[実施例1]
図1に、実施例1による基板製造装置の概略図を示す。基台10にX方向移動機構11が支持されている。Y方向移動機構12が、X方向移動機構11に支持されている。X方向移動機構11は、Y方向移動機構12を、水平面に対して平行なxy面内のx方向に移動させる。塗布ステージ13がY方向移動機構12に支持されている。Y方向移動機構12は塗布ステージ13をy方向に移動させる。塗布ステージ13は、その上面(保持面)に、対象物(下地基板)15を保持し、吸着する。対象物15は、例えばソルダーレジストが形成されていないプリント基板である。
塗布ステージ13の上方に、薄膜材料吐出装置20が配置されている。薄膜材料吐出装置20は、複数のノズルヘッド21を含む。ノズルヘッド21は、塗布ステージ13に保持された対象物15に対向する。対象物15に対向する面に複数のノズル孔が形成されている。ノズルヘッド21のノズル孔から対象物15に向けて、薄膜材料の液滴が吐出される。液滴の吐出は、例えば圧電素子により行われる。対象物15をx方向またはy方向に移動させながら、所定のノズル孔から所定のタイミングで液滴を吐出することにより、対象物15の表面に薄膜パターンを形成することができる。
複数のノズルヘッド21は、支持板24に支持されている。ノズルヘッド21の各々に、圧電素子を駆動するためのドライバ回路基板22が取り付けられている。支持板24に、複数のマニホールド23が搭載されている。例えば、4個のノズルヘッド21に対して1個のマニホールド23が配備される。
支持板24に、循環装置40が搭載されている。循環装置40から各マニホールド23に、供給用配管30を通して液状の薄膜材料が供給される。各マニホールド23から循環装置40に、回収用配管31を通して液状の薄膜材料が回収される。循環装置40は、回収用配管31を通って回収された薄膜材料を、供給用配管30に送出する。マニホールド23の各々は、供給された薄膜材料を、複数のノズルヘッド21に分配する。
循環装置40内にヒータ(熱源)43が配置されている。ヒータ43は、循環する薄膜材料を加熱する。供給用配管30及び回収用配管31の各々の周囲にも複数のヒータ(熱源)70が配置されている。ヒータ43に温度計(温度センサ)32が取り付けられており、複数のヒータ70のそれぞれに、温度計(温度センサ)33が取り付けられている。温度計32、33の出力が温度制御装置35に入力される。温度制御装置35は、温度計32及び33の出力に基づいて、ヒータ43及び70を制御する。
図1では、1本の供給用配管30についてのみヒータ70及び温度センサ33を表示しているが、実際には、すべての供給用配管30及びすべての回収用配管31にヒータ70及び温度センサ33が配置されている。また、ヒータ70は、循環装置40に接続された端部からマニホールド23に接続された端部までの全長に亘って配置されている。このヒータ70が、温度制御装置35によって制御されることにより、循環する薄膜材料の温度を目標温度に維持することができる。なお、薄膜材料が供給用配管30を流れるときの温度の低下量が少ない場合には、供給用配管30の周囲にはヒータ70を配置しなくてもよい。また、回収用配管31を流れる薄膜材料の粘度が十分低く維持される場合には、回収用配管31の周囲にヒータ70を配置しなくてもよい。
循環装置40に設けられたヒータ43で、薄膜材料を目標温度よりもやや低い温度まで加熱し、供給用配管30の周囲に配置したヒータ70で薄膜材料を目標温度まで加熱するようにしてもよい。この場合、薄膜材料は、ノズルヘッド21に到達した時点で、目標温度まで加熱されている。より一般的には、循環装置40、供給用配管30、マニホールド23、ノズルヘッド21、及び回収用配管31で構成される循環系内において、薄膜材料の温度が温度の目標範囲内に維持され、ノズルヘッド21内において薄膜材料が目標温度に到達するように、ヒータ43、70を制御すればよい。
支持板24の上に配置されたマニホールド23、ドライバ回路基板22、供給用配管30、回収用配管31、循環装置40、温度制御装置35を、被覆板25が覆う。支持板24と被覆板25は、マニホールド23、ドライバ回路基板22、供給用配管30、回収用配管31、循環装置40、及び温度制御装置35が配置された空間を、塗布ステージ13が配置された空間から隔離する。本明細書において、支持板24及び被覆板25を「隔離板(または、隔離部材)26」という。被覆板25の内面に、断熱材27が貼りつけられている。なお、被覆板25自体を断熱機能の高い材料で形成してもよい。
隔離板26の外側に、外付けタンク48が配備されている。外付けタンク48内に、液状の薄膜材料が収容されている。循環装置40等からなる循環系内の薄膜材料が少量になると、外付けタンク48から循環系内に薄膜材料が補充される。
第1の排気装置50が隔離板26内の空間を排気する。隔離板26に外気取入口51が形成されている。外気取入口51から隔離板26の内部空間に流入した気体が、第1の排気装置50によって排気される。
X方向移動機構11、Y方向移動機構12、塗布ステージ13、及び薄膜材料吐出装置20は、エンクロージャ16内に格納されている。エンクロージャ16に、外気取入口56が形成されている。外気取入口56には、例えばHEPAフィルタが取り付けられている。第2の排気装置55が、エンクロージャ16の内部空間を排気する。第2の排気装置55による排気口は、塗布ステージ13の側方に配置されている。このため、エンクロージャ16内に、横方向の気流が発生する。
循環装置40内のヒータ43、及び供給用配管30と回収用配管31とを加熱するためのヒータ70からの発熱により、隔離板26内の空間の温度が上昇する。温度が上昇する空間と、塗布ステージ13が配置された空間とが、隔離板26によって相互に隔離されている。このため、隔離板26内の加熱された気体が、対流によってX方向移動機構11、Y方向移動機構12、及び塗布ステージ13まで輸送されることを防止できる。その結果、X方向移動機構11、Y方向移動機構12、及び塗布ステージ13の温度上昇を抑制することができる。断熱材27を配置しない構成でも、対流による熱伝達を抑制することができる。また、第2の排気装置55によってエンクロージャ16内に横方向の気流が発生する。このため、隔離板26の外側の表面に接する比較的高温の気体を、塗布ステージ13に到達する前に効率的に排気することができる。
なお、上方から下方に向かう気流を発生させる構成であっても、隔離板26を配置すれば、隔離板26内の高温の気体が塗布ステージ13に到達しなくなる。このため、隔離板26を配置しない構成に比べて、塗布ステージ13の温度上昇を抑制することができる。
また、隔離板26内が第1の排気装置50で排気されるため、断熱材27の有無に関わらず、隔離板26内の過度の温度上昇を防止することができる。このように、隔離板26が、その内部に気体を閉じ込める機能を持つ。これに対し、断熱材27は、隔離板26内の空間から塗布ステージ13が配置された空間への熱伝導を抑制する。
上述のように、実施例1による薄膜形成装置においては、X方向移動機構11、Y方向移動機構12、及び塗布ステージ13の温度上昇を抑制することができる。これにより、塗布ステージ13の高い位置精度を維持することが可能になる。
図2に、実施例1による基板製造装置の支持板24、ノズルヘッド21、及びマニホールド23の平面図を示す。
ノズルヘッド21が、2行8列の行列状に配置されている。x方向に8個のノズルヘッド21が並び、y方向に2個のノズルヘッド21が並んでいる。本明細書において、複数のノズルヘッド21をまとめて「ノズルユニット」という場合がある。2行2列分(合計4個)のノズルヘッド21に対して1個のマニホールド23が配備されている。供給用配管30からマニホールド23の供給用流入口23Aに液状の薄膜材料が供給され、マニホールド23の回収用流出口23Bから回収用配管31を通して薄膜材料が循環装置40(図1)に回収される。
ノズルヘッド21の各々に、流入口28及び流出口29が形成されている。マニホールド23の供給用流入口23Aに流入した薄膜材料は、マニホールド23内で分岐して、4個の供給用流出口23Cから流出する。4個の供給用流出口23Cから流出した薄膜材料は、それぞれノズルヘッド21の流入口28に輸送される。ノズルヘッド21に供給された薄膜材料の一部は、ノズル孔から液滴になって吐出される。残りの薄膜材料は、流出口29からマニホールド23の回収用流入口23Dに輸送される。
ノズルヘッド21の各々に、ドライバ回路基板22が搭載されている。ドライバ回路基板22は、上位制御装置からの制御を受けて、ノズル孔の圧電素子を駆動する。
図3に、実施例1による基板製造装置の支持板24及びノズルヘッド21の底面図を示す。図2で説明したように、ノズルヘッド21が2行8列の行列状に配置されている。ノズルヘッド21の各々は、y方向に間隔を隔てて配置された2列のノズル列を有する。各ノズル列は、x方向に並ぶ複数のノズル孔60で構成されている。1つのノズル列においては、ノズル孔が等ピッチで配列している。
