JP5505289B2 - ポリエステル系成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、透明性や色調が良好で、かつ、ガスバリア性に優れたポリエステル系成形体に関する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)をその代表とする、芳香族ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とし、脂肪族ジオールを主たるジオール成分とするポリエステル樹脂は、機械的性能、溶融安定性、耐溶剤性、保香性、リサイクル性等に優れるという特長を有している。そのため、ポリエステル樹脂は、フィルム、シート、中空容器等の包装材料に広く利用されている。しかしながら、酸素、炭酸ガス等のガスバリア性が必ずしも良好ではないため、高いガスバリア性を要求される用途への利用には制限があった。ポリエステル樹脂にガスバリア性を付与する手段として、アルミニウム等の金属箔を貼り合わせる、他の高いガスバリア性を有する樹脂を塗布あるいは積層する、アルミニウムや珪素を蒸着する等の手段があるが、いずれも透明性が損なわれたり、複雑な製造工程を必要としたり、機械的性能が損なわれる等の問題点があった。
複雑な製造工程を必要とせずに高いガスバリア性を付与する手段として、高いガスバリア性を有する他の樹脂を混合する方法がある。高いガスバリア性を有する樹脂として、ナイロン6、ナイロン66等に代表されるポリアミド樹脂があるが、とりわけ主としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂(以下、「ポリアミドMXD6」)がガスバリア性に優れている。一方、ポリアミド樹脂以外のガスバリア性樹脂としてエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂がある。しかし、エチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂は、ポリエステル樹脂との相溶性に乏しいため、両者の組成物は白濁したり、結晶性が高いため芳香族ポリエステル樹脂の延伸性が損なわれたり、熱安定性が劣る等の問題点がある。
一方、ポリアミドMXD6は高いガスバリア性を有し、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレートとガラス転移温度、融点、結晶性が接近しているうえに溶融時の熱安定性にも優れている。そのため、芳香族ポリエステル樹脂との溶融混合が容易である、芳香族ポリエステル樹脂の機械的性能や延伸性を損なわない、高いガスバリア性が発現するという利点がある。
しかしながら、芳香族ポリエステル樹脂とポリアミドMXD6等のポリアミド樹脂との樹脂組成物は、構成組成物の分散状態や濃度によりパール状のギラツキが生じ、特に延伸等の熱成形によりギラツキが顕著となり、透明性が低下する傾向がある。このようにポリエステル樹脂とポリアミドMXD6等のポリアミド樹脂との組成物は透明性が十分ではないため、高い透明性が要求される用途においてはその利用に制限があった。
さらに、ポリアミドMXD6はそのポリマー骨格から、ポリマー末端にメタキシリレンジアミン由来の末端アミノ基が必ず存在する。また、PETは加熱溶融することによりアセトアルデヒドを発生する場合があることはよく知られているが、この溶融系内にポリアミドMXD6が存在するとポリアミドMXD6の末端アミノ基とアセトアルデヒドがシッフ塩を形成して黄色を呈する構造をとる。そのため、ポリアミドMXD6とPETのブレンド組成物は黄色味があり、容器に収納される物品によってはその商品価値が大きく低下することがあるため、容器を顔料によって着色する場合が多く、このことによってポリアミドMXD6とPETのブレンド組成物からなる容器の適用には制限があった。
特許文献1では、ポリアミド樹脂とポリエステル樹脂からなる混合物にテトラカルボン酸二無水物を添加してなる組成物が提案されている。しかし、テトラカルボン酸二無水物は、混合するポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂と反応する。そのため、混合および成形加工時に樹脂組成物の過度の粘度上昇が生じ、フィルム、シートおよび薄肉中空容器への成形加工が困難となる可能性がある。また、添加によって黄色から茶褐色の着色を引き起こし、従来以上に成形物の外観が損なわれるという問題がある。
特許文献2では、ポリアミド樹脂とポリエステル樹脂の屈折率の差に着目し、ポリアミド樹脂成分について、少なくとも2種のポリアミドを均質なアミド交換させたブレンド物を使用することにより、ポリエステル樹脂との屈折率の差を約0.006〜約−0.0006にすることで、透明性の改善した樹脂組成物が提案されている。しかし、ここで、ポリアミドMXD6とブレンドされているポリアミドはポリアミドMXD6に比べガスバリア性に劣る。更に均質にアミド交換ブレンド(相溶化ブレンド)した場合は、非相溶化ブレンドした場合に比べガスバリア性が低下する傾向にあり、これらのポリアミド樹脂を使用した場合もポリエステル樹脂のガスバリア性の改善効果は低いものである。
特許文献3では、後加工時の相対粘度上昇が小さく、PETとブレンドした時の透明性に優れるナイロンMXD6として、ポリアミドMXD6の末端アミノ基濃度を15mmol/kg未満と規定し、さらに相対粘度およびキシリレンジアミンの二量化により生成するトリアミン含有率を特定の範囲に規定したポリアミドが提案されている。しかしながら、比較的低分子量において末端アミノ基を15mmol/kg以下とするためには、ポリマーにおけるジカルボン酸成分とジアミン成分のモルバランスを大きくジカルボン酸過剰に設定し、かつ反応率を相当高める必要がある。このようにして得られたポリアミドは、再溶融加熱した際に、系内に微量に水分が存在するだけでも容易に加水分解を起こし、後加工時に分子量が低下するだけではなく、末端アミノ基量も増加することになり、PETとブレンドした際の黄色度は末端アミノ基濃度が15mmol/kg以上のポリアミドMXD6と大差ないものになってしまう問題がある。
特開2000−34357号公報 特表2008−531827号公報 特表2009−512771号公報
本発明は、透明性や色調が良好で、かつガスバリア性に優れた、ポリエステルとポリアミドを含む樹脂組成物からなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の相対粘度、特定の末端アミノ基濃度及び特定の融点を有するアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)と、特定のポリエステルとを含む樹脂組成物からなる層を有する成形体は、従来のメタキシリレン基含有ポリアミドとポリエステルとを含む樹脂組成物と同等のガスバリア性を保持しつつ、さらに透明性や着色を改善できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の成形体を提供する。
キシリレンジアミン単位を50モル%以上含むジアミン単位(I)47.0〜50.5モル%と、アジピン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位(II)47.0〜50.5モル%と、炭素数4〜12のα,ω−アミノカルボン酸単位(III)0.5〜5モル%とを含むアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を1〜30質量%と、
