JPWO2012169334A1 - 反応性ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

エラストマー等との反応性に優れた反応性ポリアミド樹脂およびこれとエラストマーとからなるポリアミド樹脂組成物を提供する。ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するジアミン(A)とジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するジカルボン酸(B)を重縮合したポリアミド樹脂であって、反応性官能基濃度が100μeq/g以上で、反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)が1.0以上であることを特徴とする反応性ポリアミド樹脂、及び該ポリアミド樹脂にエラストマーを0.5〜100質量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物による。

Description

本発明は、反応性ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物に関し、詳しくは、イエローインデックス(YI)が低く、かつ加熱後のYIの増加を低減した反応性ポリアミド樹脂に関する。
また、エラストマー等との反応性に優れた反応性ポリアミド樹脂およびこれとエラストマーとからなるポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、耐衝撃性、耐摩擦・摩耗性などの機械的強度に優れ、耐熱性、耐油性などにも優れたエンジニアリングプラスチックスとして、自動車部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、機械部品、建材・住設関連部品などの分野で広く使用されており、近年更に使用分野が広がっている。
ポリアミド樹脂には、例えばポリアミド6、ポリアミド66など多くの種類が知られているが、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から得られるメタキシリレンアジパミド(以下、「MXD6」ともいう。)は、ポリアミド6、ポリアミド66などとは異なって、主鎖に芳香環を有し、高剛性、低吸水率で、耐油性に優れ、また成形においては、成形収縮率が小さく、引けやソリが小さいことから精密成形にも適しており、極めて優れたポリアミド樹脂として位置付けられる。これらのことから、MXD6は、電子・電気機器部品、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、レジャースポーツ用品、土木建築用部材等の様々な分野での成形材料、特に射出成形用材料として、近年ますます広く利用されてきている。
また、より軽くて強いポリアミド樹脂材料も求められており、MXD6よりも軽いキシリレン系ポリアミド樹脂として、キシレンジアミンとセバシン酸から得られるキシリレンセバカミド系ポリアミド樹脂(以下、「XD10」ともいう。)が知られており(特許文献1参照)、耐薬品性や耐衝撃性に優れることから、各種部品用の材料として、特に近年、大いに期待されてきている。
一方で、高度の耐衝撃性や柔軟性が要求される用途における市場ニーズも近年非常に高まってきており、MXD6にポリアミド6、ポリアミド66等の柔軟性に優れる他のポリアミド樹脂を溶融ブレンドする方法が種々提案されている(例えば、特許文献2〜3参照)。しかしメタキシリレン基を含有するポリアミド樹脂と他のポリアミド樹脂を溶融混合すると、算術平均を超えた溶融粘度の上昇が起きることがある。この現象を防止する方法として、溶融状態においてアミド化の進行を妨げるために、ポリアミド樹脂の末端アミド基とカルボキシル基のバランスを、カルボキシル基が過剰にすることが提案されている(特許文献4)。特にMXD6のゲル化を防止する観点からアミノ基濃度を少なくすることが提案されてきた。また、MXD6の柔軟性を改善する目的で、ε−カプロラクタムを共重合し、特定のカルボキシル基濃度とアミノ基濃度の差を有するポリアミドが提案されている(特許文献5)が、射出成形用途に使用するには物性的に不十分な面があった。
また、MXD6やXD10に、伸びを大きくする目的でエラストマーを配合することが高度の耐衝撃性や柔軟性付与の有力な方法として考えられる。しかしながら、単にエラストマーをXD10に配合すると、XD10とエラストマーとの分散が不十分となりやすく、本来の剛性や耐衝撃性が低下しやすいという問題がある。
このため、エラストマーを配合するだけで、高度の耐衝撃性と高い柔軟性を達成することが可能なXD10系のポリアミド樹脂の開発が強く望まれていた。
また、ポリアミド樹脂は、YIが低いことが要求されている。特に、加熱後のYIの増加を抑制することが求められる。
特開昭63−137956号公報 特開2000−211665号公報 特開2003−11307号公報 特開2007−31475号公報 特開2011−89007号公報
本発明の目的は、上記課題を解決することを目的としたものであって、YIが低く、かつ、加熱後のYIの増加を抑制できるXD10を提供することを目的とする。さらには、XD10が本来有する優れた特性を維持したまま、エラストマー配合による高い耐衝撃性と柔軟性の付与が可能なXD10を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、反応性官能基濃度が100以上と高く、かつ、反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)が1.0以上とアミノ基過剰なXD10系の反応性ポリアミド樹脂が、YIが低く、かつ、加熱後もYIの増加を抑制できることを見出し、本発明を完成するに到った。また、かかるXD10系の反応性ポリアミド樹脂は、エラストマーによる優れた耐衝撃性と柔軟性を発現可能であることも見出した。
具体的には、以下の手段により、上記課題は解決された。
<1>ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するジアミン(A)とジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するジカルボン酸(B)を重縮合したポリアミド樹脂であって、反応性官能基濃度が100μeq/g以上で、反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)が1.0以上であることを特徴とする反応性ポリアミド樹脂。
<2>反応性官能基が、ポリアミド樹脂の末端に存在することを特徴とする<1>に記載の反応性ポリアミド樹脂。
<3>反応性官能基が、カルボキシル基及び/又はアミノ基であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の反応性ポリアミド樹脂。
<4>アミノ基濃度が50μeq/g以上であることを特徴とする<3>に記載の反応性ポリアミド樹脂。
<5>数平均分子量が、20,000以下であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の反応性ポリアミド樹脂。
<6>キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の反応性ポリアミド樹脂。
<7>キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合物であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の反応性ポリアミド樹脂。
<8>前記反応モル比が1.015以下である、<1>〜<7>のいずれかに記載の反応性ポリアミド樹脂。
<9>反応性官能基がポリアミド樹脂の末端に存在し、かつ、カルボキシル基およびアミノ基であり、末端アミノ基濃度が50μeq/g以上である、<1>〜<8>のいずれかに記載の反応性ポリアミド樹脂。
<10><1>〜<9>のいずれかに記載の反応性ポリアミド樹脂100質量部に、エラストマーを0.5〜100質量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
<11>エラストマーは、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー並びにシリコン系エラストマーから選ばれるエラストマーまたはそれに官能基を導入したエラストマーであることを特徴とする<10>に記載のポリアミド樹脂組成物。
本発明により、YIが低く、かつ、加熱後のYIの増加を抑制できるポリアミド樹脂を提供可能になった。また、本発明は、エラストマーとの反応性に優れ、エラストマーによる耐衝撃性や柔軟性の改良効果が極めて高くすることができる。
そして、本発明のポリアミド樹脂とエラストマーからなる樹脂組成物を用いて成形した成形品は、耐衝撃性や柔軟性に優れ、また耐熱性、強度、各種機械的物性に優れるため、射出成形品、フィルム、シート、チューブ、ホース、糸、繊維などとして、各種のフィルム、シート、積層フィルム、積層シート、チューブ、ホース、パイプ、中空容器、ボトル等の各種容器、各種部品・部材、産業資材、工業材料、家庭用品に好適に使用することができる。本発明のポリアミド樹脂を金属に射出成型またはラミネート加工、あるいは金属板に共押出した部品や金属管に被覆したもの等に使用することができる。
[1.発明の概要]
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するジアミン(A)とジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するジカルボン酸(B)を重縮合したポリアミド樹脂であって、反応性官能基濃度が100μeq/g以上で、反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)反応モル比が1.0以上であることを特徴とする反応性ポリアミド樹脂である。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
[2.ポリアミド樹脂]
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン構成単位(ジアミンに由来する構成単位)の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するジアミン(A)とジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の50モル%以上がセバシン酸に由来するジカルボン酸(B)を重縮合した反応性ポリアミド樹脂である。