一方のノズル列のノズル孔60は、他方のノズル列のノズル孔に対して、x方向に1/2ピッチだけずれている。y方向に並ぶ2つのノズルヘッド21の一方は他方に対して、x方向に1/4ピッチだけずれている。対象物15(図1)をy方向に移動させながら、ノズル孔60から薄膜材料の液滴を吐出することにより、x方向に関してノズル孔のピッチの1/4に相当するピッチの解像度で、薄膜パターンを形成することができる。さらに、対象物をx方向に1/8ピッチだけずらしてy方向に往復移動させることにより、x方向に関して1/8ピッチに相当する解像度を実現することができる。
y方向に並ぶ2個のノズルヘッド21の間、及び外側に、それぞれ紫外光源61が取り付けられている。紫外光源61は、対象物15(図1)に着弾した薄膜材料に紫外線を照射する。薄膜材料には、紫外線硬化性の樹脂が用いられており、紫外線が照射されることによって硬化する。これにより、対象物15の表面に薄膜パターンが形成される。なお、薄膜材料として、紫外域以外の波長域の光によって硬化する光硬化性の樹脂を用いてもよい。この場合、紫外光源61に代えて、薄膜材料を硬化させる波長域の成分を含む光を放射する光源が用いられる。
図2及び図3では、ノズルヘッド21を2行8列の行列状に配置したが、その他の配置としてもよい。例えば、4行4列の行列状に配置してもよいし、1列に配置してもよい。また、ノズルヘッド21の搭載数は、16に限定されず、その他の個数としてもよい。
図4に、隔離板26及びその内部に搭載された部品の断面図を示す。ノズルヘッド21及びマニホールド23が、支持板24の内側の表面に取り付けられている。被覆板25が、ノズルヘッド21及びマニホールド23を覆う。被覆板25の内面に断熱材27が貼りつけられている。支持板24と被覆板25とで構成された隔離板26によって、外部から隔離された空間が形成される。ノズルヘッド21の、ノズル孔が形成された表面は、支持板24に形成された開口を通して隔離板26の外側に露出している。支持板24に形成された開口は、ノズルヘッド21によって塞がれている。
循環装置40(図1)から供給用配管30を通ってマニホールド23の供給用流入口23Aに薄膜材料が供給される。マニホールド23に供された薄膜材料は、マニホールド23の供給用流出口23Cから供給輸送路65を通ってノズルヘッド21の流入口28まで輸送される。ノズル孔から吐出されなかった薄膜材料は、ノズルヘッド21の流出口29から、回収輸送路66を通って、マニホールド23の回収用流入口23Dまで輸送される。マニホールド23の回収用流入口23Dに流入した薄膜材料は、回収用流出口23Bから回収用配管31を通って循環装置40(図1)に回収される。
マニホールド23内に一時的に貯蔵された薄膜材料をヒータ(熱源)68が加熱する。温度センサ34が、マニホールド23の温度を計測する。温度センサ34の検出結果が温度制御装置35に入力される。供給輸送路65及び回収輸送路66にもヒータ(熱源)67が巻かれている。ヒータ67、68は、温度制御装置35により制御される。供給輸送路65及び回収輸送路66は、循環装置40とマニホールド23とを連結する供給用配管30及び回収用配管31に比べて短い。このため、供給輸送路65及び回収輸送路66を流れるときの薄膜材料の温度低下は小さい。この温度低下が薄膜材料の吐出に悪影響を及ぼさない程度である場合には、ヒータ67を省略してもよい。薄膜材料の温度低下を抑制するために、供給輸送路65及び回収輸送路66を、断熱配管で構成してもよい。この場合、供給輸送路65及び回収輸送路66を流れる薄膜材料は、外気から断熱される。
図5に、循環装置40の概略図を示す。回収用配管31を通って回収された薄膜材料が、一旦、リザーバタンク42に貯蔵される。リザーバタンク42内の薄膜材料は、ヒータ43により加熱されている。ヒータ43は、温度制御装置35により制御される。循環ポンプ41が、リザーバタンク42内の薄膜材料を、供給用配管30に送り出す。図5では、1つの循環ポンプ41に4本の供給用配管30を接続した例を示したが、循環ポンプ41の循環能力が十分ではない場合には、1つの循環ポンプ41に2本の供給用配管30を接続してもよい。この場合には、2個の循環ポンプ41を準備すればよい。さらに、供給用配管30ごとに1つの循環ポンプ41を接続してもよい。
隔離板26の外側に、外付けタンク48が配置されている。循環系内の薄膜材料の量が減少すると、外付けタンク48からリザーバタンク42に薄膜材料が補充される。
図6に、供給用配管30の断面図を示す。回収用配管31も、供給用配管30と同一の断面構造を有する。金属製または樹脂製の配管69にヒータ70が巻かれている。さらに、ヒータ70を断熱材71が取り巻いている。温度計33が、配管69の温度を測定する。温度計33には、例えば熱電対が用いられる。ヒータ70を断熱材71で被覆することにより、効率的に配管69を加熱することができる。
実施例1においては、循環装置40(図1)が、薄膜材料を、その吐出温度よりやや高い温度まで加熱する。ここで、「吐出温度」とは、薄膜材料がノズル孔から吐出されるときの薄膜材料の温度を意味する。
薄膜材料の温度を高くしすぎると、吐出前に硬化してしまう場合や、変質してしまう場合がある。このような場合には、循環装置40で薄膜材料を吐出温度以上に加熱することは好ましくない。実施例1においては、図5に示したように、ヒータ43がリザーバタンク42を加熱する。さらに、供給用配管30(図1)、マニホールド23(図4)等の供給系が、ヒータ70(図1)、ヒータ68(図4)等によって加熱される。温度制御装置35(図1、図5)は、リザーバタンク42からノズルヘッド21に至るまでの経路内において、薄膜材料の温度が目標範囲内に収まるように、ヒータ68、70を制御する。この温度の目標範囲は、目標温度を含むように設定される。このため、ノズルヘッド21内における薄膜材料の温度(吐出温度)を、目標温度に維持するために、薄膜材料を過度に加熱する必要がない。これにより、ノズルヘッド21への薄膜材料の安定した供給、及びノズル孔からの安定した吐出が可能になる。
図7に、実施例1の変形例による基板製造装置に用いられる供給用配管30の側面図を示す。この変形例では、薄膜材料が、供給用配管30内を流れる間に徐々に加熱され、目標温度に達する。この変形例で用いられる供給用配管30は、図7に示すようにらせん状に巻かれた部分を含む。らせん状の部分にも、ヒータ70が配置されている。供給用配管30をらせん状にしたことにより、薄膜材料を効率的に加熱することができる。
例えば、循環装置40が、薄膜材料を、目標温度より10℃程度低い温度まで加熱する。薄膜材料が供給用配管30、マニホールド23等を流れる際に、薄膜材料の温度が10℃程度上昇する。これにより、ノズルヘッド21に到達した時点で、薄膜材料の温度が目標温度に達する。この変形例では、薄膜材料が目標温度より低い温度に維持される。このため、耐熱性の低い薄膜材料を用いることも可能である。
[実施例2]
図8に、実施例2による基板製造装置の概略図を示す。以下、図1に示した実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
実施例1では、図1に示したように、ノズルヘッド21及び循環装置40が、同一の支持板24に支持されていた。実施例2では、図8に示すように、ノズルヘッド21が支持板24に支持され、循環装置40及び外付けタンク48が、他の支持板75に支持されている。支持板75は基台10に固定されている。ノズルヘッド21を支持する支持板24は、基台10に対して、例えば高さ方向に移動可能である。
被覆板25は、支持板24搭載されたノズルヘッド21等の部品を覆う。他の被覆板76が、支持板75に搭載された循環装置40及び外付けタンク48を覆う。被覆板76の内面に断熱材77が貼りつけられている。被覆板76と支持板75とにより、塗布ステージ13が配置された空間から隔離された空間が形成される。この隔離された空間内に、循環装置40と外付けタンク48が収容されている。本明細書において、被覆板76及び支持板75を「隔離板(または、隔離部材)」80という。
供給用配管30及び回収用配管31は、被覆板25、76に設けられた開口部を通って循環装置40とマニホールド23とを接続する。供給用配管30及び回収用配管31は、柔軟性を有する材料で形成されているため、支持板24の高さ方向の移動に支障はない。
一方の被覆板25の開口部と他方の被覆板76の開口部との間に、ベローズ78が架け渡されている。ベローズ78は、一方の被覆板25と他方の被覆板76との相対的な位置関係の変動を許容する。さらに、ベローズ78は、隔離板26、80内の高温のガスが、開口部を通って、塗布ステージ13が配置された空間に漏れ出ることを抑制する。
第1の排気装置50は、一方の隔離板26内の空間のみならず、他方の隔離板80内の空間をも排気する。被覆板76に外気取入口81が形成されている。相対的に高温の気体が第1の排気装置50によって排気され、相対的に低温の気体が外気取入口81から隔離板80内に流入する。このため、隔離板80内の気体の過度の温度上昇を防止することができる。
実施例2では、外付けタンク48が隔離板80で隔離された空間内に収容されている。このため、外付けタンク48内にも薄膜材料を加熱するためのヒータ(熱源)82を配置してもよい。
