JP5617422B2 - 多層容器 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレンを主成分とする多層容器に関し、詳しくは、加熱殺菌処理後においても透明性及びガスバリア性に優れる多層容器に関する。
従来、加熱殺菌処理を必要とされる食品の容器としては、加熱殺菌処理時及び保存時における食品の劣化、変色、褪色を防ぐために缶詰が用いられていた。しかしながら、缶詰を用いた場合においては、酸素や水蒸気等の各種ガスバリア性については高い効果を発現するが、開封前には内容物を視認することができない、電子レンジを用いた加熱処理ができない、充填食品を皿等に盛りつける際に食品を取り出しにくい、使用後の廃棄において重ねることができず廃棄缶詰がかさばり廃棄処理適性に欠けるという問題があった。
これに代わる食品保存容器としては、熱可塑性樹脂からなる熱成形容器が挙げられ、広く利用されている。特にポリプロピレン(以下、「PP」と略することがある。)からなる容器は、融点がレトルト殺菌処理温度よりも高いことから、レトルト処理を必要とする食品の保存容器としても広く利用されている。しかしながら、PPは防湿性に優れるものの食品の劣化、変色、褪色の原因となる酸素を透過しやすい性質を有しているため、食品を長期保存するための容器としては性能が不十分である。
PPからなる容器で食品の長期保存を可能とする方法としては、中間層として酸素バリア性を持つ熱可塑性樹脂を存在させた多層容器を用いる方法が知られている。ガスバリア層を構成する樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と略することがある。)が知られている。EVOHは優れた酸素バリア性を持つ樹脂であり、様々な食品を長期保存するための容器に広く利用されているが、バリア樹脂組成中に水酸基を有することから酸素バリア性の湿度依存性が高い欠点を有する。特に100℃以上の加熱殺菌処理を必要とする食品を収納、保存する場合においては、加熱殺菌処理時に熱水又は水蒸気に一定時間晒されることになるため、EVOHをガスバリア層とした多層容器は加熱殺菌処理時に大きく酸素バリア性が低下する。しかも、EVOHは、加熱殺菌処理後においても酸素バリア性が大幅に低下したままであり、経時的に元の酸素バリア性能に回復していくものの完全な回復には長い時間を要するため、その間に大量の酸素透過を許すこととなり、加熱殺菌処理食品の保存性には問題が残る。
EVOH以外に酸素バリア性に優れた熱可塑性樹脂としては、ポリメタキシリレンアジパミド(以下、「N−MXD6」と略することがある。)が知られており、ポリオレフィンと組み合わせた多層容器が開示されている(例えば特許文献1を参照)。ポリメタキシリレンアジパミドはメタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合させて得られるポリアミド樹脂であり、樹脂組成中に水酸基を有していないことからEVOHよりも湿度依存性が低く、加熱殺菌処理時においても酸素バリア性低下が小さいという特徴を有しているため、容器内部への酸素透過量を低く抑えることができ、加熱殺菌処理食品の保存性を高めることができる。しかしながら、N−MXD6は、PPの熱成形温度である150〜180℃では非常に速く結晶化するため、N−MXD6をガスバリア層として用いた多層容器は、成形時に、N−MXD6層の切断や厚みムラ、白化がみられ、ガスバリア性、透明性等の性能が低下したり、変形したりするという欠点を有する。
N−MXD6を中間層としたPP多層容器を得るためにはN−MXD6の結晶化速度を小さくする必要があり、N−MXD6に難晶又は非晶のポリアミド樹脂を混合する方法(例えば特許文献2を参照)が開示されている。しかしながら、難晶又は非晶のポリアミド樹脂を混合することにより、多層容器を得ることはできるが、得られた多層容器は加熱殺菌処理した場合に白化を生じるため透明性に劣る。
N−MXD6の白化を抑制する手段としては、特定の脂肪酸金属塩を添加する方法(例えば特許文献3を参照)、特定のジアミド化合物又はジエステル化合物を添加する方法(例えば特許文献4を参照)が開示されている。これら添加剤による白化抑制は、水に直接晒される単層フィルムや、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略することがある。)を用いたPET/N−MXD6/PET多層延伸ボトルのような延伸される用途(例えば特許文献5を参照)には効果があることが開示されているが、透湿度の低いPPを組み合わせたPP多層容器において加熱殺菌処理後の白化抑制効果は満足できるものではない。
特開平02−125733号公報 特開平01−141737号公報 特開平11−315207号公報 特開2000−248176号公報 特開2001−199024号公報
本発明の目的は、加熱殺菌処理が必要な食品の包装材料として好適なガスバリア性及び透明性を有する多層容器を提供することである。
本発明者らは、加熱殺菌処理後のガスバリア性及び透明性を兼ね備えた多層容器について鋭意研究を重ねた結果、特定のポリアミド樹脂組成物をガスバリア層に用いることにより、80℃以上の加熱殺菌処理後においてもガスバリア性及び透明性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリプロピレンを主成分とする層(X)、接着性熱可塑性樹脂からなる接着層(Y)、及びポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリア層(Z)が内層から外層へこの順に積層された3層以上の層構成を有する多層容器であって、前記ポリアミド樹脂組成物(P)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とアジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)60乃至90質量%、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(以下、「N−6T/6I」と略することがある。)(B)40乃至10質量%からなるポリアミド樹脂組成物(M)100質量部と、平均粒子径が0.01乃至5μmである結晶化促進剤(C)0.01〜2質量部とを含むことを特徴とする多層容器に関する。