本発明のポリアミド樹脂を構成するジアミン単位は、キシリレンジアミン単位を70モル%以上含むことが必要であり、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む。ジアミン単位中のキシリレンジアミン単位が70モル%以上であることで、ポリアミド樹脂は優れた弾性率を発現することができる。
キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、およびその混合物が好ましく用いられる。ジアミン成分として、メタキシリレンジアミンにパラキシリレンジアミンを加えることで、ポリアミド樹脂の融点やガラス転移点、耐熱性、結晶化速度を向上させることができる。
ポリアミド樹脂の結晶化速度を向上させる観点からは、ジアミン構成単位中パラキシリレンジアミンが、20モル%以上であることが好ましく、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましく、60%以上が特に好ましい。
メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン単位以外のジアミン単位を構成し得る化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;
ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
一方、本発明のポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸構成単位の50モル%以上は、セバシン酸に由来することを必要とする。セバシン酸由来の構成単位が、ジカルボン酸構成単位中、50モル%を下回ると、ポリアミド樹脂の水分率が高くなり、吸水性(吸湿性)が増す。また、密度が大きくなるため得られる成形品の重量が重くなる。セバシン酸由来の構成単位を50モル%以上とすることにより、ポリアミド樹脂が吸水した際の弾性率低下を少なくすることができる。また、セバシン酸由来の構成単位が多くなるほど軽量化ができる。ジカルボン酸構成単位中のセバシン酸由来の構成単位は、好ましくは75〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
このようなセバシン酸は、植物由来のものであることが好ましい。植物由来のセバシン酸は、不純物として硫黄化合物やナトリウム化合物を含有することから、植物由来のセバシン酸を構成単位とするポリアミド樹脂は、酸化防止剤を添加しなくても黄変しにくく、得られる成形品のYIも低い。また、植物由来のセバシン酸は、不純物を過度に精製することなく使用することが好ましい。過度に精製する必要が無いので、コスト的にも優位である。
ここで、セバシン酸は、硫黄原子濃度が1〜200ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜150ppm、特に好ましくは20〜100ppmである。上記の範囲であると、ポリアミド樹脂を合成する際のYIの増加を抑えることができる。また、ポリアミド樹脂を溶融成形する際のYIの増加を押さえることができ、得られる成形品のYIを低くすることができる。
また、セバシン酸は、ナトリウム原子濃度が1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは10〜300ppm、特に好ましくは20〜200ppmである。上記の範囲であると、ポリアミド樹脂を合成する際の反応性が良く、適切な分子量範囲にコントロールしやすくなる。また、ポリアミド樹脂を溶融成形する際に増粘を抑制することができ、成形性が良好となると共に成形加工時にコゲの発生を抑制できることから、得られる成形品の品質が良好となる傾向にある。さらに、ポリアミド樹脂とガラスフィラー等をコンパウンドする際にダイで発生する、所謂、目ヤニ等の樹脂劣化物の発生を抑制しやすい傾向にある。
植物由来の場合のセバシン酸の純度は、99〜100質量%が好ましく、99.5〜100質量%がより好ましく、99.6〜100質量%がさらに好ましい。この範囲であると、得られるポリアミド樹脂の品質が良く、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
例えば、セバシン酸が含有する1,10−デカメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸は、0〜1質量%が好ましく、0〜0.7質量%がより好ましく、0〜0.6質量%がさらに好ましい。この範囲であると、得られるポリアミド樹脂の品質が良く、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
また、セバシン酸が含有するオクタン酸、ノナン酸、ウンデカン酸等のモノカルボン酸は、0〜1質量%が好ましく、0〜0.5質量%がより好ましく、0〜0.4質量%がさらに好ましい。この範囲であると、得られるポリアミド樹脂の品質が良く、重合に影響を及ぼさないため好ましい。
セバシン酸の色相(APHA)は、100以下が好ましく、75以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。この範囲であると、得られるポリアミド樹脂のYIが低いため、好ましい。なお、APHAは、日本油化学会の基準油脂分析試験法により測定することができる。
ポリアミド樹脂の製造に使用できるセバシン酸以外のジカルボン酸成分としては、他の炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分が好ましく、例えばアジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
セバシン酸以外のジカルボン酸成分を使用する場合は、これらの中でも、アジピン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等を用いることが好ましく、特にはアジピン酸が好ましい。アジピン酸を併用することで、弾性率や吸水率、結晶性をコントロールしやすくなる。アジピン酸の量は、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましい。
また、ウンデカン二酸、ドデカン二酸を併用すると、ポリアミド樹脂の比重が小さくなり、成形品が軽量化されるため好ましい。
セバシン酸以外の炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を使用する場合の使用割合は、50モル%未満であり、好ましくは40モル%以下である。
また、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類なども使用でき、これらを併用することもできる。
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、ポリアミド樹脂を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用することもできる。
ポリアミド樹脂として、最も好ましいものは、ポリメタキシリレンセバカミド樹脂、ポリパラキシリレンセバカミド樹脂、及び、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合キシリレンジアミンをセバシン酸と重縮合してなるポリメタキシリレン/パラキシリレン混合セバカミド樹脂である。これらのポリアミド樹脂は成形加工性が特に良好となる傾向にある。
本発明のポリアミド樹脂は、反応性官能基濃度が100μeq/g以上で、反応モル比が1.0以上であることを必要とする。
反応性官能基濃度とは、ポリアミド樹脂の末端ならびに主鎖又は側鎖上に存在する反応性の基の濃度(μeq/g)をいい、反応性の基とは、代表的には、アミノ基およびカルボキシル基である。原料モノマーの構成を鑑み、理論的にポリマー末端にのみ反応性官能基が存在する場合は、末端の反応性官能基濃度がポリマー全体の反応性官能基濃度と実質的に等しくなる場合があり、本発明ではこのような態様が好ましい。反応性官能基濃度が100μeq/g以上の高い濃度で存在することにより、エラストマー、特にエラストマーの有するカルボキシル基や酸無水物基などの官能基との反応性が良くなることから分散性が良好となり、耐衝撃性と柔軟性の向上効果が格段に発現することとなる。また、金属界面との接着性も向上する。従って、本発明のポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂成形品と金属を複合化する用途に用いる場合にも好ましく採用できる。金属とポリアミドの接着性を向上させるには、溶融ポリアミドを金属界面に接触させるのに先立って、金属表面をコロナ処理等の公知の技術によって反応性を高めることや、表面に微小な凹凸を作成することなどが好ましい。
反応性官能基濃度は、好ましくは130μeq/g以上であり、より好ましくは140μeq/g以上であり、さらには150μeq/g以上であり、特には160μeq/g以上である。その上限は、好ましくは250μeq/g以下であり、より好ましくは230μeq/g以下であり、さらには210μeq/g以下、特には200μeq/g以下である。本発明では、特に、ポリアミド樹脂中における末端アミノ基および末端カルボキシル基の合計濃度が上記反応性官能基濃度の範囲内となることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂は、反応モル比、すなわち、反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)が、1.0以上であることを必要とする。1.0以上とすることにより、アミノ基リッチのポリアミド樹脂とし、そして上記したように高い反応性官能基濃度とすることで耐衝撃性と柔軟性の向上を可能とする。また、反応モル比を上述の範囲とすることで、本発明のポリアミド樹脂を加熱しても、YI増加を効果的に少なくすることができる。
反応モル比(r)は、好ましくは1.001以上、より好ましくは1.003以上、特には1.005以上であり、その上限は、通常、1.03以下、より好ましくは1.02以下、特に好ましくは1.015以下である。この範囲であるとポリアミド樹脂の重合時に反応性が良好であり、重合時の劣化が起こりにくく品質の優れた樹脂を得ることができる。
ここで、反応モル比(r)は、工業化学雑誌74巻7号(1971)162〜167頁記載に基づき次の式から求められる。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、
a:M/2
b:M/2
c:18.015 (水の分子量(g/mol))
:ジアミンの分子量(g/mol)
:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:アミノ基濃度(eq/g)
