JP4328952B2 - ガスバリア性多層構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、優れたガスバリア性能を有する多層構造物に関する。詳しくは、深絞り成形等の二次加工性が良好であり、臭気や着色が少なく、且つ透明性、耐熱性およびガスバリア性に優れる多層構造物に関する。
キシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸との重縮合反応から得られるポリアミド、例えばメタキシリレンジアミンとアジピン酸から得られるポリアミド(以下ナイロンMXD6という)は、高強度、高弾性率、および酸素、炭酸ガス等のガス状物質に対する低い透過性を示すことから、包装材料分野におけるガスバリア材料としてフィルム、ボトルとして広く利用されている。
ナイロンMXD6は、その他のガスバリア性樹脂と比べて溶融時の熱安定性が良好であることから、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと省略する)、ナイロン6およびポリプロピレンなど種々の熱可塑性樹脂との共押出や共射出成形等が可能であり、多層構造物を構成するガスバリア層としての利用が最近積極的に進められている。
通常、熱可塑性樹脂からなる多層構造物を深絞りやブロー成形等の二次加工により容器等に加工する場合は、多層構造物を構成する樹脂の軟化点やガラス転移点以上に加熱して行われる。しかし、結晶性の熱可塑性樹脂の場合は、ガラス転移点以上では結晶化が進行し、その進行速度は、ある温度までは温度が高くなるほど大きくなるため、高温や長時間予熱する条件となる二次加工では、結晶化により熱成形が出来なくなる可能性がある。
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン層と、ナイロンMXD6からなる層を有するガスバリア性多層容器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、前述の構成を有する多層構造物では、ポリオレフィンの軟化点がナイロンMXD6のガラス転移点より高い場合が多く、二次加工の適正温度は、ナイロンMXD6のガラス転移点より相当高くなり、結晶化し易い。特にポリプロピレンの適正な二次加工温度である160℃付近では、ナイロンMXD6の結晶化速度が非常に早くなる。結晶化が進んだ状態で二次加工を行うと、ナイロンMXD6層の厚みむらや、ナイロンMXD6層の白化がみられ、形状、透明性等の性能の点で実用上満足のいく成形品は得られない。そのため前述の構成を有する多層構造物の二次加工は、溶融押出し直後の多層構造物を結晶化する温度以上で行なうインライン成形や、結晶化させないように多層構造物を短時間で急激に予熱する等の限定された成形条件で行なわれていた。
また、ナイロンMXD6に難晶又は非晶のポリアミド樹脂を混合することにより、他の熱可塑性樹脂との多層構造物において、二次加工性等の改善が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、ナイロンMXD6に比べてガスバリア性能の低いポリアミドを混合するため、得られる多層構造物のガスバリア性能が低下し、加工性の改善とガスバリア性能を充分満足させる多層構造物を得る事は困難であった。
また、結晶性の熱可塑性樹脂の加工はその融点以上で行われ、ポリオレフィンと、それに対して融点の高い結晶性ポリアミドとを共押出により多層構造物とする場合、フィードブロック内で溶融状態のポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層が接触するために、ポリオレフィン樹脂は過酷な熱履歴を受ける事になる。特にポリプロピレンとの多層構造物の成形時には、ポリプロピレン樹脂の劣化による着色や臭気等の問題があった。
また、ナイロンMXD6のガラス転移点は通常85℃付近であるが、吸水等により低下するため、例えば延伸ブロー成形して得られるナイロンMXD6層とPET層よりなる多層構造物は、80℃以上の熱水に浸漬すると大きく収縮する。そのため、ナイロンMXD6を用いた多層構造物は殺菌を目的として、熱水処理や高温での充填を必要とする食品および飲料の容器用に使用する場合、延伸熱固定等の結晶化を伴う処理が必要となる。
この様にナイロンMXD6と他の熱可塑性樹脂の組み合わせからなる多層構造物において、深絞り成形や延伸ブロー成形などの二次加工性、更に容器の透明性や耐熱性、外観、ガスバリア性能を充分に満足させる多層構造物の開発が望まれていた。
特公昭56−23792号公報 特開平1−141737号公報
本発明の目的は、深絞り成形等の二次加工性が良好であり、また製造および二次加工時に樹脂の劣化に伴う臭気の発生や着色が少なく、且つ透明性とガスバリア性能に優れる多層構造物、およびそれらを利用してなる容器等を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、特定のモノマー組成比を有し、且つ結晶化速度が特定の範囲にあるポリアミド樹脂を利用した多層構造物が、深絞り成形等の二次加工性に優れ、臭気や着色が少なく、ガスバリア性、透明性、耐熱性に優れることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸85〜97モル%とイソフタル酸3〜15モル%を含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であって、脱偏光光度法における定温結晶化による半結晶化時間が、測定温度範囲(該ポリアミド樹脂のガラス転移点以上、融点未満)における最短時間として40〜2000秒の範囲である結晶性のポリアミド樹脂を含むガスバリア層(A)および熱可塑性樹脂層(B)の少なくとも2層が積層してなるガスバリア性多層構造物に関するものである。