本発明の多層容器は、加熱殺菌処理が必要な食品の包装材料として好適なガスバリア性及び透明性を有する。したがって、食品を長期保存することができ、しかもレトルト処理といった加熱殺菌処理後においても内容物を視認することができ、缶詰代替による顧客の利便性向上を図ることができる。
本発明の多層容器は、ポリプロピレンを主成分とする層(以下、「PP層」と略することがある。)(X)、接着性熱可塑性樹脂からなる接着層(Y)、及びガスバリア層(Z)の少なくとも3層が内層から外層へこの順に積層されてなるものである。
前記3層の外側に更に接着層やPP層、あるいは別の樹脂からなる層が積層されていてもよい。例えば、多層容器に特徴を持たせるためにPP層の内側に、ポリカーボネートや各種イージーピール性樹脂からなる熱可塑性樹脂層を積層することができる。これらに限らず、目的に応じて様々な熱可塑性樹脂層を積層することが可能である。本発明の多層容器は、PP層/接着層/ガスバリア層/接着層/PP層の5層構造であることが好ましい。
また、前記3層がその順に積層されていればよく、その層間に中間層が積層されていてもよい。例えば、多層シート及び多層容器製造時にトリミングしてできたトリミングくずを粉砕して、粉砕物を単独で、又はPPや他の熱可塑性樹脂と混合してリサイクル樹脂層として、PP層と接着層との間に中間層として積層することができる。
本発明の多層容器を構成するPP層(X)は、ポリプロピレンを主成分とする層であり、ガスバリア層を食品から隔離する役割や、容器に食品を収納後、トップフィルムと接着するためのシーラントとしての役割を有する。ポリプロピレンは公知のものを使用することができる。具体的にはその化学構造から、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダムコポリマー、プロピレン−エチレンブロックコポリマーが挙げられる。
本発明において、「ポリプロピレンを主成分とする」とは、ポリプロピレンを50質量%以上含むことを意味し、好ましくは70質量%以上である。PP層には本発明の効果を損なわない範囲でポリプロピレンの酸化劣化を防止するための酸化防止剤や艶消剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶化核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤を加えることができる。また、場合によってはポリプロピレンの物性を改質するためにポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体等の熱可塑性樹脂を加えることもできる。
PP層(X)の厚さは特に限定されないが、強度及びコストの観点から、20〜2000μmが好ましく、50〜1000μmがより好ましい。
本発明の多層容器を構成する接着層(Y)は、PP層とガスバリア層とを十分な強度で接着する役割を有する。接着層に使用される接着性熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン類等が挙げられる。この中でも、ポリプロピレンを主成分とする酸変性熱可塑性樹脂が、PP層との接着性の面から特に好ましく用いられる。
接着層(Y)の厚さは特に限定されないが、接着性及びコストの観点から、1〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。
本発明の多層容器を構成するガスバリア層(Z)は、容器外部から進入する酸素を遮断し、食品の酸化劣化を防止する役割を有する。良好なガスバリア性の観点から、ガスバリア層(Z)を構成するポリアミド樹脂組成物(P)の23℃、60%RH環境下における酸素透過係数が1.0ml・mm/m2・day・atm以下であることが好ましく、0.05〜0.5ml・mm/m2・day・atmであることがより好ましい。酸素透過係数は、ASTM D3985に準じて測定することができ、例えばOX−TRAN 10/50A(商品名、モダンコントロールズ社製)を使用して測定することができる。
ガスバリア層(Z)の厚さは特に限定されないが、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、1〜400μmが好ましく、5〜150μmがより好ましい。また、本発明の多層容器におけるガスバリア層(Z)の厚みは、ガスバリア性、透明性及びコストの観点から、多層容器の総厚みに対して2〜20%の範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜18%であり、さらに好ましくは5〜15%である。
本発明の多層容器を構成するガスバリア層(Z)は、ポリアミド樹脂組成物(P)からなり、該ポリアミド樹脂組成物(P)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とアジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)60乃至90質量%、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(B)40乃至10質量%からなるポリアミド樹脂組成物(M)100質量部と、平均粒子径が0.01乃至5μmである結晶化促進剤0.01〜2質量部とを含む。
まず、ポリアミド樹脂組成物(M)について説明する。ポリアミド樹脂組成物(M)は、ポリアミド樹脂(A)とポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(B)(以下、ポリアミド樹脂(B)ともいう。)とからなる。
ポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とアジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなる。