C:カルボキシル基濃度(eq/g)
なお、ジアミン成分、カルボン酸成分として分子量の異なるモノマーからポリアミド樹脂を合成する際は、MおよびMは原料として配合するモノマーの配合比(モル比)に応じて計算されることはいうまでもない。なお、合成釜内が完全な閉鎖系であれば、仕込んだモノマーのモル比と反応モル比とは一致するが、実際の合成装置は完全な閉鎖系とはなりえないことから、仕込みのモル比と反応モル比が一致するとは限らない。仕込んだモノマーが完全に反応するとも限らないことから、仕込みのモル比と反応モル比が一致するとは限らない。したがって、反応モル比とは出来上がったポリアミド樹脂の末端基濃度から求められる実際に反応したモノマーのモル比を意味する。Nは末端アミノ基濃度であることが好ましく、Cは末端カルボキシル基濃度であることが好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂のアミノ基濃度(好ましくは、末端アミノ基濃度、[NH])は、好ましくは50μeq/g以上、より好ましくは70μeq/g以上、さらに好ましくは90μeq/g以上、特に好ましくは100以上である。上限としては、好ましくは200μeq/g以下、より好ましくは160μeq/g以下、さらに好ましくは150μeq/g以下、特に好ましくは130以下である。
本発明では上述の反応モル比とし、さらに、アミノ基濃度(好ましくは、末端アミノ基濃度)を50μeq/g以上とすることにより、本発明のポリアミド樹脂を加熱しても、YI増加をより効果的に少なくすることができる。これまで、ポリアミド樹脂中のアミノ基が過剰であると溶融滞留時にゲル化およびYIの増加が進行しやすく耐熱性に劣ると考えらえていた。しかしながら、驚くべきことに本発明のポリアミド樹脂はアミノ基が過剰であると、加熱時のYIの増加が抑えられるということを見出した。この原因については検証が十分ではないが、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来することや、何らかの末端基の相互作用により、着色物質の発生を抑制しているか、発生した着色物質と末端基が反応して黄色く発色するのを防止しているものと想像される。
ポリアミド樹脂を、例えばLEDリフレクタ用途などの加熱環境下で使用される用途では、耐熱老化性の向上および加熱時のYI増加を抑制することが求められているが、本発明のポリアミド樹脂はこのような目的にも好ましく適用できる。また、金属界面との接着性の観点からも、上述の範囲が好ましい。
また、カルボキシル基濃度(好ましくは、末端カルボキシル基濃度、[COOH])は、好ましくは100μeq/g未満、より好ましくは10〜80μeq/g、さらに好ましくは20〜70μeq/g、30〜60であることが好ましい。
アミノ基濃度は、ポリアミド樹脂0.5gを30mlのフェノール/メタノール(4:1)混合溶液に20〜30℃で攪拌溶解し、0.01Nの塩酸で滴定して測定することができる。また、カルボキシル基濃度は、ポリアミド樹脂0.1gを30mlのベンジルアルコールに200℃で溶解し、160℃〜165℃の範囲でフェノールレッド溶液を0.1ml加える。その溶液を0.132gのKOHをベンジルアルコール200mlに溶解させた滴定液(KOH濃度として0.01mol/l)で滴定を行い、色の変化が黄〜赤となり色の変化がなくなった時点を終点とすることで算出することができる。
ポリアミド樹脂の反応性官能基濃度の調整は、原料ジカルボン酸およびジアミンの仕込みモル比、反応時間、反応温度、キシリレンジアミンの滴下速度、釜内の圧力、減圧開始タイミング、分縮器、全縮器の構造や充填材の種類および保持温度などの反応条件を適当な値にすることにより、可能である。
また、ポリアミド樹脂の反応モル比(r)の調整は、原料ジカルボン酸およびジアミンの仕込みモル比、反応時間、反応温度、キシリレンジアミンの滴下速度、釜内の圧力、減圧開始タイミング、分縮器、全縮器の構造や充填材の種類および保持温度など等の反応条件を適当な値にすることにより、可能である。
ポリアミド樹脂の製造方法がいわゆる塩法である場合は、反応モル比を1.0以上にするには、具体的には、例えば、原料ジアミン/原料ジカルボン酸の成分比をこの範囲に設定し、反応を十分進めればよい。また溶融ジカルボン酸に連続的にジアミンを滴下する方法の場合は、仕込み比をこの範囲とすることの他に、ジアミンを目標値よりも過剰に滴下し、ジアミンを滴下する最中に還流させるジアミン量をコントロールし、滴下したジアミンを反応系外に除去することでも可能である。具体的には還流塔の温度を最適な範囲にコントロールすることや充填塔の充填物、所謂、ラシヒリングやレッシングリング、サドル等を適切な形状、充填量に制御することで、目標値よりも過剰なジアミンを系外に除去すればよい。また、ジアミン滴下後の反応時間を短くすることでも目標値よりも過剰な未反応のジアミンを系外に除去することができる。さらにはジアミンの滴下速度を制御することによっても目標値よりも過剰な未反応のジアミンを必要に応じて反応系外に除去することができる。これらの方法により仕込み比が所望範囲から外れても反応モル比を所定の範囲にコントロールすることが可能である。
ポリアミド樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、重合条件により製造される。ポリアミド樹脂の重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。例えば、キシリレンジアミンを含むジアミン成分とセバシン酸を含むジカルボン酸からなる塩を水の存在下に、加圧状態で昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、キシリレンジアミンを溶融状態のジカルボン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造できる。この場合、反応系を均一な液状状態で保つために、ジアミンをジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
また、ポリアミド樹脂は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行っても良い。固相重合の方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法、重合条件により製造される。
ポリアミド樹脂の製造時には、アミド化反応の反応速度を適切に制御する観点、溶融成形時の加工安定性を高める観点及びポリアミド樹脂の着色を防止する観点から、通常、溶融状態にある重縮合中もしくは原料(ナイロン塩水溶液)調製段階で、酸化防止剤(熱安定剤)として、次亜リン酸化合物(ホスフィン酸化合物又は亜ホスホン酸化合物ともいう)や亜リン酸化合物(ホスホン酸化合物ともいう)等が添加される。これらリン酸系酸化防止剤が、亜リン酸塩もしくはリン酸塩に酸化されることにより重縮合中のポリアミド樹脂から酸素が除かれ、ポリアミド分子の酸化劣化が防止される。
したがって、本発明のポリアミド樹脂は、その工業的製造においては、リンが不可避的に存在することになるが、その量は、リン原子濃度として1〜500ppmであることが好ましい。より好ましくは5〜300ppm、さらに好ましくは10〜200ppmである。リン原子濃度が1ppm未満であると、ポリアミド樹脂が黄変しやすい傾向にあり、500ppmを超えると、ポリアミド樹脂合成時の過剰なアミド化反応により重合の制御が難しくなる場合がある。
酸化防止剤としての次亜リン酸化合物の具体例としては、次亜リン酸;次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩;次亜リン酸エチル、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸エチル等の次亜リン酸化合物;フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム等のフェニル亜ホスホン酸金属塩等が挙げられる。
亜リン酸化合物の具体例としては、亜リン酸、ピロ亜リン酸;亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸金属塩;亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスホン酸ジエチル等の亜リン酸化合物;エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム等のフェニルホスホン酸金属塩等が挙げられる。
これらの中でも、好ましい酸化防止剤は、ポリアミド樹脂の重合反応を促進する効果の観点及び着色防止効果の観点から、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩が好ましく、次亜リン酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明のポリアミド樹脂の分子量は、数平均分子量(Mn)が20,000以下、通常6,000〜20,000であることが好ましい。
数平均分子量(Mn)が6,000〜20,000の範囲を外れると、エラストマーとの反応性が悪くなりやすい。より好ましい数平均分子量(Mn)は8,000〜17,000であり、さらには9,000〜15,000であり、特には10,000〜14,000であり、なかでも11,000〜13,000である。このような範囲であると、反応性が良好で分散性が良好となり、また、成形加工性が良好である。
なお、ここでいう数平均分子量(Mn)とは、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH](μeq/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μeq/g)から、次式で算出される。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH])
本発明のポリアミド樹脂は、分子量分布(Mw/Mn、重量平均分子量/数平均分子量)が、好ましくは1.8〜3.1である。分子量分布は、より好ましくは1.9〜3.0、さらに好ましくは2.0〜2.9である。分子量分布をこのような範囲とすることにより、機械特性に優れた成形品が得られやすい。
ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量及び反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた平均分子量の異なる複数種のXD10ポリアミド樹脂を混合したり、重合後のポリアミド樹脂を分別沈殿させることにより調整することもできる。
