JP2018051840A - 多層成形品 - Google Patents

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Isahide Yamazaki
勇英 山▲崎▼
涼平 前田
Ryohei Maeda
涼平 前田
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Abstract

【課題】深絞り成形等の二次加工性が良好であり、また二次加工時に樹脂の劣化に伴う臭気の発生や着色が少なく、透明性とガスバリア性能に優れる多層成形品を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層と、樹脂(B)を含有する(B)層とを含む少なくとも2層以上の多層成形品であって、前記ポリアミド樹脂(A)がビス(アミノメチル)フランを含むジアミンと、脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸との重縮合反応から得られるポリアミド樹脂であることを特徴とする多層成形品。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂を含有する多層成形品に関するものである。
熱可塑性樹脂からなる成形品は、医薬品、飲料、食品、化学品などの包装材として、その軽量性、成形性、ヒートシールなどの包装生産性、コストの面から、広く利用されている。しかしながら、一般に熱可塑性樹脂からなる容器やフィルムは、熱可塑性樹脂の層を通しての酸素等のガス透過が大きく、内容物が酸化劣化してしまうことがあった。
成形品内外からの酸素等ガス透過を防止するために、熱可塑性樹脂の包装容器や包装フィルムでは、壁を多層構造とし、そのうちの少なくとも1層としてガスバリア層が用いられる。このガスバリア層に使用される樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニリデン系共重合樹脂、アクリロニトリル系共重合樹脂、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド樹脂などが知られている。
これらのガスバリア性樹脂のうち、メタキシレンジアミンとアジピン酸を重縮合して得られるポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド樹脂はガスバリア性が優れているのに加えて溶融時の熱安定性が他の樹脂に比べて良好であることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン6およびポリオレフィンなど種々の熱可塑性樹脂との共押出や共射出成形などが可能であり、多層成形品のガスバリア層として、近年、積極的に利用されている。
一般的に熱可塑性樹脂からなる多層構造物を深絞りやブロー成形等の二次加工により容器等に加工する場合は、多層構造物を構成する樹脂の軟化点やガラス転移点以上に加熱して行われる。しかし、結晶性の熱可塑性樹脂の場合は、ガラス転移点以上では結晶化が進行し、その進行速度は、ある温度までは温度が高くなるほど大きくなるため、高温や長時間予熱する条件となる二次加工では、結晶化により熱成形が出来なくなるおそれがある。
例えば、特許文献1では、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン層と、ポリメタキシリレンアジパミドからなる層を有するガスバリア性多層容器が提案されている。この多層成形品では、ポリオレフィンの軟化点がポリメタキシリレンアジパミドのガラス転移点より高く、二次加工の適正温度は、ポリメタキシリレンアジパミドのガラス転移点より高くなり、結晶化し易い。特にポリプロピレンの適正な二次加工温度である160℃付近では、ポリメタキシリレンアジパミドの結晶化速度が非常に早くなる。結晶化が進んだ状態で二次加工を行うと、ポリメタキシリレンアジパミド層の厚みむらや、ポリメタキシリレンアジパミド層の白化がみられ、形状、透明性等の点で実用上満足のいく成形品は得られない。そのため、この多層構造物の二次加工は、溶融押出し直後の多層構造物を結晶化する温度以上で行なうインライン成形等の限定された条件で行なわれていた。
また、結晶性の熱可塑性樹脂の加工は、その融点以上で行われ、ポリオレフィンと、それに対して融点の高いポリアミドとを共押出により多層構造物とする場合、フィードブロック内で溶融状態のポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層が接触するために、ポリオレフィン樹脂は過酷な熱履歴を受ける事になる。特にポリプロピレンとの多層構造物の成形時には、ポリプロピレン樹脂の劣化による着色や臭気等の問題があった。
これらの課題に対して、特許文献2では、メタキシリレンジアミンを含むジアミン成分と直鎖状脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とからなるジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドを主成分とするガスバリア層を有する多層容器が提案されている。この多層容器では使用するポリアミドがポリオレフィンと複合化するに適した溶融粘度まで高めることができ、熱成形においても結晶化が抑制され問題なく加工を行うことができ、しかも得られた容器は加熱処理を行った後でも酸素透過率の上昇が小さいことが開示されている。しかしながら、熱成形時の結晶化を抑制することにより多層容器を得ることはできるが、得られた多層容器は加熱殺菌処理した場合に白化を生じるため透明性に劣るという問題があった。