ポリアミド樹脂(A)中のジアミン単位は、優れたガスバリア性を発現させる観点から、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含み、好ましくは80モル%以上100モル%以下、より好ましくは90モル%以上100モル%以下である。メタキシリレンジアミン単位以外のジアミン単位を構成しうる化合物としては、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、ポリアミド樹脂(A)中のジカルボン酸単位は、ガスバリア性の低下や結晶性の低下を避ける観点から、アジピン酸単位を70モル%以上含み、好ましくは80モル%以上100モル%以下、より好ましくは90モル%以上100モル%以下である。アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位を構成しうる化合物としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド樹脂(A)は、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合することで得ることができる。重縮合時に分子量調整剤として少量のモノアミンやモノカルボン酸を加えてもよい。
ポリアミド樹脂(A)は、溶融重合法により重縮合した後、さらに固相重合することにより製造されたものであることが好ましい。溶融重縮合法としては、例えばジアミン成分とジカルボン酸成分とからなるナイロン塩を、水の存在下に加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が挙げられる。また、ジアミン成分を溶融状態のジカルボン酸成分に直接加えて、重縮合する方法を挙げることもできる。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、ジアミン成分をジカルボン酸成分に連続的に加え、その間、反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミド樹脂の融点よりも下回らないように反応系を昇温しつつ重縮合が進められる。
固相重合は、溶融重縮合で得られたポリマーを一旦取り出した後に行うことが好ましい。固相重合で用いられる加熱装置としては、連続式の加熱装置よりも、気密性に優れ高度に酸素とポリアミド樹脂との接触を絶つことができる回分式加熱装置が好ましく、特にタンブルドライヤー、コニカルドライヤー、ロータリードライヤー等と称される回転ドラム式の加熱装置およびナウタミキサーと称される内部に回転翼を備えた円錐型の加熱装置が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド樹脂の固相重合工程は、例えば、ポリアミド樹脂ペレット同士が融着したり、ポリアミド樹脂ペレットが装置内壁に付着したりしないように、ポリアミド樹脂の結晶化度を高める第一の工程、ポリアミド樹脂の分子量を高める第二の工程、所望の分子量まで固相重合を進めた後にポリアミド樹脂を冷却する第三の工程により進められることが好ましい。第一の工程はポリアミド樹脂のガラス転移温度以下で行うことが好ましい。第二の工程は減圧下でポリアミド樹脂の融点よりも低い温度で行うことが好ましいが、これに限定されるものではない。
ポリアミド樹脂(B)は、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(N−6T/6I)であり、テレフタル酸、イソフタル酸、及びヘキサメチレンジアミンを重縮合して得られる共重合体である。ポリアミド樹脂(B)は非晶性ポリアミド樹脂であり、ポリアミド樹脂組成物(M)においてポリアミド樹脂(A)の結晶化速度を低下させ、多層シートから容器を成形する熱成形(二次加工)の際における成形性を向上させる。ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(N−6T/6I)において、6T/6Iの配合比は、50/50〜10/90(モル%)、好ましくは45/55〜15/85(%モル)、さらに好ましくは40/60〜20/80(モル%)である。この範囲とすることによりポリアミド樹脂(B)は非晶性ポリアミド樹脂となり、ポリアミド樹脂組成物(M)においてポリアミド樹脂(A)の結晶化速度を低下させ、多層シートから容器を成形する熱成形(二次加工)の際における成形性を向上させる。N−6T/6Iは、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよい。N−6T/6Iとしては市販品を用いることができ、例えばノバミッドX21(商品名、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を用いてもよい。
ポリアミド樹脂組成物(M)におけるポリアミド樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)の含有量は、(A):(B)の質量比が60:40〜90:10であり、好ましくは70:30〜85〜15である。ポリアミド樹脂(B)の含有量が10質量%未満では、ポリアミド樹脂(A)の結晶化遅延効果が不十分であるため、熱成形の際に結晶化による伸びムラ、白化等の不良を生じる。ポリアミド樹脂(B)の含有量が40質量%を超えると、熱成形性は良好となるが、ガスバリア性が低下し、加熱殺菌処理後の白化度合いが大きくなるため好ましくない。
ポリアミド樹脂組成物(P)は、ポリアミド樹脂組成物(M)と、結晶化促進剤(C)とを含む。なお、ポリアミド樹脂組成物(P)は、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、結晶化核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の任意の添加剤を含有してもよい。
また、本発明では、ポリアミド樹脂の結晶化核剤として、結晶化促進剤を用いる。
本発明で用いる無機系の結晶化促進剤としては、ガラス充填剤(ガラス繊維、粉砕ガラス繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等)、ケイ酸カルシウム系充填材(ワラストナイト等)、マイカ、タルク(粉状タルクやロジンをバインダーとした顆粒状タルク等)、カオリン、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、層状珪酸塩等のクレイやナノフィラー、炭素繊維等がある。無機系の結晶化促進剤の平均粒子径は0.01〜5μmであることが好ましい。特に、平均粒子径が3.0μm以下の粉状タルクが好ましく、平均粒子径1.5〜3.0μmの粉状タルクがより好ましく、平均粒子径が2.0μm以下の粉状タルクが特に好ましい。