分子量分布Mw/Mnは、GPC測定により求めることができ、具体的には、装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めることができる。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成する。
また、本発明のポリアミド樹脂は、溶融粘度が、ポリアミド樹脂の融点+30℃、せん断速度122sec−1、ポリアミド樹脂の水分率が0.06質量%以下の条件で測定したときに、50〜1200Pa・sであることが好ましい。溶融粘度を、このような範囲とすることにより、成形加工性がより良くなる。
溶融粘度のより好ましい範囲は、60〜700Pa・s、さらに好ましくは70〜500Pa・sである。
ポリアミド樹脂の溶融粘度は、例えば、原料ジカルボン酸成分およびジアミン成分の仕込み比、重合触媒、分子量調節剤、重合温度、重合時間を適宜選択することにより調整できる。
本発明のポリアミド樹脂の融点は、150〜310℃であることが好ましく、180〜300℃であることがより好ましい。また、本発明のポリアミド樹脂は、融点を2つ以上有するポリアミド樹脂であることも好ましい。融点を2つ以上有するポリアミド樹脂は、耐熱性と成形加工性が良くなる傾向にあり好ましい。
また、ポリアミド樹脂のガラス転移点は、50〜100℃が好ましく、55〜100℃がより好ましく、特に好ましくは60〜100℃である。この範囲であると、耐熱性が良好となる傾向にある。
なお、融点とは、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度である。なお、ポリアミド樹脂が融点を2つ以上有する場合は、高温側の吸熱ピークのピークトップの温度を融点とし、測定を行う。
また、ガラス転移点とは、試料を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温して測定されるガラス転移点をいう。測定には、例えば、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製「DSC−60」を用い、試料量は約5mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30ml/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めることができる。次いで、溶融したポリアミド樹脂を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移点を求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂には、キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂以外の、他のポリアミド樹脂を配合することもできる。他のポリアミド樹脂としては、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド6/66、ポリアミド10、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸およびテレフタル酸からなるポリアミド66/6T、ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸およびテレフタル酸からなるポリアミド6I/6Tなどが挙げられる。
さらに、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂等の樹脂を一種もしくは複数ブレンドすることもできる。
本発明のポリアミド樹脂には、ポリフェニレンエーテル樹脂または変性ポリフェニレンエーテル樹脂を配合することも好ましく、ポリフェニレンエーテル樹脂は、ホモポリマー、コポリマーまたはグラフトポリマーのいずれでもよい。ポリフェニレンエーテル樹脂として、具体的には、ポリ(2,6ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル等が例示できるが、特にポリ(2,6ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、およびこれらにスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体が好ましい。変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂に不飽和脂肪族カルボン酸もしくはその酸無水物を反応させて得られるものである。
不飽和脂肪族カルボン酸の酸無水物を使用する場合には、無触媒下に、前記酸無水物とポリフェニレンエーテル樹脂とを溶融混合状態で反応させることにより、変性ポリフェンレンエーテル樹脂を得ることができる。この場合、溶融混合する方法としては、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等を使用することができる。不飽和脂肪族カルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が例示でき、この中でも無水マレイン酸が特に好ましい。
ポリフェニレンエーテル樹脂の変性に用いられる前記カルボン酸または、その酸無水物の使用割合は、ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部、特に好ましくは0.1〜1質量部である。前記酸無水物の使用割合が、ポリフェニレンエーテル樹脂100質量部に対して、0.01質量部未満の場合は、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂との相溶性の改善効果が小さく、強靱性のある組成物が得難い傾向があり、また、10質量部を超える場合は、過剰の酸無水物が熱分解する等の不都合があり、耐熱性の低下や外観不良等実用上の不都合を生じやすい。又、ポリフェニレンエーテル樹脂の変性に不飽和脂肪族カルボン酸を使用するときは、必要に応じベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のラジカル発生剤を触媒として使用することができる。
ポリアミド樹脂に対する変性ポリフェニレンエーテルの配合割合は、広い範囲で選択することが出来るが、好ましくは、ポリアミド樹脂100質量部に対し、変性ポリフェニレンエーテル樹脂を1〜50質量部、特に好ましくは3〜40質量である。変性ポリフェニレンエーテルの配合割合が、上記範囲より少ない場合は耐熱性、吸水性の改良効果が少なく、また上記範囲より多い場合は、成形加工時、溶融樹脂の流動性が低下し、好ましくない。
また、変性ポリフェニレンエーテル樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂とエラストマーからなる組成物を不飽和脂肪族カルボン酸もしくはその酸無水物を反応させたものも使用できる。
[3.エラストマー]
本発明の反応性ポリアミド樹脂は、エラストマーとの反応性に優れ、エラストマーによる耐衝撃性や柔軟性の改良効果を極めて高くすることができる。従って、本発明の反応性ポリアミド樹脂は、エラストマーを含むポリアミド樹脂組成物として好ましく用いることができる。
エラストマーは、衝撃強度を改良するものであり、その種類に制限はなく、ゴム質重合体(熱可塑性エラストマーを含む)であればいかなるものでも使用でき、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、シリコン系エラストマー等公知のエラストマーが使用できる。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体(EPDM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ジエン系エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエンおよびその水素添加物、ポリイソプレンおよびその水素添加物、ブタジエン−スチレンランダム共重合体およびその水素添加物等が挙げられる。
ポリスチレン系エラストマーとしては、ビニル芳香族化合物、共役ジエン化合物およびオレフィン化合物のブロック共重合体またはこのブロック共重合体の水素添加物(以下、水添ブロック共重合体と略記する)が挙げられ、具体的には少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体およびこのブロック共重合体を水素添加し、このブロック共重合体中の共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の80%以上を水素添加して得られる水添ブロック共重合体が挙げられる。
ポリスチレン系エラストマーを構成するビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン,p−tert−ブチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン等から1種または2種以上選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等から1種または2種以上が選択でき、中でもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。また、これらにオレフィン化合物を共重合させることも可能で、中でもスチレン、エチレン及びブタジエンを組み合わせた水添ブロック共重合体(SEBS)が好ましい。
これらのうち、エラストマーとして、好ましいものとしては、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー等が挙げられ、また、これらに、下記するようなカルボキシル基や酸無水物基、エポキシ基等の官能基を有するエラストマーが挙げられる。
本発明の反応性ポリアミド樹脂と組み合わせて用いられるエラストマーは、官能基を有しない場合には、相溶性をより付与するため、官能基を導入(化学修飾または共重合等による変性等)することも好ましい。なお、ポリアミド樹脂に対し相容性をそれ自身有しているエラストマーを使用する場合、これを行うことなくそのまま使用してもよい。
官能基の導入は、例えば、官能基を有しないエラストマー(例えば、ポリオレフィン系エラストマー)に、ラジカル開始剤の存在下または非存在下で、α、β−不飽和カルボン酸、アクリルアミド、エポキシ化合物又はこれらの誘導体から選択される1種または2種以上の化合物を、エラストマー100質量部に対し、例えば0.01〜10質量部反応させる。
