JP5625312B2 - 多層ボトル - Google Patents

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本発明は、透明性、柔軟性及びバリア性に優れたポリアミド樹脂及びその成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的性能を有することから、自動車や電気電子部品などの射出成形物用の材料として幅広く利用されている。また、食品、飲料、薬品、電子部品等の包装資材としても利用されており、なかでもキシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸との重縮合反応から得られるポリアミド、特にメタキシリレンジアミンとアジピン酸から得られるポリアミド(N−MXD6)は、酸素、炭酸ガス等のガス状物質に対する低い透過性を示すことから、ガスバリア材料としてフィルム、ボトル等の成形物に利用されている。
一方、メタキシリレン基を含有するポリアミド樹脂は非常に剛性が高いため、フィルム等の柔軟性を求められる用途にそのままで使用するには種々問題があった。これまでこの性質を改善するためにメタキシリレン基を含有するポリアミドに対してナイロン6やナイロン666等の柔軟性に優れる一般的なポリアミド樹脂を溶融ブレンドしたものを利用したり、それらと多層構造を形成してガスバリア性と柔軟性を兼ね備えたものとして利用する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、メタキシリレン基を含有するポリアミド樹脂と他のポリアミド樹脂を溶融混合すると、算術平均を遙かに超えた溶融粘度の上昇が起こることがある。この現象を防止する方法として、溶融混合後のポリアミド樹脂の末端基カルボキシル基と末端アミノ基の濃度差と溶融混合後のポリアミド樹脂中に含まれるリン原子濃度が特定の関係になるように使用するポリアミド樹脂を選択する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法は、溶融状態においてアミド化が進行しにくくするために、ポリアミドの末端基のバランスを一方が過剰になるように設定する、もしくはアミド化触媒となりうるリン化合物を減らすことで、分子量の増加による溶融粘度上昇を防ぐという考え方に基づくものであるが、通常包装材料等に用いられるポリアミドは反応モル比を極力1に近づけなければ十分な重合度を有する材料が得られないことから、この方法では事実上ポリアミド樹脂中のリン原子濃度を低く抑えるということが必須となる。このような状況でポリアミド樹脂を得ようとすると、重合工程において十分な分子量を得るための反応時間が長くなったり、重合系内のリン化合物が少ないことからポリマーの酸化が進み、得られるポリアミド樹脂は黄色度が高いものであったり、ゲルが多いものになってしまうため、結果としてこの方法によって得られる包装材料等の製品の商品価値は低いものであった。
また、ナイロン6などの柔軟性に優れるポリアミド樹脂を溶融混合して、十分な柔軟性を付与しようとする場合、メタキシリレン基を含有するポリアミド樹脂を30質量%以下でナイロン6を70質量%以上溶融ブレンドする必要があり、メタキシリレン基を含有するポリアミド樹脂に比べて大幅にガスバリア性が低下するため、メタキシリレン基を含有するポリアミド樹脂の特徴を生かせないといった問題があった。さらに、PETとメタキシリレン基を含有するポリアミド樹脂を接着剤を介さずに多層にした容器では、層間剥離性を改善するために、ナイロン6を5から30質量%溶融混合することによる重縮合反応によってランダム共重合体を得ているが(例えば特許文献5参照。)、溶融混合によるランダム共重合体では、十分な層間剥離性(耐デラミ性)を改善するには至っていない。
特開平11−334006号公報 特開2000−211665号公報 特開2003−011307号公報 特開平7−247422号公報 特開2004−351716号公報
本発明は、剛性の高いメタキシリレンジアミンからなるポリアミド樹脂の柔軟性を改善し、柔軟性付与を目的としたナイロン6などの脂肪族ポリアミド樹脂とのブレンド組成物よりもバリア性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸と、共重合成分としてε−カプロラクタムもしくは6−アミノカプロン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂であって該ポリアミド樹脂中の該共重合成分に由来する構成単位の含有量が25から45モル%の範囲内であり、該ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度[COOH]と末端アミノ基濃度[NH]の差([COOH]−[NH])が8〜82μeq/gの範囲であり、該ポリアミド樹脂中のリン原子濃度が5〜400ppmとなるようにリン原子含有化合物を重縮合系内に添加して得られたものであり、当該ポリアミド樹脂の160℃における降温半結晶化時間が200秒以上1800秒以下であって、DSC測定(示差走査熱量測定)から求まる融解ピークが1つであることを特徴とすることで目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
