荒さ、即ちRzを有する。 ベース・ホイルは、従来の銅ホイル製造技術で形成すればよい。従来技術の1 例としては、銅イオン含有電解質に一部浸漬された回転ドラム陰極の平滑面に前 記電解液から薄いホイルを電着し、次いでドラム表面から剥ぎ取り、スリットを 入れて巻き取る方法がある。このように製造された銅ホイルは、ドラム側に平滑 または光沢面を、電解液側に無光沢面を有する。 プリント回路板用銅−クラッド積層構造の製造に際しては、ポリマー基材(例 えば、グラスファイバー生地で強化したエポキシ、ポリイミド樹脂のような複合 材)に銅ホイルを、両材料 をそれらの界面で機械的に係合させることによって接着する。 高度の係合効果を得るため、ホイルの接着面に接着力増大処理を施す。この処 理は銅の球形微小突起が極めて密に配列されて成るコーティングであり、そのコ ーティングはベース銅ホイルの光沢または平滑面(ドラム側)に電着で施される 。 銅ホイルの剥離強さ(ホイルをポリマー基材から引き剥がすのに要する力)は 、個々の微小突起の形状、それら突起の機械的強度と硬度、表面積に占める密度 、及びベース・ホイルのドラム側平滑面上での分布に応じて異なる。これらの要 因は、すべて接着力増大処理層の電着条件によって決定される。 好ましい接着力増大処理は、ベース即ち“生”ホイルの光沢面を4回連続の電 着工程に流すことによって行われる。第1工程では、無光沢面の実表面積を著し く増大することによってホイルの接着適性を高める微細樹枝状銅層を電着する。 第2工程では、樹枝状層を機械的に強化して、PCB製造の積層工程において液 状樹脂の横剪断力に耐え得るようにする封入または被覆層を電着する。第3工程 で2層の銅にいわゆるバリヤー層を電着し、第4工程で防錆層を電着する。 樹枝状銅層の目的は、光沢面の“実”表面積を増大することにある。この実表 面積がホイルの接着特性に大きく寄与するからである。樹枝状銅層を構成する樹 枝状微小突起の形状、高さ、機械的強度、及び表面積当りの個数は、処理の全工 程が完了した状態でホイルが充分な接着強度を得るのに寄与する要因である。処 理の第1工程である樹枝状層の電着は、機械的に比較的弱く、処理層のずれを生 じ易い。 接着力増大処理のうちの被覆工程は、“処理層のずれ”や、積層シートの絶縁 性を損なう原因となる“積層構造汚染”から ホイルを保護するから極めて重要である。この第2処理工程の役割は、安定度が 高く、かつ強度にすぐれた金属銅の薄層で被覆することにより、脆い樹枝層を機 械的に強化することにある。即ち、この銅薄層は、樹枝層をベースホイルに固定 する。この樹枝層/被覆層複合構造の特徴は、高い接着強度と処理層ずれ防止効 果である。これを可能にする処理パラメータは、比較的狭い範囲に限定される。 即ち、被覆層の量が少な過ぎればホイルに処理層ずれが起こり、逆に厚過ぎれば 剥離力が一部損なわれる。これら2つの処理層は、顕微鏡で観察すれば球形の微 小突起の形態を呈する純銅から成る。 これら2つの銅層から成る接着力増大処理層に、さらに、極めて薄い亜鉛また は亜鉛合金の層、いわゆるバリヤー層を電着すればよい。PCBs用銅−クラッ ド積層構造の製造過程において、亜鉛含有層とその下に位置する純銅層とは、固 体金属が加熱下に拡散することによって合金を形成する。その結果、純銅層の表 面に化学的に安定なα−黄銅が形成される。その目的は銅とエポキシ樹脂とが直 接的に接触するのを防ぐことにあり、(積層工程中にα−黄銅に変換される)亜 鉛含有層をバリヤー層と呼称する理由もここにある。もし銅だけから成る接着力 増大処理層をエポキシ樹脂系と積層すると、積層工程に必要な高温において銅が 樹脂中のアミノ基と反応するおそれがある。その結果、ホイルと樹脂との界面に 水分が発生し、有害な“水泡”現象を惹起し、おそらくは積層が分離することに なる。全銅層に電着されたバリヤー層がこの有害な現象を防止する。 上記処理の3工程はすべて、従来技術のように、ホイル平滑面の形状及び結晶 形態を変化させて表面域の機械的強度を高める電着手段によって行われる。 上述したように処理されたホイルに、界面化学を変化させる電気化学的な防錆 処理を施す。この工程によって、接着面は化学的に安定になる。この防錆処理に より、基材に対するホイルの接着を著しく低下させる弱い表面膜が除去され、処 理面にその性質を維持する“耐久性”を与える適度な厚さの安定した膜が形成さ れる。 上記接着力増大処理層、バリヤー層及び防錆層は、米国特許第4,572,7 68号(Wolski et al.),米国特許第5,207,889号(W olski et al.),米国特許Re30,180及び/または米国特許 第3,857,681号(Yates et al.)に開示されている方法に よってベース・ホイルの光沢面に電着すればよい。 防錆層の適正な化学組成及び厚さは、その保護能力を失うことなく容易に除去 できる理想的な防錆層を得る上で極めて重要である。 ホイルの無光沢面にこの発明の防錆層を施す際には、クロム酸塩イオンと金属 亜鉛とを同時に電着するが、電解液の1つの成分であるクロム酸は、ホイル面( 陰極)において、金属の状態にではなく3価の状態に還元されて無光沢面24上 にクロム酸塩防錆層の形成を可能にするから、従来とは全く異なる合金めっきで ある。 この発明に使用される防錆電解液はクロム酸塩形成と亜鉛塩形成の二重機能を 有するから、この防錆電解液から形成されるこの発明の防錆層も二重の保護作用 を持つ。