特開平2−255747号公報 特開2005−306419号公報
本発明は、深絞り成形等の二次加工性が良好であり、また二次加工時に樹脂の劣化に伴う臭気の発生や着色が少なく、透明性とガスバリア性能に優れる多層成形品を提供することを課題として掲げた。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ビス(アミノメチル)フランを含むジアミンと、脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸との重縮合反応から得られるポリアミド樹脂を用いた多層成型品が、前記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。以下に、本発明を示す。
[1]ポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層と、樹脂(B)を含有する(B)層とを含む少なくとも2層以上の多層成形品であって、前記ポリアミド樹脂(A)がビス(アミノメチル)フランを含むジアミンと、脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸との重縮合反応から得られるポリアミド樹脂である多層成形品。
[2]前記ジアミン中、ビス(アミノメチル)フランが60モル%以上含むことを特徴とする[1]記載の多層成形品。
[3]前記脂肪族ジカルボン酸が炭素数6〜10の長鎖脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むことを特徴とする[1]または[2]記載の多層成形品。
本発明によれば、ポリアミド樹脂(A)のガラス転移点が高く、しかも、結晶化速度が遅いため、二次加工時に形状、透明性が高い多層成形品が得ることができ、また、比較的融点が低いためポリオレフィンとの多層成形品とした際に、二次加工時に着色が少ない、優れた透明性とガスバリア性能を有する多層成形品を提供することができる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)は、ビス(アミノメチル)フランを含むジアミンと、脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸との重縮合反応から得られるポリアミド樹脂である。ポリアミド樹脂を得るための重縮合反応は、ジカルボン酸とジアミンとからナイロン塩を経由する方法でもよく、またジカルボン酸とジアミンを溶融状態で常圧下で直接反応させる方法であってよい。直接反応させる方法としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸を含む溶融ジカルボン酸に、160〜300℃まで昇温しながらビス(アミノメチル)フランを常圧下で滴下し、反応させることが挙げられる。この直接反応させる方法によれば、ナイロン塩を経由する方法と異なり、ビス(アミノメチル)フランとジカルボン酸からのナイロン塩が反応系中に取り残される事なく、ポリアミド樹脂を容易に得ることができる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)の原料としてジアミンは、ビス(アミノメチル)フランを必須成分として含む。ジアミン中のビス(アミノメチル)フランの含有量としては60モル%以上であることが好ましい。該含有量が60モル%未満では、得られたポリアミド樹脂のガスバリア性が低下する恐れがある。ビス(アミノメチル)フランの含有量は、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
前記ジアミンとしては、ビス(アミノメチル)フラン以外のその他のジアミンを含んでもよい。その他のジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の環状構造を有する脂肪族ジアミン、さらにメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)の原料としてジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸を必須成分として含む。ジカルボン酸中の脂肪族ジカルボン酸の割合は70モル%以上であることが好ましい。ジカルボン酸として脂肪族ジカルボン酸の割合が70モル%未満では、得られるポリアミド樹脂の結晶化速度が大きく遅延するために二次加工性は向上するが、過度に溶融粘度が高くなることと溶融粘度の温度依存性が大きくなるため、溶融加工時の制御が困難となり成形加工性が低下するおそれがある。
前記脂肪族ジカルボン酸の割合は75モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)の原料として使用される脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数6〜10の長鎖脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むことが好ましい。該長鎖脂肪族ジカルボン酸の含有量が80モル%未満では、得られるポリアミド樹脂が脆くなるおそれがある。該長鎖脂肪族ジカルボン酸の含有量は90モル%以上であることがより好ましい。