本発明のポリアミド樹脂は柔軟性とバリア性に優れたポリアミド樹脂であり、柔軟性を必要とする包装容器、燃料チューブや燃料タンクなどの工業用途に好適である。
本発明は、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを用いてポリアミド樹脂を形成する。本発明では、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミンを用いるが、これ以外のジアミン成分を用いることもでき、例えば、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン等を用いることができる。
ジアミン成分中のメタキシリレンジアミンの含有量は該ジアミン成分中に70モル%以上が必要である。70モル%以上であれば、得られるポリアミド樹脂が優れたガスバリア性を発現するからである。メタキシリレンジアミンの好ましい含有量は、75モル%以上、より好ましくは85モル以上、さらに好ましくは90モル%以上(100モル%を含む)である。
本発明において、使用される炭素数4〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示できるが、これらの中でも、重合のし易さやガスバリア性の観点からアジピン酸が好ましい。
本発明において、上記脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸、例えば芳香族ジカルボン酸を使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などを使用することができる。また、柔軟性を下げる恐れがあるため、芳香族環をもつジアミンやジカルボン酸を共重合する場合の共重合率は該ジカルボン酸中の10モル%以下とすることが好ましい。
本発明において共重合成分としてε−カプロラクタムもしくは6−アミノカプロン酸が使用できる。工業的な生産の観点からは、ε−カプロラクタムを用いるのが好ましい。ε−カプロラクタムを共重合すると柔軟性を付与することが可能であるが、十分な柔軟性を得る為には、該ポリアミド樹脂の25モル%以上共重合するのが好ましく、特に好ましいのは、30モル%以上である。
メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に、ε−カプロラクタムや6−アミノカプロン酸のなどの第3成分を共重合すると、非晶化する方向になる。非晶化するとガスバリア性が低下するため、該ポリアミド樹脂中のε−カプロラクタムは、45モル%以下であることが好ましい。
該ポリアミド樹脂製造の際、ポリアミド樹脂末端のカルボキシル基濃度([COOH])からアミノ基濃度([NH])を引いた値が8〜82μeq/gとなるように反応モノマーを使用するのが好ましく、15〜75μeq/gがより好ましい。ポリアミド樹脂末端のカルボキシル基濃度([COOH])からアミノ基濃度([NH])を引いた値の絶対値が上記範囲内である場合に、ジアミンとジカルボン酸のモノマーのバランスから、所望の高分子量のポリアミド樹脂を得ることができる。
また、160℃での降温半結晶化時間が200秒以上1800秒以下を採用するのは、降温半結晶化時間が、1800秒を超えると、容器などの成形性が悪化するとともに生産性も低下する。一方、200秒未満であると、柔軟性付与が不十分となる。
ここで、降温半結晶化時間は、脱偏光強度法によって本発明のポリアミド樹脂からなるペレットもしくはフィルムを260℃の熱風環境で3分間溶融した後、160℃のオイルバスにて結晶化させて算出される時間である。160℃で結晶化させる理由としては、本発明のポリアミド樹脂の結晶化速度が最も速い温度であり、測定が簡便であるためである。
該ポリアミド樹脂は、安定的なランダム共重合体となることで、柔軟性及びバリア性が得られることから、DSC(示差走査熱量測定)から得られる融解ピークが1本のみであることが必須である。融解ピークが一本であれば、ランダム共重合体が得られ、柔軟性やバリア性といった物性が安定的に発現される。
上記のように、該ポリアミド樹脂が、安定的なランダム共重合体を得るためには、α,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸と、ε−カプロラクタムもしくは6−アミノカプロン酸を前もって、溶融状態にした後に、MXDAとの溶融重縮合反応を進めることが好ましい。ε−カプロラクタムもしくは6−アミノカプロン酸を反応途中で加えたりすると、反応が進まなかったり、DSCの融解ピークが2本見られるような、一部、ブロック共重合体化したポリアミド樹脂が得られる場合があるため、好ましくない。