即ち、変換コーティングに代表されるような機械的保護と、亜鉛コーテ ィングに代表されるような電気化学的(自己溶解による)保護との双方を提供す る。 クロム酸塩と金属亜鉛の同時電着を可能にする要因は、電解液のpHである。 pH値が極めて低く、例えばpH2(3g/lのCrO3のpH値)なら、6価 クロム化合物は極めて強い酸化剤であるから、亜鉛の陰極還元を打ち消す。この ようなpH値では、標準電極電位Eoは下記反応: Cr27 2-+14H++6e=2Cr3++7H2O に対応して+1.33Vとなる。このような条件下では、亜鉛の同時電着は不可 能である。塩基性溶液中では2クロム酸塩よりもクロム酸塩の方が優勢であり、 概して酸化作用がはるかに弱い。 反応: CrO4 2-+4H2O+3e=Cr(OH)3+5OH-0=0.13V は、亜鉛の標準電極電位E0−0.76に極めて近く、クロム酸塩と金属亜鉛の 電着を可能にする。 この発明では、電解液の大部分は適度の酸性であり、pH値は好ましくは約3 〜約4.5、最も好ましくは約3.5〜約4、典型的には約4である。このよう な値はいうまでもなく塩基性とは程遠いが、これはあくまでも電解液の大部分に ついてのことであり、ホイル−溶液界面におけるpHは7以上である。電流が流 れている限り、必然的に陰極(ホイル)において化学物質の還元が起こる。この 過程における陰極反応は、下記の通り: Cr6+の還元(上記) 亜鉛の還元 Zn2++2e=Zn 水の還元 2H2O+2e=2OH-+H2 上記界面のpHを局部的に高くすることによってクロム酸塩層と亜鉛の同時電 着を可能にするのは、最後の反応、即ち、ホイル表面における水素の発生である 。 計器による表面分析(走査型オージェ・マイクロプローブ及びESCA(el ectron spectroscopy for chemical ana lysis,化学分析のための電子分光))を利用して実験的な防錆層の化学組 成を検討することによって、すぐれた保護作用を発揮でき、しかもアルカリ浸漬 によって容易に除去することもできる防錆層は,(金属クロムとして計算して) 約10〜20%のクロムと、(金属亜鉛として計算して)20〜40%の亜鉛と 、残りの%の水とを含み、厚さは100Å以下であることが判明した。クロムと 亜鉛との比が極めて重要である。層に含まれる亜鉛の量が比較的多ければ、この 層はアルカリで容易に溶かすことができる:この金属は両性であるから、水酸化 ナトリウムに溶けて亜鉛酸ナトリウムを形成し、水素を多量に発生させる。従っ て、防錆層におけるクロムに対する亜鉛の重量比は(どちらも金属として計算し て)少なくとも1:1、好ましくは約2:1でなければならない。 保護層の水酸化クロム成分のようなクロム酸塩の空間格子内に亜鉛原子が均一 に分散しているから、アルカリ洗浄剤が作用して亜鉛原子を溶解させ、水素を発 生させ、アルカリのこのような複合効果がクロム化合物を“沸騰”状態でホイル 表面から浮上させ、リンスすると、純粋で汚れのない、以後のPCB製造工程に 送ることのできるホイルが得られる。 上記防錆層を形成するには下記の電解液及び電着条件を採用すればよい:電解液 CrO3−0.75グラム/リットル(g/l)〜2g/l:好ましくは1. 25g/l Zn(金属Znとして計算して)−0.3g/l〜1.0g/l:好ましくは 0.5g/l H3PO4−0g/1〜2g/l:好ましくは0.5g/l H2O−残余電着条件 pH 3.5〜4.0 T−90°F 電流密度−0.5(アンペア/平方フィート)A/ft2〜20A/ft2:好 ましくは10A/ft2 めっき時間−1秒〜5秒:好ましくは3秒。浴に浸漬されて銅ホイルと対向さ せた陽極に対して、銅ホイルを陰極化し、防錆層を電着する。この防錆方法は、 米国特許第3,625,844(Mckean)及び米国特許第3,853,7 16号(Yates et al.)に開示されている公知の防錆方法に改良を 加えた方法である。なお、前記両特許の内容を参考のためこの明細書に引用した 。 化学的手段で容易に除去できる状態でありながら銅ホイルまたは銅−クラッド 積層構造の“加工”面を種々の態様の酸化から保護する防錆層の能力は、ホイル の無光沢面に、防錆層を電着する前に極めて薄い亜鉛層を電着することでさらに 高めることができるとの所見を得た。 このような性能向上の裏付けとして、防錆層を構成する2つの成分のうち、亜 鉛はこれが保護すべき銅表面を積層加工及び後硬化の熱に起因する直接酸化に耐 え得るように作用する。しかも、亜鉛は両性であるから、鉱酸にもアルカリにも 容易に溶解し、化学的手段によって保護層を除去し易くするように作用する。 防錆層の3価クロム成分は、大気または“湿気”による腐食から銅表面を保護 する役割を果して、銅ホイルの貯蔵寿命を延ばす。ただし、銅表面と化学的に結 合しているクロム成分は、亜鉛と比較してはるかに酸やアルカリに溶け難いから 、化学的手段によって保護層から除去することは亜鉛の場合よりもはるかに困難 である。 場合によっては、防錆層中の亜鉛とクロム化合物の比及び保護フィルムの厚さ を注意深く選択することによって、保護効果と洗浄し易さとを両立させる。 この発明の方法はその性質上、層の厚さ全体にわたり両元素の分布及び両元素 の比が均一になる。 