前記炭素数6〜10の長鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が挙げられる。その中でも工業的に入手容易であることからアジピン酸、セバシン酸が好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数6〜10の長鎖脂肪族ジカルボン酸以外のその他の脂肪族ジカルボン酸を含んでもよい。その他の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)の原料として使用されるジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸や複素環ジカルボン酸を含んでもよい。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ベンゼン二酢酸等が挙げられる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)の原料として、ジアミンとジカルボン酸との割合は、重合反応の観点から、ジカルボン酸の割合がジアミンの−1〜+1モル%であることが好ましい。ジカルボン酸の割合がジアミンの−1〜+1モル%の範囲を超えると、ポリアミド樹脂の重合度が上がりにくくなるため重合度を上げるのに多くの時間を要し、熱劣化が生じやすくなるおそれがある。ジカルボン酸の割合はジアミンの−0.5〜+0.5モル%であることがさらに好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定における数平均分子量(Mn)が10,000〜50,000の範囲であることが好ましい。該数平均分子量(Mn)を当該範囲にすることで、成形品とした場合の機械的強度が安定し、また成形性の上でも加工性良好となる適度な溶融粘度を持つものとなる。該数平均分子量(Mn)は12,000〜40,000の範囲であることがより好ましく、14,000〜30,000の範囲であることが更に好ましい。
また、分散度(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)は1.5〜6.0の範囲が好ましい。該分散度を当該範囲とすることにより溶融時の流動性や溶融粘度の安定性が増し、溶融混練や溶融成形の加工性が良好となる。また靭性が良好であり、耐吸水性、耐薬品性、耐熱老化性といった諸物性も良好となる。分散度は1.5〜3.5の範囲がより好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)の融点は230℃以下であることが好ましく、220℃以下であることがより好ましく、210℃以下であることがさらに好ましい。該ポリアミド樹脂の融点を積層する樹脂(B)の融点に近づけることにより、多層成形体成形時の樹脂劣化による臭気や着色の発生を低減する事が可能となる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)は、結晶性の低いものが好ましく用いられる。具体的には、半結晶化時間が50秒以上であることが好ましい。該半結晶化時間が50秒以上であれば、二次加工時に結晶化が進むことがなく、層(A)の厚みむらや白化がなく、透明性の高い満足のいく成形品は得られる。該半結晶化時間は、200秒以上がより好ましく、1000秒以上がさらに好ましい。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)は、前記重縮合反応で製造されたポリアミド樹脂をそのまま使用することもできるが、更に重合度を高めるための工程を経てもよい。更に重合度を高める工程としては、押出機内での反応押出や固相重合等が挙げられる。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱乾燥装置やタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できる。固相重合は、例えば、低分子量のポリアミド樹脂をペレットあるいは粉末状にして、これを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下に、150℃からポリアミド樹脂の融点の温度範囲に加熱することにより、重合させる。
本発明に係るポリアミド樹脂(A)には、要求される用途や性能に応じて、滑剤、結晶化核剤、白化防止剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良材等の添加剤を添加することができる。該添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて添加することができる。ポリアミド樹脂と前記添加剤との混合は、低コストでかつ熱履歴を受けない乾式混合が好ましく行われる。例えば、タンブラーにポリアミド樹脂と該添加剤を入れ、回転させることで混合する方法が挙げられる。
本発明の多層成形品は、ポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層と、樹脂(B)を含有する(B)層とを含む少なくとも2層以上の多層成形品である。多層成形品において該ポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層はガスバリア層として機能する。該多層成形品としては、(A)層と(B)層とを含む少なくとも2層以上により構成されるシート、フィルム、チューブおよびボトル、カップ、缶等の容器、さらに袋状物等が挙げられる。
