JP2012092272A - フロン類バリア性に優れた樹脂製部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、フロン類を封入するために用いるフロン類バリア性に優れた樹脂製部品。
【選択図】なし
Description
エアコンや冷蔵庫用の冷媒を封入する部品部材としては金属が主に使われているが、軽量化等の目的で金属に代えて熱可塑性樹脂を使用したり、振動部分の破壊を防ぐために樹脂製ホースの使用などが検討されている。しかしながら、一般的な樹脂製部品用部材はフロン類に対するバリア性に劣り、大気中にフロン類が放出され、放出を防ぐためには部材厚みを厚くする必要があった。
このようなフロン類バリア性に関しては、特許文献1又は2にフロンガスバリア性に強いホース開示されているが、これらの文献に開示された方法ではフロン類バリア性が十分ではなかった。また、ホース以外の樹脂製部品にしたときの強度が十分ではなかった。
本発明においては、上記メタキシリレンジアミン以外のジアミン成分のうち、ポリアミドの結晶化速度を向上させる観点、融点を向上させポリアミド耐熱性を向上させる観点、ポリアミドの吸水時の寸法安定性を向上させる観点から、パラキシリレンジアミンが好ましく用いられる。
ジカルボン酸成分としてアジピン酸とセバシン酸とを組み合わせて使用することで耐熱性やガスバリア性、結晶性を任意にコントロールできる。結晶性を低下させたい場合、あるいは非晶状態とする場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は80/20〜30/70が好ましく、70/30〜40/60がより好ましい。ガスバリア性を重視する場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は50/50以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。耐熱性を重視する場合は、セバシン酸/アジピン酸比(モル比)は60/40以下が好ましく、40/60以下がより好ましく、30/70以下がさらに好ましい。
本発明において、「主として」とは、ポリアミドを構成する記載されたジアミンあるいはジカルボン酸成分がそれぞれ95モル%以上含まれることを意味する。
また、ポリアミド(A)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行っても良い。
フロン類バリア性におけるフロン類としては、エアコンや冷蔵庫用冷媒として用いられるものが挙げられ、例えばクロロフルオロカーボンやフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン等が例示できる。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
ポリアミド(A)は、末端アミノ基濃度が好ましくは100μ当量/g未満、より好ましくは5〜75μ当量/g、さらに好ましくは10〜50μ当量/g、末端カルボキシル基濃度が好ましくは100μ当量/g未満、より好ましくは10〜90μ当量/g、さらに好ましくは10〜50μ当量/gのものが好適に用いられる。末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を上記範囲とすることにより、カルボジイミド化合物(C)との反応が容易になり、耐劣化性が良好となる傾向にある。
本発明の樹脂性部品は、フロン類バリア性が大幅に改善されることから、その厚みを低減することができる。本発明においては、樹脂性部品の厚みとして、例えばホースあるいはチューブ、フィルム等の場合は、ポリアミド(A)を使用してなる層の厚みは1000μm以下とすることができ、好ましくは50〜800μmとすることができる。また、コネクタやジョイント等の場合は、0.1〜5mmとすることができ、好ましくは0.2〜3mmとすることができる。もちろん、それ以外の厚みで使用することを排除するものではない。
80℃、0%RHの雰囲気下にてJIS K7126−1:2006差圧法に準じてフィルムのフロン類透過度を求め、フィルム厚みを考慮しフロン類透過係数(cc・mm/m2・day)を測定した。なお、フロン類としてはHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を用いた。なお、フロン類透過係数の値が低いほどフロン類バリア性が良好であることを示す。
島津社製DSC−60を用いて示差走査熱量測定(DSC)により求めた。測定条件としては、約5mgのサンプルを10℃/minの条件で昇温し、300℃に到達した時点で急冷し、再び10℃/minの条件で昇温して行った。
東ソー社製HLC−8320GPCを用いて、GPC測定によりPMMA換算値を求めた。なお、測定用カラムはTSKgel SuperHM−Hを用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウムを10mmol/l溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、測定温度は40℃にて測定した。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成した。
得られたポリアミド樹脂を150℃で5時間真空乾燥した後、ファナック社製射出成形機100Tにて、シリンダー温度をポリアミド樹脂の融点+30℃とし試験片(ISO試験片 4mm厚み)を作製した。
得られた試験片に、150℃、1hrの条件で熱処理(結晶化処理)を行い、JIS K7171に準じて曲げ弾性率(GPa)を求めた。なお、装置は東洋精機株式会社製ストログラフを使用し、測定温度を23℃、測定湿度を50%RHとして測定した。
(ポリアミド(A1)の合成)
反応缶内でセバシン酸(伊藤製油製TAグレード)を170℃にて加熱し溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(A1)を得た。
ポリアミド(A1)の融点は191℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は30000であった。曲げ弾性率は、3.24GPaであった。
(ポリアミド(A2)の合成)