防錆層の保護効果と洗浄し易さという相矛盾する条件を満たす最善の方法があ るとすれば、防錆層を、その総厚100Åのうち、金属銅の表面に隣接する最初 の20Å程度を亜鉛が占めるような深さプロファイルに構成することであろう。 その場合、外周にむかって層の残り80Åは、上記比で亜鉛と3価クロム化合物 とで構成されることになる。 クロム化合物抜きで金属亜鉛の薄いコーティングを金属銅表面に直接電着する と、自己溶解によって銅を直接酸化から保護する亜鉛の性能は、防錆フィルムだ けの保護性能よりもさらに高くなる。 同様に、銅表面に亜鉛だけから成るコーティングを隣接させると、化学的洗浄 剤による保護フィルムの完全除去がさらに容易になる。 防錆層を電着する前に極めて薄い金属亜鉛コーティングを電着する工程は、処 理装置の別設めっき槽において陰極法で行われる。ホイルを前記めっき槽中で陰 極化し、ホイルの処理面に 陽極を対向させる。このようにして電気回路を形成したら、次いで電流量を制御 することによって所要の厚さの亜鉛コーティングを銅表面に電着することができ る。このコーティングが終了したら、次に処理装置の後続めっき槽において防錆 層を電着する。 必要なら、上記接着力増大処理を施されたホイルの光沢面に同様の防錆処理を 施してもよい。 ホイルのドラム側、即ち光沢面に接着力増大処理層を電着すると、ホイルの無 光沢面に同じ接着力増大処理層を電着した場合よりも、得られる剥離強さは小さ い(12ポンド/インチに比較して約8ポンド/インチ)。ただし、このように 低い剥離強さでも、MLBsには充分過ぎるくらいである。他方、従来ホイルの 光沢面に施されて、極めて低い剥離強さしか付与できない褐色酸化物処理をベー スホイルの無光沢面に施すと(無光沢面そのものが微細凹凸を有し、剥離強さが ゼロに近い未処理光沢面とは異なり、未処理の状態でもすでに約4ポンド/イン チというかなりな剥離強さを備えているから)、比較的少量の褐色酸化物をホイ ル無光沢面に電着するだけで約6ポンド/インチという所要レベルまで剥離強さ を増大することができる。このような少量の褐色酸化物は、ホイル光沢面に従来 施されている多量の褐色酸化物ほどには構造上脆くなく、しかも同程度の剥離強 さが得られる。ホイルの無光沢面に褐色酸化物処理を施せば、酸化第2銅を金属 銅に還元する必要がないから、製造工程全体が簡略化されてコストが軽減され、 しかもMLBsの品質(特に絶縁性及びはんだ付け衝撃による積層剥離に対する 耐性)が向上する。 銅ホイルの光沢面をホイルの加工面として使用する場合には、 レジスト(エッチング・レジスト及びめっきレジスト)によるコーティングを行 う前に光沢面を洗浄し、粗面化しなければならない。レジストが付着する表面積 が小さいから、光沢面はレジストが強固に付着して適正なエッチングが可能とな るための最適状態に粗面化する必要がある。回路トレースのエッジでレジストが 浮き上がったり、レジストがカバーし切れない深い溝が存在するような部位では 、エッチングが必要以上に深く作用した痕跡が残り、高いコストをかけて修復し たり、場合によっては回路板全体を廃棄することにもなりかねない。このような 銅ホイル加工面の洗浄及び粗面化は、従来の機械的な削摩や微細エッチング技術 を利用して行うことができるが、この発明の銅ホイルはこのような煩雑な作業を 必要としない。 下記の例は、この発明の好ましい実施例であり、いくつかの利点を実証するも のである。実施例 1次陽極だけを使用し、2次陽極を使用しなかったことを除き、米国特許第5 ,215,646号(Wolski et al.)の第17欄に記載されてい るとおりの電解液、結晶成長抑制剤及びめっきパラメータを利用して、回転ドラ ム陰極上に銅を電着することにより厚さ35ミクロンのベース(生)ホイルのウ ェブ(単位表面積当り重量でいわゆる1オンス・ホイル)を製造した。 このベース・ホイルは、平滑または光沢面と、これとは反対側にあって複雑な 微細形状ゆえに無光沢の面とを有し、この無光沢面は、微小凸部と微小凹部とで 構成され、全体としてこの面の微細凹凸を形成していた。ホイル無光沢面の微細 凹凸を(触針タイプの計器で)測定した結果、210マイクロインチであ ることが判明した。 上記ベース・ホイルを処理装置に送入することにより、ホイル光沢面に多層( 樹枝状銅層、被覆銅層及びバリヤー層)接着力増大処理を施す一方、ホイル無光 沢面に容易に除去できる防錆層を施した。 ホイル光沢面に対する多層接着力増大処理には、その内容を参考のためこの明 細書に引用した米国特許第4,572,768号(Wolski et al. )に記載されている技術、めっきパラメータ及び電解液を使用した。 ホイル無光沢面に(水酸化ナトリウムまたはカリウム5%溶液に溶かすことに よって)容易に除去できる防錆層を電着した。ここで使用した電着銅防錆処理技 術は、その内容を参考のためにこの明細書に引用した米国特許第3,853,7 16号(Yates et al.)に基づく技術であり、下記組成の電解液を 使用した: CrO3−1.0g/l Zn(ZnSO4として添加)−0.4g/l H3PO4−0.5g/l H2O−残余 pH−3.9 T−90°F 防錆層は、電流密度2A/ft2、めっき時間1.5秒で(陰極として利用し た)ホイル無光沢面に電着した。得られた防錆層を分析した結果、該層は金属亜 鉛とクロム酸塩から成り、クロムに対する亜鉛の比は、1.85:1.0であっ た。 