また、23℃50%RHにおける幅10mm、長さ100mm、厚み100μmの無延伸フィルムの引張試験結果から得られる引張破断伸びを柔軟性改善の一つの指標として用いている。引張破断伸びが、100%以上あれば、十分な柔軟性があり、200%以上あれば、高延伸倍率の2軸延伸フィルムの作成が可能であったり、PETと該ポリアミド樹脂との多層PETボトルの層間剥離が起きなかったり、該ポリアミド樹脂からなる容器の耐衝撃性が十分あるなどの柔軟性改善効果があるため、より好ましい。
また、PETとバリア層としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂からなる多層延伸ブロー容器であるPET多層ボトルは、衝撃などにより、PETとポリアミド樹脂との層間剥離(デラミ)が生じる場合がある。このデラミ性の評価指標として、ASTM D2463−95Bに準じて実施した。この耐デラミ性の評価も該ポリアミド樹脂の柔軟性改善の指標として用いた。
また、メタキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂30質量%に脂肪族ポリアミド樹脂を70質量%溶融混合して得られる混合樹脂からなる無延伸フィルムでは、引張破断強度が、400%以上と柔軟性に優れるものの、酸素バリア性が著しく悪化するため、バリア性のあるポリアミド樹脂としては利用できない。そのため、本発明のポリアミド樹脂からなる無延伸フィルムの23℃60%RHにおける酸素透過係数値がメタキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂30質量%に脂肪族ポリアミド樹脂を70質量%溶融混合して得られる混合樹脂からなる無延伸フィルム(本願比較例3に相当)の23℃60%RHにおける酸素透過係数値の0.6倍以下であることが好ましく、さらに好ましいのは、0.4倍以下である。0.6倍以下であれば、カプロラクタムからなる成分が完全にランダム共重合化しており、バリア性の低下が極力抑えられている。
また、本発明では、結晶性を付加する手段として、結晶化促進剤を用いてもよい。有機系のものとしては、2分子膜からなるマイクロレベルからナノレベルサイズのカプセル、ベンジリデンソルビトール系やリン系の透明化結晶核剤、ロジンアミド系のゲル化剤、ガラス充填剤(ガラス繊維、粉砕ガラス繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等)、ケイ酸カルシウム系充填材(ワラストナイト等)、マイカ、タルク(粉状タルクやロジンをバインダーとした顆粒状タルク等)、カオリン、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、層状珪酸塩等のクレイやナノフィラー、炭素繊維等、通常熱可塑性樹脂に使用されるものでよく、これらの2種以上を併用してもよい。また、添加量としては、0.01〜2重量部が好ましく、特に0.1〜1重量部が最適である。
本発明のポリアミド樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤、必要に応じて添加することができる、
本発明のポリアミド樹脂は、リン原子含有化合物を添加して溶融重縮合(溶融重合)法により製造されることが好ましい。溶融重縮合法としては、例えばジアミン成分とジカルボン酸成分からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法がある。また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミド樹脂の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
本発明のポリアミド樹脂の重縮合系内に添加されるリン原子含有化合物としては、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等が挙げられ、これらの中でも特に次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム等の次亜リン酸金属塩がアミド化反応を促進する効果が高く、かつ着色防止効果にも優れるため好ましく用いられ、特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。本発明で使用できるリン原子含有化合物はこれらの化合物に限定されない。
本発明のポリアミド樹脂の重縮合系内に添加するリン原子含有化合物の添加量は、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度換算で5〜400ppmであることが好ましく、より好ましくは50〜350ppmであり、さらに好ましくは70〜300ppmである。