芳香族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、脂肪族ジオール単位を70モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(B)を70〜99質量%を含む樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する成形体であって、前記アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)が、下記の条件を満たす成形体。
(1) 1.51≦ηr≦1.99
(2) 15.1≦[NH2]≦50.0 (mmol/kg)
(3) |Tm(A1)―Tm(A2)|≦6.0 (℃)
(前記式(1)中、ηrはアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の相対粘度を表わす。前記式(2)中、[NH2]はアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度を指す。前記式(3)中、Tm(A1)はアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の融点、Tm(A2)はアミノカルボン酸単位を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)の融点を示し、|Tm(A1)―Tm(A2)|は、ポリアミド(A1)とポリアミド(A2)融点の差の絶対値を示す。)
なお、アミノカルボン酸単位を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)とは、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を構成するジアミン単位(I)、ジカルボン酸単位(II)及びその含有比率は同一であるが、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)を含まないポリアミドのことを指す。
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、従来のキシリレン基含有ポリアミドとポリエステルを含む樹脂組成物からなる成形体と比べて、優れたバスバリア性能は保持したまま、着色が低く抑えられ、かつ極めて良好な透明性を有する。
[アミノカルボン酸共重合メタキシリレン基含有ポリアミド]
本発明のアミノカルボン酸共重合メタキシリレン基含有ポリアミド(A1)は、キシリレンジアミン単位を50モル%以上含むジアミン単位(I)47.0〜50.5モル%と、アジピン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸成分(II)47.0〜50.5モル%と、炭素数4〜12のα,ω−アミノカルボン酸単位(III)0.5〜5.0モル%とを含有する。ただし、前記のジアミン単位(I)、ジカルボン酸単位(II)、及びα,ω−アミノカルボン酸単位(III)の合計は100モル%を超えないものとする。
また、本発明のアミノカルボン酸共重合メタキシリレン基含有ポリアミド(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の構成単位をさらに含んでいてもよい。
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)は、前記のジアミン単位(I)、ジカルボン酸単位(II)及び炭素数4〜12のα,ω―アミノカルボン酸単位(III)を少なくとも1つずつ有するポリアミド樹脂である。
本発明のアミノカルボン酸共重合メタキシリレン基含有ポリアミド(A1)において、炭素数4〜12のα,ω−アミノカルボン酸単位(III)の含有量は0.5〜5.0モル%である。α,ω−アミノカルボン酸単位(III)の含有量が0.5モル%未満では、ポリエステル成形体の着色改善効果が小さいため好ましくない。一方、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)の含有量が5.0モル%を超えると、アミノカルボン酸共重合メタキシリレン基含有ポリアミド(A1)のガスバリア性が低下するため、ポリエステル成形体のガスバリア性が損なわれるため好ましくない。
また、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)の含有量は、ポリエステル成形体の色調改善とガスバリア性保持の観点から、好ましくは0.8モル%以上、より好ましくは1.0モル%以上、また、好ましくは4.5モル%以下であり、より好ましくは4.2モル%以下である。
本発明のα,ω−アミノカルボン酸単位(III)を構成しうる化合物としては、炭素数4〜12のα,ω−アミノ酸やラクタムが好ましく使用される。炭素数4〜12のα,ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノへキサン酸、8−アミノオクタン酸及び12−アミノドデカン酸等が例示され、炭素数4〜12のラクタムとしては6−へキサンラクタム(別名:ε−カプロラクタム)、8−オクタンラクタム及び12−ドデカンラクタム等が例示される。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)においてジアミン単位(I)の含有量は47.0〜50.5モル%であり、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の重縮合時における反応速度保持やポリエステル成形体の色調保持等の観点から、好ましくは47.5〜49.5モル%である。
また、本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)において、ジカルボン酸単位(II)の含有量は47.0〜50.5モル%であり、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の重縮合時における反応速度保持やポリエステル成形体の色調保持等の観点から好ましくは47.5〜50.1モル%である。
ジアミン単位とジカルボン酸単位との含有量の割合は、重合反応の観点から、ほぼ同量であることが好ましく、ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%であることがより好ましい。ジカルボン酸単位の含有量がジアミン単位の含有量の±2モル%の範囲を超えると、ポリマーの重合度が上がりにくくなるため重合度を上げるのに多くの時間を要し、熱劣化が生じやすくなる。
(ジアミン単位)
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)中のジアミン単位(I)は、キシリレンジアミン単位をジアミン単位(I)中に50モル%以上含み、当該含有量は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上であり、また好ましくは100モル以下である。ジアミン単位(I)中のキシリレンジアミン単位を50モル%以上とすることにより、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)のガスバリア性を高めることができるため、これとポリエステル(B)を含む樹脂組成物からなる成形体は優れたガスバリア性を発揮することができる。
前記キシリレンジアミン単位を構成しうる化合物としては、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミンが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)中のキシリレンジアミン単位(I)は、優れたガスバリア性を発現させることに加え、汎用的な熱可塑性樹脂の成形性を容易にする観点から、メタキシリレンジアミン単位を50モル%以上含むことが好ましく、当該含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下である。