上記のようにして得られた銅ホイルに対して、下記試験を実施した: National Electrical Manufacturer's Association(NEMA)によってFR 4と呼称されている(グラスファイバー生地とエポキシ樹脂との複合材である) プリプレグに、下記の2通りの態様で銅ホイルを積層(接着)した; 1.処理面を下に。 2.無光沢面を下に。 次いで、ホイルの処理面と無光沢面との剥離強さを測定した。接着力増大処理 を施されたホイル光沢面の剥離強さは、積層構造の幅1インチ当り9.8ポンド /インチ、ホイル無光沢面の剥離強さは4.2ポンド/インチであった。 無光沢面を上にした積層構造を上記方法で製造し、無光沢面の“洗浄適性”を 検討した。積層構造を先ず室温で水酸化ナトリウム5%溶液に30秒間浸漬した のち、充分にリンスした。次いで、積層構造をMac Dermid Comp any製の9804/9805酸化黄銅溶液である市販の褐色酸化物溶液に浸漬 した。銅ホイルのピンク色の無光沢面は、銅が褐色酸化物溶液の主成分である亜 塩素酸ナトリウムと反応することによって、たちまち濃褐色を呈した。このこと は、防錆層が水酸化ナトリウム溶液に浸漬することで完全に除去されたこと、従 って、容易に除去できたことを示す。防錆層が除去されていなければ、ピンク色 の無光沢面が褐色酸化物溶液と反応しなかったことになり、その場合には、酸化 第2銅の濃褐色が銅表面に現われなかった筈である。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年8月26日(1997.8.26) 【補正内容】 処理が施されるから、無光沢面を“防錆処理”して曇りや酸化から保護する従来 の方法を商業的に見合うように改良しなければならない。 MLBsのための褐色酸化物処理及び微細エッチング技術に共通の条件として 、亜塩素酸ナトリウムまたは過酸化硫酸微細エッチング溶液が銅表面に到達して 均等に所要の反応または効果を発生させねばならない。従って、防錆層は事前洗 浄液で容易に除去できるか、または褐色酸化物や微細エッチング液が容易に透過 できるものでなければならない。止着性が強過ぎる防錆層は、銅の表面と処理剤 との間に不透過性の遮断層を形成して所要の反応を遅らせたり、顕著な不均一性 を発生させるおそれがある。 エレクトロニクスの小型化が進むにつれて、極端に間隔の詰まった回路板が必 要となる。小型化は、多くの場合、127ミクロン(5ミル)またはそれ以下の 極めて細い銅ホイル導線、またはトラックラインをプリント回路板に形成するこ とを要求する。ラインの細い回路をどの程度まで明確に画成できるかを決定する のは、エレクトロニクス用として製造される銅ホイルの品質、特にホイル両面の 表面品質である。 銅−クラッド積層構造からプリント回路板を製造する際には、写真技術によっ て積層構造の銅面に所要のプリント回路パターン像を形成し、銅面上にフォトレ ジスト材で形成された所要のパターンを残すのが通常の方法である。写真技術に よる像形成が鮮明かつ正確であるためには、フォトレジストがホイルの表面に良 く延び、良く接着しなければならない。 プリント回路板の製造において、銅ホイルの光沢面を粗面化することによって フォトレジストの接着を確実にするという方 とにより、積層シートの酸化や変色を防止する方法を開示している。 補正後の請求項1の前提部分の基礎をなす米国特許第5,071,520は、 引き剥がし強度向上のための金属ホイル処理方法と、プリント回路板製造で使用 するのに適した銅ホイルとを開示している。このホイルは、無光沢面とその反対 側の光沢面とを有する電着ベース銅ホイルからなるもので、片面に形成された抗 酸化/曇り止め保護層の利用と、その反対側の面に形成された電着接着力増大処 理層の利用とを開示している。 米国特許第3,625,844号及び第3,853,716号に開示されてい るように、銅ホイルの表面に防錆クロム酸塩層を電着することによって曇りや酸 化から保護することも公知である。 固有の微細凹凸を、したがって、固有の接着適性を有するホイルの無光沢面は 、従来利用されているホイルの光沢面と比較して、褐色酸化物の成長に適してい る。このことは、ホイルの光沢面を微細エッチングや機械的削摩によって粗面化 することがあっても、変わらない。発明の要約 本発明の主な目的は、銅ホイルの無光沢面の表面特性を高解像度の像パターン 形成に特に適応させるように制御する方法と、プリント回路板を製造する過程で アルカリ水溶液に溶解させることによって容易に除去できる防錆層で無光沢面を 被覆する方法とを提供することにある。この発明のその他の目的及び利点は、以 下の説明と実施の態様とから明らかになるであろう。 上記目的を達成するため、この発明は、プリント回路板の製造材料として好適 な銅ホイルにおいて、無光沢面及びこれとは 反対側の光沢面を有する電着ベース銅ホイルと、金属亜鉛及び単数または複数の 3価クロム化合物を含み、アルカリ溶液に可溶の、前記無光沢面に施された抗酸 化/曇り止め保護層と、前記光沢面における電着銅含有接着力増大処理層とから 成ることを特徴とする銅ホイルを提供する。 (金属亜鉛として計算された)亜鉛と無光沢面の保護層中の(金属クロムとし て計算された)クロムとの重量比は、好まし レジスト(エッチング・レジスト及びめっきレジスト)によるコーティングを行 う前に光沢面を洗浄し、粗面化しなければならない。