また、本発明は、前記多層構造物を利用してなる多層容器に関する。
本発明のガスバリア性多層構造物は、深絞り成形や延伸ブロー成形等の二次加工性が良好であり、臭気や着色が少なく、且つ透明性、耐熱性およびガスバリア性に優れる。
本発明において、ガスバリア層(A)に使用されるポリアミド樹脂は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を80〜97モル%、イソフタル酸 を3〜20モル%含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られる。
上記ポリアミドは溶融重縮合法により製造される。例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸およびイソフタル酸からなるナイロン塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を取り除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸、イソフタル酸混合物に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を固化させる事の無いように、メタキシリレンジアミンを連続的に加えて、その間の反応温度が生成するオリゴアミドおよびポリアミドの融点以上となるように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
溶融重合によって得られる比較的低分子量のポリアミドの相対粘度(ポリアミド樹脂1gを96%硫酸溶液100mlに溶解し測定した値、以下同じ)は、通常、1.6〜2.28である。溶融重合後の相対粘度が2.28以下であると、ゲル状物質の生成が少なく、色調が良好な高品質のポリアミドが得られるが、低粘度であるためフィルム、シート等の多層構造物やボトル等の多層成形品を作製する際、ドローダウンや、シートの端部へのポリアミド層の偏り、ボトルプリフォーム作製時のポリアミド層の偏り等が起こる場合があり、均一な多層構造物あるいは多層成形品を得る事が困難となる。そこで必要に応じて、溶融重合で得られた比較的低分子量のポリアミドは次いで固相重合される。固相重合は、比較的低分子量のポリアミドをペレットあるいは粉末状にして、これを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下に、150℃からポリアミドの融点の温度範囲に加熱することにより、実施される。作製する多層構造物あるいは多層成形品がシートやフィルム、延伸ブローボトル形状等である場合、固相重合で得られるポリアミドの相対粘度は、2.3〜4.2が好ましい。この範囲であれば、ドローダウンやフィルム、シート端部へのポリアミド層の偏り等の少ない、良好な多層構造物あるいは多層成形品が得られる。
本発明において、ガスバリア層(A)に使用されるポリアミド樹脂の原料であるジアミン成分は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上(100モル%を含む)含むものである。また、本発明において、メタキシリレンジアミン以外のジアミンとして、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;パラフェニレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン;ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジアミン類等を全ジアミン成分中に30モル%以下の範囲で使用することができる。
本発明において、ガスバリア層(A)に使用されるポリアミド樹脂の原料であるジカルボン酸成分は、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を80〜97モル%、好ましくは85〜97モル%、更に好ましくは85〜95モル%含むものである。炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の例として、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示できるが、これら中でもアジピン酸が好ましい。
本発明において、ガスバリア層(A)に使用されるポリアミド樹脂は、原料のジカルボン酸成分として、イソフタル酸を3〜20モル%含むものであり、好ましくは3〜15モル%、更に好ましくは5〜15モル%含む。イソフタル酸をこの範囲で含有させることにより、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸のみの場合に比べ、得られるポリアミド樹脂の融点が低下し、より低温で成形できるため、該樹脂の成形加工性が向上する。また、該樹脂の結晶化速度が遅延するので深絞り成形等の二次加工性が向上する。イソフタル酸含量が3モル%未満では、ガスバリア性能を維持しつつ、結晶化速度の遅延による二次加工性の向上を図ることが困難である。また、融点の低下が小さいため、多層構造物の成形温度の低下によってポリアミド樹脂以外の樹脂の劣化、特にポリプロピレンの場合の臭気、着色等の発生を抑え難く、成形加工性の向上も困難である。一方、イソフタル酸含量が20モル%を超える場合、融点が低下し、結晶化速度も大きく遅延するため、成形加工性や二次加工性は向上するが、結晶性が低下するため吸水によりガラス転移点が低下し、熱水処理時にポリアミド樹脂層が軟化して、多層構造物および多層成形品の変形やポリアミド樹脂層が一部溶け出す可能性があるので好ましくない。また、イソフタル酸含量が20モル%を超えて、結晶性を過度に低下させると、ペレットの乾燥時や前記した固相重合工程でペレットや粉体間での融着が起こり、多層構造物やその原料の製造が著しく困難となるため好ましくない。