本発明のキシリレンジアミン単位以外にジアミン単位(I)を構成しうる化合物としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環式ジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミンを例示できる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(ジカルボン酸単位)
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)中のジカルボン酸単位(II)は、アジピン酸単位をジカルボン酸単位(II)中に50モル%以上含み、当該含有量は好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、また好ましくは100モル%以下である。ジカルボン酸単位(II)中のアジピン酸単位を50モル%以上とすることで、本発明で組み合わされるポリエステル(B)と熱的性質が近似するため、成形加工性が良好となる上に、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の結晶性が高まり、ガスバリア性を良好に保つことができる。
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)中のジカルボン酸単位(II)を構成しうる化合物としては、アジピン酸以外に、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸やその水添物が例示できる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドの相対粘度)
本発明におけるアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の重合度の指標としてはいくつかあるが、相対粘度は一般的に使われるものである。アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)において好ましい相対粘度は1.51以上1.99以下であり、より好ましくは1.55以上1.95以下、さらに好ましくは1.60以上1.90以下である。アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の相対粘度を上述の範囲に設定することで、ポリエステル(B)と溶融混合した際の樹脂組成物中での分散性が良好となり、成形体の透明性、機械物性をより向上することができる。尚、ここで言う相対粘度は、ポリアミド1gを96%硫酸100mlに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
(アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドの末端アミノ基濃度)
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度は15.1mmol/kg以上50.0mmol/kg以下であり、15.5mmol/kg以上45.0mmol/kg以下とすることが好ましく、さらに好ましくは16.0mmol/kg以上40.0mmol/kg以下である。アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度が上記範囲であれば、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)と反応せずに残存した、キシリレンジアミン単位に由来する末端アミノ基の量は非常に小さいものとなることから、ポリエステル(B)から発生するアセトアルデヒドと反応して生成するシッフ塩基の生成量も少なくなり、その結果、樹脂組成物からなる成形体の着色を低く抑えることができる。
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)は、ポリマー鎖の末端アミノ基がα,ω−アミノカルボン酸単位(III)由来となることが好ましい。
先に述べたように、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルは加熱溶融することにより、アセトアルデヒドを発生することが知られている。そしてポリエステルと、ポリアミドMXD6に代表されるキシリレン基含有ポリアミドとを溶融混合して得られた樹脂組成物は、黄色味を呈するが、これは、ポリアミド末端のキシリレンジアミン単位に由来するアミノ基とアセトアルデヒドが式(1)に示すシッフ塩を形成するためと考えられる。
これに対して、ポリマー末端を、アミノカルボン酸由来のアミノ末端とすることで、得られる樹脂組成物からなる成形体は黄色味を呈しにくくなる。
これは、本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)のポリアミド末端は、ポリエステルから発生したアセトアルデヒドと同様に反応して式(2)に示す構造を形成するが、そのポリマー末端は脂肪族結合であるため、該樹脂組成物は着色が抑えられるものと考えられる。
Figure 0005505289
Figure 0005505289
(アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドの融点)
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)において、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)がポリマー鎖の主鎖部分に多く存在するか、ポリマー鎖末端に多く存在するかは示差走査熱量計(DSC)によりおおよそ判断することができる。
α,ω−アミノカルボン酸成分(III)がポリマー末端ではなく、ポリマー主鎖中に多く存在すると、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを構成するモノマー成分がランダム共重合になるため、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)と比較してその融点は大きく低下する。
これに対して、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)のポリマー鎖末端にα,ω−アミノカルボン酸成分(III)が多く存在すると、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の主鎖部分はジアミン単位(I)とジカルボン酸単位(II)のみで構成されるため、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)と比較して、融点の低下が小さいものとなる。
これらの指標を元に発明者らが検討した結果、本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の融点は、α,ω−アミノカルボン酸単位(III)を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)の融点との差が絶対値で6℃以下であり、より好ましくは5℃以下、さらに好ましくは3℃以下である。キシリレン基含有ポリアミド(A2)に対する、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の融点の低下が上記範囲内であれば、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)とポリエステル(B)からなる樹脂組成物からなる成形体の着色
