JP5617422B2 - 多層容器 - Google Patents
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Description
前記3層の外側に更に接着層やPP層、あるいは別の樹脂からなる層が積層されていてもよい。例えば、多層容器に特徴を持たせるためにPP層の内側に、ポリカーボネートや各種イージーピール性樹脂からなる熱可塑性樹脂層を積層することができる。これらに限らず、目的に応じて様々な熱可塑性樹脂層を積層することが可能である。本発明の多層容器は、PP層/接着層/ガスバリア層/接着層/PP層の5層構造であることが好ましい。
また、前記3層がその順に積層されていればよく、その層間に中間層が積層されていてもよい。例えば、多層シート及び多層容器製造時にトリミングしてできたトリミングくずを粉砕して、粉砕物を単独で、又はPPや他の熱可塑性樹脂と混合してリサイクル樹脂層として、PP層と接着層との間に中間層として積層することができる。
本発明において、「ポリプロピレンを主成分とする」とは、ポリプロピレンを50質量%以上含むことを意味し、好ましくは70質量%以上である。PP層には本発明の効果を損なわない範囲でポリプロピレンの酸化劣化を防止するための酸化防止剤や艶消剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶化核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を加えることができる。また、場合によってはポリプロピレンの物性を改質するためにポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体等の熱可塑性樹脂を加えることもできる。
PP層(X)の厚さは特に限定されないが、強度及びコストの観点から、20〜2000μmが好ましく、50〜1000μmがより好ましい。
接着層(Y)の厚さは特に限定されないが、接着性及びコストの観点から、1〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
ガスバリア層(Z)の厚さは特に限定されないが、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、1〜400μmが好ましく、5〜150μmがより好ましい。また、本発明の多層容器におけるガスバリア層(Z)の厚みは、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、多層容器の総厚みに対して2〜20%の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜18%であり、さらに好ましくは5〜15%である。
ポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とアジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなる。
ポリアミド樹脂(A)中のジアミン単位は、優れたガスバリア性を発現させる観点から、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含み、好ましくは80モル%以上100モル%以下、より好ましくは90モル%以上100モル%以下である。メタキシリレンジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる化合物としては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド樹脂(A)は、溶融重合法により重縮合した後、さらに固相重合することにより製造されたものであることが好ましい。溶融重縮合法としては、例えばジアミン成分とジカルボン酸成分とからなるナイロン塩を、水の存在下に加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が挙げられる。また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、重縮合する方法を挙げることもできる。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミド樹脂の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ重縮合が進められる。
固相重合は、溶融重縮合で得られたポリマーを一旦取り出した後に行うことが好ましい。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱装置よりも、気密性に優れ高度に酸素とポリアミド樹脂との接触を絶つことができる回分式加熱装置が好ましく、特にタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いる無機系の結晶化促進剤としては、ガラス充填剤(ガラス繊維、粉砕ガラス繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等)、ケイ酸カルシウム系充填材(ワラストナイト等)、マイカ、タルク(粉状タルクやロジンをバインダーとした顆粒状タルク等)、カオリン、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、層状珪酸塩等のクレイやナノフィラー、炭素繊維等がある。無機系の結晶化促進剤の平均粒子径は0.01〜5μmであることが好ましい。特に、平均粒子径が3.0μm以下の粉状タルクが好ましく、平均粒子径1.5〜3.0μmの粉状タルクがより好ましく、平均粒子径が2.0μm以下の粉状タルクが特に好ましい。
しかし、粉状タルクは嵩密度が小さく、粉塵による作業環境の悪化、凝集による分散不良を生じることがある。そこで、結晶化促進剤(C)として、粉状タルクをロジン系樹脂でバインドした顆粒状のタルクがポリアミド樹脂中での分散状態もよく、さらに好ましい。なお本願において、平均粒子径とは、結晶化核剤を構成する粒子の累積50%粒子径を表わす。
本発明において前記ロジン系樹脂としては、ロジンエステルについて適用することができ、例えば、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン、精製ロジンなどの、各種のロジンのエステルを使用することができる。また、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はα,β−不飽和ジカルボン酸とロジンとの付加反応物のエステルを使用することもできる。
また、有機系の結晶化促進剤としては、通常熱可塑性樹脂に用いられるものでよく、2分子膜からなるマイクロレベルからナノレベルサイズのカプセル内に核剤成分等を添加した2分子膜からなるカプセル、ベンジリデンソルビトール系やリン系の透明化結晶核剤、ロジンアミド系のゲル化剤等があり、特に、ビス(ベンジリデン)ソルビトール系結晶化核剤が好ましい。これらの結晶化促進剤は、2種以上を併用することもできる。
脂肪酸は側鎖や二重結合があってもよいが、ステアリン酸(炭素数18)、エイコ酸(炭素数20)、ベヘン酸(炭素数22)、モンタン酸(炭素数28)、トリアコンタン酸(炭素数30)などの直鎖飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸と塩を形成する金属に特に制限はないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、アルミニウム、亜鉛等が例示でき、これらの中でもナトリウム、カリウム、及びリチウム、カルシウム、アルミニウム、及び亜鉛が特に好ましい。
脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム等が例示でき、これらの中でも、白化抑制効果の観点から、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸カルシウムが好ましい。上記脂肪酸金属塩は、1種類のみを含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
ジアミド化合物の脂肪酸成分としては、側鎖や二重結合があってもよいが直鎖脂肪酸が好ましく、ステアリン酸(炭素数18)、エイコ酸(炭素数20)、ベヘン酸(炭素数22)、モンタン酸(炭素数28)、トリアコンタン酸(炭素数30)等が例示できる。ジアミド化合物のジアミン成分としては、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサンジアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が例示できる。
ジアミド化合物としては、炭素数8〜30の脂肪酸と主としてエチレンジアミンからなるジアミンとから得られるジアミド化合物、又は主としてモンタン酸からなる脂肪酸と炭素数2〜10のジアミンとから得られるジアミド化合物が好ましく、主としてステアリン酸からなる脂肪酸と主としてエチレンジアミンからなるジアミンとから得られるジアミド化合物が特に好ましい。ジアミド化合物は1種類のみを含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