α、β−不飽和カルボン酸およびその誘導体の具体例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、クロトン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸およびその無水物、エンド−シス−ビシクロ{2.2.1}−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸およびその無水物、マレイミド化合物等が挙げられる。
また、官能基を導入する際に必要に応じて使用されるラジカル開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシトリフェニルシランおよびtert−ブチルペルオキシトリメチルシラン等の有機過酸化物系開始剤の他、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジメチル−2,3−ビス(p−メチルフェニル)ブタン、2,3−ジメチル−2,3−ビス(ブロモフェニル)ブタン等が挙げられる。
ラジカル開始剤の使用量は、官能基を導入するエラストマー100質量部に対して通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。なお、官能基を導入する反応は公知の方法に従って実施することができ、例えば、溶融混練、溶液混合等の方法で実施することができる。
エラストマーの配合量は、反応性ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.5〜100質量部となる範囲で選択することが好ましい。エラストマーの配合量が0.5質量部未満であると、エラストマーを配合することによる強度発現などの改良効果が不十分であり、100質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物より得られる成形品の強度などの機械的特性が低下する。エラストマーの配合量は、より好ましくは反応性ポリアミド樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であり、より好ましくは3〜30質量部である。
反応性ポリアミド樹脂にエラストマーを配合してなるポリアミド樹脂組成物においては、樹脂組成物を成形し成形品としたときに、反応性ポリアミド樹脂及びエラストマーの一部が反応していてもよい。なお、ここで反応とは、イオン結合、水素結合、脱水反応、縮合反応等を意味し、反応性ポリアミド樹脂及びエラストマーが反応することによって分散性が良好となり好ましい。
[4.添加剤等]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤等の安定剤、耐加水分解性改良剤、耐候安定剤、充填材、艶消剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤、離型剤等の添加剤等を加えることができる。
[4.1 安定剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤)を配合することが好ましい。安定剤としては、例えば、リン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、シュウ酸アニリド系、有機硫黄系、芳香族第2級アミン系などの有機系安定剤、アミン系酸化防止剤、銅化合物やハロゲン化物などの無機系安定剤が好ましい。リン系安定剤としては、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物が好ましい。
ホスファイト化合物としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−イソプロピルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−t−オクチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられ、特に、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
ホスホナイト化合物としては、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、特に、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中では、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)が好ましい。
ヒンダードアミン系安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する周知のヒンダ−ドアミン化合物が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェニルアセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−エチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェニルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン)−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジンの重縮合物、1,3−ベンゼンジカルボキサミド−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系安定剤の商品としては、ADEKA社(ADEKA CORPORATION)製の商品「アデカスタブ(ADK STAB)LA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−63P、LA−68LD、LA−77、LA−82、LA−87」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Inc.)製の商品「チヌビン(TINUVIN)622、944、119、770、144」、住友化学社(Sumitomo Chemical Company)製の商品「スミソーブ(SUMISORB)577」、サイアミド社(American Cyanamid Company)製の商品「サイアソープ(CYASORB)UV−3346、3529、3853」、クラリアント・ジャパン社(Clariant Japan)製の商品「ナイロスタブ(Nylostab)S−EED」等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤とは、上記のヒンダードアミン系安定剤以外のアミン系化合物をいい、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から各商品名で市販されている、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物(イルガノックス(IRGANOX)5057)、大内新興化学工業(株)(Ouchi Shinko Chemical Ind.)から各商品名で市販されている、オクチル化ジフェニルアミン(ノクラック(NOCRAC)AD−F)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(ノクラックDP)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(ノクラック810−NA)、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(ノクラック6C)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン(ノクラックWhite)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(ノクラック224)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン(ノクラックAW)などが利用できる。
シュウ酸アニリド系安定剤としては、好ましくは、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサニリド、2−エトキシ−5−第三ブチル−2’−エトキサニリド及びその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−第三ブトキサニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物、o−及びp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物などが挙げられる。
有機硫黄系安定剤としては、例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)等の有機チオ酸系化合物、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール及び2−メルカプトベンゾイミダゾールの金属塩等のメルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジエチルジチオカルバミン酸の金属塩、及びジブチルジチオカルバミン酸の金属塩等のジチオカルバミン酸系化合物、並びに1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、及びトリブチルチオ尿素等のチオウレア系化合物、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、チオウレア系化合物、及び有機チオ酸系化合物が好ましく、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、及び有機チオ酸系化合物がさらに好ましい。特に、チオエーテル構造を有するチオエーテル系化合物は、酸化された物質から酸素を受け取って還元するため、好適に使用することができる。具体的には、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)がより好ましく、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールがさらに好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)が特に好ましい。
有機硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