[実施例3]
図9に、実施例3による基板製造装置の概略図を示す。以下、図8に示した実施例2との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
実施例3では、図8に示した実施例2の被覆板25、76が配置されていない。その代わりに、循環装置40、外付けタンク48、供給用配管30、回収用配管31、及びマニホールド23が、断熱材90で包まれている。供給用配管30及び回収用配管31を加熱するためのヒータ70も、断熱材90で包まれている。
薄膜材料が循環する循環系が、断熱材90で包まれているため、薄膜材料を目標温度まで加熱するための総発熱量を抑制することができる。このため、塗布ステージ13が配置された空間の温度上昇を抑制することができる。
上記実施例1〜実施例3では、ノズルヘッド21から余分な薄膜材料を循環装置40に回収する構成を採用したが、必ずしも回収する必要はない。循環装置40の代わりに、薄膜材料を供給用配管30に送り出す供給装置を用い、回収用配管31を省略してもよい。この場合には、ノズルヘッド21に供給された薄膜材料のすべてがノズル孔から吐出される。
[実施例4]
図10に、実施例4による基板製造装置の概略図を示す。以下、図1に示した実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。実施例1では、4個のマニホールド23に対して1個の循環装置40が準備されていた。実施例4においては、マニホールド23ごとに、循環装置40が準備されている。
循環装置40の各々は、リザーバタンク42及び循環ポンプ41を含む。実施例1では、図5に示したように、供給用配管30からなる供給経路に循環ポンプ41が挿入されており、回収経路にはポンプが挿入されていなかった。実施例4においては、循環ポンプ41が、供給用配管30に挿入された吐出ポンプ41Aと、回収用配管31に挿入された吸引ポンプ41Bとを含む。リザーバタンク42の各々に、ヒータ43及び温度センサ32が取り付けられている。供給用配管30、マニホールド23、回収用配管31にも、実施例1と同様に、ヒータ及び温度センサが取り付けられている。
吐出ポンプ41Aの吐出圧力、及び吸引ポンプ41Bの吸引圧力を調整することにより、ノズルヘッド21内に滞留している薄膜材料に加わる圧力を制御することができる。これにより、ノズル孔から、薄膜材料の液滴を安定して吐出させることができる。
[実施例5]
図11に、実施例5による基板製造装置の側面図を示す。以下、実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する場合がある。
実施例5による基板製造装置は、基台(定盤)10、フレーム101、塗布ステージ13、移動機構17、薄膜材料吐出装置20、CCDカメラ(撮像装置)100、及び吐出制御装置110を含む。フレーム101は、定盤10に固定され、薄膜材料吐出装置20及びCCDカメラ100を、塗布ステージ13の上方に支持する。吐出制御装置110は、基板製造装置の動作を制御する。
塗布ステージ13は、例えば、X方向移動機構11、Y方向移動機構12、回転方向移動機構14を含む移動機構17を介して、定盤10に支持されている。回転方向移動機構14は、保持された下地基板15を、z軸に平行な軸を回転中心として回転方向に変位させる。塗布ステージ13は、下地基板15を真空吸着することにより固定する。塗布ステージ13による下地基板15の吸着、X方向移動機構11、Y方向移動機構12、及び回転方向移動機構14は、吐出制御装置110によって制御される。なお、塗布ステージ13をx方向、y方向、及び回転方向に移動させることができる単一の機構で、移動機構17を構成してもよい。
フレーム101は、2本の支柱101b、及び梁101cを含む。支柱101bは、定盤10のy軸方向の略中央に固定される。梁101cは、x方向に沿うように、支柱10bに支持される。
薄膜材料吐出装置20及びCCDカメラ100は、フレーム101の梁101cに取り付けられる。薄膜材料吐出装置20は、薄膜材料の液滴を、塗布ステージ13に保持された下地基板15に向けて吐出する。薄膜材料吐出装置20からの薄膜材料の吐出は、吐出制御装置110によって制御される。CCDカメラ100は、塗布ステージ13に保持された下地基板15の表面を撮像する。移動機構17により下地基板15を移動させることにより、下地基板15の表面の任意の位置を撮像することができる。取得された画像データは、吐出制御装置110に送信される。吐出制御装置110は、取得された画像データに基づいて、下地基板50に薄膜材料を付着させるべき位置の計測や、付着した薄膜材料の検査を行うことができる。CCDカメラ100による撮像、及びその撮像された画像データの送信は、吐出制御装置110によって制御される。
吐出制御装置110は、記憶装置110aを含み、記憶装置110aに、下地基板15上に形成すべき薄膜パターンの画像データが記憶されている。この画像データは、薄膜パターンの設計上の平面形状を定義するパターン定義データ、及び薄膜材料をノズルヘッドから吐出させる時に参照される吐出制御用画像データを含む。一般的に、パターン定義データは、ガーバフォーマットのデータであり、吐出制御用画像データは、ラスタフォーマットのデータである。吐出制御装置110は、CCDカメラ100により撮像された画像データ及び記憶装置110aに記憶されている画像データに基づいて、移動機構17による塗布ステージ13の移動、及び薄膜材料吐出装置20からの薄膜材料の吐出を制御する。これにより、下地基板15に、所望の形状の薄膜パターンが形成される。
下地基板15は、x軸及びy軸方向に移動され、薄膜材料吐出装置20の下方を通過する時に、下地基板15の表面に薄膜材料が付着する。
なお、図11では、塗布ステージ13を移動機構17で移動させたが、フレーム101に移動機構を取り付けて、薄膜材料吐出装置20を移動させる構成を採用してもよい。
図12A及び図12Bに、それぞれ薄膜材料吐出装置20の1つのノズルヘッド21の底面図及び断面図を示す。図12Aに示すように、ノズルヘッド21の底面に、複数のノズル孔21Nが設けられている。複数のノズル孔21Nにより、2列のノズル列21a、21bが構成される。ノズル列21a、21bのうち一方のノズル列に着目すると、ノズル孔21Nは、常温時、例えば25℃環境下で、x軸方向にピッチPnozで配置される。一方のノズル列21aを構成するノズル孔21Nは、他方のノズル列21bを構成するノズル孔21Nに対して、x軸方向にPnoz/2だけずれている。つまり、ノズルヘッド21は、常温時、ノズル孔21NがX軸方向に沿って定格ピッチPnorm=Pnoz/2で千鳥状に配列される。
例えば、ノズル列21a、21bの各々は、192個のノズル孔21Nで構成される。すなわち、ノズルヘッド21は、合計で384個のノズル孔21Nを有する。常温時におけるノズルヘッド21の定格ピッチPnormは約80μmである。このとき、ノズルヘッド21のx軸方向に沿う分解能は、約300dpi相当となる。常温時において、ノズルヘッド21に設けられている一方の端のノズル孔21Nから他方の端のノズル孔21Nまでの長さ(定格ノズル配列長さ)Lnormは約31.5mmであり、一方のノズル列21aのノズル孔21Nと、他方のノズル列21bのノズル孔21Nとの中心間距離Plineは約5mmである。ノズル孔21Nの開口径は約30μmである。ノズルヘッド21の筐体には、例えば、JIS規格SUS303のステンレス鋼が用いられる。
図12Bに示すように、ノズルヘッド21は、複数のノズル孔21Nに液状の薄膜材料を供給する共通輸送路21F、及び共通輸送路21Fに供給する薄膜材料を貯えるタンク112を含む。さらに、タンク112には、貯えられた薄膜材料を加熱するヒータ114、及び加熱された薄膜材料の温度を検出する温度センサ113が設けられる。例えば、タンク112まで輸送された薄膜材料の温度が、目標温度まで達していない場合、ヒータ114により薄膜材料を目標温度まで加熱することができる。
オペレータは、薄膜材料の目標温度を入力装置111に入力することにより、薄膜材料を加熱する目標温度を適宜設定することができる。入力装置111に入力された目標温度までの薄膜材料の加熱、及び薄膜材料の温度の検出は吐出制御装置110によって制御される。ノズル孔21Nの各々に圧電素子が配置されており、圧電素子への電圧の印加に応じて薄膜材料がノズル孔21Nから吐出される。薄膜材料の吐出は吐出制御装置110によって制御される。図12Aでは、2列のノズル列21a、21bが配置された例を示したが、ノズル列の本数は、1列としてもよいし、3列以上としてもよい。ノズル列の本数を増加させることにより、ノズルヘッド21に設けられる共通輸送路21Fや圧電素子の寸法、レイアウトなどの制約を受けることなく、容易に定格ピッチPnormを狭くすることができる。