レジストが付着する表面積 が小さいから、光沢面はレジストが強固に付着して適正なエッチングが可能とな るための最適状態に粗面化する必要がある。回路トレースのエッジでレジストが 浮き上がったり、レジストがカバーし切れない深い溝が存在するような部位では 、エッチングが必要以上に深く作用した痕跡が残り、高いコストをかけて修復し たり、場合によっては回路板全体を廃棄することにもなりかねない。このような 銅ホイル加工面の洗浄及び粗面化は、従来の機械的な削摩や微細エッチング技術 を利用して行うことができるが、この発明の銅ホイルはこのような煩雑な作業を 必要としない。 下記の例は、この発明の好ましい実施例であり、いくつかの利点を実証するも のである。実施例 1次陽極だけを使用し、2次陽極を使用しなかったことを除き、米国特許第5 ,215,646号(Wolski et al.)の第17欄に記載されてい るとおりの電解液、結晶成長抑制剤及びめっきパラメータを利用して、回転ドラ ム陰極上に銅を電着することにより厚さ35ミクロンのベース(生)ホイルのウ ェブ(単位表面積当り重量でいわゆる1オンス・ホイル)を製造した。 このベース・ホイルは、平滑または光沢面と、これとは反対側にあって複雑な 微細形状ゆえに無光沢の面とを有し、この無光沢面は、微小凸部と微小凹部とで 構成され、全体としてこの面の微細凹凸を形成していた。ホイル無光沢面の微細 凹凸を(触針タイプの計器で)測定した結果、5.3ミクロン(210マ イクロインチ)であ ることが判明した。 上記ベース・ホイルを処理装置に送入することにより、ホイル光沢面に多層( 樹枝状銅層、被覆銅層及びバリヤー層)接着力増大処理を施す一方、ホイル無光 沢面に容易に除去できる防錆層を施した。 ホイル光沢面に対する多層接着力増大処理には、米国特許第4,572,76 8号(Wolski et al.)に記載されている技術、めっきパラメータ 及び電解液を使用した。 ホイル無光沢面に(水酸化ナトリウムまたはカリウム5%溶液に溶かすことに よって)容易に除去できる防錆層を電着した。ここで使用した電着銅防錆処理技 術は、米国特許第3,853,716号(Yates et al.)に基づく 技術であり、下記組成の電解液を使用した: CrO3−1.0g/l Zn(ZnSO4として添加)−0.4g/l H3PO4−0.5g/l H2O−残余 pH−3.9 T−32°C(90°F) 防錆層は、電流密度2A/ft2、めっき時間1.5秒で(陰極として利用し た)ホイル無光沢面に電着した。得られた防錆層を分析した結果、該層は金属亜 鉛とクロム酸塩から成り、クロムに対する亜鉛の比は、1.85:1.0であっ た。 上記のようにして得られた銅ホイルに対して、下記試験を実施した: 【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年10月8日(1997.10.8) 【補正内容】 がMLBsの製造に適していることは、すでに公知である。ホイルのドラム側に 接着力増大処理層を電着した場合の剥離強さ(例えば約1.4N/mm(8ポン ド/インチ))は、ホイルの無光沢面に同じ処理層を電着した場合の剥離強さ( 例えば約2.1N/mm(12ポンド/インチ))よりも小さくなる。しかしな がら、このような剥離強さは、MLBsにおいては十分である。 MLBsの製造に使用される銅ホイルに関する限り、従来はホイルの光沢面に 施されて極めて低い剥離強さしか生まない褐色酸化物処理を、無光沢面に施す方 が有利であるとの所見を得た。無光沢面は、それ自体が山と谷とから成る形状を 有して微細凹凸を呈するため、剥離力がほとんどゼロの光沢面とは異なり約0. 7N/mm(4ポンド/インチ)というかなり大きい剥離強さを有している。こ の方法を採用すれば、極めて少量の褐色酸化物をホイルの無光沢面に電着するだ けで、所要レベルの、例えば1.23N/mm(7ポンド/インチ)程度の剥離 強さを得ることができる。褐色酸化物の量をこのように減らせば、ホイルの光沢 面に多量の褐色酸化物を電着しなければならない場合と比較して、構造を脆くす るおそれははるかに少なく、しかも同程度の剥離強さを得ることができる。従っ て、酸化第2銅を金属銅に還元する必要がなく、製造の全工程が簡単に、かつ低 コストとなり、しかもMLBsの品質(特に絶縁性、及びはんだ付けの衝撃によ る積層分離に対する耐性)が改善される。 しかし、この特殊銅ホイルの製法と従来の製法との相違は、接着力増大処理を ベース・ホイルの光沢面に施すか無光沢面に施すかの相違にはとどまらない。 回路パターンをパネルに転写する際には、先ずこの特殊ホイルの無光沢面に“ イメージング”が行われ、次いで褐色酸化物 とにより、積層シートの酸化や変色を防止する方法を開示している。 米国特許第3,625,844号及び第3,853,716号に開示されてい るように、銅ホイルの表面に防錆クロム酸塩層を電着することによって曇りや酸 化から保護することも公知である。 固有の微細凹凸を、したがって、固有の接着適性を有するホイルの無光沢面は 、従来利用されているホイルの光沢面と比較して、褐色酸化物の成長に適してい る。このことは、ホイルの光沢面を微細エッチングや機械的削摩によって粗面化 することがあっても、変わらない。