本発明において、ガスバリア層(A)に使用されるポリアミド樹脂は結晶性であり、且つ脱偏光光度法における定温結晶化による半結晶化時間が、測定温度範囲(該ポリアミド樹脂のガラス転移点以上、融点未満)における最短時間として40〜2000秒、好ましくは40〜1000秒の範囲となるポリアミド樹脂である。該ポリアミド樹脂を結晶性とすることで、多層構造物および多層成形品の熱水処理等において変形や収縮が抑制される。また前記最短時間を40秒以上に制御することで、多層構造物の深絞り成形等の二次加工時に結晶化による白化や成形不良を抑制する事が出来る。前記最短時間が2000秒を超える、即ち、測定温度範囲内全域で半結晶化時間が2000秒を超える場合、二次加工性は向上するが、結晶性が過度に低下し、熱水処理時のポリアミド層の軟化により多層構造物および多層成形品が変形する可能性があるため、好ましくない。また、ペレットの乾燥時や固相重合工程でペレットや粉体間の融着が起こり易くなり、多層構造物およびその原料の製造が困難になるため、好ましくない。
前記の脱偏光光度法とは、結晶化により樹脂を透過する光が複屈折を起こす現象を利用して、光源と偏光板および受光素子からなる装置を用いて樹脂の結晶化の進行度を測定する方法である。非晶または溶融状態の検体を結晶化させると、結晶化の進行度に比例して偏光板を透過する光量が変化する。また定温結晶化とは、非晶状態または溶融状態の検体を融点未満且つガラス転移点温度以上である任意の温度で結晶化させる条件である。半結晶化時間は、測定条件において変化する透過光量の半分、すなわち半分の結晶化迄にかかる時間を示し、結晶化速度の指標となる値である。
本発明において、ガスバリア層(A)に使用されるポリアミド樹脂の融点は、180〜235℃の範囲に制御する事が好ましく、より好ましくは180〜220℃である。該ポリアミド樹脂の融点を他の熱可塑性樹脂に近づけることにより、多層構造物成形時の樹脂劣化による臭気や着色の発生を低減する事が可能となる。
本発明において、ガスバリア層(A)に使用されるポリアミド樹脂の23℃、60%RH条件下での酸素透過係数は、0.1〜1.5ml・mm/m・day・MPaである。ガスバリア性多層構造物として、酸素透過係数の値は、より低い方が好ましい。使用するポリアミドの酸素透過係数が1.5ml・mm/m・day・MPaを超えると、実用途で必要な性能を得るためにポリアミド層を厚くする必要があり、二次加工性が低下するだけでなく、多層成形品の機械物性が低下する。また、ポリオレフィンやPET等に比べて高価なポリアミドの使用量が増えるので経済的にも不利となり、実用的ではなくなる。
従って、本発明においては、酸素透過係数が0.1〜1.5ml・mm/m・day・MPaを満たすポリアミド樹脂を使用し、且つ多層構造物総厚みに対するガスバリア層(A)の厚み比率が1〜50%である多層構造物を得る事で、ガスバリア性能と良好な二次加工性、および良好な機械物性を兼ね備えた多層構造物を得る事が出来る。 上記厚み比が1%未満であると、多層構造物のガスバリア性能が充分に得られなくなる。厚み比が50%を超えると充分なガスバリア性能が得られるが、深絞り等の二次加工性が低下するため好ましくない。
本発明で熱可塑性樹脂層(B)に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)およびガスバリア層(A)に用いられるポリアミド以外のポリアミド等があげられる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはエチレン、プロピレン、ブテン等から選ばれる2種類以上のオレフィンの共重合体、およびそれらの混合体が例示できる。ポリプロピレンには、アタクチック体、アイソタクチック体、シンジオタクチック体の構造をとりうるホモポリマーの他に、プロピレンと少量のエチレンやαオレフィンとのランダムないしブロック共重合、それらに結晶核剤等の添加物を配合した複合材料が例示できるが、特に限定されるものではない。また、本発明において使用しうる熱可塑性樹脂として、以上に例示したポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリアミドは混合により、完全に透明性が失われない限り、互いに混合して使用することも可能である。熱可塑性樹脂層(B)の二次加工前の厚さは0.03〜5mmであるのが好ましい。
本発明において、ガスバリア層(A)、熱可塑性樹脂層(B)等、本発明の多層構造物を構成する各層の間に接着性樹脂層(接着層)を設けることができる。該層を構成する接着性の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン類からなる熱可塑性樹脂層(B)を接着する場合であれば、変性したポリエチレンやポリプロピレンあるいはエチレン、プロピレン、ブテン類のオレフィン類の共重合体等が使用可能である。また、熱可塑性樹脂層(B)がポリエステルあるいはポリカーボネートからなるものであれば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−アクリル酸系共重合体のアルカリまたはアルカリ土類金属架橋体およびエチレン−アクリル酸エステル系共重合体等が例示できるが、特に限定されるものではない。接着性樹脂層の二次加工前の厚さは0.01〜0.05mmであるのが好ましい。
本発明における多層構造物は、ガスバリア層(A)に用いるポリアミド樹脂のガラス転移点(Tg)が85℃〜110℃の範囲であり、且つ熱可塑性樹脂層(B)に用いる熱可塑性樹脂のビカット軟化点(JIS K−7206)がTg〜Tg+70℃である事が好ましい。ガスバリア層(A)のポリアミド樹脂のガラス転移点、および熱可塑性樹脂層(B)の熱可塑性樹脂層のビカット軟化点を85℃以上とする事で熱水の充填時等に変形や収縮のない耐熱性良好な多層構造物が得らえる。熱可塑性樹脂層(B)層のビカット軟化点がTg+70℃を超えると、熱成形等の二次加工の適正温度において、ガスバリア層(A)のポリアミド樹脂が結晶化し易くなるために好ましくない。またガスバリア層(A)のポリアミド樹脂のガラス転移点が110℃を超える場合、結晶性が過度に低下し、吸水によるガラス転移点の低下の影響を大きく受けるため、多層構造物の実用形態において耐熱性は充分でなくなる。