しかし、粉状タルクは嵩密度が小さく、粉塵による作業環境の悪化、凝集による分散不良を生じることがある。そこで、結晶化促進剤(C)として、粉状タルクをロジン系樹脂でバインドした顆粒状のタルクがポリアミド樹脂中での分散状態もよく、さらに好ましい。なお本願において、平均粒子径とは、結晶化核剤を構成する粒子の累積50%粒子径を表わす。
本発明において前記ロジン系樹脂としては、ロジンエステルについて適用することができ、例えば、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジン、精製ロジンなどの、各種のロジンのエステルを使用することができる。また、α,β−不飽和モノカルボン酸及び/又はα,β−不飽和ジカルボン酸とロジンとの付加反応物のエステルを使用することもできる。
また、有機系の結晶化促進剤としては、通常熱可塑性樹脂に用いられるものでよく、2分子膜からなるマイクロレベルからナノレベルサイズのカプセル内に核剤成分等を添加した2分子膜からなるカプセル、ベンジリデンソルビトール系やリン系の透明化結晶核剤、ロジンアミド系のゲル化剤等があり、特に、ビス(ベンジリデン)ソルビトール系結晶化核剤が好ましい。これらの結晶化促進剤は、2種以上を併用することもできる。
ポリアミド樹脂組成物(P)におけるポリアミド樹脂組成物(M)及び結晶化促進剤(C)の含有量は、ポリアミド樹脂組成物(M)100質量部に対して、0.01〜2質量部である。結晶化促進剤(C)を0.01質量部以上含有すると、結晶化核剤としての作用が十分であり、加熱殺菌処理後の白化を抑制できる。結晶化促進剤(C)の含有量が2.0質量%以下であれば、結晶化促進剤(C)による結晶化速度が適切な速度となり、熱成形において結晶化による伸びムラ等の不良、ガスバリア性の低下がなく、さらには加熱処理後の変形のない、外観のよい容器を得ることができる。
本発明においては、ポリアミド樹脂組成物(P)の、脱偏光光度法による160℃での結晶化における半結晶化時間(ST(P))は、本発明の多層容器を熱成形する際における結晶化速度の指標であり、熱成形性、ガスバリア性及び白化抑制効果の観点から、30秒以上300秒以下の範囲が好ましく、35秒以上200秒以下の範囲がより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物(P)は、任意の混合方法及び/又は混練方法を適用して調製することができる。混合方法としては、例えば、回転中空容器内にポリアミド樹脂ペレットを投入し混合してもよく、定量フィーダーを用いてホッパーに所定量投入してもよい。混練方法としては、例えば溶融混練が挙げられる。また、ポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを混合及び/又は混練してポリアミド樹脂組成物(M)を調製した後に、得られたポリアミド樹脂組成物(M)と結晶化促進剤(C)とを混合及び/又は混練することにより調製してもよく、所定量のポリアミド樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)及び結晶化促進剤(C)の三成分を同時に混合及び/又は混練することにより調製してもよい。所定量のポリアミド樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)及び結晶化促進剤(C)の三成分をドライブレンドし、混合物をホッパーに一括投入して、ポリアミド樹脂組成物(P)を調製することが特に好ましい。
また、ポリアミド樹脂組成物(P)は、加熱殺菌処理後の白化抑制効果及びブリードアウトの観点から、ポリアミド樹脂組成物(M)100質量部に対して、炭素数18〜50の脂肪酸金属塩、及び炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数2〜10のジアミン又はジオールとから得られるジアミド化合物又はジエステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を、好ましくは0.01〜1.0質量部、より好ましくは0.02〜0.8質量部、さらに好ましくは0.02〜0.5質量部含有していてもよい。脂肪酸金属塩、ジアミド化合物及びジエステル化合物は、1種類のみを含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本発明で用いることができる脂肪酸金属塩としては、加熱殺菌処理後の白化抑制効果及びポリアミド樹脂組成物(P)中における均一分散性の観点から、炭素数18〜50、好ましくは炭素数18〜34の脂肪酸金属塩である。
脂肪酸は側鎖や二重結合があってもよいが、ステアリン酸(炭素数18)、エイコ酸(炭素数20)、ベヘン酸(炭素数22)、モンタン酸(炭素数28)、トリアコンタン酸(炭素数30)などの直鎖飽和脂肪酸が好ましい。脂肪酸と塩を形成する金属に特に制限はないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、アルミニウム、亜鉛等が例示でき、これらの中でもナトリウム、カリウム、及びリチウム、カルシウム、アルミニウム、及び亜鉛が特に好ましい。
脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム等が例示でき、これらの中でも、白化抑制効果の観点から、ステアリン酸カルシウム、モンタン酸カルシウムが好ましい。上記脂肪酸金属塩は、1種類のみを含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本発明で用いることができるジアミド化合物は、加熱殺菌処理後の白化抑制効果及びポリアミド樹脂組成物(P)中における均一分散性の観点から、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数2〜10のジアミンとから得られるジアミド化合物が好ましい。
ジアミド化合物の脂肪酸成分としては、側鎖や二重結合があってもよいが直鎖脂肪酸が好ましく、ステアリン酸(炭素数18)、エイコ酸(炭素数20)、ベヘン酸(炭素数22)、モンタン酸(炭素数28)、トリアコンタン酸(炭素数30)等が例示できる。ジアミド化合物のジアミン成分としては、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサンジアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が例示できる。