図13に、薄膜材料吐出装置20及び下地基板15の側面図を示す。図13においては、1つのノズルヘッド21及びその両側の紫外光源61を示している。吐出制御装置110(図11)は、薄膜材料吐出装置20に対して下地基板15を、例えば、y軸の負の方向に移動させる。さらに、吐出制御装置110は、CCDカメラ100(図11)で撮像された画像、及び記憶装置110a(図11)に記憶されている吐出制御用画像データに基づいて、特定のノズル孔21Nの圧電素子に電圧パルスを印加し、ノズル孔21Nから薄膜材料を吐出させる。例えば、ノズル列21a、21bを構成するそれぞれのノズル孔21Nは、時刻T1に開始する電圧パルスの印加により薄膜材料を吐出する。吐出された薄膜材料は、それぞれ下地基板15上のy座標がy1、y2の位置に付着する。
さらに、時刻T2に開始する電圧パルスの印加により、ノズル孔21Nが薄膜材料を吐出する。吐出された薄膜材料は、それぞれ下地基板15上のy座標がy2、y3の位置に付着する。薄膜材料が、下地基板15に付着した薄膜材料は、薄膜材料吐出装置20に備えられた光源61によって直ちに硬化される。下地基板15への薄膜材料の吐出を繰り返すことにより、下地基板15の表面に所望の薄膜パターンを形成する。例えば、下地基板15と薄膜材料吐出装置20との距離は0.5mm〜1mm程度である。また、下地基板15の送り速度は約100mm/s程度であり、薄膜材料の吐出周波数は約30kHz程度である。
図14Aに、形成すべき薄膜パターンのラスタフォーマットの画像データを、2次元的に示す。1つのピクセルは、薄膜材料吐出装置20に設けられた1つのノズル孔21Nから吐出される薄膜材料が下地基板15に着弾する位置に対応する。薄膜材料を着弾させるべきピクセルにハッチングが付されている。薄膜パターンのx軸方向の寸法(薄膜パターンの幅)は、ノズルヘッド21の定格ノズル配列長さLnormにほぼ等しいとする。
吐出制御装置110(図11)は、記憶装置110a(図11)に記憶されている薄膜パターンの形状を定義するパターン定義データ(例えば、ガーバフォーマットのデータ)から、ラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成する。吐出制御用画像データを構成するピクセルは、薄膜材料吐出装置20の移動方向(y軸方向)に第1のピッチで配列され、x軸方向に第2のピッチで配列される。第1のピッチは、下地基板15の送り速度、及び薄膜材料吐出装置20が薄膜材料を吐出する吐出周波数に基づいて算出される。第2のピッチはノズルヘッド21の定格ピッチPnorm(図12A)に基づいて算出される。吐出制御装置110は、生成された吐出制御用画像データに基づいて、薄膜材料吐出装置20に対して下地基板15をy軸方向に移動させながら、薄膜材料吐出装置20から薄膜材料を吐出させる。
図14Bに、ノズルヘッド21及び下地基板15の側面図を示す。x軸の負の側の端部のノズル孔21Nから吐出される薄膜材料が、下地基板15表面の、x座標がx1の位置に付着し、x軸の正の側の端部のノズル孔21Nから吐出される薄膜材料が、下地基板15表面の、x座標がx2の位置に付着す。
本願の発明者らは、薄膜材料として光硬化型ソルダーレジストを用いて、プリント配線板に所定の薄膜パターンを形成する評価実験を行った。その結果、ソルダーレジストの温度が常温〜70℃程度である場合、ソルダーレジストの粘度が高く、ノズル孔からソルダーレジストが吐出されないことがわかった。また、ソルダーレジストの温度が70℃〜90℃程度である場合には、ソルダーレジストの粘度が低下し、ノズル孔からソルダーレジストが吐出されるが、ソルダーレジストがノズル孔に詰まってしまう等の理由により、安定的にノズル孔からソルダーレジストが吐出されないことがわかった。本願の発明者らの検討によれば、ソルダーレジストの温度を約90℃以上にすることにより、ソルダーレジストの粘度がさらに低下し、安定的にノズル孔からソルダーレジストが吐出させることがわかった。本願の発明者らは、ソルダーレジストの温度を95℃程度に設定し、実際にプリント配線板に薄膜パターンを形成した。
図15Aに、ソルダーレジストの1つの液滴が着弾した位置を1つのピクセルに対応させたビットマップ画像を示す。加熱されたソルダーレジストをノズルヘッド21に供給すると、ノズルヘッド21は、主としてx軸方向に熱膨張する。熱膨張により、ノズルヘッド21の定格ノズル配列長さLnormは、実ノズル配列長さLeffに変動する。例えば、95℃に加熱されたソルダーレジストをノズルヘッド21に供給すると、ノズルヘッド21の温度は約80℃程度になる。ノズルヘッド21の筐体を構成するステンレス鋼の熱膨張係数は約17.3×10−6/℃である。常温を約25℃とすると、ノズルヘッド21のX軸方向に関する伸長量は、約31.5mm(ノズル配列長さL)×17.3×10−6/℃(熱膨張係数)×(80℃−25℃)(ノズルヘッドの加熱温度)=約30μmとなる。ノズルヘッド21がx軸方向に伸長すると、本来形成すべき薄膜パターンとは異なる平面形状、具体的にはx軸方向に引き伸ばされた平面形状を有する薄膜パターンが形成される。
図15Bに、x軸方向に伸長したノズルヘッド21及びプリント配線板15の側面図を示す。x軸の負の側の端部のノズル孔21Nから吐出された薄膜材料は、本来、プリント配線板15の表面のx座標がx1の位置に付着すべきであるが、実際には、x座標がx3の位置に付着する。同様に、x軸の正の側の端部のノズル孔21Nから吐出された薄膜材料は、本来、プリント配線板50表面のx座標がx2の位置に付着すべきであるが、実際には、x座標がx4の位置に付着する。
ノズルヘッド21の伸長量は、主にノズルヘッド21に供給するソルダーレジストの温度、及びノズルヘッド21の熱膨張係数によって規定される。吐出制御装置110は、ノズルヘッド21の熱膨張を予め加味して、ラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成することにより、形成すべき薄膜パターンに近いパターンをプリント配線板に形成することができる。
図16に、実施例5による基板製造装置の制御系のブロック図を示す。記憶装置110aに、下地基板に形成すべき薄膜パターンの平面形状を定義するパターン定義データ、及び薄膜材料(ソルダーレジスト)の温度Tsrとノズルヘッド21の実ピッチPeffとが関連付けられたTsr−Peffインデックスデータが記憶されている。または、ソルダーレジストの温度Tsrと、そのソルダーレジストがノズルヘッド21に供給されるときのノズルヘッド21の温度Thとが関連付けられたTsr−Thインデックスデータが記憶されている。ソルダーレジストの温度Tsrとノズルヘッドの実ピッチPeffとの関係、または温度Tsrと温度Thとの関係は、予め測定等により設定しておくことが可能である。
吐出制御装置110は、入力装置111に入力されたソルダーレジストの温度Tsrを取得する。取得した温度Tsrに基づいて、記憶装置110aに記憶されるTsr−Peffインデックスデータを参照し、ソルダーレジストの温度Tsrに対応するノズルヘッド21の実ピッチPeffを導出する。または、記憶装置110aに記憶されているTsr−Thインデックスデータを参照し、実ピッチPeffを算出する。実ピッチPeffは、常温をTcとし、ノズルヘッド21の熱膨張係数をKとするとしたとき、Peff=Pnorm×K×(Th−Tc)で表される。
吐出制御装置110は、記憶装置110aに記憶されているガーバフォーマットのパターン定義データから、ラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成する。ラスタフォーマットの画像データを構成するピクセルは、走査方向(y軸方向)に第1のピッチで配置され、走査方向と直交する方向に第3のピッチで配置される。第1のピッチは、下地基板15の送り速度、及び薄膜材料の吐出周波数に基づいて算出され、第3のピッチは、ノズルヘッド21の実ピッチPeffに基づいて算出される。
吐出制御装置110は、入力されたソルダーレジストの温度情報に基づいて、ヒータ114を制御し、ソルダーレジストを入力された温度まで加熱する。さらに、生成した吐出制御用画像データに基づいて、薄膜材料吐出装置20及び移動機構17(図11)を制御することにより、下地基板15に薄膜パターンを形成する。
図17Aに、ノズルヘッド21の熱膨張を加味して生成された吐出制御用画像データのビットマップ画像を示す。吐出制御装置110は、吐出制御用画像データに基づいて、下地基板15を走査しながら(y軸方向に移動させながら)、ノズルヘッド21から薄膜材料を吐出させることにより、下地基板15の表面に薄膜パターンを形成する。
図17Bに、ノズルヘッド21及び下地基板15の側面図を示す。ノズルヘッド21の熱膨張を加味して生成した吐出制御用画像データに基づいて、薄膜材料の液滴を吐出させるノズル孔が決定されるため、薄膜材料を付着させるべきx座標x1、x2の位置に対応するノズル孔21Nから、それぞれ薄膜材料の液滴が吐出される。このように、ノズルヘッド21のノズル孔21Nの実ピッチPeffに基づいて、ラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成することにより、ノズルヘッド21の熱膨張に起因する薄膜パターンの平面形状の歪を防止することができる。