尚、本発明の目的を損なわない限り、本発明の多層構造物の各樹脂層には、滑剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、層状珪酸塩、Co、Mn、Znなどの無機または有機金属塩、錯体等を加える事が出来る。
本発明の多層構造物とは、前記ポリアミド樹脂を含むガスバリア層(A)と熱可塑性樹脂層(B)の少なくとも2層が積層され、接着性樹脂層を任意に含む多層シート、フィルムを意味する。好ましい層構成としては、内層から外層へ順に、B層/接着層/A層/接着層/B層、B層/接着層/A層/B層、B層/リサイクル層/接着層/A層/接着層/B層、B層/接着層/A層/接着層/リサイクル層/B層、B層/リサイクル層/接着層/A層/接着層/リサイクル層/B層、B層/接着層/A層、B層/リサイクル層/接着層/A層等が挙げられ、更に具体的には、ポリオレフィン層/接着層/A層/接着層/ポリオレフィン層、ポリオレフィン層/接着層/A層/ナイロン6層、ポリオレフィン層/接着層/A層/EVOH層/ナイロン6層等が挙げられる。ここでリサイクル層とは、多層構造物の成形時、および熱成形時に発生する切れ端等を再利用した層を指す。多層構造物の総厚みは0.05〜5mmであるのが好ましい。多層成形品とは、該多層構造物を二次加工して得られるカップ、缶、袋状物等の容器を意味する。熱間充填する必要がある含水食品や飲料類を対象とする容器類の場合には、通常、ポリアミド樹脂層が吸水してガスバリア性能および機械物性が低下しないように含水食品、飲料等に接触する内層をポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層(B)とする事が望ましい。
本発明の多層構造物は、インフレーション法およびTダイ法に基づく共押出、および金型内に2種以上の溶融樹脂を順次射出するサンドイッチ成形および二色成形と呼ばれる共射出成形等により製造される。
本発明の多層構造物を少なくとも一部に使用することにより、本発明の多層容器を得ることができる。共押出、共射出成形により製造されるシート、フィルム等の多層構造物はそのまま、又は若干の加熱およびヒートシールその他の接着方法により容器として使用することも可能であるが、通常は、真空成形、圧空成形等の二次加工を施してカップ等の容器としてから使用される。また、シートの場合は、延伸後ヒートシールその他の接着方法により袋状物として使用される事も可能である。
本発明にかかる多層構造物に真空成形、圧空成形等の二次加工を施すには、多層構造物を熱成形に好適な温度とする必要がある。予熱を施してから二次加工を行う場合、多層構造物の表面温度は、熱可塑性樹脂層(B)の熱可塑性樹脂の軟化点以上とする必要があるが、ポリアミド樹脂層の結晶化による成形不良も無く、良好な成形品を得ることが可能である。
本発明の多層容器には様々な物品を収納、保存することができる。例えば、炭酸飲料、ジュース、水、牛乳、日本酒、ウイスキー、焼酎、コーヒー、茶、ゼリー飲料、健康飲料等の液体飲料、調味液、ソース、醤油、ドレッシング、液体だし、マヨネーズ、味噌、すり下ろし香辛料等の調味料、ハム、ソーセージ等の畜肉食品、ジャム、クリーム、チョコレートペースト等のペースト状食品、液体スープ、煮物、漬物、シチュー等の液体加工食品に代表される液体系食品やそば、うどん、ラーメン等の生麺及びゆで麺、精米、調湿米、無洗米等の調理前の米類や調理された炊飯米、五目飯、赤飯、米粥等の加工米製品類、粉末スープ、だしの素等の粉末調味料等に代表される高水分食品、乾燥野菜、コーヒー豆、コーヒー粉、お茶、穀物を原料としたお菓子等に代表される低水分食品、その他農薬や殺虫剤等の固体状や溶液状の化学薬品、液体及びペースト状の医薬品、化粧水、化粧クリーム、化粧乳液、整髪料、染毛剤、シャンプー、石鹸、洗剤等、種々の物品を収納することができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下に実施例等における評価方法について記す。
(1)相対粘度
ポリアミド樹脂1gを精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを採り、25℃±0.03℃の恒温槽中で10分放置後、落下時間(t)を測定した。また96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(A)により相対粘度を求めた。
相対粘度=t/t0 ・・・(A)
(2)半結晶化時間
脱偏光光度法により測定した。
使用したポリマー結晶化速度測定装置は、(株)コタキ製作所製、型式:MK701であり以下の条件で測定した。
試料溶融温度:260℃
試料溶融時間:3分
結晶化浴温度:160℃
(3)ポリマー融点
(株)島津製作所製流速示差走査熱量計DSC‐50により、以下の条件にて測定した。
標準物質:α−アルミナ
試料量:10mg
昇温速度:10℃/分
測定温度範囲:25〜300℃
雰囲気:窒素ガス 30ml/分
(4)曇価、黄色度の測定
JIS K−7105(ASTM D−1003)に準じて測定した。
測定装置は、日本電色工業(株) 色差・濁度測定装置 COH−300Aを使用した。
(5)酸素透過係数/酸素透過率
JIS K−7126(ASTM D3985)に準じて測定した。使用した測定機器は、モダンコントロールズ社製酸素透過率測定装置(型式:OX−TRAN 10/50A)であり、測定条件は、23℃、相対湿度60%で行った。