また、本発明のポリアミド樹脂の重縮合系内には、リン原子含有化合物と併用してアルカリ金属化合物を添加することが好ましい。重縮合中のポリアミド樹脂の着色を防止するためにはリン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリアミド樹脂のゲル化を招く恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。本発明で用いることのできるアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。
本発明のポリアミド樹脂に、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子は、重縮合反応開始前又は反応中もしくは、押出成形時に化合物又は錯体として添加することができる。これらの金属原子は、重縮合後に樹脂中でポリアミド樹脂の酸化反応を促進する結果、本発明のポリアミド樹脂の酸素吸収機能を発現させる。前記金属原子により生ずる本発明のポリアミド樹脂の酸化は、金属原子によるポリアミド樹脂のアリーレン基に隣接するメチレン鎖から水素原子の引き抜きに起因するラジカルの発生、前記ラジカルに酸素分子が付加することによるパーオキシラジカルの発生、パーオキシラジカルによる水素原子の引き抜き等の各反応により起こるものと考えられている。
本発明において前記金属原子をポリアミド樹脂中に添加、混合するには金属原子を含有する化合物(以下、金属触媒化合物と称する)を用いることが好ましい。金属触媒化合物は前記金属原子の低価数の無機酸塩、有機酸塩又は錯塩の形で使用される。
無機酸塩としては、塩化物や臭化物等のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられる。また、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステル等との遷移金属錯体も利用することができる。中でも、酸素吸収機能が良好であることから、前記金属原子を含むカルボン酸塩、ハロゲン化物、アセチルアセトネート錯体が好ましい。
上記金属触媒化合物は、一種以上を添加することができるが、金属原子としてコバルトを含むものが特に酸素吸収機能に優れており、好ましく用いられる。
ポリアミド樹脂に添加される前記金属原子の濃度は特に制限はないが、ポリアミド樹脂100質量部に対して0.01〜0.10質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜0.08質量部である。金属原子の添加量が0.01質量部以上であれば、酸素吸収機能が十分に発現し、多層容器の酸素バリア性の向上効果が得られる。また0.10質量部以下であれば、添加量に応じて酸素バリア性の向上効果が得られ、経済的である。
ポリアミド樹脂に金属触媒化合物を添加する方法は、ポリアミド樹脂と金属触媒化合物を、押出機等を用いて溶融混合する方法、金属触媒化合物を溶媒と混合して溶解又はスラリー状にした後、ポリアミド樹脂と混合してから溶媒を除去してポリアミド樹脂に付着させる方法、多層容器を製造する装置に金属触媒化合物を添加できる装置を設けて添加する方法等が挙げられる。
溶融重縮合で得られた本発明のポリアミド樹脂は一旦取り出され、ペレット化された後、乾燥して使用される。また更に重合度を高めるために固相重合しても良い。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミド樹脂の固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回分式加熱装置が、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
上述の工程を経て得られる本発明のポリアミド樹脂は着色が少なく、ゲルの少ないものであるが、本発明では上述の工程を経て得られたポリアミド樹脂のうち、JIS−K−7105の色差試験におけるb値が3以下のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2以下のものであり、さらに好ましくは1以下のものである。ポリアミド樹脂のb値が3を超えるものは、後加工によって得られる成形品が黄色味がかったものとなり、その商品価値は低いものとなるため好ましくない。
値を3以下にするためには、例えば、ポリアミド樹脂の重縮合系内にリン原子含有化合物をポリアミド樹脂中のリン原子濃度換算で50〜400質量ppm添加することで、b値低下を抑えることが可能である。また、溶融重合工程中のポリアミド樹脂への伝熱が局所的にならないような適切な形状の攪拌翼を用いたりすればよい。
本発明のポリアミド樹脂は、少なくともリン原子含有化合物の存在下で重縮合が行われることが好ましい。本発明においては溶融重縮合の段階でリン原子含有化合物を添加することが好ましい。この段階で系内にリン原子含有化合物が存在しないと得られるポリアミド樹脂は黄色く着色したものとなったり、さらにはアミド化反応速度が遅くなってしまうために、例えば包装材料として利用可能な重合度まで重縮合を進めようとすると熱履歴が増大してポリアミド樹脂のゲル化、着色を招く恐れがある。