本発明の多層成形品において、ポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層はポリアミド樹脂(A)を主成分として含み、(A)層中のポリアミド(A)の含有量が60質量%以上であることが好ましい。(A)層中のポリアミド(A)の含有量が60質量%未満では、多層成形品のガスバリア性が低下するおそれがある。当該ポリアミド(A)の含有量は、75質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。
前記多層成形品の(A)層にはポリアミド(A)以外の他の樹脂を含むことができる。ポリアミド(A)以外の他の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂および、ポリアミド(A)以外のポリアミド樹脂等が挙げられ、完全に透明性が失われない限り、互いに混合して使用することも可能である。
また、本発明の多層成形品において、多層成形品総厚みに対するポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層の厚み比率が1〜50%であることが好ましい。該(A)層の厚み比率を当該範囲にすることで、ガスバリア性能と良好な二次加工性、機械物性を兼ね備えた多層成形品を得ることができる。一方、該厚み比率が1%未満であると、多層成形品のガスバリア性能が充分に得られなくなる。厚み比率が50%を超えると充分なガスバリア性能が得られるが、深絞り等の二次加工性が低下するおそれがある。
本発明の多層成形品は、ポリアミド樹脂(A)と、樹脂(B)とを共押出し、共射出成形し、得られるシート、フィルム、パリソン等の前駆体にブロー成形、深絞り成形および延伸等の二次加工をすることにより得られ、殺菌を目的とする熱水処理や食品、飲料類の高温充填においても収縮、膨張等の変形、および白化を起こさない耐熱性、透明性に優れさらに高度なガスバリア性を有する多層成形体である。
前記樹脂(B)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂等が挙げられる。これらのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂は混合により、完全に透明性が失われない限り、互いに混合して使用することも可能である。また、必要により(B)層にポリアミド樹脂(A)を混合して使用することも可能である。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはエチレン、プロピレン、ブテンなどの二種以上のポリオレフィン共重合体およびそれらの混合体が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートおよび該ポリエステルの成分単位を主体とした共重合ポリエステルが挙げられる。
前記のポリアミド樹脂(A)以外のポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン610等の脂肪族ポリアミドおよび該ポリアミドを形成する成分単位を主体とする共重合ポリアミドが挙げられる。
本発明の多層成形品を熱間充填する必要がある含水食品や飲料類を対象とする容器類の場合には、ポリアミド樹脂(A)を含む(A)層が吸水してガスバリア性および機械物性が低下しないように外層を樹脂(B)を含む(B)層とすることが好ましい。また、層間の接着力を向上させるためにポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層と、樹脂(B)を含有する(B)層の間、または異なる二種の熱可塑性樹脂を含む層の間に接着性の樹脂層を設けた多層成形品も本発明として使用することができる。また、層間の接着力を向上させるために接着性の樹脂をポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートおよびポリオレフィン等の熱可塑性樹脂に溶融混合した組成物の層を設けた多層成形品も本発明として使用することができる。
本発明の多層成形品はインフレーション法およびTダイ法等に基づく共押出、および金型内に二種以上の溶融樹脂を順次射出するサンドイッチ成形および二色成形と呼ばれる共射出成形等により製造できる。共押出、共射出成形により製造されるシート、フィルム、チューブおよび容器はそのまま、または若干の加熱およびヒートシールその他の接着方法により容器状あるいは袋状物として使用することも可能であるが、通常はパリソンを含めブロー成形、深絞り成形等の延伸を伴う二次加工をほどこしてボトル、カップ等の容器としてから使用される。また、シート、およびフィルムは延伸後ヒートシールその他の接着方法により袋状物としてから使用することも可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。製造例で得られたポリアミド樹脂(A)および実施例及び比較例で得られた多層成形品の評価は以下の方法により行った。
(1)数平均分子量及び分散度