<実施例1>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下槽および窒素ガス導入管を備えたジャケット付反応缶に、モル比でアジピン酸が96モル%とイソフタル酸が4モル%となる様に投入し、十分窒素置換した後、さらに窒素気流下で170℃まで昇温してジカルボン酸を流動状態とした後、メタキシリレンジアミンを撹拌下に滴下した。この間、内温を連続的に245℃まで昇温させ、またメタキシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は分縮器および冷却器を通して系外に除いた。メタキシリレンジアミン滴下終了後、内温を連続的に255℃まで昇温し、15分間反応を継続した。その後、反応系内圧を600mmHg(80.0kPa)まで10分間で連続的に減圧し、その後、40分間反応を継続した。この間、反応温度を260℃まで連続的に昇温させた。
反応終了後、反応缶内を窒素ガスにて0.2MPaの圧力を掛けポリマーを重合槽下部のノズルよりストランドとして取出し、水冷後に切断し、ペレット形状のポリアミドを得た。得られたポリアミドの相対粘度は2.1、融点は234℃、であった。
次にこのペレットをステンレス製の回転ドラム式の加熱装置に仕込み、5rpmで回転させた。十分窒素置換し、さらに少量の窒素気流下にて反応系内を室温から140℃まで昇温した。反応系内温度が140℃に達した時点で1Torr(0.133kPa)以下まで減圧を行い、更に系内温度を110分間で180℃まで昇温した。系内温度が180℃に達した時点から、同温度にて180分間、反応を継続した。反応終了後、減圧を終了し窒素気流下にて系内温度を下げ、60℃に達した時点でペレットを取り出した(ポリアミド1)。
得られたポリアミド1の相対粘度は2.5、融点は234℃、ガラス転移点91℃であった。ポリアミド1をTダイ付きの単軸小型押出機(東洋精機製作所製ラボプラストミル)にて単層無延伸フィルムを作製した。得られたフィルムの半結晶化時間は、47秒であった。フィルムの酸素透過係数は、0.7ml・mm/m・day・MPaであった。
得られたポリアミド1(A層)、ポリプロピレン(三菱化学(株)製、FY−6C、ビカット軟化点:150℃)(B層)、および両層の接着剤として変性ポリプロピレン(三菱化学(株)製、モディックP−513V)(接着層)を用い、層構成がB層/接着層/A層/接着層/B層の順になるように3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、引取機からなる多層シート製造装置にて、3種5層の多層シートを作製した。シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が240℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は245℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気は僅かであった。得られた多層シートの曇価は、27%、黄色度は、1.0であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
次に作製した多層シートを真空圧空成形機により、深さ26mm、開口部直径64mm、底部直径53mmのカップ形状の容器に深絞り熱成形した。熱成形は、セラミックヒーターを用いて、表面温度を170℃まで加熱後、速やかに真空圧空成形することにより行った。容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、28%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.006ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器をレトルト処理用のオートクレーブ((株)トミー精工製)を用いて120℃で30分間加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は30%であり、加圧熱水処理後も本実施例の容器は、良好な透明性と原形を保っている事を確認できた。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだが、特に臭気は感じられなかった。
<実施例2>
(A)層に用いるポリアミド樹脂のジカルボン酸成分を、アジピン酸94モル%、イソフタル酸6モル%とした以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂(ポリアミド2)の合成、単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
得られたポリアミド2の相対粘度は2.5、融点は232℃、ガラス転移点92℃であった。単層無延伸フィルムの半結晶化時間は、62秒であった。フィルムの酸素透過係数は、0.7ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が240℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は245℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気は僅かであった。
得られた多層シートの曇価は、26%、黄色度は、0.9であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、26%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.006ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は28%であり、加圧熱水処理後も本実施例の容器は、良好な透明性と原形を保っている事を確認できた。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだが、特に臭気は感じられなかった。