本発明のポリアミド樹脂の重合度の指標としてはいくつかあるが、相対粘度は一般的に使われるものである。本発明のポリアミド樹脂において好ましい相対粘度は1.5〜4.2であり、より好ましくは1.7〜4.0、さらに好ましくは2.0〜3.8である。本発明のポリアミド樹脂の相対粘度が1.5未満の場合には、溶融したポリアミド樹脂の流動性が不安定になりやすく成形品の外観が悪化することがある。またポリアミド樹脂の相対粘度が4.2を超えると、ポリアミド樹脂の溶融粘度が高すぎて成形加工が不安定になることがある。
尚、ここで言う相対粘度は、ポリアミド樹脂1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
本発明のポリアミド樹脂は各種包装材料、包装容器、工業用材料、燃料チューブ、燃料タンクなどに成形加工して使用することができる。包装材料としては、フィルム状、またはシート状の成形体に加工することができ、さらに包装容器としてはボトル、トレイ、カップ、チューブ、平袋やスタンディングパウチ等の各種パウチ等の少なくとも一部を構成する材料として使用することができる。また、燃料チューブや燃料タンクには、ポリオレフィンと組み合わせたダイレクトブローチューブやボトルが挙げられる。さらに上記包装材料、包装容器、工業用材料、燃料チューブ、燃料容器などの構成は本発明のポリアミド樹脂からなる単層であっても良く、他の熱可塑性樹脂と組み合わせた多層構造であっても良い。また本発明のポリアミド樹脂は、その性質を改善するためにナイロン6、ナイロン66、ナイロン6ITに代表されるポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール共重合体等、各種熱可塑性樹脂と混合したポリアミド樹脂組成物として使用することもできる。
また、これらの混合物は包装材料や包装容器にも利用することができる。
なお、本発明のポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物を利用してなる包装材料または包装容器において、該ポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物を利用してなる層の厚みは、特に制限はないが、1μm以上の厚みを有するように層を形成することが好ましい。
本発明ポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物を使用してなる包装材料及び包装容器や燃料チューブや燃料タンクなどの製造方法については、公知の方法を利用することができる。例えば、フィルムやシート、またはチューブ状の包装材料の成形については、Tダイ、サーキュラーダイ等を通して溶融させた該ポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物を付属した押出機から押し出して製造することができる。なお、上述の方法で得たフィルム状の成形体はこれを延伸することにより延伸フィルムに加工することもできる。ボトル形状の包装容器については、射出成形機から金型中に溶融したポリアミド樹脂を射出してプリフォームを製造後、延伸温度まで加熱してブロー延伸することにより得ることができる。
また、トレイやカップ等の容器は射出成形機から金型中に溶融した該ポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物を射出して製造する方法や、シート状の包装材料を真空成形や圧空成形等の成形法によって成形して得ることができる。本発明のポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物を利用してなる包装材料や包装容器は上述の製造方法によらず、様々な方法を経て製造することが可能である。
本発明のポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物を利用してなる包装容器には様々な物品を収納、保存することができる。例えば、炭酸飲料、ジュース、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料、調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料、ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペースト状食品、液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品に代表される液体系食品やそば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理された炊飯米、五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉末スープ、だしの素等の粉末調味料等に代表される高水分食品、乾燥野菜、コーヒー豆、コーヒー粉、お茶、穀物を原料としたお菓子等に代表される低水分食品、その他農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品を収納することができる。