芳香族第2級アミン系安定剤としては、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、フェニルナフチルアミン骨格を有する化合物及びジナフチルアミン骨格を有する化合物が好ましく、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、およびフェニルナフチルアミン骨格を有する化合物がさらに好ましい。具体的には、p,p’−ジアルキルジフェニルアミン(アルキル基の炭素数は8〜14)、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン及びN−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等のジフェニルアミン骨格を有する化合物、N−フェニル−1−ナフチルアミン及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のフェニルナフチルアミン骨格を有する化合物、及び2,2’−ジナフチルアミン、1,2’−ジナフチルアミン、及び1,1’−ジナフチルアミン等のジナフチルアミン骨格を有する化合物が挙げられる。これらの中でも4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン及びN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましく、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン及び4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンが特に好ましい。
上記の有機硫黄系安定剤または芳香族第2級アミン系安定剤を配合する場合は、これらを併用することが好ましい。これらを併用することによって、それぞれ単独で使用した場合よりも、耐熱老化性が良好となる傾向にある。
より具体的な有機硫黄系安定剤及び芳香族第2級アミン系安定剤の好適な組み合わせとしては、有機硫黄系安定剤として、ジテトラデシルチオジプロピオネート、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール及びペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)から選ばれる少なくとも1種と、芳香族第2級アミン系安定剤が、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンから選ばれる少なくとも1種との組み合わせが挙げられる。さらに、有機硫黄系安定剤が、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、芳香族第2級アミン系安定剤が、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンの組み合わせがより好ましい。
また、上記有機硫黄系安定剤と芳香族第2級アミン系安定剤とを併用する場合は、ポリアミド樹脂組成物中の含有量比(質量比)で、芳香族第2級アミン系安定剤/有機硫黄系安定剤=0.05〜15であることが好ましく、0.1〜5であることがより好ましく、0.2〜2がさらに好ましい。このような含有量比とすることにより、バリア性を維持しつつ、耐熱老化性を効率的に向上させることができる。
無機系安定剤としては、銅化合物及びハロゲン化物が好ましい。
銅化合物は、種々の無機酸または有機酸の銅塩であって、後述のハロゲン化物を除くものである。銅としては、第1銅、第2銅の何れでもよく、銅塩の具体例としては、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ステアリン酸銅の他、ハイドロタルサイト、スチヒタイト、パイロライト等の天然鉱物が挙げられる。
また、無機系安定剤として使用されるハロゲン化物としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物;ハロゲン化アンモニウム及び有機化合物の第4級アンモニウムのハロゲン化物;ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル等の有機ハロゲン化物が挙げられ、その具体例としては、ヨウ化アンモニウム、ステアリルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムアイオダイド等が挙げられる。これらの中では、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩が好適である。
銅化合物とハロゲン化物との併用、特に、銅化合物とハロゲン化アルカリ金属塩との併用は、耐熱変色性、耐候性(耐光性)の面で優れた効果を発揮するので好ましい。例えば、銅化合物を単独で使用する場合は、成形品が銅により赤褐色に着色することがあり、この着色は用途によっては好ましくない。この場合、銅化合物とハロゲン化物と併用することにより赤褐色への変色を防止することが出来る。
本発明においては、上記の安定剤のうち、加熱加圧時の加工安定性、耐熱老化性、フィルム外観、着色防止の点から、特には、アミン系酸化防止剤、無機系、有機硫黄系、芳香族第2級アミン系の安定剤が特に好ましい。
前記の安定剤の好ましい含有量としては、ポリアミド樹脂100質量部に対し、通常0.01〜1質量部、より好ましくは0.01〜0.8質量部である。含有量を0.01質量部以上とすることにより、熱変色改善、耐候性/耐光性改善効果を十分に発揮することが出来、配合量を1質量部以下とすることにより、機械的物性低下を抑制することが出来る。
[4.2 耐加水分解性改良剤−カルボジイミド化合物]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、耐加水分解性改良剤としてのカルボジイミド化合物を配合することが好ましい。カルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造した芳香族、脂肪族又は脂環式のポリカルボジイミド化合物が好ましく挙げられる。これらの中で、押出し時等における溶融混練性の面から、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物が好ましく、脂環式ポリカルボジイミド化合物がより好ましく用いられる。
これらのカルボジイミド化合物は、有機ポリイソシアネートを脱炭酸縮合反応することで製造することができる。例えば、カルボジイミド化触媒の存在下、各種有機ポリイソシアネートを約70℃以上の温度で不活性溶媒中、もしくは溶媒を使用することなく、脱炭酸縮合反応させることによって合成する方法等を挙げることができる。イソシアネート基含有率は好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%である。上記のような範囲とすることにより、ポリアミド樹脂との反応が容易となり、耐加水分解性が良好となる傾向にある。
カルボジイミド化合物の合成原料である有機ポリイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート等の各種有機ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
カルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためにモノイソシアネート等の末端封止剤を使用することも好ましい。モノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、末端封止剤としては、上記のモノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物であればよい。このような活性水素化合物としては、脂肪族、芳香族、脂環式の化合物の中で、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の−OH基を持つ化合物、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン、コハク酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等のカルボン酸、エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のチオール類やエポキシ基を有する化合物等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。
カルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド及びこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等、チタン酸テトラブチル等の金属触媒等を使用することができ、これらのなかでは、反応性の面から3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。カルボジイミド化触媒は、2種以上併用してもよい。
カルボジイミド化合物の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜2質量部であり、より好ましくは、0.2〜1.5質量部、さらに好ましくは、0.3〜1.5質量部である。0.1質量部未満では耐加水分解性が十分ではなく、押出等の溶融混練時の吐出ムラが発生しやすく、溶融混練が不十分となりやすい。一方、2質量部を超えると、溶融混練時の粘度が著しく増加し、溶融混練性、成形加工性が悪くなりやすい。
[4.3 充填材等]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、エラストマーとともに、充填材を含有することも好ましい。充填材としては、一般に用いられるものであれば特に制限は無く、粉末状、繊維状、粒状および板状の無機充填材が、また、樹脂系の充填材あるいは天然系の充填材も好ましく使用出来る。
粉末状、粒状の充填材としては、好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下の粒径を有したものであり、カオリナイト、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、アルミナ、ガラスビーズ、カーボンブラック、硫化物及び金属酸化物等が使用出来る。繊維状充填材としては、ガラス繊維、チタン酸カリウムや硫酸カルシウムのウィスカー、ワラストナイト、カーボン繊維、鉱物繊維、及びアルミナ繊維等が使用出来る。板状充填材としては、ガラスフレーク、マイカ、タルク、クレー、黒鉛、セリサイト等が挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維、タルク、マイカ、ワラストナイトから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ガラス繊維が特に好ましい。