ジアミド化合物としては、炭素数8〜30の脂肪酸と主としてエチレンジアミンからなるジアミンとから得られるジアミド化合物、又は主としてモンタン酸からなる脂肪酸と炭素数2〜10のジアミンとから得られるジアミド化合物が好ましく、主としてステアリン酸からなる脂肪酸と主としてエチレンジアミンからなるジアミンとから得られるジアミド化合物が特に好ましい。ジアミド化合物は1種類のみを含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本発明で用いることができるジエステル化合物は、加熱殺菌処理後の白化抑制効果及びポリアミド樹脂組成物(P)中における均一分散性の観点から、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数2〜10のジオールとから得られるジエステル化合物が好ましい。
ジエステル化合物の脂肪酸成分としては、上記ジアミド化合物の脂肪酸成分と同様である。ジエステル化合物のジオール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、キシリレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等が例示できる。
ジエステル化合物としては、炭素数8〜30の脂肪酸と主としてエチレングリコール及び/又は1,3−ブタンジオールからなるジオールとから得られるジエステル化合物が好ましく、主としてモンタン酸からなる脂肪酸と主としてエチレングリコール及び/又は1,3−ブタンジオールからなるジオールとから得られるジエステル化合物が特に好ましい。ジエステル化合物は1種類のみを含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本発明の多層容器は、押出成形、押出・吹込み成形等の任意の方法により製造することができる。例えば、3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、巻き取り機等を備えた多層シート製造装置を用い、1台目の押出機からPPを、2台目の押出機から接着性樹脂を、3台目の押出機からガスバリア層(Z)を構成するポリアミド樹脂組成物(P)をそれぞれ押し出し、フィードブロックを介してPP層/接着層/ガスバリア層/接着層/PP層の3種5層構造の多層シートを製造し、これを加熱軟化した後、真空、圧空、又は真空と圧空を併用した熱成形法によってシートを金型に密着させて容器形状に成形し、これをトリミングして容器を得る方法が挙げられる。ここで、熱成形時のシート表面温度としては、賦形性の観点から、130〜200℃の範囲が好ましく、150〜180℃の範囲がより好ましい。なお、多層シート製造装置や容器の成形方法についてはこれらに限定されるものではなく、任意の方法を適用することができる。
本発明の多層容器の形状は特に限定されず、例えば、ボトル、カップ、チューブ、トレイ、タッパウェア等の成形容器であってもよく、また、パウチ、スタンディングパウチ、ジッパー式保存袋等の袋状容器であってもよい。また、多層容器がフランジ部分を有する場合には、そのフランジ部分にイージーピール機能を付与するための特殊加工を施してもよい。
本発明の多層容器には顧客の購入意欲を高めるために内容物を可視化したい様々な物品を収納、保存することができる。例えば、水産加工品、畜産加工品、飯類、液体食品が挙げられる。例えば、マグロ、カツオ、サケ、マス、サバ、イワシ、サンマ、ニシン、ウナギ、カニ、ホタテ、赤貝、アサリ、カキ、バイ貝、北寄貝、トップシェル、イカ、海苔、ヒジキ、寒天、クキワカメ、昆布等の水煮、油漬、燻製油漬、蒲焼き、トマト漬け等の水産加工品、コンビーフ、牛肉、ソーセージ、ハム、豚肉、鶏肉、鶏卵、うずら卵等の塩漬、油漬、水煮、味付等の畜産加工品、カレー、シチュー、ハッシュドビーフ、パスタソース、調理用ソース等のソース類や洋風スープ、中華スープ、和風スープ等のスープ類等の液体食品、ミカン、桃、パインアップル、サクランボ、アンズ、クリ、ブドウ等や、トマト、コーン、タケノコ、キノコ類等の農産加工品、犬や猫等向けのペットフード食材がある。特に加熱殺菌処理温度が100℃以上と高く、酸素の影響を受けやすいマグロやカツオなどのツナの保存に適している。
本発明の多層容器を加熱殺菌処理する方法としては、例えば水蒸気式、熱水貯湯式、シャワー式等が挙げられる。また、殺菌処理温度としては、好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、殺菌時間としては好ましくは10〜120分である。
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、本実施例において各種測定は以下の方法により行った。
(1)半結晶化時間
脱偏光光度法により測定した。具体的には、ポリマー結晶化速度測定装置(コタキ製作所製、形式:MK701)を使用し、以下の条件で測定した。
試料溶融温度:270℃
試料溶融時間:3分
結晶化油浴温度:160℃
(2)ガスバリア性
ASTM D3985に準じて測定した。具体的には、酸素透過率測定装置(OX−TRAN 2/20A、商品名、モダンコントロールズ社製)を使用し、ポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数(ml・mm/m2・day・atm)を測定した。
(3)ヘイズ
レトルト食品用オートクレーブ(SR−240、商品名、(株)トミー精工製)を用いて多層容器を120℃、30分水蒸気レトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部を切り出し、JIS K−7105に準じてヘイズを測定した。なお、前記レトルト処理時間には加熱及び冷却時間は含まれない。測定装置は、色彩・濁度測定器(商品名:COH−300A、日本電色工業社製)を使用した。ヘイズ測定箇所における厚さを測定し、厚さ300μmに換算した値とした。
(4)熱成型