<実施例3>
(A)層に用いるポリアミド樹脂のジカルボン酸成分を、アジピン酸85モル%、イソフタル酸15モル%とした以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂(ポリアミド3)の合成、単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
得られたポリアミド3の相対粘度は2.5、融点は216℃、ガラス転移点98℃であった。単層無延伸フィルムの半結晶化時間は、455秒であった。フィルムの酸素透過係数は、0.7ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が230℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は235℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気は極僅かであった。
得られた多層シートの曇価は、27%、黄色度は、0.9であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、28%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.006ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は28%であり、加圧熱水処理後も本実施例の容器は、良好な透明性と原形を保っている事を確認できた。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだが、特に臭気は感じられなかった。
<実施例4>
(A)層に用いるポリアミド樹脂のジカルボン酸成分を、アジピン酸80モル%、イソフタル酸20モル%とした以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂(ポリアミド4)の合成、単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
得られたポリアミド4の相対粘度は2.4、融点は207℃、ガラス転移点102℃であった。単層無延伸フィルムの半結晶化時間は、1570秒であった。フィルムの酸素透過係数は、0.8ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が220℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は235℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気は極僅かであった。
得られた多層シートの曇価は、29%、黄色度は、1.0であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、29%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.007ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は32%であり、加圧熱水処理後も本実施例の容器は、良好な透明性と原形を保っている事を確認できた。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだが、特に臭気は感じられなかった。
<実施例5>
多層シートの全厚みを0.8mm、(A)層の厚みを0.10mmとした以外は、実施例2と同様に多層シートおよび容器の作製を行った。
得られた多層シートの曇価は、26%、黄色度は、0.9であった。
容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、26%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.003ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は28%であり、加圧熱水処理後も本実施例の容器は、良好な透明性と原形を保っている事を確認できた。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだが、特に臭気は感じられなかった。
<実施例6>
(A)層に用いるポリアミド樹脂として、ポリアミド2を97質量部と、層状珪酸塩[白石工業(株)製「オルベン」(膨潤化剤として、トリメチルオクタデシルアンモニウムを34wt%含有)]を3質量部ドライブレンドした後、逆エレメントによる滞留部を設けたスクリューを設置したシリンダー径20mmφの同方向回転型二軸押出機に6kg/hrの速度で上記材料を供給し、シリンダー温度270℃の条件で溶融混練を行い、押出機ヘッドからストランド押し出し、冷却後、ペレタイズ化して得た複合ポリアミド樹脂(ポリアミド9)を用いた以外は、実施例2と同様に単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
ポリアミド9の相対粘度は2.5、融点は232℃、ガラス転移点92℃であった。単層無延伸フィルムの半結晶化時間は、58秒であった。フィルムの酸素透過係数は、0.4ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が240℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は245℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気は僅かであった。