実施例5では、ステンレス鋼(SUS303)で形成された筐体を有するノズルヘッド21から、95℃に加熱された薄膜材料を吐出させて薄膜パターンを形成した。薄膜材料の適正な温度は、薄膜材料を構成する材料や供給機構の状態、環境に応じて異なる。入力装置111から所望の温度を入力することにより、薄膜材料の目標温度を適宜調整することが可能である。ノズルヘッド21の実ピッチPeffは、ノズルヘッド21に供給される薄膜材料の温度とノズルヘッド21の筐体の温度との関係を示すデータ、及びノズルヘッド21の筐体の熱膨張係数に基づいて算出することが可能である。
図18に、下地基板15に薄膜パターンを形成するときの下地基板15とノズルヘッド21との平面図を示す。薄膜材料が付着されるべき領域にハッチングを付している。加熱された薄膜材料の供給に伴うノズルヘッド21の熱膨張により、ノズルヘッド21のx軸方向の解像度が低下する。下地基板15に形成する薄膜パターンのx軸方向の解像度を向上させるためには、ノズルヘッド21をx軸方向にずらして複数回の走査を行えばよい。例えば、吐出制御装置110(図11)は、ノズルヘッド21の走査方向(y軸方向)と直交する方向(x軸方向)に配列するピクセルのピッチが、ノズルヘッド21の実ピッチPeffの1/2になるようにラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成する。生成された吐出制御用画像データに基づいて、下地基板15をy軸方向に走査する。その後、下地基板15をx軸方向に実ピッチPeffの1/2だけずらし、同様の走査を行う。このように、2回の走査、または往復走査を行うことにより、下地基板15に形成する薄膜パターンのx軸方向の解像度を向上させることが可能となる。なお、x軸方向にずれて配置された複数のノズルヘッド21を含むノズルヘッドユニットを用いてもよい。
[実施例6]
次に、実施例6による基板製造装置について説明する。以下、実施例5との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
実施例5では、図16に示した入力装置111からオペレータが薄膜材料の温度Tsrを入力した。入力された温度Tsrに基づいて、吐出制御装置110がノズルヘッド21のノズル孔の実ピッチPeffを算出した。実施例6では、薄膜材料の温度、ノズルヘッド21の筺体の熱膨張係数等に基づいて、オペレータがノズルヘッド21のノズル孔の実ピッチPeffを算出する。
オペレータは、算出したノズル孔の実ピッチPeffを、入力装置111(図16)に入力する。吐出制御装置110は、オペレータが入力した実ピッチPeff、及び記憶装置110aに記憶されているガーバフォーマットのパターン定義データに基づいて、ラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成する。その後の薄膜パターン形成方法は、実施例5の場合と同一である。
実施例6のように、オペレータが、ノズル孔の定格ピッチとは異なる実ピッチを入力することにより、実施例5と同様に、ノズルヘッド21の熱膨張に起因する薄膜パターンの平面形状の歪を防止することができる。
[実施例7]
図19に、実施例7による基板製造装置の概略図を示す。実施例7による基板製造装置は、筺体218の内部に配置されるアライメントステーション202、塗布ステーション203、基板反転ステーション204、アライメントステーション205、塗布ステーション206、紫外線照射装置208、209、及び、リフタ211〜214を含む。また、実施例7による基板製造装置の筺体218には、基板搬入口201及び基板搬出口207が設けられている。実施例7による基板製造装置は、例えば矩形状のプリント配線板である基板221〜227の表面及び裏面に、ソルダーレジストの薄膜パターンを形成するために用いられる。また、実施例7による基板製造装置は、コンベア215、216、及び制御装置220を含む。コンベア215によって、基板221〜227が筺体218の内部まで搬入される。筺体218内では、リフタ211〜214が基板221〜227を搬送する。コンベア216は、筺体218内から基板221〜227を搬出する。各ステーションの動作、及びリフタ211〜214の動作、及びコンベア215、216の動作は、制御装置220によって制御される。制御装置220は記憶装置220aを含む。
基板221〜227は、コンベア215で搬送され、搬入口201から筺体218内に導入される。このとき、例えば基板221〜227の一方の面(第1の面)は、図の上方向(Z軸正方向)を向いている。
鉛直上方をZ軸正方向とする右手系の直交座標系を画定する。以下の説明において、アライメントステーション202から塗布ステーション206までの5つのステーションは、順にX軸の正の方向に向かって配置されている。基板搬入口201から筺体218内に搬入された基板221〜227は、各ステーション202〜206を経由して、全体としてX軸の正の方向に向かって搬送され、基板搬出口207から筺体218の外部へ搬出される。
筺体218の内部に搬入された基板221〜227は、リフタ211によって、アライメントステーション202に搬送される。アライメントステーション202においては、基板221〜227の第1の面に形成されたアライメントマークが検出され、検出結果に基づいて、基板221〜227のアライメント(位置合わせ)が行われる。
アライメントが行われた基板221〜227は、リフタ211によって、塗布ステーション203に搬送される。塗布ステーション203においては、例えば紫外線硬化性の薄膜材料により、基板221〜227の第1の面に薄膜パターンが形成される。薄膜材料は、例えばソルダーレジストである。
第1の面に薄膜パターンが形成された基板221〜227は、リフタ212により、基板反転ステーション204に搬送される。基板反転ステーション204において、基板221〜227が反転される。この結果、基板221〜227の第1の面とは反対側の第2の面が、Z軸の正の方向を向くことになる。また、基板反転ステーション204において、紫外線照射装置208によって、基板221〜227の第1の面全体に紫外線が照射され、基板221〜227の第1の面に形成された薄膜パターンの本硬化が行われる。基板221〜227の反転と、基板221〜227の第1の面への紫外線の照射は、たとえば同時並行的に行われる。
反転された基板221〜227は、リフタ213で、アライメントステーション205に搬送される。アライメントステーション205においては、基板221〜227の第2の面に形成されたアライメントマークが検出され、検出結果に基づいて、基板221〜227のアライメントが行われる。
基板221〜227は、リフタ213によって、塗布ステーション206に搬送される。塗布ステーション206において、紫外線硬化性の薄膜材料により、基板221〜227の第2の面に薄膜パターンが形成される。
基板221〜227は、第2の面に薄膜パターンが形成された後、リフタ214によって、コンベア216に搬送される。その後、基板221〜227は、コンベア216によって、搬出口207から筺体218の外部へ搬出される。コンベア216の上に載置された状態で、紫外線照射装置209により、基板221〜227の第2の面全体に紫外線が照射され、基板221〜227の第2の面に形成された薄膜パターンの本硬化が行われる。紫外線照射装置209は、コンベア216上に載置された基板221〜227の上方を通過するように、筺体218内を移動可能であり、基板221〜227の上方を通過しながら、基板221〜227の第2の面に紫外線を照射する。または、紫外線照射装置209を筺体218内に固定的に配置してもよい。この場合、基板221〜227がコンベア216で搬送されるときに、基板221〜227が紫外線照射装置209の下方を通過する。基板221〜227への紫外線の照射は、制御装置220によって制御される。
実施例7による基板製造装置においては、アライメントステーション202、塗布ステーション203、基板反転ステーション204、アライメントステーション205、塗布ステーション206の各ステーションで、処理が並行して行われる。すなわち、アライメントステーション202で、基板222の第1の面に形成されたアライメントマークの検出、及び、基板222のアライメントが行われている期間に、塗布ステーション203において、基板223の第1の面にソルダーレジスト等の薄膜パターンが形成される。この間、基板反転ステーション204では、基板224の第1の面に形成された薄膜パターンの本硬化と、基板224の表裏の反転が行われる。アライメントステーション205では、基板225の第2の面に形成されたアライメントマークの検出、及び、基板225のアライメントが行われる。塗布ステーション206においては、基板226の第2の面にソルダーレジストの薄膜パターンが形成される。この間に、例えばコンベア215は、ソルダーレジスト未形成の基板221を筺体218内に搬入する。コンベア216上の基板227には、紫外線照射装置209によって紫外線が照射され、コンベア216は、ソルダーレジストパターンが表裏に形成された基板227を、筺体218から搬出する。このため、生産効率の向上を実現することができる。