以下に実施例、および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお本発明における評価のための測定は以下の方法によった。
(1)相対粘度
ポリアミド樹脂0.2gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下速度(t0 )も同様に測定した。tおよびt0 から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)末端カルボキシル基濃度及び末端アミノ基濃度
ポリアミド樹脂の反応モル比は、まず、ポリアミド樹脂をフェノール/エタノール混合溶媒及び、ベンジルアルコール溶媒にそれぞれ溶解させ、末端カルボキシル基濃度〔COOH〕と末端アミノ基濃度〔NH〕を塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液の中和滴定により求めた。
(3)ポリアミド樹脂の半結晶化時間
半結晶化時間測定装置MK701(コタキ製作所)を用い、脱偏光強度法によって厚み100μmのポリアミド樹脂フィルムを5枚重ねたものを260℃の熱風環境で3分間溶融した後、160℃のオイルバスにて結晶化させたときの半結晶化時間を求めた。
(4)ポリアミド樹脂の融点
(株)島津製作所製、DSC-60を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、融解に起因する吸熱ピークから融点を求めた。
(5)無延伸フィルムの引張試験
幅10mm、長さ100mm、厚み100μmのポリアミド樹脂フィルムを23℃50%RHの環境下にて、1週間調湿した後、引張試験機(東洋精機(株)製 ストログラフ V1−C)にて、引張速度50mm/minにて引張試験を実施し、本試験から得られる引張破断伸びを柔軟性の指標とした。
(6)酸素透過率:OTR
ASTM D3985に準じた。測定装置は、モダンコントロールズ社製(型式:OX−TRAN 2/21SH)のものを使用した。測定条件はフィルムOTR(cc・mm/(m・day・atm))の場合、温度:23℃、相対湿度:60%にて測定した。
(7)多層PETボトルの耐デラミ性評価
ASTM D2463−95Bに準じた測定方法に基づき実施した。PETボトルに水を500g充填し、キャップをした後、1日間(初期)及び1年間、23℃50%RHの環境下にて保存し、その後、階段式の落下試験を実施し、ボトル底部にデラミが発生しない落下高さを耐デラミ性の評価基準とした。
製造例1
(ポリアミド樹脂の溶融重合)
攪拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したアジピン酸14995g(102.6mol)、ε−カプロラクタム4874g(43.1mol)、次亜リン酸ナトリウム12.9736g(0.1224mol)、酢酸ナトリウム9.0368g(0.1102mol)を入れ、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を攪拌しながら170℃まで加熱した。この時点で、アジピン酸とε−カプロラクタムは完全な溶融状態であった。これにメタキシリレンジアミン13606g(99.9mol)を攪拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、内温を260℃として40分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミドを得た。
(ポリアミド樹脂の固相重合)
次いで、窒素ガス導入管、真空ライン、真空ポンプ、内温測定用の熱電対を設けたジャケット付きのタンブルドライヤーに前記ポリアミドを仕込み、一定速度で回転させつつ、タンブルドライヤー内部を純度が99容量%以上の窒素ガスで十分に置換した後、同窒素ガス気流下でタンブルドライヤーを加熱し、約150分かけてペレット温度を150℃に昇温した。ペレット温度が150℃に達した時点で系内の圧力を1torr以下に減圧した。さらに昇温を続け、約70分かけてペレット温度を200℃まで昇温した後、200℃で30分保持した。次いで、系内に純度が99容量%以上の窒素ガスを導入して、タンブルドライヤーを回転させたまま冷却してカプロラクタム30mol%共重合N−MXD6(ポリアミド1)を得た。
製造例2
ε−カプロラクタムを40mol%共重合した以外は製造例1と同様の方法でカプロラクタム40mol%共重合N−MXD6(ポリアミド2)を得た。
製造例3
ε−カプロラクタムを使用せず、メタキシリレンジアミンの仕込み量が13841g(101.625mol)である以外は製造例1と同様にしてN−MXD6(ポリアミド3)を得た。
製造例4