を低く抑えることができる。
(アミノカルボン酸共重合ポリアミドの製造方法)
次に本発明におけるアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の製造方法について説明する。本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)は、前記ジアミン単位を構成しうるジアミン成分と、前記ジカルボン酸単位を構成しうるジカルボン酸成分との重縮合反応を進めた後、重縮合反応後期〜ポリアミドの排出の間に、α,ω−アミノカルボン酸単位を構成しうるα,ω−アミノカルボン酸成分を反応系内に添加する方法や、ジアミン成分とジカルボン酸成分からなるキシリレン基含有ポリアミド(本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドの前駆体に相当するポリアミド。以下、プレポリアミドと呼ぶ)を得た後、押出機等の溶融混練装置を使用し、キシリレン基含有ポリアミド(プレポリアミド)とα,ω−アミノカルボン酸成分を溶融混練して得る方法が挙げられる。
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を製造する方法としては、例えば、ジアミン成分とジカルボン酸成分とからなるナイロン塩と水を反応槽に仕込み、加圧下にて昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させ、所望の重合度に達する直前にα,ω−アミノカルボン酸成分を系内へ添加する方法や、溶融したジカルボン酸成分にジアミン成分を常圧下で直接または連続的に滴下しつつ系内を連続的に昇温して溶融状態を保ちつつ、生成する水を除去しながら溶融状態で重合させ、所望の重合度に達する直前にα,ω−アミノカルボン酸成分を系内へ添加する方法が挙げられるが、これらの方法に限定されることなく実施することができる。
なお、重縮合工程にてジアミン成分、ジカルボン酸成分及びα,ω−アミノカルボン酸成分を同時に反応装置に仕込んで重縮合反応を進めたり、ジアミン成分とジカルボン酸成分の重縮合反応が初期〜中期の段階で、α,ω−アミノカルボン酸成分を添加すると、α,ω−アミノカルボン酸成分がポリマー鎖の中にランダムに取り込まれてしまうため、得られるα、ω−アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の融点は、α,ω−アミノカルボン酸を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)に比べて融点が大きく低下してしまう。さらに得られたα、ω−アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)はそのポリマー鎖末端のアミノ末端の多くがメタキシリレンジアミン由来となるため、該ポリアミド(A1)とポリエステル(B)を溶融混合して得られた樹脂組成物の成形体は、その黄色度は高いものとなってしまう。
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を製造する他の方法としては、キシリレンジアミン成分とジカルボン酸成分からなるキシリレン基含有ポリアミド(プレポリアミド)を予め得た後に、該プレポリアミドとα,ω−アミノカルボン酸とを押出機により溶融混練しても得ることができる。この際の押出機のシリンダー温度は[キシリレン基含有ポリアミドの融点(A2)+30℃]よりも低い温度に設定し、滞留時間を8分以内とすることが好ましい。なお、滞留時間をより短くすることが可能であれば、シリンダー温度をさらに高めてもかまわない。
シリンダー温度を上記温度に設定し、滞留時間も上記時間内にすることで、α,ω−アミノカルボン酸成分(III)がポリマー鎖の中にランダムに取り込まれてしまうことがなく、ポリマー鎖末端のアミノ基の多くをアミノカルボン酸末端とすることができる。そして、このようにして得られたアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)と、ポリエステル(B)と溶融混合して得られる樹脂組成物からなる成形品の色調は、黄色度が低く抑えられて、透明性の優れたものとなる。
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を構成するジアミン単位とジカルボン酸単位の比は、(ジアミン単位)/(ジカルボン酸単位)のモル比が0.960〜0.990の割合で構成されていることが好ましく、より好ましくは0.965〜0.989であり、さらに好ましくは0.970〜0.988である。ジアミン単位とジカルボン酸単位の比率を上記範囲に設定することで、最終的に得られるアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)は、再加熱された際に加水分解することは無いため、メタキシリレンジアミン単位に由来する末端アミノ基の増加を抑えることができる。
また、キシリレン基含有ポリアミド(プレポリアミド)とα,ω−アミノカルボン酸とを押出機により溶融混練して、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)製造する際、キシリレン基含有ポリアミド(プレポリアミド)のジアミン単位/ジカルボン酸単位のモル比が上記した範囲にある場合、キシリレン基含有ポリアミド(プレポリアミド)のポリマー末端にあるメタキシリレンジアミンに由来する末端アミノ基が、α,ω−アミノカルボン酸成分(III)に由来するカルボキシル基と反応して、得られるアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の末端アミノ基はα,ω−アミノカルボン酸成分に由来する末端アミノ基に置き換えられ、その結果、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A)とポリエステル(B)との樹脂組成物からなる成形体の黄色度を抑制することが可能となる。
本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)は乾燥して使用することが好ましい。また重合度を高めるために固相重合することもできる。乾燥乃至固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されることなく公知の方法、装置を使用することができる。特にポリアミドの固相重合を行う場合は、上述の装置の中で回転ドラム式の加熱装置が、系内を密閉化でき、着色の原因となる酸素を除去した状態で重縮合を進めやすいことから好ましく用いられる。
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)には、重縮合反応速度を高めたり、着色を防止したりするためにリン原子含有化合物(X)を添加することができる。リン原子含有化合物(X)の添加量は、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド樹脂(A1)中のリン原子濃度換算で1〜1000ppmであり、1〜500ppmであることが好ましく、より好ましくは5〜500ppmであり、さらに好ましくは10〜400ppmである。上述の範囲内にリン原子含有化合物の添加量を設定することで重縮合中のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド樹脂(A1)の着色を防止するとともに、速やかに重縮合が進行することで熱履歴を低減されるために、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド樹脂(A1)のゲル化が抑制され、成形品の外観を良好に保つことができる。