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(昭和電工社製、商品名Shodex GPC SYSTEM−21)を用い、溶媒はヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、測定カラムは昭和電工社製の有機溶媒系SEC(GPC)用カラムGPC HFIP−806Mを2本、リファレンスカラムHFIP−800を2本、カラム温度は40℃、溶媒流量1.0mL/minで測定した。標準試料にはPMMAを使用し、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
また、分散度=(重量平均分子量/数平均分子量)より分散度を算出した。
(2)ガラス転移温度及び融点
示差走査熱量計(島津製作所社製、商品名:DSC−60)を用い、昇温速度10℃/分で窒素気流下にDSC測定(示差走査熱量測定)を行い、ガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を求めた。
(3)半結晶化時間
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7型)を用い、昇温速度20℃/minで融点(Tm)+20℃まで昇温し、5分間保持した後、半結晶化時間の測定温度(T)まで急冷して測定温度(T)で保持し、結晶化による発熱ピークを測定し、発熱ピーク総熱量の1/2の熱量に達したときの時間(秒)を測定した。
(4)Haze値及び黄色度
JIS−K−7105に準じて、厚み約100μmのフィルムサンプルについて、色差・曇値測定装置(日本電色工業(株)製、型式:COH−300A)にて測定した。
(5)酸素透過率
ASTM D3985に準じた酸素透過率測定装置(Mocon社製、型式:OX−TRAN 2/21SH)を使用して100μmフィルムの20℃、65%RHにおける酸素透過率を測定した。
(ポリアミド樹脂(A)の合成)
(製造例1)
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付反応器に、ジカルボン酸として、アジピン酸14610g(100.0mol)を投入し、十分窒素置換した後、さらに窒素気流下で170℃まで昇温してジカルボン酸を溶融状態とした後、2,5−ビス(アミノメチル)フラン12550g(99.5mol)を撹拌しながら滴下した。この間、内温を連続的に240℃まで昇温させ、留出する水は分縮器および冷却器を通して系外に除いた。2,5−ビス(アミノメチル)フラン滴下終了後、内温を260℃まで昇温し、260℃で反応した。 反応終了後、反応器内を窒素ガスにて0.2MPaの圧力を掛けポリマーを重合槽下部のノズルよりストランドとして取出し、水冷後に切断し、ペレット形状のポリアミド樹脂を得た。
さらに、このペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で0.133kPa以下まで減圧を行い、更に系内温度を160℃まで昇温した。160℃で反応を継続し、反応終了後、60℃まで冷却し、ペレットを取り出し、ポリアミド樹脂(A−1)を得た。得られたポリアミド樹脂(A−1)の数平均分子量は25000、分散度は2.5、融点は220℃、ガラス転移温度92℃、半結晶化時間は1200秒であった。
(製造例2)
実施例1と同様の反応器に、ジカルボン酸として、セバシン酸20220g(100.0mol)とした以外は、製造例1と同様にしてポリアミド樹脂(A−2)を合成した。得られたポリアミド樹脂(A−2)の数平均分子量は20000、分散度は2.4、融点は170℃、ガラス転移温度72℃、半結晶化時間は2000秒以上であった。
(多層成形品作製)
(実施例1)
製造例1で得られたポリアミド樹脂(A−1)を(A)層として、(B)層としてポリプロピレン層、及び両層の間に変性ポリプロピレン(三菱化学社製、商品名:モディックP553A)を接着層として、層構成が(B)層/接着層/(A)層/接着層/(B)層の順になるように押出機、フィードブロック、Tダイ、引取機からなる多層シート製造装置にて、5層の多層シート成形品1を作製した。シート作製時の各樹脂の押出温度は、ポリプロピレン層が230℃、接着層が200℃、(A)層が240℃であり、フィードブロック温度は240℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気はなかった。得られた多層シート成形品1のHaze値は12%、黄色度は1.2であった。シートの全厚みは400μm、(A)層の厚みは40μmであった。多層シート成形品1の酸素透過率は、4.0ml/m・day・MPaであった。表1に成形条件と評価結果を示す。
(実施例2)
製造例2で得られたポリアミド樹脂(A−2)を(A)層として、実施例1と同様にして5層の多層シート成形品2を作製した。シート作製時の各樹脂の押出温度は、ポリプロピレン層が200℃、接着層が180℃、(A)層が200℃であり、フィードブロック温度は200℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気はなかった。得られた多層シート成形品2のHaze値は15%、黄色度は1.4であった。シートの全厚みは400μm、(A)層の厚みは40μmmであった。多層シート成形品2の酸素透過率は、32.5ml/m・day・MPaであった。
(実施例3)