アジピン酸(ローディア製)を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)とメタキシリレンジアミンのモル比が3:7の混合ジアミンを、ジアミンとジカルボン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミド(A2)を得た。ポリアミド(A2)の融点は258℃、ガラス転移点は89℃、数平均分子量は25000であった。曲げ弾性率は、4.14GPaであった。
(ポリアミド(A3)の合成)
アジピン酸の代わりにセバシン酸を用いた以外は製造例2と同様にして、ポリアミド(A3)を合成した。ポリアミド(A3)の融点は215℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は19000であった。曲げ弾性率は、3.10GPaであった。
(ポリアミド(A4)の合成)
アジピン酸とイソフタル酸(エイ・ジイ・インタナショナル・ケミカル(株)製)のモル比が9:1の混合ジカルボン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミンを、ジアミンとジカルボン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を上昇させた。滴下終了後、所定の粘度になるまで攪拌、反応を続けた後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(A5)を得た。
ポリアミド(A5)の融点は226℃、ガラス転移点は94℃、数平均分子量は48000であった。曲げ弾性率は、4.50GPaであった。
アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなるポリアミド(三菱ガス化学(株)製MXナイロン グレードS6007)を、30mmφのスクリューとTダイを備える二軸押出機にて押出成形し、50μm厚のフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
ポリアミド(A)を表1記載のものとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
S6007と日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1を0.5質量%をドライブレンドし、実施例1と同様にしてフィルムを得た。評価結果を表1に示す。また得られたフィルムを100℃で96hr煮沸処理したが、フィルムの機械物性が低下することは無く、バリア性も処理前と同等であった。
・A1:製造例1で得られたポリアミド(A1)
・A2:製造例2で得られたポリアミド(A2)
・A3:製造例3で得られたポリアミド(A3)
・A4:製造例4で得られたポリアミド(A4)
・S6007:アジピン酸とメタキシリレンジアミンからなるポリアミド(三菱ガス化学(株)製MXナイロン グレードS6007)、融点は240℃、数平均分子量は45000、曲げ弾性率は、4.42GPaであった。
Claims (13)
- メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分とジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)を含有する、フロン類を封入するために用いるフロン類バリア性に優れた樹脂製部品。
- ポリアミド(A)のガラス転移点Tgが55〜100℃である請求項1に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)の80℃、0%RHにおける1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC-134a)透過係数が1.5cc・mm/m2・day・atm以下である請求項1または2に記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンを30モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上、及びイソフタル酸を1〜30モル%含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンを含み、メタキシリレンジアミンが30モル%以上であるジアミン成分と、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、主としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、主としてメタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、主としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸とセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- ポリアミド(A)が、主としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミドと、主としてメタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミドの混合物である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製部品。
- カルボジイミド化合物(C)を、ポリアミド(A)100質量部に対し、0.1〜2質量部含有する請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂製部品。
- カルボジイミド化合物(C)が、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物である請求項11記載の樹脂製部品。
- ホース、チューブ、フィルム、コネクタ、ジョイント、ガスケット、パッキン、及びシール部品から選ばれる請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂製部品。
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