発明の要約 本発明の主な目的は、銅ホイルの無光沢面の表面特性を高解像度の像パターン 形成に特に適応させるように制御する方法と、プリント回路板を製造する過程で アルカリ水溶液に溶解させることによって容易に除去できる防錆層で無光沢面を 被覆する方法とを提供することにある。この発明のその他の目的及び利点は、以 下の説明と実施の態様とから明らかになるであろう。 上記目的を達成するため、この発明は、補正後の請求項に記載のとおり、曇り と酸化とから銅ホイルの表面を保護する方法を提供する。 この発明では、ホイルが使用されるまではホイルを酸化から保護しているが、 低温において水酸化ナトリウムまたはカリウム水溶液のような希薄アルカリ溶液 に浸漬するだけで、ブラシをかけたり、こすったり、微細エッチングしなくても 、(例えば、約8ポンド/インチ程度の剥離強さを有する)銅−クラッド積層構 造の表面から容易に除去できる、(防錆電解液から誘 導されてホイルの表面に電着される)防錆層をホイルの無光沢面に設ける。 銅ホイルの製造における防錆加工の目的は、外気による酸化だけでなく、銅− クラッド積層構造を製造するための積層加工中の高温における酸化からも保護す ることによって、貯蔵寿命を延ばす保護コーティングをホイルの表面に形成する ことにある。 銅ホイルを酸化から保護する防錆層の機能は、ホイルの貯蔵寿命を延ばすこと だけではない。銅−クラッド積層構造に次の加工を施すには、すばやく、完全に アルカリ中に溶解させるこ Zn(金属Znとして計算して)−0.3g/l〜1.0g/l:好ましくは 0.5g/l H3PO4−0g/l〜2g/l:好ましくは0.5g/l H2O−残余電着条件 pH 3.5〜4.0 T−32℃(90°F) 電流密度−4.6A/m2(0.5A/ft2)〜185A/m2(20A/f t2):好ましくは93A/m2(10A/ft2) めっき時間−1秒〜5秒:好ましくは3秒。浴に浸漬されて銅ホイルと対向さ せた陽極に対して、銅ホイルを陰極化し、防錆層を電着する。この防錆方法は、 米国特許第3,625,844(Mckean)及び米国特許第3,853,7 16号(Yates et al.)に開示されている公知の防錆方法に改良を 加えた方法である。 化学的手段で容易に除去できる状態でありながら銅ホイルまたは銅−クラッド 積層構造の“加工”面を種々の態様の酸化から保護する防錆層の能力は、ホイル の無光沢面に、防錆層を電着する前に極めて薄い亜鉛層を電着することでさらに 高めることができるとの所見を得た。 このような性能向上の裏付けとして、防錆層を構成する2つの成分のうち、亜 鉛はこれが保護すべき銅表面を積層加工及び後硬化の熱に起因する直接酸化に耐 え得るように作用する。しかも、亜鉛は両性であるから、鉱酸にもアルカリにも 容易に溶解し、化学的手段によって保護層を除去し易くするように作用する。 陽極を対向させる。このようにして電気回路を形成したら、次いで電流量を制御 することによって所要の厚さの亜鉛コーティングを銅表面に電着することができ る。このコーティングが終了したら、次に処理装置の後続めっき槽において防錆 層を電着する。 必要なら、上記接着力増大処理を施されたホイルの光沢面に同様の防錆処理を 施してもよい。 ホイルのドラム側、即ち光沢面に接着力増大処理層を電着すると、ホイルの無 光沢面に同じ接着力増大処理層を電着した場合よりも、得られる剥離強さは小さ い(2.1N/mm(12ポンド/インチ)に比較して約1.4N/mm(8ポ ンド/インチ))。ただし、このように低い剥離強さでも、MLBsには充分過 ぎるくらいである。他方、従来ホイルの光沢面に施されて、極めて低い剥離強さ しか付与できない褐色酸化物処理をベースホイルの無光沢面に施すと(無光沢面 そのものが微細凹凸を有し、剥離強さがゼロに近い未処理光沢面とは異なり、未 処理の状態でもすでに約0.7N/mm(4ポンド/インチ)というかなりな剥 離強さを備えているから)、比較的少量の褐色酸化物をホイル無光沢面に電着す るだけで約1.05N/mm(6ポンド/インチ)という所要レベルまで剥離強 さを増大することができる。このような少量の褐色酸化物は、ホイル光沢面に従 来施されている多量の褐色酸化物ほどには構造上脆くなく、しかも同程度の剥離 強さが得られる。ホイルの無光沢面に褐色酸化物処理を施せば、酸化第2銅を金 属銅に還元する必要がないから、製造工程全体が簡略化されてコストが軽減され 、しかもMLBsの品質(特に絶縁性及びはんだ付け衝撃による積層剥離に対す る耐性)が向上する。 銅ホイルの光沢面をホイルの加工面として使用する場合には、 ることが判明した。 上記ベース・ホイルを処理装置に送入することにより、ホイル光沢面に多層( 樹枝状銅層、被覆銅層及びバリヤー層)接着力増大処理を施す一方、ホイル無光 沢面に容易に除去できる防錆層を施した。 ホイル光沢面に対する多層接着力増大処理には、その内容を参考のためこの明 細書に引用した米国特許第4,572,768号(Wolski et al. )に記載されている技術、めっきパラメータ及び電解液を使用した。 ホイル無光沢面に(水酸化ナトリウムまたはカリウム5%溶液に溶かすことに よって)容易に除去できる防錆層を電着した。ここで使用した電着銅防錆処理技 術は、その内容を参考のためにこの明細書に引用した米国特許第3,853,7 16号(Yates et al.)