図20A〜図20Cを参照して、アライメントステーション202について説明する。図20Aは、アライメントステーション202に備えられたアライメント装置の概略図を示す。アライメント装置は、ベース(基台)231上に、ベース231側から順に配置されるYステージ232、θステージ233、チャックプレート(塗布ステージ)234を含む。チャックプレート234は、リフタ211によって、アライメントステーション202に搬送された基板222を吸着保持する。
Yステージ232は、保持された基板222をY軸方向に移動させることができる。θステージ233は、保持された基板222を、XY平面に平行な面内で、Z軸に平行な軸を回転中心として回転させることが可能である。Yステージ232、θステージ233、及び、チャックプレート234は、基板222を保持し、アライメントステーション202内で移動させる移動機構を構成する。チャックプレート234による基板222の吸着、Yステージ232及びθステージ233による基板222の移動は、制御装置220によって制御される。
アライメント装置はCCDカメラ235〜238を含む。CCDカメラ235〜238は、チャックプレート234に保持された基板222上に形成されているアライメントマークを撮像する。CCDカメラ235〜238による撮像は、制御装置220によって制御される。CCDカメラ235〜238によって得られた画像データ(検出結果)は、制御装置220に送信される。
図20Bは、アライメントステーション202に搬送され、チャックプレート234に吸着保持された基板222を示す平面図である。基板222には、例えば第1の面の四隅にアライメントマーク222a〜222dが形成されている。
リフタ211によってチャックプレート234上に搬送、載置された基板222は、チャックプレート234に吸着保持された状態で、Yステージ232の駆動により、アライメントステーション202内をY軸負方向に移動される。図20Bにおいては、移動後の基板222を括弧内に示した。
CCDカメラ235〜238は、リフタ211が基板222をチャックプレート234上に載置するときのチャックプレート234の位置から、Y軸の負の方向にずれた位置に配置されている。CCDカメラ235〜238は、それぞれ基板222に形成されたアライメントマーク222a〜222dを撮像可能な相対位置関係を有する。基板222は、チャックプレート234に保持された後、Yステージ232によってCCDカメラ235〜238の撮像可能な位置まで移動される。CCDカメラ235〜238が、基板222に形成されたアライメントマーク222a〜222dを撮像する。撮像により取得された画像データが、制御装置220に送信される。
制御装置220は、CCDカメラ235〜238によって取得された画像データを解析し、基板222の位置、及び、XY面内方向(基板222の面内方向)に関する姿勢(向き)を検出する。その後、例えば、基板222の、XY平面内方向における姿勢を補正(変更)する(θ補正)。
図20Bに、一例として、基板222に、XY平面内において反時計回りに角度αだけ位置ずれが生じている場合のチャックプレート234及び基板222の平面図を示す。この場合、例えばアライメントマーク222aが形成されている頂点と、アライメントマーク222dが形成されている頂点とを結ぶ辺は、後者の頂点を基準として、X軸正方向から反時計回りに角度αだけ傾いていることになる。この位置ずれは、CCDカメラ235〜238によって取得された画像データを解析することにより、制御装置220によって検知される。制御装置220は、θステージ233を時計回りに角度αだけ回転させることによって、この位置ずれを修正する。修正の結果、矩形状の基板222の各辺は、X軸またはY軸に平行となる。
図20Cに示すように、θ補正を行った後、制御装置220は、Yステージ232を駆動して、基板222をY軸の正の方向に移動させる。Yステージ232の駆動距離は、例えば図20Bに示した工程において、アライメントマーク222a〜222dを検出するために、CCDカメラ235〜238の設置領域まで基板222を移動させた距離と等しい。
図20Cの括弧内に、Y軸の正の方向に移動された後の基板222を示した。θ補正が施された基板222は、リフタ211により、塗布ステーション203に搬送される。リフタ211は、θステージ233の回転によって、基板面内方向における向きが変更された基板222を、その向きを維持して、塗布ステーション203のステージ上に搬送する。
アライメントステーション202でθ補正が完了しているため、塗布ステーション203では、基板222のθ方向の位置補正を行うことなく、基板222の第1の面への薄膜パターンの形成を開始することができる。例えば、塗布ステーション203でθ補正を行い、その後に薄膜パターンを形成する場合と比べると、塗布ステーション203での処理時間を短くすることができる。これにより、タクトタイムの短縮、生産効率の向上を実現することが可能になる。
基板222には、通常、伸び歪が発生し、薄膜パターンの形成時点では、基板の寸法が設計値と異なっている。このため、制御装置220は、アライメントステーション202において、CCDカメラ235〜238を用いて取得された画像データに基づき、基板222の寸法を算出する。制御装置220は、基板222の算出された寸法に基づいて、吐出制御用画像データを生成する。生成された吐出制御用画像データは、制御装置220の記憶装置220aに格納される。この処理については、以下塗布ステーション203の動作の説明中で詳述する。
図21A及び図21Bに、塗布ステーション203に備えられた液滴吐出装置の概略図を示す。図21Aに示すように、液滴吐出装置は、XY平面(水平面)に平行な姿勢で設置されたベース241、及びベース241上に、ベース241側から順に配置されたXステージ243、Yステージ244、チャックプレート(塗布ステージ)245を含む。チャックプレート245は、リフタ211によって塗布ステーション203に搬送された基板223を吸着保持する。
Xステージ243は、保持された基板223をX軸方向に移動させることができる。Yステージ244は、保持された基板223をY軸方向に移動させることができる。Xステージ243、Yステージ244、及びチャックプレート245により移動ステージが構成される。移動ステージは、基板223を保持し、塗布ステーション203内で移動させる。チャックプレート245による基板223の吸着、Xステージ243及びYステージ244による基板223の移動は、制御装置220によって制御される。
移動ステージとして、Xステージ243、Yステージ244、チャックプレート245の機能を有する高機能ステージを用いてもよい。
フレーム242がベース241に固定されている。フレーム242は、ノズルユニット247a〜247fを、チャックプレート245の上方に支持する。
フレーム242は、2本の支柱242a、242b、及び梁242cを含む。支柱242a、242bは、ベース241のY軸方向の略中央に取り付けられている。梁242cは、X軸方向に沿うように、支柱242a、242bに支持される。
ノズルユニット247a〜247fは、連結部材246を介して、フレーム242の梁242cに保持されている。ノズルユニット247a〜247fは、それぞれ複数のノズルヘッド及び紫外光源を含む。ノズルヘッドは、たとえば紫外線硬化性の薄膜材料を移動ステージに保持された基板223の表面に向け、液滴として吐出する。薄膜材料の吐出は、基板223をY軸方向に移動させながら行われる。吐出された薄膜材料により、基板223の表面上に所定の平面形状を有する薄膜パターン、例えばソルダーレジストパターンが形成される。紫外光源から出射される紫外線により、薄膜パターンの表層部が硬化する。表層部のみが硬化する現象を「仮硬化」ということとする。
制御装置220の記憶装置220aに、基板223上に形成すべき薄膜パターンの平面形状を定義するパターン定義データ(ガーバフォーマットの画像データ)が記憶されている。パターン定義データから生成されたラスタフォーマットの画像データは、基板が設計値通りの寸法である場合に、そのまま使用可能であるが、基板に歪が生じている場合には、そのまま施用することができない。制御装置220は、パターン定義データから、アライメントステーション202で撮像された基板223の画像データに基づき、基板223の歪を考慮して、ラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成する。例えば制御装置220は、アライメントステーション202で撮像された画像データから、基板223のX方向、Y方向の伸び歪を求める。X方向については、基板223のX方向の伸縮量に応じて、薄膜材料の液滴を着弾させるべき位置の座標を補正する。基板223のY方向についても、同様に、基板223のY方向の伸縮量に応じて、薄膜材料の液滴を着弾させるべき位置の座標を補正する。なお、Y方向に関して、具体的には、Yステージ244による基板223の移動量とノズルヘッドからの薄膜材料の吐出時期との関係(吐出タイミング)が補正される。このように、予め記憶装置220aに記憶されていたデータを補正することで得られたラスタフォーマットの吐出制御用画像データは、記憶装置220aに保存される。