ジエステル化合物の脂肪酸成分としては、上記ジアミド化合物の脂肪酸成分と同様である。ジエステル化合物のジオール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、キシリレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が例示できる。
ジエステル化合物としては、炭素数8〜30の脂肪酸と主としてエチレングリコール及び/又は1,3−ブタンジオールからなるジオールとから得られるジエステル化合物が好ましく、主としてモンタン酸からなる脂肪酸と主としてエチレングリコール及び/又は1,3−ブタンジオールからなるジオールとから得られるジエステル化合物が特に好ましい。ジエステル化合物は1種類のみを含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
(1)半結晶化時間
脱偏光光度法により測定した。具体的には、ポリマー結晶化速度測定装置(コタキ製作所製、形式:MK701)を使用し、以下の条件で測定した。
試料溶融温度:270℃
試料溶融時間:3分
結晶化油浴温度:160℃
(2)ガスバリア性
ASTM D3985に準じて測定した。具体的には、酸素透過率測定装置(OX−TRAN 2/20A、商品名、モダンコントロールズ社製)を使用し、ポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数(ml・mm/m2・day・atm)を測定した。
(3)ヘイズ
レトルト食品用オートクレーブ(SR−240、商品名、(株)トミー精工製)を用いて多層容器を120℃、30分水蒸気レトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部を切り出し、JIS K−7105に準じてヘイズを測定した。なお、前記レトルト処理時間には加熱及び冷却時間は含まれない。測定装置は、色彩・濁度測定器(商品名:COH−300A、日本電色工業社製)を使用した。ヘイズ測定箇所における厚さを測定し、厚さ300μmに換算した値とした。
(4)熱成型
プラグアシストを備えた圧空真空成形機(浅野研究所製)を使用して、セラミックヒーター温度:480℃にてシート表面温度が170℃に加熱後、圧空真空成形を行った。得られた熱成型容器の底面、側面を観察し、以下の基準で評価を行った。
○:伸びムラなく、良好な成形品
×:伸びムラによる外観不良を生じる
まず、メタキシリレンジアミン単位とアジピン酸単位とからなるN−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))及びN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))を単軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)80質量%とポリアミド樹脂(B1)20質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(M1)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M1)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000、タルク平均粒子径:1.8μm、顆粒径:0.2〜3.0mm)0.1質量部をドライブレンドしたポリアミド樹脂組成物を二軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂組成物(P1)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P1)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P1)は38秒であった。
得られたポリアミド樹脂組成物(P1)を単軸押出機にて押し出し、膜厚50μmのガスバリアフィルムを作製した。ポリアミド樹脂組成物(P1)からなるガスバリアフィルムの23℃60%RH環境下における酸素透過係数は、0.13ml・mm/m2・day・atmであった。
次いで、プラグアシストを備えた圧空真空成形機を使用して、シート表面温度が170℃に達した時点で熱成形を行い、開口部79mm角×底部63mm×深さ25mm、表面積110cm2、容積100mlの容器を作製した。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部のヘイズを測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))70質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))30質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M2)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)0.5質量部としてドライブレンドしたポリアミド樹脂組成物を二軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂組成物(P2)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P2)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P2)は36秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P2)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.17ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂組成物(M2)及び結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)の含有比を、ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量%に対して結晶化促進剤(C)1.0質量%に変更したこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P3)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P3)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P3)は35秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P3)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.16ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂組成物(M2)及び結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)の含有比を、ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量%に対して結晶化促進剤(C)1.8質量%に変更したこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P4)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P4)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P4)は33秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P4)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P4)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.16ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))60質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))40質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M3)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M3)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P5)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P5)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P5)は49秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P5)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P5)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