また、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)には、リン原子含有化合物(X)と併用してアルカリ金属化合物を添加することができる。重縮合中のポリアミドの着色を防止するためにはリン原子含有化合物(X)を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリアミド樹脂の架橋反応が進行してゲル化を引き起こす恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を共存させることが好ましい。例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属水酸化物や、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属酢酸塩等が挙げられるが、これらの化合物に限定されることなく用いることができる。
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)にアルカリ金属化合物を添加する場合、該金属化合物のモル数をリン原子含有化合物(X)のモル数で除した値が0.5〜2.0となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.8であり、さらに好ましくは0.7〜1.5である。上述の範囲とすることでリン原子含有化合物(X)によるアミド化反応促進効果を得つつゲルの生成を抑制することが可能となる。
ポリエステル(B)と溶融混合する直前のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の水分率は0.15質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.01〜0.09質量%がさらに好ましい。アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の水分率が0.15質量%以下であると、ポリエステル(B)との溶融混合時にアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A)から発生する水分によって生じるポリエステル(B)の加水分解を抑制することができる。
<ポリエステル(B)>
ポリエステル(B)は、芳香族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、脂肪族ジオール単位を70モル%以上含むジオール単位とを含有する。ジカルボン酸単位の芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である(100モル%を含む)。ジオール単位中の脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である(100モル%を含む)。ジカルボン酸単位中の芳香族ジカルボン酸単位が50モル以上であると、得られるポリエステル(B)とアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を含む樹脂組成物からなる成形品の耐熱性が十分なものとなる。また、ジオール単位中の脂肪族ジオールに由来する構成単位が70モル以上であれば、得られるポリエステル(B)とアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を含む樹脂組成物からなる成形品の成形性が良好なものとなる。
前記芳香族ジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸;2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸等およびこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
これらの中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそれらの誘導体がより好ましく用いられる。
なお、イソフタル酸を構成成分として使用する場合、その割合はジカルボン酸成分の総量に対して1〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、更に好ましくは1〜10モル%である。イソフタル酸をジカルボン酸成分として上記に示した量を添加して得たポリエステル(B)を含む樹脂組成物は結晶化速度が遅くなり、成形性を向上させることが可能となる。
本発明のジカルボン酸単位を構成する成分として、芳香族ジカルボン酸以外に本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸や、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸や、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等のカルボン酸無水物を用いることができる。
また、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)とポリエステル(B)との相溶性を改良するためには、ポリエステル(B)を構成するジカルボン酸成分として、ベンゼン、ナフタレン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル、またはメチレンジフェニル核にスルホン酸金属塩基が結合した芳香族核を有するジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体を使用することができる。例えば、スルホン酸塩の金属イオンとしてリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオン、亜鉛等が上げられる。また、芳香族酸核としてスルホフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸およびそれらの誘導体を組み合わせたジカルボン酸化合物が挙げられ、その中でも、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、5−スルホイソフタル酸亜鉛が好ましく用いられる。
これらのジカルボン酸の比率は全ジカルボン酸単位に対して0.01〜2モル%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜1.5モル%であり、さらに好ましくは0.06〜1.0モル%である。この範囲とすることでポリエステル(B)の特性を損なうことなく相溶性を高めることができる。
前記ジオール単位を構成しうる化合物として、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオールおよびこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。また、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル(B)の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル(B)の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。また分子量を高めるために、必要に応じて従来公知の方法によって固相重合しても良い。