プラグアシストを備えた圧空真空成形機(浅野研究所製)を使用して、セラミックヒーター温度:480℃にてシート表面温度が170℃に加熱後、圧空真空成形を行った。得られた熱成型容器の底面、側面を観察し、以下の基準で評価を行った。
○:伸びムラなく、良好な成形品
×:伸びムラによる外観不良を生じる
実施例1
まず、メタキシリレンジアミン単位とアジピン酸単位とからなるN−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))及びN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))を単軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂(A1)80質量%とポリアミド樹脂(B1)20質量%とからなるポリアミド樹脂組成物(M1)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M1)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000、タルク平均粒子径:1.8μm、顆粒径:0.2〜3.0mm)0.1質量部をドライブレンドしたポリアミド樹脂組成物を二軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂組成物(P1)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P1)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P1)は38秒であった。
得られたポリアミド樹脂組成物(P1)を単軸押出機にて押し出し、膜厚50μmのガスバリアフィルムを作製した。ポリアミド樹脂組成物(P1)からなるガスバリアフィルムの23℃60%RH環境下における酸素透過係数は、0.13ml・mm/m2・day・atmであった。
3台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、巻き取り機等を備えた多層シート製造装置を用い、1台目の押出機からポリプロピレン(日本ポリプロ社製、商品名:ノバテックPP、グレード名:FY6、メルトインデックス:2.5)を260℃で、2台目の押出機から接着性樹脂(三井化学社製、商品名:アドマー、グレード:QB515)を230℃で、3台目の押出機からポリアミド樹脂組成物(P1)を260℃でそれぞれ押し出し、フィードブロックを介してPP層(X層)/接着層(Y層)/ガスバリア層(Z層)/接着層(Y層)/PP層(X層)の3種5層構造の多層シートを製造した。なお、各層の厚みは、425/25/100/25/425(μm)とした。
次いで、プラグアシストを備えた圧空真空成形機を使用して、シート表面温度が170℃に達した時点で熱成形を行い、開口部79mm角×底部63mm×深さ25mm、表面積110cm2、容積100mlの容器を作製した。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部のヘイズを測定した。結果を表1に示す。
実施例2
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))70質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))30質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M2)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)0.5質量部としてドライブレンドしたポリアミド樹脂組成物を二軸押出機に投入して混練、ペレット化することで、ポリアミド樹脂組成物(P2)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P2)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P2)は36秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P2)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.17ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
実施例3
ポリアミド樹脂組成物(M2)及び結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)の含有比を、ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量%に対して結晶化促進剤(C)1.0質量%に変更したこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P3)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P3)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P3)は35秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P3)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P3)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.16ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
実施例4
ポリアミド樹脂組成物(M2)及び結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)の含有比を、ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量%に対して結晶化促進剤(C)1.8質量%に変更したこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P4)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P4)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P4)は33秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P4)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P4)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.16ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