ε−カプロラクタムをアジピン酸と一緒に溶融させずに、アジピン酸を溶融させた後、メタキシリレンジアミンを滴下終了後に、ε−カプロラクタムを投入したこと以外は、製造例1と同様にしてカプロラクタム30mol%共重合N−MXD6(ポリアミド4)を得た。
製造例5
ε−カプロラクタムを10mol%共重合した以外は製造例1と同様の方法でカプロラクタム10mol%共重合N−MXD6(ポリアミド5)を得た。
(実施例1)
ポリアミド1の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度の測定を実施した。
また、ポリアミド1のペレットを30mmφ単軸押出機により、押出温度260℃、スクリュー回転数60rpm、引き取り速度1.2m/minで製膜し、巾300mm、厚み95〜105μmの無延伸フィルムを作製した。このフィルムの半結晶化時間、引張破断伸び及び、酸素透過係数を表1に示した。
さらに、耐デラミ性試験を実施した多層PETボトルの試作を実施した。
3層パリソンの製造には、名機製作所(株)製、射出成形機(型式:M200、4個取り
)を使用し、最内外層を構成するPET樹脂(樹脂A)は、予め150℃で4時間乾燥(除湿乾燥機使用、露点−40℃)し、水分を94ppmに調整したポリエチレンテレフタレート樹脂(Invista社製、グレード:1101E、固有粘度0.80)を射出シリンダーaに、中間層を構成するポリアミド1(樹脂B)を射出シリンダーbに充填した。
上記樹脂を使用し、以下の条件で先ず樹脂Aを射出し、所定量の樹脂Aを射出した後、樹脂Aと同時に樹脂Bを射出し、ついで樹脂Aを射出して3層パリソンを成形した。
射出シリンダーa内の樹脂温度:280℃
射出シリンダーb内の樹脂温度:270℃
金型内樹脂流路温度 :280℃
金型冷却水温度 : 15℃
射出成形して得られた3層パリソンは全長110mm、外形26.5mmφ、肉厚4.5mmである。
尚、得られた3層パリソンは、ポリアミド1を7質量%含有していた。
上記3層パリソンをブロー成形装置((株)フロンティア製EFB1000ET)により二軸延伸ブロー成形して、高さ223mm、胴径65mm、容量500mL、平均厚さ約300μmの二軸延伸中空容器(3層容器)を得た。底部形状はペタロイドタイプである。
得られた3層容器に水を500cc充填して落下試験により、耐デラミ性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリアミド1の代わりにポリアミド2を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ポリアミド2の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数、多層PETボトルの耐デラミ性の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
無延伸フィルム及び多層PETボトルを作成する際に、ポリアミド1にステアリン酸コバルト(コバルト含有量で400ppm)をドライブレンドして用いた以外は、実施例1と同様に実施した。無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数、多層PETボトルの耐デラミ性の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリアミド1の代わりにポリアミド3を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ポリアミド3の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数、多層PETボトルの耐デラミ性の評価結果を表2に示す。
(比較例2)
無延伸フィルム及び多層PETボトルを作成する際に、ポリアミド3にステアリン酸コバルト(コバルト含有量で400ppm)をドライブレンドして用いた以外は、実施例1と同様に実施した。無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数、多層PETボトルの耐デラミ性の評価結果を表2に示す。
(比較例3)
無延伸フィルムを作成する際に、ポリアミド3を30質量%に対してナイロン6(宇部興産(株)UBEナイロン6 1024B)を70質量%ドライブレンドして用いた以外は、実施例1と同様に実施した。無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数の評価結果を表2に示す。
(比較例4)
無延伸フィルムを作成する際に、ポリアミド3を30質量%に対してナイロン6(宇部興産(株)UBEナイロン6 1024B)を70質量%ドライブレンドしたものに、ステアリン酸コバルト(コバルト含有量で400ppm)をドライブレンドして用いた以外は、実施例1と同様に実施した。無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数の評価結果を表2に示す。
(比較例5)