樹脂系の充填材としては、芳香族液晶性ポリエステル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、アクリル繊維、ポリ(ベンズイミダゾール)繊維等も挙げられる。
天然系の充填材としては、ケナフ、パルプ、麻パルプ、木材パルプ等が挙げられる。
充填材の好ましい含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、15〜200質量部、より好ましくは30〜180質量部、さらに好ましくは50〜150質量部である。含有量が15質量部未満では、成形品の機械的強度が不足しやすく、200質量部を超えるとポリアミド樹脂の流動性が悪化し、溶融混練、成形等が困難となりやすい。
[4.4 離型剤]
本発明のポリアミド樹脂組成物には、離型剤を配合してもよい。
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5,000以下である。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
離型剤の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.001〜2質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、求める成形加工性に応じて結晶核剤を使用することが出来る。結晶核剤には一般的に用いられているタルクや窒化ホウ素等が挙げられるが、有機核剤でもよい。核剤の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、有機核剤や窒化ホウ素の場合、0.001〜6質量部、好ましくは0.02〜2質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。少ない場合は期待される核剤効果が得られず離型性が低下する場合があり、多すぎると耐衝撃性や表面外観が低下する傾向がある。タルクを用いる場合は、0.1〜8質量部、好ましくは0.3〜2質量部である。タルク、窒化ホウ素以外の無機核剤の場合、0.3〜8質量部、好ましくは0.5〜4質量部である。少なすぎると核剤効果が得られず、多すぎると異物効果となって機械的強度や耐衝撃値が低下する傾向にある。耐衝撃性、引張伸度、曲げ撓み量等の機械的特性の点から、タルク又は窒化ホウ素を含有することが好ましい。
タルクとしては、数平均粒子径で2μm以下のものが好ましい。窒化ホウ素としては、数平均粒子径が、通常10μm以下、好ましくは0.005〜5μm、より好ましくは0.01〜3μmである。なお、タルクの数平均粒子径は、通常、レーザー回折・散乱式の粒度分布計を用いた測定によって得られる値である。
[5.成形品]
本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて得られる成形品としては、フィルム、シート、積層フィルム、積層シート、チューブ、ホース、パイプ、異形押出品、中空容器、ボトル、繊維、各種形状の部品等、種々の成形品をあげることが出来る。
本発明のポリアミド樹脂とエラストマー、および必要に応じて配合される他の成分からなるポリアミド樹脂組成物を用いて成形した成形品は、耐衝撃性や柔軟性に優れ、また耐熱性、強度、各種機械的物性に優れるため、射出成形品、フィルム、シート、チューブ、ホース、糸、繊維などとして、各種のフィルム、シート、積層フィルム、積層シート、チューブ、ホース、パイプ、中空容器、ボトル等の各種容器、家庭用品、産業資材、工業材料、電気・電子機器用部品、自動車等の輸送機器部品、一般機械部品、精密機械部品等に好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。
[ポリアミド樹脂の各種物性の測定法]
なお、実施例および比較例に使用したポリアミド樹脂の各評価の方法は、以下のとおりである。
(ポリアミド樹脂の融点、ガラス転移点)
示差走査熱量測定(DSC)法により、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製DSC−60を用い、30℃から予想される融点以上の温度まで10℃/分の速度で昇温し、ポリアミド樹脂を溶融させた。この時の吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めた。溶融後サンプルをドライアイスで冷却し、次いで、10℃/分の速度で融点以上の温度まで昇温し、ガラス転移点を求めた。
(溶融粘度)
(株)東洋精機(Toyoseiki Seisaku−sho,Ltd.)製のキャピログラフ(Capillograph)D−1を使用し、ダイ:1mmφ×10mm長さ、見かけのせん断速度122sec−1、測定温度を融点+30℃、ポリアミド樹脂の水分率0.06質量%以下の条件で測定した。なお、ポリアミド樹脂が融点を2つ以上有する場合は、高温側の吸熱ピークのピークトップの温度を融点とし、測定を行った。
(アミノ基濃度([NH])
下記の方法で得られたポリアミド樹脂0.2gを30mlのフェノール/エタノール(4:1)混合溶液に20〜30℃で攪拌溶解し、0.01Nの塩酸で滴定して測定した。
(カルボキシル基濃度([COOH])
下記の方法で得られたポリアミド樹脂0.1gを30mlのベンジルアルコールに200℃で溶解し、160℃〜165℃の範囲でフェノールレッド溶液を0.1ml加えた。その溶液を0.132gのKOHをベンジルアルコール200mlに溶解させた滴定液(KOH濃度として0.01mol/l)で滴定して測定した。
(数平均分子量)
上記した中和適定により求められたポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH](μeq/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μeq/g)の値から、次式で算出した。
数平均分子量=2×1,000,000/([COOH]+[NH])
(反応モル比)
前記した次式により求めた。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、a:M/2
b:M/2
c:18.015
:ジアミンの分子量(g/mol)
:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:アミノ基濃度(当量/g)
C:カルボキシル基濃度(当量/g)
(YI)
下記実施例で得られたペレットをイナートオーブン中、窒素気流下で300℃、3時間保持し、加熱前後のYIを、JIS K7105に準拠し、日本電色工業(株)製のSE2000型分光式色彩計で、反射法により測定した。加熱前と加熱後のYIを測定した。さらにその差を示した(表1のYIの差)。
<実施例1>
(ポリアミド樹脂−1(PXD10)の合成)
攪拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したセバシン酸8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)を秤量して仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素で0.3MPaに加圧し、攪拌しながら160℃に昇温してセバシン酸を均一に溶融した。次いでパラキシリレンジアミン6039.2g(44.34mol)を攪拌下で170分を要して滴下した。この間、内温は281℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.5MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。パラキシリレンジアミン滴下終了後、0.4MPa/時間の速度で降圧し、60分間で常圧まで降圧した。この間に内温は299℃まで昇温した。その後0.002MPa/分の速度で降圧し、20分間で0.08MPaまで降圧した。その後攪拌装置のトルクが所定の値となるまで0.08MPaで反応を継続した。0.08MPaでの反応時間は10分であった。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約13kgのポリアミド樹脂−1を得た。
<実施例2>
(ポリアミド樹脂−2(MPXD10)の合成)
実施例1において、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合割合を表に記載した割合とし、混合ジアミンの滴下量を6066.3g(44.54mol)とした以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂−2を得た。
<実施例3>
(ポリアミド樹脂−3(MPXD10)の合成)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、精秤したセバシン酸12,135g(60mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaHPO・HO)3.105g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として50ppm)、酢酸ナトリウム1.61gを入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。
これにメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの5:5の混合ジアミン8,258.6g(60.64mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。混合メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として20分間溶融重合反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約13kgのポリアミド樹脂−3を得た。
<実施例4>
(ポリアミド樹脂−4(MPXD10)の合成)
実施例3において、混合ジアミンの滴下量を8,261.9g(60.66mol)とした以外は実施例3と同様にしてポリアミド樹脂−4を得た。
<実施例5>