得られた多層シートの曇価は、26%、黄色度は、1.0であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、26%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.004ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は28%であり、加圧熱水処理後も本実施例の容器は、良好な透明性と原形を保っている事を確認できた。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだが、特に臭気は感じられなかった。
<比較例1>
(A)層に用いるポリアミド樹脂のジカルボン酸成分を、アジピン酸100モル%とした以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂(ポリアミド5)の合成、単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
得られたポリアミド5の相対粘度は2.6、融点は240℃、ガラス転移点88℃であった。単層無延伸フィルムの半結晶化時間は、25秒であった。フィルムの酸素透過係数は、0.9ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が260℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は255℃とした。ポリプロピレン劣化による臭気が発生し、樹脂吐出部では白煙が観察された。
得られた多層シートの曇価は、33%、黄色度は、1.2であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性時には、(A)層の結晶化による伸びムラや部分的な白化がみられ、中間層の厚みも不均一なものであった。白化部分以外の容器底部の曇価は、52%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.009ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は55%であり、加圧熱水処理による容器の変形はなかった。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだところ、劣化した樹脂の臭気がした。
<比較例2>
(A)層に用いるポリアミド樹脂のジカルボン酸成分を、アジピン酸98モル%、イソフタル酸2モル%とした以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂(ポリアミド6)の合成、単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
得られたポリアミド6の相対粘度は2.6、融点は237℃、ガラス転移点90℃であった。単層無延伸フィルムの半結晶化時間は、35秒であった。フィルムの酸素透過係数は、0.7ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が260℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は255℃とした。ポリプロピレン劣化による臭気が発生し、樹脂吐出部では白煙が観察された。
得られた多層シートの曇価は、32%、黄色度は、1.2であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性時には、(A)層の結晶化による伸びムラや部分的な白化がみられ、中間層の厚みも不均一なものであった。白化部分以外の容器底部の曇価は、41%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.006ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は50%であり、加圧熱水処理による容器の変形はなかった。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだところ、劣化した樹脂の臭気がした。
<比較例3>
(A)層に用いるポリアミド樹脂として、ポリアミド6を70重量%と非晶ナイロン樹脂(三井・デュポンケミカル株式会社製、SELAR PA)を30重量%の混合物とした以外は、実施例1と同様に単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製した。
単層無延伸フィルムの半結晶化時間は、297秒であった。フィルムの酸素透過係数は、1.6ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が260℃、接着層が220℃、(B)層が240℃であり、フィードブロック温度は255℃とした。ポリプロピレン劣化による臭気が発生し、樹脂吐出部では白煙が観察された。
得られた多層シートの曇価は、36%、黄色度は、1.2であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性は良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、30%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.014ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は30%であり、加圧熱水処理による変形は無かった。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだところ、劣化した樹脂の臭気がした。
<比較例4>