図24A及び図24Bを参照し、画像データの補正の一例について説明する。図24A及び図24Bは、行方向及び列方向に配列する複数のピクセルで構成されるビットマップ画像を示す。図24A及び図24Bにおいては、薄膜材料の液滴を着弾させるべきピクセルを黒く塗りつぶして示している。
図24Aは、薄膜パターンの設計値(初期値)に対応するビットマップ画像を示す。実線で描いた円の周及び内部に掛からないピクセルが、薄膜材料の液滴を着弾させるべきピクセルとして、記憶装置220aに記憶されている。
例えばX方向の長さがlX、Y方向の長さがlYである矩形状の基板223のX方向の伸縮量がΔX、Y方向の伸縮量がΔYであったとする。伸縮量が基板223の全体に亘って均一に生じているとすると、X方向、Y方向について、単位長さ当たりの伸縮量は、ΔX/lX、ΔY/lYとなる。図24Aの円の周及び内部(薄膜材料を塗布しない領域)は、そのサイズに応じて拡大する。すなわち、基板223上において、薄膜材料の液滴を着弾させる位置が変化するため、制御装置220は薄膜材料の液滴を着弾させるべきピクセルを補正する。
図24Bに、補正後のビットマップ画像を示す。例えば図24Bに、実線で描いた円の周及び内部に掛からないピクセルが、補正後の薄膜材料の液滴を着弾させるべきピクセルとなる。図24Aに実線で描かれた円は、図24Bには参考として破線で示した。例えば、図24Bに示すビットマップのデータが、形成すべき薄膜パターンの画像データとして、新たに記憶装置220aに記憶される。
制御装置220は、記憶装置220aに保存された吐出制御用画像データに基づいて、基板223上の所定領域に薄膜材料が塗布されるように、ノズルユニット247a〜247fからの薄膜材料の吐出、及び移動ステージによる基板223の移動を制御する。基板223は、Y軸方向に沿って移動されながら、ノズルユニット247a〜247fの鉛直下方(Z軸負方向)において基板223にインクが塗布される。
図21Bに、液滴吐出装置のノズルユニット247a〜247fの近傍の側面図を示す。ノズルユニット247a〜247fは、同一の構成を有し、X軸方向に沿って等間隔に連結部材246に固定されている。連結部材246は、フレームの梁242cに、Z軸方向に移動可能に取り付けられている。ノズルユニット247a〜247fは、基板223との間の距離を調整可能にフレーム242に支持されている。連結部材246によるノズルユニット247a〜247fのZ軸方向への移動は、制御装置220によって制御される。なお、ノズルユニット247a〜247fは、連結部材246を介さず、直接フレームの梁242cに固定されていてもよい。
図22Aに、ノズルユニット247aの斜視図を示す。ノズルユニット247aは、ノズルホルダ247acに、Y軸方向に沿って交互に組み付けられたノズルヘッド247a1〜247a4、及び、紫外光源247a5〜247a9を含む。各ノズルヘッド247a1〜247a4は、Y軸方向に沿って配置される2列のノズル列を備える。各ノズル列は、X軸方向に沿って配列された複数の、例えば192個のノズル孔によって構成される。各ノズル列のX軸方向に沿う長さは、例えば約30mmである。このためノズルユニット247aのX軸方向に沿う長さも約30mmである。各ノズル孔から紫外線硬化性の薄膜材料が吐出される。
紫外光源247a5〜247a9は、例えば発光ダイオード(LED)を含み、紫外領域の波長の光を放射する。ノズルヘッド247a1〜247a4の各ノズル孔から基板223に吐出された紫外線硬化性の薄膜材料は、紫外光源247a5〜247a9から発せられる光によって硬化(仮硬化)する。紫外光源247a5〜247a9からの紫外光の放射は、制御措置220によって制御される。
図22Bに、ノズルユニット247a(ノズルヘッド247a1〜247a4)の底面図を示す。図22Bにおいては、紫外光源247a5〜247a9の記載は省略した。
ノズルヘッド247a1〜247a4の1つのノズル列に着目すると、ノズル孔がX軸方向に沿って160μm間隔で配置される。各ノズルヘッド247a1〜247a4において、Y軸の正の側のノズル列のノズル孔は、Y軸の負の側のノズル列のノズル孔に対し、X軸の正の方向に80μmだけずれている。すなわち、ノズルヘッド247a1〜247a4の各々は、X軸方向に80μm間隔で千鳥状に配列される384個のノズル孔を含み、約300dpiに相当する解像度を有する。各ノズル孔に圧電素子が取り付けられており、圧電素子への電圧の印加に応じて薄膜材料の液滴が吐出される。薄膜材料の吐出(電圧の印加)は制御装置220によって制御される。なお、実施例7においては、2列のノズル列を設けたが、ノズル列の本数は、1列でもよいし、3列以上でもよい。
ノズルヘッド247a1〜247a4は、順に相対位置をX軸の正の方向にずらされながら、全体としてY軸方向に沿って配置される。すなわち、ノズルヘッド247a2はノズルヘッド247a1に対し、20μmだけX軸の正の方向にずれている。同様にノズルヘッド247a3、a4は、それぞれノズルヘッド247a2、a3に対し、20μmだけX軸の正の方向にずれている。この結果、ノズルユニット247aは、X軸方向に20μm間隔(約1200dpiに相当する解像度)で配置されるノズル孔を備える。
図22Cに、ノズルユニット247a〜247fの概略的な平面図を示す。上述のように、各ノズルユニット247a〜247fは、X軸方向に沿う約30mmの範囲に、液滴吐出能力を有する。また、X軸方向に沿って等間隔に配置される。隣り合うノズルユニット247a〜247f間の距離は、たとえば約60mmである。
リフタ211(図19)で搬送された基板223が、塗布ステーション203内のチャックプレート245(図21A)の上に保持される。基板223をY軸の負の方向に移動させながら、各ノズルユニット247a〜247fの下方のY軸方向に沿う奇数列領域(図22Cにおいて丸印を付した領域)の吐出目標位置(薄膜材料の液滴の着弾目標位置)に向けて、ノズルユニット247a〜247fから薄膜材料を吐出する。奇数列領域における目標位置への吐出が終了したら、Xステージ243で基板223をX軸正方向に、たとえば10μmだけ移動させる。その後、基板223をY軸の正の方向に移動させながら、各ノズルユニット247a〜247fの下方のY軸方向に沿う偶数列領域(図22Cにおいてバツ印を付した領域)の吐出目標位置に向けて、ノズルユニット247a〜247fから薄膜材料を吐出する。Y軸方向に沿う往路と復路とで、奇数列領域と偶数列領域の目標位置に向けて液滴を吐出することで、約2400dpiに相当する解像度で薄膜パターンを形成することができる。
偶数列領域への液滴吐出終了後、Xステージ243を駆動し、基板223を、X軸の正の方向に約30mm移動させる。Yステージ244により、基板223をY軸方向に往復させ、往路と復路とで、それぞれ奇数列領域と偶数列領域とに、薄膜材料を着弾させる。
更にもう一度同様の処理を行い、合計3往復で、基板223の表面の全域に薄膜パターンを形成することができる。
図21A〜図22Cに示した液滴吐出装置は、6つのノズルユニット247a〜247fを備える。ノズルユニットの数は6つに限られることはない。例えばノズルユニットの数を1つにしてもよい。
第1の面に薄膜パターンが形成された基板223は、基板反転ステーション204(図19)に搬送される。基板反転ステーション204は、基板223を反転させる基板反転装置、及び紫外線照射装置208を含む。基板223が、基板反転装置によって反転されながら、紫外線照射装置208を出射した紫外線によって表面に形成された薄膜パターンの本硬化が行われる。本硬化後、アライメントステーション205に搬送される。
本硬化は、基板に形成された薄膜パターンを、その内部まで固化する処理である。なお、塗布ステーション203で行われる仮硬化は、ソルダーレジストの表層部のみを固化させる処理である。仮硬化によって、基板に付着した薄膜材料の面内方向への拡散が防止される。仮硬化によっては、薄膜材料の内部領域は完全には固化していない。本硬化によって、薄膜パターンの内部領域を完全に固化させることにより、タック(べたつき)を防止することができる。
アライメントステーション205は、アライメントステーション202と同様の構成と機能を備える。基板223の第2の面に形成されたアライメントマークがCCDカメラで検出され、θ補正が行われる。また、CCDカメラで得られた画像データから、基板223のサイズを検知し、基板223の第2の面に薄膜パターンを形成する際に用いるラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成する。
リフタ213が、アライメントステーション205に備えられたθステージの回転によって、回転方向に関する位置合わせが完了した基板223を、その姿勢を維持して、塗布ステーション206のステージ上まで搬送する。