実施例5
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))60質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))40質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M3)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M3)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)1.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P5)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P5)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P5)は49秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P5)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P5)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.22ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
実施例6
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))90質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))10質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M4)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M4)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)0.02質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P6)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P6)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P6)は31秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P6)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P6)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.10ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
比較例1
ポリアミド樹脂(A1)を単軸押出機にて押し出し、膜厚50μmのフィルムを作製した。ポリアミド樹脂(A1)の160℃での結晶化における半結晶化時間は25秒であった。また、ポリアミド樹脂(A1)からなるフィルムの23℃60%RH環境下における酸素透過係数は、0.09ml・mm/m2・day・atmであった。
ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂(A1)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製しようとしたが、熱成形時に伸びムラを生じたため、容器を作製することができなかった。
比較例2
ポリアミド樹脂組成物(M2)を単軸押出機にて押し出し、膜厚50μmのガスバリアフィルムを作製した。ポリアミド樹脂組成物(M2)の160℃での結晶化における半結晶化時間は48秒であった。ポリアミド樹脂組成物(M2)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.17ml・mm/m2・day・atmであった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(M2)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製した。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
比較例3
ポリアミド樹脂組成物(M2)及び結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−7000)の含有比を、ポリアミド樹脂組成物(M2)100質量%に対して結晶化促進剤(C)3.0質量%に変更したこと以外は実施例2と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P7)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P7)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P7)は15秒であった。また、ポリアミド樹脂組成物(P7)からなるフィルムの23℃60%RH環境下における酸素透過係数は、0.16ml・mm/m2・day・atmであった。
ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P7)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製しようとしたが、熱成形時に伸びムラを生じたため、容器を作製することができなかった。