(A)層に用いるポリアミド樹脂のジカルボン酸成分を、アジピン酸75モル%、イソフタル酸25モル%とした以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂(ポリアミド7)の合成、単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
得られたポリアミド7の相対粘度は2.5、融点は検出されず、ガラス転移点105℃であった。単層無延伸フィルムは、160℃の定温結晶化条件で、2000秒以上経過しても結晶化による脱偏光が観察されなかった。フィルムの酸素透過係数は、0.9ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が220℃、接着層が220℃、(B)層が220℃であり、フィードブロック温度は230℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気は極僅かであった。
得られた多層シートの曇価は、28%、黄色度は、2.2であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。
容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、26%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.009ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は35%であり、加圧熱水処理後に容器は変形していた。加圧熱水処理後にアルミ箔を剥がして容器内部の臭いを嗅いだが、特に臭気は感じられなかった。
<比較例5>
(A)層に用いるポリアミド樹脂のジカルボン酸成分を、アジピン酸60モル%、イソフタル酸40モル%とした以外は、実施例1と同様にポリアミド樹脂(ポリアミド8)の合成、単層無延伸フィルム、多層シートおよび容器の作製を行った。
得られたポリアミド8の相対粘度は2.3、融点は検出されず、ガラス転移点115℃であった。単層無延伸フィルムは、160℃の定温結晶化条件で、2000秒以上経過しても結晶化による脱偏光が観察されなかった。フィルムの酸素透過係数は、1.0ml・mm/m・day・MPaであった。
シート作成時の各樹脂の押出温度は、(A)層が200℃、接着層が220℃、(B)層が220℃であり、フィードブロック温度は215℃とした。押出し時のポリプロピレン劣化による臭気は極僅かであった。
得られた多層シートの曇価は、26%、黄色度は、2.4であった。シートの全厚みは0.8mm、(A)層の厚みは0.04mmであった。(A)層の酸素透過係数は、1.0ml・mm/m・day・MPaであった。
容器への熱成形性は非常に良好であり、(A)層の厚みが均一で透明性良好な容器を得る事が出来た。容器底部の曇価は、30%であった。
得られた容器に水を入れて、ヒートシール層を有するアルミ箔を被せて、ヒートシールマシーンにより溶着密閉した状態での容器の23℃、外気相対湿度50%RHでの酸素透過率は、0.010ml/容器・day・0.02MPaであった。
水を入れた容器を実施例1と同様に加圧熱水処理を行った。加圧熱水処理後の容器底部の曇価は41%であった。加圧熱水処理後に容器は変形しており、一部中間層がはみ出していた。
本発明のガスバリア性多層構造物を利用して得られる容器は、内部に食品、化学薬品、医薬品等、種々の物品を収納することができ、産業上の利用可能性が高い。

Claims (9)

  1. メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸85〜97モル%とイソフタル酸3〜15モル%を含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であって、脱偏光光度法における定温結晶化による半結晶化時間が、測定温度範囲(該ポリアミド樹脂のガラス転移点以上、融点未満)における最短時間として40〜2000秒の範囲である結晶性のポリアミド樹脂を含む少なくとも1層のガスバリア層(A)および少なくとも1層の熱可塑性樹脂層(B)が積層してなるガスバリア性多層構造物。
  2. (A)層に用いるポリアミド樹脂の23℃、相対湿度60%条件下での酸素透過係数が、0.1〜1.5ml・mm/m・day・MPaである請求項1記載のガスバリア性多層構造物。
  3. (A)層に用いるポリアミド樹脂の融点が180〜235℃である請求項1または2記載のガスバリア性多層構造物。
  4. (A)層に用いるポリアミド樹脂のガラス転移点が85〜110℃である請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性多層構造物。
  5. (B)層に用いる熱可塑性樹脂のビカット軟化点(JIS K−7206)がTg〜Tg+70℃(Tgは(A)層に用いるポリアミド樹脂のガラス転移点)である請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性多層構造物。
  6. (B)層に用いる熱可塑性樹脂がポリオレフィンである請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性多層構造物。
  7. 多層構造物総厚みに対するガスバリア層(A)の厚み比率が1〜50%である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリア性多層構造物。
  8. ガスバリア層(A)と熱可塑性樹脂層(B)を、接着性樹脂層を介して積層したものである請求項1〜7のいずれかに記載のガスバリア性多層構造物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリア性多層構造物を少なくとも一部に使用してなる多層容器。
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