塗布ステーション206は、塗布ステーション203と同様の構成と機能を備える。塗布ステーション206においては、第2の面用の画像データに基づいて、基板223の第2の面に薄膜パターンが形成される。
第2の面の薄膜パターン形成するときに参照される吐出制御用画像データは、アライメントステーション202で取得された画像データに基づいて作成することもできる。この場合、アライメントステーション205で得られる画像データは、たとえばθ補正にのみ使用される。
基板223のθ補正を、アライメントステーション205で行うため、塗布ステーション206ではθ補正の必要がない。このため、塗布ステーション206に搬送された基板223に対して、回転方向の位置合わせを行うことなく、第2の面の薄膜パターンの形成を開始することができる。従って、塗布ステーション206での処理時間を短くすることができ、タクトタイムの短縮、生産効率の向上を実現することが可能である。
第2の面への薄膜パターンの形成が終了した基板223は、リフタ214によって、コンベア216に搬送される。コンベア216上に載せられた基板223の第2の面に形成された薄膜パターンに、紫外線照射装置209を出射した紫外線が照射され、薄膜パターンの本硬化が行われる。その後、コンベア216によって、基板223が、搬出口207から筺体218の外部へ搬出される。
[実施例8]
図23に、実施例8による基板製造装置の概略図を示す。実施例8は、基板反転ステーション204、アライメントステーション205、塗布ステーション206、及びリフタ212、213を含まない点で、実施例7と異なる。実施例7による基板製造装置は、基板221〜227の両面に薄膜パターンを形成することができたが、実施例8による基板製造装置は、基板221〜224の片面、たとえば第1の面のみに薄膜パターンを形成する。
実施例8による基板製造装置においては、アライメントステーション202と塗布ステーション203とで、処理が併行して行われる。すなわち、アライメントステーション202で、基板222の第1の面に形成されたアライメントマークの検出、及び、基板222のアライメントが行われている間に、塗布ステーション203において、基板223の第1の面に薄膜パターンが形成される。この間に、コンベア215は、薄膜パターンが未形成の基板221を筺体218に搬入する。第1の面への薄膜パターンの形成が終了した基板224は、リフタ214によって、コンベア216に搬送される。コンベア216上に載せられた基板224に、紫外線照射装置209を出射した紫外線が照射される。これにより、第1の面に形成された薄膜パターンの本硬化が行われる。その後、コンベア216によって、基板224が搬出口207から筺体218の外部へ搬出される。
実施例8では、例えば、(a)アライメントステーション202のアライメント装置で、基板222の第1の面のアライメントマークを検出し、検出結果に基づいて、基板222の基板面内方向における向きを変更する。(b)アライメント装置によって、基板面内方向における向きを変更された基板222を、その向きを維持して、塗布ステーション203の液滴吐出装置のステージ上に搬送するとともに、基板221を、アライメント装置のステージ上に搬送する。(c)アライメント装置で、次に処理される基板221の第1の面のアライメントマークを検出し、検出結果に基づいて、基板221の基板面内方向における向きを変更するとともに、液滴吐出装置で、基板222の第1の面に薄膜パターンを形成する。この一連の処理は、実施例7についても同じである。また実施例7においては、アライメントステーション202から塗布ステーション206までのすべてのステーションにおいて、同様の並行処理が行われる。
実施例8においても、基板221〜224のθ補正を、アライメントステーション202で行うため、塗布ステーション203ではθ補正の必要がない。塗布ステーション203に搬送された基板221〜224に対して、位置合わせを行うことなく、薄膜パターンの形成を開始することができる。従って、塗布ステーション203での処理時間を短くすることができ、タクトタイムの短縮、生産効率の向上を実現することが可能である。
以上実施例1〜実施例8に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、実施例7及び実施例8においては、ノズルユニットに対する基板の移動(XY平面内での移動)をステージのみによって行ったが、ステージに対してノズルユニットを移動させてもよい。例えば、フレームをY軸方向に移動可能とし、ノズルユニットを、フレームにX軸方向及びZ軸方向に移動可能に取り付けることにより、ノズルユニットをステージに対して移動させることができる。また、ステージをX方向に移動させ、ノズルユニットをY方向に移動させてもよい。このように、ノズルユニットと基板とは、相対的に移動させればよい。ただし、基板のみをXY平面内で移動させる構成の方が、ノズルユニットをもXY面内方向に移動させる構成に比べて、薄膜パターンの位置精度を高めることができる。
また、実施例1〜実施例8においては、基板製造装置によって、プリント配線板上にソルダーレジストの薄膜パターンを形成したが、実施例1〜実施例8による基板製造装置は、例えばタッチパネルの製造において、ガラス基板上に絶縁膜を形成する用途に利用することができる。
薄膜材料吐出装置20及びCCDカメラ100は、フレーム101の梁101cに取り付けられる。薄膜材料吐出装置20は、薄膜材料の液滴を、塗布ステージ13に保持された下地基板15に向けて吐出する。薄膜材料吐出装置20からの薄膜材料の吐出は、吐出制御装置110によって制御される。CCDカメラ100は、塗布ステージ13に保持された下地基板15の表面を撮像する。移動機構17により下地基板15を移動させることにより、下地基板15の表面の任意の位置を撮像することができる。取得された画像データは、吐出制御装置110に送信される。吐出制御装置110は、取得された画像データに基づいて、下地基板15に薄膜材料を付着させるべき位置の計測や、付着した薄膜材料の検査を行うことができる。CCDカメラ100による撮像、及びその撮像された画像データの送信は、吐出制御装置110によって制御される。
さらに、時刻T2に開始する電圧パルスの印加により、ノズル孔21Nが薄膜材料を吐出する。吐出された薄膜材料は、それぞれ下地基板15上のy座標がy2、y3の位置に付着する。下地基板15に付着した薄膜材料は、薄膜材料吐出装置20に備えられた光源61によって直ちに硬化される。下地基板15への薄膜材料の吐出を繰り返すことにより、下地基板15の表面に所望の薄膜パターンを形成する。例えば、下地基板15と薄膜材料吐出装置20との距離は0.5mm〜1mm程度である。また、下地基板15の送り速度は約100mm/s程度であり、薄膜材料の吐出周波数は約30kHz程度である。
図15Bに、x軸方向に伸長したノズルヘッド21及びプリント配線板15の側面図を示す。x軸の負の側の端部のノズル孔21Nから吐出された薄膜材料は、本来、プリント配線板15の表面のx座標がx1の位置に付着すべきであるが、実際には、x座標がx3の位置に付着する。同様に、x軸の正の側の端部のノズル孔21Nから吐出された薄膜材料は、本来、プリント配線板15表面のx座標がx2の位置に付着すべきであるが、実際には、x座標がx4の位置に付着する。
制御装置220の記憶装置220aに、基板223上に形成すべき薄膜パターンの平面形状を定義するパターン定義データ(ガーバフォーマットの画像データ)が記憶されている。パターン定義データから生成されたラスタフォーマットの画像データは、基板が設計値通りの寸法である場合に、そのまま使用可能であるが、基板に歪が生じている場合には、そのまま使用することができない。制御装置220は、パターン定義データから、アライメントステーション202で撮像された基板223の画像データに基づき、基板223の歪を考慮して、ラスタフォーマットの吐出制御用画像データを生成する。例えば制御装置220は、アライメントステーション202で撮像された画像データから、基板223のX方向、Y方向の伸び歪を求める。X方向については、基板223のX方向の伸縮量に応じて、薄膜材料の液滴を着弾させるべき位置の座標を補正する。基板223のY方向についても、同様に、基板223のY方向の伸縮量に応じて、薄膜材料の液滴を着弾させるべき位置の座標を補正する。なお、Y方向に関して、具体的には、Yステージ244による基板223の移動量とノズルヘッドからの薄膜材料の吐出時期との関係(吐出タイミング)が補正される。このように、予め記憶装置220aに記憶されていたデータを補正することで得られたラスタフォーマットの吐出制御用画像データは、記憶装置220aに保存される。
紫外光源247a5〜247a9は、例えば発光ダイオード(LED)を含み、紫外領域の波長の光を放射する。ノズルヘッド247a1〜247a4の各ノズル孔から基板223に吐出された紫外線硬化性の薄膜材料は、紫外光源247a5〜247a9から発せられる光によって硬化(仮硬化)する。紫外光源247a5〜247a9からの紫外光の放射は、制御装置220によって制御される。