(ポリアミド樹脂−5(MPXD10)の合成)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、精秤したセバシン酸12,135g(60mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaHPO・HO)3.105g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として50ppm)、酢酸ナトリウム1.61gを入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合割合を表に記載のモル比とし、混合ジアミンの滴下量を8257.8g(60.63mol)とし、混合メタキシリレンジアミンを、攪拌下で100分を要して滴下した。この間、内温は235℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.5MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。混合ジアミン滴下終了後、20分間攪拌を継続した後、0.4MPa/時間の速度で降圧し、30分間で常圧まで降圧した。この間に内温は236℃まで昇温した。その後0.002MPa/分の速度で降圧し、20分間で0.08MPaまで降圧した。その後攪拌装置のトルクが所定の値となるまで0.08MPaで反応を継続した。0.08MPaでの反応時間は15分であった。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、ポリアミド樹脂−5を得た。
<実施例6>
(ポリアミド樹脂−6(MPXD10)の合成)
製造例5において、混合ジアミンの滴下量を8237.4g(60.48mol)とした以外は製造例5と同様にしてポリアミド樹脂−6を得た。
<実施例7>
(ポリアミド樹脂−7(MXD10)の合成)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(SA1)12,135g(60mol)を入れ、次亜リン酸ナトリウム一水和物(NaHPO・HO)4.6574g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として75ppm)、酢酸ナトリウム2.4151gを入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。
これにメタキシリレンジアミン(MXDA)8236.6g(60.47mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を220℃として20分間溶融重合反応を継続した。
その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出して、これをペレット化し、ポリアミド樹脂−7を得た。
上記したポリアミド樹脂1〜7の評価結果を、表1に記載する。
(比較例1)
(ポリアミド樹脂−8(MXD10)の合成)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(SA1)12,135g(60mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。
これにメタキシリレンジアミン(MXDA)8163.8g(59.94mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分間溶融重合反応を継続した。
その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出して、これをペレット化し、ポリアミド樹脂−8を得た。このポリアミド樹脂の評価結果を表1に記載する
(比較例2)
(ポリアミド樹脂−9(MXD10)の合成)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(SA1)12,135g(60mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。
これにメタキシリレンジアミン(MXDA)8147.5g(59.82mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を250℃として30分間溶融重合反応を継続した。
その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出して、これをペレット化し、ポリアミド樹脂−9を得た。このポリアミド樹脂の評価結果を表1に記載する。
(比較例3)
(ポリアミド樹脂−10(MXD10)の合成)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、セバシン酸(SA1)12,135g(60mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。
これにメタキシリレンジアミン(MXDA)8065.8g(59.22mol)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を220℃として15分間溶融重合反応を継続した。
その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出して、これをペレット化し、ポリアミド樹脂−10を得た。このポリアミド樹脂の評価結果を表1に記載する。
(比較例4)
(ポリアミド樹脂−11(PXD10)の合成)
実施例1において、パラキシリレンジアミンの滴下量を5951.2gとした以外は実施例1と同様に合成を行った。
Figure 2012169334
(実施例8、9及び比較例5)−ポリアミド樹脂/エラストマー組成物の製造
<使用成分>
エラストマーとして、以下のエラストマー(EL1)〜(EL2)を使用した。
EL1:
マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体
三井化学社製、商品名「タフマーMP0610」
EL2:
マレイン酸変性スチレン・ブタジェン/ブチレン・スチレン水添ブロック共重合体
旭化成社製、商品名「タフテックM1913」
充填材として以下のガラス繊維を、また離型剤として以下のものを使用した。
ガラス繊維:
日本電気硝子社製チョップドストランド、商品名「T−275H」
離型剤:
モンタン酸カルシウム
クラリアント・ジャパン社製、商品名「リコモントCAV102」
<ペレット及び試験片の製造>
前記したポリアミド樹脂および上記の各成分を、表−2に記載の割合(質量部)で秤量し、まずガラス繊維を除いた成分をタンブラーによって混合した。得られた混合物を、2軸押出機(東芝機械社製、型式:TEM35B)のホッパーに投入し、シリンダー温度をポリアミドの融点+30℃として混練し、サイドフィード口からガラス繊維を仕込み、ペレットを得た。
得られたペレットを80℃の除湿エアー(露点−40℃)で8時間の乾燥を実施した後、射出成形機(ファナック社製、型式:100T)にて、樹脂温度ポリアミドの融点+30℃にて、試験片(ISO試験片 4mm厚み)を作成した。
(1)曲げ強さ(単位:MPa)
得られた試験片に、熱処理(結晶化処理)を行い、JIS K7171に準じて曲げ強さ(MPa)を求めた。
(2)引張伸び率
得られた試験片に、熱処理(結晶化処理)を行い、JIS K7113に準じて引張伸び率を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2012169334
以上の実施例で示したように、本発明の反応性ポリアミド樹脂は、優れた弾性率と柔軟性性を有し、また、エラストマーを含有する樹脂組成物は耐衝撃性に優れたものであることがわかった。
本発明のポリアミド樹脂はエラストマーとの反応性に優れ、エラストマーとからなる樹脂組成物を用いて成形した成形品は、耐衝撃性や柔軟性、金属との接着性に優れ、また耐熱性、強度、各種機械的物性に優れるため、射出成形品、フィルム、シート、チューブ、ホース、糸、繊維などとして、各種のフィルム、シート、積層フィルム、積層シート、チューブ、ホース、パイプ、中空容器、ボトル等の各種容器、家庭用品、産業資材、工業材料、電気・電子機器用部品、自動車等の輸送機器部品、一般機械部品、精密機械部品等に好適に使用することができ、産業上の利用性は高いものがある。

Claims (11)

  1. ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来するジアミン(A)とジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するジカルボン酸(B)を重縮合したポリアミド樹脂であって、反応性官能基濃度が100μeq/g以上で、反応したジカルボン酸に対する反応したジアミンのモル比(反応したジアミンのモル数/反応したジカルボン酸のモル数)が1.0以上であることを特徴とする反応性ポリアミド樹脂。
  2. 反応性官能基が、ポリアミド樹脂の末端に存在することを特徴とする請求項1に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  3. 反応性官能基が、カルボキシル基及び/又はアミノ基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  4. アミノ基濃度が50μeq/g以上であることを特徴とする請求項3に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  5. 数平均分子量が、20,000以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  6. キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  7. キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  8. 前記反応モル比が1.015以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  9. 反応性官能基がポリアミド樹脂の末端に存在し、かつ、カルボキシル基およびアミノ基であり、末端アミノ基濃度が50μeq/g以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の反応性ポリアミド樹脂。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の反応性ポリアミド樹脂100質量部に、エラストマーを0.5〜100質量部配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  11. エラストマーは、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー並びにシリコン系エラストマーから選ばれるエラストマーまたはそれに官能基を導入したエラストマーであることを特徴とする請求項10に記載のポリアミド樹脂組成物。
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