比較例4
ポリアミド樹脂組成物の含有比を、N−MXD6(三菱ガス化学社製、商品名:S6007)(ポリアミド樹脂(A1))50質量%とN−6T/6I(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ノバミッドX21)(ポリアミド樹脂(B1))50質量%として、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物(M5)を調製した。
次に、前記ポリアミド樹脂組成物(M5)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(顆粒状タルク:ハリマ化成製 HT−70001.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P8)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P8)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P6)は75秒であった。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P8)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルム、多層シート及びカップ状容器を作製した。ポリアミド樹脂組成物(P8)からなるガスバリアフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.35ml・mm/m2・day・atmであった。
得られたカップ状容器をレトルト処理し、レトルト処理前後の容器側面部ヘイズを測定した。結果を表1に示す。
比較例5
前記ポリアミド樹脂組成物(M1)100質量部に対して結晶化促進剤(C)(微粉タルク:日本タルク K−1、平均粒子径8μm)1.0質量%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物(P9)を調製した。ポリアミド樹脂組成物(P9)の160℃での結晶化における半結晶化時間ST(P9)は19秒であった。また、ポリアミド樹脂組成物(P9)からなるフィルムの23℃、60%RH環境下における酸素透過係数は、0.15ml・mm/m2・day・atmであった。しかしながら、得られた単層フィルムには凝集したタルクがブツ状となっておりフィルムの外観不良を生じた。
また、ポリアミド樹脂組成物(P1)をポリアミド樹脂組成物(P9)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、多層シート及びカップ状容器を作製しようとしたが、凝集したタルクにより熱成形時の伸びムラを生じたため、容器を作製することができなかった。
Figure 0005617422
N-MXD6:ポリメタキシリレンアジパミド
N-6T/6I:ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー
HT-7000:ハリマ化成(株)製 顆粒状タルク
K-1:日本タルク(株)製 微粉タルク
ポリアミド樹脂(A1)のみを用いた比較例1では、N−MXD6が結晶化して、熱成形時に伸びムラを生じたため、容器を作製することができなかった。N−MXD6とN−6T/6Iとからなるポリアミド樹脂組成物(M1)のみを用いた比較例2では、レトルト処理により容器が白化し透明性に劣るものであった。これは、120℃の加熱殺菌処理時に緩やかにN−MXD6が結晶化することによりN−MXD6の球晶が大きく成長したためである。結晶化促進剤(C)を多量に含有するポリアミド樹脂組成物(P7)を用いた比較例3では、結晶化促進効果によりN−MXD6が結晶して、熱成形時に伸びムラを生じた。N−MXD6とN−6T/6Iの組成比を50%:50%とした比較例4では、N−6IT成分が多すぎるために酸素バリア性の低下を生じ、さらにはレトルト処理前後における容器の透明性にも劣るものであった。ロジン系樹脂でバインドしていない結晶化促進剤(C)(微粉タルク:日本タルク K1、平均粒子径8μm)を用いた比較例5ではタルクが凝集することにより熱成形容器の外観不良を生じた。
これらに対し、実施例1〜6の多層容器は、熱成形により得ることができ、レトルト処理前において比較例2と比べて透明性に優れており、レトルト後の白化度合いが小さく、より高い透明性を有するものであった。
本発明の多層容器は、レトルト処理といった加熱殺菌処理後においてもガスバリア性及び透明性に優れることから食品の保存及び視認が可能であり、缶詰代替による顧客の利便性向上として、その工業的価値は非常に高い。

Claims (4)

  1. ポリプロピレンを主成分とする層(X)、接着性熱可塑性樹脂からなる接着層(Y)、及びポリアミド樹脂組成物(P)からなるガスバリア層(Z)が内層から外層へこの順に積層された3層以上の層構成を有する多層容器であって、前記ポリアミド樹脂組成物(P)が、メタキシリレンジアミン単位を70モル%以上含むジアミン単位とアジピン酸単位を70モル%以上含むジカルボン酸単位とからなるポリアミド樹脂(A)60乃至90質量%及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(B)40乃至10質量%からなるポリアミド樹脂組成物(M)100質量部と、ロジン系樹脂をバインダーとした粉状タルクであり平均粒子径が0.01乃至5μmである結晶化促進剤(C)0.01〜2質量部とを含むことを特徴とする多層容器。
  2. ポリアミド樹脂組成物(P)の、脱偏光光度法による160℃での結晶化における半結晶化時間(ST(P))が30秒以上300秒以下である、請求項1に記載の多層容
    器。
  3. 前記ポリアミド樹脂組成物(P)の23℃、60%RH環境下における酸素透過係数が1.0ml・mm/m2・day・atm以下である、請求項1又は2に記載の多層容器。
  4. 前記ガスバリア層(Z)の厚みが、多層容器の総厚みに対して2〜20%である、請求項1〜のいずれかに記載の多層容器。
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