ポリアミド1の代わりにポリアミド4を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ポリアミド4の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数、多層PETボトルの耐デラミ性の評価結果を表2に示す。
(比較例6)
ポリアミド1の代わりにポリアミド5を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。ポリアミド5の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、無延伸フィルムの引張破断伸び、酸素透過係数、多層PETボトルの耐デラミ性の評価結果を表2に示す。
Figure 0005625312
Figure 0005625312
以上の実施例から、実施例1〜2のように、本発明のポリアミド樹脂を用いることで、十分な柔軟性を付与することができ、実用性の範囲内の高いバリア性を得ることができた。そのため、PET多層ボトルなどの成形性に影響を及ぼさずに、高い耐デラミ性を付与することができた。また、ステアリン酸コバルトを添加した実施例3でも同様の効果が得られており、酸素吸収剤の効果も付与できた。さらに、酸素を吸収することで該ポリアミド樹脂の分解が進むため、耐デラミ性は、経時とともに悪化するが、1年後の耐デラミ性に関しても、比較例2と比べても大幅によくなっている。一方、ε−カプロラクタムを共重合していない比較例1や比較例1にステアリン酸コバルトを添加した比較例2及びε−カプロラクタムの共重合率が低い比較例6では、十分な柔軟性を付与できていないため、PET多層ボトルの耐デラミ性は悪い。また、比較例3や4のように、ナイロン6をブレンドしたポリアミド樹脂や溶融重合の途中で、ε−カプロラクタムを投入した比較例5では、DSCの融解ピークが2本見られ、一部ブロック共重合化してしまい、安定した柔軟性が得られなかった。
本発明のポリアミド樹脂若しくは樹脂組成物は、柔軟性とガスバリア性に優れているため、柔軟性とガスバリア性が必要なPETボトル、深絞りカップ、ダイレクトブローボトル、無延伸フィルム、延伸フィルムなどの包装材料、自動車などの燃料チューブ、燃料タンクへの利用が可能であり、その効果は大きい。

Claims (4)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリアミド樹脂とを積層した層構成を有する多層ボトルであって、
    前記ポリアミド樹脂が、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸と、共重合成分としてε−カプロラクタムもしくは6−アミノカプロン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂であり、該重縮合は、炭素数4〜12のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸と、ε−カプロラクタムもしくは6−アミノカプロン酸とを溶融状態とした後、ジアミン成分を添加し、溶融重合を進めたものであり、該ポリアミド樹脂中の該共重合成分に由来する構成単位の含有量25から45モル%の範囲内であり、該ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度[COOH]と末端アミノ基濃度[NH2]の差([COOH]−[NH2])が8〜82μeq/gの範囲であり、該ポリアミド樹脂中のリン原子濃度が5〜400ppmとなるようにリン原子含有化合物を重縮合系内に添加して得られたものであり、当該ポリアミド樹脂の160℃における降温半結晶化時間が200秒以上1800秒以下であり、DSC測定(示差走査熱量測定)から求まる融解ピークが1つのものであり、そして、該ポリアミド樹脂からなる無延伸フィルムの引張り破断伸びが100%以上である、多層ボトル
  2. 前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド樹脂からなる無延伸フィルムの23℃60%RHにおける酸素透過係数値が、メタキシリレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂30質量%に脂肪族ポリアミドを70質量%溶融混合して得られる混合樹脂からなる無延伸フィルムの23℃60%RHにおける酸素透過係数値の0.6倍以下のものである請求項に記載の多層ボトル
  3. 前記ポリアミド樹脂が、さらに別の熱可塑性樹脂を含有している請求項1又は2に記載の多層ボトル
  4. 前記ポリアミド樹脂が、さらに元素周期律表第VIII族の遷移金属、マンガン、銅および亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含有している請求項1〜のいずれかに記載の多層ボトル
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