好ましいポリエステル(B)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4'−ビフェニルジカルボキシレート、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等がある。より好ましいポリエステル(B)としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等がある。特に好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体である。
ポリエステル(B)の水分率は、200ppm以下であることが好ましく、150ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることがさらに好ましい。ポリエステル(B)の水分量については、使用直前にポリエステルを乾燥し上記水分率としてもよい。水分率が上記範囲内であると、溶融混練工程においてポリエステルが加水分解して分子量が極端に低下したり、黄変することがない。
ポリエステル(B)の固有粘度(以下、IVと呼ぶ。フェノール/1,1,2,2,−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)には、特に制限はないが、0.5〜1.5dl/gが好ましく、0.6〜1.3dl/gがより好ましい。固有粘度が上記範囲内であるとポリエステル(B)の分子量が充分に高く、各用途に必要な機械的性質を有する樹脂組成物からなる成形体が得られる。
本発明のポリエステル系成形体におけるアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)とポリエステル(B)の配合比率は、1〜30:99〜70質量%とすることが好ましく、さらに好ましくは2〜27:98〜73質量%であり、より好ましくは3〜25:97〜75(質量%)である。アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の配合比率を上述の範囲内に設定することにより、樹脂組成物からなるポリエステル系成形体のガスバリア性を効果的に改善しつつ、透明性や色調に優れたものとすることができる。
また本発明の成形体を構成するアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)とポリエステル(B)の樹脂組成物には、その性能を損なわない範囲で、例えば、各種ポリアミドやポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類及びその変性樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂や、酸化防止剤や紫外線吸収剤、滑剤、増粘剤等の各種添加剤、顔料、染料、タルクやマイカ、ナノクレイ等の無機フィラーを添加することができる。
本発明におけるアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)とポリエステル(B)からなる成形体の製造方法については、両者を溶融混合してから特定の形状に加工する一般的な方法を用いることによって行われる。溶融混合する際には、従来公知の方法を採ることができるが、例えば、両者をタンブラー等を用いて乾式混合し、押出機や射出成形機のホッパーに投入して溶融混合する方法が挙げられる。また重量式フィダー等を使用して各々の材料を一定速度で押出機や射出成形機のホッパーへ投入する方法が挙げられる。
成形加工方法は所望の成形体の形状によって適宜適切な方法を採ることができる。例えば、フィルム状やシート状の成形体であれば、1台以上の押出機とダイ、冷却装置、巻き取り装置を備えた成形装置によるキャスト法やインフレーション法にて成形することができる。またカップやトレイ等の容器形状であれば、射出成形機を使用して直接容器を得ることができるし、またプリフォームを一旦成形してから延伸ブローを行うことにより容器を得ることもできる。さらには一旦シート状に成形した後、熱成形機を用いて熱成形して製造することもできる。さらにボトル形状であれば、射出成形機にてプリフォームを作製後、延伸ブローを行うことによりボトルを製造するインジェクションストレッチブロー法や、押出機と円筒ダイを備えた装置からパリソンを押し出し、金型に挟んでブローすることによりボトルを製造するダイレクトブロー法も利用することができる。
さらに本発明の成形体はポリエステル樹脂(B)とアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)とを含む樹脂組成物からなる単層容器であってもよく、また他の熱可塑性樹脂や各種材料と組み合わせた多層構造物であっても良い。本発明の成形体はこれらに限定されることなく様々な方法により加工して得ることができる。
本発明の成形体は、様々な物品の収納に利用することができる。例えば、炭酸飲料、ジュース、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料、調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料、ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペースト状食品、液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品に代表される液体系食品やそば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理された炊飯米、五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉末スープ、だしの素等の粉末調味料等に代表される高水分食品、乾燥野菜、コーヒー豆、コーヒー粉、お茶、穀物を原料としたお菓子等に代表される低水分食品、その他農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品を収納することができる。
以下、実施例、比較例によって本発明を具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例で採用した材料および評価法は以下の通りである。
(1)キシリレン基含有ポリアミドの相対粘度
ポリアミド0.2gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0
(2)キシリレン基含有ポリアミドの融点
示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、融点(Tm)を求めた。
(3)キシリレン基含有ポリアミドの末端アミノ基濃度
ポリアミド0.3〜0.5gを精秤し、フェノール/エタノール=4/1容量溶液30ccにポリアミドを攪拌、溶解した。完全にポリアミドが溶解した後、N/100塩酸で中和滴定して求めた。
(4)ポリエステル系成形体のHaze及びb値
JIS−K−7105に準じ、曇値測定装置(日本電色工業(株)製、型式:COH−300A)にて測定を行った。成形体が容器またはボトルの場合は側面部における高さ1/2の箇所について測定を行った。
(5)ポリエステル系成形体の酸素透過率
ASTM D3985に準じた酸素透過率測定装置(Mocon社製、型式:OX−TRAN 2/21SH)を使用し、成形体が容器またはボトルの場合は成形体内側の湿度を100%RH、成形体外側の湿度を50%RHとし、23℃にて酸素透過率(OTR)の測定を行った。また成形体が二軸延伸フィルムの場合は23℃、60%RHにおける酸素透過率を測定した。
参考例1〜3
(キシリレン基含有ポリアミド樹脂の溶融重合)
撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、表1に記載のジカルボン酸、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムを仕込み、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン(MXDAと略する)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。MXDAの滴下終了後、内温を255℃として25分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミドを得た。得られたポリアミドは真空乾燥機を用いて、120℃、6時間の条件で減圧下に乾燥した。
実施例1〜14及び比較例2〜4
(キシリレン基含有ポリアミド樹脂の溶融重合)
実施例1〜14及び比較例2〜4のそれぞれにおいて、キシリレン基含有ポリアミドを以下の通り作製した。撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、表1に記載のジカルボン酸、次亜リン酸ナトリウム1水和物、酢酸ナトリウムを仕込み、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン(MXDAと略する)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。MXDAの滴下終了後、内温を255℃として20分反応を継続した後、α,ω−アミノカルボン酸を所定量反応槽内へ添加し、さらに5分間反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミドを得た。得られたポリアミドは真空乾燥機を用いて、120℃、6時間の条件で減圧下で乾燥した。
実施例1〜14及び比較例2〜4の各々で得られたポリアミドについて1H−NMR(400MHz,日本電子(株)製、商品名:「JNM−AL400」、測定モード:NON(1H))を用いてα,ω―アミノカルボン酸の共重合率を算出した。具体的には、溶媒としてギ酸−dを用いてポリアミドの5質量%の溶液を調製し、1H−NMR測定を実施した。
(ポリエステルブレンド熱成形容器の製造)
1台の単軸押出機(スクリュー径;40mm)、脱気装置を備えた1台の二軸押出機(スクリュー径;40mm)、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、巻き取り機からなる多層シート製造設備を用い、単軸押出機にPET(インビスタ社製、Polyclear1101E、IV=0.82)を入れ、二軸押出機にPETとアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドが90:10の質量比からなる混合物を入れ、それぞれ265℃の押出機温度で溶融混練後、シート状に押し、2種3層の多層シートを得た。多層シートの構造は、PET/ガスバリア層/PETの層構成であり、各層厚みは50μm/800μm/50μmであった。なお、ガスバリア層は、アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)とポリエステル(B)を含む樹脂組成物からなる層である。
次いで、真空圧空成形機を使用してプラグアシスト成形を行い、開口部が内径100mmの円形で、高さが90mm、底面が内径80mmの丸型の多層容器を得た。容器のHaze、b値、酸素透過率測定を実施した。
(ポリエステルブレンドストレッチブローボトルの製造)
PET(インビスタ社製、Polyclear1101E、IV=0.82)とアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを95/5(質量%)となるように配合し、タンブラーにより混合した。この混合物を、射出成形装置((株)名機製作所製 M200PDM−MJ)を用い、射出シリンダー温度265〜285℃、金型内樹脂流路温度275℃、金型冷却水10℃の条件下でパリソンの成形を行い、長さ96mm、肉厚4.5mm、外形直径24mmのパリソンを得た。このパリソンを赤外ヒーターで95〜101℃に加熱後、二軸延伸ブロー成形を行い、全長223mm、胴径65mm、容積500ml、口栓部の厚みが1.5〜3mm程度、底面部の厚みが0.5〜4mmのボトルを得た。得られたボトルのHaze、b値、酸素透過率測定を実施した。
(ポリエステルブレンド二軸延伸フィルムの製造)
押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、引き取り機等からなるフィルム製造装置を用いて、押出機からPET(インビスタ社製、Polyclear1101E、IV=0.82)とアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを75/25(質量%)となるように配合し、タンブラーにより混合したペレットを押し出して、約190ミクロンの単層フィルムを製造した。次いで、この単層フィルムをバッチ式の二軸延伸装置を用い、フィルム温度90℃にて、延伸倍率4×4の二軸延伸フィルムに加工した。得られたフィルムのHaze、b値、酸素透過率測定を実施した。
比較例1
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを配合せずに、ポリエステルのみからなる容器を実施例1と同様にして製造し、各種測定を行った。
(ポリエステルブレンド熱成形容器の製造)
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして製造し、各種測定を行った。
(ポリエステルブレンドストレッチブローボトルの製造)
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして製造し、各種測定を行った。
(ポリエステルブレンド二軸延伸フィルムの製造)
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして製造し、各種測定を行った。
比較例5〜6
(ポリアミド樹脂の溶融重合)
比較例5、6のそれぞれにおいて、キシリレン基含有ポリアミドを以下の通り作製した。撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、表1に記載のジカルボン酸、α,ω−アミノカルボン酸、次亜リン酸ナトリウム1水和物、酢酸ナトリウムを仕込み、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン(MXDAと略する)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。MXDAの滴下終了後、内温を255℃として25分反応を継続した。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのポリアミドを得た。
比較例5〜6の各々で得られたポリアミドについて1H−NMR(400MHz,日本電子(株)製、商品名:「JNM−AL400」、測定モード:NON(1H))を用いてアミノ酸の共重合率を算出した。具体的には、溶媒としてギ酸−dを用いてポリアミドの5質量%の溶液を調製し、1H−NMR測定を実施した。
実施例15〜18
(プレポリアミドの溶融重合)
実施例15〜18のそれぞれにおいて、プレポリアミドを以下の通り作製した。撹拌機、分縮器、全縮器、温度計、滴下ロート及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、表1に記載のジカルボン酸、次亜リン酸ナトリウム1水和物、酢酸ナトリウムを仕込み、十分に窒素置換した後、さらに少量の窒素気流下で系内を撹拌しながら170℃まで加熱した。これにメタキシリレンジアミン(MXDAと略する)を撹拌下に滴下し、生成する縮合水を系外へ除きながら系内を連続的に昇温した。MXDAの滴下終了後、内温を255℃として25分反応を継続した後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化し、約24kgのプレポリアミドを得た。