.22ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))90質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))10質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M4)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M4)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)0.02質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P6)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P6)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P6)は31秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P6)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P6)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.10ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂(A1)を単軸押出機にて押し出し、膜厚50μmのフィルムを作製した。ポリアミド樹脂(A1)の160℃での結晶化における半結晶化時間は25秒であった。また、ポリアミド樹脂(A1)からなるフィルムの23℃60%RH環境下における酸素透過係数は、0.09ml・mm/m2・day・atmであった。
ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂(A1)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製しようとしたが、熱成形時に伸びムラを生じたため、容器を作製することができなかった。
ポリアミド樹脂組成物(M2)を単軸押出機にて押し出し、膜厚50μmのガスバリアフィルムを作製した。ポリアミド樹脂組成物(M2)の160℃での結晶化における半結晶化時間は48秒であった。ポリアミド樹脂組成物(M2)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.17ml・mm/m2・day・atmであった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(M2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製した。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂組成物(M2)及び結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)の含有比を、ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量%に対して結晶化促進剤(C)3.0質量%に変更したこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P7)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P7)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P7)は15秒であった。また、ポリアミド樹脂組成物(P7)からなるフィルムの23℃60%RH環境下における酸素透過係数は、0.16ml・mm/m2・day・atmであった。
ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P7)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製しようとしたが、熱成形時に伸びムラを生じたため、容器を作製することができなかった。
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))50質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))50質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M5)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M5)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−70001.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P8)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P8)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P6)は75秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P8)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P8)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.35ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
前記ポリアミド樹脂組成物(M1)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(微粉タルク:日本タルク K−1、平均粒子径8μm)1.0質量%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P9)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P9)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P9)は19秒であった。また、ポリアミド樹脂組成物(P9)からなるフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.15ml・mm/m2・day・atmであった。しかしながら、得られた単層フィルムには凝集したタルクがブツ状となっておりフィルムの外観不良を生じた。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P9)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製しようとしたが、凝集したタルクにより熱成形時の伸びムラを生じたため、容器を作製することができなかった。
N-6T/6I:ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー
HT-7000:ハリマ化成(株)製 顆粒状タルク
K-1:日本タルク(株)製 微粉タルク
これらに対し、実施例1〜6の多層容器は、熱成形により得ることができ、レトルト処理前において比較例2と比べて透明性に優れており、レトルト後の白化度合いが小さく、より高い透明性を有するものであった。
Claims (4)
- ポリプロピレンを主成分とする層(X)、接着性熱可塑性樹脂からなる接着層(Y)、及びポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリア層(Z)が内層から外層へこの順に積層された3層以上の層構成を有する多層容器であって、前記ポリアミド樹脂組成物(P)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とアジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)60乃至90質量%及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(B)40乃至10質量%からなるポリアミド樹脂組成物(M)100質量部と、ロジン系樹脂をバインダーとした粉状タルクであり平均粒子径が0.01乃至5μmである結晶化促進剤(C)0.01〜2質量部とを含むことを特徴とする多層容器。
- ポリアミド樹脂組成物(P)の、脱偏光光度法による160℃での結晶化における半結晶化時間(ST(P))が30秒以上300秒以下である、請求項1に記載の多層容
器。 - 前記ポリアミド樹脂組成物(P)の23℃、60%RH環境下における酸素透過係数が1.0ml・mm/m2・day・atm以下である、請求項1又は2に記載の多層容器。
- 前記ガスバリア層(Z)の厚みが、多層容器の総厚みに対して2〜20%である、請求項1〜3のいずれかに記載の多層容器。
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