ポリアミド樹脂(A−1)90質量%、ナイロン6(宇部興産社製、商品名:宇部ナイロン1030)10質量%を混合して(A)層として用い、実施例1と同様にして5層の多層シート成形品3を作製した。シート作製時の各樹脂の押出温度は、ポリプロピレン層が230℃、接着層が200℃、(A)層が240℃であり、フィードブロック温度は240℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気はなかった。得られた多層シート成形品3のHaze値は11%、黄色度は1.0であった。シートの全厚みは400μm、(A)層の厚みは40μmmであった。多層シート成形品3の酸素透過率は、31.4ml/m・day・MPaであった。
(実施例4)
ポリアミド樹脂(A−1)90質量%、ナイロンMXD6(三菱ガス化学社製、商品名:MXナイロンS6007)10質量%を混合して(A)層として用い、実施例1と同様にして5層の多層シート成形品4を作製した。シート作製時の各樹脂の押出温度は、ポリプロピレン層が230℃、接着層が200℃、(A)層が250℃であり、フィードブロック温度は250℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気はほとんどなかった。得られた多層シート成形品4のHaze値は17%、黄色度は1.3であった。シートの全厚みは400μm、(A)層の厚みは40μmmであった。多層シート成形品4の酸素透過率は、6.1ml/m・day・MPaであった。
(比較例1)
ナイロンMXD6(三菱ガス化学社製、商品名:MXナイロンS6007)を(A)層として用い、実施例1と同様にして5層の比較の多層シート成形品5を作製した。シート作製時の各樹脂の押出温度は、ポリプロピレン層が240℃、接着層が200℃、(A)層が260℃であり、フィードブロック温度は260℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気が発生した。得られた比較の多層シート成形品5のHaze値は23%、黄色度は1.5であった。シートの全厚みは400μm、(A)層の厚みは40μmmであった。多層シート成形品5の酸素透過率は、28.8ml/m・day・MPaであった。
(比較例2)
ナイロン6(宇部興産社製、商品名:宇部ナイロン1030)を(A)層として用い、実施例1と同様にして5層の比較の多層シート成形品6を作製した。シート作製時の各樹脂の押出温度は、ポリプロピレン層が230℃、接着層が200℃、(A)層が240℃であり、フィードブロック温度は240℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化によるによる臭気はほとんどなかった。得られた比較の多層シート成形品6のHaze値は13%、黄色度は1.1であった。シートの全厚みは400μm、(A)層の厚みは40μmmであった。多層シート成形品4の酸素透過率は、227.5ml/m・day・MPaであった。
(実施例5)
製造例1で得られたポリアミド樹脂(A−1)を(A)層として、(B)層としてポリエチレンテレフタレート(PET)層、層構成がPET層/(A)層/PET層/(A)層/PET層の順になるように射出成型機にて同一の金型内に順次射出し、5層の多層構造を有するパリソンを成形した。得られたパリソンを吹込圧20kg/cm、吹込成形温度110℃で吹込成形し、5層ボトルを成形した。得られた5層ボトル成形体は優れた透明性を有しており、Haze値は1.7%、黄色度は0.5であった。胴部の全厚みは400μm、ガスバリア層の全厚みは25μmであり、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.0075ml/package・day(0.021MPa)であった。
実施例1〜4および、実施例5の多層成形品は、ポリアミド樹脂(A)を含む(A)層が比較的高いガラス転移温度と比較的低い融点を有することにより成形温度を低く設定できることにより、得られた多層成形体は、高い透明性と高いガスバリア性能を保持することができる。
一方、比較例1の多層成形品は、高いガスバリア性能は有しているが、ナイロンMXD6の融点が高いため、成形温度が高くなることにより、ポリプロピレンおよび接着層材料の劣化による臭気が発生したり、透明性が低下したり、各層の厚みが部分的に不均一になることにより、ガスバリア性が低下した。また、比較例2の多層成形品は、ナイロン6の融点は比較的低いため、適切な成形温度で成形することができたが、ガスバリア性が低いものであった。
Figure 2018051840
本発明のポリアミド樹脂を含む(A)層を有する多層成形体は、深絞り成形等の二次加工性が良好であり、また二次加工時に樹脂の劣化に伴う臭気の発生や着色が少なく、透明性とガスバリア性能に優れ、包装フィルム、容器、飲料ボトルなどに好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. ポリアミド樹脂(A)を含有する(A)層と、樹脂(B)を含有する(B)層とを含む少なくとも2層以上の多層成形品であって、前記ポリアミド樹脂(A)がビス(アミノメチル)フランを含むジアミンと、脂肪族ジカルボン酸を含むジカルボン酸との重縮合反応から得られるポリアミド樹脂であることを特徴とする多層成形品。
  2. 前記ジアミン中、ビス(アミノメチル)フランが60モル%以上含むことを特徴とする請求項1記載の多層成形品。
  3. 前記脂肪族ジカルボン酸が炭素数6〜10の長鎖脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むことを特徴とする請求項1または2記載の多層成形品。
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