に基づく技術であり、下記組成の電解液を 使用した: CrO3−1.0g/l Zn(ZnSO4として添加)−0.4g/l H3PO4−0.5g/l H2O−残余 pH−3.9 T−90°F 防錆層は、電流密度18.5A/m2(2A/ft2)、めっき時間1.5秒で (陰極として利用した)ホイル無光沢面に電着した。得られた防錆層を分析した 結果、該層は金属亜鉛とクロム酸塩から成り、クロムに対する亜鉛の比は、1. 85:1.0であった。 上記のようにして得られた銅ホイルに対して、下記試験を実 施した: National Electrical Manufacturer's Association(NEMA)によってFR 4と呼称されている(グラスファイバー生地とエポキシ樹脂との複合材である) プリプレグに、下記の2通りの態様で銅ホイルを積層(接着)した; 1.処理面を下に。 2.無光沢面を下に。 次いで、ホイルの処理面と無光沢面との剥離強さを測定した。接着力増大処理 を施されたホイル光沢面の剥離強さは、積層構造の幅1インチ当り1.7N/m m(9.8ポンド/インチ)、ホイル無光沢面の剥離強さは0.74N/mm( 4.2ポンド/インチ)であった。 無光沢面を上にした積層構造を上記方法で製造し、無光沢面の“洗浄適性”を 検討した。積層構造を先ず室温で水酸化ナトリウム5%溶液に30秒間浸漬した のち、充分にリンスした。次いで、積層構造をMac Dermid Comp any製の9804/9805酸化黄銅溶液である市販の褐色酸化物溶液に浸漬 した。銅ホイルのピンク色の無光沢面は、銅が褐色酸化物溶液の主成分である亜 塩素酸ナトリウムと反応することによって、たちまち濃褐色を呈した。このこと は、防錆層が水酸化ナトリウム溶液に浸漬することで完全に除去されたこと、従 って、容易に除去できたことを示す。防錆層が除去されていなければ、ピンク色 の無光沢面が褐色酸化物溶液と反応しなかったことになり、その場合には、酸化 第2銅の濃褐色が銅表面に現われなかった筈である。 【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年10月9日(1997.10.9) 【補正内容】 計器による表面分析(走査型オージェ・マイクロプローブ及びESCA(el ectron spectroscopy for chemical ana lysis,化学分析のための電子分光))を利用して実験的な防錆層の化学組 成を検討することによって、すぐれた保護作用を発揮でき、しかもアルカリ浸漬 によって容易に除去することもできる防錆層は,(金属クロムとして計算して) 約10〜20%のクロムと、(金属亜鉛として計算して)20〜40%の亜鉛と 、残りの%の水とを含み、厚さは10nm(100Å)以下であることが判明し た。クロムと亜鉛との比が極めて重要である。層に含まれる亜鉛の量が比較的多 ければ、この層はアルカリで容易に溶かすことができる:この金属は両性である から、水酸化ナトリウムに溶けて亜鉛酸ナトリウムを形成し、水素を多量に発生 させる。従って、防錆層におけるクロムに対する亜鉛の重量比は(どちらも金属 として計算して)少なくとも1:1、好ましくは約2:1でなければならない。 保護層の水酸化クロム成分のようなクロム酸塩の空間格子内に亜鉛原子が均一 に分散しているから、アルカリ洗浄剤が作用して亜鉛原子を溶解させ、水素を発 生させ、アルカリのこのような複合効果がクロム化合物を“沸騰”状態でホイル 表面から浮上させ、リンスすると、純粋で汚れのない、以後のPCB製造工程に 送ることのできるホイルが得られる。 上記防錆層を形成するには下記の電解液及び電着条件を採用すればよい:電解液 CrO3−0.75グラム/リットル(g/l)〜2g/l:好ましくは1. 25g/l 防錆層の3価クロム成分は、大気または“湿気”による腐食から銅表面を保護 する役割を果して、銅ホイルの貯蔵寿命を延ばす。ただし、銅表面と化学的に結 合しているクロム成分は、亜鉛と比較してはるかに酸やアルカリに溶け難いから 、化学的手段によって保護層から除去することは亜鉛の場合よりもはるかに困難 である。 場合によっては、防錆層中の亜鉛とクロム化合物の比及び保護フィルムの厚さ を注意深く選択することによって、保護効果と洗浄し易さとを両立させる。 この発明の方法はその性質上、層の厚さ全体にわたり両元素の分布及び両元素 の比が均一になる。 防錆層の保護効果と洗浄し易さという相矛盾する条件を満たす最善の方法があ るとすれば、防錆層を、その総厚10nm(100Å)のうち、金属銅の表面に 隣接する最初の2nm(20Å)程度を亜鉛が占めるような深さプロファイルに 構成することであろう。その場合、外周にむかって層の残り8nm(80Å)は 、上記比で亜鉛と3価クロム化合物とで構成されることになる。 クロム化合物抜きで金属亜鉛の薄いコーティングを金属銅表面に直接電着する と、自己溶解によって銅を直接酸化から保護する亜鉛の性能は、防錆フィルムだ けの保護性能よりもさらに高くなる。 同様に、銅表面に亜鉛だけから成るコーティングを隣接させると、化学的洗浄 剤による保護フィルムの完全除去がさらに容易になる。 防錆層を電着する前に極めて薄い金属亜鉛コーティングを電着する工程は、処 理装置の別設めっき槽において陰極法で行わ れる。ホイルを前記めっき槽中で陰極化し、ホイルの処理面に 請求の範囲 1.