(α,ω−アミノカルボン酸の溶融混練)
スクリュー径37mm、L/D=42の二軸押出機(東芝機械製、TEM37BS)を使用し、表2に記載の質量比でプレポリアミドとα,ω−アミノカルボン酸をドライブレンドした後、所定のシリンダー温度にて、滞留時間が約3分となるように溶融混練し、ストランドダイからストランドを押し出し、水冷後ペレターザーにてペレット化した。得られたペレットは真空乾燥機を用いて、120℃で6時間、減圧下で乾燥した。
(ポリエステルブレンド熱成形容器の製造)
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドの種類を変更した以外は実施例1と同様にして製造し、各種測定を行った。
(ポリエステルブレンドストレッチブローボトルの製造)
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドの種類を変更した以外は実施例1と同様にして製造し、各種測定を行った。
(ポリエステルブレンド二軸延伸フィルムの製造)
アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドの種類を変更した以外は実施例1と同様にして製造し、各種測定を行った。
比較例7
押出機のシリンダー温度設定を290℃としたこと以外は、実施例15と同様にして溶融混練を行い、乾燥後に各種容器を製造、測定を行った。
比較例8
押出機のシリンダー温度設定を290℃としたこと以外は、実施例18と同様にして溶融混練を行い、乾燥後に各種容器を製造、測定を行った。
Figure 0005505289
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本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを溶融重合工程で製造して得た実施例1〜14によれば、それらとポリエステルをブレンドしてなる成形体は、透明性や色調に優れ、さらに酸素透過率も良好であった。一方、末端アミノ基濃度が高い比較例2の成形体は、本願発明の成形体と比較して色調が悪化傾向であった。また相対粘度が高い比較例3では透明性が悪化傾向であった。α,ω−アミノカルボン酸成分の共重合率が高い比較例4では酸素透過率が悪化傾向であった。
さらに、本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドと、アミノカルボン酸を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)との融点の差の絶対値が本願の範囲外である比較例5、6は、色調が悪く、酸素透過率も悪化した。これは、α,ω−アミノカルボン酸をモノマー仕込み時に同時に仕込んだため、α,ω−アミノカルボン酸がポリマー鎖中でランダムに共重合された結果、ポリマー鎖の末端アミノ基はキシリレンジアミン単位由来の割合が高くなり、PETから発生したアセトアルデヒドとのシッフ塩が生成したためと推察された。
また本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミドを反応押出にて製造した実施例15〜18によれば、実施例1〜14と同様に、それらとポリエステルをブレンドしてなる成形体は、透明性や色調に優れ、さらにアミノカルボン酸を含まないキシリレン基含有ポリアミドと同等レベルの酸素透過率を保持していることが明らかになった。
これに対して、本発明のアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)と、アミノカルボン酸を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)との融点の差が本願の範囲外である比較例7、8の成形体は色調が悪く、酸素透過率も悪化した。これは、反応押出時の設定温度が高いために、α,ω−アミノカルボン酸がポリマー鎖中でランダムに共重合されたためと推察される。
本発明のポリエステル系成形体は、実用上十分なガスバリア性および機械物性を有すると共に、透明性と色調が改善される。該成形体は食品、飲料、薬品、電子部品等の包装材料として非常に有用なものであり、本発明の工業的価値は高い。

Claims (4)

  1. キシリレンジアミン単位を50モル%以上含むジアミン単位(I)47.0〜50.5モル%と、アジピン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位(II)47.0〜50.5モル%と、炭素数4〜12のα,ω−アミノカルボン酸単位(III)0.5〜5モル%とを含むアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)を1〜30質量%と、
    芳香族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、脂肪族ジオール単位を70モル%以上含むジオール単位とを含むポリエステル(B)を70〜99質量%を含む樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する成形体であって、前記アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)が、下記の条件を満たす成形体。
    (1) 1.51≦ηr≦1.99
    (2) 15.1≦[NH2]≦50.0 (mmol/kg)
    (3) |Tm(A1)―Tm(A2)|≦6.0 (℃)
    (前記式(1)中、ηrはアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の相対粘度を表わす。前記式(2)中、[NH2]はアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度を指す。前記式(3)中、Tm(A1)はアミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)の融点、Tm(A2)はアミノカルボン酸単位を含まないキシリレン基含有ポリアミド(A2)の融点を示し、|Tm(A1)―Tm(A2)|は、ポリアミド(A1)とポリアミド(A2)融点の差の絶対値を示す。)
  2. 前記アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)が、キシリレンジアミンを50モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分を重縮合したプレポリアミドに、さらに炭素数4〜12のα、ω−アミノカルボン酸成分を反応させてなるポリアミドである、請求項1に記載の成形体。
  3. 前記アミノカルボン酸共重合キシリレン基含有ポリアミド(A1)が、キシリレンジアミンを50モル%以上含むジアミン成分、アジピン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分および炭素数4〜12のα、ω−アミノカルボン酸成分を溶融重合して得られたポリアミドである、請求項1に記載の成形体。
  4. 前記キシリレンジアミン単位が、メタキシリレンジアミン単位を50モル%以上含む、請求項1に記載の成形体。

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