無光沢面(24)及びこれとは反対側の光沢面(22)を有する電着銅ホイ ルを曇り及び酸化から保護する方法において、 a)6価クロム・イオンを含む陰イオンと亜鉛陽イオンとを含有し、pHが3 〜4.5である水溶液から成る電解液を調製し、 b)前記電解液中に前記銅ホイルを浸漬し、 c)前記銅ホイルを前記電解液中に浸漬しながら前記銅ホイルを陰極化して、 亜鉛と単数または複数の3価クロム化合物から成り、10nm(100Å)以下 の厚さを有し、亜鉛とクロムとの重量比が少なくとも1:1である抗酸化/曇り 止め保護層を前記銅ホイル上に形成することにより、前記銅ホイルの無光沢面上 に前記抗酸化/曇り止め保護層を電着する 工程から成ることを特徴とする前記方法。 2.前記電解液のpHが、3.5〜4であることを特徴とする請求の範囲第1項 に記載の方法。 3.前記電解液が、鉱酸を含むことを特徴とする請求の範囲第1項または第2項 に記載の方法。 4.前記鉱酸が、リン酸であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法 。 5.前記亜鉛が、硫酸亜鉛の形で酸性電解液中に含まれ、前記水溶液が、前記硫 酸亜鉛を溶解させるための鉱酸を含むことを特徴とする請求の範囲第1項に記載 の方法。 6.保護層を電着する前にベース・ホイルに亜鉛の中間層を電着する工程をも含 むことを特徴とする請求の範囲第1項から第5項までのいずれか1項に記載の方 法。 7.接着力増大処理として、前記光沢面(22)に樹枝状銅層 を電着し、前記樹枝状銅層の上に被覆銅層を電着する工程をも含むことを特徴と する請求の範囲第1項から第6項までのいずれか1項に記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 マシュー,ミッシェル ベルギー,ベ−6600 バストフネ,アフェ ニュ フィリパルト,77 (72)発明者 ストリール,ミッシェル ベルギー,ベ−6662 ハウファリゼ,フィ サウレ,35 (72)発明者 ウォルスキー,アダム,エム. アメリカ合衆国,エヌジェイ 08010,エ ッジウォーター パーク,4ビー−7 ア ーバー グリーン

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.プリント回路板の製造材料として好適な銅ホイルにおいて、 a.無光沢面及びこれとは反対側の光沢面を有する電着ベース銅ホイルと; b.亜鉛及び単数または複数の3価クロム化合物を含み、希薄アルカリ溶液に 可溶の、前記無光沢面に施された抗酸化/曇り止め保護層と; c.前記光沢面に接着力増大処理として施された電着多重層とから成ることを 特徴とする前記銅ホイル。 2.前記保護層における亜鉛とクロムとの重量比が、少なくとも1:1であるこ とを特徴とする請求の範囲第1項に記載の銅ホイル。 3.前記保護層が、20〜40重量%の亜鉛と、10〜20重量%のクロムとを 含むことを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の銅ホイル。 4.前記保護層における亜鉛とクロムとの重量比が、約2:1であることを特徴 とする請求の範囲第1項から第3項までのいずれか1項に記載の銅ホイル。 5.前記保護層における亜鉛が、金属亜鉛であることを特徴とする請求の範囲第 1項から第4項までのいずれか1項に記載の銅ホイル。 6.前記アルカリ溶液が、ほぼ環境温度の希薄アルカリ水溶液であることを特徴 とする請求の範囲第1項から第5項までのいずれか1項に記載の銅ホイル。 7.前記接着力増大処理多重層が、前記光沢面に電着された樹枝状銅層と、前記 樹枝状銅層に電着された被覆銅層とから成ることを特徴とする請求の範囲第1項 から第6項までのいずれか 1項に記載の銅ホイル。 8.前記保護層が、電着されていることを特徴とする請求の範囲第1項から第7 項までのいずれか1項に記載の銅ホイル。 9.ベースホイルと保護層との間に亜鉛の中間層をも含むことを特徴とする請求 の範囲第1項から第8項までのいずれか1項に記載の銅ホイル。 10.中間層の亜鉛が、金属亜鉛であることを特徴とする請求の範囲第9項に記 載の銅ホイル。 11.銅ホイルの表面を曇り及び酸化から保護する方法において、 a.6価クロム・イオンを含む陰イオンと亜鉛とを含有する水溶液から成る電 解液を調製し; b.前記銅ホイルを前記電解液中に浸漬し; c.前記銅ホイルを前記電解液中に浸漬しながら陰極化することによって、成 分として亜鉛及び単数または複数の3価クロム化合物を少なくとも1:1の重量 比で含む保護層を前記銅ホイル上に形成する 工程から成ることを特徴とする前記方法。 12.前記電解液のpHが、3〜4.5、好ましくは3.5〜4であることを特 徴とする請求の範囲第11項に記載の方法。 13.前記電解液が、鉱酸を含むことを特徴とする請求の範囲第11項または第 12項に記載の方法。 14.前記鉱酸が、リン酸であることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の 方法。 15.前記亜鉛が、硫酸亜鉛の形で酸性電解液中に含まれ、前記水溶液が、前記 硫酸亜鉛を溶解させるための鉱酸を含むことを特徴とする請求の範囲第11項に 記載の方法。 16.保護層を電着する前に、ベースホイルに亜鉛の中間層を電着する工程をも 含むことを特徴とする請求の範囲第11項から第15項までのいずれか1項に記 載の方法。
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